説明

光集積素子の製造方法

【課題】パッシブ素子の特性の設計値からの低下を抑制することができる光集積素子の製造方法を提供すること。
【解決手段】基板上に、活性コア層を含む半導体積層構造で形成された、アクティブ素子を形成するためのアクティブ領域と、パッシブコア層を含む半導体積層構造で形成された、パッシブ素子を形成するためのパッシブ領域とを形成し、アクティブ領域とパッシブ領域とに被覆部と開口部とを有する第1エッチングマスクを形成し、アクティブ領域およびパッシブ領域において開口部からドライエッチングを行い、アクティブ領域にアクティブ素子のアクティブメサ構造を形成するとともにパッシブ領域にパッシブ素子のパッシブメサ構造を形成し、パッシブ領域に第2エッチングマスクを形成し、パッシブメサ構造を第2エッチングマスクにて保護しながらアクティブメサ構造をウェットエッチングする、ことを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクティブ素子とパッシブ素子とを集積した光集積素子の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
たとえば光通信用の機能性光集積素子として、半導体活性層をコア層とするアクティブ導波路で構成されたアクティブ素子と、実質的に透明なパッシブ半導体層をコア層とする半導体のパッシブ導波路で構成されたパッシブ素子と、をモノリシックに集積した光集積素子がある。この種の光集積素子の一例として、DWDM(Dense Wavelength Division Multiplexing)光通信用波長可変光源としての集積型半導体レーザ素子が開示されている(たとえば特許文献1参照)。
【0003】
この種の集積型半導体レーザ素子は、互いに発振波長が異なる複数の分布帰還(DFB:Distributed Feedback)型の半導体レーザと、複数の曲がり光導波路と、光合流器と、半導体光増幅器(SOA: Semiconductor Optical Amplifier)とを一つの基板上に集積したものである。
【0004】
この集積型半導体レーザ素子の動作を説明する。まず、DFBレーザの中から選択した1つのDFBレーザを駆動する。駆動するDFBレーザと光学的に接続している曲がり光導波路は、駆動するDFBレーザから出力したレーザ光を導波する。たとえば多モード干渉型(MMI: Multi Mode Interference)光導波路からなる光合流器は、曲がり光導波路が導波したレーザ光を通過させて出力ポートから出力する。半導体光増幅器は、出力ポートから出力したレーザ光を増幅してその出力端から出力する。この集積型半導体レーザ素子は、駆動するDFBレーザを変更することによって波長可変光源として動作する。
【0005】
上記のような集積型半導体レーザ素子は、半導体光増幅器の出力端側にさらに外部変調器としての半導体光変調器が設けられる場合がある。この場合、集積型半導体レーザ素子はたとえばDWDM光通信ネットワークシステムにおける長距離光伝送のための光送信器として使用される。この集積型半導体レーザ素子においては曲げ導波路と光合流器とがパッシブ素子に相当する。また、それ以外の素子である半導体レーザ、半導体光増幅器および半導体光変調器がアクティブ素子に相当する。
【0006】
また、光集積素子の他の例として、半導体光増幅器とスポットサイズ変換器(SSC: Spot Size Converter)とを集積した集積型半導体光増幅素子がある(たとえば特許文献2参照)。スポットサイズ変換器は、半導体光増幅器と、光ファイバもしくは平面光波回路(PLC:Planar Lightwave Circuit)とを低損失に結合させるためのものである。この種の集積型半導体光増幅素子においては、スポットサイズ変換器がパッシブ素子に相当し、半導体光増幅器がアクティブ素子に相当する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−258368号公報
【特許文献2】特開2001−135887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、従来埋め込み型の半導体導波路を形成する場合には、はじめにドライエッチングによって半導体導波路のメサ構造を形成し、つぎにウェットエッチングによって、ドライエッチングによるダメージ層を除去し、その後に半導体材料によるメサ構造の埋め込みを行うことがある。ドライエッチングでメサ構造を形成する場合はその側壁が半導体積層面に対して垂直になるので、ドライエッチングした底面と側壁とが角を形成する。ドライエッチング後のウェットエッチングは、その角を滑らかにし、その部分を半導体材料で埋め込む際に隙間無く埋めることができるようにする作用も有する。
【0009】
しかしながら、上記のようにドライエッチングとそれに続くウェットエッチングとによって埋め込み型半導体導波路を含む光集積素子を形成する場合、パッシブ素子の特性が設計値よりも低下してしまう場合があった。たとえば、スポットサイズ変換器の場合は結合損失が設計値よりも大きくなる場合があり、光合流器の場合は設計値の結合損失および波長特性が得られない場合があり、曲がり光導波路の場合は曲げ損失が設計値より大きくなる場合があるという問題があった。
