説明

半導体ウェハ処理装置

【課題】半導体ウェハの処理面内で均一な処理を行なうことができる半導体ウェハ処理装置を提供する。
【解決手段】半導体ウェハ4に処理を施すための半導体ウェハ処理装置100であって、半導体ウェハ4を保持するためのウェハカセット1と、ウェハカセット1に配置された半導体ウェハ4の処理面3に対し、その表面が平行に配置された平板状の対向電極5と、処理液7を導入可能な内部空間18を有し、かつ内部空間18に半導体ウェハ4、ウェハカセット1および対向電極5を配置可能な処理槽8と、半導体ウェハの処理面3a側の処理液7の流速が処理面3aの裏面3b側の処理液7の流速より速くなるように制御するための処理液供給口6、ポンプ17とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハの処理装置に関し、特に、半導体ウェハにウェット処理を行なう半導体ウェハ処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の半導体ウェハ処理装置では、半導体ウェハに還元、エッチング、めっき、洗浄などが電界印加によるウェット処理で行なわれている。
【0003】
たとえば、特開平11−288908号公報(特許文献1)には、電界印加によるウェット処理によって半導体ウェハの洗浄を行なう半導体ウェハの洗浄装置が開示されている。この半導体ウェハの洗浄装置では、半導体ウェハと電極部材との間に導電性の薬液が介在し、半導体ウェハと電極部材との間に所定の電圧が印加されている。そして半導体ウェハと薬液とが相対的に移動されて半導体ウェハが洗浄されている。
【0004】
この半導体ウェハの洗浄装置では、多数枚の半導体ウェハがウェハカセットに収容されている。ウェハカセットの半導体ウェハの端縁を支持する部位の一部には、電気接点部が形成されている。この電気接点部が半導体ウェハに接触している。そして、電気接点部と電極部材とは電圧電源を介して接続されている。また、多数枚の半導体ウェハは、半導体ウェハの表裏面が薬液の流動方向と平行となる向きに配置され、かつ並列に支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−288908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の半導体ウェハの洗浄装置では、対向電極(電極部材)と複数の半導体ウェハのそれぞれの処理面とが交差する方向に配置されているので、対向電極(電極部材)との距離は半導体ウェハの処理面内の位置によって異なるため対向電極(電極部材)と半導体ウェハの処理面との距離が一定でない。
【0007】
また、薬液などの処理液が処理槽に流される際に、処理液の流れによって半導体ウェハがゆれ動くことにより半導体ウェハと通電用接点(電気接点部)との密着性が悪くなる。そのため、電位に強弱が生じて半導体ウェハの処理面内に電界分布が生じ、半導体ウェハの処理面内の均一な処理を行なうことができないという問題がある。
【0008】
さらに、半導体ウェハを処理槽内の半導体ウェハ支持部材の取り付け位置に強固に挟み込んで固定することにより、処理中における半導体ウェハのゆれを抑制することができるが、半導体ウェハが強固に挟み込まれて固定されると半導体ウェハが割れる可能性が高い。すなわち半導体ウェハが半導体ウェハ支持部材の取り付け位置に強固に挟み込まれるため、半導体ウェハに強い力が加えられるので、半導体ウェハの取り付け、取り外し時にウェハ割れが生じやすくなる。
【0009】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、半導体ウェハの処理面内で均一な処理を行なうことができる半導体ウェハ処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の半導体ウェハ処理装置は、半導体ウェハに処理を施すための半導体ウェハ処理装置であって、半導体ウェハを保持するためのウェハカセットと、ウェハカセットに配置された半導体ウェハの処理面に対し、その表面が平行に配置された平板状の対向電極と、処理液を導入可能な内部空間を有し、かつ内部空間に半導体ウェハ、ウェハカセットおよび対向電極を配置可能な処理槽と、半導体ウェハの処理面側の処理液の流速が処理面の裏面側の処理液の流速より速くなるように制御するための流速制御部材とを備えている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の半導体ウェハ処理装置によれば、ウェハカセットに配置された半導体ウェハの処理面と平板状の対向電極の表面とが平行に配置されており、半導体ウェハの処理面側の処理液の流速が裏面側の処理液の流速より速くなるように制御されている。これにより、半導体ウェハの処理面内での電界分布を抑制することができるため、半導体ウェハの処理面内において均一な処理を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態1における半導体ウェハ処理装置の概念図である。
