説明

保護膜形成装置およびレーザー加工機

【課題】被加工物の異なる領域にそれぞれ異なる液状樹脂を被覆することができる保護膜形成装置を提供する。
【解決手段】保護膜形成装置であって、被加工物保持手段と、被加工物に第1の液状樹脂を微細粒子として噴射する第1の液状樹脂噴射手段70aおよび第2の液状樹脂を微細粒子として噴射する第2の液状樹脂噴射手段70bと、液状樹脂噴射手段70と被加工物保持手段を相対的に加工送り方向(X軸方向)に移動せしめる加工送り手段と、X軸方向と直交する割り出し送り方向(Y軸方向)に移動せしめる割り出し送り手段と、液状樹脂噴射手段70と被加工物保持手段との相対位置関係を検出するX軸方向位置検出手段と、Y軸方向に相対移動する液状樹脂噴射手段70と被加工物保持手段との相対位置関係を検出するY軸方向位置検出手段と、X軸方向位置検出手段およびY軸方向位置検出手段からの検出信号に基いて噴射手段を制御する制御手段とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエーハ等の被加工物の加工面に保護膜を被覆する保護膜形成装置および保護膜形成装置を装備したレーザー加工機に関する。
【背景技術】
【0002】
当業者には周知の如く、半導体デバイス製造工程においては、シリコン等の半導体基板の表面に絶縁膜と機能膜が積層された積層体によって複数のIC、LSI等のデバイスをマトリックス状に形成した半導体ウエーハが形成される。このように形成された半導体ウエーハは上記デバイスがストリートと呼ばれる分割予定ラインによって区画されており、このストリートに沿って切断することによって個々のデバイスを製造している。また、サファイア基板等の表面に格子状に形成されたストリートによって複数の領域が区画され、この区画された領域に窒化ガリウム系化合物半導体等が積層され光デバイスが形成された光デバイスウエーハは、ストリートに沿って個々の発光ダイオード、レーザーダイオード等の光デバイスに分割され、電気機器に広く利用されている。
【0003】
このような半導体ウエーハや光デバイスウエーハ等のウエーハをストリートに沿って分割する方法として、ウエーハ等の被加工物に形成されたストリートに沿ってパルスレーザー光線を照射することによりレーザー加工溝を形成し、このレーザー加工溝に沿ってメカニカルブレーキング装置によって割断する方法が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)
【0004】
レーザー加工は切削加工に比して加工速度を速くすることができるとともに、サファイアのように硬度の高い素材からなるウエーハであっても比較的容易に加工することができる。しかしながら、ウエーハのストリートに沿ってレーザー光線を照射すると、照射された領域に熱エネルギーが集中してデブリが発生し、このデブリがデバイスの表面に付着してデバイスの品質を低下させるという新たな問題が生じる。
【0005】
上記デブリによる問題を解消するために、ウエーハの加工面にポリビニルアルコール(PVA)等の保護膜を被覆し、保護膜を通してウエーハにレーザー光線を照射するようにしたレーザー加工機が提案されている。(例えば、特許文献2参照。)
【0006】
上記特許文献2に開示された保護膜の被覆方法は、スピンナーテーブルに保持された被加工物の中心部にポリビニルアルコール(PVA)等の液状樹脂を供給し、スピンナーテーブルを回転することにより遠心力によって液状樹脂を被加工物の外周に向けて移動させ、被加工物の表面に保護膜を形成する所謂スピンコート法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−305420号公報
【特許文献2】特開2007−201178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ウエーハの表面に被覆する液状樹脂としてはポリビニルアルコール(PVA)等の液状樹脂が用いられるが、レーザー加工を効率よく実施するためにはレーザー光線の吸収を促進させる物質であることが望ましい。レーザー光線の吸収を促進させるためには、ポリビニルアルコール(PVA)に二酸化チタン(TiO2)を混入させた加工促進用液状樹脂を用いることが有効である。しかるに、二酸化チタン(TiO2) を混入させた加工促進用液状樹脂は高価であり、ウエーハにおけるレーザー加工を施すストリート以外の領域にも高価な機能樹脂を被覆することは不経済である。従って、ウエーハにおけるレーザー加工を施すストリートには二酸化チタン(TiO2) を混入させた加工促進用液状樹脂を被覆し、ストリート以外の領域にポリビニルアルコール(PVA)等の液状樹脂を被覆するのが望ましいが、上記スピンコート法においては2種類の樹脂を選択的に被覆することはできない。
【0009】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、被加工物の異なる領域にそれぞれ異なる液状樹脂を被覆することができる保護膜形成装置およびレーザー加工機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、被加工物の加工面における所定の被覆領域に液状樹脂を被覆する保護膜形成装置であって、
