光源装置、光学式位置検出装置、および入力機能付き表示システム
【課題】光軸方向に交差する方向に配列した複数の発光素子から光軸方向と配列方向とによって規定される仮想面に沿って光を出射した場合でも、発光素子の配列方向で光強度が急激に変化しない光源装置、光学式位置検出装置、および入力機能付き表示システムを提供すること。
【解決手段】光学式位置検出装置10に用いた光源部12(光源装置)では、複数の発光素子120を発光素子120の光軸に交差する方向に配列したため、光軸方向と配列方向とによって規定されるXY面(仮想面)に沿う広い範囲にわたって検出光L2を十分な強度をもって出射することができる。複数の発光素子120の光軸方向の出射側には、レンズフィルム190(シート状光学部材)が配置されており、かかるレンズフィルム190は、XY面内方向における発光素子120からの出射光L1の発散角を拡大させるパワーを備え、Z軸方向には光を拡散させるパワーを有していない。
【解決手段】光学式位置検出装置10に用いた光源部12(光源装置)では、複数の発光素子120を発光素子120の光軸に交差する方向に配列したため、光軸方向と配列方向とによって規定されるXY面(仮想面)に沿う広い範囲にわたって検出光L2を十分な強度をもって出射することができる。複数の発光素子120の光軸方向の出射側には、レンズフィルム190(シート状光学部材)が配置されており、かかるレンズフィルム190は、XY面内方向における発光素子120からの出射光L1の発散角を拡大させるパワーを備え、Z軸方向には光を拡散させるパワーを有していない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の発光素子が発光素子の光軸に交差する方向に配列された光源装置、光源装置からの出射光を利用して対象物体の位置を光学的に検出する光学式位置検出装置、および光学式位置検出装置を備えた入力機能付き表示システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
対象物体を光学的に検出する光学式位置検出装置としては、例えば、点光源からなる複数の光源部の各々に対して離間した位置に受光部を設け、複数の光源部の各々から透光部材を介して対象物体に向けて検出光を出射した際に、対象物体で反射した検出光が透光部材を透過して受光部で検出されるものが提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
また、点光源からなる複数の光源部の各々から出射された検出光を、導光板を介して出射し、対象物体で反射した検出光を受光部で検出する方式の光学式位置検出装置も提案されている(特許文献2、3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2003−534554号公報
【特許文献2】特開2010−127671号公報
【特許文献3】特開2009−295318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の光学式位置検出装置は点光源から出射された検出光を利用しているので、検出光の照射範囲自体が狭い。このため、対象物体の位置を検出可能な範囲が狭いという問題点がある。また、特許文献2、3に記載の光学式位置検出装置は、導光板を利用して光強度分布を形成しているため、検出可能な範囲が導光板のサイズに規定される。このため、対象物体の位置を検出可能な範囲が狭いという問題点がある。
【0006】
そこで、本発明者等は、複数の発光素子を発光素子の光軸に交差する方向に配列した光源装置を用い、かかる光源装置から、光軸方向と配列方向とによって規定される仮想面に沿って出射された検出光を利用して対象物体の仮想面等の位置を検出する方式を検討している。かかる方法によれば、発光素子から出射された検出光が届く範囲全体を検出領域として利用できるので、検出領域が広い。しかしながら、発光素子から出射された検出光は、発光素子の光軸方向の強度のピークを備え、かかる方向からずれた角度方向では、強度が急激に低下するため、検出領域内において光強度が発光素子の配列方向で急激に変化してしまい、位置検出精度が低くなるという問題点がある。
【0007】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、光軸方向に交差する方向に配列した複数の発光素子から光軸方向と配列方向とによって規定される仮想面に沿って光を出射した場合でも、発光素子の配列方向で光強度が急激に変化しない光源装置、該光源装置を備えた光学式位置検出装置、および該光学式位置検出装置を備えた入力機能付き表示システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の光源装置は、光軸方向に対して交差する方向に配列された複数の発光素子と、前記複数の発光素子の前記光軸方向の出射側に配置され、当該光軸方向と前記複数の発光素子の配列方向とにより規定される仮想面内方向にのみ前記発光素子からの出射光の発散角を拡大させるシート状光学部材と、を有していることを特徴とする。
【0009】
本発明の光源装置では、複数の発光素子を発光素子の光軸に交差する方向に配列したため、光軸方向と配列方向とによって規定される仮想面に沿う広い範囲にわたって光を十分な強度をもって出射することができる。また、複数の発光素子の光軸方向の出射側には、シート状光学部材が配置されており、かかるシート状光学部材は、前記の仮想面内方向における発光素子からの出射光の発散角を拡大させるパワーを備えているため、隣り合う発光素子から出射された光同士の重なりが大となる。このため、光源装置からの光の出射空間では、発光素子の光軸上に相当する位置と、隣り合う2つの発光素子の間に相当する位置とにおける光強度との格差が緩和される。従って、発光素子の配列数を過剰に増やさなくても、発光素子の配列方向において光強度が急激に変化しない。また、シート状光学部材は、仮想面に交差する方向には光を拡散させるパワーを有していないので、仮想面に交差する方向に光が不必要に広がることを防止することができる。それ故、シート状光学部材が仮想面内および仮想面に交差する方向の双方において光を拡散させるパワーを有している場合と違って、仮想面に沿う広い範囲にわたって光を十分な強度をもって出射することができる。
【0010】
本発明において、前記複数の発光素子は、曲線上に配列されていることが好ましい。かかる構成によれば、複数の発光素子を互いに近接させた場合でも、広い角度範囲にわたって、光を十分な強度をもって出射することができる。
【0011】
本発明において、前記シート状光学部材は、例えば、前記仮想面に交差する方向に軸方向を向けて前記配列方向で並列する複数のシリンドリカルレンズを備えたレンズフィルムである。
【0012】
本発明において、前記シート状光学部材として、第1シート状光学部材と、当該第1シート状光学部材の前記光軸方向後側(発光素子とは反対の側)に配置された第2シート状光学部材と、を備えていることが好ましい。かかる構成によれば、発光素子から出射された光を第1シート状光学部材で拡散させた後、さらに第2シート状光学部材によって拡散させることができる。従って、発光素子の配列数を過剰に増やさなくても、発光素子の配列方向において光強度が急激に変化することをより確実に防止することができる。また、シート状光学部材は、2重に配置されているため、シート状光学部材を3重に配置した場合に比して、シート状光学部材による光の減衰を低く抑えることができる。
【0013】
本発明において、前記シート状光学部材は、可撓性を有し、前記配列方向で連続して延在していることが好ましい。かかる構成によれば、光源装置を構成する際、シート状光学部材を配置するのに多大な手間を必要としない。
【0014】
本発明において、前記シート状光学部材は、前記複数の発光素子に1対1で対応するように前記配列方向で分割して配置されている構成を採用することができる。かかる構成によれば、シート状光学部材を複数の発光素子各々に対して最適な状態で配置することができる。
【0015】
本発明において、前記シート状光学部材は、前記複数の発光素子の光軸に対して斜めに配置されている構成を採用することができる。かかる構成によれば、発光素子から出射された光を拡散させる方向をシート状光学部材の傾きによって任意に設定することができる。
【0016】
本発明において、前記シート状光学部材は、前記複数の発光素子のうち、隣り合う発光素子の光軸に対しては逆方向に傾くように配置されている構成を採用してもよい。かかる構成によれば、複数の発光素子のうち、隣り合う発光素子から出射された光の強度分布が逆向きになるため、2つの発光素子から出射された光の強度を合成すると、光強度分布がより連続した形態となる。
【0017】
本発明において、前記発光素子の光軸と前記シート状光学部材との交差角度は、前記配列方向で単調変化していることが好ましい。かかる構成によれば、発光素子の配列方向において、光強度を単調増加あるいは単調減少させるのに適している。
【0018】
本発明に係る光源装置は光学式位置検出装置に用いることができ、かかる光学式位置検出装置は、前記出射光の出射空間に位置する対象物体で反射した光を受光する受光部と、前記受光部の受光強度に基づいて前記対象物体の位置を検出する位置検出部と、を有していることを特徴とする。本発明に係る光学式位置検出装置に用いた光源装置では、複数の発光素子を発光素子の光軸に交差する方向に配列したため、光軸方向と配列方向とによって規定される仮想面に沿う広い範囲にわたって光を十分な強度をもって出射することができる。それ故、仮想面に沿う広い範囲にわたって対象物体の位置を検出することができる。また、複数の発光素子の光軸方向の出射側には、シート状光学部材が配置されており、かかるシート状光学部材は、前記の仮想面内方向における発光素子からの出射光の発散角を拡大させるパワーを備えているため、隣り合う発光素子から出射された光同士の重なりが大となる。このため、光源装置からの光の出射空間では、発光素子の光軸上に相当する位置と、隣り合う2つの発光素子の間に相当する位置とにおける光強度との格差が緩和される。従って、発光素子の配列数を過剰に増やさなくても、発光素子の配列方向において光強度が急激に変化せず、発光素子の配列方向において連続した光強度分布を形成することができる。それ故、本発明に係る光学式位置検出装置によれば、対象物体で反射した光を受光した結果に基づいて、対象物体の位置を精度よく検出することができる。また、シート状光学部材は、仮想面に交差する方向には光を拡散させるパワーを有していないので、仮想面に交差する方向に光が不必要に広がることを防止することができる。それ故、シート状光学部材が仮想面内および仮想面に交差する方向の双方において光を拡散させるパワーを有している場合と違って、仮想面に沿う広い範囲にわたって光を十分な強度をもって出射することができる。それ故、仮想面に沿う方向の検出範囲が不必要に広がることを防止しながら、仮想面に沿う方向の対象物体の位置を検出することができる。
【0019】
本発明において、前記位置検出部は、第1期間において前記複数の発光素子からの出射強度を前記配列方向の一方側に向かって減少させた際の前記受光部の受光強度と、前記第1期間と重ならない第2期間において前記複数の発光素子からの出射強度を前記配列方向の一方側に向かって増大させた際の前記受光部の受光強度との比較結果に基づいて前記対象物体の位置を検出する構成を採用することができる。
【0020】
本発明において、前記位置検出部は、前記第1期間における前記受光部の受光強度と前記第2期間における前記受光部の受光強度とが等しくなった際の前記第1期間における前記複数の発光素子での駆動電流値と前記第2期間における前記複数の発光素子での駆動電流値との比較結果に基づいて前記対象物体の位置を検出する構成を採用することができる。
【0021】
本発明に係る光学式位置検出装置は、入力機能付き表示システムに用いることができ、かかる入力機能付き表示システムは、画像が表示される表示面を備えた表示装置を有し、前記表示面に沿う方向の前記対象物体の位置を前記光学式位置検出装置が検出した結果に基づいて前記画像が切り換えられる。
【0022】
また、入力機能付き表示システムは、画像を投射する画像投射装置を有し、前記画像の投射方向と交差する方向における前記対象物体の位置を前記光学式位置検出装置が検出した結果に基づいて前記画像が切り換えられる構成を有していてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置の主要部の説明図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置の受発光ユニットの説明図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置の光源部に用いたレンズフィルムの部分拡大図である。
【図4】図3に示すレンズフィルムの機能を示す説明図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置の制御系の説明図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置において受発光ユニットから出射される検出光の説明図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置における位置検出原理の説明図である。
【図8】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置において対象物体のXY座標データを取得する原理の説明図である。
【図9】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置で用いたレンズフィルムの効果を示すグラフである。
【図10】本発明の実施の形態2に係る光学式位置検出装置の光源部の説明図である。
【図11】本発明の実施の形態3に係る光学式位置検出装置の光源部の説明図である。
【図12】本発明の実施の形態3に係る光学式位置検出装置においてレンズフィルムと発光素子の光軸とがなす角度を変えた場合の光強度−角度特性を示すグラフである。
【図13】本発明の実施の形態4に係る光学式位置検出装置の光源部の説明図である。
【図14】本発明の実施の形態5に係る光学式位置検出装置の光源部の説明図である。
【図15】本発明に係る光学式位置検出装置の光源部の他の構成例を示す説明図である。
【図16】本発明を適用した位置検出システムの具体例1(入力機能付き表示システム)の説明図である。
【図17】本発明を適用した位置検出システムの具体例2(入力機能付き表示システム/入力機能付き投射型表示システム)の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明においては、互いに交差する方向をX軸方向およびY軸方向とし、X軸方向およびY軸方向に交差する方向をZ軸方向とする。また、以下に参照する図面では、X軸方向の一方側をX1側とし、他方側をX2側とし、Y軸方向の一方側をY1側とし、他方側をY2側とし、Z軸方向の一方側をZ1側とし、他方側をZ2側として表してある。
【0025】
[実施の形態1]
(全体構成)
図1は本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置の主要部の説明図である。図1(a)は光学式位置検出装置を検出光出射空間側の斜め方向からみたときの説明図であり、図1(b)は光学式位置検出装置を正面からみたときの説明図である。図1において、本形態の位置検出システム1は、対象物体Obの位置を検出する光学式位置検出装置10を有している。光学式位置検出装置10は、X軸方向およびY軸方向により規定される仮想のXY面(仮想面)に沿うように放射状に出射した検出光L2を利用して、対象物体Obの位置を検出する。本形態において、位置検出システム1は、XY面に沿って広がる視認面41をZ軸方向の一方側Z1に備えた視認面構成部材40を有しており、光学式位置検出装置10は、視認面41に沿って検出光L2を出射し、視認面構成部材40に対して視認面41側(Z軸方向の一方側Z1)に位置する対象物体Obの位置を検出する。従って、位置検出システム1の検出空間10Rは、光学式位置検出装置10において検出光L2が出射される検出光出射空間であり、検出空間10Rには、後述する検出光L2の光強度分布が形成される。かかる位置検出システム1は、光学式位置検出装置10によって、後述する電子黒板等の入力機能付き表示システムや入力機能付き投射型表示システム等として用いることができる。
【0026】
本形態の位置検出システム1において、光学式位置検出装置10は、視認面41(XY面)に沿って検出光L2を放射状に出射する光源部12と、検出空間10Rに位置する対象物体Obで反射した検出光L2(反射光L3)を受光する受光部13とを備えており、光源部12は、後述する光源駆動部51とともに光源装置20を構成している。
