説明

半導体デバイスの製造において直接銅めっきし、かつ充填して相互配線を形成するための方法及び組成物

【課題】半導体デバイスの製造において直接銅めっきし、かつ充填して相互配線を形成するための方法及び組成物の提供。
【解決手段】本発明は、半導体デバイスの製造において直接銅めっきし、かつ充填して相互配線を形成するための方法及び組成物を目的としている。本発明によれば、上記方法とは、銅イオン源を45〜200mM、好ましくは45〜100mMの濃度で、及び2〜4つのアミン官能基を有する脂肪族ポリアミンである少なくとも1種の銅錯化剤を30〜200mM、好ましくは60〜200mMの濃度で溶媒中の溶液に含有し;かつ上記銅/錯化剤のモル比が0.2〜2、好ましくは0.3〜1.5である銅電解槽を調製し、基板の銅拡散バリア層を上記銅電解槽に接触させ、上記基板に、銅が電気めっきされる厚みに従い調整された時間中、電気的バイアスを印加し、上記基板を上記銅電解槽から取り出す方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概ね、半導体デバイスの製造において直接銅めっきし、かつ充填して相互配線を形成するための方法及び組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
銅被覆は、アルミニウムと比べて抵抗率が低く、かつエレクトロマイグレーション抵抗が向上しているために、今日の超々大規模集積回路(ULSI)半導体デバイスにおいて必要とされる多層配線を形成できるものとして広く採用されるようになっている。
【0003】
多層配線は、電力及びアースに加えて種々の信号を集積回路の各種異なる領域へと配線するために用いられる銅配線(トレンチとも呼ばれる)網で構成される。面積効率をより高めるために、これらの配線は積み重ねられ、誘電体により隔てられたいくつかの層を形成しており、各層はビアと呼ばれる垂直の開口部を通して互いに接続している。
【0004】
配線及びビアは、ダマシンプロセスシーケンスを用いて形成される[例えば、非特許文献1を参照]。上記ダマシンプロセスシーケンスでは、配線システムの各層で、凹凸部(features)が誘導体中にエッチングされ、その後、平坦化前に銅で充填される。上記シーケンスを簡略化して、以下のように説明できる:
・誘電体をドライエッチングして、トレンチ及び/又はビアを形成する。
・銅は拡散が速く、プロセス中に、下にある、シリコン内に設けられたトランジスタに達し、デバイス故障をもたらすため、Cu拡散バリア(通常、TaN/Ta)を堆積する(従来法では物理気相成長法:PVDによって堆積する)。
・従来法ではPVDによって銅の「シード層」(この層は、拡散バリア層の高い抵抗率を抑えるのに必要とされるものであり、従来の電気銅めっきプロセスでは、上記拡散バリア層上に均一な薄膜ではなく不連続の3次元Cuクラスターを生じてしまうためである[特許文献1を参照])を堆積する。
・銅を電気化学堆積(電気めっき)して、ビア及びトレンチを充填する。
・化学機械研磨(CMP)により平坦化して、銅配線が誘電体に埋め込まれた状態にする。これらの配線及びビアのロバスト形成技術は、ULSIデバイスの信頼性を確かなものとするのに必要とされている。
【0005】
デバイス集積密度が高い程、配線、ビア及び回路上の他の凹凸部の幅は縮小するが、各種層内の及び各種層間の高さ又は間隔は略一定のままである。結果として、配線及びビアのアスペクト比(幅・高さ比として定義される)の増加につながり、それらを銅で充填しにくくなる。
【0006】
これらのますます縮小する寸法は、ダマシンシーケンスでのシード層堆積の場合のようにPVD等の物理成長プロセスを用いなければならない場合には重大な問題である。銅シード層は、非常に薄い厚み(約10nm)であってもコンフォーマル性が高く、連続したものであって、適切なギャップ充填が電気銅めっきにより確実に行えなければならない。
【0007】
PVD技術は本質的に方向性を持つものであり、そのため微細凹凸部及び/又は高アスペクト比における必要条件を満たすような十分な段差被覆性を有していない。例えば、PVDプロセスでは、幅の狭い凹凸部の上端部において余計な材料が堆積されることになる(オーバーハング現象)。電気銅めっき前の凹凸部幅の狭窄によって完全なギャップ充填の達成は非常に困難になる。さらに、それらの寸法のために、微細凹凸部には極薄のシード層(10nm以下)が必要となる。この薄さという要件がPVDプロセスの低いコンフォーマル性と相まって、シード層が凹凸部の側壁で不連続となり、銅ギャップ充填が不良で、不完全なものとなってしまう。
【0008】
化学気相成長法(CVD)又は原子層成長法(ALD)等の別の成長技術を用いて、銅シード層を堆積できるが[特許文献2及び特許文献3を参照]、これらのプロセスでは依然としてある種のオーバーハング現象を受け、下にあるバリア層への銅の密着がフッ素含有前駆物質を用いるため乏しくなりやすいので、デバイスイールドを低下させることとなる。
【0009】
堆積速度が非常に遅いため、これらのCVD及びALDプロセスを凹凸部の充填に用いることはできず、半導体デバイス製造環境に求められる生産性の高さに対応できない。
【0010】
バリア材への直接の無電解銅堆積が凹凸部の充填において提唱されている。しかしながら、追加の活性化ステップがしばしば必要となり、また、密着性も問題となる(非特許文献2を参照)。
【0011】
直接めっき及び充填について、拡散バリア材を変更して、その抵抗をさらに減少させ、従来の銅めっき化学を用いた電気めっきにさらに適合させることもまた提唱されている[特許文献4を参照]。この手法には、新たな材料の導入という欠点があり、ダマシンシーケンスのいくつかのプロセスの大幅な修正が必要になる。
【0012】
凹凸部寸法が減少するので、シード層の使用は有効アスペクト比の増加にさらに著しく寄与し、電気銅めっきによるギャップ充填は、可能であるとしても、いっそう困難になるであろう。
【0013】
