説明

半導体装置及び磁気ランダムアクセスメモリ

【課題】磁気ランダムアクセスメモリの読み出しマージンを増大させる。
【解決手段】メモリセル200は、磁気記録層2と、磁気記録層2に接合された固定層11、12と、磁気記録層2に対向するように設けられたリファレンス層41、42と、リファレンス層41、42と磁気記録層2との間にそれぞれに挿入されたトンネルバリア膜31、32とを備えている。固定層11、12は、互いに逆の方向に固定された磁化を有している。リファレンス層41、42とトンネルバリア膜31、32とは、固定層11、12の間の位置に設けられている。リファレンス層41、42は、互いに逆の方向に固定された磁化を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及び磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM:Magnetic Random Access Memory)に関し、特に、磁壁移動方式のMRAMのメモリセルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の一種である不揮発性メモリのひとつとして、磁気抵抗効果素子をメモリセルとして用いるMRAMが提案されている。特に、巨大な磁気抵抗効果が得られるという利点から、MRAMのメモリセルとしては、磁気トンネル接合(Magnetic Tunnel Junction:以下、「MTJ」と記す)を有する磁気抵抗効果素子が使用されることが多い。磁気トンネル接合は、2つの強磁性膜の間に非磁性絶縁膜(以下、「トンネルバリア膜」と記す)が挟まれた積層構造を有している。データは、2つの強磁性膜の磁化の相対方向として記憶される。例えば、磁化が平行の状態がデータ“0”に、反平行の状態がデータ“1”に対応づけられる。この積層構造の膜面に垂直な方向に電流を流した際の電気抵抗は、該2つの強磁性膜の磁化の相対角度により変化する。互いの磁化が平行の時に磁気トンネル接合の電気抵抗は極小となり、反平行の時に電気抵抗は極大となる。この電気抵抗の変化を利用してデータ読み出しが行われる。MRAMは、特に混載メモリの分野で注目されており、SRAM(static random access memory)、DRAM(dynamic
random access memory)との置換えのため高速ランダムアクセスが要求されている。
【0003】
MRAMには様々な種類があるが、その一つが、いわゆる磁壁移動型と呼ばれるものである。磁壁移動型MRAMは、電流を強磁性膜の面内方向に流し、スピン偏極電子によるスピントランスファー効果によって磁壁を移動させ、強磁性膜の磁化を書き込み電流の方向に応じた向きに反転させることでデータ書き込みを行う。このような磁壁移動型MRAMは、例えば、2009 Symposium on VLSI Technology Digest of Technical Papers 12A-2に開示されている。
【0004】
図1Aは、この文献に開示されている磁壁移動型MRAMのメモリセル300の構成を示す概念図である。図1Aのメモリセルは、磁気抵抗効果素子1と、NMOSトランジスタ51、52とを備えている。磁気抵抗効果素子1は、固定層11、12と、固定層11、12に接合するように積層された磁気記録層2と、リファレンス層4と、磁気記録層2とリファレンス層4とに挟まれたトンネルバリア膜3とを備えている。固定層11、12、リファレンス層4は、いずれも、磁化が固定された強磁性膜で構成される。磁気記録層2も、強磁性膜で形成される。ここで、磁気記録層2のうちの、それぞれ固定層11、12に接合する領域2a、2bの磁化は、固定層11、12との交換結合により固定される。以下では、領域2a、2bを、磁化固定領域2a、2bということがある。一方、領域2a、2bの間の領域2cは、磁化が反転可能であり、以下では、領域2cを磁化反転領域2cということがある。リファレンス層4とトンネルバリア膜3と磁化反転領域2cとで、MTJが形成されている。
【0005】
固定層11にはNMOSトランジスタ51のドレインが接続され、NMOSトランジスタ51のソースには書き込みビット線BL1が接続される。固定層12にはNMOSトランジスタ52のドレインが接続され、NMOSトランジスタ52のソースには書き込みビット線BL2が接続される。NMOSトランジスタ51及びNMOSトランジスタ52のゲートにはワード線WLが接続される。図1Aの構成では、リファレンス層4は、接地線GNDに接続される。図1Aの矢印101、矢印102、矢印110、矢印120は各層の磁化の向きを示している。
【0006】
図2Aは、図1Aのメモリセル300の断面構造の例を示す断面図であり、図3Aは、レイアウトの例を示す平面図である。図2Aにおいては、NMOSトランジスタ51、52を構成する拡散層が書き込みビット線BL1、BL2と平行な方向に形成されているため、NMOSトランジスタ51、52が模式的に図示されている。
【0007】
図2Aに示されているように、磁気記録層2にはトンネルバリア膜3とリファレンス層4とが積層されており、MTJを構成している。固定層11、12は、磁気記録層2の両端の近傍の下面に接するように配置されている。リファレンス層4はビアコンタクト8によって接地線GNDに接続されている。NMOSトランジスタ51のドレイン51aはビアコンタクト61によって固定層11に接続され、NMOSトランジスタ52のドレイン52aはビアコンタクト62によって固定層12に接続されている。接地線GNDは、第1配線層のメタル配線で形成されている。ここで、ビット線BL1、BL2は、第1配線層より上方に位置する第2配線層のメタル配線で形成されている。
