位置測定装置、成膜方法並びに成膜プログラム及び成膜装置
【課題】一方向からの測定によって対象物の位置情報を精度よく取得することを課題とする。
【解決手段】成膜装置1000が有する位置測定装置1100は、基板400が有する測定対象平面400a上の3つの測定点400a1、400a2、400a3に対し、測定点までの水平方向の距離をそれぞれ測定する測距部を備える。測距部は、3つの変位センサ1110、1120、1130を有する。これらの変位センサ1110、1120、1130は、垂直仮想平面600に正対するように配置される。位置測定装置1100は、水平方向から基板400の測定対象平面400aの投影画像を撮像する撮像部を備えている。撮像部は、画像センサ1150と、この画像センサ1150が接続された画像取得部1160を備えている。
【解決手段】成膜装置1000が有する位置測定装置1100は、基板400が有する測定対象平面400a上の3つの測定点400a1、400a2、400a3に対し、測定点までの水平方向の距離をそれぞれ測定する測距部を備える。測距部は、3つの変位センサ1110、1120、1130を有する。これらの変位センサ1110、1120、1130は、垂直仮想平面600に正対するように配置される。位置測定装置1100は、水平方向から基板400の測定対象平面400aの投影画像を撮像する撮像部を備えている。撮像部は、画像センサ1150と、この画像センサ1150が接続された画像取得部1160を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置測定装置、成膜方法並びに成膜プログラム及び成膜装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板を基板ホルダに保持させて加工する工程の1つに、基板を順次搬送しながら搬送途中のチャンバ内で成膜処理を施し、磁性膜を被着させる連続成膜方式がある。半導体ウェハ成膜工程であれば、基板の1面に対してのみ成膜処理を施せばよいが、磁気ディスク製造の場合は、基板の両面に成膜処理を施すことになるので連続性膜方式が有用である。
【0003】
連続成膜方式では、供給ロボットを用い、搬送機構(キャリア)上に搭載された基板ホルダが有する保持爪に基板を支持させる。基板ホルダは、成膜処理が行われるチャンバ内を移動するため、保持爪にも成膜層が付着している。このような保持爪によって基板を支持しようとするとき、保持爪の中心と基板の中心とが一致していないと、基板は保持爪中心に倣って安定姿勢に移行しようとする。この際、保持爪に付着した成膜層が基板の周縁によって削られる。削られた成膜層が基板に付着すると、成膜処理の欠陥を引き起し、歩留り低下を生じる。また、供給ロボットによる基板の基板ホルダに対する供給位置、供給姿勢の教示精度が悪い場合には基板が落下し、稼働率を低下させるおそれもある。
【0004】
これらの問題を回避するためには、基板を基板ホルダに精度よく供給することが求められる。そして、基板を基板ホルダに精度よく供給するためには、基板の姿勢、位置を把握しておくことが求められる。このような要求に対応可能と考えられる装置は、従来、種々提案されている。例えば、基板処理装置等の基板搬送システムにおける可動部材の位置を検出し、監視することが行われている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−265967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、基板ホルダに支持される基板の正確な状態を知るためには、X方向の位置、Y方向の位置、Z方向の位置、X軸回りの傾き、Y軸回りの傾き、Z軸回りの傾きの合計6自由度に関する情報を把握する必要がある。
しかしながら、前記従来の提案では、3自由度までの情報しか取得することができず、基板の正確な情報を取得するには、不十分であった。ここで、前記従来の提案における装置を複数台設置し、異なる方向から測定を行うことにより、より多くの自由度に関する情報を取得することも考えられる。しかし、基板ホルダが順次搬送されるチャンバの構造上、このような測定は困難である。
また、基板ホルダは、真空のチャンバ内を移動するため、非接触測定が必要となる。このため、チャンバの外壁に設けられたチャンバ窓を通じて内部の基板の状態を測定することになる。しかしながら、チャンバ窓は、通常、チャンバの1面にしか設けられていない。特に、円板状の基板を前記基板ホルダに支持させるローダチャンバは、キャリアの移動、供給ロボットの出没を確保する必要から、複数の面にチャンバ窓を設けることは困難である。このような理由により、異なる方向からの測定は困難となっている。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものである。その目的は、一方向からの測定によって対象物の位置情報を精度よく取得することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本明細書開示の位置測定装置は、対象物が有する測定対象平面上の少なくとも3つの測定点に対し、当該測定点までの水平方向の距離をそれぞれ測定する測距部と、水平方向から前記対象物の前記測定対象平面の投影画像を撮像する撮像部と、前記測距部によって取得された距離情報に基づいて前記測定対象平面の傾き情報を取得すると共に、当該傾き情報と前記投影画像とに基づいて前記対象物の位置情報を取得する演算部と、を備えたことを特徴としている。
【0009】
測定対象平面上の少なくとも3つの測定点に対する水平方向の距離情報を把握し、この距離情報を用いた演算を行うことにより、測定対象平面の傾き情報を取得することができる。傾き情報には、X軸回りの傾き、Y軸回りの傾き、Z軸回りの傾きが含まれる。この傾き情報と投影画像とを利用することにより、対象物の位置情報を精度よく算出することができる。
【発明の効果】
【0010】
本明細書開示の位置測定装置は、一方向からの測定によって対象物の位置情報を精度よく取得することができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、実施例の成膜装置の概略構成を示した説明図である。
【図2】図2は、成膜装置が備える供給ロボット300の周辺を示す説明図である。
【図3】図3は、基板ホルダの説明図である。
【図4】図4は、供給ロボットによる基板把持プロセスを説明するフロー図である。
【図5】図5は、基板把持プロセスにおける基板の状態を示した説明図である。
【図6】図6は、成膜装置において行われる成膜方法の流れを示す説明図である。
【図7】図7は、位置測定装置を模式的に示した説明図である。
【図8】図8は、位置測定装置の構成例を示すブロック図である。
【図9】図9は、第1変位センサ、第2変位センサ、第3変位センサと基板ホルダの斜視図である。
【図10】図10は、第1変位センサ、第2変位センサ、第3変位センサとローダチャンバとの関係を示す説明図であり、図10(A)はローダチャンバの外側からみた斜視図、図10(B)は、ローダチャンバの内側からみた図である。
【図11】図11は、第1変位センサ、第2変位センサ、第3変位センサと基板ホルダの位置関係を示す説明図である。
【図12】図12は、第1変位センサ、第2変位センサ、第3変位センサと画像センサの斜視図である。
【図13】図13は、供給ロボットに対する位置教示方法を示すフロー図である。
【図14】図14は、基板の位置測定プロセスのフロー図である。
【図15】図15は、基板の位置測定プロセスにおける傾き情報の算出を示す説明図である。
【図16】図16は、画像センサにより撮像される投影画像の説明図である。
【図17】図17は、傾き情報、位置情報の測定結果の一部を示すグラフである。
【図18】図18は、三角測量方式を採用した場合の基板の位置測定プロセスのフロー図である。
【図19】図19は、三角測量方式を用いた変位センサの測定原理の説明図である。
【図20】図20は、三角測量方式を用いた変位センサ上の入光位置計算の説明図である
【図21】図21は、変位センサの受光窓における位置座標の説明図である。
【図22】図22は、受光窓への正反射光位置による補正値を纏めたテーブルの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の最良の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。ただし、図面中、各部の寸法、比率等は、実際のものと完全に一致するようには図示されていない場合がある。また、図面によっては細部が省略されている場合もある。
【実施例】
【0013】
本発明の位置測定装置、成膜方法及び成膜プログラム並びに成膜装置の実施例を、図面を参照しつつ説明する。なお、本実施例では、パーソナルコンピューター、ワークステーション等の汎用的な目的で使用されるコンピュータ上で実行するコンピュータプログラムにより実現する形態を示す。コンピュータプログラムは、フレキシブルーディスクやCD−ROM等の可搬型媒体やネットワーク接続された他のコンピュータの主メモリや補助記憶装置等に格納されて提供される。そして、本発明のコンピュータプログラムは、可搬型媒体から直接コンピュータの主メモリにロードされ、または、補助記憶装置を備えたコンピュータにおいては可搬型媒体から一旦補助記憶装置にコピーまたはインストール後に、主メモリにロードされて実行する。
【0014】
図1は、実施例の成膜装置1000の概略構成を示した説明図である。図2は、成膜装置1000が備える供給ロボット300の周辺を示す説明図である。図3は、基板ホルダ200の説明図である。
【0015】
成膜装置1000は、供給ロボット300、基板ホルダ200、ローダチャンバ1010、アンローダチャンバ1020、複数の成膜チャンバ1030を備えている。また、成膜装置1000は、対象物を基板400とする位置測定装置1100を備えている。
【0016】
ローダチャンバ1010の内部では、成膜処理前の基板400が供給ロボット300によって搬送され、基板ホルダ200に支持される。ローダチャンバ1010には、複数接続された成膜チャンバ1030の一端に位置する成膜チャンバ1030が接続されている。複数の成膜チャンバ1030は、環状に配置され、内部で基板400に対する成膜処理が行われる。複数接続された成膜チャンバ1030の他端に位置する成膜チャンバ1030にはアンローダチャンバ1020が接続されている。アンローダチャンバ1020では、成膜処理を終えた基板400が基板ホルダ200から取り外され、成膜装置1000の外部へ搬送される。
【0017】
供給ロボット300は、図2に示すように伸縮可能なアーム310を備えており、アーム310の先端には、円板状の基板400の中心に設けられた穴に挿入され、基板400を持ち上げるピック320が設けられている。供給ロボット300は、基板を前後方向、左右方向に移動させることができる。また、ピック320の取り付け角度は調節可能となっている。
