説明

半導体基板の表面処理装置及び方法

【課題】パターンの倒壊を防止しつつ基板を洗浄・乾燥させる半導体基板の表面処理装置および方法を提供する。
【解決手段】半導体基板Wに形成された凸形状パターンの表面に撥水性保護膜を形成するために、基板表面に撥水化剤106を供給する。撥水化剤を供給する前に、酸化力の強い薬液103を供給するか、又はUV光を照射して、凸形状パターン表面を強制的に酸化させる。これにより、凸形状パターン表面に撥水性保護膜が形成され易くなり、乾燥処理時の凸形状パターンの倒壊を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板の表面処理装置及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程には、リソグラフィ工程、エッチング工程、イオン注入工程などの様々な工程が含まれている。各工程の終了後、次の工程に移る前に、ウェーハ表面に残存した不純物や残渣を除去してウェーハ表面を清浄にするためのクリーニング(洗浄)工程及び乾燥工程が実施されている。
【0003】
近年、素子の微細化に伴い、リソグラフィ工程(露光・現像)後のレジストパターンを現像し、乾燥させる際に毛細管現象により、レジストパターンが倒壊する問題が生じた。このような問題を解決するため、レジストパターンの表面を撥水化し、レジストパターンと現像液及びリンス純水との間に働く毛管力を低下させる方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。この方法では、レジストパターンの表面に有機物が付着するが、この有機物はレジストパターンと共に、リソグラフィ工程後のエッチング工程で除去される。
【0004】
また、例えば、エッチング工程後のウェーハの洗浄処理では、ウェーハの表面に洗浄処理のための薬液が供給され、その後に純水が供給されてリンス処理が行われる。リンス処理後は、ウェーハ表面に残っている純水を除去してウェーハを乾燥させる乾燥処理が行われる。乾燥処理を行う方法としては、例えばIPA(イソプロピルアルコール)を用いてウェーハ上の純水をIPAに置換してウェーハを乾燥させるものが知られている(例えば特許文献2参照)。この乾燥処理時に、液体の表面張力によりウェーハ上に形成されたデバイス実パターンが倒壊するという問題があった。また、IPAより表面張力の低いHFE(ハイドロフルオロエーテル)を用いてもパターン倒壊を抑制することは困難であった。
【0005】
このような問題を解決するため、表面張力がゼロとなる超臨界乾燥が提案されている。しかし、超臨界乾燥は量産工程に適用することが困難であり、また、超臨界雰囲気を実現するチャンバ内に水分等が持ち込まれた場合、パターンの倒壊を防止できないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−142349
【特許文献2】特許第3866130号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、パターンの倒壊を防止しつつ基板を洗浄・乾燥させる半導体基板の表面処理装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様による半導体基板の表面処理装置は、表面に凸形状パターンが形成された半導体基板を保持する保持部と、前記半導体基板の表面に薬液を供給し、洗浄及び酸化を行う第1供給部と、前記半導体基板の表面に純水を供給し、前記半導体基板をリンスする第2供給部と、前記半導体基板の表面に撥水化剤を供給し、前記凸形状パターンの表面に撥水性保護膜を形成する第3供給部と、前記半導体基板を乾燥させる乾燥処理部と、前記凸形状パターンを残存させて前記撥水性保護膜を除去する除去部と、を備えるものである。
【0009】
本発明の一態様による半導体基板の表面処理装置は、表面に凸形状パターンが形成された半導体基板を保持する保持部と、前記半導体基板の表面に薬液を供給し、洗浄及び酸化を行う第1供給部と、前記半導体基板の表面に純水を供給し、前記半導体基板をリンスする第2供給部と、前記半導体基板の表面に撥水化剤を供給し、前記凸形状パターンの表面に撥水性保護膜を形成する第3供給部と、前記半導体基板を乾燥させる乾燥処理部と、前記半導体基板に光を照射し、半導体基板表面の酸化及び前記凸形状パターンを残存させた前記撥水性保護膜の除去を行う除去部と、を備えるものである。
【0010】
本発明の一態様による半導体基板の表面処理方法は、半導体基板上に複数の凸形状パターンを形成し、薬液を用いて前記凸形状パターン表面を洗浄し、洗浄後に、純水を用いて前記半導体基板をリンスし、リンス後に、光を照射して前記凸形状パターン表面を酸化し、前記光が照射された前記凸形状パターン表面に撥水化剤を用いて撥水性保護膜を形成し、前記撥水性保護膜形成後に、純水を用いて前記半導体基板をリンスし、前記半導体基板を乾燥させ、前記凸形状パターンを残存させて前記撥水性保護膜を除去するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、パターンの倒壊を防止しつつ基板を洗浄・乾燥できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る半導体基板の表面処理装置の概略構成図である。
【図2】同第1の実施形態に係る半導体基板の表面処理方法を説明するフローチャートである。
