説明

半導体装置の製造方法

【課題】 従来では、半導体層表面に堆積された絶縁層にコンタクトホールを形成する際に、半導体層表面に耐エッチング膜としての絶縁膜を形成することで、製造工程が煩雑となり、また、余計な製造コストが掛かるという問題があった。
【解決手段】 本発明では、コレクタ領域の拡散領域4表面のシリコン酸化膜8、TEOS膜9、20をエッチングする工程と、ベース取り出し電極16表面のTEOS12、20膜をエッチングする工程とを別工程とする。そして、露出した拡散領域4表面及びベース取り出し電極16表面にコバルトシリサイド膜21を形成する。コバルトシリサイド膜21をコンタクトホール25、26、27を形成する際の、耐エッチング膜として用いることで、オーバーエッチングを防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンタクトホール形成時のオーバーエッチングを防止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の半導体装置の製造方法では、自己整合型バイポーラトランジスタにおいて、エミッタ引き出し電極表面及びコレクタ引上げ用のN+層表面等に、HLD膜及びSi膜を堆積していた。そして、HLD膜及びSi膜の上面に堆積したBPSG膜に接続孔を形成する際に、Si膜を耐エッチング膜として用い、オーバーエッチングを防止していたものがあった(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平03−205825号公報(第3−4頁、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述したように、従来の半導体装置の製造方法では、エミッタ引き出し電極表面及びコレクタ引上げ用のN+層表面がオーバーエッチングされるのを防ぐために、その表面には、HLD膜及びSi膜を堆積していた。先ず、等方性のウェットエッチングを行い、BPSG膜に接続孔を形成していた。その後、同一のレジストマスクを用いてドライエッチングを行い、HLD膜及びSi膜を除去していた。つまり、ウェットエッチングの際の耐エッチング膜として、HLD膜及びSi膜を堆積する。そのため、接続孔を形成した後にそれらの膜を除去するという余分な工程が必要となる問題があった。また、HLD膜及びSi膜を堆積し、接続孔の形成領域では、それらの膜を除去する必要があり、余計な製造コストが掛かるという問題があった。
【0004】
また、従来の半導体装置の製造方法では、BPSG膜に接続孔を形成する際に、等方性のウェットエッチングを用いて行っていた。そのため、半導体層表面に対して、水平方向へのエッチング幅も考慮する必要が有り、素子サイズを微細化を図ることが困難となり、高周波特性を向上し難いという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した各事情に鑑みて成されたものであり、本発明の半導体装置の製造方法では、半導体層表面からコレクタ領域となる拡散領域を形成し、前記半導体層表面にベース領域が形成される領域に、第1の開口部が設けられた第1の絶縁膜を形成する工程と、前記第1の開口部を埋設するように、第1のシリコン膜及び第2の絶縁膜を順次堆積した後、前記第1の開口部内に第2の開口部が形成されるように、前記第1のシリコン膜及び第2の絶縁膜を選択的に除去する工程と、前記第2の開口部を埋設するように、第2のシリコン膜を選択的に形成した後、前記拡散領域の一部が露出するように前記第1の絶縁膜を選択的に除去する工程と、前記第1のシリコン膜の一部が露出するように前記第2の絶縁膜を選択的に除去する工程とを別工程で行い、露出した前記拡散領域表面及び前記第1のシリコン膜表面に金属シリサイド膜を形成する工程とを有することを特徴とする。従って、本発明では、拡散領域の一部及び第1のシリコン膜の一部を露出させる際に、膜厚が異なる第1の絶縁膜と第2の絶縁膜とを、別々の工程で除去する。この製造方法により、第1のシリコン膜の一部を、確実に露出させることができ、また、拡散領域が形成された半導体層表面が、必要以上にオーバーエッチングされることも防ぐことができる。