被加工物を保持する被加工物保持手段と、該被加工物保持手段に保持された被加工物に第1の液状樹脂を微細粒子として噴射する第1の液状樹脂噴射手段および第2の液状樹脂を微細粒子として噴射する第2の液状樹脂噴射手段と、該第1の液状樹脂噴射手段および該第2の液状樹脂噴射手段と該被加工物保持手段を相対的に加工送り方向(X軸方向)に移動せしめる加工送り手段と、該第1の液状樹脂噴射手段および該第2の液状樹脂噴射手段と該被加工物保持手段を相対的にX軸方向と直交する割り出し送り方向(Y軸方向)に移動せしめる割り出し送り手段と、該加工送り手段によってX軸方向に相対移動する該第1の液状樹脂噴射手段および該第2の液状樹脂噴射手段と該被加工物保持手段との相対位置関係を検出するX軸方向位置検出手段と、該割り出し送り手段によってY軸方向に相対移動する該第1の液状樹脂噴射手段および該第2の液状樹脂噴射手段と該被加工物保持手段との相対位置関係を検出するY軸方向位置検出手段と、該X軸方向位置検出手段および該Y軸方向位置検出手段からの検出信号に基いて該第1の液状樹脂噴射手段および該第2の液状樹脂噴射手段を制御する制御手段と、を具備し、
該制御手段は、被加工物の被加工面における第1の液状樹脂によって被覆すべき第1の被覆領域と第2の液状樹脂によって被覆すべき第2の被覆領域とが設定された座標マップを格納するメモリを具備し、該メモリに格納された該座標マップに設定された第1の被覆領域および第2の被覆領域と該X軸方向位置検出手段および該Y軸方向位置検出手段からの検出信号に基いて該第1の液状樹脂噴射手段および該第2の液状樹脂噴射手段を制御する、
ことを特徴とする保護膜形成装置が提供される。
【0011】
上記第1の液状樹脂噴射手段および第2の液状樹脂噴射手段は、それぞれ第1の液状樹脂を供給する第1の液状樹脂供給手段および第2の液状樹脂を供給する第2の液状樹脂供給手段と、第1の液状樹脂を供給する第1の液状樹脂供給手段および第2の液状樹脂を供給する第2の液状樹脂供給手段によって供給された第1の液状樹脂および第2の液状樹脂を微細粒子として噴射する第1の噴射ノズル手段および第2の噴射ノズル手段とからなっている。
また、被加工物は表面に複数のストリートが格子状に形成されているとともに複数のストリートによって区画された複数の領域にデバイスが形成されたウエーハであり、第1の被覆領域はストリート領域で、第2の被覆領域は該デバイス領域であって、ストリート領域およびデバイス領域の設計値が上記メモリに格納される。
【0012】
また、本発明によれば、被加工物を保持する被加工物保持手段と、該被加工物保持手段に保持された被加工物にレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段と、該被加工物保持手段に保持された被加工物にレーザー加工を施す加工前の被加工物の被加工面における所定の被覆領域に液状樹脂を被覆する保護膜形成装置と、該レーザー光線照射手段と該被加工物保持手段を相対的に加工送り方向(X軸方向)に移動せしめる加工送り手段と、該レーザー光線照射手段と該被加工物保持手段を相対的にX軸方向と直交する割り出し送り方向(Y軸方向)に移動せしめる割り出し送り手段と、該加工送り手段によってX軸方向に相対移動する該レーザー光線照射手段と該被加工物保持手段との相対位置関係を検出するX軸方向位置検出手段と、該割り出し送り手段によってY軸方向に相対移動する該レーザー光線照射手段と該被加工物保持手段との相対位置関係を検出するY軸方向位置検出手段と、該X軸方向位置検出手段および該Y軸方向位置検出手段からの検出信号に基いて該レーザー光線照射手段および該保護膜形成装置を制御する制御手段と、を具備するレーザー加工機において、
該保護膜形成装置は、該被加工物保持手段に保持された被加工物に第1の液状樹脂を微細粒子として噴射する第1の液状樹脂噴射手段および第2の液状樹脂を微細粒子として噴射する第2の液状樹脂噴射手段を具備し、
該制御手段は、被加工物の被加工面における第1の液状樹脂によって被覆すべき第1の被覆領域と第2の液状樹脂によって被覆すべき第2の被覆領域とが設定された座標マップを格納するメモリを具備し、該メモリに格納された該座標マップに設定された第1の被覆領域および第2の被覆領域と該X軸方向位置検出手段および該Y軸方向位置検出手段からの検出信号に基いて該第1の液状樹脂噴射手段および該第2の液状樹脂噴射手段を制御する、
ことを特徴とするレーザー加工機が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明による保護膜形成装置においては、被加工物保持手段に保持された被加工物に第1の液状樹脂を微細粒子として噴射する第1の液状樹脂噴射手段および第2の液状樹脂を微細粒子として噴射する第2の液状樹脂噴射手段を具備し、第1の液状樹脂噴射手段および第2の液状樹脂噴射手段を制御する制御手段は、被加工物の被加工面における第1の液状樹脂によって被覆すべき第1の被覆領域と第2の液状樹脂によって被覆すべき第2の被覆領域とが設定された座標マップを格納するメモリを具備し、該メモリに格納された座標マップに設定された第1の被覆領域および第2の被覆領域とX軸方向位置検出手段およびY軸方向位置検出手段からの検出信号に基いて第1の液状樹脂噴射手段および第2の液状樹脂噴射手段を制御するので、2つの領域に異なる液状樹脂を被覆することができる。従って、被加工物が表面に複数のストリートが格子状に形成されているとともに複数のストリートによって区画された複数の領域にデバイスが形成されたウエーハであり、ストリートに沿ってレーザー加工する際に保護膜を形成する場合には、ストリート領域に加工促進用液状樹脂膜を被覆し、デバイス領域に液状樹脂膜を被覆することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に従って構成されたレーザー加工機の斜視図。
