説明

半導体装置の製造方法

【課題】ウェハの反り量を低減することにより生産性を向上させた半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る半導体装置の製造方法は、ウェハ上に絶縁膜を形成する工程と、前記絶縁膜上に第1の配線9を形成する工程と、前記第1の配線及び前記絶縁膜の上に第1のTEOS膜10を成膜する工程と、前記第1のTEOS膜上にSOG膜11を塗布し、435〜465℃の温度で熱処理することにより、前記第1のTEOS膜上に厚さ450〜550nmのSOG膜を形成する工程と、前記SOG膜の上に第2のTEOS膜12を成膜する工程と、前記第2のTEOS膜上に第2の配線15を形成する工程と、前記第2の配線及び前記第2のTEOS膜の上に窒化シリコンからなる保護膜16を成膜する工程と、を具備することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に係わり、特にウェハの反り量を低減することにより生産性を向上させた半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の高集積化・高速化に伴い、多層配線化が進んでいる。この多層配線化においては、下層側の配線と上層側の配線との間に層間絶縁膜を形成している。また、下層側の配線のパターン段差部における上層側の段差被覆性を向上させて、上層側の配線の断線を低減させる為に、層間絶縁膜を平坦化する必要がある。その為、流動性があり、段差部を埋めることができる、平坦化が可能なSOG膜等の塗布膜が層間絶縁膜として多用されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、配線の多層化が進んでいるなか、これらの複数の配線は、絶縁膜と配線を構成する導電性膜を交互に繰り返し形成することにより形成される。さらに、絶縁膜と導電性膜を交互に形成する毎に段差が生じていく。その為、平坦化を目的としたSOG膜が多用されている。
【0004】
【特許文献1】特許平7−176530号公報(段落0001〜0015)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半導体集積回路装置(例えばIC)はトランジスタ形成後に、層間絶縁膜、配線及び保護膜が形成される。配線形成によって生じた段差はSOG膜によって平坦化される。SOG膜を用いることにより、平坦性は向上するが、SOG膜が持つ膜応力が大きい。その為、SOG膜を用いることにより、ウェハに反りが生じる。図3(a)に示すように、IC形成前のウェハ50は全くストレスがかかっていない為、ウェハ50自体は反っていない。しかし、図3(b)に示すように、IC形成後においては、ウェハ50a上に積層されたSOG膜の膜応力(引張り応力)が大きい為ウェハ50aに過剰なストレスがかかり、IC面を表面にした場合、ウェハ50aは凹方向に反ってしまう。また、膜応力において、引張り応力とは膜を成膜した面が凹に反り、圧縮応力とは引張り応力と逆に凸に反ることを示している。
【0006】
ここでウェハの反り量とSOG膜のストレスの関係について以下に説明する。
図3(c)はウェハ50cとその上に形成された膜51を模式的に示したものである。また、ウェハの反り量とストレスの関係式を下記式(1)に示す。また、ウェハ50cの反り量はウェハ50c上に、対象物の凹凸を測定するプローブをあてた状態で、一定の距離Dを移動させることにより、図3(b)に示す反り量dを測定する。ウェハ50cにかかるストレスは式(1)で示され、膜厚Tsの二乗に比例している。また、SOG膜もこれと同様の膜厚依存を示す。
【0007】
【数1】

【0008】
上述したようにウェハに過剰なストレスがかかり、ウェハの反り量が大きくなれば、安定したダイシングができない為、生産性の低下を招くことになる。
【0009】
本発明は上記のような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、ウェハの反り量を低減することにより生産性を向上させた半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明に係る半導体装置の製造方法は、ウェハ上に絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜上に第1の配線を形成する工程と、
前記第1の配線及び前記絶縁膜の上に、前記ウェハに印加される高周波出力を250〜350Wとし且つ前記ウェハに対向する対向電極に印加される高周波出力を650〜750WとしたプラズマCVD法により厚さ225〜275nmの第1のTEOS膜を成膜する工程と、