【0018】
基板ホルダ200は、キャリア250上に搭載されている。キャリア250は、成膜チャンバ1030内を順次巡回可能となっている。基板ホルダ200には第1の保持爪である上爪210、第2の保持爪である上爪220、第3の保持爪である下爪230が設けられている。基板400は、これらの上爪210、220、下爪230に支持される。基板ホルダ200に支持された基板400は、複数の成膜チャンバ1030を順次巡回し、それぞれの成膜チャンバ1030内で成膜処理が施される。
【0019】
図4は、供給ロボット300による基板把持プロセスを説明するフロー図である。図5は、基板把持プロセスにおける基板400の状態を示した説明図である。供給ロボット300は、まず、ステップS1において、多数の基板400がストックされているカセット(ストッカ)から基板400を取り出す。基板400は、ピック320によって持ち上げられて移動する。その後、ステップS2において、供給ロボット300は、前進動作を行いローダチャンバ1010内へ基板400を挿入する。図5(A)に示すように上爪210、220、下爪230で囲まれる領域に供給される。
【0020】
次に、ステップS3において、図5(B)に示すように基板400を上爪210、220に押し当てるように基板400を上昇させる。そして、ステップS4において、基板400と上爪210、220との接触を確認後、ピック320の上昇を停止させる。その後、ステップS5において、図5(C)に示すように下爪230を上昇させ、基板400と下爪230とを接触させる。これにより、基板ホルダ200による基板400の支持が完了する。基板400の支持が完了した後は、ステップS6において、供給ロボット300はピック320を下降させ、続いてステップS7において供給ロボット300を後退させて一連の動作を終了する。ステップS7の処理を終えた供給ロボット300は、再びステップS1に戻って、次の基板400の基板把持プロセスに入る。
なお、位置測定装置1100は、この基板400の基板把持プロセスが行われている間、継続して基板400の位置測定を行っている。
【0021】
図6は、成膜装置1000において行われる成膜方法の流れを示す説明図である。成膜装置1000において行われる成膜方法は、支持手順10、成膜手順20、取り外し手順30を有している。そして、さらに、基板400の位置教示方法を有している。位置教示方法は、第1位置情報記憶手順40、第2位置情報記録手順50、偏差算出手順60、代表偏差算出手順70および教示位置修正手順80を有する。図6中、各手順の前後に手順前の状態と手順後の状態を示している。各手順の内容は以下に示す通りである。
【0022】
支持手順10では、上記において図4、図5を参照して説明したように、複数の基板ホルダ200に、供給ロボット300によって順次円板状の基板400が支持される。
【0023】
成膜手順20では、基板ホルダ200に支持された基板400を順次複数の成膜チャンバ1030に移動させ、各成膜チャンバ1030内で成膜処理を行う。
【0024】
取り外し手順30では、成膜工程が終了した基板400をロボットによって基板ホルダ200から取り外す。
【0025】
第1位置情報記録手順40は、供給ロボット300に基板400を垂直にした状態で供給位置として予め教示された基板ホルダの所定位置まで搬送させ、供給位置での基板の中心位置を後述する位置測定装置1100から第1位置情報として記録する。
ここで、第1位置情報記録手順40は、さらに測距手順41、撮像手順42、傾き情報取得手順43、位置情報取得手順44を含む。
測距手順41では、基板400が有する測定対象平面400a上の3つの測定点400a1、400a2、400a3に対し、水平方向の距離を測定する。
撮像手順42では、水平方向から基板400の測定対象平面400aの投影画像を撮像する。
傾き情報取得手順43は、水平方向の距離に基づいて測定対象平面400aの傾き情報(後述する傾きαと傾きγ)を取得する。
位置情報取得手順44では、傾き情報と投影画像とに基づいて基板400の位置情報を取得する。
【0026】
第2位置情報記録手順50は、供給位置において基板400を基板ホルダ200に装着し、装着後の基板400の中心位置を位置測定装置1100から第2位置情報として記録する。
ここで、第2位置情報記録手順40は、さらに測距手順51、撮像手順52、傾き情報取得手順53、位置情報取得手順54を含む。
測距手順51では、基板400の測定対象平面上の3つの測定点400a1、400a2、400a3に対し、水平方向の距離を測定する。
撮像手順52では、水平方向から基板400の測定対象平面400aの投影画像を撮像する。
傾き情報取得手順53では、水平方向の距離に基づいて測定対象平面400aの傾き情報(後述する傾きαと傾きγ)を取得する。
位置情報取得手順54では、傾き情報と投影画像とに基づいて基板400の位置情報を取得する。
【0027】
偏差算出手順60は、第1位置情報と第2位置情報との差分である偏差を求め、基板位置データ記憶部1250(図7参照)に記憶する。
【0028】
代表偏差算出手順70は、第1位置取得手順と第2位置取得手順と偏差算出手順とを複数の基板ホルダに対して実施し、基板位置データ記憶部1250に記憶した複数の偏差の中から所定の算出方法で偏差を代表する代表偏差を求める。
【0029】
教示位置修正手順80は、代表偏差を基に供給位置を修正した教示位置を求め、教示位置を供給ロボット300に教示する。
【0030】
ローダチャンバ1010では、前記のように基板400の基板ホルダ200への支持が行われる。このため、ローダチャンバ1010の正面側に供給ロボット300が配置される。そして、供給ロボット300が配置される面と対向する外壁には、図10に現れているようにチャンバ窓1011が設けられている。
【0031】
成膜装置1000は、チャンバ窓1011を通じて、基板400の位置測定を行う位置測定装置1100を備えている。図7は、位置測定装置1100を模式的に示した説明図である。図6に示した位置教示方法における第1位置取得手順と第2位置取得手順における基板400の位置の把握をこの位置測定装置1100によって行われる。
【0032】
図8は、位置測定装置1100の構成例を示すブロック図である。図9は、位置測定装置1100に含まれる第1変位センサ1110、第2変位センサ1120、第3変位センサ1130と基板ホルダ200の斜視図である。図10は、位置測定装置1100に含まれる第1変位センサ1110、第2変位センサ1120、第3変位センサ1130とローダチャンバ1010との関係を示す説明図である。図10(A)はローダチャンバ1010の外側からみた斜視図、図10(B)は、ローダチャンバ1010の内側からみた図である。図11は、第1変位センサ1110、第2変位センサ1120、第3変位センサ1130と基板ホルダ200の位置関係を示す説明図である。図12は、第1変位センサ1110、第2変位センサ1120、第3変位センサ1130と画像センサ1150の斜視図である。
【0033】
位置測定装置1100は、対象物となる基板400が有する測定対象平面400a上の3つの測定点400a1、400a2、400a3に対し、測定点までの水平方向の距離をそれぞれ測定する測距部を備えている。測距部は、3つの変位センサ1110、1120、1130を有している。第1変位センサ1110、第2変位センサ1120、第3変位センサ1130は、レーザ光を照射することによって測定点までの距離の測定を行う。第1変位センサ1110は、第1測定点400a1に対応している。第2変位センサ1120は、第2測定点400a2に対応している。第3変位センサ1130は、第3測定点400a3に対応している。これらの変位センサ1110、1120、1130は、図9や図11に示すような垂直仮想平面600に正対するように配置される。ここで、垂直仮想平面600とは、同一平面内の異なる位置から照射された水平レーザ光を照射させた場合に、当該平面までの光学的距離が等しくなるような仮想の平面である。
【0034】
これらの変位センサ1110、1120、1130は、測定対象平面400aが垂直仮想平面600と平行状態となったときに、測定点400a1、400a2、400a3までの光学距離が等しくなるように配置されている。光学距離は、基板400の奥行き方向(Y方向)の距離である。
【0035】
第1変位センサ1110と第2変位センサ1120とは、上下に重ねるように配置されている。図11に示すように第1変位センサ1110と第1測定点400a1との距離は距離L12と表示することができる。第2変位センサ1120と第2測定点400a2との距離は第1変位センサ1110と第1測定点400a1までの距離と同様にL12と表示することができる。
一方、第3変位センサ1130は、第1変位センサ1110や第2変位センサ1120に対し、90°回転させた状態で設置されている。そして、プリズム1131を備えている。第3変位センサ1130によって照射されるレーザ光は、プリズム1131によって屈曲させられて第3測定点400a3に到達する。第3変位センサ1130が照射するレーザ光が第3測定点400a3に到達するまでの距離は、第3測定点400a3からプリズム1131までの距離L3aと第3変位センサ1130からプリズム1131までの距離L3bの和である。このL3aとL3bとの和は、L12と等しくなるように設定されている。このように3つの変位センサの対象物までの距離を一致させ、さらに変位センサの設置角度を一致させておくことにより、差分情報を用いて測定を算出する際に、方式誤差を相殺させることができる。
【0036】
このように第3変位センサ1130を第1変位センサ1110や第2変位センサ1120に対して回転させた状態とすることにより、チャンバ窓1011の大きさに対応することができる。すなわち、3つの変位センサを上下方向に並べようとすると、チャンバ窓1011の大きさによっては、すべてのレーザ光をチャンバ窓1011に通過させることは困難である。プリズム1131を用いた配置を行うことにより、コンパクトな配置とすることができ、面積の小さい測定対象平面400aにも対応することができる。
測距部は、さらに、第1変位センサ1110、第2変位センサ1120、第3変位センサ1130が接続される変位取得部1140を備えている。
【0037】
位置測定装置1100は、水平方向から前記対象物の前記測定対象平面の投影画像を撮像する撮像部を備えている。撮像部は、図8に示すように画像センサ1150と、この画像センサ1150が接続された画像取得部1160を備えている。画像センサ1150は、図12で示すようにフレーム1151に支持されている。そして、ステージ部材1300に装着されている。ステージ部材1300には、測距部も取り付けられる。ステージ部材1300は、測距部、撮像部の位置を調節するものである。例えば、チャンバ窓1011の一部に汚れが付着しているときなどに、その部分を避けて位置測定を行うことができるようにする。
