説明

光モジュールおよびその作製方法

【課題】アクティブ調芯を短時間で行うことができると共に、部品点数の削減と小型化を図ることができる光モジュールおよびその作製方法を提供する。
【解決手段】光モジュール10は、基板11と、基板上に整列して実装されたレーザーダイオードアレイ14と、基板上に実装されレーザーダイオードアレイ14の各面発光型半導体レーザ素子と電気的に接続されたドライバIC15と、複数の光ファイバ16を整列させて保持し、複数の光ファイバの各一端部の中心とレーザーダイオードアレイ14の各光出射部の中心とがそれぞれ一致する位置で基板11に固定される光コネクタ部12と、カバー13とを備える。光コネクタ部12は、複数のファイバ保持孔12aの両側に、2つのガイドピン孔12bを有する。基板11の表面11aには、各ガイドピン孔12bを通して視認可能で、光コネクタ部12の位置決め基準となる2つのアライメントマーク50が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光モジュール、特に、ボード間光伝送システムや装置間(筐体間)光伝送システムに用いられ、並列に配置された複数の光ファイバ(複数のチャネル)で光信号を並列伝送する並列光モジュールとしての光モジュールおよびその作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の発光素子と、複数の発光素子を駆動する電子半導体チップ(IC)とをケース内に収容して一体化した光モジュールが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、複数のレーザダイオード或いは複数のフォトダイオードと、IC(各レーザダイオードを駆動するドライバIC或いは各フォトダイオードの出力を処理する増幅用IC)とを収容してケース内に一体化した光モジュールが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−261372号公報
【非特許文献1】岡安俊幸,“メモリテストシステムにおける高密度インターコネクション”,第二回シリコンアナログRF研究会,2004/8/2
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1や非特許文献1に開示された従来の光モジュールでは、シリコン・オプティカルベンチ(SiOB)を用いたパッシブクティブ調芯により、フェルールに保持された複数の光ファイバの各一端部と複数の光素子の各光出射部或いは光受光部とを一致させるようにしている。このため、パッシブアライメントを行うためのSiOBを光モジュール内部に設ける必要が有り、その分部品点数が増えて光モジュールが大型化してしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みて為されたもので、その目的は、アクティブ調芯を短時間で行うことができると共に、部品点数の削減と小型化を図ることができる光モジュールおよびその作製方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明に係る光モジュールは、基板と、前記基板上に実装された複数の光素子と、前記基板上に実装され、前記複数の光素子と電気的に接続された電子素子と、複数の光ファイバを保持し、前記複数の光ファイバと前記複数の光素子とがそれぞれ光結合する位置で前記基板に固定される光コネクタ部と、前記光コネクタ部を装着するための開口部を有し、前記複数の光素子と前記電子素子を含む部品全体を覆うように前記基板に固定されるカバーと、を備え、前記光コネクタ部は、前記複数の光ファイバが挿入、保持された複数のファイバ保持孔と、前記複数のファイバ保持孔の両側に、前記複数のファイバ保持孔の各中心に中心がそれぞれ一致した2つの貫通孔とを有し、前記基板の表面上には、前記2つの貫通孔をそれぞれ通して視認可能で、前記光コネクタ部の位置決め基準となる2つのアライメントマークが設けられていることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、光コネクタ部の2つの貫通孔を通して各貫通孔の中心にアライメントマークを視認できるように、光コネクタ部を基板上で二次元的に動かすことにより、光コネクタ部の仮位置決めを行うことができる。このため、その仮位置決め後に行うアクティブ調芯時に光コネクタ部を動かす量が少なくてすみ、アクティブ調芯を短時間で行うことができる。また、従来技術のように、パッシブアライメントを行うためのシリコン・オプティカルベンチ(SiOB)を内部に設ける必要が無く、その分部品点数の削減と小型化を図ることができる。
