説明

半導体集積回路及びノイズ耐性検査方法

【課題】半導体集積回路のノイズ除去機能の特性を正確に測定することができる半導体集積回路及びノイズ耐性検査方法を提供する。
【解決手段】半導体集積回路1Aは、入力信号IN中のノイズ成分の振幅を減衰させてノイズ除去信号OUTを出力する入力バッファ11と、ノイズ除去信号OUTの論理レベルが変化したときに、この論理レベルの変化に応じて論理信号をラッチする論理回路12,13とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気信号中のノイズ成分を除去するノイズ除去機能を検査する技術に関し、特に、半導体集積回路に組み込まれたノイズ除去回路の機能を検査する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路においては、入力信号中のノイズ成分の振幅を減衰させて内部回路へのノイズの混入を防止するために、たとえば、ローパスフィルタ特性を有するノイズ除去回路が組み込まれている。半導体集積回路の出荷時には、ノイズ除去回路のノイズ耐性などの特性を保証するためにその実力値を検査することが行われる。この種のノイズ除去回路に関する先行技術文献としては、たとえば、特開2002−217695号公報(特許文献1)が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−217695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のノイズ耐性の特性については、たとえば、半導体集積回路の入力端子にノイズを含むテスト信号を入力し、このテスト信号に応じて半導体集積回路が誤動作を起こすか否かを調べるという機能検査により良否判定(PASS/FAIL判定)が行われていた。
【0005】
しかしながら、このような機能検査では、半導体集積回路に組み込まれたノイズ除去回路の特性を直接測定することができず、ノイズ除去回路以外の別回路がテスト信号に応答し測定結果に影響を与えるため、ノイズ耐性に関する正確な実力値(誤動作を起こさない特性値の範囲)を測定することが困難であった。また、検査に要する時間が増大するという問題もあった。
【0006】
上記に鑑みて本発明の目的は、半導体集積回路のノイズ除去機能の特性を正確に測定することができる半導体集積回路及びノイズ耐性検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による半導体集積回路は、外部から入力された信号中のノイズ成分の振幅を減衰させてノイズ除去信号を出力する入力バッファと、前記ノイズ除去信号を入力とし、前記ノイズ除去信号の論理レベルが第1の論理レベルから該第1の論理レベルとは異なる第2の論理レベルに変化したときに、この論理レベルの変化に応じて、前記第1及び第2の論理レベルのうちのいずれか一方を有する論理信号をラッチする論理回路とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明によるノイズ耐性検査方法は、前記半導体集積回路にテスト信号を入力させるステップと、前記テスト信号が前記入力端子に入力される間、前記半導体集積回路の外部出力端子から出力された応答信号の論理レベルを監視するステップとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、論理回路に保持される論理信号に基づいて、ノイズ耐性に関する正確な特性を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る実施の形態1のノイズ除去機能付き半導体集積回路の主要部を概略的に示す図である。
【図2】入力バッファの構成の一例を示す図である。
【図3】実施の形態1に係るノイズ耐性検査方法を説明するための図である。
【図4】入力回路における各種信号波形を示すタイミングチャートである。
【図5】入力回路における各種信号波形を示すタイミングチャートである。
【図6】本発明に係る実施の形態2のノイズ除去機能付き半導体集積回路の主要部を概略的に示す図である。
【図7】実施の形態2に係るノイズ耐性検査方法を説明するための図である。
【図8】本発明に係る実施の形態3のノイズ除去機能付き半導体集積回路の主要部を概略的に示す図である。
【図9】RS型フリップフロップの一例を示す図である。
【図10】入力回路における各種信号波形を示すタイミングチャートである。
【図11】入力回路における各種信号波形を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る種々の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0012】
実施の形態1.