【図2】図1に示すレーザー加工機に装備される保護膜形成装置のブロック構成図。
【図3】図1に示すレーザー加工機に装備される制御手段のブロック構成図。
【図4】被加工物であるウエーハとしての半導体ウエーハの斜視図。
【図5】図4に示す半導体ウエーハの表面に形成された格子状のストリートとデバイスの座標値を示す説明図。
【図6】図4に示す半導体ウエーハが環状のフレームに装着されたダイシングテープの表面に貼着された状態を示す斜視図。
【図7】図1に示すレーザー加工機に装備される保護膜形成装置によって実施する第1の液状樹脂被覆工程の説明図。
【図8】図1に示すレーザー加工機に装備される保護膜形成装置によって実施する第2の液状樹脂被覆工程の説明図。
【図9】図7および図8に示す第1の液状樹脂被覆工程および第2の液状樹脂被覆工程が実施された半導体ウエーハの平面図。
【図10】図1に示すレーザー加工機によって実施するレーザー光線照射工程を示す説明図。
【図11】図10に示すレーザー光線照射工程によってレーザー加工された被加工物としての半導体ウエーハの要部拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に従って構成された保護膜形成装置およびレーザー加工機の好適な実施形態について、添付図面を参照して、更に詳細に説明する。
【0016】
図1には、本発明に従って構成された保護膜形成装置を装備したレーザー加工機の斜視図が示されている。
図1に示すレーザー加工機は、静止基台2と、該静止基台2に矢印Xで示す加工送り方向(X軸方向)に移動可能に配設され被加工物を保持するチャックテーブル機構3と、静止基台2に上記X軸方向と直交する矢印Yで示す割り出し送り方向(Y軸方向)に移動可能に配設されたレーザー光線照射ユニット支持機構4と、該レーザー光線照射ユニット支持機構4に矢印Zで示す集光点位置調整方向(Z軸方向)に移動可能に配設されたレーザー光線照射ユニット5とを具備している。
【0017】
上記チャックテーブル機構3は、静止基台2上にX軸方向に沿って平行に配設された一対の案内レール31、31と、該案内レール31、31上にX軸方向に移動可能に配設された第一の滑動ブロック32と、該第1の滑動ブロック32上に矢印Yで示す割り出し送り方向に移動可能に配設された第2の滑動ブロック33と、該第2の滑動ブロック33上に円筒部材34によって支持されたカバーテーブル35と、被加工物保持手段としてのチャックテーブル36を具備している。このチャックテーブル36は多孔性材料から形成された吸着チャック361を具備しており、吸着チャック361上に被加工物である例えば円盤状の半導体ウエーハを図示しない吸引手段によって保持するようになっている。このように構成されたチャックテーブル36は、円筒部材34内に配設された図示しないパルスモータによって回転せしめられる。なお、チャックテーブル36には、後述する環状のフレームを固定するためのクランプ362が配設されている。
【0018】
上記第1の滑動ブロック32は、その下面に上記一対の案内レール31、31と嵌合する一対の被案内溝321、321が設けられているとともに、その上面にY軸方向に沿って平行に形成された一対の案内レール322、322が設けられている。このように構成された第1の滑動ブロック32は、被案内溝321、321が一対の案内レール31、31に嵌合することにより、一対の案内レール31、31に沿ってX軸方向に移動可能に構成される。図示の実施形態におけるチャックテーブル機構3は、第1の滑動ブロック32を一対の案内レール31、31に沿ってX軸方向に移動させるための加工送り手段37を具備している。加工送り手段37は、上記一対の案内レール31と31の間に平行に配設された雄ネジロッド371と、該雄ネジロッド371を回転駆動するためのパルスモータ372等の駆動源を含んでいる。雄ネジロッド371は、その一端が上記静止基台2に固定された軸受ブロック373に回転自在に支持されており、その他端が上記パルスモータ372の出力軸に伝動連結されている。なお、雄ネジロッド371は、第1の滑動ブロック32の中央部下面に突出して設けられた図示しない雌ネジブロックに形成された貫通雌ネジ穴に螺合されている。従って、パルスモータ372によって雄ネジロッド371を正転および逆転駆動することにより、第一の滑動ブロック32は案内レール31、31に沿ってX軸方向に移動せしめられる。
【0019】
図示の実施形態におけるレーザー加工装置は、上記チャックテーブル36のX軸方向位置を検出するためのX軸方向位置検出手段374を備えている。X軸方向位置検出手段374は、案内レール31に沿って配設されたリニアスケール374aと、第1の滑動ブロック32に配設され第1の滑動ブロック32とともにリニアスケール374aに沿って移動する読み取りヘッド374bとからなっている。このX軸方向位置検出手段374の読み取りヘッド374bは、図示の実施形態においては1μm毎に1パルスのパルス信号を後述する制御手段に送る。そして後述する制御手段は、入力したパルス信号をカウントすることにより、チャックテーブル36のX軸方向位置を検出する。なお、上記加工送り手段37の駆動源としてパルスモータ372を用いた場合には、パルスモータ372に駆動信号を出力する後述する制御手段の駆動パルスをカウントすることにより、チャックテーブル36のX軸方向位置を検出することもできる。また、上記加工送り手段37の駆動源としてサーボモータを用いた場合には、サーボモータの回転数を検出するロータリーエンコーダが出力するパルス信号を後述する制御手段に送り、制御手段が入力したパルス信号をカウントすることにより、チャックテーブル36のX軸方向位置を検出することもできる。