【0008】
ここで、「複数の光ファイバと複数の光素子とがそれぞれ光結合する位置」とは、各光ファイバのコア中心と各光素子の光出射部或いは受光部の中心とがそれぞれ一致する位置を言う。
【0009】
請求項2に記載の発明に係る光モジュールは、前記光コネクタ部は、前記複数の光ファイバと前記複数の光素子とがそれぞれ光結合するように前記光コネクタ部の位置を調整するアクティブ調芯のために前記基板上で二次元的に移動可能であることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、光コネクタ部の仮位置決め後に、アクティブ調芯を行って、複数の光ファイバと前記複数の光素子とがそれぞれ光結合する位置に光コネクタ部の位置を調整することができる。
【0011】
ここで「アクティブ調芯」は、複数の光ファイバに光をそれぞれ入射させ、各光ファイバからの出射光の光強度がそれぞれ最大になるように、光コネクタ部を基板上で二次元的に動かすことにより行う。例えば、光素子が面発光型半導体レーザ素子の場合、複数の面発光型半導体レーザ素子を電子素子としてのドライバICで駆動して、各面発光型半導体レーザ素子からの出射光を光コネクタ部の複数の光ファイバに入射させ、各光ファイバからの出射光を複数のフォトダイオードで受光し、各フォトダイオードの出力信号が最大になるように、光コネクタ部を基板上で二次元的に動かすことにより行う。
【0012】
請求項3に記載の発明に係る光モジュールは、前記光コネクタ部の2つの貫通孔は、2つのガイドピンがそれぞれ嵌合する2つのガイドピン孔であることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、ガイドピンが嵌合する光コネクタ部の2つのガイドピン孔を、アライメントマークを視認するための貫通孔として利用して光コネクタ部の仮位置決めを行うので、2つのガイドピン孔を有する光コネクタ部に特別な加工をする必要がない。
【0014】
請求項4に記載の発明に係る光モジュールは、前記光コネクタ部は2つのガイドピンがそれぞれ嵌合する2つのガイドピン孔を有し、前記2つの貫通孔は、前記2つのガイドピン孔の外側に、前記2つのガイドピン孔の中心に中心をそれぞれ一致させて設けられたアライメント用の貫通孔であることを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、光コネクタ部にフェルール型コネクタを装着した状態で、2つのアライメント用の貫通孔を通して各貫通孔の中心にアライメントマークを視認できるように、光コネクタ部を基板上で二次元的に動かすことにより、光コネクタ部の仮位置決めを行うことができる。このため、その仮位置決め後に行うアクティブ調芯を、フェルール型コネクタに保持された多心光ファイバに光をそれぞれ通して行うことができる。
【0016】
請求項5に記載の発明に係る光モジュールは、前記カバーの開口部と前記光コネクタ部との間の隙間には、樹脂封止剤或いは接着剤が充填されていることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、複数の光ファイバの各一端部と複数の光素子の各光出射部とをアクティブ調芯した後、光モジュール内部を樹脂封止剤で気密に封止することができ、或いは光コネクタ部を接着剤でカバーに固定することができる。
【0018】
請求項6に記載の発明に係る光モジュールは、前記光素子としての複数の面発光型半導体レーザ素子と、前記複数の面発光型半導体レーザ素子を駆動する前記電子素子としてのドライバICとを備え、前記複数の面発光型半導体レーザ素子からそれぞれ出射される光信号を前記複数の光ファイバを介して外部へ並列伝送する送信側光モジュールとして構成したことを特徴とする。
【0019】
請求項7に記載の発明に係る光モジュールは、前記光素子としての複数のフォトダイオードと、前記フォトダイオードの出力電流を電圧に変換して増幅する機能を有する前記電子素子としての増幅用ICとを備え、外部から前記複数の光ファイバを介して並列伝送された光信号を前記複数のフォトダイオードで受光して電気信号に変換する受信側光モジュールとして構成したことを特徴とする。
