説明

剥離装置、剥離システム、剥離方法、プログラム及びコンピュータ記憶媒体

【課題】加熱処理を伴う被処理基板と支持基板との剥離処理の際に、基板の接合面で急激に酸化が進行することを効率的に抑制する。
【解決手段】剥離装置30は、被処理ウェハWを保持する第1の保持部110と、
支持ウェハSを保持する第2の保持部111と、第1の保持部110又は第2の保持部111を相対的に水平方向に移動させる移動機構150と、移動機構150により水平方向に移動させることで露出した被処理ウェハWの接合面Wに不活性ガスを供給する不活性ガス供給機構170と、を有している。不活性ガス供給機構170は、複数の孔が形成された平板形状の多孔質部171と、多孔質部171に接続され、当該多孔質部171に不活性ガスを供給するガス供給管172を有し、多孔質部171は、被処理ウェハWの接合面Wから鉛直方向に所定の距離離間して設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重合基板を被処理基板と支持基板に剥離する剥離装置、当該剥離装置を備えた剥離システム、当該剥離装置を用いた剥離方法、プログラム及びコンピュータ記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば半導体デバイスの製造プロセスにおいて、半導体ウェハ(以下、「ウェハ」とする)の大口径化が進んでいる。また、実装などの特定の工程において、ウェハの薄型化が求められている。例えば大口径で薄いウェハを、そのまま搬送したり、研磨処理したりすると、ウェハに反りや割れが生じる恐れがある。このため、例えばウェハを補強するために、例えば支持基板であるウェハやガラス基板にウェハを貼り付けることが行われている。そして、このようにウェハと支持基板が接合された状態でウェハの研磨処理等の所定の処理が行われた後、ウェハと支持基板が剥離される。
【0003】
かかるウェハと支持基板の剥離は、例えば剥離装置を用いて行われる。例えば特許文献1には、熱酸化膜を形成したウェハに、デバイスが形成されたウェハを直接貼り合わせ、その後ウェハの剥離を行う剥離装置が提案されている。この剥離装置は、例えばウェハを保持する第1ホルダーと、支持基板を保持する第2ホルダーと、ウェハと支持基板との間に液体を噴射するノズルとを有している。そして、この剥離装置では、ノズルから接合されたウェハと支持基板との間、即ちウェハと支持基板との接合面に、当該ウェハと支持基板との間の接合強度より大きい噴射圧、好ましくは接合強度より2倍以上大きい噴射圧で液体を噴射することにより、ウェハと支持基板の剥離が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−167724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ウェハと支持基板の貼り合わせには、例えば特許文献1に開示されるような、熱酸化膜を形成した支持基板にウェハを直接貼り合わせる方法の他に、支持基板とウェハとの間に接着剤を介在させて貼り合わせる方法などがある。
【0006】
接着剤を用いて貼り合わせを行った場合、ウェハと支持基板とを剥離するにあたり、ウェハと支持基板との間に介在する接着剤を軟化させる必要がある。このため、ウェハと支持基板の剥離を行う際には、接着剤の軟化を目的として、貼り合わせられた状態のウェハと支持基板との加熱処理が行われる。
【0007】
しかしながら、ウェハが加熱処理されていると、剥離により露出したウェハの表面(接合面)では急激に酸化が進行してしまう。そして、この急激な酸化により、製品に深刻なダメージを与える恐れがある。
【0008】
酸化による製品のダメージを抑制するためには、剥離を行う際のウェハ周囲の酸素濃度を低くする必要がある。しかしながら、急激な酸化を防ぐために要求される酸素濃度を達成するには、ウェハや剥離装置を気密容器などで覆う必要がある。その場合、装置が非常に大掛かりなものとなってしまい、設置スペースの増大、設置コストの増加及びスループットの低下といった問題が生じてしまう。
【0009】
気密容器を用いずにウェハの急激な酸化を抑制する方法としては、例えばスリット状のノズルなどを用いて、剥離後のウェハに直接不活性ガス等を吹きつけることが考えられる。しかしながら、このようなスリット状のノズルによりウェハに不活性ガスを吹き付けると、ノズルから吹き付けられる不活性ガスの有する流速により周囲の空気が巻き込まれる。この場合、不活性ガスに随伴して空気もウェハ接合面に吹き付けられることとなるため、ウェハの接合面に不活性ガスだけを吹き付けることができない。
【0010】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、加熱処理を伴う被処理基板と支持基板との剥離処理の際に、基板の接合面で急激に酸化が進行することを効率的に抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の目的を達成するため、本発明は、被処理基板と支持基板が接着剤で接合された重合基板を、被処理基板と支持基板とに剥離する剥離装置であって、被処理基板を加熱する加熱機構を備え、且つ当該被処理基板を保持する第1の保持部と、支持基板を加熱する加熱機構を備え、且つ当該支持基板を保持する第2の保持部と、少なくとも前記第1の保持部又は前記第2の保持部を相対的に水平方向に移動させる移動機構と、前記移動機構により前記第1の保持部と前記第2の保持部を相対的に水平方向に移動させることで露出した被処理基板の接合面に、不活性ガスを供給する不活性ガス供給機構と、を有し、前記不活性ガス供給機構は、複数の孔が形成された多孔質部と、前記多孔質部に接続され、当該多孔質部に不活性ガスを供給するガス供給管と、を有し、前記多孔質部は、前記被処理基板の接合面から鉛直方向に所定の距離離間して設けられていることを特徴としている。
【0012】
本発明の剥離装置によれば、第1の保持部又は第2の保持部を相対的に水平方向に移動させる移動機構と、ガス供給管が接続された多孔質部を供えた不活性ガス供給機構を有し、この多孔質部が被処理基板と支持基板の接合面から鉛直方向に所定の距離離間して設けられているので、例えば第2の保持部を移動機構により水平方向に移動させることで第1の保持部に保持された被処理基板と第2の保持部に保持された支持基板とを剥離することができ、さらに、剥離することにより露出した、被処理基板の接合面に向けて多孔質部から不活性ガスを供給することができる。この際、複数の孔が形成された多孔質部を介して不活性ガスを供給するため、供給される不活性ガスの流速は抑えられたものとなる。これにより、不活性ガスを供給する際に周囲の空気を巻き込むことがなく、不活性ガスのみが被処理ウェハWの接合面に供給されるため、露出した被処理基板の接合面を不活性ガスの雰囲気とすることができる。このため、例えば加熱された被処理基板の接合面が酸化することを抑制するために、当該被処理基板を気密容器などで覆うという大掛かりな対策を施す必要がない。したがって、本発明によれば、加熱処理された被処理基板と支持基板を剥離する際に生じる、基板の接合面での急激な酸化の進行を、効率的に抑制することができる。
【0013】
前記多孔質部は、平面視において前記被処理基板を覆うことができる平板形状を有していてもよい。
【0014】
前記多孔質部の進行方向の端部には、平面視において前記被処理基板の形状に沿って凹状に窪んだ窪み部が形成されていてもよい。
【0015】
前記多孔質部は、当該多孔質部の窪み部が平面視において前記被処理基板と接するように配置されていてもよい。
【0016】
前記移動機構は、前記第2の保持部と同期して前記多孔質部を水平方向に移動させてもよい。
【0017】
前記ガス供給管は、前記多孔質部の片側の面を覆うように設けられた分散板を介して前記多孔質部と接続され、前記分散板の内部には、前記多孔質部と前記ガス供給管に連通するガス流路が形成されていてもよい。
【0018】
前記多孔質部と、前記被処理基板との鉛直方向の距離は0.5mm〜4mmであってもよい。
【0019】
前記不活性ガス供給機構から供給される不活性ガスは、イオナイザによりイオン化されたものであってもよい。
【0020】
前記不活性ガス供給機構から供給される不活性ガスは、加熱されていてもよい。
【0021】
前記不活性ガス供給機構は、前記多孔質部の複数の孔の孔づまりを監視する監視手段を有していてもよい。
【0022】
前記移動機構によって水平方向に移動される前記第1の保持部に保持された被処理基板又は前記第2の保持部に保持された支持基板の外周部に沿って環状に設けられ、当該被処理基板又は支持基板に対して不活性ガスを供給するガス供給部材を有していてもよい。
【0023】
なお、前記不活性ガス供給機構は、前記被処理基板に代えて前記支持基板の接合面に不活性ガスを供給するものであり、前記多孔質部は、前記支持基板の接合面から鉛直方向に所定の距離離間して設けられていてもよい。
【0024】
別な観点による本発明は、被処理基板と支持基板が接着剤で接合された重合基板を、被処理基板と支持基板に剥離する剥離システムであって、被処理基板、支持基板及び重合基板に所定の処理を行う剥離処理ステーションと、前記剥離処理ステーションに対して、被処理基板、支持基板又は重合基板を搬入出する搬入出ステーションと、前記剥離処理ステーションと前記搬入出ステーションとの間で、被処理基板、支持基板又は重合基板を搬送する搬送装置と、を有し、前記剥離処理ステーションは、重合基板を被処理基板と支持基板に剥離する剥離装置と、前記剥離装置で剥離された被処理基板を洗浄する第1の洗浄装置と、前記剥離装置で剥離された支持基板を洗浄する第2の洗浄装置と、を有し、前記剥離装置は、被処理基板を加熱する加熱機構を備え、且つ当該被処理基板を保持する第1の保持部と、支持基板を加熱する加熱機構を備え、且つ当該支持基板を保持する第2の保持部と、少なくとも前記第1の保持部又は前記第2の保持部を相対的に水平方向に移動させる移動機構と、前記移動機構により前記第1の保持部と前記第2の保持部を相対的に水平方向に移動させることで露出した被処理基板の接合面に、不活性ガスを供給する不活性ガス供給機構と、を有し、前記不活性ガス供給機構は、複数の孔が形成された多孔質部と、前記多孔質部に接続され、当該多孔質部に不活性ガスを供給するガス供給管と、を有し、前記多孔質部は、前記被処理基板の接合面から鉛直方向に所定の距離離間して設けられていることを特徴としている。
