説明

位置情報取得システム、位置情報取得方法、移動体通信端末、及び、プログラム

【課題】位置情報の取得の際の、移動体通信端末の省電力化を図る。
【解決手段】基地局と、前記基地局を介して移動体通信を行う複数の移動体通信端末と、を含む位置情報取得システムを構成した。そして、移動体通信端末は、基地局から受信した測位タイミング情報に基づく時刻に、GPS衛星を利用したGPS測位を行い自身の自己位置情報を現在位置情報として記憶するようにした。また、移動体通信端末は、自身の近傍に存在する他の移動体通信端末から当該他の移動体通信端末の有する位置情報を他者位置情報として受信するようにした。さらに、移動体通信端末は、前記現在位置情報と前記他者位置情報から信頼度のより高いものを選択して当該時点における自身の現在位置情報とする、ようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置情報取得システム、位置情報取得方法、移動体通信端末、及び、プログラムに関し、特に、移動体通信端末の省電力化を可能とする、位置情報取得システム、位置情報取得方法、移動体通信端末、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やPHS(Personal Handyphone System:パーソナルハンディホンシステム)端末など、所謂、移動体通信端末の、現在の位置情報を取得し、地図情報と共にユーザに提供するといったサービスが、本格的に行われるようになってきている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
上述した特許文献1「情報提供プログラム、表示プログラム、情報提供装置及び携帯型端末」には、以下の記載がなされている。
【0004】
すなわち、サーバは、携帯電話からの予約申込みを受けて、レストラン周辺の地図データ及びナビプログラムを読み出し、携帯電話へ送信する。携帯電話では、これらを受信すると、記憶部に記憶する。そして、携帯電話は、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)により自機(自携帯電話)の位置を算出し、受信された地図データと携帯電話の位置情報に基づいて、地図上の携帯電話の位置を特定する。そして、携帯電話から目的のレストランまでのルートを特定して、かかるルートが表示されたルート検索地図を画面表示する。また同時に、携帯電話でナビプログラムを実行して、当該表示されたルートに沿ったナビゲーションを行う。このことにより、携帯電話の所持者は、地図上のルートを確認しつつナビゲーションに従って移動することで、目的地まで確実に到達できるようになる、としている。
【0005】
上述の特許文献1では、携帯電話の現在位置の取得は、自携帯電話の備えるGPSを用いて行うようになっている。これに対し、携帯電話などの移動体通信端末の現在位置の取得を、GPSだけでなく、移動体通信網に接続された測位サーバを利用して行うようにしているものもある(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
上述した特許文献2「位置端末及び測位システム」には、以下の記載がなされている。
【0007】
すなわち、位置端末(携帯端末)は、GPS信号の受信及び、無線回線を介した測位サーバとの送受信を行う無線通信部を備えている。また、GPS信号に基づいて現在位置の算出を自己で行う自律測位手段と、測位サーバに自己の現在位置を測位させるセンタ測位手段と、使用する測位方式を設定した設定テーブルを備えている。そして、設定テーブルに設定されている測位方式に基づいて、測位方式選択手段により自律測位手段又はセンタ測位手段を選択して、自己の位置情報を取得する位置情報取得制御部とを備えている。このように、使用する測位方式を設定テーブルに設定することで、任意の方式にて位置情報を取得することが可能となる、としている。
【0008】
また、携帯端末の自己の位置情報の取得を、他の携帯端末から近距離無線通信を用いて行うようにしているものもある(例えば、特許文献3参照。)。
【0009】
上述した特許文献3「携帯端末及び位置情報交換システム」には、以下の記載がなされている。
【0010】
すなわち、携帯電話機は、GPS機能を備えていても、備えていなくともよい。店舗などの特定の位置の携帯端末は、GPS機能で取得した自己位置の位置情報や位置精度情報を保持している。また、携帯電話機や携帯端末は、互いに位置情報を近距離無線通信する機能を備えている。いま、携帯電話機や携帯端末が、他の携帯電話機などと近距離無線通信可能な範囲内にある状態で、携帯電話機から近距離無線通信で位置情報要求信号を送信すると、これを受信した他の携帯電話機などが、その自己位置の位置情報や位置精度情報を送信する。位置情報要求信号を送信した携帯電話機は、これらを受信して自己位置とその位置精度を算出し、自己位置を推定する。このことにより、GPS機能を使用しなくとも、また、GPS機能を備えていなくとも、自己位置の推定が可能となる、としている。
【0011】
【特許文献1】特開2003−075189号公報(第4−6頁、図1−6)
【特許文献2】特開2005−077226号公報(第5−12頁、図1−10)
【特許文献3】特開2005−223436号公報(第7−20頁、図1−12)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述した特許文献1に記載の携帯電話、すなわち移動体通信端末、において、自移動体通信端末の位置を算出するためには、移動体通信端末の備えるGPS機能を利用することが必要である。そして、この移動体通信端末が有する位置算出のための手段は、自己の備えるGPS機能の1手段のみとなっている。
【0013】
一般に、自移動体通信端末の位置を算出するために自己の備えるGPS機能を利用すると、GPS機能を動作させるための多大な電力消費が必要となり、当該移動体通信端末のバッテリーの消耗を早める結果となってしまう。従って、自己の備えるGPS機能だけでなく、他の何らかの手段を用いて自移動体通信端末の位置を算出することが出来れば、自己の備えるGPS機能の動作回数を減らすことが可能となる。そして、このことにより、自移動体通信端末のバッテリーの消耗を少なくすることが可能となる。
【0014】
しかし、特許文献1においては、位置の算出のための手段は自己の備えるGPS機能だけであるため、自移動体通信端末の位置の算出をするたびに、自己の備えるGPS機能を使用することが必要となる。従って、自移動体通信端末の電力消費が多くなりバッテリーの消耗を早めてしまう、という課題を有している。
【0015】
上述した特許文献2に記載の、測位サーバを利用した現在位置の取得方法においても、携帯端末、すなわち移動体通信端末は、測位サーバからの支援を受けつつも、自移動体通信端末が備えるGPS機能の全て或いは一部を利用するようになっている。従って、自移動体通信端末の現在位置を取得しようとするたびに自己の備えるGPS機能を動作させることが必要となる。その結果、自己の備えるGPS機能を動作させるための電力消費が必要となり、当該移動体通信端末のバッテリーの消耗を早める結果となってしまう、という課題を有している。
【0016】
測位サーバを利用して、移動体通信端末の現在位置を取得する手法には種々のものが存在するが、主として、以下に示す2つの方式がある。
【0017】
1つは、MS(Mobile Station)−Based(MSベースド)、或いは、UE(User Equipment)−Based(UEベースド)と称される方式である。この方式においては、測位サーバから、GPS衛星の軌道情報や同期などの参考情報を移動体通信端末に送信し、移動体通信端末ではこの参考情報に基づいてGPS衛星を捕捉し、自身の現在位置を算出するようになっている。
【0018】
他の1つは、MS−Assisted(MSアシステッド)と称される方式である。この方式においては、移動体通信端末のGPSの受信状況を移動体通信端末から測位サーバが受信し、この受信状況を基に、位置算出計算は全て測位サーバにて実行し、結果を移動体通信端末に返すようになっている。
【0019】
上記の何れの方式を利用する場合であっても、移動体通信端末は、測位サーバからの支援を受けつつも、自移動体通信端末が備えるGPS機能の全て或いは一部を使用することが必要となる。従って、上述したように、自移動体通信端末が備えるGPS機能を動作させるための電力消費が必要となり、当該移動体通信端末のバッテリーの消耗を早める結果となってしまう、という課題を有している。
【0020】
