説明

半導体積層構造物と窒化物半導体結晶基板及び窒化物半導体素子の製造方法

【課題】半導体積層構造物と、これを用いて高品質の窒化物半導体結晶基板及び素子を製造する方法を提供する。
【解決手段】半導体積層構造物100は、窒化物半導体結晶面である上面を有する基礎基板101と、上記基礎基板上で間隔を置いて水平方向に延長された流通孔パターン105を囲う成長防止膜103と、上記流通孔パターン105の間の領域で上記基礎基板101の上面と接触するよう上記基礎基板上に形成され、上記成長防止膜103を覆う窒化物半導体結晶層107を含む。上記半導体積層構造物は、低欠陥高品質の窒化物半導体結晶層、窒化物半導体結晶基板及び窒化物半導体素子を得ることに利用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒化物半導体結晶基板及び窒化物半導体素子の製造方法に関するものであり、特に結晶欠陥が少ない高品質の窒化物半導体結晶基板及び素子の製造方法とこれに利用される半導体積層構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
AlGaIn(1−x−y)N(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)と表現される3族窒化物半導体(以下、簡単に窒化物半導体と称する)が光電子素子または高性能の電界効果素子応用に適した材料として注目を浴びている。窒化物半導体基盤の青色LEDを適用した交通信号灯は今日、日常的なものであり、白色照明及びディスプレイ等の分野において窒化物系LEDに対する需要が急速に増加しつつある。しかし、窒化物系単結晶の格子常数及び熱膨張係数と整合される窒化物系単結晶成長用基板が普遍化されていないという問題点がある。
【0003】
通常窒化物半導体層は、窒化物半導体基板形成の技術的困難性によってサファイア基板、SiC基板、GaAs基板またはSi基板などの異種基板上で形成される。これによって異種基板と窒化物半導体層との間の結晶常数及び熱膨張係数の差のため、異種基板上で成長された窒化物半導体層とその上に形成された窒化物半導体素子は、転移(dislocation)等の結晶欠陥を多量含んでいる。このような欠陥は、LEDなど窒化物半導体素子の性能を落とす主要因として作用する。
【0004】
上記問題点を解決すべく、異種基板上に形成された窒化物半導体層を異種基板から分離させる技術が提案されてきた。例えば、特許文献1には、レーザーリフトオフ(laser lift off;LLO)を用いてGaN層またはGaN系LEDをサファイア基板から分離させる技術を開示している。しかし、このようなレーザーリフトオフ法を使用する場合にも、サファイア基板と窒化物半導体との間に熱膨張係数の差などの原因で基板の反りが発生したり半導体層が損傷される問題が発生する。従って、高信頼性の基板分離方法や高品質の窒化物半導体基板または窒化物半導体素子を得ることが出来る方法が依然として要求されている。
【特許文献1】米国特許第6,071,795号登録公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の問題点を解決するためのものであり、本発明の目的は、高い結晶品質の窒化物半導体基板及び素子を得ることを可能とする半導体積層構造物を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、上記半導体積層構造物を用いて高品質の窒化物半導体結晶基板を高い信頼度で製造する方法を提供することにある。
【0007】
本発明のまた異なる目的は、上記半導体積層構造物を用いて高品質の窒化物半導体素子を高い信頼度で製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の技術的課題を達成すべく、本発明による半導体積層構造物は、窒化物半導体結晶面である上面を有する基礎基板と、上記基礎基板上で間隔を置いて水平方向に延長された流通孔パターンを囲う成長防止膜と、上記流通孔パターンの間の領域で上記基礎基板の上面と接触するよう上記基礎基板上に形成され、上記成長防止膜を覆う窒化物半導体結晶層を含む。このような半導体積層構造物は、低欠陥高品質の窒化物半導体結晶層、基板及び素子を得るのに容易に利用されることが出来る。
【0009】