銅シード層を形成可能な銅電解槽は、通例コーティングが不適切になり、「シーム」(ビアにおける中央部の切込みであり、主にビアの外側壁から充填勾配が生じる場合にみられる)として知られる充填不良を生じるため、通常はギャップ充填に使用できない。そのようなシームによって、銅濃度が局所的に低くなるため構造的に脆弱になることもある。さらに上記シームは混入物質(上記混入物質は例えば化学研磨液の使用に起因するものである)の拡散経路となることもある。あるいは、銅シードステップ後のトレンチの充填に用いられるような従来の電気めっき槽では、抵抗降下現象のため、均一な被覆を直接バリア材上に形成することができない:既存の電気銅めっき槽は実際、導電性の表面に銅がボトムアップ成長するように設計されている。結論として、オーバーハングを防ぐために及び/又は不連続とならないようにするためにコンフォーマル堆積を開始し、その後は、非コンフォーマル成長、即ちボトムアップ成長を続けて、完全なシームレス充填を確実に行うプロセスが実際に求められているように、シングルステップでのトレンチ充填は、困難な課題となっている。
【0014】
従って、拡散バリア材に直接行われ、ギャップ充填可能なシングルステップの電気めっきとは、上記問題を多少なりとも解決するものであり、当業者にとって必ずしも容易ではない解決法ということになろう。
【0015】
さらに、今日例えばシード堆積用のもの及び銅めっき用のものといった2つの装置が必要なシーケンス(シード堆積後、トレンチ/ビア充填)をただ一つの道具を用いて実行できるといったように、上述のプロセスによって生産性が上昇することに注目されたい。また、この後者の利点として、寸法の縮小に関する上述の技術要素は、本発明の目的を製造に導入させようとする上で任意であり、本発明はコスト面からだけでも訴求力があるということが示唆される。
【0016】
上述した制約があるために、以下のプロセスに対して明らかにニーズがある:シングルプロセスステップで、ただ一つの化学槽を用いて、(1)拡散バリア(その種類は問わない)上、特に業界標準のTaベースのバリア上に銅を直接めっきして良好に密着させ、(2)例えば銅シード層を用いずに、及び製造における使用に適した速度で、凹凸部を充填できるプロセス。
【特許文献1】米国特許出願公開第2005145499号明細書
【特許文献2】米国特許第6887522号明細書
【特許文献3】米国特許第6849122号明細書
【特許文献4】米国特許第6812143号明細書
【非特許文献1】S.Wolf:“Silicon processing for the VLSI Era”,Vol.4,p.671−687
【非特許文献2】W.L.Goh and K.T.Tan“the use of electroless copper seed in electrochemical deposited copper interconnect”,Thin Solid Films,vol.462−463,Sep.2004,p.275−278
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、最初に銅シード層を形成することなく、銅拡散バリア上に銅を直接めっきし、かつ凹凸部を充填する上での上述した問題点に対処するものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明によれば、ただ一つの銅電解槽を用いて、銅拡散バリア材(前処理されていても、されていなくてもよい)上に銅を直接電気めっきして、得られた銅薄膜によって、「シーム」等の不良を生じることなく、すでにバリア材で被覆されているトレンチ、ビア及び他の凹凸部を完全に充填できることが確認された。このように堆積した銅はアニーリング後の抵抗率が低く、下にあるバリアに対して強固な密着性を示すことが分かったのは驚くべきことであった。低い抵抗率は、信号伝送の遅延を確実に減少する上で特に有利であり、良好な密着性は、エレクトロマイグレーション抵抗を確実に良好なものとする上で特に有利である。さらに、上記銅電解槽によって、工業プロセスの要件に対応する比較的短い堆積時間で、ギャップ充填を終えることができることが分かったのは驚くべきことであった。
【0019】
有利であることには、本発明を用いて、マイクロエレクトロニクスにおける銅の相互配線に従来から用いられる種々の拡散バリア材(タンタル、窒化タンタル、チタン、窒化チタン、タングステン、窒化タングステン、炭化タングステン、コバルト、ルテニウム等)上に電気めっきを行うことができる。
【0020】
第一の態様によれば、本発明は、概して、銅イオン源、具体的に選定した少なくとも1種の錯化剤、及び所望により、充填助剤として用いられる添加剤を含む銅電解槽に関する。
【0021】
さらに具体的に言えば、本発明の銅電解槽は、銅イオン源を45〜200mM、好ましくは45〜100mMの濃度で、及び2〜4つのアミン官能基を有する脂肪族ポリアミンである少なくとも1種の銅錯化剤を30〜200mM、好ましくは60〜200mMの濃度で溶媒中の溶液に含有し;かつ上記銅/錯化剤のモル比が0.2〜2、好ましくは0.3〜1.5である。
【0022】
好ましくは、本発明に係る銅電解槽は本質的に、銅イオン源を45〜100mM、好ましくは50〜80mMの濃度で、及び2〜4つのアミン官能基を有する脂肪族ポリアミンである少なくとも1種の銅錯化剤を60〜200mM、好ましくは90〜180mMの濃度で溶媒中の溶液に含有し;かつ上記銅/錯化剤のモル比が0.3〜1.5、好ましくは0.4〜0.8である。
【0023】
本発明の銅電解槽は、2〜4つのアミン官能基を有する脂肪族ポリアミン類の群から選択される1種以上の特定の錯化剤を含有する。そのような錯化剤は、電気めっき法のシングルステップによって銅めっき及び充填を達成できるという点で独自性があることが分かった。実に重要なことに、これらの物質を含有する配合によって、堆積速度は製造における使用に適したものとなる(例えば、堆積時間は2〜3分であり、シード及び電気めっきステップの堆積時間の合計よりも短い)。本発明によって少なくとも100nm/min程度の堆積時間を実現できることが確認された。
【0024】
「ポリアミン」という用語は、本明細書において1級アミノ基−NHを少なくとも2つ有する有機化合物を意味すると理解されたい。
【0025】
