説明

内燃機関の過給装置

【課題】 内燃機関において、低速又は低負荷時の加速性向上及び黒煙低減並びに低温始動性及び低温時の青白煙の低減を図る。
【解決手段】給気通路10に、電動モータ25によって駆動する容積型圧縮機21を設けると共に、該容積型圧縮機21を迂回するバイパス通路11を設ける。該パイパス通路11には、機関の給気入口側からの給気の逆流を阻止する逆止弁22を配置し、該逆止弁22は、容積型圧縮機21が作動して給気を昇圧している間はバイパス通路11を閉じており、容積型圧縮機21による給気の昇圧が無くなった時、給気上流側から機関の給気入口側へ、バイパス通路11を開いて給気を流すように構成した。また、排気ターボ過給機13を備えている場合には、排気ターボ過給機13の圧縮部15の給気下流側に前記容積型過給機21及び逆止弁22を並列配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電動モータにより駆動する電動式の圧縮機を備えた内燃機関の過給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関において、低速、低負荷時の加速性能の向上等、機関性能の向上を図るため、従来、可変容量式の排気ターボ過給機を備えたもの(特許文献1参照)や、排気ターボ過給機と共に電動モータで駆動する電動式の圧縮機を備えたもの(特許文献2参照)がある。
【0003】
図15は前者の可変容量式排気ターボ過給機を備えた内燃機関を示しており、内燃機関101の排気通路102に排気ターボ過給機103のタービン部104を配置し、給気通路110に前記排気ターボ過給機103の圧縮部105を配置しており、タービン部104は可変ノズル108を備え、運転条件に応じてノズル開度を調節することにより、タービン容量を変更するようになっている。
【0004】
図16は、排気ターボ過給機の圧縮部の空気流量と圧力比の関係を示す図であり、A0点は、たとえばアイドリング回転等のように低速、低負荷時の機関作動点である。仮に固定容量式の排気ターボ過給機を備えている場合に、前記A0点の状態から加速すると、空気流量及び圧力比は、ラインA0→A1→D1と変化して負荷を担うことになり、このラインは排気温度制限又は黒煙の制限により決定される。これに対し、図15に示す可変容量式の排気ターボ過給機103を備えている場合には、加速時に可変ノズル108を絞ってタービン容量を小さくし、機関加速終了後に可変ノズル108を開いてタービン容量を大きくすることにより、圧縮部105の空気流量及び圧力比は、ラインA0→A1→A2→D2→D1と変化する。すなわち、立ち上がりに要する時間を短くでき、低速回転時における加速性能を向上させることができる。
【0005】
図17は後者の電動式の圧縮機を付加した内燃機関を示しており、内燃機関201の排気通路202に排気ターボ過給機203のタービン部204を配置し、給気通路210に前記排気ターボ過給機203の圧縮部205を配置している。さらに、給気通路210には、電動モータ211により駆動する電動式の圧縮機(過給機)212を配置すると共に、該圧縮機212を迂回するバイパス通路215を設け、該バイパス通路215にバイパス弁216を設けている。該バイパス弁216はアクチュエータ217によって開閉駆動し、該アクチュエータ217は機関コントロールユニット218に電気的に接続し、該機関コントロールユニット218からの指令によって開閉制御されるようになっている。220はスロットル弁であり、222はエアフローメータである。
【0006】
図17の内燃機関の場合、機関回転数が低い領域、いわゆるターボラグが発生する領域のように、排気ターボ過給機203が充分に過給を行えない時に、電動式の圧縮機212を稼働させ、低速域での加速性能を向上させている。
【特許文献1】特開平9−329032号公報
【特許文献2】特開2004−76659号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前者、図15の内燃機関のように、排気ターボ過給機103のタービン部104を可変容量式としただけの構成では、低速回転域でタービン容量を絞った場合、図16のラインA0→A1→A2のように短時間で立ち上がり、高圧力比を得ることはできるが、立ち上がり時(A2点)、排気ターボ過給機のサージ線に接近してしまう。したがって、最近の高圧噴射技術により、黒煙の限界をより高圧側に移動できるとしても、サージングにより燃料制限を受けるようになる。これに対し、サージ線を高圧、低流量側に移動して、機関作動範囲の拡大を図ろうとすれば、複雑なサージング対策手段を講じなければならず、構成が複雑になると共にコストも高くなる。
【0008】
後者、図17の内燃機関のように、電動式の圧縮機212とバイパス弁216を備えた内燃機関では、バイパス弁216を開閉駆動するためのアクチュエータ217を備える必要が生じると共に、機関コントロールユニット218にはバイパス弁開閉制御用のプログラム等を組み込まなければならず、さらに、バイパス弁制御条件のパラメータとして空気流量を測定するエアフローメータ222を備える必要がある。すなわち、バイパス弁駆動用及び制御用の部品が必要になると共にコストが高くなり、構造も複雑化する。
【0009】
[発明の目的]