【0027】
本形態においては、光源部12として、視認面構成部材40に対してY軸方向の一方側Y1に離間する位置で検出空間10Rに向く2つの光源部12(第1光源部12Aおよび第2光源部12B)を備えている。第1光源部12Aと第2光源部12Bとは、X軸方向で離間し、Y軸方向では同一の位置にある。また、本形態においては、受光部13として、視認面構成部材40に対してY軸方向の一方側Y1に離間する位置で検出空間10Rに向く第1受光部13Aおよび第2受光部13Bを備えている。第1受光部13Aと第2受光部13Bとは、X軸方向で離間し、Y軸方向では同一の位置にある。
【0028】
ここで、第1受光部13Aは、第1光源部12Aから放射状に出射される検出光L2(検出光L2a)の放射中心位置に配置されており、第1受光部13Aと第1光源部12Aとは受発光ユニット15(第1受発光ユニット15A)として一体化されている。また、第2受光部13Bは、第2光源部12Bから放射状に出射される検出光L2(検出光L2b)の放射中心位置に配置されており、第2受光部13Bと第2光源部12Bとは受発光ユニット15(第2受発光ユニット15B)として一体化されている。
【0029】
第1受発光ユニット15Aおよび第2受発光ユニット15Bは、視認面構成部材40よりZ軸方向の一方側Z1に突出した位置にある。また、第1受発光ユニット15Aと第2受発光ユニット15Bとは異なる期間において動作する。従って、第1受発光ユニット15Aにおいて、第1光源部12Aから検出光L2aが出射された際に、第1受光部13Aは、検出空間10Rに位置する対象物体Obで反射した検出光L2a(反射光L3)を受光する。かかる動作とは異なる期間において、第2受発光ユニット15Bにおいて、第2光源部12Bから検出光L2bが出射された際、第2受光部13Bは、検出空間10Rに位置する対象物体Obで反射した検出光L2b(反射光L3)を受光する。
【0030】
(受発光ユニット)
図2は、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置10の受発光ユニット15の説明図である。なお、本形態の光学式位置検出装置10において、第1受発光ユニット15Aおよび第2受発光ユニット15Bは同一の構成を有している。このため、第1光源部12Aおよび第2光源部12Bは同一の構成を有し、第1受光部13Aおよび第2受光部13Bは同一の構成を有している。従って、第1受発光ユニット15Aの構成を説明して、第2受発光ユニット15Bの説明を省略する。
【0031】
図2に示すように、第1受発光ユニット15Aの第1光源部12Aは、複数の発光素子120と、複数の発光素子120が実装された帯状のフレキシブル基板180と、長さ方向(円周方向)で湾曲した形状をもって延在する凸曲面155を備えた扇形形状のホルダー150とを備えている。また、図2に一点鎖線で示すように、発光素子120の光軸方向の出射側には、図3および図4を参照して後述するレンズフィルム190(シート状光学部材)を備えている。
【0032】
本形態では、フレキシブル基板180として、帯状の第1フレキシブル基板181と、第1フレキシブル基板181に対して幅方向(Z軸方向)で並列する帯状の第2フレキシブル基板182とを備えている。第1フレキシブル基板181には、その長さ方向に、複数の発光素子120として、8つの第1発光素子121が実装されており、第2フレキシブル基板182には、その長さ方向に、複数の発光素子120として、8つの第2発光素子122が実装されている。発光素子120にはいずれも、LED(発光ダイオード)が用いられている。LEDはピーク波長が840〜1000nmに位置する赤外光からなる出射光L1を発散光として出射する。
【0033】
ホルダー150は、第1ホルダー151と第2ホルダー152とがZ軸方向で重ねられた構造になっており、第1ホルダー151と第2ホルダー152とはZ軸方向で互いに対称な構成を有している。第1ホルダー151は、凸曲面155の下半部を構成する円弧状の凸曲面155aと、凸曲面155aにおいて第2ホルダー152が位置する側とは反対側の端部で凸曲面155aから突出する扇形形状の鍔部156aを備えている。第2ホルダー152は、凸曲面155の上半部を構成する円弧状の凸曲面155bと、凸曲面155bにおいて第1ホルダー151が位置する側とは反対側の端部で凸曲面155bから突出する扇形形状の鍔部156bを備えている。
【0034】
凸曲面155aには第1フレキシブル基板181が重ねて配置されており、これにより、8つの第1発光素子121は、凸曲面155aの円弧に沿って一定間隔で放射状に配置されている。すなわち、第1発光素子121は、第1発光素子121の光軸に交差する方向に複数配列されており、本形態において、第1発光素子121は曲線上に配置されている。また、凸曲面155bには第2フレキシブル基板182が重ねて配置されており、これにより、8つの第2発光素子122は、凸曲面155bの円弧に沿って一定間隔で放射状に配置されている。すなわち、第2発光素子122も、第1発光素子121と同様、第2発光素子122の光軸に交差する方向に複数配列されており、本形態において、第2発光素子122は曲線上に配置されている。
【0035】
ここで、鍔部156a、156bは、Z軸方向における検出光L2の出射範囲を制限している。また、第1フレキシブル基板181と第2フレキシブル基板182とによってZ軸方向で挟まれた部分は、対象物体Obで反射した検出光L2b(反射光L3)の入射部148となっている。入射部148の奥には、第1受光部13Aの受光素子130が配置されている。受光素子130は、例えば、フォトダイオードやフォトトランジスターであり、本形態においては、赤外域に感度ピークを備えたフォトダイオードである。なお、第2受発光ユニット15Bは、第1受発光ユニット15Aと同一の構成を有している。
【0036】
(レンズフィルム190の構成)
図3は、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置10の光源部12に用いたレンズフィルムの部分拡大図である。図4は、図3に示すレンズフィルムの機能を示す説明図であり、図4(a)、(b)は、レンズフィルムによって光を拡散させる様子を示す説明図であり、図4(c)は、発光素子の光軸に直交するようにレンズフィルムを配置した場合における検出光の光強度−角度特性を示すグラフである。なお、図4(c)では、光軸方向を0°としてある。
【0037】
図2に示すように、第1光源部12Aは、発光素子120の光軸方向の出射側にレンズフィルム190を備えている。本形態では、レンズフィルム190として、第1発光素子121の光軸方向の出射側に配置されたレンズフィルム196と、第2発光素子122の光軸方向の出射側に配置されたレンズフィルム197とを備えている。レンズフィルム196は、第1発光素子121の配列方向に沿って円弧形状に曲げられた状態で配置され、レンズフィルム197は、第2発光素子122の配列方向に沿って円弧形状に曲げられた状態で配置されている。
【0038】
この状態で、レンズフィルム196は、複数の第1発光素子121の各々の光軸と直交しており、図4を参照して後述するように、複数の第1発光素子121の各々から出射された光(出射光L1)を第1発光素子121の配列方向に拡散させて検出光L2として出射する。また、レンズフィルム197は、複数の第2発光素子122の各々の光軸と直交しており、図4を参照して後述するように、複数の第2発光素子122の各々から出射された光(出射光L1)を第2発光素子122の配列方向に拡散させて検出光L2として出射する。
【0039】
より具体的には、図3に示すように、レンズフィルム190(レンズフィルム196およびレンズフィルム197)は、一方面190sにおいて、Z軸方向に軸方向を向けた複数のシリンドリカルレンズ193が軸方向に直交する方向に配列された可撓性のシート体であり、複数のシリンドリカルレンズ193は、フィルム状の基材部分198で繋がっている。また、レンズフィルム190の他方面190tは、平坦面あるいは光散乱用の微細な凹部が形成された面になっている。シリンドリカルレンズ193のレンズ面193aは、凸面となっており、レンズフィルム190の面内方向(シリンドリカルレンズ193の配列方向)に正のパワーを有している一方、シリンドリカルレンズ193の軸方向にはパワーを有していない。また、シリンドリカルレンズ193は微細なものであり、その幅寸法は10μm〜20μmである。従って、レンズフィルム190を図2および図4(b)に示すように配置すると、シリンドリカルレンズ193は、発光素子120が配列されている方向に並ぶことになる。それ故、複数の発光素子120の各々から出射された光(出射光L1)は、レンズフィルム190の複数のシリンドリカルレンズ193を通過する際、発光素子120の配列方向に拡散し、検出光L2として出射することになる。
【0040】
より具体的には、図4(a)に示すように、レンズフィルム190を用いない場合、発光素子120からの出射光L1は、断面円形のビームとして出射されるが、図4(b)に示すように、レンズフィルム190を配置すると、発光素子120からの出射光L1は、レンズフィルム190によって、シリンドリカルレンズ193の配列方向(発光素子120の配列方向/XY面内方向)において発散角が拡大された検出光L2として出射される。但し、レンズフィルム190を配置しても、シリンドリカルレンズ193の軸方向(Z軸方向)では、発光素子120からの出射光L1の発散角は拡大されることはない。
【0041】
従って、レンズフィルム190を通過した検出光L2は、シリンドリカルレンズ193の配列方向に長軸を向けた断面楕円のビームである。かかる断面楕円のビームにおいて、短軸方向の寸法は、図4(a)に示すビーム径と同様であり、長軸方向の寸法は、図4(a)に示すビーム径より大である。それ故、レンズフィルム190を通過した検出光L2のシリンドリカルレンズ193の軸方向(Z軸方向)における強度と角度との関係は、図4(c)に点線Lzで示す通りであり、シリンドリカルレンズ193の配列方向(XY面内方向)における強度と角度との関係は、図4(c)に実線Lxyで示す通りである。
【0042】
従って、図5〜図8を参照して以下に説明するように、対象物体Obの位置を検出するための光強度分布を形成した際、図9を参照して後述するように、発光素子120の配列方向で光強度が連続的に変化し、光強度が急激に変化することはない。
【0043】
(制御系)
図5は、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置10の制御系の説明図である。図6は、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置10において受発光ユニット15から出射される検出光L2の説明図であり、図6(a)、(b)は、第1期間の第1点灯動作時に検出光L2が出射される様子を示す説明図、および第2期間の第2点灯動作時に検出光L2が出射される様子を示す説明図である。
【0044】
図5に示すように、本形態の光学式位置検出装置10において、第1受発光ユニット15Aおよび第2受発光ユニット15Bは、制御用IC70に電気的に接続されており、制御用IC70は上位の制御装置60に電気的に接続されている。
【0045】
制御用IC70は、基準クロック、A相基準パルス、B相基準パルス、タイミング制御パルス、同期クロック等を生成する複数の回路(図示せず)を有している。また、制御用IC70は、A相基準パルスに基づいて所定の駆動パルスを生成するパルス発生器75aと、B相基準パルスに基づいて所定の駆動パルスを生成するパルス発生器75bとを有している。また、制御用IC70は、パルス発生器75aおよびパルス発生器75bが生成した駆動パルスを、第1駆動電流バランス調整回路791を介して第1発光素子121に供給するか、第2駆動電流バランス調整回路792を介して第2発光素子122に供給するかを制御するスイッチ部76を有している。かかるパルス発生器75a、75b、スイッチ部76、第1駆動電流バランス調整回路791、および第2駆動電流バランス調整回路792は発光素子120を駆動するための光源駆動部51を構成している。第1駆動電流バランス調整回路791および第2駆動電流バランス調整回路792は、例えば、複数の発光素子120の各々に1対1で対応する抵抗を備えた抵抗回路からなる。
【0046】
光源駆動部51は、複数の発光素子120を駆動制御する際に、第1フレキシブル基板181に実装されている複数の第1発光素子121と、第2フレキシブル基板182に実装されている複数の第2発光素子122とを重ならない期間において点灯させる。その際、複数の第1発光素子121を全て点灯させ、複数の第2発光素子122を全て消灯させる第1期間の第1点灯動作では、第1駆動電流バランス調整回路791によって、複数の第1発光素子121に対する駆動電流を一方側の端部181aの側から他方側の端部181bに向かって減少させる。これにより、図6(a)に出射強度の高低を矢印Paで示すように、第1フレキシブル基板181の長さ方向の一方側の端部181aが位置する側から他方側の端部181bが位置する側に向かって第1発光素子121の出射強度を減少させる。従って、検出空間10Rに出射される検出光L2の第1光強度分布LID1は、第1フレキシブル基板181の長さ方向の一方側の端部181aが位置する角度方向では光強度が高く、そこから、他方側の端部181bが位置する角度方向に向かって光強度が連続的に低くなる。
【0047】
これに対して、第1期間と重ならない第2期間の第2点灯動作では、複数の第2発光素子122を全て点灯させ、複数の第1発光素子121を全て消灯させる。より具体的には、第2駆動電流バランス調整回路792によって、複数の第2発光素子122に対する駆動電流を他方側の端部182bの側から一方側の端部182aに向かって減少させる。これにより、図6(b)に出射強度の高低を矢印Pbで示すように、第2フレキシブル基板182の長さ方向の他方側の端部182bが位置する側から一方側の端部182aが位置する側に向かって第2発光素子122の出射強度を減少させる。従って、検出空間10Rに出射される検出光L2の第2光強度分布LID2は、第2フレキシブル基板182の長さ方向の他方側の端部182bが位置する角度方向では光強度が高く、そこから、一方側の端部182aが位置する角度方向に向かって光強度が連続的に低くなる。
【0048】
なお、第2受発光ユニット15Bは、第1受発光ユニット15Aと同様な構成をもって制御用IC70に電気的に接続されており、光源駆動部51は第2受発光ユニット15Bの第2光源部12Bに対しても、第1光源部12Aと同様、第1期間には第1点灯動作を行わせて第1光強度分布LID1を形成させ、第2期間には第2点灯動作を行わせて第2光強度分布LID2を形成させる。また、光源駆動部51は、第2受発光ユニット15Aの第1光源部12Aの第1点灯動作(第1期間)および第2点灯動作(第2期間)の後に、第2受発光ユニット15Bの第2光源部12Bの第1点灯動作(第1期間)および第2点灯動作(第2期間)を行なわせる。
【0049】
また、制御用IC70は、受光部13での検出結果を増幅する増幅部等を備えた受光量測定部73と、受光量測定部73での測定結果に基づいてパルス発生器75a、75bを制御して発光素子120に供給する駆動パルスの駆動電流値を調整する調整量算出部74を備えている。かかる受光量測定部73および調整量算出部74は、位置検出部50の一部の機能を担っている。
【0050】
次に、制御用IC70は、パーソナルコンピューター等の上位の制御装置60の制御部61によって制御されており、かかる制御装置60は、受光量測定部73および調整量算出部74とともに位置検出部50を構成する座標データ取得部55を有している。従って、本形態において、位置検出部50は、制御用IC70の受光量測定部73および調整量算出部74と、上位の制御装置60(パーソナルコンピューター)の座標データ取得部55とによって構成されている。
【0051】
ここで、本形態の光学式位置検出装置10は、受発光ユニット15として、互いに離間した位置に配置された第1受発光ユニット15Aおよび第2受発光ユニット15Bを有しているので、座標データ取得部55は、第1受発光ユニット15Aに対する駆動結果に基づいて、第1光源部12Aの放射中心に対する対象物体Obの角度位置を検出する第1角度位置検出部551と、第2受発光ユニット15Bに対する駆動結果に基づいて、第2光源部12Bの放射中心に対する対象物体Obの角度位置を検出する第2角度位置検出部552を有している。また、座標データ取得部55は、第1角度位置検出部551で得られた対象物体Obの角度位置と、第2角度位置検出部552で得られた対象物体Obの角度位置とに基づいて対象物体ObのXY座標データを確定する座標データ確定部553を備えている。
【0052】
