説明

分離トレンチの形成方法

【課題】隣接デバイスの特性への悪影響を低減するTSV相互接続構造の製造方法を提供する。
【解決手段】第1の主面S1を有する基板を設け、少なくとも一つのTSV穴部と、TSV穴部を囲み残りの基板材料によって分離されるトレンチ状構造3、とをエッチングにより同時に作製する。基板の第1の主面でトレンチ状構造の開口をピンチオフするためと、TSV穴部側壁を平滑にするために、誘電性のライナー2a、2bを堆積し、トレンチ状構造にエアギャップ4を作製する。TSV相互接続10を生成するためにTSV穴部に導体材料を堆積する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置における電気的接続の分野に関する。より詳しくは、本発明は、エアギャップを備える分離トレンチを形成する分野、及び半導体装置の積層動作にて用いられるSi貫通ビア(TSV)のような相互接続構造を形成する分野に関する。本発明は、さらに、このように得られた装置に関する。
【背景技術】
【0002】
IC技術のスケーリングが継続する中で、小面積上における多量の電子回路に起因して、チップ入出力接続パッド(I/O)の密度は増加し続けている。これは、集積回路(IC)及び/又は他のシステム・エレメントとの間の相互接続の処理能力を増すことにつながる。短い相互接続のために、電気的信号ラインは、最高容量及び速度を維持する。増加する速度及び密度の要求に遅れずについていくために、システム・イン・パッケージ(SIP)技術は、ますます用いられている。これは、3次元の相互接続に関する必要を生み出す。
【0003】
3D集積化は、能動素子がその上あるいはその中に実現される基板(ウェーハ)のバルクを通り抜ける電気的な相互接続の実現を要求する。これらは、いわゆるSi貫通ビア(TSV)接続である。TSV接続を実現する一つの特別なアプローチは、いわゆるビア・ミドルアプローチである。ここで、TSVは、複数層のチップ相互接続積層の集積化の直前(よって、この集積化はバックエンド・オブ・ライン(BEOL)と呼ばれる)で、能動素子の製作後(よって、能動素子の製作は、フロントエンド・オブ・ライン(FEOL)と呼ばれる)に実現される。TSVの電気的導電材料は、典型的には銅あるいはタングステンの金属である。
【0004】
しかしながら、最新技術では、良好なデバイス性能にて信頼できる方法においてこれらのTSV接続を結合するために解決される必要のある主要な問題が依然として存在する。即ち、
−シリコン基板を介する金属接続の使用は、シリコン基板において大きな機械的ストレス・レベルに帰着し、シリコン(Si)における移動度変形をもたらし、隣接するデバイスの性能劣化に帰着する。
−また、基板のバルクを通る比較的大きな金属構造の存在は、回路性能を下げる比較的大きな電気容量をもたらす。
−また、過渡的動作中のTSV基板の電位及び充電電流による静電界は、隣接デバイスのデバイス性能に影響するかもしれない。
【0005】
従って、TSV相互接続、及びそれらを統合する方法に改善する余地がある。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、3Dで積層された半導体デバイスにおいて用いられるためのSi貫通ビア相互接続のような基板貫通ビア(TSV)を提供することを目的とし、それにより、隣接するデバイスの方への3D-TSVの悪影響を低減し、及び、それらを得るための良好な方法を提供することを目的とする。
【0007】
本発明による実施形態の利点は、分離トレンチがTSV相互接続構造のまわりに設けられ、このトレンチはエアギャップを備え、改善された電気的及び/又は機械的な挙動に帰着するということである。
【0008】
本発明による実施形態の利点は、方法つまり既存の加工技術を利用する3D−TSV半導体装置を製造することが提供されるということである。
【0009】
本発明の実施形態は、相対的に大きな3D−TSV相互接続構造によってもたらされる悪影響を著しく低減する。この悪影響は、前記3D−TSV構造のまわりの基板に生成される機械的ストレスである場合もあり、それによって周囲の基板における移動度変形をもたらし、従って隣接のデバイスの性能劣化となる。悪影響は、隣接する回路の性能を下げる比較的大きな電気容量を誘導することによって引き起こされるかもしれない。さらに、大きな3D−TSV構造によってもたらされる悪影響は、3D−TSVの内の静電界及び電位の生成が原因かもしれず、それにより、過渡的動作中に、隣接するデバイスの性能に影響するかもしれない周囲の基板における充電電流を生成する。前記3D−TSV相互接続構造の加工の間にエアギャップを有する分離トレンチを形成することにより、上述の悪影響の少なくともいくつかが解決されるということが本発明の実施形態の利点である。追加の処理工程を加えず、3D−TSVを作製するために要求される処理工程を使用して分離トレンチが提供されることは、本発明による実施形態の利点である。
【0010】
より詳しくは、本発明の実施形態は、分離構造においてエアギャップを形成し、それによって、その構造が、大きなTSV相互接続構造の周辺領域における機械的ストレス、電界、及び静電容量効果を減らすために、TSV相互接続構造の周りに置かれる、という方法に関する。
【0011】
上述の目的は、本発明による方法及び装置によって達成される。
【0012】
本発明は、少なくとも一つの分離トレンチ状の構造によって囲まれる少なくとも一つのSi貫通ビア(TSV)相互接続構造を提供する方法に関し、そのトレンチ状の構造は、少なくとも一つのエアギャップを有し、上記方法は、
第1の主面を有する基板を設けること、
少なくとも一つのTSV穴部とトレンチ状の構造とを同時に作製すること、ここで、トレンチ状の構造は、TSV穴部を囲み、残りの基板材料によってTSV穴部から分離される、
その後、トレンチ状の構造に少なくとも一つのエアギャップを作製し、それにより中空のトレンチ状の構造を形成するために、エッチングされたTSV穴部の側壁を平らにし、基板の第1の主面でトレンチ状の構造の開口をピンチオフするため、誘電性のライナーを堆積すること、
TSV相互接続を作製するためにTSV穴部に導体材料を堆積すること、
を少なくとも備える。
【0013】
少なくとも一つのTSV穴部は、ほぼ0.1μmから30μm程度で、例えば0.1μmから30μmまでの間の、ほぼ2μmから20μm程度で、例えば2μmと20μmとの間の直径、これはまた幅と呼ばれるかもしれない、を有することができる。トレンチ状の構造は、1000nm未満のトレンチ幅を有することができる。基板は、その第1の主面材料に能動素子を有するシリコンウェーハであってもよく、その能動素子は、先行のフロントエンド・オブ・ライン(FEOL)処理中に作製される。
【0014】
