説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】微小ビアでの接続信頼性を確保した信頼性の高い半導体装置を提供すること。
【解決手段】半導体基板11と、半導体基板11上に配されるとともに、少なくとも1以上の第1配線層、少なくとも1以上の第1絶縁層、及び第1ビアを有する第1配線構造体12と、第1配線構造体12上に配されるとともに、少なくとも1以上の第2配線層15、少なくとも1以上の第2絶縁層14、第2ビア16、及び第3ビア19を有する第2配線構造体17と、第2配線構造体17上に設けられた外部端子18と、を備える半導体装置において、第2配線構造体17の第2配線層15と外部端子18に接合される第2ビア16は、外部端子18側の端部に接合界面16aが配されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関し、特に、半導体装置を搭載基板に接続したパッケージ状態での信頼性の高い半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型化、高機能化に伴い、半導体チップについても小型化及び配線の高密度化が求められている。例えば、90nmルールで設計されたマイクロプロセッサにおいては、そのクロック周波数が数GHz、駆動電流が100Aにまで達し、従来の配線技術による性能向上は限界に達しつつある。クロック周波数が10GHzを超え、駆動電流が数百Aに達するマイクロプロセッサを実現するためには、全く新しい構造の配線技術が必要とされる。特に、高速動作を行う半導体チップでは、電源供給源となる電源回路の強化として電源分配能力(配線容量)の増加が求められる。一方、高速シグナルでは信号パッドと電源回路との間に発生する寄生容量の低減が信号特性劣化防止に重要となっている。これらの電源供給と信号特性改善のためには、半導体チップ上に半導体チップとは異なる配線技術で作製されるウエハレベルでの再配線技術が必要となる。
【0003】
また、近年、半導体装置においては、高速動作を実現するために比誘電率が2.5以下と低いlow−k材と呼ばれる絶縁材料が採用されつつある。また、環境への影響を考慮して、Pbフリー半田材料が半田ボールの材料として採用されつつある。しかしながら、このlow−k材は従来の半導体素子に使用されてきた酸化ケイ素、窒化ケイ素及び酸窒化ケイ素等よりも硬度及び弾性率等の機械的強度が小さい。また、Pbフリー半田材料は、従来のPb−Sn系共晶半田材料と比較して、材料の変形し易さを示すクリープ特性が悪い。そのため、凝固後の半田ボール自体の変形量が小さく、半田ボール内の残存応力が大きくなってしまう。
【0004】
このように、low−k材及びPbフリー半田ボールを使用した半導体装置においては、実装時に発生した半田ボール内の残存応力及び使用時に発生する熱応力によって、半田ボールを含む接続部での破断若しくは機械的強度の弱いlow−k材の脆性破壊、剥離及びクラック等が発生し、パッケージの組立時又は実用時の信頼性を確保することが困難になることが懸念されている。
【0005】
従来、半導体チップは、プリント基板又はビルドアップ基板等の実装基板に搭載されて半導体装置(パッケージ)として使用される。この半導体装置としては、FCBGA(フリップチップ・ボールグリッドアレイ)パッケージ又はウエハレベルCSP(チップサイズパッケージ)が知られている。これらのパッケージにおいては、前記熱応力を緩和するための様々な工夫がなされている。
【0006】
FCBGAは、主に電源電圧の安定供給及び高速シグナルへの対応を必要とする用途に使用されている。例えば、特許文献1では、半導体チップをBGA基板にはんだバンプを用いて接続し、微小なはんだバンプ接続部を保護するためにアンダーフィル樹脂を充填する技術が開示されている。特許文献1によれば、熱膨張による熱ストレスが生じてもはんだバンプの断線や半導体チップのはがれのない信頼性の高いBGA構造の半導体装置を提供することができるとしている。
【0007】
また、半導体チップと実質的に同一サイズに形成されたウエハレベルCSPは、主に携帯電話又はデジタルカメラ等の小型電子機器に使用されている。例えば、特許文献2では、半導体チップ上に低弾性率層を設け、その上に外部電極端子を設ける技術が開示されている。特許文献2によれば、このように金属ボール下部に低弾性率層を設けることにより、金属ボールにかかる応力を緩和できるとしている。また、半導体チップの表面において、金属ボールをパッドから大きく隔てて設けることにより、金属ボールに発生する応力がパッドに接続されている半導体チップに伝播することを防止できるとしている。
【0008】
また、FCBGAより接続信頼性向上を目的として、例えば、特許文献3では、半導体素子に直接配線層を設ける技術が開示されている。特許文献3によれば、半導体チップを内蔵した半導体装置において、外部端子に剛性の高い心材を有する樹脂基板を設けることで、パッケージの長期信頼性が向上するとしている。
【0009】
【特許文献1】特開平11−74417号公報
【特許文献2】特開平11−204560号公報
【特許文献3】特開2002−246500号公報
【特許文献4】特開平10−51105号公報
【特許文献5】特開平9−64493号公報
【特許文献6】特開平6−334334号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述の従来の技術には、以下に示すような問題点がある。
【0011】
特許文献1に記載の技術においては、アンダーフィル樹脂を用いてはんだボール接続部の剛性を高めて破断を防止していることから、半導体チップ内部では剛性の高い配線層を伝播し、微細配線や微小ビアの断線、low−k材を用いた絶縁膜の破壊又は剥離等が発生するおそれがある。また、応力が特に集中する半導体チップとはんだボールとの接続付近において、絶縁層に酸化ケイ素、窒化ケイ素及び酸窒化ケイ素等よりも弾性率の低い有機樹脂を用いている場合は、大きな変形が発生し、有機樹脂による絶縁層内に設けられた配線層はそれぞれの剛性と形状から、各層で異なる変形量や移動量となるため、ビアとの接続部分、特に半導体基板側の配線とビアとの境目に応力が集中する。つまり、特許文献1におけるビア構造は、応力集中する部位にビアの接続界面を有する構造となっている。
【0012】
特許文献2に記載の技術においては、金属ボールに発生する応力がパッドに接続されている半導体チップに伝播することを防止するために、金属ボールをパッドから大きく隔てて設けているため、半導体チップ表面に余分なスペースを必要とする。端子数が多くなるフリップチップ実装用の半導体チップにおいては、金属ボールをパッドから隔てて設けるためのスペース、及びそのための配線パターンの引き回しのスペースを確保することは困難である。つまり、メモリなどの少ないパッドの半導体チップにのみ使用できる技術であり、今後の高機能化によりパッド数の増加や小型化による狭ピッチ化に対応できない。
【0013】
特許文献3に記載の技術においては、剛性のある樹脂材料にて外部端子側の信頼性が向上するが、その反面、半導体素子を埋設することにより発生する熱膨張を外部端子側に剛性のある樹脂材料にて矯正しているため、変形により解放されていた応力が埋設している半導体チップに加わり、剛性の高い金属との接合点となるビアや半導体素子上の端子部分に応力集中を起こし、半導体素子の配線に断線が生じてしまう。さらに、半導体素子上に実装基板で用いている配線技術を使用しているため配線のデザインルールが大きくなり、半導体素子の高速信号に対するインピーダンス整合や狭ピッチ多ピンの引き回し対応が困難となる。つまり、矯正により変形により開放されていた応力を含めて半導体チップとの接続部分に応力を集中させてしまう。さらに、特許文献3に記載の技術においては、特許文献1と同様に、応力が大きく集中する半導体基板側の配線とビアとの境目にビアの接続界面が配置された構造となっている。
【0014】