前記第1のTEOS膜上にSOG膜を塗布し、435〜465℃の温度で熱処理することにより、前記第1のTEOS膜上に厚さ450〜550nmのSOG膜を形成する工程と、
前記SOG膜の上に、前記ウェハに印加される高周波出力を250〜350Wとし且つ前記ウェハに対向する対向電極に印加される高周波出力を650〜750WとしたプラズマCVD法により厚さ94.5〜115.5nmの第2のTEOS膜を成膜する工程と、
前記第2のTEOS膜上に第2の配線を形成する工程と、
前記第2の配線及び前記第2のTEOS膜の上に、前記ウェハに印加される高周波出力を422〜433WとしたプラズマCVD法により厚さ630〜770nmの窒化シリコンからなる保護膜を成膜する工程と、
を具備することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、ウェハ上に絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜上に第1の配線を形成する工程と、
前記第1の配線及び前記絶縁膜の上に、前記ウェハに印加される高周波出力を450〜550Wとし且つ前記ウェハに対向する対向電極に印加される高周波出力を450〜550WとしたプラズマCVD法により厚さ225〜275nmの第1のTEOS膜を成膜する工程と、
前記第1のTEOS膜上にSOG膜を塗布し、385〜415℃の温度で熱処理することにより、前記第1のTEOS膜上に厚さ450〜550nmのSOG膜を形成する工程と、
前記SOG膜の上に、前記ウェハに印加される高周波出力を450〜550Wとし且つ前記ウェハに対向する対向電極に印加される高周波出力を450〜550WとしたプラズマCVD法により厚さ94.5〜115.5nmの第2のTEOS膜を成膜する工程と、
前記第2のTEOS膜上に第2の配線を形成する工程と、
前記第2の配線及び前記第2のTEOS膜の上に、前記ウェハに印加される高周波出力を412〜418WとしたプラズマCVD法により厚さ630〜770nmの窒化シリコンからなる保護膜を成膜する工程と、
を具備することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、ウェハ上に絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜上に第1の配線を形成する工程と、
前記第1の配線及び前記絶縁膜の上に、前記ウェハに印加される高周波出力を450〜550Wとし且つ前記ウェハに対向する対向電極に印加される高周波出力を450〜550WとしたプラズマCVD法により厚さ225〜275nmの第1のTEOS膜を成膜する工程と、
前記第1のTEOS膜上にSOG膜を塗布し、435〜465℃の温度で熱処理することにより、前記第1のTEOS膜上に厚さ250〜350nmのSOG膜を形成する工程と、
前記SOG膜の上に、前記ウェハに印加される高周波出力を450〜550Wとし且つ前記ウェハに対向する対向電極に印加される高周波出力を450〜550WとしたプラズマCVD法により厚さ94.5〜115.5nmの第2のTEOS膜を成膜する工程と、
前記第2のTEOS膜上に第2の配線を形成する工程と、
前記第2の配線及び前記第2のTEOS膜の上に、前記ウェハに印加される高周波出力を412〜418WとしたプラズマCVD法により厚さ630〜770nmの窒化シリコンからなる保護膜を成膜する工程と、
を具備することを特徴とする。
【0013】
上記半導体装置の製造方法によれば、第1及び第2のTEOS膜、SOG膜、保護膜の成膜条件を調整することにより、ウェハの反り量を低減することができ、その結果、生産性を向上させることができる。
【0014】
また、本発明に係る半導体装置の製造方法において、前記第1及び第2のTEOS膜それぞれを成膜する際の成膜温度及び成膜圧力は、335〜365℃の温度範囲、1.8〜2.6Torrの圧力範囲であり、前記保護膜を成膜する際の成膜温度及び成膜圧力は、400〜440℃の温度範囲、4.0〜5.2Torrの圧力範囲であることが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1(a)、(b)及び(c)は本発明の第1の実施形態に係る半導体装置を説明する為の断面図である。
【0016】