【0008】
図3Aに図示されているように、ワード線WLは、ポリシリコンゲートとして形成されており、拡散層53、54を横断するように設けられている。ワード線WLと拡散層53とでNMOSトランジスタ51が形成され、ワード線WLと拡散層54とでNMOSトランジスタ52が形成される。NMOSトランジスタ51、52のソースは、ビアコンタクト63、64を介して書き込みビット線BL1、BL2と接続される。リファレンス層4は、ビアコンタクト8を介して接地線GNDと接続される。接地線GNDは、ワード線WLと平行に(即ち、書き込みビット線BL1、BL2とは垂直に)設けられている。
【0009】
図1A〜図3Aに図示されているメモリセル300のデータ書き込みは、NMOSトランジスタ51、52をオンにした状態で書き込みビット線BL1、BL2の間で書き込み電流を流し、磁気記録層2の磁化反転領域2cの磁化の向き110を変えることで行われる。一方、データ読み出しは、読み出し電流を書き込みビット線BL1(又はBL2)から磁気抵抗効果素子1のMTJを介して接地線GNDに流し、その読み出し電流をセンスアンプ(図示されない)によってリファレンス電流と比較することで行われる。接地線GNDはメモリアレイで共通である。
【0010】
図1A〜図3Aのメモリセル300では、リファレンス層4が接地線GNDに接続されているが、リファレンス層4が、接地線GNDではなく、カラム毎に分離された読み出しビット線RBLに接続されていてもよい。図1B〜図3Bは、リファレンス層4が読み出しビット線RBLに接続されている構成を示している。詳細には、図1Bは、リファレンス層4が読み出しビット線RBLに接続されているメモリセル300の構成を概念的に示しており、図2Bは、図1BのMRAMセルの断面構造の例を示す断面図であり、図3Bは、図1BのMRAMセルの平面レイアウトの例を示すレイアウト図である。MRAMセルの読み出し高速化を計るためには、データ読み出しに使用される配線の配線容量を削減する必要があり、図1B〜図3Bに図示されているようなカラム毎に分離された読み出しビット線RBLを用いる構成は、高速化に適している。図2B、図3Bに図示されているように、読み出しビット線RBLは、書き込みビット線BL1、BL2と同一方向に配置されている。図2Bの構成では、読み出しビット線RBLは、書き込みビット線BL1、BL2と交差しないため、第1配線層のメタル配線で形成されている。他の点については、図1B〜図3Bのメモリセル300は、図1A〜図3Aと同一の構成となる。
【0011】
図4は、図1B〜図3Bに図示されているメモリセル300を用いた場合のMRAMの構成の一例を示すブロック図である。図4のMRAMは、上述の構成の複数のメモリセル300がマトリクス上に配置されたメモリセルアレイを有している。メモリセルアレイには、更に、ワード線WLと、書き込みビット線BL1、BL2と、読み出しビット線RBLが設けられている。
【0012】
当該MRAMは、更に、Xセレクタ301と、書き込み用Yセレクタ302と、書き込み電流供給回路303と、読み出し用Yセレクタ304と、読み出し電流負荷回路305と、センスアンプ306と、出力回路307と、リファレンス電流回路308とを備えている。Xセレクタ301は、ワード線WLに接続されており、データの書き込み動作時、及び読み出し動作時において、選択メモリセル(アクセスすべきメモリセル300)に接続されたワード線WLを選択ワード線として選択する。図4では、選択メモリセルが符号300sで、選択ワード線が符号WLsで示されている。
【0013】
書き込み用Yセレクタ302は、書き込みビット線BL1、BL2に接続されており、選択メモリセル300sに接続される書き込みビット線BL1、BL2を選択書き込みビット線BL1sおよびBL2sとして選択する。書き込み電流供給回路303は、その入力に入力されるデータに応答して、選択メモリセル300sに流すべき書き込み電流を生成する。
【0014】
読み出し用Yセレクタ304は、読み出しビット線RBLに接続されている。読み出し用Yセレクタ304は、選択メモリセル300sに接続される読み出しビット線RBLを選択読み出しビット線RBLsとして選択する。読み出し電流負荷回路305は、選択読み出しビット線RBLsに所定の読み出し電流を流す。リファレンス電流回路308は定電流回路もしくはメモリセルと同様な構成のリファレンスセルで構成される。センスアンプ306は、選択読み出しビット線RBLsに流れる読み出し電流とリファレンス電流回路308より供給されるリファレンス電流との比較を行って、選択メモリセル300sのデータを識別する。出力回路307は、センスアンプ306で識別したデータを出力する。
【0015】
上述されているようなMRAMには、製造ばらつき等によるMTJのMR比の変動により、読み出しマージンが小さくなるという課題がある。上述のMRAMでは、選択メモリセル300sに保持されているデータを識別するために、選択メモリセル300sのMTJを流れる読み出し電流とリファレンス電流iREFとの比較が行われる。選択メモリセル300sのMTJが高抵抗状態にある場合の読み出し電流iと低抵抗状態にある場合の読み出し電流iの比は、MTJのMR比に依存する。図5は、読み出し電流の波形を示すグラフである。センスアンプ306では、読み出し電流iとリファレンス電流iREFの差ΔH又は読み出し電流iとリファレンス電流iREFの差電流ΔLを利用してデータを判別する。参考文献によれば、MTJのMR比は44%となっており、選択読み出しビット線に同じ電圧をかけて読み出した場合、読み出し電流i、iの比1とすると、式(1)で示される。
