説明

半導体装置及びその試験方法

【課題】大掛かりな装置を付加使用することなく可及的に簡易な構成により半導体チップ単位における試験用針の接触回数を容易且つ確実に把握して管理することができ、ひいては製造コストの削減及び製造時間の短縮化を可能とする。
【解決手段】スクライブ領域3上に、半導体チップ2ごとに対応して、第1の電極パッド11にプローブ針が接触した接触回数、更には試験回数を記憶する記憶部である複数のヒューズ13が設けられている。そして、半導体チップ2上で第1の電極パッド11に隣接して、ヒューズ13に対して接触回数及び試験回数の読み取り及び書き込みを行うための複数の第2の電極パッド12が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、半導体基板上に複数の半導体チップが並設されてなる半導体装置及びその試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の半導体チップが並設される半導体基板において、各半導体チップの電気的検査(ウェーハ試験)を行うには、半導体チップに設けられた試験用電極パッドに接触させるプローブ針を有するプローブカードが用いられる。電気的検査を行う際には、プローブカードのプローブ針を試験用電極パッドに接触させ、プローブカードを介して半導体チップと測定機器とを接続させて、半導体チップの種々の電気的特性を検査する。
【0003】
【特許文献1】特開2003−59983号公報
【特許文献2】特開2002−214931号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ウェーハ試験では、プローブカードのプローブ針が半導体チップの試験用電極パッドに接触する回数(接触回数)が多い場合には、半導体チップのクラックの発生やワイヤーボンディング工程における信頼性の低下等の不都合を招く。そのため、正確な接触回数を管理することは重要である。例えば、半導体基板面内の半導体チップの中で極端に接触回数が多いものは、信頼性が低下しており、既に製品として許容できないものもあることが考えられる。このような半導体チップに対して継続して試験を行うことは、製造コスト及び製造時間の無駄となる。
【0005】
現状では、各半導体チップの接触回数を管理するには、ウェーハ試験の回数(試験回数)から判断するのが一般的である。例えば特許文献1には、半導体チップ単位の試験回数を保持するヒューズにより、再測定における良品救済を可能とする手法が提案されている。
しかしながら、半導体チップの試験回数を管理する場合、例えば不良が発生した特定の半導体チップのみで再試験を行った場合等では、半導体チップ単位で試験回数が異なり、半導体チップ毎の正確な接触回数を把握することは困難である。また、特許文献1の手法では、試験回数を読み出すためにパターン認識等の画像処理を用いるため、特別な画像識別装置が必要であり、使用する装置構成の複雑化を招く。
【0006】
特許文献2では、接触回数をモニタする手法として、レーザーマーカの打点によりモニタするものが提案されている。しかしながらこの場合、打点を打つための特別なレーザーマーカ装置や打点数を認識するための識別装置が必要であり、やはり使用する装置構成の複雑化を招く。更に、打点を行う工程が付加されることにより、試験時間の延長や製造コストの増加に繋がるという問題もある。
【0007】
本件は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、大掛かりな装置を付加使用することなく可及的に簡易な構成により半導体チップ単位における試験用針の接触回数を容易且つ確実に把握して管理することができ、ひいては製造コストの削減及び製造時間の短縮化を可能として、信頼性の高い半導体装置及びその試験方法、試験装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本件の半導体装置は、半導体基板と、前記半導体基板上に並設されており、各々試験用の第1の電極パッドが形成されてなる複数の半導体チップと、前記半導体基板上に前記半導体チップごとに対応して設けられており、対応する前記半導体チップの前記第1の電極パッドへの試験用針の接触回数が記憶される記憶部と、前記半導体基板上に前記半導体チップごとに対応して設けられており、前記記憶部の記憶情報の読み取り及び書き込みを行うための第2の電極パッドとを含む。
【0009】
本件の半導体装置の試験方法は、半導体基板上に並設された複数の半導体チップについて、前記半導体基板上に設けられた試験用電極パッドに試験用針を接触させ、前記試験用針を介して前記各半導体チップの電気的特性を検査するに際して、所定の前記半導体チップについて前記検査を行う工程と、当該半導体チップに記憶された、前記試験用針の前記試験用電極パッドへの接触回数を読み取る工程とを含む。