本発明に係る錯化剤として使用できる好ましい脂肪族ポリアミンは、好ましくはエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、及びジプロピレントリアミンから成る群から選択される、2〜4つのアミン官能基を有するアルキレンポリアミン及びポリアルキレンポリアミンから成る群から選択される。
【0026】
本発明の構成において、特に好ましい脂肪族ポリアミンはエチレンジアミン及びジエチレントリアミンである。
【0027】
特に、上記脂肪族ポリアミンとしてエチレンジアミンを約95〜160mMの濃度で含有する浴組成において優れた結果が得られた。
【0028】
また、特に、上記脂肪族ポリアミンとしてジエチレントリアミンを約160mMの濃度で含有する浴組成においても優れた結果が得られた。
【0029】
本発明の銅電解槽は概して、銅イオン源、特に第二銅(Cu2+)イオンを含有する。
【0030】
上記銅イオン源は銅塩であって、例えば具体的に硫酸銅、塩化銅、硝酸銅、又は酢酸銅であり、好ましくは硫酸銅であるのが有利である。
【0031】
特に好ましい銅イオン源は、硫酸銅・5水和物である。
【0032】
特に、上記銅イオン源として硫酸銅・5水和物を65mMの濃度で含む浴組成において優れた結果が得られた。
【0033】
本発明の銅電解槽は概して、溶媒を含有する。
【0034】
基本的に上記溶媒の種類を限定しないが(ただし、上記槽の活性種を適当に溶解し、電気めっきを妨げるものでないとする)、水又は水性アルコール溶液が好ましいだろう。
【0035】
本発明の銅電解槽は酸性又はアルカリ性であってもよく、上記錯化剤ごとに異なる。上記槽のpH値は従来のpH調整添加剤の添加によって調整されるが、あくまで通例であって、必ずしも必要ではない。
【0036】
所望により、促進剤や抑制剤等の有機添加剤を本発明の電解槽に用いて、平面と比較した際の凹凸部のめっき速度を高めることができる。例えば、塩化物イオンをポリエチレングリコール等のポリエーテルと化合させて抑制剤として使用できる。Rohm&Haas Electonic Materials L.L.C.(アメリカ合衆国、マサチューセッツ州、モールバラ)から入手可能であるNanoplate(商標)C−3200等の市販の抑制剤もまた本発明の電解槽に使用できる。また例えば、ビス(ナトリウムスルホプロピル)ジスルフィド(SPS)等の硫黄ベースの有機分子を促進剤として使用できる。Rohm&Haas Electonic Materials L.L.C.(アメリカ合衆国、マサチューセッツ州、モールバラ)から入手可能であるNanoplate(商標)B−3200等の市販の促進剤もまた本発明の電解槽に使用できる。
【0037】
所望により、レベリング剤や湿潤剤等の他の添加剤を本発明の電解槽に用いて、めっき薄膜の品質を高めることができる。
【0038】
第二の態様によれば、本発明は、パターンを形成した基板上に堆積させた銅拡散バリア層上に銅を直接電気めっきし、かつ、上記方法の同ステップにおいて、上記パターンを形成した基板の表面凹凸部を銅で充填するためのプロセス又は方法に関する。
【0039】
本方法によれば、銅拡散バリア材でコーティングされた基板表面は、通常上述のように、本発明の銅電解槽に浸漬される。上記基板を電気的に接続させて、銅薄膜の所望の厚みによって異なる時間中、上記バリア面に電気的バイアスを印加するといった方法で分極させる。
【0040】
さらに具体的に言えば、本発明に係る方法は、
・銅イオン源を45〜200mM、好ましくは45〜100mMの濃度で、及び2〜4つのアミン官能基を有する脂肪族ポリアミンである少なくとも1種の銅錯化剤を30〜200mM、好ましくは60〜200mMの濃度で溶媒中の溶液に含有し;かつ上記銅/錯化剤のモル比は0.2〜2、好ましくは0.3〜1.5である銅電解槽を調製し、
・上記基板の上記銅拡散バリア層を上記銅電解槽に接触させ、
・上記基板に、銅が電気めっきされる厚みに従い調整された時間中、電気的バイアスを印加し、
・上記基板を上記銅電解槽から取り出す
方法である。
【0041】
本発明のプロセスの一実施形態によれば、拡散バリア材でコーティングされた基板表面は本発明の銅電解槽に浸漬される。この浸漬を、コーティング対象の表面に電気的バイアスを印加せずに〔非通電投入(cold entry)〕、又は堆積に用いられるバイアスと同じ極性を有する電気的バイアスを印加して〔通電投入(hot entry)〕行うことができる。
【0042】
被膜形成ステップの間、基板を電気的に接続させて、所望の被膜を形成するのに十分な時間中バリア面に陰極バイアスを印加する(cathodically biased)といった方法で分極させる。上記時間は当業者ならば容易に決定することができ、薄膜の成長率は電荷の関数であり、堆積時間中に回路に流れた電流の時間積分と等しい(ファラデー則)。
【0043】
コーティングステップの最後に、基板を銅電解槽から取り出す。上記取り出しステップを、表面にバイアスを印加せずに〔非通電取り出し(cold exit)〕、又は任意の極性の電気的バイアスを印加して〔通電取り出し(hot exit)〕行うことができる。
【0044】
被膜形成ステップの間、コーティング対象の表面には陰極バイアスが印加される。さらに具体的に言えば、これらを、各種異なる電流波形又は電位波形によって達成可能である。
【0045】
例えば、表面に陰極バイアスを、定電流モードで(バイアス電流を固定して)、又は定電圧モードで(バイアス電位を、場合によっては参照電極に対して、固定して)連続して印加可能である。
【0046】
通常、十分なコーティング及び充填は、定電流モードで、好ましくは2mA/cm(ミリアンペア/平方センチメートル)〜25mA/cm、より好ましくは4mA/cm〜15mA/cmの電流範囲でバイアスを印加することによって得られる。
【0047】
また、十分なコーティングは、得られるセル電流が上記に示した電流範囲内にとどまるようにセル電圧を印可することによって、定電圧モードでバイアスを印加することによっても得られる。セル電圧は特にセル設計パラメーター(対極との距離、又は膜の存在等)によって異なるが、所与の電位及び所与の配置に対して得られた電流を測定し、調整して、セル電圧を決定することは当業者にとって容易であろう。
【0048】