本発明の主な課題は、微小ビアでの接続信頼性を確保した信頼性の高い半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1の視点においては、半導体基板と、前記半導体基板上に配されるとともに、少なくとも1以上の第1配線層、少なくとも1以上の第1絶縁層、及び第1ビアを有する第1配線構造体と、前記第1配線構造体上に配されるとともに、少なくとも1以上の第2配線層、少なくとも1以上の第2絶縁層、第2ビア、及び第3ビアを有する第2配線構造体と、前記第2配線構造体上に設けられた外部端子と、を備える半導体装置において、前記第2配線構造体の前記第2配線層と前記外部端子に接合される前記第2ビアは、前記外部端子側の端部に接合界面が配されていることを特徴とする。
【0016】
本発明の第2の視点においては、半導体素子が形成された半導体基板上に第1絶縁層と第1配線層と第1ビアを有する第1配線構造体を形成する工程と、前記第1配線構造体上に第2絶縁層と第2配線層と第2ビア及び第3ビアを有する第2配線構造体を形成する工程と、前記第2配線構造体上に外部端子を形成する工程と、を含む半導体装置の製造方法において、前記第2配線構造体を形成する工程では、前記第2配線層を形成する工程と、前記第2配線層上に前記第2ビアとなる金属ポストを形成する工程と、前記第2配線層と前記金属ポストとを前記第2絶縁層にて覆う工程と、前記第2絶縁層の表面を研磨することで前記金属ポストを露出させる工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、半導体チップに発生する応力を、厚い絶縁層と配線層からなる第2配線構造体にて緩和し、微小な第1配線構造体を保護することができる。つまり、半導体基板上に第1配線層と第1絶縁層が交互に積層された第1配線構造体上に、絶縁層に有機樹脂を用いて第1配線構造体よりも厚い第2絶縁層と第2配線層とを積層させた第2配線構造体を設けることにより、実装基板への搭載後に半導体装置に発生する応力を第2配線構造体において効果的に緩和し、第1配線構造体にかかる応力を低減できる。
【0018】
応力集中が発生しやすい第2配線構造体、特に外部端子近傍において、ビアが接続している外部端子と配線層、複数の配線層間における各層の変形や移動量、またそれらの方向がそれぞれの形状や厚み、絶縁層との密着面積により異なってしまい、ビアに応力が集中する。特に、ビアに対しては、樹脂変形が大きく作用するビアと半導体基板側の配線層との境目に応力集中することとなる。本発明では、この半導体基板側の配線層との境目に接合界面を設けずに、外部端子側の領域に接合界面を設け、接合界面周囲を含めて絶縁層と配線層を密着させているので、絶縁層が配線層に矯正されてビアの接合界面を含めた密着領域で同様な変形となることから、ビアの接続信頼性を向上させることが達成できる。この効果は、特にφ20μm以下のビア径に対して効果的である。従って、駆動電流が大きく高周波で動作する信頼性の高い半導体装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の実施形態に係る半導体装置では、半導体基板(図1の11)と、前記半導体基板(図1の11)上に配されるとともに、少なくとも1以上の第1配線層(図2の26)、少なくとも1以上の第1絶縁層(図2の27)、及び第1ビア(図2の30)を有する第1配線構造体(図1の12)と、前記第1配線構造体(図1の12)上に配されるとともに、少なくとも1以上の第2配線層(図1の15)、少なくとも1以上の第2絶縁層(図1の14)、第2ビア(図1の16)、及び第3ビア(図1の19)を有する第2配線構造体(図1の17)と、前記第2配線構造体(図1の17)上に設けられた外部端子(図1の18)と、を備える半導体装置において、前記第2配線構造体(図1の17)の前記第2配線層(図1の15)と前記外部端子(図1の18)に接合される前記第2ビア(図1の16)は、前記外部端子(図1の18)側の端部に接合界面(図1の16a)が配されている。
【0020】
本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法では、半導体素子が形成された半導体基板(図7(a)の11)上に第1絶縁層と第1配線層と第1ビアを有する第1配線構造体(図7の12)を形成する工程と、前記第1配線構造体(図7(a)の12)上に第2絶縁層(図8(d)の14)と第2配線層(図8(d)の15)と第2ビア(図8(d)の16)及び第3ビア(図8(d)の19)を有する第2配線構造体(図8(d)の17)を形成する工程と、前記第2配線構造体(図8(d)の17)上に外部端子(図8(d)の18)を形成する工程と、を含む半導体装置の製造方法において、前記第2配線構造体(図8(d)の17)を形成する工程では、前記第2配線層(図7(d)の電解めっき34に対応)を形成する工程と、前記第2配線層(図8(a)の15)上に前記第2ビア(図8(d)の16)となる金属ポスト(図8(a)の36)を形成する工程と、前記第2配線層(図8(b)の15)と前記金属ポスト(図8(b)の36)とを前記第2絶縁層(図8(b)の14)にて覆う工程と、前記第2絶縁層(図8(c)の14)の表面を研磨することで前記金属ポスト(図8(c)の第2ビア16に対応)を露出させる工程と、を含む。
【実施例1】
【0021】
本発明の実施例1に係る半導体装置について図面を用いて説明する。図1は、本発明の実施例1に係る半導体装置の構成を模式的に示した部分断面図である。図2は、本発明の実施例1に係る半導体装置における第1配線構造体の構成を模式的に示した拡大部分断面図である。
【0022】
図1を参照すると、実施例1に係る半導体装置においては、半導体基板11が設けられており、この半導体基板11の表面に第1配線構造体12が設けられている。第1配線構造体12上には、第2配線構造体17が設けられている。半導体基板11は、例えば、Si又はGaAsよりなる。
【0023】
図2を参照すると、第1配線構造体12においては、半導体基板11の表面にソース電極22及びドレイン電極23が相互に離隔して形成されており、これらのソース電極22とドレイン電極23とで挟まれたチャネル領域の上に、ゲート絶縁膜(図示せず)を介してゲート電極21が形成されている。これらのゲート電極21、ソース電極22及びドレイン電極23によりMOS(Metal Oxide Semiconductor:金属酸化物半導体)トランジスタ24が構成される。半導体基板11上には、このMOSトランジスタ24が複数個設けられている。
【0024】
これらのMOSトランジスタ24及び半導体基板11の表面には、絶縁膜29で被覆した第1絶縁層27が形成されている。半導体基板11上の第1絶縁層27には、ソース電極22、ドレイン電極23に接続されたプラグ25が形成されている。第1絶縁層27上には第1配線層26が設けられている。第1配線層26は、配線28及び絶縁膜29によって構成されている。配線28は、第1絶縁層27に形成されたプラグ25によって夫々ソース電極22及びドレイン電極23と電気的に接続されている。更に、第1配線層26上に第1絶縁層27が設けられており、その上に第1配線層26が設けられている。第1絶縁層27は、絶縁膜29及び第1ビア30で構成されている。第1絶縁層27の上段及び下段の第1配線層26の配線28は、対応する第1ビア30により電気的に接続されている。更に、第1絶縁層27及び第1配線層26が交互に積層されて第1配線構造体12が構成される。
【0025】
第1配線構造体12の配線28及び第1ビア30は、例えば、主に銅やアルミニウムからなり、例えばダマシン法により形成することができる。ダマシン法は、ドライエッチングにより絶縁膜に所望の配線パターンやビアパターンの形状で溝(トレンチ)を形成し、バリアメタルをスパッタ法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、ALD(Atomic Layer Deposition)法等で設けた後、電解めっき用の給電層(図示せず)をスパッタ法等で形成し、電解銅めっきにて溝(トレンチ)を銅で埋めた後にCMP(Chemical Mechanical Polishing)法により溝(トレンチ)内のみに銅を残して所望の配線を得る方法である。
【0026】
第1絶縁層27の厚さは、例えば、0.2〜1.6μmである。また、複数の第1絶縁層27のうち、半導体基板11近くに設けられている少なくとも1つの第1絶縁層27は、low−k材を使用することが望ましい。low−k材としては、例えば、多孔質酸化シリコン膜を使用し、その25℃での弾性率は4乃至10GPaである。
【0027】
