説明

光偏向器、光偏向器の製造方法および画像表示装置

【課題】迷光の発生を防止することができる光偏向器、光偏向器の製造方法および画像表示装置を提供する。
【解決手段】可動板11と、一端が可動板11と連結され、回転軸Xの周りに可動板11を回動可能に支持する弾性支持部12と、弾性支持部12の他端と連結された支持部材13とを備え、弾性支持部12、支持部材13は、上面、下面、及び側面を有し、側面は、上面又は下面よりも外側に存在する1つ又は複数の斜面によって形成され、弾性支持部12、支持部材13の上面、下面、及び側面に、光吸収膜30が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MEMS(Micro Electro Mechanical System)技術を用いた光偏向器、光偏向器の製造方法および画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばレーザー光を用いて画像描画を行うディスプレイ、プリンター等に応用することを目的とした光偏向器においては、画像の解像度を上げるため、光走査の更なる高速化が要求されている。しかし、現状で用いられているポリゴンミラーやガルバノミラーの性能向上には限界があり、これらに置き換わる光偏向器としてMEMS(Micro Electro Mechanical System)によってシリコン基板を加工して製作したミラーデバイスが期待されている。このようなMEMSミラーは、ポリゴンミラーやガルバノミラーよりも高い共振周波数で駆動させることができるため、より解像度の高い画像形成が可能となる。
【0003】
MEMSミラーでは、レーザー光をミラー部に当てて、反射光を対象物に照射することにより画像描画を行う。ミラー部以外で光が反射されると、迷光となって画像へ影響を与えることが懸念される。このため、ミラー部以外の部分には反射防止膜を設けることにより、迷光をできるだけ防止する工夫がなされてきた。
例えば、特許文献1には、平板状の可動板と、該可動板を回動可能に軸支する一対のトーションバーと、可動板に形成されたミラー部を有し、ミラー部以外の部分に反射防止膜を形成したプレーナ型アクチュエータが開示されている。
また、特許文献2には、光スキャナにおいて、不要光が入射するはり部や固定部が光を反射する反射能力を、反射面よりも低下させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−39156号公報
【特許文献2】特開2005−107069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スパッタやメッキ等の一般的な成膜方法を用いて反射防止膜を形成する際、可動板やトーションバーの側面が上面に対してほぼ垂直に形成されていると、側面に均一な反射防止膜を成膜することは難しい。しかし、可動板を回動させることによって側面での反射も起こるため、側面にも反射防止膜を設けることが望ましい。特許文献1に記載されたアクチュエータでは、可動板の側面が表面に対してほぼ垂直になっているため、側面に均一な反射防止膜を形成することは難しい。また、特許文献2に記載された光スキャナは、はり部や固定部の側面にも均一な反射防止膜を成膜することが望ましい。
このように、特許文献1に記載のアクチュエータでは、可動板やトーションバー等の側面の光反射を防止する機能が不十分となるため、可動板を回動させたときに、可動板やトーションバー等の側面で光が反射し、その反射した光が迷光となって、画像に対して悪影響を与えるという問題があった。
【0006】
同様に、特許文献2に記載の光スキャナでは、はり部や固定部等の側面の光反射を防止する機能が不十分となるため、迷光によって画像に対して悪影響を与えるという問題があった。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、迷光の発生を防止することができる光偏向器、光偏向器の製造方法および画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る光偏向器は、可動板と、一端が前記可動板と連結され、所定の軸の周りに前記可動板を回動可能に支持する、弾性支持部と、前記弾性支持部の他端と連結された支持部材と、を備え、前記弾性支持部は、上面、下面、及び側面を有し、前記側面は、前記上面又は前記下面よりも外側に存在する1つ又は複数の斜面によって形成され、前記弾性支持部の上面及び側面に、光吸収部が設けられている。
これにより、スパッタ等の一般的な成膜方法を用いても、弾性支持部の側面にも均一な光吸収部を成膜することができるので、弾性支持部の側面での反射を防止することができる。
【0008】
