説明

半導体装置

【課題】配線間の影響を抑制することができる多層配線を有する半導体装置を実現する。
【解決手段】本発明の実施形態における半導体装置は、下層の配線層に第1の方向に沿って形成された信号配線11と、下層の配線層と絶縁膜を介して配置される上層の配線層に第1の方向と交差する第2の方向に沿って形成された基準電位配線13と、 上層の配線層に基準電位配線13に沿って近接して形成されたシールド線14a、14bと、を有し、信号配線11と基準電位配線13の交差部15cにおいて基準電位配線13とシールド線14a、14bとの距離が他の部分に比べてより狭くなっていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は多層配線を有する半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の半導体装置は、製造プロセスの微細化による配線間の距離縮小化や配線層間の薄膜化による寄生容量増加が無視できなくなってきており、配線間のカップリングノイズによる誤動作などの問題が顕著になってきている。このため、リファレンス電位などの配線では、隣接配線からのカップリングノイズを抑制するためシールド配線を設けることでノイズの影響を軽減(例えば、「特許文献1」を参照。)させている。
【0003】
しかしながら、このような従来の半導体装置では、リファレンス配線とシールド配線との距離を近づけ過ぎると、通常固定電位に設定されているシールド配線自体からのノイズの影響が無視出来なくなる。また、信号配線や高電圧を転送する高電圧線ではシールド配線を近づけすぎると寄生負荷が増えて消費電流が増えてしまう場合がある。そのため、従来の半導体装置では、リファレンス配線等とシールド配線との距離を広げなければならない場合が生ずることがあった。この時、多層配線を有する従来の半導体装置では、例えば上層のリファレンス配線と下層のノイズ源配線とが交差する部分でいわゆる回り込みの効果によってカップリング容量が増加し、リファレンス電位がより強くノイズ源配線からの影響を受けてしまいタイミングによっては誤動作を引き起こしてしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−12052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、配線間の影響を抑制することができる多層配線を有する半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態における一態様によれば、第1の配線層に第1の方向に沿って形成された第1の配線と、前記第1の配線層と絶縁膜を介して配置される第2の配線層に前記第1の方向と交差する第2の方向に沿って形成された第2の配線と、前記第2の配線をシールドするために前記第2の配線層に前記第2の配線に沿って近接して形成された第3の配線と、を有し、前記第3の配線は前記第1の配線との交差部において配線幅が広く形成され、前記第1の配線と前記第2の配線の交差部においては前記第2の配線と前記第3の配線の距離が狭くなっていることを特徴とする半導体装置が提供される。
【0007】
また、本発明の実施形態における別の一態様によれば、第1の配線層に第1の方向に沿って形成された第1の配線と、前記第1の配線層と絶縁膜を介して配置される第2の配線層に前記第1の方向と交差する第2の方向に沿って形成された第2の配線と、前記第2の配線層に前記第2の配線に沿って近接して形成された第3の配線と、を有し、前記第1の配線と前記第2の配線の交差部において前記第2の配線と前記第3の配線の距離が狭くなっていることを特徴とする半導体装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施例1に係る半導体装置を示すレイアウト図。
【図2】本発明の実施例2に係る半導体装置を示すレイアウト図。
【図3】本発明の実施例3に係る半導体装置を示すレイアウト図。
【図4】本発明の実施例4に係る半導体装置を示すレイアウト図。
【図5】本発明の実施例5に係る半導体装置を示すレイアウト図。
【図6】本発明の実施例5に係る半導体装置を示す別のレイアウト図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は、本発明の実施例1に係る半導体装置を示すレイアウト図である。ここでは、主に、基準電位配線13(リファレンス配線)の一例とそのカップリングノイズにかかわる部分を示した。また、図を簡略にするため、多層配線層のうち絶縁膜を介して積層配置された2つの配線層を示した。下層の配線層に形成された配線レイアウトにはハッチングを施してある。下層の配線層、上層の配線層、及び、下層の配線層と上層の配線層間は絶縁膜で覆われているが、上層の配線レイアウトと下層の配線レイアウトの位置関係を明確にするためここでは絶縁膜は省略している。
