半導体装置とその製造方法
【課題】表面保護膜として窒化膜を形成しつつ、モールド樹脂の剥離を抑制できる。半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置は、基板18と、該基板18上に形成された素子と、該基板18上に形成された窒化膜20と、該窒化膜20上に形成された剥離防止膜22と、該剥離防止膜22と該素子を覆うように形成されたモールド樹脂36と、を備える。そして、該剥離防止膜22は圧縮応力が残留した膜であることを特徴とする。
【解決手段】半導体装置は、基板18と、該基板18上に形成された素子と、該基板18上に形成された窒化膜20と、該窒化膜20上に形成された剥離防止膜22と、該剥離防止膜22と該素子を覆うように形成されたモールド樹脂36と、を備える。そして、該剥離防止膜22は圧縮応力が残留した膜であることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モールド樹脂が形成された半導体装置とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置は、基板上に形成された素子と、基板および素子を覆うように形成されたモールド樹脂とを備えることがある。モールド樹脂は、外部からの水分や異物などから素子を保護するために形成される。ここで、モールド樹脂は、基板又は素子に表面保護膜として形成された窒化膜を介して基板と素子を覆うことが多い。特許文献1には、表面保護膜として形成された窒化膜上にモールド樹脂を備える半導体装置が開示されている。この場合、モールド樹脂は窒化膜に対し隙間なく密着していることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−310508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
窒化膜は、耐湿性や機械的強度に優れるため、表面保護膜として広く用いられている。しかしながら、窒化膜には高い引張応力が残存しているため、窒化膜上にモールド樹脂を形成するとモールド樹脂が剥離してしまうことがあった。
【0005】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、表面保護膜として窒化膜を形成しつつ、モールド樹脂の剥離を抑制できる半導体装置とその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る半導体装置は、基板と、該基板上に形成された素子と、該基板上に形成された窒化膜と、該窒化膜上に形成された剥離防止膜と、該剥離防止膜と該素子を覆うように形成されたモールド樹脂と、を備える。そして、該剥離防止膜は圧縮応力が残留した膜であることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、基板上に窒化膜を形成する工程と、該窒化膜上にポリシリコンを形成する工程と、該窒化膜上にフッ酸で除去できる犠牲膜を形成する工程と、該犠牲膜を利用して導体を形成する工程と、該犠牲膜をフッ酸により除去する工程と、該ポリシリコン上にモールド樹脂を形成する工程と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、表面保護膜として窒化膜を形成しつつ、モールド樹脂の剥離を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1に係る半導体装置の断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る半導体装置の平面図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
【図4】窒化膜にポリシリコンが形成された状態を示す図である。
【図5】犠牲膜が形成された状態を示す図である。
【図6】可動部、支持部、及び封止部が形成された状態を示す図である。
【図7】電極パッドが形成された状態を示す図である。
【図8】犠牲膜がフッ酸によりエッチングされた状態を示す図である。
【図9】ガラスキャップが取り付けられた状態を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態1に係る半導体装置の変形例を示す平面図である。
【図11】本発明の実施の形態1に係る半導体装置の変形例を示す平面図である。