まず、図1(a)に示すように、シリコン基板(ウェハ)1に素子分離膜であるLOCOS酸化膜2を形成する。次いで、シリコン基板1の表面上にゲート絶縁膜3となるゲート酸化膜を熱酸化法にて形成する。その後、ゲート絶縁膜3及びLOCOS酸化膜2の上にCVD(Chemical Vapor Deposition)法にてポリシリコン膜を成膜し、このポリシリコン膜をフォトリソグラフィー法及びドライエッチング法にて加工形成する。これにより、ゲート絶縁膜3上にゲート電極4が形成される。その後、ゲート電極4及びLOCOS酸化膜2をマスクとしてシリコン基板1に不純物イオンをイオン注入することにより、シリコン基板1に低濃度不純物層によるLDD領域17が形成される。
【0017】
次いで、ゲート電極4及びLOCOS酸化膜2を含む基板の全面上に例えばシリコン窒化膜をCVD法により成膜する。その後、エッチバック法にてシリコン窒化膜をエッチングすることにより、ゲート電極4の側壁にサイドウォール5が形成される。次いで、ゲート電極4、サイドウォール5及びLOCOS酸化膜2をマスクとしてシリコン基板1に不純物イオンをイオン注入し、熱処理を施す。これにより、シリコン基板1のソース・ドレイン領域18には自己整合的に拡散層が形成される。
【0018】
次いで、ゲート電極4、サイドウォール5及びLOCOS酸化膜2を含む基板の全面上にCVD法にて第1の層間絶縁膜8を成膜する。その後、第1の層間絶縁膜8にコンタクトホール7形成する。次いで、このコンタクトホール7内及び第1の層間絶縁膜8上にスパッタリング法により金属膜を成膜し、その後CMP法により、第1の層間絶縁膜8上の金属膜を除去する。これによって、第1の層間絶縁膜8にはソース・ドレイン領域18及びゲート電極4に電気的に接続された第1のプラグ6が形成される。その後、スパッタリング法により、第1の層間絶縁膜8上及び第1のプラグ6上に配線層を形成し、この配線層をフォトリソグラフィー法及びドライエッチング法にて加工することにより、配線層からなる第1の配線9が形成される。
【0019】
次いで、図1(b)に示すように、第1の層間絶縁膜8及び第1の配線9上にテトラエトキシシランを用いたプラズマCVD法により、第1のP−TEOS膜10を成膜する。この際、第1のP−TEOS膜10の厚さは、250nmであるが、第1のP−TEOS膜10の厚さは225〜275nmの範囲内であれば良い。また、この際の成膜条件は表1に示すとおりである。この表1に示すように、ウェハに印加するHF(高周波:13.56MHz)及び前記ウェハに対向する対向電極に印加するLF(低周波:280KHz)それぞれの出力を改善することにより、第1のP−TEOS膜10の引張応力を改善前の成膜条件で成膜した場合より高くすることができる。具体的には、第1のP−TEOS膜10の圧縮応力を約1.8×10dyne/cm程度まで高くすることができる。なお、本実施の形態では、HFの出力を300Wとし、LFの出力を700Wとしているが、HFの出力は250〜350Wの範囲内であればよく、LFの出力は650〜750Wの範囲内であればよい。また、本実施の形態では、成膜温度及び成膜圧力を350℃、2.2Torrとしているが、成膜温度は335〜365℃の範囲内であればよく、成膜圧力は1.8〜2.6Torrの範囲内であればよい。
【0020】
【表1】

【0021】
次いで、第1のP−TEOS膜10上にSOG(Spin On Glass)膜11を塗布し、熱処理を行う。この際、SOG膜11の厚さは、500nmであるが、SOG膜11の厚さは450〜550nmの範囲内であれば良い。また、このときの熱処理時のキュア温度は450℃とするが、キュア温度は435〜465℃の範囲内であれば良い。これにより得られたSOG膜の引張り応力は1.04×10dyne/cm程度となる。なお、キュア温度を低くするとSOG膜の引張り応力は低くなり、例えばキュア温度を400℃とするとSOG膜の引張り応力は2.95×10dyne/cm程度となる。
【0022】
その後、SOG膜11上にプラズマCVD法により、第2のP−TEOS膜12を成膜する。この際、第2のP−TEOS膜12の厚さは、105nmであるが、第2のP−TEOS膜12の厚さは94.5〜115.5nmの範囲内であれば良い。また、成膜条件は、第1のP−TEOS膜10の成膜条件と同様であり、第2のP−TEOS膜12の圧縮応力を約1.5×10dyne/cm程度まで高くすることができる。このように、第1の層間絶縁膜8及び第1の配線9上には、第1のP−TEOS膜10、SOG膜11及び第2のP−TEOS膜12の3層構造からなる第2の層間絶縁膜が形成される。その後、第2の層間絶縁膜にviaホール13を形成する。
【0023】