上述した特許文献3に記載の携帯電話機、すなわち移動体通信端末、においては、他の移動体通信端末から近距離無線通信を用いて、位置情報を取得することが可能となっている。しかし、GPS機能を備えていない移動体通信端末の近くに他の移動体通信端末が存在しない場合には、GPS機能を備えていない移動体通信端末は位置情報を取得することができない、という課題を有している。また、GPS機能を備えた移動体通信端末の近くに他の移動体通信端末が存在しない場合、GPS機能を備えた移動体通信端末は、当該移動体通信端末が備えるGPS機能を使用して、自移動体通信端末の位置情報を取得することが必要となる。この場合は、特許文献1、2において上述したと同様に、GPS機能を動作させるための多大な電力消費が必要となり、当該移動体通信端末のバッテリーの消耗を早める結果となってしまう、という課題を有している。
【0021】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものである。従って、本発明の目的は、自己の備えるGPS機能の動作回数を少なくすることにより移動体通信端末の省電力化を可能とする、位置情報取得システム、位置情報取得方法、移動体通信端末、及び、プログラム、を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の位置情報取得システムは、基地局と、前記基地局を介して移動体通信を行う複数の移動体通信端末と、を含んでいる。そして、前記移動体通信端末は、前記基地局から受信した測位タイミング情報に基づく時刻に、GPS衛星を利用したGPS測位を行い自身の自己位置情報を現在位置情報として記憶するようになっている。また、前記移動体通信端末は、自身の近傍に存在する他の移動体通信端末から当該他の移動体通信端末の有する位置情報を他者位置情報として受信し、前記現在位置情報と前記他者位置情報から信頼度のより高いものを選択して当該時点における自身の現在位置情報とする、ようになっている。
【0023】
本発明の位置情報取得方法は、基地局と、前記基地局を介して移動体通信を行う複数の移動体通信端末とを含む位置情報取得システムにおける位置情報取得方法である。そして、前記移動体通信端末は、前記基地局から受信した測位タイミング情報に基づく時刻に、GPS衛星を利用したGPS測位を行い自身の自己位置情報を現在位置情報として記憶するようになっている。また、前記移動体通信端末は、自身の近傍に存在する他の移動体通信端末から当該他の移動体通信端末の有する位置情報を他者位置情報として受信し、前記現在位置情報と前記他者位置情報から信頼度のより高いものを選択して当該時点における自身の現在位置情報とする、ようになっている。
【0024】
本発明の移動体通信端末は、基地局から受信した測位タイミング情報に基づく時刻に、GPS衛星を利用したGPS測位を行い自身の自己位置情報を現在位置情報として記憶する自己位置情報取得部を含んでいる。また、前記移動体通信端末は、自身の近傍に存在する他の移動体通信端末から当該他の移動体通信端末の有する位置情報を他者位置情報として受信する他者位置情報取得部を含んでいる。さらに、前記移動体通信端末は、前記現在位置情報と前記他者位置情報から信頼度のより高いものを選択して当該時点における自身の現在位置情報とする信頼度判定部、を含んでいる。
【0025】
本発明のプログラムは、移動体通信端末のコンピュータに、基地局から受信した測位タイミング情報に基づく時刻に、GPS衛星を利用したGPS測位を行い自身の自己位置情報を現在位置情報として記憶する自己位置情報取得処理を実行させる。また、前記プログラムは、自移動体通信端末の近傍に存在する他の移動体通信端末から近距離無線通信によって当該他の移動体通信端末の有する位置情報を他者位置情報として受信する他者位置情報取得処理を実行させる。さらに、前記プログラムは、前記現在位置情報と前記他者位置情報から信頼度のより高いものを選択して当該時点における自移動体通信端末の現在位置情報とする信頼度判定処理を実行させる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、移動体通信端末の省電力化を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の位置情報取得システムの第1の実施形態を示す構成図である。
【0028】
図1に示す位置情報取得システム1は、複数m個(mは正の整数)の基地局3(3−1〜3−m)を含む移動体通信網2と、基地局3を介して移動体通信を行う複数n個(nは正の整数)の移動体通信端末4(4−1〜4−n)を含んでいる。
【0029】
移動体通信網2は、携帯電話網やPHS(Personal Handyphone System:パーソナルハンディホンシステム)網などの通信網であり、固定電話網などとも接続されて、移動体通信端末4における電話通信やデータ通信を行わせる。また、移動体通信網2に含まれる基地局3は、無線通信により移動体通信端末4と通信接続すると共に、移動体通信端末4に対して測位タイミング情報を送信する機能を含んでいる。測位タイミング情報とは、移動体通信端末4が自身の現在位置の測位を行う時刻と、それ以降の測位の周期を含む情報である。
【0030】
移動体通信端末4は、携帯電話やPHS端末、或いは、PDA(Personal Digital Assistants:携帯情報端末)などの端末装置である。移動体通信端末4は、基地局3と無線通信を行う基地局通信機能、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)衛星5からの電波を受信するGPS受信機能、及び、他の移動体通信端末4と近距離無線通信により通信する近接通信機能、などを含んでいる。
【0031】
図1に示す位置情報取得システム1は、移動体通信端末4が存在する現在位置を計測するために、複数のGPS衛星5(5−1、5−2、・・・)を利用するようになっている。
【0032】
GPS衛星5は、周知のように、米国国防総省により管理・運営されている24個の軍事衛星であり、各4個の衛星が6つの地球周回軌道面に均等に配置されており、およそ12時間で地球を一周するようになっている。GPS衛星5からの電波を受信可能なGPS受信機においては、GPS衛星5から発信された電波を受信して解析することにより、GPS受信機が存在する位置を計測することが可能となる。GPS受信機は、通常、GPS衛星5からの電波発信の時刻とGPS受信機に電波が到達した時刻との時間差や、搬送波や電波に載せられている各種の情報(例えば、GPS衛星5の軌道情報、時計の補正情報、など)を解析することにより、自身の存在する現在位置を計測するようになっている。また、GPS受信機は、同時に3個のGPS衛星5からの電波を受信できれば、二次元の測位が可能となり、同時に4個のGPS衛星5からの電波を受信できれば、三次元の測位が可能となっている。
【0033】
本実施形態における移動体通信端末4は、上述したGPS受信機の機能を備えるものである。従って、本実施形態において、移動体通信端末4は、GPS衛星5から発信された電波を受信して解析することにより、自移動体通信端末4が存在する位置を計測可能となっている。
【0034】
次に、図1に示した位置情報取得システム1の動作の概略について説明する。
【0035】
先ず、移動体通信端末4−1は、基地局3−1の通信エリアに入った際、基地局3−1から測位タイミング情報を受信する。測位タイミング情報は、上述したように、移動体通信端末4が自身の現在位置の測位を行う時刻と、それ以降の測位の周期を含む情報である。
【0036】
測位タイミング情報を受信した移動体通信端末4−1は、測位を行う時刻になると、自身のGPS受信機能を使用して、自身のその時点における位置を計測し、計測した自己位置情報を現在位置情報として記憶しておく。
【0037】
また、他の移動体通信端末4−2が基地局3−1の通信エリアに入ると、移動体通信端末4−1と同様に、基地局3−1から測位タイミング情報を受信する。移動体通信端末4−2が取得する測位タイミング情報は、移動体通信端末4−2が自身の現在位置の測位を行う時刻と、それ以降の測位の周期を含む情報である。但し、移動体通信端末4−2が現在位置の測位を行う時刻の情報は、移動体通信端末4−1が測位を行う時刻とは異なる時刻であるものとする。これは、移動体通信端末4−1と4−2で、現在位置の測位の時刻を分散させておき、それぞれの移動体通信端末4が異なる時刻で位置情報の取得を行うようにするためである。測位タイミング情報を受信した移動体通信端末4−2は、測位を行う時刻になると、自身のGPS受信機能を使用して、自身のその時点における位置情報を計測し、記憶しておく。
【0038】