【0011】
本発明の実施例1に係る半導体装置は、下層の配線層に形成された信号配線11とシールド線12a、12b、および、上層の配線層に形成された基準電位配線13とシールド線14a、14bを備えている。
【0012】
信号配線11は、下層の配線層に形成され、第1の方向(図1では紙面上下方向。)に沿って延設されている。シールド線12aおよび12bは、下層の配線層に形成され、信号配線11に沿って近接して延設され、信号配線11を挟んで両側に互いに対向して配置されている。
【0013】
基準電位配線13は、上層の配線層に形成され、第1の方向とほぼ直交する第2の方向(図1では紙面左右方向。)に沿って延設されている。上層の配線層は絶縁膜(図1には図示していない。)を挟んで下層の配線層の上方に積層配置されている。すなわち、基準電位配線13は交差部15cで絶縁膜を挟んで下層の信号配線11と立体的に交差している。
【0014】
シールド線14aおよび14bは、上層の配線層に形成され、基準電位配線13に沿って近接して延設され、基準電位配線13を挟んで両側に互いに対向して配置されている。シールド線14aおよび14bは、図1に示したように、それぞれ交差部15a、15bで絶縁膜を挟んで下層の信号配線11と立体的に交差している。
【0015】
信号配線11は、交差部15cでのカップリング容量を介して電気的に基準電位配線13に影響(カップリングノイズ)を与えるノイズ源となる配線である。
【0016】
シールド線12aおよび12bは、同じ下層配線層内で信号配線11に影響を与えるもしくは信号配線11が影響を与えるような近接する他の配線(図1には図示していない。)と信号配線11とを電気的に分離(シールド)する目的で信号配線11の両側に配置され、固定電位、例えば接地電位(Vss)、に電気的に接続されている。
【0017】
基準電位配線13は、半導体装置内の各所で参照される基準電位を伝達する配線であり、交差部15cでのカップリング容量を介して信号配線11から電気的に影響を受ける。
【0018】
シールド線14aおよび14bは、同じ上層配線層内で基準電位配線13に影響を与える近接する他の配線(図1には図示していない。)と基準電位配線13とを電気的に分離(シールド)する目的で基準電位配線13の両側に配置され、固定電位、例えば接地電位(Vss)、に電気的に接続されている。また、シールド線14aおよび14bと基準電位配線13との間は、交差部15aおよび15bの近傍を除いて、シールド線14aまたは14b自体がカップリングノイズの影響で変動した場合にその変動がさらに基準電位配線13に容易に影響しないようにDだけ離れている。
【0019】
シールド線14aの配線幅は、シールド線14aと信号配線11との交差部15a近傍では他の部分での配線幅Wに比べてより広い配線幅w(w>W)に設定され、シールド線14aと基準電位配線13との距離は、交差部15cの近傍で他の部分での距離Dに比べてより狭い距離d(d<D)に設定されている。
【0020】
同様に、シールド線14bの配線幅は、シールド線14bと信号配線11との交差部15b近傍では他の部分での配線幅Wに比べてより広い配線幅w(w>W)に設定され、シールド線14bと基準電位配線13との距離は、交差部15cの近傍で他の部分での距離Dに比べてより狭い距離d(d<D)に設定されている。
【0021】
このように信号配線11と基準電位配線13の交差部15cにおいて、シールド線14aおよび14bとの距離をより狭くすることで信号配線11から基準電位配線13に向かう電気力線をシールド線14aおよび14bに向け、いわゆる回り込み効果による信号配線11と基準電位配線13とのカップリング容量を減少させることができる。
【0022】
上記実施例1によれば、交差部15cでのカップリング容量が減少するので、多層配線間におけるカップリングノイズの影響を抑制することができる。さらに、交差部15c以外では、基準電位配線13とシールド線14の距離を広くすることにより、シールド線14自体からのノイズの影響を小さくすることができる。
【0023】
また、上記実施例1によれば、カップリングノイズの影響を抑制するため交差部15cにおいて基準電位配線13および信号配線11を細くすることがないので、基準電位配線13および信号配線11の抵抗値を低く抑えることができる。
【0024】