本発明の目的は、特別なサージング対策手段を講じることなく、低速回転域における加速性能を向上させると共に加速時の黒煙発生及び青白煙発生を抑制し、また、給気制御用部材のコストの低減及び構造の簡素化を図ることである。さらに、低温始動性の向上及び始動時の青白煙の低減を図ることも目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、給気通路に、電動モータによって駆動する容積型圧縮機を設けると共に、該容積型圧縮機を迂回するバイパス通路を設け、該バイパス通路には、機関の給気口側からの給気の逆流を阻止する逆止弁を配置し、該逆止弁は、容積型圧縮機が作動して給気を昇圧している間はバイパス通路を閉じており、容積型圧縮機による給気の昇圧が無くなった時、逆止弁を開いて機関の給気口側へ給気を流すように構成している。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の内燃機関の過給装置において、給気通路に排気ターボ過給機の圧縮部を配置し、該圧縮部より給気下流側の給気通路部分に給気冷却装置を配置し、該給気冷却装置より給気下流側の給気通路部分に、前記容積型圧縮機を配置すると共に前記逆止弁を有するバイパス通路を設けている。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の内燃機関の過給装置において、
機関回転の加速状態を検出する加速状態検出手段を設け、加速状態を検出した時に前記容積型圧縮機を作動させるようにしている。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関の過給装置において、前記逆止弁は、移動可能なボールを弁座に着座させたボール式逆止弁である。
【0014】
請求項5記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関の過給装置において、前記逆止弁は、回動可能な板状弁体を弁座に着座させた逆止弁である。
【0015】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の内燃機関の過給装置において、前記逆止弁の給気上流側と給気下流側の差圧を検出する差圧検出手段をバイパス通路に配置し、前記容積型圧縮機が作動中、検出差圧が所定値以下になった時に、容積型圧縮機を停止するようにしている。
【0016】
請求項7記載の発明は、請求項5記載の内燃機関の過給装置において、前記板状弁体の回動量により開度を検出する開度検出手段を設け、前記容積型圧縮機が作動中、前記板状弁体の開度が所定値以上になった時に、電動式容積型圧縮機を停止するようにしている。
【0017】
請求項8記載の発明は、請求項5記載の内燃機関の過給装置において、逆止弁の弁座と板状弁体とに、着座時に通電し、非着座時には非通電となる接点を設けると共に、前記通電、非通電を検出する通電検出手段を設け、前記容積型圧縮機が作動中、非通電状態を検出した時に、容積型圧縮機を停止するようにしている。
【0018】
請求項9記載の発明は、請求項1〜8のいずれかに記載の内燃機関の過給装置において、容積型圧縮機の空気容量は、内燃機関の定格空気量よりも小さい。
【0019】
請求項10記載の発明は、請求項1記載の内燃機関の過給装置において、給気通路に排気ターボ過給機の圧縮部を配置し、該圧縮部より給気下流側の給気通路部分に前記容積型圧縮機を配置すると共に該容積型圧縮機を迂回するバイパス通路を設け、前記逆止弁より給気上流側のバイパス通路部分に給気冷却装置を配置している。
【0020】
請求項11記載の発明は、請求項10記載の内燃機関の過給装置において、機関給気温度検出手段を設け、機関給気温度が所定値以下の時に前記容積型圧縮機を作動させるようにしている。
【0021】
請求項12記載の発明は、請求項10記載の内燃機関の過給装置において、機関冷却水温度検出手段を設け、機関冷却水温度が所定値以下の時に容積型圧縮機を作動させるようにしている。
【0022】
請求項13記載の発明は、請求項11又は12記載の内燃機関の過給装置において、
排気弁リフト調節手段を設け、機関給気温度又は機関冷却水温度が所定値以下の時に排気弁リフトを小さくするようにしている。
【0023】
請求項14記載の発明は、請求項11又は12記載の内燃機関の過給装置において、
排気弁開閉時期調節手段を設け、機関給気温度又は機関冷却水温度が所定値以下の時に排気弁開時期を遅らせるようにしている。
【0024】
請求項15記載の発明は、請求項11又は12記載の内燃機関の過給装置において、前記排気ターボ過給機はタービン容量が可変式となっており、機関給気温度又は機関冷却水温度が所定値以下の時に排気ターボ過給機のタービン容量を小さくするようにしている。
【0025】
請求項16記載の発明は、請求項11又は12記載の内燃機関の過給装置において、前記排気ターボ過給機のタービン部に、排気出口断面積を可変とする絞り手段を設け、機関給気温度又は機関冷却水温度が所定値以下の時に前記絞り手段により排気出口断面積を絞るようにしている。
【発明の効果】
【0026】
(1)排気ガス圧を利用しない電動式の容積型圧縮機を給気通路に設けているので、低速回転時や低負荷時又は低温始動時に、一時的に容積型圧縮機を作動させることにより、低速回転域の加速性能や低温始動時の加速性能を向上させることができると共に、加速時の黒煙の発生を低減し、また、青白煙の発生を低減できる。
【0027】