【0025】
前記多孔質部は、平面視において前記被処理基板を覆うことができる平板形状を有していてもよい。
【0026】
前記多孔質部の進行方向の端部には、平面視において前記被処理基板の形状に沿って凹状に窪んだ窪み部が形成されていてもよい。
【0027】
前記多孔質部は、当該多孔質部の窪み部が平面視において前記被処理基板と接するように配置されていてもよい。
【0028】
前記移動機構は、前記第2の保持部と同期して前記多孔質部を水平方向に移動させてもよい。
【0029】
前記ガス供給管は、前記多孔質部の片側の面を覆うように設けられた分散板を介して前記多孔質部と接続され、前記分散板の内部には、前記多孔質部と前記ガス供給管に連通するガス流路が形成されていてもよい。
【0030】
前記多孔質部と、前記被処理基板との鉛直方向の距離は0.5mm〜4mmであってもよい。
【0031】
前記不活性ガス供給機構から供給される不活性ガスは、イオナイザによりイオン化されたものであってもよい。
【0032】
前記不活性ガス供給機構から供給される不活性ガスは、加熱されていてもよい。
【0033】
前記不活性ガス供給機構は、前記多孔質部の複数の孔の孔づまりを監視する監視手段を有していてもよい。
【0034】
前記剥離装置は、前記移動機構によって水平方向に移動される前記第1の保持部に保持された被処理基板又は前記第2の保持部に保持された支持基板の外周部に沿って環状に設けられ、当該被処理基板又は支持基板に対して不活性ガスを供給するガス供給部材を有していてもよい。
【0035】
前記不活性ガス供給機構は、前記被処理基板に代えて前記支持基板の接合面に不活性ガスを供給するものであり、前記多孔質部は、前記支持基板の接合面から鉛直方向に所定の距離離間して設けられていてもよい。
【0036】
また、別な観点による本発明は、離装置を用いて、被処理基板と支持基板が接着剤で接合された重合基板を、被処理基板と支持基板とに剥離する剥離方法であって、前記剥離装置は、被処理基板を加熱する加熱機構を備え、且つ当該被処理基板を保持する第1の保持部と、支持基板を加熱する加熱機構を備え、且つ当該支持基板を保持する第2の保持部と、少なくとも前記第1の保持部又は前記第2の保持部を相対的に水平方向に移動させる移動機構と、前記被処理基板に不活性ガスを供給する不活性ガス供給機構と、を有し、前記不活性ガス供給機構は、複数の孔が形成された多孔質部と、前記多孔質部に接続され、当該多孔質部に不活性ガスを供給するガス供給管と、を備え、前記剥離方法は、前記第1の保持部に保持された被処理基板と前記第2の保持部に保持された支持基板とを加熱しながら、前記第1の保持部と前記第2の保持部を相対的に水平方向に移動させて被処理基板と支持基板を剥離し、前記多孔質部を前記被処理基板の接合面から鉛直方向に所定の距離離間させて、当該多孔質部から剥離により露出した被処理基板の接合面に不活性ガスを供給することを特徴としている。
【0037】
前記多孔質部は、平面視において前記被処理基板を覆うことができる平板形状であり、前記多孔質部の進行方向の端部には、平面視において前記被処理基板の形状に沿って凹状に窪んだ窪み部が形成され、さらに前記多孔質部は、当該多孔質部の窪み部が平面視において前記被処理基板と接するように配置されており、前記不活性ガスは、少なくとも剥離により前記被処理基板の接合面が露出する以前に供給が開始されてもよい。
【0038】
前記不活性ガスの供給は、前記被処理基板が所定の温度以下となるまで継続されてもよい。
【0039】
前記不活性ガス供給機構は、剥離により露出した前記被処理基板の接合面に代えて、剥離により露出した前記支持基板の接合面に不活性ガスを供給するものであり、前記不活性ガスの供給は、前記多孔質部を前記支持基板の接合面から鉛直方向に所定の距離離間させて行われてもよい。
【0040】
また別な観点による本発明によれば、前記剥離方法を剥離装置によって実行させるために、当該剥離装置を制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラムが提供される。
【0041】
さらに別な観点による本発明によれば、前記プログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体が提供される。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、加熱処理を伴う被処理基板と支持基板との剥離処理の際に、基板の接合面で急激に酸化が進行することを効率的に抑制することができる。
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本実施の形態にかかる剥離システムの構成の概略を示す平面図である。
【図2】被処理ウェハと支持ウェハの側面図である。
【図3】剥離装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図4】多孔質部の構成の概略を示す平面図である。
【図5】不活性ガス供給機構の構成の概略を示す縦断面図である。
【図6】第1の洗浄装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図7】第1の洗浄装置の構成の概略を示す横断面図である。
【図8】第2の洗浄装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図9】第2の搬送装置の構成の概略を示す側面図である。
【図10】剥離処理の主な工程を示すフローチャートである。
【図11】第1の保持部と第2の保持部で重合ウェハを保持した様子を示す説明図である。
【図12】第2の保持部を鉛直方向及び水平方向に移動させる様子を示す説明図である。
【図13】被処理ウェハと支持ウェハを剥離した様子を示す説明図である。
【図14】第1の保持部からベルヌーイチャックに被処理ウェハを受け渡す様子を示す説明図である。
【図15】ベルヌーイチャックからポーラスチャックに被処理ウェハを受け渡す様子を示す説明図である。
【図16】被処理ウェハと支持ウェハとが相対的に水平方向に移動した状態を示す平面図である。
【図17】多孔質部の孔づまりの監視手段の構成の概略を示す平面図である。
【図18】多孔質部の孔づまりの監視手段の構成の概略を示す縦断面図である。
【図19】他の実施の形態にかかる多孔質部の孔づまりの監視手段の構成の概略を示す平面図である。
【図20】ガス供給部材の構成の概略を示す平面図である。
【図21】ガス供給部材の構成の概略を示す縦断面図である。
【図22】他の実施の形態にかかるベルヌーイチャックの構成の概略を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態にかかる剥離装置を有する剥離システム1の構成の概略を示す平面図である。
【0045】
剥離システム1では、図2に示すように被処理基板としての被処理ウェハWと支持基板としての支持ウェハSとが接着剤Gで接合された重合基板としての重合ウェハTを、被処理ウェハWと支持ウェハSに剥離する。以下、被処理ウェハWにおいて、接着剤Gを介して支持ウェハSと接合される面を「接合面W」といい、当該接合面Wと反対側の面を「非接合面W」という。同様に、支持ウェハSにおいて、接着剤Gを介して被処理ウェハWと接合される面を「接合面S」といい、当該接合面Sと反対側の面を「非接合面S」という。なお、被処理ウェハWは、製品となるウェハであって、例えば接合面Wに複数の電子回路が形成されている。また被処理ウェハWは、例えば非接合面Wが研磨処理され、薄型化(例えば厚みが50μm)されている。支持ウェハSは、被処理ウェハWの径と同じ径を有し、当該被処理ウェハWを支持するウェハである。なお、本実施の形態では、支持基板としてウェハを用いた場合について説明するが、例えばガラス基板等の他の基板を用いてもよい。
【0046】
剥離システム1は、図1に示すように例えば外部との間で複数の被処理ウェハW、複数の支持ウェハS、複数の重合ウェハTをそれぞれ収容可能なカセットC、C、Cが搬入出される搬入出ステーション2と、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTに対して所定の処理を施す各種処理装置を備えた剥離処理ステーション3と、剥離処理ステーション3に隣接する後処理ステーション4との間で被処理ウェハWの受け渡しを行うインターフェイスステーション5と、後処理ステーション4に受け渡す前の被処理ウェハWを検査する検査装置6と、を一体に接続した構成を有している。
【0047】
搬入出ステーション2と剥離処理ステーション3は、X方向(図1中の上下方向)に並べて配置されている。これら搬入出ステーション2と剥離処理ステーション3との間には、ウェハ搬送領域7が形成されている。インターフェイスステーション5は、剥離処理ステーション3のY方向負方向側(図1中の左方向側)に配置されている。また、検査装置6は、インターフェイスステーション5のX方向正方向側(図1中の上方向側)に配置されており、インターフェイスステーション5を挟んで検査装置6の反対側、即ちインターフェイスステーション5のX方向負方向側には、検査後の被処理ウェハWを洗浄する検査後洗浄装置8が配置されている。
【0048】