:i≒1.44:1 ・・・(1)
【0016】
一般的にリファレンス電流iREFは、高抵抗状態の読み出し電流iと低抵抗状態の読み出し電流iの中間の値を用いるため、高抵抗状態の読み出し電流iで規格化したリファレンス電流iREFは式(2)で示される。
REF=(1.44+1)/2≒1.22 ・・・(2)
【0017】
よって、高抵抗状態の読み出し電流iとリファレンス電流iREFとの電流比は、式(3)で表わされ、リファレンス電流iREFと低抵抗時の読み出し電流iとの電流比は、式(4)で表わされる。
:iREF=1:1.22≒0.82:1 ・・・(3)
REF:i=1.22:1.44≒1:1.18 ・・・(4)
【0018】
選択メモリセル300sのMTJが低抵抗状態及び高抵抗状態にある場合においてセンスアンプ306で利用できる差電流をそれぞれΔL、ΔHとすると、差電流ΔL、ΔHは、式(1)〜(4)より次式で表すことができる:
ΔL=i−iREF=1.18×iREF−iREF
=0.18×iREF ・・・(5)
ΔH=iREF−i=iREF−0.82iREF
=0.18×iREF ・・・(6)
【0019】
式(5)、(6)から差電流ΔL、ΔHを高抵抗時の電流iで表すと、式(7)、(8)が得られる:
ΔL=0.18×i/0.82≒0.22×i ・・・(7)
ΔH=0.18×i/0.82≒0.22×i ・・・(8)
式(7)、(8)から理解されるように、MR比44%に対して、センスアンプ306に入力される差電流ΔL、ΔHは読み出し電流iの22%程度しか利用できないため、製造ばらつき等によりMR比が変動した場合、リードマージンが小さくなる。
【0020】
なお、読み出しマージンを増大させるための技術は、特開2008−047669号公報、特開2007−004969号公報、特開2006−185477号公報、特開2004−103212号公報、及び、特開2004−046962号公報に開示されているが、発明者の検討によれば、他の好適なアプローチが存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】特開2008−047669号公報
【特許文献2】特開2007−004969号公報
【特許文献3】特開2006−185477号公報
【特許文献4】特開2004−103212号公報
【特許文献5】特開2004−046962号公報
【非特許文献】
【0022】
【非特許文献1】2009 Symposium on VLSI Technology Digest of Technical Papers 12A-2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
したがって、本発明の目的は、磁気ランダムアクセスメモリの読み出しマージンを増大させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明の一の観点では、半導体装置がメモリセルを具備している。メモリセルは、強磁性体で形成された磁気記録層と、磁気記録層に接合された第1及び第2固定層と、磁気記録層に対向するように設けられた第1及び第2リファレンス層と、第1及び第2リファレンス層と磁気記録層との間にそれぞれに挿入された第1及び第2トンネルバリア膜とを備えている。第1固定層は、第1方向に固定された磁化を有しており、第2固定層は、第1方向と逆の第2方向に固定された磁化を有している。第1及び第2リファレンス層と第1及び第2のトンネルバリア膜とは、第1固定層と第2固定層の間の位置に設けられている。第1リファレンス層は、第1方向及び第2方向のうちの一方の方向である第3方向に固定された磁化を有しており、第2リファレンス層は、第3方向と逆の第4方向に固定された磁化を有している。
【0025】
当該メモリセルのデータ判別は、第1リファレンス層と第1トンネルバリア膜と磁気記録層で形成される第1MTJに第1読み出し電流を流すと共に第2リファレンス層と第2トンネルバリア膜と磁気記録層で形成される第2MTJに第2読み出し電流を流し、第1読み出し電流と第2読み出し電流とを比較することで行われる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、磁気ランダムアクセスメモリの読み出しマージンを増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1A】公知の磁気ランダムアクセスメモリのメモリセルの構成を示す図である。
【図1B】公知の磁気ランダムアクセスメモリのメモリセルの他の構成を示す図である。
【図2A】図1Aに図示されているメモリセルの構成を示す断面図である。
【図2B】図1Bに図示されているメモリセルの構成を示す断面図である。
【図3A】図1Aに図示されているメモリセルのレイアウトを示す平面図である。
【図3B】図1Bに図示されているメモリセルのレイアウトを示す平面図である。
【図4】図1B〜図3Bに図示されているメモリセルを用いた磁気ランダムアクセスメモリの構成の例を示すブロック図である。
【図5】図4に図示されている磁気ランダムアクセスメモリで得られる差電流ΔL、ΔHを示す図である。