(2)容積型圧縮機と並列に逆止弁を配置し、容積型圧縮機による昇圧がほぼなくなった時に、逆止弁の給気上流側の圧力によりバイパス通路を開くようにしていることにより、図17の従来例のように、バイパス弁駆動用のアクチュエータや制御機構等を特別に備える必要がなくなり、構造が簡素化されると共に、部品コストも低減できる。
【0028】
(3)逆止弁を、電動式の容積型圧縮機による給気の昇圧が無くなった時に開くようにしていることにより、加速終了後においては、バイパス通路を流れる空気を利用して自動的に通常の給気状態を保つことができる。
【0029】
(4)排気ターボ過給機を備えた内燃機関において、該排気ターボ過給機の圧縮部の給気下流側に、前記電動式の容積型圧縮機及び逆止弁を並列に設けていることにより、低速回転域において容積型圧縮機を駆動して加速する場合、排気ターボ過給機の圧縮部から出た空気は、容積型圧縮機によってさらに昇圧されることになり、過給システム全体としては、サージング対策を行うことなく、排気ターボ過給機のサージ線よりも高圧で機関に給気することが可能となり、図17の従来例に比べると多くの燃料を投入でき、大きな加速トルクを得ることができる。
【0030】
図9により具体的に説明すると、図9の下段は排気ターボ過給機の圧縮部の空気流量と圧力比の関係(マップ)を示し、中段は容積型圧縮機の空気流量と圧力比の関係(マップ)を示し、上段は排気ターボ過給機の圧縮部と容積型圧縮機からなる過給システム全体の空気流量と圧力比の関係(マップ)を示しており、容積型圧縮機を作動させている時の作動点は、下段のマップではA点、中段のマップでばB点となり、排気ターボ過給機の圧縮部を出た空気は、容積型圧縮機によりさらに昇圧されるため、上段のマップではC点となる。そのため、排気ターボ過給機のサージ線S0よりも高圧で機関に給気することが可能となり、従来例よりもより多くの燃料を投入でき、大きな加速トルクが得られるのである。なお、曲線S1は、過給システム全体としてのサージ線である。
【0031】
(5)加速状態検出手段によって加速状態を検出した時に、電動式の容積型圧縮機を作動させるようにすることにより、加速時に自動的に給気圧を上昇させることができる。
【0032】
(6)前記逆止弁として、ボール式の逆止弁や、板状弁体を回動自在に支持した逆止弁を用いることにより、部品コストを低減できる。
【0033】
(7)容積型圧縮機の作動を停止させるために、逆止弁の上下流間の差圧を検出する差圧検出手段、回動可能な板状弁体の回動量を検出する逆止弁開度検出手段又は板状弁体と弁座との間の通電、非通電を検出する通電検出手段を備え、それらの検出手段により逆止弁が開いてバイパス通路内を給気が流れている状態を検出した時に、前記電動式の容積型圧縮機を停止するようにしていることにより、容積型圧縮機の作動後、該容積型圧縮機による圧縮作用が不要なった時点で、自動的に速やかに容積型圧縮機を停止でき、エネルギーの節約ができる。
【0034】
(8)内燃機関の定格空気量よりも小さい容量の電動式の容積型圧縮機を備えることより、過給装置の小型、低コスト化を図れると共に、容積型圧縮機を使用した低速回転域での加速状態から、排気ターボ過給機のみによる高速回転域への移行がスムーズに行える。
【0035】
(9)排気ターボ過給機の給気下流側に配置された容積型圧縮機を迂回するバイパス通路に、逆止弁と給気冷却装置を配置し、容積型圧縮機を使用している間は、逆止弁を閉じて給気冷却装置を給気が通らないようにしていることにより、容積型圧縮機により昇圧している間は給気を冷却しないことになり、青白煙を低減させることができる。
【0036】
(10)給気冷却装置を逆止弁と共にバイパス通路に配置している構成において、機関給気温度が所定値以下の時又は機関冷却水温度が所定値以下の時に容積型圧縮機を作動させるようにしていることにより、低温始動時に、自動的に給気を冷却しないで始動でき、低温始動性能が向上する。
【0037】
(11)給気冷却装置を逆止弁と共にバイパス通路に配置している構成において、機関給気温度又は機関冷却水温度が所定値以下の時に排気弁リフトを小さくし、または、排気弁開時期を遅らせるようにしていることにより、排気ガスの排出量を抑制して、排気ガス残留量を増やし、残留排気ガスの熱によりシリンダ周辺を加熱することができ、暖機運転時間を短縮することができる。
【0038】
(12)給気冷却装置を逆止弁と共にバイパス通路に配置している構成において、タービン容量が可変式の排気ターボ過給機を備え、機関給気温度又は機関冷却水温度が所定値以下の時にタービン容量を絞るようにしていることにより、排気ガスの排出量を抑制して、残留量を増やし、残留排気ガスの熱によりシリンダ周辺を速く加熱することができ、暖機運転時間が短縮される。
【0039】
(13)給気冷却装置を逆止弁と共にバイパス通路に配置している構成において、機関給気温度又は機関冷却水温度が所定値以下の時に排気通路の断面積を絞るようにしていることにより、排気ガスの排出量を抑制して、残留量を増やすことができ、排気ガスの熱によりシリンダ周辺を速く加熱することができ、暖機運転時間が短縮される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
[発明の第1の実施の形態]
(構成)