【0020】
上記課題を解決するために、請求項8に記載の発明に係る光モジュールの作製方法は、基板上に整列した複数の光素子と電子素子を実装し、複数の光素子と電子素子を電気的に接続する工程と、複数の光ファイバを整列させて保持した光コネクタ部を前記基板上に載置する工程と、前記光コネクタ部を装着するための開口部を有するカバーを前記基板に固定する工程と、前記光コネクタ部に設けられた2つの貫通孔を通して、各貫通孔の中心に前記基板上に設けられたアライメントマークを視認できるように、前記光コネクタ部を前記基板上で二次元的に動かして前記光コネクタ部の仮位置決めを行う工程と、前記光コネクタ部の仮位置決め後に、該光コネクタ部を、前記複数の光ファイバと前記複数の光素子とがそれぞれ光結合する位置に調整するアクティブ調芯を行う工程と、前記アクティブ調芯後に、前記光コネクタ部を前記基板上に固定する工程と、を備えることを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、光コネクタ部の2つの貫通孔を通して各貫通孔の中心にアライメントマークを視認できるように、光コネクタ部を基板上で二次元的に動かすことにより、光コネクタ部の仮位置決めを行うことができる。このため、その仮位置決め後に行うアクティブ調芯時に光コネクタ部を動かす量が少なくてすみ、アクティブ調芯を短時間で行うことができる。また、従来技術のように、パッシブアライメントを行うためのシリコン・オプティカルベンチ(SiOB)を内部に設ける必要が無く、その分部品点数の削減と小型化を図ることができる。
【0022】
請求項9に記載の発明に係る光モジュールの作製方法は、前記光コネクタ部の仮位置決めを行う工程において、前記2つの貫通孔の各端部を、前記貫通孔の中心軸と光軸を一致させたカメラで撮像して、各貫通孔内部の画像情報を取得し、前記画像情報に基づき前記各貫通孔内部の画像を表示手段により表示することを特徴とする。
【0023】
この構成によれば、表示手段により表示される各貫通孔内部の画像を見ながら、各貫通孔の中心にアライメントマークを視認できるように、光コネクタ部を基板上で二次元的に動かすことができるので、光コネクタ部の仮位置決めを容易にかつ効率よく行うことができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、アクティブ調芯を短時間で行うことができると共に、部品点数の削減と小型化を図ることができる光モジュールを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
次に、本発明を具体化した各実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各実施形態の説明において同様の部位には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
(第1実施形態)
第1実施形態に係る光モジュールを図1乃至図6に基づいて説明する。
【0026】
図1は第1実施形態に係る光モジュールの概略構成を示す分解斜視図、図2は光モジュールの概略構成を示す縦断面図である。図3(A)は光モジュール全体を示す斜視図、図3(B)はその光モジュールに用いる複数の光ファイバの1本を示す拡大図、図3(C)はその光モジュールに用いるレーザーダイオードアレイとドライバICの接続関係を示す平面図である。図4は光モジュールの概略構成を示す分解斜視図、図5は光モジュールの光コネクタ部を示す斜視図、図6はその光モジュールの光コネクタ部に外部のコネクタを装着した状態を示す斜視図である。
【0027】
第1実施形態に係る光モジュール10は、図1、図2、図3(A)および図4に示すように、基板11と、光コネクタ部12と、カバー13と、ガイドピン32とを備えている。基板11は、セラミックス基板であり、その表面11aに電極パターン(図示省略)を有する。基板11の電極パターン上には、一列に整列して実装された複数の光素子と、複数の光素子と電気的に接続された電子素子と、を備える。本実施形態では、複数の光素子は、一列に整列された複数の面発光型半導体レーザ素子(光素子)を有するレーザーダイオードアレイ14で構成されている。図3(C)で符号14aは、レーザーダイオードアレイ14における複数の面発光型半導体レーザ素子の各光出射部(開口部)を示している。光素子としての面発光型半導体レーザ素子は、基板面に垂直な方向に光(光信号23)を出射するVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)である。また、電子素子は、レーザーダイオードアレイ14の複数の面発光型半導体レーザ素子を駆動するドライバIC15である。