【図12】本発明の実施の形態2に係る半導体装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係る半導体装置の断面図である。半導体装置10は加速度センサで構成されている。半導体装置10はSi板12を備えている。Si板12上には絶縁膜14が形成されている。絶縁膜14上には配線層16が形成されている。絶縁膜14の表面と配線層16の表面は、段差なく接続されている。なお、Si板12、絶縁膜14及び配線層16はまとめて基板18と称することがある。
【0011】
絶縁膜14上と配線層16上には窒化膜20が形成されている。窒化膜20は配線層16の一部を露出させるように開口を有している。窒化膜20上にはポリシリコン22が形成されている。ポリシリコン22には、圧縮応力が残存している。
【0012】
半導体装置10には、加速度センサの梁となる可動部24が形成されている。また、可動部24を支持する支持部26が形成されている。支持部26は、窒化膜20の開口を通じて配線層16と接している。窒化膜20上には、可動部24と支持部26を囲むように封止部28が形成されている。封止部28上にはガラスキャップ30が固定されている。封止部28とガラスキャップ30により空間34が確保されている。空間34内部には前述の可動部24と支持部26が封止されている。なお、可動部24、支持部26、封止部28、及びガラスキャップ30はまとめてセンサ部と称することがある。
【0013】
窒化膜20上には電極パッド32が形成されている。電極パッド32は外部との電気的接続をとるために形成されている。電極パッド32の一部は窒化膜20の開口を通じて配線層16と接している。よって電極パッド32と支持部26は配線層16を介して電気的に接続されている。そして、ポリシリコン22、センサ部、及び電極パッド32を覆うようにモールド樹脂36が形成されている。モールド樹脂36はセンサ部及び電極パッド32を水分や異物などから保護するために形成されている。
【0014】
図2は本発明の実施の形態1に係る半導体装置の平面図である。図2ではモールド樹脂36の表示を省略している。図2に示すように、上述したポリシリコン22はセンサ部と電極パッド32の間、及び電極パッド32同士の間に形成されている。
【0015】
図3は本発明の実施の形態1に係る半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。図3に沿って半導体装置10の製造方法について説明する。まず、窒化膜20上にポリシリコン22が形成される(ステップ50)。図4は窒化膜20上にポリシリコン22が形成された状態を示す図である。
【0016】
次いで、窒化膜20上に犠牲膜70が形成される(ステップ52)。犠牲膜70は可動部24、支持部26、及び封止部28の形状を決めるために利用され、その後除去される膜である。図5は犠牲膜70が形成された状態を示す図である。
【0017】
次いで、可動部24、支持部26、及び封止部28が形成される(ステップ54)。可動部24、支持部26、及び封止部28はいずれも導体である。図6は可動部24、支持部26、及び封止部28が形成された状態を示す図である。次いで電極パッド32が形成される(ステップ56)。図7は電極パッド32が形成された状態を示す図である。
【0018】
次いで、犠牲膜70が除去される(ステップ58)。犠牲膜70はフッ酸によるエッチングによって除去される。このとき、ポリシリコン22はフッ酸処理でエッチングされることなく残存する。図8は犠牲膜70がフッ酸によりエッチングされた状態を示す図である。
【0019】
次いで、封止部28上にガラスキャップ30が取り付けられる(ステップ60)。図9はガラスキャップ30が取り付けられた状態を示す図である。最後に、モールド樹脂36が形成される(ステップ62)。上述の製造方法により図1に示す半導体装置10が製造される。
【0020】
ところで、窒化膜には強い引張応力が残存するため、窒化膜上にモールド樹脂を形成するとモールド樹脂が剥離することがあった。しかし、本発明の実施の形態1に係る半導体装置10によればモールド樹脂の剥離を防止できる。すなわち、引張応力が残留する窒化膜20上に、圧縮応力が残留するポリシリコン22が形成されているため、両者の応力は相殺されて弱められる。そして、モールド樹脂36は応力の弱いポリシリコン22上に形成されている。よって窒化膜20を形成しつつ、モールド樹脂36の剥離を防止できる。
【0021】
図2を参照して説明したように、ポリシリコン22は、センサ部と電極パッド32の間、及び電極パッド32同士の間に形成されている。従って、本発明の実施の形態1に係る半導体装置10によれば、センサ部と電極パッド32の間におけるモールド樹脂の剥離を防止できる。このため、センサ部と電極パッド32の間のショートを防止できる。また、電極パッド32の間のモールド樹脂の剥離を防止できるので電極パッド32間のショートも防止できる。
