説明

動力制御ユニットおよびそれを備えた車両

【課題】既存の車両に簡易な方法で装着可能である動力制御ユニットを提供する。
【解決手段】動力制御ユニット18Aは、車輪12Aの外側に面する側面に配置された複数個のマグネット32と、このマグネット32に対向するように配置されたコイル30とを備えている。更に、マグネット30は、車輪12Aよりも外側に配置されており、更に車体14に対して着脱可能に固定されている。このことにより、通常のエンジン駆動の自動車に対して、燃費を向上させるためのハイブリッドシステムを容易に付与することが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力制御ユニットおよびそれを備えた車両に関し、特に、回生動作および駆動動作の両方が可能であると共に、既存の車両に容易に装着可能な動力制御ユニットおよびそれを備えた車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、車両の駆動力を発生すると共に、減速及び制動時に回生電力も発生する電動機を備えた電動車両が知られている(特許文献1)。この特許文献1では、車輪に摩擦力を与えて制動を行なう機械式制動装置と回生制動装置とを協調させるシステムが開示されている。
【0003】
また、内燃機関の出力を発電機により電力に変換し、この電力で電動機を運転して車両を走行させるシリーズ型ハイブリッド電気自動車が知られている(特許文献2)。特許文献2でも、自動車の制動時に走行用電動機が車輪の回転エネルギーを電気エネルギーに変換してバッテリやコンデンサに充電する回生ブレーキと機械式ブレーキとを併用し、バッテリやコンデンサに充電できない場合には、発電機を電動機として用いて内燃機関を回転させることで走行用電動機の回生電力を消費している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−152904号公報
【特許文献2】特開平11−332007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した各文献記載の発明は、車両を駆動する電動機を予め備えたハイブリッド自動車に寄与するものである。従って、これらの文献に記載された技術を、電動機を備えない既存のエンジン駆動の自動車等の車両にそのまま適用することは困難であった。
【0006】
本発明は、この様な問題を鑑みて成されたものであり、本発明の目的は、エンジン駆動の車両に簡易な構成で装着可能である動力制御ユニットを提供することにある。更に本発明の目的は、この様な動力制御ユニットを備えた車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の動力制御ユニットは、車輪を備えた車両に駆動力を与えると共に回生電力を回収する動力制御ユニットであり、前記車輪の外側の側面で円周方向に沿って配置され、前記車両が移動する際に前記車輪と共に回転する複数個のマグネットと、前記マグネットに接近した位置に配置されたコイルと、前記車両が減速または制動する際に発生する前記回生電力を充電すると共に、前記車両を駆動する際に前記コイルに電力を供給する電力蓄積部と、を備え、前記コイルは、前記車輪よりも外側に配置されると共に、前記車両に対して固定された支持板の、前記マグネットに対向する面に固着されることを特徴とする。
【0008】
本発明の車両は、車輪と、前記車輪に駆動力を与えるエンジンと、前記車輪に駆動力を与えると共に回生電力を発生する動力制御ユニットとを有し、前記動力制御ユニットは、前記車輪の外側の側面で円周方向に沿って配置され、前記車両が移動する際に前記車輪と共に回転する複数個のマグネットと、前記マグネットに接近した位置に配置されたコイルと、前記車両が減速または制動する際に発生する前記回生電力を充電すると共に、前記車両を駆動する際に前記コイルに電力を供給する電力蓄積部と、を備え、前記コイルは、前記車輪よりも外側に配置されると共に、前記車両に対して固定された支持板の、前記マグネットに対向する面に固着されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の動力制御ユニットは、自動車等の車両の車輪に備え付けられるマグネットと、車両の車体に対して固定されるコイルとから成る電動機を備えている。そして、当該車両が加速する際等には電動機から駆動力が車輪に付与され、車両が減速および制動する際には電動機から回生電力が発生する。従って、本発明の動力制御ユニットは、車輪を駆動するモーターを備えない既存のエンジン駆動の車両に容易に適用可能である。本発明の動力制御ユニットを、このような既存の車両に適用することで、動力の一部が本発明の動力制御ユニットにより車輪に直に付与されるので、エンジンが消費する燃料を低減させて燃費を向上させることが出来る。