【図6】本発明の第1の実施形態の磁気ランダムアクセスメモリのメモリセルの構成を示す断面図である。
【図7】第1の実施形態におけるメモリセルのレイアウトを示す平面図である。
【図8】第1の実施形態における磁気ランダムアクセスメモリの構成を示すブロック図である。
【図9A】第1の実施形態のメモリセルが取り得る2つの状態のうちの一方を示す図である。
【図9B】第1の実施形態のメモリセルが取り得る2つの状態のうちの一方を示す図である。
【図10】第1の実施形態の磁気ランダムアクセスメモリで得られる差電流ΔRBLを示す図である。
【図11】本発明の第2の実施形態の磁気ランダムアクセスメモリのメモリセルの構成を示す断面図である。
【図12】第2の実施形態におけるメモリセルのレイアウトを示す平面図である。
【図13】本発明の第3の実施形態におけるメモリセルのレイアウトを示す平面図である。
【図14】本発明の第4の実施形態におけるメモリセルのレイアウトを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
第1の実施形態
図6は、本発明の第1の実施形態の磁気ランダムアクセスメモリのメモリセル200の構成を示す断面図であり、図7は、レイアウトを示す平面図である。図6において、矢印101、矢印102、矢印110、矢印121、矢印122は各層の磁化の向きを示している。
【0029】
図6に図示されているように、第1の実施形態のメモリセル200は、磁気抵抗効果素子1とNMOSトランジスタ51、52とを備えている。NMOSトランジスタ51、52は、メモリセル200の選択に用いられるスイッチ素子である。NMOSトランジスタ51のゲートはワード線WLに、ソースは書き込みビット線BL1に接続されている。同様に、NMOSトランジスタ52のゲートはワード線WLに、ソースは書き込みビット線BL2に接続されている。書き込みビット線BL1、BL2は、第1配線層に位置するメタル配線として構成されている。図6では、NMOSトランジスタ51、52の拡散層は書き込みビット線BL1、BL2と平行な方向に形成されるため、NMOSトランジスタ51、52が模式的に図示されている。
【0030】
磁気抵抗効果素子1は、固定層11、12と、固定層11、12の上面に接合するように積層された磁気記録層2と、リファレンス層41、42と、磁気記録層2とリファレンス層41、42との間にそれぞれに挟まれたトンネルバリア膜31、32とを備えている。
【0031】
固定層11、12は、いずれも、磁化が固定された強磁性膜で構成される。固定層11、12の磁化は、互いに、逆の方向に向けられている。本実施形態では、固定層11の磁化は上向きに、固定層12の磁化は下向きに固定される。固定層11は、ビアコンタクト61を介してNMOSトランジスタ51のドレイン51aに接続され、固定層12は、ビアコンタクト62を介してNMOSトランジスタ52のドレイン52aに接続されている。
【0032】
磁気記録層2も、強磁性膜で形成される。ここで、磁気記録層2のうちの、それぞれ固定層11、12に接合する領域2a、2bの磁化は、固定層11、12との交換結合により固定される。以下では、領域2a、2bを、磁化固定領域2a、2bということがある。一方、領域2a、2bの間の領域2cは、磁化が反転可能であり、以下では、領域2cを磁化反転領域2cということがある。
【0033】
磁気記録層2の上面にトンネルバリア膜31、32が積層され、そのトンネルバリア膜31、32の上面にリファレンス層41、42が積層されている。リファレンス層41、42と、トンネルバリア膜31、32と、磁気記録層2の磁化反転領域2cとで、2つのMTJが形成されている。リファレンス層41、42の磁化の向きは、互いに逆向きである。本実施形態では、リファレンス層41の磁化は上向きに、リファレンス層42の磁化は下向きに向けられている。リファレンス層41は、ビアコンタクト81を介して読み出しビット線RBLTに接続され、リファレンス層42は、ビアコンタクト82を介して読み出しビット線RBTBに接続される。読み出しビット線RBLT、RBTBは、いずれも、第1配線層に位置するメタル配線として構成されている。
【0034】
図7には、2つのメモリセル200が図示されている。図示された2つのメモリセル200は、線対称に配置されている。同一の配線層のメタル配線で形成された読み出しビット線RBLT、RBLB、及び書き込みビット線BL1、BL2は、デザインルールに従いながら、平行に配置されている。ワード線WLは、ポリシリコンゲートとして形成されており、拡散層53、54を横断するように設けられている。NMOSトランジスタ51、52は、拡散層53、54とワード線WLとで形成されている。ワード線WLは、読み出しビット線RBLT、RBLB及び書き込みビット線BL1、BL2と直交する方向に設けられている。NMOSトランジスタ51のドレインは、ビアコンタクト61を介して固定層11に接続され、NMOSトランジスタ52のドレインは、ビアコンタクト62を介して固定層12に接続されている。また、NMOSトランジスタ51のソースは、ビアコンタクト91を介して書き込みビット線BL1に接続されており、NMOSトランジスタ52のソースは、ビアコンタクト92を介して書き込みビット線BL2に接続されている。磁気記録層2は、デザインルールに従って、セル境界およびビアコンタクト91、92から一定の距離をとって配置される。
【0035】