図1は、本発明に係る実施の形態1のノイズ除去機能付き半導体集積回路1Aの主要部を概略的に示す図である。この半導体集積回路1Aは、外部入力端子である入力パッド41,42と、入力パッド41,42から入力された信号を受け付ける入力回路(入力インタフェース部)10と、内部回路20と、内部回路20の出力信号を外部に出力する出力回路(出力インタフェース部)30とを備える。
【0013】
入力回路10は、入力バッファ(ノイズ除去回路)11と、D型フリップフロップ12,13と、論理和(OR)ゲート14とを含む。入力バッファ11は、入力パッド41から入力された入力信号INに含まれるノイズ成分の振幅を減衰させてノイズ除去信号を出力するフィルタ機能を有している。入力バッファ11から出力されたノイズ除去信号OUTは、内部回路20と、D型フリップフロップ12,13とにそれぞれ供給される。図2は、入力バッファ11の構成の一例を示す図である。図2に示される入力バッファ11は、直列接続されたインバータ(論理反転回路)111,112と、抵抗素子113と、この抵抗素子113と並列接続されたキャパシタ114と、直列接続されたインバータ(論理反転回路)115,116とを有するものである。抵抗素子113とキャパシタ114とでローパスフィルタが構成されている。なお、入力バッファ11の構成は、図2に示すものに限定されない。
【0014】
D型フリップフロップ12は、図1に示されるように、データ入力端子(D端子)と、データ出力端子である正相出力端子(Q端子)と、入力パッド42に接続された逆相リセット入力端子(RN端子)と、正相クロック入力端子とを有している。他方のD型フリップフロップ13は、データ入力端子(D端子)と、データ出力端子である正相出力端子(Q端子)と、入力パッド42に接続された逆相リセット入力端子(RN端子)と、逆相クロック入力端子とを有する。D型フリップフロップ12,13のD端子には、一方の論理レベル(Hレベル)に相当する電源電圧VDDが供給されている。
【0015】
これらD型フリップフロップ12,13の動作は典型的なD型フリップフロップの動作と同じである。すなわち、D型フリップフロップ12は、正相クロック入力端子に入力されるノイズ除去信号の立ち上がりエッジ(ノイズ除去信号の論理レベルのLレベルからHレベルへの変化)に応じて、D端子に入力される電源電圧VDDの論理信号をラッチ(記憶)し、次の立ち上がりエッジが正相クロック入力端子に入力するまで当該論理信号を保持し続ける。また、D型フリップフロップ12は、保持する論理信号をQ端子からORゲート14に出力する。他方のD型フリップフロップ13は、逆相クロック入力端子に入力されるノイズ除去信号の立ち下がりエッジ(ノイズ除去信号の論理レベルのHレベルからLレベルへの変化)に応じて、D端子に入力される電源電圧VDDの論理信号をラッチ(記憶)し、次の立ち下がりエッジが逆相クロック入力端子に入力するまで当該論理信号を保持し続ける。また、D型フリップフロップ13は、保持する論理信号をQ端子からORゲート14に出力する。ORゲート14は、D型フリップフロップ12の出力とD型フリップフロップ13の出力とに論理和演算を施し、その結果を示す信号TESTOUTを出力パッド(外部出力端子)43に出力する。
【0016】
また、入力パッド42にリセットパルスを含むリセット信号RSTが入力されると、D型フリップフロップ12,13は、このリセットパルスの立ち下がりエッジに応じて、保持する信号の値を初期値(Lレベルに相当する論理値)にリセットする。
【0017】
上記半導体集積回路1Aのノイズ耐性に関する検査は、図3に示されるようなテスタ2Aを用いて行われる。テスタ2Aは、既知のノイズ成分を含むテスト信号INとリセット信号RSTとを半導体集積回路1Aに供給し、テスト信号INに対して入力回路10から出力された応答信号TESTOUTを取得する。テスタ2Aは、応答信号TESTOUTの論理レベルに基づいて、ノイズ耐性に関する実力値(たとえば、パルス幅やデューティ比)を測定することができる。具体的には、テスタ2Aは、周期的にリセットパルスをリセット信号RSTとして出力しつつ、テスト信号INの波形を時間とともに段階的に変化させる。この間、テスタ2Aは、応答信号TESTOUTの論理レベルを監視し、応答信号TESTOUTの論理レベルが変化したときに入力バッファ11のノイズ除去機能が限界を超えたと判断する。そして、テスタ2Aは、ノイズ除去機能が限界を超えた直前における当該応答信号TESTOUTの特性(たとえば、パルス幅やデューティ比や周波数)を記録する。これにより、入力バッファ11のノイズ除去特性(ノイズ耐性)の実力値を正確に把握することができる。
【0018】