【図3】パターンにかかる液体の表面張力を説明する図である。
【図4】撥水性保護膜の形成を行った場合と行わなかった場合の乾燥処理後のパターン状態を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る半導体基板の表面処理装置の概略構成図である。
【図6】同第2の実施形態に係る半導体基板の表面処理方法を説明するフローチャートである。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る半導体基板の表面処理装置の概略構成図である。
【図8】同第3の実施形態に係る半導体基板の表面処理方法を説明するフローチャートである。
【図9】本発明の第4の実施形態に係る半導体基板の表面処理装置に設けられる撥水化膜除去部の概略構成図である。
【図10】同第4の実施形態に係る半導体基板の表面処理方法を説明するフローチャートである。
【図11】変形例による半導体基板の表面処理方法を説明する工程断面図である。
【図12】変形例による半導体基板の表面処理方法を説明する工程断面図である。
【図13】側壁転写プロセスを説明する工程断面図である。
【図14】側壁転写プロセスを説明する工程断面図である。
【図15】パターンにかかる液体の表面張力を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
半導体装置の製造工程における洗浄工程の課せられた課題は半導体基板上に形成された微細パターン構造に欠陥(パターン欠落、傷、パターン細り、基板掘れ等)を生じさせることなく、半導体基板表面を清浄な表面状態に戻すことである。具体的には、洗浄する対象は一般的には半導体製造プロセスに用いられるリソグラフィプロセスで用いるレジスト材料、又はドライエッチングプロセス時に半導体ウェーハ表面に残存した反応副生成物(残渣)、各プロセス後にウェーハ表面に残る金属不純物、有機汚染物質等であり、これら洗浄対象物を残したまま、次工程の製造プロセスへウェーハを流品させることは、デバイス製造歩留まりを確実に低下させてしまう。
【0014】
従って、洗浄プロセスには半導体基板上に形成された微細パターン構造に欠陥(パターン欠落、傷、パターン細り、基板掘れ等)を生じさせることなく、洗浄後に清浄な半導体ウェーハ表面を形成するという重要な役割がある。素子の微細化に伴い、洗浄工程に要求される清浄度は高くなってきている。
【0015】
一方、昨今の高アスペクトで凸形状の微細パターンをもつ構造(例えばパターンサイズが30nm以下でかつ、アスペクト比が10以上の構造)においては、レジストプロセスで用いられている撥水化技術を適用するだけでは撥水度が不十分であったため、パターン倒壊を抑制することは困難であった。また、この方法ではパターン表面を汚染する問題もあった。以下の実施形態により高アスペクトで凸形状の微細パターンを持つ構造に対して、パターン表面を清浄に保ちつつ、従来よりも高い撥水度を実現し、パターン倒壊を抑制することができる。
【0016】
(第1の実施形態)図1に本発明の第1の実施形態に係る半導体基板の表面処理装置の概略構成を示す。表面処理装置は、処理槽101、搬送部102、薬液供給部103、純水供給部104、IPA供給部105、撥水化剤供給部106、気体供給部107、及び撥水化膜除去部108を備える。この表面処理装置は、複数枚の半導体基板の洗浄・乾燥を一括して行うバッチ式のものである。
【0017】
搬送部102は、表面に凸形状パターンが形成された半導体基板Wを保持し、搬送する。例えば、搬送部102は、半導体基板Wを処理槽101内に導入したり、撥水化膜除去部108へ搬送したりする。
【0018】
薬液供給部103は、処理槽101に半導体基板Wを洗浄するための薬液を供給する。薬液供給部103は、例えば、硫酸と過酸化水素水の混合溶液(SPM)を80℃以上の高温にしたものや、硝酸などの酸化力の強い薬液を供給する。薬液供給部103に、薬液を高温にするための加熱機構(例えばヒーター等)を設けてもよい。
【0019】
純水供給部104は、処理槽101に半導体基板Wをリンスするための純水を供給する。
【0020】
IPA供給部105は、処理槽101に半導体基板WをリンスするためのIPA(イソプロピルアルコール)を供給する。
【0021】
撥水化剤供給部106は、半導体基板Wに形成された凸形状パターンの表面に撥水性保護膜を形成するための撥水化剤を処理槽101に供給する。撥水化剤は例えばシランカップリング剤である。シランカップリング剤は、分子中に無機材料と親和性、反応性を有する加水分解基と、有機材料と化学結合する有機官能基とを有するものであり、例えばヘキサメチルジシラザン(HMDS)、テトラメチルシリルジエチルアミン(TMSDEA)等を用いることができる。シランカップリング剤のエステル反応が起きることで、撥水性保護膜が形成される。
【0022】
気体供給部(乾燥処理部)106は、ドライエアを供給し、半導体基板Wを乾燥させることができる。
【0023】
処理槽101は、薬液供給部103、純水供給部104、IPA供給部105、撥水化剤供給部106等から供給される液体を貯留、排出することができる。処理槽101は、薬液供給部103から供給される酸化力の強い薬液に対応するため、テフロン(登録商標)系材料で構成されることが好適である。
【0024】
撥水化膜除去部108は、半導体基板W上の凸形状パターン表面に形成された撥水性保護膜を除去することができ、例えば、ドライアッシング、オゾンガス処理、UV光照射等を行う。