少なくとも一つのTSV穴部とトレンチ状の構造とを同時に作製する工程は、分離トレンチ状構造が100−500nmの幅のトレンチを有するように、TSV穴部が0.1μmから30μmまでの間で、例えば2と20μmの間の直径(幅)を有するように、及び、分離トレンチ状構造がビア深さの約1/5〜2/3の深さ、例えばビア深さの1/5と2/3との間の深さを有するように、アスペクト比依存エッチングを用いて実行されてもよい。
【0015】
アスペクト比依存エッチングは、等方性エッチング及び不動態化の交互の工程を備えてもよい。
【0016】
等方性エッチングは、SF系のプラズマエッチング工程で、不動態化工程は、C系のプラズマ不動態化工程であってもよい。
【0017】
等方性エッチング工程及び/又は不動態化工程は、酸素及び/又は不活性ガスを用いることを備えても良い。
【0018】
堆積されたライナーは、TEOSライナーであってもよい。
【0019】
TSV相互接続構造を作製するためにTSV穴部に導体材料を堆積する工程は、電気化学堆積(ECD)技術、あるいは化学蒸着法(CVD)を用いて実行してもよく、ここで、導体材料は、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)あるいは他のいずれかの金属のような金属及び/又は金属の合金、あるいは、注入された半導体、導電性シリコン、導電性ポリマー、カーボンナノチューブのような代わりの導体材料から選択されたものであってもよい。
【0020】
その方法は、TSV相互接続の作製工程後に、基板の水平部上の導体材料のオーバーバーデンを除去するために、導体材料の平坦化工程を備えても良い。その平坦化工程は、化学機械平坦化(CMP)であってもよい。
【0021】
その方法は、TSV相互接続の作製工程後に、金属の粒成長を開始するために熱アニール工程を備えても良い。
【0022】
その方法は、TSV相互接続の作製工程後に、TSV相互接続、及びさらに幾つかのバックエンド・オブ・ライン(BEOL)相互接続層上に金属接点を設ける工程を備えても良い。
【0023】
本発明は、また、半導体基板の3D堆積に関する上述のような少なくとも一つのSi貫通ビア(TSV)相互接続構造を設ける方法を使用することに関し、この使用は、さらに、裏面からTSV相互接続を開けて3D堆積を可能にするために、機械的な操作を用いて基板の裏面を薄くする工程を備える。
【0024】
TSV相互接続構造は、さらに、はんだボール又はバンプが設けられても良い。本発明は、さらに、少なくとも一つのSi貫通ビア(TSV)を提供する方法を用いて作製されたエアギャップを備えた少なくとも一つの分離トレンチ状構造により囲まれた少なくとも一つの相互接続の基板(Si)貫通電極(TSV)構造を備えた基板に関し、ここで、相互接続TSV構造は、3D−TSVである。その基板は、3Dに積層された半導体装置に埋め込まれた基板であってもよい。
【0025】
本発明は、また、上に記述されるような基板を備えた、3Dに積み重ねられた半導体装置に関する。
【0026】
本発明の特定で好ましい態様は、添付の独立及び従属請求項の中で述べられる。従属請求項からの特徴は、独立請求項の特徴と、及び、必要に応じて他の従属請求項の特徴及び請求項に明示的に述べられているだけでない特徴と組み合わせてもよい。発明の、これらの及び他の態様は、以下に記述された実施形態から明らかになり、実施形態に関して解明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1A】3D−TSV相互接続を有する最新の半導体基板の側面図であり、ここで3D−TSVは、基板における約50μmの深さで約5μmの直径(幅)を有する(図1)。
【図1B】3D−TSV相互接続を有する最新の半導体基板の側面図であり、約2μmの直径(幅)を有する3D−TSVの図であり、これによりさらにデバイスの拡大縮小要求に対応する。図1A及び図1Bの両方のTSV構造は、TSVの内側側壁に堆積されたライナーを有し、このライナーは、TSVにおいて約200nmの幅を有する。
【図2A】図1による3D−TSVを有する半導体基板の側面図であり、さらに、発明の実施形態による少なくとも一つのエアギャップを有する分離トレンチ状構造を備える側面図である。
【図2B】図1による3D−TSVを有する半導体基板の側面図であり、さらに、発明の実施形態による少なくとも一つのエアギャップを有する分離トレンチ状構造を備え、その半導体基板の一部の平面図と組み合わせた、より詳細な側面図である。
【図3】発明の実施形態による50μm深さ、5μm幅のTSVを同時にエッチングするために、ボッシュエッチング工程を行なうとき、トレンチ直径(幅)の関数におけるトレンチ深さを図示する。本図は、アスペクト比依存−エッチング速度効果(ARDE)を図示する。
【図4】TSVにおけるストレスに関して、TSVを囲む(Si)基板におけるストレスを、分離トレンチとTSVとの間の基板(Si)リングの直径(幅)の関数として図示し、本発明の実施形態の利点を図示している。
【図5】TSVにおけるストレスに起因するTSVの周りの基板(Si)リングにおけるストレスを図示する一次分析モデルを図示し、本発明の実施形態の利点を図示している。
【図6】Aは、標準深さビアエッチング工程を実行後のTSVを図示し、本発明の実施形態の利点を図示している。Bは、制限されたスカラップによりアンダーカットの無いエッチングを得るために最適化された深さビアエッチング工程を適用した後のTSVを図示し、本発明の実施形態の利点を図示している。
【図7A】5μmの直径(幅)のTSVを有し、アスペクト比1:1、3:1、及び5:1を有する基板(300mmのウェーハ)で、SA−CVD O3−TEOSプロセス(400℃で)を用いてTEOSライナーの厚みを図示し、本発明の特定の実施形態の特徴を図示している。
【図7B】アスペクト比10:1を有するTSVの底部及び側壁のSEM写真を図示し、本発明の特定の実施形態の特徴を図示している。底部の側壁での200nm厚のライナーに関して、500nm厚の層が基板(ウェーハ)の表面に堆積される。
【図8】銅で充填され、本発明の特定の実施態様による、SA−CVDで堆積されたTEOSライナーを有するTSV相互接続構造を示すSEM写真である。TEOSライナーは、TSV穴部の内側側壁の波打った表面をはっきりと平らにする。
【図9】本発明の特定の実施態様による、TSV穴部(エッチングされる)、及び分離トレンチ又はリング(エッチングされる)を形成するために、パターン化した後に、フォトレジスト、PMD、及びSTI層を有する基板の詳細図である。
【図10A】ビア・ミドル・アプローチに基づいてSi貫通ビア(TSV)相互接続を作製するための、本発明の特定の実施形態による異なる加工工程を示し、それにより、TSV相互接続がエアギャップを有する分離トレンチによって囲まれる。