【0010】
更に、本発明の動力制御ユニットは、車両が備える車輪毎に装着することができる。従って、簡易な動力機を望む使用者の為に、車両が備える車輪の一部(例えば後輪のみ)に本発明の動力制御ユニットを装着することが出来る。または、電動機による大幅な燃費の向上を望む使用者の要求に応えるために、車両が備える全ての車輪に本発明の動力制御ユニットを装着することも出来る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の動力制御ユニットが組み込まれたハイブリッド自動車(車両)を示す図である。
【図2】本発明の動力制御ユニットおよびハイブリッド自動車を示す図であり、(A)は動力制御ユニットが組み込まれる部分のハイブリッド自動車を示す側面図であり、(B)は(A)のB−B’線に於ける断面図である。
【図3】本発明の動力制御ユニットを詳細に示す図であり、(A)はマグネットが配置される配置板を示す平面図であり、(B)はコイルが配置される支持板を示す平面図であり、(C)はコイルを詳細に示す断面図である。
【図4】本発明の動力制御ユニットを詳細に示す平面図である。
【図5】(A)および(B)は、本発明の動力制御ユニットの他の形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1を参照して、本形態の動力制御ユニットおよびそれが組み込まれた自動車10(ハイブリッド自動車)の概略的構成を説明する。
【0013】
本形態にかかる自動車10は、車体14と、車体14の4隅付近に配置された車輪12A−12Dと、前輪である車輪12C、12Dに駆動力を与えるエンジン16と、後輪である車輪12A、12Bに駆動力を与えると共に回生電力を回収する動力制御ユニット18A、18Bを主要に備えている。
【0014】
本形態の自動車10は通常に市販されているエンジン16により駆動される自動車である。エンジン16としては、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、ロータリーエンジン等が採用される。図1を参照すると、自動車10は、前輪である車輪12C、12Dがエンジン16により駆動され、後輪である車輪12A、12Bが回転自在に備えられた前輪駆動型であるが、後輪駆動型または4輪駆動型であっても良い。また、本形態の自動車10は、使用者が不図示のハンドルを操作することにより前輪(車輪12C、12D)の向きが変わる方式であるが、ハンドルの操作により後輪の向きが変わる方式でも良いし、前輪と後輪の両方の向きが変わる方式でも良い。
【0015】
本形態では、前輪駆動の自動車10の後輪(車輪12A、12B)に、動力制御ユニット18A、18Bを備えている。動力制御ユニット18A、18Bは、車輪12A、12Bに駆動力を与える電動機(モーター)であると共に、車輪12A−12Bの回転エネルギーから電力を回生する発電機としても機能している。
【0016】
本形態の自動車10は、エンジン16と動力制御ユニット18A、18Bの2種類の動力源を有するハイブリッド自動車である。更に、本形態の動力制御ユニット18A、18Bは、これらのみで車体14を駆動させる程の運動エネルギーを発生するのではなく、エンジン16と動力制御ユニット18A、18Bとが同時に使用される。即ち、動力制御ユニット18A、18Bは、基本的には、エンジン16を補助する動力発生源として機能する。しかしながら、例えば、自動車10が平坦な道路等を走行する際に、微弱な動力のみを必要とする場合は、エンジン16を停止させて、動力制御ユニット18A、18Bのみが動力源として作用しても良い。
【0017】
動力制御ユニット18Aは、車輪12Aの外側に面する側面に配置された複数個のマグネット32と、このマグネット32に対向するように車輪12Aよりも外側に配置されたコイル30とを備えている。コイル30およびマグネット32の詳細については図2を参照して後述する。
