説明

免疫抑制化合物および組成物

本発明は、免疫抑制剤、その製造法、それらの使用およびそれらを含む医薬組成物に関する。本発明は、リンパ球相互作用が介在する疾患または障害、特にEDG受容体介在シグナル伝達が関与する疾患の処置または予防に有用な新規クラスの化合物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は35 U.S.C.§119(e)の下に2004年2月24日出願の米国仮特許出願番号60/547,757の優先権の利益を主張する。本優先権出願の開示は、引用により、その全体として、かつ全ての目的に関して、本出願に包含される。
【0002】
背景技術
発明の分野
本発明は、リンパ球相互作用が介在する疾患または障害、特にEDG受容体介在シグナル伝達が関連する疾患の処置または予防に有用な新規クラスの免疫抑制化合物を提供する。
【0003】
背景
EDG受容体は、密接に関係した脂質活性化G−タンパク質共役受容体のファミリーに属する。EDG−1、EDG−3、EDG−5、EDG−6、およびEDG−8(各々の別名S1P1、S1P3、S1P2、S1P4、およびS1P5)は、スフィンゴシン−1−ホスフェート(S1P)に特異的な受容体として同定されている。EDG2、EDG4、およびEDG7(各々の別名LPA1、LPA2、およびLPA3)は、リゾホスファチジン酸(LPA)に特異的な受容体である。S1P受容体アイソタイプの中で、EDG−1、EDG−3およびEDG−5は種々の組織で広範に発現され、一方EDG−6の発現は主としてリンパ組織および血小板で確認され、EDG−8は中枢神経系である。EDG受容体は、シグナル伝達を担い、細胞発達、増殖、維持、移動、分化、可塑性およびアポトーシスを含む細胞過程に重要な役割を有すると考えられている。あるEDG受容体は、リンパ球相互作用が介在する疾患、例えば、移植拒絶反応、自己免疫疾患、炎症疾患、感染症および癌と関連する。EDG受容体活性の変更は、これらの疾患の病状および/または総合的症状(pathology and/or symptomology)に関与する。従って、それ自体EDG受容体の活性を変える分子は、このような疾患の処置の治療剤として有用である。
【0004】
発明の概要
本発明は、式I:
【化1】

〔式中、
nは0、1および2から選択され;mは1、2および3から選択され;
はC6−10アリールおよびC5−10ヘテロアリールから選択されここで、Rの任意のアリールまたはヘテロアリールは所望によりC6−10アリールC0−4アルキル、C5−6ヘテロアリールC0−4アルキル、C3−8シクロアルキルC0−4アルキル、C3−8ヘテロシクロアルキルC0−4アルキルまたはC1−10アルキルから選択されるラジカルで置換されていてよく;ここで、Rの任意のアリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル基は所望によりハロ、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、ハロ−置換−C1−10アルキルおよびハロ−置換−C1−10アルコキシから選択される1個から5個のラジカルで置換されていてよく;そしてRの任意のアルキルは所望により−S−、−S(O)−、−S(O)−、−NR−および−O−から選択される原子または基で置換されたメチレンを有することができ;ここで、Rは水素およびC1−6アルキルから選択され;
、R、RおよびRは独立して水素、ハロ、ヒドロキシ、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、ハロ−置換−C1−10アルキルおよびハロ−置換−C1−10アルコキシから選択され;
Aは−XC(O)OR、−XOP(O)(OR)、−XP(O)(OR)、−XP(O)OR、−XS(O)OR、−XP(O)(R)ORおよび1H−テトラゾール−5−イルから選択され;ここで、Xは結合、C1−3アルキレンおよびC2−3アルケニレンから選択され、ここで、Rは水素およびC1−6アルキルから選択され;
BはCRであり;ここで、RおよびRは独立して水素、ヒドロキシ、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、ハロ−置換−C1−10アルキルおよびハロ−置換−C1−10アルコキシから選択され;
EはCRまたはNから選択され;ここで、Rは水素、ヒドロキシ、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、ハロ−置換−C1−10アルキルおよびハロ−置換−C1−10アルコキシから選択されるか;またはBはCRであり、そしてEは炭素であり、そしてBおよびEは二重結合を介して連結しており;
Xは結合または−XOX−、−XNR−、−XC(O)NR−、−XNRC(O)X−、−XS(O)X−、−XS(O)−、−XSX−、C4−6ヘテロアリーレンおよび−XON=C(R)X−から選択され;ここで、XおよびXは独立して結合、C1−3アルキレンおよびC2−3アルケニレンから選択され;Rは水素およびC1−6アルキルから選択され;そしてXの任意のヘテロアリーレンは所望によりハロおよびC1−6アルキルから選択される群のメンバーで置換されていてよく;
YはC6−10アリールおよびC5−10ヘテロアリールから選択され、ここで、Yの任意のアリールまたはヘテロアリールは所望によりハロ、ヒドロキシ、ニトロ、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、ハロ−置換C1−10アルキルおよびハロ−置換C1−10アルコキシから選択される1個から3個のラジカルで置換できる。〕
の化合物ならびに、そのN−オキシド誘導体、プロドラッグ誘導体、被保護誘導体、個々の異性体およびその異性体混合物;およびこのような化合物の薬学的に許容される塩および溶媒和物(例えば水和物)に関する。
【0005】
本発明の第二の局面は、式Iの化合物またはそのN−オキシド誘導体、個々の異性体または異性体混合物、またはその薬学的に許容される塩を、1個またはそれ以上の適当な賦形剤と共に含む医薬組成物である。
【0006】
本発明の第三の局面は、動物におけるEDG受容体介在シグナル伝達の変更が病状および/または総合的症状を予防、阻止または軽減できる疾患の処置法であって、治療的有効量の式Iの化合物またはそのN−オキシド誘導体、個々の異性体または異性体混合物;またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む方法である。
【0007】
本発明の第四の局面は、EDG受容体介在シグナル伝達の変更が病状および/または総合的症状に関与する疾患の処置用医薬の製造のための、式Iの化合物の使用である。
【0008】
本発明の第五の局面は、式Iの化合物およびそのN−オキシド誘導体、プロドラッグ誘導体、被保護誘導体、個々の異性体および異性体混合物;およびその薬学的に許容される塩の製造法である。
【0009】
好ましい態様の記載
本発明は、リンパ球相互作用が介在する疾患または障害の処置および/または予防に有用な化合物を提供する。また提供されるのは、このような疾患または障害の処置法である。
【0010】
定義
本明細書において、特記しない限り:
基としておよび他の基、例えばハロ−置換−アルキル、アルコキシ、アシル、アルキルチオ、アルキルスルホニルおよびアルキルスルフィニルの構成要素としての“アルキル”は、直鎖または分枝鎖であり得る。基および他の基の構造要素としての“アルケニル”は、1個またはそれ以上の炭素−炭素二重結合を含み、直鎖または分枝鎖であり得る。全ての二重結合はcis−またはtrans−立体配置であり得る。好ましいアルケニル基はビニルである。基ならびに他の基および化合物の構成要素としての“アルキニル”は、少なくとも1個のC≡C三重結合を有し、また1個またはそれ以上のC=C二重結合を含んでよく、かつ、可能である限り、直鎖または分枝鎖であり得る。好ましいアルキニル基はプロパルギルである。全てのシクロアルキル基は、単独でまたは他の基の構成要素として3個から8個の炭素原子、好ましくは3個から6個の炭素原子を含む。“アルキレン”および“アルケニレン”は各々“アルキル”および“アルケニル”基由来の2価基である。本明細書において、Rの全てのアルキル基は、所望により−S−、−S(O)−、−S(O)−、−NR−および−O−(ここで、Rは水素またはC1−6アルキルである)から選択される群のメンバーにより中断されていてよい。これらの基は−CH−O−CH−、−CH−S(O)−CH−、−(CH)−NR−CH−、−CH−O−(CH)−などを含む。
【0011】
“アリール”は、6個から10個の環炭素原子を含む単環式または縮合二環式芳香環集合体を意味する。例えば、C6−12アリールはフェニル、ビフェニルまたはナフチル、好ましくはフェニルであり得る。“アリーレン”はアリール基由来の2価基を意味する。例えば、本明細書で使用するアリーレンはフェニレン、ビフェニレン、ナフチレンなどであり得る。
【0012】
“ハロ”または“ハロゲン”はF、Cl、BrまたはI、好ましくはFまたはClを意味する。ハロ−置換アルキル基および化合物は部分的にハロゲン化または過ハロゲン化されており、複数ハロゲン化されているとき、該ハロゲン置換基は同一または異なり得る。好ましい過ハロゲン化アルキル基は例えばトリフルオロメチルである。
【0013】
“ヘテロアリール”は、特記されない限り、示される環炭素原子の1個またはそれ以上が、N、OまたはSから選択されるヘテロ原子部分で置換されており、各環が5個から6個の環原子を含む、本明細書において定義のアリールである。例えば、本明細書で使用するヘテロアリールはチオフェニル、ピリジニル、フラニル、イソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリルまたはベンゾ[1,3]ジオキソリル、好ましくはチオフェニル、フラニルまたはピリジニルを含む。“ヘテロアリーレン”は、環集合体が2価ラジカルを含む、本明細書において定義のヘテロアリールである。
【0014】
本発明で使用される、EDG−1選択的化合物(薬剤または調節剤)は、EDG−3ならびにEDG−5、EDG−6、およびEDG−8の1個またはそれ以上を超えて、EDG−1に選択的である特異性を有する。本明細書で使用する、他のEDG受容体(“非選択的受容体”)を超える1個のEDG受容体に対する選択性(“選択的受容体”)は、該化合物が、選択的EDG受容体(例えば、EDG−1)が介在する活性の誘導に、非選択的S1P−特異的EDG受容体を超えて高い効力を有することを意味する。GTP−γS結合アッセイ(下記実施例に記載の通り)で測定したとき、EDG−1選択的化合物は、典型的に選択的受容体(EDG−1)に対して、非選択的受容体(例えば、EDG−3、EDG−5、EDG−6、およびEDG−8の1個またはそれ以上)に対するEC50(最大応答の50%をもたらす有効濃度)よりも、少なくとも5、10、25、50、100、500、または1000倍低いEC50を有する。
【0015】
発明の詳細な記載
本発明は、リンパ球相互作用が介在する疾患または障害の処置または予防に有用な化合物を提供する。一つの態様において、式Iの化合物について、Rが所望によりC6−10アリールC0−4アルキル、C5−6ヘテロアリールC0−4アルキル、C3−8シクロアルキルC0−4アルキル、C3−8ヘテロシクロアルキルC0−4アルキルまたはC1−10アルキルで置換されていてよいフェニル、ナフチルおよびチオフェニルから選択され;ここで、Rの任意のアリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル基は所望によりハロ、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、ハロ−置換−C1−10アルキルおよびハロ−置換−C1−10アルコキシから選択される1個から5個のラジカルで置換されていてよく;そしてRの任意のアルキルは所望により−S−、−S(O)−、−S(O)−、−NR−および−O−から選択される原子または基で置換されたメチレンを有することができ;ここで、Rが水素またはC1−6アルキルである。
【0016】
他の態様において、Aが−XC(O)ORおよび1H−テトラゾール−5−イルから選択され;ここで、Xが結合、C1−3アルキレンおよびC2−3アルケニレンから選択され、そしてRが水素およびC1−6アルキルから選択される。
【0017】
さらなる態様において、Xが:
【化2】

(ここで、Xの左右のアスタリスクは式IのRおよびYの間の結合点を各々示し;Rは水素およびC1−6アルキルから選択され;vおよびwは独立して0、1、2または3である)
から選択される。
【0018】
他の態様において、Yが:
【化3】

(ここで、Rが水素またはC1−6アルキルであり;そしてYの左右のアスタリスクは式IのXおよびEの間の結合点を各々示す)
から選択される。
【0019】
さらなる態様において、Rが:
【化4】