搬入出ステーション2には、カセット載置台10が設けられている。カセット載置台10には、複数、例えば3つのカセット載置板11が設けられている。カセット載置板11は、Y方向(図1中の左右方向)に一列に並べて配置されている。これらのカセット載置板11には、剥離システム1の外部に対してカセットC、C、Cを搬入出する際に、カセットC、C、Cを載置することができる。このように搬入出ステーション2は、複数の被処理ウェハW、複数の支持ウェハS、複数の重合ウェハTを保有可能に構成されている。なお、カセット載置板11の個数は、本実施の形態に限定されず、任意に決定することができる。また、搬入出ステーション2に搬入された複数の重合ウェハTには予め検査が行われており、正常な被処理ウェハWを含む重合ウェハTと欠陥のある被処理ウェハWを含む重合ウェハTとに判別されている。
【0049】
ウェハ搬送領域7には、第1の搬送装置20が配置されている。第1の搬送装置20は、例えば鉛直方向、水平方向(Y方向、X方向)及び鉛直軸周りに移動自在な搬送アームを有している。第1の搬送装置20は、ウェハ搬送領域7内を移動し、搬入出ステーション2と剥離処理ステーション3との間で被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを搬送できる。
【0050】
剥離処理ステーション3は、重合ウェハTを被処理ウェハWと支持ウェハSに剥離する剥離装置30を有している。剥離装置30のY方向負方向側(図1中の左方向側)には、剥離された被処理ウェハWを洗浄する第1の洗浄装置31が配置されている。剥離装置30と第1の洗浄装置31との間には、他の搬送装置としての第2の搬送装置32が設けられている。また、剥離装置30のY方向正方向側(図1中の右方向側)には、剥離された支持ウェハSを洗浄する第2の洗浄装置33が配置されている。このように剥離処理ステーション3には、第1の洗浄装置31、第2の搬送装置32、剥離装置30、第2の洗浄装置33が、インターフェイスステーション5側からこの順で並べて配置されている。
【0051】
検査装置6では、剥離装置30により剥離された被処理ウェハW上の接着剤Gの残渣の有無が検査される。また、検査後洗浄装置8では、検査装置6で接着剤Gの残渣が確認された被処理ウェハWの洗浄が行われる。この検査後洗浄装置8は、被処理ウェハWの接合面Wを洗浄する接合面洗浄部8a、被処理ウェハWの非接合面Wを洗浄する非接合面洗浄部8b、被処理ウェハWを上下反転させる反転部8cを有している。
【0052】
インターフェイスステーション5には、Y方向に延伸する搬送路40上を移動自在な他の搬送装置としての第3の搬送装置41が設けられている。第3の搬送装置41は、鉛直方向及び鉛直軸周り(θ方向)にも移動自在であり、剥離処理ステーション3、後処理ステーション4、検査装置6及び検査後洗浄装置8との間で被処理ウェハWを搬送できる。
【0053】
なお、後処理ステーション4では、剥離処理ステーション3で剥離された被処理ウェハWに所定の後処理を行う。所定の後処理として、例えば被処理ウェハWをマウントする処理や、被処理ウェハW上の電子回路の電気的特性の検査を行う処理、被処理ウェハWをチップ毎にダイシングする処理などが行われる。
【0054】
次に、上述した剥離装置30の構成について説明する。剥離装置30は、図3に示すように、その内部に複数の機器を収容する筐体100を有している。筐体100の側面には、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの搬入出口(図示せず)が形成され、当該搬入出口には開閉シャッタ(図示せず)が設けられている。なお、筐体100はその内部を密閉するものではなく、例えばステンレススチールの薄板等で構成されている。
【0055】
筐体100の底面には、当該筐体100の内部を排気する排気口101が形成されている。排気口101には、例えば真空ポンプなどの排気装置102に連通する排気管103が接続されている。
【0056】
筐体100の内部には、被処理ウェハWを下面で吸着保持する第1の保持部110と、支持ウェハSを上面で載置して保持する第2の保持部111とが設けられている。第1の保持部110は、第2の保持部111の上方に設けられ、第2の保持部111と対向するように配置されている。すなわち、筐体100の内部では、被処理ウェハWを上側に配置し、且つ支持ウェハSを下側に配置した状態で、重合ウェハTの剥離処理が行われる。
【0057】
第1の保持部110には、例えばポーラスチャックが用いられている。第1の保持部110は、平板状の本体部120を有している。本体部120の下面側には、多孔質体であるポーラス121が設けられている。ポーラス121は、例えば被処理ウェハWとほぼ同じ径を有し、当該被処理ウェハWの非接合面Wと当接している。なお、ポーラス121としては例えば炭化ケイ素が用いられる。
【0058】
また、本体部120の内部であってポーラス121の上方には吸引空間122が形成されている。吸引空間122は、例えばポーラス121を覆うように形成されている。吸引空間122には、吸引管123が接続されている。吸引管123は、例えば真空ポンプなどの負圧発生装置(図示せず)に接続されている。そして、吸引管123から吸引空間122とポーラス121を介して被処理ウェハの非接合面Wが吸引され、当該被処理ウェハWが第1の保持部110に吸着保持される。
【0059】
また、本体部120の内部であって吸引空間122の上方には、被処理ウェハWを加熱する加熱機構124が設けられている。加熱機構124には、例えばヒータが用いられる。
【0060】
第1の保持部110の上面には、当該第1の保持部110を支持する支持板130が設けられている。支持板130は、筐体100の天井面に支持されている。なお、本実施の形態の支持板130を省略し、第1の保持部110は筐体100の天井面に当接して支持されてもよい。
【0061】
第2の保持部111の内部には、支持ウェハSを吸着保持するための吸引管140が設けられている。吸引管140は、例えば真空ポンプなどの排気装置(図示せず)に接続されている。
【0062】
また、第2の保持部111の内部には、支持ウェハSを加熱する加熱機構141が設けられている。加熱機構141には、例えばヒータが用いられる。
【0063】
第2の保持部111の下方には、第2の保持部111及び支持ウェハSを鉛直方向及び水平方向に移動させる移動機構150が設けられている。移動機構150は、第2の保持部111を鉛直方向に移動させる鉛直移動部151と、第2の保持部111を水平方向に移動させる水平移動部152とを有している。
【0064】
鉛直移動部151は、第2の保持部111の下面を支持する支持板153と、支持板153を昇降させる駆動部154と、支持板153を支持する支持部材155とを有している。駆動部154は、例えばボールネジ(図示せず)と当該ボールネジを回動させるモータ(図示せず)とを有している。また、支持部材155は、鉛直方向に伸縮自在に構成され、支持板153と後述する支持体161との間に例えば3箇所に設けられている。
【0065】
水平移動部152は、X方向(図3中の左右方向)に沿って延伸するレール160と、レール160に取り付けられる支持体161と、支持体161をレール160に沿って移動させる駆動部162とを有している。駆動部162は、例えばボールネジ(図示せず)と当該ボールネジを回動させるモータ(図示せず)とを有している。
【0066】
なお、第2の保持部111の下方には、重合ウェハT又は支持ウェハSを下方から支持し昇降させるための昇降ピン(図示せず)が設けられている。昇降ピンは第2の保持部111に形成された貫通孔(図示せず)を挿通し、第2の保持部111の上面から突出可能になっている。
【0067】
第2の保持部111の、例えばX方向正方向側には、被処理ウェハWの接合面Wに不活性ガスを供給する不活性ガス供給機構170が設けられている。不活性ガス供給機構170は、複数の微細な孔が形成された平板形状の多孔質部171と、多孔質部171に不活性ガスを供給するガス供給管172を備えている。また、不活性ガス供給機構170は、支持部材173を介して水平移動部152の支持体161に支持されており、水平移動部152を移動させることにより、当該不活性ガス供給機構170を水平方向に移動させることができる。なお、多孔質部171としては、例えば炭化ケイ素が用いられる。
【0068】
多孔質部171は、図4に示すように、平面視において被処理ウェハWを覆うことのできる平板形状を有している。また、水平移動部152により多孔質部171を移動させた場合の当該多孔質部171の進行方向の端部には、平面視において被処理ウェハWの形状に沿って凹状に窪んだ窪み部171aが形成されている。具体的には、図4に示すように、多孔質部171の進行方向端部が、被処理ウェハWとほぼ同じ直径の半円弧状に窪んでおり、且つ、多孔質部171における窪み部171a以外の箇所が被処理ウェハWを覆うことのできる大きさとなっている。また、多孔質部171における、窪み部171aが形成された端部と反対側の端部は、被処理ウェハWより大きな直径の半円弧状に突出した形状を有している。したがって、被処理ウェハWを覆うにあたり、多孔質部171は最小限の大きさとなっている。なお、多孔質板171の大きさは本実施の形態に限定されるものではなく、任意に設定が可能である。
【0069】
多孔質部171は、図3に示すように被処理ウェハWの接合面Wと平行に設けられている。また、多孔質部171は、第1の保持部110と第2の保持部111が対向した状態、即ち被処理ウェハWと支持ウェハSが接合された状態において、図4に示すように、多孔質部171の窪み部171aが平面視において被処理ウェハWの外周部と接するように配置されている。
【0070】
多孔質部171の鉛直方向の配置は、被処理ウェハWの接合面Wより下方に位置するように調整されている。換言すれば、多孔質部171と被処理ウェハWの接合面Wとの間は鉛直方向に所定の距離だけ離間している。なお、本実施の形態においては、距離は2mmに設定されている。
【0071】