次いで、図1(c)に示すように、このviaホール13及び第2のP−TEOS膜12上にスパッタリング法、CVD法により金属膜を成膜し、その後エッチング法により、第2のP−TEOS膜12上の金属膜を除去する。これによって、3層構造からなる第2の層間絶縁膜には第1の配線9に電気的に接続された第2のプラグ14が形成される。その後、スパッタリング法により、第2のP−TEOS膜12及び第2のプラグ14上に配線層を形成し、この配線層をフォトリソグラフィー法及びドライエッチング法にて加工することにより、配線層からなる第2の配線15が形成される。
【0024】
次いで、第2の配線15及び第2のP−TEOS膜12上に、プラズマCVD法により例えば窒化シリコン膜(PSIN)からなる保護膜16を形成する。この際、保護膜16の厚さは、700nmであるが、保護膜16の厚さは630〜770nmの範囲内であれば良い。また、この際の成膜条件は表2に示すとおりであり、またPSINを成膜する際の原料ガスは、SiN、HN、Nを用いる。この表2に示すように、ウェハに印加するHF(高周波:13.56MHz)の出力を改善することにより、保護膜16の圧縮応力を改善前の成膜条件で成膜した場合より高くすることができる。具体的には、保護膜16の圧縮応力を約2.5×10dyne/cm程度まで高くすることができる。なお、本実施の形態では、HFの出力を425Wとしているが、HFの出力は422〜433Wの範囲内であればよい。また、ウェハに対向する対向電極にはアース電位を印加する。また、本実施の形態では、成膜温度及び成膜圧力を420℃、4.6Torrとしているが、成膜温度は400〜440℃の範囲内であればよく、成膜圧力は4.0〜5.2Torrの範囲内であればよい。
【0025】
【表2】

【0026】
以上、本発明の第1の実施形態によれば、第2の層間絶縁膜は、第1のP−TEOS膜10、SOG膜11及び第2のP−TEOS膜12の3層構造を有しており、第2のP−TEOS膜12上には保護膜16が形成されている。SOG膜11は引張り応力を示すのに対し、第1、第2のP−TEOS膜10,12及び保護膜16は圧縮応力を示している。従来技術では、SOG膜の引張り応力が大きい為、ウェハが凹方向に反ってしまっていた。しかし、本実施形態では、第1、第2のP−TEOS膜10,12及び保護膜16を成膜する際に、成膜条件を変更することにより、あえて第1、第2のP−TEOS膜10,12及び保護膜16を高ストレス化している。その為、第1、第2のP−TEOS膜10,12及び保護膜16の圧縮応力とSOG膜11の引張り応力によってウェハにかかるストレスを相殺することが可能となる。その結果、保護膜形成後、プロセス終了した時点において、ウェハの反り量が低減される。また、反り量の低減により、安定したダイシングができ、生産性の向上が可能となる。
【0027】
次に、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。ただし、第1の実施形態と同様の部分の説明は省略する。
【0028】
第1のP−TEOS膜、SOG膜及び第2のP−TEOS膜の3層構造からなる第2の層間絶縁膜を形成する工程の際に、SOG膜11を塗布し、熱処理を行う。このとき、熱処理時のキュア温度は400℃とし第1の実施形態より低温化する。これにより、SOG膜の引張り応力を第1の実施形態のそれより低くすることができる。具体的には、SOG膜の引張り応力を2.95×10dyne/cm程度まで低くすることができる。なお、本実施の形態では、キュア温度を400℃としているが、キュア温度は385〜415℃の範囲内であれば良い。
【0029】
また、第1及び第2のP−TEOS膜においては表1に示す改善前の成膜条件によって成膜している。これにより、第1及び第2のP−TEOS膜の圧縮応力を第1の実施形態のそれより低くすることができる。具体的には、第1及び第2のP−TEOS膜の圧縮応力を1.8×10dyne/cm程度まで高くすることができる。なお、本実施の形態では、HFの出力を500Wとし、LFの出力を500Wとしているが、HFの出力は450〜550Wの範囲内であればよく、LFの出力は450〜550Wの範囲内であればよい。
【0030】
また、第2の層間絶縁膜上に形成された保護膜においては表2に示す改善前の成膜条件によって成膜している。これにより、保護膜の圧縮応力を第1の実施形態のそれより低くすることができる。具体的には、保護膜の圧縮応力を2.5×10dyne/cm程度まで低くすることができる。なお、本実施の形態では、HFの出力を415Wとしているが、HFの出力は412〜418Wの範囲内であればよい。これらの点を除いては、第1の実施形態と同様である。
【0031】