次に、移動体通信端末4−1と4−2が、近距離無線通信により通信することが可能な距離に近づくと、近接通信機能を使用して相互に通信を行う状態となる。なお、近接通信機能を使用して相互に通信を行う状態となるために、移動体通信端末4は、所定の時間間隔で自動的に、他の移動体通信端末4に向けて、近接通信接続するための所謂ペアリングを行うための要求信号を送信するものとする。そして、近接通信機能を使用して相互に通信を行う状態となった後、移動体通信端末4−1は、移動体通信端末4−2から移動体通信端末4−2が記憶している位置情報を、他者位置情報として受信する。他者位置情報を受信した移動体通信端末4−1は、自身が記憶している現在位置情報と、移動体通信端末4−2から受信した他者位置情報との信頼度の比較を行う。そして、移動体通信端末4−1は、現在位置情報と他者位置情報から信頼度の高いものを選択して、その時点での移動体通信端末4−1の現在位置情報とするよう動作する。
【0039】
以上説明したように、本実施形態の位置情報取得システム1は、基地局3と、前記基地局3を介して移動体通信を行う複数の移動体通信端末4とを含んでいる。そして、移動体通信端末4は、基地局3から受信した測位タイミング情報に基づく時刻に、GPS衛星を利用したGPS測位を行って自身の自己位置情報を現在位置情報として記憶する。また、移動体通信端末4は、自身の近傍に存在する他の移動体通信端末4から当該他の移動体通信端末4の有する位置情報を他者位置情報として受信する。そして、移動体通信端末4は、前記現在位置情報と前記他者位置情報から信頼度のより高いものを選択して当該時点における自身の現在位置情報とする、ようになっている。
【0040】
従って、本実施形態によれば、移動体通信端末4は、基地局3から受信した測位タイミング情報に基づく時刻でのみ、自身のGPS測位を行い、他の時刻の位置情報は、他の移動体通信端末4から受信できるようになっている。従って、本実施形態の移動通信端末4においては、自身のGPS測位は間欠的に行えばよいため、自身のGPS機能の動作回数を少なくすることが可能となり、移動体通信端末4の省電力化を図ることが可能となる。
[第2の実施形態]
次に、図1に示した第1の実施形態をさらに具体化した本発明による第2の実施形態について説明する。
【0041】
図2は、本発明の位置情報取得システムの第2の実施形態を示す構成図である。
【0042】
図2に示す位置情報取得システム1−2は、図1に示した位置情報取得システム1と、以下の点でのみ異なるものである。
【0043】
すなわち、図2に示す位置情報取得システム1−2の移動体通信網2−2が、基地局3に加え、さらに、測位サーバ6を含む点でのみ、図1に示した位置情報取得システム1と異なっている。従って、図2において図1に示す構成要素に対応するものは同一の参照数字または符号を付し、その説明を極力省略するものとする。
【0044】
図2に示す位置情報取得システム1−2は、複数m個の基地局3と測位サーバ6を含む移動体通信網2−2と、基地局3を介して移動体通信を行う複数n個の移動体通信端末4を含んでいる。
【0045】
移動体通信網2−2は、携帯電話網やPHS網などの通信網であり、固定電話網などとも接続されて、移動体通信端末4における電話通信やデータ通信を行わせる。また、移動体通信網2−2に含まれる基地局3は、無線通信により移動体通信端末4と通信接続すると共に、移動体通信端末4に対して測位タイミング情報を送信する機能を含んでいる。測位タイミング情報は、第1の実施形態と同様であり、移動体通信端末4が自身の現在位置の測位を行う時刻と、それ以降の測位の周期を含む情報である。
【0046】
移動体通信網2−2に含まれる測位サーバ6は、移動体通信端末4が自己の位置情報を測位して取得しようとする際に、移動体通信端末4に対して現在位置の取得を支援する情報の送出を行うサーバ装置である。
【0047】
測位サーバ6を利用して、移動体通信端末4の現在位置を取得する手法には種々のものが存在するが、主として、以下に示す2つの方式がある。
【0048】
1つは、MS(Mobile Station)−Based(MSベースド)と称される方式である。この方式においては、測位サーバ6から、GPS衛星5の軌道情報や同期などの参考情報を移動体通信端末4に送信する。移動体通信端末4ではこの参考情報に基づいてGPS衛星5を捕捉し、自身の現在位置を算出するものである。
【0049】
他の1つは、MS−Assisted(MSアシステッド)と称される方式である。この方式においては、移動体通信端末4のGPSの受信状況を移動体通信端末4から測位サーバ6が受信する。測位サーバ6は、この受信状況を基に、位置算出計算は全て測位サーバ6にて実行し、結果を移動体通信端末4に返すものである。
【0050】
本実施形態における測位サーバ6は、上述したMS−Based方式、MS−Assisted方式の何れかで動作するものであってもよいし、或いは、移動体通信端末4の現在位置の取得を支援するものであれば、他の方式で動作するものであってもよい。
【0051】
移動体通信端末4は、携帯電話やPHS端末、或いは、PDAなどの端末装置である。
【0052】
図2に示す位置情報取得システム1−2は、図1で説明したと同様に、移動体通信端末4が存在する現在位置を計測するために、複数のGPS衛星5を利用するようになっている。
【0053】
次に、図3を参照して、移動体通信端末4の構成について説明する。
【0054】
図3は、移動体通信端末の一例を示す詳細ブロック図である。
【0055】
図3に示す移動体通信端末4は、GPS受信部41、基地局通信部42、近接通信部43、操作部44、表示部45、記憶部46、送受話部47、移動距離計測部48、制御部49を含んでいる。
【0056】
GPS受信部41は、図2に示したGPS衛星5から発信されている電波を受信し、制御部49に送出する。制御部49では、この電波の情報を解析して、自移動体通信端末4が存在する位置を計測する。
【0057】
基地局通信部42は、自移動体通信端末4で行う電話通信やデータ通信のために、図2に示した基地局3との間で無線通信を行う。
【0058】
近接通信部43は、近距離無線通信により、他の移動体通信端末4との間でデータ通信を行う。近距離無線通信の方式としては、Bluetooth(ブルートゥース)、IrDA(Infrared Data Association)、IrMC(Infrared Mobile Communication)など、各種の方式が存在する。Bluetoothは、2.4GHzの周波数帯を用いて電波での情報のやりとりを行う無線通信規格であり、10〜100メートル程度の無線通信が可能となっている。IrDAは、赤外線通信の中でも特に情報機器等における通信について定めた規格であり、0.3〜1メートル程度の赤外線による通信が可能となっている。IrMCは、赤外線通信の規格のうち、特に携帯電話などで電話番号などのデータの転送に用いることを想定して策定された規格である。本実施形態においては、上記の何れかの方式を用いて、近距離無線通信を行うものとする。
【0059】
操作部44は、移動体通信端末4の有する各種機能を実行するために必要となる複数のキーを含んでおり、キーの操作の情報を制御部49に送出する。
【0060】
表示部45は、移動体通信端末4を取り扱う上で必要となる文字、記号、画像などの情報を表示する。表示部45は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)により構成されている。
【0061】
記憶部46は、移動体通信端末4が有する各種機能を実現するコンピュータプログラムや、各機能の設定データ、或いは、各機能が生成し、また、各機能が使用する各種情報を記憶する。さらに、記憶部46は、移動体通信端末4の現在位置情報、及び、基地局3から受信した測位タイミング情報などを記憶するようになっている。記憶部46は、例えば、ROM(Read Only Memory:ロム)やRAM(Random Access Memory:ラム)、或いは、IC(Integrated Circuit)カード、メモリカード、ディスク装置、などにより構成することが可能である。
【0062】
送受話部47は、電話通信を行うためのマイクやスピーカなどを含んでいる。
【0063】
移動距離計測部48は、加速度センサと振動センサを含んでおり、自移動体通信端末4の移動距離を算出する。すなわち、移動距離計測部48は、振動センサが振動を検知している場合は、自移動体通信端末4が移動している、と判断する。そして、加速度センサで検出した加速度から自移動体通信端末4の移動距離を算出し、算出した移動距離を制御部49に送出する。制御部49では、この移動距離と、記憶部46に記憶されている現在位置情報や前回計測した現在位置情報から、自移動体通信端末4がどの方向に移動したかを算出する。そして、制御部49は、記憶部46に記憶されている現在位置情報を、移動距離と方向によって補正するよう動作する。
【0064】