【0010】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、パッシブ素子の特性の設計値からの低下を抑制することができる光集積素子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る光集積素子の製造方法は、アクティブ素子とパッシブ素子とを集積した光集積素子の製造方法であって、基板上に、活性コア層を含む半導体積層構造で形成された、前記アクティブ素子を形成するためのアクティブ領域と、パッシブコア層を含む半導体積層構造で形成された、前記パッシブ素子を形成するためのパッシブ領域とを形成し、前記アクティブ領域と前記パッシブ領域とに被覆部と開口部とを有する第1エッチングマスクを形成し、前記アクティブ領域および前記パッシブ領域において前記開口部からドライエッチングを行い、前記アクティブ領域に前記アクティブ素子のアクティブメサ構造を形成するとともに前記パッシブ領域に前記パッシブ素子のパッシブメサ構造を形成し、前記パッシブ領域に第2エッチングマスクを形成し、前記パッシブメサ構造を前記第2エッチングマスクにて保護しながら前記アクティブメサ構造をウェットエッチングする、ことを含むことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る光集積素子の製造方法は、上記の発明において、前記パッシブ領域における前記ドライエッチングのエッチング深さと、前記アクティブ領域における前記ドライエッチングのエッチング深さとに差が形成されるように前記ドライエッチングを行い、前記ウェットエッチングのエッチング深さがほぼ前記差になるように前記ウェットエッチングを行うことを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る光集積素子の製造方法は、上記の発明において、前記アクティブ領域における前記第1エッチングマスクの第1被覆率よりも前記パッシブ領域における前記第1エッチングマスクの第2被覆率を大きくすることによって前記エッチング深さの差を形成することを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る光集積素子の製造方法は、上記の発明において、前記第1被覆率が0%〜20%であり、前記第2被覆率が70%〜100%であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る光集積素子の製造方法は、上記の発明において、前記基板と前記活性コア層および前記パッシブコア層との間にエッチストップ層を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ウェットエッチング工程ではパッシブ素子のメサ構造を保護し、これによってウェットエッチングによるパッシブコア層の形状変化を防止するので、パッシブ素子の特性の低下を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、実施の形態1に係る製造方法で製造することができる集積型半導体光増幅素子の模式的な平面図である。
【図2】図2は、図1に示す集積型半導体光増幅素子の導波路構造を説明する透視図である。
【図3】図3は、図1に示す集積型半導体光増幅素子のA−A線要部断面図である。
【図4】図4は、図1に示す集積型半導体光増幅素子のB−B線要部断面図である。
【図5】図5は、図1に示す集積型半導体光増幅素子のC−C線要部断面図である。
【図6】図6は、実施の形態1に係る製造方法を説明する図である。
【図7】図7は、実施の形態1に係る製造方法を説明する図である。
【図8】図8は、実施の形態1に係る製造方法を説明する図である。
【図9】図9は、実施の形態1に係る製造方法を説明する図である。
【図10】図10は、実施の形態1に係る製造方法を説明する図である。
【図11】図11は、実施の形態1に係る製造方法を説明する図である。
【図12】図12は、実施の形態1に係る製造方法を説明する図である。
【図13】図13は、スポットサイズ変換器の光入出力端の幅と、スポットサイズ変換器とPLCとの結合損失との関係の一例を示す図である。
【図14】図14は、エッチングマスクを形成した半導体層にICP-RIEを用いてドライエッチングを行った場合の、エッチングマスクの被覆率とエッチレートとの関係の一例を示す図である。
【図15】図15は、実施の形態1の変形例に係る示す集積型半導体光増幅素子の半導体光増幅器の模式的な断面図である。
【図16】図16は、実施の形態1の変形例に係る示す集積型半導体光増幅素子のスポットサイズ変換器の模式的な断面図である。
【図17】図17は、実施の形態1に係る製造方法で製造することができる集積型半導体レーザ素子の模式的な平面図である。
【図18】図18は、実施の形態1と従来の製造方法とによる曲げ光導波路の曲げ半径と曲げ損失との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、図面を参照して本発明に係る光集積素子の製造方法の実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、各図面において、同一または対応する構成要素には適宜同一の符号を付している。さらに、図面は模式的なものであり、各層の厚みと幅との関係、各層の比率などは、現実のものとは異なる場合がことに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0019】
(実施の形態1)