【0038】
変位取得部1140、画像取得部1160は、位置測定装置1100の全体を制御する制御部1170に接続されている。変位取得部1140は、図8に示すように角度演算部1180に接続されている。角度演算部1180は、誤差補正部1190に接続されている。誤差補正部1190には、テンプレート画像記憶部1240が接続されている。誤差補正部1190には、さらにテンプレート生成部1200が接続されている。テンプレート生成部1200は、画像処理演算部1210に接続されている。この画像処理演算部1210には、画像取得部1160が接続されており、画像センサ1150によって撮像された投影画像に関するデータが画像処理演算部1210に送られる。
【0039】
位置測定装置1100は、6自由度情報演算部1220を備えている。6自由度情報演算部1220は、本発明における演算部の一例であり、測距部によって取得された距離情報に基づいて測定対象平面400aの傾き情報を取得する。さらに、この傾き情報と投影画像とに基づいて対象物である基板400の位置情報を取得する。
【0040】
ここで、基板400の位置情報を評価するための座標は、図7に示すように、基板ホルダ200が移動する方向をX方向、基板400が出し入れされる方向をY方向、上下方向をZ方向と定める。位置情報は、これらの方向の座標によって表現される。また傾き情報は、X軸回りの傾きα、Y軸回りの傾きβ、Z軸回りの傾きγによって表現される。なお、これらのうち、Y軸回りの傾きβは、位置測定に影響を及ぼさない。これは、位置測定対象である基板400が円板状であることから、基板400が回転しても傾きβは、変化しないからである。そして、X軸回りの傾きαと、Z軸回りの傾きγとが、変化すると、基板400は垂直仮想平面600から外れるようになる。すなわち、傾きαや傾きγが変化すると、測定対象平面400aは、垂直仮想平面600に対して角度を有するようになる。基板400の位置情報を取得するときは、垂直仮想平面600から外れる向きの傾き情報となる傾きαと傾きγを算出し、これらの値に基づいて位置情報を算出していくことになる。
【0041】
制御部1170には、基板位置データ記憶部1250が接続されている。基板位置データ記憶部1250には、継続的に基板400の位置に関するデータが蓄積される。位置測定装置1100は、主メモリ上に位置教示プログラム1230を備えている。位置教示プログラム1230は、制御部1170に接続されたロボットコントローラ1260とともに本発明における位置教示部の機能を果たす。
【0042】
6自由度情報演算部1220は、まず、測距部によって取得された距離情報に基づいて垂直仮想平面から外れる向きの測定対象平面400aの傾き情報α、γを算出する。
そして、測定対象平面400aの傾き情報(α、γ)に基づいて補正されたテンプレートと、投影画像とに基づいて基板400の位置情報を取得する。
【0043】
測距部及び撮像部は、連続的に測定情報を取得し、6自由度情報演算部1220は、基板400の位置情報を継続的に算出する。図17は、継続的に取得されるX変位、Z変位、Y変位、傾きα、傾きγの情報の一部を示している。なお、本実施例の位置測定装置1110によれば、任意の地点の位置情報を算出することができる。
【0044】
以下、以上のような成膜装置1000の主として供給ロボット300の位置教示プロセスを説明する。
図13は、供給ロボット300に対する位置教示方法を示すフロー図である。
【0045】
まず、基板400のテンプレート画像を予め作成しておき、テンプレート画像記憶部1240に記憶しておく(S10)。
【0046】
続いて、偏差取得ループに入り、最初の基板ホルダ200を基板装着位置に移動させる。供給ロボット300に指示して基板400を基板のスタッカから取り出し、基板400の中央に開けられた穴を供給ロボット300のピック320に垂直に懸架する。基板400を懸架した状態で、予めオペレータが教示した供給位置まで搬送する。この供給位置は、例えば基板ホルダ200を搬送機構に取り付ける前に用いていた供給位置を用いるようにしてもよい。この位置における基板400の中心位置を第1変位センサ1110、第2変位センサ1120、第3変位センサ1130と画像センサ1150による測定結果を用いて算出する。このとき、基板が傾いていると、画像センサ1150から取得した画像は、図16(B)に示すように実際の形状Poに対して歪んだ形状の投影画像Paとなる。このような投影画像Paとテンプレートとのマッチングによって、基板中心位置を求める。このとき、テンプレートは、傾き情報(α、γ)に基づいて補正される。
このようにして求めた基板中心位置のデータ(X1、Y1、Z1)を第1の位置情報として基板位置データ記憶部1250に記憶する(S11〜S16)。
【0047】
次に、ピック320を上方に所定距離移動し、基板400の外縁を基板ホルダ200の上爪210、220に当て、下爪230により外縁を押し当て基板400を基板ホルダ200に保持する。ピック320を下方に所定距離移動させ、基板400の穴から外しスタッカから基板400を取り出す位置に後退させる。基板ホルダ200に保持された状態(即ち、基板400が保持位置にある状態)でステップS14とS15と同様にして基板400の中心位置(X2、Y2、Z2)を求め、第2の位置情報として基板位置データ記憶部1250に記憶する(S17〜S20)。
【0048】
基板位置データ記憶部1250に記憶した第1と第2の位置情報を基に、その間の各軸の偏差を算出する。即ち、ΔXk=X2−X1、ΔYk=Y2−Y1、ΔZk=Z2−Z1を算出する。算出した偏差ΔXk、ΔYkおよびΔZkを基板位置データ記憶部1250に記憶する(S21)。
【0049】
ステップS11からS21を全ての基板ホルダ200に対して実施する。その後、基板位置データ記憶部1250に記憶されたそれぞれの基板ホルダ200に対する偏差を昇順に並べ、前述した方法で偏差の代表値としての中央値を求める。求めた中央値をS130でオペレータが教示した供給位置に加え、この値を新しい供給位置としてロボットコントローラ1260に教示する(S22、S23)。
【0050】
以上により、基板ホルダ200に対する供給位置と保持位置とのばらつきが最も少なくなる位置を自動的に算出し、供給ロボット300に教示することができる。
【0051】
ここで、位置教示プログラム1230について、説明する。位置教示プログラム1230は、基板位置計測部1231、代表偏差算出部1232および教示部1233のプログラムモジュールから構成する。それぞれのプログラムモジュールの概要を説明する。
【0052】
基板位置計測部1231は、画像センサ1150、テンプレート画像記憶部1240の画像情報、第1変位センサ1130、第2変位センサ1120、第3変位センサ1130を用いて基板400が供給位置と保持位置にあるときの位置情報を取得することを行う。複数ある基板ホルダ200にそれぞれ基板400を装着しながらこれらの位置を取得し、基板位置データ記憶部1250に記憶することを行う。
【0053】
代表偏差算出部1232は、基板位置データ記憶部1250に記憶された基板400の供給位置と保持位置とからそれぞれの偏差を求め、その中から代表偏差を求めることを行う。
【0054】
教示部1233は、代表値算出部1232で求めた代表偏差を基に供給位置を求め、これをロボットコントローラ160に教示する。
【0055】
基板位置データ記憶部1250に記憶される測定値を署得する具体的なフローを図14に示す。まず、ステップS110において、3つの測定点400a1、400a2、400a3に対するY変位を取得すると共に、投影画像を取得する。基板400が傾いているときの投影画像Paは、図16に示すように楕円形をなす。
ステップS110の処理の後は、図15に示すように、傾きαと傾きγを求める(ステップS120)。このとき、いずれもY方向の測定値である第1変位センサ1110の測定値h1と、第2変位センサ1120の測定値h2を用いてCHvの位置を算出する。測定値h1、h2、h3と算出されたhvを用いて傾きαと傾きγが求められる。この演算は、角度演算部1180において行われる。
次に、ステップS130において、α、γに基づいてテンプレート画像記憶部1240に格納されたテンプレートに対し補正が行われる。この処理は、誤差補正部1190において行われ、テンプレート生成部1200において、新たなテンプレートが生成される。生成されたテンプレートは、画像処理演算部1210に送られる。画像処理演算部1210には、画像取得部1160によって取得された投影画像も送られる。
ステップS130の処理が実行された後、ステップS140へ進む。ステップS140では、テンプレートマッチングが行われる。そして、テンプレートマッチングによりX、Y、Z、βの測定値が算出される。
以上のプロセスを経ることによって6自由度情報が取得される(S170)。
【0056】
テンプレートマッチングは、以下のように行われる。
テンプレートマッチングは、予め用意してあるテンプレート画像と撮像部から取得した画像とを重ね合わせて類似度を算出し、テンプレート画像の位置を移動させながら最も高い類似度を示す位置を探索することによって求める箇所の位置を得るものである。テンプレートマッチングの具体的な手法は様々なものが提案されているが、最も基本的な手法は以下の通りである。
【0057】
まず、テンプレート生成部1200において生成されたテンプレートを画像処理演算部1210に登録する。処理時間を短縮しノイズの影響を低減するため、ROI(Region of interest)を設定する。テンプレートは、基板400の外周円よりも大きな円と小さな円とで囲まれたドーナツ状の領域を切り出し、基板400のテンプレート画像Mとしている。
【0058】
次に、画像処理演算部1210が取得した投影画像I(i,j)とテンプレート画像M(i,j)とを比較し、投影画像の中から最も一致する位置を探し出す。
【0059】
式1
【0060】
(a,b)は走査位置を表わし、a、bをそれぞれ1画素ずつシフトさせることでテンプレート画像を投影画像上で走査したときの各位置における類似度(相関値)が求まる。類似度が最も大きくなる(a,b)が基板400の中心位置であり、円形のテンプレートの半径をrとすると,検出した基板400の中心位置は(a+r,b+r)となる。
【0061】
本実施例では、基板400がロボット300によって基板ホルダ200に供給されるときの供給位置と基板ホルダ200によって保持されたときの保持位置との偏差を求めるが、その偏差の算出の方法について説明する。以下の説明では、X軸方向を例に説明しているが他の軸でも同様の方法で求めることができる。
