説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】シリコン半導体のP/N接合界面端部が、大気と接することで生じるリーク電流等の欠陥を抑制し、不良を起こしにくくしたPN接合ダイオードおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】互いに導電型の異なるシリコン半導体2,3相互の接合部を少なくとも1つ有する半導体装置であって、上記シリコン半導体接合部の接合界面端部を含む表面を、Nを含有するSiO2膜8で接合界面端部を覆うことにより、接合界面端部の大気との接触を避けることができ、この部分での不純物吸着を抑え、経年によるリーク電流の発生を抑えることができる。SiO2膜8にNを含有させることで、NがSiO2膜に含有されると同膜に正の固定電荷が発生し、これにより電場が形成され、接合界面端部を含む表面でのキャリアの再結合を抑え、リーク電流の発生を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リーク電流等による不良をおこしにくい半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
p型シリコンとn型シリコンの接合デバイス、例えば整流や検波用のダイオードや、フォトセンサーなどの光起電力デバイスは、pn接合部分に電流の漏洩、即ちリーク電流があると、整流特性が得られにくくなり、かつ光電流が弱められ、不良の原因となる。
【0003】
図3を用いて従来技術の説明をおこなう。pn接合の不良原因となるリーク電流は、それを構成している半導体において、金属不純物や結晶欠陥の発生によってもたらされる。図3は、p型半導体21とn型半導体22を接合し、表裏面にそれぞれ金属膜23,24を形成してアノード電極25とカソード電極26をとりつけた半導体装置である。特に、接合の界面端部が大気に露出されると、表面準位の発生や炭化水素、アルカリ金属などの金属不純物等の不純物吸着27の影響で、表面部分が導電化して電界集中がおき、そこで表面電流が流れ、リーク電流となる。この不純物吸着や表面準位の形成を抑えるために、接合界面端部を覆うようにシリカガラスの被膜を形成したり、熱酸化によりシリコン酸化膜を形成する手法がとられている。これらの方法では、pn接合を形成後、ガラス微粒子を含む溶液を接合界面端部を含む表面に塗布して、700℃程度の酸素雰囲気で焼結するか、化学洗浄により清浄化した接合界面端部を含む表面を、1000℃以上の高温酸素中で酸化することで、酸化膜で被覆する。この場合、最低でも700℃以上の高温処理が必要であり、これによって、p型半導体のドーピング元素やn型半導体のドーピング元素が再拡散してしまい、接合界面がぼやけて、pn接合の逆バイアス時の耐電圧の劣化の原因となる。
【0004】
接合界面端部をより低温で処理する方法として、この表面を水素プラズマに曝すことで表面にSi−H結合を形成し、表面を不活性化する方法がある。しかし、Si−H結合は紫外線、放射線などの影響や、300℃程度の熱環境で分解が生じ、被覆が壊れてしまい、長期安定性が保てないのが問題である。また、被膜を低温で形成する方法として、プラズマ化学気相堆積法によりシリコン酸化膜を形成する方法が知られている。この方法では、原料にシリコン水素化物であるシランと酸素を用いて、これらをプラズマ化し、基板に曝すことで膜形成を図るものである。この場合、300℃程度で膜の被覆が可能であるが、プラズマのダメージで表面に欠陥が形成され、それによるリーク電流が生じる。
【0005】
この表面の欠陥による影響を抑えるために、表面にSi34膜を形成する方法も知られている。この膜は膜内部に正の電荷を含有しやすく、たとえ表面に欠陥があってもその影響でキャリアの再結合や生成を抑えるため、リーク電流が発生しにくくなることが知られている。しかし、元来Si34膜はシリコン上に直接形成すると、シリコンとSi34膜の熱膨張係数の違いから、熱履歴を経ると膜に亀裂が生じ、剥がれが生じてしまう。その結果、接合界面端部の被覆の不安定性につながる問題がある。剥がれを避けるため、シリコンとSi34膜の界面にSiO2膜を挿入することも提案されているが、プロセス工程が増え、半導体装置の製造コストを押し上げる原因となっていた。上記の問題はp型とn型半導体の接合を含む半導体装置だけではなく、p型半導体層、i型半導体層及びn型半導体層の3層からなるp−i−n型の半導体装置でも同様である。
なお、本発明に関連する先行技術文献としては、下記のものが挙げられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「パワーデバイス パワーICハンドブック」、コロナ社、1996年7月発行