図1に示すように、第1配線構造体12上には無機材料もしくは有機材料からなる絶縁性のパッシベーション膜13が設けられており、その上に第2配線層15と第2絶縁層14が設けられている。第2配線層15と第1配線構造体12の表面の配線(図2の28)は第3ビア19を介して電気的に接続されている。更に、第2絶縁層14及び第2配線層15が交互に積層されて第2配線構造体17が構成されている。複数の第2配線層15は、第2絶縁層14内に設けられている第2ビア16により電気的に接続されている。最表面の第2絶縁層14の上には、外部端子18が設けられている。外部端子18は、対応する第2ビア16を通じて第2配線層15と電気的に接続されている。外部端子18は、接続方法にあわせて表層配線で位置変更を行う構造としてもよく、第2ビア16上に直接設ける構造としてもよい。
【0028】
第2配線層15は、例えば、銅により構成することができ、その厚さは5μmとすることができる。第2配線層15は、例えば、サブトラクティブ法、セミアディティブ法、フルアディティブ法等の第1配線構造体12とは異なる配線形成法により形成する。サブトラクティブ法は、例えば、特許文献4に開示されているように、基板又は樹脂上に設けられた銅箔を所望のパターンで形成したレジストをエッチングマスクとし、エッチングを行った後にレジストを除去して所望の配線パターンを得る方法である。セミアディティブ法は、例えば、特許文献5に開示されているように、無電解めっき、スパッタ法、CVD法等で給電層を形成した後、所望のパターンに開講されたレジストを形成し、レジスト開口部内に電解めっきを析出させ、レジストを除去後に給電層をエッチングして所望の配線パターンを得る方法である。フルアディティブ法は、例えば、特許文献6に開示されているように、基板又は樹脂の表面に無電解めっき触媒を吸着させた後にレジストでパターンを形成し、このレジストを絶縁層として残したまま触媒を活性化して無電解めっき法により絶縁層の開口部に金属を析出させることで所望の配線パターンを得る方法である。
【0029】
また、第2配線層15と外部端子18は、半導体基板11側に接するパッシベーション膜13もしくは第2絶縁層14との間に密着層37を有している。密着層37は、パッシベーション膜13や第2絶縁層14の材料に対して密着力を有する材料、例えば、チタン、タングステン、ニッケル、タンタル、バナジウム、クロム、モリブデン、銅、アルミニウムやこれらの合金等でも良く、中でもチタン、タングステン、タンタル、クロム、モリブデンやこれらの合金が好適であり、さらにはチタン、タングステンやこれらの合金が最も好適である。さらに、パッシベーション膜13や第2絶縁層14の表面が細かな凹凸を有する粗化面であっても良く、この場合は、銅やアルミニウムでも良好な密着力が得られやすくなる。さらに、より密着力を高める手段として、スパッタ法にて形成されることが好適である。第2ビア16と外部端子18や第2配線層15との間に密着層37が存在すること、及び、第2ビア16と外部端子18や第2配線層15との接合面積より外部端子18や第2配線層15の密着層37の面積が大きいことから、第2ビアの周囲を含めた第2絶縁層14が外部端子18や第2配線層15に矯正される。そのため、密着層37の周囲にある外部端子18や第2配線層15、第2ビア16、及び第2絶縁層14がほぼ同じ方向に移動することから、第2ビア16と外部端子18や第2配線層15との接合界面は変形が少なくなり、微小なビア径の第2ビア16であっても接合界面での破断を効果的に防止することが実現できる。
【0030】
第2配線層15は、第1配線構造体12の第1配線層(図2の26)より厚く構成される。第2配線層15の厚さは、例えば、3〜12μmであり、中でも5〜10μmが適している。厚さが3μm未満の場合、配線抵抗が高くなり半導体装置の電源回路における電気特性が悪化してしまう。厚さが12μmを超える配線層は、配線層を覆う絶縁層の表面に配線層の凹凸を反映した大きなうねりを発生させ、積層数に制限が発生し、第2配線構造体17自体の厚みが増加し半導体装置全体の反りが大きくなり、プロセス上の制約から形成することが困難になる。
【0031】
第2絶縁層14は、例えば、有機材料で形成されており、例えば、エポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、BCB(Benzocyclobutene)、PBO(Polybenzoxazole)及びポリノルボルネン樹脂等で形成されている。特に、ポリイミド樹脂及びPBOは、膜強度、引張弾性率及び破断伸び率等の機械的特性が優れているため、高い信頼性を得ることができる。有機材料は、感光性、非感光性のいずれを用いても構わない。第2絶縁層14に有機材料を用いることで、半導体装置を実装基板に搭載した際に外部端子18から半導体装置にかかる応力を、主に第2絶縁層14の変形により緩和させ、第1配線構造体12への応力伝搬を効果的に低減させることができる。
【0032】
第2絶縁層14の25℃における弾性率は、例えば、0.15〜8GPaである。弾性率が0.15GPa未満の場合には、応力緩和時の第2絶縁層14の変形量が大きく第2配線層15に応力の殆どが印加されることとなり、第2配線層15の断線及び第2配線層15/第2ビア16界面等での破壊が発生し易くなる。弾性率が8GPaを超える場合、第2絶縁層14の変形量が乏しくなり、第2配線構造体17における応力緩和が不十分となり、第1配線構造体12において層間剥離及び絶縁膜破壊等が生じやすくなる。従って、0.15〜8GPaが好ましい。また、第1配線構造体12の第1絶縁層(図2の27)より第2配線構造体17の第2絶縁層14の弾性率が低くなる組み合わせとすることで、第2絶縁層14で応力を効果的に緩和し、第1配線構造体12を保護することが実現できる。
【0033】
また、第2絶縁層14の破断伸び率は、例えば、15%以上である。破断伸び率が15%未満の場合には、第2絶縁層14にクラックが発生し易くなる。例えば、実施例1に係る半導体装置を実装基板に搭載し、−55〜125℃の温度サイクル試験を行った場合、100〜300サイクルで第2絶縁層14にクラックが発生する。従って、破断伸び率は15%以上であることが望ましい。
【0034】
更に、第2絶縁層14は、例えば、25℃における弾性率が1.5GPa以上の場合、熱膨張係数が40ppm/℃以下であることが好適である。熱膨張係数が40ppm/℃を超える場合、第2絶縁層14の内部応力によって、半導体装置を形成するウエハに反りが発生してしまう。この反り量は、直径200mm(8インチ)、厚さ0.725mmのシリコンウエハにおいて、絶縁層の全体厚みが30〜35μm付近から200μmを超え、後のシリコンウエハの裏面研削やダイシング等によるチップ化工程などで問題となる。熱膨張係数を20ppm/℃以下とすることで、更にチップの反り量を低減させることができ、絶縁膜の全体厚みを厚くすることが可能となる。なお、第2絶縁層14の25℃における弾性率が1.5GPa未満の場合、熱膨張係数の値に依らず絶縁膜の全体厚みが30〜35μm付近ではウエハの反りは200μm未満である。
【0035】
第2配線構造体17における第2絶縁層14内に設けられる第2ビア16と、第2配線層15(第2ビア16と一体になっていない方の第2配線層15)及び外部端子18との接合界面16aは、第2ビア16の外部端子18側の端部に配される。第2ビア16の外部端子18側の端部に接合界面16aを有する構造では、第2ビア16の半導体基板11側の端部に接合界面を有する構造、つまり第2ビア16とその半導体基板側の第2配線層15との境目に接合界面を有する構造より、第2配線構造体17における第2ビア16と第2配線層15及び外部端子18との界面破断が効果的に防止できる。これは、有機樹脂を有する第2配線構造体17を備えた半導体装置では、実装基板搭載後の応力がかかると弾性率を含めて剛性の高い第2配線層15に比べ、弾性率の低い第2絶縁層14の変形が大きく発生し、複数の第2配線層15を接続する第2ビア16に応力集中が発生する。この応力の集中は、図3に説明を示しているとおり、半導体装置を実装基板に接続することにより図3(a)の単体の状態から、図3(b)の矢印で示す外部応力を受ける状態となる。この外部応力を受ける状態下において、外部電極18や第2配線層15のパターンの違いにより各層での変形方向や量が変化する。また、密着層37により第2絶縁層14と外部端子18もしくは第2配線層15とが強固に接合されているため、図3に示す配線矯正領域38が第2絶縁層14に発生する。この配線矯正領域38では、第2絶縁層14が外部端子18や第2配線層15により変形が矯正され、それぞれのパターンにならうため、第2ビア16の接合界面には応力が集中しない。