上記構成を有する入力回路10の動作を図4及び図5を参照しつつ以下に説明する。図4及び図5は、入力回路10における各種信号RST,IN,OUT,TESTOUTの波形を示すタイミングチャートである。図4は、テスト信号INのパルスのデューティ比が50%未満のときの信号波形を示すタイミングチャートであり、図5は、テスト信号INのパルスのデューティ比が50%を超える場合の信号波形を示すタイミングチャートである。本明細書でのデューティ比(デューティサイクル)とは、高レベル(Hレベル)区間のパルス幅をパルス周期で割った値をいう。図4及び図5のストローブSTRBは、信号波形ではなく、テスタ2Aが応答信号TESTOUTの論理レベルをサンプリングするタイミング(ストロープポイント)を表すものである。図4では、ストローブポイントは、リセットパルスと同期して、時刻t11,t12,t13,t14,t15,t16,…に設定され、図5では、ストローブポイントは、リセットパルスと同期して、時刻t21,t22,t23,t24,t25,t26,…に設定されている。
【0019】
図4に示されるように、テスト信号INの高レベルのパルス幅(たとえば、数十ナノ秒〜数百ナノ秒程度のパルス幅)が時間とともに段階的に大きくなる場合は、時刻tがt13に達するまで、入力バッファ11は、テスト信号INのパルスを完全に除去しているので、低レベル(Lレベル)のノイズ除去信号OUTを出力している。その後、時刻tがt14に達する直前に、入力バッファ11は、テスト信号INのパルスを除去することができず、立ち上がり及び立ち下がりのパルスエッジを有するノイズ除去信号OUTを出力する。このため、D型フリップフロップ12は、当該パルスの立ち上がりエッジに応じて高レベルを有する論理信号をラッチし、この論理信号をORゲート14に出力する。一方、D型フリップフロップ13は、当該パルスの立ち下がりエッジに応じて高レベルを有する論理信号をラッチし、この論理信号をORゲート14に出力する。よって、出力パッド43は、時刻t14の時点で高レベルの論理信号を応答信号TESTOUTとしてテスタ2Aに出力する。これにより、テスタ2Aは、応答信号TESTOUTの論理レベルの変化(低レベルから高レベルへの変化)を検出することができ、テスト信号INのパルス幅が入力バッファ11のノイズ除去性能の限界を超えたと判断することができる。
【0020】
一方、図5に示されるように、テスト信号INの低レベルのパルス幅(たとえば、数十ナノ秒〜数百ナノ秒程度のパルス幅)が時間とともに段階的に大きくなる場合は、時刻tがt23に達するまで、入力バッファ11は、テスト信号INのパルスを完全に除去しているので、低レベル(Lレベル)のノイズ除去信号OUTを出力している。その後、時刻tがt24に達する直前に、入力バッファ11は、テスト信号INのパルスを除去することができず、立ち下がり及び立ち上がりのパルスエッジを有するノイズ除去信号OUTを出力する。このため、D型フリップフロップ13は、当該パルスの立ち下がりエッジに応じて高レベルを有する論理信号をラッチし、この論理信号をORゲート14に出力する。一方、D型フリップフロップ12は、当該パルスの立ち上がりエッジに応じて高レベルを有する論理信号をラッチし、この論理信号をORゲート14に出力する。よって、出力パッド43は、時刻t24の時点で高レベルの論理信号を応答信号TESTOUTとしてテスタ2Aに出力する。これにより、テスタ2Aは、応答信号TESTOUTの論理レベルの変化(低レベルから高レベルへの変化)を検出することができ、テスト信号INの低レベルのパルス幅が入力バッファ11のノイズ除去性能の限界を超えたと判断することができる。
【0021】
以上に説明したように実施の形態1の半導体集積回路1Aでは、入力バッファ11にノイズ除去性能の限界を超えた信号INが入力された場合には、その場合に対応する論理値をD型フリップフロップ12,13に記憶させることができる。また、当該論理値は、出力パッド43を介して外部に取り出すことが可能である。したがって、入力バッファ11のノイズ耐性に関する実力値を直接的に測定することができる。また、従来の機能検査と比べて、検査に要する時間を大幅に短縮することができる。
【0022】
また、入力バッファ11は、ノイズ除去信号OUTの立ち上がりエッジ(論理レベルの低レベルから高レベルへの変化)に応じて論理信号をラッチするD型フリップフロップ12と、ノイズ除去信号OUTの立ち下がりエッジ(論理レベルの高レベルから低レベルへの変化)に応じて論理信号をラッチするD型フリップフロップ12とを有しているので、ノイズ除去信号OUTの波形変化を精度良く検出することができる。
【0023】
さらに、D型フリップフロップ12,13が保持する論理値は、リセット信号RSTのリセットパルスにより初期値にリセットされる。図4及び図5に示されるように、テスタ2Aは、リセットパルスと同期して、テスト信号INの波形を段階的に変化させ、且つ、応答信号TESTOUTの信号レベルをストローブポイントでサンプリングするので、応答信号TESTOUTの論理レベルの変化を確実に検出することができ、しかも、その変化が生じた時点でのテスト信号INの波形を確実に特定することができる。したがって、ノイズ耐性を高い精度で検査することができる。
【0024】
実施の形態2.