【0025】
このような表面処理装置を用いて半導体基板の表面処理を行う方法について、図2に示すフローチャートを用いて説明する。
【0026】
(ステップS101)搬送部102が、凸形状パターンの加工が行われた半導体基板Wを処理槽101に導入する。この凸形状パターンは、例えば、ラインアンドスペースパターンである。凸形状パターンの少なくとも一部に、シリコンを含んでいてもよい。凸形状パターンは、例えば、RIE(Reactive Ion Etching)法により形成される。
【0027】
(ステップS102)薬液供給部103から処理槽101へ酸化力の強い薬液を供給し、半導体基板Wの洗浄を行う。これにより、半導体基板W上の凸形状パターンの加工によって生じた残渣を除去すると共に、表面を酸化できる。
【0028】
(ステップS103)純水供給部104から処理槽101へ純水を供給し、半導体基板Wのリンスを行い、ステップS102で用いた薬液成分を除去する。
【0029】
(ステップS104)IPA供給部105から処理層101へIPAを供給し、純水をIPAに置換するアルコールリンス処理を行う。
【0030】
(ステップS105)撥水化剤供給部106から処理槽101へシランカップリング剤を供給し、半導体基板W(凸形状パターン)表面に濡れ性が低い保護膜(撥水性保護膜)を形成する。
【0031】
半導体基板W(凸形状パターン)のOH基と、シランカップリング剤のR−Si−OHとのシリル化反応により、半導体基板W(凸形状パターン)の表面にR−Si−Oが形成される。R−Si−OのうちのR基が外側を向いている分子構造により、撥水性保護膜が得られる。
【0032】
従って、半導体基板W(凸形状パターン)におけるOH基数が多い程、撥水性保護膜が形成され易く、半導体基板W(凸形状パターン)表面の撥水度が増す。本実施形態では、ステップS102における洗浄処理時に酸化力の強い薬液を用いているため、半導体基板W(凸形状パターン)におけるOH基数は多くなっている。
【0033】
(ステップS106)IPA供給部105から処理槽101へIPAを供給し、シランカップリング剤をIPAに置換する。
【0034】
(ステップS107)純水供給部104から処理槽101へ純水を供給し、残留しているIPAをリンスアウトする。
【0035】
(ステップS108)搬送部102が半導体基板Wを処理槽101から引き上げて、気体供給部106が半導体基板Wへドライエアを供給し蒸発乾燥させる。
【0036】
半導体基板Wに形成されているパターンは撥水性保護膜に覆われているため、液体の接触角θが大きく(90°に近く)なる。
【0037】
図3に半導体基板W上に形成されているパターン4の一部が液体5に濡れた状態を示す。ここで、パターン4間の距離をSpace、液体5の表面張力をγとすると、パターン4にかかる力PはP=2×γ×cosθ・H/Space・・・(式1)となる。
【0038】
θが90°に近付くことで、cosθが0に近づき、乾燥処理時にパターンに作用する液体の力Pが小さくなることが分かる。これにより乾燥処理の際にパターンが倒壊することを防止することができる。
【0039】
(ステップS109)搬送部102が半導体基板Wを撥水化膜除去部108へ搬送する。撥水化膜除去部108が、半導体基板W上の凸形状パターン表面に形成された撥水性保護膜を、凸形状パターンを残存させつつ、除去する。
【0040】
このような撥水性保護膜の形成を行った場合と行わなかった場合の乾燥処理後のパターンの状態を図4に示す。ライン高さが150nm、170nm、200nmの3種類、ライン幅が普通、細、極細(普通>細>極細)の3種類のパターンについて表面処理を行った。
【0041】
図4(a)から分かるように、保護膜の形成を行わない場合、ライン幅が極細のパターンは150nm、170nm、200nmのいずれのライン高さにおいてもパターン倒壊が発生した。また、ライン幅が細で、ライン高さが200nmにおいてもパターン倒壊が発生した。
【0042】
一方、図4(b)から分かるように、撥水性保護膜の形成を行うと、ライン幅が極細で、ライン高さが200nmのパターン以外ではパターン倒壊を防止することができた。撥水性保護膜を形成することで、アスペクト比が高いパターンでも、洗浄・乾燥によるパターン倒壊を防止でき、倒壊マージンを向上させられることが分かる。
【0043】
このように、半導体基板表面を酸化力の強い薬液を使用して洗浄(及び強制酸化)した後に、基板表面に撥水性の保護膜を形成することで、乾燥処理時の微細パターン倒壊を防止することができる。
【0044】
(第2の実施形態)図5に本発明の第2の実施形態に係る半導体基板の表面処理装置の概略構成を示す。表面処理装置は、基板保持回転部200、薬液供給部210、純水供給部211、IPA供給部212、撥水化剤供給部213、及び撥水化膜除去部214を備える。この表面処理装置は、半導体基板に処理液を供給して基板を1枚ずつ処理する枚葉式のものである。
【0045】
基板保持回転部200は、処理チャンバを構成するスピンカップ201、回転軸202、スピンベース203、及びチャックピン204を有する。回転軸202は略鉛直方向に延び、回転軸202の上端に円盤状のスピンベース203が取り付けられている。回転軸202及びスピンベース203は、図示しないモータにより回転させることができる。
【0046】