また、米国特許出願公開第2006/0065536号明細書(その内容を本明細書に引用して援用する)に教示されるように、各種異なる大きさの定電流又は定電圧ステップを連続して、陰極バイアスを表面に印加することも可能である。
【0049】
また、陰極バイアスをコーティング対象の表面に、パルスモード(電流または電位のいずれかがパルス状に変化する)で印加することもできる。この場合、電気的バイアスは、電流又は電位の周期的なパルス(矩形パルス等)が連続した形態をとっており、上記パルスの大きさは、バリア材、そのバリア材の厚み、及び基板のサイズごとに異なる。これらのパルスがバイアスを印加しない時間間隔ごとに印加されるのが有利である。
【0050】
また、十分なコーティングは、好ましくは単極性(陰極性)電圧パルスが印加されるように、パルスモードでバイアスを印加することによっても得られる。
【0051】
通常、単位面積あたりの電流が2mA/cm〜40mA/cm、より好ましくは4mA/cm〜25mA/cmである電流に相当し、かつバイアスを印加しない時間間隔ごとに印加される電圧パルスが印加されるように、このステップを行ってもよい。
【0052】
具体的な一特徴によれば、バイアス時間は0.001〜1秒、例えば約0.5秒であってもよく、一方バイアスを印加しない時間は0.001〜5秒、例えば約1.5秒であってもよい。
【0053】
このステップで行われるサイクル数は、所望の被膜の厚みによって異なる。
【0054】
通常、当業者は、上記の通常の条件(以下の実施例で説明される)下で、堆積速度がサイクルあたり約1nmであることを確認すれば、行うサイクル数を容易に決定するであろう。
【0055】
一実施形態において、各周期的な陰極パルス(cathodic pulse)は1ミリ秒〜1秒間継続してもよく、電気的バイアスを基板に印加しない1ミリ秒〜5秒の時間間隔をおいて次パルスが印加されてもよい。
【0056】
他のさらに複雑な波形を用いて、特に幅の狭い配線及び微細なビア(80nm未満)において、向上した充填性能の効果を発揮させることもできる。
【0057】
特に興味深い一波形は、逆(reverse)パルスと呼ばれ、米国特許第6664633号明細書やまた米国特許出願公開第2003/183527号明細書に詳述され、それらの内容を本明細書に引用して援用する。
【0058】
この種の波形において、陰極性の及び陽極性の電流パルス又は電位パルスは交互に連続した形態でコーティング対象の表面に印加される。通常、陽極パルスは陰極パルスと比べて大きさが小さく、継続時間が短い。陰極及び陽極パルスは、コーティング対象の表面にバイアスを印加しない時間間隔ごとに印加されても、されなくてもよい。
【0059】
陰極バイアスの印加中に、銅は本発明の銅電解槽からコーティング対象の表面に堆積する。
【0060】
陽極バイアスの印加中に、銅の幾ぶんかは既堆積層から除去される。この除去は、凹凸部の上部における突き出た角で優先的に起こり、従って凹凸部の開口上部が広げられる。このようにして、特に比較的微細な凹凸部において充填性の向上が可能である。
【0061】
平坦な表面では、陽極パルスによって研磨効果がもたらされ、銅堆積の輝度が高くなる。
【0062】
また、十分なコーティングは、逆パルスモードでのバイアス印加で、好ましくは二極性(陰極性及び陽極性)電圧パルスを印加することによっても得られる。
【0063】
通常、単位面積あたりの最大陰極電流が2mA/cm〜40mA/cm、より好ましくは4mA/cm〜25mA/cmである陰極電流に相当する電圧パルスであって、かつ単位面積あたりの最大陽極電流が0.4mA/cm〜1mA/cmである陽極電流に相当する陽極電圧パルスをはさんで印加される電圧パルスが連続して印加されるように、このステップを行ってもよい。陰極パルスと陽極パルスとの間に、バイアスを印加しない時間間隔が置かれていてもよい。これらの時間間隔は0.001〜5秒であってもよい。
【0064】
このステップで行われるサイクル数は、所望の被膜の厚みによって異なる。
【0065】
通常、当業者は、上記の通常の条件(以下の実施例で説明される)下で、堆積速度がサイクルあたり約1nmであることを確認すれば、行うサイクル数を容易に決定するであろう。
【0066】
具体的な一実施形態において、パターンを形成した基板の表面(銅バリア材でできている)
上に銅を電気めっきするための本発明の方法は、
・上記コーティング対象の表面に電気的バイアスを印加しないで、上記表面を電解槽に接触させる、「非通電投入」と称されるステップと、
・上記被膜を形成するのに十分な時間中、上記表面にバイアスを印加する被膜形成ステップと、
・上記表面に電気的バイアスをそのまま印加しつつ、上記表面を上記電解槽から取り出す、「通電取り出し」と称されるステップと
を含む。
【0067】
本発明の本実施形態に係る方法の「非通電投入」ステップ中に、コーティング対象の基板表面を少なくとも5秒間、好ましくは10〜60秒間、より好ましくは約30秒間電解槽に接触させておくのが好ましい。
【0068】
本発明に係る方法の「通電取り出し」ステップ中に、電気的バイアスを好ましくは1〜10秒間、より好ましくは約1〜5秒間印加させつつ、銅でコーティングされた基板表面を電解槽から取り出す。
【0069】
「通電取り出し」ステップを定電圧モード(すなわち、基板の電位を固定値に維持することによる)で行うのが有利である。この際の電位は回路の対極又は参照電極に対して測定され、好ましくは、同様に定電圧モードで行なわれる被膜堆積ステップと同じ電圧レベルである。
【0070】
本発明の方法の他の具体的な一実施形態において、投入ステップは、基板に電気的バイアスを印可しないで、上記基板を銅電解槽に浸漬する「通電投入」である。
【0071】
第三の態様によれば、本発明は、パターンを形成した基板上に堆積させた銅拡散バリア層上に銅を直接電気めっきし、かつ、上記方法の同ステップにおいて、上記パターンを形成した基板の表面凹凸部を銅で充填するための、本発明の銅電解槽の使用に関する。
【0072】
一実施形態において、上記基板は、集積回路の製造過程でのシリコンウエハであり、
