説明

印刷状態計測結果の表示装置および表示方法

【課題】印刷検査によって取得した印刷状態計測情報を印刷品質向上のために有効活用することができる印刷状態計測結果の表示装置および表示方法を提供することを目的とする。
【解決手段】印刷検査装置M2による印刷検査において基板3のランドに印刷されたペーストの平面形状における面積値の正規の印刷面積に対する比率を示す面積率を複数のランドのそれぞれについて求めた面積率計測データ23aを、表示用データ作成プログラム23bに規定された所定の処理アルゴリズムにしたがってデータ処理して、基板に印刷されたペーストの印刷状態を視覚的に表示するための表示用データを作成し、作成された表示用データを表示フォーマットデータ23cに規定される所定の表示フォーマットにしたがって表示パネル26の表示画面に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に印刷されたクリーム半田などのペーストの印刷状態を計測した結果を表示する印刷状態計測結果の表示装置および表示方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品を基板に実装する部品実装工程では、部品搭載に先立って基板上にクリーム半田などのペーストを印刷するスクリーン印刷作業が行われる。スクリーン印刷の後には、ペーストの印刷状態の良否を判定するための印刷検査が実行され、この印刷検査においては検査内容に応じてペーストの印刷量や印刷位置など各種項目について計測が、カメラによる画像認識や3次元計測装置などを用いて行われる(例えば特許文献1参照)。この特許文献例に示す先行技術においては、印刷後の基板をカメラによって撮像した撮像結果を認識処理することにより印刷状態の良否を判定するとともに、判定結果を統計処理した統計データを画面に表示させるようにしている。これにより、不良発生位置や発生頻度などを視覚的に把握することができ、印刷検査の有用性を向上させるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−271638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近年品質管理に求められるレベルの高度化に伴い、スクリーン印刷後の印刷検査においても、単に印刷結果の良否判定のみならず印刷不良を招く要因を解析して印刷品質を向上させるための方策が望まれるようになっている。しかしながら上述の先行技術を含め従来技術においては、画像認識や3次元計測などによって定量的な計測は行われるものの、検査結果についての情報が表示されるのみであることから、印刷不良の要因を解析するには情報が不十分であった。すなわち印刷不良をその原因に遡って解析するには、基板におけるペーストの印刷状態を定量的に示す指標値が必要となるが、従来技術においては印刷検査によって取得した計測情報をこのような解析目的に利用可能にするためのデータ処理は行われておらず、印刷品質向上の観点から印刷状態計測情報を有効活用しているとは言い難いものであった。
【0005】
そこで本発明は、印刷検査によって取得した印刷状態計測情報を印刷品質向上のために有効活用することができる印刷状態計測結果の表示装置および表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の印刷状態計測結果の表示装置は、基板に形成された複数のランドにスクリーン印刷によって印刷されたペーストの印刷状態を計測した結果を表示する印刷状態計測結果の表示装置であって、前記複数のランドのそれぞれの印刷状態を示す印刷指標データとして用いられ当該ランドに印刷されたペーストの平面形状における面積値の正規の印刷面積に対する比率を示す面積率を前記複数のランドのそれぞれについて求めた面積率計測データを入手するデータ入手手段と、前記面積率計測データを所定の処理アルゴリズムにしたがってデータ処理することにより、前記基板に印刷されたペーストの印刷状態を視覚的に表示するための表示用データを作成する表示用データ作成処理部と、前記作成された表示用データを所定の表示フォーマットにしたがって表示画面に表示する表示部とを備えた。
【0007】