本発明の一実施形態によると、上記基礎基板はGaN基板のような窒化物半導体基板であることが出来る。他の実施形態として、上記基礎基板は下層部として異種基板を含み上層部として窒化物半導体層を含むことも出来る。
【0010】
好ましくは、上記成長防止膜はSiO、SiN及びAlからなるグループから選択された物質からなることが出来る。他の方案として、上記成長防止膜はタングステンまたはモリブデン等の高融点金属からなることも出来る。
【0011】
本発明の他の目的を達成するため、本発明による窒化物半導体結晶基板の製造方法は、窒化物半導体結晶面である上面を有する基礎基板上に熱分解性物質パターンとその熱分解性物質パターンを囲う成長防止膜を形成する段階と、上記熱分解性物質パターンの間の領域の成長防止膜を蝕刻して上記基礎基板の結晶面を露出させる段階と、上記露出された結晶面から窒化物半導体結晶を成長させることにより、上記熱分解性物質を熱分解させ流通孔パターンを形成すると共に、上記成長防止膜を覆う窒化物半導体結晶層を形成する段階と、上記流通孔パターンにエッチング剤を流通することにより、上記基礎基板から上記半導体結晶層を分離させる段階を含む。
【0012】
本発明の実施形態によると、上記熱分解性物質パターンと成長防止膜を形成する段階は、上記基礎基板上に第1成長防止膜を形成する段階と、上記第1成長防止膜上に相互間隔を置いて配置された熱分解性物質のパターンを形成する段階と、上記熱分解性物質パターンを囲うよう上記結果物上に第2成長防止膜を形成する段階を含む。
【0013】
上記熱分解性物質は、窒化物半導体結晶の成長温度で熱分解されることが可能な物質である。上記熱分解性物質には、例えばZnO、MgO、CaO、CdO、FeO、TiO等の熱分解性酸化物を使用することが出来る。他の方案として、上記熱分解性物質には、熱分解性樹脂を使用することが出来る。上記熱分解性樹脂は、分解温度が250乃至600℃に至るフォトレジスト系ポリマーまたは熱硬化性樹脂であることが出来る。上記窒化物半導体結晶層形成時、上記熱分解性物質は分解され空き空間を残すこととなり、この空き空間はエッチング剤流通のための流通孔パターンとなる。
【0014】
本発明のまた異なる目的の達成すべく、本発明による窒化物半導体素子の製造方法は、窒化物半導体結晶面である上面を有する基礎基板上に熱分解性物質パターンとその熱分解性物質パターンを囲う成長防止膜を形成する段階と、上記熱分解性物質パターンの間の領域の成長防止膜を蝕刻して上記基礎基板の結晶面を露出させる段階と、上記露出された結晶面から窒化物半導体結晶を成長させることにより、上記熱分解性物質を熱分解させ流通孔パターンを形成すると共に、上記成長防止膜を覆う窒化物半導体結晶層を形成する段階を含む。
【0015】
本発明の一実施形態によると、上記流通孔パターンにエッチング剤を流通することにより、上記基礎基板から上記窒化物半導体結晶層を分離させる段階と、上記分離された窒化物半導体結晶層上に第1導電型クラッド層、活性層及び第2導電型クラッド層を順次に形成する段階をさらに含む。
【0016】
本発明の他の一実施形態によると、上記窒化物半導体結晶層上に第1導電型クラッド層、活性層及び第2導電型クラッド層を順次に形成する段階と、上記第2導電型クラッド層形成後、上記流通孔パターンにエッチング剤を流通することにより、上記基礎基板を分離させる段階を含む。
【0017】
本明細書において、‘窒化ガリウム(GaN)系半導体’または‘窒化物半導体’とは、AlGaIn(1−x−y)N(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)で表現される2成分系(bianary)、3成分系(ternary)または4成分系(quaternary)化合物半導体を意味する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、成長防止膜によって囲われた流通孔パターンと結晶成長用窓を具備した半導体積層構造物を利用することにより、低欠陥高品質の窒化物半導体結晶層または基板を得ることが出来る。このような窒化物半導体結晶層または基板を使用して、高品質のLED素子など窒化物半導体素子を容易に製造することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、添付の図面を参照に本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な形態で変形されることができ、本発明の範囲が以下に説明する実施形態で限定されるものではない。