【図10B】ビア・ミドル・アプローチに基づいてSi貫通ビア(TSV)相互接続を作製するための、本発明の特定の実施形態による異なる加工工程を示し、それにより、TSV相互接続がエアギャップを有する分離トレンチによって囲まれる。
【図10C】ビア・ミドル・アプローチに基づいてSi貫通ビア(TSV)相互接続を作製するための、本発明の特定の実施形態による異なる加工工程を示し、それにより、TSV相互接続がエアギャップを有する分離トレンチによって囲まれる。
【図10D】ビア・ミドル・アプローチに基づいてSi貫通ビア(TSV)相互接続を作製するための、本発明の特定の実施形態による異なる加工工程を示し、それにより、TSV相互接続がエアギャップを有する分離トレンチによって囲まれる。
【図10E】ビア・ミドル・アプローチに基づいてSi貫通ビア(TSV)相互接続を作製するための、本発明の特定の実施形態による異なる加工工程を示し、それにより、TSV相互接続がエアギャップを有する分離トレンチによって囲まれる。
【図10F】ビア・ミドル・アプローチに基づいてSi貫通ビア(TSV)相互接続を作製するための、本発明の特定の実施形態による異なる加工工程を示し、それにより、TSV相互接続がエアギャップを有する分離トレンチによって囲まれる。
【図10G】ビア・ミドル・アプローチに基づいてSi貫通ビア(TSV)相互接続を作製するための、本発明の特定の実施形態による異なる加工工程を示し、それにより、TSV相互接続がエアギャップを有する分離トレンチによって囲まれる。
【図10H】ビア・ミドル・アプローチに基づいてSi貫通ビア(TSV)相互接続を作製するための、本発明の特定の実施形態による異なる加工工程を示し、それにより、TSV相互接続がエアギャップを有する分離トレンチによって囲まれる。
【図11A】本発明の特定の実施形態による、分離トレンチ状構造(リング)とTSV構造との間における幅WSiを有する少なくとも一つのエアギャップ及び残り(Si)の基板(Siリング)を有する分離トレンチ状構造を有し直径φCuを有する3D−TSVを図示する。
【図11B】残りの基板(WSi)の幅の関数として、CuTSVの直径(φCu)の関数として周方向(輪状)ストレスを図示する。 図は、単に概略であり、これに限定されない。図において、要素の内のいくつかのサイズは、誇張されているかもしれず、説明の目的のため縮尺通りに描かれていない。 請求項におけるいかなる引用符号も請求範囲を限定するとして解釈されないものとする。異なる図において、同じ引用符号は、同じ又は類似の要素を指す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、特定の実施態様に関して、及びある図を参照して記述されるが、しかし、発明は、それに限定されるものではなく、請求範囲によってのみ限定される。記述された図は、単に模式的であり、限定するものではない。図において、要素の内のいくつかのサイズは、誇張されているかもしれず、説明の目的のため縮尺通りに描かれていない。寸法及び相対的な寸法は、実際の縮尺及び発明の実際の実施に対応していない。
【0029】
さらに、実施形態及び請求範囲における第1、第2等の用語は、類似の要素間を区別するために使用され、時間的、空間的、順序、あるいは他の方法において、必ずしも連続するものを述べるためのものではない。そのように使用される用語は、適切な状況下で交換可能であり、ここに記述された発明の実施形態は、ここに記述されあるいは説明された以外の他の順序における動作が可能であると理解されるべきである。
【0030】
さらに、実施形態及び請求範囲における上端、下、等の用語は、便宜上、使用されるものであり、必ずしも相対的な位置を述べるものではない。そのように使用される用語は、適切な状況下で交換可能であり、ここに記述された発明の実施形態は、ここに記述されあるいは説明された以外の他の配向における動作が可能であると理解されるべきである。
【0031】
請求範囲において使用される、用語「備える」は、それ以後に列挙する手段に限定されるように解釈すべきではないことに注意すべきである。即ち、それは、他の構成部分又は工程を排除しない。よって、そのように述べられた特徴、整数、工程、又は部品を明記するように解釈されるべきであり、1つ以上の他の特徴、整数、工程、又は部品、あるいはそれらのグループの存在や追加を妨げない。したがって、表現「手段A及びBを備えたデバイス」の権利範囲は、部品A及びBのみからなるデバイスに限定されるべきではない。それは、本発明に関して、デバイスの唯一関連ある部品がA及びBであるということを意味する。
【0032】
この明細書の全体にわたり参照する「一つの実施形態」あるいは「ある実施形態」は、実施形態に関する特定の特徴、構造、又は特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれているということを意味する。したがって、この明細書全体の種々の箇所に記載される「一つの実施形態において」あるいは「ある実施形態において」の文言は、必ずしも同じ実施形態を参照するものではない。しかしその場合もある。更に、この開示内容から当業者には明らかになるであろうように、一若しくは複数の実施形態において、特定の特徴、構造、又は特性は、いずれかの適切な方法において結合可能である。
【0033】
同様に、発明の例示的な実施形態の記述において、開示内容を合理化し、一若しくは複数の様々な創造的な態様の理解を助けるため、当然のことながら、発明の様々な特徴は、時々、単一の実施形態、図、又は記述にまとめられる。しかしながら、この開示方法は、クレームされた発明が各請求項に明確に述べられるものよりも多い特徴を必要とするという意図を反映するように解釈されるべきではない。むしろ、以下の請求項が示すように、創造性のある態様は、単一の先の開示された実施形態のすべての特徴よりも少なく存在する。したがって、詳細な説明に続く請求項は、この発明の別個の実施形態としてそれ自身に基づく各請求項とともに、この詳細な説明内へ明らかに組み込まれる。
【0034】
更に、ここに記述された幾つかの実施形態は、他の実施形態に含まれた他の特徴ではない幾つかを含むが、異なる実施形態の特徴の組み合わせは、当業者によって理解されるであろうように、発明の権利範囲内であることを意味し、異なる実施形態を形成する。例えば、以下の請求項において、クレームされた実施形態のいずれかは、いずれかの組み合わせにて用いることができる。
【0035】
ここに提供された記述では、多くの特別な詳細が述べられている。しかしながら、発明の実施形態は、それらの特別な詳細無しで実施可能であるということが理解される。他の例では、良く知られた方法、構造、及び技術は、ここでの記述の理解を不明瞭にしないために、詳細には示されていない。
【0036】