基板400が上部爪210、220に押し付けられる際に、基板400の中心は供給位置から保持位置への移動が生じ、偏差(ΔxとΔz)が発生する。偏差量は、理想的には全基板ホルダ200においてゼロであることが望ましいが、上部爪210、220を基板ホルダ200に取り付ける時に組立誤差があるため、ばらつきが生じる。
【0062】
基板ホルダkの偏差ΔXkは、
式2
【0063】
で求まる。オペレータの供給位置の教示後に、全基板ホルダ200に対する偏差量を上式で求め、偏差のばらつき分布を得る
【0064】
そして、供給位置を基準とした正負のばらつき分布が同数となるよう、中央値を代表値ΔXrとする。基板ホルダ数がN個のとき、偏差ΔXkを昇順に並べる。即ち、
【0065】
式3
【0066】
このときの中央値ΔXrは次式で与えられる。
基板ホルダの総数Nが偶数のとき:
【0067】
式4
【0068】
基板ホルダの総数Nが奇数のとき:
【0069】
式5
【0070】
このようにして算出された中央値ΔXrを最初にオペレータが与えた教示位置に加えることによって教示位置修正が行われる。以後、ロボットコントローラ160へは最初にオペレータが与えた教示位置に中央値ΔXrが教示される。
【0071】
本実施例の成膜装置1000は、位置測定装置1100を備えているので、一方向からの測定によって対象物である基板400の位置情報を精度よく取得することができる。そして、その位置情報を利用して最適教示位置を算出することができる。
【0072】
最適教示位置に基板400を供給することによって、歩留り低下や基板落下による成膜装置1000を停止させなければならない事態を回避することができる。
【0073】
また、位置測定装置1100は、稼動中の成膜装置1000において、基板支持プロセス中の基板姿勢変化を基板ホルダ毎に測定し、前ホルダのトレンドに対して明らかに異常とみられる基板ホルダ200を特定することも可能となる。異常と判断された基板ホルダ200に対しては、交換する等、排出する措置をとることができる。これにより、歩留り低下や基板落下による装置停止の頻度を低減することができる。
【0074】
さらに、位置測定装置1100は、稼動中の成膜装置1000において、基板支持プロセス中の基板姿勢変化を基板ホルダ毎に測定し、得られた基板姿勢の面内回転自由度、すなわち、傾きβを除く5自由度情報から上爪210等の保持爪付近の基板変位量を算出することも可能となる。この変位量は、上爪210等に堆積した成膜層の剥離を引き起こす基板400の滑り量とみなすことができる。この滑り量が大きくなる場合には、基板ホルダ200を交換したり、供給ロボット300による教示位置の修正を行ったりすることにより歩留り低下を抑制することができる。
【0075】
また、本実施例の位置測定装置1100における測距部及び撮像部は、図17にその測定値の一部を示すように連続的に測定情報を取得し、6自由度情報演算部1220は、対象物の位置情報を継続的に算出し、記憶している。このため、任意のタイミングの位置情報を得ることができる。また、記憶された情報を事後的に解析することも可能である。
【0076】
ここで、位置検出の精度をさらに向上させることができる例について説明する。第1変位センサ1110、第2変位センサ1120、第3変位センサ1130は、いずれもレーザ光を用いたセンサとなっている。ここで、これらのセンサとして三角測量方式を採用した場合の測定について説明する。
【0077】
図18は、三角測量方式を採用した場合の、基板400の位置測定プロセスのフロー図である。
【0078】
図14に示したフロー図と比較すると、ステップS230〜S250までの処理が追加されている。すなわち、ステップS210、S220の処理は、図14におけるステップS110、S120と共通である。また、ステップS260〜S280の処理は、図14におけるステップS130〜S150の処理と共通である。
【0079】
三角測量方式を用い、レーザ光によって変位を測定する変位センサは、図19に示すように照射したレーザの反射光を受光レンズ1112で集光し、検出素子1113によって受光量のピークを検出して変位を出力する。測定対象が鏡面でない場合は、拡散光となるため、強い反射光を受光しにくく、測定対象の角度変化に因る受光ピーク変動は少ない。ところが、測定対象が基板400のような鏡面体である場合、反射光は正反射となるため、強い反射光の影響を受けて受光ピークが変動し、誤差を含んだ変位を出力してしまう。図19に示す通り、正反射測定時の測定誤差は、受光レンズ1112の収差に起因するため、誤差量は、受光レンズ1112上の入光位置によって一意に決まる。
この角度変化による誤差発生量は、実験的に取得が可能であり、入光位置が特定できれば、誤差補正が可能となる。
【0080】
入光位置の変動量は、計測結果から算出された図20に示す角度変化量θおよび幾何学的設置条件から以下の計算式により算出される。
入光位置変動量 l=L×tan(Φ+θ)−L×tan(Φ)
【0081】
図21は、変位センサ1100ヘッドの受光窓における位置座標の説明図である。また、図22は、受光窓への正反射光位置による補正値を纏めたテーブルの一例である。
【0082】
図18に示すフロー図に基づいて位置測定を行う場合は、ステップS230において、上記の式により、入光位置変動量lを算出する。そして、ステップS240において、図22に示すテーブルを参照し、ステップS250において、変位センサの誤差補正を行う。この処理を第1変位センサ1110、第2変位センサ1120、第3変位センサ1130の3つの変位センサのY変位に対して行う。以後、このようにして補正されたY変位の測定値を用いて最終的な6自由度情報を取得する(S260〜S280)。
【0083】
このような誤差補正の処理を行うことにより、より精度の高い位置測定を行うことができる。
【0084】
以上本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0085】
200…基板ホルダ
300…供給ロボット
400…基板
600…垂直仮想平面
1000…成膜装置
1100…位置測定装置
1110…第1変位センサ
1120…第2変位センサ
1130…第3変位センサ
1150…画像センサ
Pa…投影画像
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置測定装置、成膜方法並びに成膜プログラム及び成膜装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板を基板ホルダに保持させて加工する工程の1つに、基板を順次搬送しながら搬送途中のチャンバ内で成膜処理を施し、磁性膜を被着させる連続成膜方式がある。半導体ウェハ成膜工程であれば、基板の1面に対してのみ成膜処理を施せばよいが、磁気ディスク製造の場合は、基板の両面に成膜処理を施すことになるので連続性膜方式が有用である。
【0003】
連続成膜方式では、供給ロボットを用い、搬送機構(キャリア)上に搭載された基板ホルダが有する保持爪に基板を支持させる。基板ホルダは、成膜処理が行われるチャンバ内を移動するため、保持爪にも成膜層が付着している。このような保持爪によって基板を支持しようとするとき、保持爪の中心と基板の中心とが一致していないと、基板は保持爪中心に倣って安定姿勢に移行しようとする。この際、保持爪に付着した成膜層が基板の周縁によって削られる。削られた成膜層が基板に付着すると、成膜処理の欠陥を引き起し、歩留り低下を生じる。また、供給ロボットによる基板の基板ホルダに対する供給位置、供給姿勢の教示精度が悪い場合には基板が落下し、稼働率を低下させるおそれもある。
【0004】
これらの問題を回避するためには、基板を基板ホルダに精度よく供給することが求められる。そして、基板を基板ホルダに精度よく供給するためには、基板の姿勢、位置を把握しておくことが求められる。このような要求に対応可能と考えられる装置は、従来、種々提案されている。例えば、基板処理装置等の基板搬送システムにおける可動部材の位置を検出し、監視することが行われている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−265967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、基板ホルダに支持される基板の正確な状態を知るためには、X方向の位置、Y方向の位置、Z方向の位置、X軸回りの傾き、Y軸回りの傾き、Z軸回りの傾きの合計6自由度に関する情報を把握する必要がある。
しかしながら、前記従来の提案では、3自由度までの情報しか取得することができず、基板の正確な情報を取得するには、不十分であった。ここで、前記従来の提案における装置を複数台設置し、異なる方向から測定を行うことにより、より多くの自由度に関する情報を取得することも考えられる。しかし、基板ホルダが順次搬送されるチャンバの構造上、このような測定は困難である。
また、基板ホルダは、真空のチャンバ内を移動するため、非接触測定が必要となる。このため、チャンバの外壁に設けられたチャンバ窓を通じて内部の基板の状態を測定することになる。しかしながら、チャンバ窓は、通常、チャンバの1面にしか設けられていない。特に、円板状の基板を前記基板ホルダに支持させるローダチャンバは、キャリアの移動、供給ロボットの出没を確保する必要から、複数の面にチャンバ窓を設けることは困難である。このような理由により、異なる方向からの測定は困難となっている。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものである。その目的は、一方向からの測定によって対象物の位置情報を精度よく取得することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本明細書開示の位置測定装置は、対象物が有する測定対象平面上の少なくとも3つの測定点に対し、当該測定点までの水平方向の距離をそれぞれ測定する測距部と、水平方向から前記対象物の前記測定対象平面の投影画像を撮像する撮像部と、前記測距部によって取得された距離情報に基づいて前記測定対象平面の傾き情報を取得すると共に、当該傾き情報と前記投影画像とに基づいて前記対象物の位置情報を取得する演算部と、を備えたことを特徴としている。
【0009】
測定対象平面上の少なくとも3つの測定点に対する水平方向の距離情報を把握し、この距離情報を用いた演算を行うことにより、測定対象平面の傾き情報を取得することができる。傾き情報には、X軸回りの傾き、Y軸回りの傾き、Z軸回りの傾きが含まれる。この傾き情報と投影画像とを利用することにより、対象物の位置情報を精度よく算出することができる。
【発明の効果】
【0010】
本明細書開示の位置測定装置は、一方向からの測定によって対象物の位置情報を精度よく取得することができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、実施例の成膜装置の概略構成を示した説明図である。