【0010】
本件の半導体装置の試験装置は、半導体基板上に並設された複数の半導体チップについて、前記半導体基板上に設けられた試験用電極パッドに試験用針を接触させ、前記試験用針を介して前記各半導体チップの電気的特性を検査するプローバ部と、当該半導体チップに記憶された、前記試験用針の前記試験用電極パッドへの接触回数を読み取る読取部とを含む。
【発明の効果】
【0011】
本件によれば、大掛かりな装置を付加使用することなく可及的に簡易な構成により半導体チップ単位における試験用針の接触回数を容易且つ確実に把握して管理することができ、ひいては製造コストの削減及び製造時間の短縮化が可能となり、信頼性の高い半導体装置が実現する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
―本件の基本骨子―
通常、半導体基板の半導体チップ上には、試験用針(プローブ針)が接触する試験用電極パッドが設けられている。
本件では、半導体チップごとに対応して、試験用電極パッドである第1の電極パッドにプローブ針が接触した接触回数、更には試験回数を記憶する記憶部を設ける。そして、第1の電極パッドと共に、当該記憶部に対して接触回数及び試験回数の読み取り・書き込みを行うための第2の電極パッドが配設されて半導体装置が構成される。
【0013】
記憶部及び第2の電極パッドは、半導体チップ上またはスクライブ領域上にそれぞれ設けられる。第2の電極パッドを第1の電極パッドに隣接して半導体チップ上に設けることにより、半導体チップの試験時に第1の電極パッドと同時に第2の電極パッドにプローブ針が接触し、簡易に接触回数及び試験回数の読み取り及び書き込みがなされる。一方、第2の電極パッドをスクライブ領域上に設けることにより、接触回数及び試験回数の読み取りには専用のプローブカード等を要するものの、試験時のプローブ針を用いることなく、第1の電極パッドとは独立に接触回数及び試験回数を把握することができる。
【0014】
このように構成された半導体装置では、プローブ針を用いた各種の検査を行う際に、当該検査と共に接触回数及び試験回数の読み取り及び書き込みを実行する。本件では、接触回数及び試験回数にそれぞれ製品として許容され得る信頼性の基準値(第1及び第2の基準値)を定め、接触回数または試験回数を当該基準値と比較する。接触回数または試験回数の少なくとも一方が基準値を超える場合には、当該半導体チップはもはや信頼性が低下しており、製品として認められないものと判定し、当該半導体チップについての以降の検査を行わない。
【0015】
このように本件では、大掛かりな装置を付加使用することなく可及的に簡易な構成により半導体チップ単位における試験用針の接触回数を容易且つ確実に把握して管理することができる。そして、当該管理の一環として、接触回数または試験回数が多く信頼性が低下していると見なされた半導体チップについては以降の検査を省略し、半導体装置の試験段階で製品から除外する。この構成により、半導体装置の製造コストの削減及び製造時間の短縮化が実現する。
【0016】
―本件を適用した好適な実施形態―
図1は、本実施形態による半導体装置の一部構成を示す概略平面図である。
この半導体装置は、図1(a)に示すように、シリコンウェーハ等の半導体基板1上に複数の半導体チップ2がマトリクス状に並設されてなる。図示の例では、半導体チップ2として隣接する4つのみを示す。隣接する半導体チップ2間の部位はスクライブ領域3とされている。
各半導体チップ2には、その周縁部近傍に沿って、試験装置であるプローバのプローブ針が接触する試験用電極パッドである複数の第1の電極パッド11が設けられている。
【0017】
本実施形態では、スクライブ領域3上に、半導体チップ2ごとに対応して、第1の電極パッド11にプローブ針が接触した接触回数、更には試験回数を記憶する記憶部である複数のヒューズ13が設けられている。そして、半導体チップ2上で第1の電極パッド11に隣接して、ヒューズ13に対して接触回数及び試験回数の読み取り及び書き込みを行うための複数の第2の電極パッド12が設けられている。
【0018】
第2の電極パッド12は、図示の例では半導体チップ2の周縁部の4隅に設けられている。例えば、半導体チップ2の上部分の2つの第2の電極パッド12が接触回数の読み取り及び書き込みに、下部分の2つの第2の電極パッド12が試験回数の読み取り及び書き込みにそれぞれ対応している。そして、上部分のうち、右側の第2の電極パッド12が接触回数の読み取りを行うための第2の電極パッド12であり、左側の第2の電極パッド12が接触回数の書き込みを行うための第2の電極パッド12である。一方、下部分のうち、右側の第2の電極パッド12が試験回数の読み取りを行うための第2の電極パッド12であり、左側の第2の電極パッド12が試験回数の書き込みを行うための第2の電極パッド12である。
