説明

半導体装置、及び半導体装置の作製方法

【課題】配線抵抗に伴う電圧降下や信号遅延によるトランジスタへの信号の書き込み不良を防止した半導体装置を提供することを課題の一つとする。例えば、表示装置の画素に設けたトランジスタへの書き込み不良が引き起こす階調不良などを防止し、表示品質の高い表示装置を提供することを課題の一つとする。
【解決手段】配線抵抗が低い銅を含む配線に、バンドギャップが広く、且つキャリア濃度が低い高純度化された酸化物半導体を接続してトランジスタを作製すればよい。バンドギャップが広い酸化物半導体を用いて、トランジスタのオフ電流を低減するだけでなく、キャリア濃度が低い高純度化された酸化物半導体を用いて正のしきい値電圧を有し、所謂ノーマリーオフ特性のトランジスタとして、オフ電流とオン電流の比を大きくできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
半導体素子を用いた半導体装置、及び半導体装置の作製方法に関する。
【0002】
なお、本明細書中において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指し、トランジスタ等の半導体素子、半導体素子を用いた半導体回路、電気光学装置、および電子機器は全て半導体装置である。
【背景技術】
【0003】
近年、半導体材料として酸化物半導体を用いてトランジスタを作製し、該トランジスタを半導体回路、IC、電気光学装置、および電子機器等に応用する技術が注目されている。
【0004】
例えば、絶縁表面を有する基板上に酸化亜鉛、In−Ga−Zn−O系酸化物半導体等を含む半導体薄膜(厚さ数〜数百nm程度)を用いて薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistorともいう)を作製し、画像表示装置のスイッチング素子などに用いる技術が特許文献1及び特許文献2で開示されている。
【0005】
従来のトランジスタとしては、主にアモルファスシリコン、または多結晶シリコンなどを半導体材料に用いて作製される。アモルファスシリコンを用いたTFTは、電界効果移動度が低いもののガラス基板等の作製基板の大面積化に対応することが比較的容易であり、一方、多結晶シリコンを用いたTFTは、電界効果移動度が高いもののレーザアニールなどの結晶化工程が必要なため、ガラス基板等の作製基板の大面積化には必ずしも適応しないといった特性を有している。
【0006】
これに対し、酸化物半導体にチャネル形成領域(チャネル領域ともいう)を設けたTFTは、アモルファスシリコンを用いたTFTよりも高い電界効果移動度が得られている。また、酸化物半導体膜はスパッタリング法などによって膜形成が可能であり、多結晶シリコンを用いたTFTよりも製造工程が簡単であり、作製基板の大型化に対応し易い。
【0007】
このようにガラス基板やプラスチック基板などに高性能のトランジスタを形成できる酸化物半導体は、液晶ディスプレイ、エレクトロルミネセンスディスプレイ(ELディスプレイともいう)または電子ペーパーなどの表示装置への応用が期待されている。
【0008】
特に、液晶表示装置に代表されるアクティブマトリクス型半導体装置においては、画面サイズが対角60インチ以上と大型化する傾向にあり、さらには、対角120インチ以上の画面サイズも視野に入れた開発が行われている。加えて、画面の解像度も、ハイビジョン画質(HD、1366×768)、フルハイビジョン画質(FHD、1920×1080)と高精細化の傾向にあり、解像度が3840×2048または4096×2180といった、いわゆる4Kデジタルシネマ用表示装置の開発も急がれている。
【0009】
表示装置の大型化と高精細化に伴い必要とされる画素数が著しく増加している。その結果、一画素当たりの書き込み時間が短くなり、画素に配置されるトランジスタには動作特性の速さと大きなオン電流等が求められている。一方で近年のエネルギーの枯渇問題もあって、消費電力を抑制した表示装置が求められ、オフ電流が低く無駄な漏れ電流が抑制されたトランジスタが求められている。
【0010】
このように、オン電流とオフ電流の比が大きいトランジスタが望まれている。酸化物半導体を用いたトランジスタにおいても、オン電流とオフ電流の比を10程度に高めたトランジスタに関する技術が特許文献3に開示されている。
【0011】
また、画面サイズの大型化や高精細化は、表示部内の配線抵抗を増大させる傾向にある。配線抵抗の増大は、信号線の終端への信号伝達の遅れや、電源線の電圧降下などを引き起こし、結果として、表示ムラや階調不良などの表示品質の低下や、消費電力の増加を招いてしまう。
【0012】
その結果、配線抵抗の増大を抑えるために、銅(Cu)を使用して低抵抗の配線層を形成する技術が検討されている。(例えば、特許文献4及び特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2007−123861号公報
【特許文献2】特開2007−96055号公報
【特許文献3】特開2007―134496号公報
【特許文献4】特開2004―133422号公報
【特許文献5】特開2004―163901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
大型の表示装置のように遅延抵抗を問題とする半導体装置においては、配線抵抗の低減が望まれ、例えば銅配線を用いる方法が検討されている。しかしながら、作製基板の大面積化に対応し易く、高い電界効果移動度を有する酸化物半導体と、配線抵抗が低い銅配線を接続したトランジスタのオン電流とオフ電流の比が10程度にすぎず、充分でないという問題があった。
【0015】
また、長期間の使用に伴いトランジスタの内部に外部から不純物が侵入し、閾値などトランジスタ特性が変化してしまう問題があった。
【0016】
本発明の一態様は、配線抵抗に伴う電圧降下や信号遅延によって生じる、トランジスタへの信号の書き込み不良を防止した半導体装置を提供することを課題の一つとする。例えば、表示装置の画素に設けたトランジスタへの書き込み不良が引き起こす階調不良などを防止し、表示品質の高い表示装置を提供することを課題の一つとする。
【0017】
また、本発明の一態様は、半導体装置の高速動作を実現することを課題の一つとする。
【0018】
また、本発明の一態様は、半導体装置の省電力化を実現することを課題の一つとする。
【0019】
また、本発明の一態様は、安定して動作するトランジスタ及びそれを用いた半導体装置を提供することを課題の一つとする。
【0020】
また、本発明の一態様は、生産性に優れた半導体装置を実現することを課題の一つとする。
【0021】
また、本発明の一態様は、信頼性に優れた半導体装置を実現することを課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
配線抵抗が低い銅を含む配線に、バンドギャップが広く、且つキャリア濃度が低い高純度化された酸化物半導体を接続してトランジスタを作製すればよい。バンドギャップが広い酸化物半導体を用いて、トランジスタのオフ電流を低減するだけでなく、キャリア濃度が低い高純度化された酸化物半導体を用いることにより、正のしきい値電圧を有し、所謂ノーマリーオフ特性のトランジスタとして、オフ電流とオン電流の比を大きくすればよい。
【0023】
上記課題を解決するために、本発明はソース配線、及びゲート配線、並びにソース電極、及びドレイン電極に電気伝導率が高い銅を主成分として含む導電膜を用い、当該導電膜と高純度化されキャリア濃度が抑制された酸化物半導体層とを接続する。また、酸化物半導体を用いたトランジスタを絶縁膜で囲んで封止すればよい。
【0024】
すなわち、本発明の一態様は、基板上に窒化珪素を含む絶縁性の下地膜と、下地膜上に第1の導電層からなるゲート電極と、ゲート電極上に窒化珪素を含む第1の絶縁層と、第1の絶縁層上に高純度化された酸化物半導体層と、ゲート電極上に端部を重畳し、高純度化された酸化物半導体層に接する第2の導電層からなるソース電極及びドレイン電極を有し、第2の導電層と高純度化された酸化物半導体層上に窒化珪素を含む第2の絶縁層を有し、第1の導電層で形成されるゲート配線と、第2の導電層で形成されるソース配線を有し、第1の導電層、及び第2の導電層が銅を主成分とする導電層を含み、高純度化された酸化物半導体層のキャリア濃度が、1×1012cm−3未満である半導体装置である。
【0025】
また、本発明の一態様は、第2の導電層の銅を主成分とする導電層が、導電性の金属窒化物を介して高純度化された酸化物半導体層と接続する上記半導体装置である。
【0026】
また、本発明の一態様は、第1の導電層で形成されるゲート配線と、第2の導電層で形成されるソース配線が、高純度化された酸化物半導体層を間に挟んで交差する上記半導体装置である。
【0027】
また、本発明の一態様は、下地膜と第1の絶縁層が第1の導電層の周囲を囲んで接し、第1の絶縁層と第2の絶縁層が酸化物半導体層と第2の導電層の周囲を囲んで接する上記半導体装置である。また、第1の絶縁層と第2の絶縁層は同じ材料を含んでいても良い。
【0028】
また、本発明の一態様は、基板上に窒化珪素を含む絶縁性の下地膜を形成し、下地膜上に第1の導電層からなるゲート電極、及びゲート配線を形成し、第1の導電層上に窒化珪素を含む第1の絶縁層を形成し、第1の絶縁層上に酸化物半導体層を形成し、窒素中で酸化物半導体層を設けた基板の温度を350℃以上700℃以下に加熱した後、酸素を含む乾燥気体中で冷却し、ゲート電極上に端部を重畳し、酸化物半導体層に電気的に接続する第2の導電層からなるソース電極及びドレイン電極、並びに第1の絶縁層上にソース配線を形成し、第2の導電層と酸化物半導体層上に窒化珪素を含む第2の絶縁層を形成する半導体装置の作製方法である。
【0029】
また、本発明の一態様は、酸化物半導体層を設けた基板を窒素中で加熱し、該基板の温度を350℃以上700℃以下にした後に冷却し、該基板を、酸素を含む乾燥気体中で加熱し、基板の温度を350℃以上700℃以下にした後に冷却する上記半導体装置の作製方法である。
【0030】
また、本発明の一態様は、酸化物半導体層を設けた前記基板を窒素中で加熱し、該基板の温度を350℃以上700℃以下にし、該基板の温度を保ちつつ酸素を含む乾燥気体中で加熱し、酸素を含む乾燥気体中で冷却する上記半導体装置の作製方法である。
【0031】
なお、本明細書において、ゲートとは、ゲート電極及びゲート配線の一部または全部のことをいう。ゲート配線とは、少なくとも一つのトランジスタのゲート電極と、別の電極や別の配線とを電気的に接続させるための配線のことをいい、例えば表示装置における走査線もゲート配線に含まれる。
【0032】
またソースとは、ソース領域、ソース電極、及びソース配線の一部または全部のことをいう。ソース領域とは、半導体層のうち、抵抗率が一定値以下の領域のことをいう。ソース電極とは、ソース領域に接続される部分の導電層のことをいう。ソース配線とは、少なくとも一つのトランジスタのソース電極と、別の電極や別の配線とを電気的に接続させるための配線のことをいい、例えば表示装置における信号線がソース電極に電気的に接続される場合にはソース配線に信号線も含まれる。
【0033】
またドレインとは、ドレイン領域、ドレイン電極、及びドレイン配線の一部または全部のことをいう。ドレイン領域とは、半導体層のうち、抵抗率が一定値以下の領域のことをいう。ドレイン電極とは、ドレイン領域に接続される部分の導電層のことをいう。ドレイン配線とは、少なくとも一つのトランジスタのドレイン電極と、別の電極や別の配線とを電気的に接続させるための配線のことをいい、例えば表示装置における信号線がドレイン電極に電気的に接続される場合にはドレイン配線に信号線も含まれる。
【0034】
また、本書類(明細書、特許請求の範囲または図面)において、トランジスタのソースとドレインは、トランジスタの構造や動作条件などによって互いに入れ替わるため、いずれがソースまたはドレインであるかを限定することが困難である。そこで、本書類(明細書、特許請求の範囲または図面)においては、ソース及びドレインのいずれかから任意に選択した一方をソース及びドレインの一方と表記し、他方の端子をソース及びドレインの他方と表記する。
【0035】
なお、本明細書中において、窒化酸化珪素とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多いものであって、好ましくは、RBS及びHFSを用いて測定した場合に、組成範囲として酸素が5〜30原子%、窒素が20〜55原子%、珪素が25〜35原子%、水素が10〜30原子%の範囲で含まれるものをいう。
【0036】
なお、本明細書中において、発光装置とは画像表示デバイス、発光デバイス、もしくは光源(照明装置含む)を指す。また、発光装置にコネクター、例えばFPC(Flexible printed circuit)もしくはTAB(Tape Automated Bonding)テープもしくはTCP(Tape Carrier Package)が取り付けられたモジュール、TABテープやTCPの先にプリント配線板が設けられたモジュール、または発光素子が形成された基板にCOG(Chip On Glass)方式によりIC(集積回路)が直接実装されたモジュールも全て発光装置に含むものとする。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、オン電流とオフ電流の比が大きく、配線抵抗が低減された半導体装置を提供できる。
【0038】
また、長期間の使用に伴う外部から浸入する不純物によるトランジスタ特性の変化が生じ難い半導体装置を提供できる。
【0039】
また、配線抵抗による電圧降下の影響や画素への信号書き込み不良や階調不良などを防止し、より表示品質の良い表示装置を代表とする半導体装置を提供できる。
【0040】
また、高速に動作する半導体装置の提供できる。
【0041】
また、省電力化された半導体装置を提供できる。
【0042】
また、安定して動作するトランジスタ及びそれを用いた半導体装置を提供できる。
【0043】
また、生産性に優れた半導体装置を提供できる。
【0044】
また、信頼性に優れた半導体装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】実施の形態に係わる半導体装置を説明する図。
【図2】酸化物半導体を用いた逆スタガ型のトランジスタの縦断面図
【図3】図2のA−A’断面におけるエネルギーバンド図(模式図)
【図4】(A)ゲート(G1)に正の電位(+VG)が与えられた状態を示し、(B)ゲート(G1)に負の電位(−VG)が与えられた状態示す図
【図5】真空準位と金属の仕事関数(φM)、酸化物半導体の電子親和力(χ)の関係を示す図
【図6】シリコン(Si)において、ホットキャリア注入に要するエネルギーを示す図
【図7】In−Ga−Zn−O系の酸化物半導体(IGZO)において、ホットキャリア注入に要するエネルギーを示す図
【図8】炭化シリコン(4H−SiC)において、ホットキャリア注入に要するエネルギーを示す図
【図9】短チャネル効果に関するデバイスシミュレーションの結果を示す図
【図10】短チャネル効果に関するデバイスシミュレーションの結果を示す図
【図11】C−V特性を示す図
【図12】Vgと(1/C)との関係を示す図
【図13】実施の形態に係わる半導体装置の作製方法を説明する図。
【図14】実施の形態に係わる加熱過程を説明する図。
【図15】実施の形態に係わる半導体装置を説明する図。
【図16】実施の形態に係わるインバータ回路を説明する図。
【図17】表示装置のブロック図を説明する図。
【図18】信号線駆動回路の構成を説明する図及び動作を説明するタイミングチャート。
【図19】シフトレジスタの構成を示す回路図。
【図20】シフトレジスタの構成を説明する図及び動作を説明するタイミングチャート。
【図21】実施の形態に係わる半導体装置を説明する図。
【図22】実施の形態に係わる半導体装置を説明する図。
【図23】実施の形態に係わる半導体装置の画素等価回路を説明する図。
【図24】実施の形態に係わる半導体装置を説明する図。
【図25】実施の形態に係わる半導体装置を説明する図。
【図26】実施の形態に係わる半導体装置を説明する図。
【図27】電子ペーパーの使用形態の例を説明する図。
【図28】電子書籍の一例を示す外観図。
【図29】テレビジョン装置およびデジタルフォトフレームの例を示す外観図。
【図30】遊技機の例を示す外観図。
【図31】携帯電話機の一例を示す外観図。
【図32】実施の形態に係わる半導体装置を説明する図。
【図33】実施の形態に係わる半導体装置を説明する図。
【図34】実施の形態に係わる半導体装置を説明する図。
【図35】実施の形態に係わる半導体装置を説明する図。
【図36】実施の形態に係わる半導体装置を説明する図。
【図37】実施の形態に係わる半導体装置を説明する図。
【図38】実施の形態に係わる半導体装置を説明する図。
【図39】実施の形態に係わる半導体装置を説明する図。
【図40】実施の形態に係わる半導体装置を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0046】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0047】
(実施の形態1)
本実施の形態では、半導体装置の一形態として表示装置の回路付き基板の一形態を、図1を用いて説明する。
【0048】
表示装置に設ける画素の構成を図1に示す。図1(A)は、画素の平面構成を示す上面図であり、図1(B)は画素の積層構成を示す断面図である。なお、図1(A)におけるA1−A2、B1−B2、C1−C2の鎖線は、図1(B)における断面A1−A2、断面B1−B2、断面C1−C2にそれぞれ相当する。
【0049】
断面A1−A2は、画素部で用いられるトランジスタ151の積層構造を示している。トランジスタ151はボトムゲート構造の一態様である。
【0050】
また、断面B1−B2は画素部に形成される容量部の積層構造を示している。
【0051】
また、断面C1−C2はゲート配線とソース配線の交差部の積層構造を示している。
【0052】
トランジスタ151は、基板100上に下地膜101と、下地膜101上に第1の導電層で形成されるゲート電極111aを有し、ゲート電極111a上に第1の絶縁層102を有する。また、ゲート電極111a上の第1の絶縁層102に接してチャネル形成領域を含む酸化物半導体層113aを有する。また、第2の導電層で形成され、ゲート電極111a上に端部を重畳し、酸化物半導体層113aに接する第1の電極115aと第2の電極115bを有する。なお、第1の電極115aと第2の電極115bはトランジスタ151のソース電極またはドレイン電極として機能する。また、第1の電極115a、第2の電極115b、第1の絶縁層102、並びに酸化物半導体層113a上に第2の絶縁層107を有する。また、第2の絶縁層107上に第3の絶縁層108を有し、第3の絶縁層108上に第2の絶縁層107と第3の絶縁層108に形成したコンタクトホール128を介して、第2の電極115bと接続する第3の導電層で形成される第1の画素電極109を有する。
【0053】
なお、画素部に形成される容量部は、第1の導電層で形成される容量配線111bと第3の導電層で形成される第1の画素電極109の間に第1の絶縁層102、第2の絶縁層107、及び第3の絶縁層108を挟んだ構成を有する。
【0054】
また、ゲート配線とソース配線の交差部は、第1の導電層で形成されるゲート配線111cと第2の導電層で形成されるソース配線115cの間に第1の絶縁層102と酸化物半導体層113bを挟んだ構成としてもよい。酸化物半導体層113bを挟むことにより、配線間の距離を広げ、配線の交差部に生じる容量を低減できる。
【0055】
本実施の形態では第1の導電層に銅を用いる。また、第1の導電層として、銅を主成分として含む層を単層または、他の導電層と積層されたものを用いることができる。銅を主成分として含む第1の導電層は導電率が高く、配線抵抗を下げることができる。
【0056】
また、銅を主成分として含む層の一方または双方の面に接してCr、Ta、Ti、Mo、Wなどの高融点金属材料層、または該金属材料を成分とする合金材料を積層させた構成としても良い。また、Si、Ti、Ta、W、Mo、Cr、Nd、Sc、YなどAl膜に生ずるヒロックやウィスカーの発生を防止する元素が添加されているAl材料を用いることで耐熱性を向上させることが可能となる。なお、該導電層は少なくとも加熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有していることが好ましい。
【0057】
また、銅を主成分として含む層に重ねて、例えば窒化タンタル膜を形成し、銅の拡散を抑制するバリア膜を形成してもよい。
【0058】
また、銅を主成分として含む第1の導電層は波長400nmから450nm近傍の光を遮光する。銅を主成分として含む第1の導電層を用いて酸化物半導体層と重畳するゲート電極111aを形成することにより、基板100側から酸化物半導体層に波長400nmから450nm近傍の光が到達しないようにできる。酸化物半導体層は波長400nmから450nm近傍の光に感度を有するため、銅を主成分として含む第1の導電層で形成したゲート電極111aは、酸化物半導体層を用いたトランジスタの電気特性、又は酸化物半導体層を用いた半導体装置の動作が波長400nmから450nm近傍の光により不安定になる現象を防止できる。
【0059】
また、銅を主成分として含む第1の導電層は、下地膜101と第1の絶縁層102の間に形成される。
【0060】
なお、配線材料は表示装置が求められる性能に応じて適宜選択すればよい。例えば、ゲート配線に比べ高い伝達特性が要求されるソース配線を含む第2導電層のみをCuを含む配線としてもよい。
【0061】
本実施の形態では、下地膜101に窒化珪素(SiN(y>0))膜を用いる。窒化珪素層を用いることにより、銅を主成分として含む第1の導電層から銅が拡散する現象を防ぐことができる。また、基板100から不純物元素が半導体素子に拡散する現象を防止できる。
【0062】
また、下地膜101と第1の絶縁層102は少なくとも窒化珪素層を含み、他の絶縁層と積層してもよい。積層する他の絶縁層としては、例えば窒化酸化珪素層、酸化窒化珪素層、または酸化珪素層の他、アルミニウム、タンタル、イットリウム、またはハフニウムの酸化物、窒化物、酸化窒化物、又は窒化酸化物の一種又はそれらの化合物を少なくとも2種以上含む化合物層を用いることもできる。
【0063】
特に、窒化珪素層に、窒化珪素より高い誘電率を有する絶縁膜を組み合わせて用いると、ゲート絶縁膜としての特性が向上するため好ましい。
【0064】
なお、二つの窒化珪素膜の間に銅を主成分として含む第1の導電層を形成することにより、銅の拡散を抑制できる。
【0065】
なお、下地膜101と第1の絶縁層102はスパッタ法、CVD法または高密度プラズマCVD法で作製した絶縁膜が好ましい。
【0066】
本実施の形態では、キャリア濃度が1×1012cm−3未満に高純度化され、広いバンドギャップを有するIn−Ga−Zn−O酸化物半導体を酸化物半導体層に用いる。
【0067】
キャリア濃度が1×1012cm−3未満に高純度化された酸化物半導体層を用いて作製されるトランジスタは、閾値電圧が正の値となり、所謂ノーマリーオフ特性を有する。また、バンドギャップが広い酸化物半導体を用いて作製されるトランジスタは、オフ電流が小さい。このような特性の酸化物半導体を適用したトランジスタの電気特性については、本実施の形態の最後に詳しく説明する。
【0068】
また、酸化物半導体層に用いる酸化物半導体としては、四元系金属酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn−O系酸化物半導体や、三元系金属酸化物であるIn−Ga−Zn−O系酸化物半導体、In−Sn−Zn−O系酸化物半導体、In−Al−Zn−O系酸化物半導体、Sn−Ga−Zn−O系酸化物半導体、Al−Ga−Zn−O系酸化物半導体、Sn−Al−Zn−O系酸化物半導体や、二元系金属酸化物であるIn−Zn−O系酸化物半導体、Sn−Zn−O系酸化物半導体、Al−Zn−O系酸化物半導体、Zn−Mg−O系酸化物半導体、Sn−Mg−O系酸化物半導体、In−Mg−O系酸化物半導体、In−O系酸化物半導体、Sn−O系酸化物半導体、Zn−O系酸化物半導体などを用いることができる。また、上記酸化物半導体層に酸化珪素を含ませても良い。酸化物半導体層に結晶化を阻害する酸化珪素(SiOx(X>0))を含ませることで、製造プロセス中において酸化物半導体層の形成後に加熱処理した場合に、結晶化してしまうのを抑制することができる。
【0069】
また、酸化物半導体層としては、InMO(ZnO)(m>0)で表記される薄膜を用いることができる。ここで、Mは、Ga、Al、MnおよびCoから選ばれた一または複数の金属元素を示す。例えばMとして、Ga、Ga及びAl、Ga及びMn、またはGa及びCoなどがある。InMO(ZnO)(m>0)で表記される構造の酸化物半導体膜のうち、MとしてGaを含む構造の酸化物半導体を、上記したIn−Ga−Zn−O酸化物半導体とよび、その薄膜をIn−Ga−Zn−O非単結晶膜ともよぶこととする。
【0070】
また、酸化物半導体層には、RTA(Rapid Thermal Anneal:ラピッドサーマルアニール)法等で高温短時間の脱水または脱水素化処理をしたものを用いる。この加熱工程により、酸化物半導体層の表層部は粒子サイズが1nm以上20nm以下の所謂ナノクリスタル(ナノ結晶とも表記する)で構成された結晶領域を有するようになり、その他の部分は非晶質、または、非晶質領域中に微結晶が点在した非晶質と微結晶の混合物となる。なお、ナノ結晶の大きさは一例に過ぎず、発明が上記数値範囲に限定して解釈されるものではない。
