説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】低抵抗な電極部を有し、且つパターニング工程数の削減可能な半導体装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】拡散層が形成された半導体基板の上に第1の金属層を形成する工程と、前記第1の金属層の上に開口部を有する絶縁層を形成する工程と、前記絶縁層の開口部において、前記第1の金属層の上に第2の金属層を形成する工程と、前記絶縁層を除去する工程と、前記第2の金属層の露出面に前記第2の金属層よりもイオン化傾向の小さい金属を含む第3の金属層を被覆する工程と、前記第3の金属層をマスクとして前記第1の金属層を除去することにより、前記第1の金属層と前記第2の金属層と前記第3の金属層とを有する電極配線を形成する工程と、を備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関し、特に厚膜電極を有する半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の大電流化、高速化にともない、電極の厚膜化が行われている。このような半導体装置の電極部は、スパッタ方式による積層構造で形成される。電極部の厚膜化を行う場合は、チップ形成後に再配線技術を用い電極部を形成している(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
そのため、半導体チップ製造工程終了後に、再配線形成工程が必要となり、製造工程の増加を招いている。また、このような再配線技術では、半導体上に設けた絶縁膜をパターニングして開口部を形成し、その開口部に連続的に配線を形成する。その後、同絶縁膜を除去するため再配線部分の側壁部には、不安定(反応しやすい活性)な金属が露出し、外気中の湿気等により腐蝕が起こりやすく、信頼性低下が懸念される。さらに、この状態で下地の加工を行った場合、側面の不安定(反応しやすい活性)な金属が腐蝕する。
そこで、銅(Cu)の厚膜を形成し、その銅(Cu)の周囲に金(Au)で表面めっき被膜を形成する提案もある(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−23236号公報
【特許文献2】特開2000−150518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、低抵抗な電極部を有し、且つパターニング工程数の削減可能な半導体装置及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、拡散層が形成された半導体基板の上に第1の金属層を形成する工程と、前記第1の金属層の上に開口部を有する絶縁層を形成する工程と、前記絶縁層の開口部において、前記第1の金属層の上に第2の金属層を形成する工程と、前記絶縁層を除去する工程と、前記第2の金属層の露出面に前記第2の金属層よりもイオン化傾向の小さい金属を含む第3の金属層を被覆する工程と、前記第3の金属層をマスクとして前記第1の金属層を除去することにより、前記第1の金属層と前記第2の金属層と前記第3の金属層とを有する電極配線を形成する工程と、を備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法が提供される。
【0007】
また、本発明の他の一態様によれば、拡散層が形成された半導体基板の上に第1の金属層を形成する工程と、前記第1の金属層の上に開口部を有する絶縁層を形成する工程と、前記絶縁層の開口部において、前記第1の金属層の上に第2の金属層を形成する工程と、前記絶縁層を除去する工程と、前記絶縁層を除去した前記第1の金属層の上に酸化膜を形成する工程と、前記第2の金属層の露出面に前記第2の金属層よりもイオン化傾向の小さい金属を含む第3の金属層を被覆する工程と、前記第3の金属層をマスクとして前記第1の金属層を除去することにより、前記第1の金属層と前記第2の金属層と前記第3の金属層とを有する電極配線を形成する工程と、を備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法が提供される。
【0008】
また、本発明の他の一態様によれば、拡散層が形成された半導体基板の上に第1の金属層を形成する工程と、前記第1の金属層の上に開口部を有する絶縁層を形成する工程と、前記絶縁層の開口部において、前記第1の金属層の上に第2の金属層を形成する工程と、前記第2の金属層を残して前記絶縁層を除去する工程と、前記第2の金属層をマスクとして前記第1の金属層を除去する工程と、前記第2の金属層の上面及び側面を第4の金属層で被覆する工程と、前記第1の金属層と前記第2の金属層とを保護する開口部を有する保護層を形成する工程と、前記保護層の開口部から前記第4の金属層を除去して前記第2の金属層と前記保護層との間に空間を形成する工程と、前記空間の前記第2の金属層の露出面に前記第2の金属層よりもイオン化傾向の小さい金属を含む第3の金属層を被覆することにより、前記第1の金属層と前記第2の金属層と前記第3の金属層とを有する電極配線を形成する工程と、を備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法が提供される。
【0009】
また、本発明の他の一態様によれば、拡散層が形成された半導体基板と、前記半導体基板の上に形成された第1の金属層と、前記第1の金属層の上に形成された第2の金属層と、前記第2の金属層を覆う第3の金属層と、を備え、前記第1の金属層と前記第2の金属層及び前記第3の金属層とが実質同一形状のパターニングで形成されていることを特徴とする半導体装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、低抵抗な電極部を有し、且つパターニング工程数の削減可能な半導体装置及びその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を例示する工程断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を例示する工程断面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を例示する工程断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の新たな課題を例示する模式的断面図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法を例示する工程断面図である。
【図6】本発明の第4の実施形態に係る半導体装置の製造方法を例示する工程断面図である。
【図7】本発明の第5の実施形態に係る半導体装置の製造方法を例示する工程断面図である。
【図8】本発明の第5の実施形態に係る半導体装置の製造方法を例示する工程断面図である。
【図9】本発明の第6の実施形態に係る半導体装置の製造方法を例示する工程断面図である。
【図10】本発明の第6の実施形態に係る半導体装置の製造方法を例示する工程断面図である。
【図11】本発明の第7の実施形態に係る半導体装置の製造方法を例示する工程断面図である。
【図12】本発明の第8の実施形態に係る半導体装置の製造方法を例示する工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の形状と幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0013】
(第1の実施の形態 製造方法51)
図1〜2は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を例示する工程断面図である。
図1〜2においては、半導体装置の製造工程中の、電極形成工程における半導体装置の模式的断面図が表されている。
なお、例示した半導体素子は、縦型MOSFETであり、半導体基板10の上に2つの絶縁膜11、12、図示しない拡散層が形成されている。また、ドレイン電極(図示せず)は、半導体素子が形成された半導体基板10の上の2つの絶縁膜11、12と反対側の面に形成される。
【0014】
本実施例の半導体装置61の製造方法51は、以下の工程を有する。
図1(a)に表したように、拡散層が形成された半導体基板10の上に、バリア層13が形成される。例えば、チタン(Ti)、チタンタングステン(TiW)、窒化チタン(TiN)が、膜厚300〜500nmに、スパッタリングで形成される。なお、バリア層13は、半導体基板10の上、及び半導体基板10の上に形成された絶縁膜11、12の上に形成される。
【0015】