本発明の実施形態は、当業界で一般的な知識を有している者に本発明をより完全に説明するため提供される。従って、図面における要素の形状及び大きさ等は、より明確な説明のため誇張されることができ、図面上の同一符号で表示される要素は同一要素である。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態による半導体積層構造物の断面図である。図1を参照すると、半導体積層構造物100は、基礎基板101と窒化物半導体結晶層107との間に分離部(103及び105)を介在させた構成とされている。上記分離部は、基礎基板101の間で間隔を置いて水平方向に延長された流通孔パターン105と該流通孔パターン105を囲う成長防止膜103を具備して構成されている。上記流通孔パターン105は、エッチング剤が容易に流通できる通路を提供し、少なくともその一部が空き空間となっている。該流通孔パターン105にエッチング剤を流通させることにより、流通孔パターン105の間の窒化物半導体と成長防止膜103を除去して、半導体結晶層107を基礎基板101から容易に分離させることが出来る。
【0021】
基礎基板101は、その上面が窒化物半導体結晶面からなっている。図1に図示された通り、基礎基板101として単一層の窒化物半導体基板を使用することが出来る。しかし、これに限定はされず、上層部が窒化物半導体結晶となっている基板でであれば、これを基礎基板に使用することが出来る。即ち、下層部が異種基板(例えば、サファイア基板)で上層部が窒化物半導体層からなっている多層構造の基板も基礎基板として使用されることが出来る。
【0022】
複数の流通孔パターン105の相互間の領域では基礎基板101の上面と窒化物半導体結晶層107が接触している。また、窒化物半導体結晶層107は、上記分離部(103,105)を覆って成長防止膜103の上に延長されている。後述する通り、窒化物半導体結晶層107は、基礎基板101と窒化物半導体結晶層107との接触部104から成長したものである。従って、該接触部104は、窒化物半導体結晶層107成長のための窓(window)に相当する部分である。
【0023】
このような半導体積層構造物100は、低欠陥高品質の窒化物半導体結晶層、基板及び素子を得るのに容易に利用されることが出来る。即ち、上記窒化物半導体結晶層107は、窒化物半導体物質(基礎基板101の上面部)から成長されたものであるだけでなく、前記窓の接触部104から成長して徐々に側方向に成長して分離部(成長防止膜103,流通孔パターン105)を完全に覆っている。このように基礎基板101との結晶学的整合性とエピタキシャル側方向過成長法(ELOG;Epitaxial Lateral Overgrowth)による成長により、窒化物半導体結晶層107は低欠陥の高い結晶品質を有することとなる。
【0024】
また、上記流通孔パターン105を通じエッチング剤(エッチングガスまたはエッチング液など)を流通させることにより、流通孔パターン105の間の窒化物半導体物質と成長防止膜103を容易に除去することが出来る。これによって、高い信頼度で窒化物半導体結晶層107を損傷すること無く、窒化物半導体結晶層107と基礎基板101とを分離することが出来る。分離された窒化物半導体結晶層107は、他の素子を製造するための窒化物半導体結晶基板として容易に使用される。他の方法として、上記窒化物半導体結晶層107上に先ず素子(例えば、LED)を製造して後、基礎基板101を分離することも出来る。いずれの場合であれ、上記半導体積層構造物100は高品質の窒化物半導体結晶基板または素子を製造するのに有用に利用され得る。
【0025】
好ましくは、上記成長防止膜103はSiO、SiNまたはAl等の絶縁体からなることが出来る。他の例として、上記成長防止膜103はタングステンまたはモリブデン等の高融点金属からなることもできる。
【0026】
図2乃至図9は、図1に図示された半導体積層構造物と該積層構造物から得られる窒化物半導体結晶基板及び窒化物半導体素子の製造方法を説明するための工程断面図である。
【0027】