【0020】
上記第2の滑動ブロック33は、その下面に上記第1の滑動ブロック32の上面に設けられた一対の案内レール322、322と嵌合する一対の被案内溝331、331が設けられており、この被案内溝331、331を一対の案内レール322、322に嵌合することにより、矢印Yで示す割り出し送り方向に移動可能に構成される。図示の実施形態におけるチャックテーブル機構3は、第2の滑動ブロック33を第1の滑動ブロック32に設けられた一対の案内レール322、322に沿ってY軸方向に移動させるための第1の割り出し送り手段38を具備している。第1の割り出し送り手段38は、上記一対の案内レール322と322の間に平行に配設された雄ネジロッド381と、該雄ネジロッド381を回転駆動するためのパルスモータ382等の駆動源を含んでいる。雄ネジロッド381は、その一端が上記第1の滑動ブロック32の上面に固定された軸受ブロック383に回転自在に支持されており、その他端が上記パルスモータ382の出力軸に伝動連結されている。なお、雄ネジロッド381は、第2の滑動ブロック33の中央部下面に突出して設けられた図示しない雌ネジブロックに形成された貫通雌ネジ穴に螺合されている。従って、パルスモータ382によって雄ネジロッド381を正転および逆転駆動することにより、第2の滑動ブロック33は案内レール322、322に沿ってY軸方向に移動せしめられる。
【0021】
図示の実施形態におけるレーザー加工機は、上記第2の滑動ブロック33のY軸方向位置を検出するためのY軸方向位置検出手段384を備えている。Y軸方向位置検出手段384は、案内レール322に沿って配設されたリニアスケール384aと、第2の滑動ブロック33に配設され第2の滑動ブロック33とともにリニアスケール384aに沿って移動する読み取りヘッド384bとからなっている。このY軸方向位置検出手段384の読み取りヘッド384bは、図示の実施形態においては1μm毎に1パルスのパルス信号を後述する制御手段に送る。そして後述する制御手段は、入力したパルス信号をカウントすることにより、チャックテーブル36のY軸方向位置を検出する。なお、上記第1の割り出し送り手段38の駆動源としてパルスモータ382を用いた場合には、パルスモータ382に駆動信号を出力する後述する制御手段の駆動パルスをカウントすることにより、チャックテーブル36のY軸方向位置を検出することもできる。また、上記第1の割り出し送り手段38の駆動源としてサーボモータを用いた場合には、サーボモータの回転数を検出するロータリーエンコーダが出力するパルス信号を後述する制御手段に送り、制御手段が入力したパルス信号をカウントすることにより、チャックテーブル36のY軸方向位置を検出することもできる。
【0022】
上記レーザー光線照射ユニット支持機構4は、静止基台2上に矢印Yで示す割り出し送り方向に沿って平行に配設された一対の案内レール41、41と、該案内レール41、41上にY軸方向に移動可能に配設された可動支持基台42を具備している。この可動支持基台42は、案内レール41、41上に移動可能に配設された移動支持部421と、該移動支持部421に取り付けられた装着部422とからなっている。装着部422は、一方の側面にZ軸方向に延びる一対の案内レール423、423が平行に設けられている。図示の実施形態におけるレーザー光線照射ユニット支持機構4は、可動支持基台42を一対の案内レール41、41に沿ってY軸方向に移動させるための第2の割り出し送り手段43を具備している。第2の割り出し送り手段43は、上記一対の案内レール41、41の間に平行に配設された雄ネジロッド431と、該雄ネジロッド431を回転駆動するためのパルスモータ432等の駆動源を含んでいる。雄ネジロッド431は、その一端が上記静止基台2に固定された図示しない軸受ブロックに回転自在に支持されており、その他端が上記パルスモータ432の出力軸に伝動連結されている。なお、雄ネジロッド431は、可動支持基台42を構成する移動支持部421の中央部下面に突出して設けられた図示しない雌ネジブロックに形成された雌ネジ穴に螺合されている。このため、パルスモータ432によって雄ネジロッド431を正転および逆転駆動することにより、可動支持基台42は案内レール41、41に沿ってY軸方向に移動せしめられる。
【0023】
図示の実施形態におけるレーザー光線照射ユニット5は、ユニットホルダ51と、該ユニットホルダ51に取り付けられたレーザー光線照射手段52を具備している。ユニットホルダ51は、上記装着部422に設けられた一対の案内レール423、423に摺動可能に嵌合する一対の被案内溝511、511が設けられており、この被案内溝511、511を上記案内レール423、423に嵌合することにより、Z軸方向に移動可能に支持される。
【0024】
図示の実施形態におけるレーザー光線照射ユニット5は、ユニットホルダ51を一対の案内レール423、423に沿ってZ軸方向に移動させるための集光点位置調整手段53を具備している。集光点位置調整手段53は、一対の案内レール423、423の間に配設された雄ネジロッド(図示せず)と、該雄ネジロッドを回転駆動するためのパルスモータ532等の駆動源を含んでおり、パルスモータ532によって図示しない雄ネジロッドを正転および逆転駆動することにより、ユニットホルダ51およびレーザー光線照射手段52を案内レール423、423に沿ってZ軸方向に移動せしめる。なお、図示の実施形態においてはパルスモータ532を正転駆動することによりレーザー光線照射手段52を上方に移動し、パルスモータ532を逆転駆動することによりレーザー光線照射手段52を下方に移動するようになっている。