第2の電極パッド12を第1の電極パッド11に隣接して半導体チップ2上に設けることにより、半導体チップ2の試験時に第1の電極パッド11と同時に第2の電極パッド12にプローブ針が接触し、簡易に接触回数及び試験回数の読み取り及び書き込みがなされる。
【0019】
ここで、接触回数または試験回数の書き込みとは、接触回数または試験回数に加算すること、即ち新たにヒューズ13を切断することを意味している。また、接触回数または試験回数の読み取りとは、ヒューズ13の切断状況、即ち切断されたヒューズ13の数の情報を読み出すことを意味している。
【0020】
並列する一群のヒューズ13は、図示の例ではその上部の半導体チップ2に対応している。電気的に切断されたヒューズ13の数が接触回数及び試験回数に対応するため、接触回数及び試験回数に応じて必要数配置される。具体的には、例えば図2(a)に示すように、複数のヒューズ13のうち、左部分を接触回数に対応した数だけ並列するコンタクト回数用ヒューズ13aとし、右部分を試験回数に対応した数だけ並列する試験回数用ヒューズ13bとする。
ヒューズ13をスクライブ領域3上に配置することにより、ヒューズ13により半導体チップ2の素子領域の占有面積を狭くすることなく、素子領域の十分な占有面積が確保される。
【0021】
ヒューズ13に対する読み取り及び書き込みは、以下のように行われる。図3は、ヒューズの構成を示す模式図である。図3では図示の明瞭化のため、各ヒューズ13をヒューズF1〜FNとして示す。
ヒューズF1〜FNは、それぞれ論理回路(セレクタ回路)14に接続されている。論理回路14は、例えばスクライブ領域3下に設けられるが、対応する半導体チップ2に設けるようにしても良い。
【0022】
接触回数及び試験回数の情報は、ヒューズF1〜FNのうちで切断されているヒューズ数で保持される。接触回数及び試験回数の読み取り時には、切断されているヒューズ数の情報が論理回路14により読み取り用の第2の電極パッド12に出力される。接触回数及び試験回数の書き込み時には、書き込み用の第2の電極パッド12からの入力に基づき、ヒューズF1〜FNのうちで切断対象のヒューズ13を論理回路14により選択状態にして、高電圧等を印加する。この高電圧等の印加は、論理回路14により、或いは論理回路14に接続された不図示の電源回路等により行われる。これにより、当該ヒューズ13が切断される。
【0023】
なお、論理回路14には、自身の回路及び記憶部の不良に対して救済を行う論理回路部を含み、代替可能な記憶部等に切り替えることで、記憶部であるヒューズF1〜FN及び論理回路14に不良があった場合でも接触回数及び試験回数の管理は可能である。
【0024】
本実施形態による半導体装置の他の例を図1(b),(c)に示す。
図1(b)の半導体装置では、複数のヒューズ13が半導体チップ2上に設けられている。図示の例では、第1及び第2の電極パッド11,12で囲む領域内の4箇所にそれぞれ複数のヒューズ13が配設された場合を示しており、図示の便宜上、各箇所では1つのヒューズ13のみを示す。
【0025】
図1(a)の半導体装置と同様に、電気的に切断されたヒューズ13の数が接触回数及び試験回数に対応するため、接触回数及び試験回数に応じて必要数配置される。具体的には、例えば図2(b)に示すように、複数のヒューズ13のうち、下部分の2隅を接触回数に対応した数だけ並列するコンタクト回数用ヒューズ13aとし、上部分の2隅を試験回数に対応した数だけ並列する試験回数用ヒューズ13bとする。
この半導体装置の構成では、半導体チップ2内に素子領域の非形成部分(いわゆる空き領域)が存在する場合等に、当該非形成部分にヒューズ13が配置される。そのため、スクライブ領域3には他の構成要素を配設することができる。
【0026】
図1(c)の半導体装置では、第2の電極パッド12がスクライブ領域3上に複数のヒューズ13に隣接して設けられている。図示の例では、並列する一群のヒューズ13を挟むように両脇に、それぞれ2つの第2の電極パッド12が配設されている。
例えば、一群のヒューズ13の左端部分の2つの第2の電極パッド12が接触回数の読み取りに、右端部分の2つの第2の電極パッド12が試験回数の読み取りにそれぞれ対応している。そして、左端部分の第2の電極パッド12が接触回数の読み取りを行うための第2の電極パッド12であり、右端部分の第2の電極パッド12が試験回数の読み取りを行うための第2の電極パッド12である。
【0027】