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、シリコン半導体どうしの接合界面端部が大気と接することで生じるリーク電流等の欠陥を抑制し、不良を起こしにくくした半導体装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、p型シリコンとn型シリコン等、互いに導電型の異なるシリコン半導体相互の接合部を少なくとも1つ有する半導体装置における上記シリコン半導体接合部の接合界面端部を含む表面を、この接合界面端部を覆うように窒素原子(N)を含有するSiO2膜で被覆することで、リーク電流を防止して、不良をおこしにくくすることができることを見出し、本発明をなすに至った。なお、本発明において、接合界面端部とは、互いに導電型の異なる半導体相互の接合部界面の外周端部分で、外部にむき出しになる部分をいう。
【0009】
即ち、本発明は、下記の半導体装置及びその製造方法を提供する。
請求項1:
互いに導電型の異なるシリコン半導体相互の接合部を少なくとも1つ有する半導体装置であって、上記シリコン半導体接合部の接合界面端部を含む表面を、該接合界面端部を覆うように窒素原子を含有するSiO2膜で被覆してなることを特徴とする半導体装置。
請求項2:
p型シリコン及びn型シリコン相互の接合部を有する半導体装置であって、これらp型及びn型シリコン接合部の接合界面端部を含む表面を、該接合界面端部を覆うように窒素原子を含有するSiO2膜で被覆してなることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
請求項3:
p型シリコン、i型シリコン及びn型シリコン相互の接合部を有する半導体装置であって、上記p型及びi型シリコン接合部の接合界面端部と、上記i型及びn型シリコン接合部の接合界面端部とを含む表面を、これら接合界面端部をそれぞれ覆うように窒素原子を含有するSiO2膜で被覆してなることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
請求項4:
SiO2膜中の窒素原子含有量が、3〜10原子%であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の半導体装置。
請求項5:
SiO2膜の膜厚が、1〜10nmであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の半導体装置。
請求項6:
ダイオード、フォトセンサー又は光起電力素子である請求項1乃至5のいずれか1項記載の半導体装置。
請求項7:
互いに導電型の異なるシリコン半導体相互の接合部を少なくとも1つ形成した後、上記シリコン半導体接合部の接合界面端部を含む表面を窒素原子及び酸素原子を含むプラズマガスに曝すことで、上記接合界面端部を含む表面に、該接合界面端部を被覆するように窒素原子を含有するSiO2膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
請求項8:
p型シリコン及びn型シリコン相互の接合部を形成した後、これらp型及びn型シリコン接合部の接合界面端部を含む表面を窒素原子及び酸素原子を含むプラズマガスに曝すことで、上記接合界面端部を含む表面に、該接合界面端部を被覆するように窒素原子を含有するSiO2膜を形成することを特徴とする請求項7記載の半導体装置の製造方法。
請求項9:
p型シリコン、i型シリコン及びn型シリコン相互の接合部を形成した後、上記p型及びi型シリコン接合部の接合界面端部と、上記i型及びn型シリコン接合部の接合界面端部とを含む表面を窒素原子及び酸素原子を含むプラズマガスに曝すことで、上記接合界面端部を含む表面に、これら接合界面端部をそれぞれ覆うように窒素原子を含有するSiO2膜を形成することを特徴とする請求項7記載の半導体装置の製造方法。
請求項10:
SiO2膜を形成する際のシリコン表面温度が300℃以下であることを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項記載の半導体装置の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、Nを含有するSiO2膜で接合界面端部を覆うことにより、接合界面端部の大気との接触を避けることができ、この部分での不純物吸着を抑え、経年によるリーク電流の発生を抑えることができる。SiO2膜にNを含有させることで、NがSiO2膜に含有されると同膜に正の固定電荷が発生し、これにより電場が形成され、接合界面端部を含む表面でのキャリアの再結合を抑え、リーク電流の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の半導体装置の一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明の半導体装置を製造する方法を説明する概略図である。