はじめに、本発明の実施の形態1に係る製造方法で製造することができる光集積素子である集積型半導体光増幅素子について説明する。図1は、本実施の形態1に係る製造方法で製造することができる集積型半導体光増幅素子の模式的な平面図である。図1に示すように、この集積型半導体光増幅素子100は、順次接続された、スポットサイズ変換器10と、半導体光増幅器20と、スポットサイズ変換器30とを備えている。パッシブ素子であるスポットサイズ変換器10は、パッシブ領域S1に形成されている。同様に、アクティブ素子である半導体光増幅器20は、アクティブ領域S2に形成されている。パッシブ素子であるスポットサイズ変換器30は、パッシブ領域S3に形成されている。なお、この集積型半導体光増幅素子100は、1.55μm帯の信号光がスポットサイズ変換器10の光入出力端11側から入力されて、この信号光を半導体光増幅器20で増幅してスポットサイズ変換器30の光入出力端31側から出力するように構成されている。信号光の入出力のために、スポットサイズ変換器10、30にはたとえば光ファイバやPLCが接続される。なお、信号光はスポットサイズ変換器30の光入出力端31側から入力してもよい。
【0020】
図2は、図1に示す集積型半導体光増幅素子100の導波路構造を説明する透視図である。図2に示すように、スポットサイズ変換器10は、半導体光増幅器20に接続した側から光入出力端11に向かって幅と厚さとの両方が減少するいわゆるテーパ型のパッシブコア層114を含んでいる。なお、スポットサイズ変換器30も同様に、半導体光増幅器20に接続した側から光入出力端31に向かって幅と厚さとの両方が減少するテーパ型のパッシブコア層を含んでいる。スポットサイズ変換器10、30は、パッシブコア層がテーパ型であるので、光ファイバやPLCと低損失で接続することができる。
【0021】
半導体光増幅器20はたとえば長さ2000μm、幅2μmで等幅の導波路構造を有する。また、スポットサイズ変換器10、30は、たとえば長さ500μmで、長手方向において幅が2μmから0.5μmまで変化している。
【0022】
つぎに、集積型半導体光増幅素子100の断面構造を説明する。図3は、集積型半導体光増幅素子100のA−A線要部断面図である。図4は、集積型半導体光増幅素子100のB−B線要部断面図である。図5は、集積型半導体光増幅素子100のC−C線要部断面図である。
【0023】
はじめに、図3を参照して半導体光増幅器20の断面構造を説明する。半導体光増幅器20は、裏面にn側電極101を形成したn型のInPからなる基板102上に、バッファ層としての役割も果たしているn型のInPからなる下部クラッド層103と、活性コア層104と、p型のInPからなる上部クラッド層105とが順次積層した半導体積層構造を有している。基板102の上部から上部クラッド層105まではメサ構造M1となっている。メサ構造M1の両側はp型のInPからなる下部電流阻止半導体層106aとn型のInPからなる上部電流阻止半導体層106bとからなる埋め込み半導体層106によって埋め込まれている。したがって半導体光増幅器20は埋め込みメサ構造となっている。
【0024】
また、上部クラッド層105と埋め込み半導体層106との上にはp型のInPからなる上部クラッド層107、p型のInGaAsPからなるコンタクト層108が順次積層している。また、コンタクト層108上には、活性コア層104を覆うようにp側電極109が形成されている。なお、コンタクト層108上のp側電極109が形成されていない領域にはたとえばSiNからなる保護膜を形成しても良い。
【0025】
活性コア層104は、InGaAsP材料からなり、多重量子井戸(MQW:Multi Quantum Well)構造のMQW層104aと、MQW104aを挟むように形成された3段階の分離閉じ込めヘテロ構造(SCH:Separate Confinement Heterostructure)層104b、104cとを備えている。このように、活性コア層104はMQW−SCH構造を有する。なお、MQW層104aは、例えば6層の厚さ6nmの井戸層と厚さ10nmの障壁層とが交互に積層された、いわゆる6QWの構造を有する。ただし、活性コア層104の構造は特に限定されず、単一量子井戸構造やバルク構造でもよい。
【0026】
なお、半導体光増幅器20の活性コア層104を含むメサ構造M1は、後述するウェットエッチングによるサイドエッチによって、断面が略台形状になっている。活性コア層104の厚さをt1とし、台形の下底と上底との差の1/2をd1とする。以下では、d1をサイドエッチ深さと呼ぶ。
【0027】
つぎに、図4を参照してスポットサイズ変換器10の断面構造を説明する。スポットサイズ変換器10は、裏面にn側電極101を形成した基板102上に、下部クラッド層103と、パッシブコア層114と、アンドープのInPからなる上部クラッド層115とが積層した半導体積層構造を有している。基板102の上部から上部クラッド層115まではメサ構造M2となっている。メサ構造M2の両側は下部電流阻止半導体層106aと上部電流阻止半導体層106bとからなる埋め込み半導体層106によって埋め込まれている。したがってスポットサイズ変換器10は埋め込みメサ構造となっている。
【0028】
また、上部クラッド層115と埋め込み半導体層106との上には上部クラッド層107、コンタクト層108が順次積層している。なお、コンタクト層108上にはたとえばSiNからなる保護膜を形成しても良い。
【0029】
パッシブコア層114はバンドギャップ波長が1.3μmのInGaAsP材料からなる。したがって、パッシブコア層114は入力される1.55μm帯の信号光を吸収せず、主に信号光の導波を行う。