上述の実施例1では、シールド線14a、14bは、基準電位配線13の両側に配置されるとしたが、本発明はこれに限られるものではなく、いずれか一方のシールド線に適用することも可能である。
【実施例2】
【0025】
図2は、本発明の実施例2に係る半導体装置を示すレイアウト図である。ここでは、図1と同様に、基準電位配線23(リファレンス配線)の一例とそのカップリングノイズにかかわる部分を示した。また、絶縁膜を省略して2つの配線層を示した。
【0026】
本発明の実施例2に係る半導体装置は、下層の配線層に形成された信号配線21とシールド線22a、22b、および、上層の配線層に形成された基準電位配線23とシールド線24a、24bを備えている。
【0027】
信号配線21、基準電位配線23、およびシールド線22a、22b、24a、24bのレイアウト上の位置関係およびそれらの機能は実施例1と同様であるので、詳しい説明は省略する。実施例1との違いは、上層の配線層に形成されたシールド線24aおよび24bの替わりに下層の配線層に形成されたシールド線22aおよび22bが信号配線21と基準電位配線23との交差部25c近傍で信号配線21により近くなるよう形成されていることである。
【0028】
すなわち、シールド線22aおよび22bは、下層の配線層に形成され、信号配線21に沿って近接して延設され、信号配線21を挟んで両側に互いに対向して配置されている。シールド線22aおよび22bは、図2に示したように、それぞれ交差部25a、25bで絶縁膜を挟んで上層の基準電位配線23と立体的に交差している。そして、シールド線22aおよび22bと信号配線21との間は、交差部25aおよび25bの近傍を除いて、シールド線22aまたは22b自体がカップリングノイズの影響で変動した場合にその変動がさらに信号配線21に容易に影響しないようにDだけ離れている。
【0029】
シールド線22aの配線幅は、シールド線22aと基準電位配線23との交差部25a近傍では他の部分での配線幅Wに比べてより広い配線幅w(w>W)に設定され、シールド線22aと信号配線21との距離は、交差部25cの近傍で他の部分での距離Dに比べてより狭い距離d(d<D)に設定されている。
【0030】
同様に、シールド線22bの配線幅は、シールド線22bと基準電位配線23との交差部25b近傍では他の部分での配線幅Wに比べてより広い配線幅w(w>W)に設定され、シールド線22bと信号配線21との距離は、交差部25cの近傍で他の部分での距離Dに比べてより狭い距離d(d<D)に設定されている。
【0031】
このように信号配線21と基準電位配線23の交差部25cにおいて、信号配線21とシールド線22aおよび22bとの距離をより狭くすることで基準電位配線23から信号配線21に向かう電気力線をシールド線22aおよび22bに向け、いわゆる回り込み効果による信号配線21と基準電位配線23とのカップリング容量を減少させることができる。特に、基準電位配線23が太く信号配線21との交差部25cで信号配線21との重なりが長い場合(図2では上下方向の距離が長い場合。)に有効である。
【0032】
上記実施例2によれば、交差部25cでのカップリング容量が減少するので、多層配線間におけるカップリングノイズの影響を抑制することができる。さらに、交差部25c以外では、信号配線21とシールド線22の距離を広くすることにより、信号配線21とシールド線22間の負荷容量を小さくすることができる。
【0033】
また、上記実施例2によれば、カップリングノイズの影響を抑制するため交差部25cにおいて基準電位配線23および信号配線21を細くすることがないので、基準電位配線23および信号配線21の抵抗値を低く抑えることができる。
【0034】
上述の実施例2では、シールド線22a、22bは、信号配線21の両側に配置されるとしたが、本発明はこれに限られるものではなく、いずれか一方のシールド線に適用することも可能である。
【実施例3】
【0035】
図3は、本発明の実施例3に係る半導体装置を示すレイアウト図である。ここでは、図1と同様に、基準電位配線33(リファレンス配線)の一例とそのカップリングノイズにかかわる部分を示した。また、絶縁膜を省略して2つの配線層を示した。
【0036】
本発明の実施例3に係る半導体装置は、下層の配線層に形成された信号配線31とシールド線32a、32b、および、上層の配線層に形成された基準電位配線33とシールド線34a、34bを備えている。
【0037】
信号配線31、基準電位配線33、およびシールド線32a、32b、34a、34bのレイアウト上の位置関係およびそれらの機能は実施例1と同様であるので、詳しい説明は省略する。実施例1との違いは、上層の配線層に形成された基準電位配線33が信号配線31との交差部35c近傍で他の部分より細く形成されていることである。
