説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】 多層配線構造を含む半導体装置のマイグレーション耐性を高めて歩留まりを向上させる。
【解決手段】 半導体装置100は、半導体基板(不図示)上の第1の層間絶縁膜106中に設けられた第1の配線112と、第1の配線112上に、第1の配線112に接続して設けられたビア128と、第1の配線112の上部において、ビア128の底部との接続箇所に選択的に形成され、第1の配線112を構成する主成分の金属と当該金属と異なる異種元素とを含む異種元素含有導電膜114とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置において、低抵抗化を目的として、金属配線として銅配線が用いられるようになっている。しかし、銅配線を用いた場合、銅配線と接続されるビア形成用のビアホール底部における銅配線のエレクトロマイグレーションやストレスマイグレーションが問題となっている。特許文献1には、銅含有金属により構成された銅配線の上部に銅シリサイドを形成し、その上にビアを形成する技術が開示されている。これにより、銅配線のマイグレーション耐性を高めることができる。
【0003】
特許文献2には、バリア膜にはさまれたCu膜からなる積層構造の配線をシランガスにさらし、配線のうちの銅が露出した部分のみに銅シリサイド層を選択的に形成する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2004−96052号公報
【特許文献2】特開平9−321045号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記文献記載の従来技術は、以下の点で改善の余地を有していた。
特許文献1に記載の技術による銅シリサイドの形成方法では、銅配線の上部全面に銅シリサイドが形成される。そのため、銅配線の配線抵抗が高くなるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、
半導体基板と、
前記半導体基板上の絶縁膜中に設けられた配線と、
前記配線上に、当該配線に接続して設けられたビアと、
前記配線の上部において、前記ビアの底部との接続箇所に選択的に形成され、前記配線を構成する主成分の金属と当該金属と異なる異種元素とを含む異種元素含有導電膜と、
を含む半導体装置が提供される。
【0006】
本発明によれば、
半導体基板上に、配線を形成する工程と、
前記配線を覆うように絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜を選択的に除去して前記配線の上面に達するビアホールを形成する工程と、
前記配線の上面の露出した部分に選択的に前記配線を構成する主成分の金属と、当該金属と異なる異種元素とを含む異種元素含有導電膜を形成する工程と、
前記ビアホール内を金属材料で埋め込み、前記配線と接続するビアを形成する工程と、
を含む半導体装置の製造方法が提供される。
【0007】
この発明によれば、配線の上部において、ビアの底部との接続箇所に異種元素含有導電膜が選択的に形成されているので、配線のマイグレーション耐性を高めるとともに、配線の抵抗の上昇を抑えることができる。また、ビアを形成するためのビアホールが形成された絶縁膜をマスクとして異種元素含有導電膜を形成することができるため、新たなフォトレジスト工程等を追加することなく、ビアの底部に選択的に異種元素含有導電膜を形成することができる。
【0008】
配線は、配線金属膜の周囲にバリアメタル膜が形成された構成を有することができる。この場合、「配線を構成する主成分の金属」は、配線金属膜を主として構成する金属とすることができる。配線を構成する主成分の金属は、銅や銀等の貴金属とすることができる。
【0009】
配線を構成する主成分の金属が銅(Cu)の場合、異種元素は、Si、Ag、W、Mg、Be、Zn、Pd、Cd、Au、Hg、Be、Pt、Si、Zr、Ti、または、Snから選択される一又は二以上の元素を含むことができる。また、配線を構成する主成分の金属が銀(Ag)の場合、異種元素は、Si、Cu、W、Mg、Be、Zn、Pd、Cd、Au、Hg、Be、Pt、Si、Zr、Ti、または、Snから選択される一又は二以上の元素を含むことができる。異種元素としてSiを用いた場合、配線金属膜表面をシリサイド化して、シリサイド層をすることができ、配線のマイグレーション耐性を高めることができる。また、異種元素含有導電膜を配線を構成する主成分の金属と異種元素との合金により構成することにより、強度を向上することができる。これにより、配線の表面が保護され、配線のストレスマイグレーションを低減することができる。
【0010】