次に、本発明に係る実施の形態2について説明する。図6は、実施の形態2のノイズ除去機能付き半導体集積回路1Bの主要部を概略的に示す図である。この半導体集積回路1Bは、外部入力端子である入力パッド41〜41,42と、入力パッド41〜41,42から入力された信号を受け付ける入力回路(入力インタフェース部)10Bと、内部回路21と、内部回路21の出力信号を外部に出力する出力回路(出力インタフェース部)31とを備える。
【0025】
入力回路10Bは、入力バッファ11Bと、ORゲート14,15と、論理積(AND)ゲート16と、D型フリップフロップ12,13とを含む。D型フリップフロップ12,13及び論理和ゲート14の各機能は、上記実施の形態1のD型フリップフロップ12,13及び論理和ゲート14(図1)の各機能と同じである。
【0026】
入力バッファ11Bは、入力3系統の3個のノイズ除去回路11〜11からなり、これらノイズ除去回路11〜11は、入力パッド41〜41から入力された信号に含まれるノイズ成分の振幅を減衰させてそれぞれノイズ除去信号OUT1,OUT2,OUT3を出力するフィルタ機能を有する。これらノイズ除去信号OUT1,OUT2,OUT3は、論理和ゲート15と論理積ゲート16とにそれぞれ出力される。論理和ゲート15は、ノイズ除去信号OUT1,OUT2,OUT3に論理和演算を施し、その演算結果をD型フリップフロップ12の正相クロック入力端子に出力する。一方、論理積ゲート16は、ノイズ除去信号OUT1,OUT2,OUT3に論理積演算を施し、その演算結果をD型フリップフロップ13の逆相クロック入力端子に出力する。
【0027】
上記半導体集積回路1Bのノイズ耐性に関する検査は、図7に示されるように、テスタ2Bを用いて行われる。テスタ2Bは、スト信号IN1,IN2,IN3とリセット信号RSTとを半導体集積回路1Bに供給し、テスト信号IN1,IN2,IN3に対して入力回路10Bから出力された応答信号TESTOUTを取得する。テスタ2Bは、応答信号TESTOUTの論理レベルに基づいて、ノイズ耐性に関する実力値(たとえば、パルス幅やデューティ比)を測定することができる。
【0028】
具体的には、テスタ2Bは、テスト信号IN1〜IN3のうちの1つのテスト信号INk(kは1〜3の範囲内の整数)の波形を時間とともに段階的に変化させ、他のテスト信号の波形を固定(たとえば、他のテスト信号の論理レベルをHレベルまたはLレベルに固定)することができる。この間、テスタ2は、応答信号TESTOUTの論理レベルを監視し、応答信号TESTOUTの論理レベルが変化したときにノイズ除去回路11のノイズ除去機能が限界を超えたと判断する。そして、テスタ2は、ノイズ除去機能が限界を超えた直前における当該応答信号TESTOUTの特性(たとえば、パルス幅やデューティ比や周波数)を記録する。このようにしてノイズ除去回路11〜11の各々についてノイズ除去特性(ノイズ耐性)の実力値を正確に把握することができる。
【0029】
たとえば、ノイズ除去回路11のノイズ耐性を測定する場合、テスタ2Bは、まず、テスト信号IN2,IN3の論理レベルをLレベルに固定し、図4に示されるようなデューティ比が次第に大きくなる信号INと同じテスト信号IN1を供給する。テスト信号IN1の高レベルのパルス幅がノイズ除去回路11のノイズ除去性能の限界を超えたとき、論理和ゲート15は、立ち上がりエッジを有する信号をD型フリップフロップ12の正相クロック入力端子に供給するので、D型フリップフロップ12は、その信号入力に応じて高レベルの論理信号をラッチし、論理和ゲート14を介して出力パッド43に出力する。よって、テスタ2Bは、応答信号TESTOUTの論理レベルの変化(低レベルから高レベルへの変化)を検出することができる。
【0030】
次に、テスタ2Bは、テスト信号IN2,IN3の論理レベルをHレベルに固定し、図5に示されるようなデューティ比が次第に小さくなる信号INと同じテスト信号IN1を供給する。テスト信号IN1の低レベルのパルス幅がノイズ除去回路11のノイズ除去性能の限界を超えたとき、論理積ゲート16は、立ち下がりエッジを有する信号をD型フリップフロップ13の逆相クロック入力端子に供給するので、D型フリップフロップ13は、その信号入力に応じて高レベルの論理信号をラッチし、論理和ゲート14を介して出力パッド43に出力する。よって、テスタ2Bは、応答信号TESTOUTの論理レベルの変化(低レベルから高レベルへの変化)を検出することができる。