この半導体装置の構成では、第2の電極パッド12をスクライブ領域3上に設ける。この場合、接触回数及び試験回数の読み取りには専用のプローブカード等を要することになるものの、試験時のプローブ針を用いることなく、第1の電極パッド11とは独立に接触回数及び試験回数を把握することができる。
【0028】
以下、上記のように構成された半導体装置の試験を行うための試験装置について説明する。
図4は、本実施形態で用いられる半導体装置の試験装置の概略構成を示す模式図である。
この試験装置(プローバ)による試験対象は、例えば図1(a),(b)の半導体装置である。この電気的検査に用いられるプローブカード30には、各半導体チップ2の第1及び第2の電極パッド11,12に接触する複数のプローブ針34が設けられている。
なお、図1(c)の半導体装置にて接触回数及び試験回数の読み取りを行う時には、試験用のプローブカード30とは別の第2の電極パッド12のみに対応した不図示のプローブカードを用いる。
【0029】
本実施形態では、プローバは、ウェーハステージ31と、ウェーハステージ31上の半導体基板1を検査するためのプローブ針34を有するプローブカード30とを有するプローバ部33と、電気的に接続され電気的検査の処理内容を制御するテスター部32とを備えて構成されている。
【0030】
テスター部32は、読取部41、書込部42、回数加算部43及び比較部44と、半導体装置の電気的特性の検査処理を含む、これら読取部41、書込部42、回数加算部43及び比較部44による各処理を統括制御する制御部45とを有して構成されている。
【0031】
読取部41は、試験対象である半導体チップ2に対応した読み取り用の第2の電極パッド12から、接触回数及び試験回数の情報を読み取る。
書込部42は、当該半導体チップ2に対応した書き込み用の第2の電極パッド12から選択対象のヒューズ13の情報を入力する。選択されたヒューズ13には高電圧等が印加される。この高電圧等の印加によってヒューズ13が切断される。
回数加算部43は、読取部41により読み取られた接触回数及び試験回数の情報に、適宜に1を加算する。
比較部44は、読取部41により読み取られた接触回数を予め定められた第1の基準値と、試験回数を予め定められた第2の基準値とそれぞれ比較する。比較部44による比較の結果、接触回数が第1の基準値以下であり、且つ試験回数が第2の基準値以下である場合には、書込部42は、加算後の接触回数及び試験回数をそれぞれ記憶させるべく、対応するヒューズ13を切断する。
【0032】
以下、上記したプローバを用いた半導体装置の試験方法について説明する。
図5は、本実施形態による半導体装置の試験方法をステップ順に示すフロー図である。
ここでは、例えば図1(a),(b)の半導体装置を試験対象とする場合について説明する。
【0033】
先ず、制御部45は、当該プローバの状態を監視する(ステップS1)。ステップS1では、試験対象である半導体チップ2の試験に際して、プローブ針34を接触させていない場合(非コンタクト状態)と、プローブ針34を接触された場合(コンタクト状態)とで試験内容を変更する。
ここで、非コンタクト状態とは、例えば座標(Xk,Yk)に位置する試験対象である半導体チップ2の試験開始時に、プローブ針34が第1及び第2の電極パッド11,12に接触していない状態のことである。一方、コンタクト状態とは、試験対象である半導体チップ2の当該試験時に、同じ半導体チップ2に対する前回の試験から引き続いて、プローバのプローブ針34が既に第1及び第2の電極パッド11,12に接触している状態である。
【0034】
(1)非コンタクト状態の場合
ステップS1に続いて、制御部45は、プローブカード30のプローブ針34を、試験対象である半導体チップ2の第1及び第2の電極パッド11,12に接触させる(ステップS2)。
続いて、制御部45は、第1の電極パッド11に電気的に接触したプローブ針34を通じて、電極パッド11,12と正しく導通(コンタクト)しているかを検査する(ステップS3)。
【0035】
続いて、読取部41は、接触回数の読み取りを行うための第2の電極パッド12に電気的に接触したプローブ針34を通じて、当該半導体チップ2の接触回数(切断されたヒューズ13aの数)の情報を読み取る(ステップS4)。
続いて、読取部41は、試験回数の読み取りを行うための第2の電極パッド12に電気的に接触したプローブ針34を通じて、当該半導体チップ2の試験回数(切断されたヒューズ13bの数)の情報を読み取る(ステップS5)。
【0036】
続いて、回数加算部43は、読取部41により読み取られた接触回数及び試験回数に1を加算する(ステップS61)。