図8は、図6、図7に図示されているメモリセル200を用いた場合のMRAMの構成の一例を示すブロック図である。本実施形態のMRAMは、上述の構成の複数のメモリセル200がマトリクス上に配置されたメモリセルアレイを有している。メモリセルアレイには、更に、ワード線WLと、書き込みビット線BL1、BL2と、読み出しビット線RBLT、RBLBとが設けられている。
【0036】
当該MRAMは、更に、Xセレクタ201と、書き込み用Yセレクタ202と、書き込み電流供給回路203と、読み出し用Yセレクタ204と、読み出し電流負荷回路205と、センスアンプ206と、出力回路207とを備えている。後述されるように、本実施形態では、リファレンス電流がメモリセル200自体から生成されるので、図4のリファレンス電流回路308に対応する回路は存在しない。
【0037】
Xセレクタ201は、ワード線WLに接続されており、データの書き込み動作時、及び読み出し動作時において、選択メモリセル(アクセスすべきメモリセル200)に接続されたワード線WLを選択ワード線として選択する。図8では、選択メモリセルが符号200sで、選択ワード線が符号WLsで示されている。
【0038】
書き込み用Yセレクタ202は、書き込みビット線BL1、BL2に接続されており、選択メモリセル200sに接続される書き込みビット線BL1、BL2を選択書き込みビット線BL1sおよびBL2sとして選択する。書き込み電流供給回路203は、その入力に入力される入力データDINに応答して、選択メモリセル200sに流すべき書き込み電流を生成する。
【0039】
読み出し用Yセレクタ204は、読み出しビット線RBLT、RBLBに接続されている。読み出し用Yセレクタ204は、選択メモリセル200sに接続される読み出しビット線RBLT、RBLBを、それぞれ、選択読み出しビット線RBLTs、RBLBsとして選択する。読み出し電流負荷回路205は、選択読み出しビット線RBLTs、RBLBsに所定の読み出し電流を流す。センスアンプ206は、2本の選択読み出しビット線RBLTs、RBLBsに流れる読み出し電流を比較して、選択メモリセル200sのデータを識別する。出力回路207は、センスアンプ206で識別したデータを出力データDOUTとして出力する。
【0040】
続いて、第1の実施形態の磁気ランダムアクセスメモリの動作について説明する。第1の実施形態では、読み出しビット線RBLTに接続されたリファレンス層41と読み出しビット線RBLBに接続されたリファレンス層42の磁化の方向が逆にされている。図6に図示されている矢印101、矢印102、矢印110、矢印121、矢印122は各層の磁化の向きを示している。これにより、各メモリセル200が、データに対応するデータ電流と、リファレンス電流との両方を生成できるように構成されている。
【0041】
各メモリセル200には2つの状態があり、図9A、図9Bは、その2つの状態を示している。各メモリセル200は、磁壁20の位置、即ち、磁化反転領域2cの磁化の向きとしてデータを記憶する。以下では、図9Aに図示されているように、磁化反転領域2cの磁化が下向きである場合にメモリセル200が“0”データを記憶し、図9Bに図示されているように、磁化反転領域2cの磁化が上向きである場合にメモリセル200が“1”データを記憶しているとして説明を行う。
【0042】
データ書き込みは、NMOSトランジスタ51、52をオンした状態で、書き込みビット線BL1、BL2の間に磁気記録層2を介して書き込み電流を流すことで行われる。詳細には、書き込みビット線BL1から書き込みビット線BL2に磁気記録層2を介して書き込み電流が流されると、磁壁20が磁気記録層2内を移動し、図9Aに図示されているように、固定層11とリファレンス層41との間の位置に移動する。この場合、リファレンス層41と磁化反転領域2cの磁化の向きが逆になり、リファレンス層42と磁化反転領域2cの磁化の向きが同一になる。この状態では、リファレンス層41とトンネルバリア膜31と磁化反転領域2cとで構成されるMTJが高抵抗状態になり、リファレンス層42とトンネルバリア膜32と磁化反転領域2cとで構成されるMTJが低抵抗状態になる。
【0043】
一方、書き込みビット線BL2から書き込みビット線BL1に磁気記録層2を介して書き込み電流が流されると、磁壁20が磁気記録層2内を移動し、図9Bに図示されているように、リファレンス層42と固定層11との間の位置に移動する。この場合、リファレンス層41と磁化反転領域2cの磁化の向きが同一になり、リファレンス層42と磁化反転領域2cの磁化の向きが逆になる。この状態では、リファレンス層41とトンネルバリア膜31と磁化反転領域2cとで構成されるMTJが低抵抗状態になり、リファレンス層42とトンネルバリア膜32と磁化反転領域2cとで構成されるMTJが高抵抗状態になる。
【0044】
データ読み出しは、読み出しビット線RBLT、読み出しビット線RBLBに所定の電圧を印加して選択メモリセル200sの2個のMTJに電流を流すことで行う。“0”データが読みだされる場合、即ち、図9Aに図示されているように磁壁20がリファレンス層41と固定層11の間の磁気記録層2に存在する場合、読み出しビット線RBLTに接続されるMTJは高抵抗状態、読み出しビット線RBLBに接続されるMTJは低抵抗状態となっている。書き込みビット線BL1、BL2を接地電位に固定し、読み出しビット線RBLT、RBLBに所定の電圧を印加した状態で、ワード線WLを高電位にしてNMOSトランジスタ51、52をオンすると、読み出しビット線RBLT、RBLBにはそれぞれ、読み出し電流iRBLT、iRBLBが流れる。読み出し電流iRLBTは高抵抗状態のMTJを流れる電流であり、電流iRBLBは低抵抗状態のMTJを流れる電流であるため、読み出し電流iRBLT、iRBLBを比較すると、読み出し電流iRBLBが大きい。このように、センスアンプ206で読み出し電流iRBLT、iRBLBを比較することでデータ判別を行うことができる。本実施形態では、読み出し電流iRBLBが読み出し電流iRBLTよりも大きいことから、“0”データが選択メモリセル200sに記憶されていると判別することができる。この場合、センスアンプ206の比較結果に応じて、出力回路207が“0”データを出力する。