ここで、絶縁膜11、12は、前工程において形成された、シリコン酸化膜SiO 、プラズマ励起CVDによるシリコン窒化膜SiN、シリコン酸化膜SiO(以下、P−SiN、P−SiO)からなる単層または積層膜であり、例えば、膜厚500〜1000nmに形成されている。図1(a)においては、絶縁膜11、12は、それぞれゲート絶縁膜、素子分離絶縁膜を表している。
【0016】
バリア層13の上に第1の金属層14が形成される。
例えば、アルミニウム(Al)、Al−Si、Al−Si−Cu、Al−Cuが、膜厚1〜2μmに形成される。バリア層13は、第1の金属層14を半導体基板10から隔離し、第1の金属層14が半導体基板10に拡散すること、及び第1の金属層14と半導体基板10との反応を回避する。第1の金属層14の種類によっては、バリア層13は形成しなくてもよい。
【0017】
縦型MOSFETの製造方法を例示する本実施例においては、この第1の金属層14は、パターニングして形成した後にソース電極及びゲート電極の一部となる。すなわち、半導体基板10の上に絶縁膜11を介さずに形成されたバリア層13と、その上に形成された第1の金属層14とは、パターニングして形成した後にソース電極の下層を構成する。また、絶縁膜11の上に形成されたバリア層13と、その上に形成された第1の金属層14とは、パターニングして形成した後にゲート電極の下層を構成する。
【0018】
さらに、第1の金属層14の上にバリア層15が形成される。例えば、チタン(Ti)、チタンタングステン(TiW)、窒化チタン(TiN)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、ルテニウム(Ru)が、膜厚100〜300nmに形成される。バリア層15の上に、例えば、銅(Cu)からなるシード層16が、スパッタリングにより形成される。
【0019】
シード層16は、第2の金属層18を電気めっきする際に必要とされるもので、無電解めっき等により第2の金属層18の形成が可能であれば、なくてもよい。また、第2の金属層18を電気めっきにより形成する場合であっても、第1の金属層14及びバリア層13、15等が電気めっきに必要な電流・電圧を表層に供給可能であって、めっきにより形成される層と下地との密着性が確保される場合はなくてもよい。
【0020】
バリア層15、第1の金属層14及びバリア層13は、後に形成する第2の金属層18を半導体基板10から隔離し、第2の金属層18が半導体基板10へ拡散すること、及び第2の金属層18と半導体基板10との反応を回避するために形成される。第1の金属層14が、第2の金属層18の半導体基板10への拡散を回避できれば、バリア層13、15は、なくてもよい。
【0021】
次に、図1(b)に表したように、レジスト等の絶縁層17が形成される。また、絶縁層17をリソグラフィ工程等によりパターニングして開口部が形成される。
パターニングして形成された絶縁層17の開口部が、電極パターンとなる。
【0022】
図1(c)に表したように、第2の金属層18が、めっきにより形成される。
例えば、銅(Cu)が膜厚5〜10μmに形成される。
なお、めっきには、シード層16、または第1の金属層14を陰極として、電気めっきが用いられる。また、無電解めっきでもよい。
【0023】
図1(d)に表したように、絶縁層17が除去される。
バリア層15が露出するまで、絶縁層17及びシード層16がエッチングなどにより除去される。なお、エッチングは、ウェットエッチング、ドライエッチングのどちらでもよい。
【0024】
次に、図2(a)に表したように、第2の金属層18及びシード層16の露出面(上面と側面)が、第3の金属層19でコート(被覆)される。
第2の金属層18を形成する金属とバリア層15で使用された金属との電位差を利用して、無電解めっきによりコート(被覆)される。
【0025】
第3の金属層19は、イオン化傾向の小さい金属、つまり第2の金属層18を構成する金属(例えば、銅(Cu))より電位的に貴(安定)な金属が用いられる。例えば、金(Au)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)等が膜厚0.05μmに形成される。また、第2の金属層18の上に、まずニッケル(Ni)、Ni/Pd、スズ(Sn)が膜厚1〜2μmに形成され、その上に金(Au)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)等の第2の金属層18より電位的に貴(安定)な(イオン化傾向の小さい)金属が、膜厚0.05μmに形成されてもよい。
【0026】
この状態で、第2の金属層18の露出面すなわち上面と側面とを全面コート(被覆)する第3の金属層19をマスクとして、下地の第1の金属層14を加工することが可能となる(図2(b))。
絶縁膜11、12が露出するまで、バリア層15、第1の金属層14、バリア層13がエッチングなどにより除去される。
なお、エッチングは、ウェットエッチング、ドライエッチングのどちらでもよい。
【0027】
これにより、第1の金属層14、第2の金属層18及び第3の金属層19を有する電極配線31は、セルフアラインで所望の配線パターンに形成される。
なお、縦型MOSFETの製造方法を例示する本実施例においては、半導体基板10の上に絶縁膜11を介さずに形成された電極配線31は、ソースパッドの部分となる。また、絶縁膜11の上に形成された電極配線31は、ゲートパッド、ゲート引き出し配線の部分となる。
【0028】
さらに、必要により、前工程で加工した溝を絶縁層20(保護層)で埋める(図2(c))。
絶縁層20(保護層)は、例えば、PI(ポリイミド)、永久レジスト、P−SiN、P−SiOの単膜または積層膜が膜厚1〜20μmに形成される。
以上の工程により、厚膜化した電極配線31を有する半導体装置61が製造される。
【0029】
本実施例においては、パターニング工程は、絶縁層17をリソグラフィ工程等によりパターニングして開口部を形成する際に必要となる1回だけである。また、第1の金属層14をエッチングする際は、第2の金属層18は、電位的に安定な(イオン化傾向の小さい)金属を含む第3の金属層19で上面と側面が全面コート(被覆)されているため、第2の金属層18で使用される金属の拡散及び腐蝕が抑制される。
【0030】
なお、本実施例においては、MOSFETの厚膜化した電極を形成する例について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、厚膜化した電極を有する半導体装置の製造に用いることができる。
【0031】
(比較例 製造方法)
ここで、比較例の製造方法について説明する。
比較例の製造方法は、素子形成が終了した後の、電極を厚膜化する製造方法である。
【0032】
素子形成する半導体基板の上に、電極部がパターニングして形成され、全体が保護膜で覆われる。そして、保護膜に開口部が形成されて素子形成が終了する。
この状態から、電極部の厚膜化が行われる。
まず、チップ全面にバリア層、銅(Cu)のシード層が形成される。
【0033】
レジスト等の絶縁膜が形成され、電極部との接続のためその絶縁膜をパターニングして開口部が形成される。
次に、銅(Cu)からなる厚膜が、その開口部に形成される。厚膜の上に保護膜が形成され、次に、レジスト等の絶縁膜が除去される。最後に、シード層及びバリア層が除去される。
以上の工程により、電極が厚膜化される。
【0034】
このように、比較例の電極を厚膜化する製造方法は、素子形成完了前の電極部形成と、素子形成後に行う厚膜電極形成とで、絶縁膜でのパターニングが2回必要であり、製造工程の増加を招いている。
【0035】
また、レジスト除去後の再配線部分である厚膜の側壁部は、不安定(反応しやすい活性)な金属が露出し、外気中の湿気等により腐蝕が起こりやすく、信頼性低下が懸念される。この状態で下地の加工を行った場合、側面の不安定(反応しやすい活性)な金属が腐蝕する。
さらに、厚膜と下層の電極部との接触面積が小さくなり、電気抵抗が大きくなる。
【0036】
これに対して、上記した本発明の製造方法51においては、半導体チップ形成途中の全面形成された第1の金属層14の上へ直接フォトレジストや感光性ポリイミド等にてパターニングして形成される。電気めっきまたは無電解めっきにて選択的に第2の金属層18が形成された後、絶縁層17が除去され、第2の金属層18の露出面すなわち上面と側面は、無電解めっきにて電位的に貴(安定)な(イオン化傾向の小さい)金属を含む第3の金属層19で全面コート(被覆)される。
【0037】
また、第2の金属層18の上面及び側面を全面コート(被覆)する第3の金属層19をマスクにセルフアラインで電極配線31が形成される。
【0038】
これにより、第2の金属層18の加工を行うためのパターニング工程数を1回に減らすことができる。