【0030】
なお、スポットサイズ変換器10のパッシブコア層114を含むメサ構造M2は、後述するドライエッチングによって殆どサイドエッチされないので、断面が略矩形に近い台形状になっている。活性コア層104と同様に、パッシブコア層114の厚さをt2とする。サイドエッチ深さd2とする。d2は殆ど0μmに近い値である。
【0031】
また、スポットサイズ変換器30はスポットサイズ変換器10と同様の断面構造を有している。
【0032】
また、図5に示すように、スポットサイズ変換器10、30は、それぞれ半導体光増幅器20に接続した側から光入出力端面に向かってパッシブコア層114の厚さが減少している。そして、スポットサイズ変換器10、半導体光増幅器20、スポットサイズ変換器30は共通の基板102上にモノリシックに集積されている。
【0033】
つぎに、集積型半導体光増幅素子100の製造方法を、平面図もしくは図1のA−A線断面、B−B線断面、またはC−C線断面に対応する断面図にて説明する。はじめに、図6の断面図に示すように、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)結晶成長装置などの公知の結晶成長装置を用いて、基板102上に、下部クラッド層103、活性コア層104、上部クラッド層105を順次結晶成長する。
【0034】
つぎに、図7の平面図に示すように、上部クラッド層105上に、スポットサイズ変換器10、30の構造を形成するためのたとえばSiNからなるマスクM10を形成する。なお、図7では、簡略化のために図1の集積型半導体光増幅素子100の右半分に対応する領域だけを示している。マスクM10は、半導体光増幅器20を形成する領域S4と、スポットサイズ変換器30を形成する領域S5の両側面と、スポットサイズ変換器10を形成する領域(不図示)の両側面を覆うように形成する。
【0035】
なお、スポットサイズ変換器10、30を形成する領域に長手方向に沿って厚さが変化する半導体層を成長させるために、スポットサイズ変換器10、30を形成する領域の両側面のマスクM10は、長手方向に沿ってマスク幅が変化している。
【0036】
つぎに、マスクM10をエッチングマスクとしてドライエッチングとウェットエッチングとを順次行い、マスクM10を形成した領域以外の領域の上部クラッド層105と活性層コア104とを除去する。なお、ウェットエッチングは、たとえば塩酸:りん酸=1:3のエッチング液を用いて実施することができる。また、ドライエッチングは、たとえば塩素系ガスを用いた誘導結合プラズマ(IPC:Induced Coupled Plasma)もしくは電子サイクロトロン共鳴(ECR:Electron Cyclotron Resonance)による反応イオンエッチング(RIE:Reaction Ion Etching)を用いて実施することができる。図8の断面図はエッチング後の状態を示している。
【0037】
つぎに、マスクM10を成長マスクとして、上部クラッド層105と活性層コア104とを除去した領域に、選択成長(SAG:Selective Area Growth)法によってパッシブコア層114と、上部クラッド層115とを順次バットジョイント成長する。スポットサイズ変換器10、30を形成する領域には、その両側にあるマスクM10の幅が広い領域程多くの半導体原料が供給されるため、図9に示すような長手方向に沿って厚さが減少するパッシブコア層114と上部クラッド層115とが形成される。その後、マスクM10を除去する。
【0038】
つぎに、図10に示すように、アクティブ領域S2およびパッシブ領域S1、S3(図1参照)に、たとえばSiNからなる第1エッチングマスクとしてのマスクM21、M22、M23を形成する。マスクM21、M22、M23はそれぞれ開口部M21a、M22a、M23aと、それ以外の被覆部M21b、M21c、M22b、M22c、M23b、M23cとを有している。なお、図10は、1つの集積型半導体光増幅素子の形成領域を示したものである。実際には基板102上に多数の集積型半導体光増幅素子を形成するので、図10に示した領域に隣接して同様の集積型半導体光増幅素子の形成領域が存在している。
【0039】
被覆部M21c、M22c、M23cは、図2、3のメサ構造M1、M2に対応するマスクである。開口部M21a、M22a、M23aは、図2、3の埋め込み半導体層106を形成する領域に対応する。ここで2つの開口部M21aの総面積と2つの開口部M23aの総面積を等しくA1とし、かつこの総面積を、2つの開口部M22aの総面積よりも小さいA2としておく。その理由は後ほど説明する。
【0040】
つぎに、アクティブ領域S2およびパッシブ領域S1、S3において、マスクM21、M22、M23の開口部M21a、M22a、M23aからドライエッチングを行う。ドライエッチングは、たとえば塩素系ガスを用いたIPCもしくはECRによるRIEを用いて実施することができる。これによって、図11(a)に示すようなパッシブ領域S1における略矩形状のメサ構造M2と、図11(b)に示すようなアクティブ領域S2における略矩形状のメサ構造M3とを形成する。メサ構造M1、M3の両側には開口部M21a(M23a)、M22aに対応したトレンチ溝T1、T2が形成される。ここで、上述したように開口部の総面積A1、A2を互いに異なるように設定することによって、同じドライエッチング工程を行った場合でも、アクティブ領域S2よりもパッシブ領域S1、S3の方が、トレンチ溝のエッチング深さが所定の差dだけ深くなるようにしている。