図1は本発明の第1の実施の形態であり、排気ターボ過給機13を備えた往復動式内燃機関に本発明を適用した例である。内燃機関1の燃焼室1aには、排気口2及び給気口3が開口すると共に燃料噴射ノズル部6が臨んでいる。排気口2には、排気通路12が接続すると共に開閉自在な排気弁4が配置され、給気口3には、給気通路10が接続すると共に開閉自在な給気弁5が配置され、燃料噴射ノズル部6には燃料供給通路8が接続している。
【0041】
燃料供給通路8にはスロットル弁9が回動自在に配置されると共に、該スロットル弁9の回動位置(スロットル開度)を検出することにより加速状態を検出する加速状態検出手段30が設けられ、該加速状態検出手段30は機関コントロールユニット33に電気的に接続し、スロットル開度が一定値以上になった時、すなわち加速状態を検出した時に、加速状態検出信号を機関コントロールユニット33に送信するようになっている。
【0042】
排気通路12には排気ターボ過給機13のタービン部14が配置されている。
【0043】
給気通路10には、前記排気ターボ過給機13の圧縮部15が配置されると共に該圧縮部15よりも給気下流側にインタークーラー等の給気冷却装置20が配置され、さらに該給気冷却装置20よりも給気下流側の給気通路部分10aには、電動式の容積型圧縮機21が配置されると共に、該容積型圧縮機21を迂回するバイパス通路11が設けられ、該バイパス通路11にはボール式の逆止弁22が配置されている。
【0044】
該逆止弁22の給気上流側の入口には、給気の流れを検出する給気流検出手段31が設けられ、該給気流検出手段31は機関コントローラユニット33に電気的に接続し、バイパス通路11内を給気が流れた時に給気流検出信号を機関コントロールユニット33に送信するようになっている。
【0045】
前記容積型圧縮機21は直流式の電動モータ25に連結され、該電動モータ25により駆動するようになっており、電動モータ25は機関コントロールユニット33に電気的に接続し、機関コントロールユニット33からの駆動信号及び停止信号によりON、OFF制御されるようになっている。前記容積型圧縮機21は、内燃機関1の定格空気量よりも小さい容量のものが用いられており、これに見合って、駆動モータ25も小容量のものを使用している。
【0046】
前記逆止弁22は、移動可能なボール27を弁座26に着座してなるボール式の逆止弁であり、機関1の給気口3側からの給気の逆流を阻止すると共に、給気上流側から給気口3側へのみ、ボール27を押し開いて給気を流通させることができるようになっている。
【0047】
(制御内容)
前記給気流検出手段31は、バイパス通路11内の給気の動圧を検出することにより給気流の有無を判断するものであり、動圧が所定値以上であれば逆止弁27が開いて給気が流れていると判断し、前述のように機関コントロールユニット33に給気流検出信号を送信する。
【0048】
前記加速状態検出手段30は、前述のようにスロットル弁9の開度を検出し、所定値以上のスロットル開度であれば加速状態と判断して、機関コントロールユニット33に加速状態検出信号を送信する。
【0049】
容積型圧縮機21の電動モータ25は、オペレータが任意に駆動することも可能であるが、原則として、前記加速状態検出手段30が加速状態を検出した時に、機関コントロールユニット33からの駆動信号により駆動するようになっており、さらに、電動モータ作動中、前記給気流検出手段31によりバイパス通路11内の給気流を検出した時に、機関コントロールユニット33からの停止信号により、停止するようになっている。
【0050】
(作動)
(1)図1において、アイドリング時等の低速運転時または低負荷運転時、容積型圧縮機21は停止し、給気通路部分10aは容積型圧縮機21により遮断された状態となっているので、排気ターボ過給機13の圧縮部15により若干加圧された空気は、逆止弁22のボール27を押し上げてバイパス通路11を開き、バイパス通路11を通って機関1の給気口3へ供給される。
【0051】
(2)前記低速運転等の状態からスロットル弁9を所定値以上に開いて加速した時、加速状態検出手段30が加速状態を検出して機関コントロールユニット33に加速状態検出信号を送信し、機関コントロールユニット33からの駆動信号により電動モータ25を駆動する。これにより、容積型圧縮機21は回転し始める。容積型圧縮機21の作動開始当初、該容積型圧縮機21を通過しきれない給気は、依然としてバイパス通路11を通るため、給気通路部分10aとバイパス通路11の両通路を通って給気口3へ給気が供給される状態となる。
【0052】
(3)容積型圧縮機21の回転速度が上昇して、容積型圧縮機21により給気が昇圧されるようになると、逆止弁22は、給気下流側(給気口3側)が昇圧することによりバイパス通路11を閉じてしまい、給気通路部分10aのみから給気が供給されるようになり、さらに昇圧できるようになる。この時、排気ターボ過給機13の圧縮部15の出口圧力は、給気下流側の容積型圧縮機21が存在しない場合よりも低くなっており、したがって、タービン軸13aの加速はより早くなる。
【0053】
(4)加速が進んで排気ターボ過給機13の回転速度が上昇し、圧縮部15から吐出される空気量が容積型圧縮機21の容量を超えるようになると、容積型圧縮機21は、排気ターボ過給機13の圧縮部15からの給気に対して抵抗となり、容積型圧縮機21を通過できない余剰の空気は、バイパス通路11の逆止弁22を押し開き、バイパス通路11を流れる。
【0054】