ここで、本発明の実施形態及び/又は請求範囲では、Si貫通ビア(through silicon via)が参照されており、参照は、シリコン基板を通るビアだけではなく、より一般的に、例えば半導体能動素子を備える半導体基板のような、基板を通るものも相当する。ここで、本発明の実施形態及び/又は請求範囲では、参照は基板でなされており、基板はシリコン基板であってもよく、また、例えば半導体能動素子を備える半導体基板のような、他の適切ないずれの基板であってもよい。
【0037】
ここで、本発明の実施形態では、参照は、「トレンチ状の構造」を分離することであり、これは、TSV構造を囲んでいる特定のトレンチ幅W、またしばしばトレンチ状の構造の厚み、直径、あるいは幅として参照されるものを有するいずれの幾何学的形状の構造を参照してもよい。
【0038】
トレンチ状の構造は、閉じられたループ構造であってもよい。トレンチ状構造用の適切な形状例は、円形のリング、多角形のリング、あるいは四角のリング、… である。いくつかの実施形態において、エアギャップは、それ自体、相互接続構造を囲むためのリング状の形状を有していてもよい。上記「トレンチ状の構造」とTSV構造との間には、基板材料がある。実施形態において、分離トレンチ状構造は、少なくとも臨界厚さを有する基板(例えばシリコン)材料を残すことでTSVから分離され、また残りの基板材料の直径又は幅として参照され、1μmからビア直径の2倍までのオーダーであり、より最適ではビア直径の1/2である。
【0039】
ここで、本発明の実施形態では、パルスエッチング(pulsed etching)が参照され、これはエッチング工程が堆積工程と交互に起こるプロセスを参照し、これはほぼ垂直構造を達成するために繰り返される。また、それは「ボッシュプロセス(Bosch process)」として参照される。プラズマは、いくつかのイオンを含み、それはほぼ垂直方向からウェーハを攻撃する。シリコンについては、このパルスエッチングは、好ましくは六フッ化硫黄原料ガス[SF]を用い、化学的に不活発な保護層の堆積の間に、好ましくはC原料ガスが用いられ、各パルス段階(pulsed phase)は、好ましくは数秒間続く。上記保護層は、さらなる化学的な攻撃から基板全面を保護し、更なる(横方向の)エッチングを防止する。
【0040】
しかしながら、エッチング段階の間、基板を砲撃する指向性のイオンは、トレンチの底部で(しかし側面に沿ってではない)保護層を攻撃する。エッチング/堆積工程は、エッチングされたピットの底部にのみ起こる多数の非常に小さな等方性のエッチング工程になることを超えて繰り返される。例えば、0.5mmのシリコンウェーハを貫いてエッチングするために、100〜1000のエッチング/堆積工程が必要である。典型的に、このエッチング工程は、波打った(スカラップ:scalloped)表面を有する側壁に帰着する。
【0041】
本発明は、半導体装置及びこの装置を作る方法に関し、その半導体装置は、少なくとも一つの3D−TSV相互接続を備え、トレンチ状の構造を分離し、このトレンチ状の構造は、少なくとも一つのエアギャップを備える。上記3D−TSV相互接続は、好ましくは、導体材料で作られた柱であり、この柱は、例えば別の半導体基板の相互接続構造あるいは別の半導体装置、及び/又は同じ半導体装置内の相互接続構造の別のレベルに接続可能である。
【0042】
3D−TSV相互接続を作る本発明の方法は、いわゆる「ビア・ミドル(via-middle)」アプローチに基づく。ここで、TSVは、能動素子の作製の後(フロントエンド・オブ・ライン、FEOL)で、多層のチップ相互接続積み重ねの集積化の直前(バックエンド・オブ・ライン、BEOL)に実現される。TSVの電気的な導電材料は、典型的には銅あるいはタングステンの金属である。
【0043】
発明の第1の態様によれば、基板、好ましくは半導体能動素子を備えた半導体基板は、エアギャップを備えた少なくとも一つの分離トレンチ状構造によって囲まれる、少なくとも相互接続基板(Si)貫通ビア(TSV)構造を備えて開示される。相互接続構造は、好ましくは、導電性の柱の形態における3D−TSVである。少なくとも一つの分離トレンチ状の構造は、少なくともエアギャップ、及びエアギャップをピンチオフするシーリングを備える。トレンチ状の構造は、典型的に、元の半導体基板材料で作られたスペーサ材料によって相互接続構造から分離される。本発明の実施形態によれば、基板は、更なる態様にて記載されるような方法を用いて作られる。
【0044】
例示として、これに限定されないが本発明の実施形態は、標準の及び任意的な特徴は、図2A及び図2Bに関して記述されるであろう。比較のため、第1の参照は、従来から知られている、エアギャップ・トレンチを有していない3D−TSV相互接続構造を図示する図1A及び図1Bでなされる。
【0045】
図1A及び図1Bは、3D−TSV相互接続10を有する最新の半導体基板の側面を図示する。この3D−TSVは、約50μmの基板Sにおける深さ及び約5μmの直径を有する(図1A)。図1Bは、約2μmの直径を有する3D−TSV10を説明し、これにより拡大縮小要求のさらなる装置に対応する。両方のTSV構造10は、TSVの内側側壁に堆積されるライナー2bを有し、このライナー2bは、TSV10において約200nmの幅を有する。
【0046】
本発明による実施形態の特定例の側面図を示す図2A及び図2Bでは、半導体基板Sは、3D−TSV10を有する。半導体基板Sは、約50μmの基板Sにおける深さ、及び約2μmの直径(幅)を有する本例における3D−TSV10を備え、さらに、少なくとも一つのエアギャップ4を備えた分離トレンチ状構造3を備える。よって、このトレンチ状構造3は、少なくとも一つのエアギャップ4を備える中空のトレンチ状の構造である。ライナー2bは、基板S上に、及びTSVの内側側壁2b上に堆積されてもよい。本例では、本発明の実施態様はこれに限定されないが、ライナー2bは、上記TSVの内側側壁に約200nmの厚さを有する。ライナーは、さらに、分離トレンチ状構造3をピンチ(pinch)してもよく、それによってトレンチ状構造にエアギャップ4を生成する。図2Aは、側面図を示し、図2Bは、平面図と組み合わされた、より詳細な側面図を示す。図2Aは、さらに、デバイスが仕上げられるとき、TSV10構造を開くために除去される基板S2(裏面)の部分を示す。
【0047】
発明の好ましい実施形態によれば、少なくとも一つの分離トレンチ状構造は、相互接続TSV構成と同じ時間(同時)にエッチングされ、これにより、追加のプロセスを必要としない。アスペクト比依存エッチングのため、0.1μmから20μmまでのオーダー、例えば0.1μmと20μmとの間の、例えば2μmと20μmとの間の、例えば2μmと10μmとの間の直径を有する相互接続TSV構造と同時に、例えば、200−500nmのオーダーにおける直径を有する分離トレンチ状構造をエッチングすることが可能である。一般的に、分離トレンチ状構造は、ビア深さの約1/5〜2/3である深さを有する。最新の異方性ボッシュエッチングプロセスは、上述の同時エッチングを実行するために使用されてもよい。