先ず、図2を参照すると、基礎基板101上に第1成長防止膜113を形成する。基礎基板101には、前述した通り窒化物半導体基板または窒化物半導体層を具備した異種基板を使用する。第1成長防止膜113は前述したようなSiOやSiN等の絶縁体またはタングステン等の高融点金属で形成する。
【0028】
次に、図3に図示された通り、第1成長防止膜113上に熱分解性物質層115を形成する。該熱分解性物質層は、窒化物半導体結晶成長温度(約800℃以上の温度)では容易に熱分解されることが可能な物質からなる。好ましくは、熱分解性物質層115はZnO、MgO、CaO、CdO、FeO、TiO等の熱分解性酸化物で形成される。他の例として、上記熱分解性物質層115は熱分解性樹脂からなることもできる。熱分解性樹脂には、分解温度(即ち、その温度以上では熱分解される温度)が250乃至600℃のフォトレジスト系ポリマーまたは熱硬化性樹脂を使用することができる。例えば、臭素系難燃剤を含有したエポキシ樹脂、フェノール樹脂またはポリウレタン等を使用し、250乃至600℃の分解温度を有する熱分解性樹脂層を形成することができる。
【0029】
次に、図4に図示された通り、写真蝕刻工程などによって上記熱分解性物質層115をパターニングすることにより、熱分解性物質パターン125を形成する。該パターン125は、例えば一定な間隔を置いて延長された多数条の並行するストリップ(strips)形態で形成されることができる。
【0030】
その後、図5に図示された通り、上記熱分解性物質パターン125の模様に沿って、第2成長防止膜123を薄く形成する。これによって、熱分解性物質パターン125は、第1及び第2成長防止膜からなる成長防止膜103によって囲われることとなる。この際、前記各熱分解性物質パターン125のストリップ末端部には第2成長防止膜123が被覆されないようにすることができる。
【0031】
その後、図6に図示されるように、各熱分解性物質パターン125の相互間の領域の前記成長防止膜103を蝕刻して基礎基板101の窒化物結晶面を露出させる。該露出された窒化物結晶面部分は、後続の窒化物結晶成長のための接触部ともなる窓(window;104)となる。この際、熱分解性物質パターン125は依然として成長防止膜103によって囲われた状態にある。
【0032】
次に、図7に図示された通り、上記窓104を通じて窒化物半導体結晶107を成長させる。この際、例えばMOCVD、PLDまたはHVPE法等を用いて窒化物半導体結晶を成長させることができる。窓104部分以外の成長防止膜103が形成された部分には結晶成長が抑制されるため、結晶面が露出された窓104でのみ結晶成長が起こる。従って、成長初期には窓104から窒化物半導体結晶が成長された後、前述のELOGによって徐々に側方向に成長され上記成長防止膜103を完全に覆うこととなる。これによって、基礎基板101の窓104と成長防止膜103上には一定厚さを有する窒化物半導体結晶層107が形成される。
【0033】
上記窒化物半導体結晶成長は、約800℃以上の高温(好ましくは、1000℃以上の高温)で実施されるため、結晶成長の間、熱分解性物質パターン125は熱分解される。この際、成長防止膜103が熱分解性物質パターン125を囲んでいるため、熱分解性物質パターン125の熱分解によって発生された副産物ガスは窒化物半導体結晶層107へ拡散されない。その代わり上記ガスは熱分解性物質パターン125の端部面を通じて排気される。従って、熱分解により発生されたガスの拡散による窒化物半導体結晶層107の欠陥発生が防止される。
【0034】
このように窒化物半導体結晶層107形成の間、熱分解性物質パターン125が熱分解されることにより、熱分解性物質パターン125があったところは空き空間として残る。窒化物半導体結晶層107の成長後にも一部熱分解性物質が残留することができるが、熱分解によって生じた上記空き空間は、エッチング剤が流通するのに充分な流通孔パターン105を形成することとなる。
【0035】
