説明

光送受信器

【課題】送信側光電変換部及び受信側光電変換部と調芯しつつ取り付けが容易なレンズブロックの取付構造を有する光送受信器を提供する。
【解決手段】レンズブロック8を送信側光電変換部2及び受信側光電変換部4とそれぞれ調芯した状態で保持すると共に、送信側回路基板3と受信側回路基板5とを所定の間隔を隔てて固定するための枠体38とを有するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気信号と光信号を相互に変換する光送受信器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気信号と光信号を相互に変換する光送受信器(例えば、光トランシーバ)として、発光素子を含む送信側光電変換部を実装した送信側回路基板と、受光素子を含む受信側光電変換部を実装した受信側回路基板を、各光電変換部が実装された面を互いに向かい合わせて配置したものがある(例えば、特許文献1、特許文献2)。
【0003】
送信側光電変換部の発光素子と送信側光ファイバの間の光学的な接続、及び受信側光電変換部の受光素子と受信側光ファイバの間の光学的な接続には、送信側と受信側で共通のレンズブロックが用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−84098号公報
【特許文献2】米国特許第6213651号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
レンズブロックは、送信側光電変換部の発光素子及び受信側光電変換部の受光素子と調芯して取り付ける必要がある。
【0006】
特許文献2には、レンズブロックの対向する面にそれぞれ形成された開口部(収容部)に、発光素子を有するCANパッケージと受光素子を有するCANパッケージをそれぞれはめ込むことにより、レンズブロックと発光素子及び受光素子との調芯を行うことが示されている。
【0007】
しかしながら、レンズブロックや光素子は製造誤差によるバラツキがあり、はめ込みのような機械的な方法では精度良く調芯できない場合がある。特に、VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)などの発光素子アレイ、受光素子アレイを用いた多チャンネルの光送受信器の場合、調芯が複雑になり、機械的な調芯では精度が不十分となる。
【0008】
調芯の精度が不十分であると、光学的な接続箇所での光信号の損失が大きくなり、信号の劣化が生じるという問題がある。
【0009】
そこで、本発明の目的は、送信側光電変換部及び受信側光電変換部と高精度に調芯でき、取り付けが容易なレンズブロックの取付構造を有する光送受信器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、請求項1の発明は、電気信号を光信号に変換する送信側光電変換部と、前記送信側光電変換部が実装される送信側回路基板と、光信号を電気信号に変換する受信側光電変換部と、前記受信側光電変換部が実装される受信側回路基板とを備え、前記送信側回路基板の前記送信側光電変換部を実装した表面と、前記受信側回路基板の前記受信側光電変換部を実装した表面とを向かい合わせて配置した光送受信器であって、前記送信側回路基板と前記受信側回路基板との間に設けられると共に送信側光ファイバ及び受信側光ファイバと光学的に接続され、前記送信側光電変換部から入力された光信号を前記送信側光ファイバに出力すると共に前記受信側光ファイバから入力された光信号を前記受信側光電変換部に出力するためのレンズブロックと、前記レンズブロックを前記送信側光電変換部及び前記受信側光電変換部とそれぞれ調芯した状態で保持すると共に、前記送信側回路基板と前記受信側回路基板とを所定の間隔を隔てて固定するための枠体とを備える光送受信器である。
【0011】
請求項2の発明は、前記送信側回路基板に前記枠体を固定し、固定した前記枠体に前記レンズブロックを前記送信側光電変換部と調芯した状態で保持し、保持された前記レンズブロックと前記受信側光電変換部とを調芯しながら前記受信側回路基板を前記枠体に固定する請求項1に記載の光送受信器である。
【0012】