また、第2の金属層18を電位的に貴(安定)な(イオン化傾向の小さい)金属を含む第3の金属層19で覆うことにより、拡散、腐蝕を防止することが可能となる。
【0039】
さらに、電極配線31は、第2の金属層18の露出面すなわち上面と側面とを全面コート(被覆)する第3の金属層19をマスクとして、セルフアラインで形成される。従って、電極配線31の半導体基板10の主面と平行な任意の面の断面積は一定であり、小さくなっている部分がない。第1の金属層14と第2の金属層18との、半導体基板10の主面と平行な任意の方向の長さは等しく、第1の金属層14の上面面積と第2の金属層18の下面面積とが等しくなっている。このため、第1の金属層14と第2の金属層18との接触面積を(比較例より)大きくとることができ、低抵抗化することができる。
【0040】
ところで、図2(a)に表したように、この工程において、第2の金属層18及びシード層16の露出面が、第3の金属層19で全面コート(被覆)される。その際、第2の金属層18を形成する金属(例えば、銅(Cu))とバリア層15で使用された金属との電位差を利用して、無電解めっきが行われる。
【0041】
しかし、第2の金属層18及びシード層16の露出面が第3の金属層19により全面コート(被覆)されるだけでなく、バリア層15もコート(被覆)される可能性がある。
これを解決した、他の実施形態について説明する。
【0042】
(第2の実施形態 製造方法52)
図3は、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を例示する工程断面図である。
本実施例の半導体装置62の製造方法52は、以下の工程を有する。
図3においては、半導体装置の製造工程中の、電極形成工程における半導体装置の模式的断面図が表されている。なお、例示した素子は、縦型MOSFETであり、図1〜2に表した実施例と同様なので説明を省略する。
【0043】
また、本実施例の製造方法52においては、図1(d)に表した、絶縁層17を除去する工程まで、上記した製造方法51の工程と同様なので説明を省略する。
次工程から説明する。
【0044】
図3(a)に表したように、バリア層15の表面に酸化膜21が、シード層16及び第2の金属層18の表面に酸化膜22が、それぞれ形成される。
酸化膜21、22は、例えば、酸素(O)、水蒸気(HO)、亜酸化窒素(NO)、一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO)、一酸化炭素(CO)及び二酸化炭素(CO)のいずれかの単体ガス、または2種以上の混合ガス、または前記単体ガス若しくは前記混合ガスとアルゴン(Ar)、窒素(N)及び水素(H)の少なくとも1種以上のガスとの混合ガス雰囲気中で熱処理により形成される。また、自然酸化膜が形成される場合は、熱処理を実施しなくても良い。
【0045】
次に、図3(b)に表したように、シード層16及び第2の金属層18の上の酸化膜22のみが除去される。
【0046】
その後、図3(c)に表したように、第2の金属層18及びシード層16の露出面(上面及び側面)が第3の金属層19で全面コート(被覆)される。
第2の金属層18を形成する金属とバリア層15で使用された金属との電位差を利用して、無電解めっきにより第3の金属層19で全面コート(被覆)される。
【0047】
第3の金属層19については、上記した製造方法51と同様であるので、説明を省略する。
この状態で、第2の金属層18の露出面、すなわち上面と側面とを全面コート(被覆)する第3の金属層19をマスクにして、下地の第1の金属層14を加工することが可能となる(図3(d))。
絶縁膜11、12が露出するまで、バリア層15、第1の金属層14、バリア層13がエッチングなどにより除去される。
なお、エッチングは、ウェットエッチング、ドライエッチングのどちらでもよい。
【0048】
これにより、第1の金属層14、第2の金属層18及び第3の金属層19を有する電極配線32は、セルフアラインで所望の配線パターンに形成される。
縦型MOSFETの製造方法を例示する本実施例においては、半導体基板10の上に絶縁膜11を介さずに形成された電極配線32は、ソースパッドの部分となる。また、絶縁膜11の上に形成された電極配線32は、ゲートパッド、ゲート引き出し配線の部分となる。
【0049】
さらに、必要により、前工程で加工した溝が絶縁層20(保護層)で埋められる(図示せず)。
絶縁層20(保護層)は、例えば、PI、永久レジスト、P−SiN、P−SiOの単膜または積層膜で、膜厚1〜20μmに形成される。
【0050】
以上の工程により、厚膜化した電極配線32を有する半導体装置62が製造される。
製造方法52においては、工程は、製造方法51と比べて複雑化するが、第2の金属層18及びシード層16のみの露出面が第3の金属層19で全面コート(被覆)される。そのため、第1の金属層14がエッチングされる際は、第2の金属層18は、電位的に安定な(イオン化傾向の小さい)金属を含む第3の金属層19で全面コート(被覆)されているため、第2の金属層18で使用される金属の拡散及び腐蝕が抑制される。
【0051】
さらに、電極配線32は、第2の金属層18の露出面すなわち上面と側面とを全面コート(被覆)する第3の金属層19をマスクとして、セルフアラインで形成される。従って、電極配線32の半導体基板10の主面と平行な任意の面の断面積は一定であり、小さくなっている部分がない。第1の金属層14と第2の金属層18との、半導体基板10の主面と平行な任意の方向の長さは等しく、第1の金属層14の上面面積と第2の金属層18の下面面積とが等しくなっている。このため、第1の金属層14と第2の金属層18との接触面積を(比較例より)大きくとることができ、低抵抗化することができる。
【0052】
なお、本実施例においては、縦型MOSFETの厚膜化した電極を形成する例について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、厚膜化した電極を有する半導体装置の製造に用いることができるのは、製造方法51と同様である。
【0053】
ところで、再び図1〜2に戻ると、図2(b)に表した状態において、バリア層15、第1の金属層14及びバリア層13がエッチングされる場合に、バリア層15が侵食されて、シード層16または第2の金属層18を構成する金属(例えば、銅(Cu))が露出する可能性がある。
【0054】
図4(a)に表したように、バリア層15とシード層16と第3の金属層19との接点付近(破線で囲んだ部分)で、バリア層15が侵食されて、シード層16の底面が露出する可能性がある。
図4(b)は、図4(a)において、破線で囲んだ部分の拡大図である。
特に、ウェットエッチングにより、絶縁膜11、12が露出するまで、オーバーエッチングする際に生じ、この部分から、腐蝕する可能性がある。
【0055】
これを解決した、他の実施形態について説明する。
(第3の実施形態 製造方法53)
図5は、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法を例示する工程断面図である。
【0056】
本実施例の半導体装置63の製造方法53は、以下の工程を有する。
図5においては、半導体装置の製造工程中の、電極形成工程における半導体装置の模式的断面図が表されている。なお、例示した素子は、縦型MOSFETであり、図1〜2に表した実施例と同様なので説明を省略する。
【0057】
また、本実施例の製造方法53は、図1(c)に表したように、第2の金属層18(例えば、銅(Cu)))がめっきにより形成される工程までは、上記した製造方法51と同様なので説明を省略する。
次工程から説明する。
【0058】
図5(a)に表したように、絶縁層17が除去される際に、シード層16及びバリア層15も除去される点が、図3に表した製造方法52と異なる。
絶縁層17を除去した後に、第2の金属層18をマスクとしてセルフアラインにより、第1の金属層14が露出するまで、シード層16及びバリア層15がエッチングなどにより除去される。なお、エッチングは、ウェットエッチング、ドライエッチングのどちらでもよい。
【0059】
図5(b)に表したように、シード層16及び第2の金属層18の露出面が、第3の金属層19で全面コート(被覆)される。
第2の金属層18を形成する金属とバリア層15で使用された金属との電位差を利用して、無電解めっきが行われる。
【0060】
このように、バリア層15をエッチングした後に、第3の金属層を無電解めっきにより選択的にめっきすることで、バリア層15のオーバーエッチング部にもめっきすることが可能である。
第2の金属層18及びシード層16の上面及び側面だけでなく、バリア層15のオーバーエッチングにより露出したシード層16の底面まで、完全に被覆することが可能であり、信頼性の変動を払拭できる。