また、本発明の半導体装置において、前記配線の上部において、前記異種元素含有導電膜が形成された領域以外の領域に、前記主成分の金属に対する拡散防止機能を有する膜が形成された構成とすることができる。ここで、拡散防止機能を有する膜は、たとえばSiC、SiCN、SiOC、またはSiON等のバリア絶縁膜とすることもでき、また、たとえばCoWP、NiWP、CoWB、またはNiWB等のキャップメタル膜とすることもできる。
【0011】
本発明によれば、
半導体基板と、
前記半導体基板上の絶縁膜中に設けられ、銅含有金属膜により構成された配線と、
前記配線上に、当該配線に接続して設けられたビアと、
前記配線の上部において、前記ビアの底部との接続箇所に選択的に形成された銅シリサイド層と、
を含む半導体装置が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、多層配線構造を含む半導体装置のマイグレーション耐性を高めて歩留まりを向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0014】
図1は、本実施の形態における半導体装置の構成の一例を示す断面図である。
半導体装置100は、半導体基板(不図示)上に、絶縁膜102、第1のエッチングストッパ膜104、第1の層間絶縁膜106、バリア絶縁膜116、第2の層間絶縁膜118、第2のエッチングストッパ膜120および第3の層間絶縁膜122がこの順で形成された構成を有する。第1のエッチングストッパ膜104および第1の層間絶縁膜106には、バリアメタル膜108および配線金属膜110により構成された第1の配線112が形成されている。バリア絶縁膜116および第2の層間絶縁膜118には、バリアメタル膜124およびビア金属膜126により構成されたビア128が形成されている。第2のエッチングストッパ膜120および第3の層間絶縁膜122には、バリアメタル膜130および配線金属膜132により構成された第2の配線134が形成されている。また、本実施の形態において、第1の配線112の上部において、ビア128の底部との接続箇所に、第1の配線112の配線金属膜110を構成する主成分の金属と当該金属と異なる異種元素とを含む異種元素含有導電膜114が選択的に形成されている。
【0015】
本実施の形態において、半導体基板は、トランジスタ等の素子が形成されたシリコン基板とすることができる。
【0016】
本実施の形態において、第1の配線112および第2の配線134にそれぞれ含まれる配線金属膜110および配線金属膜132は、銅を主成分として含む配線金属膜により構成することができる。
【0017】
第1の配線112および第2の配線134にそれぞれ含まれるバリアメタル膜108およびバリアメタル膜130は、たとえばTi、W、Ta等の高融点金属を含む。好ましいバリアメタル膜としては、たとえば、Ti、TiN、W、WN、Ta、TaN等が例示される。特に、TaNおよびTaが積層したタンタル系バリアメタルが好ましく用いられる。
【0018】
ビア128のビア金属膜126は、配線金属膜110や配線金属膜132と同様、銅含有金属膜により構成することができる。また、バリアメタル膜124は、バリアメタル膜108やバリアメタル膜130と同様のバリアメタル膜により構成することができる。また、ビア128は、たとえばW等の材料を埋め込んだ構成とすることもできる。
【0019】
本実施の形態において、第1の層間絶縁膜106および第3の層間絶縁膜122は、たとえば、比誘電率が3.3以下、より好ましくは2.9以下の低誘電率膜とすることができる。第1の層間絶縁膜106および第3の層間絶縁膜122は、たとえば、SiOC(SiOCH)、メチルシルセスキオキサン(MSQ)、水素化メチルシルセスキオキサン(MHSQ)、有機ポリシロキサンまたはこれらの膜をポーラス化したもの等により構成することができる。第1の層間絶縁膜106および第3の層間絶縁膜122は、同じ材料により構成することもでき、異なる材料により構成することもできる。本実施の形態において、第2の層間絶縁膜118は、たとえばシリコン酸化膜により構成することができる。また、第2の層間絶縁膜118も第1の層間絶縁膜106や第3の層間絶縁膜122と同様の低誘電率膜により構成することもできる。
【0020】
また、本実施の形態において、第1のエッチングストッパ膜104および第2のエッチングストッパ膜120は、たとえばSiC、SiCN、SiOC、またはSiONにより構成することができる。また、本実施の形態において、バリア絶縁膜116は、たとえばSiC、SiCN、SiOC、またはSiONにより構成することができる。第1のエッチングストッパ膜104、第2のエッチングストッパ膜120およびバリア絶縁膜116は、銅拡散防止膜として機能する。
【0021】
本実施の形態において、異種元素含有導電膜114は、銅とSiとを含む銅シリサイド層とすることができる。シリサイド化は、たとえば、配線金属膜110表面にSiを含むガスを照射することにより行われる。Siを含むガスとしては、たとえば、モノシラン、ジシラン、トリシラン、またはテトラシランを窒素等の不活性ガスで希釈したものを用いることができる。このように、珪素を含むガスを不活性ガスで希釈することにより、シリサイド化の速度を緩めることができ、銅シリサイド層の膜厚を所望の厚みに制御することができる。