制御部49は、移動体通信端末4全体の動作制御を行い、移動体通信端末4の有する電話通信やデータ通信の機能の他に、移動体通信端末4の有する各種機能を実行させる。そして、制御部49は、各機能の実行により生成或いは使用される各種の情報を記憶部46に記憶し、或いは、記憶部46から読み出して使用する。
【0065】
制御部49は、図示しないCPU(Central Processing Unit:中央処理装置)を含んでおり、CPUが記憶部46に記憶されているコンピュータプログラムを実行することにより、移動体通信端末4の動作制御を行うようになっている。
【0066】
特に、制御部49は、図3に示すように、自己位置情報取得部491、他者位置情報取得部492、信頼度判定部493、現在位置情報補正部494を含んでいる。
【0067】
自己位置情報取得部491は、基地局3から受信した測位タイミング情報に記載の時刻になると、GPS衛星5を利用したGPS測位を行って、自移動体通信端末4の位置情報を自己位置情報として計測し、その自己位置情報を信頼度判定部493に送出する。本実施形態におけるGPS測位は、自己GPS利用方式、或いは、測位サーバ利用方式の何れかを選択して行うようになっている。そして、自己GPS利用方式或いは測位サーバ利用方式の何れを選択するかについては、測位方式設定テーブルに記載しておくものとする。なお、測位方式設定テーブルの記載内容は、任意の時点で、操作部44を操作することにより設定あるいは変更することが可能となっている。
【0068】
ここで、自己GPS利用方式とは、自己位置情報取得部491が備えるGPS測位機能だけを用いて、自己位置情報を取得する方式である。すなわち、自己GPS利用方式においては、自己位置情報取得部491は、GPS受信部41が送出したGPS衛星5から発信されている電波を受け、その電波の情報を解析して、自己が存在する位置を計測する。このとき、自己位置情報取得部491が受ける電波には、GPS衛星5からの電波発信の時刻とGPS受信部41に電波が到着した時刻との時間差などに加えて、搬送波や電波に載せられている各種の情報も併せて受けるようにする。搬送波や電波に載せられている各種の情報とは、例えば、GPS衛星5の軌道情報や、時計の補正情報などの情報であり、このような各種の情報を利用することにより、より精度の高い位置を計測することが可能となる。
【0069】
また、測位サーバ利用方式とは、自己位置情報取得部491が備えるGPS測位機能と、移動体通信網2−2に含まれている測位サーバ6とを用い、測位サーバ6からの支援を受けて、自己位置情報を取得する方式である。すなわち、測位サーバ利用方式においては、自己位置情報取得部491は、基地局通信部42を使用して、基地局3を介して測位サーバ6に対し、測位支援要求を行う。そして、測位サーバ6から受信する測位支援のための情報により、自己が存在する位置を計測する。なお、測位サーバ6は、上述したような何れかの方式(MS−Based、MS−Assisted、或いは、他の方式)で動作するものであるため、自己位置情報取得部491は、当該測位サーバ6の方式に合致する測位支援要求を行うものとする。
【0070】
他者位置情報取得部492は、近接通信部43を介して、他の移動体通信端末4から他の移動体通信端末4が記憶している位置情報を、他者位置情報として受信する。そして、他者位置情報取得部492は、受信した他者位置情報を信頼度判定部493に送出する。
【0071】
信頼度判定部493は、自己位置情報取得部491から自己位置情報を受けた場合、または、他者位置情報取得部492から他者位置情報を受けた場合、その自己位置情報または他者位置情報と、移動体通信端末4の記憶部46に記憶されている現在位置情報との信頼度の比較を行う。そして、信頼度の高いものを選択して、その時点での移動体通信端末4の現在位置情報とする処理を行う。なお、信頼度判定部493における信頼度の判定は、信頼度判定ルールに従って行われるようになっている。信頼度判定ルールについては後述する。
【0072】
現在位置情報補正部494は、移動距離計測部48から自移動体通信端末4の移動距離を受けた場合、この移動距離と、記憶部46に記憶されている現在位置情報や前回位置情報(前回、現在位置情報として計測した位置情報)から、自移動体通信端末4がどの方向にどの位の距離を移動したかを算出する。そして、現在位置情報補正部494は、記憶部46に記憶されている現在位置情報を、移動距離と方向によって補正するよう動作する。
【0073】
ここで、現在位置情報補正部494が行う自移動体通信端末4の移動方向の算出は、例えば、記憶部46に記憶されている現在位置情報と前回位置情報とを用いて推定することにより行われる。すなわち、前回位置情報に対して今回の現在位置情報が北方向に位置すると推定されると、自移動体通信端末4は北方向に移動しているものと推定できる。そこで、現在位置情報補正部494は、記憶部46に記憶されている現在位置情報を、移動距離計測部48から受けた移動距離だけ北方向に補正する処理を行う。
【0074】
次に、図4を参照して、移動体通信端末4の記憶部46に記憶される主な情報について説明する。
【0075】
図4は、記憶部に記憶される情報の一例を示す図である。
【0076】
図4において、記憶部46は、測位タイミング情報テーブルT1、測位方式設定テーブルT2、現在位置情報履歴テーブルT3、信頼度判定ルールテーブルT4(詳細は後に、図5にて説明する)、などを記憶している。
【0077】
測位タイミング情報テーブルT1は、基地局3から受信した測位タイミング情報を記憶するテーブルである。
【0078】
測位タイミング情報テーブルT1は、T1−11行に示すように、端末IDの欄(T1−1列)と、測位時刻の欄(T1−2列)と、測位周期の欄(T1−3列)とを含んでいる。
【0079】
端末IDの欄(T1−1列)には、自移動体通信端末4の端末ID(すなわち、端末1、とする)が記載されている。
【0080】
測位時刻の欄(T1−2列)には、自移動体通信端末4の自己位置情報取得部491を使用した測位を行う最初の時刻が記載されている。なお、測位時刻などの時刻としては、通常、年月日時分秒、が記載されるものであるが、本実施形態における図においては、年月日の記載は省略するものとし、時分秒だけを表示するものとする。
【0081】
測位周期の欄(T1−3列)には、測位時刻の欄に記載の時刻から次の測位時刻までの周期が記載されている。T1−12行に示すように、測位周期が「40分00秒」であるとすれば、測位時刻の欄には最初の測位時刻として「13時05分00秒」が記載されているので、次の測位時刻は、「13時45分00秒=13時05分00秒+40分00秒」となる。
【0082】
測位方式設定テーブルT2は、自移動体通信端末4の自己位置情報取得部491が行う測位の方式を記憶するテーブルである。
【0083】
測位方式設定テーブルT2は、T2−11行に示すように、選択の欄(T2−1列)と測位方式の欄(T2−2列)とを含んでいる。
【0084】
測位方式の欄(T2−2列)には、自己位置情報取得部491が行うGPS測位の方式(自己GPS利用方式(T2−12行)、或いは、測位サーバ利用方式(T2−13行))が記載されている。そして、選択の欄(T2−1列)に「○印」が付されている方式が、現在使用しようとしている方式であることを示している。図4の例では、現在、T2−12行に示す自己GPS利用方式で測位することを示している。
【0085】
現在位置情報履歴テーブルT3は、T3−11行に示すように、位置情報の欄(T3−1列)と、測位時刻の欄(T3−2列)と、端末IDの欄(T3−3列)と、測位方法の欄(T3−4列)とを含んでいる。現在位置情報履歴テーブルT3には、自移動体通信端末4の現在位置情報として認識された位置情報が履歴として記憶されている。そして、図4に示す例では、最上行(T3−12行)に記載の位置情報が、時間的に最も古い位置情報であり、最下行(T3−16行)に記載の位置情報が、現時点で、移動体通信端末4が存在する現在位置情報を示すものである。
【0086】
位置情報の欄(T3−1列)は、自移動体通信端末4の存在する位置の情報を記載している。本実施形態においては、位置情報を緯度・経度の情報として示すものとする。なお、位置情報の欄(T3−1列)に記載する位置情報は、緯度・経度に代えて、住所などで示すものであってもよいし、或いは、駅名やビル名などで示すものであってもよい。
【0087】
測位時刻の欄(T3−2列)は、位置情報の欄に示す位置情報を測位した時刻を示している。
【0088】
端末IDの欄(T3−3列)は、位置情報の欄(T3−1列)に示す位置情報を測位した移動体通信端末4の端末IDを示している。
【0089】