【0036】
一方、第2絶縁層14に対する第2配線層15の強制力の弱まる第2ビア16の半導体基板11側の端部と第2配線層15との境目では、第2絶縁層14の変形と第2配線層15の剛性により応力集中部位39が発生する。このように、第2ビア16の外部端子18側の端部に接合界面(図1の16a)を有する構造とすることで、第2ビア16における接合界面破断が効果的に防止でき、特にφ20μm以下の第2ビア16において、接続信頼性の向上が実現できる。第2ビア16の半導体基板11側の端部と第2配線層15との境目では、密着層37は存在せず第2配線層15と第2ビア16とが一体となっている。一体の状態としては、応力集中部位39に対して破断をもたらす界面を有していないことが好適であり、さらには第2配線層15と第2ビア16を構成する材料の粒界が応力集中部位39で第2ビア16を平面にて横断するように設けられていないことが好適である。
【0037】
第2ビア16の接合界面16aを外部端子側とするためには、第2ビア16の位置にあらかじめめっき法によりポストを形成する、もしくは、全面めっきを行った後にエッチングによりポストと配線を形成した後に、有機材料の絶縁膜を形成した後に研磨を行ってポストを露出させて第2ビア16とする方法を用いる。めっき法では、前処理により下地金属表面の酸化物を除去すると共に、初期のめっき金属析出時は、下地金属の粒界にならうエピタキシャル成長となるため、工程が分割されていても最終的に構成される第2配線層15と第2ビア16とは一体物となる。このため、粒界が平面に横断する状態は回避できる。
【0038】
また、外部端子18は、図4、図5に示した構造としてもよい。図4では、半田材料を用いて接続する場合に、外部端子18のみに半田が供給される状態が得られるようにオーバーコート膜20にて開口を制限している。このオーバーコート膜20による制限により、半田の流れ量が制限されるため、半導体装置を実装基板に搭載する際の取り付け高さを安定化させることが実現できる。また、図5に示した構造では、オーバーコート膜20の開口内部に外部端子18との接続する第2ビア16が露出し、第2ビア16の露出部分とオーバーコート膜20の開口部を覆うように外部端子18が設けられる。図5の構造とすることで、外部端子18における応力集中を分散させることがより効果的に行うことができる。オーバーコート膜20は、例えば、エポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、BCB(Benzocyclobutene)、PBO(Polybenzoxazole)及びポリノルボルネン樹脂等で形成されている。特に、ポリイミド樹脂及びPBOは、膜強度、引張弾性率及び破断伸び率等の機械的特性が優れているため、高い信頼性を得ることができる。有機材料は、感光性、非感光性のいずれを用いても構わない。感光性の有機材料を用いた場合は、オーバーコート膜20の開口部はフォトリソグラフィー法などにより形成される。非感光性や感光性でパターン解像度が低い有機材料を用いた場合は、オーバーコート膜20の開口部はレーザ、ドライエッチング法、ブラストなどにより形成される。
【0039】
外部端子18の表面は、外部端子18の表面に形成される半田ボールの濡れ性やボンディングワイヤーとの接続性を考慮して、例えば、銅、アルミニウム、金、銀及び半田材料からなる群から選択された少なくとも一種の金属及び合金で形成することができる。また、外部端子18は、複数の層が積層された構成にすることができ、例えば、銅層上にニッケル層と金層が積層され、金層を表面としたものとし、ニッケル層の厚さを3μm、金層の厚さを1μmとすることができる。
【0040】
なお、図1では、第2絶縁層14及び第2配線層15が各2層で示しているが、これに限定されるものではなく、必要に応じて層数を構成してもよい。また、図2では、第1配線層26が8層、第1絶縁層27が7層として示しているが、これに限定されるものではなく、必要に応じて層数を構成してもよい。
【0041】
また、第1配線層26及び第2配線層15の配線は、例えば、銅、アルミニウム、ニッケル、金及び銀からなる群から選択された少なくとも一種の金属から構成される。特に、電気抵抗値及びコストの観点から銅が好適である。また、ニッケルは、絶縁材料等の他の材料との界面反応を防止でき、磁性体としての特性を活用したインダクタ又は抵抗配線として使用できる。
【0042】
第2配線構造体17の第2配線層15の厚みは、第1配線構造体12の第1配線層26の2倍以上であるため、少なくとも2倍以上の許容電流量を有している。このため、第2配線構造体17の第2配線層15において、複数の同じ電圧を用いている電源系配線やグランド系配線を束ねて一つの配線とすることができる。これらの複数配線を一つにまとめることで、例として図6(b)、(c)に示すとおり、第1配線構造体12表面に形成される第2配線構造体17との電気的接続点数より外部端子18の数を低減させることができる。この外部端子18の数低減により、図6(b)に示すとおり、低減を図らなかった図6(a)の場合と比較して、外部端子18のサイズや間隔(ピッチ)を大きくできるため、実装基板と半導体装置の接続面積が大きくなり、安定した実装性と高い接続信頼性を実現できる。また、図6(c)に示すとおり、低減しなかった場合と同じ外部端子18のサイズや間隔(ピッチ)を用いると、外部端子18が形成される面に他の受動素子、能動素子、光素子等を搭載することが可能となる空きエリア31が得られる。他の部品を搭載することで更なる多機能化、高性能化が実現できる。当然のことであるが、他の部品を搭載する場合は、空きエリア31内の所望の位置に部品接続用の外部端子18が設けられる。ビア数を低減できることにより、ビアでの破断の危険性も低減できるだけでなく、ビア径も大きくすることが可能となるため、よりビアの接続信頼性を向上させることができる。
【0043】
次に、本発明の実施例1に係る半導体装置の製造方法について図面を用いて説明する。図7、図8は、本発明の実施例1に係る半導体装置の製造方法を模式的に示した工程断面図である。なお、各工程においては適宜洗浄や熱処理を行っても構わない。
【0044】
まず、半導体基板11上に第1配線構造体12を形成する(ステップA1;図7(a)参照)。半導体基板11は、例えばSi又はGaAsにより形成され、図2に示したとおりソース電極22とドレイン電極23とで挟まれたチャネル領域の上に、ゲート絶縁膜(図示せず)を介してゲート電極21が形成されたMOS(Metal Oxide Semiconductor:金属酸化物半導体)トランジスタ24が複数形成されている。第1配線構造体12は、例えば第1配線層の配線28、第1ビア30に主に銅やアルミニウムを用い、例えばダマシン法により形成される。ダマシン法は、ドライエッチングにより絶縁膜に所望の配線パターンやビアパターンの形状で溝(トレンチ)を形成し、バリアメタルをスパッタ法、CVD(Chemical Vaper Deposition)法、ALD(Atomic Layer Deposition)法等で設けた後、電解めっき用の給電層をスパッタ法等で形成し、電解銅めっきにて溝(トレンチ)を銅で埋めた後にCMP(Chemical Mechanical Polishing)法により溝(トレンチ)内のみに銅を残して所望の配線を得る方法である。また、複数の第1絶縁層27のうち、半導体基板11近くに設けられている少なくとも1つの第1絶縁層27の絶縁膜29は、low−k材を使用することが望ましい。low−k材としては、例えば多孔質酸化シリコン膜を使用する。第1絶縁層27は、CVD法やスピンコート法により形成される。
【0045】