【0071】
この様な構成をした酸化物半導体層を用いることにより、表層部はナノ結晶で構成された緻密な結晶領域が存在するため、表層部からの水分の再侵入や酸素の脱離によるN型化を防止できる。その結果、N型化が影響する電気特性の劣化、具体的にはオフ電流の上昇を防ぐことができる。
【0072】
なお、結晶領域は、結晶粒以外のものを含んでいても良い。また、結晶粒の結晶構造も上記に限定されず、他の結晶構造の結晶粒を含んでいても良い。例えば、In−Ga−Zn−O系の酸化物半導体材料を用いる場合には、InGaZnOの結晶粒に加え、InGaZnOの結晶粒などを含んでいても良い。
【0073】
本実施の形態では第2の導電層に銅を用いる。また、銅を主成分として含む層に重ねて、例えば窒化タンタル膜を形成し、銅の拡散を抑制するバリア膜を形成してもよい。
【0074】
なお、第2の導電層は、第1の導電層と同様に銅を主成分として含む層を少なくとも有し、単層または、他の導電層との積層であっても良い。銅を主成分として含む第2の導電層は導電率が高く、配線抵抗を下げることができる。
【0075】
第2の導電層が有する、銅を主成分として含む層が酸化物半導体層に接する構成においては、酸化物半導体層の高純度化に必要な加熱処理により、銅を主成分として含む層と酸化物半導体層の間に銅酸化物が生成する場合がある。銅を主成分として含む層と、酸化物半導体層の間に生じた銅酸化物は半導体であり、酸化物半導体層と第2の導電層の電気的な接続を妨げない。
【0076】
なお、銅を主成分として含む層が酸化物半導体層に接する構成において、銅が酸化物半導体層に拡散する場合がある。しかし、シリコン半導体とは異なり、酸化物半導体層の特性は銅などに代表される重原子の拡散に影響を受けにくい。
【0077】
銅を主成分として含む層と酸化物半導体層の間に別の導電層を設けて第2の導電層を構成してもよい。
【0078】
銅を主成分として含む層と酸化物半導体層の間に設ける別の導電層としては、酸素親和性の高い金属を含む材料が好ましい。酸素親和性の高い金属としては、チタン(Ti)、マンガン(Mn)、マグネシウム(Mg)、ジルコニウム、ベリリウム、トリウムなどが挙げられる。上記金属のいずれか一または複数から選択された金属を含む材料であることが好ましい。
【0079】
酸化物半導体層と酸素親和性の高い導電層を接して形成すると、界面付近のキャリア密度が増加し、低抵抗な領域が形成され、酸化物半導体と、導電層のコンタクト抵抗を低減できる。これは、酸素親和性の高い導電層が酸化物半導体層から酸素を引き抜くことにより、酸化物半導体層と導電層の界面に、酸化物半導体層中の金属が過剰な層(複合層とも呼ぶ。)または酸化された導電膜のいずれか、もしくはその両方が形成されることによる。
【0080】
例えば、In−Ga−Zn−O系の酸化物半導体層とチタン膜が接する構成においては、酸化物半導体層とチタン膜に接する界面付近に、インジウムが過剰な層と酸化チタン層が生成する場合がある。また、酸化物半導体層とチタン膜に接する界面付近に、インジウムが過剰な層または酸化チタン層のいずれかが生成する場合がある。In−Ga−Zn−O系の酸化物半導体層から酸素が欠損したインジウムが過剰な層は電気伝導度が高く、酸化物半導体層と導電層との接触抵抗の低減を図ることができる。
【0081】
なお、酸化物半導体層と接する導電膜としてチタン、もしくは導電性を有する酸化チタン膜を用いても良い。その場合、In−Ga−Zn−O系の酸化物半導体層と酸化チタン膜が接する構成においては、酸化物半導体層と酸化チタン膜に接する界面付近に、インジウムが過剰な層が生成する場合がある。
【0082】
また、銅を主成分として含む層と酸化物半導体層の間に設ける別の導電層としては、電気陰性度が低い金属を含む導電層が好ましい。電気陰性度が低い金属としては、チタン、マグネシウム、イットリウム、アルミニウム、タングステン、モリブデンなどが挙げられる。上記金属のいずれか一つまたは複数を含む材料であることが好ましい。
【0083】
銅を主成分として含む層と酸化物半導体層の間に電気陰性度が低い金属を含む導電層を設けて、酸化物半導体層から水分、水素などの不純物を脱離し、i型(真性半導体)又はi型に限りなく近い酸化物半導体とすることにより、上記不純物により閾値電圧がシフトするなどのトランジスタの特性の劣化が促進されるのを防ぎ、オフ電流を低減させることができる。
【0084】
電気陰性度の低い金属を含む導電層により吸い取られた水素、水などの不純物は、電気陰性度の低い金属と化合しやすい。導電層中において金属と化学結合を形成している不純物は、金属との結合が安定しており、一度、導電層中に吸い取られた後は、酸化物半導体層中に放出されにくい。
【0085】
よって、電気陰性度が低い金属を含む導電層に水素または水などの不純物が捕獲された状態が維持されており、電気陰性度が低い金属を含む導電層中の水素濃度が、酸化物半導体層中の水素濃度よりも高い。具体的には、第1の電極115aと第2の電極115b中の水素濃度が、酸化物半導体層中の水素濃度の1.2倍以上、好ましくは5倍以上となる。
【0086】
なお、導電層中の水素濃度は、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectroscopy)による測定値を用いる。
【0087】
ここで、酸化物半導体膜中及び導電膜中の、水素濃度の分析について触れておく。酸化物半導体膜中及び導電膜中の水素濃度測定は、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectroscopy)で行う。SIMS分析は、その原理上、試料表面近傍や、材質が異なる膜との積層界面近傍のデータを正確に得ることが困難であることが知られている。そこで、膜中における水素濃度の厚さ方向の分布を、SIMSで分析する場合、水素濃度は、対象となる膜の存在する範囲において、極端な変動が無く、ほぼ一定の強度が得られる領域における平均値を採用する。また、測定の対象となる膜の厚さが小さい場合、隣接する膜の影響を受けて、ほぼ一定の強度が得られる領域を見いだせない場合がある。この場合、当該膜の存在する領域における、最大値、最小値を、水素濃度として採用する。さらに、当該膜の存在する領域において、最大値のピーク、最小値のピークが存在しない場合、変曲点の値を水素濃度として採用する。
【0088】
なお、電気陰性度が低い上記金属のうち、チタン、モリブデン、タングステンは、酸化物半導体層との接触抵抗が低い。このため、酸化物半導体層との接触抵抗が低い第1の電極115aと第2の電極115bを形成することが可能となる。また、チタン、モリブデン、タングステンを酸化物半導体膜に接する導電層に用いることで、酸化物半導体膜中の不純物を低減することができる。
【0089】
また、銅を主成分として含む層と酸化物半導体層の間に設ける別の導電層としては、Al、Cr、Ta、Ti、Mo、Wなどの金属材料、または該金属材料を成分とする合金材料を用いることができる。
【0090】
また、導電性の金属酸化物を用いることができる。導電性の金属酸化物としては酸化インジウム(In)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム酸化スズ合金(In―SnO、ITOと略記する)、酸化インジウム酸化亜鉛合金(In―ZnO)または前記金属酸化物材料にシリコン若しくは酸化シリコンを含ませたものを用いることができる。
【0091】
また、上述した導電層は単層に限定されず、二層以上の積層を用いることができる。なお、該導電膜は少なくとも加熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有していることが好ましい。
【0092】
なお、銅を主成分として含む層の一方または双方にCr、Ta、Ti、Mo、Wなどの高融点金属層を積層させた構成としても良い。また、Si、Ti、Ta、W、Mo、Cr、Nd、Sc、YなどAl膜に生ずるヒロックやウィスカーの発生を防止する元素が添加されているAl材料を用いることで耐熱性を向上させることが可能となる。
【0093】
本実施の形態では、窒化珪素(SiN(y>0))層を第2の絶縁層107とする。
【0094】
第2の絶縁層107は水分や、水素イオンや、OHなどの不純物を含まず、これらが外部から侵入することを防ぐ無機絶縁層である。窒化珪素膜を用いることにより、銅を主成分として含む第1の導電層や第2の導電層から銅が拡散する現象を防ぐことができる。
【0095】
本実施の形態では、第1の絶縁層102と第2の絶縁層107は共に窒化珪素を用いて形成されている。また、第1の絶縁層102と第2の絶縁層107が接する構成を有している。このように、同種の無機絶縁層が互いに接してトランジスタ151の周囲を囲む構造とすることで、トランジスタの封止状態がより良好な状態にできる。また、同種の無機絶縁膜同士を接する構造とする場合、上述の無機絶縁膜を用いることができるが、特に窒化シリコン膜は不純物のバリア性に優れているため好ましい。
【0096】
また、第2の絶縁層107は少なくとも窒化珪素層を含み、他の絶縁層と積層してもよい。積層する他の絶縁層としては、酸化物絶縁層、酸化窒化物絶縁層、窒化物絶縁層、窒化酸化物絶縁層などの無機絶縁層を用いることができる。例えば、窒化酸化珪素層、酸化窒化珪素層、酸化珪素層などを積層してもよい。
【0097】
また、酸化物半導体層に接して酸化物絶縁膜を設け、当該酸化物絶縁膜に窒化珪素(SiN(y>0))層を積層すると、酸化物半導体層における酸素の欠損を低減できる。具体的には、酸化物半導体層と接する側の第2の絶縁層107に酸化珪素層(SiO(x>0))を形成し、該酸化珪素層上に窒化珪素層を積層してもよい。また、銅を主成分として含む第2の導電層を窒化珪素層で覆うことで、銅の拡散を抑制できる。
【0098】
なお、酸化物半導体層が水分や、水素イオンや、OHなどの不純物に汚染されないように、第2の絶縁層107はスパッタ法で形成した膜が好ましい。
【0099】
第3の絶縁層108を設けることができる。第3の絶縁層108は単層膜又は積層膜で形成し、下層に形成されたトランジスタ等の構造体による凹凸を平滑化して、平坦な表面を形成する。第3の絶縁層108としては、例えばポリイミド、アクリル樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、ポリアミド、エポキシ樹脂等の、耐熱性を有する有機材料を用いることができる。また上記有機材料の他に、低誘電率材料(low−k材料)、シロキサン系樹脂、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)等を用いることができる。なお、これらの材料で形成される絶縁膜を複数積層させることで、第3の絶縁層108を形成してもよい。
【0100】
第1の画素電極109をトランジスタと電気的に接続し、表示装置の画素に用いることができる。第1の画素電極109は、表示素子の電極として働き、可視光に対する透光性を有する導電膜を用いて形成する。
【0101】
透光性を有する導電膜としては、インジウム錫酸化物(以下、ITOと示す。)、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの透光性を有する導電性材料を用いることができる。
【0102】
以下にキャリア濃度が1×1012cm−3未満に高純度化され、広いバンドギャップを有する酸化物半導体を酸化物半導体層に適用する意義について説明する。
【0103】
<酸化物半導体の真性化>
酸化物半導体において、DOS(density of states)等の物性研究は多くなされているが、これらの研究は、局在準位そのものを十分に減らすという思想を含まない。開示する発明の一態様では、エネルギーギャップ中のDOSの原因たり得る水や水素を酸化物半導体中より除去することで、高純度化し、真性化(I型化)した酸化物半導体を作製する。これは、局在準位そのものを十分に減らすという思想に立脚するものである。そして、これによって極めて優れた工業製品の製造を可能とするものである。
【0104】
なお、水素や水などを除去する際には、同時に酸素が除去されてしまうことがある。このため、酸素欠乏により発生する金属の未結合手に対して酸素を供給し、酸素欠陥による局在準位を減少させることにより、酸化物半導体をさらに高純度化、真性化(i型化)するのは好適である。たとえば、チャネル形成領域に密接して酸素過剰の酸化膜を形成し、200℃〜400℃、代表的には250℃程度の温度条件での熱処理を行うことで、当該酸化膜から酸素を供給して、酸素欠陥による局在準位を低減させることが可能である。
【0105】
酸化物半導体の特性を悪化させる要因は、過剰な水素による伝導帯下0.1eV〜0.2eVの準位や、酸素欠損による深い準位、などに起因するものと考えられる。これらの欠陥をなくすために、水素を徹底的に除去し、酸素を十分に供給する。
【0106】
なお、酸化物半導体は一般にn型とされているが、開示する発明の一態様では、水や水素などの不純物を除去すると共に、酸化物半導体の構成元素である酸素を供給することでi型化を実現する。この点、シリコンなどのように不純物元素を添加してのi型化ではなく、従来にない技術思想を含むものといえる。
【0107】
<酸化物半導体を用いたトランジスタの電導機構>
酸化物半導体を用いたトランジスタは、幾つかの特徴を有する。ここで、その電導機構について、図2乃至図5を用いて説明する。なお、以下の説明では、理解の容易のため理想的な状況を仮定しており、そのすべてが現実の様子を反映しているとは限らない。また、以下の説明はあくまでも一考察に過ぎず、発明の有効性に影響を与えるものではないことを付記する。
【0108】
図2は、酸化物半導体を用いた逆スタガ型のトランジスタの断面図である。ゲート電極(GE1)上にゲート絶縁層(GI)を介して酸化物半導体層(OS)が設けられ、その上にソース電極(S)およびドレイン電極(D)が設けられている。さらに、その上に絶縁層を介してバックゲート(GE2)が設けられている。
【0109】
図3には、図2に示すA−A’断面におけるエネルギーバンド図(模式図)を示す。図3(A)はソースとドレインの間の電位差をゼロ(等電位、V=V=0V)とした場合を示しており、図3(B)はソースに対しドレインの電位を高くした場合(V>V)を示している。
【0110】
図4には、図2におけるB−B’の断面におけるエネルギーバンド図(模式図)を示す。図4(A)は、ゲート電極(GE1)に正の電圧(V>0)が与えられた状態であり、ソースとドレインとの間にキャリア(電子)が流れるオン状態を示している。また、図4(B)は、ゲート電極(GE1)に負の電圧(V<0)が印加された状態であり、オフ状態(少数キャリアは流れない状態)である場合を示す。
【0111】
図5は、真空準位と金属の仕事関数(φ)、酸化物半導体の電子親和力(χ)の関係を示す。
【0112】
常温において金属中の電子は縮退しており、フェルミ準位は伝導帯内に位置する。一方、従来の酸化物半導体はn型であり、そのフェルミ準位(E)は、バンドギャップ中央に位置する真性フェルミ準位(E)から離れて、伝導帯寄りに位置している。なお、酸化物半導体において水素の一部はドナーとなりn型化する要因の一つであることが知られている。
【0113】
これに対して開示する発明の一態様に係る酸化物半導体は、n型化の要因である水素を酸化物半導体から除去し、酸化物半導体の主成分以外の元素(不純物元素)が極力含まれないように高純度化することにより真性(i型)とし、または真性化しようとしたものである。すなわち、不純物元素を添加してi型化するのでなく、水素や水等の不純物を極力除去することにより、高純度化されたi型(真性半導体)またはそれに近づけることを特徴としている。これにより、フェルミ準位(E)は真性フェルミ準位(E)と同程度とすることができる。
【0114】
酸化物半導体のバンドギャップ(E)は3.15eVで、電子親和力(χ)は4.3Vと言われている。ソース電極およびドレイン電極を構成する銅(Cu)の仕事関数は4.6eVであり、酸化物半導体の電子親和力(χ)より若干低く、チタン(Ti)の仕事関数は、酸化物半導体の電子親和力(χ)とほぼ等しい。この場合、金属−酸化物半導体界面において、電子に対して大きなショットキー型の障壁は形成されない。
【0115】
金属の仕事関数(φM)と酸化物半導体の電子親和力(χ)がほぼ等しい場合、両者が接触すると図3(A)で示すようなエネルギーバンド図(模式図)が示される。
【0116】
図3(B)において黒丸(●)は電子を示し、ドレインに正の電圧(V>0)を印加した上で、ゲートに電圧を印加しない場合(V=0)を破線で示し、ゲートに正の電圧(V>0)を印加した場合を実線で示す。ゲートに正の電圧(V>0)を印加した場合、ドレインに正の電位が与えられると、電子はバリア(h)をこえて酸化物半導体に注入され、ドレインに向かって流れる。バリアの高さ(h)は、ゲート電圧とドレイン電圧に依存して変化するが、ゲートに正の電圧(V>0)を印加し正のドレイン電圧が印加される場合には、電圧印加のない図3(A)のバリアの高さ(h)、すなわちバンドギャップ(E)の1/2、よりもバリアの高さ(h)は低くなる。ゲートに電圧を印加しない場合は、高いポテンシャル障壁のために、電極から酸化物半導体側へキャリア(電子)が注入されず、電流を流さないオフ状態を示す。一方、ゲートに正の電圧を印加すると、ポテンシャル障壁が低下し、電流を流すオン状態を示す。
【0117】
このとき酸化物半導体に注入された電子は、図4(A)で示すように、ゲート絶縁層と高純度化された酸化物半導体との界面付近(酸化物半導体のエネルギー的に安定な最低部)を移動する。
【0118】
また、図4(B)に示すように、ゲート電極(GE1)に負の電位(逆バイアス)が与えられると、少数キャリアであるホールは実質的にゼロであるため、電流は限りなくゼロに近い値となる。
【0119】
このように酸化物半導体の主成分以外の元素(不純物元素)が極力含まれないように高純度化することにより、真性(i型)とし、または実質的に真性となるため、ゲート絶縁層との界面特性が顕在化する。そのため、ゲート絶縁層には、酸化物半導体と良好な界面を形成できるものが要求される。具体的には、例えば、VHF帯〜マイクロ波帯の電源周波数で生成される高密度プラズマを用いたCVD法で作製される絶縁層や、スパッタリング法で作製される絶縁層などを用いることが好ましい。
【0120】
酸化物半導体を高純度化しつつ、酸化物半導体とゲート絶縁層との界面を良好なものとすることにより、例えば、トランジスタのチャネル幅(W)が1×10μm、チャネル長(L)が3μmの場合には、常温において10−13A以下のオフ電流、0.1V/dec.のサブスレッショルドスイング値(S値)(ゲート絶縁層の厚さ:100nm)が実現され得る。
【0121】
このように、酸化物半導体の主成分以外の元素(不純物元素)が極力含まれないように高純度化することにより、トランジスタの動作を良好なものとすることができる。
【0122】
<酸化物半導体を用いたトランジスタのホットキャリア劣化耐性>
次に、酸化物半導体を用いたトランジスタのホットキャリア劣化耐性につき、図6乃至図8を用いて説明する。なお、以下の説明では、理解の容易のため理想的な状況を仮定しており、そのすべてが現実の様子を反映しているとは限らない。また、以下の説明はあくまでも一考察に過ぎないことを付記する。
【0123】
ホットキャリア劣化の主要因としては、チャネルホットエレクトロン注入(CHE注入)とドレインアバランシェホットキャリア注入(DAHC注入)がある。なお、以下では簡単のため、電子のみを考慮する。
【0124】
CHE注入とは、半導体層中においてゲート絶縁層の障壁以上のエネルギーを有するようになった電子が、ゲート絶縁層などに注入される現象をいう。電子へのエネルギーの授与は、電子が低電界で加速されることによって行われる。
【0125】
DAHC注入とは、高電界により加速された電子の衝突によってエネルギーを受け取った電子がゲート絶縁層などに注入される現象を言う。DAHC注入とCHE注入との相違は、衝突イオン化によるアバランシェ降伏を伴うか否かにある。なお、DAHC注入では、半導体のバンドギャップ以上の運動エネルギーを持つ電子が必要となる。
【0126】
図6に、シリコン(Si)のバンド構造から見積もった各種ホットキャリア注入に要するエネルギーを示し、図7に、In−Ga−Zn−O系の酸化物半導体(IGZO)のバンド構造から見積もった各種ホットキャリア注入に要するエネルギーを示す。図6(A)および図7(A)はCHE注入を表し、図6(B)および図7(B)は、DAHC注入を表す。
【0127】
シリコンでは、CHE注入よりもDAHC注入による劣化が深刻となる。これは、シリコン中において衝突せずに加速されるキャリア(例えば電子)はごく僅かであるのに対して、シリコンはバンドギャップが小さく、アバランシェ降伏が生じやすいことに起因している。アバランシェ降伏によりゲート絶縁層の障壁を越えられる電子の数は増加し、CHE注入の確率を容易に上回るのである。
【0128】
In−Ga−Zn−O系の酸化物半導体では、CHE注入に必要なエネルギーはシリコンの場合と大きく異ならず、やはりその確率は低いものである。また、DAHC注入に必要なエネルギーは、バンドギャップの広さからCHE注入に必要なエネルギーと同程度となる。
【0129】
つまり、CHE注入とDAHC注入の確率はいずれも低く、シリコンと比較してホットキャリア劣化の耐性は高い。
【0130】
ところで、In−Ga−Zn−O系の酸化物半導体のバンドギャップは高耐圧材料として注目される炭化シリコン(SiC)と同程度である。図8に、4H−SiCについての各種ホットキャリア注入に必要なエネルギーを示す。また、図8(A)はCHE注入を表し、図8(B)はDAHC注入を表す。CHE注入に関しては、In−Ga−Zn−O系の酸化物半導体の方が若干そのしきいが高く、有利といえる。
【0131】
以上、In−Ga−Zn−O系の酸化物半導体はシリコンと比較してホットキャリア劣化への耐性やソース−ドレイン破壊への耐性が非常に高いということが分かる。また、炭化シリコンと比較しても遜色のない耐圧が得られるといえる。
【0132】
<酸化物半導体を用いたトランジスタにおける短チャネル効果>
次に、酸化物半導体を用いたトランジスタにおける短チャネル効果に関し、図9、及び図10を用いて説明する。なお、以下の説明では、理解の容易のため理想的な状況を仮定しており、そのすべてが現実の様子を反映しているとは限らない。また、以下の説明はあくまでも一考察に過ぎないことを付記する。
【0133】
短チャネル効果とは、トランジスタの微細化(チャネル長(L)の縮小)に伴って顕在化する電気特性の劣化をいう。短チャネル効果は、ドレインの効果がソースにまでおよぶことに起因するものである。短チャネル効果の具体例としては、しきい値電圧の低下、S値の増大、漏れ電流の増大などがある。
【0134】
ここでは、計算結果(デバイスシミュレーション)を用い、短チャネル効果を抑制することができる構造に関して検証した。具体的には、キャリア濃度および酸化物半導体層の厚さを異ならせた4種類のモデルを用意して、チャネル長(L)としきい値電圧(Vth)の関係を検討した。モデルとしては、ボトムゲート構造のトランジスタを採用し、酸化物半導体のキャリア濃度を1.7×10−8/cm、または1.0×1015/cmのいずれかとし、酸化物半導体層の厚さを1μm、または30nmのいずれかとした。なお、酸化物半導体としてIn−Ga−Zn−O系の酸化物半導体を、ゲート絶縁層として100nmの厚さの酸化窒化珪素膜を採用した。酸化物半導体のバンドギャップを3.15eV、電子親和力を4.3eV、比誘電率を15、電子移動度を10cm/Vsと仮定した。酸化窒化珪素膜の比誘電率を4.0と仮定した。計算にはシルバコ社製デバイスシミュレーションソフト「Atlas」を使用した。
【0135】
なお、トップゲート構造とボトムゲート構造では、計算結果に大きな相違は無かった。
【0136】
計算結果を図9および図10に示す。図9は、キャリア濃度が1.7×10−8/cmの場合、図10は、キャリア濃度が1.0×1015/cmの場合である。図9および図10には、チャネル長(L)が10μmのトランジスタを基準とし、チャネル長(L)を10μmから1μmまで変化させたときのしきい値電圧(Vth)の変化量(ΔVth)を示している。図9に示すとおり、酸化物半導体のキャリア濃度が1.7×10−8/cmであり、酸化物半導体層の厚さが1μmの場合は、しきい値電圧の変化量(ΔVth)はΔVth=−3.6Vであった。また、図9同図に示すとおり、酸化物半導体のキャリア濃度が1.7×10−8/cmであり、酸化物半導体層の厚さが30nmの場合は、しきい値電圧の変化量(ΔVth)はΔVth=−0.2Vであった。また、図10に示すとおり、酸化物半導体のキャリア濃度が1.0×1015/cmであり、酸化物半導体層の厚さが1μmの場合は、しきい値電圧の変化量(ΔVth)はΔVth=−3.6Vであった。また、図10同図に示すとおり、酸化物半導体のキャリア濃度が1.0×1015/cmであり、酸化物半導体層の厚さが30nmの場合は、しきい値電圧の変化量(ΔVth)はΔVth=−0.2Vであった。当該結果は、酸化物半導体を用いたトランジスタにおいて、酸化物半導体層の厚さを薄くすることで、短チャネル効果を抑制できることを示すものといえる。例えば、チャネル長が1μm程度の場合、キャリア濃度が十分に大きい酸化物半導体層であっても、その厚さを30nm程度とすれば、短チャネル効果を十分に抑制できることが理解される。
【0137】
<キャリア濃度について>
開示する発明に係る技術思想は、酸化物半導体層におけるキャリア濃度を十分に小さくし、できるだけ真性(i型)に近づけようとするものである。以下、キャリア濃度の求め方、および、実際に測定したキャリア濃度に関し、図11および図12を参照して説明する。