【0041】
つぎに、図12(a)に示すように、パッシブ領域S1、S3に第2エッチングマスクとしてのマスクM30を形成する。そして、パッシブ領域S1、S3におけるメサ構造M2を保護しながらウェットエッチングを行う。ウェットエッチングは、たとえば塩素系のエッチング液を用いて実施することができる。すると、アクティブ領域S2だけウェットエッチングされる。このとき、サイドエッチによってメサ構造M3のドライエッチングによるダメージ層が除去され、図3および図12(b)に示される台形状のメサ構造M1が形成される。このダメージ層の除去によって活性コア層104の信頼性が向上する。
【0042】
ここで、このウェットエッチングのエッチング深さを上述したエッチング深さの差dと略同じにする。これによって、パッシブ領域S1、S3とアクティブ領域S2とで、ドライエッチングおよびウェットエッチングによる合計のエッチング深さが略等しくなる。
【0043】
すなわち、本実施の形態1に係る製造方法では、パッシブ領域S1、S3とアクティブ領域S2とで、ドライエッチングおよびウェットエッチングによる合計のエッチング深さが略等しくなるように、マスクM21、M22、M23における開口部の総面積A1、A2(または、マスクM21、M22、M23における被覆部の総面積)を設定する。
【0044】
その後、メサ構造M1、M2の両側のトレンチ溝T1、T2内に埋め込み半導体層106を結晶成長する。メサ構造M1はウェットエッチングによってトレンチ溝T2の内角が滑らかにされているので、埋め込み半導体層106を隙間無く埋めることができる。これによって埋め込み半導体層106の電流ブロッキング特性が良好になるとともに、リーク電流経路の形成が抑制される。その結果、半導体光増幅器20の信頼性は高くなる。なお、電流ブロッキング特性のよい良好な埋め込み構造を形成するためには、ウェットエッチングのエッチング深さ(すなわちエッチング深さの差d)を0.5μm以上とすることが好ましい。
【0045】
また、上述したように、パッシブ領域S1、S3とアクティブ領域S2とで、ドライエッチングおよびウェットエッチングによる合計のエッチング深さが略等しくしている。その結果、形成した埋め込み半導体層106の最表面の高さがパッシブ領域S1、S3とアクティブ領域S2とで略等しくなるので、最表面の凹凸が少なくなる。したがって、その後フォトリソグラフィ工程を行う場合に、フォトリソグラフィにより形成するマスクと半導体層の最表面との密着性が高くなる。その結果、フォトリソグラフィの精度が高くなる。
【0046】
つぎに、上部クラッド層107、コンタクト層108を結晶成長する。つぎに、フォトリソグラフィ工程と蒸着・リフトオフ工程とを行い、AuZnからなるp側電極109を形成する。
【0047】
最後に、基板102の裏面全面を研磨し、研磨した裏面にAuGeNi/Au膜を蒸着してn側電極101を形成した後、オーミックコンタクトをとるために430℃で焼結(シンタ)する。その後、素子分離を行い、集積型半導体光増幅素子100が完成する。
【0048】
上記の製造方法によれば、ウェットエッチングによって活性コア層104のダメージ層を除去しながらも、スポットサイズ変換器10、30のパッシブコア層114を含むメサ構造M2はウェットエッチングをせずに、集積型半導体光増幅素子100を製造することができる。これによって、スポットサイズ変換器10、30の形状、特に光入出力端11、31での幅を精度良く形成することができる。その結果、スポットサイズ変換器10、30の特性、たとえばPLC等との接続損失等の特性の低下を抑制することができる。
【0049】
以下、具体的に説明する。ウェットエッチングを行うとメサ構造はサイドエッチされるので、メサ幅を厳密に設計どおりに調整して製造することが困難な場合がある。半導体レーザ、半導体光増幅器、および半導体光変調器などのアクティブ素子の場合は、そのレーザ特性、光増幅特性、または光変調特性のメサ幅依存性は小さいので、メサ構造にウェットエッチングをしてもその特性はほとんど変わらない。
【0050】
これに対して、MMI光合流器、曲がり導波路、スポットサイズ変換器等のパッシブ素子の場合は、その特性が、光導波路のメサ幅の変化に敏感である。たとえば、図13は、スポットサイズ変換器の光入出力端のメサ幅と、スポットサイズ変換器とPLCとの結合損失との関係の一例を示す図である。なお、スポットサイズ変換器は、長さが500μmであり、メサ幅が2.0μmから図13の横軸の値まで減少している構造とする。一方、スポットサイズ変換器の光入出力端に接続するPLCは、クラッドに対するコアの比屈折率差が1.2%、コアサイズが10μm×10μmのものとする。
【0051】
図13において、メサ幅が0.5μmの場合に接続損失が略最小値となる。しかしながら、スポットサイズ変換器のメサ構造にウェットエッチングを行った場合には、光入出力端のメサ幅を0.5μmに設定したとしても、ウェットエッチングによってメサ幅が0.2μm程度にまでなり得る。その結果、接続損失が6dBだけ増加して7dBになる可能性がある。また、ウェットエッチングの場合はサイドエッチの効果によってメサ構造が台形状になるため、さらに接続損失が増加する場合がある。
【0052】
これに対して、本実施の形態1のように、スポットサイズ変換器のメサ構造にはウェットエッチングをせずにドライエッチングだけを行う場合は、メサ構造が略矩形状であり、かつメサ幅は設計値である0.5μmに対して±0.1μm程度の製造誤差に抑制される。これによって、図13に示すように接続損失は多くとも1dB程度の増加に抑制される。