次に、パッシベーション膜13を形成する(ステップA2;図7(b)参照)。パッシベーション膜13が無機材料であれば、CVD法やスピンコート法によりパッシベーション膜13を形成した後に、ドライエッチングにより第1配線構造体12との接続部が露出する様に開口部を形成する。パッシベーション膜13が有機材料であれば、感光性、非感光性のいずれを用いても構わない。感光性の有機材料を用いた場合は、スピンコート法、ラミネート法、プレス法、及び印刷法によりパッシベーション膜13を形成した後、フォトリソグラフィー法などによりパッシベーション膜13の開口部を形成する。非感光性や感光性でパターン解像度が低い有機材料を用いた場合は、パッシベーション膜13の開口部はレーザ、ドライエッチング法、ブラストなどにより形成される。
【0046】
なお、図7、図8は、パッシベーション膜13の開口部を図1等の垂直な壁で示しているが、図9(実施例2)に示したテーパ角を付けても構わない。テーパ角を設けることにより、第1配線構造体12との接続面積を小さくすることができるため、第1配線構造体12表面の配線密度を高めることができると共に、第2配線層15との接合面積を大きくできるため接合信頼性を向上することができる。さらに、テーパ角を有することで配線形成が容易となる。
【0047】
次に、給電層32をスパッタ法、無電解めっき法、CVD法、エアロゾル法等により形成する(ステップA3;図7(c)参照)。この給電層32は、パッシベーション膜13や第2絶縁層14に接するように形成される。特に、スパッタ法は、パッシベーション膜13や第2絶縁層14等の材料に対して密着力を確保し易いため好適であり、密着金属と電解めっき用の低抵抗金属の積層体から給電層32を形成する。密着金属としては、例としてチタン、タングステン、ニッケル、タンタル、バナジウム、クロム、モリブデン、銅、アルミニウムやこれらの合金等でもよく、中でもチタン、タングステン、タンタル、クロム、モリブデンやこれらの合金が好適であり、さらにはチタン、タングステンやこれらの合金が最も好適である。さらに、パッシベーション膜13や第2絶縁層14の表面が細かな凹凸を有する粗化面であってもよく、この場合は、銅やアルミニウムでも良好な密着力が得られやすくなる。さらに、より密着力を高める手段として、スパッタ法にて形成されることが好適であり、スパッタ成膜前処理としてアルゴンによる逆スパッタを施すことがより好適である。
【0048】
次に、給電層32上にめっきレジスト33を形成し、めっきレジスト33の開口部に給電層32に電気を供給することで電解めっき34を析出させる(ステップA4;図7(d)参照)。めっきレジスト33は、感光性の有機材料を用い、スピンコート法、ラミネート法、プレス法、及び印刷法によりめっきレジスト33成膜した後、フォトリソグラフィー法などによりめっきレジスト33の開口部を形成する。
【0049】
次に、めっきレジスト33を第2ビア16とする位置が開口部となるように形成し、給電層32に電気を供給することで電解めっき35を析出させる(ステップA5;図7(e)参照)。めっきレジスト33は、図7(d)で形成しためっきレジスト33上に積層して形成してもよく、改めて形成し直してもよい。また、めっきレジスト33は、感光性の有機材料を用い、スピンコート法、ラミネート法、プレス法、及び印刷法によりめっきレジスト33を成膜した後、フォトリソグラフィー法などによりめっきレジスト33の開口部を形成する。めっき法では、前処理により下地金属表面の酸化物を除去すると共に、初期のめっき金属析出時は、下地金属の粒界にならうエピタキシャル成長となるため、工程が分割されていても最終的に構成される第2配線層15と第2ビア16とは一体物となる。このため、粒界が平面に横断する状態は回避できる。
【0050】
次に、めっきレジスト33を除去し、給電層32をウェットエッチング法やドライエッチング法により除去して、第2ビア(図1の16)となる金属ポスト36と一体となった第2配線層15を形成する(ステップA6;図8(a)参照)。
【0051】
次に、第2配線層15と金属ポスト36を覆うように第2絶縁層14をスピンコート法、ラミネート法、プレス法、及び印刷法により形成する(ステップA7;図8(b)参照)。第2絶縁層14は、エポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、BCB(Benzocyclobutene)、PBO(Polybenzoxazole)及びポリノルボルネン樹脂等で形成されている。特に、ポリイミド樹脂及びPBOは、膜強度、引張弾性率及び破断伸び率等の機械的特性が優れているため、高い信頼性を得ることができる。
【0052】
次に、第2絶縁層14表面をドライエッチング法、CMP法、研削法、ラップ法などにより除去し、めっきにて形成した金属ポスト(図8(b)の36)の上部を露出させて第2ビア16を形成する(ステップA8;図8(c)参照)。本方法をとることで、一般的に用いられているビアホールでの形成に比べ、第2ビア16の接合面が露出していることにより第2ビア16の安定形成の確認がしやすく、接合界面のクリーニングも確実に行うことができる。研磨法としては、表面の平坦性、加工速度の面において、CMPが好適である。
【0053】
次に、図7(c)から図8(c)までの工程を繰り返すことで所望の層数を有する第2配線構造体17を形成し、その後、図7(c)から図8(c)と同様な工程にて給電層32、めっきレジスト33、電解めっきや無電解めっき、エッチング法を用いて外部端子18を形成する(ステップA9;図8(d)参照)。
【0054】
図7、図8に示した半導体装置の製造方法によれば、図1の半導体装置を効率よく形成することができる。また、ウエハ上に複数の半導体装置を形成し、ダイシングにより個片化してもよい。
【0055】
実施例1によれば、以下のような効果を奏する。
【0056】
図1を参照すると、半導体装置の外部端子18に半田ボールが設けられて他の実装基板(図示せず)に搭載された場合、実装基板と半導体装置との間の熱膨張率のミスマッチ等により半導体装置にかかる応力は、第2配線構造体17の第2絶縁層14が変形することによって緩和される。更に、第2ビア16と外部端子18や第2配線層15との接合界面16aを外部端子18側とすることで、応力が集中する第2ビア16とその半導体基板11側の第2配線層15との境目から接合界面を離すことができ、第2ビア16の接続信頼性を向上させることができる。
【0057】
また、第2配線構造体17における第2配線層15の厚さを第1配線構造体12の第1配線層26の2倍以上として、第2配線層15の破断を防止することができるとともに、第2配線層15の配線抵抗を小さくすることができる。更に、第2配線層15の厚さが大きくなると、それに対応して第2絶縁層14の1層当たりの厚さも大きくなるため、応力を緩和する効果が高まる。
【0058】
更に、第2配線層15の厚みが2倍以上であるため、第1配線構造体12の第1配線層26より、少なくとも2倍以上の許容電流量を有し、第2配線構造体17において、複数の同じ電圧を用いている電源系やグランド系の配線を一つの配線とすることができる。半導体素子表面に再配線を施しているウエハレベルCSPにおいては、半導体素子に設けられた際配線との接続端子数を低減することなく、単純に1対1の関係のままで配置のみを変更している。外部端子が約500ピン以上である半導体素子から電源系およびグランド系の端子数が増加し、特に外部端子が約1500ピン以上の半導体素子では、素子の性能維持のためにピン数の約60〜80%が電源系とグランド系の端子となる。この電源系配線やグランド系配線の集約により、第1配線構造体12表面に形成される第2配線構造体17との電気的接続点と1対1の関係で同数の外部端子18を形成する場合より、大幅に外部端子18の数を低減させることができる。このため、外部端子18のサイズや間隔(ピッチ)を大きくできるため、実装基板と半導体装置の安定した実装性と高い接続信頼性を実現できる。
【0059】
また、外部端子18の数の低減しなかった場合と同じ外部端子18のサイズや間隔(ピッチ)を用いると、外部端子18が形成される面に他の受動素子、能動素子、光素子等を搭載することが可能となる表面積が得られる。ビア数の低減やビア径を大きくすることも効果として得られ、この結果、破断の危険性の高いビア数の低減と接合面積向上が達成できる。そのため、接続信頼性をより向上させることができる。また、他の部品を搭載することで更なる多機能化、高性能化が実現できる。
【0060】