なお、本形態では、制御用IC70を多チャンネル化して、1つの制御用IC70によって第1受発光ユニット15Aおよび第2受発光ユニット15Bを駆動しているが、第1受発光ユニット15Aおよび第2受発光ユニット15Bに対して1対1の関係をもつ2つの制御用IC70を用いてもよい。
【0053】
(対象物体の位置検出動作)
図7は、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置10における位置検出原理の説明図であり、図7(a)、(b)は、光強度分布の説明図、および対象物体Obが存在する位置情報(角度位置/方位情報)を取得する方法の説明図である。図8は、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置10において対象物体ObのXY座標データを取得する原理の説明図である。なお、図7では、光源部12から出射される検出光L2の照射範囲の中央(受光部13の正面)に相当する角度方向を0°としてある。
【0054】
本形態では、まず、第1光源部12Aによって、第1光強度分布LID1を形成した際、検出光L2の出射角度方向と、検出光L2の強度とは、図7(a)に線E1で示す直線関係にある。また、第1光源部12Aによって、第2光強度分布LID2を形成した際、検出光L2の出射角度方向と、検出光L2の強度とは、図7(a)に線E2で示す直線関係にある。ここで、図7(b)および図8に示すように、第1光源部12Aの中心PE(検出光L2の放射中心位置)からみて角度θの方向に対象物体Obが存在するとする。この場合、第1光強度分布LID1を形成したとき、対象物体Obが存在する位置での検出光L2の強度はINTaとなる。これに対して、第2光強度分布LID2を形成したとき、対象物体Obが存在する位置での検出光L2の強度はINTbとなる。従って、第1光強度分布LID1を形成した際の第1受光部13Aでの受光強度と、第2光強度分布LID2を形成した際の第1受光部13Aでの受光強度を比較して、強度INTa、INTbの関係を求めれば、図7(b)および図8に示すように、第1光源部12Aの中心PEを基準に対象物体Obが位置する方向の角度θ(角度θ1/角度位置)を求めることができる。
【0055】
かかる原理を利用して、対象物体Obの角度位置(角度θ1)を検出するにあたって、本形態では、第1光源部12Aによって、第1光強度分布LID1を形成した第1期間における第1受光部13Aでの受光強度と、第2光強度分布LID2を形成した第2期間における第1受光部13Aでの受光強度とが等しくなるように、第1光源部12Aに対する第1駆動電流値、および第1光源部12Aに対する第2駆動電流値を調整する。その際、第1駆動電流値は、第1点灯動作における発光素子120への駆動電流の和であり、第2駆動電流値は、第2点灯動作における発光素子120への駆動電流の和である。
【0056】
ここで、第1光源部12Aからの検出光L2の出射強度は、発光素子120に対する第1駆動電流値、および発光素子120に対する第2駆動電流値に比例する。従って、発光素子120に対する第1駆動電流値、および発光素子120に対する第2駆動電流値を調整した後の第1駆動電流値と第2駆動電流値との比や差、あるいは駆動電流値を調整した際の駆動電流値の調整量の比や差から対象物体Obが位置する方向の角度θ(角度θ1)を求めることができる。
【0057】
より具体的には、まず、図5に示す制御用IC70の光源駆動部51は、第1期間では第1点灯動作として第1光源部12Aの発光素子120を駆動して第1光強度分布LID1を形成した後、第2期間では第2点灯動作として第1光源部12Aの発光素子120を駆動して第2光強度分布LID2を形成する。この際、第1光強度分布LID1と第2光強度分布LID2とは強度変化の向きは逆向きであるが、強度レベルは同一である。そして、図5に示す位置検出部50の調整量算出部74は、第1点灯動作時の第1受光部13Aの受光強度INTaと、第2点灯動作時の第1受光部13Aの受光強度INTbを比較する。その結果、第1点灯動作時の第1受光部13Aの受光強度INTaと、第2点灯動作時の第1受光部13Aの受光強度INTbとが等しければ、対象物体Obの角度位置は0°である。
【0058】
これに対して、第1点灯動作時の第1受光部13Aの受光強度INTaと、第2点灯動作時の第1受光部13Aの受光強度INTbとが相違している場合、位置検出部50は、受光強度INTa、INTbとが等しくなるように、第1光源部12Aに対する第1駆動電流値、および第1光源部12Aに対する第2駆動電流値を調整する。そして、再度、第1点灯動作と第2点灯動作を行った際に、第1点灯動作時の第1受光部13Aの受光強度INTaと、第2点灯動作時の第1受光部13Aの受光強度INTbとが等しければ、図5に示す第1角度位置検出部551は、かかる調整を行った後の第1光源部12Aに対する第1駆動電流値と第2駆動電流値との比や差、あるいは駆動電流の調整量の比や差から対象物体Obが位置する方向の角度θ(角度θ1)を求める。
【0059】
かかる動作を第2光源部12Bにおいても行えば、図5に示す第2角度位置検出部552は、第2光源部12Bの中心PEを基準に対象物体Obが位置する方向の角度θ(角度θ2/角度位置)を求めることができる。従って、図5に示す座標データ確定部553は、第1受光部13Aと第2受光部13Bの間の距離DSに基づいて第1角度位置検出部551で検出した角度位置(角度θ1の方向)と、第2角度位置検出部552で検出した角度位置(角度θ2の方向)の交点に相当する位置を対象物体Obが位置するXY座標データとして取得することができる。
【0060】
(レンズフィルム190による光強度分布の補正)
図9は、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置10で用いたレンズフィルム190の効果を示すグラフであり、図9(a)、(b)は、レンズフィルム190を用いない場合の光強度分布を示すグラフ、およびレンズフィルム190を用いた場合の光強度分布を示すグラフである。
【0061】
図9に示すグラフにおいて、縦軸は光強度を示しており、横軸は光源部12から出射角度範囲の中心を0°とした場合の角度を示している。従って、第1光強度分布LID1を形成した際、第1フレキシブル基板181の長さ方向の一方側の端部181aが位置する角度方向では光強度が高く、そこから、他方側の端部181bが位置する角度方向に向かって光強度が低くなっている。かかる光強度分布を形成するにあたって、本形態では、図3および図4を参照して説明したレンズフィルム190を用いているため、発光素子120の数を過度に増やさなくても、発光素子120の光軸上に相当する位置と、隣り合う発光素子120と発光素子120の間に相当する位置とにおいて光強度が急激に変化しない。それ故、光強度分布を好適に形成することができる。
【0062】
より具体的には、レンズフィルム190を用いずに、図6および図7を参照して説明した光強度分布を形成した場合には、図9(a)に示すように、光強度分布は、各発光素子120からの出射光L1の強度(線L91で示す強度)をそのまま合成した結果(線L9で示す結果)となる。このため、光強度分布を形成した際、発光素子120の光軸上に相当する位置における光強度が、隣り合う発光素子120の間に相当する位置における光強度と比較して著しく大きくなってしまうため、上記の原理に基づいて対象物体Obの位置を検出した際、検出誤差が大きくなってしまう。
【0063】
これに対して、本形態では、レンズフィルム190を用いたため、図6および図7を参照して説明した光強度分布を形成した際、複数の発光素子120からの出射光L1が各々、レンズフィルム190によって発光素子120の配列方向に拡散される。このため、隣り合う発光素子120から出射された光(出射光L1)は、レンズフィルム190を通過すると、互いの重なりが大となる検出光L2となる。従って、複数の発光素子120から出射された検出光L2を合成すると、図9(b)に線L11で示すように、発光素子120の光軸上に相当する位置における光強度と、隣り合う発光素子120の間に相当する位置における光強度との差が小さく、強度が連続して変化する光強度分布が形成されることになる。それ故、上記の原理に基づいて対象物体Obの位置を検出した際、検出精度が高い。
【0064】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の光源部12(光源装置)および光学式位置検出装置10では、複数の発光素子120を発光素子120の光軸に交差する方向に配列したため、光軸方向と配列方向とによって規定されるXY面(仮想面)に沿う広い範囲にわたって検出光L2を十分な強度をもって出射することができる。それ故、XY面に沿う広い範囲にわたって対象物体ObのXY座標を検出することができる。
【0065】
また、複数の発光素子120の光軸方向の出射側には、レンズフィルム190(シート状光学部材)が配置されており、かかるレンズフィルム190は、XY面内方向における発光素子120からの出射光L1の発散角を拡大させるパワーを備えている。このため、隣り合う発光素子120から出射された光同士の重なりが大である。従って、検出空間10Rでは、発光素子120の光軸上に相当する位置と、隣り合う2つの発光素子の間に相当する位置とにおける光強度との格差が緩和されるので、発光素子120の配列数を過剰に増やさなくても、発光素子120の配列方向において光強度が急激に変化しない。それ故、検出空間10Rの一方側から他方側に向かって強度が連続して単調に変化する光強度分布(第1光強度分布LID1および第2光強度分布LID2)を形成することができる。それ故、光強度分布を形成した際に対象物体Obで反射した光(反射光L3)を受光した結果に基づいて、対象物体ObのXY座標を精度よく検出することができる。
【0066】
また、レンズフィルム190は、Z軸方向には光を拡散させるパワーを有していないので、Z軸方向に検出光L2が不必要に広がることを防止することができ、その分、XY面に沿う広い範囲にわたって検出光L2を十分な強度をもって出射することができる。さらに、レンズフィルム190は、Z軸方向に検出光L2を不必要に広げることがないので、Z軸方向の所定の範囲内に限定した状態で対象物体ObのXY座標を検出することができる。
【0067】
また、複数の発光素子120は、曲線上に配列されているため、複数の発光素子120を互いに近接させた場合でも、広い角度範囲にわたって、検出光L2を十分な強度をもって出射することができる。さらに、レンズフィルム190は可撓性を有しているため、発光素子120が曲線上に配列されている場合でも、発光素子120が配置されている曲線に合わせて、帯状に延在するレンズフィルム190を湾曲させることができる。それ故、光源部12を構成する際、レンズフィルム190を配置するのに多大な手間を必要としない。
【0068】
[実施の形態1の変形例]
実施の形態1では、レンズフィルム190として、第1発光素子121および第2発光素子122の各々に別体のレンズフィルム196、197を設けたが、第1発光素子121および第2発光素子122に共通のレンズフィルム190を設けてもよい。
【0069】
また、実施の形態1では、複数の発光素子120に、発光素子120の配列方向に延在する帯状のレンズフィルム190を設けたが、発光素子120の数に対応する枚数のレンズフィルム190を複数の発光素子120の各々に1対1で対応するように配置してもよい。
【0070】
[実施の形態2]
図10は、本発明の実施の形態2に係る光学式位置検出装置10の光源部12の説明図であり、図10(a)、(b)は、レンズフィルム190の説明図、および光源部12から出射される検出光L2の光強度分布(第1光強度分布LID1)を示す説明図である。なお、本形態の基本的な構成は実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して、それらの説明を省略する。
【0071】
実施の形態1では、発光素子120に1枚のレンズフィルム190を設けたが、本形態では、図10(a)に示すように、レンズフィルム190(シート状光学部材)として、第1レンズフィルム191(第1シート状光学部材)と、第1レンズフィルム191に対して光軸方向後側(発光素子120とは反対の側)に配置された第2レンズフィルム192(第2シート状光学部材)とが設けられている。ここで、第1レンズフィルム191および第2レンズフィルム192は、いずれも発光素子120の配列方向に沿って曲線状に湾曲して配置されている。
【0072】
かかる構成によれば、第1レンズフィルム191によって、発光素子120の光軸上に相当する位置と、隣り合う2つの発光素子の間に相当する位置とにおける光強度との格差を圧縮した後、第2レンズフィルム192によって、発光素子120の光軸上に相当する位置と、隣り合う2つの発光素子の間に相当する位置とにおける光強度との格差をさらに圧縮することができる。このため、図10(b)に実線L12で示すように、検出空間10Rには、実施の形態1よりも強度の起伏が小さな光強度分布(第1光強度分布LID1および第2光強度分布LID2)が形成されることになる。また、レンズフィルム190を3枚以上設けると、レンズフィルム190に起因する光強度の低下が大となるが、本形態では、2枚のレンズフィルム190を用いるため、光強度の低下を最小限に抑えることができる。それ故、XY面(仮想面)に沿う広い範囲にわたって検出光L2を十分な強度をもって出射することができるので、XY面に沿う広い範囲にわたって対象物体ObのXY座標を検出することができる。
【0073】
[実施の形態2の変形例]
実施の形態2では、第1発光素子121および第2発光素子122の各々に別体のレンズフィルム190を設けてもよく、また、第1発光素子121および第2発光素子122に共通のレンズフィルム190を設けてもよい。また、発光素子120の数に対応する枚数のレンズフィルム190を複数の発光素子120の各々に1対1で対応するように配置してもよい。
【0074】
[実施の形態3]
図11は、本発明の実施の形態3に係る光学式位置検出装置10の光源部12の説明図であり、図11(a)、(b)は、レンズフィルム190の説明図、および光源部12から出射される検出光L2の光強度分布(第1光強度分布LID1)を示す説明図である。図12は、本発明の実施の形態3に係る光学式位置検出装置10においてレンズフィルム190と発光素子120の光軸とがなす角度を変えた場合の光強度−角度特性を示すグラフであり、図12には、レンズフィルム190と発光素子120の光軸とが直交している場合の特性を実線L51で示し、レンズフィルム190と発光素子120の光軸との交差角が30°の場合の特性を点線L52で示してある。なお、本形態の基本的な構成は実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して、それらの説明を省略する。
【0075】
実施の形態1では、レンズフィルム190と発光素子120の光軸とを直交させたが、本形態では、図11(a)に示すように、レンズフィルム190を発光素子120の光軸に対して斜めに配置してある。このようにレンズフィルム190と発光素子120の光軸とを斜交させると、図12に実線L51で示すように、レンズフィルム190と発光素子120の光軸とが直交している場合と違って、発光素子120の光軸方向(0°)に対して、検出光L2の光強度分布および出射範囲を非対称とすることができ、発光素子120からの検出光L2の光傾斜勾配特性を調整することができる。
【0076】
そこで、本形態では、図11(a)に示すように、発光素子120の数に対応する枚数のレンズフィルム190を複数の発光素子120の各々に1対1で対応するように配置するとともに、隣り合う発光素子120の光軸に対してはレンズフィルム190が逆方向に傾くように配置してある。このため、図11(b)に線L131で示すように、隣り合う発光素子120から出射される検出光L2の強度分布が逆向きとなる。従って、2つの発光素子120から出射された光の強度を合成すると、光強度分布がより連続した形態となる。それ故、全ての発光素子120から出射された光の強度を合成すると、図11(b)に実線L13で示すように、光強度分布がより連続した形態となり、リニアリティが向上する。また、光強度分布の勾配が大となるため、対象物体Obの位置を精度よく検出できる。
【0077】
[実施の形態3の変形例]
実施の形態3では、第1発光素子121および第2発光素子122の各々に別体のレンズフィルム190を設けてもよく、また、第1発光素子121および第2発光素子122に共通のレンズフィルム190を設けてもよい。また、実施の形態3では、発光素子120の数に対応する枚数のレンズフィルム190を複数の発光素子120の各々に1対1で対応するように配置したが、発光素子120の配列方向に延在するレンズフィルム190を折り曲げて、レンズフィルム190を発光素子120の光軸に対して斜めに配置してもよい。