【0018】
動力制御ユニット18Aのコイル30には、バッテリー20Aと制御部22Aが接続されている。
【0019】
バッテリー20Aは、動力制御ユニット18Aがモーターとして駆動する際には、コイル30に対して電力を供給する。一方、動力制御ユニット18Bが発電機として回生エネルギーを回収する際には、コイル30から供給される電力がバッテリー20Aに充填される。
【0020】
制御部22Aは、動力制御ユニット18Aにより車輪12Aが駆動される駆動動作と、動力制御ユニット18Aが発電機といて機能することで電力を回生して充電する回生動作とを切り替える制御を行う。また、コイル30とバッテリー20A等とを接続する配線は、コイル30を車体14のフレームに連結する連結部に固定されている。
【0021】
更に、制御部22Aでバッテリー20Aの電圧を監視するようにしても良い。この場合は、バッテリー20Aに充電された電力の電圧値が所定以上であれば、上記駆動動作を実行する。一方、バッテリー20Aに充電された電力の電圧値が所定未満であれば、駆動動作を実行しないようにする。更にまた、制御部22Aでは、ジャイロセンサ等のセンサにより自動車10に作用している加速度や速度を検出し、これらに基づいて駆動動作と回生動作とを切り替えても良い。
【0022】
更に本形態では、コイル30、コイルを車体14に固定する支持部、バッテリー20Aおよび制御部22Aが、一体化したモジュールの状態と成っている。このことにより、ハイブリッドシステムを取り入れるために、動力制御ユニット18Aを採用しても、車体14側にて配線を設ける必要がないので、動力制御ユニット18Aを取り入れる際のコストや労力が低減される。
【0023】
指示部60は、自動車10の運転室などに備えられており、動力制御ユニット18A、18Bの制御部22A、22Bに指示を与える部位である。即ち、自動車10を運転する使用者が、指示部60を操作することにより、動力制御ユニット18A、18Bの駆動または回生の切り替え等が制御される。ここで、動力制御ユニット18A、18Bが備える制御部22A、22Bと、指示部60とは、有線で接続されても良いし無線にて接続されても良い。
【0024】
また、動力制御ユニット18Bの構成は動力制御ユニット18Aと同様であり、上記と同様に、バッテリー20Bおよび制御部22Bが備えられている。
【0025】
図2および図3を参照して、上記した動力制御ユニット18Aを詳細に説明する。
【0026】
図2(A)は自動車10の動力制御ユニット18Aが備えられる箇所を示す側面図であり、図2(B)は図2(A)のB−B’線に於ける断面図である。
【0027】
図2(A)を参照して、動力制御ユニット18Aは、車体14の後部に配置された後輪である車輪12Aに装備される。
【0028】
図2(B)を参照して、動力制御ユニット18Aが車輪12Aに対して備え付けられる構成を説明する。動力制御ユニット18Aは、回転する車輪12Aに組み込まれる複数のマグネット32と、支持部56を介して自動車10のフレームに固定された支持板28と、マグネット32と対向するように支持板28の内側側面に配置された複数のコイル30とを備えている。ここで、マグネット32が配置される配置板34、コイル30が配置される支持板28および支持板28を機械的に支持する支持部56は、厚みが数ミリ程度のステンレス等から成る金属板を所定形状に加工することにより得られる。
【0029】
また、マグネット32は、スピンドルに対してボルトで固定された配置板34に固定されているが、ホイール26の外側の側面に直にコイル30を配置することも可能である。
【0030】
車輪12Aは、ホイール26と当該ホイール26により支持されるタイヤ24とを備えており、ボルトによりホイール26は回転自在なスピンドル46に締結されている。スピンドル46は車軸62に連結されており、この車軸62は、回転可能に連結するジョイント42を介してシリンダ40に連結されている。また、このシリンダ40の上下運動はコイルスプリング38により緩衝されている。このような車輪12Aの構成は一般的なものであり、他の後輪である車輪12B(図1参照)も同様の構成である。ここで、前輪である車輪12C等は、上記した構成に加えて、エンジンから動力を伝える機構や、ハンドルの操作により車輪の向きを変える機構が付加される。