チャックピン204はスピンベース203の周縁部に設けられている。チャックピン204が基板(ウェーハ)Wを狭持することで、基板保持回転部200は基板Wをほぼ水平に保持して回転させることができる。
【0047】
基板Wの表面の回転中心付近に、薬液供給部210、純水供給部211、IPA供給部212、又は撥水化剤供給部213から液体が供給されると、液体は基板Wの半径方向に広がる。また、基板保持回転部200は、基板Wのスピン乾燥を行うことができる。基板Wの半径方向に飛散した余分な液体は、スピンカップ201に捕らえられ、廃液管205を介して排出される。
【0048】
薬液供給部210は、基板保持回転部200に保持された半導体基板Wに、半導体基板Wを洗浄するための薬液を供給する。薬液供給部210は、例えば、硫酸と過酸化水素水の混合溶液(SPM)を80℃以上の高温にしたものや、硝酸などの酸化力の強い薬液を供給する。
【0049】
純水供給部211は、基板保持回転部200に保持された半導体基板Wに、半導体基板Wをリンスするための純水を供給する。
【0050】
IPA供給部212は、基板保持回転部200に保持された半導体基板Wに、半導体基板WをリンスするためのIPAを供給する。
【0051】
撥水化剤供給部213は、基板保持回転部200に保持された半導体基板Wに撥水化剤を供給する。撥水化剤は、基板Wの表面に形成された凸形状パターンの表面に撥水性保護膜を形成し、パターン表面を撥水化する薬液であり、例えばシランカップリング剤である。シランカップリング剤は、例えばヘキサメチルジシラザン(HMDS)、テトラメチルシリルジエチルアミン(TMSDEA)等を用いることができる。
【0052】
撥水化膜除去部214は、凸形状パターンを残存させて、撥水性保護膜を除去することができる。撥水化膜除去部214は例えばUV光を照射して撥水性保護膜を除去する。撥水化膜除去部214は基板保持回転部200の上方に設けられており、上下に移動可能である。
【0053】
搬送部215は、半導体基板Wを基板保持回転部200へ搬送する。
【0054】
このような表面処理装置を用いて半導体基板の表面処理を行う方法について図6に示すフローチャートを用いて説明する。なお、基板保持回転部200、薬液供給部210、純水供給部211、IPA供給部212、撥水化剤供給部213、及び撥水化膜除去部214の動作は図示しない制御部により制御することができる。
【0055】
(ステップS201)表面の所定の領域に複数の凸形状パターンを有する処理対象の半導体基板Wが搬送部(図示せず)により搬入され、基板保持回転部200に保持される。凸形状パターンは、例えば、ラインアンドスペースパターンである。凸形状パターンの少なくとも一部が、シリコンを含む膜で形成されていてもよい。凸形状パターンは、例えば、RIE(Reactive Ion Etching)法により形成される。
【0056】
(ステップS202)半導体基板Wを所定の回転速度で回転させ、薬液供給部210から半導体基板Wの表面の回転中心付近に薬液を供給する。薬液は酸化力の強い薬液である。薬液が半導体基板Wの回転による遠心力を受けて、半導体基板W表面全域に行き渡り、半導体基板Wの薬液(洗浄)処理が行われる。
【0057】
(ステップS203)純水供給部211から半導体基板Wの表面の回転中心付近に純水を供給する。純水が半導体基板Wの回転による遠心力を受けて、半導体基板W表面全域に行き渡る。これにより、半導体基板Wの表面に残留していた薬液を純水によって洗い流す純水リンス処理が行われる。これにより、加工残渣の除去及び基板表面の酸化が行われる。
【0058】
(ステップS204)IPA供給部212から半導体基板Wの表面の回転中心付近にIPA等のアルコールを供給する。IPAが半導体基板Wの回転による遠心力を受けて、半導体基板W表面全域に行き渡る。これにより、半導体基板Wの表面に残留していた純水をIPAに置換するアルコールリンス処理が行われる。
【0059】
(ステップS205)撥水化剤供給部213から半導体基板Wの表面の回転中心付近に撥水化剤を供給する。撥水化剤は例えばシランカップリング剤である。
【0060】
シランカップリング剤が半導体基板Wの回転による遠心力を受けて、半導体基板W表面全域に行き渡る。これにより、凸形状パターンの表面に濡れ性が低い保護膜(撥水性保護膜)が形成される。この撥水性保護膜は、シランカップリング剤のエステル反応が起きることで、形成される
上記第1の実施形態で説明したように、半導体基板W(凸形状パターン)におけるOH基数が多い程、半導体基板W(凸形状パターン)表面の撥水度が増す。本実施形態では、ステップS202における洗浄処理時に酸化力の強い薬液を用いているため、半導体基板W(凸形状パターン)におけるOH基数は多くなっている。
【0061】
(ステップS206)IPA供給部212から半導体基板Wの表面の回転中心付近にIPA等のアルコールを供給する。IPAが半導体基板Wの回転による遠心力を受けて、半導体基板W表面全域に行き渡る。これにより、半導体基板Wの表面に残留していたシランカップリング剤をIPAに置換するアルコールリンス処理が行われる。
【0062】
(ステップS207)純水供給部211から半導体基板Wの表面の回転中心付近に純水を供給する。純水が半導体基板Wの回転による遠心力を受けて、半導体基板W表面全域に行き渡る。これにより、半導体基板Wの表面に残留していたIPAを純水によって洗い流す純水リンス処理が行われる。
【0063】