【0028】
レーザーダイオードアレイ14およびドライバIC15は、基板11の表面11aの電極パターン上に、例えばダイアタッチ剤で接着されて実装されている。レーザーダイオードアレイ14の複数の面発光型半導体レーザ素子とドライバIC15は、図3(A)および図3(C)に示すように、複数のワイヤ22でそれぞれ電気的に接続されている。これにより、ドライバIC15からレーザーダイオードアレイ14の複数の面発光型半導体レーザ素子には、ワイヤ22を介して変調信号が入力され、各面発光型半導体レーザ素子から変調信号により変調された光信号23が出射されるようになっている。また、ドライバIC15と基板11の電極パターンとは、複数のワイヤ(図示省略)で電気的に接続されている。
【0029】
光コネクタ部12は、図5に示すように、複数の光ファイバ16を一列に(図2で紙面に垂直な方向に)整列させて保持している。この光コネクタ部12は、複数の光ファイバ16の各一端部16aの中心(コア中心)とレーザーダイオードアレイ14の複数の面発光型半導体レーザ素子の各光出射部14aの中心とが一致するようにアクティブ調芯した後、基板11の表面11a上に固定される。これにより、レーザーダイオードアレイ14の各面発光型半導体レーザ素子からの出射光(光信号23)は、複数の光ファイバ16の対応する光ファイバの一端部16aにそれぞれ光結合するようになっている。
【0030】
また、光コネクタ部12は左右の側壁部17を有する。両側壁部17の下端面17a(図5参照)が基板11の表面11aとそれぞれ摺動可能に接している。複数の光ファイバ16の各一端部16aの中心とレーザーダイオードアレイ14の各光出射部の中心とが一致するように、光コネクタ部12を基板11の表面11a内で二次元的に動かしてアクティブ調芯した後、光コネクタ部12の両側壁部17の下端面17aを基板11の表面11aに接着等により固定する。
【0031】
さらに、光コネクタ部12は、図5に示すように、複数の光ファイバ16が挿入され、一列に整列して保持された複数のファイバ保持孔12aと、これらのファイバ保持孔12aの両側に設けられた2つのガイドピン孔12bとを有する。2つのガイドピン孔12bに、2つのガイドピン32がそれぞれ嵌合可能になっている。
【0032】
2つのガイドピン32には、図6に示す外部のコネクタである多心用のフェルール型コネクタ(以下、MTコネクタという。)30の2つの貫通孔がそれぞれ嵌合可能になっている。MTコネクタ30の2つの貫通孔を2つのガイドピン32にそれぞれ嵌合させることにより、MTコネクタ30に保持された多心光ファイバ(多心テープ光ファイバ)31の各光ファイバの中心(コア中心)と、光コネクタ部12に保持された複数の光ファイバ16の各中心(コア中心)とが一致した状態で、MTコネクタ30が図6に示すように光コネクタ部12に装着されるようになっている。
【0033】
カバー13は、図2および図4に示すように、光コネクタ部12を装着するための開口部13aを有し、レーザーダイオードアレイ14、ドライバIC15などの部品全体を覆うように基板11に接着等により固定される。このカバー13は、熱伝導率の高い材料、例えばCu(銅)とW(タングステン)の合金で作製されている。
【0034】
光モジュール10の特徴は、以下の構成にある。
・光コネクタ部12は、図1および図5に示すように、複数の光ファイバ16が挿入された整列する複数のファイバ保持孔12aと、複数のファイバ保持孔12aの両側に、複数のファイバ保持孔12aの各中心に中心がそれぞれ一致した2つの貫通孔とを有する。本実施形態では、2つの貫通孔は2つのガイドピン32がそれぞれ嵌合する2つのガイドピン孔12bである。
【0035】
・基板11の表面11a上には、図1および図5に示すように、2つのガイドピン孔(貫通孔)12bをそれぞれ通して視認可能で、光コネクタ部の位置決め基準となる2つのアライメントマーク50がレーザーダイオードアレイ14の外側に設けられている。