【0048】
発明の実施形態によれば、上述の少なくとも一つの分離トレンチ状構造におけるエアギャップは、基板上にライナーを堆積することによって形成され、それによって上記ライナーは、トレンチ状構造をピンチオフし、それにより、上記トレンチ状構造に少なくとも一つのエアギャップを形成する。ピンチオフは、TSV構造内でライナーの堆積中に好ましくは実現され、よって、ほとんど追加加工を必要としない。TSV構造内のライナーの堆積は、TSV構造をエッチングした後、(波打った表面を減じるために)側壁の平滑化を実現することで実行される。
【0049】
発明の実施形態によれば、TSV構造の側壁を平滑にする、及び同時にトレンチ状構造におけるエアギャップをピンチオフするために用いられるライナー材料は、CVD酸化物、CVD窒化物、SA−CVD TEOS酸化物、プラズマ強化CVD酸化物のような、酸化物及び/又は窒化物及び/又はポリマーから選択されたライナー材料で作製可能である。図8は、銅で満たされ、TEOSライナー2bが堆積されたSA−CVDを有するTSV相互接続構造10を説明するSEM写真である。TEOSライナーは、TSV10の内側側壁の波打った表面を明らかに平滑にしている。
【0050】
発明の実施形態によれば、フィールド・エリア(field area)に堆積されたライナーのピンチオフのため、TSV中、ライナー堆積(典型的に酸化物あるいは窒化物)がトレンチにエアギャップを形成するような分離トレンチ状構造は狭い。ピンチオフを実現するために、少なくとも一つのトレンチ状構造は、ビアのほぼ頂部のSi側壁に堆積したライナーの平均厚さの2倍(これはフィールド・エリアに堆積されたライナーの厚みよりも一般的に40%少ない)よりも小さい直径(幅)を有する。このことは、例えば200nmの厚みを有しTSV側壁において堆積されたライナーに関して、トレンチ状構造の平均の直径は、400nm未満でなければならないということを意味する。少なくとも一つのトレンチ状構造は、典型的には約200〜500nmの直径を有し、TSV側壁における例えば200〜300nm厚のライナー堆積は、TSVを囲むトレンチをピンチオフするのに十分である。
【0051】
発明の実施形態によれば、分離トレンチ状構造は、TSV構造が基板材料の最低量により分離された閉じた形態のトレンチ内に位置する状態で、多角形、円形又は楕円のような閉じた形態のいずれの形状を有してもよい。TSVの内側で使用された異なる材料によって引き起こされる基板材料における機械的ストレスは、TSV構造のまわりの狭いシリコンリング状の構造に集中されるであろう。直径は、デバイス基板の全体にわたりTSV密度のロスを最小化し回避するために最適化されてもよい。TSVの外側と、TSVを囲むエアギャップ・トレンチの内側寸法との間のセパレーションは、1μmからTSV直径の1倍又は2倍の範囲にある。
【0052】
TSVを囲む基板における高い機械的ストレスは、周囲のデバイス(MOSFET)のチャネルにおける移動度の変化をもたらすかもしれず、それにより、密集したTSV間の基板にクラックを引き起こす。これは、分離トレンチ状構造とTSVとの間における上記基板材料(リング)にストレスを集中し捕らえられることで避けられるかもしれない。エアギャップを備える分離トレンチ状構造は、著しくストレスを取り出すことに役立つ。さらに、TSV(銅)における高い機械的ストレスは、TSV(Cu)−「ポンピング」をもたらすかもしれない。これにより、BEOLにおいて低kの誘電体に損傷をもたらす。図4は、分離トレンチとTSVとの間における基板(Si)リングの直径の関数として、TSVを囲む(Si)基板における応力集中を示す。図5は、異なるTSV直径、及びTSVとエアギャップとの間のSiリングの直径に関するTSVにおけるストレスに起因する、TSVのまわりの基板(Si)リングにおけるストレスを説明する一次解析モデルを示す。
【0053】
発明の好ましい実施形態によれば、トレンチ状構造とTSVとの間の材料は、厚みWsを有しても良く、これは、好ましくは100nmより大きいかもしれず、例えば少なくとも0.5μm、例えば少なくとも1μm、例えば少なくとも1.5μm、例えば少なくとも2μm、例えば少なくとも2.5μm、例えば少なくとも3μm、例えば少なくとも4μm、例えば少なくとも5μm、あるいは例えば少なくとも10μmであってもよい。この材料の厚みは、その強度が、熱サイクル中の内側TSVメタライゼーションにおけるストレスに起因する熱機械力を支持するのに十分なように選択されてもよい。格別重要なものは、周辺の、つまり「フープ」ストレスかもしれない。このストレスは、TSVの導電性内側柱のサイズ、及び材料の周囲リングの幅の関数である。この条件は、使用されるビアの直径に依存する、Si基板における銅TSVの場合の2〜5μmのTSVの導電性内側柱を囲むリングの最小厚さに帰着するかもしれない。
【0054】
発明の実施形態によれば、TSV構造は、0.1と30μmとの間の直径/幅を有していてもよい。特定の実施形態によれば、TSVは、0.5μmから30μmの範囲、あるいは例えば0.5μmから20μmまで、あるいは例えば0.5μmから5μmまで、あるいは例えば1μmから30μmまで、あるいは例えば1μmから20μmまで、あるいは例えば2μmから5μmまでにおける平均直径/幅を有していても良く、より特別なものでは、TSVは、約2μmの平均直径を有していてもよい。
【0055】
発明の実施形態によれば、トレンチ状構造の深さは、TSV構造の深さよりもかなり小さくてもよく、トレンチ状構造の深さは、ほんの5〜10μmかもしれない。
【0056】
発明の実施形態によれば、TSV構造は、基板において約50μmの深さを有してもよく、これは、TSVの導電部を露出するために基板を薄くした後、約47μmの深さになる。
【0057】
発明の好ましい実施形態によれば、TSV構造は、フィールドにて用いられる銅(Cu)、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、あるいは他のいずれの金属から選択された材料で作製されてもよい。導体材料は、また、合金、注入された半導体、導電性シリコン、導電性ポリマーであってもよい。代わりに、金属ペースト例えばCuペーストを適用することもできる。また、上述の材料の組み合わせを用いることもできる。導体材料を堆積する工程は、多分、外部コンタクトとの相互接続を作成する。この工程は、様々なサブステップを備えることができる。下の導体材料あるいは中間物層の追加の層は、用いることができる。これは、例えば穴部の充填を改善し、導体材料の接着を改善し、さらにTSV内のストレスを減らし、材料の相互拡散を防ぎ、… ことができる。