請求項3の発明は、前記送信側回路基板は、前記送信側光電変換部が実装される第1のベース部材と、前記第1のベース部材と接続される送信側プリント基板とを備え、前記受信側回路基板は、前記受信側光電変換部が実装される第2のベース部材と、前記第2のベース部材と接続される受信側プリント基板とを備える請求項1又は2に記載の光送受信器である。
【0013】
請求項4の発明は、前記送信側プリント基板と前記受信側プリント基板のいずれか一方又は両方がリジッドフレキシブルプリント基板からなり、前記送信側プリント基板と前記第1のベース部材との間及び/又は前記受信側プリント基板と第2のベース部材との間はリジッドフレキシブルプリント基板のフレキ部を介して接続される請求項3に記載の光送受信器である。
【0014】
請求項5の発明は、前記枠体は、前記第1のベース部材及び前記第2のベース部材を構成する材料と線膨張係数の近い材料で構成される請求項3又は4に記載の光送受信器である。
【0015】
請求項6の発明は、前記枠体は、前記レンズブロックの前記送信側光ファイバ及び前記受信側光ファイバと接続される光ファイバ接続面以外の側面を覆うように形成される請求項1〜5のいずれかに記載の光送受信器である。
【0016】
請求項7の発明は、前記枠体の下部と上部の一部には、種々の電子部品や配線をかわすための切り欠き部が形成される請求項1〜6のいずれかに記載の光送受信器である。
【0017】
請求項8の発明は、前記枠体は、シールド性能を有する金属で形成される請求項1〜7のいずれかに記載の光送受信器である。
【0018】
請求項9の発明は、前記枠体は、前記送信側光電変換部及び前記受信側光電変換部を囲むように設けられる請求項1〜8のいずれかに記載の光送受信器である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、送信側光電変換部及び受信側光電変換部と高精度に調芯でき、取り付けが容易なレンズブロックの取付構造を有する光送受信器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施の形態に係る光送受信器を示す斜視図である。
【図2】図1の光送受信器のA−A線断面図である。
【図3】図1の光送受信器をレンズブロック側から見た図である。
【図4】図1の光送受信器の組み立て方法を説明する図である。
【図5】本発明の変形例を示す斜視図である。
【図6】図5のB−B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0022】
図1は本実施の形態に係る光送受信器を示す斜視図であり、図2は図1の光送受信器のA−A線断面図であり、図3は図1の光送受信器をレンズブロック側から見た図である。
【0023】
本実施の形態では、一例として、24チャンネル(送信12チャンネル、受信12チャンネル)の光送受信器について説明する。なお、チャンネル数はこれに限定されず、例えば、12チャンネル(送信6チャンネル、受信6チャンネル)、又は4チャンネル(送信2チャンネル、受信2チャンネル)であってもよい。
【0024】
図1、図2に示すように、本実施の形態に係る光送受信器1は、電気信号を光信号に変換する送信側光電変換部2と、送信側光電変換部2が実装される送信側回路基板3と、光信号を電気信号に変換する受信側光電変換部4と、受信側光電変換部4が実装される受信側回路基板5と、これらを内部に納める図示しない筐体とを備える。
【0025】
送信側回路基板3と受信側回路基板5は、送信側回路基板3の送信側光電変換部2を実装した面と、受信側回路基板5の受信側光電変換部4を実装した面とを向かい合わせて配置される。
【0026】
送信側回路基板3と受信側回路基板5の間に、レンズブロック8が設けられる。レンズブロック8は、送信側光ファイバ6及び受信側光ファイバ7と光学的に接続される。レンズブロック8は、送信側光電変換部2からの光信号を送信側光ファイバ6に出力すると共に、受信側光ファイバ7からの光信号を受信側光電変換部4に出力する。レンズブロック8は、光学的に透明な材料であるガラス(BK7、パイレックス(登録商標)、石英など)、樹脂などを用いて作製される。
【0027】
送信側光電変換部2は、発光素子9と、発光素子9を駆動制御するためのドライバIC(Integrated Circuit)(LD(Laser Diode)ドライバ)10とからなる。発光素子9とドライバIC10とはボンディングワイヤ11により接続される。