【図2】本発明の実施の形態1における半導体ウェハ処理装置のウェハカセットの概略斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態1における半導体ウェハ処理装置のウェハカセットの概略平面図である。
【図4】本発明の実施の形態2における半導体ウェハ処理装置の概念図である。
【図5】本発明の実施の形態3における半導体ウェハ処理装置の概念図である。
【図6】本発明の実施の形態4における半導体ウェハ処理装置の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
(実施の形態1)
最初に本発明の実施の形態1の半導体ウェハ処理装置の構成について説明する。
【0014】
図1を参照して、本実施の形態の半導体ウェハ処理装置100は、ウェハカセット1、対向電極5、処理液供給部材(処理液供給口6、ポンプ17)および処理槽8を主に有している。なお、図1においては、説明のため半導体ウェハ4および処理液7も図示されている。
【0015】
ウェハカセット1は、半導体ウェハ4を保持するものである。ウェハカセット1に取り付けられた通電用接点2に半導体ウェハ4の処理面3aが向き合うように複数の半導体ウェハ4がウェハカセット1に保持されている。
【0016】
半導体ウェハ4の処理面3aと対向するように対向電極5が設置されている。複数の半導体ウェハ4の処理面3aに対して一括して処理を行なうために複数の対向電極5が設置されている。対向電極5の表面が半導体ウェハ4の処理面3aと平行となるように半導体ウェハ4と対向電極5とが対向して配置されている。
【0017】
対向電極5は、半導体ウェハ4と重ね合わせられたときに半導体ウェハ4を覆うことができるような形状および大きさに形成されている。つまり対向電極5の表面が半導体ウェハ4の処理面3aより大きい。対向電極5は、たとえば白金、金などで構成されている。
【0018】
処理槽8は、処理液7を導入可能な内部空間18を有している。内部空間18は、複数の半導体ウェハ4が保持されたウェハカセット1および対向電極5を配置可能である。処理液供給部材は、処理液供給口6とポンプ17とを有している。処理槽8には処理液供給口6が挿入されるための孔が形成されている。処理液供給口6は、半導体ウェハ4の処理面3a側および裏面3b側(処理面3aの逆側)に配置されている。処理液供給口6は、処理液7を供給するように、半導体ウェハ4の配置位置の手前(図中下側)に配置されている。処理液供給口6に通じる流路にはポンプ17が配置されている。ポンプ17は、処理槽8に処理液7を供給するためのものである。
【0019】
処理槽8の上部には処理液排出口9が設置されている。これにより、処理槽8の一定の高さにまで処理液7が導入されると処理液排出口9から処理液7が排出されるように処理槽8は構成されている。
【0020】
通電用接点2および対向電極5の各々には、ポテンショスタット10が電気的に接続されている。ポテンショスタット10の陰極には対向電極5が接続され、陽極には通電用接点2が接続されている。ポテンショスタット10には基準電極11が配置されている。これにより、基準電極11を参照して、陰極と陽極との間の電位が設定された任意の電位に制御されて半導体ウェハ4の処理が行われる。
【0021】
図2を参照して、ウェハカセット1にはウェハ支持溝12が形成されている。ウェハ支持溝12の幅は、半導体ウェハ4の厚みよりも大きくなるように構成されている。半導体ウェハ4が対向電極5に対してより平行に配置されるように、一枚の半導体ウェハ4に対して3つ以上のウェハ支持溝12が形成されることが望ましい。
【0022】
また、ウェハカセット1におけるウェハ支持溝12と隣接する部分には、対向電極5が配置されるための対向電極挿入口13が形成されている。
【0023】