【0025】
上記レーザー光線照射手段52は、実質上水平に配置された円筒形状のケーシング521を含んでいる。ケーシング521内には図示しないYAGレーザー発振器或いはYVO4レーザー発振器からなるパルスレーザー光線発振器や繰り返し周波数設定手段を備えたパルスレーザー光線発振手段が配設されている。上記ケーシング521の先端部には、パルスレーザー光線発振手段から発振されたパルスレーザー光線を集光してチャックテーブル36に保持された被加工物に照射するための集光器522が装着されている。
【0026】
上記レーザー光線照射手段52を構成するケーシング521の先端部には、レーザー光線照射手段52によってレーザー加工すべき加工領域を検出する撮像手段6が配設されている。この撮像手段6は、被加工物を照明する照明手段と、該照明手段によって照明された領域を捕らえる光学系と、該光学系によって捕らえられた像を撮像する撮像素子(CCD)等を備え、撮像した画像信号を後述する制御手段に送る。
【0027】
図示の実施形態におけるレーザー加工機は、上記チャックテーブル36に保持された加工前の被加工物の被加工面に保護膜を被覆する保護膜形成装置7を具備している。この保護膜形成装置7について、図2を参照して説明する。図2に示す保護膜形成装置7は、第1の液状樹脂を微細粒子として噴射する第1の液状樹脂噴射手段70aと第2の液状樹脂を微細粒子として噴射する第2の液状樹脂噴射手段70bを具備している。
【0028】
図2に示す保護膜形成装置7を構成する第1の液状樹脂噴射手段70aおよび第2の液状樹脂噴射手段70bは、それぞれ第1の液状樹脂を供給する第1の液状樹脂供給手段71aおよび第2の液状樹脂を供給する第2の液状樹脂供給手段71bと、該第1の液状樹脂供給手段71aおよび第2の液状樹脂供給手段71bによって供給された第1の液状樹脂および第2の液状樹脂を微細粒子として噴射する第1の噴射ノズル手段72aおよび第2の噴射ノズル手段72bとからなっている。第1の液状樹脂供給手段71aおよび第2の液状樹脂供給手段71bは、それぞれ異なる液状樹脂を収容する第1の樹脂タンク711aおよび第2の樹脂タンク711bと、該第1の樹脂タンク711aおよび第2の樹脂タンク711bに収容されている液状樹脂を第1の噴射ノズル手段72aおよび第2の噴射ノズル手段72bに送給する第1のポンプ712aおよび第2のポンプ712bとからなっている。第1の液状樹脂供給手段71aを構成する第1の樹脂タンク711aには、例えばPVA(Poly Vinyl Alcohol)、PEG(Poly Ethylene Glycol)、PEO(Poly Ethylene Oxide)等の水溶性の液状樹脂にレーザー光線の吸収を促進するための二酸化チタン(TiO2)を混入させた加工促進用液状樹脂が収容される。また、第2の液状樹脂供給手段71bを構成する第2の樹脂タンク711bには、例えばPVA(Poly Vinyl Alcohol)、PEG(Poly Ethylene Glycol)、PEO(Poly Ethylene Oxide)等の水溶性の液状樹脂が収容される。
【0029】
保護膜形成装置7を構成する第1の噴射ノズル手段72aおよび第2の噴射ノズル手段72bは、所謂コンティニュアス型インクジェット方式からなり、それぞれ第1の超音波ヘッド721aおよび第2の超音波ヘッド721bと、第1の偏向電極722aおよび第2の偏向電極722bと、第1の液状樹脂回収トレイ723aおよび第2の液状樹脂回収トレイ723bとからなっている。このように構成された第1の噴射ノズル手段72aの第1の超音波ヘッド721aは上記第1の液状樹脂供給手段71aの第1のポンプ712aに接続され、第2の噴射ノズル手段72bの第2の超音波ヘッド721bは上記第2の液状樹脂供給手段71bの第2のポンプ712bに接続される。そして、第1の液状樹脂回収トレイ723aは上記第1の樹脂タンク711aに接続され、第2の液状樹脂回収トレイ723bは上記第2の樹脂タンク711bに接続される。このように構成された第1の液状樹脂噴射手段70aおよび第2の液状樹脂噴射手段70bの第1の噴射ノズル手段72aおよび第2の噴射ノズル手段72bは、図1に示すように上記レーザー光線照射ユニット支持機構4の可動支持基台42を構成する装着部422に配設されている。
【0030】
上述した第1の液状樹脂供給手段71aおよび第2の液状樹脂供給手段71bを構成する第1のポンプ712aおよび第2のポンプ712bと、第1の噴射ノズル手段72aおよび第2の噴射ノズル手段72bを構成する第1の超音波ヘッド721aおよび第2の超音波ヘッド721bと、第1の偏向電極722aおよび第2の偏向電極722bは、後述する制御手段によって制御される。第1のポンプ712aおよび第2のポンプ712bが作動せしめられると、第1の樹脂タンク711aに収容された加工促進用液状樹脂および第2の樹脂タンク711bに収容された液状樹脂がそれぞれ第1の噴射ノズル手段72aおよび第2の噴射ノズル手段72bを構成する第1の超音波ヘッド721aおよび第2の超音波ヘッド721bに供給される。第1の超音波ヘッド721aおよび第2の超音波ヘッド721bにそれぞれ供給された加工促進用液状樹脂および液状樹脂は、第1の超音波ヘッド721aおよび第2の超音波ヘッド721bにそれぞれ内蔵された超音波発振器によって発振される超音波振動によって微小な液滴となる。そして、第1の超音波ヘッド721aおよび第2の超音波ヘッド721bに形成された微小な液滴は、それぞれ、第1の偏向電極722aおよび第2の偏向電極722bに印加される電圧に基づいて偏向せしめられる。