【図3】従来の半導体装置の一例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の半導体装置は、互いに導電型の異なるシリコン半導体相互の接合部を少なくとも1つ有し、上記シリコン半導体接合部の接合界面端部を含む表面を、該接合界面端部を覆うようにNを含有するSiO2膜で被覆してなることを特徴とする。以下、本発明に係る半導体装置の一実施形態について、図面を参照しながら説明するが、本発明は、これらの半導体装置に限定されるものではない。
【0013】
本発明の半導体装置の一例を図1に示す。互いに導電型の異なるシリコン半導体として、p型シリコン半導体(基板)2とn型シリコン半導体(基板)3により接合部を形成するが、接合面の面積は同じであることが好ましい。接合部は、不純物拡散、あるいはイオン注入、ドーピング膜の化学気相堆積法により形成することができる。シリコン基板としては、単結晶や多結晶シリコン基板を用いることができる。p型シリコンとしては、B、Ga、In等のIII族元素をドープした抵抗率1〜10Ω・cm程度のものを用いることができ、n型シリコンとしては、P、As、Sb等のV族元素をドープした抵抗率0.01〜10Ω・cm程度のものを用いることができる。
【0014】
接合部を形成した基板の表裏面にアルミニウム、銀等を含む導電性ペーストを塗布して厚さ0.1〜10μm程度の金属膜4,5を形成し、金属ワイヤー等で金属端子を取り出して、それぞれアノード6及びカソード7とすることで、pn接合型半導体装置1を得ることができる。この半導体装置のp型及びn型シリコン接合部の接合界面端部を含む表面に、この接合界面端部を覆うようにNを含むSiO2膜8を形成する。
【0015】
本発明者らの検討によれば、SiO2膜のNの含有量は3〜10原子%、特に4〜10原子%、とりわけ5〜6原子%の範囲が好ましい。N含有量が10原子%を超える膜であると、熱歪の影響で剥がれやすくなり、損傷しやすい場合があり、3原子%未満ではキャリアの再結合の防止効果が得られなくなったり、リーク電流の低減効果が消失する場合があるため、この範囲が望ましい。
【0016】
また、SiO2膜の膜厚であるが、1nmを下回ると、吸着した不純物が酸化膜を浸透し、不純物吸着への耐性が損なわれる場合がある。一方、10nmを超えると、本発明者らが検討した結果、剥がれやすくなる場合があることがわかった。したがって、膜厚としては1〜10nmの範囲にあることが望ましい。
【0017】
SiO2膜を形成する範囲は、接合界面の端部が被覆されればよいが、電極の部分を除いてすべての面を被覆してもよい。
【0018】
SiO2膜を形成する方法であるが、酸素原子と窒素原子を含有するプラズマに接合界面端部を含む表面を曝すことで行う。プラズマ化された酸素原子と窒素原子は1に近い確率で基板表面Siと反応し、表面にNを含有するSiO2膜を形成することが可能である。この膜形成の化学反応は、次の反応式によって進行する。
Si + O → SiO
SiO + O → SiO2
Si + N → SiN
SiN + O → SiON
SiO + N → SiON
以上の反応によってNを含有するSiO2膜が形成される。したがって、本発明のSiO2膜中にはSiOが含まれ、窒素原子はSiN、SiONとして含有される。
【0019】
具体的に製造装置として、例えば、図2に示すような石英管10の外部に誘導コイル12が配設されたプラズマ装置内の試料台11上に半導体装置1を設置する。プラズマ装置内の圧力を1〜0.1Paに調整し、ここへ原料ガス13として、水分(水蒸気)を0.1〜20質量ppm、特に1〜10質量ppm含有する窒素ガスを導入する。SiO2膜中のNの含有濃度は、原料ガスに含まれる水分量に相関し、水分量が多くなるとN含有濃度は低下する傾向にある。本発明者らの検討においては、水分量を低下させて、N濃度が10原子%を超えると、上述したように、SiO2被膜が剥がれるようになり、不具合が生じる場合がある。水分量が多すぎると、SiO2膜中のN濃度が低下する場合がある。上記のように水分(水蒸気)を含む窒素ガスを導入した後、高周波磁界をかけて窒素原子及び酸素原子を含むプラズマガスを発生させることができる。窒素用の原料ガスとしては、窒素ガス以外に、N2O、NH3等を用いることができる。酸素用の原料ガスとしては、O2やH22などを用いることができる。
【0020】