コーティング対象であるその表面は、窒化タンタル/タンタル(TaN/Ta)ベースの二重層、窒化タンタル(TaN)層、窒化タンタル・シリコン(TaSiN)層、チタン(Ti)層、窒化チタン(TiN)層、窒化チタン・シリコン(TiSiN)層、窒化タングステン(WN)層、窒化タングステン・炭素(WCN)層、コバルトベースの層、及びルテニウムベースの層から成る群から選択される銅拡散バリア層でできている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0073】
本発明は、本発明に係る方法を用いて、銅拡散バリア層でコーティングされたシリコン基板上に銅をめっきし、かつ充填する、以下の実施例によって説明されよう。しかしながら、本発明は以下の実施例に限定されない。本方法は、集積回路及び半導体デバイスにおける銅配線構造の製造に特に適用できる。
【0074】
これらの実施例において、浴組成には、水(所望により水溶性アルコールを添加可能)と、銅イオン源と、1種以上の錯化剤としか含まれていないが、良好な結果(ギャップ充填、良好な密着性及び低い抵抗率、高速度)を十分に得ることができることに注目されたい。言うまでもなく、別の添加剤(充填助剤及び/又はpH調整剤として通常用いられるもの)をさらに添加してもよい。
【0075】
また、未処理のバリア層上に銅を直接堆積可能であることにも注目されたい(以下の実施例の場合を参照)。しかしながら、本発明は未処理のバリア層上の堆積に限定されない。最初にバリア層を修飾〔フォーミングガスアニール(forming gas anneal)、電解処理、酸処理、電気化学的処理〕することが好適な場合もある。
【実施例1】
【0076】
本実施例で用いられる基板は、プラズマ化学気相成長法(PECVD)によって堆積させた二酸化ケイ素の400nm層でコーティングされたシリコン素材で構成されていた。上記二酸化ケイ素層に、厚み10nmの窒化タンタル(TaN)層をPVDにより堆積させ、その層上に厚み15nmのタンタル(Ta)層を同様にPVDにより堆積させて、上記二酸化ケイ素層をコーティングした。
【0077】
このTaN/Taの積み重ねは、ダマシン構造において用いられるような銅拡散バリアである。このバリアの積み重ねのシート抵抗は、21オーム/スクエアであった。
【0078】
4探針法によるシート抵抗(Rs)測定のためにブランケット基板を用いた。ブランケット基板上への密着力を、様々な引っ張り力でのスタッドプル(stud−pull)試験によって測定した。ブランケット基板と同じ基層を有する、トレンチパターンを形成した基板(トレンチ幅200nm/間隔100nm)をギャップ充填評価に用いた。ギャップ充填の観察は、断面走査電子顕微鏡(SEM)観察によって行った。
【0079】
これらの基板を任意の前処理を行うことなく用いた。
【0080】
この特定の実施例における本発明の銅電解槽は、CuSO・(HO)を65mMの濃度で、及びエチレンジアミンを160mMの濃度で含有する水溶液であった。この溶液のpHは11であった。
【0081】
装置
電解堆積に用いられるセルは、2つのパーツ、すなわち電着用溶液を入れるためのセルと、種々の電極の操作位置への保持を可能にする、さらに、溶液中は流体力学的に均一であるようにするためにアルゴンの供給を可能にする「カバー」とで構成されるガラス製セルであった。
【0082】
コネクタを用いることで、最大32ボルト及び5アンペアを供給する安定化電源に電極を電線によって接続することができた。
【0083】
実験プロトコル
基板を銅電解槽に浸漬し、以下の3ステッププロトコルを実行した:
1)導入即ち非通電投入:基板に電気的バイアスを全く印加せずに、上記基板を銅電解槽に30秒間浸漬した。
2)周期的な矩形パルス電位の印加〔1.25秒間(0.75秒間オフにして、0.5秒間オンにする)、0V〜−15V〕。
3)通電取り出し:パルスバイアスと同レベルの電気的バイアスを印加しつつ、基板を銅電解槽から取り出した。
【0084】
結果
ブランケット基板上での上記実験プロトコルの実行によって、厚み480nm、成長速度2nm/秒、及びシート抵抗Rs0.05オーム/スクエアの連続した均一な銅層が堆積された。
【0085】
4%H/96%Nフォーミングガスによって5分間350℃でアニールした後、銅層の密着力の値は13.4J/mであった。
【0086】
トレンチパターンを形成した基板上で実行される本発明の方法によって、PVD TaN/Ta拡散バリアで覆われ、かつ銅で充填されたトレンチパターン(トレンチ幅200nm/間隔100nm)の断面SEM像である図1に示されるように、堆積厚みが200nmの場合でも、構造のギャップ充填における不良をなくすことができた。
【実施例2】
【0087】
本実施例で用いられる基板は、プラズマ化学気相成長法(PECVD)によって堆積させた二酸化ケイ素の400nm層でコーティングされたシリコン素材で構成されていた。上記二酸化ケイ素層に、厚み30nmのルテニウム(Ru)層をPVDにより堆積させて、上記二酸化ケイ素層をコーティングした。このルテニウム層のシート抵抗は、8.5オーム/スクエアであった。
【0088】
4探針法によるシート抵抗(Rs)測定のためにブランケット基板を用いた。ブランケット基板上への密着力を、様々な引っ張り力でのスタッドプル試験によって測定した。
【0089】
これらの基板を任意の前処理を行うことなく用いた。
【0090】
この特定の実施例における本発明の銅電解槽は、CuSO・(HO)を65mMの濃度で、及びエチレンジアミンを160mMの濃度で含有する水溶液であった。この溶液のpHは11であった。
【0091】
装置
電解堆積に用いられるセルは、2つのパーツ、すなわち電着用溶液を入れるためのセルと、種々の電極の操作位置への保持を可能にする、さらに、溶液中は流体力学的に均一であるようにするためにアルゴンの供給を可能にする「カバー」とで構成されるガラス製セルであった。
【0092】
コネクタを用いることで、最大32ボルト及び5アンペアを供給する安定化電源に電極を電線によって接続することができた。
【0093】
実験プロトコル
基板を銅電解槽に浸漬し、以下の3ステッププロトコルを実行した:
1)導入即ち非通電投入:基板に電気的バイアスを全く印加せずに、上記基板を銅電解槽に30秒間浸漬した。
2)周期的な矩形パルス電位の印加〔1.25秒間(0.75秒間オフにして、0.5秒間オンにする)、0V〜−12V〕。