【0045】
“1”データの読み出しも同様にして行うことができる。であり、“1”データの読み出しの場合は、読み出し電流iRBLT、iRBLBを比較して読み出し電流iRBLTが大きい場合に、“1”データが選択メモリセル200sに記憶されていると判別すればよい。
【0046】
このようなデータ読み出しによれば、読み出しマージンを広げることができる。図10は、本実施形態における、“0”データを読み出す場合の読み出し電流のグラフである。“0”データを読み出す場合、読み出しビット線RBLTに流れる読み出し電流iRBLTはMTJが高抵抗状態である場合の電流であり、読み出しビット線RBLBに流れる読み出し電流iRBLBはMTJが低抵抗状態である場合の電流である。読み出し電流の比はMR比に依存するので、参考文献のMR比44%を用いると、読み出し電流iRBLT、iRBLBの比は1:1.44となる。
【0047】
よって、センスアンプ206で検知される差電流ΔRBLは、式(9)のようになる:
ΔRBL=iRBLB−iRBLT
=1.44×iRBLT−iRBLT
=0.44×iRBLT ・・・(9)
【0048】
読み出し電流iRBLTはMTJが高抵抗状態である場合の電流のため、図5に図示された読み出し電流iと同じである。よって、本実施形態においてセンスアンプ206で検知される差電流ΔRBLは以下のように表すことが出来る。
ΔRBL=0.44×i ・・・(10)
【0049】
従来技術では、式(7)、(8)に示されるように差電流ΔL、ΔHは読み出し電流iの0.22倍程度であったが、本発明では、式(10)から理解されるように、0.44倍と約2倍の差電位を得ることが出来、読み出しマージンを拡大することができる。“1”データを読み出す場合も、同様である。
【0050】
付随的な効果として、本実施形態ではデータ読み出しに使用される1組のMTJは、いずれも、NMOSトランジスタ51、52のドレインに接続されているため、NMOSトランジスタ51、52のオン抵抗の影響を無視することが出来る。従来技術のような、リファレンス電流をリファレンスセルから生成する構成では、メモリセルの選択に使用されるMOSトランジスタのオン抵抗のバラツキも、読み出しマージンを減少させることになる。メモリセルの選択に使用されるMOSトランジスタのオン抵抗を無視できることで、MR比を有効に利用することが出来、読み出しマージンを大きくすることが出来る。
【0051】
なお、本実施形態では、固定層11、12、磁気記録層2、及びリファレンス層41、42の磁化の向きがすべて膜面に垂直な方向となっているが、これらの層の磁化は面内方向に向けられてもよい。この場合でも、本実施形態の磁気ランダムアクセスメモリは、同様に動作する。
【0052】
第2の実施形態:
図11は、本発明の第2の実施形態の磁気ランダムアクセスメモリのメモリセル200Aの構成を示す断面図である。第2の実施形態では、リファレンス層42が、リファレンス層41に対して磁気記録層2を挟んで対面に位置しており、固定層11、12と同じ側に配置されている。トンネルバリア膜32は、リファレンス層42と磁気記録層2との間に配置される。リファレンス層42の磁化の向き(矢印122)は、リファレンス層41の磁化の向き(矢印121)と反対を向いている。リファレンス層42には読み出しビット線RBLBがビアコンタクト82を介して接続される。読み出しビット線RBLBは、磁気記録層2よりも下層に配置されている。
【0053】
固定層11は、ビアコンタクト83を介してメタル配線71に接続され、メタル配線71は、ビアコンタクト63を介してNMOSトランジスタ51のドレイン51aに接続される。固定層12は、ビアコンタクト84を介してメタル配線72に接続され、メタル配線72は、ビアコンタクト64を介してNMOSトランジスタ52のドレイン52aに接続される。NMOSトランジスタ51、52の拡散層は書き込みビット線BL1、BL2の方向に延伸するように形成されるため、NMOSトランジスタ51、52に関しては、模式的に記載している。磁気抵抗素子1Aはメタル配線71、72及び読み出しビット線RBLBが位置する第1配線層と、書き込みビット線BL1、BL2及び読み出しビット線RBLTが位置する第2配線層の間に形成されている。
【0054】
図12は、第2の実施形態のMRAMセルのレイアウト平面図であり、メモリセル200Aを線対称に配置した2セル分で構成した図となっている。
【0055】