【0038】
すなわち、基準電位配線33の配線幅は、図3に示したように、信号配線31との交差部35c近傍では他の部分での配線幅W1に比べてより狭い配線幅w1(w1<W1)に設定されている。この交差部35c近傍における基準電位配線33の配線幅w1は、基準電位配線33の抵抗値が設計の要請から許容される値になるように設定されている。
【0039】
また、シールド線34aの配線幅は、シールド線34aと信号配線31との交差部35a近傍では他の部分での配線幅W2に比べてより広い配線幅w2(w2>W2)に設定され、シールド線34aと基準電位配線33との距離は、交差部35cの近傍で他の部分での距離Dに比べてより狭い距離d(d<D)に設定されている。
【0040】
同様に、シールド線34bの配線幅は、シールド線34bと信号配線31との交差部35b近傍では他の部分での配線幅W2に比べてより広い配線幅w2(w2>W2)に設定され、シールド線34bと基準電位配線33との距離は、交差部35cの近傍で他の部分での距離Dに比べてより狭い距離d(d<D)に設定されている。
【0041】
このように信号配線31と基準電位配線33の交差部35cにおいて、シールド線34aおよび34bとの距離をより狭くすることで信号配線31から基準電位配線33に向かう電気力線をシールド線34aおよび34bに向け、いわゆる回り込み効果による信号配線31と基準電位配線33とのカップリング容量を減少させることができる。さらに、交差部35c以外では、基準電位配線33とシールド線34の距離を広くすることにより、シールド線14自体からのノイズの影響を小さくすることができる。
【0042】
また、交差部35cにおいて基準電位配線33の配線幅を細くすることにより信号配線31と基準電位配線33とがオーバーラップする面積を減少させることができ、それらのカップリング容量をさらに減少させることができる。
【0043】
特に、信号配線31が太く基準電位配線33との交差部35cで基準電位配線33との重なりが長い場合(図3では信号配線31が基準電位配線33よりも太い場合。)に有効である。
【0044】
上記実施例3によれば、多層配線間におけるカップリングノイズの影響をさらに抑制することができる。
【0045】
上述の実施例3では、シールド線34a、34bは、基準電位配線33の両側に配置されるとしたが、本発明はこれに限られるものではなく、いずれか一方のシールド線に適用することも可能である。
【実施例4】
【0046】
図4は、本発明の実施例4に係る半導体装置を示すレイアウト図である。ここでは、図1と同様に、基準電位配線43(リファレンス配線)の一例とそのカップリングノイズにかかわる部分を示した。また、絶縁膜を省略して2つの配線層を示した。
【0047】
本発明の実施例4に係る半導体装置は、下層の配線層に形成された信号配線41とシールド線42a、42b、および、上層の配線層に形成された基準電位配線43とシールド線44a、44bを備えている。
【0048】
信号配線41、基準電位配線43、およびシールド線42a、42b、44a、44bのレイアウト上の位置関係およびそれらの機能は実施例2と同様であるので、詳しい説明は省略する。実施例2との違いは、下層の配線層に形成された信号配線41が基準電位配線43との交差部45c近傍で他の部分より細く形成されていることである。
【0049】
すなわち、信号配線41の配線幅は、図4に示したように、基準電位配線43との交差部45c近傍では他の部分での配線幅W1に比べてより狭い配線幅w1(w1<W1)に設定されている。この交差部45c近傍における信号配線41の配線幅w1は、信号配線41の抵抗値が設計の要請から許容される値になるように設定されている。
【0050】
また、シールド線42aの配線幅は、シールド線42aと基準電位配線43との交差部45a近傍では他の部分での配線幅W2に比べてより広い配線幅w2(w2>W2)に設定され、シールド線42aと信号配線41との距離は、交差部45cの近傍で他の部分での距離Dに比べてより狭い距離d(d<D)に設定されている。
【0051】
同様に、シールド線42bの配線幅は、シールド線42bと基準電位配線43との交差部45b近傍では他の部分での配線幅W2に比べてより広い配線幅w2(w2>W2)に設定され、シールド線42bと信号配線41との距離は、交差部45cの近傍で他の部分での距離Dに比べてより狭い距離d(d<D)に設定されている。
【0052】