更に、外部端子18の数低減と配置変更により半導体装置を搭載する実装基板の接続端子機能が電源系、グランド系、信号系とあらかじめ分割されている共通基板を用いることができ、大幅なコスト削減を実現できる。半導体素子ごとに外部端子18の電源系、グランド系、信号系の位置が異なると、それぞれに対応した実装基板が必要となり、FCBGAの様な少量多品種のパッケージでは大幅なコスト上昇を招くこととなる。これらにより、第2配線構造体17での微小ビアでの接続信頼性が高く、第1配線構造体12への応力の伝播を効果的に低減することができ、実装時の信頼性の高い半導体装置を実現できる。従って、第2配線構造体17を使用して、駆動電流が大きく高周波で動作する信頼性の高い半導体装置を提供することが可能となる。
【実施例2】
【0061】
本発明の実施例2に係る半導体装置について図面を用いて説明する。図9は、本発明の実施例2に係る半導体装置の構成を模式的に示した部分断面図である。
【0062】
実施例2に係る半導体装置は、パッシベーション膜13に設けられた第1配線構造体12と第2配線構造体17とを電気的に接続する第3ビア19において、第2ビア16よりも大きなテーパ角を有する点で、実施例1(図1参照)に係る半導体装置と異なっている。その他の構成は、実施例1と同様である。なお、図9の外部端子18の構造は、図1と同様な構成となっているが、図4、5と同じ構造としても構わない。さらに、図6(b)、(c)に示した電源系配線やグランド系配線の集約による外部端子18の数低減効果も同様に有する。
【0063】
第3ビア19の第1配線構造体12と接合する面の断面積をaとし、パッシベーション膜13の第2配線層15と接合する面の延長線上にある第3ビア19の断面積をbとし、第2配線構造体17の第2ビア16の半導体基板11側にある第2配線層15との境目の断面積をcとし、外部端子18側の接合界面の断面積をdとした場合に、以下の数式1に表される構造となる。
【0064】
【数1】

【0065】
これは、第2ビア16より第3ビア19が大きなテーパ角を有することを意味する。実施例2に係る半導体装置では、半導体基板11側から外部端子18側に向かって配線のデザインルールを徐々に大きくする構成を取る。これは、実装基板に搭載できる様にし、半導体装置をシステムに組み込むために重要な点となる。
【0066】
第3ビア19にテーパ角を付けることで第1配線構造体12から第2配線構造体17との間で配線デザインを大きくすることが実現できる。つまり、第1配線構造体12側の第3ビア19の断面積を小さくすることで第1配線構造体12の上部配線の接合面積を小さくすることができ、さらには、接合面積を小さくしたことにより配線密度を高くすることが実現できる。
【0067】
また、第2配線層15との境目側の断面積を大きくすることで第2配線構造体17のデザインルールに同一配線層内での変換を行わずに調整することが可能となる。一方で、第2ビア16では、第2配線構造体17の配線密度を高める必要があるため、少なくとも第3ビア19より小さなテーパ角とすることが好適であり、略立方柱状や略円筒状となることが望ましい。
【0068】
また、第3ビア19がテーパ角を有することにより、第2配線構造体17にて緩和してきた応力を、さらに効率的にパッシベーション膜13に伝えることが実現できるため、より第1配線構造体12を保護することが達成される。
【0069】
第3ビア19にテーパ角を形成する場合は、パッシベーション膜13として感光性の有機材料を使用してフォトリソグラフィー法と熱処理により形成することや、非感光性樹脂の有機材料に別材料をマスクとしてウェットエッチングして熱処理を行うことや、ドライエッチング法やウェットエッチング法にて異方性エッチングを施すこと、先に第3ビア19となる導電性のポストやバンプを形成しておく等、テーパ角を形成できる方法を用いて達成される。
【0070】
実施例2によれば、実施例1と同様な効果を奏するとともに、第2配線構造体17の応力緩和効果に加えてパッシベーション膜13における応力緩和効果も追加できるため、第1配線構造体12への保護能力がより高まり、信頼性の高い半導体装置とすることができる。
【実施例3】
【0071】
本発明の実施例3に係る半導体装置について図面を用いて説明する。図10は、本発明の実施例3に係る半導体装置の構成を模式的に示した部分断面図である。
【0072】
実施例3に係る半導体装置は、実施例1(図1参照)及び実施例2(図9参照)に係る半導体装置とは、パッシベーション膜13に第1配線構造体12と第2配線構造体17とを電気的に接続する第3ビア19が、第2配線層15と別体に設けられ、第2配線層15との間に密着層37を有している点が異なる。その他の構成は、実施例1と同様である。なお、図10の外部端子18の構造は、図1と同様な構成となっているが、図4、5と同じ構造としても構わない。また、図6(b)、(c)に示した電源系配線やグランド系配線の集約による外部端子18の数低減効果も同様に有する。さらに、図9に示した通り、パッシベーション膜13の第3ビア19に第2ビア16より大きなテーパ角を有していても構わない。
【0073】
第3ビア19は、パッシベーション膜13内に設けられるため、第2配線層15を形成する際に、実施例1及び実施例2に係る半導体装置よりもパッシベーション膜13表面における段差を小さくすることができ、第2配線層15の微細化と高密度化が実施例1及び実施例2に係る半導体装置よりも容易となる。
【0074】
第3ビア19は、タングステン、ニッケル、銅、金、アルミニウム及び銀からなる群から選択された少なくとも一種の金属から構成され、パッシベーション膜13内に設けられる。第3ビア19は、パッシベーション膜13の開口を設けた後に所望の金属にて充填して形成されてもよく、第3ビア19を第1配線構造体12上に設けた後にパッシベーション膜13を形成してから表面研磨を行ってもよい。
【0075】
次に、本発明の実施例3に係る半導体装置の製造方法について図面を用いて説明する。図11、図12は、本発明の実施例3に係る半導体装置の製造方法を模式的に示した工程断面図である。なお、各工程においては適宜洗浄や熱処理を行っても構わない。
【0076】
まず、半導体基板11上に第1配線構造体12を形成する(ステップB1;図11(a)参照)。半導体基板11は、例えばSi又はGaAsにより形成され、図2に示したとおりソース電極22とドレイン電極23とで挟まれたチャネル領域の上に、ゲート絶縁膜(図示せず)を介してゲート電極21が形成されたMOS(Metal Oxide Semiconductor:金属酸化物半導体)トランジスタ24が複数形成されている。第1配線構造体12は、例えば第1配線層の配線28、第1ビア30に主に銅やアルミニウムを用い、例えばダマシン法により形成される。ダマシン法は、ドライエッチングにより絶縁膜に所望の配線パターンやビアパターンの形状で溝(トレンチ)を形成し、バリアメタルをスパッタ法、CVD(Chemical Vaper Deposition)法、ALD(Atomic Layer Deposition)法等で設けた後、電解めっき用の給電層をスパッタ法等で形成し、電解銅めっきにて溝(トレンチ)を銅で埋めた後にCMP(Chemical Mechanical Polishing)法により溝(トレンチ)内のみに銅を残して所望の配線を得る方法である。また、複数の第1絶縁層27のうち、半導体基板11近くに設けられている少なくとも1つの第1絶縁層27の絶縁膜29は、low−k材を使用することが望ましい。low−k材としては、例えば多孔質酸化シリコン膜を使用する。第1絶縁層27は、CVD法やスピンコート法により形成される。第3ビア19は、タングステン、ニッケル、銅、金、アルミニウム及び銀からなる群から選択された少なくとも一種の金属から形成される。形成方法は、全面に所望の金属膜をCVD法、スパッタ法、電解めっき法、無電解めっき法等にて形成した後に、ドライエッチング法やウェットエッチング法にて第3ビア19を形成してもよく、めっきレジストを用いて所望の位置に金属を析出させてもよい。
【0077】
次に、パッシベーション膜13を形成する(ステップB2;図11(b)参照)。パッシベーション膜13が無機材料であれば、CVD法やスピンコート法によりパッシベーション膜13を形成する。パッシベーション膜13が有機材料であれば、感光性、非感光性のいずれを用いてもよく、スピンコート法、ラミネート法、プレス法、及び印刷法によりパッシベーション膜13を形成する。