【0006】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、前記金属シリサイド膜を形成する工程時に、前記第2のシリコン膜表面に金属シリサイド膜を形成することを特徴とする。従って、本発明では、第2のシリコン膜をエミッタ取り出し電極として用いるが、その表面の金属シリサイド膜を耐エッチング膜として用いる。この製造方法により、第2のシリコン膜表面が、オーバーエッチングされることを防ぐことができる。
【0007】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、前記金属シリサイド膜上面を含む前記半導体層上面に第3の絶縁膜を堆積した後、前記金属シリサイド膜を耐エッチング膜として用い、前記第3の絶縁膜にコンタクトホールを形成する工程を有することを特徴とする。従って、本発明では、第3の絶縁膜にコンタクトホールを形成する際には、拡散領域及び第1のシリコン膜に選択的に形成された金属シリサイド膜を耐エッチング膜として用いる。この製造方法により、半導体層表面及び第1のシリコン膜表面が、オーバーエッチングされることを防ぐことができる。
【0008】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、前記金属シリサイド膜が形成された前記拡散領域の表面、前記第1のシリコン膜表面及び前記第2のシリコン膜表面に、1回のドライエッチング工程で前記コンタクトホールを形成することを特徴とする。従って、本発明では、第3の絶縁膜にコンタクトホールを形成する際には、1回のドライエッチングにより形成することができる。この製造方法により、ウェットエッチングを行う場合と比較すると、コンタクトホール幅も狭めるられ、素子サイズの微細化を実現できる。また、それぞれのコンタクトホール深さは異なるが、オーバーエッチングされることなく、1回のドライエッチング工程で行うことができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、半導体層表面やシリコン膜表面に金属シリサイド膜を形成する領域において、それらの上面の絶縁膜の膜厚に応じてエッチング工程を別々に行う。この製造方法により、半導体層表面やシリコン膜表面が、該エッチング工程により、オーバーエッチングされることを、大幅に低減することができる。つまり、半導体層表面やシリコン膜表面の絶縁膜の膜厚に応じて、それぞれ好適な条件でエッチング工程を行うことができる。
【0010】
また、本発明では、必要以上のエッチングダメージを受けていない半導体層表面やシリコン膜表面に金属シリサイド膜を形成することができる。そして、コンタクトホールを形成する際には、金属シリサイド膜を耐エッチング膜として利用でき、半導体層表面やシリコン膜表面が、オーバーエッチングされるのを防ぐことができる。
【0011】
また、本発明では、金属シリサイド膜を耐エッチング膜として用い、ドライエッチングを行うことで、素子サイズの微細化を図れる。そして、該金属シリサイド膜は、電極接続部の低抵抗化を実現し、高周波特性を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明の一実施の形態である半導体装置の製造方法について、図1〜図10を参照し、詳細に説明する。
【0013】
図1から図10は本実施の形態の半導体装置の製造方法を説明するための断面図である。尚、以下の説明では、分離領域で区画された、1つの素子形成領域に、例えば、NPN型のトランジスタを形成する場合に関し説明するが、この場合に限定するものではない。例えば、その他の素子形成領域に、Nチャネル型のMOSトランジスタ、Pチャネル型のMOSトランジスタ、縦型PNPトランジスタ等を形成し、半導体集積回路装置を形成する場合でも良い。
【0014】
先ず、図1に示す如く、P型の単結晶シリコン基板1を準備する。基板1の表面を熱酸化して全面にシリコン酸化膜を形成する。その後、公知のフォトリソグラフィ技術により、N型の埋め込み層2を形成する部分に開口部が設けられたフォトレジスト(図示せず)を選択マスクとして形成する。そして、N型不純物、例えば、ヒ素(As)を加速電圧80〜120keV、導入量1.0×1014〜1.0×1016/cmでイオン注入する。その後、フォトレジストを除去し、イオン注入した不純物を拡散する。
【0015】