3)通電取り出し:パルスバイアスと同様なレベルの電気的バイアスを印加しつつ、基板を銅電解槽から取り出した。
【0094】
結果
ブランケット基板上での上記実験プロトコルの実行によって、厚み700nm、成長速度2.33nm/秒、及びシート抵抗Rs0.028オーム/スクエアの連続した均一な銅層が堆積された。
【0095】
4%H/96%Nフォーミングガスによって5分間350℃でアニールした後、銅層がセロハンテープ試験で剥離されなかったため、密着力の値は15J/mを上回ることが示された。アニール後、Rs値は約20%向上し、0.022オーム/スクエアとなった。
【実施例3】
【0096】
本実施例で用いられる基板は、プラズマ化学気相成長法(PECVD)によって堆積させた二酸化ケイ素の400nm層でコーティングされた直径200mmのシリコンウエハで構成されていた。上記二酸化ケイ素層に、厚み15nmの窒化タンタル(TaN)層をPVDにより堆積させ、その層上に厚み10nmのタンタル(Ta)層を同様にPVDにより堆積させて、上記二酸化ケイ素層をコーティングした。
【0097】
このTaN/Taの積み重ねは、ダマシン構造において用いられるような銅拡散バリアである。このバリアの積み重ねのシート抵抗は、45オーム/スクエアであった。
【0098】
4探針法によるシート抵抗(Rs)測定のためにブランケット基板を用いた。ブランケット基板上への密着力を、セロハンテープ試験によって測定した。ブランケット基板と同じ基層を有する、トレンチパターンを形成した基板(トレンチ幅200nm/間隔100nm)をギャップ充填評価に用いた。ギャップ充填の観察は、集束イオンビーム(FIB)及び断面SEM観察によって行った。
【0099】
これらの基板を任意の前処理を行うことなく用いた。
【0100】
この特定の実施例における本発明の銅電解槽は、CuSO・(HO)を65mMの濃度で、及びエチレンジアミンを95mMの濃度で含有する水溶液であった。この溶液のpHは6であった。
【0101】
装置
電気銅めっきの用途に市販されている工具中で200mmウエハを加工した。この工具は、自前の溶液循環システムを有する電気化学セルを備えていた。上記電気化学セルは、銅陽極、及び陽極と陰極であるウエハとの間に取り付けられる拡散器を内蔵する。密封環を用いてウエハに電流を供給した。この電流は、最大(32V、5A)を伝送可能な電源ユニットによって伝送された。
【0102】
銅堆積後、同工具上に設置されたSRD(スピンリンスドライ)チャンバーでウエハを清浄化した。
【0103】
実験プロトコル
基板を銅電解槽に浸漬し、以下の3ステッププロトコルを実行した:
1)通電投入:基板に電気的バイアスを印加しつつ、上記基板を銅電解槽に浸漬した。
2)32Vの固定電位の印加。
3)通電取り出し:パルスバイアスと同様なレベルの電気的バイアスを印加しつつ、基板を銅電解槽から取り出した。
【0104】
結果
ブランケット基板上での上記実験プロトコルの実行によって、平均厚み480nm、成長速度4nm/秒、及び平均シート抵抗(Rs)0.056オーム/スクエアの連続した均一な銅層が堆積された。
【0105】
30分間400℃でアニールした後、セロハンテープ試験を通してウエハの密着力を試験した。
【0106】
トレンチパターンを形成した基板上で実行される本発明の方法によって、PVD TaN/Ta拡散バリアで覆われ、かつ銅で充填されたトレンチパターン(トレンチ幅140nm/間隔140nm)の、化学機械研磨(CMP)後の断面SEM像である図2に示されるように、構造のギャップ充填における不良をなくすことができた。
【実施例4】
【0107】
本実施例で用いられる基板は、プラズマ化学気相成長法(PECVD)によって堆積させた二酸化ケイ素の400nm層でコーティングされたシリコン素材で構成されていた。上記二酸化ケイ素層に、厚み10nmの窒化タンタル(TaN)層をPVDにより堆積させ、その層上に厚み15nmのタンタル(Ta)層を同様にPVDにより堆積させて、上記二酸化ケイ素層をコーティングした。
【0108】
このTaN/Taの積み重ねは、ダマシン構造において用いられるような銅拡散バリアである。このバリアの積み重ねのシート抵抗は、21オーム/スクエアであった。
【0109】
4探針法によるシート抵抗(Rs)測定のためにブランケット基板を用いる。ブランケット基板上への密着力を、様々な引っ張り力でのスタッドプル試験によって測定した。
【0110】
これらの基板を任意の前処理を行うことなく用いた。
【0111】
この特定の実施例における本発明の銅電解槽は、CuSO・(HO)を65mMの濃度で、及びジエチレントリアミンを160mMの濃度で含有する水溶液であった。この溶液のpHは11であった。
【0112】
装置
電解堆積に用いられるセルは、2つのパーツ、すなわち電着用溶液を入れるためのセルと、種々の電極の操作位置への保持を可能にする、さらに、溶液中は流体力学的に均一であるようにするためにアルゴンの供給を可能にする「カバー」とで構成されるガラス製セルであった。
【0113】
コネクタを用いることで、最大32ボルト及び5アンペアを供給する安定化電源に電極を電線によって接続することができた。
【0114】
実験プロトコル
基板を銅電解槽に浸漬し、以下の3ステッププロトコルを実行した:
1)導入即ち非通電投入:基板に電気的バイアスを全く印加せずに、上記基板を銅電解槽に30秒間浸漬した。
2)周期的な矩形パルス電位の印加〔1.25秒間(0.75秒間オフにして、0.5秒間オンにする)、0V〜−10V〕。
3)通電取り出し:パルスバイアスと同様なレベルの電気的バイアスを印加しつつ、基板を銅電解槽から取り出した。
【0115】
結果
ブランケット基板上での上記実験プロトコルの実行によって、厚み450nm、成長速度1.9nm/秒、及びシート抵抗Rs0.12オーム/スクエアの連続した均一な銅層が堆積された。
【0116】
4%H/96%Nフォーミングガスによって5分間350℃でアニールした後、密着力の値は5J/mであった。
【実施例5】
【0117】