【0031】
図3(A)を参照して、配置板34の平面視での形状は車輪の形状に即した円形であり、ボルトを貫通して固定するための孔部48が中央部付近に複数個設けられている。また、配置板34の外周部付近で円周方向に沿って、複数個のマグネット32が等間隔に離間して配置されている。本形態の自動車10が移動する際には、配置板34およびその表面に配置されたマグネット32は、車輪と共に回転する。
【0032】
図3(B)を参照して、上記した配置板34と同様に支持板28の平面視での形状は円形であり、上記したマグネット32に対応する箇所に複数個のコイル30(ステータコイル)が配置されている。また、個々のコイル30を構成する巻線50は連続しており、この巻線50の両端部は、図1に示すバッテリー20Aに接続されている。ここで、支持板28の形状は必ずしも円形である必要はなく、マグネット32に対向する位置にコイル30が円環状に配置可能であれば、四角形形状等の他の形状でも良い。なお、コイル30が配置された支持板28は支持部を経由して自動車のフレームに固定されているので、自動車の移動に伴い車輪が回転しても、支持板28およびコイル30は回転しない。
【0033】
図3(C)を参照して、配置板34に配置されたマグネット32と、支持板28に配置されたコイル30とは互いに向き合う位置に配置されている。マグネット32の端部とコイル30の端部とが離間する距離L1は、コイル30が回転する際に両者の衝突が防止され、且つ駆動および回生の効率が確保される範囲で設定され、例えば0.5cm以上1.0cm以下である。
【0034】
マグネット32は通常の磁石であり、紙面上にて横方向にS極およびN極が配置されても良いし、紙面上にて厚み方向に両極が配置されても良い。
【0035】
コイル30は、支持板28の主面に対して垂直に(マグネット32の方向に向かって)突起する様に配置された芯52と、芯52を取り巻くように円筒状に巻かれた導線である巻線50から構成されている。芯52は例えばフェライトから成る。図3(B)を参照すると、複数個のコイル30では、共通の巻線50が芯52に巻かれて配置されている。
【0036】
本形態の動力制御ユニット18が駆動動作にて稼働するときには、巻線50に電力を供給することでコイル30から磁力を発生させる。すると、永久磁石であるマグネット32から発生した磁力と、コイル30から発生した磁力とが、反発または引き合うことにより、マグネット32を円周方向に移動させる力(即ち、図1に示す車輪12A、18Bを回転させようとする回転力)が発生する。
【0037】
一方、本形態の動力制御ユニット18A等を回生動作にて稼働する際には、支持板28に配置されたコイル30の位置が固定された状態で、配置板34が回転することで、コイル30の近傍をマグネット32が高速にて通過する。このことにより、磁力を発生させているマグネット32の移動による電磁誘導の作用により、コイル30に電位差が発生し回生電力が得られる。
【0038】
図4を参照して、本形態の動力制御ユニット18A、18Bが自動車に組み込まれる構造を説明する。本形態の動力制御ユニット18Aは、上記したように、マグネットが配置される配置板34と、コイルが組み込まれる支持板28とを主要に備えている。ここで、配置板34は、自動車10の車輪12Aに組み込まれ、自動車10が移動する際には車輪12Aと共に回転する。
【0039】
一方、コイルが配置された支持板28は、板状又は棒状の支持部56を経由して、回転しない車軸62に固定されている。図2(B)に示したように、走行時の衝撃が自動車10に作用しても、車軸62はホイール26と共に移動する。従って、車軸62に支持部56を介して支持板28を固定することにより、この衝撃が作用しても、支持板28に固着されたコイルと、配置板34に固着されたマグネットとの位置関係が保持される。このことから、凹凸が激しい悪路を自動車10が走行した際であっても、本形態の動力制御ユニット18A、18Bは安定して発電等を継続する。
【0040】
また、車輪12Bに備えられる動力制御ユニット18Bについても、動力制御ユニット18Aと同様に、支持板28が支持部56を経由して車軸62に固定される。
【0041】