【0078】
[実施の形態4]
図13は、本発明の実施の形態4に係る光学式位置検出装置10の光源部12の説明図であり、図13(a)、(b)は、レンズフィルム190の説明図、および光源部12から出射される検出光L2の光強度分布(第1光強度分布LID1)を示す説明図である。なお、本形態の基本的な構成は実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して、それらの説明を省略する。
【0079】
図13(a)に示すように、本形態でも、実施の形態3と同様、レンズフィルム190を発光素子120の光軸に対して斜めに配置してある。但し、本形態では、実施の形態3と違って、レンズフィルム190を発光素子120の配列方向において発光素子120の光軸に対して同一の方向に傾けてあり、レンズフィルム190と発光素子120の光軸とが成す角度は、いずれの発光素子120においても同一である。ここで、図13(a)には、発光素子120のうち、第1発光素子121を図示してあるため、レンズフィルム190は、発光素子120の光軸に対して直交する位置から、第1フレキシブル基板181の一方側の端部181aが位置する側(駆動電流が大の側/出射強度が大の側)に傾いている。なお、第2発光素子122に対しては、レンズフィルム190を逆方向に傾けることになる。
【0080】
かかる構成によれば、図13(b)に線L141で示すように、複数の発光素子120から出射される検出光L2の強度分布が一方方向に傾くことになる。このため、複数の発光素子120から出射された光の強度を合成すると、実線L14で示すように、光強度分布がより連続した形態となるとともにリニアリティが向上する。また、光強度分布の勾配が大となるため、対象物体Obの位置を精度よく検出できる。
【0081】
[実施の形態4の変形例]
実施の形態4では、発光素子120の数に対応する枚数のレンズフィルム190を複数の発光素子120の各々に1対1で対応するように配置したが、発光素子120の配列方向に延在するレンズフィルム190を折り曲げて、レンズフィルム190を発光素子120の光軸に対して斜めに配置してもよい。
【0082】
[実施の形態5]
図14は、本発明の実施の形態5に係る光学式位置検出装置10の光源部12の説明図である。なお、本形態の基本的な構成は実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して、それらの説明を省略する。
【0083】
図14に示すように、本形態でも、実施の形態4と同様、レンズフィルム190を発光素子120の光軸に対して斜めに配置してあり、レンズフィルム190を発光素子120の配列方向において発光素子120の光軸に対して同一の方向に傾けてある。但し、本形態では、レンズフィルム190と発光素子120の光軸とが成す角度は、発光素子120の配列方向で単調に変化している。ここで、図14には、発光素子120のうち、第1発光素子121を図示してあるため、レンズフィルム190は、発光素子120の光軸に対して直交する位置から、第1フレキシブル基板181の一方側の端部181aが位置する側(駆動電流が大の側/出射強度が大の側)に傾いている。また、レンズフィルム190は、発光素子120の光軸に対して直交する位置から、第1フレキシブル基板181の一方側の端部181aが位置する側で(駆動電流が大の側/出射強度が大の側)で大きく傾いており、他方側の端部181bが位置する側で(駆動電流が小の側/出射強度が小の側)では小さく傾いている。このため、交差角θαは、第1フレキシブル基板181の一方側の端部181aから他方側の端部181bに向けて単調に減少している。なお、第2発光素子122に対しては、レンズフィルム190を逆方向に傾けることになる。
【0084】
かかる構成によれば、複数の発光素子120から出射される検出光L2の強度分布が一方方向に傾くことになるため、複数の発光素子120から出射された光の強度を合成すると、光強度分布がより連続した形態となるとともにリニアリティが向上する。また、光強度分布の勾配が大となるため、対象物体Obの位置を精度よく検出できる。
【0085】
[実施の形態5の変形例]
実施の形態5では、発光素子120の数に対応する枚数のレンズフィルム190を複数の発光素子120の各々に1対1で対応するように配置したが、発光素子120の配列方向に延在するレンズフィルム190を折り曲げて、レンズフィルム190を発光素子120の光軸に対して斜めに配置してもよい。
【0086】
[光源部12の他の構成例]
図15は、本発明に係る光学式位置検出装置の光源部の他の構成例を示す説明図である。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示し、それらの説明を省略する。
【0087】
上記実施の形態では、第1点灯動作では第1発光素子121を点灯させ、第2点灯動作では第2発光素子122を点灯させたが、本形態では、図15に示すように、第1受発光ユニット15Aの第1光源部12A、および第2受発光ユニット15Bの第2光源部12Bのいずれにおいても、1系統の発光素子120のみが用いられている。その他の構成は実施の形態1と同様である。
【0088】
かかる構成でも、第1点灯動作時と第2点灯動作時において発光素子120に供給する駆動電流を変えれば、実施の形態1と同様な原理で対象物体Obの位置(XY座標)を検出することができる。すなわち、第1点灯動作では、複数の発光素子120に対する駆動電流をフレキシブル基板180の長さ方向の一方側の端部の側から他方側の端部に向かって減少させる。これにより、図6(a)に出射強度の高低を矢印Paで示すように、フレキシブル基板180の長さ方向の一方側の端部が位置する側から他方側の端部が位置する側に向かって発光素子120の出射強度を減少する。従って、検出空間10Rに出射される検出光L2の第1光強度分布LID1では、フレキシブル基板180の長さ方向の一方側の端部が位置する角度方向では光強度が高く、そこから、他方側の端部が位置する角度方向に向かって光強度が連続的に低くなる。また、第2点灯動作では、複数の発光素子120に対する駆動電流をフレキシブル基板180の長さ方向の他方側の端部の側から一方側の端部に向かって減少させる。これにより、図6(b)に出射強度の高低を矢印Pbで示すように、フレキシブル基板180の長さ方向の他方側の端部が位置する側から一方側の端部が位置する側に向かって発光素子120の出射強度を減少させる。従って、検出空間10Rに出射される検出光L2の第2光強度分布LID2では、フレキシブル基板180の長さ方向の他方側の端部が位置する角度方向では光強度が高く、そこから、一方側の端部が位置する角度方向に向かって光強度が連続的に低くなる。従って、上記実施の形態1と同様な原理により対象物体Obの位置を検出することができる。
【0089】
かかる構成の光学式位置検出装置10でもレンズフィルム190を用いれば、第1光強度分布LID1および第2光強度分布LID2の光強度分布を単調変化に近づけることができる。その際、本形態では、共通の発光素子120で第1光強度分布LID1および第2光強度分布LID2を形成するため、レンズフィルム190については、実施の形態1、2、3で説明した構成を採用することになる。
【0090】
[他の実施の形態の形態]
上記実施の形態では、2つの光源部(第1光源部12Aおよび第2光源部12B)を用いたが、1つの光源部12を用いて対象物体Obの位置を検出してもよい。また、上記実施の形態では、検出光L2の放射中心位置に受光部13を設けたが、他の箇所に受光部13を設けてもよく、2つの光源部12に対して共通の受光部13を設けてもよい。
【0091】
また、シート状光学部材としては、レンズフィルム190に代えて、これらと同様な特性を備えるホログラム素子を用いてもよい。
【0092】
[位置検出システムの構成例]
(位置検出システムの具体例1)
図16は、本発明を適用した位置検出システム1の具体例1(入力機能付き表示システム)の説明図である。なお、本形態の入力機能付き表示システムにおいて、位置検出システム1および光学式位置検出装置10の構成は、図1〜図15を参照して説明した構成と同様であるため、共通する部分については同一の符号を付して図示し、それらの説明を省略する。
【0093】
上記実施の形態に係る位置検出システム1においては、図16に示すように、視認面構成部材40として画像表示装置110を用い、かかる画像表示装置110に、図1〜図15を参照して説明した光学式位置検出装置10を設ければ、電子黒板やデジタルサイネージ等といった入力機能付き表示システム100として用いることができる。ここで、画像表示装置110は、直視型画像表示装置や、視認面構成部材40をスクリーンとする背面型投射型画像表示装置である。
【0094】
かかる入力機能付き表示システム100において、光学式位置検出装置10は、表示面110a(視認面41)に沿って検出光L2を出射するとともに、対象物体Obで反射した検出光L2(反射光L3)を検出する。このため、画像表示装置110で表示された画像の一部に対象物体Obを接近させれば、かかる対象物体Obの位置を検出することができるので、対象物体Obの位置を画像の切り換え指示等といった入力情報として利用することができる。
【0095】
(位置検出システムの具体例2)
図17を参照して、視認面構成部材40としてスクリーンを用い、位置機能付き投射型表示システムを構成した例を説明する。図17は、本発明を適用した位置検出システム1の具体例2(入力機能付き表示システム/入力機能付き投射型表示システム)の説明図である。なお、本形態の位置機能付き投射型表示システムにおいて、位置検出システム1および光学式位置検出装置10の構成は、図1〜図15を参照して説明した構成と同様であるため、共通する部分については同一の符号を付して図示し、それらの説明を省略する。
【0096】
図17に示す入力機能付き投射型表示システム200(入力機能付き表示システム)では、液晶プロジェクターあるいはデジタル・マイクロミラー・デバイスと称せられる画像投射装置250(画像生成装置)からスクリーン80(視認面構成部材40)に画像が投射される。かかる入力機能付き投射型表示システム200において、画像投射装置250は、筐体240に設けられた投射レンズ系210からスクリーン80に向けて画像表示光Piを拡大投射する。ここで、画像投射装置250は、Y軸方向に対してわずかに傾いた方向から画像表示光Piをスクリーン80に向けて投射する。従って、スクリーン80において画像が投射されるスクリーン面80aによって、情報が視認される視認面41が構成されている。
【0097】
かかる入力機能付き投射型表示システム200において、光学式位置検出装置10は、画像投射装置250に付加されて一体に構成されている。このため、光学式位置検出装置10は、投射レンズ系210とは異なる箇所から、スクリーン面80aに沿って検出光L2を出射するとともに、対象物体Obで反射した反射光L3を検出する。このため、スクリーン80に投射された画像の一部に対象物体Obを接近させれば、かかる対象物体Obの位置を検出することができるので、対象物体Obの位置を画像の切り換え指示等といった入力情報として利用することができる。
【0098】
なお、光学式位置検出装置10とスクリーン80を一体化させれば、入力機能付きスクリーン装置を構成することができる。
【0099】
(位置検出システムの他の具体例)
本発明において、視認面構成部材40は、展示品を覆う透光部材である構成を採用することができ、この場合、視認面41は、透光部材において展示品が配置される側とは反対側で展示品が視認される面である。かかる構成によれば、入力機能付きウインドウシステム等として構成することができる。
【0100】
また、視認面構成部材40は、移動する遊技用媒体を支持する基盤である構成を採用することができ、この場合、視認面41は、基盤において基盤と遊技用媒体との相対位置が視認される側の面である。かかる構成によれば、パチンコ台やコインゲーム等のアミューズメント機器を入力機能付きアミューズメントシステム等として構成することができる。
【符号の説明】
【0101】
1・・位置検出システム、10・・光学式位置検出装置、10R・・検出空間、12、12A、12B・・光源部(光源装置)、13、13A、13B・・受光部、15、15A、15B・・受発光ユニット、20・・光源装置、40・・視認面構成部材、50・・位置検出部、51・・光源駆動部、100・・入力機能付き表示システム、110・画像表示装置、120・・発光素子、121・・第1発光素子、122・・第2発光素子、130・受光素子、190、196・197・・レンズフィルム(シート状光学部材)、191・・第1レンズフィルム(第1シート状光学部材)、192・・第2レンズフィルム(第2シート状光学部材)、193・・シリンドリカルレンズ、200・・入力機能付き投射型表示システム、250・・画像投射装置、Ob・・対象物体
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の発光素子が発光素子の光軸に交差する方向に配列された光源装置、光源装置からの出射光を利用して対象物体の位置を光学的に検出する光学式位置検出装置、および光学式位置検出装置を備えた入力機能付き表示システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
対象物体を光学的に検出する光学式位置検出装置としては、例えば、点光源からなる複数の光源部の各々に対して離間した位置に受光部を設け、複数の光源部の各々から透光部材を介して対象物体に向けて検出光を出射した際に、対象物体で反射した検出光が透光部材を透過して受光部で検出されるものが提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
また、点光源からなる複数の光源部の各々から出射された検出光を、導光板を介して出射し、対象物体で反射した検出光を受光部で検出する方式の光学式位置検出装置も提案されている(特許文献2、3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2003−534554号公報
【特許文献2】特開2010−127671号公報
【特許文献3】特開2009−295318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の光学式位置検出装置は点光源から出射された検出光を利用しているので、検出光の照射範囲自体が狭い。このため、対象物体の位置を検出可能な範囲が狭いという問題点がある。また、特許文献2、3に記載の光学式位置検出装置は、導光板を利用して光強度分布を形成しているため、検出可能な範囲が導光板のサイズに規定される。このため、対象物体の位置を検出可能な範囲が狭いという問題点がある。
【0006】
そこで、本発明者等は、複数の発光素子を発光素子の光軸に交差する方向に配列した光源装置を用い、かかる光源装置から、光軸方向と配列方向とによって規定される仮想面に沿って出射された検出光を利用して対象物体の仮想面等の位置を検出する方式を検討している。かかる方法によれば、発光素子から出射された検出光が届く範囲全体を検出領域として利用できるので、検出領域が広い。しかしながら、発光素子から出射された検出光は、発光素子の光軸方向の強度のピークを備え、かかる方向からずれた角度方向では、強度が急激に低下するため、検出領域内において光強度が発光素子の配列方向で急激に変化してしまい、位置検出精度が低くなるという問題点がある。
【0007】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、光軸方向に交差する方向に配列した複数の発光素子から光軸方向と配列方向とによって規定される仮想面に沿って光を出射した場合でも、発光素子の配列方向で光強度が急激に変化しない光源装置、該光源装置を備えた光学式位置検出装置、および該光学式位置検出装置を備えた入力機能付き表示システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の光源装置は、光軸方向に対して交差する方向に配列された複数の発光素子と、前記複数の発光素子の前記光軸方向の出射側に配置され、当該光軸方向と前記複数の発光素子の配列方向とにより規定される仮想面内方向にのみ前記発光素子からの出射光の発散角を拡大させるシート状光学部材と、を有していることを特徴とする。
【0009】