結晶成長により形成された窒化物半導体結晶層107は、非常に高い品質の結晶状態を有する。これは3つの要因に起因する。初めに、窒化物半導体結晶層107は、窒化物半導体結晶面(基礎基板101の窓104)から成長されたことである。従って、従来の異種基板面から成長された窒化物半導体結晶層に比べ欠陥が著しく少ない。二番目に、窒化物半導体結晶層107は、ELOGによって成長されたことである。従って、側方向成長された部分(特に、成長防止膜103のすぐ上の部分)では転移欠陥の密度が少ない。最後に、成長防止膜103は、熱分解副産物ガス(熱分解性物質の熱分解によって発せられたガス)が窒化物半導体結晶層107へ拡散されることを防止する。このような要因により上記窒化物半導体結晶層107は、低欠陥の高い結晶品質を有することとなる。
【0036】
以上の工程を通じ、図1(または図7)に図示された半導体積層構造物100を得ることができる。該半導体積層構造物は、高品質の窒化物半導体基板または窒化物半導体素子を得るのに利用される。
【0037】
図8を参照すると、図7から得られた窒化物半導体結晶層107を分離する状態が示されている。即ち、上記流通孔パターン105を通じ適切な1種類以上のエッチング剤を流通させることにより、成長防止膜103を除去し、各流通孔パターン105の相互間の各窓104部分(図7参照)にある窒化物半導体結晶を除去する。これによって、窒化物半導体結晶層107を損傷すること無く容易に基礎基板101から窒化物半導体結晶層107を分離する。分離された窒化物半導体結晶層107は、高品質窒化物半導体結晶基板として利用され得る。分離された半導体結晶層を素子製造用の窒化物半導体結晶基板として使用する前に、分離された半導体結晶層107の分離面(前記各窓104に対応する結晶層成長部分)を研磨したりエッチングしたり洗浄することもできる。
【0038】
分離された基礎基板101は再使用されることが出来る。従って、本発明によると、一つの基礎基板101を数回再使用または再生することにより、材料費用を低減する効果を得ることもできる。分離された基礎基板101を再使用する前に基礎基板101の分離面を研磨したりエッチングした洗浄することもできる。
【0039】
このように、分離された窒化物半導体結晶層107は、窒化物半導体結晶基板として使用されLED、バイポーラトランジスタまたは電界効果トランジスタ等の窒化物半導体素子を製造するのに利用され得る。このような例が図9に図示されている。
【0040】
図9に示すように、上記分離された窒化物半導体結晶層107をLED素子製造用の窒化物半導体結晶基板として使用する。該結晶層107上にn型GaN系物質からなるn型クラッド層131、活性層132及びp型GaN系物質からなるp型クラッド層133を順次形成する。これによって、高品質結晶基板107上に形成された低欠陥高品質LED素子200が得られる。基板107が低欠陥の高品質の窒化物半導体結晶からなっているため、その上に成長されたクラッド層131、133及び活性層132も高品質の結晶状態を有することとなる。
【0041】
図10乃至図12は、他の実施形態による窒化物半導体素子(特に、LED素子)の製造方法を説明するための工程断面図である。該実施形態では、前述の実施形態とは異なり、先ず窒化物半導体結晶層107上にクラッド層と活性層を形成した後、基礎基板101を分離する。それ以外は前述の実施形態と同一である。
【0042】
図10のように、既に説明した図2乃至図7の如き工程段階を経て、窒化物半導体結晶層107を具備した半導体積層構造物(図1の符号100相当)を得る。その後、図11に図示された通り、窒化物半導体結晶層107上にn型GaN系クラッド層131、活性層132及びp型GaN系クラッド層133を順次形成する。これによって、基礎基板101上に形成されたLED素子部を製造する。その後、流通孔パターン105にエッチング剤を流通することにより、図12に図示された通り、窒化物半導体結晶層107を含んだLED素子部から基礎基板101を分離する。これによって、高品質の窒化物半導体素子(本実施形態ではLED素子)200’を得ることができる。
【0043】
本発明は上述の実施形態及び添付図面によって限定されず、添付の請求範囲によって限定されるものである。請求範囲に記載された本発明の技術的思想を外れない範囲内で多様な形態の置換、変形及び変更が可能ということは、当技術分野の通常の知識を有している者には自明である。例えば、上記半導体積層構造物100はLED素子だけでなく、窒化物半導体基盤のバイポーラトランジスタまたは電界効果トランジスタを製造するのにも利用されることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施形態による半導体積層構造物の断面図である。