【0061】
第3の金属層19については、上記した製造方法51と同様であるので、説明を省略する。
この状態で、第2の金属層18の露出面を全面コート(被覆)する第3の金属層19をマスクに、下地の第1の金属層14を加工することが可能となる(図5(c))。
絶縁膜11、12が露出するまで、第1の金属層14、バリア層13がエッチングなどにより除去される。
なお、エッチングは、ウェットエッチング、ドライエッチングのどちらでもよい。
【0062】
これにより、第1の金属層14、第2の金属層18及び第3の金属層19を有する電極配線33は、セルフアラインで所望の配線パターンに形成される。
縦型MOSFETの製造方法を例示する本実施例においては、半導体基板10の上に絶縁膜11を介さずに形成された電極配線33は、ソースパッドの部分となる。また、絶縁膜11の上に形成された電極配線33は、ゲートパッド、ゲート引き出し配線の部分となる。
【0063】
さらに、必要により前工程で加工した溝が絶縁層20(保護層)で埋められる(図示せず)。
絶縁層20(保護層)は、例えば、PI、永久レジスト、P−SiN、P−SiOの単膜または積層膜で膜厚1〜20μmに形成される。
【0064】
以上の工程により、厚膜化した電極配線33を有する半導体装置63が製造される。
製造方法53においては、製造方法51と同様に、パターニング工程は、絶縁層17をパターニングして開口部を形成する際に必要となる1回だけである。また、第1の金属層14がエッチングされる際は、第2の金属層18は、電位的に安定な(イオン化傾向の小さい)金属を含む第3の金属層19で全面コート(被覆)されているため、第2の金属層18で使用される金属の拡散及び腐蝕が抑制される。
【0065】
さらに、バリア層15が侵食されて、シード層16が露出することによる信頼性変動の可能性はない。
また、電極配線33は、第2の金属層18の露出面を全面コート(被覆)する第3の金属層19をマスクとして、セルフアラインで形成される。従って、電極配線33の半導体基板10の主面と平行な任意の面の断面積は一定であり、小さくなっている部分がない。第1の金属層14と第2の金属層18との、半導体基板10の主面と平行な任意の方向の長さは等しく、第1の金属層14の上面面積と第2の金属層18の下面面積とが等しくなっている。このため、第1の金属層14と第2の金属層18との接触面積を(比較例より)大きくとることができ、低抵抗化することができる。
【0066】
なお、本実施例においては、MOSFETの厚膜化した電極を形成する例について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、厚膜化した電極を有する半導体装置の製造に用いることができる。
【0067】
上記のバリア層15が侵食されて、シード層16が露出する可能性は、次に説明する実施形態によっても解決できる。
(第4の実施形態 製造方法54)
図6は、本発明の第4の実施形態に係る半導体装置の製造方法を例示する工程断面図である。
【0068】
本実施例の半導体装置64の製造方法54は、以下の工程を有する。
図6においては、半導体装置の製造工程中の、電極形成工程における半導体装置の模式的断面図が表されている。なお、例示した素子は、縦型MOSFETであり、図1〜2に表した実施例と同様なので説明を省略する。
【0069】
また、本実施例の製造方法54は、図1(c)に表したように、第2の金属層18(例えば、銅(Cu))がめっきにより形成される工程までは、上記した製造方法51と同様なので説明を省略する。
次工程から説明する。
【0070】
図6(a)に表したように、絶縁層17が除去される際に、シード層16及びバリア層15も除去される。
第1の金属層14が露出するまで、絶縁層17、シード層16及びバリア層15がエッチングなどにより除去される。
なお、エッチングは、ウェットエッチング、ドライエッチングのどちらでもよい。
【0071】
次に、図6(b)に表したように、第1の金属層14の表面に酸化膜21が形成される。
酸化膜21は、例えば、酸素(O)、水蒸気(HO)、亜酸化窒素(NO)、一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO)、一酸化炭素(CO)及び二酸化炭素(CO)のいずれかの単体ガス、または2種以上の混合ガス、または前記単体ガス若しくは前記混合ガスとアルゴン(Ar)、窒素(N)及び水素(H)の少なくとも1種以上のガスとの混合ガス雰囲気中で熱処理により形成される。その際、第1の金属層14は酸化され、第2の金属層18は還元されるように、分圧、温度が調整される。
なお、第1の金属層14が、アルミニウム(Al)の場合のように、特別に酸化処理を行わなくても自然酸化膜が形成される場合は、熱処理は不要であり、製造工程が簡単化される。
【0072】
次に、図6(c)に表したように、シード層16及び第2の金属層18の露出面が第3の金属層19で全面コート(被覆)される。
第2の金属層18を形成する金属とバリア層15で使用された金属との電位差を利用して、無電解めっきが行われる。
【0073】
第3の金属層19については、上記した製造方法51と同様であるので、説明を省略する。
この状態で、第2の金属層18の露出面を全面コート(被覆)する第3の金属層19をマスクに下地の第1の金属層14を加工することが可能となる(図6(d))。
絶縁膜11、12が露出するまで、酸化膜21、第1の金属層14、バリア層13がエッチングなどにより除去される。
なお、エッチングは、ウェットエッチング、ドライエッチングのどちらでもよい。
【0074】
これにより、第1の金属層14、第2の金属層18及び第3の金属層19を有する電極配線34は、セルフアラインで所望の配線パターンに形成される。
縦型MOSFETの製造方法を例示する本実施例においては、半導体基板10の上に絶縁膜11を介さずに形成された電極配線34は、ソースパッドの部分となる。また、絶縁膜11の上に形成された電極配線34は、ゲートパッド、ゲート引き出し配線の部分となる。
【0075】
さらに、必要により前工程で加工した溝が絶縁層20(保護層)で埋められる(図示せず)。
絶縁層20(保護層)は、例えば、PI、永久レジスト、P−SiN、P−SiOの単膜または積層膜で膜厚1〜20μmに形成される。
【0076】
以上の工程により、厚膜化した電極配線34を有する半導体装置64が製造される。
製造方法54においては、製造方法51と同様に、パターニング工程は、絶縁層17をパターニングして開口部を形成する際に必要となる1回だけである。また、第1の金属層14がエッチングされる際は、第2の金属層18は、電位的に安定な(イオン化傾向の小さい)金属を含む第3の金属層19で全面コート(被覆)されているため、第2の金属層18で使用される金属の拡散及び腐蝕が抑制される。
【0077】
さらに、上記のような、バリア層15も第3の金属層19でコート(被覆)される可能性と、バリア層15が侵食されて、シード層16が露出するという可能性はない。
また、電極配線34は、第2の金属層18の露出面を全面コート(被覆)する第3の金属層19をマスクとして、セルフアラインで形成される。従って、電極配線34の半導体基板10の主面と平行な任意の面の断面積は一定であり、小さくなっている部分がない。第1の金属層14と第2の金属層18との、半導体基板10の主面と平行な任意の方向の長さは等しく、第1の金属層14の上面面積と第2の金属層18の下面面積とが等しくなっている。このため、第1の金属層14と第2の金属層18との接触面積を(比較例より)大きくとることができ、低抵抗化することができる。
【0078】
なお、本実施例においては、MOSFETの厚膜化した電極を形成する例について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、厚膜化した電極を有する半導体装置の製造に用いることができる。
【0079】
(第5の実施形態 製造方法55)
図7〜8は、本発明の第5の実施形態に係る半導体装置の製造方法を例示する工程断面図である。
本実施例の半導体装置65の製造方法55は、以下の工程を有する。
図7〜8においては、半導体装置の製造工程中の、電極形成工程における半導体装置の模式的断面図が表されている。なお、例示した素子は、縦型MOSFETであり、図1〜2に表した実施例と同様なので説明を省略する。
【0080】
図7(a)に表したように、拡散層が形成された半導体基板10の上に、バリア層13、第1の金属層14、バリア層15が順に形成される。
これについては、製造方法51と同様であるので説明を省略する。この後、シード層16が形成されないことが製造方法51と異なる。
【0081】
次に、図7(b)に表したように、レジスト等の絶縁層17が形成される。また、絶縁層17をパターニングして開口部が形成される。