続いて、比較部44は、読取部41により読み取られた接触回数を予め定められた第1の基準値と、試験回数を予め定められた第2の基準値とそれぞれ比較する(ステップS7)。
ステップS7において、比較部44による比較の結果、接触回数が第1の基準値以下であり、且つ試験回数が第2の基準値以下である場合には、書込部42は、加算後の接触回数及び試験回数をそれぞれ記憶させるべく、接触回数及び試験回数にそれぞれ1を書き込む(ステップS8,S9)。具体的には、書込部42は、書き込み用の第2の電極パッド12(接触回数の書き込み時にはそれに対応した第2の電極パッド12、試験回数の書き込み時にはそれに対応した第2の電極パッド12)に接触したプローブ針34を通じて、選択対象となるヒューズ13の情報を入力する。これにより、論理回路14によって選択されたヒューズ13に高電圧等が印加される。この高電圧等の印加によって当該ヒューズ13が切断される。
【0037】
続いて、制御部45は、第1の電極パッド11に電気的に接触したプローブ針34を通じて、当該半導体チップ2の以降の試験(他の電気的特性の検査)を行う(ステップS10)。
【0038】
一方、ステップS7において、比較部44による比較の結果、接触回数が第1の基準値より大値である場合、又は試験回数が第2の基準値より大値である場合には、制御部45は、当該半導体チップについての以降の試験であるステップS10を行わない。
なおこの場合、ステップS8,S9については、これらを実行しても、或いは第2の電極パッド12の数の削減や試験時間の短縮の観点から実行を省略しても良い。
【0039】
(2)コンタクト状態の場合
ステップS1に続いて、上記と同様にステップS3〜S5を順次行う。
続いて、回数加算部43は、読取部41により読み取られた接触回数及び試験回数のうち、接触回数についてはプローブ針34の新たな接触を行っていないために更新することなく、試験回数のみについてこれに1を加算する(ステップS62)。
【0040】
続いて、上記と同様にステップS7を行い、ステップS7で比較部44による比較の結果、接触回数が第1の基準値以下であり、且つ試験回数が第2の基準値以下である場合には、ステップS9により、書込部42は、加算後の試験回数をそれぞれ記憶させるべく、試験回数に1を書き込む。
【0041】
一方、ステップS7において、比較部44による比較の結果、接触回数が第1の基準値より大値である場合、又は試験回数が第2の基準値より大値である場合には、制御部45は、当該半導体チップについての以降の試験であるステップS10を行わない。
なおこの場合、ステップS9については、これを実行しても、或いは第2の電極パッド12の数の削減や試験時間の短縮の観点から実行を省略しても良い。
【0042】
ステップS10の後、制御部45は、試験対象である全ての半導体チップ2について、上記したステップS1〜S10が適宜実行されたか否かを判定する(ステップS11)。
一方、未だ全ての半導体チップ2についてステップS1〜S10が適宜実行されていないものと判定された場合には、次の座標、例えば(Xk+1,Yk+1)の半導体チップ2について、これを試験対象としてステップS1〜S10を適宜実行する。
【0043】
なお、図1(c)の半導体装置の場合には、プローブカードをスクライブ領域3に設けられた第2の電極パッド12に適合した専用のものに交換し、ステップS4〜S5のみを実行する。これにより、試験時のプローブ針を用いることなく、第1の電極パッドとは独立に接触回数及び試験回数を把握することができる。
【0044】
ここで、上記したプローバを用いた半導体装置の試験方法の他の例について説明する。
この試験方法では、試験回数についてはモニタすることなく、接触回数のみをモニタする構成を採る。
即ちこの場合、図6に示すように、図5と同様にステップS1〜S3を適宜実行した後、ステップS5を省略し、ステップS61を行う。ステップS61において、非コンタクト状態では、回数加算部43は読取部41により読み取られた接触回数に1を加算する。一方、コンタクト状態では、接触回数を更新しない。
【0045】
続いて、図5と同様にステップS7を適宜実行する。非コンタクト状態では、ステップS7で比較部44による比較の結果、接触回数が第1の基準値以下である場合には、ステップS8により、書込部42は、加算後の接触回数をそれぞれ記憶させるべく、試験回数に1を書き込む。その後、図5と同様にステップS10を行う。
【0046】
一方、ステップS7において、比較部44による比較の結果、接触回数が第1の基準値より大値である場合には、制御部45は、当該半導体チップについての以降の試験であるステップS10を行わない。
なおこの場合、ステップS8については、これを実行しても、或いは第2の電極パッド12の数の削減や試験時間の短縮の観点から実行を省略しても良い。