第2配線層に位置する書き込みビット線BL1、BL2と読み出しビット線RBLTは、デザインルールに従って平行に配置される。NMOSトランジスタ51、52が、拡散層53、54と、それらを横断するように設けられたワード線WLとで構成されており、ワード線WLは、書き込みビット線BL1、BL2と直交するように配置されている。NMOSトランジスタ51のドレインは、ビアコンタクト63、メタル配線71、及びビアコンタクト83を介して固定層11に接続されており、NMOSトランジスタ52のドレインは、ビアコンタクト64、メタル配線72、及びビアコンタクト84を介して固定層11に接続されている。一方、NMOSトランジスタ51のソースは、ビアコンタクト93を介してメタル配線73に接続され、そのメタル配線73はビアコンタクト85を介して書き込みビット線BL1に接続される。更に、NMOSトランジスタ52のソースは、ビアコンタクト94を介してメタル配線74に接続され、そのメタル配線74はビアコンタクト86を介して書き込みビット線BL2に接続される。ここで、メタル配線73、74は、第1配線層に設けられる配線である。磁気記録層2は、デザインルールにしたがって、メモリセルの境界およびビアコンタクト93、94から一定の距離をとって配置される。磁気記録層2の上面にはトンネルバリア膜31が配置され、トンネルバリア膜31の上面にはリファレンス層41が配置される。リファレンス層41はビアコンタクト81を介して読み出しビット線RBLTと接続される。第1配線層に位置する読み出しビット線RBLBは、第2配線層に位置する読み出しビット線RBLTと同一座標に配置される。磁気記録層2の下面にはトンネルバリア膜32が配置され、トンネルバリア膜32の下面にはリファレンス層42が配置される。リファレンス層42は、ビアコンタクト82を介して読み出しビット線RBLBと接続される。
【0056】
第2の実施形態の磁気ランダムアクセスメモリは、その動作が第1の実施形態の磁気ランダムアクセスメモリと同じであり、第1の実施形態の磁気ランダムアクセスメモリと同様、読み出しマージンを広げることができる。加えて、第2の実施形態では、第1の実施形態と比較して、リファレンス層41、42が重ねて配置されるため、固定層11、12の間隔を短くすることができ、メモリセルの面積を縮小できる。また、第2の実施形態では、リファレンス層41、42の間に磁壁が位置することでメモリセル200Aに記憶されているデータが不定になる状態が発生しない。これは、動作の信頼性の向上に好適である。更に、第2の実施形態では、磁壁の移動距離も短くなるため、書き込み時間が短縮できる利点がある。
【0057】
第3の実施形態:
図13は、本発明の第3の実施形態のMRAMのメモリセル200Bのレイアウトを示すレイアウト図である。第2の実施形態では、磁気記録層2にくびれ部131、132が設けられている。くびれ部131は固定層11とリファレンス層41の間に位置し、くびれ部132はリファレンス層42と固定層12の間に位置している。くびれ部131、132は、磁壁に対しピンポテンシャルの役割を果たす。このため、磁気記録層2における磁壁の位置制御が容易となり、データ書き込みの信頼性が向上する。
【0058】
第4の実施形態:
図14は、本発明の第4の実施形態のMRAMのメモリセル200Cのレイアウトを示すレイアウト図である。図14に図示されている第4の実施形態のレイアウトでは、図7に図示されているレイアウトと比較すると、拡散層53、54の幅W(即ち、チャネル幅又はゲート幅)が増大されている。より具体的には、本実施形態では、拡散層53が、書き込みビット線BL1と拡散層53を接続するビアコンタクト91から少なくとも読み出しビット線RBLTの下方の領域まで到達するように設けられ、拡散層54は、書き込みビット線BL2と拡散層54を接続するビアコンタクト92から読み出しビット線RBLBの下方の領域まで到達するように設けられる。ここで、図14のレイアウトでは、拡散層53、54は、読み出しビット線RBLB、RBLTの間の領域まで到達するように設けられている。
【0059】
NMOSトランジスタ51、52のチャネル幅(ゲート幅)を大きくすることで大きな書き込み電流を流すことが可能になり、データ書き込みに要する時間を短縮することができる。大きな書き込み電流を流すという観点からは、拡散層53、54の間の間隔は、デザインルールで許容される最小の寸法であることが好ましい。これにより、NMOSトランジスタ51、52のチャネル幅を最大にすることができる。
【0060】
以上には、本発明の様々な実施形態が記述されているが、本発明は、上記の実施形態に限定して解釈してはならない。本発明は、当業者に自明的な様々な変更と共に実施され得る。また、上述の実施形態は、技術的に矛盾が無い限り、組み合わせて実施できることにも留意されたい。例えば、第3、第4の実施形態の磁気ランダムアクセスメモリのレイアウトは、他の実施形態の磁気ランダムアクセスメモリにも適用可能である。
【符号の説明】
【0061】
200、200A、200B、200C、300:メモリセル
1:磁気抵抗効果素子
11、12:固定層
2:磁気記録層
20:磁壁
3、31、32:トンネルバリア膜
4、41、42:リファレンス層
51、52:NMOSトランジスタ
51a、52a:ドレイン
53、54:拡散層
8、61、62、63、64、81、82、83、84、85、86、91、92、93、94:ビアコンタクト
71、72、73、74:メタル配線
101、102:矢印(磁化の方向)
120、121、122:矢印(磁化の方向)
110、111、112:矢印(磁化の方向)
131、132:くびれ部
200s、300s:選択メモリセル
201、301:Xセレクタ
202、302:書き込み用Yセレクタ
203、303:書き込み電流供給回路
204,304:読み出し用Yセレクタ
205、305:読み出し電流負荷回路