多孔質部171の下側の面には、図5に示すように、平板形状の分散板174が多孔質部171を覆うように設けられている。分散板174としては、例えばアルミニウムやステンレスといった金属製の板が用いられる。分散板174の内部には、ガス流路175が形成されている。ガス供給管172は、この分散板174のガス流路175に接続されている。
【0072】
ガス供給管172の分散板174側と反対側の端部は、不活性ガスとして例えば窒素ガスを供給する不活性ガス供給源176に接続されている。また、分散版174のガス流路175は、ガス供給管172が接続された側から多孔質部171に向かって複数に分岐して設けられ、多孔質部171の面内に均一に不活性ガスを供給できるように形成されている。このため、当該不活性ガス供給源176から供給された不活性ガスは、分散板174を介して多孔質部171に面内均一に供給される。なお、不活性ガスとしては、酸素原子を含まないガスであればよく、本実施の形態の窒素ガスに限定されるものではない。
【0073】
次に、上述した第1の洗浄装置31の構成について説明する。第1の洗浄装置31は、図6に示すように筐体180を有している。筐体180の側面には、被処理ウェハWの搬入出口(図示せず)が形成され、当該搬入出口には開閉シャッタ(図示せず)が設けられている。
【0074】
筐体180内の中央部には、被処理ウェハWを保持して回転させるポーラスチャック190が設けられている。ポーラスチャック190は、平板状の本体部191と、本体部191の上面側に設けられたポーラス192とを有している。ポーラス192は、例えば被処理ウェハWとほぼ同じ径を有し、当該被処理ウェハWの非接合面Wと当接している。なお、ポーラス192としては例えば炭化ケイ素が用いられる。ポーラス192には吸引管(図示せず)が接続され、当該吸引管からポーラス192を介して被処理ウェハWの非接合面Wを吸引することにより、当該被処理ウェハWをポーラスチャック190上に吸着保持できる。
【0075】
ポーラスチャック190の下方には、例えばモータなどを備えたチャック駆動部193が設けられている。ポーラスチャック190は、チャック駆動部193により所定の速度で回転できる。また、チャック駆動部193には、例えばシリンダなどの昇降駆動源が設けられており、ポーラスチャック190は昇降自在になっている。
【0076】
ポーラスチャック190の周囲には、被処理ウェハWから飛散又は落下する液体を受け止め、回収するカップ194が設けられている。カップ194の下面には、回収した液体を排出する排出管195と、カップ194内の雰囲気を真空引きして排気する排気管196が接続されている。
【0077】
図7に示すようにカップ194のX方向負方向(図5中の下方向)側には、Y方向(図5中の左右方向)に沿って延伸するレール200が形成されている。レール200は、例えばカップ194のY方向負方向(図5中の左方向)側の外方からY方向正方向(図5中の右方向)側の外方まで形成されている。レール200には、アーム201が取り付けられている。
【0078】
アーム201には、図6及び図7に示すように被処理ウェハWに洗浄液、例えば有機溶剤を供給する洗浄液ノズル203が支持されている。アーム201は、図7に示すノズル駆動部204により、レール200上を移動自在である。これにより、洗浄液ノズル203は、カップ194のY方向正方向側の外方に設置された待機部205からカップ194内の被処理ウェハWの中心部上方まで移動でき、さらに当該被処理ウェハW上を被処理ウェハWの径方向に移動できる。また、アーム201は、ノズル駆動部204によって昇降自在であり、洗浄液ノズル203の高さを調節できる。
【0079】
洗浄液ノズル203には、例えば2流体ノズルが用いられる。洗浄液ノズル203には、図6に示すように当該洗浄液ノズル203に洗浄液を供給する供給管210が接続されている。供給管210は、内部に洗浄液を貯留する洗浄液供給源211に連通している。供給管210には、洗浄液の流れを制御するバルブや流量調節部等を含む供給機器群212が設けられている。また、洗浄液ノズル203には、当該洗浄液ノズル203に不活性ガス、例えば窒素ガスを供給する供給管213が接続されている。供給管213は、内部に不活性ガスを貯留するガス供給源214に連通している。供給管213には、不活性ガスの流れを制御するバルブや流量調節部等を含む供給機器群215が設けられている。そして、洗浄液と不活性ガスは洗浄液ノズル203内で混合され、当該洗浄液ノズル203から被処理ウェハWに供給される。なお、以下においては、洗浄液と不活性ガスを混合したものを単に「洗浄液」という場合がある。
【0080】
なお、ポーラスチャック190の下方には、被処理ウェハWを下方から支持し昇降させるための昇降ピン(図示せず)が設けられていてもよい。かかる場合、昇降ピンはポーラスチャック190に形成された貫通孔(図示せず)を挿通し、ポーラスチャック190の上面から突出可能になっている。そして、ポーラスチャック190を昇降させる代わりに昇降ピンを昇降させて、ポーラスチャック190との間で被処理ウェハWの受け渡しが行われる。なお、上述した検査後洗浄装置8の接合面洗浄部8aと非接合面洗浄部8bの構成は、この第1の洗浄装置31と同様であるので、接合面洗浄部8aと非接合面洗浄部8bについては説明を省略する。
【0081】
また、第2の洗浄装置33の構成は、上述した第1の洗浄装置31の構成とほぼ同様である。第2の洗浄装置33には、図8に示すように第1の洗浄装置31のポーラスチャック190に代えて、スピンチャック220が設けられる。スピンチャック220は、水平な上面を有し、当該上面には、例えば支持ウェハSを吸引する吸引口(図示せず)が設けられている。この吸引口からの吸引により、支持ウェハSをスピンチャック220上に吸着保持できる。第2の洗浄装置33のその他の構成は、上述した第1の洗浄装置31の構成と同様であるので説明を省略する。
【0082】
なお、第2の洗浄装置33において、スピンチャック220の下方には、支持ウェハSの裏面、すなわち非接合面Sに向けて洗浄液を噴射するバックリンスノズル(図示せず)が設けられていてもよい。このバックリンスノズルから噴射される洗浄液によって、支持ウェハSの非接合面Sと支持ウェハSの外周部が洗浄される。
【0083】
次に、上述した第2の搬送装置32の構成について説明する。第2の搬送装置32は、図9に示すように被処理ウェハWを保持するベルヌーイチャック230を有している。ベルヌーイチャック230は、空気を噴出することにより被処理ウェハWを浮遊させ、非接触の状態で被処理ウェハWを吸引懸垂し保持することができる。ベルヌーイチャック230は、支持アーム231に支持されている。支持アーム231は、第1の駆動部232に支持されている。この第1の駆動部232により、支持アーム231は水平軸周りに回動自在であり、且つ水平方向に伸縮できる。第1の駆動部232の下方には、第2の駆動部233が設けられている。この第2の駆動部233により、第1の駆動部232は鉛直軸周りに回転自在であり、且つ鉛直方向に昇降できる。
【0084】
なお、第3の搬送装置41は、上述した第2の搬送装置32と同様の構成を有しているので説明を省略する。但し、第3の搬送装置41の第2の駆動部233は、図1に示した搬送路40に取り付けられ、第3の搬送装置41は搬送路40上を移動可能になっている。
【0085】
以上の剥離システム1には、図1に示すように制御部300が設けられている。制御部300は、例えばコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、剥離システム1における被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの処理を制御するプログラムが格納されている。また、プログラム格納部には、上述の各種処理装置や搬送装置などの駆動系の動作を制御して、剥離システム1における後述の剥離処理を実現させるためのプログラムも格納されている。なお、前記プログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能なハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルデスク(MO)、メモリーカードなどのコンピュータに読み取り可能な記憶媒体Hに記録されていたものであって、その記憶媒体Hから制御部300にインストールされたものであってもよい。
【0086】
次に、以上のように構成された剥離システム1を用いて行われる被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離処理方法について説明する。図10は、かかる剥離処理の主な工程の例を示すフローチャートである。
【0087】
先ず、複数枚の重合ウェハTを収容したカセットC、空のカセットC、及び空のカセットCが、搬入出ステーション2の所定のカセット載置板11に載置される。第1の搬送装置20によりカセットC内の重合ウェハTが取り出され、剥離処理ステーション3の剥離装置30に搬送される。このとき、重合ウェハTは、被処理ウェハWを上側に配置し、且つ支持ウェハSを下側に配置した状態で搬送される。
【0088】
剥離装置30に搬入された重合ウェハTは、第2の保持部111に吸着保持される。その後、移動機構150により第2の保持部111を上昇させて、図11に示すように第1の保持部110と第2の保持部111で重合ウェハTを挟み込んで保持する。このとき、第1の保持部110に被処理ウェハWの非接合面Wが吸着保持され、第2の保持部111に支持ウェハSの非接合面Sが吸着保持される。
【0089】