【0036】
また、この光モジュール10では、光コネクタ部12は、複数の光ファイバ16とレーザーダイオードアレイ14とがそれぞれ光結合するように光コネクタ部12の位置を調整するアクティブ調芯のために基板11の表面11a上で二次元的に移動可能である。つまり、光コネクタ部12は、複数の光ファイバ16の各一端部16aの中心(コア中心)とレーザーダイオードアレイ14の各光出射部14a(図3(C)参照)の中心とをそれぞれ一致させるアクティブ調芯を行うために、両側壁部17の下端面17aが基板11の表面11aとそれぞれ摺動可能に接しており、基板11上で二次元的に移動可能である。
【0037】
また、光コネクタ部12の基板11の表面11aと対向する一端面12c(図5参照)では、複数の光ファイバ16の各一端部16aが一列に整列して、レーザーダイオードアレイ14の各光出射部14aとそれぞれ対向している。また、光コネクタ部12の一端面12cとは反対側の他端面12dでは、複数の光ファイバ16の各他端部16bが一列に整列している。光コネクタ部12の側面とカバー13の開口部13aとの間の隙間には、図2に示すように樹脂封止剤或いは接着剤等の樹脂18が充填されている。
【0038】
また、図1および図2に示すように、基板11の表面11aおよびこの表面に実装された部品と、カバー13との間のギャップ(空間)には、熱伝導率の高い封止剤が充填されている。具体的には、カバー13とドライバIC15との間の空間には、熱伝導性と絶縁性を有するシリコーンゲル19が封止剤として充填されている。また、複数の光ファイバ16の一端部16aとレーザーダイオードアレイ14の各光出射部14aとの間の空間には、透明なシリコーンゲル20が封止剤として充填されている。
<光モジュールの作製方法>
以上の構成を有する光モジュール10の作製方法を、図1に基づいて説明する。
【0039】
光モジュール10の作製方法は、以下の工程(1)〜(6)を備える。
(1)基板11の表面11aの電極パターン上に整列したレーザーダイオードアレイ14とドライバIC15を実装し、レーザーダイオードアレイ14とドライバICをワイヤ22で電気的に接続する工程。
【0040】
(2)複数の光ファイバ16を整列させて保持した光コネクタ部12を基板11の表面11a上に載置する工程。
【0041】
(3)光コネクタ部12を装着するための開口部13aを有するカバー13を基板11に固定する工程。
【0042】
(4)光コネクタ部12に設けられた2つのガイドピン孔(貫通孔)12bを通して、各ガイドピン孔12bの中心に基板11上に設けられたアライメントマーク50を視認できるように、光コネクタ部12を基板11上で二次元的に動かして光コネクタ部12の仮位置決め(粗い位置決め)を行う工程。
【0043】
(5)光コネクタ部12の仮位置決め後に、光コネクタ部12を、複数の光ファイバ16の各一端部16aの中心とレーザーダイオードアレイ14の各光出射部14aの中心とがそれぞれ一致する位置に調整するアクティブ調芯を行う工程。
【0044】
(6)アクティブ調芯後に、光コネクタ部12を基板11の表面11a上に固定する工程。
【0045】
光コネクタ部12の仮位置決めを行う上記工程(4)では、図1に示すように、2つのガイドピン孔12bの各端部を、ガイドピン孔12bの中心軸とレンズの光軸を一致させたカメラ51で撮像して、各ガイドピン孔12b内部の画像情報を取得し、画像情報に基づき各ガイドピン孔12b内部の画像を表示手段としてのディスプレイ52により表示するのが好ましい。
【0046】
以上のように構成された第1実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
○光コネクタ部12の2つのガイドピン孔12bを通して各ガイドピン孔12bの中心に2つのアライメントマーク50を視認できるように、光コネクタ部12を基板11上で二次元的に動かすことにより、光コネクタ部12の仮位置決めを行うことができる。このため、その仮位置決め後に行うアクティブ調芯時に光コネクタ部12を動かす量が少なくてすみ、アクティブ調芯を短時間で行うことができる。また、従来技術のように、パッシブアライメントを行うためのシリコン・オプティカルベンチ(SiOB)を内部に設ける必要が無く、その分部品点数の削減と小型化を図ることができる。
【0047】