本発明の光源装置では、複数の発光素子を発光素子の光軸に交差する方向に配列したため、光軸方向と配列方向とによって規定される仮想面に沿う広い範囲にわたって光を十分な強度をもって出射することができる。また、複数の発光素子の光軸方向の出射側には、シート状光学部材が配置されており、かかるシート状光学部材は、前記の仮想面内方向における発光素子からの出射光の発散角を拡大させるパワーを備えているため、隣り合う発光素子から出射された光同士の重なりが大となる。このため、光源装置からの光の出射空間では、発光素子の光軸上に相当する位置と、隣り合う2つの発光素子の間に相当する位置とにおける光強度との格差が緩和される。従って、発光素子の配列数を過剰に増やさなくても、発光素子の配列方向において光強度が急激に変化しない。また、シート状光学部材は、仮想面に交差する方向には光を拡散させるパワーを有していないので、仮想面に交差する方向に光が不必要に広がることを防止することができる。それ故、シート状光学部材が仮想面内および仮想面に交差する方向の双方において光を拡散させるパワーを有している場合と違って、仮想面に沿う広い範囲にわたって光を十分な強度をもって出射することができる。
【0010】
本発明において、前記複数の発光素子は、曲線上に配列されていることが好ましい。かかる構成によれば、複数の発光素子を互いに近接させた場合でも、広い角度範囲にわたって、光を十分な強度をもって出射することができる。
【0011】
本発明において、前記シート状光学部材は、例えば、前記仮想面に交差する方向に軸方向を向けて前記配列方向で並列する複数のシリンドリカルレンズを備えたレンズフィルムである。
【0012】
本発明において、前記シート状光学部材として、第1シート状光学部材と、当該第1シート状光学部材の前記光軸方向後側(発光素子とは反対の側)に配置された第2シート状光学部材と、を備えていることが好ましい。かかる構成によれば、発光素子から出射された光を第1シート状光学部材で拡散させた後、さらに第2シート状光学部材によって拡散させることができる。従って、発光素子の配列数を過剰に増やさなくても、発光素子の配列方向において光強度が急激に変化することをより確実に防止することができる。また、シート状光学部材は、2重に配置されているため、シート状光学部材を3重に配置した場合に比して、シート状光学部材による光の減衰を低く抑えることができる。
【0013】
本発明において、前記シート状光学部材は、可撓性を有し、前記配列方向で連続して延在していることが好ましい。かかる構成によれば、光源装置を構成する際、シート状光学部材を配置するのに多大な手間を必要としない。
【0014】
本発明において、前記シート状光学部材は、前記複数の発光素子に1対1で対応するように前記配列方向で分割して配置されている構成を採用することができる。かかる構成によれば、シート状光学部材を複数の発光素子各々に対して最適な状態で配置することができる。
【0015】
本発明において、前記シート状光学部材は、前記複数の発光素子の光軸に対して斜めに配置されている構成を採用することができる。かかる構成によれば、発光素子から出射された光を拡散させる方向をシート状光学部材の傾きによって任意に設定することができる。
【0016】
本発明において、前記シート状光学部材は、前記複数の発光素子のうち、隣り合う発光素子の光軸に対しては逆方向に傾くように配置されている構成を採用してもよい。かかる構成によれば、複数の発光素子のうち、隣り合う発光素子から出射された光の強度分布が逆向きになるため、2つの発光素子から出射された光の強度を合成すると、光強度分布がより連続した形態となる。
【0017】
本発明において、前記発光素子の光軸と前記シート状光学部材との交差角度は、前記配列方向で単調変化していることが好ましい。かかる構成によれば、発光素子の配列方向において、光強度を単調増加あるいは単調減少させるのに適している。
【0018】
本発明に係る光源装置は光学式位置検出装置に用いることができ、かかる光学式位置検出装置は、前記出射光の出射空間に位置する対象物体で反射した光を受光する受光部と、前記受光部の受光強度に基づいて前記対象物体の位置を検出する位置検出部と、を有していることを特徴とする。本発明に係る光学式位置検出装置に用いた光源装置では、複数の発光素子を発光素子の光軸に交差する方向に配列したため、光軸方向と配列方向とによって規定される仮想面に沿う広い範囲にわたって光を十分な強度をもって出射することができる。それ故、仮想面に沿う広い範囲にわたって対象物体の位置を検出することができる。また、複数の発光素子の光軸方向の出射側には、シート状光学部材が配置されており、かかるシート状光学部材は、前記の仮想面内方向における発光素子からの出射光の発散角を拡大させるパワーを備えているため、隣り合う発光素子から出射された光同士の重なりが大となる。このため、光源装置からの光の出射空間では、発光素子の光軸上に相当する位置と、隣り合う2つの発光素子の間に相当する位置とにおける光強度との格差が緩和される。従って、発光素子の配列数を過剰に増やさなくても、発光素子の配列方向において光強度が急激に変化せず、発光素子の配列方向において連続した光強度分布を形成することができる。それ故、本発明に係る光学式位置検出装置によれば、対象物体で反射した光を受光した結果に基づいて、対象物体の位置を精度よく検出することができる。また、シート状光学部材は、仮想面に交差する方向には光を拡散させるパワーを有していないので、仮想面に交差する方向に光が不必要に広がることを防止することができる。それ故、シート状光学部材が仮想面内および仮想面に交差する方向の双方において光を拡散させるパワーを有している場合と違って、仮想面に沿う広い範囲にわたって光を十分な強度をもって出射することができる。それ故、仮想面に沿う方向の検出範囲が不必要に広がることを防止しながら、仮想面に沿う方向の対象物体の位置を検出することができる。
【0019】
本発明において、前記位置検出部は、第1期間において前記複数の発光素子からの出射強度を前記配列方向の一方側に向かって減少させた際の前記受光部の受光強度と、前記第1期間と重ならない第2期間において前記複数の発光素子からの出射強度を前記配列方向の一方側に向かって増大させた際の前記受光部の受光強度との比較結果に基づいて前記対象物体の位置を検出する構成を採用することができる。
【0020】
本発明において、前記位置検出部は、前記第1期間における前記受光部の受光強度と前記第2期間における前記受光部の受光強度とが等しくなった際の前記第1期間における前記複数の発光素子での駆動電流値と前記第2期間における前記複数の発光素子での駆動電流値との比較結果に基づいて前記対象物体の位置を検出する構成を採用することができる。
【0021】
本発明に係る光学式位置検出装置は、入力機能付き表示システムに用いることができ、かかる入力機能付き表示システムは、画像が表示される表示面を備えた表示装置を有し、前記表示面に沿う方向の前記対象物体の位置を前記光学式位置検出装置が検出した結果に基づいて前記画像が切り換えられる。
【0022】
また、入力機能付き表示システムは、画像を投射する画像投射装置を有し、前記画像の投射方向と交差する方向における前記対象物体の位置を前記光学式位置検出装置が検出した結果に基づいて前記画像が切り換えられる構成を有していてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置の主要部の説明図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置の受発光ユニットの説明図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置の光源部に用いたレンズフィルムの部分拡大図である。
【図4】図3に示すレンズフィルムの機能を示す説明図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置の制御系の説明図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置において受発光ユニットから出射される検出光の説明図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置における位置検出原理の説明図である。
【図8】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置において対象物体のXY座標データを取得する原理の説明図である。
【図9】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置で用いたレンズフィルムの効果を示すグラフである。
【図10】本発明の実施の形態2に係る光学式位置検出装置の光源部の説明図である。
【図11】本発明の実施の形態3に係る光学式位置検出装置の光源部の説明図である。
【図12】本発明の実施の形態3に係る光学式位置検出装置においてレンズフィルムと発光素子の光軸とがなす角度を変えた場合の光強度−角度特性を示すグラフである。
【図13】本発明の実施の形態4に係る光学式位置検出装置の光源部の説明図である。
【図14】本発明の実施の形態5に係る光学式位置検出装置の光源部の説明図である。
【図15】本発明に係る光学式位置検出装置の光源部の他の構成例を示す説明図である。
【図16】本発明を適用した位置検出システムの具体例1(入力機能付き表示システム)の説明図である。
【図17】本発明を適用した位置検出システムの具体例2(入力機能付き表示システム/入力機能付き投射型表示システム)の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明においては、互いに交差する方向をX軸方向およびY軸方向とし、X軸方向およびY軸方向に交差する方向をZ軸方向とする。また、以下に参照する図面では、X軸方向の一方側をX1側とし、他方側をX2側とし、Y軸方向の一方側をY1側とし、他方側をY2側とし、Z軸方向の一方側をZ1側とし、他方側をZ2側として表してある。
【0025】
[実施の形態1]
(全体構成)
図1は本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置の主要部の説明図である。図1(a)は光学式位置検出装置を検出光出射空間側の斜め方向からみたときの説明図であり、図1(b)は光学式位置検出装置を正面からみたときの説明図である。図1において、本形態の位置検出システム1は、対象物体Obの位置を検出する光学式位置検出装置10を有している。光学式位置検出装置10は、X軸方向およびY軸方向により規定される仮想のXY面(仮想面)に沿うように放射状に出射した検出光L2を利用して、対象物体Obの位置を検出する。本形態において、位置検出システム1は、XY面に沿って広がる視認面41をZ軸方向の一方側Z1に備えた視認面構成部材40を有しており、光学式位置検出装置10は、視認面41に沿って検出光L2を出射し、視認面構成部材40に対して視認面41側(Z軸方向の一方側Z1)に位置する対象物体Obの位置を検出する。従って、位置検出システム1の検出空間10Rは、光学式位置検出装置10において検出光L2が出射される検出光出射空間であり、検出空間10Rには、後述する検出光L2の光強度分布が形成される。かかる位置検出システム1は、光学式位置検出装置10によって、後述する電子黒板等の入力機能付き表示システムや入力機能付き投射型表示システム等として用いることができる。
【0026】
本形態の位置検出システム1において、光学式位置検出装置10は、視認面41(XY面)に沿って検出光L2を放射状に出射する光源部12と、検出空間10Rに位置する対象物体Obで反射した検出光L2(反射光L3)を受光する受光部13とを備えており、光源部12は、後述する光源駆動部51とともに光源装置20を構成している。
【0027】
本形態においては、光源部12として、視認面構成部材40に対してY軸方向の一方側Y1に離間する位置で検出空間10Rに向く2つの光源部12(第1光源部12Aおよび第2光源部12B)を備えている。第1光源部12Aと第2光源部12Bとは、X軸方向で離間し、Y軸方向では同一の位置にある。また、本形態においては、受光部13として、視認面構成部材40に対してY軸方向の一方側Y1に離間する位置で検出空間10Rに向く第1受光部13Aおよび第2受光部13Bを備えている。第1受光部13Aと第2受光部13Bとは、X軸方向で離間し、Y軸方向では同一の位置にある。
【0028】
ここで、第1受光部13Aは、第1光源部12Aから放射状に出射される検出光L2(検出光L2a)の放射中心位置に配置されており、第1受光部13Aと第1光源部12Aとは受発光ユニット15(第1受発光ユニット15A)として一体化されている。また、第2受光部13Bは、第2光源部12Bから放射状に出射される検出光L2(検出光L2b)の放射中心位置に配置されており、第2受光部13Bと第2光源部12Bとは受発光ユニット15(第2受発光ユニット15B)として一体化されている。
【0029】
第1受発光ユニット15Aおよび第2受発光ユニット15Bは、視認面構成部材40よりZ軸方向の一方側Z1に突出した位置にある。また、第1受発光ユニット15Aと第2受発光ユニット15Bとは異なる期間において動作する。従って、第1受発光ユニット15Aにおいて、第1光源部12Aから検出光L2aが出射された際に、第1受光部13Aは、検出空間10Rに位置する対象物体Obで反射した検出光L2a(反射光L3)を受光する。かかる動作とは異なる期間において、第2受発光ユニット15Bにおいて、第2光源部12Bから検出光L2bが出射された際、第2受光部13Bは、検出空間10Rに位置する対象物体Obで反射した検出光L2b(反射光L3)を受光する。
【0030】
(受発光ユニット)
図2は、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置10の受発光ユニット15の説明図である。なお、本形態の光学式位置検出装置10において、第1受発光ユニット15Aおよび第2受発光ユニット15Bは同一の構成を有している。このため、第1光源部12Aおよび第2光源部12Bは同一の構成を有し、第1受光部13Aおよび第2受光部13Bは同一の構成を有している。従って、第1受発光ユニット15Aの構成を説明して、第2受発光ユニット15Bの説明を省略する。
【0031】
図2に示すように、第1受発光ユニット15Aの第1光源部12Aは、複数の発光素子120と、複数の発光素子120が実装された帯状のフレキシブル基板180と、長さ方向(円周方向)で湾曲した形状をもって延在する凸曲面155を備えた扇形形状のホルダー150とを備えている。また、図2に一点鎖線で示すように、発光素子120の光軸方向の出射側には、図3および図4を参照して後述するレンズフィルム190(シート状光学部材)を備えている。
【0032】
本形態では、フレキシブル基板180として、帯状の第1フレキシブル基板181と、第1フレキシブル基板181に対して幅方向(Z軸方向)で並列する帯状の第2フレキシブル基板182とを備えている。第1フレキシブル基板181には、その長さ方向に、複数の発光素子120として、8つの第1発光素子121が実装されており、第2フレキシブル基板182には、その長さ方向に、複数の発光素子120として、8つの第2発光素子122が実装されている。発光素子120にはいずれも、LED(発光ダイオード)が用いられている。LEDはピーク波長が840〜1000nmに位置する赤外光からなる出射光L1を発散光として出射する。
【0033】
ホルダー150は、第1ホルダー151と第2ホルダー152とがZ軸方向で重ねられた構造になっており、第1ホルダー151と第2ホルダー152とはZ軸方向で互いに対称な構成を有している。第1ホルダー151は、凸曲面155の下半部を構成する円弧状の凸曲面155aと、凸曲面155aにおいて第2ホルダー152が位置する側とは反対側の端部で凸曲面155aから突出する扇形形状の鍔部156aを備えている。第2ホルダー152は、凸曲面155の上半部を構成する円弧状の凸曲面155bと、凸曲面155bにおいて第1ホルダー151が位置する側とは反対側の端部で凸曲面155bから突出する扇形形状の鍔部156bを備えている。
【0034】
凸曲面155aには第1フレキシブル基板181が重ねて配置されており、これにより、8つの第1発光素子121は、凸曲面155aの円弧に沿って一定間隔で放射状に配置されている。すなわち、第1発光素子121は、第1発光素子121の光軸に交差する方向に複数配列されており、本形態において、第1発光素子121は曲線上に配置されている。また、凸曲面155bには第2フレキシブル基板182が重ねて配置されており、これにより、8つの第2発光素子122は、凸曲面155bの円弧に沿って一定間隔で放射状に配置されている。すなわち、第2発光素子122も、第1発光素子121と同様、第2発光素子122の光軸に交差する方向に複数配列されており、本形態において、第2発光素子122は曲線上に配置されている。
【0035】