パターニングして形成された絶縁層17の開口部が、電極パターンとなる。
【0082】
図7(c)に表したように、第2の金属層18が、無電解めっきにより形成される。
例えば、銅(Cu)を膜厚5〜10μmに形成する。
なお、本実施例においは、シード層16は形成されていない。第2の金属層18を、電気めっきにより形成する場合であっても、第1の金属層14及びバリア層13、15等が電気めっきに必要な電流・電圧を表層に供給可能であって、めっき膜と下地の密着性が確保される場合は、シード層16はなくてもよい。
【0083】
図7(d)に表したように、絶縁層17が除去される。
第1の金属層14が露出するまで、エッチングなどにより、絶縁層17及びバリア層15が除去される。
【0084】
次に、図8(a)に表したように、第1の金属層14の表面に酸化膜21が形成される。
この工程以降は、製造方法53と同様であるので、概略を説明する。
【0085】
図8(b)に表したように、第2の金属層18の露出面が第3の金属層19で全面コート(被覆)される。
この状態で、第2の金属層18の露出面を全面コート(被覆)する第3の金属層19をマスクに、下地の第1の金属層14を加工することが可能となる(図8(c))。
【0086】
絶縁膜11、12が露出するまで、酸化膜21、第1の金属層14、バリア層13がエッチングなどにより除去される。
なお、エッチングは、ウェットエッチング、ドライエッチングのどちらでもよい。
【0087】
これにより、第1の金属層14、第2の金属層18及び第3の金属層19を有する電極配線35は、セルフアラインで所望の配線パターンに形成される。
縦型MOSFETの製造方法を例示する本実施例においては、半導体基板10の上に絶縁膜11を介さずに形成された電極配線35は、ソースパッドの部分となる。また、絶縁膜11の上に形成された電極配線35は、ゲートパッド、ゲート引き出し配線の部分となる。
【0088】
さらに、必要により前工程で加工した溝が絶縁層20(保護層)で埋められる(図8(d))。
絶縁層20(保護層)は、例えば、PI、永久レジスト、P−SiN、P−SiOの単膜または積層膜で膜厚1〜20μmに形成される。
【0089】
以上の工程により、厚膜化した電極配線35を有する半導体装置65が製造される。
製造方法55においては、シード層16の形成が不要で、製造方法51と同様に、パターニング工程の回数も少ない。また、第1の金属層14がエッチングされる際は、第2の金属層18は、電位的に安定な(イオン化傾向の小さい)金属を含む第3の金属層19で全面コート(被覆)されているため、第2の金属層18で使用される金属の拡散及び腐蝕が抑制される。
【0090】
さらに、上記のような、バリア層15も第3の金属層19でコート(被覆)されるという可能性と、バリア層15が侵食されて、シード層16が露出するという可能性はない。
また、電極配線35は、第2の金属層18の露出面を全面コート(被覆)する第3の金属層19をマスクとして、セルフアラインで形成される。従って、電極配線35の半導体基板10の主面と平行な任意の面の断面積は一定であり、小さくなっている部分がない。第1の金属層14と第2の金属層18との、半導体基板10の主面と平行な任意の方向の長さは等しく、第1の金属層14の上面面積と第2の金属層18の下面面積とが等しくなっている。このため、第1の金属層14と第2の金属層18との接触面積を(比較例より)大きくとることができ、低抵抗化することができる。
【0091】
なお、本実施例においては、MOSFETの厚膜化した電極を形成する例について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、厚膜化した電極を有する半導体装置の製造に用いることができる。
【0092】
(第6の実施形態 製造方法56)
図9〜10は、本発明の第6の実施形態に係る半導体装置の製造方法を例示する工程断面図である。
本実施例の半導体装置66の製造方法56は、以下の工程を有する。
図9〜10においては、半導体装置の製造工程中の、電極形成工程における半導体装置の模式的断面図が表されている。なお、例示した素子は、縦型MOSFETであり、図1〜2に表した実施例と同様なので説明を省略する。
【0093】
図9(a)に表したように、拡散層が形成された半導体基板10の上に、バリア層15、シード層16が順に形成される。
つまり、製造方法51について、図1(a)に表した、バリア層13、第1の金属層14は形成されない点が、製造方法51と異なる。
【0094】
次に、図9(b)に表したように、レジスト等の絶縁層17が形成される。また、絶縁層17をパターニングして開口部が形成される。
パターニングして形成された絶縁層17の開口部が、電極パターンとなる。
【0095】
図9(c)に表したように、第2の金属層18がめっきにより形成される。
例えば、銅(Cu)が膜厚5〜10μmに形成される。
めっきは、バリア層15またはシード層16を陰極として、電気めっきが用いられる。また、無電解めっきでもよい。この場合は、シード層16は、なくてもよい。
また、第2の金属層18を電気めっきにより形成する場合であっても、バリア層15が電気めっきに必要な電流・電圧を表層に供給可能であって、めっき層と下地との密着性が確保される場合は、シード層16は、なくてもよい。
【0096】
図9(d)に表したように、絶縁層17が除去される。
バリア層15が露出するまで、エッチングなどにより、絶縁層17及びシード層16が除去される。
【0097】
次に、図10(a)に表したように、第2の金属層18の露出面が、第3の金属層19で全面コート(被覆)される。
この状態で、第2の金属層18の露出面を全面コート(被覆)する第3の金属層19をマスクに、下地のバリア層15を加工することが可能となる(図10(b))。
【0098】
絶縁膜11、12が露出するまで、バリア層13がエッチングなどにより除去される。
なお、エッチングは、ウェットエッチング、ドライエッチングのどちらでもよい。
【0099】
これにより、第2の金属層18及び第3の金属層19を有する積層体36が、所望の配線パターンに形成される。
縦型MOSFETの製造方法を例示する本実施例においては、半導体基板10の上に絶縁膜11を介さずに形成された積層体36は、ソースパッドの部分となる。また、絶縁膜11の上に形成された積層体36は、ゲートパッド、ゲート引き出し配線の部分となる。
【0100】
さらに、必要により前工程で加工した溝が絶縁層20(保護層)で埋められる(図10(c))。
絶縁層20(保護層)は、例えば、PI、永久レジスト、P−SiN、P−SiOの単膜または積層膜が膜厚1〜20μmに形成される。
以上の工程により、厚膜化した積層体36の電極を有する半導体装置66が製造される。
【0101】
製造方法56においては、第1の金属層14の形成が不要で、製造方法51と同様に、パターニング工程の回数も少ない。また、バリア層15がエッチングされる際は、第2の金属層18は、電位的に安定な(イオン化傾向の小さい)金属を含む第3の金属層19で全面コート(被覆)されているため、第2の金属層18で使用される金属の拡散及び腐蝕が抑制される。
【0102】
また、電極となる積層体36は、第2の金属層18の露出面を全面コート(被覆)する第3の金属層19をマスクとして、セルフアラインで形成される。従って、積層体36の半導体基板10の主面と平行な任意の面の断面積は一定であり、小さくなっている部分がなく、第2の金属層18の断面積が(比較例より)大きくなる。すなわち半導体基板10または絶縁膜11と第2の金属層18との接触面積を(比較例より)大きくとることができ、低抵抗化することができる。
【0103】
ただし、本実施例は、製造方法51と同様に、上記のバリア層15も第3の金属層19でコート(被覆)される可能性と、バリア層15が侵食されて、シード層16が露出する可能性はある。上記した製造方法52と同様に、バリア層15に酸化膜21が形成され、第2の金属層18の酸化膜22は除去される工程を追加することにより、バリア層15も第3の金属層19でコート(被覆)される可能性はなくなる。
【0104】
なお、本実施例においては、MOSFETの厚膜化した電極を形成する例について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、厚膜化した電極を有する半導体装置の製造に用いることができる。
【0105】
ところで、上記の製造方法51〜56における最終工程、すなわち、前工程で加工した溝を絶縁層20(保護層)で埋め電極保護を行う工程においては、例えば、PI(ポリイミド)などを熱硬化させる(図2(c)、図8(d)、図10(c))。その工程において、第3の金属層19にクラックが発生したり、第3の金属層19と第2の金属層18との合金化、相互拡散が発生する可能性がある。