【0031】
図示の実施形態におけるレーザー加工装置は、図3に示す制御手段8を具備している。制御手段8はコンピュータによって構成されており、制御プログラムに従って演算処理する中央処理装置(CPU)81と、制御プログラム等を格納するリードオンリメモリ(ROM)82と、演算結果等を格納する読み書き可能なランダムアクセスメモリ(RAM)83と、カウンター84と、入力インターフェース85および出力インターフェース86とを備えている。このように構成された制御手段8の入力インターフェース85には、X軸方向位置検出手段374、Y軸方向位置検出手段384、撮像手段6、入力手段87等からの検出信号が入力される。また、出力インターフェース86からは上記パルスモータ372、パルスモータ382、パルスモータ432、パルスモータ532、レーザー光線照射手段52、保護膜形成装置7を構成する第1のポンプ712aおよび第2のポンプ712b、第1の超音波ヘッド721aおよび第2の超音波ヘッド721b、第1の偏向電極722aおよび第2の偏向電極722b等に制御信号を出力する。なお、上記ランダムアクセスメモリ(RAM)83は、後述するウエーハの設計値の座標マップを記憶する第1の記憶領域83aや他の記憶領域を備えている。
【0032】
図示の実施形態におけるレーザー加工機は以上のように構成されており、以下その作動について説明する。
ここで、上記半導体ウエーハ10について、図4を参照して説明する。
図4に示す半導体ウエーハ10は、シリコンウエーハからなっており、その表面10aに格子状に配列された複数のストリート101によって複数の領域が区画され、この区画された領域にIC、LSI等のデバイス102がそれぞれ形成されている。この半導体ウエーハ10については、複数のストリート101の領域が第1の被覆領域として設定され各デバイス102領域が第2の被覆領域として設定される。そして、第1の被覆領域として設定された複数のストリート101および第2の被覆領域として設定された各デバイス102のX,Y座標の設計値のデータが図5に示す座標マップとして上記ランダムアクセスメモリ(RAM)83の第1の記憶領域83aに格納されている。このように形成された半導体ウエーハ10は、裏面10bが図6に示すように環状のフレームFに装着された保護テープTの表面に貼着される(ウエーハ支持工程)。
【0033】
上述したウエーハ支持工程を実施したならば、図1に示すレーザー加工装置のチャックテーブル36上に半導体ウエーハ10の保護テープT側を載置する。そして、図示しない吸引手段を作動することにより、保護テープTを介して半導体ウエーハ10をチャックテーブル36上に吸引保持する(ウエーハ保持工程)。従って、チャックテーブル36に保持された半導体ウエーハ10は、表面10aが上側となる。このようにしてチャックテーブル36上に半導体ウエーハ10を吸引保持したならば、加工送り手段37を作動して撮像手段6の直下に位置付ける。そして、撮像手段6によって半導体ウエーハ10に形成されたストリート101を撮像し、ストリート101がX軸方向と平行に位置付けられているか否かを確認するアライメント工程を実施する。そして、ストリート101がX軸方向と平行に位置付けられていない場合には、チャックテーブル36を回動してストリート101がX軸方向と平行になるように調整する。このようにアライメント工程が実施されたチャックテーブル36に保持されている半導体ウエーハ10は、図5に示す座標位置に位置付けられた状態となる。
【0034】
上述したウエーハ保持工程を実施したならば、半導体ウエーハ10を保持したチャックテーブル36を保護膜形成装置7を構成する第1の噴射ノズル手段72aおよび第2の噴射ノズル手段72bの第1の超音波ヘッド721aおよび第2の超音波ヘッド721bの下方である保護膜形成領域に移動する。そして、図7の(a)チャックテーブル36に保持された半導体ウエーハ10の保護膜形成開始位置を第1の超音波ヘッド721aの直下に位置付ける。次に、制御手段8は、第1の液状樹脂供給手段71aおよび第2の液状樹脂供給手段71bを作動し、第1の噴射ノズル手段72aおよび第2の噴射ノズル手段72bを構成する第1の超音波ヘッド721aおよび第2の超音波ヘッド721bを作動するとともに、加工送り手段37を作動してチャックテーブル36を図7の(a)において矢印X1で示す方向に加工送りする(第1の液状樹脂被覆工程)。この第1の液状樹脂被覆工程においては、制御手段8はX軸方向位置検出手段374からの位置情報とランダムアクセスメモリ(RAM)83の第1に記憶領域83aに格納されている上記図5に示す座標マップに基づいて第1の噴射ノズル手段72aおよび第2の噴射ノズル手段72bを構成する第1の偏向電極722aおよび第2の偏向電極722bを制御する。即ち、制御手段8は、半導体ウエーハ10におけるストリート101が形成された領域には第1の樹脂タンク711aに収容され加工促進用液状樹脂を噴射するように第1の噴射ノズル手段72aおよび第2の噴射ノズル手段72bを構成する第1の偏向電極722aおよび第2の偏向電極722bを制御し、半導体ウエーハ10におけるデバイス102が形成された領域には第2の樹脂タンク711bに収容された液状樹脂を噴射するように第1の噴射ノズル手段72aおよび第2の噴射ノズル手段72bを構成する第1の偏向電極722aおよび第2の偏向電極722bを制御する。そして、図7の(b)に示すようにチャックテーブル36に保持された半導体ウエーハ10の右端が第2の噴射ノズル手段72bの第2の超音波ヘッド721bの直下に達したら、チャックテーブル36の移動を停止する。