従って、アクティブ調芯を短時間で行うことができると共に、部品点数の削減と小型化を図ることができる光モジュール10を実現することができる。
【0048】
○光コネクタ部12は基板11上で二次元的に移動可能であるので、光コネクタ部12の仮位置決め後に、アクティブ調芯を行って、複数の光ファイバ16の各一端部16aの中心とレーザーダイオードアレイ14の各光出射部14aの中心とがそれぞれ一致するように、光コネクタ部12の位置を調整することができる。
【0049】
○ガイドピン32が嵌合する光コネクタ部12の2つのガイドピン孔12bを、アライメントマーク50を視認するための貫通孔として利用して光コネクタ部12の仮位置決めを行うので、2つのガイドピン孔12bを有する光コネクタ部12に特別な加工をする必要がない。
【0050】
○カバー13の開口部13aと光コネクタ部12との間の隙間には、樹脂封止剤或いは接着剤等の樹脂18が充填されている。このため、複数の光ファイバ16の各一端部16aとレーザーダイオードアレイ14の各光出射部とが一致するようにアクティブ調芯した後、光モジュール12内部を樹脂封止剤気密に封止することができ、或いは光コネクタ部12をカバー13に固定することができる。
【0051】
○上述した光モジュールの作製方法では、光コネクタ部12の仮位置決めを行う上記工程(4)において、図1に示すように、各ガイドピン孔12b内部の画像情報をカメラ51で取得し、取得した画像情報に基づき各ガイドピン孔12b内部の画像をディスプレイ52で表示する。これにより、ディスプレイ52で表示される各ガイドピン孔12b内部の画像を見ながら、各ガイドピン孔12bの中心にアライメントマーク50を視認できるように、光コネクタ部12を基板11上で二次元的に動かすことができる。このため、光コネクタ部12の仮位置決めを容易にかつ効率よく行うことができる。
【0052】
○上記工程(4)において、2つのガイドピン孔12bの各端部を、ガイドピン孔12bの中心軸とレンズの光軸を一致させたカメラ51で撮像して、各ガイドピン孔12b内部の画像情報を取得するので、ディスプレイ52で表示される画像は、2つのガイドピン孔12bの各端部を垂直方向から見た画像となる。このため、その画像を見ながら、光コネクタ部12の仮位置決めを正確に行うことができる。
【0053】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る光モジュールを図7および図8に基づいて説明する。
【0054】
上記第1実施形態に係る光モジュール10では、ガイドピン32が嵌合する光コネクタ部12の2つのガイドピン孔12bを、アライメントマーク50を視認するための貫通孔として利用している。これに対して、図7および図8に示す第2実施形態に係る光モジュール10Aでは、アライメントマーク50の外側に2つのアライメントマーク54が設けられている。そして、2つのアライメントマーク54を視認するための2つの貫通孔として、光コネクタ部12における2つのガイドピン孔12bの外側に、2つのガイドピン孔12bの中心に中心をそれぞれ一致させて設けられた孔(以下、アライメント用の貫通孔と呼ぶ)53を用いている。第2実施形態に係る光モジュール10Aのその他の構成は、上記第1実施形態に係る光モジュール10と同様である。
【0055】
以上のように構成された第2実施形態によれば、上記第1実施形態の奏する上記作用効果に加えて、以下の作用効果を奏する。
【0056】
アライメントマーク50の外側に設けたアライメントマーク54を視認するための2つの貫通孔として、2つのガイドピン孔12bの外側に、2つのガイドピン孔12bの中心に中心をそれぞれ一致させて設けられたアライメント用の貫通孔53を用いている。これにより、光コネクタ部12にMTコネクタ30を装着した状態で、2つのアライメント用の貫通孔53を通して各貫通孔53の中心にアライメントマーク54を視認できるように、光コネクタ部12を基板11上で二次元的に動かすことにより、光コネクタ部12の仮位置決めを行うことができる。このため、その仮位置決め後に行うアクティブ調芯を、MTコネクタ30に保持された多心光ファイバ31に光をそれぞれ通して行うことができる。
【0057】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る光モジュール10Bを図9(A),(B)および図10に基づいて説明する。
【0058】