(ここで、アスタリスクはRとXの結合点を示し;R10がC6−10アリールC0−4アルキル、C5−6ヘテロアリールC0−4アルキル、C3−8シクロアルキルC0−4アルキル、C3−8ヘテロシクロアルキルC0−4アルキルまたはC1−10アルキルであり;ここで、R10の任意のアリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル基は、所望によりハロ、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、ハロ−置換−C1−10アルキルおよびハロ−置換−C1−10アルコキシから選択される1個から3個のラジカルで置換でき;そしてR10の任意のアルキルは所望により−S−、−S(O)−、−S(O)−、−NR−および−O−から選択される原子または基で置換されたメチレンを有することができ;ここで、Rが水素またはC1−6アルキルであり;そしてR11がハロ、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、ハロ−置換−C1−10アルキルおよびハロ−置換−C1−10アルコキシから選択される)
から選択される。
【0020】
好ましいのは:3−{4−[6−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−ピリジン−3−イル]−ピペラジン−1−イル}−プロピオン酸;3−{4−[6−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−フェノキシメチル)−ピリジン−3−イル]−ピペラジン−1−イル}−プロピオン酸;3−{4−[6−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−ピリダジン−3−イル]−ピペラジン−1−イル}−プロピオン酸;3−{4−[2−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−ピリミジン−5−イル]−ピペラジン−1−イル}−プロピオン酸;3−{4−ヒドロキシ−4−[2−(2−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イル)−ベンゾ[b]チオフェン−5−イル]−ピペリジン−1−イル}−プロピオン酸;3−{4−[2−(2−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イル)−ベンゾ[b]チオフェン−5−イル]−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル}−プロピオン酸;3−(3−{4−[3−(2−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イル)−[1,2,4]オキサジアゾル−5−イル]−フェニル}−ピロリジン−1−イル)−プロピオン酸;3−(3−{3−[5−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−[1,3,4]オキサジアゾル−2−イル]−フェニル}−ピロリジン−1−イル)−プロピオン酸;3−(3−{3−[5−(2−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イル)−[1,3,4]オキサジアゾル−2−イル]−フェニル}−ピロリジン−1−イル)−プロピオン酸;3−(3−{4−[3−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−[1,2,4]オキサジアゾル−5−イル]−フェニル}−ピロリジン−1−イル)−プロピオン酸;3−(4−{4−[5−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−[1,3,4]オキサジアゾル−2−イル]−フェニル}−ピペリジン−1−イル)−プロピオン酸;3−(3−{4−[5−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−[1,3,4]オキサジアゾル−2−イル]−フェニル}−ピロリジン−1−イル)−プロピオン酸;3−(3−{4−[5−(2−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イル)−[1,3,4]オキサジアゾル−2−イル]−フェニル}−ピロリジン−1−イル)−プロピオン酸;3−(4−{4−[5−(2−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イル)−[1,3,4]オキサジアゾル−2−イル]−フェニル}−ピペリジン−1−イル)−プロピオン酸;3−(3−{4−[5−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−[1,3,4]オキサジアゾル−2−イル]−フェニル}−アゼチジン−1−イル)−プロピオン酸;3−(3−{4−[5−(2−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イル)−[1,3,4]オキサジアゾル−2−イル]−フェニル}−アゼチジン−1−イル)−プロピオン酸;3−(4−{4−[5−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−[1,3,4]オキサジアゾル−2−イル]−フェニル}−ピペリジン−1−イル)−プロピオン酸;3−{4−[6−(2−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ピリジン−3−イル]−ピペラジン−1−イル}−プロピオン酸;および3−{4−[4−(2−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルスルファニルメチル)−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−プロピオン酸から選択される化合物である。
【0021】
他の態様は、式Ia:
【化5】