以上、本発明の第2の実施形態においても第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。SOG膜を形成する工程において、キュア温度を低温化することによって、SOG膜の引張り応力を低減している。その為、あえてP−TEOS膜及び保護膜を高ストレス化することなく、もともとP−TEOS膜及び保護膜にある圧縮応力によって、SOG膜の引張り応力を相殺することが可能となる。
【0032】
次に、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。ただし、第1の実施形態と同様の部分の説明は省略する。
【0033】
第1のP−TEOS膜、SOG膜及び第2のP−TEOS膜の3層構造からなる第2の層間絶縁膜を形成する工程の際に、SOG膜11を塗布し、熱処理を行う。このとき、塗布するSOG膜の材料を減らし、形成されるSOG膜を薄膜化する。また、SOG膜の膜厚は250nm程度まで薄膜化が可能であるが、SOG膜11の厚さは250〜350nmの範囲内であれば良い。これにより、SOG膜の引張り応力を第1の実施形態のそれより低くすることができる。具体的には、SOG膜の引張り応力を2.95×10dyne/cm程度まで低くすることができる。なお、本実施の形態では、キュア温度を450℃としているが、キュア温度は435〜465℃の範囲内であれば良い。
【0034】
また、第1及び第2のP−TEOS膜においては表1に示す改善前の成膜条件によって成膜している。これにより、第1及び第2のP−TEOS膜の圧縮応力を第1の実施形態のそれより低くすることができる。具体的には、第1及び第2のP−TEOS膜の圧縮応力を1.8×10dyne/cm程度まで高くすることができる。なお、本実施の形態では、HFの出力を500Wとし、LFの出力を500Wとしているが、HFの出力は450〜550Wの範囲内であればよく、LFの出力は450〜550Wの範囲内であればよい。
【0035】
また、第2の層間絶縁膜上に形成された保護膜においては表2に示す改善前の成膜条件によって成膜している。これにより、保護膜の圧縮応力を第1の実施形態のそれより低くすることができる。具体的には、保護膜の圧縮応力を2.5×10dyne/cm程度まで高くすることができる。なお、本実施の形態では、HFの出力を415Wとしているが、HFの出力は412〜418Wの範囲内であればよい。これらの点を除いては、第1の実施形態と同様である。
【0036】
以上、本発明の第3の実施形態においても第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。SOG膜を形成する工程において、SOG膜厚を薄膜化することにより、SOG膜の引張り応力を低減している。その為、あえてP−TEOS膜及び保護膜を高ストレス化することなく、もともとP−TEOS膜及び保護膜にある圧縮応力によって、SOG膜の圧縮応力を相殺することが可能となる。
【0037】
次に、本発明の第4の実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。ただし、第1の実施形態と同様の部分の説明は省略する。
【0038】
まず、図2に示すLOCOS酸化膜22、ゲート絶縁膜23、ゲート電極24、LDD領域41、サイドウォール25、ソース・ドレイン領域42、第1の層間絶縁膜28、コンタクトホール27、第1のプラグ26及び第1の配線29を形成するまでの工程においては、第1の実施形態と同様の製造方法が用いられる。
【0039】
その後、図2に示すように、第1の層間絶縁膜28及び第1の配線29上にCVD法により、第1のP−TEOS膜30を成膜する。次いで、第1のP−TEOS膜30上に第1のSOG膜31を塗布し、熱処理を行う。その後、第1のSOG膜31上に第2のP−TEOS膜32を成膜することによって、第1のP−TEOS膜30、第1のSOG膜31及び第2のP−TEOS膜32の3層構造からなる第2の層間絶縁膜を形成する。この際、第1及び第2のP−TEOS膜30、32を成膜する工程において、成膜条件の変更によりP−TEOS膜のストレスをコントロールする。また、第1のSOG膜31の熱処理においてもキュア温度の変更によりSOG膜のストレスをコントロールする。
【0040】
次いで、第1のP−TEOS膜30、第1のSOG膜31及び第2のP−TEOS膜32の3層構造からなる第2の層間絶縁膜に第1のviaホール44を形成する。次いで、この第1のviaホール44及び第2のP−TEOS膜32上に金属膜を成膜し、CMP法によって第2のP−TEOS膜32上の金属膜を除去することによって、第2のプラグ43が形成される。その後、第2のP−TEOS膜32及び第2のプラグ43上に第2の配線35を形成する。