【0053】
以上説明したように、本実施の形態1に係る製造方法によれば、スポットサイズ変換器10、30の特性の低下が抑制された集積型半導体光増幅素子100を製造することができる。
【0054】
つぎに、パッシブ領域S1、S3とアクティブ領域S2とで合計のエッチング深さを等しくする方法についてより具体的に説明する。
【0055】
ICPもしくはECRによるRIEを用いたドライエッチングの場合、そのエッチングレートは、エッチングマスクの被覆率に大きく依存する。ここで、被覆率とは、所定の領域の全面積に対する、その領域でマスクが形成されている領域(被覆部)の面積の割合を意味する。被覆率が大きいほど、すなわち開口部の面積が小さいほど、その所定の領域に供給されたエッチングガスは開口部に集中するため、エッチレートが速くなる。したがって、ドライエッチングのエッチング深さをより深くしたいパッシブ領域S1、S3において、マスクM21、M23の被覆率を高くすればよい。
【0056】
図14は、エッチングマスクを形成した半導体層にICP−RIEを用いてドライエッチングを行った場合の、エッチングマスクの被覆率とエッチレートとの関係の一例を示す図である。なお、半導体層はInPからなり、エッチングマスクはSiNからなる。また、ICP−RIEの条件は、ICP電力を200W、バイアス電力を50W、ガス圧力を0.45Pa、Clガス流量を15sccm、Arガス流量を15sccmとした。
【0057】
図14に示すように、被覆率とレートとは略比例しており、以下の式(1)が略成り立つ。
エッチレート(μm/min)=0.0026×被覆率(%)+0.4481 ・・・ (1)
【0058】
したがって、被覆率を0%から100%まで調整することによって、2つの領域の間に最大1.58倍のエッチレートの差をつけることができる。
【0059】
たとえば、図11において、同じドライエッチングによってパッシブ領域S1のトレンチ溝T1のエッチング深さを2.4μmとし、かつアクティブ領域S2のトレンチ溝T2のエッチング深さを1.9μmとし、その後のアクティブ領域S2にエッチング深さ0.5μmのウェットエッチングを行うとする。この場合は、(パッシブ領域S1のエッチレート)/(アクティブ領域S2のエッチレート)が1.263(=2.4/1.9)となるように、アクティブ領域S2の被覆率(第1被覆率)とパッシブ領域S1の被覆率(第2被覆率)とを設定すればよい。たとえば、図14の条件では、第1被覆率を20%とし、第2被覆率を70%にすればよい。これによって、エッチング深さの差d(ウェットエッチングによってエッチングする深さ)を0.5μmとできる。また、第1被覆率を0%〜20%とし、第2被覆率を70%〜100%とすれば、差dを0.5μm以上にすることができる。
【0060】
また、図10において、アクティブ領域S2において被覆部M22cの両側に位置する2つの被覆部M22bの幅をWマスク_アクティブとし、パッシブ領域S1、S3において被覆部M21cの両側に位置する2つの被覆部M21b、および被覆部M23cの両側に位置する2つの被覆部M23bの幅をいずれもWマスク_パッシブとし、チップ間隔(1つの素子形成領域の幅)をWchipとし、パッシブ領域S1、S3の長さをLSSCとし、アクティブ領域S2の長さをLSOAとし、被覆部M21c、M23cの被覆部M22c側の幅をWSSC1、光入出力端面側の幅をWSSC2とする。このとき、パッシブ領域S1、S3での第2被覆率(%)は、以下の式(2)で表すことができる。
【0061】
100×(1/2×(WSSC1+WSSC2)×LSSC+2×Wマスク_パッシブ×LSSC)/(Wchip×LSSC) ・・・ (2)
【0062】
また、アクティブ領域S2での第1被覆率(%)は、以下の式(3)で表すことができる。
【0063】
100×(WSOA×LSOA+2×Wマスク_アクティブ×LSOA)/(Wchip×LSOA) ・・・ (3)
【0064】
したがって、式(2)、(3)を用いて、所望の被覆率になるように、各式に含まれるパラメータ、特にはWマスク_アクティブおよびWマスク_パッシブを設定すれば良い。
【0065】
なお、図10に示されるように、WSOAはWSSC1よりもウェットエッチングによるサイドエッチの分(WWET深さ)だけ幅が広く設定されている。
【0066】
ここでWSOAは、光通信波長帯(850nm〜1630nm)のうち使用する波長帯域の光に対して単一モード伝送となる範囲であることが好ましい。たとえは、1.55μm帯の場合は、WSSC1は2.0μm〜6.0μmであれば良い。また、LSOAは500μm〜3000μmが好ましい。LSOAが500μm以上であれば半導体光増幅器20において正味利得を得ることができる。また、3000μm以下であれば、半導体光増幅器20の出力および雑音指数が導波路損失の影響によって低下することが抑制される。また、(WSSC1−WSSC2)/LSSC<1.5/500であれば、スポットサイズ変換器10、30における導波路損失を低減することができるので好ましい。
【0067】
また、上述したように、被覆率を0%から100%まで調整することによって、2つの領域の間に最大1.58倍のエッチレートの差をつけることができる。したがって、アクティブ領域S2におけるドライエッチングの深さとウェットエッチングの深さとに関して、以下の式(4)の関係が成り立つようにすることが好ましい。