測位方法の欄(T3−4列)は、位置情報の欄(T3−1列)に示す位置情報を測位した移動体通信端末4の測位方法を示している。測位方法としては、先に述べた自己GPS利用方式(自己GPS、と記載する)や測位サーバ利用方式(測位サーバ、と記載する)に加え、「自己GPS+センサ補正」をも利用している。「自己GPS+センサ補正」とは、自己GPS利用方式で測位した位置情報を、制御部49の現在位置情報補正部494によって補正して、補正した位置情報を、位置情報(T3−1列)として記載していることを示すものである。
【0090】
測位方法の欄(T3−4列)の一例につき、以下に補足説明を行っておく。
【0091】
端末IDが「端末1」の移動体通信端末4は、先ず、T3−12行に示すように、「自己GPS」によって「位置(1)」を測位した。「端末1」は、次に、「自己GPS」によって測位した「位置(1)」に対して、T3−13行に示すように「センサ補正」による補正を加え、新たに、「位置(2)」の位置情報を得た。その後、「端末1」は、測位方法を自己GPS利用方式から測位サーバ利用方式に切り替え、T3−16行に示すように、「測位サーバ」利用方式によって「位置(5)」を測位した。なお、T3−14行、T3−15行に示す測位方法の欄は、「端末1」とは異なる他の「端末3」、「端末2」の測位方法を示すものである。
【0092】
次に、図5を参照して、信頼度判定ルールテーブルT4について説明する。
【0093】
図5は、信頼度判定ルールテーブルの一例を示す図である。
【0094】
信頼度判定ルールテーブルT4は、信頼度判定部493が位置情報の信頼度の判定を行うためのルールを記載するテーブルである。
【0095】
図5において、信頼度判定ルールテーブルT4は、T4−11行に示すように、信頼度の欄(T4−1列)と、判定項目の欄(T4−2列)とを含んでいる。
【0096】
信頼度の欄(T4−1列)には、信頼度の高いものからの順序を示す数字が記載されている。例えば、数字「1」は信頼度が一番高く、数字「2」は2番目の信頼度、数字「3」は3番目の信頼度、等々であることを示すものである。
【0097】
判定項目の欄(T4−2列)には、位置情報の信頼度の高低を決定するための項目が記載されている。判定項目としては、どのような項目を用いてもよいし、また、判定項目の内容は、自由に設定し、また、変更することが可能となっている。
【0098】
判定項目は、上述したように如何なる項目を用いてもよいものとなっているが、本実施形態においては、理解の容易化のため、以下の3項目を用いる場合を例示するものとする。
【0099】
すなわち、本実施形態においては、判定項目として、移動体通信端末4の種別、移動体通信端末4が使用している測位方法、及び、位置情報を取得した時刻、を用いるものとする。
【0100】
移動体通信端末4の種別は、位置情報を取得した移動体通信端末4が自端末か他端末かの別を示すものである。そして、自端末が取得した位置情報は、他端末が取得した位置情報よりも信頼度が高いものとする。この例は、T4−12行に示すように、判定項目の欄に「自己位置情報(すなわち、自端末が取得した位置情報)」として示している。また、T4−13〜T4−16行には、判定項目の欄に「他者位置情報(すなわち、他端末が取得した位置情報)」が記載されている。そして、「自己位置情報」(T4−12行)の方が、「他者位置情報」(T4−13〜T4−16行)よりも信頼度が高い、としている。
【0101】
移動体通信端末4が使用している測位方法とは、図4の現在位置情報履歴テーブルT3の測位方法の欄(T3−4列)の説明で示したものと同様である。すなわち、測位方法とは、「自己GPS+センサ補正」、「自己GPS」、「測位サーバ」の何れかの方法を示すものである。そして、これらの測位方法の信頼度は、高い方から、「自己GPS+センサ補正」(図5のT4−14行)、「自己GPS」(T4−15行)、「測位サーバ」(T4−16行)の順であるものとする。
【0102】
位置情報を取得した時刻とは、文字通り、自端末あるいは他端末が位置情報を取得した時刻のことであり、時刻が現時点に近いものほど信頼度が高い、とみなすものである。前回の位置情報の取得の時刻と比べ、今回の位置情報の取得の時刻が、例えば2分以上現時点に近いものであれば、今回の位置情報の方が、前回の位置情報よりも信頼度が高い、とみなすものである。
【0103】
本実施形態においては、上述したように、自端末が取得した位置情報は、他端末が取得した位置情報よりも信頼度が高いものとしているため、位置情報を取得した時刻としては、他端末における取得時刻のみを判定項目として用いるものとする。そして、今回の位置情報の取得時刻が、前回の取得時刻より例えば2分以上現時点に近いものであれば、今回の位置情報のほうが、信頼度が高い、とみなすものとする。この例として、T4−13行に示すように、他者位置情報(他端末が取得した位置情報)を取得した時刻が、前回の取得時刻より最新(2分以上現時点に近い)である場合、その信頼度は、全体の中の第2番目である、ものとしている。
【0104】
以上説明したように、本実施形態で用いる信頼度判定ルールテーブルT4には、位置情報の信頼度の判定ルールとして、以下のような記載がなされている。
【0105】
すなわち、信頼度が高い順に、自己位置情報(T4−12行)、他者位置情報(最新測位時刻)(T4−13行)、他者位置情報(自己GPS+センサ補正)(T4−14行)、他者位置情報(自己GPS)(T4−15行)、他者位置情報(測位サーバ)(T4−16行)、となるようにしている。
【0106】
上述したように、本実施形態における判定項目としては、移動体通信端末4の種別、移動体通信端末4が使用している測位方法、及び、位置情報を取得した時刻、を用いるものとしているが、これら以外の判定項目の一例についても以下に参考として示しておく。
【0107】
例えば、他端末から位置情報を取得した場合、当該他端末からは過去においても位置情報を取得しており、過去の位置情報の信頼度が高い場合には、当該他端末から取得した位置情報の信頼度を高くするようにする。他端末の過去の位置情報の信頼度は、例えば、自端末で計測した位置情報に近いものであった場合は高くし、自端末で計測した位置情報から離れたものであった場合は低くする、というようにすればよい。
【0108】
或いは、また、他端末から位置情報を取得した場合、他端末が移動中であり、かつ、他端末はセンサ補正の機能を備えていない、ということが判明すれば、当該他端末からの位置情報の信頼度を低くする、というようにするものである。
【0109】
次に、図6を参照して、基地局3の構成について説明する。
【0110】
図6は、基地局の一例を示す詳細ブロック図である。
【0111】
図6に示す基地局3は、無線通信部31、通信網I/F(Interface:インタフェース)部32、記憶部33、制御部34を含んでいる。
【0112】
無線通信部31は、自基地局3の通信エリアに存在する移動体通信端末4と、無線通信により通信接続する通信部である。
【0113】
通信網I/F部32は、移動体通信網2−2と通信接続するためのインタフェース部である。
【0114】
記憶部33は、基地局3が有する各種機能を実現するコンピュータプログラムや、各機能の設定データ、或いは、各機能が生成し、また、各機能が使用する各種情報を記憶する。また、記憶部33は、測位タイミング情報テーブルT5を記憶している。測位タイミング情報テーブルT5は、自基地局3の通信エリアに存在する移動体通信端末4に対して送信した測位タイミング情報を、移動体通信端末4ごとに記憶するテーブルである。
【0115】
ここで、図6に示す測位タイミング情報テーブルT5について説明する。
【0116】
測位タイミング情報テーブルT5は、T5−11行に示すように、端末IDの欄(T5−1列)と、測位時刻の欄(T5−2列)と、測位周期の欄(T5−3列)とを含んでいる。
【0117】
端末IDの欄(T5−1列)には、基地局3から測位タイミング情報を送信した移動体通信端末4の端末ID(例えば、端末1、端末2、など)が記載されている。
【0118】
測位時刻の欄(T5−2列)には、測位タイミング情報を送信した移動体通信端末4が、自身のGPS機能(具体的には、図3の自己位置情報取得部491)を使用した測位を行う最初の時刻が記載されている。
【0119】