【0138】
まず、キャリア濃度の求め方について簡単に説明する。キャリア濃度は、MOSキャパシタを作製し、MOSキャパシタのCV測定(Capacitance−Voltage measurement)の結果(CV特性)を評価することで求めることが可能である。
【0139】
より具体的には、MOSキャパシタのゲート電圧Vgと容量Cとの関係をプロットしたC−V特性を取得し、当該C−V特性からゲート電圧Vgと(1/C)との関係を表すグラフを取得し、当該グラフにおいて弱反転領域での(1/C)の微分値を求め、当該微分値を式(1)に代入することによりキャリア濃度Nの大きさが求められる。なお、式(1)において、eは電気素量、εは真空の誘電率、εは酸化物半導体の比誘電率である。
【0140】
【数1】

【0141】
次に、上記の方法を用いて実際に測定したキャリア濃度について説明する。測定には、ガラス基板上にチタン膜を300nmの厚さで形成し、チタン膜上に窒化チタン膜を100nmの厚さで形成し、窒化チタン膜上に、In−Ga−Zn−O系の酸化物半導体を用いた酸化物半導体層を2μmの厚さで形成し、酸化物半導体層上に酸窒化珪素膜を300nmの厚さで形成し、酸窒化珪素膜上に銀膜を300nmの厚さで形成した試料(MOSキャパシタ)を用いた。なお、酸化物半導体層は、In、Ga、およびZnを含む金属酸化物ターゲット(In:Ga:Zn=1:1:0.5[atom%])を用いたスパッタリング法により形成した。また、酸化物半導体層の形成雰囲気は、アルゴンと酸素の混合雰囲気(流量比は、Ar:O=30(sccm):15(sccm))とした。
【0142】
図11にはC−V特性を、図12にはVgと(1/C)との関係を、それぞれ示す。図12の弱反転領域における(1/C)の微分値から式(1)を用いて得られたキャリア濃度は、6.0×1010/cmであった。
【0143】
このように、i型化または実質的にi型化された酸化物半導体(例えば、キャリア濃度が1×1012/cm未満、望ましくは、1×1011/cm以下、さらに望ましくは1.4×1010/cm以下)を用いることで、極めて優れたオフ電流特性のトランジスタを得ることが可能である。
【0144】
本実施の形態では、第1の導電層、及び第2の導電層に銅を主成分として含む導電層を用いことにより、配線抵抗が低減された半導体装置を提供できる。本実施の形態で説明した半導体装置を大画面の表示装置、高精細な表示装置に適用すれば、信号線の終端への信号伝達の遅れや、電源線の電圧降下などが起こりにくくなり、表示ムラや階調不良などの表示品質が向上した表示装置を提供できる。
【0145】
また、キャリア濃度が1×1012cm−3未満に高純度化された酸化物半導体層を用いることにより、正のしきい値電圧を有し、所謂ノーマリーオフ特性のスイッチング素子を実現できる。
【0146】
また、2eVを越える広いバンドギャップを有する酸化物半導体をトランジスタに適用することにより、オフ電流を低減できる。例えば3.15eVのバンドギャップを有するIn−Ga−Zn−O酸化物半導体を用いて、チャネル長10μmのMOSFETの逆方向バイアスでのリーク電流は、1×10−16A/μm(チャネル幅1μmあたり)以下となる。また、オン電流とオフ電流の比は1010以上の充分大きな値となる。
【0147】
その結果、オフ状態で電力を消費せず、漏れ電流も抑制された省電力化された半導体装置を提供できる。また、オン電流とオフ電流の比が大きい半導体装置を提供できる。また、コントラストが優れ、表示品位が高い表示装置を提供できる。
【0148】
また、高純度化された酸化物半導体層を用いることにより、電界効果移動度が高く、高速に動作する半導体装置の提供できる。
【0149】
また、銅を主成分として含む配線を窒化膜で封止する構成を有するため、銅の拡散が抑制され、信頼性に優れた半導体装置を提供できる。
【0150】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0151】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本実施の形態1で説明した半導体装置の作製工程について、図13を用いて説明する。なお、図13における断面A1−A2、断面B1−B2、及び断面C1−C2は、図1(A)におけるA1−A2、B1−B2、及びC1−C2の鎖線で示した部位の断面図である。
【0152】
まず、基板100上に窒化珪素を含む下地膜101を50nm以上300nm以下、好ましくは100nm以上200nm以下の厚さで形成する。基板100は、ガラス基板、セラミック基板の他、本作製工程の処理温度に耐えうる程度の耐熱性を有するプラスチック基板等を用いることができる。また、基板に透光性を要しない場合には、ステンレス合金等の金属の基板の表面に絶縁膜を設けたものを用いてもよい。ガラス基板としては、例えば、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス若しくはアルミノケイ酸ガラス等の無アルカリガラス基板を用いるとよい。他に、石英基板、サファイア基板などを用いることができる。また、基板100として、第3世代(550mm×650mm)、第3.5世代(600mm×720mm、または620mm×750mm)、第4世代(680mm×880mm、または730mm×920mm)、第5世代(1100mm×1300mm)、第6世代(1500mm×1850mm)、第7世代(1870mm×2200mm)、第8世代(2200mm×2400mm)、第9世代(2400mm×2800mm、2450mm×3050mm)、第10世代(2950mm×3400mm)等のガラス基板を用いることができる。
【0153】
本実施の形態では、基板100にアルミノホウケイ酸ガラスを用いる。
【0154】
下地膜101は、窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜を、単層若しくは積層して形成することができる。下地膜101は、スパッタリング法、CVD法、塗布法、印刷法等を適宜用いることができる。なお、膜中にリン(P)や硼素(B)がドープされていても良い。
【0155】
本実施の形態では、下地膜101にPCVD法で成膜した100nmの厚さの窒化珪素を用いる。
【0156】
次いで、ゲート電極111a、保持容量配線111b、及びゲート配線111cを形成する。まず、下地膜101上に、スパッタリング法、真空蒸着法、またはメッキ法を用いて100nm以上500nm以下、好ましくは200nm以上300nm以下の厚さでCuを含む第1の導電層を形成する。該導電層上にフォトリソグラフィ法またはインクジェット法等によりマスクを形成し、該マスクを用いて第1の導電層をエッチングしてゲート電極111a、保持容量配線111b、及びゲート配線111cを形成する。下地膜101と第1の導電層の密着性を改善するため、下地膜101に接する第1の導電層に、W、Ta、Mo、Ti、Crなどを用いた金属層、もしくはこれらを組み合わせた合金層、もしくはこれらの窒化物や酸化物を形成しても良い。
【0157】
なお、レジストマスクをインクジェット法で形成するとフォトマスクを使用しないため、製造コストを低減できる。また、銅等の導電性ナノペーストをインクジェット法により基板上に吐出し、焼成することで安価にゲート電極111a、保持容量配線111b、及びゲート配線111cを形成できる。
【0158】
本実施の形態では、下地膜101上に厚さ250nmのCu膜を形成し、第1のフォトリソグラフィ工程で形成したレジストマスクを用いてCu膜を選択的にエッチングし、ゲート電極111a、保持容量配線111b、及びゲート配線111cを形成する。
【0159】
次いで、第1の絶縁層102を形成する。第1の絶縁層102は、ゲート絶縁層として機能し、第1の導電層と下地膜101上に50nm以上800nm以下、好ましくは100nm以上600nm以下の厚さで形成する。
【0160】
本実施の形態では、スパッタリング法により第1の導電層と下地膜101上に窒化珪素層(SiN(y>0))を成膜し、膜厚100nmの第1の絶縁層102を形成する。
【0161】
なお、不純物を除去することによりi型化又は実質的にi型化された酸化物半導体(高純度化された酸化物半導体)は界面準位、界面電荷に対して極めて敏感であるため、絶縁膜との界面は重要である。そのため高純度化された酸化物半導体に接する絶縁膜は、高品質化が要求される。
【0162】
例えば、μ波(2.45GHz)を用いた高密度プラズマCVDは、緻密で絶縁耐圧の高い高品質な絶縁膜を形成できるので好ましい。高純度化された酸化物半導体と高品質ゲート絶縁膜とが密接することにより、界面準位を低減して界面特性を良好なものとすることができるからである。
【0163】
また、高密度プラズマCVD装置により得られた絶縁膜は、一定した厚さの膜形成ができるため段差被覆性に優れている。また、高密度プラズマCVD装置により得られる絶縁膜は、薄い膜の厚みを精密に制御することができる。なお、本明細書において、高密度プラズマCVD装置は1×1011/cm以上のプラズマ密度を達成できる装置を指す。
【0164】
もちろん、ゲート絶縁膜として良質な絶縁膜を形成できるものであれば、スパッタリング法やプラズマCVD法など他の成膜方法を適用することができる。また、成膜後の熱処理によってゲート絶縁膜の膜質、酸化物半導体との界面特性が改質される絶縁膜であっても良い。いずれにしても、ゲート絶縁膜としての膜質が良好であることは勿論のこと、酸化物半導体との界面準位密度を低減し、良好な界面を形成できるものであれば良い。
【0165】
次いで、酸化物半導体膜103を形成する。酸化物半導体膜103の膜厚は、第1の絶縁層102上に、5nm以上200nm以下、好ましくは10nm以上20nm以下とする(図13(A)参照)。
【0166】
本実施の形態では、酸化物半導体膜として、In−Ga−Zn−O系酸化物半導体ターゲットを用いてスパッタ法により膜厚15nmのIn−Ga−Zn−O系非単結晶膜を成膜する。
【0167】
なお、酸化物半導体膜103を成膜する前に、アルゴンガスを導入してプラズマを発生させる逆スパッタを行い、第1の絶縁層102の表面に付着しているゴミを除去することが好ましい。逆スパッタとは、アルゴン雰囲気下で基板にRF電源を用いて電圧を印加してプラズマを形成して表面を改質する方法である。なお、アルゴン雰囲気に代えて窒素、ヘリウムなどを用いてもよい。また、アルゴン雰囲気に酸素、NOなどを加えた雰囲気で行ってもよい。また、アルゴン雰囲気にCl、CFなどを加えた雰囲気で行ってもよい。逆スパッタ処理後、大気に曝すことなく酸化物半導体膜を成膜することによって、第1の絶縁層102と酸化物半導体膜103の界面にゴミや水分が付着するのを防ぐことができる。
【0168】
酸化物半導体膜は、実施の形態1に挙げた四元系金属酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn−O系酸化物半導体や、三元系金属酸化物であるIn−Ga−Zn−O系酸化物半導体、In−Sn−Zn−O系酸化物半導体、In−Al−Zn−O系酸化物半導体、Sn−Ga−Zn−O系酸化物半導体、Al−Ga−Zn−O系酸化物半導体、Sn−Al−Zn−O系酸化物半導体や、二元系金属酸化物であるIn−Zn−O系酸化物半導体、Sn−Zn−O系酸化物半導体、Al−Zn−O系酸化物半導体、Zn−Mg−O系酸化物半導体、Sn−Mg−O系酸化物半導体、In−Mg−O系酸化物半導体や、In−O系酸化物半導体、Sn−O系酸化物半導体、Zn−O系酸化物半導体などを用いることができる。また、上記酸化物半導体膜に酸化珪素を含ませてもよい。また、酸化物半導体膜は、先に挙げたInMO(ZnO)(m>0)で表記される薄膜を用いることができる。
【0169】
また、酸化物半導体膜は、希ガス(代表的にはアルゴン)雰囲気下、酸素雰囲気下、又は希ガス(代表的にはアルゴン)及び酸素雰囲気下においてスパッタ法により形成することができる。また、スパッタ法を用いる場合、SiOを2重量%以上10重量%以下含むターゲットを用いて成膜を行い、酸化物半導体膜に結晶化を阻害するSiOx(X>0)を含ませても良い。
【0170】
ここでは、In、Ga、及びZnを含む酸化物半導体ターゲット(モル数比がIn:Ga:ZnO=1:1:1、またはIn:Ga:ZnO=1:1:2)を用いて、基板とターゲットの間との距離を100mm、圧力0.6Pa、直流(DC)電源0.5kW、酸素(酸素流量比率100%)雰囲気下で成膜する。なお、パルス直流(DC)電源を用いると、ごみの発生を軽減でき、膜厚分布も小さくなるために好ましい。
【0171】
この場合において、処理室内の残留水分を除去しつつ酸化物半導体膜を成膜することが好ましい。酸化物半導体膜に水素、水酸基を有する物質、又は水分が含まれないようにするためである。
【0172】
本実施の形態で用いるマルチチャンバー型のスパッタリング装置は、珪素もしくは酸化珪素(人工石英)ターゲットと、酸化物半導体膜用のターゲットを備えており、少なくとも、酸化物半導体膜用のターゲットを設けた成膜室は、排気手段としてクライオポンプを有している。なお、クライオポンプに代えて、ターボ分子ポンプを用い、当該ターボ分子ポンプの吸気口上に水分などを吸着させるべくコールドトラップを設ける構成としても良い。
【0173】
クライオポンプを用いて排気した成膜室は、例えば、水素原子や、HOなど水素原子を含む化合物や、炭素原子や炭素原子を含む化合物等が排気されるため、当該成膜室で成膜した酸化物半導体膜に含まれる不純物の濃度を低減できる。
【0174】
なお、酸化物半導体膜を第1の絶縁層102上に連続成膜するのが好ましい。
【0175】
酸化物半導体膜を、成膜する際に用いるスパッタガスは水素、水、水酸基を有する物質、又は水素化物などの不純物が、濃度ppm程度、濃度ppb程度まで除去された高純度ガスを用いることが好ましい。
【0176】
また、酸化物半導体膜は基板を加熱しながら成膜してもよい。このとき基板温度を100℃以上600℃以下好ましくは200℃以上400℃以下とする。基板を加熱しながら成膜することにより、成膜した酸化物半導体膜に含まれる不純物濃度を低減することができる。
【0177】
スパッタ法にはスパッタ用電源に高周波電源を用いるRFスパッタ法と、DCスパッタ法があり、さらにパルス的にバイアスを与えるパルスDCスパッタ法もある。RFスパッタ法は主に絶縁膜を成膜する場合に用いられ、DCスパッタ法は主に金属導電膜を成膜する場合に用いられる。
【0178】
また、材料の異なるターゲットを複数設置できる多元スパッタ装置もある。多元スパッタ装置は、同一チャンバーで異なる材料膜を積層成膜することも、同一チャンバーで複数種類の材料を同時に放電させて成膜することもできる。
【0179】
また、チャンバー内部に磁石機構を備えたマグネトロンスパッタ法を用いるスパッタ装置や、グロー放電を使わずマイクロ波を用いて発生させたプラズマを用いるECRスパッタ法を用いるスパッタ装置がある。
【0180】
また、スパッタ法を用いる成膜方法として、成膜中にターゲット物質とスパッタガス成分とを化学反応させてそれらの化合物薄膜を形成するリアクティブスパッタ法や、成膜中に基板にも電圧をかけるバイアススパッタ法もある。
【0181】
次に、第2のフォトリソグラフィ工程を行い、レジストマスクを形成し、In−Ga−Zn−O系非単結晶膜からなる酸化物半導体膜103を島状にエッチングする。エッチングには、例えば、クエン酸やシュウ酸などの有機酸をエッチングとして用いることができる。島状の酸化物半導体層の端部をテーパー状にエッチングすることで、段差形状による配線の段切れを防ぐことができる。なお、ここでのエッチングは、ウェットエッチングに限定されずドライエッチングを用いてもよい。
【0182】
次いで、島状の酸化物半導体層を設けた基板に第1の加熱処理を施し、島状の酸化物半導体層の脱水化または脱水素化を行う。
【0183】
なお、本明細書では、窒素、または希ガス等の不活性気体雰囲気下での加熱処理を脱水化または脱水素化のための加熱処理と呼ぶ。本明細書では、この加熱処理によってHとして脱離させていることのみを脱水素化と呼んでいるわけではなく、H、OHなどを脱離することを含めて脱水化または脱水素化と便宜上呼ぶこととする。
【0184】
本実施の形態では、第1の加熱処理として、島状の酸化物半導体層を設けた基板の基板温度を温度Tに加熱する。温度Tは700℃以下(若しくはガラス基板の歪点以下の温度)、好ましくは350℃以上500℃以下で、第1の加熱処理は1分間以上10分間以下程度のRTA(Rapid Thermal Anneal)処理で行う
【0185】
第1の加熱処理として、基板の温度を時間と共に図14(A)に示すように変化させる。
【0186】
期間a−1では、基板を含む雰囲気を窒素雰囲気とし、基板温度をTまで昇温して維持した後、窒素雰囲気で降温する。続く期間a−2では、はじめに基板を含む雰囲気を窒素から酸素もしくは乾燥空気雰囲気に切り替える。次いで、基板温度をTまで昇温して維持した後、酸素もしくは乾燥空気雰囲気で降温する。
【0187】
なお、期間a−1における処理と期間a−2における処理を異なる装置で行ってもよい。異なる装置で処理を並列することで、工程時間を短縮できる。
【0188】
また、第1の加熱処理において、基板の温度を時間と共に図14(B)に示すように変化させてもよい。
【0189】
期間b−1では、基板を含む雰囲気を窒素雰囲気とし、基板温度をTまで昇温して維持する。続く期間b−2では、基板温度をTで維持しながら基板を含む雰囲気を窒素から酸素もしくは乾燥空気雰囲気に切り替え、基板温度をTで維持した後、酸素もしくは乾燥空気雰囲気で降温してもよい。
【0190】
なお、期間b−1における処理と期間b−2における処理を同一の装置で行うと、基板を搬送する時間を短縮でき好ましい。
【0191】
第1の加熱処理に用いる不活性ガス雰囲気としては、窒素、または希ガス(ヘリウム、ネオン、アルゴン等)を主成分とする雰囲気であって、雰囲気中に、水、水素などが含まれないことが好ましい。または、加熱処理装置に導入する不活性ガスの純度を、6N(99.9999%)以上、好ましくは7N(99.99999%)以上、(即ち不純物濃度を1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下)とすることが好ましい。
【0192】
また、加熱処理装置に導入する酸素、または乾燥空気は、それぞれ高純度の酸素ガス、または超乾燥エア(露点が−40℃以下、好ましくは−60℃以下)とすることが好ましい。
【0193】
また、酸化物半導体層に対して脱水化または脱水素化をおこなう際は、酸化物半導体層を大気にさらすことなく、水または水素を再び混入させないことが重要である。
【0194】
なお、第1の加熱処理を行う熱処理装置は電気炉や、加熱されたガスなどの媒体からの熱伝導、または熱輻射によって、被処理物を加熱する装置であっても良い。例えば、GRTA(Gas Rapid Thermal Anneal)装置、LRTA(Lamp Rapid Thermal Anneal)装置等のRTA(Rapid Thermal Anneal)装置を用いることができる。LRTA装置は、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、高圧水銀ランプなどのランプから発する光(電磁波)の輻射により、被処理物を加熱する装置である。
【0195】
RTA法を用いれば、短時間に脱水化または脱水素化が行えるため、ガラス基板の歪点を超える温度でも処理することができる。また、GRTA装置は、高温のガスを用いて熱処理を行う装置である。
【0196】
また、加熱処理は、このタイミングに限らず、フォトリソグラフィ工程や成膜工程の前後などで複数回行っても良い。
【0197】
上記条件で脱水化または脱水素化を十分に行った酸化物半導体層は、昇温脱離ガス分析法(TDS:Thermal Desorption Spectroscopy)で450℃まで昇温しても水分の脱離を示すスペクトルに2つのピーク、少なくとも250〜300℃付近に現れる1つのピークは検出されない。
【0198】
なお、酸化物半導体層は、成膜された段階では多くの未結合手を有する非晶質であるが、上記脱水化または脱水素化処理の第1の加熱処理を施すことで、近距離にある未結合手同士が結合し合い、秩序化された非晶質構造とすることができる。また、秩序化が発展すると、非晶質領域中に微結晶が点在した非晶質と微結晶の混合物が形成される。
【0199】
また、第1の加熱処理の窒素中の加熱処理により脱水化または脱水素化と共に、酸素欠乏型となり、酸化物半導体層が低抵抗化、即ちN型化(N化、N化など)する。例えば、第1の加熱処理の窒素中の加熱処理により、酸化物半導体層は成膜直後よりもキャリア濃度が高まり、好ましくは1×1018/cm以上のキャリア濃度を有する。
【0200】
しかし、N型化(N化、N化など)した酸化物半導体層は、酸素もしくは乾燥空気雰囲気で加熱、降温処理されて、酸素欠損部に酸素が供給される。酸素欠損部に酸素が補充された酸化物半導体層は、高抵抗化、即ちI型化する。
【0201】
このような工程を経て酸化物半導体層113a、113bは高純度化される。また、高純度化された酸化物半導体層113aを用いて作製したトランジスタは、正のしきい値電圧を有し、所謂ノーマリーオフ特性のスイッチング素子を実現できる。
【0202】
なお、トランジスタの電気特性のうち、特にしきい値電圧(Vth)は重要である。電界効果移動度が高くともしきい値電圧値が高い、或いはしきい値電圧値がマイナスであると、回路として制御することが困難である。しきい値電圧値が高く、しきい値電圧の絶対値が大きいトランジスタの場合には、駆動電圧が低い状態ではトランジスタとしてのスイッチング機能を果たすことができず、負荷となる恐れがある。
【0203】
nチャネル型のトランジスタの場合、ゲート電圧に正の電圧を印加してはじめてチャネルが形成されて、ドレイン電流が流れ出すトランジスタが望ましい。駆動電圧を高くしないとチャネルが形成されないトランジスタや、負の電圧状態でもチャネルが形成されてドレイン電流が流れるトランジスタは、回路に用いるトランジスタとしては不向きである。なお、トランジスタのしきい値電圧値がマイナスであると、ゲート電圧が0Vでもソース電極とドレイン電極の間に電流が流れる、所謂ノーマリーオン特性となりやすい。
【0204】
アクティブマトリクス型の表示装置においては、回路を構成するトランジスタの電気特性が重要であり、この電気特性が表示装置の性能を左右する。トランジスタを表示装置に用いる場合、0Vにできるだけ近い正のしきい値電圧をゲートに加えてチャネルが形成されることが表示装置には望ましい。
【0205】
なお、酸化物半導体層の第1の加熱処理は、島状の酸化物半導体層に加工する前の酸化物半導体膜103に行うこともできる。その場合には、第1の加熱処理後に、加熱装置から基板を取り出し、島状の酸化物半導体層に加工するためのフォトリソグラフィ工程を行う。
【0206】
また、Cuを含む第2の導電層を形成する前に、第1の絶縁層102を選択的にエッチングし、第1の導電層に達するコンタクトホールを形成してもよい。第1の導電層に達するコンタクトホールを形成した後に第2の導電層を形成すると、他の導電層を介することなく第1の導電層と第2の導電層を直接接続できる。接続に要するコンタクトホールの数を減らすと、電気抵抗を小さくできるだけでなく、コンタクトホールが占有する面積を小さくできる。
【0207】
次に、Cuを含む第2の導電層を形成する。Cuを含む第2の導電層は、酸化物半導体層113a、113b、並びに第1の絶縁層上に、スパッタリング法、真空蒸着法、またはメッキ法を用いて100nm以上500nm以下、好ましくは200nm以上300nm以下の厚さで形成する。次いで、該導電層上にフォトリソグラフィ法またはインクジェット法等によりマスクを形成し、該マスクを用いて第2の導電層をエッチングして、ソース電極及びドレイン電極として機能する第1の電極115a、第2の電極115b、及びソース配線115cを形成する。
【0208】
本実施の形態では、酸化物半導体層113a、113b、並びに第1の絶縁膜上に厚さ250nmのCu膜を形成し、第3のフォトリソグラフィ工程で形成したレジストマスクを用いてCu膜を選択的にエッチングして、ソース電極及びドレイン電極となる第1の電極115a及び第2の電極115b、並びにソース配線115cを形成する。
【0209】
なお、エッチング条件にもよるが第3のフォトリソグラフィ工程において酸化物半導体層の露出領域がエッチングされる場合がある。その場合、ゲート電極111a上で第1の電極115a、または第2の電極115bと重なる酸化物半導体層の厚みに比べ、第1の電極115a、または第2の電極115bと重ならない酸化物半導体の厚みは薄くなる(図13(C)参照)。
【0210】
なお、本実施の形態で説明する半導体装置の作製工程で加える熱により、酸化物半導体層に接するCu膜の面に銅酸化物が生じるが、銅酸化物は半導体であるため電気的な接続の障壁とはならない。
【0211】
次に、第2の絶縁層107を形成する。第2の絶縁層107は、少なくとも窒化珪素膜を含み、高純度化された酸化物半導体層を汚染しないように、水、水素等の不純物が混入しない方法(例えばスパッタリング法など)を選択して用いる。
【0212】
本実施の形態では、第1の電極115a及び第2の電極115b、ソース配線115c、第1の絶縁層102、並びに酸化物半導体層に接して、第2の絶縁層107として窒化珪素層(SiN(y>0))を形成する。窒化珪素層(SiN(y>0))は、例えば、窒化珪素ターゲットを希ガス(例えばアルゴンガス)中でRFスパッタリング法を用いて厚さ400nm成膜する。
【0213】