【0028】
発光素子9は、単体のLDやLED(Light Emitting Diode)、又は複数の発光部がアレイ状に並列されたVCSELからなる。本実施の形態では、発光素子9をVCSELで構成した。
【0029】
送信側回路基板3は、送信側光電変換部2が実装される第1のベース部材12と、第1のベース部材12に接続される送信側プリント基板13とを備える。送信側プリント基板13としてはリジッド基板やリジッドフレキシブル基板を用いることができる。本実施の形態では、送信側プリント基板13としてリジッド基板を用いた。
【0030】
第1のベース部材12は、板状の基部14と、基部14と一体に形成された基部14よりも厚みが小さい延長部15とからなる。第1のベース部材12の裏面(送信側光電変換部2が実装される面と反対側の面)は平坦である。第1のベース部材12の表面(送信側光電変換部2が実装される面)は基部14と延長部15の間で段差16がある形状である。
【0031】
第1のベース部材12は、導電性の部材、例えば銅タングステン(Cu−W)やコバールなどの金属からなる。第1のベース部材12の裏面は、図示しない熱伝導シートを介して筐体に接する。
【0032】
第1のベース部材12の基部14の表面に送信側光電変換部2が実装される。第1のベース部材12の延長部15の表面と送信側プリント基板13の裏面が接着固定される。第1のベース部材12は送信側回路基板3に形成された図示しないグランドパターンと電気的に接続される。
【0033】
送信側光電変換部2のドライバIC10は、配線ピッチ変換用の第1のセラミック基板C1を介して送信側プリント基板13の図示しない配線パターンに接続される。
【0034】
送信側プリント基板13は、接続端子17が形成されてなる第1のカードエッジコネクタ18を備える。
【0035】
受信側光電変換部4は、受光素子19と、受光素子19からの電気信号を増幅するアンプIC(トランスインピーダンスアンプ:TIA)20とからなる。受光素子19とアンプIC20とはボンディングワイヤ21により接続される。
【0036】
受光素子19は、単体のPD(Photo Diode)、又は複数のPDがアレイ状に並列されたPDアレイからなる。本実施の形態においては、受光素子19をPDアレイで構成した。
【0037】
受信側回路基板5は、受信側光電変換部4が実装される第2のベース部材22と、第2のベース部材22に接続される受信側プリント基板23とを備える。受信側プリント基板23としてはリジッド基板やリジッドフレキシブル基板を用いることができる。本実施の形態では、受信側プリント基板23としてリジッド基板を用いた。
【0038】
第2のベース部材22は、板状の基部24と、基部24と一体に形成された基部24よりも厚みが小さい延長部25とからなる。第2のベース部材22の裏面(受信側光電変換部4が実装される面と反対側の面)は平坦である。第2のベース部材22の表面(受信側光電変換部4が実装される面)は基部24と延長部25の間で段差26がある形状である。
【0039】
第2のベース部材22は、導電性の部材、例えば銅タングステン(Cu−W)やコバールなどの金属からなる。
【0040】
第2のベース部材22の基部24の表面に受信側光電変換部4が実装される。第2のベース部材22の延長部25の表面と受信側プリント基板23の裏面が接着固定される。第2のベース部材22は受信側回路基板5に形成された図示しないグランドパターンと電気的に接続される。
【0041】
受信側光電変換部4のアンプIC20は、配線ピッチ変換用の第2のセラミック基板C2を介して受信側プリント基板23の図示しない配線パターンに接続される。
【0042】
受信側プリント基板23は、接続端子27が形成されてなる第2のカードエッジコネクタ28を備える。
【0043】
送信側回路基板3と受信側回路基板5との間、より具体的には第1のベース部材12と第2のベース部材22との間に、レンズブロック8が設けられる。レンズブロック8は、直方体形状のブロック本体29からなる。ブロック本体29は、送信側光ファイバ6及び受信側光ファイバ7に接続される光ファイバ接続面を備える。レンズブロック8は、ブロック本体29の光ファイバ接続面と反対側の面にV字状に形成して構成された第1の反射面30及び第2の反射面31とを備える。
【0044】