SiO2膜の形成温度は、基板(シリコン)表面温度が300℃を超えると、pn接合デバイス等の半導体装置の電極金属に損傷を与える可能性がある。近年、電極金属には、アルミニウムやスクリーン印刷などで形成が容易な銀が用いられているが、これら金属は、シリコン膜に接触させたときに、300℃を超える温度になると、合金を形成し、金属原子が接合界面まで拡散によって浸透し、例えばpn接合ダイオードの場合、整流特性を失わせる可能性がある。したがって、形成温度は300℃以下、特に250℃以下、とりわけ100℃以下に抑えることが望ましい。温度の下限値は特に制限されず、SiO2膜が剥がれないように形成できればよい。
【0021】
また、この反応の際に接合界面端部を含む表面温度を300℃を超えた温度に設定すると、SiO2膜の膜厚が時間経過とともに増加し、10nmを超えると剥離してしまうおそれがある。それに対して、300℃以下に設定すると、1〜10nmの範囲で膜厚が飽和してしまう、即ちプラズマの処理時間に依存しなくなるため、再現性よく上記膜厚のSiO2膜を形成できるメリットがある。
膜の厚みは処理時間に依存するが、処理時間を短くして、膜厚が1nmを下回ると、リーク電流低減効果は消失する場合があり、また10nmを超えると、膜の剥がれが生じる場合がある。したがって、処理時間は1〜5分が好ましい。
【0022】
以上述べた効果は、接合界面が1つである単接合型の半導体装置以外にも、2以上の接合界面を有する多接合型の半導体装置においても得ることができる。例えば、p型シリコン、i型シリコン及びn型シリコンの2接合からなるpin型のダイオードデバイス等の半導体装置において、p型シリコン及びi型シリコンの接合界面端部と、i型シリコン及びn型シリコンの接合界面端部とをそれぞれ覆うように、Nを含有したSiO2膜をこれら接合界面端部を含む表面上に直接形成することで、上記に述べたリーク電流低減効果を奏することが可能である。
【0023】
上述した本発明の半導体装置は、ダイオード、フォトセンサー、光起電力素子等として有用である。
【実施例】
【0024】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0025】
[実施例1]
図1に示すように、基板2として、p型のシリコン基板で厚みが400μmで、大きさは2インチの円形のものを準備した。この基板の抵抗率は1Ω・cmで、不純物としてBがドープされている。この基板2の表面にPの熱拡散によって、1μmの厚さで、抵抗率として0.01Ω・cmのn型のシリコン膜を積層し、台形状に化学エッチングを用いて加工した。台形状に加工されたn型のシリコン膜3の表面積は1cm2であった。次いで、p型シリコン基板の裏面にアルミニウム膜4を0.2μmの厚みで形成し、これに金属ワイヤーで金属端子を取り出し、これをアノード6とした。一方、n型シリコン膜の表面の全面あるいは一部にアルミニウム膜5を形成し、これから金属ワイヤーで金属端子を取り出し、これをカソード7とした。p型シリコン基板とn型シリコン膜の接合界面の端部をNを原子濃度として5%含有するSiO2膜8で厚みとして5nm被覆した。
【0026】
SiO2膜の形成であるが、図2に示されるようなプラズマ装置で形成した。石英管10の中に処理を施す基板1を試料台11に置く形で配置した。石英管の外側に誘導コイル12を置いた。石英管の中に原料ガス13として、水分(水蒸気)を10質量ppm程度含有させたN2ガスを石英管の中に、圧力として0.1〜0.7Paの範囲で導入し、誘導コイルに高周波電流を流し、石英管の中に高周波磁界をかけて、プラズマ14を発生させた。誘導コイルに印加する高周波電流の周波数は、13.56MHzで、高周波電力は150Wであった。この処理時間は5分であり、処理中の試料の温度は100℃以下であった。
この処理において、表面に形成されたSiO2膜の厚みは4〜6nmの範囲であり、Nの濃度は4.5〜5.5原子%の範囲であった。
上記と同様にして合計7個のダイオードを作製した。
【0027】
[比較例1]
SiO2膜を形成しない以外は実施例1と同様に合計7個のダイオードについて下記測定をした。
【0028】
本発明の効果を示すために、実施例1及び比較例1で作製したダイオードに室温で順方向バイアスをかけたときのダイオード電流密度の評価結果を表1に示す。順バイアスとして0.2Vをかけたときに、もしダイオードが理想的な動作であるならば、このバイアスではON状態はなく、ダイオード電流は数百μA/cm2程度である。したがって、0.5mA/cm2以上の電流密度が計測される場合は、これはリーク電流が原因と考えてよい。実施例1及び比較例1ではダイオードとしてそれぞれ合計7個を作製したが、リーク電流によると思われる電流密度は、Nを含有する被膜があった場合、0.5mA/cm2以下に抑えられ、ない場合は0.5〜3mA/cm2の範囲であった。具体的には7個製作して、いずれもリーク電流が減少した。以上の結果、本発明によるNを含有する膜で接合界面端部を含む表面を処理すると、リーク電流が抑えられることがわかった。