【図2】図1の半導体積層構造物、窒化物半導体結晶基板及び窒化物半導体素子の製造方法を説明するための一実施形態製法の工程断面図である。
【図3】図1の半導体積層構造物、窒化物半導体結晶基板及び窒化物半導体素子の製造方法を説明するための一実施形態製法の工程断面図である。
【図4】図1の半導体積層構造物、窒化物半導体結晶基板及び窒化物半導体素子の製造方法を説明するための一実施形態製法の工程断面図である。
【図5】図1の半導体積層構造物、窒化物半導体結晶基板及び窒化物半導体素子の製造方法を説明するための一実施形態製法の工程断面図である。
【図6】図1の半導体積層構造物、窒化物半導体結晶基板及び窒化物半導体素子の製造方法を説明するための一実施形態製法の工程断面図である。
【図7】図1の半導体積層構造物、窒化物半導体結晶基板及び窒化物半導体素子の製造方法を説明するための一実施形態製法の工程断面図である。
【図8】図1の半導体積層構造物、窒化物半導体結晶基板及び窒化物半導体素子の製造方法を説明するための一実施形態製法の工程断面図である。
【図9】図1の半導体積層構造物、窒化物半導体結晶基板及び窒化物半導体素子の製造方法を説明するための一実施形態製法の工程断面図である。
【図10】本発明の他の実施形態製法による窒化物半導体素子の製造方法を説明するための工程断面図である。
【図11】本発明の他の実施形態製法による窒化物半導体素子の製造方法を説明するための工程断面図である。
【図12】本発明の他の実施形態製法による窒化物半導体素子の製造方法を説明するための工程断面図である。
【符号の説明】
【0045】
100 半導体積層構造物
101 基礎基板
103 成長防止膜
105 流通孔パターン
107 窒化物半導体結晶層
131 n型クラッド層
132 活性層
133 p型クラッド層
200 窒化物半導体LED素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒化物半導体結晶面である上面を有する基礎基板と、
前記基礎基板上で間隔を置いて水平方向に延長された流通孔パターンを囲う成長防止膜と、
前記流通孔パターンの間の領域で前記基礎基板の上面と接触するよう前記基礎基板上に形成され、前記成長防止膜を覆う窒化物半導体結晶層と、
を含むことを特徴とする半導体積層構造物。
【請求項2】
前記基礎基板は、窒化物半導体基板であることを特徴とする請求項1に記載の半導体積層構造物。
【請求項3】
前記基礎基板は、下層部として異種基板を含み上層部として窒化物半導体層を含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体積層構造物。
【請求項4】
前記成長防止膜は、SiO、SiN及びAlからなるグループから選択された物質からなることを特徴とする請求項1に記載の半導体積層構造物。
【請求項5】
前記成長防止膜は、高融点金属からなることを特徴とする請求項1に記載の半導体積層構造物。
【請求項6】
窒化物半導体結晶面である上面を有する基礎基板上に熱分解性物質パターンとその熱分解性物質パターンを囲う成長防止膜を形成する段階と、
前記熱分解性物質パターンの間の領域の成長防止膜を蝕刻して前記基礎基板の結晶面を露出させる段階と、
前記露出された結晶面から窒化物半導体結晶を成長させることにより、前記熱分解性物質を熱分解させ流通孔パターンを形成すると共に、前記成長防止膜を覆う窒化物半導体結晶層を形成する段階と、
前記流通孔パターンにエッチング剤を流通することにより、前記基礎基板から前記半導体結晶層を分離させる段階と、
を含むことを特徴とする窒化物半導体結晶基板の製造方法。
【請求項7】
前記熱分解性物質パターンと成長防止膜を形成する段階は、
前記基礎基板上に第1成長防止膜を形成する段階と、
前記第1成長防止膜上に相互間隔を置いて配置された熱分解性物質のパターンを形成する段階と、
前記熱分解性物質パターンを囲うよう前記結果物上に第2成長防止膜を形成する段階と、
を含むことを特徴とする請求項6に記載の窒化物半導体結晶基板の製造方法。
【請求項8】
前記熱分解性物質は、熱分解性酸化物であることを特徴とする請求項6に記載の窒化物半導体結晶基板の製造方法。
【請求項9】
前記熱分解性酸化物は、ZnO、MgO、CaO、CdO、FeO及びTiOからなるグループから選択された物質であることを特徴とする請求項8に記載の窒化物半導体結晶基板の製造方法。