(5)前記のようにバイパス通路11に給気が流れ始めると、給気流検出手段31が給気流を検出することにより、機関コントロールユニット33から電動モータ25に停止信号が送られ、電動モータ25への給電が切断され、容積型圧縮機21は作動を停止する。これにより、排気ターボ過給機13の圧縮部15から吐出される空気は、すべてバイパス通路11を通って給気口3へ供給される。このように負荷の急増に対し、瞬時に空気量及び燃料量を増やし、大きなトルクを得ることができ、加速時における良好な応答性を得ることができる。
【0055】
(該実施の形態における効果)
(1)前記のように給気通路10に配置する圧縮機21を、機関の定格空気量よりも小さい小容量にすると共に、直流式の電動モータ25で駆動する容積型圧縮機としていることにより、低速回転から高速回転への移行時、容積型圧縮機21による加圧作用が加わった過給作用から排気ターボ過給機13のみによる過給作用へと、スムーズに移行することができる。詳しく説明すると、図10は、直流式の電動モータ25において、電流の変化に対する電圧、トルク及び回転速度の変化を示す図であり、供給電圧が一定の時には、回転速度の上昇と共にトルクが低下する関係となっている。したがって、直流式電動モータ25によって駆動される容積型圧縮機21の圧力比は、図11のラインX1(B1→B2→B3→B4)に示すように、回転速度の上昇にしたがって低下する関係となる。このラインX1(B1→B2→B3→B4)を排気ターボ過給機13のマップ上で示すと、図12のようなラインX1(C1→C2→C3→C4)となり、容積型圧縮機を備えていない場合の排気ターボ過給機の出力限界線X0と比べて、斜線で示す領域の圧力比増加が得られ、しかもその圧力増加量が回転速度の増加(空気流量の増加)に伴って次第に減少することにより、低速回転域から、排気ターボ過給機13のみによる定格回転速度(点A4、C4)の圧力比へとスムーズに移行することになる。つまり、圧縮機21の容量を内燃機関の定格回転時の空気容量よりも小さいものとしておき、しかも、圧縮機21として、停止時には遮断弁としての機能を果たす容積型のものを使用していることにより、低速回転域から高速回転域への移行時、圧縮機21が停止することにより自動的に逆止弁22が開き、低速時のみ働くようにしているので、小型で安価な電動式の過給システムを提供できるのである。
【0056】
(2)バイパス通路11の開閉を、バイパス通路11内の圧力変化によって自動的に開閉する逆止弁22により行うようにしているので、過給制御は、容積型圧縮機21の電動モータ25の電圧のみでよく、従来のバイパス弁のように、バイパス弁駆動用のアクチュエータ及び制御用の制御手段は不要となり、構造が簡素化される。
【0057】
(3)図1のような内燃機関を、非常時発電用ディーゼル機関に適用する場合には、たとえば機関が設置された建物が停電になったのを検知する検知機構を機関コントロールユニットに電気的に接続し、停電を確認した時に、電動モータを駆動するように構成することができる。これにより、停電時における機関の起動時間を短縮することができる。
【0058】
[発明の第2の実施の形態]
(構成及び作動)
図2は本発明の第2の実施の形態であり、排気ターボ過給機を備えていない内燃機関に適用した例である。排気ターボ過給機及び給気冷却装置を備えていないことを除いては、図1の構造と同じであり、同じ部品及び部分には同じ符号を付しており、詳しい説明は省略する。
【0059】
図2において、給気通路10に、電動モータ25で駆動する容積型圧縮機21を配置すると共に、容積型圧縮機21を迂回するバイパス通路11を設け、該バイパス通路11に逆止弁22を設けている。
【0060】
作動は、排気ターボ過給機による過給作用が加わらないこと以外は、図1と同様であり、加速性の向上並びに構造の簡素化を達成することができる。
【0061】
[逆止弁及び逆止弁開閉検出手段の変形例]
(1)図3はボール式の逆止弁22に、図1のような給気流検出手段31の代わりに差圧検出手段38を設けた例である。該差圧検出手段38は、弁座26よりも給気上流側に設けた圧力センサー38aと給気下流側に設けた圧力センサー38bを有し、上下流間の圧力差がほぼ0になったのを検出した時に、逆止弁22が開いてバイパス通路11内を給気が流れている状態と判断し、機関コントロールユニット33に逆止弁開検出信号を送り、機関コントロールユニット33からの停止信号により、容積型圧縮機21の電動モータ25を停止するようになっている。
【0062】
(2)図4は逆止弁22の変形例を示しており、板状弁体41を回動自在に備えると共に該板状弁体41を弁座42に着座させており、機関の給気口側からの給気の逆流を阻止すると共に、給気上流側から給気口側へのみ板状弁体41を押し開いて給気を流通させることができるようになっている。
【0063】
逆止弁22の開閉状態(バイパス通路11の開閉状態)を検出する開度検出手段としては、板状弁体41の回動量(リフト量)を検出する開度検出手段44を備え、板状弁体41の回動量(リフト量)が所定値以上であれば、逆止弁22が開いていると判断し、機関コントロールユニット33を介して容積型圧縮機21の電動モータ25を停止するようになっている。
【0064】
