説明

半導体装置の製造方法

【課題】半導体装置の製造方法において、ヒューズ層を覆う絶縁膜の膜厚を精度良く調整する。
【解決手段】半導体基板10上の第2の層間絶縁膜17上にヒューズ層18Tが形成され、ヒューズ層18Tは第3の層間絶縁膜20で覆われる。第3の層間絶縁膜20上には、キャップメタル24に覆われたパッド電極23が形成され、それらは第1及び第2のパッシベーション膜25,26に覆われる。次に、ヒューズ層18T上で開口する第1のレジスト層27をマスクとして、ヒューズ層18T上で第2のパッシベーション膜26から第3の絶縁膜の厚さ方向の途中までをエッチングする。その後、パッド電極23上で開口する第2のレジスト層30をマスクとして、パッド電極23上で第1及び第2のパッシベーション膜25,26及びキャップメタル層24をエッチングしてパッド電極23の表面を露出する。その後、保護膜32を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路定数等の変更を行うために用いられるトリミング素子を含む半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体装置の回路定数等の変更するために、半導体装置における複数の電子デバイス間には、レーザートリミング等により部分的に除去されるヒューズ層を備えたトリミング素子が接続されている。この種のトリミング素子は、例えば特許文献1に記載されている。
【0003】
トリミング素子の断面構成としては、ヒューズ層を構成する材料がトリミング時に沸点まで十分に加熱され、一挙に外部へ吹き飛ばされる構造となるように、ヒューズ層の上層に層間絶縁膜等の絶縁膜が形成されている。このようなトリミングに最適な絶縁膜の膜厚をヒューズ層上で実現するために、ヒューズ層を覆う絶縁膜のエッチングが行われていた。
【0004】
これまで、ヒューズ層の材料には、ポリシリコンが多く用いられていた。しかしながら、半導体装置において、多層の金属配線を使用することが増えるにつれて、形成温度が高いため、アルミニウムなどの金属配線層より下部に形成せざるを得ないポリシリコン層では、レイアウトの自由度や最終的にヒューズ層を覆う絶縁膜のエッチングにおいて問題が生じていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−283714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、上記のポリシリコン層を用いたヒューズ層の問題に対処するため、多層金属配線の金属配線材料をトリミング素子のヒューズ層に利用することを検討した。
【0007】
以下に、参考例として、金属配線材料からなるヒューズ層を覆う絶縁膜の膜厚を調整するエッチング工程の一例について、図9(A)の断面図を参照して説明する。図9(A)には、ヒューズ層118Tが形成されるトリミング部101と、半導体装置のパッド電極123が形成されるパッド部102を並べて図示している。
【0008】
層間絶縁膜117上に金属配線材料からなるヒューズ層118Tが形成され、それを覆う層間絶縁膜120上のパッド部102にパッド電極123が形成される。パッド電極123の表面には、フォトリソグラフィ工程の露光に対する反射防止金属層として、チタンナイトライド等のキャップメタル層124が形成される。さらに、それらを覆って、シリコン酸化膜及びシリコン窒化膜からなるパッシベーション膜125、ポリイミドからなる保護膜132が形成される。次に、保護膜132上に、ヒューズ層118T上とパッド電極123上で開口する2つの開口部133A,133Bを有したレジスト層133を、フォトリソグラフィ工程により形成する。そして、ヒューズ層118T上の層間絶縁膜120の膜厚を調整すると同時に、パッド電極123の表面を露出させるべく、この1つのレジスト層133をエッチングマスクとして、保護膜132以下の層のエッチングを同時に行う。
【0009】
しかしながら、図9(A)に示したような1つのレジスト層133をエッチングマスクとして、トリミング部101とパッド部102で同時にエッチングを行う場合、図9(B)に示すように、キャップメタル層124を除去するために必要なエッチングの分だけ、ヒューズ層118T上の層間絶縁膜120も必要以上にエッチングされることになる。
【0010】
これにより、ヒューズ層118T上の層間絶縁膜120がトリミングに最適な膜厚に調整できなくなるという問題が生じていた。例えばヒューズ層118Tの表面及び側面までもが露出されてしまい、レーザートリミングの際に、ヒューズ層118Tを構成する金属の一部は、完全に外部へ吹き飛ばされずに周囲に広がって残存し、その金属を介してヒューズ層118Tが接続されてしまう恐れがあった。