図3を参照して、ウェハ支持溝12は、ウェハ支持溝12を形成する壁の根元部において広く、先端部において狭い形状を有している。なお、上記のウェハ支持溝12の形状は、一例であって、半導体ウェハ4を支持可能な形状であればよい。ウェハ支持溝12を形成する一方の壁には通電用接点2が配置されている。通電用接点2は、たとえば白金、金などで構成されている。複数の通電用接点2は、通電用接点接続線14で並列に接続されている。なお、上記の通電用接点2の形状は、一例であって、半導体ウェハ4と通電可能な形状であればよい。
【0024】
次に、本実施の形態の半導体ウェハ処理装置の動作について説明する。
図1を参照して、半導体ウェハ4が準備される。ウェハ支持溝12(図3参照)に半導体ウェハ4が差し込まれることにより半導体ウェハ4がウェハカセット1に支持される。半導体ウェハ4の処理面3aと対向電極5とが対向するように対向電極5が配置される。図中矢印の方向に処理液供給口6から導電性の処理液7が処理槽8内にポンプ17によって供給される。これにより、半導体ウェハ4と対向電極5とが処理液7に浸漬される。
【0025】
なお、ウェハカセット1が処理槽8に配置された状態で対向電極5が配置されてもよく、またウェハカセット1に対向電極5が配置された状態でウェハカセット1が処理槽8に配置されてもよい。また、ウェハカセット1が処理槽8内に配置された状態で処理液7が導入されてもよく、また処理液7が処理槽8に導入された状態でウェハカセット1が処理槽8に配置されてもよい。
【0026】
処理槽8の上部に設置された処理液排出口9から図中矢印Xの方向に処理液7が排出される。なお、処理液排出口9から排出した処理液7は、再度処理液供給口6に導入されてもよい。これにより、処理液7が再利用され、有効に利用される。
【0027】
処理液7としては、たとえば超純水電解液、めっき液、洗浄液およびエッチング液などが用いられる。これらのような各種の処理液7が半導体ウェハ4の処理用途に応じて用いられることにより、処理用途に応じて半導体ウェハ4に処理が施される。
【0028】
半導体ウェハ4の処理面3a側に配置された処理液供給口6b(第1の処理液供給部)から供給される処理液7の流速が裏面3b側(処理面3aの逆側)に配置された処理液供給口6a(第2の処理液供給部)から供給される処理液7の流速よりも速くなるようにポンプ17aおよびポンプ17bが制御される。このようにして、半導体ウェハ4の処理面3a側の処理液7の流速が裏面3b側の処理液7の流速より速くなるように、処理液供給口6a、6b、ポンプ17a、17bが制御される。
【0029】
処理液供給口6bから供給される処理液7の流速が処理液供給口6aから供給される処理液7の流速よりも速いので、半導体ウェハ4は流速が速い処理液供給口6b側に引きつけられる。これにより、半導体ウェハ4が通電用接点2側に引きつけられる。
【0030】
つまり、半導体ウェハ4の処理面3a側が裏面3b側より処理液7の流速が速いため、半導体ウェハ4の処理面3a側が裏面3b側より処理液7の圧力が小さくなる。そのために、半導体ウェハ4が圧力の大きな裏面3b側より圧力の小さな処理面3a側に力が作用する。これにより、半導体ウェハ4の処理面3aが通電用接点2と密着される。
【0031】
したがって、図3に示すようにウェハカセット1のウェハ支持溝12と半導体ウェハ4との間には隙間があるが、半導体ウェハ4が通電用接点2側のウェハカセット1に押し付けられるため半導体ウェハ4がウェハカセット1の内側で傾いたり、揺れたりすることが抑制される。
【0032】
同様に半導体ウェハ4の処理面3a側の処理液供給口6d(第1の処理液供給部)から供給される処理液7の流速が半導体ウェハ4の裏面側の処理液供給口6c(第2の処理液供給部)から供給される処理液7の流速よりも速くなるようポンプ17cおよびポンプ17dが制御される。
【0033】
この状態で任意の電位が与えられて半導体ウェハ4に還元、エッチング、めっき、洗浄などの処理が施される。
【0034】
次に、本実施の形態の半導体ウェハ処理装置の作用効果について説明する。
本実施の形態の半導体ウェハ処理装置100によれば、ウェハカセット1に配置された半導体ウェハ4の処理面3aと平板上の対向電極5の表面とが平行に配置されている。これにより、半導体ウェハ4の処理面3aと対向電極5との距離とは処理面3a内の位置に関わらず一定となる。これにより、処理面3aの面内を均一に処理することができる。
【0035】