図5(A)を参照して、動力制御ユニット18Aの他の形態を説明する。ここでは、エポキシ樹脂との樹脂材料により、支持板28の表面およびコイル30が樹脂封止されている。図示はしていないが、コイル30どうしの間に配置される部分の巻線(図3(B)参照)も被覆樹脂58により被覆される。この様にすることで、電子部品であるコイル30が被覆樹脂58により覆われて保護されるので、使用状況下にて動力制御ユニット18Aが風雨に曝されても、コイル30が風雨の悪影響を受けることが抑制される。
【0042】
図5(B)を参照して、ここでは、支持板28の形状が扁平な円筒状であり、コイル30およびマグネット32は、円筒状の支持板28の内部空間に収容される。この様にすることで、支持板28によりコイル30およびマグネット32が配置される空間が囲い込まれる。従って、車両が道路を走行する状況にて、この空間に石等が進入することが抑制される。
【0043】
ここで、上記した各実施例は互いに組みあわせて採用されても良い。
【0044】
次に、図1を参照して、上記した構成を備える自動車10の動作の一例を説明する。先ず、自動車10が始動する際または加速する際には、大きな駆動力が必要となるので、エンジン16にて前輪である車輪12C、12Dを駆動すると同時に、動力制御ユニット18A、18Bにて後輪である車輪12A、18Bを駆動する。このことにより、強い加速を得られると共に消費される燃料が低減される。
【0045】
一方、自動車10が下り坂を制動する際または減速する際には、動力制御ユニット18A、18Bのモードを回生動作に切り替え、車輪12A、12Bの運動エネルギーから得られる電力を回生し、バッテリー20A、20Bに充電する。また、この際には、エンジン16は稼働させても良いし、停止させても良い。
【0046】
本発明の特徴は、発動機または発電機として機能する動力制御ユニット18Aをモジュールの状態で、エンジン駆動の自動車10に付加する点にある。具体的には、市販されているハイブリッド自動車は、製造・出荷された段階でエンジンと発動機とが車両に備えられた状態であるので、両者を備える分、通常のエンジン駆動の自動車と比較すると高価である。また、2009年時点では、ハイブリッド自動車よりもエンジン駆動の自動車の方が大多数を占めており、燃費が比較的劣るエンジン駆動の燃費を向上させることが望まれている。
【0047】
本形態の動力制御ユニット18A、18Bは、この様な要望に答えるものであり、エンジン駆動の自動車に対して、簡易なハイブリッドシステムを付加するものである。具体的には、図1を参照すると、エンジン駆動の自動車10の後輪(車輪12A、12B)に、動力制御ユニット18A、18Bが備えられている。動力制御ユニット18A、18Bは、駆動動作では、車輪12A、18Bに対して直に駆動力を与える。また、回生動作では、車輪12A、12Bから直に回生エネルギーを得る。更に、本形態の動力制御ユニット18A、18Bは簡素な構成であり、既存の自動車に容易に取り付けることが出来る。このことから、既存のエンジン駆動自動車に対して、容易且つ安価にハイブリッドシステムを付加することが出来る。
【0048】
更に、本形態では、前輪駆動の自動車10の後輪である車輪12A、12Bに対して、動力制御ユニット18A、18Bを取り付けている。後輪である車輪12A、12Bは、エンジン16により駆動されず、回転自在の状態である。更に、車輪12A、12Bは、ハンドルの操作により向きが変更されない簡素な機構である。従って、このような車輪12A、12Bは、動力制御ユニット18A、18Bを容易に取り付けることが可能であると共に、取り付けた後の故障の恐れが小さい。
【0049】
更にまた、本発明では、図2(B)を参照して、故障しやすい電子部品であるコイル30を、車両のフレームに対して固定される支持板28に配置している。一方、電子部品でなく故障の可能性が低いマグネット32は、車輪と共に回転する配置板34に固着している。このことにより、コイル30の離脱等が解消されるので、動力制御ユニット18Aの故障が抑制される。
【0050】
本形態の動力制御ユニット18A、18Bおよび自動車10の構成は以上の通りであるが、次のように形態を変更しても良い。
【0051】
図2(B)を参照すると、動力制御ユニット18Aのコイル30は車輪12Aよりも外側に配置されているが、コイル30を内側に配置しても良い。このことにより、コイル30および支持板28が外側に突出することが無くなる。