上記第1実施形態では、ドライバIC15を基板11の電極パターン上にワイヤボンディング実装している。これに対して、第3実施形態に係る光モジュール10Bでは、図9(A),(B)および図10に示すように、ドライバIC15を基板11の電極パターン上にフリップチップ実装している。また、この光モジュール10Bでは、レーザーダイオードアレイ14を、基板11に設けた凹部11c内に配置している。そして、レーザーダイオードアレイ14の複数の面発光型半導体レーザ素子とドライバIC15が接続された複数の配線(電極パターンの一部)とが、ワイヤ22でそれぞれ電気的に接続されている。光モジュール10Bのその他の構成は、上記第1実施形態に係る光モジュール10と同様である。
【0059】
このような構成を有する第3実施形態に係る光モジュール10Bによれば、ドライバIC15を基板11の電極パターン上にフリップチップ実装した光モジュールにおいて、上記第1実施形態と同様にアクティブ調芯を短時間で行うことができると共に、部品点数の削減と小型化を図ることができる光モジュール10を実現することができる。
【0060】
なお、この発明は以下のように変更して具体化することもできる。
・上記各実施形態では、送信側光モジュールとして構成した光モジュール10,10Aについて説明したが、本発明はこれに限定されない。光モジュール10,10Aにおいて、レーザーダイオードアレイ14に代えて一列に整列された複数のフォトダイオード素子(光素子)を有するフォトダイオードアレイを用いる。そして、ドライバIC15に代えて、各フォトダイオードの出力電流を電圧に変換して増幅する(TIA:Transimpedance Amplifier)の機能を備えた増幅用ICを用いて受信側光モジュールとして構成した光モジュールにも本発明は適用可能である。
【0061】
・また、レーザーダイオードアレイ14に代えて、複数の面発光型半導体レーザ素子(光素子)が一列に整列されて実装された光モジュール、或いは、フォトダイオードアレイに代えて複数のフォトダイオード(光素子)が一列に整列されて実装された光モジュールにも本発明は適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】第1実施形態に係る光モジュールの概略構成を示す分解斜視図。
【図2】第1実施形態に係る光モジュールの概略構成を示す縦断面図。
【図3】(A)は光モジュール全体を示す斜視図、(B)はその光モジュールに用いる複数の光ファイバの1本を示す拡大図、(C)はその光モジュールに用いるレーザーダイオードアレイとドライバICの接続関係を示す平面図。
【図4】光モジュールの概略構成を示す分解斜視図。
【図5】光モジュールの光コネクタ部を示す斜視図。
【図6】第1実施形態に係る光モジュールの光コネクタ部に外部のコネクタを装着した状態を示す斜視図。
【図7】第2実施形態に係る光モジュールにおけるアライメント用の貫通孔とアライメントマークの位置関係を示す説明図。
【図8】第2実施形態に係る光モジュールの光コネクタ部に外部のコネクタを装着した状態を示す斜視図。
【図9】(A)は第3実施形態に係る光モジュール全体を示す斜視図、(B)は光モジュールの主要部を示す斜視図。
【図10】第3実施形態に係る光モジュールの概略構成を示す縦断面図。
【符号の説明】
【0063】
10,10A,10B:光モジュール
11:基板
11a:表面
12:光コネクタ部
12a:ファイバ保持孔
12b:ガイドピン孔(貫通孔)
13:カバー
13a:開口部
14:面発光型半導体レーザ(光素子)
15:ドライバIC(電子素子)
16:光ファイバ
16a:一端部
23:光信号
30:多心用のフェルール型コネクタ(MTコネクタ)
31:多心光ファイバ(多心テープ光ファイバ)
50,54:アライメントマーク
51:カメラ
52:表示手段としてのディスプレイ
53:アライメント用の貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に実装された複数の光素子と、
前記基板上に実装され、前記複数の光素子と電気的に接続された電子素子と、
複数の光ファイバを保持し、前記複数の光ファイバと前記複数の光素子とがそれぞれ光結合する位置で前記基板に固定される光コネクタ部と、
前記光コネクタ部を装着するための開口部を有し、前記複数の光素子と前記電子素子を含む部品全体を覆うように前記基板に固定されるカバーと、を備え、