【0047】
コンタクト状態では、ステップS7で比較部44による比較の結果、接触回数が第1の基準値以下である場合には、図5と同様にステップS10を行う。
一方、ステップS7において、比較部44による比較の結果、接触回数が第1の基準値より大値である場合には、制御部45は、当該半導体チップについての以降の試験であるステップS10を行わない。
【0048】
しかる後、図5と同様にステップS11を行う。
ここで、試験工程とは、1つの半導体チップにおける複数の試験内容ではなく、通常複数回行われる、試験条件の異なる試験工程(例えば温度条件を低温・高温と変化させた試験)等を示している。
【0049】
以上説明したように、本実施形態によれば、大掛かりな装置を付加使用することなく可及的に簡易な構成により半導体チップ単位におけるプローブ針の接触回数及び試験回数を容易且つ確実に把握して管理することができ、ひいては製造コストの削減及び製造時間の短縮化が可能となり、信頼性の高い半導体装置が実現する。
【0050】
上述した実施形態によるプローバのテスター部32の所定構成要素(図4において、例えば、読取部41、書込部42、回数加算部43及び比較部44、制御部45等)の機能は、コンピュータのRAMやROM等に記憶されたプログラムが動作することによって実現できる。同様に、半導体装置の試験方法の各ステップ(図5及び図6のステップS1〜S11等)は、コンピュータのRAMやROM等に記憶されたプログラムが動作することによって実現できる。このプログラム及び当該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は本発明に含まれる。
【0051】
具体的に、前記プログラムは、例えばCD−ROMのような記録媒体に記録し、或いは各種伝送媒体を介し、コンピュータに提供される。前記プログラムを記録する記録媒体としては、CD−ROM以外に、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、光磁気ディスク、不揮発性メモリカード等を用いることができる。他方、前記プログラムの伝送媒体としては、プログラム情報を搬送波として伝搬させて供給するためのコンピュータネットワークシステムにおける通信媒体を用いることができる。ここで、コンピュータネットワークとは、LAN、インターネットの等のWAN、無線通信ネットワーク等であり、通信媒体とは、光ファイバ等の有線回線や無線回線等である。
【0052】
また、本発明に含まれるプログラムとしては、供給されたプログラムをコンピュータが実行することにより上述の実施形態の機能が実現されるようなもののみではない。例えば、そのプログラムがコンピュータにおいて稼働しているOS(オペレーティングシステム)或いは他のアプリケーションソフト等と共同して上述の実施形態の機能が実現される場合にも、かかるプログラムは本発明に含まれる。また、供給されたプログラムの処理の全て或いは一部がコンピュータの機能拡張ボードや機能拡張ユニットにより行われて上述の実施形態の機能が実現される場合にも、かかるプログラムは本発明に含まれる。
【0053】
―本実施形態の変形例―
上記した実施形態では、半導体装置の各半導体チップ2に対応した記憶部としてヒューズを例示した。本件は、これに限定されることなく、接触回数及び試験回数の読み出し・書き込みが可能である素子構造のものであれば、適用可能である。
【0054】
例えば、図7のように、ヒューズ13の代わりに、EPROMやEEPROM等の電気的書き換え可能なメモリ素子21を設けるようにしても良い。メモリ素子21には、接触回数及び試験回数が適宜に記憶される。
ここで、(a),(c)では、図1(a),(c)に対応して、メモリ素子21がスクライブ領域3に設けられている。一方、(b)では、図1(b)に対応して、メモリ素子21が半導体チップ2上に設けられている。
【0055】
以下、本件の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0056】
(付記1)半導体基板と、
前記半導体基板上に並設されており、各々試験用の第1の電極パッドが形成されてなる複数の半導体チップと、
前記半導体基板上に前記半導体チップごとに対応して設けられており、対応する前記半導体チップの前記第1の電極パッドへの試験用針の接触回数が記憶される記憶部と、
前記半導体基板上に前記半導体チップごとに対応して設けられており、前記記憶部の記憶情報の読み取り及び書き込みを行うための第2の電極パッドと
を含むことを特徴とする半導体装置。
【0057】
(付記2)前記記憶部は、前記半導体基板のスクライブ領域に設けられていることを特徴とする付記1に記載の半導体装置。
【0058】