【0011】
そこで本発明は、ヒューズ層を覆う層間絶縁膜の膜厚を精度良く調整することができる半導体装置の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の半導体装置の製造方法は、半導体基板上の第1の絶縁膜上にトリミング素子のヒューズ層を形成する工程と、前記第1の絶縁膜上に前記ヒューズ層を覆う第2の絶縁膜を形成する工程と、前記第2の絶縁膜上にパッド電極を形成する工程と、前記パッド電極上に反射防止金属層を形成する工程と、前記第2の絶縁膜上に前記パッド電極及び前記反射防止金属層を覆う第3の絶縁膜を形成する工程と、前記ヒューズ層上で開口すると共に前記パッド電極上を覆う第1のレジスト層をマスクとして、前記ヒューズ層上で前記第3の絶縁膜から前記第2の絶縁膜の厚さ方向の途中までをエッチングする第1のエッチング工程と、前記第1のエッチング工程の後、前記パッド電極上で開口すると共に前記ヒューズ層上を覆う第2のレジスト層をマスクとして、前記パッド電極上で前記第3の絶縁膜及び前記反射防止金属層をエッチングして前記パッド電極の表面を露出する第2のエッチング工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ヒューズ層を覆う絶縁膜の膜厚を精度良く調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態による半導体装置を説明する平面図である。
【図2】本発明の実施形態による半導体装置の製造方法を説明する断面図である。
【図3】本発明の実施形態による半導体装置の製造方法を説明する断面図である。
【図4】本発明の実施形態による半導体装置の製造方法を説明する断面図である。
【図5】本発明の実施形態による半導体装置の製造方法を説明する断面図である。
【図6】本発明の実施形態による半導体装置の製造方法を説明する断面図である。
【図7】本発明の実施形態による半導体装置の製造方法を説明する断面図である。
【図8】本発明の実施形態による半導体装置の変形例を説明する平面図である。
【図9】参考例によるトリミング素子を含む半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態による半導体装置の概略構成について、図1の平面図を参照して説明する。説明の便宜上、図1では、主要な構成要素のみを図示し、その他の図示は省略している。
【0016】
図1に示すように、本実施形態による半導体装置は、回路定数等の変更(トリミング)を行うためのトリミング素子1を含む。トリミング素子1は、アルミニウム等の金属からなるヒューズ層18を備える。ヒューズ層18の中央部は、トリミングの対象となる領域であり、その中央部の幅は他の領域よりも小さく形成されている。また、ヒューズ層18の両端の引き出し部は、不図示の配線及びコンタクトを介して、例えば、半導体装置の他の領域に形成されたポリシリコンからなる不図示の抵抗層と接続されている。以下では、トリミングされるヒューズ層18の中央部を、ヒューズ層18Tとして表記する。また、ヒューズ層18のトリミング方法は、レーザーのスポット照射によるレーザートリミングであるものとして説明する。ヒューズ層18Tがトリミングされると、不図示の抵抗層と接続されたヒューズ層18Tの電流経路が遮断されて、半導体装置の回路定数等の変更が行われる。
【0017】
また、ヒューズ層18Tへ水分が浸入するのを防ぐ目的として、ヒューズ層18Tを囲んで、シールリングSRが形成されている。シールリングSRの形成領域では、第1のシール金属層14、第2のシール金属層16、第3のシール金属層19、及び第4のシール金属層21が、半導体基板10の表面に対して垂直に積層して形成されている。各シール金属層は、半導体基板10上の多層の金属配線層を用いて形成されている。第3のシール金属層19は、ヒューズ層18Tと同層の金属配線層で形成され、ヒューズ層18Tの引き出し部分とショートしないように切断されている。なお、図中ではヒューズ層18,18Tと第3のシール金属層19のみを実線で囲みハッチングを施して示している。また、以下の説明では、多層の金属配線層のそれぞれを、単に金属層と表記する。
【0018】
また、トリミングの対象となるヒューズ層18Tの近傍では、ヒューズ層18Tを覆う第3の層間絶縁膜20を露出する開口部28が設けられている。この開口部28の底部において、ヒューズ層18Tを覆う第3の層間絶縁膜20は、トリミングの際にヒューズ層18Tを構成する金属が外部に吹き飛ばされて、かつ残存しないように、精度良く最適な膜厚に調整されている。