【図2】図2は、成膜装置が備える供給ロボット300の周辺を示す説明図である。
【図3】図3は、基板ホルダの説明図である。
【図4】図4は、供給ロボットによる基板把持プロセスを説明するフロー図である。
【図5】図5は、基板把持プロセスにおける基板の状態を示した説明図である。
【図6】図6は、成膜装置において行われる成膜方法の流れを示す説明図である。
【図7】図7は、位置測定装置を模式的に示した説明図である。
【図8】図8は、位置測定装置の構成例を示すブロック図である。
【図9】図9は、第1変位センサ、第2変位センサ、第3変位センサと基板ホルダの斜視図である。
【図10】図10は、第1変位センサ、第2変位センサ、第3変位センサとローダチャンバとの関係を示す説明図であり、図10(A)はローダチャンバの外側からみた斜視図、図10(B)は、ローダチャンバの内側からみた図である。
【図11】図11は、第1変位センサ、第2変位センサ、第3変位センサと基板ホルダの位置関係を示す説明図である。
【図12】図12は、第1変位センサ、第2変位センサ、第3変位センサと画像センサの斜視図である。
【図13】図13は、供給ロボットに対する位置教示方法を示すフロー図である。
【図14】図14は、基板の位置測定プロセスのフロー図である。
【図15】図15は、基板の位置測定プロセスにおける傾き情報の算出を示す説明図である。
【図16】図16は、画像センサにより撮像される投影画像の説明図である。
【図17】図17は、傾き情報、位置情報の測定結果の一部を示すグラフである。
【図18】図18は、三角測量方式を採用した場合の基板の位置測定プロセスのフロー図である。
【図19】図19は、三角測量方式を用いた変位センサの測定原理の説明図である。
【図20】図20は、三角測量方式を用いた変位センサ上の入光位置計算の説明図である
【図21】図21は、変位センサの受光窓における位置座標の説明図である。
【図22】図22は、受光窓への正反射光位置による補正値を纏めたテーブルの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の最良の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。ただし、図面中、各部の寸法、比率等は、実際のものと完全に一致するようには図示されていない場合がある。また、図面によっては細部が省略されている場合もある。
【実施例】
【0013】
本発明の位置測定装置、成膜方法及び成膜プログラム並びに成膜装置の実施例を、図面を参照しつつ説明する。なお、本実施例では、パーソナルコンピューター、ワークステーション等の汎用的な目的で使用されるコンピュータ上で実行するコンピュータプログラムにより実現する形態を示す。コンピュータプログラムは、フレキシブルーディスクやCD−ROM等の可搬型媒体やネットワーク接続された他のコンピュータの主メモリや補助記憶装置等に格納されて提供される。そして、本発明のコンピュータプログラムは、可搬型媒体から直接コンピュータの主メモリにロードされ、または、補助記憶装置を備えたコンピュータにおいては可搬型媒体から一旦補助記憶装置にコピーまたはインストール後に、主メモリにロードされて実行する。
【0014】
図1は、実施例の成膜装置1000の概略構成を示した説明図である。図2は、成膜装置1000が備える供給ロボット300の周辺を示す説明図である。図3は、基板ホルダ200の説明図である。
【0015】
成膜装置1000は、供給ロボット300、基板ホルダ200、ローダチャンバ1010、アンローダチャンバ1020、複数の成膜チャンバ1030を備えている。また、成膜装置1000は、対象物を基板400とする位置測定装置1100を備えている。
【0016】
ローダチャンバ1010の内部では、成膜処理前の基板400が供給ロボット300によって搬送され、基板ホルダ200に支持される。ローダチャンバ1010には、複数接続された成膜チャンバ1030の一端に位置する成膜チャンバ1030が接続されている。複数の成膜チャンバ1030は、環状に配置され、内部で基板400に対する成膜処理が行われる。複数接続された成膜チャンバ1030の他端に位置する成膜チャンバ1030にはアンローダチャンバ1020が接続されている。アンローダチャンバ1020では、成膜処理を終えた基板400が基板ホルダ200から取り外され、成膜装置1000の外部へ搬送される。
【0017】
供給ロボット300は、図2に示すように伸縮可能なアーム310を備えており、アーム310の先端には、円板状の基板400の中心に設けられた穴に挿入され、基板400を持ち上げるピック320が設けられている。供給ロボット300は、基板を前後方向、左右方向に移動させることができる。また、ピック320の取り付け角度は調節可能となっている。
【0018】
基板ホルダ200は、キャリア250上に搭載されている。キャリア250は、成膜チャンバ1030内を順次巡回可能となっている。基板ホルダ200には第1の保持爪である上爪210、第2の保持爪である上爪220、第3の保持爪である下爪230が設けられている。基板400は、これらの上爪210、220、下爪230に支持される。基板ホルダ200に支持された基板400は、複数の成膜チャンバ1030を順次巡回し、それぞれの成膜チャンバ1030内で成膜処理が施される。
【0019】
図4は、供給ロボット300による基板把持プロセスを説明するフロー図である。図5は、基板把持プロセスにおける基板400の状態を示した説明図である。供給ロボット300は、まず、ステップS1において、多数の基板400がストックされているカセット(ストッカ)から基板400を取り出す。基板400は、ピック320によって持ち上げられて移動する。その後、ステップS2において、供給ロボット300は、前進動作を行いローダチャンバ1010内へ基板400を挿入する。図5(A)に示すように上爪210、220、下爪230で囲まれる領域に供給される。
【0020】
次に、ステップS3において、図5(B)に示すように基板400を上爪210、220に押し当てるように基板400を上昇させる。そして、ステップS4において、基板400と上爪210、220との接触を確認後、ピック320の上昇を停止させる。その後、ステップS5において、図5(C)に示すように下爪230を上昇させ、基板400と下爪230とを接触させる。これにより、基板ホルダ200による基板400の支持が完了する。基板400の支持が完了した後は、ステップS6において、供給ロボット300はピック320を下降させ、続いてステップS7において供給ロボット300を後退させて一連の動作を終了する。ステップS7の処理を終えた供給ロボット300は、再びステップS1に戻って、次の基板400の基板把持プロセスに入る。
なお、位置測定装置1100は、この基板400の基板把持プロセスが行われている間、継続して基板400の位置測定を行っている。
【0021】
図6は、成膜装置1000において行われる成膜方法の流れを示す説明図である。成膜装置1000において行われる成膜方法は、支持手順10、成膜手順20、取り外し手順30を有している。そして、さらに、基板400の位置教示方法を有している。位置教示方法は、第1位置情報記憶手順40、第2位置情報記録手順50、偏差算出手順60、代表偏差算出手順70および教示位置修正手順80を有する。図6中、各手順の前後に手順前の状態と手順後の状態を示している。各手順の内容は以下に示す通りである。
【0022】
支持手順10では、上記において図4、図5を参照して説明したように、複数の基板ホルダ200に、供給ロボット300によって順次円板状の基板400が支持される。
【0023】
成膜手順20では、基板ホルダ200に支持された基板400を順次複数の成膜チャンバ1030に移動させ、各成膜チャンバ1030内で成膜処理を行う。
【0024】
取り外し手順30では、成膜工程が終了した基板400をロボットによって基板ホルダ200から取り外す。
【0025】
第1位置情報記録手順40は、供給ロボット300に基板400を垂直にした状態で供給位置として予め教示された基板ホルダの所定位置まで搬送させ、供給位置での基板の中心位置を後述する位置測定装置1100から第1位置情報として記録する。
ここで、第1位置情報記録手順40は、さらに測距手順41、撮像手順42、傾き情報取得手順43、位置情報取得手順44を含む。
測距手順41では、基板400が有する測定対象平面400a上の3つの測定点400a1、400a2、400a3に対し、水平方向の距離を測定する。
撮像手順42では、水平方向から基板400の測定対象平面400aの投影画像を撮像する。
傾き情報取得手順43は、水平方向の距離に基づいて測定対象平面400aの傾き情報(後述する傾きαと傾きγ)を取得する。
位置情報取得手順44では、傾き情報と投影画像とに基づいて基板400の位置情報を取得する。
【0026】
第2位置情報記録手順50は、供給位置において基板400を基板ホルダ200に装着し、装着後の基板400の中心位置を位置測定装置1100から第2位置情報として記録する。
ここで、第2位置情報記録手順40は、さらに測距手順51、撮像手順52、傾き情報取得手順53、位置情報取得手順54を含む。
測距手順51では、基板400の測定対象平面上の3つの測定点400a1、400a2、400a3に対し、水平方向の距離を測定する。
撮像手順52では、水平方向から基板400の測定対象平面400aの投影画像を撮像する。
傾き情報取得手順53では、水平方向の距離に基づいて測定対象平面400aの傾き情報(後述する傾きαと傾きγ)を取得する。
位置情報取得手順54では、傾き情報と投影画像とに基づいて基板400の位置情報を取得する。
【0027】
偏差算出手順60は、第1位置情報と第2位置情報との差分である偏差を求め、基板位置データ記憶部1250(図7参照)に記憶する。
【0028】
代表偏差算出手順70は、第1位置取得手順と第2位置取得手順と偏差算出手順とを複数の基板ホルダに対して実施し、基板位置データ記憶部1250に記憶した複数の偏差の中から所定の算出方法で偏差を代表する代表偏差を求める。
【0029】
教示位置修正手順80は、代表偏差を基に供給位置を修正した教示位置を求め、教示位置を供給ロボット300に教示する。
【0030】
ローダチャンバ1010では、前記のように基板400の基板ホルダ200への支持が行われる。このため、ローダチャンバ1010の正面側に供給ロボット300が配置される。そして、供給ロボット300が配置される面と対向する外壁には、図10に現れているようにチャンバ窓1011が設けられている。
【0031】
成膜装置1000は、チャンバ窓1011を通じて、基板400の位置測定を行う位置測定装置1100を備えている。図7は、位置測定装置1100を模式的に示した説明図である。図6に示した位置教示方法における第1位置取得手順と第2位置取得手順における基板400の位置の把握をこの位置測定装置1100によって行われる。