(付記3)前記記憶部は、対応する前記半導体チップ上に設けられていることを特徴とする付記1に記載の半導体装置。
【0059】
(付記4)前記第2の電極パッドは、前記スクライブ領域に設けられていることを特徴とする付記1〜3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【0060】
(付記5)前記第2の電極パッドは、対応する前記半導体チップ上に設けられていることを特徴とする付記1〜3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【0061】
(付記6)前記記憶部は、前記接触回数と共に試験回数が記憶されることを特徴とする付記1〜5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【0062】
(付記7)半導体基板上に並設された複数の半導体チップについて、前記半導体基板上に設けられた試験用電極パッドに試験用針を接触させ、前記試験用針を介して前記各半導体チップの電気的特性を検査するに際して、
所定の前記半導体チップについて前記検査を行う工程と、
当該半導体チップに記憶された、前記試験用針の前記試験用電極パッドへの接触回数を読み取る工程と
を含むことを特徴とする半導体装置の試験方法。
【0063】
(付記8)前記接触回数と共に、当該半導体チップに記憶された試験回数を読み取ることを特徴とする付記7に記載の半導体装置の試験方法。
【0064】
(付記9)前記接触回数を読み取った後、
前記検査を行う際に、前記試験用針が非接触状態の前記半導体チップに前記試験用針を接触させた場合には、前記接触回数に1を加算する工程を更に含むことを特徴とする付記7に記載の半導体装置の試験方法。
【0065】
(付記10)前記接触回数及び前記試験回数を読み取った後、
前記検査を行う際に、前記試験用針が非接触状態の前記半導体チップに前記試験用針を接触させた場合には、前記接触回数及び前記試験回数にそれぞれ1を加算する工程を更に含むことを特徴とする付記8に記載の半導体装置の試験方法。
【0066】
(付記11)前記接触回数を所定の基準値と比較する工程と、
前記比較の結果、前記接触回数が前記基準値以下である場合には、当該接触回数を当該半導体チップに記憶させる工程と
を含み、
前記比較の結果、前記接触回数が前記基準値より大値である場合には、当該半導体チップについての以降の検査を行わないことを特徴とする付記10に記載の半導体装置の試験方法。
【0067】
(付記12)前記接触回数を第1の基準値と、前記試験回数を第2の基準値とそれぞれ比較する工程と、
前記比較の結果、前記接触回数が前記第1の基準値以下であり、且つ前記試験回数が前記第2の基準値以下である場合には、当該接触回数及び当該試験回数をそれぞれ当該半導体チップに記憶させる工程と
を含み、
前記比較の結果、前記接触回数が前記第1の基準値より大値である場合、又は前記試験回数が前記第2の基準値より大値である場合には、当該半導体チップについての以降の検査を行わないことを特徴とする付記10に記載の半導体装置の試験方法。
【0068】
(付記13)半導体基板上に並設された複数の半導体チップについて、前記半導体基板上に設けられた試験用電極パッドに試験用針を接触させ、前記試験用針を介して前記各半導体チップの電気的特性を検査するプローバ部と、
当該半導体チップに記憶された、前記試験用針の前記試験用電極パッドへの接触回数を読み取る読取部と
を含むことを特徴とする半導体装置の試験装置。
【0069】
(付記14)前記読取部は、前記接触回数と共に、当該半導体チップに記憶された試験回数を読み取ることを特徴とする付記13に記載の半導体装置の試験装置。
【0070】
(付記15)前記検査を行う際に、前記試験用針が非接触状態の前記半導体チップに前記試験用針を接触させた場合には、前記接触回数に1を加算する回数加算部を更に含むことを特徴とする付記13に記載の半導体装置の試験装置。
【0071】
(付記16)前記検査を行う際に、前記試験用針が非接触状態の前記半導体チップに前記試験用針を接触させた場合には、前記接触回数及び前記試験回数にそれぞれ1を加算する回数加算部を更に含むことを特徴とする付記14に記載の半導体装置の試験装置。
【0072】
(付記17)前記接触回数を所定の基準値と比較する比較部と、
前記比較部による比較の結果、前記接触回数が前記基準値以下である場合には、当該接触回数を当該半導体チップに記憶させる書込部と
を含み、
前記比較部による比較の結果、前記接触回数が前記基準値より大値である場合には、当該半導体チップについての以降の検査を行わないことを特徴とする付記15に記載の半導体装置の試験装置。
【0073】