測位周期の欄(T5−3列)には、測位時刻の欄(T5−2列)に記載の時刻から次の測位時刻までの周期が記載されている。T5−12行に示すように、測位周期が「40分00秒」であるとすれば、測位時刻の欄には最初の測位時刻として「13時05分00秒」が記載されているので、次の測位時刻は、「13時45分00秒=13時05分00秒+40分00秒」となる。また、T5−13行に示す端末2においては、最初の測位時刻として「13時25分00秒」が記載されており、測位周期は端末1と同様の「40分00秒」が記載されている。端末2の最初の測位時刻(13時25分00秒)は、端末1の測位周期の半分、すなわち20分00秒、を端末1の最初の測位時刻(13時05分00秒)に加えて算出した値である。このように測位時刻を決めることにより、端末1と端末2とは、異なる時刻で測位するようになる。このことにより、端末1と端末2での測位の時刻を分散することが可能となる。例えば、端末1においては、「13時05分00秒」と「13時45分00秒」に、自身のGPS機能を使用した測位を行う。そして、この間の「13時25分00秒」には、端末2が測位を行っているため、端末2からこの時点で測位した位置情報を受け取れば、端末1においては、「13時25分00秒」に測位した位置情報も得ることが可能となる。
【0120】
制御部34は、基地局3全体の動作制御を行い、図示しないCPUの動作により、基地局3の有する各種機能を実行させる。そして、制御部3は、移動体通信端末4に送信する測位タイミング情報を生成する測位タイミング情報生成部341を含んでいる。
【0121】
測位タイミング情報生成部341は、自基地局3の通信エリア内に移動体通信端末4が入った際に、或いは、自基地局3の通信エリア内で移動体通信端末4が電源を投入して起動状態となった際に、当該移動体通信端末4に対する測位タイミング情報を生成して送信する。複数の移動体通信端末4へ送信する測位タイミング情報は、上述したように、各移動体通信端末4が異なる時刻で測位を行い、各移動体通信端末4における測位時刻が分散するように決定するものとする。
【0122】
次に、図2に示した本実施形態の動作について詳細に説明する。
【0123】
図7は、第2の実施形態の動作を説明する第1のフローチャートである。そして図7は、基地局3から移動体通信端末4に対して測位タイミング情報を送信する際の動作を示すフローチャートである。
【0124】
先ず、図2に示すように、基地局3−1の通信エリアには、移動体通信端末4−1と4−2が存在し、基地局3−2の通信エリアには、移動体通信端末4−3が存在するものとする。
【0125】
移動体通信端末4−1の電源を投入すると、移動体通信端末4−1は基地局3が送信している電波をサーチし、移動体通信端末4−1は基地局3−1を捕捉する(図7のステップS1)。移動体通信端末4−1は、基地局3−1に対して位置登録要求を送信する(ステップS2)。基地局3−1は、ステップS2の位置登録要求を受信すると、応答として、位置登録応答を移動体通信端末4−1に対して返送する。この時、基地局3−1は、測位タイミング情報も併せて返送する(ステップS3)。その後、移動体通信端末4−1は待ち受け状態となる(ステップS4)。
【0126】
移動体通信端末4−1におけると同様に、移動体通信端末4−2の電源を投入すると、移動体通信端末4−2は基地局3が送信している電波をサーチし、移動体通信端末4−2は基地局3−1を捕捉する(ステップS5)。移動体通信端末4−2は、基地局3−1に対して位置登録要求を送信する(ステップS6)。基地局3−1は、ステップS6の位置登録要求を受信すると、応答として、位置登録応答を移動体通信端末4−2に対して返送する。この時、基地局3−1は、測位タイミング情報も併せて返送する(ステップS7)。その後、移動体通信端末4−2は待ち受け状態となる(ステップS8)。
【0127】
なお、ステップS7において移動体通信端末4−2に返送する測位タイミング情報においては、上述したように、各移動体通信端末4−1、4−2での測位タイミングが分散するよう指示しているものとする。図7では2台の移動体通信端末4−1、4−2が存在するため、両者の測位周期が等しいものとすると、1台目の移動通信端末4−1の測位周期の二分の一のタイミングを、2台目の移動体通信端末4−2に対して指示することにより、両者の測位タイミングが分散することになる。
【0128】
また、移動体通信端末4−3の場合は、移動体通信端末4−3の電源を投入すると、移動体通信端末4−3は基地局3が送信している電波をサーチし、移動体通信端末4−3は基地局3−1ではなく基地局3−2を捕捉する(ステップS9)。移動体通信端末4−3は、基地局3−2に対して位置登録要求を送信する(ステップS10)。基地局3−2は、ステップS10の位置登録要求を受信すると、応答として、位置登録応答を移動体通信端末4−3に対して返送する。この時、基地局3−2は、測位タイミング情報も併せて返送する(ステップS11)。その後、移動体通信端末4−3は待ち受け状態となる(ステップS12)。
【0129】
なお、このとき、基地局3−2の通信エリアには、移動体通信端末4−1と4−2は存在しておらず、移動体通信端末4−3だけが存在している。従って、ステップS11において移動体通信端末4−3に送信する測位タイミング情報においては、移動体通信端末4−1、4−2で考慮したような測位タイミングの分散については、未だ考慮しなくともよい。
【0130】
本実施形態においては、各移動体通信端末4の位置登録要求時に、基地局3ごとに各移動体通信端末4の測位タイミング情報を決定するようにしている。このことは、同一の基地局3の通信エリア内で、地域的に近くに存在し、かつ、近距離無線通信によって位置情報を交換する可能性が高い移動体通信端末4をグループ化している、と同様の作用を生ずるものである。
【0131】
次に、図8を参照して、本実施形態における移動体通信端末4と、他の移動体通信端末4とが近距離無線通信を行って、相互に位置情報の交換を行う際の動作について説明する。
【0132】
図8は、第2の実施形態の動作を説明する第2のフローチャートである。
【0133】
先ず、図7で説明したように、基地局3−1の通信エリアには、移動体通信端末4−1と4−2が存在するものとする。なお、基地局3−2の通信エリアに存在する移動体通信端末4−3は1台だけであり、基地局3−2の通信エリア内の他の移動体通信端末4とは近距離無線通信を行わない。従って、以降の説明において、移動体通信端末4−3の動作説明については省略するものとする。
【0134】
移動体通信端末4−1は、図7で説明したように、基地局3−1から測位タイミング情報を受信し、待ち受け状態となっている(図8のステップS21)。また、移動体通信端末4−2も同様に、基地局3−1から測位タイミング情報を受信し、待ち受け状態となっている(ステップS22)。
【0135】
そして、移動体通信端末4−1は、時刻の計測を行っており、基地局3−1から受信した測位タイミング情報に記載の測位時刻になると、GPS測位を行い、取得した自己の位置情報を現在位置情報として記憶しておく(ステップS23)。ここでのGPS測位は、以下のように行われる。
【0136】
すなわち、測位時刻になると、移動体通信端末4−1の制御部49の自己位置情報取得部491が起動する。
【0137】
自己位置情報取得部491は、記憶部46の測位方式設定テーブルT2に記載されている測位方式(自己GPS利用方式、或いは、測位サーバ利用方式)で自己の位置情報を測位し、自己位置情報を信頼度判定部493に送出する。このとき、測位サーバ利用方式で測位を行う場合には、基地局3−1を介して、測位サーバ6からの測位支援のための情報を得るようにする(図8のステップS23−1)。自己GPS利用方式で測位を行う場合には、自己位置情報取得部491が備えるGPS測位機能だけを用いて測位する。
【0138】
そして、信頼度判定部493は、記憶部46の信頼度判定ルールテーブルT4を参照し、自己位置情報取得部491が送出した自己位置情報の信頼度を判定する。信頼度判定ルールテーブルT4には、(図5のT4−12行に示すように)自己位置情報の信頼度は一番高い旨が記載されている。従って、信頼度判定部493は、当該自己位置情報が現在位置情報として妥当であると認識し、当該自己位置情報を、記憶部46の現在位置情報履歴テーブルT3に現在位置情報として記載し記憶させる。この時の現在位置情報の一例を、図4のT3−12行に示している。
【0139】
その後、移動体通信端末4−1が、移動距離計測部48及び現在位置情報補正部494を有するものである場合、すなわち、「センサ補正」の機能を有するものである場合、ステップS23で取得した現在位置情報を、補正するよう動作してもよい。このときの補正後の現在位置情報の一例を、図4のT3−13行に示している。
【0140】
また、移動体通信端末4−2も、移動体通信端末4−1と同様に、時刻の計測を行っており、基地局3−1から受信した測位タイミング情報に記載の測位時刻になると、GPS測位を行い、取得した自己の位置情報を現在位置情報として記憶しておく(ステップS24)。ここでのGPS測位は、移動体通信端末4−1で述べたと同様であるため、これ以上の説明は省略するものとする。
【0141】