窒化珪素膜のスパッタリング法による成膜は高純度のガスと、クライオポンプを搭載したスパッタリング装置を用いて行う。なお、スパッタ法で形成した窒化物絶縁膜は特に緻密であり、接する層へ不純物が拡散する現象を抑制する保護膜として単層であっても利用することができる。
【0214】
なお、この段階で、酸化物半導体層と第2の絶縁層107が接する領域が形成される。ゲート電極に重畳し、第1の絶縁層102と第2の絶縁層107に接して挟まれる酸化物半導体層の領域がチャネル形成領域となる。また、第2の絶縁層107はチャネル保護層として機能する(図13(D)参照)。
【0215】
次いで、不活性ガス雰囲気下、または酸素雰囲気下で第2の加熱処理を行う。加熱処理の温度は、200℃以上400℃以下、望ましくは250℃以上350℃以下である。例えば、窒素雰囲気下で250℃、1時間の熱処理を行えばよい。第2の加熱処理を行うと、トランジスタの電気的特性のばらつきを軽減することができる。なお、本実施の形態では、第2の絶縁層107の形成後に第2の加熱処理を行っているが、第2の加熱処理のタイミングは、第1の熱処理の後であれば特に限定されない。
【0216】
次いで、第3の絶縁層108を形成する。第3の絶縁層108は50nm以上300nm以下、好ましくは100nm以上200nm以下の厚さで形成する。第3の絶縁層108の形成法は、特に限定されず、その材料に応じて、スパッタ法、SOG法、スピンコート、ディップ、スプレー塗布、液滴吐出法(インクジェット法、スクリーン印刷、オフセット印刷等)を用いることができる。
【0217】
材料液を塗布し、ベークして第3の絶縁層108を形成する場合、酸化物半導体層の第2の加熱処理(200℃以上400℃以下、望ましくは250℃以上350℃以下)を当該ベーク工程で行ってもよい。第3の絶縁層108の焼成工程と酸化物半導体層のアニールを兼ねることで効率よく半導体装置を作製することが可能となる。
【0218】
次いで、第2の電極115bと第1の画素電極109を接続するためのコンタクトホール128を第2の絶縁層107及び第3の絶縁層108に形成する。第3の絶縁層108上にフォトリソグラフィ法またはインクジェット法等によりマスクを形成し、該マスクを用いて第2の絶縁層107及び第3の絶縁層108を選択的にエッチングしてコンタクトホールを形成する。本実施の形態では、第4のフォトリソグラフィ工程で形成したレジストマスクを用いて第2の絶縁層107及び第3の絶縁層108を選択的にエッチングして、コンタクトホール128を形成する。
【0219】
次いで、第1の画素電極109を形成する。まず、第3の絶縁層108、及びコンタクトホール128を介して第2の電極115bに接して、可視光に対する透光性を有する導電膜を30nm以上200nm以下、好ましくは50nm以上100nm以下の厚さで、スパッタリング法、真空蒸着法などを用いて形成する。該導電膜上にフォトリソグラフィ法またはインクジェット法等によりマスクを形成し、該マスクを用いて該導電膜をエッチングして第1の画素電極109を形成する。
【0220】
本実施の形態では、可視光に対する透光性を有する導電膜として厚さ80nmのインジウム錫酸化物(以下、ITOと示す。)を形成し、第5のフォトリソグラフィ工程で形成したレジストマスクを用いて可視光に対する透光性を有する導電膜を選択的にエッチングして、第1の画素電極109を形成する(図13(E)参照)。
【0221】
なお、可視光を透過する導電膜としては、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、ITO、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの導電性材料を用いることができる。
【0222】
また、可視光を透過する導電膜を、導電性高分子(導電性ポリマーともいう)を含む導電性組成物を用いて形成することができる。導電性組成物を用いて形成した画素電極は、シート抵抗が10000Ω/以下、波長550nmにおける透光率が70%以上であることが好ましい。また、導電性組成物に含まれる導電性高分子の抵抗率が0.1Ω・cm以下であることが好ましい。
【0223】
本実施の形態では、高純度のガスとクライオポンプ等を用いて水素原子や、HOなど水素原子を含む化合物に代表される不純物を除去して作製した酸化物半導体層に、さらに第1の加熱処理を施して高純度化することにより、キャリア濃度が低減された酸化物半導体層が形成できる。その結果、i型化または実質的にi型化された酸化物半導体(例えば、キャリア濃度が1×1012/cm未満、望ましくは、1×1011/cm以下)を用いてトランジスタを作製することが可能になり、極めて優れたオフ電流特性のトランジスタを提供できる。
【0224】
また、本実施の形態では、第1の加熱処理の不活性気体雰囲気における脱水化または脱水素化と、酸素もしくは乾燥空気雰囲気における酸素欠損部への酸素の補充が連続して行われるため、工程時間を短縮できる。
【0225】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0226】
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態1とは異なる構成の表示装置の回路付き基板の一形態を、図15を用いて説明する。
【0227】
表示装置に設ける画素の構成を図15に示す。図15(A)は、画素の平面構成を示す上面図であり、図15(B)は画素の積層構成を示す断面図である。なお、図15(A)におけるA1−A2、B1−B2、C1−C2の鎖線は、図15(B)における断面A1−A2、断面B1−B2、断面C1−C2にそれぞれ相当する。
【0228】
断面A1−A2は、画素部で用いられるトランジスタ152の積層構造を示している。トランジスタ152はボトムゲート構造の一態様である。
【0229】
また、断面B1−B2は画素部に形成される容量部の積層構造を示している。
【0230】
また、断面C1−C2はゲート配線とソース配線の交差部の積層構造を示している。
【0231】
本実施の形態で例示する表示装置の回路付き基板は、実施の形態1で例示する表示装置の回路付き基板と、第1の絶縁層102、及び第2の絶縁層107、並びに第2の導電層の構成が異なる。また、ゲート配線とソース配線の交差部の構成が異なる。
【0232】
具体的には、第1の絶縁層102は絶縁層102aと絶縁層102bが積層され、第2の絶縁層107は絶縁層107aと絶縁層107bが積層されている。また、第2の導電層の銅を主成分として含む層はバリア層と接する構成を有する。また、ゲート配線とソース配線の交差部において、第1の導電層で形成されるゲート配線111cと第2の導電層で形成されるソース配線115cの間に第1の絶縁層102が挟まれている。
【0233】
本実施の形態で例示する表示装置の回路付き基板は、実施の形態1で例示する表示装置の回路付き基板と、第1の絶縁層102、及び第2の絶縁層107、並びに第2の導電層の銅を主成分として含む層と接するバリア層、並びにゲート配線とソース配線の交差部の構成以外は同じであるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0234】
本実施の形態において、第1の絶縁層102は二層からなる。銅を主成分として含む第1の導電層と下地膜101に接する側の絶縁層102aに窒化珪素(SiN(y>0))層を用い、酸化物半導体層と接する側の絶縁層102bに酸化珪素(SiO(x>0))層を用いる。第1の絶縁層102の膜厚は100nmとする。
【0235】
第1の絶縁層102は、ゲート絶縁層として機能し、第1の導電層と下地膜101上に50nm以上800nm以下、好ましくは100nm以上600nm以下の厚さで形成する。
【0236】
下地膜101と絶縁層102aの二つの窒化珪素膜の間に、銅を主成分として含む第1の導電層を形成することにより、銅の拡散を抑制できる。
【0237】
なお、不純物を除去することによりi型化又は実質的にi型化された酸化物半導体(高純度化された酸化物半導体)は、界面準位、界面電荷に対して極めて敏感であるため、絶縁膜との界面は重要である。そのため高純度化された酸化物半導体に接する絶縁層102bは、高品質化が要求される。
【0238】
例えば、μ波(2.45GHz)を用いた高密度プラズマCVDは、緻密で絶縁耐圧の高い高品質な絶縁膜を形成できるので好ましい。高純度化された酸化物半導体と高品質ゲート絶縁膜とが密接することにより、界面準位を低減して界面特性を良好なものとすることができるからである。
【0239】
また、高密度プラズマCVD装置により得られた絶縁膜は、一定した厚さの膜形成ができるため段差被覆性に優れている。また、高密度プラズマCVD装置により得られる絶縁膜は、薄い膜の厚みを精密に制御することができる。
【0240】
もちろん、ゲート絶縁膜として良質な絶縁膜を形成できるものであれば、スパッタリング法やプラズマCVD法など他の成膜方法を適用することができる。また、成膜後の熱処理によってゲート絶縁膜の膜質、酸化物半導体との界面特性が改質される絶縁膜であっても良い。いずれにしても、ゲート絶縁膜としての膜質が良好であることは勿論のこと、酸化物半導体との界面準位密度を低減し、良好な界面を形成できるものであれば良い。
【0241】
本実施の形態では、絶縁層102bを、高密度プラズマCVD装置(本明細書において、高密度プラズマCVD装置は1×1011/cm以上のプラズマ密度を達成できる装置を指す)により行う場合、例えば、3kW〜6kWのマイクロ波電力を印加してプラズマを発生させて、絶縁膜の成膜を行う。
【0242】
チャンバーに材料ガスとしてモノシランガス(SiH)と亜酸化窒素(NO)と希ガスを導入し、10Pa〜30Paの圧力下で高密度プラズマを発生させて、ガラス等の絶縁表面を有する基板上に絶縁膜を形成する。その後、モノシランガスの供給を停止し、大気に曝すことなく亜酸化窒素(NO)と希ガスとを導入して絶縁膜表面にプラズマ処理を行ってもよい。少なくとも亜酸化窒素(NO)と希ガスとを導入して絶縁膜表面に行われるプラズマ処理は、絶縁膜の成膜より後に行う。上記プロセス順序を経た絶縁膜は、膜厚が薄く、例えば100nm未満であっても信頼性を確保することができる絶縁膜である。
【0243】
絶縁層102bの形成の際、チャンバーに導入するモノシランガス(SiH)と亜酸化窒素(NO)との流量比は、1:10から1:200の範囲とする。また、チャンバーに導入する希ガスとしては、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、キセノンなどを用いることができるが、中でも安価であるアルゴンを用いることが好ましい。
【0244】
また、高密度プラズマ装置により得られた絶縁膜は、一定した厚さの膜形成ができるため段差被覆性に優れている。また、高密度プラズマ装置により得られる絶縁膜は、薄い膜の厚みを精密に制御することができる。
【0245】
上記プロセス順序を経た絶縁膜は、従来の平行平板型のPCVD装置で得られる絶縁膜とは大きく異なっており、同じエッチャントを用いてエッチング速度を比較した場合において、平行平板型のPCVD装置で得られる絶縁膜の10%以上または20%以上遅く、高密度プラズマ装置で得られる絶縁膜は緻密な膜と言える。
【0246】
また、絶縁層102bとして、有機シランガスを用いたCVD法により酸化シリコン層を形成することも可能である。有機シランガスとしては、珪酸エチル(TEOS:化学式Si(OC)、テトラメチルシラン(TMS:化学式Si(CH)、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、トリエトキシシラン(SiH(OC)、トリスジメチルアミノシラン(SiH(N(CH)等のシリコン含有化合物を用いることができる。
【0247】
本実施の形態では、第2の導電層の銅を主成分として含む層はバリア層と接する構成を有し、バリア層として導電性の金属窒化物である窒化タンタルを用いる。具体的には、第2の導電層から形成した第1の電極115a、第2の電極115b、並びにソース配線115cは窒化タンタルの間に銅を主成分として含む層を積層した構成を有する。
【0248】
バリア層は銅の拡散を抑制する材料を用いて形成すれば良く、特に金属窒化物が好ましい。なお、銅を主成分として含む層と接する第1の絶縁層102、または第2の絶縁層107が金属窒化物であれば、これらがバリア層を兼ねる構造としても良い。
【0249】
特に、酸化物半導体層113aと接するバリア層は導電性を有する金属窒化物を用いる。例えば、窒化チタン、窒化タンタル、窒化タングステン等をバリア層に用いることができる。導電性を有するバリア層を介して酸化物半導体層113aと第2の導電層の銅を主成分として含む層を積層することにより、銅の拡散を抑制しつつ、酸化物半導体層113aと第2の導電層の銅を主成分として含む層を電気的に接続できる。
【0250】
第2の導電層のバリア層を酸化物半導体層113a、並びに第1の絶縁層102上に成膜し、該バリア層に接して銅を主成分として含む層を成膜する。また、第2の導電層はスパッタリング法、真空蒸着法、またはメッキ法等を用いて、100nm以上500nm以下、好ましくは200nm以上300nm以下の厚さで形成する。
【0251】
次いで、第2の導電層上にフォトリソグラフィ法またはインクジェット法等によりマスクを形成し、該マスクを用いてエッチングして、ソース電極及びドレイン電極として機能する第1の電極115a、第2の電極115b、及びソース配線115cを形成する。
【0252】
本実施の形態では、第2の絶縁層107を絶縁層107aと絶縁層107bの積層構造とする。第2の導電層のバリア層、及び酸化物半導体層に接する絶縁層107aを酸化珪素(SiO(x>0))層で形成し、絶縁層107aに接する絶縁層107bを厚さ400nmの窒化珪素(SiN(y>0))層で形成する。
【0253】
第2の絶縁層107は、高純度化された酸化物半導体層を汚染しないように、水、水素等の不純物が混入しない方法(例えばスパッタリング法など)を選択して用いる。
【0254】
絶縁層107aは、純度が6Nであり、柱状多結晶Bドープの珪素ターゲット(抵抗値0.01Ωcm)を用い、基板とターゲットの間との距離(T−S間距離)を89mm、圧力0.4Pa、直流(DC)電源6kW、酸素(酸素流量比率100%)雰囲気下でパルスDCスパッタ法により成膜する。膜厚は300nmとする。
【0255】
成膜時の基板温度は、室温以上300℃以下とすればよく、本実施の形態では100℃とする。
【0256】
酸化珪素層のスパッタリング法による成膜は高純度のガスと、クライオポンプを搭載したスパッタリング装置を用いて行う。また、希ガス(代表的にはアルゴン)雰囲気下、酸素雰囲気下、または希ガス(代表的にはアルゴン)及び酸素雰囲気下において行うことができる。なお、スパッタ法で形成した酸化物絶縁膜は特に緻密であり、接する層へ不純物が拡散する現象を抑制する保護膜として単層であっても利用することができる。
【0257】
また、ターゲットとして酸化珪素ターゲットまたは珪素ターゲットを用いることができる。また、リン(P)や硼素(B)をドープしたターゲットを用い、酸化物絶縁膜にリン(P)や硼素(B)を添加することもできる。
【0258】
なお、酸化物半導体層に接する絶縁層107aに酸化物絶縁膜を形成する場合、例えば1nm以上の膜厚の酸化珪素(SiO(x>0))層を形成する場合、珪素ターゲットが好ましい。珪素ターゲットを用いて、酸素、及び希ガス雰囲気下でスパッタリング法により成膜した酸化珪素膜は、珪素原子または酸素原子の未結合手(ダングリングボンド)を多く含んでいる。
【0259】
酸化物半導体層に残存する不純物は、珪素原子または酸素原子の未結合手(ダングリングボンド)を多く含む絶縁層107aに拡散し、固定化される。具体的には、酸化物半導体層に含まれる水素原子や、HOなど水素原子を含む化合物等が絶縁層107aに拡散移動し易くなり、絶縁層107aに固定化される。
【0260】
なお、この段階で、酸化物半導体層と絶縁層107aが接する領域が形成される。ゲート電極に重畳し、絶縁層102bと絶縁層107aに接して挟まれる酸化物半導体層の領域がチャネル形成領域となる。また、第2の絶縁層107はチャネル保護層として機能する。
【0261】
なお、本実施の形態では、絶縁層107bをRFスパッタ法により形成する。
【0262】
本実施の形態では、第2の導電層の銅を主成分として含む層がバリア層と接する構成を有するため、銅の拡散が抑制される。また、導電性を有するバリア層を介して酸化物半導体層と第2の導電層の銅を主成分として含む層を積層することにより、銅の拡散を抑制しつつ、酸化物半導体層と第2の導電層の銅を主成分として含む層を電気的に接続できる。
【0263】
酸化物半導体層と接する側の第2の絶縁層に酸化物絶縁層を用いることにより、酸化物半導体層における酸素の欠損を低減できる。
【0264】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0265】
(実施の形態4)
本実施の形態では、酸化物半導体層のチャネル形成領域の上下に絶縁膜を介して一対の電極層を配置する4端子構造のトランジスタを2つ用いてインバータ回路を構成する例を、図16を用いて以下に説明する。図16(A)に示すトランジスタは、実施の形態1の図1に示したトランジスタ151と同一の方法で作製できる。なお、本実施の形態のインバータ回路は画素部を駆動する駆動回路に用いることができる。
【0266】
画素部を駆動するための駆動回路は、例えば画素部の周辺に配置され、インバータ回路、容量、抵抗などを用いて構成する。インバータ回路の一態様には2つのnチャネル型トランジスタを組み合わせて形成するものがある。例えば、エンハンスメント型トランジスタとデプレッション型トランジスタとを組み合わせて形成するもの(以下、EDMOS回路という)と、エンハンスメント型トランジスタ同士で形成するもの(以下、EEMOS回路という)がある。
【0267】
駆動回路のインバータ回路の断面構造を図16(A)に示す。第1のトランジスタ440Aは、基板400上に下地膜と、下地膜上に第1の導電層で形成されるゲート電極421aを有し、ゲート電極421a上に第1の絶縁層402に接してチャネル形成領域を含む酸化物半導体層404aを有する。また、第2の導電層で形成され、ゲート電極421a上に端部を重畳し、酸化物半導体層404aに接する第1の電極455aと第2の電極455bを有する。なお、第1の電極455aと第2の電極455bは第1のトランジスタ440Aのソース電極またはドレイン電極として機能する。また、第1の電極455a、第2の電極455b、第1の絶縁層402、並びに酸化物半導体層404a上に、第2の絶縁層428を有し、第2の絶縁層428上に第3の導電層からなる電極422aを有する。
【0268】
第2のトランジスタ440Bは、基板400上に下地膜と、下地膜上に第1の導電層で形成されるゲート電極421bを有し、ゲート電極421b上に第1の絶縁層402に接してチャネル形成領域を含む酸化物半導体層404bを有する。また、第2の導電層で形成され、ゲート電極421b上に端部を重畳し、酸化物半導体層404bに接する第3の電極455cと第4の電極455dを有する。なお、第3の電極455cと第4の電極455dは第2のトランジスタ440Bのソース電極またはドレイン電極として機能する。また、第3の電極455c、第4の電極455d、第1の絶縁層402、並びに酸化物半導体層404b上に、第2の絶縁層428を有し、第2の絶縁層428上に第3の導電層からなる電極422bを有する。
【0269】
なお、第1のトランジスタ440Aと第2のトランジスタ440Bは第2の配線410bを介して第2の電極455bと第3の電極455cが接続されている。また、第3の電極455cは、コンタクトホール408を介して第2のトランジスタ440Bのゲート電極421bと接続されている。
【0270】
第1のトランジスタ440A及び第2のトランジスタ440Bは、実施の形態2と同様に形成できるため、その作製方法の詳細な説明を省略する。なお、第1の絶縁層402にコンタクトホール408を形成した後に、第2の導電層を設け、コンタクトホール408を介して第3の電極455cと接続された第2の配線410bとゲート電極421bが直接接続する構成が好ましい。接続に要するコンタクトホールの数が少ないため、電気抵抗を小さくできるだけでなく、コンタクトホールが占有する面積を小さくできる。なお、第2の電極455b、第3の電極455c、および第2の配線410bは第2の導電層で形成され、電気的に接続されている。
【0271】
第1のトランジスタ440Aが有する第1の電極455aと接続する第1の配線410aは、負の電圧VDLが印加される電源線(負電源線)である。この電源線は、接地電位の電源線(接地電源線)としてもよい。
【0272】
また、第2のトランジスタ440Bが有する第4の電極455dと接続する第3の配線410cは、正の電圧VDHが印加される電源線(正電源線)である。
【0273】
また、駆動回路のインバータ回路の上面図を図16(C)に示す。図16(C)において、鎖線Z1−Z2で切断した断面が図16(A)に相当する。
【0274】
また、EDMOS回路の等価回路を図16(B)に示す。図16(A)に示す回路接続は、図16(B)に相当し、第1のトランジスタ440Aをエンハンスメント型のnチャネル型トランジスタとし、第2のトランジスタ440Bをデプレッション型のnチャネル型トランジスタとする例である。なお、図中のOSは酸化物半導体(Oxide Semiconductor)を用いたトランジスタであることを示している。
【0275】
本実施の形態では、第1のトランジスタ440A、及び第2のトランジスタ440Bの閾値を制御するため、高純度化された酸化物半導体層のチャネル形成領域の上に絶縁膜を介して設けた第3の導電層からなる電極を用いる。具体的には、第1のトランジスタ440Aをエンハンスメント型、第2のトランジスタ440Bをデプレッション型にするよう、それぞれの電極422aと電極422bに電圧を与える。
【0276】
なお、図16(A)及び図16(C)では、第2の配線410bは、第1の絶縁層402に形成されたコンタクトホール408を介してゲート電極421bと直接接続する例を示したが、特に限定されず、接続電極を別途設けて第2の配線410bとゲート電極421bとを電気的に接続してもよい。
【0277】
以上のように、酸化物半導体層のチャネル形成領域の上に絶縁膜を介して電極層を配置して、トランジスタの閾値を制御し、インバータ回路を構成できる。デュアルゲート構造によりトランジスタの閾値を制御することで、酸化物半導体膜を作り分けずにエンハンスメント型トランジスタとデプレッション型トランジスタを同一基板上に作製できるため作製工程が簡便である。
【0278】
また、高純度化された酸化物半導体により高い電界効果移動度を有するトランジスタと、導電率の高い銅配線を用いて、動特性に優れたインバータ回路を提供できる。
【0279】
また、本実施の形態は、他の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
【0280】
(実施の形態5)
本実施の形態では、同一基板上に画素部と、画素部が備えるトランジスタと、当該画素部を駆動する駆動回路の少なくとも一部を作製する例について以下に説明する。
【0281】
画素部と、画素部に配置するトランジスタは、実施の形態1乃至実施の形態3に従って形成する。また、実施の形態1乃至実施の形態3に示すトランジスタはnチャネル型トランジスタであるため、駆動回路のうち、nチャネル型トランジスタで構成することができる駆動回路の一部を画素部のトランジスタと同一基板上に形成する。
【0282】
アクティブマトリクス型表示装置のブロック図の一例を図17(A)に示す。表示装置の基板5300上には、画素部5301、第1の走査線駆動回路5302、第2の走査線駆動回路5303、信号線駆動回路5304を有する。画素部5301には、複数の信号線が信号線駆動回路5304から延伸して配置され、複数の走査線が第1の走査線駆動回路5302、及び走査線駆動回路5303から延伸して配置されている。なお走査線と信号線との交差領域には、各々、表示素子を有する画素がマトリクス状に配置されている。また、表示装置の基板5300はFPC(Flexible Printed Circuit)等の接続部を介して、タイミング制御回路5305(コントローラ、制御ICともいう)に接続されている。
【0283】
図17(A)では、第1の走査線駆動回路5302、第2の走査線駆動回路5303、信号線駆動回路5304は、画素部5301と同じ基板5300上に形成される。そのため、外部に設ける駆動回路等の部品の数が減るので、コストの低減を図ることができる。また、基板5300外部に駆動回路を設けた場合、配線を延伸させる必要が生じ、配線間の接続数が増える。同じ基板5300上に駆動回路を設けた場合、その配線間の接続数を減らすことができ、信頼性の向上、又は歩留まりの向上を図ることができる。
【0284】
なお、タイミング制御回路5305は、第1の走査線駆動回路5302に対し、一例として、第1の走査線駆動回路用スタート信号(GSP1)、走査線駆動回路用クロック信号(GCK1)を供給する。また、タイミング制御回路5305は、第2の走査線駆動回路5303に対し、一例として、第2の走査線駆動回路用スタート信号(GSP2)(スタートパルスともいう)、走査線駆動回路用クロック信号(GCK2)を供給する。信号線駆動回路5304に、信号線駆動回路用スタート信号(SSP)、信号線駆動回路用クロック信号(SCK)、ビデオ信号用データ(DATA)(単にビデオ信号ともいう)、ラッチ信号(LAT)を供給するものとする。なお各クロック信号は、周期のずれた複数のクロック信号でもよいし、クロック信号を反転させた信号(CKB)とともに供給されるものであってもよい。なお、第1の走査線駆動回路5302と第2の走査線駆動回路5303との一方を省略することが可能である。