その後、加熱機構124、141によって重合ウェハTが所定の温度、例えば200℃に加熱される。これにより、重合ウェハT中の接着剤Gが軟化する。また、重合ウェハTの加熱と並行して、不活性ガス供給源176から不活性ガス供給機構170に不活性ガスが供給される。これにより、ガス供給管172、分散板174を介して、多孔質部171の分散板174に覆われた面と反対側の面、本実施の形態においては多孔質部171の上面から不活性ガスが供給される。この際、複数の微細な孔が形成された多孔質部171を介して不活性ガスを供給することにより、当該多孔質部171から供給される不活性ガスの流速を抑えたものとすることができる。このため、不活性ガスを供給する際に周囲の空気を巻き込むことがない。したがって、多孔質部171の上面側に、空気を含まない不活性ガスの雰囲気を形成することができる(図10の工程A1)。また、分散板174の内部には多孔質部171に向かって複数に分岐して設けられたガス流路175が形成されているので、多孔質部171の上面側の全面から不活性ガスが均等に供給される。
【0090】
続いて、加熱機構124、141によって重合ウェハTを加熱して接着剤Gの軟化状態を維持しながら、移動機構150の水平移動部152によって図12に示すように第2の保持部111と支持ウェハSを水平方向に移動させる。また、不活性ガス供給機構170は、支持体161により水平移動部152に支持されているため、当該水平移動部152の動作に伴い、第2の保持部111と同期して水平方向に移動する。
【0091】
この際、多孔質部171と被処理ウェハWの接合面Wとの間は、例えば図12に示すように鉛直方向に所定の距離Lだけ離間しているので、多孔質部171は被処理ウェハWの接合面Wに干渉することなく水平方向に移動する。このため、この移動により露出した被処理ウェハWの接合面Wは、多孔質部171と距離Lだけ離れて対向した状態となる。そしてこの間、被処理ウェハWの接合面Wには多孔質部171から不活性ガスが供給される。
【0092】
その後、引き続き多孔質部171からの不活性ガスの供給を継続した状態で第2の保持部111を水平方向に移動させ、図13に示すように第1の保持部110に保持された被処理ウェハWと、第2の保持部111に保持された支持ウェハSとを剥離する(図10の工程A2)。この際、多孔質部171は平面視において被処理ウェハWを覆うことのできる大きさに形成されているため、剥離が完了した被処理ウェハWの接合面Wにも引続き多孔質部171からの不活性ガスが供給される。
【0093】
そして、被処理ウェハWが所定の温度、例えば約100℃以下まで低下し、被処理ウェハWの接合面Wで酸化が進行しない状態となった後に、多孔質部171からの不活性ガスの供給が停止される。
【0094】
その後、剥離装置30で剥離された被処理ウェハWは、第2の搬送装置32によって第1の洗浄装置31に搬送される。第2の搬送装置32による被処理ウェハWの搬送においては、図14に示すように支持アーム231を伸長させて、ベルヌーイチャック230を第1の保持部110に保持された被処理ウェハWの下方に配置される。その後、ベルヌーイチャック230を上昇させ、第1の保持部110における吸引管123からの被処理ウェハWの吸引を停止する。そして、第1の保持部110からベルヌーイチャック230に被処理ウェハWが受け渡される。このとき、被処理ウェハWの接合面Wがベルヌーイチャック230に保持されるが、ベルヌーイチャック230は非接触の状態で被処理ウェハWが保持される。このため、被処理ウェハWの接合面W上の電子回路が損傷を被ることなく被処理ウェハWの搬送を行うことができる。
【0095】
次に図15に示すように、支持アーム231を回動させてベルヌーイチャック230を第1の洗浄装置31のポーラスチャック190の上方に移動させると共に、ベルヌーイチャック230を反転させて被処理ウェハWを下方に向ける。このとき、ポーラスチャック190をカップ194よりも上方まで上昇させて待機させておく。その後、ベルヌーイチャック230からポーラスチャック190に被処理ウェハWが受け渡され吸着保持される。
【0096】
このようにポーラスチャック190に被処理ウェハWが吸着保持されると、ポーラスチャック190を所定の位置まで下降させる。続いて、アーム201によって待機部205の洗浄液ノズル203を被処理ウェハWの中心部の上方まで移動させる。その後、ポーラスチャック190によって被処理ウェハWを回転させながら、洗浄液ノズル203から被処理ウェハWの接合面Wに洗浄液を供給する。供給された洗浄液は遠心力により被処理ウェハWの接合面Wの全面に拡散されて、当該被処理ウェハWの接合面Wが洗浄される(図10の工程A3)。
【0097】
ここで、上述したように搬入出ステーション2に搬入された複数の重合ウェハTには予め検査が行われており、正常な被処理ウェハWを含む重合ウェハTと欠陥のある被処理ウェハWを含む重合ウェハTとに判別されている。
【0098】
正常な重合ウェハTから剥離された正常な被処理ウェハWは、工程A3で接合面Wが洗浄された後、第3の搬送装置41によって検査装置6に搬送される。なお、この第3の搬送装置41による被処理ウェハWの搬送は、上述した第2の搬送装置32による被処理ウェハWの搬送とほぼ同様であるので説明を省略する。
【0099】
検査装置6においては、被処理ウェハWの接合面Wにおける接着剤Gの残渣の有無が検査される(図10の工程A4)。検査装置6において接着剤Gの残渣が確認された場合、被処理ウェハWは第3の搬送装置41により検査後洗浄装置8の接合面洗浄部8aに搬送され、接合面洗浄部8aで接合面Wが洗浄される(図10の工程A5)。接合面Wが洗浄されると、被処理ウェハWは第3の搬送装置41によって反転部8cに搬送され、反転部8cにおいて上下方向に反転される。なお、接着剤Gの残渣が確認されなかった場合には、被処理ウェハWは接合面洗浄部8aに搬送されることなく反転部8cにて反転される(図10の工程A6)。
【0100】
その後、反転された被処理ウェハWは、第3の搬送装置41により再び検査装置6に搬送され、非接合面Wの検査が行われる(図10の工程A7)。そして、非接合面Wにおいて接着剤Gの残渣が確認された場合、被処理ウェハWは第3の搬送装置41によって非接合面洗浄部8cに搬送され、非接合面Wの洗浄が行われる(図10の工程A8)。次いで、洗浄された被処理ウェハWは、第3の搬送装置41によって後処理ステーション4に搬送される。なお、検査装置6で接着剤Gの残渣が確認されなかった場合には、被処理ウェハWは非接合面洗浄部8bに搬送されることなくそのまま後処理ステーション4に搬送される。
【0101】
その後、後処理ステーション4において被処理ウェハWに所定の後処理が行われる(図10の工程A9)。こうして、被処理ウェハWが製品化される。
【0102】
一方、欠陥のある重合ウェハTから剥離された欠陥のある被処理ウェハWは、工程A3で接合面Wが洗浄された後、第1の搬送装置20によって搬入出ステーション2に搬送される。その後、欠陥のある被処理ウェハWは、搬入出ステーション2から外部に搬出され回収される(図10の工程A10)。
【0103】
被処理ウェハWに上述した工程A3〜A10が行われている間、剥離装置30で剥離された支持ウェハSは、第1の搬送装置20によって第2の洗浄装置33に搬送される。そして、第2の洗浄装置33において、支持ウェハSの接合面Sが洗浄される(図10の工程A11)。なお、第2の洗浄装置33における支持ウェハSの洗浄は、上述した第1の洗浄装置31における被処理ウェハWの洗浄と同様であるので説明を省略する。
【0104】
その後、接合面Sが洗浄された支持ウェハSは、第1の搬送装置20によって搬入出ステーション2に搬送される。その後、支持ウェハSは、搬入出ステーション2から外部に搬出され回収される(図10の工程A12)。こうして、一連の被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離処理が終了する。
【0105】
以上の実施の形態によれば、移動機構150により第1の保持部110と第2の保持部111を水平方向に相対的に移動させることで露出した被処理ウェハWの接合面Wに、不活性ガス供給機構170の多孔質部171から不活性ガスを供給するので、剥離により露出した被処理ウェハWの接合面Wを不活性ガスの雰囲気とすることができる。これにより、加熱された被処理ウェハWの接合面Wにおいて急激な酸化が進行することを抑制することができる。このため、加熱された被処理ウェハWの接合面Wで急激に進行する酸化を抑制するにあたり、被処理ウェハWを気密容器などで覆うという大掛かりな対策を施す必要がない。したがって、本発明によれば、重合ウェハTの剥離の際に、加熱された被処理ウェハWの接合面Wが酸化することを効率的に抑制することができる。
【0106】
また、不活性ガス供給機構170の多孔質部171は被処理ウェハWを覆うことができる大きさであるため、剥離した被処理ウェハWの接合面Wの全面に対して不活性ガスを供給することができる。このため、被処理ウェハWの全面にわたって酸化を抑制することができる。
【0107】
また、多孔質部171の進行方向の端部には、平面視において被処理ウェハWの形状に沿って凹状に窪んだ窪み部171aが形成されているため、当該多孔質部171を、平面視において被処理ウェハWに接する位置に配置することができる。このため、移動機構150を移動させることにより露出した被処理ウェハWの接合面Wに、直ちに不活性ガスを供給することができる。具体的には、移動機構150により第1の保持部110と第2の保持部111を水平方向に相対的に移動させると、被処理ウェハWの接合面Wは図16に示すように三日月状(図16において斜線で示す範囲)に露出する。この場合、多孔質部171に窪み部171aを形成し、平面視において当該窪み部171aが被処理ウェハWと接するように多孔質部171を配置することで、三日月状の露出部分の全面を多孔質部171で覆うことができる。したがって、露出した接合面Wの全面に直ちに不活性ガスを供給できる。なお、窪み部171aが平面視において被処理ウェハWの外周部と接するとは、窪み部171aの円弧の直径と被処理ウェハWの直径とが一致することで窪み部171aの全周にわたって接触しているということを意味するのではなく、剥離により被処理ウェハWの接合面Wが露出した際に、当該接合面Wが筐体100内の雰囲気に曝されることなく、多孔質部171の上方の不活性ガス雰囲気に覆われる程度に多孔質部171の窪み部171aと被処理ウェハWの外周部とが平面視において近接していることを意味している。