【0019】
以下に、上述したトリミング素子1を含む半導体装置、即ち、ヒューズ層18Tを覆う第1の層間絶縁膜20が最適な膜厚に精度良く調整される半導体装置の製造方法について説明する。図2乃至図7は、この半導体装置の製造方法を説明する断面図であり、各A図では、トリミング素子1の形成領域のうち、図1のA−A線に沿った断面図を示し、各B図では、トリミング素子1と離間して形成されるパッド電極23の形成領域(図1では不図示)を示している。パッド電極23は、第4のシール金属層21と同層の金属層からなり、半導体基板10の表面に対して垂直な方向から見ると矩形状のパターンで形成され、その表面は露出されている。
【0020】
まず、図2(A)及び図2(B)に示すように、半導体基板10上に、例えば約400nm〜500nmの膜厚を有したLOCOS膜11が形成される。トリミング素子1の形成領域では、LOCOS膜11は、シールリングSRの形成領域上に開口部11Aを有して形成され、その開口部11A内の半導体基板10にはP型ウェルPWが形成される。
【0021】
LOCOS膜11上及びP型ウェルPW上には、LPCVD法等により形成されたBPSG等からなり、例えば約400nm〜1000nmの膜厚を有した絶縁膜13が形成される。絶縁膜13は、半導体装置の他の領域に形成された不図示の抵抗層等を構成するポリシリコン層を覆っている。
【0022】
絶縁膜13上には、P型ウェルPWと重畳する領域に、第1のシール金属層14が形成される。第1のシール金属層14は、例えばアルミニウムあるいはアルミニウムを含む金属からなり、例えば約600nm〜700μmの膜厚を有している。第1のシール金属層14は、絶縁膜13に形成されたコンタクトを介してP型ウェルPWと接続されている。なお、第1のシール金属層14は、上記以外の金属、例えば銅あるいは銅を含む金属からなるものであってもよい。
【0023】
さらに、絶縁膜13及び第1のシール金属層14を覆って第1の層間絶縁膜15が形成される。第1の層間絶縁膜15は、例えば、TEOS膜、SOG膜、TEOS膜がこの順で形成された積層体であり、全体で例えば約600nm〜800nmの膜厚を有している。
【0024】
第1の層間絶縁膜15上には、第1のシール金属層14と重畳する領域に、例えば第1のシール金属層14と同じ材料と膜厚を有した第2のシール金属層16が形成される。第2のシール金属層16は、第1の層間絶縁膜15に形成されたコンタクトを介して、下層の第1のシール金属層14と接続される。次に、第1の層間絶縁膜15及び第2のシール金属層16を覆って、例えば第1の層間絶縁膜15と同じ材料と膜厚を有した第2の層間絶縁膜17が形成される。
【0025】
次に、トリミング素子1の形成領域において、第2の層間絶縁膜17上に、ヒューズ層18Tが形成される(図1の引き出し部も含む)。ヒューズ層18Tは、例えばアルミニウムあるいはアルミニウムを含む金属からなり、例えば約600nm〜700nmの膜厚を有して形成される。ヒューズ層18Tは、上記以外の金属、例えば銅あるいは銅を含む金属からなるものであってもよい。
【0026】
また、第2の層間絶縁膜17上であって、第2のシール金属層16と重畳する領域には、第3のシール金属層19が形成される。第3のシール金属層19は、第2の層間絶縁膜17に形成されたコンタクトを介して、下層の第2のシール金属層16と接続される。第3のシール金属層19は、製造コストを抑えるためには、ヒューズ層18Tと同一の成膜工程及びパターニング工程によって、ヒューズ層18Tと同じ材料と膜厚を有して形成することが好ましいが、異なる材料、異なる工程によって形成されてもよい。
【0027】
さらに、第2の層間絶縁膜17、ヒューズ層18T、及び第3のシール金属層19を覆って、第3の層間絶縁膜20が形成される。第3の層間絶縁膜20は、例えば、TEOS膜、SOG膜、TEOS膜がこの順で形成された積層体であり、全体で例えば約600nm〜800nmの膜厚を有している。
【0028】
第3の層間絶縁膜20上であって、第3のシール金属層19と重畳する領域には、第4のシール金属層21が形成される。第4のシール金属層21は、第3の層間絶縁膜20に形成されたコンタクトを介して、下層の第3のシール金属層19と接続される。これにより、P型ウェルPW上に、第1乃至第4のシール金属層14,16,19,21が半導体基板10に対して垂直方向に接続されたシールリングSRが形成される。シールリングSRはヒューズ層18Tがトリミングされた際、トリミングされた領域からトリミング素子1の外側の領域へ水分が浸入するのを防ぐ機能を有している。一方、第3の層間絶縁膜20上であって、トリミング素子1と離間した図2(B)の領域では、パッド電極23が形成される。