〔式中、
EはNおよびCHから選択され;mおよびnは独立して0および1から選択され;vおよびwは独立して0および1から選択され;R10はシクロヘキシル、ピペリジニル、テトラヒドロ−チオピラン−4−イル、フェニル、フェノキシおよびフェニルスルファニルから選択され;ここで、R10の任意のシクロヘキシル、ピペリジニル、テトラヒドロ−チオピラン−4−イル、フェニル、フェノキシおよびフェニルスルファニルは所望によりメチルおよびイソプロピルから独立して選択される1個から3個のラジカルで置換でき;R11はメチル、トリフルオロメチルおよびエチルから選択され;そしてR12は水素、エチルおよびメトキシから選択される。〕
の化合物である。
【0022】
好ましいのは:3−{4−[4−(4−シクロヘキシル−3−メチル−フェノキシメチル)−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−プロピオン酸;3−{4−[4−(4−ピペリジン−1−イル−3−トリフルオロメチル−フェノキシメチル)−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−プロピオン酸;3−(4−{4−[3−メチル−4−(テトラヒドロ−チオピラン−4−イル)−フェノキシメチル]−フェニル}−ピペリジン−1−イル)−プロピオン酸;3−{4−[4−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−プロピオン酸;3−{4−[4−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−2−エチル−フェニル]−ピペラジン−1−イル}−プロピオン酸;3−{4−[4−(2−メチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−プロピオン酸;3−{4−[4−(2−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−プロピオン酸;3−{4−[4−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−フェノキシメチル)−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−プロピオン酸;3−{4−[4−(3'−メチル−2−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−プロピオン酸;3−{3−[4−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−フェノキシメチル)−フェニル]−ピロリジン−1−イル}−プロピオン酸;3−{4−[4−(4−シクロヘキシル−3−エチル−フェノキシメチル)−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−プロピオン酸;3−{3−[4−(2−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フェニル]−ピロリジン−1−イル}−プロピオン酸;3−(4−{4−[4−(3,6−ジヒドロ−2H−チオピラン−4−イル)−3−トリフルオロメチル−フェノキシメチル]−フェニル}−ピペリジン−1−イル)−プロピオン酸;3−{3−[4−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−フェニル]−アゼチジン−1−イル}−プロピオン酸;3−{3−[4−(2−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フェニル]−アゼチジン−1−イル}−プロピオン酸;3−{4−[2−エチル−4−(2−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−プロピオン酸;3−{3−[4−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−フェニル]−ピロリジン−1−イル}−プロピオン酸;3−{4−[4−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−2−エチル−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−プロピオン酸;3−{4−[4−(4'−メチル−2−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−プロピオン酸;3−{4−[4−(4−フェノキシ−3−トリフルオロメチル−フェノキシメチル)−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−プロピオン酸;3−{4−[4−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−フェノキシメチル)−2−メトキシ−フェニル]−ピペラジン−1−イル}−プロピオン酸;
【0023】
3−{4−[4−(2−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルメトキシ)−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−プロピオン酸;3−{3−[4−(2−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルメトキシ)−フェニル]−ピロリジン−1−イル}−プロピオン酸;3−{3−[4−(2−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルメトキシ)−フェニル]−アゼチジン−1−イル}−プロピオン酸;3−{4−[4−(4−イソブチル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−プロピオン酸;3−{4−[4−(4−フェニルスルファニル−3−トリフルオロメチル−フェノキシメチル)−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−プロピオン酸;1−(1H−テトラゾール−5−イルメチル)−4−[4−(2−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルメトキシ)−フェニル]−ピペリジン;1−[2−(1H−テトラゾール−5−イル)−エチル]−4−[4−(2−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルメトキシ)−フェニル]−ピペリジン;3−{4−[4−(2,4'−ジメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−プロピオン酸;3−{4−[4−(2,4'−ジメチル−ビフェニル−4−イルメトキシ)−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−プロピオン酸;3−{4−[4−(2−エチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−プロピオン酸;3−{4−[4−(2−エチル−3'−メチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−プロピオン酸;(2−{4−[4−(2−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−エチル)−ホスホン酸;2−{4−[4−(2−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−エタンスルホン酸;およびリン酸モノ−(2−{4−[4−(2−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−エチル)エステルから選択される化合物である。
【0024】
さらに好ましい化合物は、下記および表1に示す。
【0025】
本発明は、保護された形で存在するヒドロキシルまたはアミン基を有する化合物の形態を提供する;これらはプロドラッグとして機能する。プロドラッグは、投与後に1個またはそれ以上の化学的または生化学的変換を介して、活性剤形態に変換する化合物である。生理学的条件下で請求の化合物に容易に変換する本発明の化合物の形態は、請求の化合物のプロドラッグであり、本発明の範囲内である。プロドラッグの例は、ヒドロキシル基がアシル化され、酢酸エステルのような相対的に不安定なエステルを形成している形態、およびアミン基が、グリシンもしくはセリンのようなL−アミノ酸のカルボン酸基でアシル化され、一般的代謝酵素での加水分解に特に感受性のアミド結合を形成している形態を含む。
【0026】
式Iの化合物は、遊離形または塩形、例えば無機または有機酸の付加塩で存在できる。ヒドロキシル基が存在するとき、これらの基はまた塩形、例えばアンモニウム塩またはリチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、亜鉛もしくはマグネシウムのような金属との塩、またはこれらの混合物で存在できる。水和物または溶媒和物形の式Iの化合物およびそれらの塩も本発明の一部である。
【0027】
式Iの化合物が分子中に不斉中心を有するとき、様々な光学異性体が得られる。本発明はまたエナンチオマー、ラセミ体、ジアステレオ異性体およびそれらの混合物も包含する。さらに、式Iの化合物が幾何異性体を有するとき、本発明はcis−化合物、trans−化合物およびそれらの混合物を含む。同様の解釈が、上記の通りの不斉炭素原子または不飽和結合を有する出発物質に関して適用される。
【0028】
免疫調節状態のための方法および医薬組成物
遊離形または薬学的に許容される塩形の式Iの化合物は、価値ある薬理学的特性、例えば、実施例56のインビトロおよびインビボ試験で示される通りの、例えばリンパ球再循環調節特性を示し、故に治療に適応される。式Iの化合物は、好ましくは1×10−11から1×10−5Mの範囲、好ましくは50nM未満のEC50を有する。本化合物は、1個またはそれ以上のEDG/S1P受容体、好ましくはEDG−1/S1P−1に選択性を有する。本発明のEDG−1/S1P−1選択的調節剤は、化合物のEDG−1/S1P−1へのおよび他のEDG/S1P受容体(例えば、EDG−3/S1P−3、EDG−5/S1P−2、EDG−6/S1P−4、およびEDG−8/S1P−5)の1個またはそれ以上への結合のアッセイにより同定できる。EDG−1/S1P−1選択的調節剤は、通常、EDG−1/S1P−1受容体に対して1×10−11から1×10−5M、好ましくは50nM未満、より好ましくは5nM未満のEC50を有する。それはまた、EDG−1/S1P−1に対するEC50よりも少なくとも5、10、25、50、100、500、または1000倍高い、他のEDG/S1P受容体の1個またはそれ以上に対するEC50を有する。故に、EDG−1/S1P−1調節性化合物のいくつかは、5nM未満のEDG−1/S1P−1に対するEC50を有し、一方他のEDG/S1P受容体の1個またはそれ以上に対するEC50は、少なくとも100nMまたはそれより高い。EDG/S1P受容体の結合活性をアッセイする以外に、EDG−1/S1P−1選択的薬剤はまたEDG/S1P受容体が介在する細胞過程または活性を修飾する試験薬剤の能力の試験により同定できる。
【0029】
式Iの化合物は、従って、リンパ球相互作用が介在する疾患または障害、例えば、細胞、組織または臓器の同種−もしくは異種移植片の急性または慢性拒絶反応または移植片機能の遅延、移植片対宿主疾患のような移植において、自己免疫疾患、例えばリウマチ性関節炎、全身性エリテマトーデス、橋本甲状腺炎、多発性硬化症、重症筋無力症、I型またはII型糖尿病およびその合併症、脈管炎、悪性貧血、シェーグレン症候群、ブドウ膜炎、乾癬、グレーブス眼症、円形脱毛症およびその他、アレルギー疾患、例えばアレルギー性喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎/結膜炎、アレルギー性接触性皮膚炎、所望により根底に異常反応が伴っていてもよい炎症疾患、例えば炎症性腸疾患、クローン病または潰瘍性大腸炎、内因性喘息、炎症性肺損傷、炎症性肝臓損傷、炎症性糸球体損傷、アテローム性動脈硬化症、骨関節症、刺激性接触性皮膚炎およびさらなる湿疹性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、免疫学介在疾患の皮膚症状、炎症性眼疾患、角結膜炎、心筋炎または肝炎、虚血/再潅流傷害、例えば心筋梗塞、卒中、腸虚血、腎不全または出血性ショック、外傷性ショック、T細胞リンパ腫またはT細胞白血病、感染症、例えば毒素ショック(例えば超抗原誘発)、敗血症性ショック、成人呼吸窮迫症候群またはウイルス感染、例えばAIDS、ウイルス性肝炎、慢性細菌感染、または老人性認知症の処置および/または予防に有用である。細胞、組織または固形臓器移植の例は、例えば膵臓島、幹細胞、骨髄、角膜組織、神経組織、心臓、肺、複合心臓−肺、腎臓、肝臓、腸、膵臓、気管または食道を含む。上記使用のために、必要な投与量はもちろん投与の形態、処置すべき特定の状態および望む効果に依存して変化するであろう。
【0030】
さらに、式Iの化合物は癌化学療法に、特に固形腫瘍、例えば乳癌の癌化学療法のために、または抗血管形成剤として有用である。
【0031】
必要な投与量は、もちろん、投与の形態、処置すべき特定の状態および望む効果に依存して変化するであろう。一般に、十分な結果が、約0.03から2.5mg/体重kgの1日投与量で、全身的に得られることが示される。大型哺乳類、例えばヒトへの指示される1日投与量は、約0.5mgから約100mgの範囲であり、簡便には、例えば、1日4回までの分割用量でまたは徐放形態で投与する。経口投与用の適当な単位投与形態は、約1から50mgの活性成分を含む。
【0032】
式Iの化合物は任意の慣用の経路で、特に経腸的に、例えば、経口で、例えば錠剤またはカプセルの形で、または非経腸的に、例えば、注射用溶液または懸濁液の形で、局所的に、例えばローション、ゲル、軟膏またはクリームの形で、または経鼻または坐薬形で投与できる。遊離形または薬学的に許容される塩形の式Iの化合物を、少なくとも1個の医薬的に許容される担体または希釈剤と共に含む医薬組成物は、薬学的に許容される担体または希釈剤との混合による、慣用法で製造できる。
【0033】
式Iの化合物は、例えば上に示す通り、遊離形または薬学的に許容される塩形で投与できる。このような塩は慣用法で製造でき、遊離化合物と同程度の活性を示す。
【0034】
前記によって本発明はさらに下記を提供する:
1.1 処置を必要とする対象における、例えば上記のような、リンパ球が介在する障害または疾患を予防または処置する方法であって、該対象に有効量の式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法;
【0035】
1.2 処置を必要とする対象における、例えば上記のような、急性または慢性移植拒絶反応またはT細胞介在炎症または自己免疫疾患を予防または処置する方法であって、該対象に有効量の式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法;
【0036】
1.3 処置を必要とする対象における、調節解除された血管形成、例えばスフィンゴシン−1−ホスフェート(S1P)介在血管形成を阻害または制御する方法であって、該対象に治療的有効量の式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法。
【0037】
1.4 処置を必要とする対象における、新血管形成工程が介在するまたは調節解除された血管形成と関連する疾患を予防または処置する方法であって、該対象に治療的有効量の式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法。
【0038】
2. 例えば、上記1.1から1.4の下に示された方法のいずれかにおいて医薬として使用するための、遊離形または薬学的に許容される塩形の、式Iの化合物。
【0039】
3. 遊離形または薬学的に許容される塩形の式Iの化合物を薬学的に許容される希釈剤または担体と共に含む、例えば、上記1.1から1.4の下に示された方法のいずれかにおいて使用するための、医薬組成物。
【0040】
4. 上記1.1から1.4の下に示された方法のいずれかにおいて使用するための医薬組成物の製造において使用するための、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩。
【0041】
式Iの化合物は唯一の活性成分として、または、例えばアジュバントとして、他の薬剤、例えば同種−または異種移植片急性または慢性拒絶反応または炎症障害または自己免疫障害の治療のために、例えば免疫抑制剤または免疫調節剤または他の抗炎症剤と、または化学療法剤、例えば悪性細胞抗増殖性剤と組み合わせて投与し得る。例えば、式Iの化合物はカルシニューリン阻害剤、例えばシクロスポリンAまたはFK506;mTOR阻害剤、例えばラパマイシン、40−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシン、CCI779、ABT578またはAP23573;免疫抑制性を有するアスコマイシン、例えばABT−281、ASM981など;コルチコステロイド;シクロホスファミド;アザチオプレン;メトトレキサート;レフルノミド;ミゾルビン;ミコフェノール酸;ミコフェノール酸モフェチル;15−デオキシスペルグアリンまたはその免疫抑制性相同体、同族体もしくは誘導体;免疫抑制性モノクローナル抗体、例えば白血球受容体、例えばMHC、CD2、CD3、CD4、CD7、CD8、CD25、CD28、CD40、CD45、CD58、CD80、CD86またはそれらのリガンドに対するモノクローナル抗体;他の免疫調節性化合物、例えば、CTLA4の細胞外ドメインの少なくとも一部またはその変異体を有する、例えば非CTLA4タンパク質配列と結合した、CTLA4の細胞外ドメインの少なくとも一部またはその変異体を有する、組み換え結合分子、例えばCTLA4Ig(例えばATCC68629と命名)またはその変異体、例えばLEA29Y;接着分子阻害剤、例えばLFA−1アンタゴニスト、ICAM−1または−3アンタゴニスト、VCAM−4アンタゴニストまたはVLA−4アンタゴニスト;または化学療法剤と組み合わせて使用できる。
【0042】
“化学療法剤”なる用語は、下記を含むが、それらに限定されない全ての化学療法剤を意味する、
i. アロマターゼ阻害剤、
ii. 抗エストロゲン、抗アンドロゲン(とりわけ前立腺癌の場合)またはゴナドレリンアゴニスト、
iii. トポイソメラーゼI阻害剤またはトポイソメラーゼII阻害剤、
iv. 微小管活性剤、アルキル化剤、抗新生物代謝拮抗剤または白金化合物、
v. タンパク質または脂質キナーゼ活性またはタンパク質または脂質ホスファターゼ活性を標的/減少する化合物、さらなる抗血管形成化合物または細胞分化過程を誘発する化合物、
vi. ブラジキニン1受容体またはアンギオテンシンIIアンタゴニスト、
vii. シクロオキシゲナーゼ阻害剤、ビスホスホネート、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、ヘパラナーゼ阻害剤(ヘパランスルホネート分解を予防)、例えばPI−88、生物学的応答修飾剤、好ましくはリンホカインまたはインターフェロン、例えばインターフェロンγ、ユビキチン化阻害剤、または抗アポトーシス経路を遮断する阻害剤、
viii. Ras発癌性アイソフォーム、例えばH−Ras、K−RasまたはN−Rasの阻害剤、またはファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、例えばL−744,832またはDK8G557、
ix. テロメラーゼ阻害剤、例えばテロメスタチン、
x. プロテアーゼ阻害剤、マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤、メチオニンアミノペプチダーゼ阻害剤、例えばベンガミドまたはその誘導体、またはプロテオソーム阻害剤、例えばPS−341、および/または
xi. mTOR阻害剤。
【0043】
本明細書で使用する用語“アロマターゼ阻害剤”は、エストロゲン産生を阻害する、すなわち基質アンドロステンジオンおよびテストステロンから各々エストロンおよびエストラジオールへの変換を阻害する化合物を意味する。本用語は、ステロイド、とりわけアタメスタン、エキセメスタンおよびフォルメスタンおよび、特に、非ステロイド、とりわけアミノグルテチミド、ログレチミド、ピリドグルテチミド、トリロスタン、テストラクトン、ケトコナゾール、ボロゾール、ファドロゾール、アナストロゾールおよびレトロゾールを含むがこれらに限定されない。アロマターゼ阻害剤である化学療法剤を含む本発明の組み合わせは、特にホルモン受容体陽性腫瘍、例えば、乳房腫瘍の処置に有用である。
【0044】
本明細書で使用する用語“抗エストロゲン”は、エストロゲンの作用とエストロゲン受容体レベルで拮抗する化合物に関する。本用語は、タモキシフェン、フルベストラント、ラロキシフェンおよびラロキシフェンヒドロクロライドを含むがこれらに限定されない。抗エストロゲンである化学療法剤を含む本発明の組み合わせは、特にエストロゲン受容体陽性腫瘍、例えば乳房腫瘍の処置に有用である。
【0045】
本明細書で使用する用語“抗アンドロゲン”は、男性ホルモンを阻害できる全ての物質に関し、ビカルタミドを含むが、これに限定されない。
【0046】
本明細書で使用する用語“ゴナドレリンアゴニスト”は、アバレリクス、ゴセレリンおよびゴセレリンアセテートを含むが、これらに限定されない。
【0047】
本明細書で使用する用語“トポイソメラーゼI阻害剤”は、トポテカン、イリノテカン、9−ニトロカンプトテシンおよび巨大分子カンプトテシンコンジュゲートPNU−166148(WO99/17804の化合物A1)を含むが、これらに限定されない。
【0048】
本明細書で使用する用語“トポイソメラーゼII阻害剤”は、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシンおよびネモルビシンのようなアントラサイクリン類、アントラキノン類ミトキサントロンおよびロソキサントロン、およびポドフィロトキシン類エトポシドおよびテニポシドを含むが、これらに限定されない。
【0049】
用語“微小管活性剤”は微小管安定化および微小管脱安定化剤に関し、タキサン類、例えばパクリタキセルおよびドセタキセル、ビンカアルカロイド、例えば、ビンブラスチン、とりわけビンブラスチンスルフェート、ビンクリスチン、とりわけビンクリスチンスルフェート、およびビノレルビン、ディスコデルモライドならびにエポチロンおよびその誘導体、例えばエポチロンBまたはその誘導体を含むが、これらに限定されない。
【0050】
本明細書で使用する用語“アルキル化剤”は、ブスルファン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イフォスファミド、メルファランまたはニトロソウレア(BCNUまたはGliadelTM)を含むが、これらに限定されない。
【0051】
用語“抗新生物代謝拮抗剤”は、5−フルオロウラシル、カペシタビン、ゲムシタビン、シタラビン、フルダラビン、チオグアニン、メトトレキサートおよびエダトレキサートを含むが、これらに限定されない。
【0052】
本明細書で使用する用語“白金化合物”は、カルボプラチン、シスプラチンおよびオキサリプラチンを含むが、これらに限定されない。
【0053】
本明細書で使用する用語“タンパク質または脂質キナーゼ活性を標的/減少する化合物またはさらなる抗血管形成化合物”は、タンパク質チロシンキナーゼおよび/またはセリンおよび/またはスレオニンキナーゼ阻害剤または脂質キナーゼ阻害剤、例えば受容体チロシンキナーゼの上皮細胞増殖因子ファミリー(ホモ−またはヘテロダイマーとしてEGFR、ErbB2、ErbB3、ErbB4)、受容体チロシンキナーゼ(VEGFR)の血管内皮細胞増殖因子ファミリー、血小板由来増殖因子−受容体(PDGFR)、繊維芽細胞増殖因子−受容体(FGFR)、インシュリン様増殖因子受容体1(IGF−1R)、Trk受容体チロシンキナーゼファミリー、Axl受容体チロシンキナーゼファミリー、Ret受容体チロシンキナーゼ、Kit/SCFR受容体チロシンキナーゼ、c−Ablファミリーのメンバーおよびそれらの遺伝子融合産物(例えばBCR−Abl)、セリン/スレオニンキナーゼのタンパク質キナーゼC(PKC)およびRafファミリーのメンバー、MEK、SRC、JAK、FAK、PDKまたはPI(3)キナーゼファミリーのメンバー、またはPI(3)−キナーゼ−関連キナーゼファミリーのメンバー、および/またはサイクリン依存性キナーゼファミリー(CDK)のメンバーの活性を標的、減少または阻害する化合物およびそれらの活性に関して、例えばタンパク質または脂質キナーゼ阻害と無関係の、他の機構を有する抗血管形成化合物を含むが、これらに限定されない。
【0054】
VEGFRの活性を標的、減少または阻害する化合物は、とりわけVEGF受容体チロシンキナーゼを阻害する、VEGF受容体を阻害する、またはVEGFと結合する化合物、タンパク質または抗体であり、特にWO98/35958(例えば1−(4−クロロアニリノ)−4−(4−ピリジルメチル)フタラジンまたはその薬学的に許容される塩、例えばコハク酸塩)、WO00/27820(例えばN−アリール(チオ)アントラニル酸アミド誘導体、例えば2−[(4−ピリジル)メチル]アミノ−N−[3−メトキシ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズアミドまたは2−[(1−オキシド−4−ピリジル)メチル]アミノ−N−[3−トリフルオロメチルフェニル]ベンズアミド)、またはWO00/09495、WO00/59509、WO98/11223、WO00/27819およびEP0769947に一般的におよび具体的に記載の化合物、タンパク質またはモノクローナル抗体;M. Prewett et al in Cancer Research 59(1999)5209-5218、F. Yuan et al in Proc. Natl. Acad. Sci. USA, vol. 93, pp. 14765-14770, Dec. 1996、Z. Zhu et al in Cancer Res. 58, 1998, 3209-3214、およびJ. Mordenti et al in Toxicologic Pathology, Vol. 27, no. 1, pp 14-21, 1999に;WO00/37502およびWO94/10202に一般的におよび具体的に記載の化合物、タンパク質またはモノクローナル抗体;M. S. O'Reilly et al, Cell 79, 1994, 315-328により記載のAngiostatinTM;M. S. O'Reilly et al, Cell 88, 1997, 277-285により記載のEndostatinTM;アントラニル酸アミド;ZD4190;ZD6474;SU5416;SU6668;または抗VEGF抗体または抗VEGF受容体抗体、例えばRhuMabである。
【0055】
抗体は、完全なモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2個の完全な抗体から形成された多特異的抗体、および所望の生物学的活性を示す限り、抗体フラグメントを意味する。
【0056】
上皮細胞増殖因子受容体ファミリーの活性を標的、減少または阻害する化合物は、とりわけEGF受容体チロシンキナーゼファミリー、例えばEGF受容体、ErbB2、ErbB3およびErbB4を阻害するまたは、EGFまたはEGF関連リガンドと結合する、またはErbBおよびVEGF受容体キナーゼに対して二機能性の阻害作用を有する化合物、タンパク質または抗体であり、特にWO97/02266(例えば実施例39の化合物)、またはEP0564409、WO99/03854、EP0520722、EP0566226、EP0787722、EP0837063、US5,747,498、WO98/10767、WO97/30034、WO97/49688、WO97/38983および、とりわけ、WO96/30347(例えばCP358774として既知の化合物)、WO96/33980(例えば化合物ZD1839)およびWO95/03283(例えば化合物ZM105180)またはPCT/EP02/08780に一般的におよび具体的に記載の化合物、タンパク質またはモノクローナル抗体;例えばトラスツマブ(Herpetin)、セツキシマブ、Iressa、OSI−774、CI−1033、EKB−569、GW−2016、E1.1、E2.4、E2.5、E6.2、E6.4、E2.11、E6.3またはE7.6.3である。
【0057】
PDGFRの活性を標的、減少または阻害する化合物は、とりわけPDGF受容体を阻害する化合物、例えばN−フェニル−2−ピリミジン−アミン誘導体、例えばイマチニブである。
【0058】
c−AbIファミリーメンバーおよびそれらの遺伝子産物の活性を標的、減少または阻害する化合物は、例えばN−フェニル−2−ピリミジン−アミン誘導体、例えばイマチニブ;PD180970;AG957;またはNSC680410である。
【0059】
タンパク質キナーゼC、Raf、MEK、SRC、JAK、FAKおよびPDKファミリーメンバー、またはPI(3)キナーゼまたはPI(3)キナーゼ関連ファミリーメンバー、および/またはサイクリン依存性キナーゼファミリー(CDK)のメンバーの活性を標的、減少または阻害する化合物は、とりわけEP0296110に記載のスタウロスポリン誘導体、例えばミドスタウリンである;さらなる化合物の例は、例えばUCN−01、サフィンゴル、BAY43−9006、Bryostatin 1、Perifosine;Ilmofosine;RO318220およびRO320432;GO6976;Isis3521;またはLY333531/LY379196を含む。
【0060】
さらなる抗血管形成化合物は、例えばサリドマイド(THALOMID)およびTNP−470である。
【0061】
タンパク質または脂質ホスファターゼの活性を標的、減少または阻害する化合物は、例えばホスファターゼ1、ホスファターゼ2A、PTENまたはCDC25の阻害剤、例えばオカダ酸またはその誘導体である。
【0062】
細胞分化工程を誘導する化合物は、例えばレチノイン酸、α−、γ−またはδ−トコフェロールまたはα−、γ−またはδ−トコトリエノールである。
【0063】
本明細書で使用する用語シクロオキシゲナーゼ阻害剤は、例えばセレコキシブ(Celebrex)、ロフェコキシブ(Vioxx)、エトリコキシブ、バルデコキシブまたは5−アルキル−2−アリールアミノフェニル酢酸、例えば5−メチル−2−(2'−クロロ−6'−フルオロアニリノ)フェニル酢酸を含むが、これらに限定されない。
【0064】
本明細書で使用する用語“ヒストンデアセチラーゼ阻害剤”は、MS−27−275、SAHA、ピロキサミド、FR−901228またはバルプロ酸を含むが、これらに限定されない。
【0065】
本明細書で使用する用語“ビスホスホネート”は、エチドロン酸、クロドロン酸、チルドロン酸、パミドロン酸、アレンドロン酸、イバドロン酸、リセドロン酸およびゾレドロン酸を含むが、これらに限定されない。
【0066】
本明細書で使用する用語“マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤”は、コラーゲンペプチド模倣性および非ペプチド模倣性阻害剤、テトラサイクリン誘導体、例えばヒドロキサメートペプチド模倣性阻害剤バチマスタットおよびその経口生体利用可能同族体マリマスタット、プリノマスタット、BMS−279251、BAY12−9566、TAA211またはAAJ996を含むが、これらに限定されない。
【0067】
本明細書で使用する用語“mTOR阻害剤”は、ラパマイシン(シロリムス)またはその誘導体、例えば32−デオキソラパマイシン、16−ペント−2−イニルオキシ−32−デオキソラパマイシン、16−ペント−2−イニルオキシ−32(S)−ジヒドロ−ラパマイシン、16−ペント−2−イニルオキシ−32(S)−ジヒドロ−40−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシンおよび、より好ましくは、40−0−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシンを含むが、これらに限定されない。ラパマイシン誘導体のさらなる例は、例えばUSP5,362,718に記載のCCI779または40−[3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロパノエート]−ラパマイシンまたはその薬学的に許容される塩、例えばWO99/15530に記載のABT578または40−(テトラゾリル)−ラパマイシン、特に40−エピ−(テトラゾリル)−ラパマイシン、または例えばWO98/02441およびWO01/14387に記載のラパログ、例えばAP23573を含む。
【0068】
式Iの化合物を他の免疫抑制性/免疫調節性、抗炎症性または化学療法的治療と組み合わせて投与するとき、併用する免疫抑制性、免疫調節性、抗炎症性または化学療法的化合物の用量は、用いる併用剤のタイプ、例えばそれがステロイドであるかまたはカルシニューリン阻害剤であるか、用いる具体的化合物、処置すべき状態などに依存してもちろん変化するであろう。
【0069】
前記によって、本発明はさらに別の局面において下記を提供する:
5. 治療的有効、非毒性量の式Iの化合物および少なくとも第二医薬物質、例えば、上記の通りの、例えば免疫抑制性、免疫調節性、抗炎症性または化学療法的薬剤を、例えば、同時にまたは連続して併用投与することを含む、上記で定義の方法。
【0070】
6. a)ここに記載の遊離形または薬学的に許容される塩形の式Iの化合物である第一剤、およびb)少なくとも1個の併用剤、例えば、上記の通りの、例えば免疫抑制性、免疫調節性、抗炎症性または化学療法的薬剤を含む、医薬的組み合わせ、例えばキット。該キットはその投与の指示書を含んでいてよい。
【0071】
本明細書で使用する用語“併用投与”または“組み合わせ投与”などは、選択した治療剤を単独の神座に投与することを包含することを意味し、薬剤を必ずしも同じ投与経路でまたは同時に投与するものではない処置レジメンを含むことを意図する。
【0072】
本明細書で使用する用語“医薬的組み合わせ”は、1個を超える活性成分の混合に由来する製品を意味し、活性成分の固定されたおよび固定されていない組み合わせの両方を含む。用語“固定された組み合わせ”は、活性成分、例えば式Iの化合物および併用剤を、患者に両方とも同時に1個の物または投薬の形で投与することを意味する。用語“固定されていない組み合わせ”は、活性成分、例えば式Iの化合物および併用剤を、患者に別々の物として、同時に、一緒にまたは特定の時間制限なしに連続的に投与することを意味し、ここで、このような投与が患者体内で2個の化合物の治療的有効レベルを提供する。後者はまたカクテル療法、例えば、3個以上の活性成分の投与にも適用される。
【0073】
本発明の化合物の製造法
本発明はまた本発明の免疫調節性化合物の製造法を含む。記載の反応において、反応性官能基、例えばヒドロキシ、アミノ、イミノ、チオまたはカルボキシ基を、これらが最終生成物において望まれるとき、それらの反応への望ましくない関与を避けるために、保護する必要性があるかもしれない。慣用の保護基を、標準的慣例に従い使用でき、例えば、T.W. Greene and P. G. M. Wuts in “Protective Groups in Organic Chemistry”, John Wiley and Sons, 1991を参照のこと。
【0074】
Aが2−カルボキシ−エチルである式Iの化合物は下記反応スキームにおける通り進行して製造できる:
【化6】