このように信号配線41と基準電位配線43の交差部45cにおいて、信号配線41とシールド線42aおよび42bとの距離をより狭くすることで基準電位配線43から信号配線41に向かう電気力線をシールド線42aおよび42bに向け、いわゆる回り込み効果による信号配線41と基準電位配線43とのカップリング容量を減少させることができる。さらに、交差部45c以外では、信号配線41とシールド線42の距離を広くすることにより、信号配線41とシールド線42間の負荷容量を小さくすることができる。
【0053】
また、交差部45cにおいて信号配線41の配線幅を細くすることにより信号配線41と基準電位配線43とがオーバーラップする面積を減少させることができ、それらのカップリング容量をさらに減少させることができる。
【0054】
特に、基準電位配線43が太く信号配線41との交差部45cで信号配線41との重なりが長い場合(図4では基準電位配線43が信号配線41よりも太い場合。)に有効である。
【0055】
上記実施例4によれば、多層配線間におけるカップリングノイズの影響をさらに抑制することができる。
【0056】
上述の実施例4では、シールド線42a、42bは、信号配線41の両側に配置されるとしたが、本発明はこれに限られるものではなく、いずれか一方のシールド線に適用することも可能である。
【実施例5】
【0057】
図5は、本発明の実施例5に係る半導体装置を示すレイアウト図である。ここでは、図1と同様に、基準電位配線53(リファレンス配線)の一例とそのカップリングノイズにかかわる部分を示した。また、絶縁膜を省略して2つの配線層を示した。
【0058】
本発明の実施例5に係る半導体装置は、下層の配線層に形成された信号配線51とシールド線52a、52b、および、上層の配線層に形成された基準電位配線53とシールド線54a、54bを備えている。
【0059】
信号配線51、基準電位配線53、およびシールド線52a、52b、54a、54bのレイアウト上の位置関係およびそれらの機能は実施例1と同様であるので、詳しい説明は省略する。実施例1との違いは、シールド線54a、54bが、信号配線51との交差部55a、55b近傍で幅広く形成される替わりに基準電位配線53に向かってコの字型に形成されていることである。
【0060】
すなわち、図5に示したように、シールド線54aは、シールド線54aと信号配線51との交差部55a近傍では基準電位配線53に向かってコの字型、つまり、図5の紙面下方向に向かって凸型に形成され、シールド線54aと基準電位配線53との距離は、交差部55cの近傍で他の部分での距離Dに比べてより狭い距離d(d<D)に設定されている。
【0061】
同様に、シールド線54bは、シールド線54bと信号配線51との交差部55b近傍では基準電位配線53に向かってコの字型、つまり、図5の紙面上方向に向かって凸型に形成され、シールド線54bと基準電位配線53との距離は、交差部55cの近傍で他の部分での距離Dに比べてより狭い距離d(d<D)に設定されている。
【0062】
このように信号配線51と基準電位配線53の交差部55cにおいて、シールド線54aおよび54bとの距離をより狭くすることで信号配線51から基準電位配線53に向かう電気力線をシールド線54aおよび54bに向け、いわゆる回り込み効果による信号配線51と基準電位配線53とのカップリング容量を減少させることができる。
【0063】
また、シールド線54a、54bをコの字型に形成することで、例えば図6に示したように、コの字型の内側に下層配線層にある信号配線51へのコンタクト66を形成することができ、レイアウトの自由度を向上させることができる。
【0064】
上記実施例5によれば、実施例1と同様の効果が得られるばかりでなく、レイアウト面積を抑制しつつ配線レイアウトの自由度を向上させることができる。
【0065】
上述の実施例5では、シールド線54a、54bは、基準電位配線53の両側に配置されるとしたが、本発明はこれに限られるものではなく、いずれか一方のシールド線に適用することも可能である。
【0066】
また、上述の実施例5では、上層の配線層に形成されたシールド線54a、54bをコの字型に改良するとしたが、本発明はこれに限られるものではなく、下層の配線層に形成されるシールド線52a、52bをコの字型に改良するようにしても良い。
【0067】
また、上層の配線層に形成されたシールド線54a、54bをコの字型に改良するとしたが、コの字型に限られない。少なくとも、交差部55a、55b近傍でシールド線54a、54bが基準電位配線53に近づくような形状になっていれば良い。
【0068】
さらに、上述の実施例1〜実施例5では、上層または下層の配線層いずれかの配線レイアウトを改良するとしたが、本発明はこれに限られるものではなく、両方の配線層をそれぞれ独立してともに改良しても良い。