【0285】
図17(B)では、駆動周波数が低い回路(例えば、第1の走査線駆動回路5302、第2の走査線駆動回路5303)を画素部5301と同じ基板5300に形成し、信号線駆動回路5304を画素部5301とは別の基板に形成する構成について示している。当該構成により、単結晶半導体を用いたトランジスタと比較すると電界効果移動度が小さいトランジスタによって、基板5300に形成する駆動回路を構成することができる。したがって、表示装置の大型化、工程数の削減、コストの低減、又は歩留まりの向上などを図ることができる。
【0286】
また、実施の形態1乃至実施の形態3に示すトランジスタは、nチャネル型TFTである。図18(A)、図18(B)ではnチャネル型TFTで構成する信号線駆動回路の構成、動作について一例を示し説明する。
【0287】
信号線駆動回路は、シフトレジスタ5601、及びスイッチング回路5602を有する。スイッチング回路5602は、スイッチング回路5602_1〜5602_N(Nは自然数)という複数の回路を有する。スイッチング回路5602_1〜5602_Nは、各々、トランジスタ5603_1〜5603_k(kは自然数)という複数のトランジスタを有する。トランジスタ5603_1〜5603_kは、Nチャネル型TFTである例を説明する。
【0288】
信号線駆動回路の接続関係について、スイッチング回路5602_1を例にして説明する。トランジスタ5603_1〜5603_kの第1端子は、各々、配線5604_1〜5604_kと接続される。トランジスタ5603_1〜5603_kの第2端子は、各々、信号線S1〜Skと接続される。トランジスタ5603_1〜5603_kのゲートは、配線5605_1と接続される。
【0289】
シフトレジスタ5601は、配線5605_1〜5605_Nに順番にHレベル(H信号、高電源電位レベル、ともいう)の信号を出力し、スイッチング回路5602_1〜5602_Nを順番に選択する機能を有する。
【0290】
スイッチング回路5602_1は、配線5604_1〜5604_kと信号線S1〜Skとの導通状態(第1端子と第2端子との間の導通)に制御する機能、即ち配線5604_1〜5604_kの電位を信号線S1〜Skに供給するか否かを制御する機能を有する。このように、スイッチング回路5602_1は、セレクタとしの機能を有する。またトランジスタ5603_1〜5603_kは、各々、配線5604_1〜5604_kと信号線S1〜Skとの導通状態を制御する機能、即ち配線5604_1〜5604_kの電位を信号線S1〜Skに供給する機能を有する。このように、トランジスタ5603_1〜5603_kは、各々、スイッチとしての機能を有する。
【0291】
なお、配線5604_1〜5604_kには、各々、ビデオ信号用データ(DATA)が入力される。ビデオ信号用データ(DATA)は、画像情報又は画像信号に応じたアナログ信号である場合が多い。
【0292】
次に、図18(A)の信号線駆動回路の動作について、図18(B)のタイミングチャートを参照して説明する。図18(B)には、信号Sout_1〜Sout_N、及び信号Vdata_1〜Vdata_kの一例を示す。信号Sout_1〜Sout_Nは、各々、シフトレジスタ5601の出力信号の一例であり、信号Vdata_1〜Vdata_kは、各々、配線5604_1〜5604_kに入力される信号の一例である。なお、信号線駆動回路の1動作期間は、表示装置における1ゲート選択期間に対応する。1ゲート選択期間は、一例として、期間T1〜期間TNに分割される。期間T1〜TNは、各々、選択された行に属する画素にビデオ信号用データ(DATA)を書き込むための期間である。
【0293】
期間T1〜期間TNにおいて、シフトレジスタ5601は、Hレベルの信号を配線5605_1〜5605_Nに順番に出力する。例えば、期間T1において、シフトレジスタ5601は、ハイレベルの信号を配線5605_1に出力する。すると、トランジスタ5603_1〜5603_kはオンになるので、配線5604_1〜5604_kと、信号線S1〜Skとが導通状態になる。このとき、配線5604_1〜5604_kには、Data(S1)〜Data(Sk)が入力される。Data(S1)〜Data(Sk)は、各々、トランジスタ5603_1〜5603_kを介して、選択される行に属する画素のうち、1列目〜k列目の画素に書き込まれる。こうして、期間T1〜TNにおいて、選択された行に属する画素に、k列ずつ順番にビデオ信号用データ(DATA)が書き込まれる。
【0294】
以上のように、ビデオ信号用データ(DATA)が複数の列ずつ画素に書き込まれることによって、ビデオ信号用データ(DATA)の数、又は配線の数を減らすことができる。よって、外部回路との接続数を減らすことができる。また、ビデオ信号が複数の列ずつ画素に書き込まれることによって、書き込み時間を長くすることができ、ビデオ信号の書き込み不足を防止することができる。
【0295】
なお、シフトレジスタ5601及びスイッチング回路5602としては、実施の形態1乃至実施の形態3に示すトランジスタで構成される回路を用いることが可能である。
【0296】
また、走査線駆動回路の構成について説明する。走査線駆動回路は、シフトレジスタを有している。また場合によってはレベルシフタ、バッファ等を有していても良い。走査線駆動回路において、シフトレジスタにクロック信号(CLK)及びスタートパルス信号(SP)が入力されることによって、選択信号が生成される。生成された選択信号はバッファにおいて緩衝増幅され、対応する走査線に供給される。走査線には、1ライン分の画素のトランジスタのゲート電極が接続されている。そして、1ライン分の画素のトランジスタを一斉にONにしなくてはならないので、バッファは大きな電流を流すことが可能なものが用いられる。
【0297】
走査線駆動回路及び/または信号線駆動回路の一部に用いるシフトレジスタの一形態について図19及び図20を用いて説明する。
【0298】
走査線駆動回路、信号線駆動回路のシフトレジスタについて、図19及び図20を参照して説明する。シフトレジスタは、第1のパルス出力回路10_1乃至第Nのパルス出力回路10_N(N≧3の自然数)を有している(図19(A)参照)。図19(A)に示すシフトレジスタの第1のパルス出力回路10_1乃至第Nのパルス出力回路10_Nには、第1の配線11より第1のクロック信号CK1、第2の配線12より第2のクロック信号CK2、第3の配線13より第3のクロック信号CK3、第4の配線14より第4のクロック信号CK4が供給される。また第1のパルス出力回路10_1では、第5の配線15からのスタートパルスSP1(第1のスタートパルス)が入力される。また2段目以降の第nのパルス出力回路10_n(nは、2≦n≦Nの自然数)では、一段前段のパルス出力回路からの信号(前段信号OUT(n−1)という)(n≧2の自然数)が入力される。また第1のパルス出力回路10_1では、2段後段の第3のパルス出力回路10_3からの信号が入力される。同様に2段目以降の第nのパルス出力回路10_nでは、2段後段の第(n+2)のパルス出力回路10_(n+2)からの信号(後段信号OUT(n+2)という)が入力される。従って、各段のパルス出力回路からは、後段及び/または二つ前段のパルス出力回路に入力するための第1の出力信号(OUT(1)(SR)〜OUT(N)(SR))、別の配線等に電気的に接続される第2の出力信号(OUT(1)〜OUT(N))が出力される。なお、図19(A)に示すように、シフトレジスタの最終段の2つの段には、後段信号OUT(n+2)が入力されないが、一例としては、別途第6の配線16より第2のスタートパルスSP2、第7の配線17より第3のスタートパルスSP3をそれぞれ入力する構成とすればよい。または、別途シフトレジスタの内部で生成された信号であってもよい。例えば、画素部へのパルス出力に寄与しない第(n+1)のパルス出力回路10_(N+1)、第(N+2)のパルス出力回路10_(N+2)を設け(ダミー段ともいう)、当該ダミー段より第2のスタートパルス(SP2)及び第3のスタートパルス(SP3)に相当する信号を生成する構成としてもよい。
【0299】
なお、クロック信号(CK)は、一定の間隔でHレベルとLレベル(L信号、低電源電位レベル、ともいう)を繰り返す信号である。ここで、第1のクロック信号(CK1)〜第4のクロック信号(CK4)は、順に1/4周期分遅延している。本実施の形態では、第1のクロック信号(CK1)〜第4のクロック信号(CK4)を利用して、パルス出力回路の駆動の制御を行う。なお、クロック信号は、入力される駆動回路に応じて、GCK、SCKということもあるが、ここではCKとして説明を行う
【0300】
第1の入力端子21、第2の入力端子22及び第3の入力端子23は、第1の配線11〜第4の配線14のいずれかと電気的に接続されている。例えば、図19(A)において、第1のパルス出力回路10_1は、第1の入力端子21が第1の配線11と電気的に接続され、第2の入力端子22が第2の配線12と電気的に接続され、第3の入力端子23が第3の配線13と電気的に接続されている。また、第2のパルス出力回路10_2は、第1の入力端子21が第2の配線12と電気的に接続され、第2の入力端子22が第3の配線13と電気的に接続され、第3の入力端子23が第4の配線14と電気的に接続されている。
【0301】
第1のパルス出力回路10_1〜第Nのパルス出力回路10_Nの各々は、第1の入力端子21、第2の入力端子22、第3の入力端子23、第4の入力端子24、第5の入力端子25、第1の出力端子26、第2の出力端子27を有しているとする(図19(B)参照)。第1のパルス出力回路10_1において、第1の入力端子21に第1のクロック信号CK1が入力され、第2の入力端子22に第2のクロック信号CK2が入力され、第3の入力端子23に第3のクロック信号CK3が入力され、第4の入力端子24にスタートパルスSP1が入力され、第5の入力端子25に後段信号OUT(3)が入力され、第1の出力端子26より第1の出力信号OUT(1)(SR)が出力され、第2の出力端子27より第2の出力信号OUT(1)が出力されていることとなる。
【0302】
次に、パルス出力回路の具体的な回路構成の一例について、図19(C)で説明する。
【0303】
第1のパルス出力回路10_1は、第1のトランジスタ31〜第11のトランジスタ41を有している(図19(C)参照)。また、上述した第1の入力端子21〜第5の入力端子25、及び第1の出力端子26、第2の出力端子27に加え、第1の高電源電位VDDが供給される電源線51、第2の高電源電位VCCが供給される電源線52、低電源電位VSSが供給される電源線53から、第1のトランジスタ31〜第11のトランジスタ41に信号、または電源電位が供給される。ここで図19(C)における各電源線の電源電位の大小関係は、第1の高電源電位VDDは第2の高電源電位VCC以上の電位とし、第2の電源電位VCCは第3の電源電位VSSより大きい電位とする。なお、第1のクロック信号(CK1)〜第4のクロック信号(CK4)は、一定の間隔でHレベルとLレベルを繰り返す信号であるが、HレベルのときVDD、LレベルのときVSSであるとする。なお電源線51の電位VDDを、電源線52の電位VCCより高くすることにより、動作に影響を与えることなく、トランジスタのゲート電極に印加される電位を低く抑えることができ、トランジスタのしきい値のシフトを低減し、劣化を抑制することができる。
【0304】
図19(C)において、第1のトランジスタ31は、第1端子が電源線51に電気的に接続され、第2端子が第9のトランジスタ39の第1端子に電気的に接続され、ゲート電極が第4の入力端子24に電気的に接続されている。第2のトランジスタ32は、第1端子が電源線53に電気的に接続され、第2端子が第9のトランジスタ39の第1端子に電気的に接続され、ゲート電極が第4のトランジスタ34のゲート電極に電気的に接続されている。第3のトランジスタ33は、第1端子が第1の入力端子21に電気的に接続され、第2端子が第1の出力端子26に電気的に接続されている。第4のトランジスタ34は、第1端子が電源線53に電気的に接続され、第2端子が第1の出力端子26に電気的に接続されている。第5のトランジスタ35は、第1端子が電源線53に電気的に接続され、第2端子が第2のトランジスタ32のゲート電極及び第4のトランジスタ34のゲート電極に電気的に接続され、ゲート電極が第4の入力端子24に電気的に接続されている。第6のトランジスタ36は、第1端子が電源線52に電気的に接続され、第2端子が第2のトランジスタ32のゲート電極及び第4のトランジスタ34のゲート電極に電気的に接続され、ゲート電極が第5の入力端子25に電気的に接続されている。第7のトランジスタ37は、第1端子が電源線52に電気的に接続され、第2端子が第8のトランジスタ38の第2端子に電気的に接続され、ゲート電極が第3の入力端子23に電気的に接続されている。第8のトランジスタ38は、第1端子が第2のトランジスタ32のゲート電極及び第4のトランジスタ34のゲート電極に電気的に接続され、ゲート電極が第2の入力端子22に電気的に接続されている。第9のトランジスタ39は、第1端子が第1のトランジスタ31の第2端子及び第2のトランジスタ32の第2端子に電気的に接続され、第2端子が第3のトランジスタ33のゲート電極及び第10のトランジスタ40のゲート電極に電気的に接続され、ゲート電極が電源線51に電気的に接続されている。第10のトランジスタ40は、第1端子が第1の入力端子21に電気的に接続され、第2端子が第2の出力端子27に電気的に接続され、ゲート電極が第9のトランジスタ39の第2端子に電気的に接続されている。第11のトランジスタ41は、第1端子が電源線53に電気的に接続され、第2端子が第2の出力端子27に電気的に接続され、ゲート電極が第2のトランジスタ32のゲート電極及び第4のトランジスタ34のゲート電極に電気的に接続されている。
【0305】
図19(C)において、第3のトランジスタ33のゲート電極、第10のトランジスタ40のゲート電極、及び第9のトランジスタ39の第2端子の接続箇所をノードAとする。また、第2のトランジスタ32のゲート電極、第4のトランジスタ34のゲート電極、第5のトランジスタ35の第2端子、第6のトランジスタ36の第2端子、第8のトランジスタ38の第1端子、及び第11のトランジスタ41のゲート電極の接続箇所をノードBとする(図20(A)参照)。
【0306】
なお、トランジスタとは、ゲートと、ドレインと、ソースとを含む少なくとも三つの端子を有する素子であり、ドレイン領域とソース領域の間にチャネル領域を有しており、ドレイン領域とチャネル領域とソース領域とを介して電流を流すことが出来る。ここで、ソースとドレインとは、トランジスタの構造や動作条件等によって変わるため、いずれがソースまたはドレインであるかを限定することが困難である。そこで、ソース及びドレインとして機能する領域を、ソースもしくはドレインと呼ばない場合がある。その場合、一例としては、それぞれを第1端子、第2端子と表記する場合がある。
【0307】
ここで、図20(A)に示したパルス出力回路を複数具備するシフトレジスタのタイミングチャートについて図20(B)に示す。なおシフトレジスタが走査線駆動回路である場合、図20(B)中の期間61は垂直帰線期間であり、期間62はゲート選択期間に相当する。
【0308】
なお、図20(A)に示すように、ゲートに第2の電源電位VCCが印加される第9のトランジスタ39を設けておくことにより、ブートストラップ動作の前後において、以下のような利点がある。
【0309】
ゲート電極に第2の電位VCCが印加される第9のトランジスタ39がない場合、ブートストラップ動作によりノードAの電位が上昇すると、第1のトランジスタ31の第2端子であるソースの電位が上昇していき、第1の電源電位VDDより大きくなる。そして、第1のトランジスタ31のソースが第1端子側、即ち電源線51側に切り替わる。そのため、第1のトランジスタ31においては、ゲートとソースの間、ゲートとドレインの間ともに、大きなバイアス電圧が印加されるために大きなストレスがかかり、トランジスタの劣化の要因となりうる。そこで、ゲート電極に第2の電源電位VCCが印加される第9のトランジスタ39を設けておくことにより、ブートストラップ動作によりノードAの電位は上昇するものの、第1のトランジスタ31の第2端子の電位の上昇を生じないようにすることができる。つまり、第9のトランジスタ39を設けることにより、第1のトランジスタ31のゲートとソースの間に印加される負のバイアス電圧の値を小さくすることができる。よって、本実施の形態の回路構成とすることにより、第1のトランジスタ31のゲートとソースの間に印加される負のバイアス電圧も小さくできるため、ストレスによる第1のトランジスタ31の劣化を抑制することができる。
【0310】
なお、第9のトランジスタ39を設ける箇所については、第1のトランジスタ31の第2端子と第3のトランジスタ33のゲートとの間に第1端子と第2端子を介して接続されるように設ける構成であればよい。なお、本実施形態でのパルス出力回路を複数具備するシフトレジスタの場合、走査線駆動回路より段数の多い信号線駆動回路では、第9のトランジスタ39を省略してもよく、トランジスタ数を削減する利点がある。
【0311】
なお第1のトランジスタ31乃至第11のトランジスタ41の半導体層として、酸化物半導体を用いることにより、トランジスタのオフ電流を低減すると共に、オン電流及び電界効果移動度を高めることが出来ると共に、劣化の度合いを低減することが出来るため、回路内の誤動作を低減することができる。また酸化物半導体を用いたトランジスタは、アモルファスシリコンを用いたトランジスタに比べ、ゲート電極に高電位が印加されることによるトランジスタの劣化の程度が小さい。そのため、第2の電源電位VCCを供給する電源線に、第1の電源電位VDDを供給しても同様の動作が得られ、且つ回路間を引き回す電源線の数を低減することができるため、回路の小型化を図ることが出来る。
【0312】
なお、第7のトランジスタ37のゲート電極に第3の入力端子23によって供給されるクロック信号、第8のトランジスタ38のゲート電極に第2の入力端子22によって供給されるクロック信号は、第7のトランジスタのゲート電極に第2の入力端子22によって供給されるクロック信号、第8のゲート電極に第3の入力端子23によって供給されるクロック信号となるように、結線関係を入れ替えても同様の作用を奏する。なお、図20(A)に示すシフトレジスタにおいて、第7のトランジスタ37及び第8のトランジスタ38が共にオンの状態から、第7のトランジスタ37がオフ、第8のトランジスタ38がオンの状態、次いで第7のトランジスタ37がオフ、第8のトランジスタ38がオフの状態とすることによって、第2の入力端子22及び第3の入力端子23の電位が低下することで生じる、ノードBの電位の低下が第7のトランジスタ37のゲート電極の電位の低下、及び第8のトランジスタ38のゲート電極の電位の低下に起因して2回生じることとなる。一方、図20(A)に示すシフトレジスタにおいて、第7のトランジスタ37及び第8のトランジスタ38が共にオンの状態から、第7のトランジスタ37がオン、第8のトランジスタ38がオフの状態、次いで、第7のトランジスタ37がオフ、第8のトランジスタ38がオフの状態とすることによって、第2の入力端子22及び第3の入力端子23の電位が低下することで生じるノードBの電位の低下を、第8のトランジスタ38のゲート電極の電位の低下による一回に低減することができる。そのため、第7のトランジスタ37のゲート電極に第3の入力端子から供給されるクロック信号が供給され、第8のトランジスタ38のゲート電極に第2の入力端子からクロック信号が供給される結線関係とすることが好適である。ノードBの電位の変動回数が低減され、ノイズを低減することが出来るからである。
【0313】
このように、第1の出力端子26及び第2の出力端子27の電位をLレベルに保持する期間に、ノードBに定期的にHレベルの信号が供給される構成とすることにより、パルス出力回路の誤動作を抑制することができる。
【0314】
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の半導体装置の一例として、実施の形態1または実施の形態3と同様に形成したトランジスタを画素部、さらには駆動回路に有し、且つ表示機能を有する半導体装置(表示装置ともいう)を示す。また、実施の形態1または実施の形態3と同様に形成したトランジスタを駆動回路の一部または全体を、画素部と同じ基板上に一体形成し、システムオンパネルを形成することができる。
【0315】
表示装置は表示素子を含む。表示素子としては液晶素子(液晶表示素子ともいう)、発光素子(発光表示素子ともいう)を用いることができる。発光素子は、電流または電圧によって輝度が制御される素子をその範疇に含んでおり、具体的には無機EL(Electro Luminescence)、有機EL等が含まれる。また、電子インクなど、電気的作用によりコントラストが変化する表示媒体も適用することができる。
【0316】
また、表示装置は、表示素子が封止された状態にあるパネルと、該パネルにコントローラを含むIC等を実装した状態にあるモジュールとを含む。さらに本発明の一態様は、該表示装置を作製する過程における、表示素子が完成する前の一形態に相当する素子基板に関し、該素子基板は、電流を表示素子に供給するための手段を複数の各画素に備える。素子基板は、具体的には、表示素子の画素電極層のみが形成された状態であっても良いし、画素電極層となる導電膜を成膜した後であって、エッチングして画素電極層を形成する前の状態であっても良いし、あらゆる形態があてはまる。
【0317】
なお、本明細書中における表示装置とは、画像表示デバイス、表示デバイス、もしくは光源(照明装置含む)を指す。また、コネクター、例えばFPC(Flexible printed circuit)もしくはTAB(Tape Automated Bonding)テープもしくはTCP(Tape Carrier Package)が取り付けられたモジュール、TABテープやTCPの先にプリント配線板が設けられたモジュール、または表示素子にCOG(Chip On Glass)方式によりIC(集積回路)が直接実装されたモジュールも全て表示装置に含むものとする。
【0318】
本実施の形態では、本発明の半導体装置の一形態に相当する液晶表示パネルの外観及び断面について、図21を用いて説明する。図21は、第1の基板4001上に実施の形態1と同様に形成したトランジスタ4010、4011、及び液晶素子4013を、第1の基板4001と第2の基板4006との間にシール材4005によって封止した、パネルの上面図であり、図21(B)は、図21(A1)(A2)のM−Nにおける断面図に相当する。
【0319】
第1の基板4001上に設けられた画素部4002と、走査線駆動回路4004とを囲むようにして、シール材4005が設けられている。また画素部4002と、走査線駆動回路4004の上に第2の基板4006が設けられている。よって画素部4002と、走査線駆動回路4004とは、第1の基板4001と第2の基板4006によって、液晶層4008と共に封止されている。なお、第1の基板4001上のシール材4005によって囲まれている領域とは異なる領域に、別途用意された基板上に単結晶半導体膜又は多結晶半導体膜で形成された信号線駆動回路4003を実装してもよい。
【0320】
なお、別途形成した駆動回路の接続方法は、特に限定されるものではなく、COG法、ワイヤボンディング法、或いはTAB法などを用いることができる。図21(A1)は、COG方法により信号線駆動回路4003を実装する例であり、図21(A2)は、TAB法により信号線駆動回路4003を実装する例である。
【0321】
また第1の基板4001上に設けられた画素部4002と、走査線駆動回路4004は、トランジスタを複数有しており、図21(B)では、画素部4002に含まれるトランジスタ4010と、走査線駆動回路4004に含まれるトランジスタ4011とを例示している。トランジスタ4010、4011上には絶縁層4020、4021が設けられている。
【0322】
トランジスタ4010、4011は、例えば実施の形態1または実施の形態3に示すトランジスタを適用することができる。本実施の形態において、トランジスタ4010、4011はnチャネル型トランジスタである。
【0323】
また、液晶素子4013が有する画素電極層4030は、トランジスタ4010と電気的に接続されている。そして液晶素子4013の対向電極層4031は第2の基板4006上に形成されている。画素電極層4030と対向電極層4031と液晶層4008とが重なっている部分が、液晶素子4013に相当する。なお、画素電極層4030、対向電極層4031はそれぞれ配向膜として機能する絶縁層4032、4033が設けられ、絶縁層4032、4033を介して液晶層4008を挟持している。
【0324】
なお、第1の基板4001、第2の基板4006としては、ガラス、金属(代表的にはステンレス)、セラミックス、プラスチックを用いることができる。プラスチックとしては、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)板、PVF(ポリビニルフルオライド)フィルム、ポリエステルフィルムまたはアクリル樹脂フィルムを用いることができる。また、アルミニウムホイルをPVFフィルムやポリエステルフィルムで挟んだ構造のシートを用いることもできる。
【0325】
また4035は絶縁膜を選択的にエッチングすることで得られる柱状のスペーサであり、画素電極層4030と対向電極層4031との間の距離(セルギャップ)を制御するために設けられている。なお球状のスペーサを用いていても良い。また、対向電極層4031は、トランジスタ4010と同一基板上に設けられる共通電位線と導電性粒子を介して電気的に接続される。なお、導電性粒子はシール材4005に含有させる。