(3)図5の逆止弁22は、図4と同様に弁座42に着座する回動式の板状弁体41を備えた構造となっているが、逆止弁22の開閉状態(バイパス通路11の開閉状態)を検出する開度検出手段として、通電検出手段47を備えている。該通電検出手段47には、板状弁体41と弁座42に設けた接点46a、46bが接続しており、着座時には接点46a、46b同士が接触して通電し、非着座時、すなわち板状弁体41が開いている時には接点46a、46b同士が互いに離反し、非通電状態となる。
【0065】
通電検出手段47は機関コントロールユニット33に接続し、前記非通電状態を検出した時に、逆止弁22が開いていると判断し、機関コントロールユニット33を介して容積型圧縮機21の電動モータ25を停止するようになっている。
【0066】
[発明の第3の実施の形態]
(構成)
図6は本発明の第3の実施の形態であり、図1と同様に排気ターボ過給機13を備えた内燃機関に適用した例であるが、図1の構造と比較して、給気冷却装置20の配置位置と、容積型圧縮機21の作動を開始する時の条件検出手段が異なると共に、排気系を絞る手段を備えている。その他の構造は図1と同様であり、図1と同じ部品及び部分には同じ符号を付し、詳しい説明は省略する。
【0067】
給気冷却装置20は、逆止弁22より給気上流側のバイパス通路11内に配置されており、容積型圧縮機21が作動中は、給気冷却装置20で冷却された給気が流通しないようになっている。
【0068】
容積型圧縮機21の作動を開始するための条件検出手段として、排気ターボ過給機13の圧縮部15の給気上流側の給気通路部分10bに機関給気温度検出手段50を設けると共に、機関1の冷却水ジャケットに機関冷却水温度検出手段51を設けている。両温度検出手段50、51は機関コントロールユニット33に電気的に接続している。また、機関コントロールユニット33には機関の起動指令スイッチ48が電気的に接続している。
【0069】
前記機関給気温度検出手段50は、圧縮部15の給気入口部の給気温度を検出し、給気温度が所定値以下であれば、機関コントロールユニット33に「給気温度が低温である旨の検出信号」を送信するようになっている。
【0070】
前記機関冷却水温度検出手段51は、機関冷却水温度を検出し、機関冷却水温度が所定値以下であれば機関コントロールユニット33に「冷却水温度が低温である旨の検出信号」を送信するようになっている。
【0071】
容積型圧縮機21の電動モータ25は、機関の起動指令スイッチ48による起動指令を確認後、前記機関給気温度検出手段50又は機関冷却水温度検出手段51により、給気温度又は冷却水温度が所定値以下であることを検出した時に、機関コントロールユニット33からの駆動信号により駆動するようになっている。また、給気温度及び冷却水温度のいずれもが所定値より大きくなった時、または、電動モータ作動中、前記給気流検出手段31によりバイパス通路11内の給気流通状態を検出した時に、機関コントロールユニット33からの停止信号により、停止するようになっている。
【0072】
排気系を絞る手段として排気弁リフト調節手段52を設けており、該排気弁リフト調節手段52は機関コントロールユニット33に電気的に接続している。前記機関の起動指令スイッチ48による起動指令を確認後、前記機関給気温度検出手段50又は機関冷却水温度検出手段51により、給気温度又は冷却水温度が所定値以下であることを検出した時に、機関コントロールユニット33からのリフト調節信号により、排気弁リフトを減らすようになっている。
【0073】
(作動及び効果)
(1)機関コントロールユニット33が、機関の起動指令を確認すると共に、給気温度が所定値以下、または冷却水温度が所定値以下である検出信号が、給気温度検出手段50又は冷却水温度件検出手段51から入力された時に、機関コントロールユニット33からの駆動信号により電動モータ25を駆動する。これにより、容積型圧縮機21は回転し始める。容積型圧縮機21による圧力上昇により加熱された空気は、給気通路部分10aを通って機関の給気口3へ供給される。この時、容積型圧縮機21より給気下流側の給気通路部分の給気圧は、バイパス通路11の内圧(逆止弁22より給気上流側部分の圧力)よりも高くなっており、逆止弁22は閉じている。したがって、給気が給気冷却装置20を通ることはなく、冷却されない給気が給気口3へ供給される。
【0074】
図13は、容積型圧縮機21による給気温度上昇の一具体例を示しており、容積型圧縮機21として、圧力比が1.4、圧縮効率が55%のものを使用した場合、気温に対する機関給気口3における給気温度は、約50°Cの温度上昇となっており、氷点下でも温暖時のような給気を機関に供給でき、グロープラグ等による加熱が不要となる。
【0075】
図14は、クランク角度に対するシリンダ内空気温度及びシリンダ内空気圧力の変化であり、容積型圧縮機21を使用している場合をそれぞれ実線T1、P1で示し、容積型圧縮機21を使用していない場合をそれぞれ破線T0、P0で示している。圧縮上死点(右端のクランク角0度)において、容積型圧縮機21を使用している場合のシリンダ内空気温度(T1)は、容積型圧縮機21を使用していない場合のシリンダ内空気温度(T0)と比較して、約100°Cの温度上昇となり、また、容積型圧縮機21を使用している場合のシリンダ内空気圧力(P1)は、容積型圧縮機21を使用していない場合のシリンダ内空気圧力(P0)と比較して、約1000kPa以上の圧力上昇となる。このシリンダ内温度及びシリンダ内圧力の上昇により、熱伝達率は約1.6倍に増加し、容積型圧縮機21の壁面への入熱が大きくなり、前記壁面を早く加熱することができる。