【0029】
また、第4のシール金属層21上とパッド電極23上には、その後のパターニングで行われるフォトリソグラフィ工程の露光に対する反射防止金属層として、キャップメタル層22,24がそれぞれ形成される。キャップメタル層22,24は、チタンナイトライド等からなり、例えば約20nm〜30nmの膜厚を有して形成される。
【0030】
第4のシール金属層21とパッド電極23は、製造コストを抑えるためには、同一の成膜工程及びパターニング工程によって、同じ材料と膜厚を有して形成することが好ましいが、異なる材料、異なる工程によって形成されてもよい。
【0031】
なお、図の例では、第4のシール金属層21とパッド電極23が半導体装置の最上層の金属層によって形成される例を示してしている。この場合、パッド電極23は、外部接続電極として形成されるため、厚い膜厚、例えば約2μm〜3μmの膜厚を有して形成される。
【0032】
ここで、上述した半導体基板10からパッド電極23までの多層構造について、比較例を考える。仮に、最上層の金属層である第4のシール金属層21及びパッド電極23と同層の金属層を用いてヒューズ層18Tを形成したとする。すると、その金属層の厚さに応じてデザインルールが制限され、ヒューズ層18Tは厚く大きなパターンで形成されることになる。この厚さと大きさを起因として、トリミングの際に、ヒューズ層18Tが溶融しづらくなって残存する恐れがある。
【0033】
また、半導体基板10に近い層、例えば半導体装置の他の領域に形成されたポリシリコンからなる不図示の抵抗層を用いてヒューズ層18Tを形成したとする。すると、その上層に多層の絶縁膜が存在するため、ヒューズ層18T上の絶縁膜のエッチングの制御が難しくなり、その膜厚を精度良く調整できなくなる。
【0034】
いずれの場合においても、トリミングの際に残存したヒューズ層18Tの金属を介して、断線されるべきヒューズ層18Tが接続されてしまう恐れがある。これらの問題を考慮すると、本実施形態のように、ヒューズ層18Tは、最上層の第4のシール金属層21よりも1つ下層の第3のシール金属層19と同層の金属層で形成されることが好ましい。これにより、トリミングの際に、ヒューズ層18Tを構成する金属が残存することを極力抑止することができる。
【0035】
次に、第3の層間絶縁膜20、第4のシール金属層21、及びパッド電極23を覆って、TEOS膜等のシリコン酸化膜からなり、例えば約900nmの膜厚を有した第1のパッシベーション膜25が形成される。第1のパッシベーション膜25の全面には、シリコン窒化膜からなり、例えば約600nmの膜厚を有した第2のパッシベーション膜26が形成される。
【0036】
その後、図3(A)及び図3(B)に示すように、第2のパッシベーション膜26上に、エッチングマスクとして第1のレジスト層27が形成される。第1のレジスト層27は、ヒューズ層18T上に開口部27Aを有すると共にパッド電極23上を覆って形成される。そして、第1のエッチング工程として、第1のレジスト層27をエッチングマスクとして、ヒューズ層18T上の第2のパッシベーション膜26から第3の層間絶縁膜20の厚さ方向の途中までをエッチングして除去する。これにより、ヒューズ層18T上に開口部28が形成され、その開口部28の底部では、ヒューズ層18T上に、レーザートリミングに最適な膜厚T1を有した第3の層間絶縁膜20が残存する。この膜厚T1は、例えば約200nm〜300nmである。一方、パッド電極23の形成領域では、第1のパッシベーション膜25及び第2のパッシベーション膜26はエッチングされない。その後、第1のレジスト層27は除去される。
【0037】
第1のエッチング工程に好適なエッチング条件としては、例えばCHFとOの混合ガスを用いたドライエッチングを用いることができる。
【0038】
次に、図4(A)及び図4(B)に示すように、第2のパッシベーション膜26上に、エッチングマスクとして第2のレジスト層30が形成される。第2のレジスト層30は、パッド電極23上に開口部30Aを有すると共にヒューズ層18T上を覆って形成される。そして、第2のエッチング工程として、第2のレジスト層30をエッチングマスクとして、パッド電極23上の第2のパッシベーション膜26、第1のパッシベーション膜25、及びキャップメタル層24をエッチングして除去する。これにより、パッド電極23の表面を露出する開口部31が形成される。一方、ヒューズ層18T上の第3の層間絶縁膜20はエッチングされず、第1のエッチング工程によって得られた膜厚T1のままに保たれている。その後、第2のレジスト層30は除去される。