【0058】
本発明の特定の実施形態において、TSV構造は、導体材料で作製されてもよく、さらに、TSV構造を導体材料で、例えば電気めっきによって、満たす前に堆積される障壁層及び/又はシード層を備える。このシード層は、TSV構造の側壁及び底壁の全表面を覆ってもよい。上記障壁層は、好ましくは、Ta、Ti、TaN、TiN、RuTa、Mn及びこれらの組み合わせから選択された材料で作製され、例えばPVD及びCVD、及びこれらの組み合わせのような最新の蒸着技術によって堆積される。シード層は、好ましくは、Cu、Ni、Co、W、Mnから選択された材料で作製され、この技術分野で既知の他の方法と同様に、例えば化学蒸着法(CVD)、物理的気相成長法(スパッタリング)(PVD)、原子層堆積(ALD)、電気化学堆積(ECD)によって付けられてもよい。
【0059】
また、1つを超える電気的相互接続TSV構造(導電性柱)が単一のトレンチ状構造内に形成されることも可能である。これは、並列のTSVが同じトレンチ状構造(リング)内に形成されることを意味する。
【0060】
本発明の第2態様では、周囲の分離トレンチ状構造と相互接続する少なくとも一つの基板貫通ビア(TSV)の製造方法が開示され、これにより、トレンチ状の構造は、その絶縁特性をさらに改善するために少なくとも一つのエアギャップを備える。この方法は、分離トレンチ状構造がTSV穴部の作製と同時に作製され、これにより多数の加工工程がかなり減じられるという点で従来の方法と区別され特徴付けられる。さらにこの方法は、前記分離トレンチ状構造におけるエアギャップの形成によって区別される。エアギャップ・トレンチを作製し密閉するために、処理フローに加えられるプロセス工程は無い。追加のマスクは必要ない。本発明の実施形態によれば、この方法は、第1の主面を有する基板を設けること、及び、0.1μmから30μmまでのオーダー、例えば0.1μmから30μmまでの間での、例えば2μmから20μmまでのオーダー、例えば2μmと20μmとの間での直径を有する少なくとも一つのTSV穴部を同時に作製することを備え、トレンチ状の構造は、1000nm未満のトレンチ幅を有しており、トレンチ状の構造は、TSV穴部を囲み、及び残りの基板材料によってTSV穴部から隔てられる。その方法は、また、TSV穴部及びトレンチ状構造の形成後、トレンチ状構造における少なくとも一つのエアギャップを有する中空のトレンチ状構造を生成するために、エッチングされたTSV穴部の側壁を平らにし、かつ基板の第1主面でトレンチ状構造の開口をピンチオフするため、誘電性のライナーを堆積することを備える。方法は、また、TSV相互接続を作製するために、TSV穴部に導体材料を堆積することを備える。
【0061】
これに限定されない例示として、上述したような方法の標準の及びオプションの工程の本発明の実施形態は、本発明の実施形態による例示的な方法に関して、さらに論じられるであろう。図10Aから図10Fは、ビア・ミドル・アプローチに基づいてSi貫通ビア(TSV)相互接続を作製し、それによりTSV相互接続がエアギャップを有する分離トレンチによって囲まれる、発明の実施形態による異なった加工工程を説明している。
【0062】
実施形態によれば、その方法は、基板を得ることを備える。本例における基板は、その第1の主面材料に能動素子を有しているシリコンウェーハであり、その能動素子は、先のFEOL工程の間に製造されている。TSV相互接続の完成後、BEOL加工がBEOL相互接続を生成するために行なわれる。
【0063】
実施形態によれば、少なくとも一つのTSV穴部及びトレンチ状構造を同時に作製する工程は、100〜500nmのオーダーの直径(幅)を有する分離トレンチ状構造と、0.1μmから30μmまでのオーダー、例えば0.1μmから30μmまでの間での、例えば2μmから20μmまでのオーダー、例えば2μmと20μmとの間の直径(幅)を有するTSV穴部とを同時にエッチングすることが可能なように、アスペクト比依存エッチングを用いて実行される。一般的に、分離トレンチ状構造は、ビア深さの約1/5〜2/3である深さを有する。最新の異方性ボッシュエッチングプロセスが上記同時エッチングを実行するために使用される。
【0064】
図3は、アスペクト比依存−エッチング速度効果(ARDE)を示し、図は、典型的なボッシュ型のエッチングプロセス(ツール依存)に関して、50μm深さのTSV穴部が同時に約5μmの直径(幅)を有する場合で、トレンチ直径(幅)の関数としてエッチングされたトレンチ深さを説明している。
【0065】
図9及び図10Aは、TSV穴部(エッチングされる)及び分離トレンチつまりリング(エッチングされる)を形成するためにパターニング後の、フォトレジスト12、PMD、及びSTI層11を有する基板Sの詳細な図を示している。
【0066】
実施形態によれば、トレンチ状の構造は、100nm未満から500nmまでの直径(幅)を有するトレンチ状のリング構造である。トレンチ状のリング構造の外径は、10μmから15μmのオーダー内、例えば10.4μmから10.8μmまでであってもよい。トレンチ状のリング構造の内径は、10μmのオーダー内であってもよい。
【0067】
実施形態によれば、TSV穴部は、0.1μmから30μmまでのオーダー、例えば0.1μmから30μmまでの間での、例えば2μmから20μmまでのオーダー、例えば2μmと20μmとの間の直径(幅)を有するものである。TSV穴部(相互接続構造)は、10μm未満、7μm未満、6μm未満、5μmより下、あるいは4μmより下の直径(幅)を有してもよい。特定の実施形態によれば、前記TSV穴部は、0.1μmから5μmまでの範囲、例えば2μmから5μmまでの範囲における平均直径(幅)を有してもよく、より特定のものでは、前記TSV穴部は、約2μmの平均直径(幅)を有している。
【0068】
実施形態によれば、TSVと、エアギャップを備えたトレンチ状構造との間の距離は、このSi側壁においてそれが十分に低いストレス層を可能にする(エアギャップを用いるとき、ストレスはより集中される)ようなものであり、一般的にこれは、1μmと、ビア直径の1又は2倍との間の直径(幅)になるだろう。最も典型的なものは、ビア直径の約半分である。
【0069】
実施形態によれば、基板の第1主面にTSV穴部(相互接続構造)を設ける工程は、エッチングの間、側壁に制限されたスカラップ(scallops)を有するアンダーカットの無いものを得るように最適化された各プロセスを用いて実行されてもよい。これは、等方性エッチング及び不動態化(ボッシュプロセス)の代わりの工程を備えるパルス・エッチング技術であってもよい。その代わりのエッチング−不動態化プロセスは、好ましくは、Cに基づいたプラズマ不動態化工程と交互にSFに基づいたプラズマエッチング工程を用いることであり、任意的に、一方又は両方の工程において酸素及び/又は不活性ガスをさらに備える。図6は、標準の深いビアエッチングプロセス(図6A)を実行した後、及び制限されたスカラップを有するアンダーカットの無いもの(図6B)を得るために最適化された深いビアエッチングプロセスを適用した後、アンダーカット20を有するTSV穴部1を示している。