ブロック本体29の光ファイバ接続面に、第1の送信側レンズ32及び第1の受信側レンズ33が形成される。さらに、ブロック本体29の発光素子9と対向する面に第2の送信側レンズ34が形成され、受光素子19と対向する面に第2の受信側レンズ35が形成される。
【0045】
第1の送信側レンズ32及び第1の受信側レンズ33は、ブロック本体29の光ファイバ接続面に形成されたレンズ溝36内にそれぞれ収容されるように形成される。これらレンズ32,33をレンズ溝36内に収容されるように形成する理由は、後述するMTコネクタ37との接続面が平坦となるようにして接続性を向上させるためである。
【0046】
第1、第2の送信側レンズ32,34及び第1、第2の受信側レンズ33,35は、それぞれVCSELの発光部及びPDアレイのPDと同じ数だけ並列して形成される(本実施の形態では12個ずつ)。
【0047】
送信側光ファイバ6及び受信側光ファイバ7は、その端面をMT(Mechanically Transferable)コネクタ37によって保持される。送信側光ファイバ6及び受信側光ファイバ7は、それぞれ光ファイバを12本有する。MTコネクタ37は、送信側光ファイバ6を上段に受信側光ファイバ7を下段に並列した状態で保持している。送信側光ファイバ6及び受信側光ファイバ7は、MTコネクタ37により、ブロック本体29の光ファイバ接続面に接続される。MTコネクタ37を位置合わせしてレンズブロック8に接続するために、レンズブロック8の光ファイバ接続面には位置合わせ用のガイドピンHが形成される。MTコネクタ37は穴を備え、ガイドピンHを穴に挿入して、MTコネクタ37とレンズブロック8を固定する。なお、MTコネクタ37は図1には図示していない。
【0048】
光送受信器1は、送信側プリント基板13の第1のカードエッジコネクタ18と受信側プリント基板23の第2のカードエッジコネクタ28からなる上下2段のカードエッジコネクタ18,28を備える。
【0049】
光送受信器1は、一端のカードエッジコネクタ18,28を接続相手の機器のエッジコネクタソケットに挿し込んで電気的に接続される。なお、本実施の形態では、下方に送信側回路基板3、上方に受信側回路基板5を配置した場合を説明したが、上下逆に配置されていても構わない。
【0050】
光送受信器1では、機器から電気信号が第1のカードエッジコネクタ18を介して送信側回路基板3に入力され、送信側光電変換部2の発光素子9において電気信号を光信号に変換し、光信号を基板面に対して垂直方向に出射する。光信号は、レンズブロック8の第1の反射面30で反射し、90°光軸を変換し、送信側光ファイバ6へ出力する。また、受信側光ファイバ7から出射された光信号は、レンズブロック8の第2の反射面31で反射し、90°光軸を変換し、受信側光電変換部4の受光素子19へ入射する。受光素子19は光信号を電気信号に変換し、電気信号は受信側回路基板5の第2のカードエッジコネクタ28を介して接続相手の機器へ出力される。
【0051】
本実施の形態に係る光送受信器1は、レンズブロック8を送信側光電変換部2及び受信側光電変換部4とそれぞれ調芯した状態で保持すると共に、送信側回路基板3と受信側回路基板5とを所定の間隔を隔てて固定するための枠体38を有する。
【0052】
枠体38は、第1のベース部材12と第2のベース部材22との間に、送信側光電変換部2及び受信側光電変換部4を囲むように、即ちブロック本体29の光ファイバ接続面以外の側面を覆うように形成される。枠体38は、エポキシ樹脂などの熱硬化樹脂やYAG溶接によって各ベース部材12,22と接合されて固定される。
【0053】
また、枠体38の下部と上部の一部には、種々の電子部品や配線(ボンディングワイヤなど)をかわすための切り欠き部39,40が形成される。
【0054】
枠体38は、第1のベース部材12及び第2のベース部材22を構成する材料と線膨張係数の近い材料、例えばCu−Wやコバール、で構成される。SUS系の材料を用いてもよい。これにより、光送受信器1の稼働時にドライバIC10やアンプIC20などで発生する熱によって、レンズブロック8を保持する枠体38が各ベース部材12,22から剥離したり固定位置がずれたりして、レンズブロック8と各光電変換部2,4との調芯精度が悪化するのを防止できる。
【0055】