(式中、B、E、X、Y、R、R、R、RおよびRは、上記で式Iについて定義の通りである)。式Iの化合物は、連続的に、式2の化合物を適当な酸(例えばTFAなど)で処理し、t−ブチルアクリレートと適当なアミン(例えばDIEAなど)の存在下で反応させ、t−ブチル保護基を適当な酸(例えばTFAなど)で除去することにより製造できる。反応は約0から約120℃の温度で進行し、完了まで約24時間かかり得る。
【0075】
Aが1H−テトラゾール−5−イルアルキルである式Iの化合物は、下記反応スキームにおける通り進行して製造できる:
【化7】

(式中、B、E、X、Y、R、R、R、RおよびRは、上記で式Iについて定義の通りであり、Zは0または1である)。式Iの化合物は、連続的に式2の化合物を適当な酸(例えばTFAなど)で処理し、アクリロニトリルまたはブロモアセトニトリルと適当な塩基(例えばNaOAcなど)の存在下反応させ、続いてNaNと適当な溶媒(例えばDMFなど)中で反応させることにより製造できる反応は約0から約120℃の温度で進行し、完了まで24時間までかかり得る。
【0076】
式Iの化合物の合成のさらなる詳細は、下記実施例に記載する。
【0077】
本発明の化合物の製造の付加的工程:
本発明の化合物は、薬学的に許容される酸付加塩として、遊離塩基形の化合物と薬学的に許容される無機または有機酸を反応させることにより製造できる。あるいは、本発明の化合物の薬学的に許容される塩基付加塩は、遊離酸形の化合物と薬学的に許容される無機または有機塩基の反応により製造できる。あるいは、塩形の本発明の化合物を、出発物質または中間体の塩を使用して製造できる。
【0078】
本発明の化合物の遊離酸または遊離塩基形は、対応する塩基付加塩または酸付加塩形から各々製造できる。例えば酸付加塩形の本発明の化合物を、対応する遊離塩基に、適当な塩基(例えば、アンモニウムヒドロキシド溶液、水酸化ナトリウムなど)で処理することにより変換できる。塩基付加塩形の本発明の化合物を、対応する遊離酸に、適当な酸(例えば、塩酸など)で処理することにより変換できる。
【0079】
酸化されていない形の本発明の化合物を、本発明の化合物のN−オキシドから、還元剤(例えば、硫黄、二酸化硫黄、トリフェニルホスフィン、リチウムボロハイドライド、水素化ホウ素ナトリウム、リン三塩化物、三臭化物など)で、適当な不活性有機溶媒(例えばアセトニトリル、エタノール、水性ジオキサンなど)中、0から80℃で処理することにより製造できる。
【0080】
本発明の化合物のプロドラッグ誘導体は、当業者に既知の方法により製造できる(例えば、さらなる詳細はSaulnier et al., (1994), Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters, Vol. 4, p. 1985参照)。例えば、適当なプロドラッグを、誘導体ではない本発明の化合物と、適当なカルバミル化剤(例えば、1,1−アシルオキシアルキルカルバノクロリデート、パラ−ニトロフェニルカーボネートなど)と反応させることにより製造できる。
【0081】
本発明の化合物の被保護誘導体は、当業者に既知の手段により製造できる。保護基の創成およびその除去に適用できる技術の詳細な記載は、T W. Greene, “Protecting Groups in Organic Chemistry”, 3rd edition, John Wiley and Sons, Inc., 1999に見ることができる。
【0082】
本発明の化合物は、溶媒和物(例えば、水和物)として、簡便に製造でき、または、本発明の製造中に形成される。本発明の化合物の水和物は、簡便には、水性/有機溶媒混合物から、ジオキシン、テトラヒドロフランまたはメタノールのような有機溶媒を使用した再結晶により製造できる。
【0083】
本発明の化合物は、その個々の立体異性体として、該化合物のラセミ混合物と、光学的に活性な分割剤を反応させて、ジアステレオ異性体化合物の対を形成させ、該ジアステレオマーを分離し、光学的に純粋なエナンチオマーを回収することにより、製造できる。エナンチオマーの分割は、本発明の化合物の慣用のジアステレオマー誘導体を使用して行うことができるが、解離可能な複合体が好ましい(例えば、結晶性ジアステレオマー塩)。ジアステレオマーは異なる物理的特性(例えば、融点、沸点、溶解性、反応性など)を有し、これらの差異を利用して容易に分離できる。該ジアステレオマーは、クロマトグラフィーにより、または好ましくは、溶解性の差異を利用した分離/分割により、分離できる。光学的に純粋なエナンチオマーは、次いで、解離剤と共に、ラセミ化をもたらさない任意の実際的手段により回収する。化合物の立体異性体の、それらのラセミ混合物からの分割に適用できる技術のさらなる詳細は、Jean Jacques, Andre Collet, Samuel H. Wilen, “Enantiomers, Racemates and Resolutions”, John Wiley And Sons, Inc., 1981に見ることができる。
【0084】
要約すると、式Iの化合物は、下記を含む方法により製造できる:
(a)式2の化合物とt−ブチルアクリレート、アシロニトリル/NaNまたはブロモアセトニトリル/NaNのいずれかを反応させ;そして
(b)所望により本発明の化合物を薬学的に許容される塩に変換し;
(c)所望により塩形の本発明の化合物を塩ではない形に変換し;
(d)所望により非酸化形の本発明の化合物を薬学的に許容されるN−オキシドに変換し;
(e)所望によりN−オキシド形の本発明の化合物を非酸化形に変換し;
(f)所望により本発明の化合物の個々の異性体を異性体混合物から分割し;
(g)所望により誘導体ではない本発明の化合物を薬学的に許容されるプロドラッグ誘導体に変換し;そして
(h)所望により本発明の化合物のプロドラッグ誘導体をその誘導体ではない形に変換する。
【0085】
出発物質の製造が特に記載されていない限り、該化合物は既知であるか、または当分野で既知の方法に準じて、または下記実施例に記載の通りに製造できる。
【0086】
当業者は、上記形態が本発明の化合物の製造法の単なる代表であり、他の既知の方法を同様に使用できることは認識しよう。
【0087】
実施例
下記実施例は代表的化合物の製造の詳細を記載し、本発明を限定ではなく説明するために提供する。
【0088】
実施例1
3−{4−[4−(4−シクロヘキシル−3−メチル−フェノキシメチル)−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−プロピオン酸
【化8】