また、半導体ウェハ処理面3a側の処理液7の流速が裏面3b側(処理面3aの逆側)の処理液7の流速より速くなるように制御されている。このように処理液7の流速を半導体ウェハ4の処理面3a側が裏面3b側よりも速くなるように処理液7を流すことにより、半導体ウェハ4の処理面3aを通電用接点2と密着させることができ確実に接触させることができる。
【0036】
つまり、半導体ウェハ4の処理面3a側が裏面3b側より処理液7の流速が速いため、半導体ウェハ4の処理面3a側が裏面3b側より処理液7の圧力が小さくなる。そのために、半導体ウェハ4が圧力の大きな裏面3b側より圧力の小さな処理面3a側に力が作用する。これにより、半導体ウェハ4の処理面3aを通電用接点2に密着させることができる。よって、半導体ウェハ4を通電用接点2に確実に接触させることができる。
【0037】
このようにして、半導体ウェハ4が通電用接点2を介してウェハカセット1に押し付けられる。これにより、半導体ウェハ4の処理面3aと対向電極5とを平行に保った状態で確実に処理することができる。よって、半導体ウェハ4の処理面3a内での電界分布を抑制して、処理面3a内でばらつきなく均一な処理を行なうことができる。
【0038】
また、ウェハカセット1に保持された複数の半導体ウェハ4に対して複数の対向電極5が対向して配置されているため、複数の半導体ウェハ4を一括して均一に処理することができる。
【0039】
また、本実施の形態の半導体ウェハ処理装置100によれば、半導体ウェハ4の処理面3a側と裏面3b側の処理液7の流速差に基づく圧力差によって半導体ウェハ4がウェハカセット1に通電用接点2を介して密着して保持されている。したがって、半導体ウェハ4が半導体ウェハ4を支持するための部材に強固に挟み込まれて固定されないため、半導体ウェハ4が半導体ウェハ4を支持するための部材に固定される際にウェハ割れが生じることがない。そのため、半導体ウェハ4の半導体ウェハ処理装置100への取り付け、取り外し時にウェハ割れが生じることを抑制することができる。
【0040】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2の半導体ウェハ処理装置は、実施の形態1の半導体ウェハ処理装置と比較して、半導体ウェハの処理面と対向電極との配置が主に異なっている。
【0041】
図4を参照して、1つの対向電極5に対して、対向電極5の両側から2つの半導体ウェハ4の処理面3aが対向するように2つの半導体ウェハ4が配置されている。
【0042】
本実施の形態の半導体ウェハ処理装置100では、半導体ウェハ4の処理面3a側に配置された処理液供給口6b(第1の処理液供給部)から供給される処理液7の流速が裏面3b側(処理面3aの逆側)に配置された処理液供給口6a(第2の処理液供給部)から供給される処理液7の流速よりも速くなるようにポンプ17aおよびポンプ17bが制御される。また、半導体ウェハ4の処理面3a側に配置された処理液供給口6d(第1の処理液供給部)から供給される処理液7の流速が裏面3b側に配置された処理液供給口6c(第2の処理液供給部)から供給される処理液7の流速よりも速くなるようにポンプ17aおよびポンプ17bが制御される。
【0043】
なお、本実施の形態のこれ以外の構成および動作は上述した実施の形態1と同様であるため、同一の要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0044】
以上により、本実施の形態の半導体ウェハ処理装置100によれば、実施の形態1と同様の作用効果を有する。また、1つの対向電極5に対して、対向電極5の両側から2つの半導体ウェハ4の処理面3aが対向するように2つの半導体ウェハ4が配置されているため、1つの対向電極5で2つの半導体ウェハ4の処理面3aを処理することができる。したがって、1つの対向電極5で1つの半導体ウェハ4の処理面3aを処理する場合に比べて、対向電極5の数を半減することができる。これにより、生産コストを含めた生産性を向上させることができる。
【0045】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3の半導体ウェハ処理装置は、実施の形態1の半導体ウェハ処理装置と比較して、処理液供給部材の構成が主に異なっている。
【0046】
図5を参照して、処理液供給部材は、処理液供給口6と、バルブ15と、処理液導入口16とを有している。処理液供給口6と処理液導入口16との間にバルブ15が設けられている。バルブ15は、処理槽8に処理液7を供給するためのものである。処理液供給口6から導電性の処理液7が処理槽8内にポンプ17によって供給される。