(ステップS208)基板保持回転部200が、半導体基板Wの回転速度を所定のスピンドライ回転速度に上げて、半導体基板Wの表面に残っている純水を振り切って乾燥させるスピンドライ処理を行う。
【0064】
半導体基板W上の凸形状パターンは撥水性保護膜に覆われているため、液体の接触角θが大きく(90°に近く)なる。そのため、上記式1におけるcosθが0に近づき、乾燥処理時にパターンに作用する液体の力が小さくなり、パターン倒壊を防止することができる。
【0065】
(ステップS209)撥水化膜除去部214が半導体基板Wの近傍まで下降する。そして、撥水化膜除去部214が半導体基板W上の凸形状パターン表面に形成された撥水性保護膜を、凸形状パターンを残存させつつ、除去する。
【0066】
本実施形態による半導体基板の表面処理を行うことでも、上記第1の実施形態と同様の効果(図4参照)を得ることができる。
【0067】
このように、半導体基板表面を酸化力の強い薬液を使用して洗浄した後に、基板表面に撥水性の保護膜を形成することで、乾燥処理時の微細パターン倒壊を防止することができる。
【0068】
(第3の実施形態)上記第1の実施形態では、酸化力の強い薬液を用いた洗浄処理により半導体基板W(凸形状パターン)におけるOH基数を増やしていたが、通常の洗浄薬液による洗浄後にUV光を照射して、基板表面をさらに酸化させてもよい。
【0069】
図7に本実施形態に係る表面処理装置の概略構成を示す。表面処理装置は、図1に示す上記第1の実施形態に係る表面処理装置と比較して、UV光照射部111が設けられている点が異なる。また、薬液供給部103は、例えばSPM、SC−1(Standard Clean 1)、SC−2等の通常の洗浄薬液を供給する。薬液供給部103は、1種類の薬液を供給してもよいし、複数の薬液を同時又は連続的に供給してもよい。図7において、図1に示す第1の実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0070】
UV光照射部111は処理槽101内の半導体基板にUV光を照射する。撥水化膜除去部108がUV光照射部111であってもよい。搬送部102又は図示しない別の移動機構が、UV光照射部111を処理槽101の上方へ搬送する。
【0071】
このような表面処理装置を用いて半導体基板の表面処理を行う方法について図8に示すフローチャートを用いて説明する。
【0072】
(ステップS301)搬送部102が凸形状パターンの加工が行われた半導体基板Wを処理槽101に導入する。
【0073】
(ステップS302)薬液供給部103から処理槽101へ薬液を供給し、半導体基板Wの洗浄を行う。これにより、半導体基板W上の凸形状パターンの加工によって生じた残渣を除去できる。
【0074】
(ステップS303)純水供給部104から処理槽101へ純水を供給し、半導体基板Wのリンスを行い、ステップS102で用いた薬液成分を除去する。
【0075】
(ステップS304)UV光照射部111が処理槽101の上方へ搬送される。そして、UV光照射部111が半導体基板WにUV光を照射する。これにより、基板表面がさらに酸化される。
【0076】
(ステップS305)IPA供給部105から処理槽101へIPAを供給し、純水をIPAに置換するアルコールリンス処理を行う。
【0077】
(ステップS306)撥水化剤供給部106から処理槽101へシランカップリング剤を供給し、半導体基板W(凸形状パターン)表面に濡れ性が低い保護膜(撥水性保護膜)を形成する。
【0078】
上記第1の実施形態で説明したように、半導体基板W(凸形状パターン)におけるOH基数が多い程、半導体基板W(凸形状パターン)表面の撥水度が増す。本実施形態では、ステップS304におけるUV光照射処理により、半導体基板W(凸形状パターン)におけるOH基数は多くなっている。
【0079】
(ステップS307)IPA供給部105から処理層101へIPAを供給し、シランカップリング剤をIPAに置換する。
【0080】
(ステップS308)純水供給部104から処理槽101へ純水を供給し、残留しているIPAをリンスアウトする。
【0081】
(ステップS309)搬送部102が半導体基板Wを処理槽101から引き上げて、気体供給部106が半導体基板Wへドライエアを供給し蒸発乾燥させる。
【0082】
半導体基板Wに形成されているパターンは撥水性保護膜に覆われているため、液体の接触角θが大きく(90°に近く)なる。乾燥処理時にパターンに作用する液体の力が小さくなるため、乾燥処理の際にパターンが倒壊することを防止することができる。
【0083】
(ステップS310)搬送部102が半導体基板Wを撥水化膜除去部108へ搬送する。撥水化膜除去部108が、半導体基板W上の凸形状パターン表面に形成された撥水性保護膜を、凸形状パターンを残存させつつ、除去する。
【0084】
このように、半導体基板表面にUV光を照射して酸化反応を促進させた後に、基板表面に撥水性の保護膜を形成することで、上記第1の実施形態と同様に、乾燥処理時の微細パターン倒壊を防止することができる。
【0085】
(第4の実施形態)上記第2の実施形態では、酸化力の強い薬液を用いた洗浄処理により半導体基板W(凸形状パターン)におけるOH基数を増やしていたが、通常の洗浄薬液による洗浄後にUV光を照射して、基板表面をさらに酸化させてもよい。UV光は撥水化膜除去部214が照射する。
【0086】