【0070】
図10Bは、パターン化されたフォトレジスト12、PMD及びSTI層11、及びTSV穴部及び分離トレンチに堆積されたライナー2bを有する基板Sの詳細図を示している。ライナーは、基板の水平部2a上に、TSV穴部の側壁2b上に、及び分離トレンチ内2cに堆積される。図10Bは、分離トレンチ3の開口(頂部)を閉鎖し、それによりトレンチをピンチオフし、そのトレンチ内にエアギャップ4を形成することを明示している。
【0071】
実施形態によれば、堆積されたライナーの厚みは、基板の表面でトレンチ状構造(リング)をピンチオフし、その構造の中心にエアギャップが形成されるような厚みである。ライナーの厚さは、垂直部(TSV穴部の側壁)の厚みと比較して、水平部においてずっと厚い。これは、図7Aに示されており、図7Aは、5μmの直径(幅)のTSVを有し、アスペクト比1:1、3:1及び5:1を有する基板(300mmのウェーハ)上でSA−CVD O3−TEOSプロセス(400℃で)を用いた、TEOSライナーの厚みを示す。図7Bは、アスペクト比10:1を有するTSV1の底及び側壁のSEM写真を示している。底の側壁2b上の200nm厚のライナーに関して、500nm厚の層2aが基板(ウェーハ)の表面に堆積される。
【0072】
実施形態によれば、TSV相互接続構造を形成するために上記TSV穴部に導体材料を堆積する工程は、上記TSV穴部が、少なくとも部分的に導体材料で満たされ、それにより穴部の底面から基板の表面まで電気的経路を形成するのに適した電気的な相互接続構造を作製するようなものである。図10Cは、基板S上に障壁材料及び導体材料21を堆積し、それによりTSV相互接続10を形成するためにTSV穴部を導体材料で満たすことを示している。
【0073】
発明の好ましい実施形態によれば、TSV穴部を導体材料で少なくとも部分的に満たす工程は、電気化学堆積(ECD)技術、あるいは代わりに化学蒸着法(CVD)を用いて行なわれる。上記導体材料は、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、あるいは他の金属のような金属、及び/又は金属の合金であってもよい。また別の導体材料は、注入された半導体、導電性シリコン、導電性ポリマー、カーボンナノチューブのようなものを用いてもよい。あるいは、金属粒子及び有機バインダー、例えばAgペーストから成る金属ペーストが適用可能である。あるいは、カーボンナノチューブ(CNT)、及びCNTとCuとの組み合わせが適用可能である。
【0074】
図10Dは、水平部上で導体材料20のオーバーバーデンを除去するために、導体材料の平坦化を実行する工程を示す。この平坦化は、化学機械平坦化(CMP)を用いて実行されてもよい。導体材料の残余部分は、分離トレンチ上に残されてもよい。
【0075】
TSV加工工程を行なった後に、このデバイスは、上記TSV相互接続上への金属接点、及びさらにいくつかのBEOL相互接続層を設けることにより、完成されてもよい。図10Eは、その金属接点、及び金属接点を囲む誘電体層を示す。図10Fは、誘電体層と組み合わせる第1の(M1)及び第2の金属(M2)層のための更なるBEOL層を示している。
【0076】
図10Gは、BEOL加工を完了した後の、不動態化工程を示す。
【0077】
最後に、3D積層を可能にするため、基板の裏面側からTSV相互接続を開くために、裏面が薄くされる。従って、上記TSV相互接続構造は、はんだボール又はバンプがさらに提供されるかもしれない。基板の薄肉化は、50μm〜100μmの基板厚さまで行なわれてもよい。その薄肉化は、例えば研削のような機械的操作、あるいは他の最新の技術によって行われても良い。
【0078】
本発明の別の実施形態によれば、薄肉化は、例えば、基板1を裏面からエッチングあるいはプラズマエッチングすることによる化学的薄肉化を備えてもよく、薄肉化は、相互接続構造5に達した時点で停止される。その化学的薄肉化、例えばプラズマエッチングは、導電性構造10に達するレベルで停止しなくてもよく、そのレベルの上方(よって基板S、例えばシリコンウェーハをわずかにオーバーエッチングする)まで継続してもよい。相互接続構造(導電材料10あるいは導電性材料と誘電体とが組み合わされたもの)は、エッチングされた面から突出するであろう。これは、はんだボール又はバンプのような、はんだの追加に有利である。例えば、はんだボール又はハンダバンプのようなはんだ量が、さらに第2表面上の導電性構造に適用可能である。
【0079】
発明の好ましい実施形態によれば、周辺の(フープ−)ストレス、あるいは言い替えれば、TSV構造の後ろの基板の方へTSV相互接続構造からもたらされるストレスは、TSV相互接続構造の直径、及びTSV相互接続構造と分離トレンチ状構造との間における残りの基板材料(WSi)の幅に依存する。図11Aは、少なくとも一つのエアギャップを有する分離トレンチ状構造を有する直径φCuの3D−TSV、及び発明の実施態様による分離トレンチ状構造(リング)とTSV構造との間の幅WSiを有する残りの(Si)基板(Siリング)を示している。図11Bは、Cu TSV(φCu)の直径の関数として、残りの基板(WSi)の幅の関数として周辺の(フープ−)ストレスを示している。
【0080】
図及び先の記述において、詳細に発明が説明され記述されているが、そのような説明及び記述は、説明に役立つものあるいは例示のものと考えられるべきであり、限定するものではない。発明は、開示された実施形態に限定されない。
【0081】
開示された実施形態への他の変更は、図面、開示したもの、及び添付した請求項に関する研究から、請求項に記載された発明を実施するにおいて、当業者によって理解され達成可能である。請求項において、用語「備える」は、他の構成部分あるいはステップを排除するものではなく、不定冠詞「一つ(a or an)」は、複数を除外しない。単一のプロセッサあるいは他の装置は、請求項に記述される幾つかの項目の機能を実行するかもしれない。ある手段について異なる従属請求項で相互に記載されているという単なる事実は、それらの手段の組み合わせは有利に使用することができないということを示すものではない。請求項におけるいかなる参照符号も権利範囲の制限として解釈されるべきでない。
【0082】