【0022】
配線を銅等のエレクトロマイグレーションやストレスマイグレーションが生じやすい材料を主成分として構成した場合、配線とビアとの接続箇所、すなわちビア底部でとくにマイグレーションが生じやすくなる。本実施の形態において、ビア128底部に異種元素含有導電膜114を形成することにより、第1の配線112のマイグレーション耐性を向上させることができる。また、第1の配線112の抵抗の上昇を抑えることもできる。
【0023】
図2は、本実施の形態における半導体装置100の製造手順の一部を示すフローチャートである。ここでは、第1の配線112および異種元素含有導電膜114を形成する工程を説明する。また、以下では、シングルダマシンプロセスにより配線を形成する例を示す。以下、図1も参照して説明する。
【0024】
まず、半導体基板(不図示)上に形成された第1のエッチングストッパ膜104および第1の層間絶縁膜106にトレンチ溝を形成する。つづいて、半導体基板上全面にバリアメタル膜108を形成し、トレンチ溝の底部および側壁にバリアメタル膜108を形成する。次いで、半導体基板上全面に配線金属膜110を形成し、トレンチ溝内を配線金属膜110で埋め込む。その後、トレンチ溝外部に露出した配線金属膜110およびバリアメタル膜108を化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)により除去する。これにより、第1の配線112が形成される(S10)。
【0025】
つづいて、第1の層間絶縁膜106上にバリア絶縁膜116および第2の層間絶縁膜118(絶縁膜)を形成する(S12)。次いで、第2の層間絶縁膜118およびバリア絶縁膜116にビアホールを形成し、第1の配線112の配線金属膜110表面を露出させる(S14)。その後、ビアホール底部にシランガスを照射するか、またはSi注入を行う等により、配線金属膜110の露出した表面に異種元素含有導電膜114を形成する(S16)。つづいて、半導体基板上全面にバリアメタル膜124およびビア金属膜126を順次形成し、ビアホール内をバリアメタル膜124およびビア金属膜126で埋め込む。その後、ビアホール外部に露出したビア金属膜126およびバリアメタル膜124をCMPで除去することにより、ビア128が形成される(S18)。
【0026】
以上のような工程により、第1の配線112において、ビア128底部との接続箇所に選択的に異種元素含有導電膜114を形成することができる。このように、半導体装置100の積層構造形成時に形成されるビアホールをパターン形状として異種元素含有導電膜114を形成するため、新たにフォトレジスト工程を追加することなく、異種元素含有導電膜114を選択的にビア128の底部に形成することができる。
【0027】
図3〜図5は、本実施の形態における半導体装置100の製造手順を示す工程断面図である。以下、図1に示した半導体装置100の製造方法について、図3〜図5を参照して詳細に説明する。
【0028】
図3(a)は、第1のエッチングストッパ膜104および第1の層間絶縁膜106に第1の配線112が形成された構造を示す。この構造は、以下の手順で形成することができる。まず、絶縁膜102上に第1のエッチングストッパ膜104および第1の層間絶縁膜106を形成する。つづいて、第1の層間絶縁膜106上に、所定形状にパターニングされたレジスト膜(不図示)を設け、第1のエッチングストッパ膜104および第1の層間絶縁膜106を段階的にエッチングする。
【0029】
次いで、スパッタリング法、CVD等の方法により、基板全面にバリアメタル膜108を形成する。バリアメタル膜108は、たとえば、TaおよびTaNの積層膜とすることができる。その後、バリアメタル膜108上に、配線金属膜110を形成する。配線金属膜110は、たとえばめっき法により形成することができる。ここで、配線金属膜110は、銅を主成分として含む銅含有金属膜とすることができる。
【0030】
つづいて、トレンチ溝外部に形成された不要な配線金属膜110およびバリアメタル膜108をCMPにより除去し、トレンチ溝内部にのみ配線金属膜110およびバリアメタル膜108を残すようにして第1の配線112を形成する。次いで、第1の層間絶縁膜106上に、第1の配線112を覆うようにバリア絶縁膜116および第2の層間絶縁膜118を順次形成する(図3(a))。
【0031】
その後、リソグラフィ法により、第2の層間絶縁膜118上に所定形状の開口を有するレジスト膜(不図示)を形成し、第2の層間絶縁膜118をバリア絶縁膜116が露出するまでエッチングする。つづいて、エッチングガスを代えてバリア絶縁膜116をエッチングしてビアホール140を形成し、配線金属膜110の上面を露出させる(図3(b))。このとき、第2の層間絶縁膜118上に形成されたレジスト膜も剥離することができる。