ここで、鍔部156a、156bは、Z軸方向における検出光L2の出射範囲を制限している。また、第1フレキシブル基板181と第2フレキシブル基板182とによってZ軸方向で挟まれた部分は、対象物体Obで反射した検出光L2b(反射光L3)の入射部148となっている。入射部148の奥には、第1受光部13Aの受光素子130が配置されている。受光素子130は、例えば、フォトダイオードやフォトトランジスターであり、本形態においては、赤外域に感度ピークを備えたフォトダイオードである。なお、第2受発光ユニット15Bは、第1受発光ユニット15Aと同一の構成を有している。
【0036】
(レンズフィルム190の構成)
図3は、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置10の光源部12に用いたレンズフィルムの部分拡大図である。図4は、図3に示すレンズフィルムの機能を示す説明図であり、図4(a)、(b)は、レンズフィルムによって光を拡散させる様子を示す説明図であり、図4(c)は、発光素子の光軸に直交するようにレンズフィルムを配置した場合における検出光の光強度−角度特性を示すグラフである。なお、図4(c)では、光軸方向を0°としてある。
【0037】
図2に示すように、第1光源部12Aは、発光素子120の光軸方向の出射側にレンズフィルム190を備えている。本形態では、レンズフィルム190として、第1発光素子121の光軸方向の出射側に配置されたレンズフィルム196と、第2発光素子122の光軸方向の出射側に配置されたレンズフィルム197とを備えている。レンズフィルム196は、第1発光素子121の配列方向に沿って円弧形状に曲げられた状態で配置され、レンズフィルム197は、第2発光素子122の配列方向に沿って円弧形状に曲げられた状態で配置されている。
【0038】
この状態で、レンズフィルム196は、複数の第1発光素子121の各々の光軸と直交しており、図4を参照して後述するように、複数の第1発光素子121の各々から出射された光(出射光L1)を第1発光素子121の配列方向に拡散させて検出光L2として出射する。また、レンズフィルム197は、複数の第2発光素子122の各々の光軸と直交しており、図4を参照して後述するように、複数の第2発光素子122の各々から出射された光(出射光L1)を第2発光素子122の配列方向に拡散させて検出光L2として出射する。
【0039】
より具体的には、図3に示すように、レンズフィルム190(レンズフィルム196およびレンズフィルム197)は、一方面190sにおいて、Z軸方向に軸方向を向けた複数のシリンドリカルレンズ193が軸方向に直交する方向に配列された可撓性のシート体であり、複数のシリンドリカルレンズ193は、フィルム状の基材部分198で繋がっている。また、レンズフィルム190の他方面190tは、平坦面あるいは光散乱用の微細な凹部が形成された面になっている。シリンドリカルレンズ193のレンズ面193aは、凸面となっており、レンズフィルム190の面内方向(シリンドリカルレンズ193の配列方向)に正のパワーを有している一方、シリンドリカルレンズ193の軸方向にはパワーを有していない。また、シリンドリカルレンズ193は微細なものであり、その幅寸法は10μm〜20μmである。従って、レンズフィルム190を図2および図4(b)に示すように配置すると、シリンドリカルレンズ193は、発光素子120が配列されている方向に並ぶことになる。それ故、複数の発光素子120の各々から出射された光(出射光L1)は、レンズフィルム190の複数のシリンドリカルレンズ193を通過する際、発光素子120の配列方向に拡散し、検出光L2として出射することになる。
【0040】
より具体的には、図4(a)に示すように、レンズフィルム190を用いない場合、発光素子120からの出射光L1は、断面円形のビームとして出射されるが、図4(b)に示すように、レンズフィルム190を配置すると、発光素子120からの出射光L1は、レンズフィルム190によって、シリンドリカルレンズ193の配列方向(発光素子120の配列方向/XY面内方向)において発散角が拡大された検出光L2として出射される。但し、レンズフィルム190を配置しても、シリンドリカルレンズ193の軸方向(Z軸方向)では、発光素子120からの出射光L1の発散角は拡大されることはない。
【0041】
従って、レンズフィルム190を通過した検出光L2は、シリンドリカルレンズ193の配列方向に長軸を向けた断面楕円のビームである。かかる断面楕円のビームにおいて、短軸方向の寸法は、図4(a)に示すビーム径と同様であり、長軸方向の寸法は、図4(a)に示すビーム径より大である。それ故、レンズフィルム190を通過した検出光L2のシリンドリカルレンズ193の軸方向(Z軸方向)における強度と角度との関係は、図4(c)に点線Lzで示す通りであり、シリンドリカルレンズ193の配列方向(XY面内方向)における強度と角度との関係は、図4(c)に実線Lxyで示す通りである。
【0042】
従って、図5〜図8を参照して以下に説明するように、対象物体Obの位置を検出するための光強度分布を形成した際、図9を参照して後述するように、発光素子120の配列方向で光強度が連続的に変化し、光強度が急激に変化することはない。
【0043】
(制御系)
図5は、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置10の制御系の説明図である。図6は、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置10において受発光ユニット15から出射される検出光L2の説明図であり、図6(a)、(b)は、第1期間の第1点灯動作時に検出光L2が出射される様子を示す説明図、および第2期間の第2点灯動作時に検出光L2が出射される様子を示す説明図である。
【0044】
図5に示すように、本形態の光学式位置検出装置10において、第1受発光ユニット15Aおよび第2受発光ユニット15Bは、制御用IC70に電気的に接続されており、制御用IC70は上位の制御装置60に電気的に接続されている。
【0045】
制御用IC70は、基準クロック、A相基準パルス、B相基準パルス、タイミング制御パルス、同期クロック等を生成する複数の回路(図示せず)を有している。また、制御用IC70は、A相基準パルスに基づいて所定の駆動パルスを生成するパルス発生器75aと、B相基準パルスに基づいて所定の駆動パルスを生成するパルス発生器75bとを有している。また、制御用IC70は、パルス発生器75aおよびパルス発生器75bが生成した駆動パルスを、第1駆動電流バランス調整回路791を介して第1発光素子121に供給するか、第2駆動電流バランス調整回路792を介して第2発光素子122に供給するかを制御するスイッチ部76を有している。かかるパルス発生器75a、75b、スイッチ部76、第1駆動電流バランス調整回路791、および第2駆動電流バランス調整回路792は発光素子120を駆動するための光源駆動部51を構成している。第1駆動電流バランス調整回路791および第2駆動電流バランス調整回路792は、例えば、複数の発光素子120の各々に1対1で対応する抵抗を備えた抵抗回路からなる。
【0046】
光源駆動部51は、複数の発光素子120を駆動制御する際に、第1フレキシブル基板181に実装されている複数の第1発光素子121と、第2フレキシブル基板182に実装されている複数の第2発光素子122とを重ならない期間において点灯させる。その際、複数の第1発光素子121を全て点灯させ、複数の第2発光素子122を全て消灯させる第1期間の第1点灯動作では、第1駆動電流バランス調整回路791によって、複数の第1発光素子121に対する駆動電流を一方側の端部181aの側から他方側の端部181bに向かって減少させる。これにより、図6(a)に出射強度の高低を矢印Paで示すように、第1フレキシブル基板181の長さ方向の一方側の端部181aが位置する側から他方側の端部181bが位置する側に向かって第1発光素子121の出射強度を減少させる。従って、検出空間10Rに出射される検出光L2の第1光強度分布LID1は、第1フレキシブル基板181の長さ方向の一方側の端部181aが位置する角度方向では光強度が高く、そこから、他方側の端部181bが位置する角度方向に向かって光強度が連続的に低くなる。
【0047】
これに対して、第1期間と重ならない第2期間の第2点灯動作では、複数の第2発光素子122を全て点灯させ、複数の第1発光素子121を全て消灯させる。より具体的には、第2駆動電流バランス調整回路792によって、複数の第2発光素子122に対する駆動電流を他方側の端部182bの側から一方側の端部182aに向かって減少させる。これにより、図6(b)に出射強度の高低を矢印Pbで示すように、第2フレキシブル基板182の長さ方向の他方側の端部182bが位置する側から一方側の端部182aが位置する側に向かって第2発光素子122の出射強度を減少させる。従って、検出空間10Rに出射される検出光L2の第2光強度分布LID2は、第2フレキシブル基板182の長さ方向の他方側の端部182bが位置する角度方向では光強度が高く、そこから、一方側の端部182aが位置する角度方向に向かって光強度が連続的に低くなる。
【0048】
なお、第2受発光ユニット15Bは、第1受発光ユニット15Aと同様な構成をもって制御用IC70に電気的に接続されており、光源駆動部51は第2受発光ユニット15Bの第2光源部12Bに対しても、第1光源部12Aと同様、第1期間には第1点灯動作を行わせて第1光強度分布LID1を形成させ、第2期間には第2点灯動作を行わせて第2光強度分布LID2を形成させる。また、光源駆動部51は、第2受発光ユニット15Aの第1光源部12Aの第1点灯動作(第1期間)および第2点灯動作(第2期間)の後に、第2受発光ユニット15Bの第2光源部12Bの第1点灯動作(第1期間)および第2点灯動作(第2期間)を行なわせる。
【0049】
また、制御用IC70は、受光部13での検出結果を増幅する増幅部等を備えた受光量測定部73と、受光量測定部73での測定結果に基づいてパルス発生器75a、75bを制御して発光素子120に供給する駆動パルスの駆動電流値を調整する調整量算出部74を備えている。かかる受光量測定部73および調整量算出部74は、位置検出部50の一部の機能を担っている。
【0050】
次に、制御用IC70は、パーソナルコンピューター等の上位の制御装置60の制御部61によって制御されており、かかる制御装置60は、受光量測定部73および調整量算出部74とともに位置検出部50を構成する座標データ取得部55を有している。従って、本形態において、位置検出部50は、制御用IC70の受光量測定部73および調整量算出部74と、上位の制御装置60(パーソナルコンピューター)の座標データ取得部55とによって構成されている。
【0051】
ここで、本形態の光学式位置検出装置10は、受発光ユニット15として、互いに離間した位置に配置された第1受発光ユニット15Aおよび第2受発光ユニット15Bを有しているので、座標データ取得部55は、第1受発光ユニット15Aに対する駆動結果に基づいて、第1光源部12Aの放射中心に対する対象物体Obの角度位置を検出する第1角度位置検出部551と、第2受発光ユニット15Bに対する駆動結果に基づいて、第2光源部12Bの放射中心に対する対象物体Obの角度位置を検出する第2角度位置検出部552を有している。また、座標データ取得部55は、第1角度位置検出部551で得られた対象物体Obの角度位置と、第2角度位置検出部552で得られた対象物体Obの角度位置とに基づいて対象物体ObのXY座標データを確定する座標データ確定部553を備えている。
【0052】
なお、本形態では、制御用IC70を多チャンネル化して、1つの制御用IC70によって第1受発光ユニット15Aおよび第2受発光ユニット15Bを駆動しているが、第1受発光ユニット15Aおよび第2受発光ユニット15Bに対して1対1の関係をもつ2つの制御用IC70を用いてもよい。
【0053】
(対象物体の位置検出動作)
図7は、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置10における位置検出原理の説明図であり、図7(a)、(b)は、光強度分布の説明図、および対象物体Obが存在する位置情報(角度位置/方位情報)を取得する方法の説明図である。図8は、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置10において対象物体ObのXY座標データを取得する原理の説明図である。なお、図7では、光源部12から出射される検出光L2の照射範囲の中央(受光部13の正面)に相当する角度方向を0°としてある。
【0054】
本形態では、まず、第1光源部12Aによって、第1光強度分布LID1を形成した際、検出光L2の出射角度方向と、検出光L2の強度とは、図7(a)に線E1で示す直線関係にある。また、第1光源部12Aによって、第2光強度分布LID2を形成した際、検出光L2の出射角度方向と、検出光L2の強度とは、図7(a)に線E2で示す直線関係にある。ここで、図7(b)および図8に示すように、第1光源部12Aの中心PE(検出光L2の放射中心位置)からみて角度θの方向に対象物体Obが存在するとする。この場合、第1光強度分布LID1を形成したとき、対象物体Obが存在する位置での検出光L2の強度はINTaとなる。これに対して、第2光強度分布LID2を形成したとき、対象物体Obが存在する位置での検出光L2の強度はINTbとなる。従って、第1光強度分布LID1を形成した際の第1受光部13Aでの受光強度と、第2光強度分布LID2を形成した際の第1受光部13Aでの受光強度を比較して、強度INTa、INTbの関係を求めれば、図7(b)および図8に示すように、第1光源部12Aの中心PEを基準に対象物体Obが位置する方向の角度θ(角度θ1/角度位置)を求めることができる。
【0055】
かかる原理を利用して、対象物体Obの角度位置(角度θ1)を検出するにあたって、本形態では、第1光源部12Aによって、第1光強度分布LID1を形成した第1期間における第1受光部13Aでの受光強度と、第2光強度分布LID2を形成した第2期間における第1受光部13Aでの受光強度とが等しくなるように、第1光源部12Aに対する第1駆動電流値、および第1光源部12Aに対する第2駆動電流値を調整する。その際、第1駆動電流値は、第1点灯動作における発光素子120への駆動電流の和であり、第2駆動電流値は、第2点灯動作における発光素子120への駆動電流の和である。
【0056】
ここで、第1光源部12Aからの検出光L2の出射強度は、発光素子120に対する第1駆動電流値、および発光素子120に対する第2駆動電流値に比例する。従って、発光素子120に対する第1駆動電流値、および発光素子120に対する第2駆動電流値を調整した後の第1駆動電流値と第2駆動電流値との比や差、あるいは駆動電流値を調整した際の駆動電流値の調整量の比や差から対象物体Obが位置する方向の角度θ(角度θ1)を求めることができる。
【0057】
より具体的には、まず、図5に示す制御用IC70の光源駆動部51は、第1期間では第1点灯動作として第1光源部12Aの発光素子120を駆動して第1光強度分布LID1を形成した後、第2期間では第2点灯動作として第1光源部12Aの発光素子120を駆動して第2光強度分布LID2を形成する。この際、第1光強度分布LID1と第2光強度分布LID2とは強度変化の向きは逆向きであるが、強度レベルは同一である。そして、図5に示す位置検出部50の調整量算出部74は、第1点灯動作時の第1受光部13Aの受光強度INTaと、第2点灯動作時の第1受光部13Aの受光強度INTbを比較する。その結果、第1点灯動作時の第1受光部13Aの受光強度INTaと、第2点灯動作時の第1受光部13Aの受光強度INTbとが等しければ、対象物体Obの角度位置は0°である。
【0058】
これに対して、第1点灯動作時の第1受光部13Aの受光強度INTaと、第2点灯動作時の第1受光部13Aの受光強度INTbとが相違している場合、位置検出部50は、受光強度INTa、INTbとが等しくなるように、第1光源部12Aに対する第1駆動電流値、および第1光源部12Aに対する第2駆動電流値を調整する。そして、再度、第1点灯動作と第2点灯動作を行った際に、第1点灯動作時の第1受光部13Aの受光強度INTaと、第2点灯動作時の第1受光部13Aの受光強度INTbとが等しければ、図5に示す第1角度位置検出部551は、かかる調整を行った後の第1光源部12Aに対する第1駆動電流値と第2駆動電流値との比や差、あるいは駆動電流の調整量の比や差から対象物体Obが位置する方向の角度θ(角度θ1)を求める。
【0059】
かかる動作を第2光源部12Bにおいても行えば、図5に示す第2角度位置検出部552は、第2光源部12Bの中心PEを基準に対象物体Obが位置する方向の角度θ(角度θ2/角度位置)を求めることができる。従って、図5に示す座標データ確定部553は、第1受光部13Aと第2受光部13Bの間の距離DSに基づいて第1角度位置検出部551で検出した角度位置(角度θ1の方向)と、第2角度位置検出部552で検出した角度位置(角度θ2の方向)の交点に相当する位置を対象物体Obが位置するXY座標データとして取得することができる。