【0326】
また、配向膜を用いないブルー相を示す液晶を用いてもよい。ブルー相は液晶相の一つであり、コレステリック液晶を昇温していくと、コレステリック相から等方相へ転移する直前に発現する相である。ブルー相は狭い温度範囲でしか発現しないため、温度範囲を改善するために5重量%以上のカイラル剤を混合させた液晶組成物を用いて液晶層4008を形成する。ブルー相を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組成物は、応答速度が10μs〜100μsと短く、光学的等方性であるため配向処理が不要であり、視野角依存性が小さい。
【0327】
なお本実施の形態は透過型液晶表示装置の例であるが、本発明の一態様は反射型液晶表示装置でも半透過型液晶表示装置でも適用できる。
【0328】
また、本実施の形態の液晶表示装置では、基板の外側(視認側)に偏光板を設け、内側に着色層、表示素子に用いる電極層という順に設ける例を示すが、偏光板は基板の内側に設けてもよい。また、偏光板と着色層の積層構造も本実施の形態に限定されず、偏光板及び着色層の材料や作製工程条件によって適宜設定すればよい。また、ブラックマトリクスとして機能する遮光膜を設けてもよい。
【0329】
また、本実施の形態では、トランジスタの表面凹凸に起因する影響を低減するため、及びトランジスタの信頼性を向上させるため、実施の形態1または実施の形態3で得られたトランジスタを保護膜や平坦化絶縁膜として機能する絶縁層(絶縁層4020、絶縁層4021)で覆う構成となっている。なお、保護膜は、大気中に浮遊する有機物や金属物、水蒸気などの汚染不純物の侵入を防ぐためのものであり、緻密な膜が好ましい。保護膜は、窒化珪素膜の単層、あるいは窒化珪素と、酸化珪素膜、酸化窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜、酸化アルミニウム膜、窒化アルミニウム膜、酸化窒化アルミニウム膜、又は窒化酸化アルミニウム膜の積層を、スパッタ法を用いて形成すればよい。本実施の形態では保護膜をスパッタ法で形成する例を示すが、特に限定されず種々の方法で形成すればよい。
【0330】
また、保護膜を形成した後に、インジウム、ガリウム、及び亜鉛を含む酸化物半導体層のアニール(300℃〜400℃)を行ってもよい。
【0331】
また、平坦化絶縁膜として絶縁層4021を形成する。絶縁層4021としては、ポリイミド、アクリル樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、ポリアミド、エポキシ樹脂等の、耐熱性を有する有機材料を用いることができる。また上記有機材料の他に、低誘電率材料(low−k材料)、シロキサン系樹脂、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)等を用いることができる。シロキサン系樹脂は、置換基としては有機基(例えばアルキル基やアリール基)やフルオロ基を用いても良い。また、有機基はフルオロ基を有していても良い。なお、これらの材料で形成される絶縁膜を複数積層させることで、絶縁層4021を形成してもよい。
【0332】
なおシロキサン系樹脂とは、シロキサン系材料を出発材料として形成されたSi−O−Si結合を含む樹脂に相当する。
【0333】
絶縁層4021の形成法は、特に限定されず、その材料に応じて、スパッタ法、SOG法、スピンコート、ディップ、スプレー塗布、液滴吐出法(インクジェット法、スクリーン印刷、オフセット印刷等)等を用いることができる。絶縁層4021を材料液を用いて形成する場合、ベークする工程で同時に、インジウム、ガリウム、及び亜鉛を含む酸化物半導体層のアニール(300℃〜400℃)を行ってもよい。絶縁層4021の焼成工程とインジウム、ガリウム、及び亜鉛を含む酸化物半導体層のアニールを兼ねることで効率よく半導体装置を作製することが可能となる。
【0334】
画素電極層4030、対向電極層4031は、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム錫酸化物(以下、ITOと示す。)、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの透光性を有する導電性材料を用いることができる。
【0335】
また、画素電極層4030、対向電極層4031として、導電性高分子(導電性ポリマーともいう)を含む導電性組成物を用いて形成することができる。導電性組成物を用いて形成した画素電極層は、シート抵抗が10000Ω/□以下、波長550nmにおける透光率が70%以上であることが好ましい。また、導電性組成物に含まれる導電性高分子の抵抗率が0.1Ω・cm以下であることが好ましい。
【0336】
導電性高分子としては、いわゆるπ電子共役系導電性高分子を用いることができる。例えば、ポリアニリンまたはその誘導体、ポリピロールまたはその誘導体、ポリチオフェンまたはその誘導体、若しくはこれらの2種以上の共重合体などがあげられる。
【0337】
また別途形成された信号線駆動回路4003と、走査線駆動回路4004と、画素部4002に与えられる各種信号及び電位は、FPC4018から供給されている。
【0338】
本実施の形態では、接続端子電極4015が、液晶素子4013が有する画素電極層4030と同じ導電膜から形成され、端子電極4016は、トランジスタ4010、4011のソース電極層及びドレイン電極層と同じ導電膜で形成されている。
【0339】
接続端子電極4015は、FPC4018が有する端子と、異方性導電膜4019を介して電気的に接続されている。
【0340】
また図21においては、信号線駆動回路4003を別途形成し、第1の基板4001に実装している例を示しているが、本実施の形態はこの構成に限定されない。走査線駆動回路を別途形成して実装しても良いし、信号線駆動回路の一部または走査線駆動回路の一部のみを別途形成して実装しても良い。
【0341】
図22は、本発明の一態様を適用して作製されるTFT基板2600を用いて半導体装置として液晶表示モジュールを構成する一例を示している。
【0342】
図22は液晶表示モジュールの一例であり、TFT基板2600と対向基板2601がシール材2602により固着され、その間にTFT等を含む画素部2603、液晶層を含む表示素子2604、着色層2605が設けられ表示領域を形成している。着色層2605はカラー表示を行う場合に必要であり、RGB方式の場合は、赤、緑、青の各色に対応した着色層が各画素に対応して設けられている。TFT基板2600と対向基板2601の外側には偏光板2606、偏光板2607、拡散板2613が配設されている。光源は冷陰極管2610と反射板2611により構成され、回路基板2612は、フレキシブル配線基板2609によりTFT基板2600の配線回路部2608と接続され、コントロール回路や電源回路などの外部回路が組みこまれている。また偏光板と、液晶層との間に位相差板を有した状態で積層してもよい。
【0343】
液晶表示モジュールには、TN(Twisted Nematic)モード、IPS(In−Plane−Switching)モード、FFS(Fringe Field Switching)モード、MVA(Multi−domain Vertical Alignment)モード、PVA(Patterned Vertical Alignment)モード、ASM(Axially Symmetric aligned Micro−cell)モード、OCB(Optical Compensated Birefringence)モード、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)モード、AFLC(AntiFerroelectric Liquid Crystal)モードなどを用いることができる。
【0344】
以上の工程により、動作の安定性に優れたトランジスタを搭載した表示装置を作製できる。本実施の形態の液晶表示装置は動作の安定性に優れたトランジスタを搭載しているため信頼性が高い。
【0345】
本実施の形態では、銅を主成分として含む導電層を用いことにより、配線抵抗が低減された表示装置を提供できる。本実施の形態を適用した大画面の表示装置、高精細な表示装置は、信号線の終端への信号伝達の遅れや、電源線の電圧降下などが起こりにくくなり、表示ムラや階調不良などの表示品質が向上する。
【0346】
また、キャリア濃度が1×1012cm−3未満に高純度化された酸化物半導体層を用いることにより、1×10−13A以下の極めて小さいオフ電流を実現できる。その結果、漏れ電流が抑制され省電力化された表示装置を提供できる。また、オン電流とオフ電流の比が大きい表示装置を提供できる。また、コントラストが優れ、表示品位が高い表示装置を提供できる。
【0347】
また、本実施の形態の表示装置は、高純度化された酸化物半導体層を用いた電界効果移動度が高いトランジスタを搭載しているため、高速に動作し、動画の表示特性や、高精細な表示が可能である。
【0348】
また、銅を主成分として含む配線を窒化膜で封止する構成を有するため、銅の拡散が抑制され、信頼性に優れた半導体装置を提供できる。
【0349】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0350】
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明の半導体装置の一例として発光表示装置を示す。表示装置の有する表示素子としては、本実施の形態ではエレクトロルミネッセンスを利用する発光素子を用いて示す。エレクトロルミネッセンスを利用する発光素子は、発光材料が有機化合物であるか、無機化合物であるかによって区別され、一般的に、前者は有機EL素子、後者は無機EL素子と呼ばれている。
【0351】
有機EL素子は、発光素子に電圧を印加することにより、一対の電極から電子及び正孔がそれぞれ発光性の有機化合物を含む層に注入され、電流が流れる。そして、それらキャリア(電子及び正孔)が再結合することにより、発光性の有機化合物が励起状態を形成し、その励起状態が基底状態に戻る際に発光する。このようなメカニズムから、このような発光素子は、電流励起型の発光素子と呼ばれる。
【0352】
無機EL素子は、その素子構成により、分散型無機EL素子と薄膜型無機EL素子とに分類される。分散型無機EL素子は、発光材料の粒子をバインダ中に分散させた発光層を有するものであり、発光メカニズムはドナー準位とアクセプター準位を利用するドナー−アクセプター再結合型発光である。薄膜型無機EL素子は、発光層を誘電体層で挟み込み、さらにそれを電極で挟んだ構造であり、発光メカニズムは金属イオンの内殻電子遷移を利用する局在型発光である。なお、本実施の形態では、発光素子として有機EL素子を用いて説明する。
【0353】
図23は、本発明の一態様を適用した半導体装置の例としてデジタル時間階調駆動を適用可能な画素構成の一例を示す図である。なお、図中のOSは酸化物半導体(Oxide Semiconductor)を用いたトランジスタであることを示している。
【0354】
デジタル時間階調駆動を適用可能な画素の構成及び画素の動作について説明する。本実施の形態では実施の形態1または実施の形態3で示した酸化物半導体層(In−Ga−Zn−O系半導体層)をチャネル形成領域に用いるnチャネル型のトランジスタを1つの画素に2つ用いる例を示す。
【0355】
画素6400は、スイッチング用トランジスタ6401、駆動用トランジスタ6402、発光素子6404及び容量素子6403を有している。スイッチング用トランジスタ6401はゲートが走査線6406に接続され、第1電極(ソース電極及びドレイン電極の一方)が信号線6405に接続され、第2電極(ソース電極及びドレイン電極の他方)が駆動用トランジスタ6402のゲートに接続されている。駆動用トランジスタ6402は、ゲートが容量素子6403を介して電源線6407に接続され、第1電極が電源線6407に接続され、第2電極が発光素子6404の第1電極(画素電極層)に接続されている。発光素子6404の第2電極は共通電極6408に相当する。共通電極6408は、同一基板上に形成される共通電位線と電気的に接続される。
【0356】
なお、発光素子6404の第2電極(共通電極6408)には低電源電位が設定されている。なお、低電源電位とは、電源線6407に設定される高電源電位を基準にして低電源電位<高電源電位を満たす電位であり、低電源電位としては例えばGND、0Vなどが設定されていても良い。この高電源電位と低電源電位との電位差を発光素子6404に印加して、発光素子6404に電流を流して発光素子6404を発光させるため、高電源電位と低電源電位との電位差が発光素子6404の順方向しきい値電圧以上となるようにそれぞれの電位を設定する。なお、共通電極6408に高電源電位、電源線6407に低電源電位が設定されていても良い。その場合、発光素子6404に流れる電流が逆になるため、発光素子6404の構成を適宜変更してもよい。
【0357】
なお、容量素子6403は駆動用トランジスタ6402のゲート容量を代用して省略することも可能である。駆動用トランジスタ6402のゲート容量については、チャネル領域とゲート電極層との間で容量が形成されていてもよい。
【0358】
ここで、電圧入力電圧駆動方式の場合には、駆動用トランジスタ6402のゲートには、駆動用トランジスタ6402が十分にオンするか、オフするかの二つの状態となるようなビデオ信号を入力する。つまり、駆動用トランジスタ6402は線形領域で動作させる。駆動用トランジスタ6402は線形領域で動作させるため、電源線6407の電圧よりも高い電圧を駆動用トランジスタ6402のゲートにかける。なお、信号線6405には、(電源線電圧+駆動用トランジスタ6402のVth)以上の電圧をかける。
【0359】
また、デジタル時間階調駆動に代えて、アナログ階調駆動を行う場合、信号の入力を異ならせることで、図23と同じ画素構成を用いることができる。
【0360】
アナログ階調駆動を行う場合、駆動用トランジスタ6402のゲートに発光素子6404の順方向電圧+駆動用トランジスタ6402のVth以上の電圧をかける。発光素子6404の順方向電圧とは、所望の輝度とする場合の電圧を指しており、少なくとも順方向しきい値電圧を含む。なお、駆動用トランジスタ6402が飽和領域で動作するようなビデオ信号を入力することで、発光素子6404に電流を流すことができる。駆動用トランジスタ6402を飽和領域で動作させるため、電源線6407の電位は、駆動用トランジスタ6402のゲート電位よりも高くする。ビデオ信号をアナログとすることで、発光素子6404にビデオ信号に応じた電流を流し、アナログ階調駆動を行うことができる。
【0361】
なお、図23に示す画素構成は、これに限定されない。例えば、図23に示す画素に新たにスイッチ、抵抗素子、容量素子、トランジスタ又は論理回路などを追加してもよい。
【0362】
次に、発光素子の構成について、図24を用いて説明する。本実施の形態では、駆動用TFTがn型の場合を例に挙げて、画素の断面構造について説明する。図24(A)(B)(C)の半導体装置に用いられる駆動用TFT7011、7021、7001は、実施の形態1または実施の形態3で示すトランジスタと同様に作製できる。
【0363】
発光素子は発光を取り出すために少なくとも陽極又は陰極の一方が透明であればよい。そして、基板上にトランジスタ及び発光素子を形成し、基板とは逆側の面から発光を取り出す上面射出や、基板側の面から発光を取り出す下面射出や、基板側の面及び基板とは反対側の面から発光を取り出す両面射出構造の発光素子があり、本発明の一態様の画素構成はどの射出構造の発光素子にも適用することができる。
【0364】
下面射出構造の発光素子について図24(A)を用いて説明する。
【0365】
駆動用TFT7011がn型で、発光素子7012から発せられる光が第1の電極7013側に射出する場合の、画素の断面図を示す。図24(A)では、駆動用TFT7011のソース電極またはドレイン電極と電気的に接続された可視光に対する透光性を有する導電膜7017上に、発光素子7012の第1の電極7013が形成されており、第1の電極7013上にEL層7014、第2の電極7015が順に積層されている。
【0366】
可視光に対する透光性を有する導電膜7017としては、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの可視光に対する透光性を有する導電性導電膜を用いることができる。
【0367】
また、発光素子の第1の電極7013は様々な材料を用いることができる。例えば、第1の電極7013を陰極として用いる場合には、仕事関数が小さい材料、具体的には、例えば、LiやCs等のアルカリ金属、およびMg、Ca、Sr等のアルカリ土類金属、及びこれらを含む合金(Mg:Ag、Al:Liなど)の他、YbやEr等の希土類金属等が好ましい。図24(A)では、第1の電極7013の膜厚は、可視光を透過する程度(好ましくは、5nm〜30nm程度)とする。例えば20nmの膜厚を有するアルミニウム膜を、第1の電極7013として用いる。
【0368】
なお、可視光に対する透光性を有する導電膜とアルミニウム膜を積層成膜した後、選択的にエッチングして可視光に対する透光性を有する導電膜7017と第1の電極7013を形成してもよく、この場合、同じマスクを用いてエッチングすることができるため、好ましい。
【0369】
また、第1の電極7013の周縁部は、隔壁7019で覆う。隔壁7019は、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリアミド、エポキシ樹脂等の有機樹脂膜、無機絶縁膜または有機ポリシロキサンを用いて形成する。隔壁7019は、特に感光性の樹脂材料を用い、第1の電極7013上に開口部を形成し、その開口部の側壁が連続した曲率を持って形成される傾斜面となるように形成することが好ましい。隔壁7019として感光性の樹脂材料を用いる場合、レジストマスクを形成する工程を省略することができる。
【0370】
また、第1の電極7013及び隔壁7019上に形成するEL層7014は、少なくとも発光層を含めば良く、単数の層で構成されていても、複数の層が積層されるように構成されていてもどちらでも良い。EL層7014を複数の層で構成し、第1の電極7013を陰極として用いる場合は、第1の電極7013上に電子注入層、電子輸送層、発光層、ホール輸送層、ホール注入層の順に積層する。なおこれらの層を全て設ける必要はない。
【0371】
また、上記積層順に限定されず、第1の電極7013を陽極として用いる場合は、陽極上にホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層の順に積層してもよい。ただし、消費電力を比較する場合、第1の電極7013を陰極として機能させ、第1の電極7013上に電子注入層、電子輸送層、発光層、ホール輸送層、ホール注入層の順に積層するほうが、駆動回路部の電圧上昇を抑制でき、消費電力を少なくできるため好ましい。
【0372】
また、EL層7014上に形成する第2の電極7015としては、様々な材料を用いることができる。例えば、第2の電極7015を陽極として用いる場合、仕事関数が大きい材料(具体的には4.0eV以上)、例えば、ZrN、Ti、W、Ni、Pt、Cr等や、ITO、IZO、ZnOなどの透明導電性材料が好ましい。また、第2の電極7015上に遮蔽膜7016、例えば光を遮光する金属、光を反射する金属等を用いる。本実施の形態では、第2の電極7015としてITO膜を用い、遮蔽膜7016としてTi膜を用いる。
【0373】
第1の電極7013及び第2の電極7015で、発光層を含むEL層7014を挟んでいる領域が発光素子7012に相当する。図24(A)に示した素子構造の場合、発光素子7012から発せられる光は、矢印で示すように第1の電極7013側に射出する。
【0374】
なお、図24(A)において、発光素子7012から発せられる光は、カラーフィルタ層7033を通過し、絶縁層7032、ゲート絶縁層7030、及び基板7010を通過して射出させる。
【0375】
カラーフィルタ層7033はインクジェット法などの液滴吐出法や、印刷法、フォトリソグラフィ技術を用いたエッチング方法などでそれぞれ形成する。
【0376】
また、カラーフィルタ層7033はオーバーコート層7034で覆われ、さらに保護絶縁層7035によって覆う。なお、図24(A)ではオーバーコート層7034は薄い膜厚で図示したが、オーバーコート層7034は、アクリル樹脂などの樹脂材料を用い、カラーフィルタ層7033に起因する凹凸を平坦化する機能を有している。
【0377】
また、保護絶縁層7035及び絶縁層7032に形成され、且つ、ソース電極またはドレイン電極に達するコンタクトホールは、隔壁7019と重なる位置に配置する。
【0378】
次に、両面射出構造の発光素子について、図24(B)を用いて説明する。
【0379】
図24(B)では、駆動用TFT7021のソース電極またはドレイン電極と電気的に接続された可視光に対する透光性を有する導電膜7027上に、発光素子7022の第1の電極7023が形成されており、第1の電極7023上にEL層7024、第2の電極7025が順に積層されている。
【0380】
可視光に対する透光性を有する導電膜7027としては、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの可視光に対する透光性を有する導電性導電膜を用いることができる。
【0381】
また、第1の電極7023は様々な材料を用いることができる。例えば、第1の電極7023を陰極として用いる場合、仕事関数が小さい材料、具体的には、例えば、LiやCs等のアルカリ金属、及びMg、Ca、Sr等のアルカリ土類金属、及びこれらを含む合金(Mg:Ag、Al:Liなど)の他、YbやEr等の希土類金属等が好ましい。金属膜を第1の電極7023に用いる場合、その膜厚は光を透過する程度(好ましくは、5nm〜30nm程度)とする。例えば、第1の電極7023を陰極に用いる場合、20nmの膜厚を有するアルミニウム膜を適用できる。
【0382】
なお、可視光に対する透光性を有する導電膜と透光性を有する金属膜を積層成膜した後、選択的にエッチングして可視光に対する透光性を有する導電膜7027と第1の電極7023を形成してもよく、この場合、同じマスクを用いてエッチングすることができ、好ましい。
【0383】
また、第1の電極7023の周縁部は、隔壁7029で覆う。隔壁7029は、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリアミド、エポキシ樹脂等の有機樹脂膜、無機絶縁膜または有機ポリシロキサンを用いて形成する。隔壁7029は、特に感光性の樹脂材料を用い、電極7023上に開口部を形成し、その開口部の側壁が連続した曲率を持って形成される傾斜面となるように形成することが好ましい。隔壁7029として感光性の樹脂材料を用いる場合、レジストマスクを形成する工程を省略することができる。
【0384】
また、第1の電極7023及び隔壁7029上に形成するEL層7024は、発光層を含めば良く、単数の層で構成されていても、複数の層が積層されるように構成されていてもどちらでも良い。EL層7024を複数の層で構成し、第1の電極7023を陰極として用いる場合は、電子注入層、電子輸送層、発光層、ホール輸送層、ホール注入層の順に積層する。なおこれらの層を全て設ける必要はない。
【0385】
また、上記積層順に限定されず、第1の電極7023を陽極として用いる場合は、陽極上にホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層の順に積層してもよい。ただし、消費電力を比較する場合、第1の電極7023を陰極として用い、陰極上に電子注入層、電子輸送層、発光層、ホール輸送層、ホール注入層の順に積層するほうが駆動回路部の電圧上昇を抑制でき、消費電力が少ないため好ましい。
【0386】
また、EL層7024上に形成する第2の電極7025としては、様々な材料を用いることができる。例えば、第2の電極7025を陽極として用いる場合、仕事関数が大きい材料、例えば、ITO、IZO、ZnOなどの透明導電性材料を好ましく用いることができる。本実施の形態では、第2の電極7025を陽極として用い、酸化珪素を含むITO膜を形成する。
【0387】
第1の電極7023及び第2の電極7025で、発光層を含むEL層7024を挟んでいる領域が発光素子7022に相当する。図24(B)に示した素子構造の場合、発光素子7022から発せられる光は、矢印で示すように第2の電極7025側と第1の電極7023側の両方に射出する。
【0388】
なお、図24(B)において、発光素子7022から第1の電極7023側に発せられる一方の光は、カラーフィルタ層7043を通過し、絶縁層7042、ゲート絶縁層7040、及び基板7020を通過して射出させる。
【0389】
カラーフィルタ層7043はインクジェット法などの液滴吐出法や、印刷法、フォトリソグラフィ技術を用いたエッチング方法などでそれぞれ形成する。
【0390】
また、カラーフィルタ層7043はオーバーコート層7044で覆われ、さらに保護絶縁層7045によって覆う。
【0391】
また、保護絶縁層7045及び絶縁層7042に形成され、且つ、ドレイン電極層に達するコンタクトホールは、隔壁7029と重なる位置に配置する。
【0392】
ただし、両面射出構造の発光素子を用い、どちらの表示面もフルカラー表示とする場合、第2の電極7025側からの光はカラーフィルタ層7043を通過しないため、別途カラーフィルタ層を備えた封止基板を第2の電極7025上方に設けることが好ましい。