【0022】
モールド樹脂の剥離防止のためには、モールド樹脂とそれに接する材料の線膨張係数についても考慮すべきである。本発明の実施の形態1に係る半導体装置10では、モールド樹脂36、ポリシリコン22、窒化膜20の線膨張係数はそれぞれ17[ppm/K]、2.5[ppm/K]、2.8[ppm/K]程度である。モールド樹脂36とそれに接するポリシリコン22及び窒化膜20の線膨張係数は近似した値であるため、線膨張係数の乖離によるモールド樹脂の剥離を防止できる。
【0023】
ポリシリコン22はフッ酸によりエッチングされない材料である。そのため、フッ酸処理前にポリシリコン22を形成することができる。これにより窒化膜20形成後の表面がほぼ平坦な状態においてポリシリコン22を形成できるため、ポリシリコン22のパターニングなどの加工が容易にできる。
【0024】
図10は本発明の実施の形態1に係る半導体装置の変形例を示す平面図である。ポリシリコン72は電極パッド32を囲むように形成されている。よって、電極パッド32の周りにおけるモールド樹脂の剥離を防止できる。図11は本発明の実施の形態1に係る半導体装置の変形例を示す平面図である。ポリシリコン74は、電極パッド32とセンサ部を囲むように形成されている。よって、電極パッド32の周り、及びセンサ部の周りにおけるモールド樹脂の剥離を防止できる。
【0025】
半導体装置10は加速度センサで形成したが、本発明はこれに限定されない。つまり、本発明は窒化膜上にモールド樹脂を形成する場合に広く応用できる。また、本発明の実施の形態1におけるセンサ部は、なんらかの素子であれば特に限定されない。
【0026】
本発明の実施の形態1に係る半導体装置10では、モールド樹脂36の剥離を防止する剥離防止膜としてポリシリコン22を用いたが、本発明はこれに限定されない。剥離防止膜に求められる特性は、圧縮応力が残留していること、線膨張係数が窒化膜及びモールド樹脂の線膨張係数と近似すること、フッ酸でエッチングされないことである。剥離防止膜はこれらの特性を有する限り特に限定されない。よって、例えばアモルファスシリコン膜を剥離防止膜として用いることができる。なお、フッ酸処理前に剥離防止膜を形成する必要がないときは、剥離防止膜はフッ酸によりエッチングされる材料でも良い。
【0027】
実施の形態2.
図12は本発明の実施の形態2に係る半導体装置の断面図である。半導体装置76については、本発明の実施の形態1に係る半導体装置10と類似点が多いため、半導体装置10との相違点のみ説明する。半導体装置76は、ポリシリコン78を備える。ポリシリコン78はセンサ部分と電極パッド32の間だけでなく、封止部28の直下にも形成されている。これにより封止部28と配線層16の間には、窒化膜20とポリシリコン78が形成されていることとなる。
【0028】
本発明の実施の形態2に係る半導体装置によれば、窒化膜20にピンホールなどの欠陥があったとしても、その後に当該ピンホールを覆うように高抵抗のポリシリコン78が形成される。よって、封止部28の直下領域に配線層16が形成されていても、両者間のショートを確実に防止できる。なお、半導体装置76は、本発明の実施の形態1と同程度の変形が可能である。
【符号の説明】
【0029】
10 半導体装置、 18 基板、 20 窒化膜、 22 ポリシリコン、 36 モールド樹脂
【技術分野】
【0001】
本発明は、モールド樹脂が形成された半導体装置とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置は、基板上に形成された素子と、基板および素子を覆うように形成されたモールド樹脂とを備えることがある。モールド樹脂は、外部からの水分や異物などから素子を保護するために形成される。ここで、モールド樹脂は、基板又は素子に表面保護膜として形成された窒化膜を介して基板と素子を覆うことが多い。特許文献1には、表面保護膜として形成された窒化膜上にモールド樹脂を備える半導体装置が開示されている。この場合、モールド樹脂は窒化膜に対し隙間なく密着していることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−310508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
窒化膜は、耐湿性や機械的強度に優れるため、表面保護膜として広く用いられている。しかしながら、窒化膜には高い引張応力が残存しているため、窒化膜上にモールド樹脂を形成するとモールド樹脂が剥離してしまうことがあった。