本発明に係る光偏向器は、可動板と、一端が前記可動板と連結され、所定の軸の周りに前記可動板を回動可能に支持する、弾性支持部と、前記弾性支持部の他端と連結された支持部材と、を備え、前記支持部材は、上面、下面、及び側面を有し、前記側面は、前記上面又は前記下面よりも外側に存在する1つ又は複数の斜面によって形成され、前記支持部材の上面及び側面に、光吸収部が設けられている。
これにより、スパッタ等の一般的な成膜方法を用いても、支持部材の側面にも均一な光吸収部を成膜することができるので、支持部材の側面での反射を防止することができる。
【0009】
また、可動板は、反射部が形成された上面、下面、及び側面を有し、可動板の側面は、可動板の上面又は下面よりも外側に存在する1つ又は複数の斜面によって形成され、可動板の側面に、光吸収部が設けられていてもよい。
これにより、スパッタ等の一般的な成膜方法を用いても、可動板の側面にも均一な光吸収部を成膜することができるので、可動板の側面での反射を防止することができる。
【0010】
本発明に係る光偏向器の製造方法は、上面、下面、及び側面を有する可動板と、上面、下面、及び側面を有し、一端が前記可動板と連結され、所定の軸の周りに前記可動板を回動可能に支持する、弾性支持部と、前記弾性支持部の他端と連結された支持部材と、を形成する第1工程と、前記弾性支持部の上面及び側面に、光吸収部を形成する第2工程と、前記可動板の上面に反射部を形成する第3工程と、を備え、前記第1工程において、前記弾性支持部の側面は、前記弾性支持部の上面又は下面よりも外側に存在する1つ又は複数の斜面によって形成する。
これにより、スパッタ等の一般的な成膜方法を用いても、弾性支持部の側面にも均一な光吸収部を成膜することができるので、弾性支持部の側面での反射を防止することができる。
【0011】
本発明に係る光偏向器の製造方法は、上面、下面、及び側面を有する可動板と、一端が前記可動板と連結され、所定の軸の周りに前記可動板を回動可能に支持する、弾性支持部と、上面、下面、及び側面を有し、前記弾性支持部の他端と連結された支持部材と、を形成する第1工程と、前記支持部材の上面及び側面に光吸収部を形成する第2工程と、前記可動板の上面に反射部を形成する第3工程と、を備え、前記第1工程において、前記支持部材の側面は、前記支持部材の上面又は下面よりも外側に存在する1つ又は複数の斜面によって形成する。
これにより、スパッタ等の一般的な成膜方法を用いても、支持部材の側面にも均一な光吸収部を成膜することができるので、支持部材の側面での反射を防止することができる。
【0012】
また、第1工程において、可動板の側面は、可動板の上面又は下面よりも外側に存在する1つ又は複数の斜面によって形成し、第2工程において、可動板の側面に光吸収部を形成するようにしてもよい。
これにより、スパッタ等の一般的な成膜方法を用いても、可動板の側面にも均一な光吸収部を成膜することができるので、可動板の側面での反射を防止することができる。
【0013】
また、本発明に係る光偏向器は、光反射性を有する光反射部が設けられた可動板と、
支持部と、
前記可動板を前記支持部に対して回動可能に連結する連結部とを備え、
前記連結部は、前記可動板の回動中心軸に垂直な断面でみたときに、前記可動板の一方の面側から他方の面側へ向けて幅が漸次増加し、その幅の増加に伴って前記可動板の板面の法線方向に対して傾斜する傾斜面を有し、
前記連結部の傾斜面には、光吸収性を有する光吸収部が設けられていることを特徴とする。
【0014】
これにより、スパッタ、蒸着等の一般的な成膜方法を用いても、連結部の傾斜面に均一な光吸収部を成膜することができる。そのため、連結部の傾斜面に形成された光吸収部の光反射を防止する機能(光を吸収する機能)を優れたものとすることができる。そのため、可動板を回動させたときに、この傾斜面に光が入射しても、迷光の発生を防止し、例えば、光偏向器を画像表示装置に用いた場合に、迷光による画像品質の劣化を防止することができる。
【0015】
また、本発明に係る光偏向器は、光反射性を有する光反射部が設けられた可動板と、
支持部と、
前記可動板を前記支持部に対して回動可能に連結する連結部とを備え、
前記支持部は、前記可動板の回動中心軸に垂直な断面でみたときに、前記可動板の一方の面側から他方の面側へ向けて幅が漸次増加し、その幅の増加に伴って前記可動板の板面の法線方向に対して傾斜する傾斜面を有し、
前記支持部の傾斜面には、光吸収性を有する光吸収部が設けられていることを特徴とする。
【0016】
これにより、スパッタ、蒸着等の一般的な成膜方法を用いても、支持部の傾斜面に均一な光吸収部を成膜することができる。そのため、支持部の傾斜面に形成された光吸収部の光反射を防止する機能を優れたものとすることができる。そのため、この傾斜面に光が入射しても、迷光の発生を防止し、例えば、光偏向器を画像表示装置に用いた場合に、迷光による画像品質の劣化を防止することができる。