【0035】
次に、制御手段8は第1の割り出し送り手段38を作動して、チャックテーブル36を図7の(b)に示す状態から紙面に垂直な割り出し送り方向に所定距離割り出し送りし、図8の(a)に示す状態に位置付ける。この割り出し送りを実施する際には、制御手段8はY軸方向位置検出手段384からの検出信号に基づいて第1の割り出し送り手段38を制御する。次に、制御手段8は、保護膜形成装置7を作動するとともに加工送り手段37を作動してチャックテーブル36を図8の(a)において矢印X2で示す方向に加工送りする(第2の液状樹脂被覆工程)。この第2の液状樹脂被覆工程においても、制御手段8はX軸方向位置検出手段374からの位置情報とランダムアクセスメモリ(RAM)83の第1に記憶領域83aに格納されている上記図5に示す座標マップに基づいて、半導体ウエーハ10におけるストリート101が形成された第1の被覆領域には第1の樹脂タンク711aに収容され加工促進用液状樹脂を噴射するように第1の噴射ノズル手段72aおよび第2の噴射ノズル手段72bを構成する第1の偏向電極722aおよび第2の偏向電極722bを制御し、半導体ウエーハ10におけるデバイス102が形成された第2の被覆領域には第2の樹脂タンク711bに収容された液状樹脂を噴射するように第1の噴射ノズル手段72aおよび第2の噴射ノズル手段72bを構成する第1の偏向電極722aおよび第2の偏向電極722bを制御する。そして、図8の(b)に示すようにチャックテーブル36に保持された半導体ウエーハ10の左端が第1の噴射ノズル手段72aの第1の超音波ヘッド721aの直下に達したら、チャックテーブル36の移動を停止する。
【0036】
以上のようにして、第1の液状樹脂被覆工程と割り出し送りおよび第2の液状樹脂被覆工程を交互に実施することにより、半導体ウエーハ10の表面には図9に示すようにストリート101が形成された領域に加工促進用液状樹脂膜110が被覆され、デバイス102が形成された領域に液状樹脂膜120が被覆される。
【0037】
上述したようにチャックテーブル36に保持された半導体ウエーハ10の表面におけるストリート101が形成された領域に加工促進用液状樹脂膜110を被覆し、デバイス102が形成された領域に液状樹脂膜120を被覆したならば、制御手段8は加工送り手段37を作動して半導体ウエーハ10を保持したチャックテーブル36を図10の(a)で示すようにレーザー光線照射手段52の集光器522が位置するレーザー光線照射領域に移動し、所定のストリート101を集光器522の直下に位置付ける。このとき、図10の(a)で示すように半導体ウエーハ10は、ストリート101の一端(図10の(a)において左端)が集光器522の直下に位置するように位置付けられる。次に、レーザー光線照射手段52の集光器522からパルスレーザー光線を照射しつつチャックテーブル36を図10の(a)において矢印X1で示す方向に所定の加工送り速度で移動せしめる(レーザー光線照射工程)。そして、図10の(b)で示すようにストリート101の他端(図10の(b)において右端)が集光器522の直下位置に達したら、パルスレーザー光線の照射を停止するとともにチャックテーブル36の移動を停止する。このレーザー光線照射工程においては、パルスレーザー光線の集光点Pをストリート101の表面付近に合わせる。
【0038】
上述したレーザー光線照射工程においては、パルスレーザー光線が加工促進用液状樹脂膜110を通して照射されるので、図11に示すようにレーザー加工溝130が効率よく形成される。このとき、図11に示すようにレーザー光線の照射によりデブリ140が発生しても、このデブリ140はデバイス102が形成された領域に被覆された液状樹脂膜120によって遮断され、デバイス102に付着することはない。上述したレーザー光線照射工程を半導体ウエーハ10の全てのストリート101に実施する。
【0039】
なお、上記レーザー光線照射工程は、例えば以下の加工条件で行われる。
レーザー光線の光源 :YVO4レーザーまたはYAGレーザー
波長 :355nm
繰り返し周波数 :20kHz
出力 :3W
集光スポット径 :φ5μm
加工送り速度 :100mm/秒
【0040】
上述したレーザー光線照射工程を半導体ウエーハ10の全てのストリート101に沿って実施したならば、半導体ウエーハ10を保持しているチャックテーブル36は、最初に半導体ウエーハ10を吸引保持した位置に戻され、ここで半導体ウエーハ10の吸引保持を解除する。そして、半導体ウエーハ10は、次工程であるウエーハ洗浄工程に搬送される。
【符号の説明】
【0041】
2:静止基台
3:チャックテーブル機構
36:チャックテーブル
37:加工送り手段
38:第1の割り出し送り手段
4:レーザー光線照射ユニット支持機構
43:第2の割り出し送り手段
5:レーザー光線照射ユニット
52:レーザー光線照射手段
522:集光器
6:撮像手段
7:保護膜形成装置
70a:第1の液状樹脂噴射手段
70b:第2の液状樹脂噴射手段
71a:第1の液状樹脂供給手段
71b:第2の液状樹脂供給手段
711a:第1の樹脂タンク
711b:第2の樹脂タンク
712a:第1のポンプ
712b:第2のポンプ
72a:第1の噴射ノズル手段