【0108】
また、多孔質部171を覆うように分散板174を設け、分散板174を介して多孔質部171に不活性ガスを供給するので、多孔質部171における分散板174と反対側の全面から不活性ガスを均等に供給することができる。このため、被処理ウェハWの接合面Wの全面に均等に不活性ガスを供給することができ、より確実に接合面Wの酸化を抑制することができる。
【0109】
また、多孔質部171における、窪み部171aが形成された端部と反対側の端部が、被処理ウェハWより大きな直径の半円弧状に突出した形状になっているので、被処理ウェハWを覆うにあたり、多孔質部171を最小限の大きさとすることができる。これにより、多孔質部171の表面積を小さくすることができ、多孔質部171から供給される不活性ガスの供給量を低減することができる。
【0110】
以上の実施の形態では、多孔質部171として炭化ケイ素を用いていたが、多孔質部171の材質は本実施の形態に限定されるものではなく、多孔質部171から不活性ガスを供給する際に周囲の空気を巻き込むことがない微細な複数の孔が形成されていれば、例えばテフロン(登録商標)などを用いてもよい。
【0111】
また、以上の実施の形態では、多孔質部171と被処理ウェハWの接合面Wとの距離Lは2mmとしていたが、距離Lは0.5mm〜4mmの範囲であれば、被処理ウェハWの接合面Wに適切に不活性ガスを供給し、急激な酸化の進行を好適に抑制することができる。
【0112】
なお、以上の実施の形態では、多孔質部171を被処理ウェハWの接合面Wに対して平行に配置していたが、多孔質部171は必ずしも被処理ウェハWの接合面Wと平行である必要はなく、多孔質部171と接合面Wとの間の距離Lが0.5mm〜4mmの間に保たれていれば、多孔質部171が接合面Wに対して傾いて設けられていてもよい。
【0113】
以上の実施の形態では、第2の保持部111を第1の保持部110に対して相対的に水平方向に移動させたが、水平方向への移動に加えて、例えば第2の保持部を鉛直方向に100μm移動させてもよい。例えば本実施の形態では、第2の保持部の水平方向へ移動距離は300mmであり、重合ウェハT中の接着剤Gの厚みは例えば30μm〜40μmであって、被処理ウェハWの接合面Wに形成された電子回路(バンプ)の高さは例えば20μmである。この場合、被処理ウェハW上の電子回路と支持ウェハSとの間の距離は微小である。そのため、例えば第2の保持部111を水平方向にのみ移動させた場合、電子回路と支持ウェハSが接触し、電子回路が損傷を被るおそれがある。したがって、第2の保持部111を水平方向に移動させると共に鉛直方向にも移動させることによって、電子回路と支持ウェハSとの接触を回避し、電子回路の損傷を抑制することができる。なお、この第2の保持部111の鉛直方向の移動距離と水平方向の移動距離の比率は、被処理ウェハW上の電子回路(バンプ)の高さに基づいて適宜設定されるものであり、本実施の形態に限定されるものではない。
【0114】
なお、第2の保持部に代えて、第1の保持部110を移動させてもよい。かかる場合も、第1の保持部110を鉛直方向及び水平方向に移動させてもよい。あるいは、第1の保持部110と第2の保持部111の両方を鉛直方向及び水平方向に移動させてもよい。なお、不活性ガス供給機構170は、いずれの保持部を移動させる場合においても、第1の保持部110に保持された被処理ウェハW、即ち不活性ガスの供給の対象物に対して水平方向に相対的に移動するように構成されていればよく、移動の方法や、支持の方法については任意に設定が可能である。例えば、第1の保持部110を水平方向に移動させる場合、不活性ガス供給機構170は筐体100の天井面に支持されていてもよいし、筐体100の底面に支持されていてもよい。いずれの場合においても、被処理ウェハWが、不活性ガス供給機構170の上方を当該不活性ガス供給機構170と所定の距離L離間した状態で水平方向に移動すれば、露出した被処理ウェハWの接合面Wを不活性ガスの雰囲気とすることができる。
【0115】
また、第2の保持部111を鉛直方向及び水平方向に移動させることに代えて、第2の保持部111を水平方向のみに移動させ、当該第2の保持部111の移動速度を変化させてもよい。具体的には、第2の保持部111を移動させ始める際の移動速度を低速にし、その後徐々に移動速度を加速してもよい。すなわち、第2の保持部111を移動させ始める際には、被処理ウェハWと支持ウェハSとの接着面積が大きく、被処理ウェハW上の電子回路が接着剤Gの影響を受け易いため、第2の保持部111の移動速度を低速にする。その後、被処理ウェハWと支持ウェハSとの接着面積が小さくなるにつれ、被処理ウェハW上の電子回路が接着剤Gの影響を受け難くなるため、第2の保持部111の移動速度を徐々に加速する。かかる場合でも、電子回路と支持ウェハSとの接触を回避し、電子回路の損傷を抑制することができる。
【0116】
なお、被処理ウェハWと支持ウェハSとを剥離する際に、剥離帯電による静電気が発生する場合がある。そして、剥離帯電が発生すると、被処理ウェハWが静電気により損傷するおそれがある。したがって、剥離帯電の発生を防止するために、不活性ガス供給機構171から供給する不活性ガスとして、イオナイザによりイオン化した不活性ガスを用いてもよい。イオン化した不活性ガスを用いることで、静電気による被処理ウェハWの損傷を防止することができる。
【0117】
また、以上の実施の形態によれば、剥離装置30において重合ウェハTを被処理ウェハWと支持ウェハSに剥離した後、第1の洗浄装置31において、剥離された被処理ウェハWを洗浄すると共に、第2の洗浄装置33において、剥離された支持ウェハSを洗浄することができる。このように本実施の形態によれば、一の剥離システム1内で、被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離から被処理ウェハWの洗浄と支持ウェハSの洗浄までの一連の剥離処理を効率よく行うことができる。また、第1の洗浄装置31と第2の洗浄装置33において、被処理ウェハWの洗浄と支持ウェハSの洗浄をそれぞれ並行して行うことができる。さらに、剥離装置30において被処理ウェハWと支持ウェハSを剥離する間に、第1の洗浄装置31と第2の洗浄装置33において別の被処理ウェハWと支持ウェハSを処理することもできる。したがって、被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離を効率よく行うことができ、剥離処理のスループットを向上させることができる。
【0118】
また、剥離処理ステーション3で剥離された被処理ウェハWが正常な被処理ウェハWである場合、後処理ステーション5において当該被処理ウェハWに所定の後処理が行われ、製品化される。一方、剥離処理ステーション3で剥離された被処理ウェハWが欠陥のある被処理ウェハWである場合、当該被処理ウェハWは搬入出ステーション2から回収される。このように正常な被処理ウェハWのみが製品化されるので、製品の歩留まりを向上させることができる。また、欠陥のある被処理ウェハWを回収し、欠陥の程度によってはこの被処理ウェハWを再利用することもでき、資源を有効活用できると共に製造コストを低廉化することもできる。
【0119】
また、このように一連のプロセスにおいて、被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離から被処理ウェハWの後処理まで行うことができるので、ウェハ処理のスループットをさらに向上させることができる。
【0120】
また、剥離装置30で剥離された支持ウェハSは、洗浄後、搬入出ステーション2から回収されるので、当該支持ウェハSを再利用することができる。したがって、資源を有効活用できると共に製造コストを低廉化することもできる。
【0121】
また、第2の搬送装置32と第3の搬送装置41は被処理ウェハWを保持するベルヌーイチャック230を有しているので、被処理ウェハWが薄型化していても当該被処理ウェハWを適切に保持することができる。さらに、第2の搬送装置32においては、被処理ウェハWの接合面Wがベルヌーイチャック230に保持されるが、ベルヌーイチャック230は非接触の状態で被処理ウェハWが保持されるため、被処理ウェハWの接合面W上の電子回路が損傷を被ることはない。
【0122】
また、第1の洗浄装置31は被処理ウェハWを保持するポーラスチャック190を有しているので、被処理ウェハWが薄型化していても当該被処理ウェハを適切に保持することができる。
【0123】
また、以上の実施の形態によれば、検査装置6において被処理ウェハWを検査することができるので、検査結果に基づいて剥離システム1における処理条件を補正することができる。したがって、被処理ウェハWと支持ウェハSをさらに適切に剥離することができる。
【0124】
また、以上の実施の形態によれば、検査装置6において異常が検出された場合に検査後洗浄装置8で被処理ウェハWの洗浄を行うことができる。したがって、被処理ウェハWが異常な状態のまま後処理ステーション4に搬送されることがない。このため、製品の歩留まりの低下を抑制することができる。
【0125】
また、例えば不活性ガスの供給の対象物が被処理ウェハWではなく支持ウェハSであってもよい。かかる場合、不活性ガス供給機構170は、支持ウェハSに対して水平方向に相対的に移動するように設けられる。かかる場合においても、多孔質部171の好ましい形状や配置は、不活性ガスの供給の対象物が被処理ウェハWである場合と同様である。
【0126】
なお、以上の実施の形態では、被処理ウェハWを上側に配置し、且つ支持ウェハSを下側に配置した状態で、これら被処理ウェハWと支持ウェハSを剥離していたが、被処理ウェハWと支持ウェハSの上下配置を反対にしてもよい。