【0106】
これを解決した、他の実施形態について説明する。
(第7の実施形態 製造方法57)
図11は、本発明の第7の実施形態に係る半導体装置の製造方法を例示する工程断面図である。
本実施例の半導体装置67の製造方法57は、以下の工程を有する。
図11においては、半導体装置の製造工程中の、電極形成工程における半導体装置の模式的断面図が表されている。なお、例示した素子は、縦型MOSFETであり、図1〜2に表した実施例と同様なので説明を省略する。
【0107】
また、本実施例の製造方法57においては、図7(c)に表した、第2の金属層18がめっきにより形成される工程まで、上記した製造方法55と同様なので説明を省略する。
次の工程から説明する。
【0108】
図11(a)に表したように、絶縁層17がエッチングなどにより除去される。
さらに、第2の金属層18をマスクとしてセルフアラインにより、絶縁膜11、12が露出するまで、第1の金属層14及びバリア層13、15がエッチングなどにより除去される。なお、エッチングは、ウェットエッチング、ドライエッチングのどちらでもよい。
【0109】
図11(b)に表したように、前工程で加工した電極配線部が絶縁層20(保護層)で覆われる。
絶縁層20(保護層)は、例えば、PI、永久レジスト、P−SiN、P−SiOの単膜または積層膜で膜厚1〜20μmに形成される。
また、絶縁層20(保護層)には、パターニングして第2の金属層18の上部が露出する開口部が形成される。
【0110】
次に、図11(c)に表したように、第2の金属層18をエッチングして、絶縁層20(保護層)と第2の金属層18との間に、第3の金属層19によるコート(被覆)を行うための空間90を形成する。第3の金属層19を、例えば、膜厚0.05μmに形成する場合、空間90の厚さをそれに合わせて形成する。
なお、エッチングは、絶縁層20(保護層)をマスクとして第2の金属層18を等方性エッチングする。
【0111】
そして、図11(d)に表したように、第2の金属層18の露出面、すなわち第2の金属層18の上面及び側面を第3の金属層19でコート(被覆)する。第3の金属層19は、イオン化傾向の小さい金属、つまり第2の金属層18を構成する金属(例えば、銅(Cu))より電位的に貴(安定)な金属が用いられる。例えば、金(Au)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)等が、無電解めっきに空間90に形成される。
また、第2の金属層18の上に、まずニッケル(Ni)、Ni/Pd、スズ(Sn)が膜厚1〜2μmに形成され、その上に金(Au)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)等の第2の金属層18より電位的に貴(安定)な(イオン化傾向の小さい)金属が、膜厚0.05μmに形成されてもよい。
【0112】
本実施例の半導体装置の製造方法57においては、例えば、PIを熱硬化させる場合、第2の金属層18はまだ第3の金属層19でコート(被覆)されていないため、第3の金属層19のクラック、第2の金属層18と第3の金属層19との合金化、相互拡散の可能性はない。
このように、本実施例の半導体装置の製造方法57によれば、新たに低温PIプロセスを確立する必要はなく、従来のPIプロセスが適用できる。
【0113】
また、第1の金属層14、第2の金属層18及び第3の金属層19を有する電極配線37は、セルフアラインで所望の配線パターンに形成される。
縦型MOSFETの製造方法を例示する本実施例においては、半導体基板10の上に絶縁膜11を介さずに形成された電極配線37は、ソースパッドの部分となる。また、絶縁膜11の上に形成された電極配線37は、ゲートパッド、ゲート引き出し配線の部分となる。
【0114】
以上の工程により、厚膜化した電極配線37を有する半導体装置67が製造される。
製造方法57においては、製造方法51と同様に、パターニング工程は、絶縁層17、20をそれぞれパターニングして開口部を形成する際に必要となる2回である。また、最終工程において第2の金属層18は、電位的に安定な(イオン化傾向の小さい)金属を含む第3の金属層19で全面コート(被覆)されるため、第2の金属層18で使用される金属の拡散及び腐蝕が抑制される。
さらに、バリア層15が侵食されて、シード層16が露出することによる信頼性変動の可能性はない。
【0115】
また、電極配線37は、第2の金属層18をマスクとして、セルフアラインで形成される。従って、電極配線37の半導体基板10の主面と平行な任意の面の断面積は一定であり、小さくなっている部分がない。第1の金属層14と第2の金属層18との、半導体基板10の主面と平行な任意の方向の長さは等しく、第1の金属層14の上面面積と第2の金属層18の下面面積とが等しくなっている。このため、第1の金属層14と第2の金属層18との接触面積を(比較例より)大きくとることができ、低抵抗化することができる。
【0116】
なお、本実施例においては、絶縁層17を除去する工程まで、シード層16を形成しない製造方法55と同じ場合について説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、他の製造方法51〜54のようにバリア層15の上にシード層16を形成した場合についても同様に適用できる。また、本実施例においては、MOSFETの厚膜化した電極を形成する例について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、厚膜化した電極を有する半導体装置の製造に用いることができる。
【0117】
上記のPIなどを熱硬化させる工程において、第3の金属層19にクラックが発生したり、第3の金属層19と第2の金属層18との合金化、相互拡散が発生する可能性は、次に説明する実施形態によっても解決できる。
【0118】
(第8の実施形態 製造方法58)
図12は、本発明の第8の実施形態に係る半導体装置の製造方法を例示する工程断面図である。
本実施例の半導体装置68の製造方法58は、以下の工程を有する。
図12においては、半導体装置の製造工程中の、電極形成工程における半導体装置の模式的断面図が表されている。なお、例示した素子は、縦型MOSFETであり、図1〜2に表した実施例と同様なので説明を省略する。
【0119】
また、本実施例の製造方法58においては、図11(a)に表した、絶縁層17を除去した後に、第2の金属層18をマスクとしてセルフアラインにより、絶縁膜11、12が露出するまで、第1の金属層14及びバリア層13、15がエッチングされる工程まで、上記した製造方法57の工程と同様なので説明を省略する。
次工程から説明する。
【0120】
図12(a)に表したように、第1の金属層14及びバリア層13、15がパターニングして形成された後に、第2の金属層18の上面及び側面をコート(被覆)する第4の金属層26を無電解めっきにより形成する。
第4の金属層26は犠牲層であり、絶縁層20(保護層)として、例えば、PIを用いた場合に、熱硬化によって第2の金属層18と合金化せず、無電解めっきによって第2の金属層18の表面に形成可能であればよい。例えば、ニッケル(Ni)、Ni/Pdを、膜厚0.05μmに形成する。この第4の金属層26の膜厚が、後に形成される第3の金属層19の膜厚となる。
【0121】
なお、本実施例においては、第4の金属層26を無電解めっきにより形成する工程を例示したが、第4の金属層26は、第2の金属層18の上に形成された酸化膜でもよい。
酸化膜は、例えば、酸素(O)、水蒸気(HO)、亜酸化窒素(NO)、一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO)、一酸化炭素(CO)及び二酸化炭素(CO)のいずれかの単体ガス、または2種以上の混合ガス、または前記単体ガス若しくは前記混合ガスとアルゴン(Ar)、窒素(N)及び水素(H)の少なくとも1種以上のガスとの混合ガス雰囲気中で熱処理により形成される。
【0122】
また、第2の金属層18が、銅(Cu)の場合のように、特別に酸化処理を行わなくても自然酸化膜が形成される場合は、熱処理は不要であり、製造工程が簡単化される。
また、無電解めっきにより第4の金属層26を形成する場合に、厳密に第2の金属層18のみをコート(被覆)する必要はなく、シード層15、13、第1の金属層14の一部をコート(被覆)してもよい。
【0123】
図12(b)に表したように、前の工程のエッチングにより形成された電極配線部が絶縁層20(保護層)で覆われる。
絶縁層20(保護層)は、例えば、PI、永久レジスト、P−SiN、P−SiOの単膜または積層膜で膜厚1〜20μmに形成される。
また、絶縁層20(保護層)には、パターニングして第4の金属層26の上部が露出する開口部が形成される。