先の説明は、発明のある実施形態を詳細に述べたものである。しかしながら、当然のことながら、どんなに詳細に先の説明を明細書にて行っても、発明は多くの方法で実施可能であろうし、よって記述された実施形態に限定されるものではない。発明のある特徴あるいは態様を述べるときにおける特定の用語の使用は、その用語が関係する発明の特徴あるいは態様のいかなる特定の特徴も含むように限定するように、その用語が本明細書で再定義されるということを暗示するように取られるべきではないことに注目すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの分離トレンチ状構造によって囲まれる少なくとも一つのSi貫通ビア(TSV)相互接続構造を設ける方法であって、上記分離トレンチ状構造は、少なくとも一つのエアギャップを有し、上記方法は、
第1の主面(S1)を有する基板材料で作製された基板(1)を提供すること、
少なくとも一つのTSV穴部とトレンチ状構造とを同時に作製すること、ここで、トレンチ状構造は、TSV穴部を囲み残りの基板材料によってTSV穴部から分離される、
その後、トレンチ状構造における少なくとも一つのエアギャップ(4)を有する中空のトレンチ状構造を作製するために、エッチングされたTSV穴部の側壁を平滑化し、基板の第1の主面(S1)でトレンチ状構造(3)の開口をピンチオフするため、誘電性のライナー(2a、2b、2c)を堆積すること、
そして、TSV相互接続(10)を作製するためにTSV穴部に導体材料(21)を堆積すること、
の工程を少なくとも備える、方法。
【請求項2】
上記基板(1)は、その第1の主面材料に能動素子を有するシリコンウェーハであり、その能動素子は、先行するフロントエンド・オブ・ライン(FEOL)加工中に作製される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
少なくとも一つのTSV穴部とトレンチ状構造(3)とを同時に作製する工程は、分離トレンチ状構造は100〜500nmの幅のトレンチを有し、TSV穴部は2〜20μmの間の直径(幅)を有し、分離トレンチ状構造(3)はビア深さの1/5とビア深さの2/3との間の深さを有するような、アスペクト比依存エッチングを用いて実行される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
アスペクト比依存エッチングは、等方性エッチング工程と不動態化工程とを交互にすることを備えたパルス・エッチングである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
等方性エッチングは、SFに基づいたプラズマエッチング工程であり、不動態化工程は、Cに基づいたプラズマ不動態化工程である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
等方性エッチング工程及び/又は不動態化工程は、酸素及び/又は不活性ガスを用いることを備える、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
堆積されたライナー(2a、2b、2c)は、TEOSライナーである、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
TSV相互接続構造を作製するためにTSV穴部に導体材料(21)を堆積する工程は、電気化学堆積(ECD)技術あるいは化学蒸着法(CVD)を用いて行なわれ、ここで、導体材料は、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)あるいは他の金属、及び/又は金属の合金のような金属から選択され、もしくは、注入された半導体、導電性シリコン、導電性ポリマー、カーボンナノチューブのような別の導体材料から選択される、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
TSV相互接続を作製する工程の後、さらに、基板の水平部上で導体材料のオーバーバーデンを除去するために導体材料(21)の平坦化工程、あるいは金属の粒の成長を開始するために熱アニール工程のいずれかを備える、請求項1から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
少なくとも一つのTSV穴部は、2μmと20μmとの間の直径を有し、トレンチ状構造は、1000nm未満のトレンチ幅を有する、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
TSVを作製する工程の後、さらに、TSV相互接続上に、さらに幾つかのバックエンド・オブ・ライン(BEOL)相互接続層上に金属接点を設ける工程を備える、請求項1から10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
半導体基板の3D堆積に関する請求項1から11のいずれかによる方法の使用であって、さらに、裏面側からTSV相互接続を開き、3D堆積を可能にするために、機械的操作を用いて基板の裏面側を薄くする工程を備える、方法の使用。
【請求項13】
TSV相互接続構造は、さらにはんだボールあるいはバンプが設けられる、請求項10による使用。
【請求項14】
請求項1から11のいずれかに記載の方法を用いて作製された少なくとも一つのエアギャップ(4)を備えた少なくとも一つの分離トレンチ状構造(3)によって囲まれる少なくとも一つの相互接続基板(Si)貫通ビア(TSV)構造を備え、ここで、相互接続TSV構造は、3D−TSVである、基板(1)。
【請求項15】
請求項14に記載の基板を備えた、3D堆積半導体装置(1)。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図10E】
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【図10F】
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【図10G】
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【図10H】
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【図11A】
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【図11B】
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【公開番号】特開2012−124484(P2012−124484A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−265952(P2011−265952)
【出願日】平成23年12月5日(2011.12.5)
【出願人】(591060898)アイメック (302)
【氏名又は名称原語表記】IMEC
【Fターム(参考)】