前記光コネクタ部は、前記複数の光ファイバが挿入、保持された複数のファイバ保持孔と、前記複数のファイバ保持孔の両側に、前記複数のファイバ保持孔の各中心に中心がそれぞれ一致した2つの貫通孔とを有し、
前記基板の表面上には、前記2つの貫通孔をそれぞれ通して視認可能で、前記光コネクタ部の位置決め基準となる2つのアライメントマークが設けられていることを特徴とする光モジュール。
【請求項2】
前記光コネクタ部は、前記複数の光ファイバと前記複数の光素子とがそれぞれ光結合するように前記光コネクタ部の位置を調整するアクティブ調芯のために前記基板上で二次元的に移動可能であることを特徴とする請求項1に記載の光モジュール。
【請求項3】
前記光コネクタ部の2つの貫通孔は、2つのガイドピンがそれぞれ嵌合する2つのガイドピン孔であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光モジュール。
【請求項4】
前記光コネクタ部は2つのガイドピンがそれぞれ嵌合する2つのガイドピン孔を有し、前記2つの貫通孔は、前記2つのガイドピン孔の外側に、前記2つのガイドピン孔の中心に中心をそれぞれ一致させて設けられたアライメント用の貫通孔であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光モジュール。
【請求項5】
前記カバーの開口部と前記光コネクタ部との間の隙間には、樹脂封止剤或いは接着剤が充填されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載の光モジュール。
【請求項6】
前記光素子としての複数の面発光型半導体レーザ素子と、前記複数の面発光型半導体レーザ素子を駆動する前記電子素子としてのドライバICとを備え、前記複数の面発光型半導体レーザ素子からそれぞれ出射される光信号を前記複数の光ファイバを介して外部へ並列伝送する送信側光モジュールとして構成したことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載の光モジュール。
【請求項7】
前記光素子としての複数のフォトダイオードと、前記フォトダイオードの出力電流を電圧に変換して増幅する機能を有する前記電子素子としての増幅用ICとを備え、外部から前記複数の光ファイバを介して並列伝送された光信号を前記複数のフォトダイオードで受光して電気信号に変換する受信側光モジュールとして構成したことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載の光モジュール。
【請求項8】
光モジュールの作製方法であって、
基板上に整列した複数の光素子と電子素子を実装し、複数の光素子と電子素子を電気的に接続する工程と、
複数の光ファイバを保持した光コネクタ部を前記基板上に載置する工程と、
前記光コネクタ部を装着するための開口部を有するカバーを前記基板に固定する工程と、
前記光コネクタ部に設けられた2つの貫通孔を通して、各貫通孔の中心に前記基板上に設けられたアライメントマークを視認できるように、前記光コネクタ部を前記基板上で二次元的に動かして前記光コネクタ部の仮位置決めを行う工程と、
前記光コネクタ部の仮位置決め後に、該光コネクタ部を、前記複数の光ファイバと前記複数の光素子とがそれぞれ光結合する位置に調整するアクティブ調芯を行う工程と、
前記アクティブ調芯後に、前記光コネクタ部を前記基板上に固定する工程と、
を備えることを特徴とする光モジュールの作製方法。
【請求項9】
前記光コネクタ部の仮位置決めを行う工程において、前記2つの貫通孔の各端部を、前記貫通孔の中心軸と光軸を一致させたカメラで撮像して、各貫通孔内部の画像情報を取得し、前記画像情報に基づき前記各貫通孔内部の画像を表示手段により表示することを特徴とする請求項8に記載の光モジュールの作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−169116(P2009−169116A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−7441(P2008−7441)
【出願日】平成20年1月16日(2008.1.16)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】