4−ブロモ−3−メチル−フェノール(500mg、2.67mmol、1当量)のアセトニトリル(5mL)溶液に、KCO(1.47g、10.6mmol、4当量)を添加する。混合物を、30分、室温で撹拌する。ヨードメタン(493mg、1.3当量)を、次いでシリンジを介して滴下し、混合物を12時間撹拌する。反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出する。合わせた有機層を塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させる。濃縮後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(5%EtOAcのヘキサン溶液)で精製し、1−ブロモ−4−メトキシ−2−メチル−ベンゼンを得る。
【0089】
1−ブロモ−4−メトキシ−2−メチル−ベンゼン(520mg、2.6mmol)をシクロヘキシル亜鉛ブロマイドTHF溶液(0.5M、15mL)にマイクロ波チューブ中で溶解する。Pd(t−BuP)(66mg、0.13mmol、0.05当量)をこの溶液に添加する。混合物をN(g)で5分パージし、100℃で30分、マイクロ波照射を使用して加熱する。完了したら、反応混合物をEtOAcで希釈し、1N HCl(水性)、塩水で洗浄し、セライトを通して濾過し、NaSOで乾燥させる。濃縮後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(5%EtOAcのヘキサン溶液)で部分的に精製し、粗1−シクロヘキシル−4−メトキシ−2−メチル−ベンゼンを得る。
【0090】
粗1−シクロヘキシル−4−メトキシ−2−メチル−ベンゼンの乾燥DCM(10mL)溶液に、BBrを−78℃で添加する。この添加後、混合物を50℃で12時間加熱する。反応混合物を氷浴中で冷却し、反応を水の滴下によりクエンチする。混合物をDCMで抽出する。合わせた有機相を10%NaHCO(水性)、塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させる。濃縮後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(10%EtOAcのヘキサン溶液)で精製して、4−シクロヘキシル−3−メチル−フェノールを得る。
【0091】
4−(4−カルボキシ−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(2g、6.5mmol)の乾燥THF(50mL)溶液に、BH・MeS複合体(3.1mL、5当量)を0℃でN(g)下添加する。混合物を室温に温め、2時間撹拌する。混合物を次いで60℃で15分加熱し、反応を完了させる。反応混合物を氷浴中で冷却し、水(50mL)のゆっくりした添加によりクエンチする。混合物をEtOAcで抽出する(3×40mL)。合わせた有機層を飽和NaHCO(水性)、塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させる。濃縮後、粗残渣、4−(4−ヒドロキシメチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを、さらに精製せずに次段階に直接使用する。
【0092】
4−シクロヘキシル−3−メチル−フェノール(65mg、0.34mmol、1当量)、4−(4−ヒドロキシメチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(100mg、0.34mmol、1当量)およびPPh(134mg、0.51mmol、1.5当量)の乾燥DCM(3mL)中の混合物に、1,1'−(アゾジカルボニル)−ジピペラジン(129mg、0.51mmol、1.5当量)のDCM(1mL)溶液を添加する。混合物を室温で12時間撹拌する。濃縮後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製(10%EtOAcのヘキサン溶液)して、4−[4−(4−シクロヘキシル−3−メチル−フェノキシメチル)−フェニル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを得る。
【0093】
4−[4−(4−シクロヘキシル−3−メチル−フェノキシメチル)−フェニル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(127mg、0.27mmol)のDCM/TFA(1:2 v/v、3mL)溶液を40分撹拌する。濃縮後、得られた残渣をメタノール(2mL)に溶解する。DIEA(130μL、1.36mmol、5当量)およびt−ブチルアクリレート(80μL、0.54mmol、2当量)をこの溶液に添加する。反応混合物を90℃で30分マイクロ波照射を使用して加熱する。濃縮後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(40%EtOAcのヘキサン溶液)で精製して、3−{4−[4−(4−シクロヘキシル−3−メチル−フェノキシメチル)−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−プロピオン酸tert−ブチルエステルを得る。この物質をDCM/TFA(1:1 v/v、3mL)に溶解し、溶液を室温で40分撹拌する。濃縮後、粗生成物を分取RP LC−MSで精製して、3−{4−[4−(4−シクロヘキシル−3−メチル−フェノキシメチル)−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−プロピオン酸を得る1H NMR(CD3OD, 400MHz)δ 7.41(d, 2H, J = 8 Hz), 7.28(d, 2H, J = 8 Hz), 7.08(m, 1H), 6.75-6.73(2H), 5.01(s, 2H), 3.69(d, 2H, J = 10 Hz), 3.46(t, 2H, J = 7 Hz), 3.18(m, 2H), 2.95 m, 1H), 2.86(t, 2H, J = 7 Hz), 2.65(m, 1H), 2.27(s, 3H), 2.18(m, 2H), 2.04-1.70(7H), 1.46-1.30(5H);MS(ES+):(436.3, M+1)+
【0094】
実施例2
3−{4−[6−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−ピリジン−3−イル]−ピペラジン−1−イル}−プロピオン酸
【化9】

4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)ベンジルアルコール(2.87g、13.63mmol)のDMF(40mL)溶液に、水素化ナトリウム(鉱油中60%、654mg、16.36mmol)を0℃で添加し、反応混合物を0℃で30分撹拌する。4−メトキシ−ベンジルクロライド(2.35g、15mmol)のDMF(10mL)溶液を添加し、反応混合物を0℃で1時間、および室温で3時間撹拌する。反応混合物を飽和水性NHCl(300mL)に注ぎ、EtOAcで抽出する。合わせた抽出物を塩水(2×80mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させる。濃縮後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(8:1 ヘキサン/EtOAc)で精製して、1−クロロ−4−(4−メトキシ−ベンジルオキシメチル)−2−トリフルオロメチル−ベンゼンを得る。
【0095】
1−クロロ−4−(4−メトキシ−ベンジルオキシメチル)−2−トリフルオロメチル−ベンゼン(2g、6.51mmol)、Pd(t−BuP)(66.54mg、0.13mmol)およびシクロヘキシル亜鉛ブロマイド/THF溶液(0.5M、40mL、19.5mmol)を1−メチル−2−ピロリジノン(NMP)(40mL)中で混合する。混合物をN(g)でパージし、次いで105℃で16時間加熱する。反応混合物を飽和水性NHCl(250mL)に注ぎ、EtOAcで抽出する。合わせた抽出物を塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させる。濃縮後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(8:1 ヘキサン/EtOAc)で精製して、1−シクロヘキシル−4−(4−メトキシ−ベンジルオキシメチル)−2−トリフルオロメチル−ベンゼンを得る。この物質のDCM(8mL)溶液にTFA(8mL)を添加する。反応混合物を室温で16時間撹拌する。濃縮後、残渣を飽和水性NHClおよびEtOAcに分配する。水性相をEtOAcで抽出する。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させる。濃縮後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(4:1 ヘキサン/EtOAc)で精製して、(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−メタノールを得る。
【0096】
(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−メタノール(258mg、1.0mmol)のDMF(7mL)溶液に、水素化ナトリウム(鉱油中60%、60mg、1.5mmol)を0℃添加し、反応混合物を0℃で30分撹拌する。2−クロロ−5−ブロモピリジン(231mg、1.2mmol)のDMF(3mL)溶液の添加後、反応混合物を0℃で1時間、および室温で18時間撹拌する。反応混合物を飽和水性NHClに注ぎ、EtOAcで抽出する。合わせた抽出物を塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させる。濃縮後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(19:1 ヘキサン/EtOAc)で精製して、5−ブロモ−2−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−ピリジンを得る。
【0097】
5−ブロモ−2−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−ピリジン(332mg、0.8mmol)、tert−ブチル1−ピペラジン−カルボキシレート(178mg、0.96mmol)、Pd(dppf)Cl(17.5mg、0.024mmol)、dppf(20mg、0.036mmol)およびナトリウムtert−ブトキシド(115mg、1.19mmol)をトルエン(2mL)中で混合する。混合物をN(g)でパージし、80℃で14時間加熱し、飽和水性NaHCOに注ぎ、EtOAcで抽出する。合わせた抽出物を塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させる。濃縮後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(180:25:1 ヘキサン/EtOAc/EtN)で精製して、4−[6−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−ピリジン−3−イル]−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを得る。
【0098】
4−[6−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−ピリジン−3−イル]−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(155mg、0.398mmol)のDCM(2mL)溶液に、トリフルオロ酢酸(TFA)(4mL)を添加する。反応混合物を室温で30分撹拌し、蒸発乾固する。得られた残渣をtert−ブチルアクリレート(76mg、0.6mmol)およびDIEA(193mg、1.49mmol)とMeOH(4mL)中で混合し、混合物を電子レンジ中、90℃で30分加熱する。反応混合物を飽和水性NaHCOに注ぎ、EtOAcで抽出する。合わせた抽出物を塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させる。濃縮後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで(150:50:1 ヘキサン/EtOAc/EtN)精製して、3−{4−[6−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−ピリジン−3−イル]−ピペラジン−1−イル}−プロピオン酸tert−ブチルエステルを得る。この物質をDCM/TFA(1:1 v/v、2mL)に溶解し、溶液を室温で1時間撹拌する。濃縮後、粗生成物を分取RP LC−MSで精製して、3−{4−[6−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−ピリジン−3−イル]−ピペラジン−1−イル}−プロピオン酸を得る1H NMR(CD3OD):1.28-1.85(10H), 2.88(t, J = 6.2 Hz, 2H), 2.90(m, 1H), 3.15-3.85(8H), 3.69(t, J = 6.2 Hz, 2H), 5.42(s, 2H), 7.38(br, 1H), 7.57(d, J = 7 Hz, 1H), 7.65(d, J = 7 Hz, 1H), 7.71(s, 1H), 7.91(s, 1H), 8.05(br, 1H);ESI-MS m/z 492.2(MH+)。
【0099】
実施例3
3−{4−[6−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−フェノキシメチル)−ピリジン−3−イル]−ピペラジン−1−イル}−プロピオン酸
【化10】

2,5−ジブロモピリジン(10mmol)、Pd(PhP)(0.3mmol)および亜鉛シアネート(10mmol)をDMF(12mL)中で混合し、Nでパージする。混合物をマイクロ波反応器中、135℃で15分加熱し、飽和NHCl溶液に注ぎ、EtOAcで抽出する。合わせた抽出物を飽和水性NaClで洗浄し、NaSOで乾燥させる。濃縮後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(9:1 ヘキサン/EtOAc)で精製して、5−ブロモ−ピリジン−2−カルボニトリルを得る。
【0100】
5−ブロモ−ピリジン−2−カルボニトリル(8mmol)、tert−ブチル1−ピペラジン−カルボキシレート(9.6mmol)、Pd(dppf)Cl(0.24mmol)、dppf(0.36mmol)およびナトリウムtert−ブトキシド(11.9mmol)をトルエン(12mL)中で混合し、Nでパージする。混合物をマイクロ波反応器中、120℃で15分加熱し、飽和NaCO溶液に注ぎ、EtOAcで抽出する。合わせた抽出物を飽和水性NaClで洗浄し、NaSOで乾燥させる。濃縮後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(2:1 ヘキサン/EtOAc)で精製して、tert−ブチル4−(6−シアノ−ピリジン−3−イル)−ピペラジン−1−カルボキシレートを得る。
【0101】
tert−ブチル4−(6−シアノ−ピリジン−3−イル)−ピペラジン−1−カルボキシレート(2.15mmol)のTHF(20mL)溶液に、DIBAL−HのTHF(1.0M、13mmol)溶液を滴下し、反応混合物を室温で15分撹拌する。それが0℃に冷却した後、反応混合物を水性HCl(2N、5mL)溶液と混合し、反応混合物を飽和NaCO溶液およびEtOAcに分配する。水性相をEtOAcで抽出する。合わせた有機抽出物を飽和水性NaClで洗浄し、NaSOで乾燥させる。濃縮後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(3:7 ヘキサン/EtOAc)で精製して、tert−ブチル4−(6−ホルミル−ピリジン−3−イル)−ピペラジン−1−カルボキシレートを得る。
【0102】
tert−ブチル4−(6−ホルミル−ピリジン−3−イル)−ピペラジン−1−カルボキシレート(0.39mmol)のTHF(10mL)溶液に、NaBH(2.72mmol)を添加し、反応混合物を室温で1時間撹拌する。それが0℃に冷却した後、反応混合物をゆっくり氷冷水(5mL)と混合し、次いで飽和NaCO溶液および10%MeOHのEtOAc溶液に分配する。水性相を10%MeOHのEtOAc溶液で抽出する。合わせた有機抽出物を飽和水性NaClで洗浄し、NaSOで乾燥させる。濃縮後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(100/10/1 EtOAc/MeOH/EtN)で精製して、tert−ブチル4−(6−ヒドロキシメチル−ピリジン−3−イル)−ピペラジン−1−カルボキシレートを得る。
【0103】
tert−ブチル4−(6−ヒドロキシメチル−ピリジン−3−イル)−ピペラジン−1−カルボキシレート(0.22mmol)、4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−フェノール(0.22mmol、前記実施例に記載の方法に準じて合成)、1,1'−アゾジカルボニルジピペリジン(0.33mmol)およびPhP(0.33mmol)をDCM(2mL)中で混合する。反応混合物を室温で17時間撹拌し、次いで飽和NaCO溶液およびEtOAcに分配する。水性相をEtOAcで抽出する。合わせた有機抽出物を飽和水性NaClで洗浄し、NaSOで乾燥させる。濃縮後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(6:5 ヘキサン/EtOAc)で精製して、tert−ブチル4−[6−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−フェノキシメチル)−ピリジン−3−イル]−ピペラジン−1−カルボキシレートを得る。
【0104】
tert−ブチル4−[6−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−フェノキシメチル)−ピリジン−3−イル]−ピペラジン−1−カルボキシレート(0.021mmol)のDCM(1mL)溶液に、トリフルオロ酢酸(2mL)を添加する。反応混合物を室温で1時間撹拌し、蒸発乾固する。残渣をtert−ブチルアクリレート(0.3mmol)およびDIEA(0.6mmol)とMeOH(1.5mL)中で混合する。混合物を電子レンジ中、90℃で30分加熱し、蒸発乾固する。残渣のDCM(1.5mL)溶液にトリフルオロ酢酸(1.5mL)を添加する。反応混合物を室温で1時間撹拌する。濃縮後、粗残渣を分取RP LC−MSで精製して、3−{4−[6−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−フェノキシメチル)−ピリジン−3−イル]−ピペラジン−1−イル}−プロピオン酸を得る。1H NMR(400MHz, CD3OD)δ 1.18-1.79(10H), 2.75(t, J = 11.2 Hz, 1H), 2.80(t, J = 6.8 Hz, 2H), 3.37-3.78(8H), 3.43(t, J = 6.8 Hz, 2H), 5.16(s, 2H), 7.13(dd, J = 8.4, 2.8 Hz, 1H), 7.15(s, 1H), 7.39(d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.66(d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.75(dd, J = 8.8, 2.8 Hz, 1H), 8.30(s, 1H);ESI-MS m/z 492.2(MH+)。
【0105】
実施例4
3−{4−[4−(4−ピペリジン−1−イル−3−トリフルオロメチル−フェノキシメチル)−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−プロピオン酸
【化11】