【0047】
本実施の形態の半導体ウェハ処理装置100では、バルブ15によって処理液導入口16から処理液供給口6に処理液7が導入される。そして処理液供給口6から処理液7が処理槽8内に供給される。バルブ15により処理液7の流速が変化される。半導体ウェハ4の処理面3a側に配置された処理液供給口6b(第1の処理液供給部)に設けられたバルブ15bのコンダクタンスは、裏面3b側(処理面3aの逆側)に配置された処理液供給口6a(第2の処理液供給部)に設けられたバルブ15aのコンダクタンスより大きくなるように制御される。
【0048】
たとえば、バルブ15bの流量がバルブ15aの流量より大きくなるように設定されることにより、バルブ15bのコンダクタンスがバルブaのコンダクタンスより大きくなるように制御される。
【0049】
同様に半導体ウェハ4の処理面3a側に配置された処理液供給口6d(第1の処理液供給部)に設けられたバルブ15dのコンダクタンスは、裏面3b側(処理面3aの逆側)に配置された処理液供給口6c(第2の処理液供給部)に設けられたバルブ15cのコンダクタンスより大きくなるように制御される。
【0050】
なお、本実施の形態のこれ以外の構成および動作は上述した実施の形態1と同様であるため、同一の要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0051】
本実施の形態の半導体ウェハ処理装置100によれば、半導体ウェハ4の処理面3a側に配置された処理液供給口6bに設けられたバルブ15bのコンダクタンスが、裏面側に配置された処理液供給口6aに設けられたバルブ15aのコンダクタンスより大きくなるように制御されている。これにより、半導体ウェハ4の処理面3a側の流速を裏面3b側の流速よりも速くすることができる。そのため、実施の形態1と同様の作用効果を有する。
【0052】
また、バルブ15を設けることにより、処理液導入口16から処理液7が導入される際にバルブ15の開閉操作によって処理液7の流速を容易に調整することができる。
【0053】
また、処理内容により処理液7の流速を変化させたい場合などに、バルブ15の開閉操作によって処理液7の流速を容易に調整することができるので、操作を簡単に行なうことができる。
【0054】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4の半導体ウェハ処理装置は、実施の形態1の半導体ウェハ処理装置と比較して、処理液供給部材の構成が主に異なっている。
【0055】
図6を参照して、処理液供給部材は、処理液供給口6と、処理液導入口16とを有している。処理液導入口16から分岐するように複数の処理液供給口6が構成されている。処理液供給口6aおよび6bはそれぞれ異なる処理液噴出の口径を有している。
【0056】
本実施の形態の半導体ウェハ処理装置100では、処理液導入口16のコンダクタンスが処理液供給口6のコンダクタンスよりも十分に大きくなるように制御される。たとえば、処理液導入口16の径が処理液供給口6の径より十分に大きく設定されることにより、処理液導入口16のコンダクタンスが処理液供給口6のコンダクタンスより十分に大きくなるように制御される。
【0057】
また、半導体ウェハ4の処理面3a側に配置された処理液供給口6b(第1の処理液供給部)のコンダクタンスが裏面3b側(処理面3aの逆側)に配置された処理液供給口6a(第2の処理液供給部)のコンダクタンスより大きくなるように制御される。たとえば、処理液供給口6bの径が処理液供給口6aの径より大きく設定されることにより、処理液供給口6bのコンダクタンスが処理液供給口6bのコンダクタンスより大きくなるように制御される。
【0058】
同様に半導体ウェハ4の処理面3a側に配置された処理液供給口6d(第1の処理液供給部)のコンダクタンスが裏面3b側に配置された処理液供給口6c(第2の処理液供給部)のコンダクタンスより大きくなるように制御される。
【0059】
なお、本実施の形態のこれ以外の構成および動作は上述した実施の形態1と同様であるため、同一の要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0060】