【0060】
(レンズフィルム190による光強度分布の補正)
図9は、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置10で用いたレンズフィルム190の効果を示すグラフであり、図9(a)、(b)は、レンズフィルム190を用いない場合の光強度分布を示すグラフ、およびレンズフィルム190を用いた場合の光強度分布を示すグラフである。
【0061】
図9に示すグラフにおいて、縦軸は光強度を示しており、横軸は光源部12から出射角度範囲の中心を0°とした場合の角度を示している。従って、第1光強度分布LID1を形成した際、第1フレキシブル基板181の長さ方向の一方側の端部181aが位置する角度方向では光強度が高く、そこから、他方側の端部181bが位置する角度方向に向かって光強度が低くなっている。かかる光強度分布を形成するにあたって、本形態では、図3および図4を参照して説明したレンズフィルム190を用いているため、発光素子120の数を過度に増やさなくても、発光素子120の光軸上に相当する位置と、隣り合う発光素子120と発光素子120の間に相当する位置とにおいて光強度が急激に変化しない。それ故、光強度分布を好適に形成することができる。
【0062】
より具体的には、レンズフィルム190を用いずに、図6および図7を参照して説明した光強度分布を形成した場合には、図9(a)に示すように、光強度分布は、各発光素子120からの出射光L1の強度(線L91で示す強度)をそのまま合成した結果(線L9で示す結果)となる。このため、光強度分布を形成した際、発光素子120の光軸上に相当する位置における光強度が、隣り合う発光素子120の間に相当する位置における光強度と比較して著しく大きくなってしまうため、上記の原理に基づいて対象物体Obの位置を検出した際、検出誤差が大きくなってしまう。
【0063】
これに対して、本形態では、レンズフィルム190を用いたため、図6および図7を参照して説明した光強度分布を形成した際、複数の発光素子120からの出射光L1が各々、レンズフィルム190によって発光素子120の配列方向に拡散される。このため、隣り合う発光素子120から出射された光(出射光L1)は、レンズフィルム190を通過すると、互いの重なりが大となる検出光L2となる。従って、複数の発光素子120から出射された検出光L2を合成すると、図9(b)に線L11で示すように、発光素子120の光軸上に相当する位置における光強度と、隣り合う発光素子120の間に相当する位置における光強度との差が小さく、強度が連続して変化する光強度分布が形成されることになる。それ故、上記の原理に基づいて対象物体Obの位置を検出した際、検出精度が高い。
【0064】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の光源部12(光源装置)および光学式位置検出装置10では、複数の発光素子120を発光素子120の光軸に交差する方向に配列したため、光軸方向と配列方向とによって規定されるXY面(仮想面)に沿う広い範囲にわたって検出光L2を十分な強度をもって出射することができる。それ故、XY面に沿う広い範囲にわたって対象物体ObのXY座標を検出することができる。
【0065】
また、複数の発光素子120の光軸方向の出射側には、レンズフィルム190(シート状光学部材)が配置されており、かかるレンズフィルム190は、XY面内方向における発光素子120からの出射光L1の発散角を拡大させるパワーを備えている。このため、隣り合う発光素子120から出射された光同士の重なりが大である。従って、検出空間10Rでは、発光素子120の光軸上に相当する位置と、隣り合う2つの発光素子の間に相当する位置とにおける光強度との格差が緩和されるので、発光素子120の配列数を過剰に増やさなくても、発光素子120の配列方向において光強度が急激に変化しない。それ故、検出空間10Rの一方側から他方側に向かって強度が連続して単調に変化する光強度分布(第1光強度分布LID1および第2光強度分布LID2)を形成することができる。それ故、光強度分布を形成した際に対象物体Obで反射した光(反射光L3)を受光した結果に基づいて、対象物体ObのXY座標を精度よく検出することができる。
【0066】
また、レンズフィルム190は、Z軸方向には光を拡散させるパワーを有していないので、Z軸方向に検出光L2が不必要に広がることを防止することができ、その分、XY面に沿う広い範囲にわたって検出光L2を十分な強度をもって出射することができる。さらに、レンズフィルム190は、Z軸方向に検出光L2を不必要に広げることがないので、Z軸方向の所定の範囲内に限定した状態で対象物体ObのXY座標を検出することができる。
【0067】
また、複数の発光素子120は、曲線上に配列されているため、複数の発光素子120を互いに近接させた場合でも、広い角度範囲にわたって、検出光L2を十分な強度をもって出射することができる。さらに、レンズフィルム190は可撓性を有しているため、発光素子120が曲線上に配列されている場合でも、発光素子120が配置されている曲線に合わせて、帯状に延在するレンズフィルム190を湾曲させることができる。それ故、光源部12を構成する際、レンズフィルム190を配置するのに多大な手間を必要としない。
【0068】
[実施の形態1の変形例]
実施の形態1では、レンズフィルム190として、第1発光素子121および第2発光素子122の各々に別体のレンズフィルム196、197を設けたが、第1発光素子121および第2発光素子122に共通のレンズフィルム190を設けてもよい。
【0069】
また、実施の形態1では、複数の発光素子120に、発光素子120の配列方向に延在する帯状のレンズフィルム190を設けたが、発光素子120の数に対応する枚数のレンズフィルム190を複数の発光素子120の各々に1対1で対応するように配置してもよい。
【0070】
[実施の形態2]
図10は、本発明の実施の形態2に係る光学式位置検出装置10の光源部12の説明図であり、図10(a)、(b)は、レンズフィルム190の説明図、および光源部12から出射される検出光L2の光強度分布(第1光強度分布LID1)を示す説明図である。なお、本形態の基本的な構成は実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して、それらの説明を省略する。
【0071】
実施の形態1では、発光素子120に1枚のレンズフィルム190を設けたが、本形態では、図10(a)に示すように、レンズフィルム190(シート状光学部材)として、第1レンズフィルム191(第1シート状光学部材)と、第1レンズフィルム191に対して光軸方向後側(発光素子120とは反対の側)に配置された第2レンズフィルム192(第2シート状光学部材)とが設けられている。ここで、第1レンズフィルム191および第2レンズフィルム192は、いずれも発光素子120の配列方向に沿って曲線状に湾曲して配置されている。
【0072】
かかる構成によれば、第1レンズフィルム191によって、発光素子120の光軸上に相当する位置と、隣り合う2つの発光素子の間に相当する位置とにおける光強度との格差を圧縮した後、第2レンズフィルム192によって、発光素子120の光軸上に相当する位置と、隣り合う2つの発光素子の間に相当する位置とにおける光強度との格差をさらに圧縮することができる。このため、図10(b)に実線L12で示すように、検出空間10Rには、実施の形態1よりも強度の起伏が小さな光強度分布(第1光強度分布LID1および第2光強度分布LID2)が形成されることになる。また、レンズフィルム190を3枚以上設けると、レンズフィルム190に起因する光強度の低下が大となるが、本形態では、2枚のレンズフィルム190を用いるため、光強度の低下を最小限に抑えることができる。それ故、XY面(仮想面)に沿う広い範囲にわたって検出光L2を十分な強度をもって出射することができるので、XY面に沿う広い範囲にわたって対象物体ObのXY座標を検出することができる。
【0073】
[実施の形態2の変形例]
実施の形態2では、第1発光素子121および第2発光素子122の各々に別体のレンズフィルム190を設けてもよく、また、第1発光素子121および第2発光素子122に共通のレンズフィルム190を設けてもよい。また、発光素子120の数に対応する枚数のレンズフィルム190を複数の発光素子120の各々に1対1で対応するように配置してもよい。
【0074】
[実施の形態3]
図11は、本発明の実施の形態3に係る光学式位置検出装置10の光源部12の説明図であり、図11(a)、(b)は、レンズフィルム190の説明図、および光源部12から出射される検出光L2の光強度分布(第1光強度分布LID1)を示す説明図である。図12は、本発明の実施の形態3に係る光学式位置検出装置10においてレンズフィルム190と発光素子120の光軸とがなす角度を変えた場合の光強度−角度特性を示すグラフであり、図12には、レンズフィルム190と発光素子120の光軸とが直交している場合の特性を実線L51で示し、レンズフィルム190と発光素子120の光軸との交差角が30°の場合の特性を点線L52で示してある。なお、本形態の基本的な構成は実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して、それらの説明を省略する。
【0075】
実施の形態1では、レンズフィルム190と発光素子120の光軸とを直交させたが、本形態では、図11(a)に示すように、レンズフィルム190を発光素子120の光軸に対して斜めに配置してある。このようにレンズフィルム190と発光素子120の光軸とを斜交させると、図12に実線L51で示すように、レンズフィルム190と発光素子120の光軸とが直交している場合と違って、発光素子120の光軸方向(0°)に対して、検出光L2の光強度分布および出射範囲を非対称とすることができ、発光素子120からの検出光L2の光傾斜勾配特性を調整することができる。
【0076】
そこで、本形態では、図11(a)に示すように、発光素子120の数に対応する枚数のレンズフィルム190を複数の発光素子120の各々に1対1で対応するように配置するとともに、隣り合う発光素子120の光軸に対してはレンズフィルム190が逆方向に傾くように配置してある。このため、図11(b)に線L131で示すように、隣り合う発光素子120から出射される検出光L2の強度分布が逆向きとなる。従って、2つの発光素子120から出射された光の強度を合成すると、光強度分布がより連続した形態となる。それ故、全ての発光素子120から出射された光の強度を合成すると、図11(b)に実線L13で示すように、光強度分布がより連続した形態となり、リニアリティが向上する。また、光強度分布の勾配が大となるため、対象物体Obの位置を精度よく検出できる。
【0077】
[実施の形態3の変形例]
実施の形態3では、第1発光素子121および第2発光素子122の各々に別体のレンズフィルム190を設けてもよく、また、第1発光素子121および第2発光素子122に共通のレンズフィルム190を設けてもよい。また、実施の形態3では、発光素子120の数に対応する枚数のレンズフィルム190を複数の発光素子120の各々に1対1で対応するように配置したが、発光素子120の配列方向に延在するレンズフィルム190を折り曲げて、レンズフィルム190を発光素子120の光軸に対して斜めに配置してもよい。
【0078】
[実施の形態4]
図13は、本発明の実施の形態4に係る光学式位置検出装置10の光源部12の説明図であり、図13(a)、(b)は、レンズフィルム190の説明図、および光源部12から出射される検出光L2の光強度分布(第1光強度分布LID1)を示す説明図である。なお、本形態の基本的な構成は実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して、それらの説明を省略する。
【0079】
図13(a)に示すように、本形態でも、実施の形態3と同様、レンズフィルム190を発光素子120の光軸に対して斜めに配置してある。但し、本形態では、実施の形態3と違って、レンズフィルム190を発光素子120の配列方向において発光素子120の光軸に対して同一の方向に傾けてあり、レンズフィルム190と発光素子120の光軸とが成す角度は、いずれの発光素子120においても同一である。ここで、図13(a)には、発光素子120のうち、第1発光素子121を図示してあるため、レンズフィルム190は、発光素子120の光軸に対して直交する位置から、第1フレキシブル基板181の一方側の端部181aが位置する側(駆動電流が大の側/出射強度が大の側)に傾いている。なお、第2発光素子122に対しては、レンズフィルム190を逆方向に傾けることになる。
【0080】
かかる構成によれば、図13(b)に線L141で示すように、複数の発光素子120から出射される検出光L2の強度分布が一方方向に傾くことになる。このため、複数の発光素子120から出射された光の強度を合成すると、実線L14で示すように、光強度分布がより連続した形態となるとともにリニアリティが向上する。また、光強度分布の勾配が大となるため、対象物体Obの位置を精度よく検出できる。
【0081】
[実施の形態4の変形例]
実施の形態4では、発光素子120の数に対応する枚数のレンズフィルム190を複数の発光素子120の各々に1対1で対応するように配置したが、発光素子120の配列方向に延在するレンズフィルム190を折り曲げて、レンズフィルム190を発光素子120の光軸に対して斜めに配置してもよい。
【0082】
[実施の形態5]
図14は、本発明の実施の形態5に係る光学式位置検出装置10の光源部12の説明図である。なお、本形態の基本的な構成は実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して、それらの説明を省略する。
【0083】
図14に示すように、本形態でも、実施の形態4と同様、レンズフィルム190を発光素子120の光軸に対して斜めに配置してあり、レンズフィルム190を発光素子120の配列方向において発光素子120の光軸に対して同一の方向に傾けてある。但し、本形態では、レンズフィルム190と発光素子120の光軸とが成す角度は、発光素子120の配列方向で単調に変化している。ここで、図14には、発光素子120のうち、第1発光素子121を図示してあるため、レンズフィルム190は、発光素子120の光軸に対して直交する位置から、第1フレキシブル基板181の一方側の端部181aが位置する側(駆動電流が大の側/出射強度が大の側)に傾いている。また、レンズフィルム190は、発光素子120の光軸に対して直交する位置から、第1フレキシブル基板181の一方側の端部181aが位置する側で(駆動電流が大の側/出射強度が大の側)で大きく傾いており、他方側の端部181bが位置する側で(駆動電流が小の側/出射強度が小の側)では小さく傾いている。このため、交差角θαは、第1フレキシブル基板181の一方側の端部181aから他方側の端部181bに向けて単調に減少している。なお、第2発光素子122に対しては、レンズフィルム190を逆方向に傾けることになる。
【0084】
かかる構成によれば、複数の発光素子120から出射される検出光L2の強度分布が一方方向に傾くことになるため、複数の発光素子120から出射された光の強度を合成すると、光強度分布がより連続した形態となるとともにリニアリティが向上する。また、光強度分布の勾配が大となるため、対象物体Obの位置を精度よく検出できる。
【0085】
[実施の形態5の変形例]
実施の形態5では、発光素子120の数に対応する枚数のレンズフィルム190を複数の発光素子120の各々に1対1で対応するように配置したが、発光素子120の配列方向に延在するレンズフィルム190を折り曲げて、レンズフィルム190を発光素子120の光軸に対して斜めに配置してもよい。
【0086】
[光源部12の他の構成例]
図15は、本発明に係る光学式位置検出装置の光源部の他の構成例を示す説明図である。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示し、それらの説明を省略する。
【0087】
上記実施の形態では、第1点灯動作では第1発光素子121を点灯させ、第2点灯動作では第2発光素子122を点灯させたが、本形態では、図15に示すように、第1受発光ユニット15Aの第1光源部12A、および第2受発光ユニット15Bの第2光源部12Bのいずれにおいても、1系統の発光素子120のみが用いられている。その他の構成は実施の形態1と同様である。
【0088】