【0017】
また、本発明に係る光偏向器では、前記可動板は、その回動中心軸に垂直な断面でみたときに、前記可動板の一方の面側から他方の面側へ向けて幅が漸次増加し、その幅の増加に伴って前記可動板の板面の法線方向に対して傾斜する傾斜面を有し、
前記可動板の傾斜面には、光吸収性を有する光吸収部が設けられているのが好ましい。
これにより、スパッタ、蒸着等の一般的な成膜方法を用いても、可動板の傾斜面に均一な光吸収部を成膜することができる。そのため、可動板の傾斜面に形成された光吸収部の光反射を防止する機能(光を吸収する機能)を優れたものとすることができる。そのため、可動板を回動させたときに、この傾斜面に光が入射しても、迷光の発生を防止し、例えば、光偏向器を画像表示装置に用いた場合に、迷光による画像品質の劣化を防止することができる。
【0018】
また、本発明に係る光偏向器の製造方法は、前述した光偏向器の製造方法であって、
面方位(100)のシリコン基板をエッチングすることにより、前記可動板、前記支持部および前記連結部を形成する第1の工程と、
前記光吸収部を形成する第2の工程と、
前記光反射部を形成する第3の工程とを有することを特徴とする。
【0019】
これにより、スパッタ、蒸着等の一般的な成膜方法を用いても、傾斜面に均一な光吸収部を成膜することができる。そのため、傾斜面に形成された光吸収部の光反射を防止する機能(光を吸収する機能)を優れたものとすることができる。そのため、得られた光偏向器において、可動板を回動させたときに、傾斜面に光が入射しても、迷光の発生を防止し、例えば、光偏向器を画像表示装置に用いた場合に、迷光による画像品質の劣化を防止することができる。
本発明の画像表示装置は、光を出射する光出射部と、本発明の光偏向器とを備え、前記光出射部から出射した光を前記光偏向器で走査することにより、画像を表示することを特徴とする。
これにより、迷光による画像品質の劣化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施の形態1による光偏向器の概略構成を示す上面図である。
【図2】図1のA−A線の断面図である。
【図3】図1のB−B線の断面図である。
【図4】実施の形態1による、光偏向器の製造方法を示す工程断面図である。
【図5】実施の形態1による、光偏向器の製造方法を示す工程断面図である。
【図6】実施の形態1による、光偏向器の製造方法を示す工程断面図である。
【図7】実施の形態1による、光偏向器の製造方法を示す工程断面図である。
【図8】実施の形態1による、光偏向器の製造方法を示す工程断面図である。
【図9】実施の形態1による、光偏向器の製造方法を示す工程断面図である。
【図10】実施の形態1による、光偏向器の製造方法を示す工程断面図である。
【図11】実施の形態1による、光偏向器の製造方法を示す工程断面図である。
【図12】実施の形態1による、光偏向器の製造方法を示す工程断面図である。
【図13】実施の形態1による、光偏向器の製造方法を示す工程断面図である。
【図14】実施の形態1による、光偏向器の製造方法を示す工程断面図である。
【図15】実施の形態1による、光偏向器の製造方法を示す工程断面図である。
【図16】実施の形態1による、光偏向器の製造方法を示す工程断面図である。
【図17】実施の形態1による、光偏向器の製造方法を示す工程断面図である。
【図18】実施の形態1による、光偏向器の製造方法を示す工程断面図である。
【図19】実施の形態1による、光偏向器の製造方法を示す工程断面図である。
【図20】実施の形態1による、光偏向器の製造方法を示す工程断面図である。
【図21A】実施の形態1による、光偏向器の製造方法を示す工程断面図である。
【図21B】実施の形態1による、光偏向器の製造方法を示す工程断面図である。
【図22】実施の形態1による、可動板の形状の他の例を示す断面図である。
【図23】実施の形態2による光偏向器の概略構成を示す上面図である。
【図24】図23のA-A線の断面図である。
【図25】図23のB-B線の断面図である。
【図26A】実施の形態2による、光偏向器の製造方法を示す工程断面図である。
【図26B】実施の形態2による、光偏向器の製造方法を示す工程断面図である。
【図27】実施の形態2による、光偏向器の製造方法を示す工程断面図である。
【図28】実施の形態3による、光偏向器の製造方法を示す工程断面図である。
【図29】本発明に係る光偏向器を用いた表示装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
実施の形態1.