【0005】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、表面保護膜として窒化膜を形成しつつ、モールド樹脂の剥離を抑制できる半導体装置とその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る半導体装置は、基板と、該基板上に形成された素子と、該基板上に形成された窒化膜と、該窒化膜上に形成された剥離防止膜と、該剥離防止膜と該素子を覆うように形成されたモールド樹脂と、を備える。そして、該剥離防止膜は圧縮応力が残留した膜であることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、基板上に窒化膜を形成する工程と、該窒化膜上にポリシリコンを形成する工程と、該窒化膜上にフッ酸で除去できる犠牲膜を形成する工程と、該犠牲膜を利用して導体を形成する工程と、該犠牲膜をフッ酸により除去する工程と、該ポリシリコン上にモールド樹脂を形成する工程と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、表面保護膜として窒化膜を形成しつつ、モールド樹脂の剥離を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1に係る半導体装置の断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る半導体装置の平面図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
【図4】窒化膜にポリシリコンが形成された状態を示す図である。
【図5】犠牲膜が形成された状態を示す図である。
【図6】可動部、支持部、及び封止部が形成された状態を示す図である。
【図7】電極パッドが形成された状態を示す図である。
【図8】犠牲膜がフッ酸によりエッチングされた状態を示す図である。
【図9】ガラスキャップが取り付けられた状態を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態1に係る半導体装置の変形例を示す平面図である。
【図11】本発明の実施の形態1に係る半導体装置の変形例を示す平面図である。
【図12】本発明の実施の形態2に係る半導体装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係る半導体装置の断面図である。半導体装置10は加速度センサで構成されている。半導体装置10はSi板12を備えている。Si板12上には絶縁膜14が形成されている。絶縁膜14上には配線層16が形成されている。絶縁膜14の表面と配線層16の表面は、段差なく接続されている。なお、Si板12、絶縁膜14及び配線層16はまとめて基板18と称することがある。
【0011】
絶縁膜14上と配線層16上には窒化膜20が形成されている。窒化膜20は配線層16の一部を露出させるように開口を有している。窒化膜20上にはポリシリコン22が形成されている。ポリシリコン22には、圧縮応力が残存している。
【0012】
半導体装置10には、加速度センサの梁となる可動部24が形成されている。また、可動部24を支持する支持部26が形成されている。支持部26は、窒化膜20の開口を通じて配線層16と接している。窒化膜20上には、可動部24と支持部26を囲むように封止部28が形成されている。封止部28上にはガラスキャップ30が固定されている。封止部28とガラスキャップ30により空間34が確保されている。空間34内部には前述の可動部24と支持部26が封止されている。なお、可動部24、支持部26、封止部28、及びガラスキャップ30はまとめてセンサ部と称することがある。
【0013】
窒化膜20上には電極パッド32が形成されている。電極パッド32は外部との電気的接続をとるために形成されている。電極パッド32の一部は窒化膜20の開口を通じて配線層16と接している。よって電極パッド32と支持部26は配線層16を介して電気的に接続されている。そして、ポリシリコン22、センサ部、及び電極パッド32を覆うようにモールド樹脂36が形成されている。モールド樹脂36はセンサ部及び電極パッド32を水分や異物などから保護するために形成されている。
【0014】
図2は本発明の実施の形態1に係る半導体装置の平面図である。図2ではモールド樹脂36の表示を省略している。図2に示すように、上述したポリシリコン22はセンサ部と電極パッド32の間、及び電極パッド32同士の間に形成されている。
【0015】
図3は本発明の実施の形態1に係る半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。図3に沿って半導体装置10の製造方法について説明する。まず、窒化膜20上にポリシリコン22が形成される(ステップ50)。図4は窒化膜20上にポリシリコン22が形成された状態を示す図である。