【0052】
図4を参照すると、動力制御ユニット18Aの支持部56は、自動車10の車軸62に固定されていたが、支持部56は自動車10の他の部位に固定されても良い。例えば、車体のボディに支持部56が固定されても良い。
【0053】
更にまた、上記説明では自動車10に対して動力制御ユニットを備えたが、動力制御ユニットが備えられる車両としては、電車等の他の車両でも良い。
【符号の説明】
【0054】
10 自動車
12、12A、12B、12C、12D 車輪
14 車体
16 エンジン
18、18A、18B 動力制御ユニット
20、20A、20B バッテリー
22、22A、22B 制御部
24 タイヤ
26 ホイール
28 支持板
30 コイル
32 マグネット
34 配置板
36 ディスク
38 コイルスプリング
40 シリンダ
42 ジョイント
44 アーム
46 スピンドル
48 孔部
50 巻線
52 芯
54 フレーム
56 支持部
58 被覆樹脂
60 指示部
62 車軸


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪を備えた車両に駆動力を与えると共に回生電力を回収する動力制御ユニットであり、
前記車輪の外側の側面で円周方向に沿って配置され、前記車両が移動する際に前記車輪と共に回転する複数個のマグネットと、
前記マグネットに接近した位置に配置されたコイルと、
前記車両が減速または制動する際に発生する前記回生電力を充電すると共に、前記車両を駆動する際に前記コイルに電力を供給する電力蓄積部と、を備え、
前記コイルは、前記車輪よりも外側に配置されると共に、前記車両に固定された支持板の、前記マグネットに対向する面に固着されることを特徴とする動力制御ユニット。
【請求項2】
前記マグネットは、前記車輪に固定される配置板の主面に固着されることを特徴とする請求項1に記載の動力制御ユニット。
【請求項3】
前記支持板は、前記車両の車軸に固定されることを特徴とする請求項2に記載の動力制御ユニット。
【請求項4】
前記複数個のコイルは樹脂封止されることを特徴とする請求項3に記載の動力制御ユニット。
【請求項5】
前記コイル、前記支持板および前記電力蓄積部は、一体化されたモジュールの状態であることを特徴とする請求項4に記載の動力制御ユニット。
【請求項6】
前記車両の状態に応じて、前記駆動力を発生させる駆動動作と前記回生電力を発生させる回生動作とを切り替える制御手段を更に備えることを特徴とする請求項5記載の動力制御ユニット。
【請求項7】
前記マグネットは、前記車輪のホイールに備えられることを特徴とする請求項2に記載の動力制御ユニット。
【請求項8】
車輪と、前記車輪に駆動力を与えるエンジンと、前記車輪に駆動力を与えると共に回生電力を発生する動力制御ユニットとを有し、
前記動力制御ユニットは、
前記車輪の外側の側面で円周方向に沿って配置され、前記車両が移動する際に前記車輪と共に回転する複数個のマグネットと、
前記マグネットに接近した位置に配置されたコイルと、
前記車両が減速または制動する際に発生する前記回生電力を充電すると共に、前記車両を駆動する際に前記コイルに電力を供給する電力蓄積部と、を備え、
前記コイルは、前記車輪よりも外側に配置されると共に、前記車両に対して固定された支持板の、前記マグネットに対向する面に固着されることを特徴とする車両。
【請求項9】
前記車輪は、前記エンジンにより駆動される駆動車輪と、前記エンジンにより駆動されない回転自在な非駆動車輪とを備え、
前記動力制御ユニットは、前記非駆動車輪に備えられることを特徴とする請求項8記載の車両。
【請求項10】
前記動力制御ユニットは、ハンドルの操作により向きが変わらない前記車輪に対して備えられることを特徴とする請求項9記載の車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−131674(P2011−131674A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−291792(P2009−291792)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(508322060)
【Fターム(参考)】