【0029】
本実施例で作製したダイオードに80mW/cm2の強度で白色光を照射した場合、光センサーとして活用でき、光起電力を計測したところ、被膜がある場合はダイオード1素子あたり0.5V以上の起電力が得られたのに対して、被膜がない場合は0.3V程度に低下してしまうことがわかった。本発明のNを含有させたSiO2膜で接合界面端部を被覆すると、光起電力素子としてのダイオードの感度を向上できることがわかった。
【0030】
【表1】

【符号の説明】
【0031】
1 半導体装置
2 p型シリコン半導体
3 n型シリコン半導体
4,5 金属膜
6 アノード
7 カソード
10 石英管
11 試料台
12 誘導コイル
13 原料ガス
14 プラズマ
21 p型半導体
22 n型半導体
23,24 金属膜
25 アノード
26 カソード
27 不純物が吸着されたり、表面順位が形成された部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに導電型の異なるシリコン半導体相互の接合部を少なくとも1つ有する半導体装置であって、上記シリコン半導体接合部の接合界面端部を含む表面を、該接合界面端部を覆うように窒素原子を含有するSiO2膜で被覆してなることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
p型シリコン及びn型シリコン相互の接合部を有する半導体装置であって、これらp型及びn型シリコン接合部の接合界面端部を含む表面を、該接合界面端部を覆うように窒素原子を含有するSiO2膜で被覆してなることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
p型シリコン、i型シリコン及びn型シリコン相互の接合部を有する半導体装置であって、上記p型及びi型シリコン接合部の接合界面端部と、上記i型及びn型シリコン接合部の接合界面端部とを含む表面を、これら接合界面端部をそれぞれ覆うように窒素原子を含有するSiO2膜で被覆してなることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項4】
SiO2膜中の窒素原子含有量が、3〜10原子%であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の半導体装置。
【請求項5】
SiO2膜の膜厚が、1〜10nmであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の半導体装置。
【請求項6】
ダイオード、フォトセンサー又は光起電力素子である請求項1乃至5のいずれか1項記載の半導体装置。
【請求項7】
互いに導電型の異なるシリコン半導体相互の接合部を少なくとも1つ形成した後、上記シリコン半導体接合部の接合界面端部を含む表面を窒素原子及び酸素原子を含むプラズマガスに曝すことで、上記接合界面端部を含む表面に、該接合界面端部を被覆するように窒素原子を含有するSiO2膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
p型シリコン及びn型シリコン相互の接合部を形成した後、これらp型及びn型シリコン接合部の接合界面端部を含む表面を窒素原子及び酸素原子を含むプラズマガスに曝すことで、上記接合界面端部を含む表面に、該接合界面端部を被覆するように窒素原子を含有するSiO2膜を形成することを特徴とする請求項7記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
p型シリコン、i型シリコン及びn型シリコン相互の接合部を形成した後、上記p型及びi型シリコン接合部の接合界面端部と、上記i型及びn型シリコン接合部の接合界面端部とを含む表面を窒素原子及び酸素原子を含むプラズマガスに曝すことで、上記接合界面端部を含む表面に、これら接合界面端部をそれぞれ覆うように窒素原子を含有するSiO2膜を形成することを特徴とする請求項7記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
SiO2膜を形成する際のシリコン表面温度が300℃以下であることを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−96846(P2011−96846A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−249184(P2009−249184)
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【出願人】(507375133)
【Fターム(参考)】