(付記18)前記接触回数を第1の基準値と、前記試験回数を第2の基準値とそれぞれ比較する比較部と、
前記比較部による前記比較の結果、前記接触回数が前記第1の基準値以下であり、且つ前記試験回数が前記第2の基準値以下である場合には、加算後の当該接触回数及び試験回数をそれぞれ当該半導体チップに記憶させる書込部と
を含み、
前記比較部による比較の結果、前記接触回数が前記第1の基準値より大値である場合、又は前記試験回数が前記第2の基準値より大値である場合には、当該半導体チップについての以降の検査を行わないことを特徴とする付記16に記載の半導体装置の試験装置。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本実施形態による半導体装置の一部構成を示す概略平面図である。
【図2】本実施形態による半導体装置の一部を抜粋して示す概略平面図である。
【図3】本実施形態による半導体装置のヒューズの構成を示す模式図である。
【図4】本実施形態で用いられる半導体装置の試験装置の概略構成を示す模式図である。
【図5】本実施形態による半導体装置の試験方法をステップ順に示すフロー図である。
【図6】本実施形態による半導体装置の試験方法の他の例をステップ順に示すフロー図である。
【図7】本実施形態の変形例による半導体装置の一部構成を示す概略平面図である。
【符号の説明】
【0075】
1 半導体基板
2 半導体チップ
3 スクライブ領域
11 第1の電極パッド
12 第2の電極パッド
13 F1〜FN ヒューズ
13a コンタクト回数用ヒューズ
13b 試験回数用ヒューズ
14 論理回路
21 メモリ素子
30 プローブカード
31 ウェーハステージ
32 テスター部
33 プローバ部
34 プローブ針
41 読取部
42 書込部
43 回数加算部
44 比較部
45 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板上に並設されており、各々試験用の第1の電極パッドが形成されてなる複数の半導体チップと、
前記半導体基板上に前記半導体チップごとに対応して設けられており、対応する前記半導体チップの前記第1の電極パッドへの試験用針の接触回数が記憶される記憶部と、
前記半導体基板上に前記半導体チップごとに対応して設けられており、前記記憶部の記憶情報の読み取り及び書き込みを行うための第2の電極パッドと
を含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記記憶部は、前記接触回数と共に試験回数が記憶されることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
半導体基板上に並設された複数の半導体チップについて、前記半導体基板上に設けられた試験用電極パッドに試験用針を接触させ、前記試験用針を介して前記各半導体チップの電気的特性を検査するに際して、
所定の前記半導体チップについて前記検査を行う工程と、
当該半導体チップに記憶された、前記試験用針の前記試験用電極パッドへの接触回数を読み取る工程と
を含むことを特徴とする半導体装置の試験方法。
【請求項4】
前記接触回数と共に、当該半導体チップに記憶された試験回数を読み取ることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置の試験方法。
【請求項5】
前記接触回数及び前記試験回数を読み取った後、
前記検査を行う際に、前記試験用針が非接触状態の前記半導体チップに前記試験用針を接触させた場合には、前記接触回数及び前記試験回数にそれぞれ1を加算する工程を更に含むことを特徴とする請求項4に記載の半導体装置の試験方法。
【請求項6】
前記接触回数を所定の基準値と比較する工程と、
前記比較の結果、前記接触回数が前記基準値以下である場合には、当該接触回数を当該半導体チップに記憶させる工程と
を含み、
前記比較の結果、前記接触回数が前記基準値より大値である場合には、当該半導体チップについての以降の検査を行わないことを特徴とする請求項5に記載の半導体装置の試験方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−45080(P2010−45080A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−206381(P2008−206381)
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【出願人】(308014341)富士通マイクロエレクトロニクス株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】