【0127】
以上の実施の形態の第2の搬送装置32において、ベルヌーイチャック230の表面には、洗浄液を供給するための複数の供給口(図示せず)が形成されていてもよい。かかる場合、ベルヌーイチャック230から第1の洗浄装置31のポーラスチャック190に被処理ウェハWを受け渡す際、ベルヌーイチャック230から被処理ウェハWの接合面Wに洗浄液を供給して当該接合面Wを洗浄すると共に、ベルヌーイチャック230自体も洗浄することができる。そうすると、その後の第1の洗浄装置31における被処理ウェハWの洗浄時間を短縮することができ、剥離処理のスループットをさらに向上させることができる。しかも、ベルヌーイチャック230も洗浄できるので、次の被処理ウェハWを適切に搬送することができる。
【0128】
以上の実施の形態では、第3の搬送装置41はベルヌーイチャック230を有していたが、このベルヌーイチャック230に代えて、ポーラスチャック(図示せず)を有していてもよい。かかる場合でも、ポーラスチャックによって薄型化した被処理ウェハWを適切に吸着保持することができる。
【0129】
以上の実施の形態では、第1の洗浄装置31と第2の洗浄装置33の洗浄液ノズル203には2流体ノズルが用いられていたが、洗浄液ノズル203の形態は本実施の形態に限定されず種々のノズルを用いることができる。例えば洗浄液ノズル203として、洗浄液を供給するノズルと不活性ガスを供給するノズルとを一体化したノズル体や、スプレーノズル、ジェットノズル、メガソニックノズルなどを用いてもよい。また、洗浄処理のスループットを向上させるため、例えば80℃に加熱された洗浄液を供給してもよい。
【0130】
また、第1の洗浄装置31と第2の洗浄装置33において、洗浄液ノズル203に加えて、IPA(イソプロピルアルコール)を供給するノズルを設けてもよい。かかる場合、洗浄液ノズル203からの洗浄液によって被処理ウェハW又は支持ウェハSを洗浄した後、被処理ウェハW又は支持ウェハS上の洗浄液をIPAに置換する。そうすると、被処理ウェハW又は支持ウェハSの接合面W、Sがより確実に洗浄される。
【0131】
以上の実施の形態の剥離システム1において、剥離装置30で加熱された被処理ウェハWを所定の温度に冷却する温度調節装置(図示せず)が設けられていてもよい。かかる場合、被処理ウェハWの温度が適切な温度に調節されるので、後続の処理をより円滑に行うことができる。
【0132】
また、剥離装置30の不活性ガス供給機構170は、不活性ガスを加熱するための加熱手段(図示せず)、例えばヒータを内蔵してもよい。あるいは、不活性ガス供給機構170に供給される不活性ガスが予め加熱されていてもよい。そして、第1の保持部111および第2の保持部112とほぼ同じ温度(例えば200℃)の不活性ガスが、不活性ガス供給機構170から被処理ウェハWに向けて噴射されるようにすればよい。このような構成にすれば、重合ウェハTが不活性ガスにより冷却されることもなく、接着剤Gの軟化状態を維持できる。また、重合ウェハTが不活性ガスにより冷却されて収縮することを防止できるので、被処理ウェハW上の電子回路が損傷することもない。
【0133】
また、図17と図18に示すように、多孔質部171における複数の孔の孔づまりを監視するための監視手段400を設けてもよい。監視手段400は、多孔質部171に設けられた複数の貫通孔401と、一端が貫通孔401に接続された配管402と、配管402の途中に配置された圧力計403とで構成される。なお、配管402の他端は開放されている。貫通孔401の直径は、小さいほうが好ましく、例えば1mmとする。そして、貫通孔401は、窪み部171aの端部と相似な線上に所定の間隔で設けられ、かつ複数列配置される。なお、貫通孔401の内面404は、コーティング処理などにより封止されている。
【0134】
そして、複数の貫通孔401毎に、圧力計403を設けて圧力を検知し、所定の値より圧力が小さくなったら、その貫通孔401の周辺の多孔質部171においても孔づまりが発生したとみなし、警告を行う。そして、剥離処理を停止して多孔質部171の清掃作業を行う。このようにすれば、多孔質部171の孔づまりを防止でき、常に多孔質部171から均一に不活性ガスを噴射することができる。
【0135】
なお、上述した形態では、圧力計403により室内との差圧を監視したが、配管402の他端に吸引ポンプ(図示せず)を接続し、圧力計403により絶対圧力を監視してもよい。
【0136】
次に、監視手段400の他の実施形態を説明する。図19に示すように、監視手段400は、ブロック410と、ブロック410と多孔質部171との隙間を検知する検知手段、例えばセンサ411とを有する。そして、この剥離システム1のメンテナンス時に、多孔質部171上にブロック410を載せ、多孔質部171とブロック410との隙間をセンサ411で測定する。センサ411の測定結果は制御部300に出力される。そして、この測定結果が所定の値より小さいときに、孔づまりが発生したとみなし、その場合、多孔質部171の清掃を行なう。
【0137】
また、不活性ガスの供給手段として、多孔質部171に加えて、図20及び図21に示すガス供給部材412をさらに設けてもよい。ガス供給部材412は、重合ウェハT(支持ウェハS)の周縁と対面する位置に配置される。この実施の形態では、ガス供給部材412は、円環(リング)状に形成される。そして、重合ウェハT(支持ウェハS)と対向する面413が多孔質状であり、この面から重合ウェハT(支持ウェハS)に向けて不活性ガスを供給する。なお、ガス供給部材412は、移動機構150によって移動される第2の保持部111上であって、支持ウェハSの外周部に沿って設けられる。また、第1の保持部110が機構150によって移動される場合には、ガス供給部材412は、第1の保持部110上であって、被処理ウェハWの外周部に沿って設けられる。
【0138】
また、ベルヌーイチャック230の他の実施の形態として、図22に示すように、ベルヌーイチャック230の周縁に、被処理ウェハWの周縁を保持する複数の保持ガイド414を設けてもよい。このようにすれば、ベルヌーイチャック230に保持された被処理ウェハWの位置ずれを防止できる。また、保持ガイド414を被処理ウェハWに対して近接、離間させるガイド移動手段415をさらに設けてもよい。
【0139】
なお、上述した実施形態の一部分を組み合わせて実施してもよく、同様の作用、効果を得ることが可能である。
【0140】
また、以上の実施の形態では、後処理ステーション4において被処理ウェハWに後処理を行い製品化する場合について説明したが、本発明は、例えば3次元集積技術で用いられる被処理ウェハを支持ウェハから剥離する場合にも適用することができる。なお、3次元集積技術とは、近年の半導体デバイスの高集積化の要求に応えた技術であって、高集積化した複数の半導体デバイスを水平面内で配置する代わりに、当該複数の半導体デバイスを3次元に積層する技術である。この3次元集積技術においても、積層される被処理ウェハの薄型化が求められており、当該被処理ウェハを支持ウェハに接合して所定の処理が行われる。
【0141】
なお、以上の実施の形態では、不活性ガス供給機構170は、重合ウェハTの剥離に際して露出した被処理ウェハWの接合面Wに不活性ガスを供給したが、不活性ガス供給機構170の用途は本実施の形態の内容に限定されるものではない。例えば、熱処理板においてウェハの加熱処理を行う際に、加熱されるウェハの表面に多孔質部171が対向するように不活性ガス供給機構170を配置することで、気密な密閉容器を設けることなく、ウェハの加熱処理の際に酸化が進行することを抑制することができる。
【0142】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明はこの例に限らず種々の態様を採りうるものである。本発明は、基板がウェハ以外のFPD(フラットパネルディスプレイ)、フォトマスク用のマスクレチクルなどの他の基板である場合にも適用できる。
【符号の説明】
【0143】
1 剥離システム
2 搬入出ステーション
3 剥離処理ステーション
4 後処理ステーション
5 インターフェイスステーション
6 検査装置
7 ウェハ搬送領域
8 検査後洗浄装置
20 第1の搬送装置
30 剥離装置
31 第1の洗浄装置
32 第2の搬送装置
33 第2の洗浄装置
41 第3の搬送装置
100 筐体
101 排気口
102 排気装置
103 排気管
110 第1の保持部
111 第2の保持部
124 加熱機構
141 加熱機構
150 移動機構
151 鉛直移動部
152 水平移動部
153 支持板
154 駆動部
155 支持部材
160 レール
161 支持体
162 駆動部
170 不活性ガス供給機構
171 多孔質部
171a 窪み部
172 ガス供給管
173 支持部材
174 分散板
175 ガス流路
176 不活性ガス供給源
190 ポーラスチャック
230 ベルヌーイチャック
300 制御部
400 監視手段
412 ガス供給部材
G 接着剤
S 支持ウェハ
T 重合ウェハ
W 被処理ウェハ
L 距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理基板と支持基板が接着剤で接合された重合基板を、被処理基板と支持基板とに剥離する剥離装置であって、
被処理基板を加熱する加熱機構を備え、且つ当該被処理基板を保持する第1の保持部と、
支持基板を加熱する加熱機構を備え、且つ当該支持基板を保持する第2の保持部と、
少なくとも前記第1の保持部又は前記第2の保持部を相対的に水平方向に移動させる移動機構と、
前記移動機構により前記第1の保持部と前記第2の保持部を相対的に水平方向に移動させることで露出した被処理基板の接合面に、不活性ガスを供給する不活性ガス供給機構と、を有し、
前記不活性ガス供給機構は、複数の孔が形成された多孔質部と、前記多孔質部に接続され、当該多孔質部に不活性ガスを供給するガス供給管と、を有し、