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態による光偏向器1の概略構成を示す上面図である。図2は、図1のA−A線における断面図、図3は、図1のB−B線における断面図である。ただし、図3は、光偏向器1の弾性支持部12及び支持部材13のみを示している。
【0022】
光偏向器1は、可動板11と、一端が可動板11と連結され、回転軸X(回動中心軸)の周りに可動板11を回動可能に支持する1対の弾性支持部(連結部)12と、弾性支持部12の他端と連結された支持部材(支持部)13とを有する。可動板11、弾性支持部12、及び支持部材13は、例えば、シリコン基板をエッチング加工することにより一体形成される。可動板11の表面には、反射膜(反射部)21が形成されている。
【0023】
1対の弾性支持部12は、可動板11を支持部材13に対して回動可能に連結している。
各々の弾性支持部12は2本の棒12aで形成されている。棒12aは断面(回動中心軸に垂直な断面)が平行四辺形であり、上面側(図3にて上側)に向かうに従って2本の棒12aの間隔が広がるように配置されている。また、この2本の棒12aの間隔が拡がる角度θ=54.73°である。
【0024】
可動板11の裏面(図2にて下側の面)には、不図示の接着剤を介して磁石22が接合されている。磁石22は、可動板11を平面視したときに、回転軸Xに直交する方向に磁化されている。すなわち、磁石22は、回転軸Xを介して対向する互いに極性の異なる一対の磁極を有している。支持部材13は、ホルダ50に接合されており、ホルダ50上には、可動板11を駆動させるためのコイル51が配置されている。
【0025】
光偏向器1では、周期的に変化する電流(交流)がコイル51に供給される。これにより、コイル51は上方(可動板11側)に向く磁界と、下方に向く磁界とを交互に発生させる。これにより、コイル51に対し磁石22の一対の磁極のうち一方の磁極が接近し他方の磁極が離間するようにして、弾性支持部12を捩れ変形させながら、可動板11が回転軸X回りに回動させられる。
【0026】
図2では、磁石22とコイル51間の電磁力を利用した駆動方式の振動ミラーを示している。しかしながら、本発明は、静電引力を利用した方式や、圧電素子を利用した方式を採用してもよい。例えば、静電引力を利用した方式の場合には、磁石22は不要であり、コイル51の代わりに可動板11に対向する1つ又は複数の電極が設置される。そして、可動板11と電極との間に周期的に変化する交流電圧を印加することにより、可動板11と電極との間に静電引力を作用させて、弾性支持部12を捩れ変形させながら、可動板11を回転軸X回りに回動させる。
【0027】
可動板11の下面及び側面、弾性支持部12の上面、下面、及び側面、支持部材13の上面、下面、及び側面には、光吸収膜(光吸収部)30が形成されている。光吸収膜30は、例えばCr、Niやレジスト等の膜であり、光を吸収して反射しない性質を有する。なお、光吸収膜30は、公知の反射防止膜(すなわち、屈折率の異なる複数の誘電体層を積層した誘電体多層膜)で構成することもできる。
【0028】
図2、3に示すように、可動板11、弾性支持部12、及び支持部材13の側面は、それぞれの上面または下面よりも外側に存在する斜面によって形成されている。可動板11及び支持部材13は、下面から上面に向かって広がる台形形状になっているため、側面を形成する斜面は、下面よりも外側に形成されている。弾性支持部12は、断面が平行四辺形の2本の棒12aで形成されており、上面側に向かうに従って2本の棒12aの間隔が広がるように配置されている。このため、内側の側面14aを形成する斜面は上面よりも外側に形成され、外側の側面14bを形成する斜面は下面よりも外側に形成されている。
【0029】
このように、弾性支持部(連結部)12は、可動板11の回動中心軸(回転軸X)に垂直な断面でみたときに、可動板11の下面側から上面側に向けて幅が漸次増加し、その幅の増加に伴って反射膜21の表面の法線(可動板11の板面の法線)に対して傾斜する傾斜面(側面)を有している。また、支持部材(支持部)13は、可動板11の回動中心軸(回転軸X)に垂直な断面でみたときに、可動板11の下面側から上面側に向けて幅が漸次増加し、その幅の増加に伴って反射膜21の表面の法線に対して傾斜する傾斜面(側面)を有している。さらに、可動板11は、その回動中心軸(回転軸X)に垂直な断面でみたときに、可動板11の下面側から上面側に向けて幅が漸次増加し、その幅の増加に伴って反射膜21の表面の法線に対して傾斜する傾斜面(側面)を有している。
そして、前述したような連結部12の傾斜面、支持部材13の傾斜面および可動板11の傾斜面には、それぞれ、光吸収性を有する光吸収膜30が設けられている。
【0030】
次に、光偏向器1の製造方法について説明する。なお、図14〜19は、図2と同様の断面を示している。
(第1の工程)
図4に示すように、例えば、シリコンからなる基板10を用意する。そして、図5に示すように、熱酸化により、基板10の両面に酸化シリコンからなるマスク31,32を形成する。マスク31,32には、SiO2マスク、SiNマスクなどを用いることができる。