1−ブロモ−4−メトキシ−2−トリフルオロメチル−ベンゼン(500mg、1.961mmol)の1,4−ジオキサン(8mL)溶液に:ピペリジン(2当量、3.921mmol、0.41mL)、Pddba(2mol%、0.039mmol、36mg)、KOBu(1.5当量、2.941mmol、330mg)および1,3−(ビス(2,6−ジ−iso−プロピルフェニル)−イミダゾリウムクロライド(iPrHCl、4mol%、0.078mmol、33mg)を連続的に添加する。得られた反応混合物を密封試験管中、150℃油浴で12時間加熱する。室温に冷却後、反応混合物を濃縮する。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(9:1 ヘキサン/EtOAc)で部分的に精製し、粗1−(4−メトキシ−2−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペリジンを得る。
【0106】
粗1−(4−メトキシ−2−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペリジンの乾燥DCM(3mL)溶液を−78℃に冷却し、BBr(DCM中1M、3当量、1.2mL)を添加する。この添加後、冷却浴を除去し、反応物を25℃で12時間撹拌する。完了したら、反応を氷浴中で冷却し、水を滴下する。クエンチした反応を10%NaHCO(水性)をゆっくり添加してpH=8に塩基性化する。反応混合物をDCMで希釈し、HO、続いて飽和水性NaClで洗浄する。有機溶液をNaSOで乾燥させる。濃縮後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(3:1 ヘキサン/EtOAc)で精製して、4−ピペリジン−1−イル−3−トリフルオロメチル−フェノールを得る。[MS:(ES+)246.1(M+1)+]。
【0107】
4−(4−ヒドロキシメチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルおよび4−ピペリジン−1−イル−3−トリフルオロメチル−フェノールの光延カップリング、続く:上記実施例に記載の通りのBoc脱保護、t−ブチルアクリレートでのアルキル化、t−ブチルエステル脱保護、および最終RP LC−MS精製により、3−{4−[4−(4−ピペリジン−1−イル−3−トリフルオロメチル−フェノキシメチル)−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−プロピオン酸を黄褐色固体として得る。1H NMR(DMSO-d6, 400MHz)δ 10.25(bs, 1H), 7.49(d, 1H), 7.41(d, 2H), 7.27(d, 2H), 7.30-7.20(m, 2H), 5.10(s, 2H), 3.61-3.52(m, 2H), 3.36-3.26(m, 2H), 3.14-3.02(m, 2H), 2.90-2.80(m, 3H), 2.78-2.72(m, 4H), 2.03-1.94(m, 4H), 1.65-1.55(m, 4H), 1.53-1.45(m, 2H);MS(ES+):(491.2, M+1)+
【0108】
実施例5
3−(4−{4−[3−メチル−4−(テトラヒドロ−チオピラン−4−イル)−フェノキシメチル]−フェニル}−ピペリジン−1−イル)−プロピオン酸
【化12】

上記実施例に記載の通りの4−ブロモ−3−メチル−フェノールおよび4−(4−ヒドロキシメチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの光延カップリングにより、4−[4−(4−ブロモ−3−メチル−フェノキシメチル)−フェニル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを得る。
【0109】
−78℃に冷却した4−[4−(4−ブロモ−3−メチル−フェノキシメチル)−フェニル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(409mg、0.8884mmol)の燥THF(5mL)溶液に、n−BuLi(1.6Mのヘキサン溶液、1.1当量、0.9772mmol、0.61mL)を添加する。得られた混合物を−78℃で30分撹拌し、テトラヒドロ−チオピラン−4−オン(1.1当量、0.9772mmol、114mg)の乾燥THF(0.5mL)溶液を次いで滴下する。30分後、反応混合物を飽和水性NHClでクエンチし、室温に温める。反応混合物をEtOAcで希釈し、連続的にHOおよび飽和水性NaClで洗浄する。有機溶液をNaSOで乾燥させる。濃縮後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(3:1 ヘキサン/EtOAc)で部分的に精製し、粗4−{4−[4−(4−ヒドロキシ−テトラヒドロ−チオピラン−4−イル)−3−メチル−フェノキシメチル]−フェニル}−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを得る。
【0110】
粗4−{4−[4−(4−ヒドロキシ−テトラヒドロ−チオピラン−4−イル)−3−メチル−フェノキシメチル]−フェニル}−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの乾燥DCM(7mL)溶液に、トリエチルシラン(4.442mmol、517mg、0.71mL)、続いてTFA(7mL)を添加する。得られた混合物を室温で2時間撹拌する。濃縮後、粗残渣、4−{4−[3−メチル−4−(テトラヒドロ−チオピラン−4−イル)−フェノキシメチル]−フェニル}−ピペリジンを、さらに精製せずに次段階に直接使用する。
【0111】
粗4−{4−[3−メチル−4−(テトラヒドロ−チオピラン−4−イル)−フェノキシメチル]−フェニル}−ピペリジンをMeOH(8mL)に溶解し、t−ブチルアクリレート(1.777mmol、228mg、0.26mL)およびDIEA(4.442mmol、574mg、0.77mL)で処理する。得られた混合物を60℃で45分加熱する。濃縮後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(0から10%MeOHのDCM溶液)で部分的に精製し、粗3−(4−{4−[3−メチル−4−(テトラヒドロ−チオピラン−4−イル)−フェノキシメチル]−フェニル}−ピペリジン−1−イル)−プロピオン酸tert−ブチルエステルを得る。
【0112】
粗3−(4−{4−[3−メチル−4−(テトラヒドロ−チオピラン−4−イル)−フェノキシメチル]−フェニル}−ピペリジン−1−イル)−プロピオン酸tert−ブチルエステルの乾燥DCM(7mL)溶液に、トリエチルシラン(5当量、4.442mmol、517mg、0.71mL)、続いてTFA(7mL)を添加する。得られた混合物を室温で1時間撹拌する。濃縮後、粗生成物を分取RP LC−MSで精製して、3−(4−{4−[3−メチル−4−(テトラヒドロ−チオピラン−4−イル)−フェノキシメチル]−フェニル}−ピペリジン−1−イル)−プロピオン酸を黄褐色固体として得る。1H NMR(DMSO-d6, 400MHz)δ 7.44-7.38(m, 2H), 7.30-7.21(m, 2H), 7.13-7.05(m, 1H), 6.83-6.72(m, 2H), 5.02(s, 2H), 3.61-3.52(m, 2H), 3.15-3.05(m, 2H), 2.89-2.75(m, 5H), 2.72-2.60(m, 3H), 2.33-2.20(m, 3H), 2.06-1.88(m, 6H), 1.77-1.61(m, 1H);MS(ES+):(454.2, M+1)+
【0113】
実施例6
3−{4−[4−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−プロピオン酸
【化13】

4−(4−ヒドロキシ−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(1当量)の無水DMF溶液に、NaH(1.1当量)を室温で添加する。5分後、1−クロロ−4−クロロメチル−2−トリフルオロメチル−ベンゼン(1.1当量)のDMF溶液を添加する。得られた混合物を30分撹拌する。水性後処理後、フラッシュカラムクロマトグラフィー(10%EtOAc/ヘキサン)により、4−[4−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−フェニル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを得る。[MS:(ES+)490.3(M+1)+]。
【0114】
4−[4−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−フェニル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(1当量)を10%TFA/DCMに溶解し、30分撹拌する。濃縮後、残渣をDCMに再溶解し、飽和NaHCOおよび塩水で洗浄する。有機層をNaSOで乾燥させ、濃縮する。残渣を次いでMeOHに溶解し、t−ブチルアクリレート(2当量)を添加する。得られた溶液を90℃でマイクロ波中、10分加熱する。濃縮後、フラッシュカラムクロマトグラフィー(80%EtOAc/ヘキサン)による精製により、3−{4−[4−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−プロピオン酸tert−ブチルエステルを得る。[MS:(ES+)498.2(M+1)+]。
【0115】
3−{4−[4−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−プロピオン酸tert−ブチルエステル(1当量)およびPd触媒(0.05当量)をシクロヘキシル亜鉛ブロマイドのTHF溶液で処理する。得られた混合物を100℃でマイクロ波中、25分加熱する。次いで、EtOAcで希釈し、1N HClで洗浄する。濃縮後、フラッシュカラムクロマトグラフィー(EtOAc)による精製により、3−{4−[4−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−プロピオン酸tert−ブチルエステルを得る。[MS:(ES+)546.3(M+1)+]。
【0116】
3−{4−[4−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−プロピオン酸tert−ブチルエステルをDCMに溶解し、TFA(50%v/v)で処理する。2時間、室温後、それを濃縮して残渣を得て、それをRP LC−MSで精製して3−{4−[4−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−プロピオン酸を得る。1HNMR(400MHz, CD3OD)δ 7.83(1H, s), 7.65(1H, d), 7.55(1H, d), 7.20(4H, m), 5.45(2H, s), 3.66(2H, d), 3.44(2H, m), 3.20(2H, m), 2.81(2H, m), 2.68(2H, m), 1.84(9H, m), 1.36(5H, m). MS(ES+):490.3(M+1)+
【0117】
実施例7
3−{4−[4−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−2−エチル−フェニル]−ピペラジン−1−イル}−プロピオン酸
【化14】

1−ブロモ−2−エチル−4−メトキシ−ベンゼン(1当量)、ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(1.5当量)、Pd(OAc)(0.03当量)、ホスフィンリガンド(0.06当量)、ナトリウムt−ブトキシド(1.7当量)をトルエン中で混合し、得られた混合物を120℃でマイクロ波中、20分加熱する。それを次いでEtOAc/ヘキサンで希釈し、セライトを通して濾過する。フラッシュカラムクロマトグラフィー(20%EtOAc/ヘキサン)により、4−(2−エチル−4−メトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを得る。MS:(ES+):321.2(M+1)+
【0118】
4−(2−エチル−4−メトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを48%HBr中、2時間還流する。濃縮後、残渣をDCMに溶解し、(Boc)O(1.5当量)およびトリエチルアミン(4当量)を添加する。得られた混合物を室温で30分撹拌する。水性後処理後、フラッシュカラムクロマトグラフィー(30%EtOAc/ヘキサン)により、4−(2−エチル−4−ヒドロキシ−フェニル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを得る。MS:(ES+):307.2(M+1)+
【0119】
3−{4−[4−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−2−エチル−フェニル]−ピペラジン−1−イル}−プロピオン酸を上記反応に準じて合成する:1HNMR(400MHz, CD3OD)δ 7.75(1H, s), 7.66(1H, d), 7.55(1H, d), 7.21(1H, m), 6.93(2H, m), 5.10(2H, s), 3.30(10H, m), 2.94(2H, m), 2.75(2H, m), 1.80(5H, m), 1.40(8H, m). MS(ES+):519.3(M+1)+
【0120】
実施例8
3−{4−[4−(2−メチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−プロピオン酸
【化15】