【0069】
さらに、上述の実施例1〜実施例5では、シールド線は固定電位に電気的に接続されるとしたが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば基準電位が参照される特定のタイミングの前後、つまり、交差部でのカップリングノイズの影響がシステムの動作に支障をきたすようなタイミングでシールド線として機能する配線であれば適用可能である。
【0070】
さらに、上述の実施例1〜実施例5では、カップリングノイズの影響を受ける配線は基準電位配線であるとしたが、本発明はこれに限られるものではなく、交差部でのカップリングノイズの影響がシステムの動作に支障をきたす配線であれば適用可能である。
【0071】
さらに、実施例1と実施例2を組み合わせた形態も可能である。例えば、交差部15において、下層のシールド線と信号配線の距離が短くなり、かつ、上層のシールド線と基準電位配線の距離が短くなっていても良い。その結果、交差部でのカップリングノイズの影響をさらに減らすことができる。
【0072】
さらに、実施例3と実施例4を組み合わせた形態も可能である。例えば、交差部15において、下層のシールド線と信号配線の距離が短くすると共に信号配線の幅を狭くし、かつ、上層のシールド線と基準電位配線の距離が短くすると共に基準電位配線の幅を狭くしても良い。その結果、交差部でのカップリングノイズの影響をさらに減らすことができる。
【0073】
さらに、実施例5の形態を上層の配線と下層の配線の両方に適用することも可能である。例えば、交差部15において、下層のシールド線を信号配線に近づけ、かつ、上層のシールド線を基準電位配線に近づけても良い。その結果、交差部でのカップリングノイズの影響をさらに減らすことができる。また、さらに配線レイアウトの自由度を向上させることができる。
【0074】
以上において本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0075】
例えば、基準電位配線と信号配線が交差する場合に限られず、基準電位配線と高電圧配線、信号配線と高電圧配線が交差する場合でも適用できる。
【符号の説明】
【0076】
11 信号配線
12a、12b、14a、14b シールド線
13 基準電位配線
15a〜15c 交差部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の配線層に第1の方向に沿って形成された第1の配線と、
前記第1の配線層と絶縁膜を介して配置される第2の配線層に前記第1の方向と交差する第2の方向に沿って形成された第2の配線と、
前記第2の配線をシールドするために前記第2の配線層に前記第2の配線に沿って近接して形成された第3の配線と、を有し、
前記第3の配線は前記第1の配線との交差部において配線幅が広く形成され、前記第1の配線と前記第2の配線の交差部においては前記第2の配線と前記第3の配線の距離が狭くなっていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
第1の配線層に第1の方向に沿って形成された第1の配線と、
前記第1の配線層と絶縁膜を介して配置される第2の配線層に前記第1の方向と交差する第2の方向に沿って形成された第2の配線と、
前記第2の配線層に前記第2の配線に沿って近接して形成された第3の配線と、を有し、
前記第1の配線と前記第2の配線の交差部において前記第2の配線と前記第3の配線の距離が狭くなっていることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
前記第3の配線は、前記第1の配線との交差部において配線幅が広く形成されていることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2の配線は、前記第1の配線との交差部において配線幅が狭く形成されていることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第3の配線は、前記第1の配線との交差部において前記第2の配線に向かってコの字型に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−74075(P2013−74075A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211666(P2011−211666)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】