【0031】
以上に説明したように、実施の形態3では、入力3系統にそれぞれ対応する3個のノイズ除去回路11〜11のいずれかにノイズ除去性能の限界を超えた信号が入力された場合には、その場合に対応する論理値をD型フリップフロップ12,13のいずれかに記憶させることができる。また、当該論理値は、出力パッド43を介して外部に取り出すことが可能である。したがって、複数の外部人力端子について、それぞれのノイズ耐性の検査を行うことができる。
【0032】
実施の形態3.
次に、本発明に係る実施の形態3について説明する。図8は、実施の形態3のノイズ除去機能付き半導体集積回路1Cの主要部を概略的に示す図である。この半導体集積回路1Cは、外部入力端子である入力パッド41,42と、入力パッド41,42から入力された信号を受け付ける入力回路(入力インタフェース部)50と、内部回路20と、内部回路20の出力信号を外部に出力する出力回路(出力インタフェース部)30とを備える。
【0033】
入力回路50は、入力バッファ(ノイズ除去回路)11と、RS型フリップフロップ52,53と、論理積(AND)ゲート55とを含む。入力バッファ11の機能は、上記実施の形態1の入力バッファ11の機能と同じである。入力バッファ11から出力されたノイズ除去信号OUTは、内部回路20と、RS型フリップフロップ52と、インバータ(論理反転回路)54とにそれぞれ供給される。
【0034】
RS型フリップフロップ52は、図8に示されるように、入力バッファ11の出力端子に接続された逆相セット入力端子(SN端子)と、入力パッド42に接続された逆相リセット入力端子(RN端子)と、データ出力端子(Q端子)とを有している。他方のRS型フリップフロップ53は、インバータ54の出力端子に接続された逆相セット入力端子(SN端子)と、入力パッド42に接続された逆相リセット入力端子(RN端子)と、データ出力端子(Q端子)とを有している。RS型フリップフロップ52,53のQ端子はともにANDゲート55に接続されている。図9は、RS型フリップフロップ52の一例を示す図であるが、これに限定されるものではない。図9のRS型フリップフロップ52は、2つのNANDゲート521,522からなり、一方のNANDゲート521の出力が帰還して他方のNANDゲート522に入力し、他方のNANDゲート522の出力が帰還して一方のNANDゲート521に入力している。RS型フリップフロップ53も、RS型フリップフロップ52と同じ構成を有する。
【0035】
RS型フリップフロップ52,53の動作は典型的なRS型フリップフロップの動作と同じである。RS型フリップフロップ52のQ端子からHレベルの信号Naが出力され、RS型フリップフロップ53のQ端子からLレベルの信号Nbが出力されている場合に、入力バッファ11の出力信号OUTの論理レベルが低レベルから高レベルに変化すると、RS型フリップフロップ52の出力信号Naの論理レベル(Hレベル)は変化しないが、RS型フリップフロップ53の出力信号Nbの論理レベルがLレベルからHレベルに変化する。一方、RS型フリップフロップ52のQ端子からLレベルの信号Naが出力され、RS型フリップフロップ53のQ端子からHレベルの信号Nbが出力されている場合に、入力バッファ11の出力信号OUTの論理レベルが高レベルから低レベルに変化すると、RS型フリップフロップ53の出力信号Nbの論理レベル(Hレベル)は変化しないが、RS型フリップフロップ52の出力信号Naの論理レベルがLレベルからHレベルに変化する。
【0036】
また、入力パッド42にリセットパルスを含むリセット信号RSTが入力されると、RS型フリップフロップ52,53は、このリセットパルスのエッジに応じて、保持する信号の値を初期値(Lレベルに相当する論理値)にリセットする。
【0037】