かかる構成でも、第1点灯動作時と第2点灯動作時において発光素子120に供給する駆動電流を変えれば、実施の形態1と同様な原理で対象物体Obの位置(XY座標)を検出することができる。すなわち、第1点灯動作では、複数の発光素子120に対する駆動電流をフレキシブル基板180の長さ方向の一方側の端部の側から他方側の端部に向かって減少させる。これにより、図6(a)に出射強度の高低を矢印Paで示すように、フレキシブル基板180の長さ方向の一方側の端部が位置する側から他方側の端部が位置する側に向かって発光素子120の出射強度を減少する。従って、検出空間10Rに出射される検出光L2の第1光強度分布LID1では、フレキシブル基板180の長さ方向の一方側の端部が位置する角度方向では光強度が高く、そこから、他方側の端部が位置する角度方向に向かって光強度が連続的に低くなる。また、第2点灯動作では、複数の発光素子120に対する駆動電流をフレキシブル基板180の長さ方向の他方側の端部の側から一方側の端部に向かって減少させる。これにより、図6(b)に出射強度の高低を矢印Pbで示すように、フレキシブル基板180の長さ方向の他方側の端部が位置する側から一方側の端部が位置する側に向かって発光素子120の出射強度を減少させる。従って、検出空間10Rに出射される検出光L2の第2光強度分布LID2では、フレキシブル基板180の長さ方向の他方側の端部が位置する角度方向では光強度が高く、そこから、一方側の端部が位置する角度方向に向かって光強度が連続的に低くなる。従って、上記実施の形態1と同様な原理により対象物体Obの位置を検出することができる。
【0089】
かかる構成の光学式位置検出装置10でもレンズフィルム190を用いれば、第1光強度分布LID1および第2光強度分布LID2の光強度分布を単調変化に近づけることができる。その際、本形態では、共通の発光素子120で第1光強度分布LID1および第2光強度分布LID2を形成するため、レンズフィルム190については、実施の形態1、2、3で説明した構成を採用することになる。
【0090】
[他の実施の形態の形態]
上記実施の形態では、2つの光源部(第1光源部12Aおよび第2光源部12B)を用いたが、1つの光源部12を用いて対象物体Obの位置を検出してもよい。また、上記実施の形態では、検出光L2の放射中心位置に受光部13を設けたが、他の箇所に受光部13を設けてもよく、2つの光源部12に対して共通の受光部13を設けてもよい。
【0091】
また、シート状光学部材としては、レンズフィルム190に代えて、これらと同様な特性を備えるホログラム素子を用いてもよい。
【0092】
[位置検出システムの構成例]
(位置検出システムの具体例1)
図16は、本発明を適用した位置検出システム1の具体例1(入力機能付き表示システム)の説明図である。なお、本形態の入力機能付き表示システムにおいて、位置検出システム1および光学式位置検出装置10の構成は、図1〜図15を参照して説明した構成と同様であるため、共通する部分については同一の符号を付して図示し、それらの説明を省略する。
【0093】
上記実施の形態に係る位置検出システム1においては、図16に示すように、視認面構成部材40として画像表示装置110を用い、かかる画像表示装置110に、図1〜図15を参照して説明した光学式位置検出装置10を設ければ、電子黒板やデジタルサイネージ等といった入力機能付き表示システム100として用いることができる。ここで、画像表示装置110は、直視型画像表示装置や、視認面構成部材40をスクリーンとする背面型投射型画像表示装置である。
【0094】
かかる入力機能付き表示システム100において、光学式位置検出装置10は、表示面110a(視認面41)に沿って検出光L2を出射するとともに、対象物体Obで反射した検出光L2(反射光L3)を検出する。このため、画像表示装置110で表示された画像の一部に対象物体Obを接近させれば、かかる対象物体Obの位置を検出することができるので、対象物体Obの位置を画像の切り換え指示等といった入力情報として利用することができる。
【0095】
(位置検出システムの具体例2)
図17を参照して、視認面構成部材40としてスクリーンを用い、位置機能付き投射型表示システムを構成した例を説明する。図17は、本発明を適用した位置検出システム1の具体例2(入力機能付き表示システム/入力機能付き投射型表示システム)の説明図である。なお、本形態の位置機能付き投射型表示システムにおいて、位置検出システム1および光学式位置検出装置10の構成は、図1〜図15を参照して説明した構成と同様であるため、共通する部分については同一の符号を付して図示し、それらの説明を省略する。
【0096】
図17に示す入力機能付き投射型表示システム200(入力機能付き表示システム)では、液晶プロジェクターあるいはデジタル・マイクロミラー・デバイスと称せられる画像投射装置250(画像生成装置)からスクリーン80(視認面構成部材40)に画像が投射される。かかる入力機能付き投射型表示システム200において、画像投射装置250は、筐体240に設けられた投射レンズ系210からスクリーン80に向けて画像表示光Piを拡大投射する。ここで、画像投射装置250は、Y軸方向に対してわずかに傾いた方向から画像表示光Piをスクリーン80に向けて投射する。従って、スクリーン80において画像が投射されるスクリーン面80aによって、情報が視認される視認面41が構成されている。
【0097】
かかる入力機能付き投射型表示システム200において、光学式位置検出装置10は、画像投射装置250に付加されて一体に構成されている。このため、光学式位置検出装置10は、投射レンズ系210とは異なる箇所から、スクリーン面80aに沿って検出光L2を出射するとともに、対象物体Obで反射した反射光L3を検出する。このため、スクリーン80に投射された画像の一部に対象物体Obを接近させれば、かかる対象物体Obの位置を検出することができるので、対象物体Obの位置を画像の切り換え指示等といった入力情報として利用することができる。
【0098】
なお、光学式位置検出装置10とスクリーン80を一体化させれば、入力機能付きスクリーン装置を構成することができる。
【0099】
(位置検出システムの他の具体例)
本発明において、視認面構成部材40は、展示品を覆う透光部材である構成を採用することができ、この場合、視認面41は、透光部材において展示品が配置される側とは反対側で展示品が視認される面である。かかる構成によれば、入力機能付きウインドウシステム等として構成することができる。
【0100】
また、視認面構成部材40は、移動する遊技用媒体を支持する基盤である構成を採用することができ、この場合、視認面41は、基盤において基盤と遊技用媒体との相対位置が視認される側の面である。かかる構成によれば、パチンコ台やコインゲーム等のアミューズメント機器を入力機能付きアミューズメントシステム等として構成することができる。
【符号の説明】
【0101】
1・・位置検出システム、10・・光学式位置検出装置、10R・・検出空間、12、12A、12B・・光源部(光源装置)、13、13A、13B・・受光部、15、15A、15B・・受発光ユニット、20・・光源装置、40・・視認面構成部材、50・・位置検出部、51・・光源駆動部、100・・入力機能付き表示システム、110・画像表示装置、120・・発光素子、121・・第1発光素子、122・・第2発光素子、130・受光素子、190、196・197・・レンズフィルム(シート状光学部材)、191・・第1レンズフィルム(第1シート状光学部材)、192・・第2レンズフィルム(第2シート状光学部材)、193・・シリンドリカルレンズ、200・・入力機能付き投射型表示システム、250・・画像投射装置、Ob・・対象物体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光軸方向に対して交差する方向に配列された複数の発光素子と、
前記複数の発光素子の前記光軸方向の出射側に配置され、当該光軸方向と前記複数の発光素子の配列方向とにより規定される仮想面内方向にのみ前記発光素子からの出射光の発散角を拡大させるシート状光学部材と、
を有していることを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記複数の発光素子は、曲線上に配列されていることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記シート状光学部材は、前記仮想面に交差する方向に軸方向を向けて前記配列方向で並列する複数のシリンドリカルレンズを備えたレンズフィルムであることを特徴とする請求項1または2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記シート状光学部材として、第1シート状光学部材と、当該第1シート状光学部材の前記光軸方向後側に配置された第2シート状光学部材と、を備えていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の光源装置。
【請求項5】
前記シート状光学部材は、可撓性を有し、前記配列方向で連続して延在していることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の光源装置。
【請求項6】
前記シート状光学部材は、前記複数の発光素子に1対1で対応するように前記配列方向で分割して配置されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の光源装置。
【請求項7】
前記シート状光学部材は、前記複数の発光素子の光軸に対して斜めに配置されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の光源装置。
【請求項8】
前記シート状光学部材は、前記複数の発光素子のうち、隣り合う発光素子の光軸に対しては逆方向に傾くように配置されていることを特徴とする請求項7に記載の光源装置。
【請求項9】
前記発光素子の光軸と前記シート状光学部材との交差角度は、前記配列方向で単調変化していることを特徴とする請求項7に記載の光源装置。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか一項に記載の光源装置を備えた光学式位置検出装置であって、
前記出射光の出射空間に位置する対象物体で反射した光を受光する受光部と、
前記受光部の受光強度に基づいて前記対象物体の位置を検出する位置検出部と、
を有していることを特徴とする光学式位置検出装置。
【請求項11】
前記位置検出部は、第1期間において前記複数の発光素子からの出射強度を前記配列方向の一方側に向かって減少させた際の前記受光部の受光強度と、前記第1期間と重ならない第2期間において前記複数の発光素子からの出射強度を前記配列方向の一方側に向かって増大させた際の前記受光部の受光強度との比較結果に基づいて前記対象物体の位置を検出することを特徴とする請求項10に記載の光学式位置検出装置。
【請求項12】
前記位置検出部は、前記第1期間における前記受光部の受光強度と前記第2期間における前記受光部の受光強度とが等しくなった際の前記第1期間における前記複数の発光素子での駆動電流値と前記第2期間における前記複数の発光素子での駆動電流値との比較結果に基づいて前記対象物体の位置を検出することを特徴とする請求項11に記載の光学式位置検出装置。
【請求項13】
請求項10乃至12の何れか一項に記載の光学式位置検出装置を備えた入力機能付き表示システムであって、
画像が表示される表示面を備えた表示装置を有し、
前記表示面に沿う方向の前記対象物体の位置を前記光学式位置検出装置が検出した結果に基づいて前記画像が切り換えられることを特徴とする入力機能付き表示システム。
【請求項14】
請求項10乃至12の何れか一項に記載の光学式位置検出装置を備えた入力機能付き表示システムであって、
画像を投射する画像投射装置を有し、
前記画像の投射方向と交差する方向における前記対象物体の位置を前記光学式位置検出装置が検出した結果に基づいて前記画像が切り換えられることを特徴とする入力機能付き表示システム。
【請求項1】
光軸方向に対して交差する方向に配列された複数の発光素子と、
前記複数の発光素子の前記光軸方向の出射側に配置され、当該光軸方向と前記複数の発光素子の配列方向とにより規定される仮想面内方向にのみ前記発光素子からの出射光の発散角を拡大させるシート状光学部材と、
を有していることを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記複数の発光素子は、曲線上に配列されていることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記シート状光学部材は、前記仮想面に交差する方向に軸方向を向けて前記配列方向で並列する複数のシリンドリカルレンズを備えたレンズフィルムであることを特徴とする請求項1または2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記シート状光学部材として、第1シート状光学部材と、当該第1シート状光学部材の前記光軸方向後側に配置された第2シート状光学部材と、を備えていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の光源装置。
【請求項5】
前記シート状光学部材は、可撓性を有し、前記配列方向で連続して延在していることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の光源装置。
【請求項6】
前記シート状光学部材は、前記複数の発光素子に1対1で対応するように前記配列方向で分割して配置されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の光源装置。
【請求項7】
前記シート状光学部材は、前記複数の発光素子の光軸に対して斜めに配置されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の光源装置。
【請求項8】
前記シート状光学部材は、前記複数の発光素子のうち、隣り合う発光素子の光軸に対しては逆方向に傾くように配置されていることを特徴とする請求項7に記載の光源装置。
【請求項9】
前記発光素子の光軸と前記シート状光学部材との交差角度は、前記配列方向で単調変化していることを特徴とする請求項7に記載の光源装置。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか一項に記載の光源装置を備えた光学式位置検出装置であって、
前記出射光の出射空間に位置する対象物体で反射した光を受光する受光部と、
前記受光部の受光強度に基づいて前記対象物体の位置を検出する位置検出部と、
を有していることを特徴とする光学式位置検出装置。
【請求項11】
前記位置検出部は、第1期間において前記複数の発光素子からの出射強度を前記配列方向の一方側に向かって減少させた際の前記受光部の受光強度と、前記第1期間と重ならない第2期間において前記複数の発光素子からの出射強度を前記配列方向の一方側に向かって増大させた際の前記受光部の受光強度との比較結果に基づいて前記対象物体の位置を検出することを特徴とする請求項10に記載の光学式位置検出装置。
【請求項12】
前記位置検出部は、前記第1期間における前記受光部の受光強度と前記第2期間における前記受光部の受光強度とが等しくなった際の前記第1期間における前記複数の発光素子での駆動電流値と前記第2期間における前記複数の発光素子での駆動電流値との比較結果に基づいて前記対象物体の位置を検出することを特徴とする請求項11に記載の光学式位置検出装置。
【請求項13】
請求項10乃至12の何れか一項に記載の光学式位置検出装置を備えた入力機能付き表示システムであって、
画像が表示される表示面を備えた表示装置を有し、
前記表示面に沿う方向の前記対象物体の位置を前記光学式位置検出装置が検出した結果に基づいて前記画像が切り換えられることを特徴とする入力機能付き表示システム。
【請求項14】
請求項10乃至12の何れか一項に記載の光学式位置検出装置を備えた入力機能付き表示システムであって、
画像を投射する画像投射装置を有し、
前記画像の投射方向と交差する方向における前記対象物体の位置を前記光学式位置検出装置が検出した結果に基づいて前記画像が切り換えられることを特徴とする入力機能付き表示システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図4】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図4】
【公開番号】特開2013−3076(P2013−3076A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137078(P2011−137078)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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