次に、移動体通信端末4−1と4−2が、移動体通信端末4の近接通信部43によって近距離無線通信が可能となる程度の距離に接近した場合、相互間でデータ通信が可能となるよう、近距離通信接続を行う(ステップS25)。
【0142】
ステップS25における近距離通信接続は、例えば、Bluetoothであれば、所謂、ペアリングを行うことによって通信接続することが可能となる。Bluetoothにおけるペアリングは、正規の通信相手との間でのみデータ通信が行えるよう、通信相手のデバイスアドレスや暗号鍵などを登録し合うことにより行われる。IrDAやIrMCなど赤外線通信によって近距離無線通信を行う場合であれば、赤外線信号によってPIN(Personal Identification Number:個人識別番号)コードを交換することにより、ペアリングを完了して通信接続することができる。なお、ステップS25における近距離通信接続は、移動体通信端末4(例えば、4−1)が、ペアリングを行うための要求信号を、所定の時間間隔で自動的に、他の移動体通信端末4に向けて送信することにより開始されるものとする。そして、移動体通信端末4−1が送信した要求信号を、その時点で他の移動体通信端末4(例えば、4−2)が受信できれば、移動体通信端末4−1と4−2の間でペアリングを行うことが可能となる。
【0143】
ステップS25において、移動体通信端末4−1と4−2の間で近距離通信接続が行われると、移動体通信端末4−1は自己が記憶している現在位置情報を移動体通信端末4−2に送信する(ステップS26)。また、移動体通信端末4−2は自己が記憶している現在位置情報を移動体通信端末4−1に送信する(ステップS27)。
【0144】
移動体通信端末4−1は、移動体通信端末4−2から受信した現在位置情報を他者位置情報として取得し、この他者位置情報の信頼度を判定する(ステップS28)。そして、他者位置情報が、移動体通信端末4−1が記憶している現在位置情報よりも、信頼度が高い場合には、移動体通信端末4−1が記憶している現在位置情報を他者位置情報に置き換え、自身の現在位置情報を更新する(ステップS29)。このステップS28およびステップS29の動作は以下のように行われる。
【0145】
すなわち、移動体通信端末4−1の近接通信部43は、移動体通信端末4−2が送信した現在位置情報を受信し、これを、他者位置情報として他者位置情報取得部492に送出する。他者位置情報取得部492は、この他者位置情報を信頼度判定部493に送出する。
【0146】
そして、信頼度判定部493は、記憶部46の信頼度判定ルールテーブルT4を参照し、他者位置情報取得部492が送出した他者位置情報の信頼度を判定する。
【0147】
ここでの信頼度の判定方法について、具体例で説明する。
【0148】
先ず、移動体通信端末4−1が記憶している現時点での現在位置情報が、「位置(3)」(図4の現在位置情報履歴テーブルT3のT3−14行に示す)であるものとする。そして、他者位置情報は「位置(4)」(図4の現在位置情報履歴テーブルT3のT3−15行に示す)であるものとする。
【0149】
つまり、図4の記載を再度示すと、
現在位置情報は、(位置情報=位置(3)、測位時刻=13時15分00秒、端末ID=端末3、測位方法=測位サーバ)であり、
他者位置情報は、(位置情報=位置(4)、測位時刻=13時25分00秒、端末ID=端末2、測位方法=自己GPS)である。
【0150】
そして、他者位置情報「位置(4)」の測位時刻は「13時25分00秒」であり、現在位置情報「位置(3)」の測位時刻「13時15分00秒」の10分後に測位したものであることが分かる。また、他者位置情報「位置(4)」の「端末2」における測位方法は「自己GPS」であり、現在位置情報「位置(3)」の「端末3」における測位方法は「測位サーバ」であることが分かる。
【0151】
ここで、信頼度判定ルールテーブルT4には、(図5のT4−13行に示すように)他者位置情報(最新測位時刻)の信頼度は、(図5のT4−16行に示す)他者位置情報(測位サーバ)よりも高いことが記載されている。
【0152】
このことにより、ステップS27で受信した他者位置情報(すなわち、移動体通信端末4−2から受信した現在位置情報)の信頼度は、移動体通信端末4−1が現時点で記憶している現在位置情報よりも高い、ことが判明する(ステップS28)。
【0153】
そこで、信頼度判定部493は、当該他者位置情報が現時点における現在位置情報として妥当であると認識し、当該他者位置情報を、記憶部46の現在位置情報履歴テーブルT3に現在位置情報として記載し記憶させる(ステップS29)。この時の現在位置情報の一例は、既に、図4のT3−15行に示したものである。
【0154】
なお、信頼度判定部493が、当該他者位置情報の信頼度が現在位置情報よりも低いと判定した場合には、ステップS29の現在位置情報の更新は行わないものとする。
【0155】
また、移動体通信端末4−2においても、移動体通信端末4−1から受信した現在位置情報の信頼度の判定(ステップS30)、及び、現在位置情報の更新(ステップS31)を行う。しかし、この移動体通信端末4−2の動作は、上述した移動体通信端末4−1における動作と同様であるため、これ以上の説明は省略するものとする。
【0156】
以上説明したように、本実施形態の位置情報取得システム1−2は、基地局3と、前記基地局3を介して移動体通信を行う複数の移動体通信端末4とを含んでいる。そして、移動体通信端末4は、基地局3から受信した測位タイミング情報に基づく時刻に、GPS衛星を利用したGPS測位を行って自身の自己位置情報を現在位置情報として記憶する。また、移動体通信端末4は、自身の近傍に存在する他の移動体通信端末4から当該他の移動体通信端末4の有する位置情報を他者位置情報として受信する。そして、移動体通信端末4は、前記現在位置情報と前記他者位置情報から信頼度のより高いものを選択して当該時点における自身の現在位置情報とする、ようになっている。
【0157】
従って、本実施形態によれば、移動体通信端末4は、基地局3から受信した測位タイミング情報に基づく時刻でのみ、自身のGPS測位を行い、他の時刻の位置情報は、他の移動体通信端末4から受信できるようになっている。つまり、本実施形態の移動通信端末4においては、自身のGPS測位は間欠的に行えばよいため、自身のGPS機能の動作回数を少なくすることが可能となり、移動体通信端末4の省電力化を図ることが可能となる。
【0158】
また、基地局3は、自基地局3の通信エリアに存在する複数の移動体通信端末4のそれぞれがGPS測位を行う時刻を、分散した時刻となるよう調整して測位タイミング情報を生成する測位タイミング情報生成部341を含んでいる。
【0159】
このことにより、移動体通信端末4(例えば、4−1)と他の移動体通信端末4(例えば、4−2)でGPS測位を行う時刻は、それぞれ異なるものとなる。従って、基地局3の通信エリア内に存在する複数の移動体通信端末4は、それぞれ異なる時刻における位置情報を取得するよう動作することが可能となる。
【0160】
さらに、移動体通信端末4は、自身の近傍に存在する他の移動体通信端末4から近距離無線通信によって他者位置情報を受信し取得する他者位置情報取得部492を含んでいる。
【0161】
従って、1台の移動体通信端末4においては、自身の測位タイミング情報に基づく測位時刻でのみGPS測位を行い、他の時刻における位置情報は、他の移動体通信端末4から受信して取得することが可能となる。つまり、移動通信端末4においては、自身のGPS測位は間欠的に行えばよいため、自身のGPS機能の動作回数を少なくすることが可能となり、移動体通信端末4の省電力化を図ることが可能となる。
【0162】
また、移動体通信端末4は、自身が記憶する現在位置情報と、自身の近傍に存在する他の移動体通信端末4から受信した他者位置情報との信頼度の比較を、信頼度判定ルールに従って行う信頼度判定部493を更に含んでいる。そして、この信頼度判定ルールは、自由に設定し変更することができるようになっている。
【0163】
従って、移動体通信端末4における信頼度判定の方法を、画一的な方法に限定することなく、他の方法にも自由に変更することが可能となる。
【0164】
さらに、移動体通信端末4は、自身が記憶する現在位置情報を、自身の移動した距離と方向に基づいて補正する現在位置情報補正部494を更に含んでいる。
【0165】
従って、移動体通信端末4が記憶している現在位置情報の精度をさらに高めることが可能となる。
【0166】
また、基地局3は、移動体通信端末4が行うGPS測位のための支援情報を送出する測位サーバ6と通信接続するようになっている。
【0167】