【請求項10】
前記熱分解性物質は、熱分解性樹脂であることを特徴とする請求項6に記載の窒化物半導体結晶基板の製造方法。
【請求項11】
前記熱分解性樹脂は、分解温度が250乃至600℃のフォトレジスト系ポリマーであることを特徴とする請求項10に記載の窒化物半導体結晶基板の製造方法。
【請求項12】
前記熱分解性樹脂は、分解温度が250乃至600℃の熱硬化性樹脂であることを特徴とする請求項10に記載の窒化物半導体結晶基板の製造方法。
【請求項13】
前記成長防止膜は、SiO、SiN及びAlからなるグループから選択された物質からなることを特徴とする請求項6に記載の窒化物半導体結晶基板の製造方法。
【請求項14】
前記成長防止膜は、高融点金属からなることを特徴とする請求項6に記載の窒化物半導体結晶基板の製造方法。
【請求項15】
窒化物半導体結晶面である上面を有する基礎基板上に熱分解性物質パターンとその熱分解性物質パターンを囲う成長防止膜を形成する段階と、
前記熱分解性物質パターンの間の領域の成長防止膜を蝕刻して前記基礎基板の結晶面を露出させる段階と、
前記露出された結晶面から窒化物半導体結晶を成長させることにより、前記熱分解性物質を熱分解させ流通孔パターンを形成すると共に、前記成長防止膜を覆う窒化物半導体結晶層を形成する段階と、
を含むことを特徴とする窒化物半導体素子の製造方法。
【請求項16】
前記熱分解性物質パターンと成長防止膜を形成する段階は、
前記基礎基板上に第1成長防止膜を形成する段階と、
前記第1成長防止膜上に相互間隔を置いて配置された熱分解性物質のパターンを形成する段階と、
前記熱分解性物質パターンを囲うよう前記結果物上に第2成長防止膜を形成する段階と、を含むことを特徴とする請求項15に記載の窒化物半導体素子の製造方法。
【請求項17】
前記窒化物半導体結晶層形成後、前記流通孔パターンにエッチング剤を流通することにより、前記基礎基板から前記窒化物半導体結晶層を分離させる段階と、
前記分離された窒化物半導体結晶層上に第1導電型クラッド層、活性層及び第2導電型クラッド層を順次に形成する段階と、
をさらに含むことを特徴とする請求項15に記載の窒化物半導体素子の製造方法。
【請求項18】
前記窒化物半導体結晶層形成後、前記窒化物半導体結晶層上に第1導電型クラッド層、活性層及び第2導電型クラッド層を順次に形成する段階と、
前記第2導電型クラッド層形成後、前記流通孔パターンにエッチング剤を流通することにより前記基礎基板を分離させる段階と、
を含むことを特徴とする請求項15に記載の窒化物半導体素子の製造方法。
【請求項19】
前記熱分解性物質は、熱分解性酸化物であることを特徴とする請求項15に記載の窒化物半導体素子の製造方法。
【請求項20】
前記熱分解性酸化物は、ZnO、MgO、CaO、CdO、FeO及びTiOからなるグループから選択された物質であることを特徴とする請求項19に記載の窒化物半導体素子の製造方法。
【請求項21】
前記熱分解性物質は、熱分解性樹脂であることを特徴とする請求項15に記載の窒化物半導体素子の製造方法。
【請求項22】
前記熱分解性樹脂は、分解温度が250乃至600℃のフォトレジスト系ポリマーであることを特徴とする請求項21に記載の窒化物半導体素子の製造方法。
【請求項23】
前記熱分解性樹脂は、分解温度が250乃至600℃の熱硬化性樹脂であることを特徴とする請求項21に記載の窒化物半導体素子の製造方法。
【請求項24】
前記成長防止膜は、SiO、SiN及びAlからなるグループから選択された物質からなることを特徴とする請求項15に記載の窒化物半導体素子の製造方法。
【請求項25】
前記成長防止膜は、高融点金属からなることを特徴とする請求項15に記載の窒化物半導体素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−53385(P2007−53385A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−222864(P2006−222864)
【出願日】平成18年8月18日(2006.8.18)
【出願人】(591003770)三星電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】