4−フェニル−3−メチル−フェノール(1当量)、4−(4−ヒドロキシメチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(1当量)およびPPh(1.5当量)の乾燥THF(3mL)中の混合物に、1,1'−(アゾジカルボニル)−ジピペラジン(1.5当量)のTHF(1mL)溶液を添加する。混合物を室温で12時間撹拌する。濃縮後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(10%EtOAcのヘキサン溶液)で精製して、4−[4−(4−フェニル−3−メチル−フェノキシメチル)−フェニル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを得る。
【0121】
上記4−[4−(4−フェニル−3−メチル−フェノキシメチル)−フェニル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルのDCM/TFA(1:2 v/v、3mL)溶液を40分撹拌する。濃縮後、得られた残渣をメタノール(2mL)に溶解する。DIEA(5当量)およびt−ブチルアクリレート(2当量)をこの溶液に添加する。反応混合物を90℃で30分マイクロ波照射を使用して加熱する。濃縮後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(40%EtOAcのヘキサン溶液)で精製して、3−{4−[4−(4−フェニル−3−メチル−フェノキシメチル)−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−プロピオン酸tert−ブチルエステルを得る。この物質をDCM/TFA(1:1 v/v、3mL)に溶解し、溶液を室温で40分撹拌する。濃縮後、粗生成物を分取RP LC−MSで精製して、3−{4−[4−(4−フェニル−3−メチル−フェノキシメチル)−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−プロピオン酸を得る:MS(ES+):430.6(M+1)+
【0122】
上記実施例の方法を繰り返し、適当な出発物質を使用して、表1に同定した通りの下記式Iの化合物を得る。
【0123】
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【0124】
実施例56
式Iの化合物は生物学的活性を示す
A. インビトロ:ヒトEDG/S1P受容体を発現するCHO細胞から調製した膜に対するGTP[γ−35S]結合を測定するためのシンチレーション近接アッセイ(SPA)
EDG−1(S1P1)GTP[γ−35S]結合アッセイ:膜タンパク質懸濁液をヒトEDG−1 N−末端c−myc標識を安定に発現するCHO細胞クローンから調製する。10mMから0.01nMの範囲の試験化合物溶液をDMSO/50mM HCl中に調製し、次いでアッセイ緩衝液(20mM HEPES、pH7.4、100mM NaCl、10mM MgCl、0.1%無脂肪BSA)で希釈する。10mM GDP含有アッセイ緩衝液を小麦胚芽アグルチニン被覆SPA−ビーズ(1mg/ウェル)と混合し、その後ヒトEDG−1膜タンパク質懸濁液(10μg/ウェル)および試験化合物を添加する。ビーズ/膜/化合物アッセイ構成要素を、次いで10−15分、シェーカーで室温で混合する。GTP[γ−35S](200pM)およびビーズ/膜/化合物アッセイ混合物を96ウェルOptiplateTM(最終容量225μl/ウェル)の個々のウェルに添加し、密封し、室温で110から120分、一定に振盪しながらインキュベートする。遠心分離(2000rpm、10分)後、発光をTopCountTM装置で測定する。
【0125】
EC50値を、GTP[γ−35S]結合曲線(生データ)を、ORIGIN V. 6.1の用量応答曲線フィッティングツールでフィッティングすることにより得る。基底結合(化合物なし)およびアゴニストで達成された最高のGTP[γ−35S]結合刺激をフィッティング範囲として使用する。7個の異なる濃度を使用して濃度応答曲線を作製する(1濃度あたり2個または3個のデータ点使用)。
【0126】
EDG−3、−5、−6および−8 GTP[γ−35S]結合アッセイをEDG−1 GTP[[γ−35S]結合アッセイと同等な方法を使用して、CHO由来の膜、またはEDG−8の場合、c−末端c−myc標識または非標識受容体を安定に発現する細胞由来のRH7777膜を使用して、行う。EDG受容体発現膜の濃度は、13−19μg/ウェルの範囲である。本発明の化合物を上記アッセイに従い試験し、S1P−1(EDG−1)受容体に選択性を示すことが観察された。例えば:(i)3−{4−[4−(4−シクロヘキシル−3−メチル−フェノキシメチル)−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−プロピオン酸(実施例1)は、上記アッセイで0.22nMのEC50を示し、それはS1P−3、S1P−5、S1P−6およびS1P−8を含む他の受容体の1個またはそれ以上と比較して、S1P−1に少なくとも1000倍選択的である;および(ii)3−{4−[4−(2−メチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−プロピオン酸(実施例8)は、S1P−1、S1P−2、S1P−3、S1P−4およびS1P−5の各々に対して2nM、>10μM、2μM、>10μMおよび370nMのEC50を有する。
【0127】
B. インビトロ:FLIPRカルシウム流動アッセイ
本発明の化合物を、FLIPRカルシウム流動アッセイで、EDG−1、EDG−3、EDG−5、およびEDG−6に対するアゴニスト活性を試験する。簡単に言うと、EDG受容体を発現するCHO細胞を、5%FBSを含むF−12K培地(ATCC)に、500ug/mlのG418と共に維持する。アッセイ前に、細胞を384黒色透明底プレートに、1%FBS含有F−12K中10,000細胞/ウェル/25μlの密度で播種する。二日目に、細胞を洗浄緩衝液で3回(各25μl)洗浄する。約25μlの色素を各ウェルに添加し、1時間、37℃および5%COでインキュベートする。次いで、細胞を4回洗浄緩衝液(各25μl)で洗浄する。カルシウム流動を、25μlのSEQ2871溶液を、各ウェルの細胞に添加後にアッセイする。同じアッセイを、異なるEDG受容体の各々を発現する細胞で行う。FLIPRカルシウム流動アッセイにおけるタイトレーションを3分間隔で記録し、EDG−1活性化に対する最大ピーク高応答のパーセントとして示す。
【0128】
C. インビボ:血液リンパ球枯渇の測定および心臓作用の評価のためのスクリーニングアッセイ
循環リンパ球の測定:化合物をDMSOに溶解し、4%DMSO(v/v、最終濃度)の最終濃度を得るために希釈し、次いで、さらに一定量のTween80 25%/HO、v/vで希釈する。Tween80 25%/HO(200μl)、4%DMSO、およびFTY720(10μg)を各々ネガティブコントロールおよびポジティブコントロールとして包含させる。マウス(C57bl/6雄、6−10週齢)に250−300μLの化合物溶液を、軽いイソフラン麻酔下に経口胃管栄養法により投与する。
【0129】
血液を、眼窩後洞(retro-orbital sinus)から薬剤投与6時間および24時間後に、軽いイソフラン麻酔下に採取する。全血液サンプルを血液学的分析に付す。末梢リンパ球計数を自動分析器を使用して決定する。末梢血液リンパ球の下位集団をフルオロクロムコンジュゲート特異的抗体で染色し、蛍光標示式細胞選別機(Facscalibur)を使用して分析する。2匹のマウスを使用して、スクリーニングする各化合物のリンパ球枯渇活性を評価する。結果はED50であり、これは50%の血液リンパ球枯渇を示すのに必要な有効量として定義する。本発明の化合物を上記アッセイに従い試験し、好ましくは1mg/kg未満のED50、より好ましくは0.5mg/kg未満のED50を示すことが判明した。例えば:(i)3−{4−[4−(4−シクロヘキシル−3−メチル−フェノキシメチル)−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−プロピオン酸(実施例1)は0.1mg/kgのED50を示す;および(ii)3−{4−[4−(2−メチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−プロピオン酸(実施例8)は、6時間および48時間で各々0.2mg/kgおよび0.8mg/kgのED50を示す。
【0130】
心臓作用の評価:化合物の心機能に対する影響を、AnonyMOUSE ECGスクリーニング系を使用してモニターする。意識のあるマウス(C57bl/6雄、6−10週齢)で、化合物の投与前後に心電図をとる。ECGシグナルを次いでe−MOUSEソフトウエアを使用して加工し、分析する。さらに200μl 水、15%DMSOで希釈した90μgの化合物をIP注射する。4匹のマウスを各化合物の心臓作用の評価に使用する。
【0131】
D:インビボ:抗血管形成活性
0.5mlの0.8%w/v寒天(ヘパリン含有、20U/ml)中に(i)スフィンゴシン−1−ホスフェート(5μM/チャンバー)または(ii)ヒトVEGF(1μg/チャンバー)を含む多孔性チャンバーをマウスの横腹に皮下的にインプラントする。S1PまたはVEGFは、チャンバー周辺の血管新生した組織の増殖を誘発する。この応答は用量依存的であり、組織の重量および血液含量の測定により定量できる。マウスを1日1回、式Iの化合物で、経口的または静脈内的に処置し、チャンバーのインプラント4−6時間前から開始して、4日間続ける。動物を、最後の投与24時間後に血管新生した組織の測定のために殺す。チャンバー周辺の血管新生した組織の重量および血液含量を決定する。式Iの化合物で処置した動物は、媒体単独で処置した動物と比較して、血管新生した組織の重量および/または血液含量の減少を示す。式Iの化合物は、約0.3から約3mg/kgの用量で投与したとき、抗血管形成性である。
【0132】
E:インビトロ:抗腫瘍活性
元々乳房癌腫から単離したマウス乳癌細胞系、例えばJygMC(A)を使用する。細胞数を、工程前に新鮮培地に播種するために5×10に調節する。細胞を、FCSなしの2.5mMのチミジン含有新鮮培地で12時間インキュベートし、次いでPBSで2回洗浄し、次いで10%FCS添加新鮮培地を添加し、さらに12時間インキュベートする。その後細胞をFCSなしの2.5mMのチミジン含有新鮮培地で12時間インキュベートする。細胞をブロックから遊離させるために、細胞をPBSで2回洗浄し、10%FCS添加新鮮培地に再播種する。同期化後、細胞を様々な濃度の式Iの化合物ありまたはなしで、3時間、6時間、9時間、12時間、18時間または24時間インキュベートする。細胞を0.2%EDTAで処置後に採取し、氷冷70%エタノール溶液で固定し、250μg/mlのRNaseA(タイプ1−A:Sigma Chem. Co.)で37℃で30分加水分解し、10mg/mlのヨウ化プロピジウムで20分染色する。このインキュベーション時間後、細胞数を、Coulterカウンターでの細胞計数およびSRB比色アッセイの両方により決定する。これらの条件下、式Iの化合物は腫瘍細胞の増殖を10−12から10−6Mの濃度で阻害する。
【0133】
ここに記載の実施例および態様は、説明の目的のためだけであり、それに照らして様々な改変および変化が当業者には示唆され、この出願の精神および理解ならびに添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれるべきであることは理解されよう。ここに引用した全ての刊行物、特許および特許出願は、全ての目的のために引用して包含する。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

〔式中、
nは0、1および2から選択され;mは1、2および3から選択され;
はC6−10アリールおよびC5−10ヘテロアリールから選択され;ここで、Rの任意のアリールまたはヘテロアリールは所望によりC6−10アリールC0−4アルキル、C5−6ヘテロアリールC0−4アルキル、C3−8シクロアルキルC0−4アルキル、C3−8ヘテロシクロアルキルC0−4アルキルまたはC1−10アルキルから選択されるラジカルで置換されていてよく;ここで、Rの任意のアリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル基はハロ、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、ハロ−置換−C1−10アルキルおよびハロ−置換−C1−10アルコキシから選択される1個から5個のラジカルで置換でき;そしてRの任意のアルキルは所望により−S−、−S(O)−、−S(O)−、−NR−および−O−から選択される原子または基で置換されたメチレンを有することができ;ここで、Rは水素およびC1−6アルキルから選択され;
、R、RおよびRは独立して水素、ハロ、ヒドロキシ、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、ハロ−置換−C1−10アルキルおよびハロ−置換−C1−10アルコキシから選択され;
Aは−XC(O)OR、−XOP(O)(OR)、−XP(O)(OR)、−XP(O)OR、−XS(O)OR、−XP(O)(R)ORおよび1H−テトラゾール−5−イルから選択され;ここで、Xは結合、C1−3アルキレンおよびC2−3アルケニレンから選択され、そしてRは水素およびC1−6アルキルから選択され;
BはCRであり;ここで、RおよびRは独立して水素、ヒドロキシ、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、ハロ−置換−C1−10アルキルおよびハロ−置換−C1−10アルコキシから選択され;
EはCRまたはNから選択され;ここで、Rは水素、ヒドロキシ、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、ハロ−置換−C1−10アルキルおよびハロ−置換−C1−10アルコキシから選択されるか;またはBはCRであり、そしてEは炭素であり、かつBおよびEは二重結合を介して連結しており;
Xは結合または−XOX−、−XNR−、−XC(O)NR−、−XNRC(O)X−、−XS(O)X−、−XS(O)−、−XSX−、C4−6ヘテロアリーレンおよび−XON=C(R)X−から選択され;ここで、XおよびXは独立して結合、C1−3アルキレンおよびC2−3アルケニレンから選択され;Rは水素およびC1−6アルキルから選択され;そしてXの任意のヘテロアリーレンは所望によりハロおよびC1−6アルキルから選択される群のメンバーで置換されていてよく;
YはC6−10アリールおよびC5−10ヘテロアリールから選択され、ここで、Yの任意のアリールまたはヘテロアリールは所望によりハロ、ヒドロキシ、ニトロ、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、ハロ−置換C1−10アルキルおよびハロ−置換C1−10アルコキシから選択される1個から3個のラジカルで置換できる。〕
の化合物ならびにその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、異性体およびプロドラッグ。
【請求項2】
が所望によりC6−10アリールC0−4アルキル、C5−6ヘテロアリールC0−4アルキル、C3−8シクロアルキルC0−4アルキル、C3−8ヘテロシクロアルキルC0−4アルキルまたはC1−10アルキルで置換されていてよいフェニル、ナフチルおよびチオフェニルから選択され;ここで、Rの任意のアリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル基は所望によりハロ、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、ハロ−置換−C1−10アルキルおよびハロ−置換−C1−10アルコキシから選択される1個から5個のラジカルで置換されていてよく;そしてRの任意のアルキルは所望により−S−、−S(O)−、−S(O)−、−NR−および−O−から選択される原子または基で置換されたメチレンを有することができ;ここで、Rが水素またはC1−6アルキルである、
請求項1記載の化合物。
【請求項3】
Aが−XC(O)ORおよび1H−テトラゾール−5−イルから選択され;ここで、Xが結合、C1−3アルキレンおよびC2−3アルケニレンであり、そしてRが水素およびC1−6アルキルから選択される、
請求項1記載の化合物。
【請求項4】
Xが:
【化2】