本実施形態に係る表面処理装置は、図5に示す上記第2の実施形態に係る表面処理装置と同様の構成となる。但し、撥水化膜除去部214は、半導体基板W表面にUV光を照射して酸化させる際に、基板表面を濡れた状態にしておく必要がある。従って、撥水化膜除去部214は、図9に示すように、純水を吐出する吐出口214aを備える。
【0087】
また、薬液供給部210は、SPM、SC−1(Standard Clean 1)、SC−2等の通常の洗浄薬液を供給する。薬液供給部210は、1種類の薬液を供給してもよいし、複数の薬液を同時又は連続的に供給してもよい。
【0088】
本実施形態に係る表面処理装置を用いて半導体基板の表面処理を行う方法について図10に示すフローチャートを用いて説明する。
【0089】
(ステップS401)表面の所定の領域に複数の凸形状パターンを有する処理対象の半導体基板Wが搬入され、基板保持回転部200に保持される。凸形状パターンは、例えば、ラインアンドスペースパターンである。凸形状パターンの少なくとも一部が、シリコンを含む膜で形成されていてもよい。凸形状パターンは、例えば、RIE(Reactive Ion Etching)法により形成される。
【0090】
(ステップS402)半導体基板Wを所定の回転速度で回転させ、薬液供給部210から半導体基板Wの表面の回転中心付近に薬液を供給する。薬液が半導体基板Wの回転による遠心力を受けて、半導体基板W表面全域に行き渡り、半導体基板Wの薬液(洗浄)処理を行うことができる。この処理により、半導体基板W上の凸形状パターンの加工によって生じた残渣を除去できる。
【0091】
(ステップS403)純水供給部211から半導体基板Wの表面の回転中心付近に純水を供給する。純水が半導体基板Wの回転による遠心力を受けて、半導体基板W表面全域に行き渡る。これにより、半導体基板Wの表面に残留していた薬液を純水によって洗い流す純水リンス処理が行われる。
【0092】
(ステップS404)撥水化膜除去部214が下降し、半導体基板Wの表面に純水を吐出しながらUV光を照射する。これにより、基板表面がさらに酸化される。
【0093】
(ステップS405)IPA供給部212から半導体基板Wの表面の回転中心付近にIPA等のアルコールを供給する。IPAが半導体基板Wの回転による遠心力を受けて、半導体基板W表面全域に行き渡る。これにより、半導体基板Wの表面に残留していた純水をIPAに置換するアルコールリンス処理が行われる。
【0094】
(ステップS406)撥水化剤供給部213から半導体基板Wの表面の回転中心付近に撥水化剤を供給する。撥水化剤は例えばシランカップリング剤である。
【0095】
シランカップリング剤が半導体基板Wの回転による遠心力を受けて、半導体基板W表面全域に行き渡る。これにより、凸形状パターンの表面に濡れ性が低い保護膜(撥水性保護膜)が形成される。この撥水性保護膜は、シランカップリング剤のエステル反応が起きることで、形成される
上記第1の実施形態で説明したように、半導体基板W(凸形状パターン)におけるOH基数が多い程、半導体基板W(凸形状パターン)表面の撥水度が増す。本実施形態では、ステップS404におけるUV光照射により、半導体基板W(凸形状パターン)におけるOH基数は多くなっている。
【0096】
(ステップS407)IPA供給部212から半導体基板Wの表面の回転中心付近にIPA等のアルコールを供給する。IPAが半導体基板Wの回転による遠心力を受けて、半導体基板W表面全域に行き渡る。これにより、半導体基板Wの表面に残留していたシランカップリング剤をIPAに置換するアルコールリンス処理が行われる。
【0097】
(ステップS408)純水供給部211から半導体基板Wの表面の回転中心付近に純水を供給する。純水が半導体基板Wの回転による遠心力を受けて、半導体基板W表面全域に行き渡る。これにより、半導体基板Wの表面に残留していたIPAを純水によって洗い流す純水リンス処理が行われる。
【0098】
(ステップS409)基板保持回転部200が、半導体基板Wの回転速度を所定のスピンドライ回転速度に上げて、半導体基板Wの表面に残っている純水を振り切って乾燥させるスピンドライ処理を行う。
【0099】
半導体基板W上の凸形状パターンは撥水性保護膜に覆われているため、液体の接触角θが大きく(90°に近く)なる。そのため、上記式1におけるcosθが0に近づき、乾燥処理時にパターンに作用する液体の力が小さくなり、パターン倒壊を防止することができる。
【0100】
(ステップS410)撥水化膜除去部214が半導体基板Wの近傍まで下降する。そして、撥水化膜除去部214が半導体基板WにUV光を照射し、凸形状パターン表面に形成された撥水性保護膜を、凸形状パターンを残存させつつ、除去する。
【0101】
本実施形態による半導体基板の表面処理を行うことでも、上記第1の実施形態と同様の効果(図4参照)を得ることができる。
【0102】
このように、半導体基板表面にUV光を照射して酸化反応を促進させた後に、基板表面に撥水性の保護膜を形成することで、乾燥処理時の微細パターン倒壊を防止することができる。
【0103】
上記第1〜第4の実施形態において、シランカップリング剤が純水と置換可能である場合は、撥水化処理の前後のアルコールリンス処理を省略することができる。
【0104】
撥水化処理に用いられるシランカップリング剤は、ヒドロキシル基を有するIPAやH2Oが加わると、加水分解を起こし、撥水化能力が低下することが知られている。撥水化能力の低下はパターン倒壊防止効果を低減させる。