ここで、基板10としては、特に限定されないが、板面における面方位が(100)であるシリコン基板(シリコン単結晶板)を用いるのが好ましい。面方位(100)のシリコン基板をエッチングすることにより、前述したような傾斜面を有する可動板11、支持部材13および弾性支持部12を簡単に形成することができる。
【0031】
次に、図6に示すように、基板10の上面側のマスク31上にレジスト41を形成する。レジストは、ポジ型であってもネガ型であってもよい。そして、続いて、図7に示すように、基板10の下面側のマスク32上にレジスト42を形成する。
次に、図8に示すように、基板10の下面側のレジスト42を露光及び現像して、レジスト42に所定の開口パターンP2を形成する。開口パターンP2は、例えば、可動板11、弾性支持部12、支持部材13以外の領域を開口するパターンである。
【0032】
次に、図9に示すように、レジスト42をマスクとして下面側のマスク32をエッチングする。これにより、レジスト42の開口パターンP2が、マスク32に転写される。マスク32のエッチングには、例えばバッファードフッ酸(BHF)が用いられる。
次に、図10に示すように、基板両面のレジスト41,42を除去する。レジスト41,42の除去には、硫酸洗浄又はアッシングが用いられる。
【0033】
次に、図11に示すように、基板10の下面側に再度、レジスト43を形成する。さらに、図12に示すように、基板10の上面側に再度、レジスト44を形成する。
次に、図13に示すように、基板10の表面側のレジスト44を露光及び現像して、レジスト44に所定の開口パターンP1を形成する。なお、本実施形態では、図13に示す断面においては、開口パターンP1は形成されていないが、図3と同様の断面においては、図20に示すような開口パターンP1を形成する。
【0034】
図20に、図3と同様の断面における、開口パターンP1と開口パターンP2を示す。図20に示すような開口パターンを形成することにより、図3に示すような、側面が斜面によって形成される逆ハの字型の弾性支持部12が形成される。なお、KOHなどのウェットエッチングでは、Siの結晶面方位(111)面がエッチングストッパとして機能するため、表面との角度θ=54.73°の面で構成された側面形状が自動的に形成される。なお、図21Aに、基板10の上面側のマスク31のパターンを示す平面図、図21Bに、基板10の下面側のマスク32のパターンを示す平面図を示す。図13に示す断面は、図21A,BのA−A線における断面、図20に示す断面は図21A,BのB−B線における断面である。
【0035】
次に、図14に示すように、レジスト44をマスクとして上面側のマスク31をエッチングする。これにより、レジスト44の開口パターンP1が、マスク31に転写される。マスク31のエッチングには、例えばバッファードフッ酸(BHF)が用いられる。
次に、図15に示すように、基板両面のレジスト43,44を除去する。レジスト43,44の除去には、硫酸洗浄又はアッシングが用いられる。
【0036】
次に、図16に示すように、マスク31,32を用いて、基板10をエッチングする。これにより、基板10に貫通孔が形成されて、可動板11、弾性支持部12、支持部材13のパターンが形成される。基板10のエッチングには、例えば、KOHを用いたウェットエッチングを用いる。
次に、図17に示すように、マスク31,32を除去する。マスクの除去は、SiO2マスクの場合には希フッ酸やバッファードフッ酸等によるウェットエッチング、あるいは、CF4ガスを用いたドライエッチングによって行うことができる。SiNマスクの場合には、CF4ガスを用いたドライエッチングによって行うことができる。
【0037】
(第2の工程)
次に、図18に示すように、基板10の表面に光吸収膜30を形成する。光吸収膜30の形成は、例えば、スパッタやメッキ等の方法によりクロム膜を成膜することにより行う。成膜する際には、まず基板10の上面(または下面)側からクロムを当て、基板10に付着させる。次に反対側の面からクロムを当て、基板10に付着させる。基板10の上面側からクロムを当てた場合、可動板11及び支持部材13の側面は、それぞれの上面よりも内側にあるため、側面にはクロムを付着させることができない。一方、基板10の下面側からクロムを当てた場合には、可動板11及び支持部材13の側面は、下面よりも外側にあり、側面全体が見えているため、側面にも均一にクロムを付着させることができる。
【0038】
また、弾性支持部12については、図3及び20に示すように、弾性支持部12を構成する2本の棒12a側面のうち内側の側面14aは上面よりも外側にあり、外側の側面14bは下面よりも外側にある。このため、基板10の上面側からクロムを当てた際に、内側の側面14aにクロムが付着し、基板10の下面側からクロムを当てた際に、外側の側面14bにクロムを付着させることができる。
なお、光吸収膜30の膜厚は1500Å程度が望ましい。クロム膜を形成することにより、可視光の反射率を10%以下に抑えることができる。