【0016】
次いで、窒化膜20上に犠牲膜70が形成される(ステップ52)。犠牲膜70は可動部24、支持部26、及び封止部28の形状を決めるために利用され、その後除去される膜である。図5は犠牲膜70が形成された状態を示す図である。
【0017】
次いで、可動部24、支持部26、及び封止部28が形成される(ステップ54)。可動部24、支持部26、及び封止部28はいずれも導体である。図6は可動部24、支持部26、及び封止部28が形成された状態を示す図である。次いで電極パッド32が形成される(ステップ56)。図7は電極パッド32が形成された状態を示す図である。
【0018】
次いで、犠牲膜70が除去される(ステップ58)。犠牲膜70はフッ酸によるエッチングによって除去される。このとき、ポリシリコン22はフッ酸処理でエッチングされることなく残存する。図8は犠牲膜70がフッ酸によりエッチングされた状態を示す図である。
【0019】
次いで、封止部28上にガラスキャップ30が取り付けられる(ステップ60)。図9はガラスキャップ30が取り付けられた状態を示す図である。最後に、モールド樹脂36が形成される(ステップ62)。上述の製造方法により図1に示す半導体装置10が製造される。
【0020】
ところで、窒化膜には強い引張応力が残存するため、窒化膜上にモールド樹脂を形成するとモールド樹脂が剥離することがあった。しかし、本発明の実施の形態1に係る半導体装置10によればモールド樹脂の剥離を防止できる。すなわち、引張応力が残留する窒化膜20上に、圧縮応力が残留するポリシリコン22が形成されているため、両者の応力は相殺されて弱められる。そして、モールド樹脂36は応力の弱いポリシリコン22上に形成されている。よって窒化膜20を形成しつつ、モールド樹脂36の剥離を防止できる。
【0021】
図2を参照して説明したように、ポリシリコン22は、センサ部と電極パッド32の間、及び電極パッド32同士の間に形成されている。従って、本発明の実施の形態1に係る半導体装置10によれば、センサ部と電極パッド32の間におけるモールド樹脂の剥離を防止できる。このため、センサ部と電極パッド32の間のショートを防止できる。また、電極パッド32の間のモールド樹脂の剥離を防止できるので電極パッド32間のショートも防止できる。
【0022】
モールド樹脂の剥離防止のためには、モールド樹脂とそれに接する材料の線膨張係数についても考慮すべきである。本発明の実施の形態1に係る半導体装置10では、モールド樹脂36、ポリシリコン22、窒化膜20の線膨張係数はそれぞれ17[ppm/K]、2.5[ppm/K]、2.8[ppm/K]程度である。モールド樹脂36とそれに接するポリシリコン22及び窒化膜20の線膨張係数は近似した値であるため、線膨張係数の乖離によるモールド樹脂の剥離を防止できる。
【0023】
ポリシリコン22はフッ酸によりエッチングされない材料である。そのため、フッ酸処理前にポリシリコン22を形成することができる。これにより窒化膜20形成後の表面がほぼ平坦な状態においてポリシリコン22を形成できるため、ポリシリコン22のパターニングなどの加工が容易にできる。
【0024】
図10は本発明の実施の形態1に係る半導体装置の変形例を示す平面図である。ポリシリコン72は電極パッド32を囲むように形成されている。よって、電極パッド32の周りにおけるモールド樹脂の剥離を防止できる。図11は本発明の実施の形態1に係る半導体装置の変形例を示す平面図である。ポリシリコン74は、電極パッド32とセンサ部を囲むように形成されている。よって、電極パッド32の周り、及びセンサ部の周りにおけるモールド樹脂の剥離を防止できる。
【0025】
半導体装置10は加速度センサで形成したが、本発明はこれに限定されない。つまり、本発明は窒化膜上にモールド樹脂を形成する場合に広く応用できる。また、本発明の実施の形態1におけるセンサ部は、なんらかの素子であれば特に限定されない。
【0026】
本発明の実施の形態1に係る半導体装置10では、モールド樹脂36の剥離を防止する剥離防止膜としてポリシリコン22を用いたが、本発明はこれに限定されない。剥離防止膜に求められる特性は、圧縮応力が残留していること、線膨張係数が窒化膜及びモールド樹脂の線膨張係数と近似すること、フッ酸でエッチングされないことである。剥離防止膜はこれらの特性を有する限り特に限定されない。よって、例えばアモルファスシリコン膜を剥離防止膜として用いることができる。なお、フッ酸処理前に剥離防止膜を形成する必要がないときは、剥離防止膜はフッ酸によりエッチングされる材料でも良い。
【0027】
実施の形態2.