【0078】
次に、ドライエッチング法、CMP法、研削法、ラップ法などによりパッシベーション膜13を除去し、第3ビア19の上部を露出させる(ステップB3;図11(c)参照)。
【0079】
なお、図11(a)〜(c)では、第3ビア19をパッシベーション膜13よりもさきに形成する方法を示したが、図7(b)に示した様にパッシベーション膜13を形成した後に、開口部に所望の金属を充填した後、余分な金属をエッチング法やCMP法などにより除去してもよい。また、図11、図12では、パッシベーション膜13の開口部を図1のように垂直な壁としているが、図9(実施例2)のようにテーパ角を付けても構わない。テーパ角を設けることにより、第1配線構造体12との接続面積を小さくすることができるため、第1配線構造体12表面の配線密度を高めることができるとともに、第2配線層15との接合面積を大きくできるため接合信頼性を向上することができる。さらに、テーパ角を有することで配線形成が容易となる。
【0080】
次に、給電層32をスパッタ法、無電解めっき法、CVD法、エアロゾル法等により形成する(ステップB4;図11(d)参照)。特に、スパッタ法は、パッシベーション膜13や第2絶縁層14等の材料に対して密着力を確保し易いため好適であり、密着金属と電解めっき用の低抵抗金属の積層体から給電層32を形成する。密着金属としては、例としてチタン、タングステン、ニッケル、タンタル、バナジウム、クロム、モリブデン、銅、アルミニウムやこれらの合金等でも良く、中でもチタン、タングステン、タンタル、クロム、モリブデンやこれらの合金が好適であり、さらにはチタン、タングステンやこれらの合金が最も好適である。さらに、パッシベーション膜13や第2絶縁層14の表面が細かな凹凸を有する粗化面であってもよく、この場合は、銅やアルミニウムでも良好な密着力が得られやすくなる。さらに、より密着力を高める手段として、スパッタ法にて形成されることが好適であり、スパッタ成膜前処理としてアルゴンによる逆スパッタを施すことがより好適である
【0081】
次に、給電層32上にめっきレジスト33を形成し、めっきレジスト33の開口部に給電層32に電気を供給することで電解めっき34を析出させる(ステップB5;図11(e)参照)。めっきレジスト33は、感光性の有機材料を用い、スピンコート法、ラミネート法、プレス法、及び印刷法によりめっきレジスト33を成膜した後、めっきレジスト33の開口部はフォトリソグラフィー法などにより形成される。
【0082】
次に、めっきレジスト33を第2ビア16とする位置が開口部となるように形成し、給電層32に電気を供給することで電解めっき35を析出させる(ステップB6;図12(a)参照)。めっきレジスト33は、図11(e)で形成しためっきレジスト33上に積層して形成してもよく、改めて形成し直してもよい。また、めっきレジスト33は、感光性の有機材料を用い、スピンコート法、ラミネート法、プレス法、及び印刷法によりめっきレジスト33を成膜した後、フォトリソグラフィー法などによりめっきレジスト33の開口部を形成する。めっき法では、前処理により下地金属表面の酸化物を除去すると共に、初期のめっき金属析出時は、下地金属の粒界にならうエピタキシャル成長となるため、工程が分割されていても最終的に構成される第2配線層15と第2ビア16とは一体物となる。このため、粒界が平面に横断する状態は回避できる。
【0083】
次に、めっきレジスト33を除去し、給電層32をウェットエッチング法やドライエッチング法により除去して、第2ビア16となる金属ポスト36と一体の第2配線層15を形成する(ステップB7;図12(b)参照)。
【0084】
次に、第2配線層15と金属ポスト36を覆うように第2絶縁層14をスピンコート法、ラミネート法、プレス法、及び印刷法により形成する(ステップB8;図12(c)参照)。第2絶縁層14は、エポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、BCB(Benzocyclobutene)、PBO(Polybenzoxazole)及びポリノルボルネン樹脂等で形成されている。特に、ポリイミド樹脂及びPBOは、膜強度、引張弾性率及び破断伸び率等の機械的特性が優れているため、高い信頼性を得ることができる。
【0085】
次に、第2絶縁層14表面をドライエッチング法、CMP法、研削法、ラップ法などにより除去し、めっきにて形成した金属ポスト36の上部を露出させて第2ビア16を形成する(ステップB9;図12(d)参照)。本方法をとることで、一般的に用いられているビアホールでの形成に比べ、第2ビア16の接合面が露出していることにより第2ビア16の安定形成の確認がしやすく、接合界面のクリーニングも確実に行うことができる。研磨法としては、表面の平坦性、加工速度の面において、CMPが好適である。
【0086】
次に、図11(d)から図12(d)までの工程を繰り返すことで所望の層数を有する第2配線構造体17を形成し、その後、図11(d)から図12(b)と同様な工程にて給電層32、めっきレジスト33、電解めっきや無電解めっき、エッチング法を用いて外部端子18を形成する(ステップB10;図12(e)参照)。
【0087】
図11、図12に示した半導体装置の製造方法によれば、図10の半導体装置を効率よく形成することができる。第3ビア19を形成することにより、パッシベーション膜13上の第2配線層15が実施例1に係る半導体装置の製造方法よりも微細かつ高密度に形成することができる。また、ウエハ上に複数の半導体装置を形成し、ダイシングにより個片化してもよい。
【0088】
実施例3によれば、実施例1及び実施例2と同様な効果を奏するとともに、パッシベーション膜13上に設けられる第2配線層15の微細化と高密度化が実現できる。
【0089】
なお、実施例1〜3において、第1配線構造体12表面、パッシベーション膜13、第2絶縁層14、第2配線層15、外部端子18、及びオーバーコート膜20で構成される積層回路の所望の位置に、回路のノイズフィルターの役割を果たすコンデンサが設けられていてもよい。コンデンサを構成する誘電体材料としては、酸化チタン、酸化タンタル、Al、SiO、ZrO、HfO又はNb等の金属酸化物、BST(BaSr1−xTiO)、PZT(PbZrTi1−xO3)又はPLZT(Pb1−yLaZrTi1−x)等のペロブスカイト系材料若しくはSrBiTa等のBi系層状化合物であることが好ましい。但し、0≦x≦1、0<y<1である。また、コンデンサを構成する誘電体材料として、無機材料や磁性材料を混合した有機材料等を使用してもよい。
【0090】
更に、第2配線構造体17の第2絶縁層14の一層もしくは複数層において、誘電率が9以上となる材料により構成され、その上下の配線層の所望の位置に対向電極を形成することで回路のノイズフィルターの役割を果たすコンデンサを設けてもよい。コンデンサを構成する誘電体材料としては、Al、SiO、ZrO、HfO又はNb等の金属酸化物、BST(BaSr1−xTiO)、PZT(PbZrTi1−xO3)又はPLZT(Pb1−yLaZrTi1−x)等のペロブスカイト系材料若しくはSrBiTa等のBi系層状化合物であることが好ましい。但し、0≦x≦1、0<y<1である。また、コンデンサを構成する誘電体材料として、無機材料や磁性材料を混合した有機材料等を使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の実施例1に係る半導体装置の構成を模式的に示した部分断面図である。
【図2】本発明の実施例1に係る半導体装置における第1配線構造体の構成を模式的に示した拡大部分断面図である。
【図3】本発明の実施例1に係る半導体装置における第2配線構造体の応力集中状態を説明するための部分断面図である。
【図4】本発明の実施例1に係る半導体装置の第1の変形例の構成を模式的に示した部分断面図である。
【図5】本発明の実施例1に係る半導体装置の第2の変形例の構成を模式的に示した部分断面図である。
【図6】本発明の実施例1に係る半導体装置の外部端子低減の効果の例を示した模式図である。
【図7】本発明の実施例1に係る半導体装置の製造方法を模式的に示した第1の工程断面図である。
【図8】本発明の実施例1に係る半導体装置の製造方法を模式的に示した第2の工程断面図である。