枠体38はシールド性能を有する金属からなるとよい。これにより、送信側光電変換部2のドライバIC10から外部へ漏れる電磁波を抑制しEMI特性を向上させることができる。
【0056】
図3に示すように、レンズブロック8は、その側面を枠体38に接着固定されて保持されている。レンズブロック8を枠体38に固定するための接着剤41として例えば、UV硬化樹脂を用いる。レンズブロック8と枠体38との間隔dは300μm程度にされ、接着剤41が垂れないような間隔にされる。
【0057】
次に、光送受信器1の組み立て方法を説明する。
【0058】
図4に示すように、第1のベース部材12に実装された送信側光電変換部2を囲むように枠体38を配置し、UV硬化樹脂やYAG溶接により第1のベース部材12の表面に接合して固定する。
【0059】
その後、枠体38内にレンズブロック8を配置し、レンズブロック8をx方向、y方向、z方向に動かしたりx軸、y軸、z軸廻りに回転させたりしながら発光素子9との調芯を行う。具体的な調芯方法としては、例えば発光素子9がVCSELの場合、VCSELの両端に配置された発光部とレンズブロック8の両端に配置された第1,2の送信側レンズ32,34との調芯を行う方法がある。この場合、送信側光ファイバ6に光パワーメータを接続し、光パワーメータで検出されるパワーが最も強くなるようにレンズブロック8の位置を調整する。調芯は例えば±100μm程度の幅、±1μm程度の精度でなされる。
【0060】
レンズブロック8と発光素子9とを調芯した後、その配置を維持したままレンズブロック8の側面に接着剤41を塗布すると共に硬化させる。これにより、枠体38内にレンズブロック8が調芯されて保持される。
【0061】
その後、枠体38の上部を第2のベース部材22に実装された受信側光電変換部4を囲むように配置し、UV硬化樹脂により第2のベース部材22の表面に接合して固定する。このとき、第2のベース部材22をx方向、y方向に動かしたり、z軸廻りに回転させたりしてレンズブロック8と受光素子19との調芯を行いながら固定する。具体的な調芯方法としては、例えば受光素子19がPDアレイの場合、PDアレイの両端に配置されたPDとレンズブロック8の両端に配置された第2の受信側レンズ35との調芯を行う方法がある。この場合、PDに電流計を接続し、両端に配置されたPDからの電流が最も強く検出されるようにレンズブロック8の位置を調整する。調芯は例えば±100μm程度の幅、±1μm程度の精度でなされる。
【0062】
このように、光送受信器1は送信側回路基板3に枠体38を接合し、枠体38内にレンズブロック8を発光素子9と調芯しつつ保持させた後、枠体38の上部にレンズブロック8と受光素子19とを調芯しつつ受信側回路基板5を接合して組み立てられる。
【0063】
枠体38を先に送信側回路基板3に配置して、レンズブロック8と発光素子9との調芯を行う理由は、受光素子19との調芯に比べて発光素子9との調芯の方が精度を要するためである。特に、発光素子9では第2の送信側レンズ34とのz方向の距離が重要であるが、受光素子19では第2の受信側レンズ35とのz方向の距離は発光素子9ほど重要ではないからである。
【0064】
以上要するに、本実施の形態に係る光送受信器1では、レンズブロック8を送信側光電変換部2及び受信側光電変換部4とそれぞれ調芯した状態で保持すると共に、送信側回路基板3と受信側回路基板5とを所定の間隔を隔てて固定するための枠体38を設けている。
【0065】
そのため、各部品の製造誤差によるバラツキに応じて、送信側光電変換部2及び受信側光電変換部4と精度良く調芯でき、また取り付けが容易なレンズブロック8の取付構造を有する光送受信器1を実現できる。
【0066】
本実施の形態では、送信側プリント基板13と受信側プリント基板23をリジッド基板で構成したが、図5、図6に示すように、送信側プリント基板13と受信側プリント基板23のどちらか一方又は両方(図5、図6では両方)をリジッドフレキシブルプリント基板42,43で構成し、そのフレキ部44,45で第1,第2のベース部材12,22に接続するようにしてもよい。
【0067】
この場合、配線ピッチ変換用の第1,第2のセラミック基板C1,C2の代わりにフレキ部44,45で配線ピッチ変換ができるため、部品点数を削減できる。
【0068】