上記半導体集積回路1Cのノイズ耐性に関する検査は、実施の形態1のテスタ2A(図3)を用いて行うことができる。テスタ2Aは、既知のノイズ成分を含むテスト信号INとリセット信号RSTとを半導体集積回路1Cに供給し、テスト信号INに対して入力回路50から出力された応答信号TESTOUTを取得する。テスタ2Aは、応答信号TESTOUTの論理レベルに基づいて、ノイズ耐性に関する実力値(たとえば、パルス幅やデューティ比)を測定することができる。
【0038】
上記構成を有する入力回路50の動作を図10及び図11を参照しつつ以下に説明する。図10及び図11は、入力回路50における各種信号RST,IN,OUT,Na,Nb,TESTOUTの波形を示すタイミングチャートである。図10は、テスト信号INのパルスのデューティ比が50%未満のときの信号波形を示すタイミングチャートであり、図11は、テスト信号INのパルスのデューティ比が50%を超える場合の信号波形を示すタイミングチャートである。図10及び図11のストローブSTRBは、信号波形ではなく、テスタ2Aが応答信号TESTOUTの論理レベルをサンプリングするタイミング(ストロープポイント)を表すものである。図10では、ストローブポイントは、リセットパルスと同期して、時刻t31,t32,t33,t34,t35,t36,…に設定され、図11では、ストローブポイントは、リセットパルスと同期して、時刻t41,t42,t43,t44,t45,t46,…に設定されている。
【0039】
図10に示されるように、テスト信号INの高レベルのパルス幅(たとえば、数十ナノ秒〜数百ナノ秒程度のパルス幅)が時間とともに段階的に大きくなる場合は、時刻tがt33に達するまで、入力バッファ11は、テスト信号INのパルスを完全に除去しているので、低レベル(Lレベル)のノイズ除去信号OUTを出力している。その後、時刻tがt34に達する直前に、入力バッファ11は、テスト信号INのパルスを除去することができず、立ち上がり及び立ち下がりのパルスエッジを有するノイズ除去信号OUTを出力する。このため、RS型フリップフロップ53は、そのパルスエッジに応じて高レベルを有する論理信号をラッチし、この論理信号をANDゲート55に出力する。一方、RS型フリップフロップ52は高レベルの信号Naを出力している。よって、出力パッド43は、時刻t34の時点で高レベルの論理信号を応答信号TESTOUTとしてテスタ2Aに出力する。これにより、テスタ2Aは、応答信号TESTOUTの論理レベルの変化(低レベルから高レベルへの変化)を検出することができ、テスト信号INの高レベルのパルス幅が入力バッファ11のノイズ除去性能の限界を超えたと判断することができる。
【0040】
一方、図11に示されるように、テスト信号INの低レベルのパルス幅(たとえば、数十ナノ秒〜数百ナノ秒程度のパルス幅)が時間とともに段階的に大きくなる場合は、時刻tがt43に達するまで、入力バッファ11は、テスト信号INのパルスを完全に除去しているので、低レベル(Lレベル)のノイズ除去信号OUTを出力している。その後、時刻tがt44に達する直前に、入力バッファ11は、テスト信号INのパルスを除去することができず、立ち下がり及び立ち上がりのパルスエッジを有するノイズ除去信号OUTを出力する。このため、RS型フリップフロップ52は、当該パルスエッジに応じて高レベルを有する論理信号をラッチし、この論理信号をANDゲート55に出力する。一方、RS型フリップフロップ53は高レベルの信号Nbを出力している。よって、出力パッド43は、時刻t44の時点で高レベルの論理信号を応答信号TESTOUTとしてテスタ2Aに出力する。これにより、テスタ2Aは、応答信号TESTOUTの論理レベルの変化(低レベルから高レベルへの変化)を検出することができ、テスト信号INの低レベルのパルス幅が入力バッファ11のノイズ除去性能の限界を超えたと判断することができる。
【0041】