【0393】
次に、上面射出構造の発光素子について、図24(C)を用いて説明する。
【0394】
図24(C)に、駆動用TFT7001がn型で、発光素子7002から発せられる光が第2の電極7005側に抜ける場合の、画素の断面図を示す。図24(C)では、駆動用TFT7001のソース電極またはドレイン電極と電気的に接続された発光素子7002の第1の電極7003が形成されており、第1の電極7003上にEL層7004、第2の電極7005が順に積層されている。
【0395】
また、第1の電極7003は様々な材料を用いることができる。例えば、第1の電極7003を陰極として用いる場合、仕事関数が小さい材料、具体的には、例えば、LiやCs等のアルカリ金属、及びMg、Ca、Sr等のアルカリ土類金属、及びこれらを含む合金(Mg:Ag、Al:Liなど)の他、YbやEr等の希土類金属等が好ましい。
【0396】
また、第1の電極7003の周縁部は、隔壁7009で覆う。隔壁7009は、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリアミド、エポキシ樹脂等の有機樹脂膜、無機絶縁膜または有機ポリシロキサンを用いて形成する。隔壁7009は、特に感光性の樹脂材料を用い、第1の電極7003上に開口部を形成し、その開口部の側壁が連続した曲率を持って形成される傾斜面となるように形成することが好ましい。隔壁7009として感光性の樹脂材料を用いる場合、レジストマスクを形成する工程を省略することができる。
【0397】
また、第1の電極7003及び隔壁7009上に形成するEL層7004は、少なくとも発光層を含めば良く、単数の層で構成されていても、複数の層が積層されるように構成されていてもどちらでも良い。EL層7004を複数の層で構成し、第1の電極7003を陰極として用いる場合は、電子注入層、電子輸送層、発光層、ホール輸送層、ホール注入層の順に積層する。なお、これらの層を全て設ける必要はない。
【0398】
また、上記積層順に限定されず、第1の電極7003を陽極として用いる場合は、陽極上にホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層の順に積層してもよい。
【0399】
例えば、Ti膜、アルミニウム膜、Ti膜を積層した第1の電極7003を陽極とし、陽極上に、ホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層の順に積層し、その上にMg:Ag合金薄膜とITOとの積層を形成する。
【0400】
なお、駆動用TFT7001がn型の場合、第1の電極7003上に電子注入層、電子輸送層、発光層、ホール輸送層、ホール注入層の順に積層するほうが、駆動回路における電圧上昇を抑制することができ、消費電力を少なくできるため好ましい。
【0401】
第2の電極7005は可視光に対する透光性を有する導電性材料を用いて形成し、例えば酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの可視光に対する透光性を有する導電性導電膜を用いても良い。
【0402】
第1の電極7003及び第2の電極7005で発光層を含むEL層7004を挟んでいる領域が発光素子7002に相当する。図24(C)に示した画素の場合、発光素子7002から発せられる光は、矢印で示すように第2の電極7005側に射出する。
【0403】
また、図24(C)において、駆動用TFT7001のドレイン電極層は、保護絶縁層7052及び絶縁層7055に設けられたコンタクトホールを介して第1の電極7003と電気的に接続する。平坦化絶縁層7053は、ポリイミド、アクリル樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、ポリアミド、エポキシ樹脂等の樹脂材料を用いることができる。また上記樹脂材料の他に、低誘電率材料(low−k材料)、シロキサン系樹脂、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)等を用いることができる。なお、これらの材料で形成される絶縁膜を複数積層させることで、平坦化絶縁層7053を形成してもよい。平坦化絶縁層7053の形成法は、特に限定されず、その材料に応じて、スパッタ法、SOG法、スピンコート、ディップ、スプレー塗布、液滴吐出法(インクジェット法、スクリーン印刷、オフセット印刷等)等を用いることができる。
【0404】
また、第1の電極7003と、隣り合う画素の第1の電極7008(図示せず)とを絶縁するために隔壁7009を設ける。隔壁7009は、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリアミド、エポキシ樹脂等の有機樹脂膜、無機絶縁膜または有機ポリシロキサンを用いて形成する。隔壁7009は、特に感光性の樹脂材料を用い、第1の電極7003上に開口部を形成し、その開口部の側壁が連続した曲率を持って形成される傾斜面となるように形成することが好ましい。隔壁7009として感光性の樹脂材料を用いる場合、レジストマスクを形成する工程を省略することができる。
【0405】
また、図24(C)の構造においては、フルカラー表示を行う場合、例えば発光素子7002として緑色発光素子とし、隣り合う一方の発光素子を赤色発光素子とし、もう一方の発光素子を青色発光素子とする。また、3種類の発光素子だけでなく白色素子を加えた4種類の発光素子でフルカラー表示ができる発光表示装置を作製してもよい。
【0406】
また、図24(C)の構造においては、配置する複数の発光素子を全て白色発光素子として、発光素子7002上方にカラーフィルタなどを有する封止基板を配置する構成とし、フルカラー表示ができる発光表示装置を作製してもよい。青色、あるいは白色などの単色の発光を示す材料を形成し、カラーフィルタや色変換層を組み合わせることによりフルカラー表示を行うことができる。
【0407】
もちろん単色発光の表示を行ってもよい。例えば、白色発光を用いて照明装置を形成してもよいし、単色発光を用いてエリアカラータイプの発光装置を形成してもよい。
【0408】
また、必要があれば、円偏光板などの偏光フィルムなどの光学フィルムを設けてもよい。
【0409】
なお、ここでは、発光素子として有機EL素子について述べたが、発光素子として無機EL素子を設けることも可能である。
【0410】
なお、発光素子の駆動を制御する薄膜トランジスタ(駆動用TFT)と発光素子が電気的に接続されている例を示したが、駆動用TFTと発光素子との間に電流制御用TFTが接続されている構成であってもよい。
【0411】
なお本実施の形態で示す半導体装置は、図24に示した構成に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0412】
次に、実施の形態1または実施の形態3に示すトランジスタを適用した半導体装置の一形態に相当する発光表示パネル(発光パネルともいう)の外観及び断面について、図25を用いて説明する。図25は、第1の基板上に形成されたトランジスタ及び発光素子を、第2の基板との間にシール材によって封止した、パネルの上面図であり、図25(B)は、図25(A)のH−Iにおける断面図に相当する。
【0413】
第1の基板4501上に設けられた画素部4502、信号線駆動回路4503a、4503b、及び走査線駆動回路4504a、4504bを囲むようにして、シール材4505が設けられている。また画素部4502、信号線駆動回路4503a、4503b、及び走査線駆動回路4504a、4504bの上に第2の基板4506が設けられている。よって画素部4502、信号線駆動回路4503a、4503b、及び走査線駆動回路4504a、4504bは、第1の基板4501とシール材4505と第2の基板4506とによって、充填材4507と共に密封されている。外気に曝されないように気密性が高く、脱ガスの少ない保護フィルム(貼り合わせフィルム、紫外線硬化樹脂フィルム等)やカバー材でパッケージング(封入)することが好ましい。
【0414】
また第1の基板4501上に設けられた画素部4502、信号線駆動回路4503a、4503b、及び走査線駆動回路4504a、4504bは、トランジスタを複数有しており、図25(B)では、画素部4502に含まれるトランジスタ4510と、信号線駆動回路4503aに含まれるトランジスタ4509とを例示している。
【0415】
トランジスタ4509、4510は、酸化物半導体層(In−Ga−Zn−O系半導体層)を含む信頼性の高い実施の形態1または実施の形態3に示すトランジスタを適用することができる。本実施の形態において、トランジスタ4509、4510はnチャネル型トランジスタである。
【0416】
絶縁層4544上において駆動回路用のトランジスタ4509の酸化物半導体層のチャネル形成領域と重なる位置に導電層4540が設けられている。導電層4540を酸化物半導体層のチャネル形成領域と重なる位置に設けることによって、トランジスタ4509のしきい値電圧の変化を抑制することができる。また、導電層4540は、電位がトランジスタ4509のゲート電極層と同じでもよいし、異なっていても良く、第2のゲート電極層として機能させることもできる。また、導電層4040の電位がGND、0V、或いはフローティング状態であってもよい。
【0417】
また4511は発光素子に相当し、発光素子4511が有する画素電極である第1の電極層4517は、トランジスタ4510のソース電極層またはドレイン電極層と電気的に接続されている。なお発光素子4511の構成は、第1の電極層4517、電界発光層4512、第2の電極層4513の積層構造であるが、本実施の形態に示した構成に限定されない。発光素子4511から取り出す光の方向などに合わせて、発光素子4511の構成は適宜変えることができる。
【0418】
隔壁4520は、有機樹脂膜、無機絶縁膜または有機ポリシロキサンを用いて形成する。特に感光性の材料を用い、第1の電極層4517上に開口部を形成し、その開口部の側壁が連続した曲率を持って形成される傾斜面となるように形成することが好ましい。
【0419】
電界発光層4512は、単数の層で構成されていても、複数の層が積層されるように構成されていてもどちらでも良い。
【0420】
発光素子4511に酸素、水素、水分、二酸化炭素等が侵入しないように、第2の電極層4513及び隔壁4520上に保護膜を形成してもよい。保護膜としては、窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、DLC膜等を形成することができる。
【0421】
また、信号線駆動回路4503a、4503b、走査線駆動回路4504a、4504b、または画素部4502に与えられる各種信号及び電位は、FPC4518a、4518bから供給されている。
【0422】
本実施の形態では、接続端子電極4515が、発光素子4511が有する第1の電極層4517と同じ導電膜から形成され、端子電極4516は、トランジスタ4509、4510が有するソース電極層及びドレイン電極層と同じ導電膜から形成されている。
【0423】
接続端子電極4515は、FPC4518aが有する端子と、異方性導電膜4519を介して電気的に接続されている。
【0424】
発光素子4511からの光の取り出し方向に位置する第2の基板は可視光に対し透光性を有していなければならない。その場合には、ガラス板、プラスチック板、ポリエステルフィルムまたはアクリルフィルムのような可視光に対する透光性を有する材料を用いる。
【0425】
また、充填材4507としては窒素やアルゴンなどの不活性な気体の他に、紫外線硬化樹脂または熱硬化樹脂を用いることができ、PVC(ポリビニルクロライド)、アクリル樹脂、ポリイミド、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)またはEVA(エチレンビニルアセテート共重合体)を用いることができる。本実施の形態は充填材として窒素を用いる。
【0426】
また、必要であれば、発光素子の射出面に偏光板、又は円偏光板(楕円偏光板を含む)、位相差板(λ/4板、λ/2板)、カラーフィルタなどの光学フィルムを適宜設けてもよい。また、偏光板又は円偏光板に反射防止膜を設けてもよい。例えば、表面の凹凸により反射光を拡散し、映り込みを低減できるアンチグレア処理を施すことができる。
【0427】
信号線駆動回路4503a、4503b、及び走査線駆動回路4504a、4504bは、別途用意された基板上に単結晶半導体膜又は多結晶半導体膜によって形成された駆動回路で実装されていてもよい。また、信号線駆動回路のみ、或いは一部、又は走査線駆動回路のみ、或いは一部のみを別途形成して実装しても良く、本実施の形態は図25の構成に限定されない。
【0428】
本実施の形態の発光表示装置は動作の安定性に優れたトランジスタを搭載しているため信頼性が高い。
【0429】
本実施の形態では、銅を主成分として含む導電層を用いことにより、配線抵抗が低減された表示装置を提供できる。本実施の形態を適用した大画面の表示装置、高精細な表示装置は、信号線の終端への信号伝達の遅れや、電源線の電圧降下などが起こりにくくなり、表示ムラや階調不良などの表示品質が向上する。
【0430】
また、キャリア濃度が1×1012cm−3未満に高純度化された酸化物半導体層を用いることにより、1×10−13A以下の極めて小さいオフ電流を実現できる。その結果、漏れ電流が抑制され省電力化された表示装置を提供できる。また、オン電流とオフ電流の比が大きい表示装置を提供できる。また、コントラストが優れ、表示品位が高い表示装置を提供できる。
【0431】
また、本実施の形態の表示装置は、高純度化された酸化物半導体層を用いた電界効果移動度が高いトランジスタを搭載しているため、高速に動作し、動画の表示特性や、高精細な表示が可能である。
【0432】
また、銅を主成分として含む配線を窒化膜で封止する構成を有するため、銅の拡散が抑制され、信頼性に優れた半導体装置を提供できる。
【0433】
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示した構成を適宜組み合わせて用いることができることとする。
【0434】
(実施の形態8)
本実施の形態では、本発明の半導体装置の一例である表示装置として電子ペーパーの例を示す。
【0435】
図26は、本発明の一態様を適用した表示装置の例としてアクティブマトリクス型の電子ペーパーを示す。表示装置に用いられるトランジスタ581としては、実施の形態1または実施の形態3と同様に作製できる。
【0436】
図26の電子ペーパーは、ツイストボール表示方式を用いた表示装置の例である。ツイストボール表示方式とは、白と黒に塗り分けられた球形粒子を表示素子に用いる電極層である第1の電極層及び第2の電極層の間に配置し、第1の電極層及び第2の電極層に電位差を生じさせての球形粒子の向きを制御することにより、表示を行う方法である。
【0437】
トランジスタ581のソース電極層又はドレイン電極層は、第1の電極層587と絶縁層585に形成された開口を介して接しており電気的に接続している。第1の電極層587と第2の電極層588との間には、黒色領域590aと白色領域590bと、黒色領域590aと白色領域590bの周りに設けられ液体で満たされているキャビティ594とを有する球形粒子589が設けられており、球形粒子589の周囲は樹脂等の充填材595で充填されている(図26参照。)。なお、図26において580は基板、583は層間絶縁膜、596は基板である。
【0438】
また、ツイストボールの代わりに、電気泳動素子を用いることも可能である。透明な液体と、正に帯電した白い微粒子と負に帯電した黒い微粒子とを封入した直径10μm〜200μm程度のマイクロカプセルを用いる。第1の電極層と第2の電極層との間に設けられるマイクロカプセルは、第1の電極層と第2の電極層によって、電場が与えられると、白い微粒子と、黒い微粒子が互いに逆の方向に移動し、白または黒を表示することができる。この原理を応用した表示素子が電気泳動表示素子であり、一般的に電子ペーパーとよばれている。電気泳動表示素子は、液晶表示素子に比べて反射率が高いため、補助ライトは不要であり、また消費電力が小さく、薄暗い場所でも表示部を認識することが可能である。また、表示部に電源が供給されない場合であっても、一度表示した像を保持することが可能である。従って、例えば電源供給源となる電波発信源から表示機能付き半導体装置(単に表示装置、又は表示装置を具備する半導体装置ともいう)を遠ざけた場合であっても、表示された像を保存しておくことが可能となる。
【0439】
以上の工程により、動作の安定性に優れたトランジスタを搭載した電子ペーパーを作製できる。本実施例の電子ペーパーは動作の安定性に優れたトランジスタを搭載しているため信頼性が高い。
【0440】
本実施の形態では、銅を主成分として含む導電層を用いことにより、配線抵抗が低減された表示装置を提供できる。本実施の形態を適用した大画面の表示装置は、信号線の終端への信号伝達の遅れや、電源線の電圧降下などが起こりにくくなり、表示ムラや階調不良などの表示品質が向上する。
【0441】
また、キャリア濃度が1×1012cm−3未満に高純度化された酸化物半導体層を用いることにより、1×10−13A以下の極めて小さいオフ電流を実現できる。その結果、漏れ電流が抑制され省電力化された表示装置を提供できる。また、オン電流とオフ電流の比が大きい表示装置を提供できる。また、コントラストが優れ、表示品位が高い表示装置を提供できる。
【0442】
また、銅を主成分として含む配線を窒化膜で封止する構成を有するため、銅の拡散が抑制され、信頼性に優れた半導体装置を提供できる。
【0443】
本実施の形態は、実施の形態1または実施の形態3に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0444】
(実施の形態9)
本発明の一態様の表示装置は、電子ペーパーとして適用することができる。電子ペーパーは、情報を表示するものであればあらゆる分野の電子機器に用いることが可能である。例えば、電子ペーパーを用いて、電子書籍(電子ブック)、ポスター、電車などの乗り物の車内広告、クレジットカード等の各種カードにおける表示等に適用することができる。電子機器の一例を図27、図28に示す。
【0445】
図27(A)は、電子ペーパーで作られたポスター2631を示している。広告媒体が紙の印刷物である場合には、広告の交換は人手によって行われるが、本発明の一態様を適用した電子ペーパーを用いれば短時間で広告の表示を変えることができる。また、表示も崩れることなく安定した画像が得られる。なお、ポスターは無線で情報を送受信できる構成としてもよい。
【0446】
また、図27(B)は、電車などの乗り物の車内広告2632を示している。広告媒体が紙の印刷物である場合には、広告の交換は人手によって行われるが、本発明の一態様を適用した電子ペーパーを用いれば人手を多くかけることなく短時間で広告の表示を変えることができる。また表示も崩れることなく安定した画像が得られる。なお、車内広告は無線で情報を送受信できる構成としてもよい。
【0447】
また、図28は、電子書籍の一例を示している。例えば、電子書籍2700は、筐体2701及び筐体2703の2つの筐体で構成されている。筐体2701及び筐体2703は、軸部2711により一体とされており、該軸部2711を軸として開閉動作を行うことができる。このような構成により、紙の書籍のような動作を行うことが可能となる。
【0448】
筐体2701には表示部2705が組み込まれ、筐体2703には表示部2707が組み込まれている。表示部2705及び表示部2707は、続き画面を表示する構成としてもよいし、異なる画面を表示する構成としてもよい。異なる画面を表示する構成とすることで、例えば右側の表示部(図28では表示部2705)に文章を表示し、左側の表示部(図28では表示部2707)に画像を表示することができる。
【0449】
また、図28では、筐体2701に操作部などを備えた例を示している。例えば、筐体2701において、電源2721、操作キー2723、スピーカ2725などを備えている。操作キー2723により、頁を送ることができる。なお、筐体の表示部と同一面にキーボードやポインティングディバイスなどを備える構成としてもよい。また、筐体の裏面や側面に、外部接続用端子(イヤホン端子、USB端子、またはACアダプタおよびUSBケーブルなどの各種ケーブルと接続可能な端子など)、記録媒体挿入部などを備える構成としてもよい。さらに、電子書籍2700は、電子辞書としての機能を持たせた構成としてもよい。
【0450】
また、電子書籍2700は、無線で情報を送受信できる構成としてもよい。無線により、電子書籍サーバから、所望の書籍データなどを購入し、ダウンロードする構成とすることも可能である。
【0451】
以上の工程により、動作の安定性に優れたトランジスタを搭載した表示装置を作製できる。動作の安定性に優れたトランジスタを搭載した表示装置は信頼性が高い。
【0452】
(実施の形態10)
本発明の一態様に係る半導体装置は、さまざまな電子機器(遊技機も含む)に適用することができる。電子機器としては、例えば、テレビジョン装置(テレビ、またはテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。
【0453】
図29(A)は、テレビジョン装置の一例を示している。テレビジョン装置9600は、筐体9601に表示部9603が組み込まれている。表示部9603により、映像を表示することが可能である。また、本実施の形態では、スタンド9605により筐体9601を支持した構成を示している。
【0454】
テレビジョン装置9600の操作は、筐体9601が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機9610により行うことができる。リモコン操作機9610が備える操作キー9609により、チャンネルや音量の操作を行うことができ、表示部9603に表示される映像を操作することができる。また、リモコン操作機9610に、当該リモコン操作機9610から出力する情報を表示する表示部9607を設ける構成としてもよい。
【0455】
なお、テレビジョン装置9600は、受信機やモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができ、さらにモデムを介して有線または無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)または双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
【0456】
図29(B)は、デジタルフォトフレームの一例を示している。例えば、デジタルフォトフレーム9700は、筐体9701に表示部9703が組み込まれている。表示部9703は、各種画像を表示することが可能であり、例えばデジタルカメラなどで撮影した画像データを表示させることで、通常の写真立てと同様に機能させることができる。
【0457】
なお、デジタルフォトフレーム9700は、操作部、外部接続用端子(USB端子、USBケーブルなどの各種ケーブルと接続可能な端子など)、記録媒体挿入部などを備える構成とする。これらの構成は、表示部と同一面に組み込まれていてもよいが、側面や裏面に備えるとデザイン性が向上するため好ましい。例えば、デジタルフォトフレームの記録媒体挿入部に、デジタルカメラで撮影した画像データを記憶したメモリを挿入して画像データを取り込み、取り込んだ画像データを表示部9703に表示させることができる。
【0458】
また、デジタルフォトフレーム9700は、無線で情報を送受信出来る構成としてもよい。無線により、所望の画像データを取り込み、表示させる構成とすることもできる。
【0459】
図30(A)は携帯型遊技機であり、筐体9881と筐体9891の2つの筐体で構成されており、連結部9893により、開閉可能に連結されている。筐体9881には表示部9882が組み込まれ、筐体9891には表示部9883が組み込まれている。また、図30(A)に示す携帯型遊技機は、その他、スピーカ部9884、記録媒体挿入部9886、LEDランプ9890、入力手段(操作キー9885、接続端子9887、センサ9888(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン9889)等を備えている。もちろん、携帯型遊技機の構成は上述のものに限定されず、少なくとも本発明の一態様に係る半導体装置を備えた構成であればよく、その他付属設備が適宜設けられた構成とすることができる。図30(A)に示す携帯型遊技機は、記録媒体に記録されているプログラム又はデータを読み出して表示部に表示する機能や、他の携帯型遊技機と無線通信を行って情報を共有する機能を有する。なお、図30(A)に示す携帯型遊技機が有する機能はこれに限定されず、様々な機能を有することができる。
【0460】
図30(B)は大型遊技機であるスロットマシンの一例を示している。スロットマシン9900は、筐体9901に表示部9903が組み込まれている。また、スロットマシン9900は、その他、スタートレバーやストップスイッチなどの操作手段、コイン投入口、スピーカなどを備えている。もちろん、スロットマシン9900の構成は上述のものに限定されず、少なくとも本発明の一態様に係る半導体装置を備えた構成であればよく、その他付属設備が適宜設けられた構成とすることができる。
【0461】
図31は、携帯電話機の一例を示している。携帯電話機1000は、筐体1001に組み込まれた表示部1002の他、操作ボタン1003、外部接続ポート1004、スピーカ1005、マイク1006などを備えている。
【0462】