【0032】
図8は、位置測定装置1100の構成例を示すブロック図である。図9は、位置測定装置1100に含まれる第1変位センサ1110、第2変位センサ1120、第3変位センサ1130と基板ホルダ200の斜視図である。図10は、位置測定装置1100に含まれる第1変位センサ1110、第2変位センサ1120、第3変位センサ1130とローダチャンバ1010との関係を示す説明図である。図10(A)はローダチャンバ1010の外側からみた斜視図、図10(B)は、ローダチャンバ1010の内側からみた図である。図11は、第1変位センサ1110、第2変位センサ1120、第3変位センサ1130と基板ホルダ200の位置関係を示す説明図である。図12は、第1変位センサ1110、第2変位センサ1120、第3変位センサ1130と画像センサ1150の斜視図である。
【0033】
位置測定装置1100は、対象物となる基板400が有する測定対象平面400a上の3つの測定点400a1、400a2、400a3に対し、測定点までの水平方向の距離をそれぞれ測定する測距部を備えている。測距部は、3つの変位センサ1110、1120、1130を有している。第1変位センサ1110、第2変位センサ1120、第3変位センサ1130は、レーザ光を照射することによって測定点までの距離の測定を行う。第1変位センサ1110は、第1測定点400a1に対応している。第2変位センサ1120は、第2測定点400a2に対応している。第3変位センサ1130は、第3測定点400a3に対応している。これらの変位センサ1110、1120、1130は、図9や図11に示すような垂直仮想平面600に正対するように配置される。ここで、垂直仮想平面600とは、同一平面内の異なる位置から照射された水平レーザ光を照射させた場合に、当該平面までの光学的距離が等しくなるような仮想の平面である。
【0034】
これらの変位センサ1110、1120、1130は、測定対象平面400aが垂直仮想平面600と平行状態となったときに、測定点400a1、400a2、400a3までの光学距離が等しくなるように配置されている。光学距離は、基板400の奥行き方向(Y方向)の距離である。
【0035】
第1変位センサ1110と第2変位センサ1120とは、上下に重ねるように配置されている。図11に示すように第1変位センサ1110と第1測定点400a1との距離は距離L12と表示することができる。第2変位センサ1120と第2測定点400a2との距離は第1変位センサ1110と第1測定点400a1までの距離と同様にL12と表示することができる。
一方、第3変位センサ1130は、第1変位センサ1110や第2変位センサ1120に対し、90°回転させた状態で設置されている。そして、プリズム1131を備えている。第3変位センサ1130によって照射されるレーザ光は、プリズム1131によって屈曲させられて第3測定点400a3に到達する。第3変位センサ1130が照射するレーザ光が第3測定点400a3に到達するまでの距離は、第3測定点400a3からプリズム1131までの距離L3aと第3変位センサ1130からプリズム1131までの距離L3bの和である。このL3aとL3bとの和は、L12と等しくなるように設定されている。このように3つの変位センサの対象物までの距離を一致させ、さらに変位センサの設置角度を一致させておくことにより、差分情報を用いて測定を算出する際に、方式誤差を相殺させることができる。
【0036】
このように第3変位センサ1130を第1変位センサ1110や第2変位センサ1120に対して回転させた状態とすることにより、チャンバ窓1011の大きさに対応することができる。すなわち、3つの変位センサを上下方向に並べようとすると、チャンバ窓1011の大きさによっては、すべてのレーザ光をチャンバ窓1011に通過させることは困難である。プリズム1131を用いた配置を行うことにより、コンパクトな配置とすることができ、面積の小さい測定対象平面400aにも対応することができる。
測距部は、さらに、第1変位センサ1110、第2変位センサ1120、第3変位センサ1130が接続される変位取得部1140を備えている。
【0037】
位置測定装置1100は、水平方向から前記対象物の前記測定対象平面の投影画像を撮像する撮像部を備えている。撮像部は、図8に示すように画像センサ1150と、この画像センサ1150が接続された画像取得部1160を備えている。画像センサ1150は、図12で示すようにフレーム1151に支持されている。そして、ステージ部材1300に装着されている。ステージ部材1300には、測距部も取り付けられる。ステージ部材1300は、測距部、撮像部の位置を調節するものである。例えば、チャンバ窓1011の一部に汚れが付着しているときなどに、その部分を避けて位置測定を行うことができるようにする。
【0038】
変位取得部1140、画像取得部1160は、位置測定装置1100の全体を制御する制御部1170に接続されている。変位取得部1140は、図8に示すように角度演算部1180に接続されている。角度演算部1180は、誤差補正部1190に接続されている。誤差補正部1190には、テンプレート画像記憶部1240が接続されている。誤差補正部1190には、さらにテンプレート生成部1200が接続されている。テンプレート生成部1200は、画像処理演算部1210に接続されている。この画像処理演算部1210には、画像取得部1160が接続されており、画像センサ1150によって撮像された投影画像に関するデータが画像処理演算部1210に送られる。
【0039】
位置測定装置1100は、6自由度情報演算部1220を備えている。6自由度情報演算部1220は、本発明における演算部の一例であり、測距部によって取得された距離情報に基づいて測定対象平面400aの傾き情報を取得する。さらに、この傾き情報と投影画像とに基づいて対象物である基板400の位置情報を取得する。
【0040】
ここで、基板400の位置情報を評価するための座標は、図7に示すように、基板ホルダ200が移動する方向をX方向、基板400が出し入れされる方向をY方向、上下方向をZ方向と定める。位置情報は、これらの方向の座標によって表現される。また傾き情報は、X軸回りの傾きα、Y軸回りの傾きβ、Z軸回りの傾きγによって表現される。なお、これらのうち、Y軸回りの傾きβは、位置測定に影響を及ぼさない。これは、位置測定対象である基板400が円板状であることから、基板400が回転しても傾きβは、変化しないからである。そして、X軸回りの傾きαと、Z軸回りの傾きγとが、変化すると、基板400は垂直仮想平面600から外れるようになる。すなわち、傾きαや傾きγが変化すると、測定対象平面400aは、垂直仮想平面600に対して角度を有するようになる。基板400の位置情報を取得するときは、垂直仮想平面600から外れる向きの傾き情報となる傾きαと傾きγを算出し、これらの値に基づいて位置情報を算出していくことになる。
【0041】
制御部1170には、基板位置データ記憶部1250が接続されている。基板位置データ記憶部1250には、継続的に基板400の位置に関するデータが蓄積される。位置測定装置1100は、主メモリ上に位置教示プログラム1230を備えている。位置教示プログラム1230は、制御部1170に接続されたロボットコントローラ1260とともに本発明における位置教示部の機能を果たす。
【0042】
6自由度情報演算部1220は、まず、測距部によって取得された距離情報に基づいて垂直仮想平面から外れる向きの測定対象平面400aの傾き情報α、γを算出する。
そして、測定対象平面400aの傾き情報(α、γ)に基づいて補正されたテンプレートと、投影画像とに基づいて基板400の位置情報を取得する。
【0043】
測距部及び撮像部は、連続的に測定情報を取得し、6自由度情報演算部1220は、基板400の位置情報を継続的に算出する。図17は、継続的に取得されるX変位、Z変位、Y変位、傾きα、傾きγの情報の一部を示している。なお、本実施例の位置測定装置1110によれば、任意の地点の位置情報を算出することができる。
【0044】
以下、以上のような成膜装置1000の主として供給ロボット300の位置教示プロセスを説明する。
図13は、供給ロボット300に対する位置教示方法を示すフロー図である。
【0045】
まず、基板400のテンプレート画像を予め作成しておき、テンプレート画像記憶部1240に記憶しておく(S10)。
【0046】
続いて、偏差取得ループに入り、最初の基板ホルダ200を基板装着位置に移動させる。供給ロボット300に指示して基板400を基板のスタッカから取り出し、基板400の中央に開けられた穴を供給ロボット300のピック320に垂直に懸架する。基板400を懸架した状態で、予めオペレータが教示した供給位置まで搬送する。この供給位置は、例えば基板ホルダ200を搬送機構に取り付ける前に用いていた供給位置を用いるようにしてもよい。この位置における基板400の中心位置を第1変位センサ1110、第2変位センサ1120、第3変位センサ1130と画像センサ1150による測定結果を用いて算出する。このとき、基板が傾いていると、画像センサ1150から取得した画像は、図16(B)に示すように実際の形状Poに対して歪んだ形状の投影画像Paとなる。このような投影画像Paとテンプレートとのマッチングによって、基板中心位置を求める。このとき、テンプレートは、傾き情報(α、γ)に基づいて補正される。
このようにして求めた基板中心位置のデータ(X1、Y1、Z1)を第1の位置情報として基板位置データ記憶部1250に記憶する(S11〜S16)。
【0047】
次に、ピック320を上方に所定距離移動し、基板400の外縁を基板ホルダ200の上爪210、220に当て、下爪230により外縁を押し当て基板400を基板ホルダ200に保持する。ピック320を下方に所定距離移動させ、基板400の穴から外しスタッカから基板400を取り出す位置に後退させる。基板ホルダ200に保持された状態(即ち、基板400が保持位置にある状態)でステップS14とS15と同様にして基板400の中心位置(X2、Y2、Z2)を求め、第2の位置情報として基板位置データ記憶部1250に記憶する(S17〜S20)。
【0048】
基板位置データ記憶部1250に記憶した第1と第2の位置情報を基に、その間の各軸の偏差を算出する。即ち、ΔXk=X2−X1、ΔYk=Y2−Y1、ΔZk=Z2−Z1を算出する。算出した偏差ΔXk、ΔYkおよびΔZkを基板位置データ記憶部1250に記憶する(S21)。
【0049】
ステップS11からS21を全ての基板ホルダ200に対して実施する。その後、基板位置データ記憶部1250に記憶されたそれぞれの基板ホルダ200に対する偏差を昇順に並べ、前述した方法で偏差の代表値としての中央値を求める。求めた中央値をS130でオペレータが教示した供給位置に加え、この値を新しい供給位置としてロボットコントローラ1260に教示する(S22、S23)。