以上に説明したように実施の形態3の半導体集積回路1Cでは、入力バッファ11にノイズ除去性能の限界を超えた信号INが入力された場合には、その場合に対応する論理値をRS型フリップフロップ52,53のいずれかに記憶させることができる。また、当該論理値は、出力パッド43を介して外部に取り出すことが可能である。したがって、入力バッファ11のノイズ耐性に関する実力値を直接的に測定することができる。また、従来の機能検査と比べて、検査に要する時間を大幅に短縮することができる。
【0042】
また、RS型フリップフロップ52,53が保持する論理値は、リセット信号RSTのリセットパルスにより初期値にリセットされる。図10及び図11に示されるように、テスタ2Aは、リセットパルスと同期して、テスト信号INの波形を段階的に変化させ、且つ、応答信号TESTOUTの信号レベルをストローブポイントでサンプリングするので、応答信号TESTOUTの論理レベルの変化を確実に検出することができ、しかも、その変化が生じた時点でのテスト信号INの波形を確実に特定することができる。したがって、ノイズ耐性を高い精度で検査することができる。
【0043】
以上、図面を参照して本発明に係る種々の実施の形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な形態を採用することもできる。たとえば、上記実施の形態2では、入力回路10Bは、入力3系統の3個のノイズ除去回路11〜11を有するが、入力系統は3系統に限定されるものではない。入力バッファ11Bの構成を、入力N系統(Nは4以上の整数)のN個のノイズ除去回路を有するように変更することも可能である。
【符号の説明】
【0044】
1A〜1C 半導体集積回路、 2A,2B テスタ、 10,50 入力回路、 11 入力バッファ(ノイズ除去回路)、 11B 入力バッファ、 11〜11 ノイズ除去回路、 12,13 D型フリップフロップ、 20,21 内部回路、 30,31 出力回路、 41,41〜41,42 入力パッド、 43 出力パッド、 52,53 RS型フリップフロップ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から入力された信号中のノイズ成分の振幅を減衰させてノイズ除去信号を出力する入力バッファと、
前記ノイズ除去信号を入力とし、前記ノイズ除去信号の論理レベルが第1の論理レベルから該第1の論理レベルとは異なる第2の論理レベルに変化したときに、この論理レベルの変化に応じて、前記第1及び第2の論理レベルのうちのいずれか一方を有する論理信号をラッチする論理回路と
を備えることを特徴とする半導体集積回路。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体集積回路であって、前記論理回路の出力信号を外部に出力する外部出力端子をさらに備えることを特徴とする半導体集積回路。
【請求項3】
請求項1に記載の半導体集積回路であって、
前記論理回路は、
前記ノイズ除去信号の論理レベルが前記第1の論理レベルから前記第2の論理レベルに変化したときに前記論理信号をラッチする第1のフリップフロップ回路と、
前記ノイズ除去信号の論理レベルが前記第2の論理レベルから前記第1の論理レベルに変化したときに前記論理信号をラッチする第2のフリップフロップ回路と
を含むことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項4】
請求項3に記載の半導体集積回路であって、
前記第1のフリップフロップ回路は、
前記第1及び第2の論理レベルのうちのいずれか一方に対応する基準電圧が供給されるデータ入力端子と、
前記ノイズ除去信号が供給される正相クロック入力端子と、
前記論理信号を出力するデータ出力端子と
を有する第1のD型フリップフロップを含み、
前記第2のフリップフロップ回路は、
前記基準電圧が供給されるデータ入力端子と、
前記ノイズ除去信号が供給される逆相クロック入力端子と、
前記論理信号を出力するデータ出力端子と
を有する第2のD型フリップフロップを含む
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項5】
請求項4に記載の半導体集積回路であって、前記第1のD型フリップフロップの出力と前記第2のD型フリップフロップの出力とに論理和演算を施す論理和ゲートをさらに備えることを特徴とする半導体集積回路。