【0039】
第2のエッチング工程に好適なエッチング条件としては、例えばCHFとOの混合ガスを用いたドライエッチングを用いることができる。
【0040】
上述したように、ヒューズ層18T上の開口部28の形成と、パッド電極23の表面を露出する開口部31の形成が、異なる2つのエッチングマスクを用いて、第1及び第2のエッチング工程に分けて行われる。このような第1及び第2のエッチング工程は本発明の最大の特徴であり、これにより、パッド電極23の表面を露出すると同時に、ヒューズ層18T上の開口部28において第3の層間絶縁膜20をトリミングに最適な膜厚T1に精度良く調整することができる。
【0041】
仮に、ヒューズ層18T上の開口部28の形成と、パッド電極23の表面を露出する開口部31の形成を同時に行うべく、各開口部28,31に対応する各箇所で開口する1つのレジスト層をエッチングマスクとしてエッチング工程を行うとする。すると、参考例である図9(B)のように、キャップメタル層24を除去するために必要なエッチングの分だけ、ヒューズ層18T上の層間絶縁膜20も必要以上にエッチングされることになり、ヒューズ層18T上の層間絶縁膜20が所望の膜厚に定まらず、トリミングに最適な膜厚T1に調整できなくなる。
【0042】
次に、図5(A)及び図5(B)に示すように、第2のパッシベーション膜26上から開口部28,31の内壁を覆って、保護膜32を形成する。保護膜32は、例えば、製造コストを極力抑えるために非感光性のポリイミドを用いて、例えば約3μm〜10μmの膜厚を有して形成される。保護膜32は、半導体装置の機械的な強度を高めると共に、水分の浸入を防ぐ機能を有する。
【0043】
次に、図6(A)及び図6(B)に示すように、保護膜32上に、エッチングマスクとして第3のレジスト層33を形成する。第3のレジスト層33は、トリミング素子1の形成領域とパッド電極23の形成領域を開口して形成される。
【0044】
次に、第3のレジスト層33をエッチングマスクとして、保護膜32を部分的にエッチングして除去する。これにより、トリミング素子1の形成領域とパッド電極23の形成領域を開口するように保護膜32がパターニングされる。
【0045】
上述した保護膜32のエッチングは、例えばヒドラジン等を用いたウェットエッチングにより行うことができる。この場合、保護膜32の端部E4,F3は、第3のレジスト層33の端部E1,F1の下層で若干侵食される。そのため、特にトリミング素子1の形成領域では、第3のレジスト層33の端部E1が、第4のシール金属層21の内側(ヒューズ層18Tに近い側)の端部E2で生じる第2のパッシベーション膜26の段差S1近傍に形成されると、その段差S1の程度によっては、エッチングによって侵食された保護膜32の端部E4の形状にばらつきや形成不良が生じ、保護膜32の剥離や破損が生じやすくなる。特に最上層の金属層、即ち第4のシール金属層21が厚い場合には、段差S1が大きくなるため、この問題が顕著に発生する。
【0046】
このような保護膜32の剥離や破損を防止するためには、トリミング素子1の形成領域では、第3のレジスト層33の端部E1は、第4のシール金属層21の内側の端部E2よりも外側に形成される。また、パッド電極23の形成領域では、上記と同様の理由で、第3のレジスト層33の端部F1は、パッド電極23の端部F2よりも外側に形成される。
【0047】
より確実に保護膜32の剥離や破損の防止をするためには、図示のように、第3のレジスト層33の端部E1は、第4のシール金属層21の外側の端部E3で生じる第2のパッシベーション膜26の段差S2よりも外側に形成されることが好ましい。これにより、エッチング後の保護膜32の端部E4の形状は、剥離や損傷が生じにくいものとなる。
【0048】
さらに、上記と同様の理由で、パッド電極23の形成領域においても、第3のレジスト層33の端部F1は、パッド電極23の端部F2で生じる第2のパッシベーション膜26の段差S3よりも外側に形成されることが好ましい。これにより、エッチング後の保護膜32の端部F3の形状も、剥離や損傷が生じにくいものとなる。
【0049】
上記工程の後、図7(A)及び図7(B)に示すように第3のレジスト層33は除去される。こうして完成したトリミング素子1を含む半導体装置によれば、ヒューズ層18T上の第3の層間絶縁膜20がトリミングに最適な膜厚T1に精度良く調整されている。この第3の層間絶縁膜の膜厚T1によって、トリミングの際にヒューズ層18Tの金属が沸点まで十分に加熱されて、その後、その箇所に残存することなく一挙に外部へ吹き飛ばされるように放出される。即ち、断線されるべきヒューズ層が、トリミングの際に残存した金属を介して接続してしまうことを防止できる。