【0124】
次に、図12(c)に表したように、第4の金属層26をエッチングして、絶縁層20(保護層)と第2の金属層18との間に第3の金属層19のコート(被覆)を行うための空間90を形成する。
なお、エッチングは、絶縁層20(保護層)をマスクとして第4の金属層26を等方性エッチングする。エッチングされる対象は第4の金属層26のみに限定されず、第2の金属層18の一部がエッチングされてもよい。
【0125】
そして、図12(d)に表したように、第2の金属層18の露出面、すなわち上面及び側面を第3の金属層19でコート(被覆)する。第3の金属層19は、イオン化傾向の小さい金属、つまり第2の金属層18を構成する金属(例えば、銅(Cu))より電位的に貴(安定)な金属が用いられる。例えば、金(Au)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)等が、無電解めっきにより空間90の部分に形成される。
また、第2の金属層18の上に、まずニッケル(Ni)、Ni/Pd、スズ(Sn)が膜厚1〜2μmに形成され、その上に金(Au)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)等の第2の金属層18より電位的に貴(安定)な(イオン化傾向の小さい)金属が、膜厚0.05μmに形成されてもよい。
【0126】
本実施例の半導体装置の製造方法58においては、例えば、PIを熱硬化させる場合、第2の金属層18は第4の金属層26でコート(被覆)されている。第4の金属層26のクラックが生する可能性はあるが、後に除去され、第3の金属層19がコート(被覆)されるため問題はない。また、第4の金属層26は、第2の金属層18と合金化、相互拡散の可能性のない金属を選択することができる。
【0127】
これにより、第1の金属層14、第2の金属層18及び第3の金属層19を有する電極配線38は、セルフアラインで所望の配線パターンに形成される。
縦型MOSFETの製造方法を例示する本実施例においては、半導体基板10の上に絶縁膜11を介さずに形成された電極配線38は、ソースパッドの部分となる。また、絶縁膜11の上に形成された電極配線38は、ゲートパッド、ゲート引き出し配線の部分となる。
【0128】
以上の工程により、厚膜化した電極配線38を有する半導体装置68が製造される。
製造方法58においては、製造方法51と同様に、パターニング工程は、絶縁層17をパターニングして開口部を形成する際に必要となる1回だけである。また、最終工程において第2の金属層18は、電位的に安定な(イオン化傾向の小さい)金属を含む第3の金属層19で全面コート(被覆)されるため、第2の金属層18で使用される金属の拡散及び腐蝕が抑制される。
さらに、バリア層15が侵食されて、シード層16が露出することによる信頼性変動の可能性はない。
【0129】
また、電極配線38は、第2の金属層18をマスクとして、セルフアラインで形成される。従って、電極配線38の半導体基板10の主面と平行な任意の面の断面積は一定であり、小さくなっている部分がない。第1の金属層14と第2の金属層18との、半導体基板10の主面と平行な任意の方向の長さは等しく、第1の金属層14の上面面積と第2の金属層18の下面面積とが等しくなっている。このため、第1の金属層14と第2の金属層18との接触面積を(比較例より)大きくとることができ、低抵抗化することができる。
【0130】
なお、本実施例においては、絶縁層17を除去する工程まで、シード層16を形成しない製造方法55と同じ場合について説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、他の製造方法51〜54のようにバリア層15の上にシード層16を形成した場合についても同様に適用できる。また、本実施例においては、MOSFETの厚膜化した電極を形成する例について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、厚膜化した電極を有する半導体装置の製造に用いることができる。
【0131】
ところで、銅(Cu)とPIとが隣接している際に、熱工程を行うと、PI膜中に銅(Cu)が侵入し、イミドの変色や機械的性質等の膜特性の低下を起こす可能性がある(例えば、電子情報通信学会論文誌−C Vol.J71−C No.11 pp.1516〜1521参照)。これはPIに含まれているポリアミック酸に銅(Cu)が溶解することに起因している。
【0132】
従って、第2の金属層18、絶縁層20(保護層)が、例えば、それぞれ銅(Cu)、PIの場合、熱硬化によるイミドの変色や機械的性質等の膜特性の低下を起こす可能性がある。
そこで、半導体装置の製造方法51〜58において、絶縁層20(保護層)として、PIではなく、PBO(ポリベンゾオキサゾール)を用いることにより、絶縁層20(保護層)を形成することができる。
【0133】
(第9の実施形態)
図2(b)、図3(d)、図5(c)、図6(d)、図8(c)、図10(b)、図11(d)、図12(d)は、それぞれ本発明の製造方法51〜58により製造された半導体装置61〜68の模式的断面図である。
【0134】
図2(b)に表したように、半導体装置61においては、拡散層が形成された半導体基板10の上に、絶縁膜11、12が形成されている。絶縁膜11、12は、SiO 、P−SiN、P−SiOからなる単層または積層膜であり、例えば、膜厚500〜1000nmに形成されている。
なお、絶縁膜11、12は、本実施例のMOSFETに必要とされるもので、場合に応じて形成される。
【0135】
また、絶縁膜11と12との間の半導体素子が形成された半導体基板10の上及び絶縁膜11、12の上にバリア層13が形成されている。バリア層13は、例えば、チタン(Ti)、チタンタングステン(TiW)、窒化チタン(TiN)で、膜厚300〜500nmに形成されている。
バリア層13の上に第1の金属層14が、例えば、アルミニウム(Al)、Al−Si、Al−Si−Cu、Al−Cuで、膜厚1〜2μmに形成されている。
【0136】
第1の金属層14の上にバリア層15が、例えば、チタン(Ti)、チタンタングステン(TiW)、窒化チタン(TiN)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、ルテニウム(Ru)で、膜厚100〜300nmに形成されている。
さらに、バリア層15の上にシード層16及び第2の金属層18が、例えば、銅(Cu)で、膜厚5〜10μmに形成されている。なお、シード層16は、第2の金属層18と同一金属からなる。
【0137】
なお、シード層16は、第2の金属層18を電気めっきする際に必要とされるもので、無電解めっき等により第2の金属層18の形成が可能であれば、なくてもよい。また、第2の金属層18を電気めっきにより形成する場合であっても、第1の金属層14及びバリア層13、15等が電気めっきに必要な電流・電圧を表層に供給可能であって、めっきにより形成される層と下地との密着性が確保される場合は、なくてもよい。
【0138】
また、バリア層13、第1の金属層14及びバリア層15は、第2の金属層18を半導体基板10から隔離し、第2の金属層18が半導体基板10へ拡散すること、及び第2の金属層18と半導体基板10との反応を回避するために形成される。第1の金属層14が、第2の金属層18の半導体基板10への拡散を回避できれば、バリア層13、15は、なくてもよい。
【0139】
シード層16及び第2の金属層18の露出面は、第3の金属層19で全面コート(被覆)されている。この第3の金属層19は、第2の金属層18よりも電位的に貴(安定)な(イオン化傾向の小さい)金属、例えば、金(Au)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)等が、膜厚0.05μmに形成されている。または、第2の金属層18の上に、まずニッケル(Ni)、Ni/Pd、スズ(Sn)が、膜厚1〜2μmに形成され、その上に金(Au)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)等の第2の金属層18より電位的に貴(安定)な(イオン化傾向の小さい)金属が、膜厚0.05μmに形成されている。
【0140】
また、必要により、第1の金属層14と第2の金属層18と第3の金属層19からなる電極配線31の空隙が、絶縁層20(保護層)で覆われている。絶縁層20(保護層)は、例えば、PBO、PI、永久レジスト、P−SiN、P−SiOの単膜または積層膜で膜厚1〜20μmに形成されている。
【0141】