【0076】
(2)前述のように、図6の給気温度または冷却水温度が所定値以下になって、電動モータ25を駆動したとき、同時に、排気弁リフト調節手段52を作動させ、排気弁4のリフト量を減らす。これにより排気行程中のポンピングロスを増加させ、シリンダ圧力及び温度を高く保ち、シリンダの壁面温度を早く上昇させる。
【0077】
詳しく説明すると、図6の容積型圧縮機21が作動して空気が圧送されると、容積型圧縮機21の圧縮仕事(ブロア仕事)がシリンダ内のピストン仕事の一部になり、アイドリング時の燃料流量が、容積型圧縮機21が無い場合と比べて少なくなり、シリンダ壁面の加熱作用が低下することになる。これに対し、シリンダ壁面を早く加熱するためには、アイドリング時の燃料流量の減少を阻止することが有効であり、その一対策として、前述のように排気弁リフトを小さくすることにより、高温の排気の残留量を増やすと共に、排気行程におけるポンピングロスを増加させ、シリンダ内圧力及び温度を高く保ち、シリンダ壁面への入り熱を大きくし、壁面温度を、より早く上昇させることができる。
【0078】
(3)機関始動後、一定時間経過して、給気温度又は冷却水温度が所定値を越えた時には、容積型圧縮機21を停止すると共に、排気弁リフト調節手段52により、排気弁4のリフト量を元の状態に戻し、低温始動を完了する。
【0079】
[発明の第4の実施の形態]
図7は、本発明の第4の実施の形態であり、図6の構造と比較して、排気系を絞る手段として、排気弁リフト調節手段の代わりに、排気ターボ過給機13のタービン部14の入口に排気絞り弁54を設けている。その他の構造は図6と同様であり、同じ部品及び部分には同じ符号を付し、詳しい説明は省略する。
【0080】
作動及び効果も図6の場合と基本的には同様であり、詳しい説明は省略するが、給気温度または冷却水温度が所定値以下になって、電動モータ25を駆動したとき、同時に、排気絞り弁54を絞り、これにより排気行程中のポンピングロスを増加させ、シリンダ圧力及び温度を高く保ち、シリンダの壁面温度を早く上昇させる。
【0081】
[発明の第5の実施の形態]
図8は、本発明の第5の実施の形態であり、図6の変形例であり、排気系を絞る手段として、排気ターボ過給機13のタービン部14の出口に排気絞り弁55を設けている。その他の構造は図6と同様であり、同じ部品及び部分には同じ符号を付し、詳しい説明は省略する。
【0082】
[その他の実施の形態]
(1)容積型圧縮機の作動開始条件を検出する手段として、図1のように加速状態検出手段30を備え、加速状態の時に作動開始させる構成と、図6のように機関給気温度又は機関冷却水温度を検出する手段50、51を備え、いずれかの温度が所定値以下の時に作動開始させる構成とを併用することも可能である。この場合は、排気系の絞りは作動させない。
【0083】
(2)容積型圧縮機の作動開始条件を検出する手段として、図6のように機関給気温度と機関冷却水温度を検出する手段を共に備える代わりに、一方の温度の検出手段のみを備える構造とすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明を適用した内燃機関の過給装置の第1の実施の形態の配管図である。
【図2】本発明を適用した内燃機関の過給装置の第2の実施の形態の配管図である。
【図3】差圧検出手段を備えた逆止弁の拡大断面図である。
【図4】逆止弁の変形例及びその開度検出手段の拡大断面図である。
【図5】逆止弁の変形例及びその通電状態検出手段の拡大断面図である。
【図6】本発明を適用した内燃機関の過給装置の第3の実施の形態の配管図である。
【図7】本発明を適用した内燃機関の過給装置の第4の実施の形態の配管図である。
【図8】本発明を適用した内燃機関の過給装置の第5の実施の形態の配管図である。
【図9】排気ターボ過給機の圧縮部と容積型圧縮機と過給システム全体のそれぞれにおける空気流量と圧力比の関係を示す図である。
【図10】容積型圧縮機用電動モータの電流に対する回転速度、電圧及びトルクの関係を示す図である。
【図11】容積型圧縮機の回転速度と圧力比との関係を示す図である。
【図12】過給システム全体の空気流量と圧力比との関係を示す図である。
【図13】容積型圧縮機による給気温度上昇を示す図である。
【図14】クランク角度に対するシリンダ内空気温度及びシリンダ内空気圧力の関係を示す図である。
【図15】従来例の配管略図である。
【図16】図15の排気ターボ過給機の圧縮部の空気流量と圧力比の関係を示す図である。
【図17】別の従来例の配管略図である。
【符号の説明】
【0085】
1 内燃機関
2 排気口
3 給気口
4 排気弁
5 給気弁
6 燃料噴射ノズル部
8 燃料供給通路
9 スロットル弁
10 給気通路
10a 給気通路部分
11 バイパス通路
12 排気通路
13 排気ターボ過給機
14 タービン部
15 圧縮部
22 逆止弁
26 弁座
27 ボール
30 加速状態検出手段(スロットル開度検出手段)
31 給気流検出手段
33 機関コントロールユニット
38 差圧検出手段
44 逆止弁の開度検出手段
47 逆止弁の通電検出手段
50 機関給気温度検出手段
51 機関冷却水温度検出手段
52 排気弁リフト調節手段
54 排気絞り弁(排気絞り手段の一例)
55 排気絞り弁(排気絞り手段の一例)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給気通路に、電動モータによって駆動する容積型圧縮機を設けると共に、該容積型圧縮機を迂回するバイパス通路を設け、