【0105】
そこで、純水リンス、IPA置換を行った後、撥水化処理を行う前に、シンナー処理を行い、ヒドロキシル基を含まないシンナーでIPAを置換してもよい。シンナーにはトルエン等、化合物自体にヒドロキシル基を持たない溶剤、又は中間生成物としてヒドロキシル基を発生させない溶剤や、シクロヘキサノンを用いることができる。シンナーが水と置換可能である場合には、純水リンス後のIPA置換(アルコールリンス)を省略しても構わない。
【0106】
上記第1〜第4の実施形態ではシランカップリング剤を用いて撥水化処理を行っていたが、界面活性剤(水溶性界面活性剤)を用いても良い。界面活性剤を使用する場合は、撥水化処理前後のIPA置換(アルコールリンス)を省略できるため、表面処理装置にはIPA供給部105、212を設けなくてもよい。
【0107】
上記第1、第3の実施形態に係る表面処理装置は、単一の処理槽を用いるオーバーフロー型であったが、それぞれ薬液、純水、撥水化剤等を貯留した複数の処理槽を設け、基板保持搬送部102が半導体基板を各処理槽に順番に浸漬させるようにしてもよい。
【0108】
上記第1、第3の実施形態では蒸発乾燥法を用いて半導体基板を乾燥させていたが、減圧乾燥法やスピン乾燥法等を用いてもよい。また、純水をIPAやHFEを含む溶剤に置換し、溶剤を蒸発乾燥させてもよい。
【0109】
上記第2、第4の実施形態において、撥水化膜除去部は複数の基板保持回転部200の各々に設けてもよいし、1つの撥水化膜除去部が複数の基板保持回転部200上に移動できるようにしてもよい。
【0110】
上記第3、第4の実施形態では、半導体基板Wの表面を酸化するために紫外線を照射していたが、赤外線など他の光を照射してもよい。
【0111】
半導体基板Wの表面を酸化するための紫外線照射は、凸形状パターンの加工途中に行ってもよい。このような表面処理方法の一例を図11、図12に示す。
【0112】
まず、図11(a)に示すように、半導体基板W上に、シリコン系部材層11、シリコン窒化膜12、シリコン酸化膜13を順次形成する。シリコン系部材層11は、シリコン酸化物やポリシリコン等を用いて形成される。シリコン系部材層11は複数の膜から構成されていてもよい。
【0113】
次に、図11(b)に示すように、シリコン酸化膜13上に、フォトリソグラフィ技術を用いて、ライン/スペースパターンを持つレジスト層14を形成する。
【0114】
次に、図11(c)に示すように、ドライエッチングを施し、シリコン酸化膜13をパターニングする。
【0115】
次に、図11(d)に示すように、レジスト層14を剥離する。
【0116】
次に、図12(a)に示すように、ドライエッチングを施し、シリコン窒化膜12をパターニングする。ここでは、シリコン窒化膜12の下のシリコン系部材層11には加工を施さない。そして、SC−1、SC−2、SPM等の薬液を使用して洗浄を行い、ドライエッチングにより生じた残渣を除去する。
【0117】
次に、図12(b)に示すように、UV光を照射する。これにより、シリコン酸化膜13の表面、シリコン窒化膜12の側面等の酸化が進む。なお、シリコン酸化膜13はUV光照射前に除去してもよい。
【0118】
次に、図12(c)に示すように、ドライエッチングを施し、シリコン系部材層11をパターニングする。
【0119】
このようにして凸形状パターン15が形成された半導体基板Wに対して、上記第3、第4の実施形態に係る表面処理方法(但し、ステップS304、S404を除く)を適用する。UV光照射によりシリコン窒化膜12の側面を強制酸化しているため、撥水性保護膜を形成しやすく、撥水度が向上し、乾燥処理時の微細パターン倒壊を防止することができる。
【0120】
上記第1〜第4の実施形態に係る表面処理装置は、側壁転写プロセスにより形成された凸形状パターンを有する半導体基板の洗浄・乾燥に適している。側壁転写プロセスは、図13(a)に示すように、まず、半導体基板(図示せず)上に形成された第1膜501上に第2膜502を形成する。そして、第2膜502上に、ラインアンドスペースパターンを有するレジスト503を形成する。
【0121】
次に、図13(b)に示すように、レジスト503をマスクとして、第2膜502にエッチングを施し、パターンを転写する。
【0122】
次に、図13(c)に示すように、第2膜502にスリミング処理を施し、幅を1/2程度に細めて芯材504に加工する。なお、レジスト503はスリミング処理の前又は後に除去される。スリミング処理は、ウェット処理、ドライ処理、又はウェット処理とドライ処理の組み合わせにより行われる。
【0123】
次に、図13(d)に示すように、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等により、芯材504の上面及び側面を一定の膜厚で覆うように第3膜505を形成する。第3膜505は、芯材504とのエッチング選択比を大きくとることのできる材料で形成される。
【0124】
次に、図14(a)に示すように、芯材504の上面が露出するまで、第3膜505をドライエッチングする。ドライエッチングは、芯材504に対し選択性を有するエッチング条件で行われる。これにより、第3膜505は、芯材504の側面に沿ってスペーサ状に残留する。この時に残留する第3膜505は、芯材504側面上部に上端505aが接触して位置すると共に、芯材504の外側に向けて上側部が凸湾曲した形状をなしている。