【0039】
(第3の工程)
次に、図19に示すように、可動板11の表面に金属膜を成膜しパターニングすることにより、可動板11上に反射膜21を形成する。金属膜の成膜方法としては、真空蒸着、スパッタリング、電気メッキ、無電解メッキ、金属箔の接合等が挙げられる。さらに、可動板11の裏面に、接着剤を介して磁石22を固定する。
以上のようにして一枚の基板10を用いて形成された可動板11、弾性支持部12、支持部材13を含む構造体を、ホルダ50に取り付けることにより、光偏向器1が製造される。
【0040】
以上のように、本実施形態によれば、可動板11、弾性支持部12、支持部材13の側面が、それぞれの上面または下面よりも外側に存在する斜面によって形成されている。すなわち、可動板11及び支持部材13は、下面から上面に向かって広がる台形形状になっているため、側面を形成する斜面は、下面よりも外側に形成されている。弾性支持部12は、断面が平行四辺形の2本の棒12aで形成されており、上面側に向かうに従って2本の棒12aの間隔が広がるように配置されている。このため、内側の側面14aを形成する斜面は上面よりも外側に形成され、外側の側面14bを形成する斜面は下面よりも外側に形成されている。これにより、基板10の上面及び下面の両側からスパッタ等による成膜を行うことにより、可動板11、弾性支持部12、及び支持部材13の側面にも均一な光吸収膜30を成膜することができる。
【0041】
なお、本実施形態では、可動板11の側面が可動板11の下面よりも外側に存在する斜面によって形成されるようにしたが、図22に示すように、可動板11については側面が上面及び下面のどちらよりも内側に存在する面によって形成されるようにしてもよい。
図22に示すように、可動板11の側面15は、回転軸X側に窪んでいる。具体的には、主面が(100)面のSiウェハの基板10を用いて可動板11を形成した場合には、可動板11の側面15は、Siの(111)面で構成される。Siの(111)面と主面とのなす角度θは、54.73°である。
【0042】
このように、可動板11の側面15を軸に向かって窪ませることにより、慣性モーメントが低減される。すなわち、側面15は回転軸Xからの距離が遠いため、可動板11の側面15に窪みを設けることにより、物体の微小部分の質量と、その部分の軸からの距離の2乗の積の総和で表される慣性モーメントは格段に小さくなる。従って、可動板11については、側面が上面及び下面のどちらからも内側にあるような形に形成してもよい。
【0043】
以上説明したような実施の形態1によれば、弾性支持部12の傾斜面、支持部材13の傾斜面および可動板11の傾斜面に形成された光吸収膜30の光反射を防止する機能を優れたものとすることができる。そのため、可動板11を回動させたときに、これらの傾斜面に光が入射しても、迷光の発生を防止し、例えば、後述するように光偏向器1を画像表示装置に用いた場合に、迷光による画像品質の劣化を防止することができる。
【0044】
実施の形態2.
図23は、実施の形態2による光偏向器1の概略構成を示す上面図である。図24は、図23のA−A線における断面図、図25は、図23のB−B線における断面図である。ただし、図24,25は、光偏向器1の可動板11、弾性支持部16、及び支持部材13のみを示している。図1〜3と同一の符号は、同一の、或いは対応する構成要素を示している。
実施の形態2では、実施の形態1と弾性支持部16の形状が異なっている、図に示すように、弾性支持部16は、下面から上面に向かって広がる台形形状になっている。このため、側面17を形成する斜面は、下面よりも外側に形成されている。
【0045】
図26Aは、基板10を用いてエッチングにより可動板11、弾性支持部16、支持部材13を形成する際の、基板10の上面側のマスク31のパターンを示す平面図、図26Bは、基板10の下面側のマスク32のパターンを示す平面図である。また、図27は、図26A,BのB−B線における断面図を示す。KOHなどのウェットエッチングでは、Siの結晶面方位(111)面がエッチングストッパとして機能するため、表面との角度θ=54.73°の面で構成された側面形状が自動的に形成される。なお、図26A,BのA−A線における断面は、実施の形態1の図16と同様である。
【0046】
実施の形態2では、基板10の上面側は、開口パターンP1を形成しない。すなわち、実施の形態2では、基板10の下面側からのみのエッチングを行えば良いため、実施の形態1の図11〜15に相当する工程を省略することができる。
実施の形態2では、可動板11、弾性支持部16、支持部材13の側面が、それぞれの上面または下面よりも外側に存在する斜面によって形成されている。すなわち、可動板11、弾性支持部16、及び支持部材13は、下面から上面に向かって広がる台形形状になっている。これにより、基板10の上面及び下面の両側からスパッタ等による成膜を行うことにより、可動板11、弾性支持部16、及び支持部材13の側面にも均一な光吸収膜30を成膜することができる。
【0047】
実施の形態3.