次に、図2に示す如く、基板1をエピタキシャル成長装置のサセプタ上に配置する。そして、ランプ加熱によって基板1に、例えば、1200℃程度の高温を与えると共に反応管内にSiHClガスとHガスを導入する。そのことにより、基板1上に、例えば、比抵抗0.1〜2.0Ω・cm、厚さ0.5〜1.5μm程度のエピタキシャル層3を成長させる。その後、エピタキシャル層3の表面を熱酸化してシリコン酸化膜を形成する。その後、公知のフォトリソグラフィ技術により、N型の拡散領域4を形成する部分に開口部が設けられたフォトレジストを選択マスクとして形成する。そして、N型不純物、例えば、リン(P)を加速電圧80〜120keV、導入量1.0×1014〜1.0×1016/cmでイオン注入する。その後、フォトレジストを除去し、イオン注入した不純物を拡散する。
【0016】
尚、本実施の形態での基板1及びエピタキシャル層3が本発明の「半導体層」に対応する。そして、本実施の形態では、基板1上に1層のエピタキシャル層3が形成されている場合を示すが、この場合に限定するものではない。例えば、本発明の「半導体層」としては、基板のみの場合でも良く、基板上面に複数のエピタキシャル層が積層されている場合でも良い。また、基板は、N型の単結晶シリコン基板、化合物半導体基板でも良い。
【0017】
次に、図3に示す如く、シリコン酸化膜上にシリコン窒化膜(図示せず)を形成した後、STI(Shallow Trench Isolation)法により溝部5を形成する部分に開口部が設けられるように、シリコン酸化膜及びシリコン窒化膜を選択的に除去する。シリコン窒化膜をマスクとして用い、エピタキシャル層3表面から溝部5を形成する。その後、エピタキシャル層3表面に、溝部4を埋設するように、高密度プラズマCVD(HDP(High Density Plasma CVD)法により、NSG(Non−Doped−Silicate Glass)膜を堆積する。NSG膜の上面に、減圧CVD法により、約800℃の温度条件下で、HTO(High Temparature Oxide)膜(図示せず)を堆積する。
【0018】
そして、HTO膜上面から分離領域7を形成する部分にトレンチ6を形成する。トレンチ6をHTO膜及び多結晶シリコン(Poly−Si)膜で埋設した後、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法により、NSG膜、HTO膜及び多結晶シリコン膜を研磨し、少なくともその一部を除去する。この工程により、溝部5はNSG膜で埋設され、トレンチ6はHTO膜及び多結晶シリコン膜で埋設された構造が得られる。そして、エピタキシャル層3表面は、実質、平坦に形成される。
【0019】
次に、図4に示す如く、エピタキシャル層3の表面を熱酸化して全面にシリコン酸化膜8を形成した後、その上面を被覆するように、TEOS(Tetra−Ethyl−Orso−Silicate)膜9を堆積する。そして、NPN型のトランジスタの外部ベース領域13(図5参照)及び活性ベース領域15(図5参照)の形成領域に開口部10を形成するように、シリコン酸化膜8及びTEOS膜9を選択的に除去する。
【0020】
そして、エピタキシャル層3の上面にアモルファスシリコン(a−Si)膜11を2000Å程度堆積し、略全面に、P型不純物、例えば、フッ化ボロン(BF2)をイオン注入する。ここで、予め、a−Si形成ガス(H2とシリコンより成るガス、例えばシラン)に不純物を入れても良いし、不純物をデポジションしても良い。尚、本実施の形態では、a−Si膜11を拡散源として使用すると共に、ベース取り出し電極16として活用する。そのため、抵抗値の制御や外部ベース領域13の濃度制御を正確に行うことができるイオン注入が好ましい。
【0021】
その後、a−Si膜11を被覆するように、プラズマCVD法により、TEOS膜12を2000Å程度堆積する。ここで、TEOS膜12は、a−Si膜11がPoly−Siに変換されないように、低温で堆積され、a−Si膜11は、次工程のエッチング工程終了までa−Si状態で維持される。
【0022】
次に、図5に示す如く、公知のフォトリソグラフィ技術により、活性ベース領域15の形成領域に開口部19を形成するように、a−Si膜11及びTEOS膜12をエッチングにより、選択的に除去する。そして、パターニングされたa−Si膜11及びTEOS膜12は、外部ベース領域13及び溝部5を埋設するNSG膜上面に延在する。延在したa−Si膜11は、ベース取り出し電極16として利用される。