図12は本発明の実施の形態2に係る半導体装置の断面図である。半導体装置76については、本発明の実施の形態1に係る半導体装置10と類似点が多いため、半導体装置10との相違点のみ説明する。半導体装置76は、ポリシリコン78を備える。ポリシリコン78はセンサ部分と電極パッド32の間だけでなく、封止部28の直下にも形成されている。これにより封止部28と配線層16の間には、窒化膜20とポリシリコン78が形成されていることとなる。
【0028】
本発明の実施の形態2に係る半導体装置によれば、窒化膜20にピンホールなどの欠陥があったとしても、その後に当該ピンホールを覆うように高抵抗のポリシリコン78が形成される。よって、封止部28の直下領域に配線層16が形成されていても、両者間のショートを確実に防止できる。なお、半導体装置76は、本発明の実施の形態1と同程度の変形が可能である。
【符号の説明】
【0029】
10 半導体装置、 18 基板、 20 窒化膜、 22 ポリシリコン、 36 モールド樹脂
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成された素子と、
前記基板上に形成された窒化膜と、
前記窒化膜上に形成された剥離防止膜と、
前記剥離防止膜と前記素子を覆うように形成されたモールド樹脂と、を備え、
前記剥離防止膜は圧縮応力が残留した膜であることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記基板上に形成され、かつ前記モールド樹脂で覆われた複数の電極パッドを備え、
前記剥離防止膜は、前記素子と前記複数の電極パッドの間、及び前記複数の電極パッドの間に形成されたことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記基板上に形成され、かつ前記モールド樹脂で覆われた複数の電極パッドを備え、
前記剥離防止膜は、前記複数の電極パッドを囲むように形成されたことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記基板上に形成され、かつ前記モールド樹脂で覆われた複数の電極パッドを備え、
前記剥離防止膜は、前記複数の電極パッドと前記素子を囲むように形成されたことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記素子は加速度センサのセンサ部であり、
前記基板内には配線層が形成され、
前記センサ部と前記複数の電極パッドは前記配線層によって電気的に接続され、
前記剥離防止膜はフッ酸によりエッチングされない膜であることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記素子は、前記剥離防止膜上に形成された導体を備え、
前記基板のうち、前記導体の直下領域には配線層が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記剥離防止膜はポリシリコン又はアモルファスシリコンで形成されたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
基板上に窒化膜を形成する工程と、
前記窒化膜上にポリシリコンを形成する工程と、
前記窒化膜上にフッ酸で除去できる犠牲膜を形成する工程と、
前記犠牲膜を利用して導体を形成する工程と、
前記犠牲膜をフッ酸により除去する工程と、
前記ポリシリコン上にモールド樹脂を形成する工程と、を備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成された素子と、
前記基板上に形成された窒化膜と、
前記窒化膜上に形成された剥離防止膜と、
前記剥離防止膜と前記素子を覆うように形成されたモールド樹脂と、を備え、
前記剥離防止膜は圧縮応力が残留した膜であることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記基板上に形成され、かつ前記モールド樹脂で覆われた複数の電極パッドを備え、
前記剥離防止膜は、前記素子と前記複数の電極パッドの間、及び前記複数の電極パッドの間に形成されたことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記基板上に形成され、かつ前記モールド樹脂で覆われた複数の電極パッドを備え、
前記剥離防止膜は、前記複数の電極パッドを囲むように形成されたことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記基板上に形成され、かつ前記モールド樹脂で覆われた複数の電極パッドを備え、
前記剥離防止膜は、前記複数の電極パッドと前記素子を囲むように形成されたことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記素子は加速度センサのセンサ部であり、
前記基板内には配線層が形成され、
前記センサ部と前記複数の電極パッドは前記配線層によって電気的に接続され、
前記剥離防止膜はフッ酸によりエッチングされない膜であることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記素子は、前記剥離防止膜上に形成された導体を備え、
前記基板のうち、前記導体の直下領域には配線層が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記剥離防止膜はポリシリコン又はアモルファスシリコンで形成されたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
基板上に窒化膜を形成する工程と、
前記窒化膜上にポリシリコンを形成する工程と、
前記窒化膜上にフッ酸で除去できる犠牲膜を形成する工程と、
前記犠牲膜を利用して導体を形成する工程と、
前記犠牲膜をフッ酸により除去する工程と、
前記ポリシリコン上にモールド樹脂を形成する工程と、を備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−258751(P2011−258751A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−131964(P2010−131964)
【出願日】平成22年6月9日(2010.6.9)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月9日(2010.6.9)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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