{(ドライエッチングの深さ)+(ウェットエッチングの深さ)}/(ドライエッチの深さ)≦1.58 ・・・ (4)
【0068】
なお、上記実施の形態1では、ドライエッチングの際のエッチングマスクの被覆率の調整によって、パッシブ領域S1、S3とアクティブ領域S2とで合計のエッチング深さを等しくしている。しかしながら、以下に示す実施の形態1の変形例のようにエッチストップ層を設けて、パッシブ領域S1、S3とアクティブ領域S2とでウェットエッチング後のエッチング深さを等しくしてもよい。
【0069】
図15は、実施の形態1の変形例に係る示す集積型半導体光増幅素子100Aの半導体光増幅器20Aの模式的な断面図である。図15は図3に対応するアクティブ領域S2での断面図である。図16は、実施の形態1の変形例に係る示す集積型半導体光増幅素子100Aのスポットサイズ変換器10Aの模式的な断面図である。図16は図4に対応するパッシブ領域S1での断面図である。
【0070】
実施の形態1に係る集積型半導体光増幅素子100とその変形例に係る集積型半導体光増幅素子100Aとでは、エッチストップ層の有無の点で異なるが、その他は略同様の構成である。以下ではエッチストップ層に関して説明する。
【0071】
図15、16に示すように、エッチストップ層120は、基板102と下部クラッド層103との間に設けられている。エッチストップ層120は、使用するウェットエッチング液が下部クラッド層103を選択的にエッチングでき、エッチストップ層120を殆どエッチングしないような材料からなる。したがって、エッチストップ層120はたとえばInGaAsPからなる。
【0072】
この集積型半導体光増幅素子100Aを製造する際には、メサ構造を形成するためのドライエッチングにおいて、エッチストップ層120の直上でエッチングを停止する。その後、ウェットエッチングを行うと、エッチストップ層120があるためにウェットエッチングは幅方向のみに進行する。その結果、パッシブ領域S1、S3とアクティブ領域S2とでウェットエッチング後のエッチング深さが等しくなる。
【0073】
なお、エッチストップ層120を形成する位置は、基板102と下部クラッド層103との間に限らず、活性コア層104およびパッシブコア層114と基板102との間であればよい。
【0074】
つぎに、実施の形態1に係る製造方法で製造することができる他の光集積素子である集積型半導体レーザ素子について説明する。図17は、実施の形態1に係る製造方法で製造することができる集積型半導体レーザ素子の模式的な平面図である。
【0075】
図17に示すように、この集積型半導体レーザ素子200は、互いに発振波長が異なる複数のDFB型の半導体レーザ40−1〜40−n(nは2以上の整数)と、半導体レーザ40−1〜40−nのそれぞれに接続した複数の曲がり光導波路50−1〜50−nと、曲がり光導波路50−1〜50−nに接続したMMI型光合流器60と、MMI型光合流器60に接続した半導体光増幅器70と、半導体光増幅器70に接続した半導体光変調器80とが、モノリシックに集積したものである。
【0076】
半導体レーザ40−1〜40−nはアクティブ領域S6に形成されているアクティブ素子である。曲がり光導波路50−1〜50−nとMMI型光合流器60とはパッシブ領域S7に形成されているパッシブ素子である。半導体光増幅器70と半導体光変調器80とはアクティブ領域S8に形成されているアクティブ素子である。
【0077】
半導体光増幅器70と半導体光変調器80とは図3に示す半導体光増幅器20と同様の断面構造を有している。半導体レーザ40−1〜40−nは半導体光増幅器20と略同様の断面構造を有しているが、上部クラッド層105の一部に回折格子層が形成されている点が異なる。曲がり光導波路50−1〜50−nとMMI型光合流器60とは図4に示すスポットサイズ変換器10と同様の断面構造を有している。MMI型光合流器60は多モード干渉を発生させるようにそのメサ幅が設定されている。
【0078】
この集積型半導体レーザ素子200も、実施の形態1に係る製造方法に従い、アクティブ領域S6、S8にはドライエッチングとウェットエッチングとを行い、パッシブ領域S7にはドライエッチングのみを行うことによって、形成されるアクティブ素子の信頼性が高くなり、かつパッシブ素子である曲がり光導波路50−1〜50−nとMMI型光合流器60との特性の低下が抑制される。たとえば、曲がり光導波路50−1〜50−nの場合は曲げ損失の増大が抑制される。MMI型光合流器60の場合はその結合損失の増大および波長特性の劣化が抑制される。
【0079】
ここで、曲がり光導波路において発生する曲げ損失と、光導波路の断面構造との関係について説明する。曲がり光導波路は、ウェットエッチ等によるサイドエッチによって導波路の断面構造が台形状になると曲げ損失が増大する。特に、コア層の厚さに対するサイドエッチ深さの比が167%より大きくなると、曲げ損失が急激に増大する。
【0080】
たとえば、実施の形態1に従って製造されるパッシブコア層の断面が矩形である曲がり光導波路と、従来の製造方法に従って製造される、サイドエッチによってパッシブコア層の断面が台形になった曲がり光導波路との曲げ損失を比較する。ここで、パッシブコア層はバンドギャップ波長が1.3μmのInGaAsP材料からなり、パッシブコア層の周囲はInPからなるクラッド層および埋め込み半導体層で取り囲まれているとする。矩形のパッシブコア層の厚さは0.3μm、幅は2.0μmとする。台形のパッシブコア層の厚さは0.3μm、下底の幅は2.0μm、上底の幅は1.5μmとする。
【0081】