【図9】本発明の実施例2に係る半導体装置の構成を模式的に示した部分断面図である。
【図10】本発明の実施例3に係る半導体装置の構成を模式的に示した部分断面図である。
【図11】本発明の実施例3に係る半導体装置の製造方法を模式的に示した第1の工程断面図である。
【図12】本発明の実施例3に係る半導体装置の製造方法を模式的に示した第2の工程断面図である。
【符号の説明】
【0092】
11 半導体基板
12 第1配線構造体
13 パッシベーション膜
14 第2絶縁層
15 第2配線層
16 第2ビア
16a 接合界面
17 第2配線構造体
18 外部端子
19 第3ビア
20 オーバーコート膜
21 ゲート電極
22 ソース電極
23 ドレイン電極
24 MOSトランジスタ
25 プラグ
26 第1配線層
27 第1絶縁層
28 配線
29 絶縁膜
30 第1ビア
31 空きエリア
32 給電層
33 めっきレジスト
34、35 電解めっき
36 金属ポスト
37 密着層
38 配線矯正領域
39 応力集中部位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板上に配されるとともに、少なくとも1以上の第1配線層、少なくとも1以上の第1絶縁層、及び第1ビアを有する第1配線構造体と、
前記第1配線構造体上に配されるとともに、少なくとも1以上の第2配線層、少なくとも1以上の第2絶縁層、第2ビア、及び第3ビアを有する第2配線構造体と、
前記第2配線構造体上に設けられた外部端子と、
を備える半導体装置において、
前記第2配線構造体の前記第2配線層と前記外部端子に接合される前記第2ビアは、前記外部端子側の端部に接合界面が配されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第2配線構造体に設けられる全ての前記第2ビアは、前記外部端子側の端部に接合界面が配されていることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2ビアは、前記半導体基板側の端部が前記第2配線層と一体化されていることを特徴とする請求項1又は2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2ビアは、前記半導体基板側の前記第2配線層上にめっき法によって形成されたことを特徴とする請求項3記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2配線層は、前記半導体基板側の面に密着層を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第2配線層は、前記第1配線層より厚いことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第2絶縁層は、前記第1絶縁層より厚いことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第2絶縁層の弾性率は、前記第1配線層の弾性率より低いことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第2絶縁層の25℃の弾性率は、1GPa以上かつ8GPa以下であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第2ビア及び前記第3ビアは、接合界面に前記密着層を有することを特徴とする請求項5乃至9のいずれか一に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第3ビアの前記半導体基板側の断面積をaとし、前記第3ビアの前記第2配線側の断面積をbとし、前記第2配線構造体に設けられる前記第2ビアの前記半導体基板側の断面積をcとし、かつ、前記第2配線構造体に設けられる前記第2ビアの前記外部端子側の断面積をdとした場合、(b/a)>(d/c)の関係にあることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第1配線層および第2配線層は、銅、アルミニウム、ニッケル、金及び銀からなる群から選択された少なくとも1種の金属又は合金よりなることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記外部端子の表面は、銅、アルミニウム、金、銀及び半田材料からなる群から選択された少なくとも1種の金属又は合金よりなることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記密着層は、チタン、タングステン、ニッケル、タンタル、バナジウム、クロム、モリブデン、銅、アルミニウムからなる群れから選択された少なくとも1種の金属又は合金よりなることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか一に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記第2絶縁層は、有機樹脂からなることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか一に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記第1配線構造体と前記第2絶縁層との間に前記第3ビアが設けられたパッシベーション膜が介在することを特徴とする請求項1乃至15のいずれか一に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記パッシベーション膜は、有機樹脂よりなることを特徴とする請求項16記載の半導体装置。
【請求項18】
前記第2配線構造体において、複数の電源系配線をまとめることで外部端子数を少なくすることを特徴とする請求項1乃至17のいずれか一に記載の半導体装置。
【請求項19】
前記第2配線構造体において、複数のグランド系配線をまとめることで外部端子数を少なくすることを特徴とする請求項1乃至18のいずれか一に記載の半導体装置。
【請求項20】
半導体素子が形成された半導体基板上に第1絶縁層と第1配線層と第1ビアを有する第1配線構造体を形成する工程と、
前記第1配線構造体上に第2絶縁層と第2配線層と第2ビア及び第3ビアを有する第2配線構造体を形成する工程と、
前記第2配線構造体上に外部端子を形成する工程と、
を含む半導体装置の製造方法において、
前記第2配線構造体を形成する工程では、
前記第2配線層を形成する工程と、
前記第2配線層上に前記第2ビアとなる金属ポストを形成する工程と、
前記第2配線層と前記金属ポストとを前記第2絶縁層にて覆う工程と、
前記第2絶縁層の表面を研磨することで前記金属ポストを露出させる工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項21】
前記金属ポストを形成する工程では、めっき法により前記第2配線層上に前記金属ポストを形成することを特徴とする請求項20記載の半導体装置の製造方法。
【請求項22】
前記第1配線構造体を形成する工程と前記第2配線構造体を形成する工程の間に、パッシベーション膜を形成する工程を含むことを特徴とする請求項20又は21記載の半導体装置の製造方法。
【請求項23】
前記第2配線層を形成する工程の前に電解めっきにより給電層を形成する工程を含むことを特徴とする請求項20乃至22のいずれか一に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項24】
前記金属ポストを露出させる工程では、CMPを用いて前記第2絶縁層の表面を研磨することを特徴とする請求項20乃至23のいずれか一に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−71045(P2009−71045A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−238014(P2007−238014)
【出願日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【出願人】(302062931)NECエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】