【0125】
次に、図14(b)に示すように、芯材504をウェットエッチング処理で除去する。第3膜505は、隣接する2個のパターンの上端部の距離(スペースパターンの開口幅寸法)が狭いものと、広いものとが交互に存在する非対称な形状になる。
【0126】
第3膜505のような非対称の形状のパターンを洗浄して乾燥させる場合、図14(c)に示すように、スペース部分のリンス液の液面下降速度が大きく異なり、パターンに大きな力がかかるため、パターン倒壊の防止が困難であった。
【0127】
しかし、上記第1〜第4の実施形態に係る表面処理装置を用いることで、側壁転写プロセスにより形成された非対称形状のパターンであっても、パターン表面の強制酸化と、パターン表面の撥水化処理とを行うことで、パターンの倒壊を防止しつつ基板を洗浄・乾燥させることができる。
【0128】
上記式1及び図3から分かるように、パターン4にかかる力Pは表面張力γの垂直成分に依存する。従って、図15(a)に示すように、パターンの上部が傾斜した構造、言い換えれば、パターン上部の側面が基板表面に対してなす角度と、パターン下部の側面が基板表面に対してなす角度とが異なるような構造にすることで、表面張力γの垂直成分を小さくし、パターンにかかる力を低減することができる。
【0129】
このような構造は、パターンをRIE処理する際に、温度を低くすることで形成できる。また、図15(b)に示すように、パターンがマスク材料1501及びパターン材料1502から構成されている場合、マスク材料1501とパターン材料1502との選択比が低い条件又は選択比が同じとなる条件でRIE処理を行うことで、同様の構造が得られる。
【0130】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0131】
101 処理槽
102 搬送部
103 薬液供給部
104 純水供給部
105 IPA供給部
106 撥水化剤供給部
107 気体供給部
108 撥水化膜除去部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に凸形状パターンが形成された半導体基板を保持する保持部と、
前記半導体基板の表面に薬液を供給し、洗浄及び酸化を行う第1供給部と、
前記半導体基板の表面に純水を供給し、前記半導体基板をリンスする第2供給部と、
前記半導体基板の表面に撥水化剤を供給し、前記凸形状パターンの表面に撥水性保護膜を形成する第3供給部と、
前記半導体基板を乾燥させる乾燥処理部と、
前記凸形状パターンを残存させて前記撥水性保護膜を除去する除去部と、
を備える半導体基板の表面処理装置。
【請求項2】
前記第1供給部は、前記薬液を加熱する加熱部を有することを特徴とする請求項1に記載の半導体基板の表面処理装置。
【請求項3】
前記半導体基板の表面にアルコールを供給し、前記半導体基板をリンスする第4供給部をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体基板の表面処理装置。
【請求項4】
表面に凸形状パターンが形成された半導体基板を保持する保持部と、
前記半導体基板の表面に薬液を供給し、洗浄及び酸化を行う第1供給部と、
前記半導体基板の表面に純水を供給し、前記半導体基板をリンスする第2供給部と、
前記半導体基板の表面に撥水化剤を供給し、前記凸形状パターンの表面に撥水性保護膜を形成する第3供給部と、
前記半導体基板を乾燥させる乾燥処理部と、
前記半導体基板に光を照射し、半導体基板表面の酸化及び前記凸形状パターンを残存させた前記撥水性保護膜の除去を行う除去部と、
を備える半導体基板の表面処理装置。
【請求項5】
前記乾燥処理部は前記保持部に含まれ、前記保持部は、前記半導体基板のスピン乾燥処理を行うことを特徴とする請求項4に記載の半導体基板の表面処理装置。
【請求項6】
前記除去部は、純水を吐出する吐出口を有し、前記半導体基板表面の酸化の際に純水を吐出することを特徴とする請求項5に記載の半導体基板の表面処理装置。
【請求項7】
半導体基板上に複数の凸形状パターンを形成し、
薬液を用いて前記凸形状パターン表面を洗浄し、
洗浄後に、純水を用いて前記半導体基板をリンスし、
リンス後に、光を照射して前記凸形状パターン表面を酸化し、
前記光が照射された前記凸形状パターン表面に撥水化剤を用いて撥水性保護膜を形成し、
前記撥水性保護膜形成後に、純水を用いて前記半導体基板をリンスし、
前記半導体基板を乾燥させ、
前記凸形状パターンを残存させて前記撥水性保護膜を除去する半導体基板の表面処理方法。
【請求項8】
前記凸形状パターンは、側壁転写プロセスにより形成することを特徴とする請求項7又は7に記載の半導体基板の表面処理方法。
【請求項9】
前記凸形状パターンは、前記半導体基板の表面に対して第1角度をなす第1側面と、前記第1側面上に位置し、前記半導体基板の表面に対して前記第1角度とは異なる第2角度をなす第2側面を有することを特徴とする請求項7に記載の半導体基板の表面処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−129583(P2011−129583A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−284347(P2009−284347)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】