図31に示す携帯電話機1000は、表示部1002を指などで触れることで、情報を入力することができる。また、電話を掛ける、或いはメールを作成するなどの操作は、表示部1002を指などで触れることにより行うことができる。
【0463】
表示部1002の画面は主として3つのモードがある。第1は、画像の表示を主とする表示モードであり、第2は、文字等の情報の入力を主とする入力モードである。第3は表示モードと入力モードの2つのモードが混合した表示+入力モードである。
【0464】
例えば、電話を掛ける、或いはメールを作製する場合は、表示部1002を文字の入力を主とする文字入力モードとし、画面に表示させた文字の入力操作を行えばよい。この場合、表示部1002の画面のほとんどにキーボードまたは番号ボタンを表示させることが好ましい。
【0465】
また、携帯電話機1000内部に、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサを有する検出装置を設けることで、携帯電話機1000の向き(縦か横か)を判断して、表示部1002の画面表示を自動的に切り替えるようにすることができる。
【0466】
また、画面モードの切り替えは、表示部1002を触れること、又は筐体1001の操作ボタン1003の操作により行われる。また、表示部1002に表示される画像の種類によって切り替えるようにすることもできる。例えば、表示部に表示する画像信号が動画のデータであれば表示モード、テキストデータであれば入力モードに切り替える。
【0467】
また、入力モードにおいて、表示部1002の光センサで検出される信号を検知し、表示部1002のタッチ操作による入力が一定期間ない場合には、画面のモードを入力モードから表示モードに切り替えるように制御してもよい。
【0468】
表示部1002は、イメージセンサとして機能させることもできる。例えば、表示部1002に掌や指で触れ、掌紋、指紋等を撮像することで、本人認証を行うことができる。また、表示部に近赤外光を発光するバックライトまたは近赤外光を発光するセンシング用光源を用いれば、指静脈、掌静脈などを撮像することもできる。
【0469】
以上の工程により、動作の安定性に優れたトランジスタを搭載した表示装置を作製できる。以上の電子機器は動作の安定性に優れたトランジスタを搭載しているため、信頼性が高い。
【0470】
(実施の形態11)
本実施の形態では、半導体装置の一形態として、実施の形態1または実施の形態3で示すトランジスタを有する液晶素子を用いた液晶表示装置の例を図32乃至図35を用いて説明する。図32乃至図35の液晶表示装置に用いられるTFT628、TFT629は、実施の形態1で示すトランジスタを適用することができ、実施の形態2で示す工程と同様の方法で作製できる電気特性及び信頼性の高いトランジスタである。TFT628及びTFT629は、酸化物半導体層をチャネル形成領域とするトランジスタである。図32乃至図35では、トランジスタの一例として図1(B)に示すトランジスタと同様の方法で作製できるトランジスタを用いる場合について説明するが、これに限定されるものではない。
【0471】
以下、VA(Vertical Alignment)型の液晶表示装置について示す。VA型とは、液晶表示パネルの液晶分子の配列を制御する方式の一種である。VA型の液晶表示装置は、電圧が印加されていないときにパネル面に対して液晶分子が垂直方向を向く方式である。本実施の形態では、特に画素(ピクセル)をいくつかの領域(サブピクセル)に分け、それぞれ別の方向に分子を倒すよう工夫されている。これをマルチドメイン化あるいはマルチドメイン設計という。以下の説明では、マルチドメイン設計が考慮された液晶表示装置について説明する。
【0472】
図33及び図34は、それぞれ画素電極及び対向電極を示している。なお、図33は画素電極が形成される基板側の上面図であり、図中に示す切断線E−Fに対応する断面構造を図32に表している。また、図34は対向電極が形成される基板側の上面図である。以下の説明ではこれらの図を参照して説明する。
【0473】
図32は、TFT628とそれに接続する画素電極624、及び保持容量部630が形成された基板600と、対向電極640等が形成される対向基板601とが重ね合わせられ、液晶が注入された状態を示している。
【0474】
対向基板601には、着色層636、対向電極640が形成され、対向電極640上に突起644が形成されている。画素電極624上には配向膜648が形成され、同様に対向電極640及び突起644上にも配向膜646が形成されている。基板600と対向基板601の間に液晶層650が形成されている。
【0475】
基板600上には、TFT628とそれに接続する画素電極624、及び保持容量部630が形成される。画素電極624は、TFT628、配線618、及び保持容量部630を覆う絶縁層620、絶縁層620を覆う第3絶縁層622をそれぞれ貫通するコンタクトホール623で、配線618と接続する。TFT628は実施の形態1または実施の形態3で示すトランジスタを適宜用いることができる。また、保持容量部630は、TFT628のゲート配線602と同時に形成した第1の容量配線である容量配線604と、ゲート絶縁層606と、配線616、618と同時に形成した第2の容量配線である容量配線617で構成される。
【0476】
画素電極624と液晶層650と対向電極640が重なり合うことで、液晶素子が形成されている。
【0477】
図33に基板600上の構造を示す。画素電極624は、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム錫酸化物(以下、ITOと示す。)、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの透光性の導電性材料を用いることができる。
【0478】
また、画素電極624として、導電性高分子(導電性ポリマーともいう)を含む導電性組成物を用いて形成することができる。導電性組成物を用いて形成した画素電極は、シート抵抗が10000Ω/□以下、波長550nmにおける透光率が70%以上であることが好ましい。また、導電性組成物に含まれる導電性高分子の抵抗率が0.1Ω・cm以下であることが好ましい。
【0479】
導電性高分子としては、いわゆるπ電子共役系導電性高分子が用いることができる。例えば、ポリアニリンまたはその誘導体、ポリピロールまたはその誘導体、ポリチオフェンまたはその誘導体、若しくはこれらの2種以上の共重合体などがあげられる。
【0480】
画素電極624にはスリット625を設ける。スリット625は液晶の配向を制御するためのものである。
【0481】
図33に示すTFT629とそれに接続する画素電極626及び保持容量部631は、それぞれTFT628、画素電極624及び保持容量部630と同様に形成することができる。TFT628とTFT629は共に配線616と接続している。この液晶表示パネルの画素(ピクセル)は、画素電極624と画素電極626により構成されている。画素電極624と画素電極626はサブピクセルである。
【0482】
図34に対向基板側の構造を示す。対向電極640は、画素電極624と同様の材料を用いて形成することが好ましい。対向電極640上には液晶の配向を制御する突起644が形成されている。
【0483】
この画素構造の等価回路を図35に示す。TFT628とTFT629は、共にゲート配線602、配線616と接続している。この場合、容量配線604と容量配線605の電位を異ならせることで、液晶素子651と液晶素子652の動作を異ならせることができる。すなわち、容量配線604と容量配線605の電位を個別に制御することにより液晶の配向を精密に制御して視野角を広げている。
【0484】
スリット625を設けた画素電極624に電圧を印加すると、スリット625の近傍には電界の歪み(斜め電界)が発生する。このスリット625と、対向基板601側の突起644とを交互に咬み合うように配置することで、斜め電界が効果的に発生させて液晶の配向を制御することで、液晶が配向する方向を場所によって異ならせている。すなわち、マルチドメイン化して液晶表示パネルの視野角を広げている。
【0485】
次に、上記とは異なるVA型の液晶表示装置について、図36乃至図39を用いて説明する。
【0486】
図36と図37は、VA型液晶表示パネルの画素構造を示している。図37は基板600の上面図であり、図中に示す切断線Y−Zに対応する断面構造を図36に表している。以下の説明ではこの両図を参照して説明する。
【0487】
この画素構造は、一つの画素に複数の画素電極が有り、それぞれの画素電極にTFTが接続されている。各TFTは、異なるゲート信号で駆動されるように構成されている。すなわち、マルチドメイン設計された画素において、個々の画素電極に印加する信号を、独立して制御する構成を有している。
【0488】
画素電極624はコンタクトホール623において、配線618でTFT628と接続している。また、画素電極626はコンタクトホール627において、配線619でTFT629と接続している。TFT628のゲート配線602と、TFT629のゲート配線603には、異なるゲート信号を与えることができるように分離されている。一方、データ線として機能する配線616は、TFT628とTFT629で共通に用いられている。TFT628とTFT629は実施の形態1または実施の形態3で示すトランジスタを適宜用いることができる。また、容量配線690が設けられている。
【0489】
画素電極624と画素電極626の形状は異なっており、スリットによって分離されている。V字型に広がる画素電極624の外側を囲むように画素電極626が形成されている。画素電極624と画素電極626に印加する電圧のタイミングを、TFT628及びTFT629により異ならせることで、液晶の配向を制御している。この画素構造の等価回路を図39に示す。TFT628はゲート配線602と接続し、TFT629はゲート配線603と接続している。ゲート配線602とゲート配線603は異なるゲート信号を与えることで、TFT628とTFT629の動作タイミングを異ならせることができる。
【0490】
対向基板601には、着色層636、対向電極640が形成されている。また、着色層636と対向電極640の間には平坦化層637が形成され、液晶の配向乱れを防いでいる。図38に対向基板側の構造を示す。対向電極640は異なる画素間で共通化されている電極であるが、スリット641が形成されている。このスリット641と、画素電極624及び画素電極626側のスリット625とを交互に咬み合うように配置することで、斜め電界が効果的に発生させて液晶の配向を制御することができる。これにより、液晶が配向する方向を場所によって異ならせることができ、視野角を広げている。
【0491】
画素電極624と液晶層650と対向電極640が重なり合うことで、第1の液晶素子が形成されている。また、画素電極626と液晶層650と対向電極640が重なり合うことで、第2の液晶素子が形成されている。また、一画素に第1の液晶素子と第2の液晶素子が設けられたマルチドメイン構造である。
【0492】
本実施の形態では、実施の形態1または実施の形態3で示すトランジスタを有する液晶表示装置としてVA型の液晶表示装置について説明したが、IPS型の液晶表示装置や、TN型の液晶表示装置などについても適用可能である。
【0493】
実施の形態2に示すトランジスタの作製方法を用いて上記液晶表示装置の画素部のトランジスタを作製することにより、各画素のトランジスタのしきい値電圧のバラツキに起因する表示ムラを抑制することができる。
【0494】
(実施の形態12)
本実施の形態では、実施の形態1または実施の形態3とは異なる構成の表示装置の回路付き基板の一形態を、図40を用いて説明する。
【0495】
表示装置に設ける画素の構成を図40に示す。図40は画素の積層構成を示す断面図である。
【0496】
断面A1−A2は、画素部で用いられるトランジスタ153の積層構造を示している。トランジスタ153はボトムゲート構造の一態様である。
【0497】
また、断面B1−B2は画素部に形成される容量部の積層構造を示している。
【0498】
また、断面C1−C2はゲート配線とソース配線の交差部の積層構造を示している。
【0499】
本実施の形態で例示する表示装置の回路付き基板のトランジスタは、チャネル保護層を有している点が実施の形態1で例示する表示装置の回路付き基板となる。また、ゲート配線とソース配線の交差部の構成が異なる。
【0500】
具体的には、トランジスタ153の酸化物半導体層113aのチャネル形成領域上にチャネル保護層として機能する第4の絶縁層114aが設けられている。また、ゲート配線とソース配線の交差部において、第1の導電層で形成されるゲート配線111cと第2の導電層で形成されるソース配線115cの間に第4の絶縁層114bが挟まれている。
【0501】
本実施の形態で例示する表示装置の回路付き基板は、実施の形態1で例示する表示装置の回路付き基板と、第4の絶縁層114a、及び第4の絶縁層114bを設けた構成以外は同じであるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0502】
本実施の形態において、第4の絶縁層は酸化珪素(SiO(x>0))層を用い、膜厚は300nmとする。また、第4の絶縁層は酸化珪素の他、アルミニウム、タンタル、イットリウム、またはハフニウムの酸化物、窒化物、酸化窒化物、又は窒化酸化物の一種又はそれらの化合物を積層して用いることができる。
【0503】
本実施の形態では、酸化物半導体層を高純度化した後に第4の絶縁層を形成する。第4の絶縁層は、高純度化された酸化物半導体層を汚染しないように、水、水素等の不純物が混入しない方法(例えばスパッタリング法など)を選択して用いる。
【0504】
酸化物半導体層に接する第4の絶縁層に例えば1nm以上の膜厚の酸化珪素(SiO(x>0))層を形成する場合、珪素ターゲットが好ましい。珪素ターゲットを用いて、酸素、及び希ガス雰囲気下でスパッタリング法により成膜した酸化珪素膜は、珪素原子または酸素原子の未結合手(ダングリングボンド)を多く含んでいる。
【0505】
酸化物半導体層に残存する不純物は、珪素原子または酸素原子の未結合手(ダングリングボンド)を多く含む第4の絶縁層に拡散し、固定化される。具体的には、酸化物半導体層に含まれる水素原子や、HOなど水素原子を含む化合物等が第4の絶縁層に拡散移動し易くなり、第4の絶縁層に固定化される。
【0506】
第4の絶縁層は、純度が6Nであり、柱状多結晶Bドープの珪素ターゲット(抵抗値0.01Ωcm)を用い、基板とターゲットの間との距離(T−S間距離)を89mm、圧力0.4Pa、直流(DC)電源6kW、酸素(酸素流量比率100%)雰囲気下でパルスDCスパッタ法により成膜する。
【0507】
成膜時の基板温度は、室温以上300℃以下とすればよく、本実施の形態では100℃とする。
【0508】
酸化珪素膜のスパッタリング法による成膜は高純度のガスと、クライオポンプを搭載したスパッタリング装置を用いて行う。また、希ガス(代表的にはアルゴン)雰囲気下、酸素雰囲気下、または希ガス(代表的にはアルゴン)及び酸素雰囲気下において行うことができる。なお、スパッタ法で形成した酸化物絶縁膜は特に緻密であり、接する層へ不純物が拡散する現象を抑制する保護膜として単層であっても利用することができる。
【0509】
また、ターゲットとして酸化珪素ターゲットまたは珪素ターゲットを用いることができる。また、リン(P)や硼素(B)をドープしたターゲットを用い、酸化物絶縁膜にリン(P)や硼素(B)を添加することもできる。
【0510】
次いで、第4の絶縁層上にフォトリソグラフィ法またはインクジェット法等によりマスクを形成し、該マスクを用いてエッチングして、第4の絶縁層114a、及び第4の絶縁層114bを形成する。
【0511】
本実施の形態では、高純度化された酸化物半導体層に酸化物絶縁層からなる第4の絶縁層が接して形成される。酸化物半導体層に残存する不純物は、第4の絶縁層に拡散し固定化される。また、第4の絶縁層が含む酸化物絶縁層から酸化物半導体層に酸素が供給され、酸化物半導体層における酸素の欠損を低減できる。
【0512】
また、ゲート配線とソース配線の交差部に、酸化物半導体層と酸化物絶縁膜を挟むことにより、配線間の距離を広げ、交差部に生じる容量を低減できる。
【0513】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0514】
10 パルス出力回路
11 配線
12 配線
13 配線
14 配線
15 配線
16 配線
17 配線
21 入力端子
22 入力端子
23 入力端子
24 入力端子
25 入力端子
26 出力端子
27 出力端子
31 トランジスタ
32 トランジスタ
33 トランジスタ
34 トランジスタ
35 トランジスタ
36 トランジスタ
37 トランジスタ
38 トランジスタ
39 トランジスタ
40 トランジスタ
41 トランジスタ
51 電源線
52 電源線
53 電源線
61 期間
62 期間
100 基板
101 下地膜
102 絶縁層
102a 絶縁層
102b 絶縁層
103 酸化物半導体膜
107 絶縁層
107a 絶縁層
107b 絶縁層
108 絶縁層
109 画素電極
111a ゲート電極
111b 容量配線
111c ゲート配線
113a 酸化物半導体層
113b 酸化物半導体層
114a 絶縁層
114b 絶縁層
115a 電極
115b 電極
115c ソース配線
128 コンタクトホール
151 トランジスタ
152 トランジスタ
153 トランジスタ
400 基板
402 絶縁層
404a 酸化物半導体層
404b 酸化物半導体層
408 コンタクトホール
410a 配線
410b 配線
410c 配線
421a ゲート電極
421b ゲート電極
422a 電極
422b 電極
428 絶縁層
440A トランジスタ
440B トランジスタ
455a 電極
455b 電極
455c 電極
455d 電極
581 トランジスタ
585 絶縁層
587 電極層
588 電極層
589 球形粒子
590a 黒色領域
590b 白色領域
594 キャビティ
595 充填材
600 基板
601 対向基板
602 ゲート配線
603 ゲート配線
604 容量配線
605 容量配線
606 ゲート絶縁層
616 配線
617 容量配線
618 配線
619 配線
620 絶縁層
622 絶縁層
623 コンタクトホール
624 画素電極
625 スリット
626 画素電極
627 コンタクトホール
628 TFT
629 TFT
630 保持容量部
631 保持容量部
636 着色層
637 平坦化層
640 対向電極
641 スリット
644 突起
646 配向膜
648 配向膜
650 液晶層
651 液晶素子
652 液晶素子
690 容量配線
1000 携帯電話機
1001 筐体
1002 表示部
1003 操作ボタン
1004 外部接続ポート
1005 スピーカ
1006 マイク
2600 TFT基板
2601 対向基板
2602 シール材
2603 画素部
2604 表示素子
2605 着色層
2606 偏光板
2607 偏光板
2608 配線回路部
2609 フレキシブル配線基板
2610 冷陰極管
2611 反射板
2612 回路基板
2613 拡散板
2631 ポスター
2632 車内広告
2700 電子書籍
2701 筐体
2703 筐体
2705 表示部
2707 表示部
2711 軸部
2721 電源
2723 操作キー
2725 スピーカ
4001 基板
4002 画素部
4003 信号線駆動回路
4004 走査線駆動回路
4005 シール材
4006 基板
4008 液晶層
4010 トランジスタ
4011 トランジスタ
4013 液晶素子
4015 接続端子電極
4016 端子電極
4018 FPC
4019 異方性導電膜
4020 絶縁層
4021 絶縁層
4030 画素電極層
4031 対向電極層
4032 絶縁層
4040 導電層
4501 基板
4502 画素部
4503a 信号線駆動回路
4504a 走査線駆動回路
4505 シール材
4506 基板
4507 充填材
4509 トランジスタ
4510 トランジスタ
4511 発光素子
4512 電界発光層
4513 電極層
4515 接続端子電極
4516 端子電極
4517 電極層
4518a FPC
4519 異方性導電膜
4520 隔壁
4540 導電層
4544 絶縁層
5300 基板
5301 画素部
5302 走査線駆動回路
5303 走査線駆動回路
5304 信号線駆動回路
5305 タイミング制御回路
5601 シフトレジスタ
5602 スイッチング回路
5603 トランジスタ
5604 配線
5605 配線
6400 画素
6401 スイッチング用トランジスタ
6402 駆動用トランジスタ
6403 容量素子
6404 発光素子
6405 信号線
6406 走査線
6407 電源線
6408 共通電極
7001 駆動用TFT
7002 発光素子
7003 電極
7004 EL層
7005 電極
7008 電極
7009 隔壁
7010 基板
7011 駆動用TFT
7012 発光素子
7013 電極
7014 EL層
7015 電極
7016 遮蔽膜
7017 導電膜
7019 隔壁
7020 基板
7021 駆動用TFT
7022 発光素子
7023 電極
7024 EL層
7025 電極
7027 導電膜
7029 隔壁
7030 ゲート絶縁層
7032 絶縁層
7033 カラーフィルタ層
7034 オーバーコート層
7035 保護絶縁層
7040 ゲート絶縁層
7042 絶縁層
7043 カラーフィルタ層
7044 オーバーコート層
7045 保護絶縁層
7052 保護絶縁層
7053 平坦化絶縁層
7055 絶縁層
9600 テレビジョン装置
9601 筐体
9603 表示部
9605 スタンド
9607 表示部
9609 操作キー
9610 リモコン操作機
9700 デジタルフォトフレーム
9701 筐体
9703 表示部
9881 筐体
9882 表示部
9883 表示部
9884 スピーカ部
9885 操作キー
9886 記録媒体挿入部
9887 接続端子
9888 センサ
9889 マイクロフォン
9890 LEDランプ
9891 筐体
9893 連結部
9900 スロットマシン
9901 筐体
9903 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に窒化珪素を含む絶縁性の下地膜と、
前記下地膜上に第1の導電層からなるゲート電極と、
前記ゲート電極上に窒化珪素を含む第1の絶縁層と、
前記第1の絶縁層上に高純度化された酸化物半導体層と、
前記ゲート電極上に端部を重畳し、前記高純度化された酸化物半導体層に接する第2の導電層からなるソース電極及びドレイン電極を有し、
前記第2の導電層と前記高純度化された酸化物半導体層上に窒化珪素を含む第2の絶縁層を有し、
前記第1の導電層で形成されるゲート配線と、
前記第2の導電層で形成されるソース配線を有し、
前記第1の導電層、及び前記第2の導電層が銅を主成分とする導電層を含み、
前記高純度化された酸化物半導体層のキャリア濃度が、1×1012cm−3未満である半導体装置。
【請求項2】
前記第2の導電層の銅を主成分とする導電層が、導電性の金属窒化物を介して前記高純度化された酸化物半導体層と接続する
請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1の導電層で形成されるゲート配線と、第2の導電層で形成されるソース配線が、高純度化された酸化物半導体層を間に挟んで交差する
請求項1または請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記下地膜と前記第1の絶縁層に含まれる同種の絶縁層が前記第1の導電層の周囲を囲んで接し、
前記第1の絶縁層と前記第2の絶縁層に含まれる同種の絶縁層が前記第2の導電層の周囲を囲んで接する
請求項1乃至請求項3記載の半導体装置。
【請求項5】
基板上に窒化珪素を含む絶縁性の下地膜を形成し、
前記下地膜上に第1の導電層からなるゲート電極、及びゲート配線を形成し、
前記第1の導電層上に窒化珪素を含む第1の絶縁層を形成し、
前記第1の絶縁層上に酸化物半導体層を形成し、
窒素中で前記酸化物半導体層を設けた基板の温度を350℃以上700℃以下に加熱した後、酸素を含む乾燥気体中で冷却し、
前記ゲート電極上に端部を重畳し、前記酸化物半導体層に電気的に接続する第2の導電層からなるソース電極及びドレイン電極、並びに前記第1の絶縁層上にソース配線を形成し、
前記第2の導電層と酸化物半導体層上に窒化珪素を含む第2の絶縁層を形成する半導体装置の作製方法。
【請求項6】
前記酸化物半導体層を設けた前記基板を窒素中で加熱し、
前記基板の温度を350℃以上700℃以下にした後に冷却し、
前記基板を、酸素を含む乾燥気体中で加熱し、
前記基板の温度を350℃以上700℃以下にした後に冷却する請求項5記載の半導体装置の作製方法。
【請求項7】
前記酸化物半導体層を設けた前記基板を窒素中で加熱し、
前記基板の温度を350℃以上700℃以下にし、
前記基板の温度を保ちつつ酸素を含む乾燥気体中で加熱し、
酸素を含む乾燥気体中で冷却する請求項5記載の半導体装置の作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【公開番号】特開2011−135061(P2011−135061A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−262065(P2010−262065)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】