本実施例で用いられる基板は、プラズマ化学気相成長法(PECVD)によって堆積させた二酸化ケイ素の400nm層でコーティングされた200mmシリコンウエハで構成されていた。上記二酸化ケイ素層に、厚み15nmの窒化タンタル(TaN)層をPVDにより堆積させて、上記二酸化ケイ素層をコーティングした。
【0118】
このTaN層は、平均シート抵抗が100オーム/スクエアであり、ダマシン構造において用いられるような銅拡散バリアを構成していた。
【0119】
4探針法によるシート抵抗(Rs)測定のためにブランケット基板を用いた。ブランケット基板上への密着力を、様々な引っ張り力でのスタッドプル試験によって測定した。これらの基板を任意の前処理を行うことなく用いた。
【0120】
この特定の実施例における本発明の銅電解槽は、pH6であり、かつCuSO・(HO)を65mMの濃度で、及びエチレンジアミンを95mMの濃度で含有する水溶液であった。
【0121】
装置
電気銅めっきの用途に市販されている工具中で200mmウエハを加工した。この工具は、自前の溶液循環システムを有する電気化学セルを備えていた。上記電気化学セルは、銅陽極、及び陽極と陰極であるウエハとの間に取り付けられる拡散器を内蔵するものであった。密封環を用いてウエハに電流を供給した。この電流は、最大(32V、5A)を伝送可能な電源ユニットによって伝送された。
【0122】
銅堆積後、同工具上に設置されたSRD(スピンリンスドライ)チャンバーでウエハを清浄化した。
【0123】
実験プロトコル
基板を銅電解槽に浸漬し、以下の3ステッププロトコルを実行した:
1)導入即ち非通電投入:基板に電気的バイアスを全く印加せずに、上記基板を銅電解槽に5秒間浸漬した。
2)周期的な矩形パルス電位の印加〔1.25秒間(0.75秒間オフにして、0.5秒間オンにする)、電流0A〜3.5A又は0A〜5A〕。
3)通電取り出し:パルスバイアスと同様なレベルの電気的バイアスを印加しつつ、基板を銅電解槽から取り出した。
【0124】
結果
パルス:−3.5A又は−5Aとした、ブランケット基板上での上記実験プロトコルの実行によって、平均厚み450nm及び平均シート抵抗0.055オーム/スクエアの連続した均一な銅層が得られた。
【0125】
銅堆積後のシート抵抗の断面分布図は図3に示されている。
【0126】
−3.5Aパルス(1.8〜2nm/秒)に比べ、−5Aパルス(2.3〜2.5nm/秒)において、より高い成長速度が得られた。上記のような銅層上への密着力は非常に高く、10J/mを上回る良好なものとして測定される。
【実施例6】
【0127】
本実施例で用いられる基板は、プラズマ化学気相成長法(PECVD)によって堆積させた二酸化ケイ素の400nm層でコーティングされた200mmシリコンウエハで構成されていた。上記二酸化ケイ素層に以下の様々な層をコーティングした。
・PVDにより堆積させた10nmの窒化タンタル(TaN)層上に、15nmの純タンタル層をPVDにより堆積させた層(シート抵抗21オーム/スクエア)
・PVDにより堆積させた15nmの窒化タンタル(TaN)層(シート抵抗100オーム/スクエア)
・PVDにより堆積させた5nmの窒化タンタル(TaN)層(シート抵抗380オーム/スクエア)
【0128】
これらの層は、ダマシン構造において用いられるような銅拡散バリアである。
【0129】
4探針法によるシート抵抗(Rs)測定のためにブランケット基板を用いた。ブランケット基板上への密着力を、様々な引っ張り力でのスタッドプル試験によって測定する。これらの基板を任意の前処理を行うことなく用いた。
【0130】
この特定の実施例における本発明の銅電解槽は、pH6であり、かつCuSO・(HO)を65mMの濃度で、及びエチレンジアミンを95mMの濃度で含有する水溶液であった。
【0131】
装置
電気銅めっきの用途に市販されている工具中で200mmウエハを加工した。この工具は、自前の溶液循環システムを有する電気化学セルを備えていた。上記電気化学セルは、銅陽極、及び陽極と陰極であるウエハとの間に取り付けられる拡散器を内蔵するものであった。密封環を用いてウエハに電流を供給した。この電流は、最大(32V、5A)を伝送可能な電源ユニットによって伝送される。
【0132】
銅堆積後、同工具上に設置されたSRD(スピンリンスドライ)チャンバーでウエハを清浄化した。
【0133】
実験プロトコル
基板を銅電解槽に浸漬し、以下の3ステッププロトコルを実行した:
1)導入即ち非通電投入:基板に電気的バイアスを全く印加せずに、上記基板を銅電解槽に5秒間浸漬した。
2)周期的な矩形パルス電位の印加〔1.25秒間(0.75秒間オフにして、0.5秒間オンにする)、電流0A〜−3.5A〕。
3)通電取り出し:パルスバイアスと同様なレベルの電気的バイアスを印加しつつ、基板を銅電解槽から取り出した。
【0134】
結果
シート抵抗20〜380オーム/スクエアの種々のブランケット基板上での上記実験プロトコルの実行によって、平均厚み450nm及び平均シート抵抗0.055〜0.06オーム/スクエアの連続した均一な銅層が得られた(表1を参照)。
【0135】
上記のような銅層上への密着力は非常に高く、10J/mを上回る良好なものとして測定される。
【0136】
【表1】

【0137】
上記記載から分かる通り、本発明に係るシングルステップ銅充填法が、先行技術のマルチステップ及びマルチソリューションの手順に比べて、使用する配合が一つだけでよいため、より有利であるのは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】トレンチパターンを形成した基板上で実行される本発明の方法によって、PVD TaN/Ta拡散バリアで覆われ、かつ銅で充填されたトレンチパターン(トレンチ幅200nm/間隔100nm)の断面SEM像である。
【図2】トレンチパターンを形成した基板上で実行される本発明の方法によって、PVD TaN/Ta拡散バリアで覆われ、かつ銅で充填されたトレンチパターン(トレンチ幅140nm/間隔140nm)の、化学機械研磨(CMP)後の断面SEM像である。
【図3】銅堆積後のシート抵抗の断面分布図が示されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターンを形成した基板上に堆積させた銅拡散バリア層上に銅を直接電気めっきし、かつ、前記方法の同ステップにおいて、前記パターンを形成した基板の表面凹凸部を銅で充填するための方法であって、