図28は、実施の形態3による光偏向器1を、基板10をエッチングして形成する際の、マスク31,32のパターンを示す断面図である。図26は、図1の
A−A線における断面を示している。図26に示すようなマスク31,32を形成することにより、断面が六角形の可動板18、支持部材19を形成することができる。基板10の上面からのエッチングにより形成された孔と、基板10の下面からのエッチングにより形成された孔の底同士が接触することにより、基板10を貫通する1つの孔が形成される。このとき、KOHなどのウェットエッチングでは、Siの結晶面方位(111)面がエッチングストッパとして機能するため、表面との角度θ=54.73°の面で構成された側面形状が自動的に形成される。このため、通常、ウェットエッチングで基板10を加工した場合には、図26に示すように、可動板18、支持部材19の側面は、回転軸Xとは反対に向かって凸状に形成される。なお、弾性支持部についても同様にマスクパターンを形成することにより、断面を六角形に形成することができる。
断面を六角形に形成すると、側面が2つの斜面から形成され、上面側の斜面は上面よりも外側に、下面側の斜面は下面よりも外側に存在するので、基板10の上面及び下面の両側からスパッタ等による成膜を行うことにより、可動板18及び支持部材19の側面にも均一な光吸収膜30を成膜することができる。
【0048】
(表示装置)
本発明に係る光偏向器1の応用例(画像表示装置の一例)として、投射型の表示装置(プロジェクター)を説明する。図29は、投射型の表示装置の概略構成を示す図である。図29に示す光走査装置は、水平走査ミラーとして本発明に係る光偏向器1を用いている。
【0049】
図29に示す光走査装置は、光偏向器1の他に、レーザー光源101と、ダイクロイックミラー102と、フォトダイオード103と、垂直ミラー104とを備える。
レーザー光源101は、赤色レーザー光を出射する赤色レーザー光源101Rと、青色レーザー光を出射する青色レーザー光源101Bと、緑色レーザー光を出射する緑色レーザー光源101Gとを有する。ただし、2色以下又は4色以上のレーザー光源を用いてもよい。
【0050】
ダイクロイックミラー102は、赤色レーザー光源101Rからの赤色レーザー光を反射するダイクロイックミラー102Rと、青色レーザー光を反射し赤色レーザー光を透過させるダイクロイックミラー102Bと、緑色レーザー光を反射し青色レーザー光及び赤色レーザー光を透過させるダイクロイックミラー102Gとを有する。この3種のダイクロイックミラー102により、赤色レーザー光、青色レーザー光、及び緑色レーザー光の合成光が振動ミラー1に入射する。
フォトダイオード103(103R,103G,103B)は、各ダイクロイックミラー102R,102G,102Bに反射されずに透過した赤色レーザー光、緑色レーザー光、青色レーザー光の光量を検出する。
【0051】
光偏向器1は、ダイクロイックミラー102から送られたレーザー光を水平方向(軸線Xの垂直方向)に走査する。光偏向器1は、上述したように、MEMSにより形成された、共振型ミラーである。
垂直ミラー104は、光偏向器1により反射されたレーザー光を垂直方向に走査する。垂直ミラー104は、例えば、ガルバノミラーにより構成される。ガルバノミラーとはミラーに軸を付け、電気振動に応じてミラーの回動角を変えられるようにした偏向器である。光偏向器1によるレーザー光の水平走査、及び垂直ミラー104によるレーザー光の垂直走査により画像が表示される。
【0052】
本実施形態に係る光走査装置は、上記のレーザー光源101、光偏向器1、垂直ミラー104の駆動制御系として、さらに、レーザー光源101を駆動するレーザー駆動手段110と、光偏向器1を駆動する水平ミラー駆動手段111と、垂直ミラー104を駆動する垂直ミラー駆動手段112と、全体の動作の制御を担う制御手段113と、記憶手段114とを有する。
【0053】
制御手段113は、パーソナルコンピュータや携帯電話等の各種の映像ソース115から送られた画像情報に基づいて、これらの画像を表示すべく、レーザー駆動手段110、水平ミラー駆動手段111、垂直ミラー駆動手段112の動作を制御する。
記憶手段114は、例えば、各種のプログラムを収納するROMと、変数等を収納するRAMと、不揮発性メモリとにより構成される。
本実施形態に係る光偏向器1を表示装置に適用することにより、表示性能の良好な表示装置を実現できる。
【0054】
本発明は、上記の実施形態の説明に限定されない。
例えば、可動板は円形以外の多角形でもよい。また、実施の形態1,2では、1次元1自由度で駆動するタイプの可動板を例示したが、2次元に駆動するタイプの可動板であってもよく、また、1次元2自由度で駆動するタイプの可動板であってもよい。2次元に駆動するタイプの振動ミラーを用いた場合には、垂直ミラー104は不要である。
また、光偏向器1は、表示装置以外にもレーザプリンタ等に適用可能である。
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0055】
1…光偏向器 10…基板 11…可動板 12…弾性支持部 12a…棒 13…支持部材 14a…側面 14b…側面 15…側面 16…弾性支持部 17…側面 18…可動板 19…支持部材 21…反射膜 22…磁石 30…光吸収膜 31…マスク 32…マスク 41…レジスト 42…レジスト 43…レジスト 44…レジスト 50…ホルダ 51…コイル 101…レーザー光源 101R…赤色レーザー光源 101B…青色レーザー光源 101G…緑色レーザー光源 102…ダイクロイックミラー 102R…ダイクロイックミラー 102B…ダイクロイックミラー 102G…ダイクロイックミラー 103…フォトダイオード 103R…フォトダイオード 103B…フォトダイオード 103G…フォトダイオード 104…垂直ミラー 110…レーザー駆動手段 111…水平ミラー駆動手段 112…垂直ミラー駆動手段 113…制御手段 114…記憶手段 115…映像ソース P1…開口パターン P2…開口パターン X…回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動板と、