【0032】
その後、Siを含むガスの照射を行う(図3(c))。これにより、ビアホール140底部に露出した配線金属膜110の銅とSiとを反応させ、配線金属膜110の露出した部分に銅シリサイド層により構成される異種元素含有導電膜114を形成する(図3(d))。Siを含むガスは、シランガスとすることができる。シランガスの照射は、たとえば、SiHおよびN等の不活性ガスの混合ガスを用いて行うことができる。
【0033】
また、他の例において、第2の層間絶縁膜118上に形成されたレジスト膜を剥離する前に、レジスト膜および第2の層間絶縁膜118をマスクとして、ビアホール140底部に露出した配線金属膜110にSi注入を行うとともに、加熱処理(約200℃〜1000℃、約30〜120分)を行うことにより、配線金属膜110の露出した部分に異種元素含有導電膜114を形成することもできる。この場合、異種元素含有導電膜114を形成した後に、第2の層間絶縁膜118上に形成されたレジスト膜を剥離する。
【0034】
このように、本実施の形態において、第2の層間絶縁膜118およびバリア絶縁膜116をマスクとして異種元素含有導電膜114を形成することができるので、通常の半導体装置の製造プロセスにフォトレジスト工程を追加することなく、所望の異種元素含有導電膜114を形成することができる。
【0035】
つづいて、ビアホール140内部を埋め込むように、バリアメタル膜124およびビア金属膜126をこの順で形成する(図4(a))。ビア金属膜126は、第1の配線112の配線金属膜110と同様にめっき法により形成することができる。次いで、CMPによる平坦化を行い、ビア128を形成する(図4(b))。
【0036】
つづいて、ビア128上部に第2のエッチングストッパ膜120および第3の層間絶縁膜122を順次形成する(図5(a))。次いで、ドライエッチングによりトレンチ溝142を形成する(図5(b))。その後、トレンチ溝142内部を埋め込むように、バリアメタル膜130および配線金属膜132をこの順で形成する(図5(c))。配線金属膜132は、第1の配線112の配線金属膜110と同様のめっき法により形成することができる。つづいて、CMPによる平坦化を行い、図1に示したように第2の配線134を形成する。
【0037】
この後、上述した工程を繰り返すことにより、多層配線構造の半導体装置100が得られる。
【0038】
図6は、本実施の形態における半導体装置100の一例を模式的に示す断面図である。シリコン基板である半導体基板200上に、ゲート電極202、拡散層204等からなるMOSトランジスタが形成されている。このMOSトランジスタを埋め込むように絶縁膜102が形成されている。絶縁膜102中には、拡散層204と接続するビア208が設けられており、その上部に第1の配線112、ビア128および第2の配線134が順に形成されている。これらの配線を含む層の上部には、同様の構成からなる配線層が積層され、最上部にはパッシベーション層210が設けられている。なお、第1の配線112は、半導体基板200上に形成された素子等と電気的に接続されている。図1に示した構成は、図6の破線220で囲まれた構成を示す。なお、以上で説明した第1の配線112、ビア128、および第2の配線134は、図1に示した半導体装置のどの層に設けられたものであってもよい。
【0039】
次に、デュアルダマシンプロセスにより配線を形成する例を示す。
図7は、本実施の形態における半導体装置100の製造手順の他の例を示す工程断面図である。以下、図3〜図5も参照して説明する。また、図3〜図5を参照して説明したのと同様の工程については、適宜説明を省略する。
【0040】
まず、図3(a)を参照して説明したのと同様にして、図3(a)に示したのと同様の構造を形成する。ここで、第2の層間絶縁膜118に変えてバリア絶縁膜116上に層間絶縁膜150を形成する点が異なる。層間絶縁膜150は、第1の層間絶縁膜106や第3の層間絶縁膜122と同様の低誘電率膜により構成することができる。また、ここで図示していないが、層間絶縁膜150は、たとえば低誘電率膜とエッチングストッパ膜とが積層された複数層により構成することができる。
【0041】
その後、リソグラフィ法により、層間絶縁膜150上に所定形状の開口を有するレジスト膜(不図示)を形成し、段階的なエッチングにより、層間絶縁膜150にトレンチ溝154およびビアホール152を形成する。次に、エッチングガスを代えてバリア絶縁膜116をエッチングしてその下層の配線金属膜110の表面をビアホール152底部に露出させる(図7(a))。このとき、層間絶縁膜150上に形成されたレジスト膜も剥離することができる。
【0042】