各ベース部材12,22と各プリント基板12,22が剛に固定されている場合は、レンズブロック8と各光素子9,19との調芯により各ベース部材12,22の位置がずれると各カードエッジコネクタ18,28が形成された各プリント基板13,23の位置もずれてしまう。この場合、各カードエッジコネクタ18,28を規格に定められた位置に配置しようとすると各プリント基板13,23に応力がかかることとなる。
【0069】
これに対して、送信側プリント基板13と受信側プリント基板23をリジッドフレキシブルプリント基板42,43で構成した場合には、フレキ部44,45で応力を逃がすことができ、送信側プリント基板13と受信側プリント基板23に応力をかけることなく、各カードエッジコネクタ18,28を規格に定められた位置に配置することができる。
【符号の説明】
【0070】
1 光送受信器
2 送信側光電変換部
3 送信側回路基板
4 受信側光電変換部
5 受信側回路基板
8 レンズブロック
38 枠体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気信号を光信号に変換する送信側光電変換部と、
前記送信側光電変換部が実装される送信側回路基板と、
光信号を電気信号に変換する受信側光電変換部と、
前記受信側光電変換部が実装される受信側回路基板とを備え、
前記送信側回路基板の前記送信側光電変換部を実装した表面と、前記受信側回路基板の前記受信側光電変換部を実装した表面とを向かい合わせて配置した光送受信器であって、 前記送信側回路基板と前記受信側回路基板との間に設けられると共に送信側光ファイバ及び受信側光ファイバと光学的に接続され、前記送信側光電変換部から入力された光信号を前記送信側光ファイバに出力すると共に前記受信側光ファイバから入力された光信号を前記受信側光電変換部に出力するためのレンズブロックと、
前記レンズブロックを前記送信側光電変換部及び前記受信側光電変換部とそれぞれ調芯した状態で保持すると共に、前記送信側回路基板と前記受信側回路基板とを所定の間隔を隔てて固定するための枠体とを備える光送受信器。
【請求項2】
前記送信側回路基板に前記枠体を固定し、固定した前記枠体に前記レンズブロックを前記送信側光電変換部と調芯した状態で保持し、保持された前記レンズブロックと前記受信側光電変換部とを調芯しながら前記受信側回路基板を前記枠体に固定する請求項1に記載の光送受信器。
【請求項3】
前記送信側回路基板は、前記送信側光電変換部が実装される第1のベース部材と、前記第1のベース部材と接続される送信側プリント基板とを備え、
前記受信側回路基板は、前記受信側光電変換部が実装される第2のベース部材と、前記第2のベース部材と接続される受信側プリント基板とを備える請求項1又は2に記載の光送受信器。
【請求項4】
前記送信側プリント基板と前記受信側プリント基板のいずれか一方又は両方がリジッドフレキシブルプリント基板からなり、
前記送信側プリント基板と前記第1のベース部材との間及び/又は前記受信側プリント基板と第2のベース部材との間はリジッドフレキシブルプリント基板のフレキ部を介して接続される請求項3に記載の光送受信器。
【請求項5】
前記枠体は、前記第1のベース部材及び前記第2のベース部材を構成する材料と線膨張係数の近い材料で構成される請求項3又は4に記載の光送受信器。
【請求項6】
前記枠体は、前記レンズブロックの前記送信側光ファイバ及び前記受信側光ファイバと接続される光ファイバ接続面以外の側面を覆うように形成される請求項1〜5のいずれかに記載の光送受信器。
【請求項7】
前記枠体の下部と上部の一部には、種々の電子部品や配線をかわすための切り欠き部が形成される請求項1〜6のいずれかに記載の光送受信器。
【請求項8】
前記枠体は、シールド性能を有する金属で形成される請求項1〜7のいずれかに記載の光送受信器。
【請求項9】
前記枠体は、前記送信側光電変換部及び前記受信側光電変換部を囲むように設けられる請求項1〜8のいずれかに記載の光送受信器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−99930(P2011−99930A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−253328(P2009−253328)
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】