従って、移動体通信端末4は、自身の有するGPS測位機能だけを使用して測位することの他に、測位サーバ6による支援を得て測位することも可能となる。つまり、移動体通信端末4は、自身の有するGPS測位機能が使用できない場所(GPS衛星5からの電波が弱い場所、又は受信できない場所、など)においても測位を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0168】
【図1】本発明の位置情報取得システムの第1の実施形態を示す構成図である。
【図2】本発明の位置情報取得システムの第2の実施形態を示す構成図である。
【図3】移動体通信端末の一例を示す詳細ブロック図である。
【図4】記憶部に記憶される情報の一例を示す図である。
【図5】信頼度判定ルールテーブルの一例を示す図である。
【図6】基地局の一例を示す詳細ブロック図である。
【図7】第2の実施形態の動作を説明する第1のフローチャートである。
【図8】第2の実施形態の動作を説明する第2のフローチャートである。
【符号の説明】
【0169】
1 位置情報取得システム
2 移動体通信網
3 基地局
31 無線通信部
32 通信網I/F部
33 記憶部
34 制御部
341 測位タイミング情報生成部
4 移動体通信端末
41 GPS受信部
42 基地局通信部
43 近接通信部
44 操作部
45 表示部
46 記憶部
47 送受話部
48 移動距離計測部
49 制御部
491 自己位置情報取得部
492 他者位置情報取得部
493 信頼度判定部
494 現在位置情報補正部
5 GPS衛星
6 測位サーバ
T1 測位タイミング情報テーブル
T2 測位方式設定テーブル
T3 現在位置情報履歴テーブル
T4 信頼度判定ルールテーブル
T5 測位タイミング情報テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局と、
前記基地局を介して移動体通信を行う複数の移動体通信端末と、を含み、
前記移動体通信端末は、前記基地局から受信した測位タイミング情報に基づく時刻に、GPS衛星を利用したGPS測位を行い自身の自己位置情報を現在位置情報として記憶すると共に、自身の近傍に存在する他の移動体通信端末から当該他の移動体通信端末の有する位置情報を他者位置情報として受信し、前記現在位置情報と前記他者位置情報から信頼度のより高いものを選択して当該時点における自身の現在位置情報とする、
位置情報取得システム。
【請求項2】
前記基地局は、前記基地局の通信エリアに存在する複数の前記移動体通信端末のそれぞれがGPS測位を行う時刻を、分散した時刻となるよう調整して前記測位タイミング情報を生成する測位タイミング情報生成部を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の位置情報取得システム。
【請求項3】
前記移動体通信端末は、自身の近傍に存在する他の移動体通信端末から近距離無線通信によって前記他者位置情報を受信し取得する他者位置情報取得部を含む、
ことを特徴とする請求項1或いは請求項2の何れかに記載の位置情報取得システム。
【請求項4】
前記移動体通信端末は、自身が記憶する前記現在位置情報と、自身の近傍に存在する他の移動体通信端末から受信した前記他者位置情報との信頼度の比較を、信頼度判定ルールに従って行う信頼度判定部を更に含む、
ことを特徴とする請求項3に記載の位置情報取得システム。
【請求項5】
前記移動体通信端末は、自身が記憶する前記現在位置情報を、自身の移動した距離と方向に基づいて補正する現在位置情報補正部を更に含む、
ことを特徴とする請求項4に記載の位置情報取得システム。
【請求項6】
前記基地局は、前記移動体通信端末が行うGPS測位のための支援情報を送出する測位サーバと通信接続する、
ことを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載の位置情報取得システム。
【請求項7】
基地局と、前記基地局を介して移動体通信を行う複数の移動体通信端末とを含む位置情報取得システムにおける位置情報取得方法であって、
前記移動体通信端末は、前記基地局から受信した測位タイミング情報に基づく時刻に、GPS衛星を利用したGPS測位を行い自身の自己位置情報を現在位置情報として記憶すると共に、自身の近傍に存在する他の移動体通信端末から当該他の移動体通信端末の有する位置情報を他者位置情報として受信し、前記現在位置情報と前記他者位置情報から信頼度のより高いものを選択して当該時点における自身の現在位置情報とする、
位置情報取得方法。
【請求項8】
前記基地局は、前記基地局の通信エリアに存在する複数の前記移動体通信端末のそれぞれがGPS測位を行う時刻を、分散した時刻となるよう調整して前記測位タイミング情報を生成する、
ことを特徴とする請求項7に記載の位置情報取得方法。
【請求項9】
前記移動体通信端末は、自身の近傍に存在する他の移動体通信端末から近距離無線通信によって前記他者位置情報を受信し取得する、
ことを特徴とする請求項7或いは請求項8の何れかに記載の位置情報取得方法。
【請求項10】
前記移動体通信端末は、自身が記憶する前記現在位置情報と、自身の近傍に存在する他の移動体通信端末から受信した前記他者位置情報との信頼度の比較を、信頼度判定ルールに従って行う、
ことを特徴とする請求項9に記載の位置情報取得方法。
【請求項11】
前記移動体通信端末は、自身が記憶する前記現在位置情報を、自身の移動した距離と方向に基づいて補正する、
ことを特徴とする請求項10に記載の位置情報取得方法。
【請求項12】
前記基地局は測位サーバと通信接続し、前記測位サーバは前記移動体通信端末が行うGPS測位のための支援情報を送出する、
ことを特徴とする請求項7から請求項11の何れかに記載の位置情報取得方法。
【請求項13】
基地局から受信した測位タイミング情報に基づく時刻に、GPS衛星を利用したGPS測位を行い自身の自己位置情報を現在位置情報として記憶する自己位置情報取得部と、
自身の近傍に存在する他の移動体通信端末から近距離無線通信によって当該他の移動体通信端末の有する位置情報を他者位置情報として受信する他者位置情報取得部と、
前記現在位置情報と前記他者位置情報から信頼度のより高いものを選択して当該時点における自身の現在位置情報とする信頼度判定部と、
を含む移動体通信端末。
【請求項14】
前記信頼度判定部は、自身が記憶する前記現在位置情報と、自身の近傍に存在する他の移動体通信端末から受信した前記他者位置情報との信頼度の比較を、信頼度判定ルールに従って行う、
ことを特徴とする請求項13に記載の移動体通信端末。
【請求項15】
前記移動体通信端末は、自身が記憶する前記現在位置情報を、自身の移動した距離と方向に基づいて補正する現在位置情報補正部を更に含む、
ことを特徴とする請求項14に記載の移動体通信端末。
【請求項16】
前記移動体通信端末は、前記基地局と通信接続する測位サーバから自身が行うGPS測位のための支援情報を受信する、
ことを特徴とする請求項13から請求項15の何れかに記載の移動体通信端末。
【請求項17】
移動体通信端末のコンピュータに、
基地局から受信した測位タイミング情報に基づく時刻に、GPS衛星を利用したGPS測位を行い自身の自己位置情報を現在位置情報として記憶する自己位置情報取得処理と、
自移動体通信端末の近傍に存在する他の移動体通信端末から近距離無線通信によって当該他の移動体通信端末の有する位置情報を他者位置情報として受信する他者位置情報取得処理と、
前記現在位置情報と前記他者位置情報から信頼度のより高いものを選択して当該時点における自移動体通信端末の現在位置情報とする信頼度判定処理と、
を実行させるプログラム。
【請求項18】
前記信頼度判定処理においては、自移動体通信端末が記憶する前記現在位置情報と、自移動体通信端末の近傍に存在する他の移動体通信端末から受信した前記他者位置情報との信頼度の比較を、信頼度判定ルールに従って行う、
ことを特徴とする請求項17に記載のプログラム。
【請求項19】
前記プログラムは、自移動体通信端末が記憶する前記現在位置情報を、自移動体通信端末の移動した距離と方向に基づいて補正する現在位置情報補正処理を更に実行させる、
ことを特徴とする請求項18に記載のプログラム。
【請求項20】
前記プログラムは、前記基地局と通信接続する測位サーバから自移動体通信端末が行うGPS測位のための支援情報を受信する処理を更に実行させる、
ことを特徴とする請求項17から請求項19の何れかに記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−71962(P2010−71962A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−243205(P2008−243205)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】