その後、シランガスを照射の照射を行う(図7(b))。これにより、ビアホール152底部に露出した配線金属膜110の銅とSiとを反応させ、配線金属膜110の露出した部分に銅シリサイド層により構成される異種元素含有導電膜114を形成する(図7(c))。なお、ここでも、他の例として層間絶縁膜150上に形成されたレジスト膜を剥離する前に、Si注入、加熱処理を行うことにより、異種元素含有導電膜114を形成することができる。
【0043】
以上のように、デュアルダマシンプロセスにおいても、層間絶縁膜150およびバリア絶縁膜116をマスクとして異種元素含有導電膜114を形成することができるので、通常の半導体装置の製造プロセスにフォトレジスト工程を追加することなく、所望の異種元素含有導電膜114を形成することができる。
【0044】
その後、半導体基板上全面にバリアメタル膜156および配線金属膜158を形成し、ビアホール152およびトレンチ溝154を埋め込む。つづいて、トレンチ溝154外部に露出した配線金属膜158およびバリアメタル膜156をCMPにより除去する。これにより、第3の配線160が形成される(図8)。
【0045】
以上のように、本実施の形態の半導体装置100によれば、配線抵抗の上昇を抑えるとともに、エレクトロマイグレーションやストレスマイグレーション等のマイグレーション耐性を向上させることができる。また、新たなフォトレジスト工程を追加することなく、このようなメリットが得られる。
【0046】
以上、本発明を実施の形態および実施例に基づいて説明した。この実施の形態および実施例はあくまで例示であり、種々の変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0047】
以上の実施の形態においては、異種元素含有導電膜114が銅シリサイド層である場合を例として説明したが、異種元素含有導電膜114は、銅と銅以外の異種元素との合金により構成することもできる。異種元素は、Si、Ag、W、Mg、Be、Zn、Pd、Cd、Au、Hg、Be、Pt、Si、Zr、Ti、または、Snから選択される一又は二以上の元素を含むことができる。このようにしても、配線のマイグレーション耐性を高めることができる。また、配線金属膜を構成する主成分の金属は、たとえば銀とすることもできる。この場合も銅と同様、エレクトロマイグレーションやストレスマイグレーション等が生じるおそれがあるが、本発明の構成により、マイグレーション耐性を高めることができる。
【0048】
さらに、以上の実施の形態において、第1の配線112上にバリア絶縁膜116が形成される構成を示したが、バリア絶縁膜116にかえて、第1の配線112上にキャップメタルを形成した構成とすることもできる。図9にこの例を示す。
【0049】
ここで、半導体装置100は、バリア絶縁膜116にかえて第1の配線112上にキャップメタル膜170が形成された点で、図1に示した構成と異なる。
【0050】
キャップメタル膜170は、たとえば、CoWP、NiWP、CoWB、またはNiWBにより構成することができる。キャップメタル膜170は、第1のエッチングストッパ膜104および第1の層間絶縁膜106に第1の配線112を形成した後、選択めっき法により、たとえばコバルトやニッケル等を含むめっき液を半導体基板全面に作用させることにより配線の表面に形成される。この後、第1の層間絶縁膜106上に第2の層間絶縁膜118を形成した後、ビアホールを形成する。このとき、ビアホール底部のキャップメタル膜170もエッチング除去し、配線金属膜110表面を露出させる。この後、上述したように、たとえばシランガス等を照射することにより、ビアホール底部に露出した配線金属膜110表面に異種元素含有導電膜114を形成することができる。これにより、図9に示した構成の半導体装置100が得られる。
【0051】
このような構成とした場合も、ビア128と第1の配線112との間に、第1の配線112を主として構成する銅等の金属と、異種元素とを含む異種元素含有導電膜114がビア128底部に形成されているため、第1の配線112のマイグレーション耐性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施の形態における半導体装置の構成の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
【図4】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
【図5】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
【図6】本発明の実施の形態における半導体装置の構成を模式的に示す断面図である。
【図7】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
【図8】本発明の実施の形態における半導体装置の構成の一例を示す断面図である。
【図9】本発明の実施の形態における半導体装置の構成の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0053】
100 半導体装置
102 絶縁膜