【0023】
ここで、本実施の形態では、a−Si膜11をPoly−Siに変換させないでパターニングするため、外部ベース領域13の取り出し電極及び活性ベース領域15表面は、なだらかな表面に成る。つまり、活性ベース領域15が形成される表面に凸凹が形成されていないため、活性ベース領域15の拡散深さは何処をとってもほぼ均一となる。また、ベース取り出し電極16の側壁に凸凹がないことで、後工程において、成長させる酸化膜14やスペーサ17(図6参照)の形状に影響を与えることもない。
【0024】
次に、エピタキシャル層3の表面を熱酸化してシリコン酸化膜を形成する。この工程により、a−Si膜11の側壁やエピタキシャル層3表面に100〜200Å程度のシリコン酸化膜14を形成する。そして、ベース取り出し電極16中の不純物がエピタキシャル層3に拡散され、外部ベース領域13が形成される。
【0025】
公知のフォトリソグラフィ技術により、活性ベース領域15を形成する部分に開口部が設けられたフォトレジストを選択マスクとして形成する。そして、シリコン酸化膜14を介して、P型不純物、例えば、フッ化ボロン(BF2)を加速電圧10〜30keV、導入量1.0×1012〜1.0×1014/cmでイオン注入する。その後、フォトレジストを除去し、イオン注入した不純物を拡散する。ここで、エピタキシャル層3表面の接続領域は凸凹に成らず、平坦性を維持している。そして、コンタクト状態が良好となり、コンタクト抵抗を低減することができる。
【0026】
次に、図6に示す如く、活性ベース領域15に対応する、a−Si膜11及びTEOS膜12の側壁にスペーサ17を形成する。このとき、スペーサ17は、a−Si膜で形成され、異方性エッチングにより形成される。その後、活性ベース領域15表面のシリコン酸化膜14を、例えば、ウェットエッチングにより除去する。
【0027】
次に、Poly−Siまたはa−Siから成るシリコン膜を堆積する。そして、シリコン膜には、エミッタ電極の抵抗値、エミッタ領域の不純物濃度が考慮され、N型不純物、例えば、ヒ素(As)を加速電圧80〜120keV、導入量1.0×1014〜1.0×1016/cmでイオン注入する。その後、公知のフォトリソグラフィ技術により、シリコン膜をエッチングにより、選択的に除去し、エミッタ取り出し電極18を形成する。ここで、ベース取り出し電極16とエミッタ取り出し電極18とは、TEOS膜12、シリコン酸化膜14により絶縁されている。
【0028】
次に、図7に示す如く、エピタキシャル層3表面に、例えば、減圧CVD法により、TEOS膜20を堆積する。そして、公知のフォトリソグラフィ技術により、N型の拡散領域4が露出するように、シリコン酸化膜8及びTEOS膜9、20を選択的に除去する。
【0029】
このとき、エピタキシャル層3表面に堆積されたシリコン酸化膜8及びTEOS膜9、20の膜厚を考慮して、ドライエッチングにより除去する。そして、N型の拡散領域4が露出するように、エッチングの条件を設定できるので、エピタキシャル層3の表面がオーバーエッチングされるのを、大幅に低減することができる。
【0030】
次に、図8に示す如く、公知のフォトリソグラフィ技術により、ベース取り出し電極16の一部が露出するように、TEOS膜12、20を選択的に除去する。
【0031】
このとき、ベース取り出し電極16表面に堆積されたTEOS膜12、20の膜厚を考慮して、ドライエッチングにより除去する。そして、ベース取り出し電極16の一部が露出するように、エッチングの条件を設定できるので、ベース取り出し電極16を構成するa−Si膜11の表面がオーバーエッチングされるのを、大幅に低減することができる。
【0032】
ここで、図7を用いて説明したN型の拡散領域4上面のシリコン酸化膜8及びTEOS膜9、20の膜厚は、全部で2000Å程度である。一方、図8を用いて説明したベース取り出し電極16上面のTEOS膜12、20の膜厚は、全部で3000Å程度ある。例えば、同一のドライエッチング工程で、N型の拡散領域4上面のシリコン酸化膜8及びTEOS膜9、20と、ベース取り出し電極16上面のTEOS膜12、20とを除去する。この場合には、ベース取り出し電極16上面のTEOS膜12、20の膜厚を除去する条件でエッチングを行う必要がある。その結果、N型の拡散領域4が形成されたエピタキシャル層3はオーバーエッチングされ、その表面は必要以上のエッチングダメージを受けてしまう。