206、306:センスアンプ
207、307:出力回路
308:リファレンス電流回路
WL:ワード線
WLs:選択ワード線
BL1、BL2:書き込みビット線
BL1s、BL2s:選択書き込みビット線
RBL、RBLT、RBLB:読み出しビット線
RBLs、RBLTs、RBLBs:選択読み出しビット線
GND:接地線
DIN:入力データ
DOUT:出力データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリセルを具備し、
前記メモリセルが、
強磁性体で形成された磁気記録層と、
前記磁気記録層に接合された第1及び第2固定層と、
前記磁気記録層に対向するように設けられた第1及び第2リファレンス層と、
前記第1及び第2リファレンス層と前記磁気記録層との間にそれぞれに挿入された第1及び第2トンネルバリア膜
とを備え、
前記第1固定層は、第1方向に固定された磁化を有し、
前記第2固定層は、前記第1方向と逆の第2方向に固定された磁化を有し、
前記第1及び第2リファレンス層と、前記第1及び第2のトンネルバリア膜とが、前記第1固定層と前記第2固定層の間の位置に設けられ、
前記第1リファレンス層は、前記第1方向及び前記第2方向のうちの一方の方向である第3方向に固定された磁化を有しており、
前記第2リファレンス層は、前記第3方向と逆の第4方向に固定された磁化を有している
半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置であって、
更に、
前記第1リファレンス層と前記第1トンネルバリア膜と前記磁気記録層で形成される第1MTJに第1読み出し電流を流し、前記第2リファレンス層と前記第2トンネルバリア膜と前記磁気記録層で形成される第2MTJに第2読み出し電流を流す読み出し回路を備えており、
前記読み出し回路は、前記第1読み出し電流と前記第2読み出し電流とを比較することにより、前記メモリセルに記憶されているデータを判別する
半導体装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の半導体装置であって、
前記第1リファレンス層は、前記磁気記録層の第1面に対向するように設けられ、
前記第2リファレンス層は、前記磁気記録層の前記第1面と反対の第2面に対向するように設けられている
半導体装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の半導体装置であって、
更に、
前記第1固定層と前記第2固定層の間に書き込み電流を流す書き込み回路を備え、
前記第1リファレンス層は、前記第1固定層に隣接して設けられ、
前記第2リファレンス層は、前記第2固定層に隣接して設けられ、
前記メモリセルへのデータ書き込みは、前記磁気記録層の磁壁を、前記第1リファレンス層と前記第1固定層の間の位置、又は、前記第2リファレンス層と前記第2固定層の間の位置に前記書き込み電流によって移動させることで行われる
半導体装置。
【請求項5】
請求項1に記載の半導体装置であって、
更に、
第1及び第2書き込みビット線と、
前記第1及び第2リファレンス層にそれぞれに接続され、前記第1及び第2書き込みビット線の間に前記第1及び第2書き込みビット線と平行に設けられた第1及び第2読み出しビット線
とを備え、
前記メモリセルが、更に、
前記第1固定層に接続されたドレインと前記第1書き込みビット線に接続されたソースとを備える第1MOSトランジスタと、
前記第2固定層に接続されたドレインと前記第2書き込みビット線に接続されたソースとを備える第2MOSトランジスタ
とを備え、
前記第1MOSトランジスタが、第1拡散層と前記第1拡散層を横断するように設けられたワード線とで構成され、
前記第1拡散層が、前記第1MOSトランジスタのソースと前記第1書き込みビット線とを接続するビアコンタクトから、少なくとも前記第1読み出しビット線の下方の領域に到達するように設けられている
半導体装置。
【請求項6】
請求項5に記載の半導体装置であって、
前記第2MOSトランジスタが、第2拡散層と前記ワード線とで構成され、
前記ワード線が前記第2拡散層を横断するように設けられ、
前記複数の読み出しビット線が、前記複数のリファレンス層のうち前記第2固定層に最近接する第2最近接リファレンス層に接続された第2読み出しビット線を含み、
前記第2拡散層が、前記第2MOSトランジスタのソースと前記第2書き込みビット線とを接続するビアコンタクトから、少なくとも前記第2読み出しビット線の下方の領域に到達するように設けられている
半導体装置。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれかに記載の半導体装置であって、
前記磁気記録層には、前記第1リファレンス層と前記第1固定層の間の位置、及び第2リファレンス層と前記第2固定層の間の位置にくびれ部が設けられる
半導体装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の半導体装置を備える磁気ランダムアクセスメモリ。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−26600(P2013−26600A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−163167(P2011−163167)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】