104 第1のエッチングストッパ膜
106 第1の層間絶縁膜
108 バリアメタル膜
110 配線金属膜
112 第1の配線
114 異種元素含有導電膜
116 バリア絶縁膜
118 第2の層間絶縁膜
120 第2のエッチングストッパ膜
122 第3の層間絶縁膜
124 バリアメタル膜
126 ビア金属膜
128 ビア
130 バリアメタル膜
132 配線金属膜
134 第2の配線
140 ビアホール
142 トレンチ溝
150 層間絶縁膜
152 ビアホール
154 トレンチ溝
156 バリアメタル膜
158 配線金属膜
160 第3の配線
170 キャップメタル膜
200 半導体基板
202 ゲート電極
204 拡散層
208 ビア
210 パッシベーション層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板上の絶縁膜中に設けられた配線と、
前記配線上に、当該配線に接続して設けられたビアと、
前記配線の上部において、前記ビアの底部との接続箇所に選択的に形成され、前記配線を構成する主成分の金属と当該金属と異なる異種元素とを含む異種元素含有導電膜と、
を含む半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記配線を構成する主成分の金属が銅である半導体装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の半導体装置において、
前記異種元素含有導電膜は、前記主成分の金属のシリサイド層である半導体装置。
【請求項4】
請求項1から3いずれかに記載の半導体装置において、
前記配線の上部において、前記異種元素含有導電膜が形成された領域以外の領域に、前記異種元素含有導電膜とは異なる材料により構成されるとともに前記主成分の金属に対する拡散防止機能を有する膜が形成された半導体装置。
【請求項5】
半導体基板上に、配線を形成する工程と、
前記配線を覆うように絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜を選択的に除去して前記配線の上面に達するビアホールを形成する工程と、
前記配線の上面の露出した部分に選択的に前記配線を構成する主成分の金属と、当該金属と異なる異種元素とを含む異種元素含有導電膜を形成する工程と、
前記ビアホール内を金属材料で埋め込み、前記配線と接続するビアを形成する工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の半導体装置の製造方法において、
前記異種元素含有導電膜を形成する工程において、前記配線の上面の露出した部分を選択的にシリサイド化して前記主成分の金属のシリサイド層を形成する半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項5に記載の半導体装置の製造方法において、
前記配線を構成する主成分の金属は銅であって、
前記異種元素含有導電膜を形成する工程において、前記配線の上面の露出した部分を選択的にシリサイド化して銅シリサイド層を形成する半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項6または7に記載の半導体装置の製造方法において、
前記異種元素含有導電膜を形成する工程は、前記配線の上面の露出した部分にSiを含むガスを照射する工程を含む半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項6または7に記載の半導体装置の製造方法において、
前記シリサイド化する工程は、前記配線の上面の露出した部分にSi注入を行う工程と、熱処理を行う工程と、を含む半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項5から9いずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記絶縁膜を形成する工程は、
前記配線を覆うように、前記異種元素含有導電膜とは異なる材料により構成されるとともに前記主成分の金属の拡散防止機能を有する膜を形成する工程と、
前記拡散防止機能を有する膜上に層間絶縁膜を形成する工程と、
を含み、
前記ビアホールを形成する工程において、前記拡散防止機能を有する膜および前記層間絶縁膜を選択的に除去して前記ビアホールを形成する半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−109736(P2007−109736A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−296864(P2005−296864)
【出願日】平成17年10月11日(2005.10.11)
【出願人】(302062931)NECエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】