本実施の形態の半導体ウェハ処理装置100によれば、処理液導入口16のコンダクタンスが処理液供給口6のコンダクタンスよりも十分に大きくなるように制御されている。また、半導体ウェハ4の処理面3a側に配置された処理液供給口6bのコンダクタンスが裏面3b側(処理面3aの逆側)に配置された処理液供給口6aのコンダクタンスより大きくなるように制御されている。これらにより、処理液供給口6bから供給される処理液7の流速を処理液供給口6aから供給される処理液7の流速より速くすることができる。そのため、実施の形態1と同様の作用効果を有する。
【0061】
また、処理液導入口16と処理液供給口6とによって処理液7の流速を制御しているため、処理液供給口6a、6b、6c、6dから供給される処理液7の流速は規定の値に保たれる。これにより、常に同じ条件で処理液7を導入することができる。したがって、半導体ウェハ4を安定して処理することができる。
【0062】
また、処理液導入口16と処理液供給口6のほかに処理液7の流速を制御するための部材を設けなくても処理液7の流速を制御することができるため、生産工程や生産コストを含めた生産性を向上することができる。
【0063】
なお、上記の実施の形態1〜4においては、処理液供給部材において、処理液7を供給する流速を制御することにより半導体ウェハ4をウェハカセット1に密着させる構成について説明したが、半導体ウェハ4をウェハカセット1に密着させる構成は、これに限定されるものではない。半導体ウェハ4をウェハカセット1に密着させる構成は、ファンなどを用いて処理液7の流速を変化させる流速制御部材であってもよい。流速制御部材には、処理液7を供給することにより処理液7の流速を制御する処理液供給部材以外の流速を制御する構成も含まれる。
【0064】
なお、半導体ウェハ4と対向電極5との構成および処理液供給部材の構成については、実施の形態1〜4の各構成が適時組み合わせられた構成であってもよい。
【0065】
今回開示された各実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、半導体ウェハにウェット処理を行なう半導体ウェハ処理装置に特に有利に適用され得る。
【符号の説明】
【0067】
1 ウェハカセット、2 通電用接点、3 処理面、4 半導体ウェハ、5 対向電極、6,6a,6b,6c,6d 処理液供給口、7 処理液、8 処理槽、9 処理液排出口、10 ポテンショスタット、11 基準電極、12 ウェハ支持溝、13 対向電極挿入口、14 通電用接点接続線、15 バルブ、16 処理液導入口、17,17a,17b,17c,17d ポンプ 18 内部空間、100 半導体ウェハ処理装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウェハに処理を施すための半導体ウェハ処理装置であって、
前記半導体ウェハを保持するためのウェハカセットと、
前記ウェハカセットに配置された前記半導体ウェハの処理面に対し、その表面が平行に配置された平板状の対向電極と、
処理液を導入可能な内部空間を有し、かつ前記内部空間に前記半導体ウェハ、前記ウェハカセットおよび前記対向電極を配置可能な処理槽と、
前記半導体ウェハの前記処理面側の処理液の流速が前記処理面の裏面側の処理液の流速より速くなるように制御するための流速制御部材とを備えた、半導体ウェハ処理装置。
【請求項2】
前記流速制御部材が前記処理槽に処理液を供給するための処理液供給部材である、請求項1に記載の半導体ウェハ処理装置。
【請求項3】
前記処理液供給部材は、ポンプを有する、請求項2に記載の半導体ウェハ処理装置。
【請求項4】
前記処理液供給部材は、バルブを有する、請求項2または3に記載の半導体ウェハ処理装置。
【請求項5】
前記処理液供給部材は、前記半導体ウェハの前記処理面側から処理液を供給する第1の処理液供給部と、前記半導体ウェハの前記裏面側から処理液を供給する第2の処理液供給部とを含む、請求項2〜4のいずれかに記載の半導体ウェハ処理装置。
【請求項6】
前記第1および第2の処理液供給部は、それぞれ異なる処理液噴出の口径を有している、請求項5に記載の半導体ウェハ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−182797(P2010−182797A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−23726(P2009−23726)
【出願日】平成21年2月4日(2009.2.4)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】