(ここで、Xの左右のアスタリスクは式IのRおよびYの間の結合点を各々示し;Rが水素およびC1−6アルキルから選択され;vおよびwが独立して0、1、2または3である)
から選択される、
請求項1記載の化合物。
【請求項5】
Yが:
【化3】

(ここで、Rが水素またはC1−6アルキルであり;そしてYの左右のアスタリスクは式IのXおよびEの間の結合点を各々示す)から選択される、
請求項1記載の化合物。
【請求項6】
が:
【化4】

(ここで、アスタリスクはRとXの結合点を示し;R10がC6−10アリールC0−4アルキル、C5−6ヘテロアリールC0−4アルキル、C3−8シクロアルキルC0−4アルキル、C3−8ヘテロシクロアルキルC0−4アルキルまたはC1−10アルキルであり;ここで、R10の任意のアリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル基は所望によりハロ、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、ハロ−置換−C1−10アルキルおよびハロ−置換−C1−10アルコキシから選択される1個から3個のラジカルで置換でき;そしてR10の任意のアルキルは所望により−S−、−S(O)−、−S(O)−、−NR−および−O−から選択される原子または基で置換されたメチレンを有することができ;ここで、Rが水素またはC1−6アルキルであり;そしてR11がハロ、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、ハロ−置換−C1−10アルキルおよびハロ−置換−C1−10アルコキシから選択される)
から選択される、
請求項2記載の化合物。
【請求項7】
3−{4−[6−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−ピリジン−3−イル]−ピペラジン−1−イル}−プロピオン酸;3−{4−[6−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−フェノキシメチル)−ピリジン−3−イル]−ピペラジン−1−イル}−プロピオン酸;3−{4−[6−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−ピリダジン−3−イル]−ピペラジン−1−イル}−プロピオン酸;3−{4−[2−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−ピリミジン−5−イル]−ピペラジン−1−イル}−プロピオン酸;3−{4−ヒドロキシ−4−[2−(2−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イル)−ベンゾ[b]チオフェン−5−イル]−ピペリジン−1−イル}−プロピオン酸;3−{4−[2−(2−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イル)−ベンゾ[b]チオフェン−5−イル]−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル}−プロピオン酸;3−(3−{4−[3−(2−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イル)−[1,2,4]オキサジアゾル−5−イル]−フェニル}−ピロリジン−1−イル)−プロピオン酸;3−(3−{3−[5−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−[1,3,4]オキサジアゾル−2−イル]−フェニル}−ピロリジン−1−イル)−プロピオン酸;3−(3−{3−[5−(2−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イル)−[1,3,4]オキサジアゾル−2−イル]−フェニル}−ピロリジン−1−イル)−プロピオン酸;3−(3−{4−[3−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−[1,2,4]オキサジアゾル−5−イル]−フェニル}−ピロリジン−1−イル)−プロピオン酸;3−(4−{4−[5−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−[1,3,4]オキサジアゾル−2−イル]−フェニル}−ピペリジン−1−イル)−プロピオン酸;3−(3−{4−[5−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−[1,3,4]オキサジアゾル−2−イル]−フェニル}−ピロリジン−1−イル)−プロピオン酸;3−(3−{4−[5−(2−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イル)−[1,3,4]オキサジアゾル−2−イル]−フェニル}−ピロリジン−1−イル)−プロピオン酸;3−(4−{4−[5−(2−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イル)−[1,3,4]オキサジアゾル−2−イル]−フェニル}−ピペリジン−1−イル)−プロピオン酸;3−(3−{4−[5−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−[1,3,4]オキサジアゾル−2−イル]−フェニル}−アゼチジン−1−イル)−プロピオン酸;3−(3−{4−[5−(2−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イル)−[1,3,4]オキサジアゾル−2−イル]−フェニル}−アゼチジン−1−イル)−プロピオン酸;3−(4−{4−[5−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−[1,3,4]オキサジアゾル−2−イル]−フェニル}−ピペリジン−1−イル)−プロピオン酸;3−{4−[6−(2−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−ピリジン−3−イル]−ピペラジン−1−イル}−プロピオン酸;および3−{4−[4−(2−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルスルファニルメチル)−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−プロピオン酸
から選択される、請求項2記載の化合物。
【請求項8】
式Ia:
【化5】

〔式中、
EはNおよびCHから選択され;
mおよびnは独立して0および1から選択され;
vおよびwは独立して0および1から選択され;
10はシクロヘキシル、ピペリジニル、テトラヒドロ−チオピラン−4−イル、フェニル、フェノキシおよびフェニルスルファニルから選択され;ここで、R10の任意のシクロヘキシル、ピペリジニル、テトラヒドロ−チオピラン−4−イル、フェニル、フェノキシおよびフェニルスルファニルは所望によりメチルおよびイソプロピルから独立して選択される1個から3個のラジカルで置換でき;
11はメチル、トリフルオロメチルおよびエチルから選択され;そして
12は水素、エチルおよびメトキシから選択される。〕
である、請求項2記載の化合物。
【請求項9】
3−{4−[4−(4−シクロヘキシル−3−メチル−フェノキシメチル)−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−プロピオン酸;3−{4−[4−(4−ピペリジン−1−イル−3−トリフルオロメチル−フェノキシメチル)−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−プロピオン酸;3−(4−{4−[3−メチル−4−(テトラヒドロ−チオピラン−4−イル)−フェノキシメチル]−フェニル}−ピペリジン−1−イル)−プロピオン酸;3−{4−[4−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−プロピオン酸;3−{4−[4−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−2−エチル−フェニル]−ピペラジン−1−イル}−プロピオン酸;3−{4−[4−(2−メチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−プロピオン酸;3−{4−[4−(2−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−プロピオン酸;3−{4−[4−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−フェノキシメチル)−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−プロピオン酸;3−{4−[4−(3'−メチル−2−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−プロピオン酸;3−{3−[4−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−フェノキシメチル)−フェニル]−ピロリジン−1−イル}−プロピオン酸;3−{4−[4−(4−シクロヘキシル−3−エチル−フェノキシメチル)−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−プロピオン酸;3−{3−[4−(2−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フェニル]−ピロリジン−1−イル}−プロピオン酸;3−(4−{4−[4−(3,6−ジヒドロ−2H−チオピラン−4−イル)−3−トリフルオロメチル−フェノキシメチル]−フェニル}−ピペリジン−1−イル)−プロピオン酸;3−{3−[4−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−フェニル]−アゼチジン−1−イル}−プロピオン酸;3−{3−[4−(2−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フェニル]−アゼチジン−1−イル}−プロピオン酸;3−{4−[2−エチル−4−(2−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−プロピオン酸;3−{3−[4−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−フェニル]−ピロリジン−1−イル}−プロピオン酸;3−{4−[4−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−2−エチル−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−プロピオン酸;3−{4−[4−(4'−メチル−2−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−プロピオン酸;3−{4−[4−(4−フェノキシ−3−トリフルオロメチル−フェノキシメチル)−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−プロピオン酸;3−{4−[4−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−フェノキシメチル)−2−メトキシ−フェニル]−ピペラジン−1−イル}−プロピオン酸;3−{4−[4−(2−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルメトキシ)−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−プロピオン酸;3−{3−[4−(2−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルメトキシ)−フェニル]−ピロリジン−1−イル}−プロピオン酸;3−{3−[4−(2−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルメトキシ)−フェニル]−アゼチジン−1−イル}−プロピオン酸;3−{4−[4−(4−イソブチル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−プロピオン酸;3−{4−[4−(4−フェニルスルファニル−3−トリフルオロメチル−フェノキシメチル)−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−プロピオン酸;1−(1H−テトラゾール−5−イルメチル)−4−[4−(2−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルメトキシ)−フェニル]−ピペリジン;1−[2−(1H−テトラゾール−5−イル)−エチル]−4−[4−(2−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルメトキシ)−フェニル]−ピペリジン;3−{4−[4−(2,4'−ジメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−プロピオン酸;3−{4−[4−(2,4'−ジメチル−ビフェニル−4−イルメトキシ)−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−プロピオン酸;3−{4−[4−(2−エチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−プロピオン酸;3−{4−[4−(2−エチル−3'−メチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−プロピオン酸;(2−{4−[4−(2−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−エチル)−ホスホン酸;2−{4−[4−(2−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−エタンスルホン酸;およびリン酸モノ−(2−{4−[4−(2−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルオキシメチル)−フェニル]−ピペリジン−1−イル}−エチル)エステル
から選択される、請求項8記載の化合物。
【請求項10】
治療的有効量の請求項1記載の化合物を薬学的に許容される賦形剤と共に含む、医薬組成物。
【請求項11】
動物におけるEDG/S1P受容体介在シグナル伝達の変更が疾患の病状および/または総合的症状を予防、阻止または軽減できる疾患の処置法であって、該動物に治療的有効量の請求項1記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項12】
対象におけるリンパ球が介在する障害または疾患の予防または処置、急性または慢性移植拒絶反応またはT細胞介在炎症または自己免疫疾患の予防または処置、調節解除された血管形成の阻害または制御、または新血管形成工程が介在するまたは調節解除された血管形成と関連する疾患の予防または処置の方法であって、それを必要とする対象に有効量の請求項1記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法。
【請求項13】
動物におけるEDG/S1P受容体介在シグナル伝達の変更が疾患の病状および/または総合的症状に関与する疾患の処置用医薬の製造のための、請求項1記載の化合物の使用。
【請求項14】
式I:
【化6】

〔式中、
nは0、1および2から選択され;mは1、2および3から選択され;
はC6−10アリールおよびC5−10ヘテロアリールから選択され、ここで、Rの任意のアリールまたはヘテロアリールは所望によりC6−10アリールC0−4アルキル、C5−6ヘテロアリールC0−4アルキル、C3−8シクロアルキルC0−4アルキル、C3−8ヘテロシクロアルキルC0−4アルキルまたはC1−10アルキルから選択されるラジカルで置換されていてよく;ここで、Rの任意のアリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル基は所望によりハロ、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、ハロ−置換−C1−10アルキルおよびハロ−置換−C1−10アルコキシから選択される1個から5個のラジカルで置換されていてよく;そしてRの任意のアルキルは所望により−S−、−S(O)−、−S(O)−、−NR−および−O−から選択される原子または基で置換されたメチレンを有することができ;ここで、Rは水素およびC1−6アルキルから選択され;
、R、RおよびRは独立して水素、ハロ、ヒドロキシ、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、ハロ−置換−C1−10アルキルおよびハロ−置換−C1−10アルコキシから選択され;
Aは−XC(O)OR、−XOP(O)(OR)、−XP(O)(OR)、−XP(O)OR、−XS(O)OR、−XP(O)(R)ORおよび1H−テトラゾール−5−イルから選択され;ここで、Xは結合、C1−3アルキレンおよびC2−3アルケニレンから選択され、そしてRは水素およびC1−6アルキルから選択され;
BはCRであり;ここで、RおよびRは独立して水素、ヒドロキシ、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、ハロ−置換−C1−10アルキルおよびハロ−置換−C1−10アルコキシから選択され;
EはCRまたはNから選択され;ここで、Rは水素、ヒドロキシ、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、ハロ−置換−C1−10アルキルおよびハロ−置換−C1−10アルコキシから選択されるか;またはBはCRであり、そしてEは炭素であり、そしてBおよびEは二重結合を介して連結しており;
Xは結合または−XOX−、−XNR−、−XC(O)NR−、−XNRC(O)X−、−XS(O)X−、−XS(O)−、−XSX−、C4−6ヘテロアリーレンおよび−XON=C(R)X−から選択され;ここで、XおよびXは独立して結合、C1−3アルキレンおよびC2−3アルケニレンから選択され;Rは水素およびC1−6アルキルから選択され;そしてXの任意のヘテロアリーレンは所望によりハロおよびC1−6アルキルから選択される群のメンバーで置換されていてよく;
YはC6−10アリールおよびC5−10ヘテロアリールから選択され、ここで、Yの任意のアリールまたはヘテロアリールは所望によりハロ、ヒドロキシ、ニトロ、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、ハロ−置換C1−10アルキルおよびハロ−置換C1−10アルコキシから選択される1個から3個のラジカルで置換できる。〕
の化合物の製造法であって:
(a)式2:
【化7】

〔式中、B、E、Y、X、R、R、R、RおよびRは上記で定義の通りである。〕
の化合物とt−ブチルアクリレート、アシロニトリル/NaNまたはブロモアセトニトリル/NaNと反応させ;そして
(b)所望により本発明の化合物を薬学的に許容される塩に変換し;
(c)所望により塩形の本発明の化合物を塩ではない形に変換し;
(d)所望により非酸化形の本発明の化合物を薬学的に許容されるN−オキシドに変換し;
(e)所望によりN−オキシド形の本発明の化合物を非酸化形に変換し;
(f)所望により本発明の化合物の個々の異性体を異性体混合物から分割し;
(g)所望により誘導体ではない本発明の化合物を薬学的に許容されるプロドラッグ誘導体に変換し;そして
(h)所望により本発明の化合物のプロドラッグ誘導体をその誘導体ではない形に変換する:
工程を含む、方法。


【公表番号】特表2007−523910(P2007−523910A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−554340(P2006−554340)
【出願日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【国際出願番号】PCT/US2005/006311
【国際公開番号】WO2005/082089
【国際公開日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(503261524)アイアールエム・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (158)
【氏名又は名称原語表記】IRM,LLC
【Fターム(参考)】