【0033】
その他にも、同一のドライエッチング工程を行う場合には、N型の拡散領域4の露出領域とベース取り出し電極16の露出領域との両露出領域のマスクずれを考慮する必要がある。この場合には、両露出領域のマスクずれを考慮したマスクパターンによりエッチングを行う必要があり、素子サイズの微細化を図ることが困難である。
【0034】
しかしながら、本実施の形態では、N型の拡散領域4の上面及びベース取り出し電極16の上面のそれぞれにおいて、所望のエッチング条件を採用することで、上述した問題を解決することができる。
【0035】
その後、露出しているN型の拡散領域4上面、ベース取り出し電極16上面及びエミッタ取り出し電極18上面に、選択的にコバルト層を形成し、アニール処理した後に、コバルト層を除去する。そして、この処理時の加熱環境下において、露出しているN型の拡散領域4表面、ベース取り出し電極16表面及びエミッタ取り出し電極18表面には、コバルトシリサイド(CoSi)膜21が形成される。
【0036】
尚、コバルト層を堆積し、アニール処理時の加熱環境下において、エミッタ取り出し電極18内に注入し、拡散された不純物が、エミッタ取り出し電極18からの固相拡散により、活性ベース領域15の表面にN型のエミッタ領域22を形成する。
【0037】
次に、図9に示す如く、エピタキシャル層3表面に、CVD法により、シリコン窒化膜(図示せず)を堆積した後、その上面に液体SOG(Spin On Glass)を塗布し、SOG膜23を形成する。そして、SOG膜23上面に、減圧CVD法により、TEOS膜24を堆積する。
【0038】
TEOS膜24表面の平坦性を確保するために、CMP法により、基板1の表面側からエッチバックする。そして、公知のフォトリソグラフィ技術により、例えば、CHF+O系のガスを用いたドライエッチングで、SOG膜23、TEOS膜24等にコンタクトホール25、26、27を形成する。このとき、図示の如く、コレクタ電極用のコンタクトホール25と、エミッタ電極用のコンタクトホール26と、ベース電極用のコンタクトホール27とは、そのコンタクトホール深さが異なる。そして、コンタクトホール25、26、27を同時に形成する場合、コンタクトホール深さの相違を考慮し、コレクタコンタクトホール25を形成する条件に合わせる必要がある。この場合、ベース取り出し電極16表面及びエミッタ取り出し電極18表面がオーバーエッチングされてしまう。
【0039】
しかしながら、コンタクトホール形成領域には、CoSi膜21が形成されており、CoSi膜21をドライエッチングの際の耐エッチング膜として利用することができる。その結果、同一工程でコンタクトホール25、26、27を形成しても、特に、ベース取り出し電極16表面及びエミッタ取り出し電極18表面がオーバーエッチングされることを防ぐことができる。その後、露出したCoSi膜21表面、コンタクトホール25、26、27側壁及びTEOS膜24表面に、バリアメタル膜28を形成する。
【0040】
最後に、図10に示す如く、コンタクトホール25、26、27内をタングステン(W)膜29で埋設する。そして、W膜29及びバリアメタル膜28上面に、CVD法により、アルミ銅(AlCu)膜を、例えば、4000Å程度堆積し、その上面にバリアメタル膜を堆積する。その後、公知のフォトリソグラフィ技術により、AlCu膜及びバリアメタル膜を選択的に除去し、コレクタ電極30、エミッタ電極31、ベース電極32等を形成する。
【0041】
上述したように、本実施の形態では、電極部での低抵抗化を実現し、半導体装置の高速化と低消費電力化を実現するために、電極とシリコンとが当接する領域にCoSi膜を形成する。そして、CoSi膜を形成する際のエッチング工程を、絶縁膜の膜厚に応じて別工程で行う。そのことで、絶縁膜が除去されるエピタキシャル層表面やシリコン膜表面が、必要以上にオーバーエッチングされることを防ぐことができる。また、コンタクトホールを形成する際には、CoSi膜を耐エッチング膜として利用することができる。
【0042】