【請求項6】
請求項3に記載の半導体集積回路であって、
前記第1のフリップフロップ回路は、
前記ノイズ除去信号が供給される逆相セット入力端子と、
前記論理信号を出力するデータ出力端子と
を有する第1のRS型フリップフロップを含み、
前記第2のフリップフロップ回路は、
前記ノイズ除去信号の論理レベルが反転された信号が供給される逆相セット入力端子と、
前記論理信号を出力するデータ出力端子と
を有する第2のRS型フリップフロップを含む
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項7】
請求項6に記載の半導体集積回路であって、前記第1のRS型フリップフロップの出力と前記第2のRS型フリップフロップの出力とに論理積演算を施す論理積ゲートをさらに備えることを特徴とする半導体集積回路。
【請求項8】
請求項1から7のうちのいずれか1項に記載の半導体集積回路であって、
複数の入力信号に論理和演算を施す論理和ゲートをさらに備え、
前記入力バッファは、N系統(Nは2以上の整数)の前記入力信号中のノイズ成分を減衰させてN個の前記ノイズ除去信号を出力するN個のノイズ除去回路を含み、
前記論理和ゲートは、前記N個のノイズ除去回路の出力に論理和演算を施し、その演算結果を前記論理回路に入力させる
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項9】
請求項1から8のうちのいずれか1項に記載の半導体集積回路であって、
複数の入力信号に論理積演算を施す論理積ゲートをさらに備え、
前記入力バッファは、N系統(Nは2以上の整数)の前記入力信号中のノイズ成分を減衰させてN個の前記ノイズ除去信号を出力するN個のノイズ除去回路を含み、
前記論理積ゲートは、前記N個のノイズ除去回路の出力に論理積演算を施し、その演算結果を前記論理回路に入力させる
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項10】
請求項1から9のうちのいずれか1項に記載の半導体集積回路であって、
外部から入力されたリセットパルスを受け付けるリセット入力端子をさらに備え、
前記論理回路は、前記リセットパルスに応じて、当該論理回路がラッチする信号の論理レベルをリセットすることを特徴とする半導体集積回路。
【請求項11】
請求項1から10のうちのいずれか1項に記載の半導体集積回路であって、前記入力バッファは、ローパスフィルタ特性を有することを特徴とする半導体集積回路。
【請求項12】
請求項1から11のうちのいずれか1項に記載の半導体集積回路にテスト信号を入力させるステップと、
前記テスト信号が前記入力端子に入力される間、前記半導体集積回路の外部出力端子から出力された応答信号の論理レベルを監視するステップと
を備えることを特徴とするノイズ耐性検査方法。
【請求項13】
請求項12に記載のノイズ耐性検査方法であって、
前記論理回路がラッチする信号の論理レベルをリセットさせるリセット信号を供給するステップをさらに備え、
前記応答信号の論理レベルの監視は、前記リセット信号と同期して行われる
することを特徴とするノイズ耐性検査方法。
【請求項14】
請求項12または13に記載のノイズ耐性検査方法であって、前記テスト信号は、時間とともに波形が変化する信号であることを特徴とするノイズ耐性検査方法。
【請求項15】
請求項14に記載のノイズ耐性検査方法であって、前記テスト信号は、デューティ比が時間とともに変化するパルス信号であることを特徴とするノイズ耐性検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−63309(P2012−63309A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−209403(P2010−209403)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(308033711)ラピスセミコンダクタ株式会社 (898)
【Fターム(参考)】