72b:第2の噴射ノズル手段
721a:第1の超音波ヘッド
721b:第2の超音波ヘッド
722a:第1の偏向電極
722b:第2の偏向電極
723a:第1の液状樹脂回収トレイ
723b:第2の液状樹脂回収トレイ
8:制御手段
10:半導体ウエーハ
F:環状のフレーム
T:保護テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物の加工面における所定の被覆領域に液状樹脂を被覆する保護膜形成装置であって、
被加工物を保持する被加工物保持手段と、該被加工物保持手段に保持された被加工物に第1の液状樹脂を微細粒子として噴射する第1の液状樹脂噴射手段および第2の液状樹脂を微細粒子として噴射する第2の液状樹脂噴射手段と、該第1の液状樹脂噴射手段および該第2の液状樹脂噴射手段と該被加工物保持手段を相対的に加工送り方向(X軸方向)に移動せしめる加工送り手段と、該第1の液状樹脂噴射手段および該第2の液状樹脂噴射手段と該被加工物保持手段を相対的にX軸方向と直交する割り出し送り方向(Y軸方向)に移動せしめる割り出し送り手段と、該加工送り手段によってX軸方向に相対移動する該第1の液状樹脂噴射手段および該第2の液状樹脂噴射手段と該被加工物保持手段との相対位置関係を検出するX軸方向位置検出手段と、該割り出し送り手段によってY軸方向に相対移動する該第1の液状樹脂噴射手段および該第2の液状樹脂噴射手段と該被加工物保持手段との相対位置関係を検出するY軸方向位置検出手段と、該X軸方向位置検出手段および該Y軸方向位置検出手段からの検出信号に基いて該第1の液状樹脂噴射手段および該第2の液状樹脂噴射手段を制御する制御手段と、を具備し、
該制御手段は、被加工物の被加工面における第1の液状樹脂によって被覆すべき第1の被覆領域と第2の液状樹脂によって被覆すべき第2の被覆領域とが設定された座標マップを格納するメモリを具備し、該メモリに格納された該座標マップに設定された第1の被覆領域および第2の被覆領域と該X軸方向位置検出手段および該Y軸方向位置検出手段からの検出信号に基いて該第1の液状樹脂噴射手段および該第2の液状樹脂噴射手段を制御する、
ことを特徴とする保護膜形成装置。
【請求項2】
該第1の液状樹脂噴射手段および該第2の液状樹脂噴射手段は、それぞれ第1の液状樹脂を供給する第1の液状樹脂供給手段および第2の液状樹脂を供給する第2の液状樹脂供給手段と、該第1の液状樹脂を供給する第1の液状樹脂供給手段および第2の液状樹を供給する第2の液状樹脂供給手段によって供給された第1の液状樹脂および第2の液状樹脂を微細粒子として噴射する第1の噴射ノズル手段および第2の噴射ノズル手段とからなっている、請求項1記載の保護膜形成装置。
【請求項3】
被加工物は表面に複数のストリートが格子状に形成されているとともに該複数のストリートによって区画された複数の領域にデバイスが形成されたウエーハであり、該第1の被覆領域は該ストリート領域で、該第2の被覆領域は該デバイス領域であって、該ストリート領域および該デバイス領域の設計値が上記メモリに格納される、請求項1又は2記載の保護膜形成装置。
【請求項4】
被加工物を保持する被加工物保持手段と、該被加工物保持手段に保持された被加工物にレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段と、該被加工物保持手段に保持された被加工物にレーザー加工を施す加工前の被加工物の被加工面における所定の被覆領域に液状樹脂を被覆する保護膜形成装置と、該レーザー光線照射手段と該被加工物保持手段を相対的に加工送り方向(X軸方向)に移動せしめる加工送り手段と、該レーザー光線照射手段と該被加工物保持手段を相対的にX軸方向と直交する割り出し送り方向(Y軸方向)に移動せしめる割り出し送り手段と、該加工送り手段によってX軸方向に相対移動する該レーザー光線照射手段と該被加工物保持手段との相対位置関係を検出するX軸方向位置検出手段と、該割り出し送り手段によってY軸方向に相対移動する該レーザー光線照射手段と該被加工物保持手段との相対位置関係を検出するY軸方向位置検出手段と、該X軸方向位置検出手段および該Y軸方向位置検出手段からの検出信号に基いて該レーザー光線照射手段および該保護膜形成装置を制御する制御手段と、を具備するレーザー加工機において、
該保護膜形成装置は、該被加工物保持手段に保持された被加工物に第1の液状樹脂を微細粒子として噴射する第1の液状樹脂噴射手段および第2の液状樹脂を微細粒子として噴射する第2の液状樹脂噴射手段を具備し、
該制御手段は、被加工物の被加工面における第1の液状樹脂によって被覆すべき第1の被覆領域と第2の液状樹脂によって被覆すべき第2の被覆領域とが設定された座標マップを格納するメモリを具備し、該メモリに格納された該座標マップに設定された第1の被覆領域および第2の被覆領域と該X軸方向位置検出手段および該Y軸方向位置検出手段からの検出信号に基いて該第1の液状樹脂噴射手段および該第2の液状樹脂噴射手段を制御する、
ことを特徴とするレーザー加工機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−51271(P2013−51271A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187535(P2011−187535)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000134051)株式会社ディスコ (2,397)
【Fターム(参考)】