一端が前記可動板と連結され、所定の軸の周りに前記可動板を回動可能に支持する、弾性支持部と、
前記弾性支持部の他端と連結された支持部材と、を備え、
前記弾性支持部は、上面、下面、及び側面を有し、前記側面は、前記上面又は前記下面よりも外側に存在する1つ又は複数の斜面によって形成され、
前記弾性支持部の上面及び側面に、光吸収部が設けられている、光偏向器。
【請求項2】
可動板と、
一端が前記可動板と連結され、所定の軸の周りに前記可動板を回動可能に支持する、弾性支持部と、
前記弾性支持部の他端と連結された支持部材と、を備え、
前記支持部材は、上面、下面、及び側面を有し、前記側面は、前記上面又は前記下面よりも外側に存在する1つ又は複数の斜面によって形成され、
前記支持部材の上面及び側面に、光吸収部が設けられている、光偏向器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の光偏向器であって、
前記可動板は、反射部が形成された上面、下面、及び側面を有し、前記可動板の側面は、前記可動板の上面又は下面よりも外側に存在する1つ又は複数の斜面によって形成され、
前記可動板の側面に、光吸収部が設けられている、光偏向器。
【請求項4】
上面、下面、及び側面を有する可動板と、
上面、下面、及び側面を有し、一端が前記可動板と連結され、所定の軸の周りに前記可動板を回動可能に支持する、弾性支持部と、
前記弾性支持部の他端と連結された支持部材と、を形成する第1工程と、
前記弾性支持部の上面及び側面に、光吸収部を形成する第2工程と、
前記可動板の上面に反射部を形成する第3工程と、を備え、
前記第1工程において、
前記弾性支持部の側面は、前記弾性支持部の上面又は下面よりも外側に存在する1つ又は複数の斜面によって形成する、光偏向器の製造方法。
【請求項5】
上面、下面、及び側面を有する可動板と、
一端が前記可動板と連結され、所定の軸の周りに前記可動板を回動可能に支持する、弾性支持部と、
上面、下面、及び側面を有し、前記弾性支持部の他端と連結された支持部材と、を形成する第1工程と、
前記支持部材の上面及び側面に光吸収部を形成する第2工程と、
前記可動板の上面に反射部を形成する第3工程と、を備え、
前記第1工程において、
前記支持部材の側面は、前記支持部材の上面又は下面よりも外側に存在する1つ又は複数の斜面によって形成する、光偏向器の製造方法。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の光偏向器の製造方法であって、
前記第1工程において、
前記可動板の側面は、前記可動板の上面又は下面よりも外側に存在する1つ又は複数の斜面によって形成し、
前記第2工程において、前記可動板の側面に光吸収部を形成する、光偏向器の製造方法。
【請求項7】
光反射性を有する光反射部が設けられた可動板と、
支持部と、
前記可動板を前記支持部に対して回動可能に連結する連結部とを備え、
前記連結部は、前記可動板の回動中心軸に垂直な断面でみたときに、前記可動板の一方の面側から他方の面側へ向けて幅が漸次増加し、その幅の増加に伴って前記可動板の板面の法線方向に対して傾斜する傾斜面を有し、
前記連結部の傾斜面には、光吸収性を有する光吸収部が設けられていることを特徴とする光偏向器。
【請求項8】
光反射性を有する光反射部が設けられた可動板と、
支持部と、
前記可動板を前記支持部に対して回動可能に連結する連結部とを備え、
前記支持部は、前記可動板の回動中心軸に垂直な断面でみたときに、前記可動板の一方の面側から他方の面側へ向けて幅が漸次増加し、その幅の増加に伴って前記可動板の板面の法線方向に対して傾斜する傾斜面を有し、
前記支持部の傾斜面には、光吸収性を有する光吸収部が設けられていることを特徴とする光偏向器。
【請求項9】
前記可動板は、その回動中心軸に垂直な断面でみたときに、前記可動板の一方の面側から他方の面側へ向けて幅が漸次増加し、その幅の増加に伴って前記可動板の板面の法線方向に対して傾斜する傾斜面を有し、
前記可動板の傾斜面には、光吸収性を有する光吸収部が設けられている請求項7または8に記載の光偏向器。
【請求項10】
請求項7ないし9のいずれかに記載の光偏向器の製造方法であって、
面方位(100)のシリコン基板をエッチングすることにより、前記可動板、前記支持部および前記連結部を形成する第1の工程と、
前記光吸収部を形成する第2の工程と、
前記光反射部を形成する第3の工程とを有することを特徴とする光偏向器の製造方法。
【請求項11】
光を出射する光出射部と、
請求項7ないし9のいずれかに記載の光偏向器とを備え、
前記光出射部から出射した光を前記光偏向器で走査することにより、画像を表示することを特徴とする画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21A】
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【図21B】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26A】
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【図26B】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2011−53646(P2011−53646A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−106624(P2010−106624)
【出願日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】