【0050】
以上により、基板ホルダ200に対する供給位置と保持位置とのばらつきが最も少なくなる位置を自動的に算出し、供給ロボット300に教示することができる。
【0051】
ここで、位置教示プログラム1230について、説明する。位置教示プログラム1230は、基板位置計測部1231、代表偏差算出部1232および教示部1233のプログラムモジュールから構成する。それぞれのプログラムモジュールの概要を説明する。
【0052】
基板位置計測部1231は、画像センサ1150、テンプレート画像記憶部1240の画像情報、第1変位センサ1130、第2変位センサ1120、第3変位センサ1130を用いて基板400が供給位置と保持位置にあるときの位置情報を取得することを行う。複数ある基板ホルダ200にそれぞれ基板400を装着しながらこれらの位置を取得し、基板位置データ記憶部1250に記憶することを行う。
【0053】
代表偏差算出部1232は、基板位置データ記憶部1250に記憶された基板400の供給位置と保持位置とからそれぞれの偏差を求め、その中から代表偏差を求めることを行う。
【0054】
教示部1233は、代表値算出部1232で求めた代表偏差を基に供給位置を求め、これをロボットコントローラ160に教示する。
【0055】
基板位置データ記憶部1250に記憶される測定値を署得する具体的なフローを図14に示す。まず、ステップS110において、3つの測定点400a1、400a2、400a3に対するY変位を取得すると共に、投影画像を取得する。基板400が傾いているときの投影画像Paは、図16に示すように楕円形をなす。
ステップS110の処理の後は、図15に示すように、傾きαと傾きγを求める(ステップS120)。このとき、いずれもY方向の測定値である第1変位センサ1110の測定値h1と、第2変位センサ1120の測定値h2を用いてCHvの位置を算出する。測定値h1、h2、h3と算出されたhvを用いて傾きαと傾きγが求められる。この演算は、角度演算部1180において行われる。
次に、ステップS130において、α、γに基づいてテンプレート画像記憶部1240に格納されたテンプレートに対し補正が行われる。この処理は、誤差補正部1190において行われ、テンプレート生成部1200において、新たなテンプレートが生成される。生成されたテンプレートは、画像処理演算部1210に送られる。画像処理演算部1210には、画像取得部1160によって取得された投影画像も送られる。
ステップS130の処理が実行された後、ステップS140へ進む。ステップS140では、テンプレートマッチングが行われる。そして、テンプレートマッチングによりX、Y、Z、βの測定値が算出される。
以上のプロセスを経ることによって6自由度情報が取得される(S170)。
【0056】
テンプレートマッチングは、以下のように行われる。
テンプレートマッチングは、予め用意してあるテンプレート画像と撮像部から取得した画像とを重ね合わせて類似度を算出し、テンプレート画像の位置を移動させながら最も高い類似度を示す位置を探索することによって求める箇所の位置を得るものである。テンプレートマッチングの具体的な手法は様々なものが提案されているが、最も基本的な手法は以下の通りである。
【0057】
まず、テンプレート生成部1200において生成されたテンプレートを画像処理演算部1210に登録する。処理時間を短縮しノイズの影響を低減するため、ROI(Region of interest)を設定する。テンプレートは、基板400の外周円よりも大きな円と小さな円とで囲まれたドーナツ状の領域を切り出し、基板400のテンプレート画像Mとしている。
【0058】
次に、画像処理演算部1210が取得した投影画像I(i,j)とテンプレート画像M(i,j)とを比較し、投影画像の中から最も一致する位置を探し出す。
【0059】
式1
【0060】
(a,b)は走査位置を表わし、a、bをそれぞれ1画素ずつシフトさせることでテンプレート画像を投影画像上で走査したときの各位置における類似度(相関値)が求まる。類似度が最も大きくなる(a,b)が基板400の中心位置であり、円形のテンプレートの半径をrとすると,検出した基板400の中心位置は(a+r,b+r)となる。
【0061】
本実施例では、基板400がロボット300によって基板ホルダ200に供給されるときの供給位置と基板ホルダ200によって保持されたときの保持位置との偏差を求めるが、その偏差の算出の方法について説明する。以下の説明では、X軸方向を例に説明しているが他の軸でも同様の方法で求めることができる。
基板400が上部爪210、220に押し付けられる際に、基板400の中心は供給位置から保持位置への移動が生じ、偏差(ΔxとΔz)が発生する。偏差量は、理想的には全基板ホルダ200においてゼロであることが望ましいが、上部爪210、220を基板ホルダ200に取り付ける時に組立誤差があるため、ばらつきが生じる。
【0062】
基板ホルダkの偏差ΔXkは、
式2
【0063】
で求まる。オペレータの供給位置の教示後に、全基板ホルダ200に対する偏差量を上式で求め、偏差のばらつき分布を得る
【0064】
そして、供給位置を基準とした正負のばらつき分布が同数となるよう、中央値を代表値ΔXrとする。基板ホルダ数がN個のとき、偏差ΔXkを昇順に並べる。即ち、
【0065】
式3
【0066】
このときの中央値ΔXrは次式で与えられる。
基板ホルダの総数Nが偶数のとき:
【0067】
式4
【0068】
基板ホルダの総数Nが奇数のとき:
【0069】
式5
【0070】
このようにして算出された中央値ΔXrを最初にオペレータが与えた教示位置に加えることによって教示位置修正が行われる。以後、ロボットコントローラ160へは最初にオペレータが与えた教示位置に中央値ΔXrが教示される。
【0071】
本実施例の成膜装置1000は、位置測定装置1100を備えているので、一方向からの測定によって対象物である基板400の位置情報を精度よく取得することができる。そして、その位置情報を利用して最適教示位置を算出することができる。
【0072】
最適教示位置に基板400を供給することによって、歩留り低下や基板落下による成膜装置1000を停止させなければならない事態を回避することができる。
【0073】
また、位置測定装置1100は、稼動中の成膜装置1000において、基板支持プロセス中の基板姿勢変化を基板ホルダ毎に測定し、前ホルダのトレンドに対して明らかに異常とみられる基板ホルダ200を特定することも可能となる。異常と判断された基板ホルダ200に対しては、交換する等、排出する措置をとることができる。これにより、歩留り低下や基板落下による装置停止の頻度を低減することができる。
【0074】
さらに、位置測定装置1100は、稼動中の成膜装置1000において、基板支持プロセス中の基板姿勢変化を基板ホルダ毎に測定し、得られた基板姿勢の面内回転自由度、すなわち、傾きβを除く5自由度情報から上爪210等の保持爪付近の基板変位量を算出することも可能となる。この変位量は、上爪210等に堆積した成膜層の剥離を引き起こす基板400の滑り量とみなすことができる。この滑り量が大きくなる場合には、基板ホルダ200を交換したり、供給ロボット300による教示位置の修正を行ったりすることにより歩留り低下を抑制することができる。
【0075】
また、本実施例の位置測定装置1100における測距部及び撮像部は、図17にその測定値の一部を示すように連続的に測定情報を取得し、6自由度情報演算部1220は、対象物の位置情報を継続的に算出し、記憶している。このため、任意のタイミングの位置情報を得ることができる。また、記憶された情報を事後的に解析することも可能である。
【0076】
ここで、位置検出の精度をさらに向上させることができる例について説明する。第1変位センサ1110、第2変位センサ1120、第3変位センサ1130は、いずれもレーザ光を用いたセンサとなっている。ここで、これらのセンサとして三角測量方式を採用した場合の測定について説明する。
【0077】
図18は、三角測量方式を採用した場合の、基板400の位置測定プロセスのフロー図である。
【0078】
図14に示したフロー図と比較すると、ステップS230〜S250までの処理が追加されている。すなわち、ステップS210、S220の処理は、図14におけるステップS110、S120と共通である。また、ステップS260〜S280の処理は、図14におけるステップS130〜S150の処理と共通である。
【0079】
三角測量方式を用い、レーザ光によって変位を測定する変位センサは、図19に示すように照射したレーザの反射光を受光レンズ1112で集光し、検出素子1113によって受光量のピークを検出して変位を出力する。測定対象が鏡面でない場合は、拡散光となるため、強い反射光を受光しにくく、測定対象の角度変化に因る受光ピーク変動は少ない。ところが、測定対象が基板400のような鏡面体である場合、反射光は正反射となるため、強い反射光の影響を受けて受光ピークが変動し、誤差を含んだ変位を出力してしまう。図19に示す通り、正反射測定時の測定誤差は、受光レンズ1112の収差に起因するため、誤差量は、受光レンズ1112上の入光位置によって一意に決まる。
この角度変化による誤差発生量は、実験的に取得が可能であり、入光位置が特定できれば、誤差補正が可能となる。
【0080】
入光位置の変動量は、計測結果から算出された図20に示す角度変化量θおよび幾何学的設置条件から以下の計算式により算出される。
入光位置変動量 l=L×tan(Φ+θ)−L×tan(Φ)
【0081】
図21は、変位センサ1100ヘッドの受光窓における位置座標の説明図である。また、図22は、受光窓への正反射光位置による補正値を纏めたテーブルの一例である。
【0082】
図18に示すフロー図に基づいて位置測定を行う場合は、ステップS230において、上記の式により、入光位置変動量lを算出する。そして、ステップS240において、図22に示すテーブルを参照し、ステップS250において、変位センサの誤差補正を行う。この処理を第1変位センサ1110、第2変位センサ1120、第3変位センサ1130の3つの変位センサのY変位に対して行う。以後、このようにして補正されたY変位の測定値を用いて最終的な6自由度情報を取得する(S260〜S280)。
【0083】
このような誤差補正の処理を行うことにより、より精度の高い位置測定を行うことができる。
【0084】
以上本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0085】
200…基板ホルダ
300…供給ロボット
400…基板
600…垂直仮想平面
1000…成膜装置
1100…位置測定装置
1110…第1変位センサ
1120…第2変位センサ
1130…第3変位センサ
1150…画像センサ
Pa…投影画像