【0041】
その後、第2のP−TEOS膜32及び第2の配線35上に第3のP−TEOS膜37を成膜する。次いで、第3のP−TEOS膜37上に第2のSOG膜38を形成し、その後、第2のSOG膜38上に第4のP−TEOS膜39を成膜する。これにより、第3のP−TEOS膜37、第2のSOG膜38及び第4のP−TEOS膜39の3層構造からなる第3の層間絶縁膜を形成する。この際、第3及び第4のP−TEOS膜37、39を成膜する工程において、成膜条件の変更によりP−TEOS膜のストレスをコントロールする。また、第2のSOG膜38の熱処理においてもキュア温度の変更によりSOG膜のストレスをコントロールする。
【0042】
次いで、第3のP−TEOS膜37、第2のSOG膜38及び第4のP−TEOS膜39の3層構造からなる第3の層間絶縁膜に第2のviaホール33を形成する。次いで、この第2のviaホール33及び第4のP−TEOS膜39上に金属膜を成膜し、CMP法によって第4のP−TEOS膜39上の金属膜を除去することによって、第3のプラグ34が形成される。その後、第4のP−TEOS膜39及び第3のプラグ34上に第3の配線40を形成する。
【0043】
その後、第3の配線40及び第4のP−TEOS膜39上に保護膜36を形成する。このとき、保護膜36の形成時に下層のP−TEOS膜及びSOG膜のストレスによって生じるウェハへのストレスを考慮して、保護膜36を成膜する必要がある。多層配線構造において、予め、積層する層間絶縁膜によって生じる各膜種の膜応力を考慮し、保護膜形成の時点においてそれぞれの膜応力が相殺されるように、各膜の形成においてストレスコントロールしている。
【0044】
以上、本発明の第4の実施形態においても第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。つまり、第1乃至第3の実施形態より配線層の数が増えても、第1乃至第3の実施形態と同様の技術思想によってウェハ全体のストレスをコントロールすることにより、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0045】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。例えば、上記実施の形態では、第2の配線層及び第3の配線層までの多層配線構造としたが、配線構造は第3の配線層以上であっても、第2の配線層以下であっても良い。また、上記実施形態では、第1及び第2のP−TEOS膜を成膜する際にウェハに印加する高周波電源のHF(高周波)を13.56MHzとし、対向電極に印加する低周波電源のLF(低周波)を280KHzとし、保護膜を成膜する際にウェハに印加する高周波電源のHF(高周波)を13.56MHzとしているが、周波数を種々変更して実施することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】(a)、(b)及び(c)は第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する為の断面図。
【図2】第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する為の断面図。
【図3】(a)、(b)及び(c)は従来の半導体装置のウェハ反り状態を説明する為の断面図。
【符号の説明】
【0047】
21・・・シリコン基板、2,22・・・LOCOS酸化膜、3,23・・・ゲート絶縁膜、4,24・・・ゲート電極、5,25・・・サイドウォール、6,26・・・第1のプラグ、7,27・・・コンタクトホール、8,28・・・第1の層間絶縁膜、9,29・・・第1の配線、10,30・・・第1のP−TEOS膜、11,31・・・第1のSOG膜、12,32・・・第2のP−TEOS膜、13,44・・・第1のviaホール、14,43・・・第2のプラグ、15,35・・・第2の配線、16,36・・・保護膜、34・・・第3のプラグ、33・・・第2のviaホール、37・・・第3のP−TEOS膜、38・・・第2のSOG膜、39・・・第4のP−TEOS膜、40・・・第3の配線、17,41・・・LDD領域、18,42・・・ソース・ドレイン領域、50,50a,50c・・・ウェハ、51・・・膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェハ上に絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜上に第1の配線を形成する工程と、