該バイパス通路には、機関の給気口側からの給気の逆流を阻止する逆止弁を配置し、
該逆止弁は、容積型圧縮機が作動して給気を昇圧している間はバイパス通路を閉じており、容積型圧縮機による給気の昇圧が無くなった時、逆止弁を開いて機関の給気口側へ給気を流すことができるように構成したことを特徴とする内燃機関の過給装置。
【請求項2】
請求項1記載の内燃機関の過給装置において、
給気通路に排気ターボ過給機の圧縮部を配置し、
該圧縮部より給気下流側の給気通路部分に給気冷却装置を配置し、
該給気冷却装置より給気下流側の給気通路部分に、前記容積型圧縮機を配置すると共に前記逆止弁を有するバイパス通路を設けたことを特徴とする内燃機関の過給装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の内燃機関の過給装置において、
機関回転の加速状態を検出する加速状態検出手段を設け、
加速状態を検出した時に前記容積型圧縮機を作動させるようにしたことを特徴とする内燃機関の過給装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関の過給装置において、
前記逆止弁は、移動可能なボールを弁座に着座させたボール式逆止弁である内燃機関の過給装置。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関の過給装置において、
前記逆止弁は、回動可能な板状弁体を弁座に着座させた逆止弁である内燃機関の過給装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の内燃機関の過給装置において、
前記逆止弁の給気上流側と給気下流側の差圧を検出する差圧検出手段をバイパス通路に配置し、
前記容積型圧縮機が作動中、検出差圧が所定値以下になった時に、容積型圧縮機を停止するようにした内燃機関の過給装置。
【請求項7】
請求項5記載の内燃機関の過給装置において、
前記板状弁体の回動量により逆止弁開度を検出する開度検出手段を設け、
前記容積型圧縮機が作動中、逆止弁開度が所定値以上になった時に、容積型圧縮機を停止するようにした内燃機関の過給装置。
【請求項8】
請求項5記載の内燃機関の過給装置において、
逆止弁の弁座と板状弁体とに、着座時に通電し、非着座時には非通電となる接点を設けると共に、前記通電、非通電を検出する通電検出手段を設け、
前記容積型圧縮機が作動中、非通電状態を検出した時に、容積型圧縮機を停止するようにした内燃機関の過給装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の内燃機関の過給装置において、
容積型圧縮機の空気容量は、内燃機関の定格空気量よりも小さいことを特徴とする内燃機関の過給装置。
【請求項10】
請求項1記載の内燃機関の過給装置において、
給気通路に排気ターボ過給機の圧縮部を配置し、
該圧縮部より給気下流側の給気通路部分に前記容積型圧縮機を配置すると共に該容積型圧縮機を迂回するバイパス通路を設け、
前記逆止弁より給気上流側のバイパス通路部分に給気冷却装置を配置したことを特徴とする内燃機関の過給装置。
【請求項11】
請求項10記載の内燃機関の過給装置において、
機関給気温度検出手段を設け、
機関給気温度が所定値以下の時に前記容積型圧縮機を作動させるようにしたことを特徴とする内燃機関の過給装置。
【請求項12】
請求項10記載の内燃機関の過給装置において、
機関冷却水温度検出手段を設け、
機関冷却水温度が所定値以下の時に容積型圧縮機を作動させるようにしたことを特徴とする内燃機関の過給装置。
【請求項13】
請求項11又は12記載の内燃機関の過給装置において、
排気弁リフト調節手段を設け、
機関給気温度又は機関冷却水温度が所定値以下の時に排気弁リフトを小さくするようにしたことを特徴とする内燃機関の過給装置。
【請求項14】
請求項11又は12記載の内燃機関の過給装置において、
排気弁開閉時期調節手段を設け、
機関給気温度又は機関冷却水温度が所定値以下の時に排気弁開時期を遅らせるようにしたことを特徴とする内燃機関の過給装置。
【請求項15】
請求項11又は12記載の内燃機関の過給装置において、
前記排気ターボ過給機はタービン容量が可変式となっており、
機関給気温度又は機関冷却水温度が所定値以下の時に排気ターボ過給機のタービン容量を小さくするようにしたことを特徴とする内燃機関の過給装置。
【請求項16】
請求項11又は12記載の内燃機関の過給装置において、
前記排気ターボ過給機のタービン部に、排気出口断面積を可変とする絞り手段を設け、
機関給気温度又は機関冷却水温度が所定値以下の時に前記絞り手段により排気出口断面積を絞るようにしたことを特徴とする内燃機関の過給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−170060(P2006−170060A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−363008(P2004−363008)
【出願日】平成16年12月15日(2004.12.15)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】