本実施例の半導体装置61は、例えば、銅(Cu)からなる第2の金属層18が、電位的に貴(安定)な(イオン化傾向の小さい)金属を含む第3の金属層19、例えば、金(Au)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)等で覆われていることにより、拡散、腐蝕を防止することができる。
【0142】
また、本実施例の半導体装置61は、半導体素子が形成された半導体基板10の主面に対して垂直な方向からみたとき、半導体基板10の上に、第1の金属層14と、第2の金属層18と第3の金属層19とが、実質同一形状のパターニングで形成された電極配線31を有する。
【0143】
従って、電極配線31の半導体基板10の主面と平行な任意の面の断面積は一定であり、小さくなっている部分がない。第1の金属層14と第2の金属層18との、半導体基板10の主面と平行な任意の方向の長さは等しく、第1の金属層14の上面面積と第2の金属層18の下面面積とが等しくなっている。このため、第1の金属層14と第2の金属層18との接触面積を(比較例より)大きくとることができ、低抵抗化することができる。
【0144】
なお、図3(d)、図5(c)に表したように、半導体装置62、63は、半導体装置61と実質同一構造となる。
また、図6(d)に表したように、半導体装置64は、バリア層15、シード層16及び第2の金属層18の露出面が、第3の金属層19で全面コート(被覆)されている。図8(c)に表したように、半導体装置65は、バリア層15及び第2の金属層18の露出面が、第3の金属層19で覆われている。
【0145】
さらに、半導体装置66〜68も、バリア層15及び第2の金属層18の露出面、すなわち第2の金属層18の上面、側面及びバリア層15の側面が、第3の金属層19で覆われており、半導体装置65と同様の構造を備える。
【0146】
シード層16は、第2の金属層18と同一金属(例えば、銅(Cu))からなるため、半導体装置64と半導体装置65とは、実質同一構造を有するといえる。これらは、半導体装置61と同様に、第2の金属層18が、電位的に貴(安定)な(イオン化傾向の小さい)金属を含む第3の金属層19で覆われていることにより、拡散、腐蝕を防止することができる。また、半導体素子が形成された半導体基板10の主面に対して垂直な方向からみたとき、半導体基板10の上に、第1の金属層14と第2の金属層18と第3の金属層19とが、実質同一形状のパターニングで形成された電極配線32〜35、37〜38を有する。
【0147】
従って、電極配線32〜35、37〜38の半導体基板10の主面と平行な任意の面の断面積は一定であり、小さくなっている部分がない。第1の金属層14と第2の金属層18との、半導体基板10の主面と平行な任意の方向の長さは等しく、第1の金属層14の上面面積と第2の金属層18の下面面積とが等しくなっている。このため、第1の金属層14と第2の金属層18との接触面積を(比較例より)大きくとることができ、低抵抗化することができる。
【0148】
また、図10(b)に表したように、半導体装置66は、バリア層13及び第1の金属層14がないこと以外は、半導体装置61と同様である。ただし、バリア層13及び第1の金属層14がないため、バリア層15は必要である。バリア層15は、第2の金属層18を半導体基板10から隔離し、第2の金属層18が半導体基板10へ拡散すること、及び第2の金属層18と半導体基板10との反応を回避する。
【0149】
半導体装置66は、第2の金属層18が、電位的に貴(安定)な(イオン化傾向の小さい)金属を含む第3の金属層19で覆われていることにより、拡散、腐蝕を防止することができる。また、半導体素子が形成された半導体基板10の主面に対して垂直な方向からみたとき、半導体基板10の上に、バリア層15と第2の金属層18と第3の金属層19とが、実質同一形状のパターニングで形成された積層体36を有する。
【0150】
従って、積層体36の半導体基板10の主面と平行な任意の面の断面積は一定であり、小さくなっている部分がない。バリア層15と第2の金属層18との、半導体基板10の主面と平行な任意の方向の長さは等しく、バリア層15の上面面積と第2の金属層18の下面面積とが等しくなっている。このため、バリア層15と第2の金属層18との接触面積を(比較例より)大きくとることができ、低抵抗化することができる。
【0151】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、半導体装置を構成する各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0152】
その他、本発明の実施の形態として上述した半導体装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての半導体装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0153】
10 半導体基板
11、12 絶縁膜
13、15 バリア層
14 第1の金属層
16 シード層
17 絶縁層
18 第2の金属層
19 第3の金属層
20 絶縁層(保護層)
21、22 酸化膜
26 第4の金属層
31〜35、37、38 電極配線
36 積層体
61〜68 半導体装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡散層が形成された半導体基板の上に第1の金属層を形成する工程と、
前記第1の金属層の上に開口部を有する絶縁層を形成する工程と、
前記絶縁層の開口部において、前記第1の金属層の上に第2の金属層を形成する工程と、
前記絶縁層を除去する工程と、
前記第2の金属層の露出面に前記第2の金属層よりもイオン化傾向の小さい金属を含む第3の金属層を被覆する工程と、
前記第3の金属層をマスクとして前記第1の金属層を除去することにより、前記第1の金属層と前記第2の金属層と前記第3の金属層とを有する電極配線を形成する工程と、
を備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
拡散層が形成された半導体基板の上に第1の金属層を形成する工程と、
前記第1の金属層の上に開口部を有する絶縁層を形成する工程と、
前記絶縁層の開口部において、前記第1の金属層の上に第2の金属層を形成する工程と、
前記絶縁層を除去する工程と、
前記絶縁層を除去した前記第1の金属層の上に酸化膜を形成する工程と、
前記第2の金属層の露出面に前記第2の金属層よりもイオン化傾向の小さい金属を含む第3の金属層を被覆する工程と、
前記第3の金属層をマスクとして前記第1の金属層を除去することにより、前記第1の金属層と前記第2の金属層と前記第3の金属層とを有する電極配線を形成する工程と、
を備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
拡散層が形成された半導体基板の上に第1の金属層を形成する工程と、
前記第1の金属層の上に開口部を有する絶縁層を形成する工程と、
前記絶縁層の開口部において、前記第1の金属層の上に第2の金属層を形成する工程と、
前記第2の金属層を残して前記絶縁層を除去する工程と、
前記第2の金属層をマスクとして前記第1の金属層を除去する工程と、
前記第2の金属層の上面及び側面を第4の金属層で被覆する工程と、
前記第1の金属層と前記第2の金属層とを保護する開口部を有する保護層を形成する工程と、
前記保護層の開口部から前記第4の金属層を除去して前記第2の金属層と前記保護層との間に空間を形成する工程と、
前記空間の前記第2の金属層の露出面に前記第2の金属層よりもイオン化傾向の小さい金属を含む第3の金属層で被覆することにより、前記第1の金属層と前記第2の金属層と前記第3の金属層とを有する電極配線を形成する工程と、
を備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
拡散層が形成された半導体基板と、
前記半導体基板の上に形成された第1の金属層と、
前記第1の金属層の上に形成された第2の金属層と、
前記第2の金属層を覆う第3の金属層と、
を備え、
前記第1の金属層と前記第2の金属層及び前記第3の金属層とが実質同一形状のパターニングで形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
前記第3の金属層は、前記第2の金属層よりもイオン化傾向の小さい金属を含むことを特徴とする請求項4記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−171365(P2010−171365A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−107728(P2009−107728)
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】