前記第1の配線及び前記絶縁膜の上に、前記ウェハに印加される高周波出力を250〜350Wとし且つ前記ウェハに対向する対向電極に印加される高周波出力を650〜750WとしたプラズマCVD法により厚さ225〜275nmの第1のTEOS膜を成膜する工程と、
前記第1のTEOS膜上にSOG膜を塗布し、435〜465℃の温度で熱処理することにより、前記第1のTEOS膜上に厚さ450〜550nmのSOG膜を形成する工程と、
前記SOG膜の上に、前記ウェハに印加される高周波出力を250〜350Wとし且つ前記ウェハに対向する対向電極に印加される高周波出力を650〜750WとしたプラズマCVD法により厚さ94.5〜115.5nmの第2のTEOS膜を成膜する工程と、
前記第2のTEOS膜上に第2の配線を形成する工程と、
前記第2の配線及び前記第2のTEOS膜の上に、前記ウェハに印加される高周波出力を422〜433WとしたプラズマCVD法により厚さ630〜770nmの窒化シリコンからなる保護膜を成膜する工程と、
を具備することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
ウェハ上に絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜上に第1の配線を形成する工程と、
前記第1の配線及び前記絶縁膜の上に、前記ウェハに印加される高周波出力を450〜550Wとし且つ前記ウェハに対向する対向電極に印加される高周波出力を450〜550WとしたプラズマCVD法により厚さ225〜275nmの第1のTEOS膜を成膜する工程と、
前記第1のTEOS膜上にSOG膜を塗布し、385〜415℃の温度で熱処理することにより、前記第1のTEOS膜上に厚さ450〜550nmのSOG膜を形成する工程と、
前記SOG膜の上に、前記ウェハに印加される高周波出力を450〜550Wとし且つ前記ウェハに対向する対向電極に印加される高周波出力を450〜550WとしたプラズマCVD法により厚さ94.5〜115.5nmの第2のTEOS膜を成膜する工程と、
前記第2のTEOS膜上に第2の配線を形成する工程と、
前記第2の配線及び前記第2のTEOS膜の上に、前記ウェハに印加される高周波出力を412〜418WとしたプラズマCVD法により厚さ630〜770nmの窒化シリコンからなる保護膜を成膜する工程と、
を具備することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
ウェハ上に絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜上に第1の配線を形成する工程と、
前記第1の配線及び前記絶縁膜の上に、前記ウェハに印加される高周波出力を450〜550Wとし且つ前記ウェハに対向する対向電極に印加される高周波出力を450〜550WとしたプラズマCVD法により厚さ225〜275nmの第1のTEOS膜を成膜する工程と、
前記第1のTEOS膜上にSOG膜を塗布し、435〜465℃の温度で熱処理することにより、前記第1のTEOS膜上に厚さ250〜350nmのSOG膜を形成する工程と、
前記SOG膜の上に、前記ウェハに印加される高周波出力を450〜550Wとし且つ前記ウェハに対向する対向電極に印加される高周波出力を450〜550WとしたプラズマCVD法により厚さ厚さ94.5〜115.5nmの第2のTEOS膜を成膜する工程と、
前記第2のTEOS膜上に第2の配線を形成する工程と、
前記第2の配線及び前記第2のTEOS膜の上に、前記ウェハに印加される高周波出力を412〜418WとしたプラズマCVD法により厚さ630〜770nmの窒化シリコンからなる保護膜を成膜する工程と、
を具備することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項において、前記第1及び第2のTEOS膜それぞれを成膜する際の成膜温度及び成膜圧力は、335〜365℃の温度範囲、1.8〜2.6Torrの圧力範囲であり、前記保護膜を成膜する際の成膜温度及び成膜圧力は、400〜440℃の温度範囲、4.0〜5.2Torrの圧力範囲であることを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−302093(P2009−302093A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−151396(P2008−151396)
【出願日】平成20年6月10日(2008.6.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】