尚、本実施の形態では、シリサイドとして、CoSi膜を用いる場合について説明したが、この場合に限定するものではない。例えば、CoSi膜に替えて、モリブデンシリサイド(MoSi)膜、タングステンシリサイド(WSi)膜、チタンシリサイド(TiSi)膜、ニッケルシリサイド(NiSi)膜、プラチナシリサイド(PtSi)膜等を用いても、上述した効果を得ることができる。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施の形態における半導体装置の製造方法を説明する断面図である。
【図2】本発明の実施の形態における半導体装置の製造方法を説明する断面図である。
【図3】本発明の実施の形態における半導体装置の製造方法を説明する断面図である。
【図4】本発明の実施の形態における半導体装置の製造方法を説明する断面図である。
【図5】本発明の実施の形態における半導体装置の製造方法を説明する断面図である。
【図6】本発明の実施の形態における半導体装置の製造方法を説明する断面図である。
【図7】本発明の実施の形態における半導体装置の製造方法を説明する断面図である。
【図8】本発明の実施の形態における半導体装置の製造方法を説明する断面図である。
【図9】本発明の実施の形態における半導体装置の製造方法を説明する断面図である。
【図10】本発明の実施の形態における半導体装置の製造方法を説明する断面図である。
【符号の説明】
【0044】
3 N型のエピタキシャル層
4 N型の拡散領域
8 シリコン酸化膜
9 TEOS膜
12 TEOS膜
13 外部ベース領域
15 活性ベース領域
16 ベース取り出し電極
18 エミッタ取り出し電極
20 TEOS膜
21 コバルトシリサイド膜
22 エミッタ領域
23 SOG膜
24 TEOS膜
25 コンタクトホール
26 コンタクトホール
27 コンタクトホール
30 コレクタ電極
31 エミッタ電極
32 ベース電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体層表面からコレクタ領域となる拡散領域を形成し、前記半導体層表面にベース領域が形成される領域に、第1の開口部が設けられた第1の絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の開口部を埋設するように、第1のシリコン膜及び第2の絶縁膜を順次堆積した後、前記第1の開口部内に第2の開口部が形成されるように、前記第1のシリコン膜及び第2の絶縁膜を選択的に除去する工程と、
前記第2の開口部を埋設するように、第2のシリコン膜を選択的に形成した後、前記拡散領域の一部が露出するように前記第1の絶縁膜を選択的に除去する工程と、前記第1のシリコン膜の一部が露出するように前記第2の絶縁膜を選択的に除去する工程とを別工程で行い、露出した前記拡散領域表面及び前記第1のシリコン膜表面に金属シリサイド膜を形成する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記金属シリサイド膜を形成する工程時に、前記第2のシリコン膜表面に金属シリサイド膜を形成することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記金属シリサイド膜上面を含む前記半導体層上面に第3の絶縁膜を堆積した後、前記金属シリサイド膜を耐エッチング膜として用い、前記第3の絶縁膜にコンタクトホールを形成する工程を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記金属シリサイド膜が形成された前記拡散領域の表面、前記第1のシリコン膜表面及び前記第2のシリコン膜表面に、1回のドライエッチング工程でそれぞれコンタクトホールを形成することを特徴とする請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記金属シリサイド膜は、コバルトシリサイド膜であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−49687(P2006−49687A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−230641(P2004−230641)
【出願日】平成16年8月6日(2004.8.6)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】