・銅イオン源を45〜200mM、好ましくは45〜100mMの濃度で、及び2〜4つのアミン官能基を有する脂肪族ポリアミンである少なくとも1種の銅錯化剤を30〜200mM、好ましくは60〜200mMの濃度で溶媒中の溶液に含有し;かつ前記銅/錯化剤のモル比は0.2〜2、好ましくは0.3〜1.5である銅電解槽を調製し、
・前記基板の前記銅拡散バリア層を前記銅電解槽に接触させ、
・前記基板に、銅が電気めっきされる厚みに従い調整された時間中、電気的バイアスを印加し、
・前記基板を前記銅電解槽から取り出す
方法。
【請求項2】
前記電気的バイアスは、電流又は電位の周期的なパルスが連続した形態をとっており、
前記パルスの大きさは、前記バリアごとに異なる、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記電気的バイアスは、電位又は電流分極が連続した形態をとっており、
前記分極の大きさは、前記バリア材ごとに異なる、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記脂肪族ポリアミンは、好ましくはエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、及びジプロピレントリアミンから成る群から選択される、2〜4つのアミン官能基を有するアルキレンポリアミン及びポリアルキレンポリアミンから成る群から選択される、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記脂肪族ポリアミンは、エチレンジアミン及びジエチレントリアミンから成る群から選択される、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記銅電解槽は本質的に、銅イオン源を45〜100mM、好ましくは50〜80mMの濃度で、及び2〜4つのアミン官能基を有する脂肪族ポリアミンである少なくとも1種の銅錯化剤を60〜200mM、好ましくは90〜180mMの濃度で溶媒中の溶液に含有し;かつ
前記銅/錯化剤のモル比は0.3〜1.5、好ましくは0.4〜0.8である、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記銅電解槽において、
前記溶媒は水及び水性アルコール混合液から選ばれ、
前記銅イオン源は銅塩であって、例えば具体的に硫酸銅、塩化銅、硝酸銅、又は酢酸銅であり、好ましくは硫酸銅である、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記基板は、集積回路の製造過程でのシリコンウエハであり、
コーティング対象であるその表面は、窒化タンタル/タンタル(TaN/Ta)ベースの二重層、窒化タンタル(TaN)層、窒化タンタル・シリコン(TaSiN)層、チタン(Ti)層、窒化チタン(TiN)層、窒化チタン・シリコン(TiSiN)層、窒化タングステン(WN)層、窒化タングステン・炭素(WCN)層、コバルトベースの層、及びルテニウムベースの層から成る群から選択される銅拡散バリア層でできている、
請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
銅イオン源を45〜200mM、好ましくは45〜100mMの濃度で、及び2〜4つのアミン官能基を有する脂肪族ポリアミンである少なくとも1種の銅錯化剤を30〜200mM、好ましくは60〜200mMの濃度で溶媒中の溶液に含有し;かつ
前記銅/錯化剤のモル比は0.2〜2、好ましくは0.3〜1.5である
銅電解槽。
【請求項10】
請求項9に記載の銅電解槽であって、
本質的に、銅イオン源を45〜100mM、好ましくは50〜80mMの濃度で、及び2〜4つのアミン官能基を有する脂肪族ポリアミンである少なくとも1種の銅錯化剤を60〜200mM、好ましくは90〜180mMの濃度で溶媒中の溶液に含有し;かつ
前記銅/錯化剤のモル比は0.3〜1.5、好ましくは0.4〜0.8である
銅電解槽。
【請求項11】
前記脂肪族ポリアミンは、好ましくはエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、及びジプロピレントリアミンから成る群から選択される、2〜4つのアミン官能基を有するアルキレンポリアミン及びポリアルキレンポリアミンから成る群から選択される、
請求項9又は請求項10に記載の銅電解槽。
【請求項12】
前記脂肪族ポリアミンは、エチレンジアミン及びジエチレントリアミンから成る群から選択される、
請求項11に記載の銅電解槽。
【請求項13】
パターンを形成した基板上に堆積させた銅拡散バリア層上に銅を直接電気めっきし、かつ、前記方法の同ステップにおいて、前記パターンを形成した基板の表面凹凸部を銅で充填するための、
請求項9〜12のいずれか1項に記載の銅電解槽の使用。
【請求項14】
前記基板は、集積回路の製造過程でのシリコンウエハであり、
コーティング対象であるその表面は、窒化タンタル/タンタル(TaN/Ta)ベースの二重層、窒化タンタル(TaN)層、窒化タンタル・シリコン(TaSiN)層、チタン(Ti)層、窒化チタン(TiN)層、窒化チタン・シリコン(TiSiN)層、窒化タングステン(WN)層、窒化タングステン・炭素(WCN)層、コバルトベースの層、及びルテニウムベースの層から成る群から選択される銅拡散バリア層でできている、
請求項13に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−527912(P2009−527912A)
【公表日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−555788(P2008−555788)
【出願日】平成19年2月21日(2007.2.21)
【国際出願番号】PCT/EP2007/051681
【国際公開番号】WO2007/096390
【国際公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(508084928)
【Fターム(参考)】