【0050】
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で変更が可能なことは言うまでもない。例えば、図8の平面図に示すように、シールリングSRで囲まれる領域において、ヒューズ層18Tと絶縁されて隣接するように、ダミーヒューズ層18Dが形成されてもよい。ダミーヒューズ層18Dは、ヒューズ層18Tや第3の金属層19と同層の金属層として、同一の材料と同一の工程で形成することができる。この場合、第3の層間絶縁膜20は、ヒューズ層18Tとダミーヒューズ層18Dを覆って形成されるため、シールリングSRで囲まれる領域では、第3の層間絶縁膜20の平坦性を高くすることができる。これにより、第3の層間絶縁膜20より上層の各層の平坦性も向上するため、精度良く半導体装置を製造することができる。
【0051】
また、上記実施形態では、金属層が4層配線の場合を示したが、ヒューズ層とその上下にシールリング層が形成できれば、4層配線でなくても実施可能である。3層以上であれば、ヒューズ層と上下の金属層によりシールリングを形成することができ、2層の場合であれば、ヒューズ層とその上側のシールリングは金属配線で、下側のシールリングがポリシリコン層を用いることで本発明の構造を形成することができる。
【0052】
さらに、上記実施形態では、ヒューズ層18Tのトリミング方法は、レーザートリミングであるとしたが、それ以外のトリミング方法であってもよい。例えば、ヒューズ層のトリミング部分に集中的に大電流を流して、その熱によりヒューズ層を溶融させて断線させるトリミング方法を用いてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 トリミング素子 10 半導体基板
11 LOCOS膜 13 絶縁膜
14 第1のシール金属層 15 第1の層間絶縁膜
16 第2のシール金属層 17 第2の層間絶縁膜
18,18T ヒューズ層 19 第3のシール金属層
20 第2の層間絶縁膜 21 第4のシール金属層
22,24 キャップメタル層 23 パッド電極
25 第1のパッシベーション膜 26 第2のパッシベーション膜
27 第1のレジスト層 27A,28,30A,31,開口部
30 第2のレジスト層 32 保護膜
33 第3のレジスト層
PW P型ウェル SR シールリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上の第1の絶縁膜上にトリミング素子のヒューズ層を形成する工程と、
前記第1の絶縁膜上に前記ヒューズ層を覆う第2の絶縁膜を形成する工程と、
前記第2の絶縁膜上にパッド電極を形成する工程と、
前記パッド電極上に反射防止金属層を形成する工程と、
前記第2の絶縁膜上に前記パッド電極及び前記反射防止金属層を覆う第3の絶縁膜を形成する工程と、
前記ヒューズ層上で開口すると共に前記パッド電極上を覆う第1のレジスト層をマスクとして、前記ヒューズ層上で前記第3の絶縁膜から前記第2の絶縁膜の厚さ方向の途中までをエッチングする第1のエッチング工程と、
前記第1のエッチング工程の後、前記パッド電極上で開口すると共に前記ヒューズ層上を覆う第2のレジスト層をマスクとして、前記パッド電極上で前記第3の絶縁膜及び前記反射防止金属層をエッチングして前記パッド電極の表面を露出する第2のエッチング工程と、を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
多層の金属配線層を形成する工程を含み、前記ヒューズ層は、最上層よりも1つ下層の前記金属配線層に形成され、前記パッド電極は、最上層の前記金属配線層に形成されることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第1の絶縁膜上に、前記ヒューズ層と絶縁されて隣接するダミーヒューズ層が形成され、前記第2の絶縁膜は、前記ダミーヒューズ層を覆って形成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−54400(P2012−54400A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−195751(P2010−195751)
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【出願人】(311003743)オンセミコンダクター・トレーディング・リミテッド (166)
【Fターム(参考)】