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物が有する測定対象平面上の少なくとも3つの測定点に対し、当該測定点までの水平方向の距離をそれぞれ測定する測距部と、
水平方向から前記対象物の前記測定対象平面の投影画像を撮像する撮像部と、
前記測距部によって取得された距離情報に基づいて前記測定対象平面の傾き情報を取得すると共に、当該傾き情報と前記投影画像とに基づいて前記対象物の位置情報を取得する演算部と、
を備えたことを特徴とした位置測定装置。
【請求項2】
前記測距部は、垂直仮想平面に正対するように配置されると共に、前記測定点に対応する少なくとも3つの変位センサを有し、当該変位センサは、前記測定対象平面が前記垂直仮想平面と平行状態となったときに、前記測定点までの光学距離が等しくなるように配置されたことを特徴とした請求項1記載の位置測定装置。
【請求項3】
前記演算部は、
前記測距部によって取得された距離情報に基づいて前記垂直仮想平面から外れる向きの前記測定対象平面の傾き情報を算出し、当該測定対象平面の前記傾き情報に基づいて補正されたテンプレートと、前記投影画像とに基づいて前記対象物の位置情報を取得することを特徴とした請求項1記載の位置測定装置。
【請求項4】
前記測距部及び前記撮像部は、連続的に測定情報を取得し、前記演算部は、前記対象物の位置情報を継続的に算出することを特徴とした請求項1乃至3のいずれか一項記載の位置測定装置。
【請求項5】
複数の基板ホルダに、供給ロボットによって順次円板状の基板を垂直に支持させる支持手順と、
前記基板ホルダに支持された前記基板を順次複数の成膜チャンバに移動させ、各成膜チャンバ内で成膜処理を行う成膜手順と、
当該成膜手順が終了した前記基板を供給ロボットによって前記基板ホルダから取り外す取り外し手順と、
前記支持手順における前記基板の位置情報を記録する位置情報記録手順と、
前記位置情報記録手順において記録された位置情報から前記供給ロボットに対する教示位置を修正する教示位置修正手順と、
を含み、
前記位置情報記録手順は、基板の測定対象平面上の少なくとも3つの測定点に対し、水平方向の距離を測定する測距手順と、水平方向から前記基板の前記測定対象平面の投影画像を撮像する撮像手順と、前記水平方向の距離に基づいて前記測定対象平面の傾き情報を取得する傾き情報取得手順と、前記傾き情報と前記投影画像とに基づいて前記基板の位置情報を取得する位置情報取得手順と、
を、含むことを特徴とした成膜方法。
【請求項6】
前記測距手順は、垂直仮想平面に対し正対するように配置されると共に、前記測定点に対応する少なくとも3つの変位センサによって行われ、当該変位センサは、前記測定対象平面が前記垂直仮想平面と平行状態となったときに、前記測定点までの光学距離が等しくなるように配置されたことを特徴とした請求項5記載の成膜方法。
【請求項7】
前記傾き情報取得手順は、
前記測距手順によって取得された距離情報に基づいて前記垂直仮想平面から外れる向きの前記測定対象平面の傾き情報を算出し、
前記位置情報取得手順は、前記測定対象平面の前記傾き情報に基づいて補正されたテンプレートと、前記投影画像とに基づいて前記基板の位置情報を取得することを特徴とした請求項6記載の成膜方法。
【請求項8】
前記測距手順及び前記撮像手順は、連続的に測定情報を取得し、前記位置情報記録手順は、前記基板の位置情報を継続的に算出することを特徴とした請求項5乃至7のいずれか一項記載の成膜方法。
【請求項9】
円板状の基板に成膜処理を施す成膜プログラムであって、
コンピュータに、
複数の基板ホルダに、供給ロボットによって順次円板状の基板を垂直に支持させる支持手順と、
前記基板ホルダに支持された前記基板を順次複数の成膜チャンバに移動させ、各成膜チャンバ内で成膜処理を行う成膜手順と、
当該成膜手順が終了した前記基板を供給ロボットによって前記基板ホルダから取り外す取り外し手順と、
前記支持手順における前記基板の位置情報を記録する位置情報記録手順と、
前記位置情報記録工程において記録された位置情報から前記供給ロボットに対する教示位置を修正する教示位置修正手順と、
を含み、
前記位置情報記録手順に含まれる、基板の測定対象平面上の少なくとも3つの測定点に対し、水平方向の距離を測定する測距手順と、水平方向から前記基板の前記測定対象平面の投影画像を撮像する撮像手順と、前記水平方向の距離に基づいて前記測定対象平面の傾き情報を取得する傾き情報取得手順と、前記傾き情報と前記投影画像とに基づいて前記基板の位置情報を取得する位置情報取得手順と、
を実行させるための成膜プログラム。
【請求項10】
供給ロボットと、
キャリア上に搭載された基板ホルダと、
内部で前記供給ロボットによって円板状の基板を前記基板ホルダに支持させるローダチャンバと、
当該ローダチャンバに設けられたチャンバ窓と、
前記基板ホルダに支持された基板が順次巡回し、内部で前記基板に対し成膜処理を施す複数の成膜チャンバと、
前記チャンバ窓を通じて、前記基板の位置測定を行う請求項1乃至4のいずれか一項記載の位置測定装置と、
当該位置測定装置によって取得された基板の位置情報に基づいて前記供給ロボットに対する位置教示する位置教示部と、
を、備えたことを特徴とした成膜装置。
【請求項1】
対象物が有する測定対象平面上の少なくとも3つの測定点に対し、当該測定点までの水平方向の距離をそれぞれ測定する測距部と、
水平方向から前記対象物の前記測定対象平面の投影画像を撮像する撮像部と、
前記測距部によって取得された距離情報に基づいて前記測定対象平面の傾き情報を取得すると共に、当該傾き情報と前記投影画像とに基づいて前記対象物の位置情報を取得する演算部と、
を備えたことを特徴とした位置測定装置。
【請求項2】
前記測距部は、垂直仮想平面に正対するように配置されると共に、前記測定点に対応する少なくとも3つの変位センサを有し、当該変位センサは、前記測定対象平面が前記垂直仮想平面と平行状態となったときに、前記測定点までの光学距離が等しくなるように配置されたことを特徴とした請求項1記載の位置測定装置。
【請求項3】
前記演算部は、
前記測距部によって取得された距離情報に基づいて前記垂直仮想平面から外れる向きの前記測定対象平面の傾き情報を算出し、当該測定対象平面の前記傾き情報に基づいて補正されたテンプレートと、前記投影画像とに基づいて前記対象物の位置情報を取得することを特徴とした請求項1記載の位置測定装置。
【請求項4】
前記測距部及び前記撮像部は、連続的に測定情報を取得し、前記演算部は、前記対象物の位置情報を継続的に算出することを特徴とした請求項1乃至3のいずれか一項記載の位置測定装置。
【請求項5】
複数の基板ホルダに、供給ロボットによって順次円板状の基板を垂直に支持させる支持手順と、
前記基板ホルダに支持された前記基板を順次複数の成膜チャンバに移動させ、各成膜チャンバ内で成膜処理を行う成膜手順と、
当該成膜手順が終了した前記基板を供給ロボットによって前記基板ホルダから取り外す取り外し手順と、
前記支持手順における前記基板の位置情報を記録する位置情報記録手順と、
前記位置情報記録手順において記録された位置情報から前記供給ロボットに対する教示位置を修正する教示位置修正手順と、
を含み、
前記位置情報記録手順は、基板の測定対象平面上の少なくとも3つの測定点に対し、水平方向の距離を測定する測距手順と、水平方向から前記基板の前記測定対象平面の投影画像を撮像する撮像手順と、前記水平方向の距離に基づいて前記測定対象平面の傾き情報を取得する傾き情報取得手順と、前記傾き情報と前記投影画像とに基づいて前記基板の位置情報を取得する位置情報取得手順と、
を、含むことを特徴とした成膜方法。
【請求項6】
前記測距手順は、垂直仮想平面に対し正対するように配置されると共に、前記測定点に対応する少なくとも3つの変位センサによって行われ、当該変位センサは、前記測定対象平面が前記垂直仮想平面と平行状態となったときに、前記測定点までの光学距離が等しくなるように配置されたことを特徴とした請求項5記載の成膜方法。
【請求項7】
前記傾き情報取得手順は、
前記測距手順によって取得された距離情報に基づいて前記垂直仮想平面から外れる向きの前記測定対象平面の傾き情報を算出し、
前記位置情報取得手順は、前記測定対象平面の前記傾き情報に基づいて補正されたテンプレートと、前記投影画像とに基づいて前記基板の位置情報を取得することを特徴とした請求項6記載の成膜方法。
【請求項8】
前記測距手順及び前記撮像手順は、連続的に測定情報を取得し、前記位置情報記録手順は、前記基板の位置情報を継続的に算出することを特徴とした請求項5乃至7のいずれか一項記載の成膜方法。
【請求項9】
円板状の基板に成膜処理を施す成膜プログラムであって、
コンピュータに、
複数の基板ホルダに、供給ロボットによって順次円板状の基板を垂直に支持させる支持手順と、
前記基板ホルダに支持された前記基板を順次複数の成膜チャンバに移動させ、各成膜チャンバ内で成膜処理を行う成膜手順と、
当該成膜手順が終了した前記基板を供給ロボットによって前記基板ホルダから取り外す取り外し手順と、
前記支持手順における前記基板の位置情報を記録する位置情報記録手順と、
前記位置情報記録工程において記録された位置情報から前記供給ロボットに対する教示位置を修正する教示位置修正手順と、
を含み、
前記位置情報記録手順に含まれる、基板の測定対象平面上の少なくとも3つの測定点に対し、水平方向の距離を測定する測距手順と、水平方向から前記基板の前記測定対象平面の投影画像を撮像する撮像手順と、前記水平方向の距離に基づいて前記測定対象平面の傾き情報を取得する傾き情報取得手順と、前記傾き情報と前記投影画像とに基づいて前記基板の位置情報を取得する位置情報取得手順と、
を実行させるための成膜プログラム。
【請求項10】
供給ロボットと、
キャリア上に搭載された基板ホルダと、
内部で前記供給ロボットによって円板状の基板を前記基板ホルダに支持させるローダチャンバと、
当該ローダチャンバに設けられたチャンバ窓と、
前記基板ホルダに支持された基板が順次巡回し、内部で前記基板に対し成膜処理を施す複数の成膜チャンバと、
前記チャンバ窓を通じて、前記基板の位置測定を行う請求項1乃至4のいずれか一項記載の位置測定装置と、
当該位置測定装置によって取得された基板の位置情報に基づいて前記供給ロボットに対する位置教示する位置教示部と、
を、備えたことを特徴とした成膜装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2010−160855(P2010−160855A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−2936(P2009−2936)
【出願日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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