図18は、実施の形態1と従来の製造方法とによる曲げ光導波路の曲げ半径と曲げ損失との関係を示す図である。なお、曲げ損失の単位である(dB/turn)は、所定の曲げ半径で導波路を360°屈曲させた場合を1ターンとした場合の、1ターンあたりの曲げ損失を意味する。
【0082】
図18に示すように、実施の形態1に従って製造される曲がり導波路は、従来の製造方法によるものよりも曲げ損失が小さくなる。この理由は、従来の製造方法の場合はパッシブコア層の断面が台形になるため、曲げ損失が増加しているものと考えられる。
【0083】
なお、実施の形態1では、アクティブ素子の活性コア層については、ウェットエッチングによってメサ構造が台形となる。しかしながら、アクティブ素子の光導波路が直線状であり、かつ活性コア層の厚さに対するサイドエッチ深さの比が167%以上、467%以下であればその特性の低下は殆ど問題ないものとなる。
【0084】
また、上記実施の形態に係る光増幅装置は、1.55μm帯用にその化合物半導体や電極等の材料、サイズ等が設定されている。しかしながら、各材料やサイズ等は、光通信波長帯域内の増幅すべき光の波長に応じて適宜設定でき、特に限定はされない。
【0085】
また、上記実施の形態では、光導波路は埋め込み型のメサ構造であるが、ハイメサ構造としてもよい。ハイメサ構造とは、メサ構造を半導体層、またはコア層の屈折率に近い屈折率を有する材料で埋め込まないような構造を意味する。
【0086】
また、上記各実施形態の各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。たとえば、図17に示す集積型半導体レーザ素子を製造する場合にエッチストップ層を形成してもよい。その他、上記実施の形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例及び運用技術等は全て本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0087】
10、10A、30 スポットサイズ変換器
11、31 光入出力端
20、20A、70 半導体光増幅器
40 半導体レーザ
50 曲がり光導波路
60 MMI型光合流器
80 半導体光変調器
100、100A 集積型半導体光増幅素子
101 n側電極
102 基板
103 下部クラッド層
104 活性コア層
104a MQW層
104b、104c SCH層
105、107、115 上部クラッド層
106 埋め込み半導体層
106a 下部電流阻止半導体層
106b 上部電流阻止半導体層
108 コンタクト層
109 p側電極
114 パッシブコア層
120 エッチストップ層
M1、M2、M3 メサ構造
M10、M21、M22、M23、M30 マスク
M21a、M22a、M23a 開口部
M21b、M22b、M23b、M21c、M22c、M23c 被覆部
S1、S3、S7 パッシブ領域
S2、S6、S8 アクティブ領域
S4、S5 領域
T1、T2 トレンチ溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクティブ素子とパッシブ素子とを集積した光集積素子の製造方法であって、
基板上に、活性コア層を含む半導体積層構造で形成された、前記アクティブ素子を形成するためのアクティブ領域と、パッシブコア層を含む半導体積層構造で形成された、前記パッシブ素子を形成するためのパッシブ領域とを形成し、
前記アクティブ領域と前記パッシブ領域とに被覆部と開口部とを有する第1エッチングマスクを形成し、
前記アクティブ領域および前記パッシブ領域において前記開口部からドライエッチングを行い、前記アクティブ領域に前記アクティブ素子のアクティブメサ構造を形成するとともに前記パッシブ領域に前記パッシブ素子のパッシブメサ構造を形成し、
前記パッシブ領域に第2エッチングマスクを形成し、
前記パッシブメサ構造を前記第2エッチングマスクにて保護しながら前記アクティブメサ構造をウェットエッチングする、
ことを含むことを特徴とする光集積素子の製造方法。
【請求項2】
前記パッシブ領域における前記ドライエッチングのエッチング深さと、前記アクティブ領域における前記ドライエッチングのエッチング深さとに差が形成されるように前記ドライエッチングを行い、前記ウェットエッチングのエッチング深さがほぼ前記差になるように前記ウェットエッチングを行うことを特徴とする請求項1に記載の光集積素子の製造方法。
【請求項3】
前記アクティブ領域における前記第1エッチングマスクの第1被覆率よりも前記パッシブ領域における前記第1エッチングマスクの第2被覆率を大きくすることによって前記エッチング深さの差を形成することを特徴とする請求項2に記載の光集積素子の製造方法。
【請求項4】
前記第1被覆率が0%〜20%であり、前記第2被覆率が70%〜100%であることを特徴とする請求項3に記載の光集積素子の製造方法。
【請求項5】
前記基板と前記活性コア層および前記パッシブコア層との間にエッチストップ層を形成することを特徴とする請求項1に記載の光集積素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−235069(P2012−235069A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104581(P2011−104581)
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】