前記多孔質部は、前記被処理基板の接合面から鉛直方向に所定の距離離間して設けられていることを特徴とする、剥離装置。
【請求項2】
前記多孔質部は、平面視において前記被処理基板を覆うことができる平板形状を有することを特徴とする、請求項1に記載の剥離装置。
【請求項3】
前記多孔質部の進行方向の端部には、平面視において前記被処理基板の形状に沿って凹状に窪んだ窪み部が形成されていることを特徴とする、請求項1または2のいずれかに記載の剥離装置。
【請求項4】
前記多孔質部は、当該多孔質部の窪み部が平面視において前記被処理基板と接するように配置されていることを特徴とする、請求項3に記載の剥離装置。
【請求項5】
前記移動機構は、前記第2の保持部と同期して前記多孔質部を水平方向に移動させることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の剥離装置。
【請求項6】
前記ガス供給管は、前記多孔質部の片側の面を覆うように設けられた分散板を介して前記多孔質部と接続され、
前記分散板の内部には、前記多孔質部と前記ガス供給管に連通するガス流路が形成されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の剥離装置。
【請求項7】
前記多孔質部と、前記被処理基板との鉛直方向の距離は0.5mm〜4mmであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の剥離装置。
【請求項8】
前記不活性ガス供給機構から供給される不活性ガスは、イオナイザによりイオン化されたものであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の剥離装置。
【請求項9】
前記不活性ガス供給機構から供給される不活性ガスは、加熱されていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の剥離装置。
【請求項10】
前記不活性ガス供給機構は、前記多孔質部の複数の孔の孔づまりを監視する監視手段を有することを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の剥離装置。
【請求項11】
前記移動機構によって水平方向に移動される前記第1の保持部に保持された被処理基板又は前記第2の保持部に保持された支持基板の外周部に沿って環状に設けられ、当該被処理基板又は支持基板に対して不活性ガスを供給するガス供給部材を有することを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の剥離装置。
【請求項12】
前記不活性ガス供給機構は、前記被処理基板に代えて前記支持基板の接合面に不活性ガスを供給するものであり、
前記多孔質部は、前記支持基板の接合面から鉛直方向に所定の距離離間して設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の剥離装置。
【請求項13】
被処理基板と支持基板が接着剤で接合された重合基板を、被処理基板と支持基板に剥離する剥離システムであって、
被処理基板、支持基板及び重合基板に所定の処理を行う剥離処理ステーションと、
前記剥離処理ステーションに対して、被処理基板、支持基板又は重合基板を搬入出する搬入出ステーションと、
前記剥離処理ステーションと前記搬入出ステーションとの間で、被処理基板、支持基板又は重合基板を搬送する搬送装置と、を有し、
前記剥離処理ステーションは、
重合基板を被処理基板と支持基板に剥離する剥離装置と、
前記剥離装置で剥離された被処理基板を洗浄する第1の洗浄装置と、
前記剥離装置で剥離された支持基板を洗浄する第2の洗浄装置と、を有し、
前記剥離装置は、
被処理基板を加熱する加熱機構を備え、且つ当該被処理基板を保持する第1の保持部と、
支持基板を加熱する加熱機構を備え、且つ当該支持基板を保持する第2の保持部と、
少なくとも前記第1の保持部又は前記第2の保持部を相対的に水平方向に移動させる移動機構と、
前記移動機構により前記第1の保持部と前記第2の保持部を相対的に水平方向に移動させることで露出した被処理基板の接合面に、不活性ガスを供給する不活性ガス供給機構と、を有し、
前記不活性ガス供給機構は、複数の孔が形成された多孔質部と、前記多孔質部に接続され、当該多孔質部に不活性ガスを供給するガス供給管と、を有し、
前記多孔質部は、前記被処理基板の接合面から鉛直方向に所定の距離離間して設けられていることを特徴とする、剥離システム。
【請求項14】
前記多孔質部は、平面視において前記被処理基板を覆うことができる平板形状を有することを特徴とする、請求項13に記載の剥離システム。
【請求項15】
前記多孔質部の進行方向の端部には、平面視において前記被処理基板の形状に沿って凹状に窪んだ窪み部が形成されていることを特徴とする、請求項13または14のいずれかに記載の剥離システム。
【請求項16】
前記多孔質部は、当該多孔質部の窪み部が平面視において前記被処理基板と接するように配置されていることを特徴とする、請求項15に記載の剥離システム。
【請求項17】
前記移動機構は、前記第2の保持部と同期して前記多孔質部を水平方向に移動させることを特徴とする、請求項13〜16のいずれかに記載の剥離システム。
【請求項18】
前記ガス供給管は、前記多孔質部の片側の面を覆うように設けられた分散板を介して前記多孔質部と接続され、
前記分散板の内部には、前記多孔質部と前記ガス供給管に連通するガス流路が形成されていることを特徴とする、請求項13〜17のいずれかに記載の剥離システム。
【請求項19】
前記多孔質部と、前記被処理基板との鉛直方向の距離は0.5〜4mmであることを特徴とする、請求項13〜18のいずれかに記載の剥離システム。
【請求項20】
前記不活性ガス供給機構から供給される不活性ガスは、イオナイザによりイオン化されたものであることを特徴とする、請求項13〜19のいずれかに記載の剥離システム。
【請求項21】
前記不活性ガス供給機構から供給される不活性ガスは、加熱されていることを特徴とする、請求項13〜20のいずれかに記載の剥離システム。
【請求項22】
前記不活性ガス供給機構は、前記多孔質部の複数の孔の孔づまりを監視する監視手段を有することを特徴とする、請求項13〜21のいずれかに記載の剥離システム。
【請求項23】
前記剥離装置は、前記移動機構によって水平方向に移動される前記第1の保持部に保持された被処理基板又は前記第2の保持部に保持された支持基板の外周部に沿って環状に設けられ、当該被処理基板又は支持基板に対して不活性ガスを供給するガス供給部材を有することを特徴とする、請求項13〜22のいずれかに記載の剥離システム。
【請求項24】
前記不活性ガス供給機構は、前記被処理基板に代えて前記支持基板の接合面に不活性ガスを供給するものであり、
前記多孔質部は、前記支持基板の接合面から鉛直方向に所定の距離離間して設けられていることを特徴とする、請求項13に記載の剥離システム。
【請求項25】
剥離装置を用いて、被処理基板と支持基板が接着剤で接合された重合基板を、被処理基板と支持基板とに剥離する剥離方法であって、
前記剥離装置は、被処理基板を加熱する加熱機構を備え、且つ当該被処理基板を保持する第1の保持部と、支持基板を加熱する加熱機構を備え、且つ当該支持基板を保持する第2の保持部と、少なくとも前記第1の保持部又は前記第2の保持部を相対的に水平方向に移動させる移動機構と、前記被処理基板に不活性ガスを供給する不活性ガス供給機構と、を有し、
前記不活性ガス供給機構は、複数の孔が形成された多孔質部と、前記多孔質部に接続され、当該多孔質部に不活性ガスを供給するガス供給管と、を備え、
前記剥離方法は、
前記第1の保持部に保持された被処理基板と前記第2の保持部に保持された支持基板とを加熱しながら、前記第1の保持部と前記第2の保持部を相対的に水平方向に移動させて被処理基板と支持基板を剥離し、
前記多孔質部を前記被処理基板の接合面から鉛直方向に所定の距離離間させて、当該多孔質部から剥離により露出した被処理基板の接合面に不活性ガスを供給することを特徴とする、剥離方法。
【請求項26】
前記多孔質部は、平面視において前記被処理基板を覆うことができる平板形状であり、
前記多孔質部の進行方向の端部には、平面視において前記被処理基板の形状に沿って凹状に窪んだ窪み部が形成され、
さらに前記多孔質部は、当該多孔質部の窪み部が平面視において前記被処理基板と接するように配置されており、
前記不活性ガスは、少なくとも剥離により前記被処理基板の接合面が露出する以前に供給が開始されることを特徴とする、請求項25に記載の剥離方法。
【請求項27】
前記不活性ガスの供給は、前記被処理基板が所定の温度以下となるまで継続されることを特徴とする、請求項26に記載の剥離方法。
【請求項28】
前記不活性ガス供給機構は、剥離により露出した前記被処理基板の接合面に代えて、剥離により露出した前記支持基板の接合面に不活性ガスを供給するものであり、
前記不活性ガスの供給は、前記多孔質部を前記支持基板の接合面から鉛直方向に所定の距離離間させて行われることを特徴とする、請求項25に記載の剥離方法。
【請求項29】
請求項25〜28に記載の剥離方法を剥離装置によって実行させるために、当該剥離装置を制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラム。
【請求項30】
請求項29に記載のプログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−156494(P2012−156494A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−275502(P2011−275502)
【出願日】平成23年12月16日(2011.12.16)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】