本発明の印刷状態計測結果の表示方法は、基板に形成された複数のランドにスクリーン印刷によって印刷されたペーストの印刷状態を計測した結果を表示する印刷状態計測結果の表示方法であって、前記複数のランドのそれぞれの印刷状態を示す印刷指標データとして用いられ当該ランドに印刷されたペーストの平面形状における面積値の正規の印刷面積に対する比率を示す面積率を前記複数のランドのそれぞれについて求めた面積率計測データを入手するデータ入手工程と、前記面積率計測データを所定の処理アルゴリズムにしたがってデータ処理することにより、前記基板に印刷されたペーストの印刷状態を視覚的に表示するための表示用データを作成するデータ処理工程と、前記作成された表示用データを所定の表示フォーマットにしたがって表示画面に表示する表示工程とを含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、基板のランドに印刷されたペーストの平面形状における面積値の正規の印刷面積に対する比率を示す面積率を複数のランドのそれぞれについて求めた面積率計測データを所定の処理アルゴリズムにしたがってデータ処理して、基板に印刷されたペーストの印刷状態を視覚的に表示するための表示用データを作成し、作成された表示用データを所定の表示フォーマットにしたがって表示画面に表示することにより、基板における面積率のばらつき傾向を視覚的に把握することができ、印刷検査によって取得した印刷状態計測情報を印刷品質向上のために有効活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施の形態の印刷状態計測結果の表示装置が組み込まれた電子部品実装ラインの平面図
【図2】本発明の一実施の形態の印刷状態計測結果の表示装置における表示対象となる基板の構成説明図
【図3】本発明の一実施の形態の印刷検査装置の制御系の構成を示すブロック図
【図4】本発明の一実施の形態の印刷状態計測結果の表示画面の説明図
【図5】本発明の一実施の形態の印刷状態計測結果の表示方法の説明図
【図6】本発明の一実施の形態の印刷状態計測結果の表示方法の説明図
【図7】本発明の一実施の形態の印刷状態計測結果の表示方法の説明図
【図8】本発明の一実施の形態の印刷状態計測結果の表示方法の処理フロー図
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。まず図1を参照して、本実施の形態に示す印刷状態計測結果の表示装置が組み込まれた電子部品実装ライン1の構成について説明する。図1に示すように、電子部品実装ライン1は、スクリーン印刷装置M1、印刷検査装置M2、部品実装装置M3を直列に接続して構成されている。スクリーン印刷装置M1は、電子部品の実装の対象となる基板の接続用電極に、電子部品を接合するためのクリーム半田などのペーストをスクリーン印刷により供給する機能を有するものである。印刷検査装置M2は、スクリーン印刷装置M1によって基板に印刷されたペーストの印刷状態を検査する。部品実装装置M3は、印刷状態が良好であると判定された基板に対して、電子部品を実装する。
【0011】
スクリーン印刷装置M1の構成を説明する。基台1A上には基板搬送機構2AがX方向(基板搬送方法)に配設されており、基板搬送機構2Aは上流側(矢印a)から搬入された基板3を基板位置決め部4Aに搬送する。基板位置決め部4Aの上方には、印刷対象の基板3のランド配置に対応してパターン孔が開口されたスクリーンマスク5がマスク枠5aに展張されて配設されている。搬入された基板3は、基板位置決め部4Aによって保持され、スクリーンマスク5に対して位置決めされる。スクリーンマスク5の上方には、スキージ機構6がX軸テーブル7X、Y軸テーブル7Yによって水平方向に移動自在に配設されている。スクリーンマスク5の上面にペーストを供給した状態で基板3をスクリーンマスク5の下面に当接させ、スキージ機構6をスクリーンマスク5の上面でY方向(スキージング方向)に摺動させることにより、基板3のランドにはパターン孔を介してペーストが印刷される。
【0012】
印刷検査装置M2の構成を説明する。基台1B上には基板搬送機構2BがX方向に配設されており、基板搬送機構2Bはスクリーン印刷装置M1の基板搬送機構2Aから搬入された基板3を基板位置決め部4Bに搬送する。基板位置決め部4Bの上方には検査対象の基板3を撮像するカメラ8a(図3)参照を備えた検査ヘッド8が、カメラ移動機構であるX軸テーブル9X、Y軸テーブル9Yによって水平方向に移動自在に配設されている。基板位置決め部4Bに位置決め保持された基板3はカメラ8aによって撮像され、これによりスクリーン印刷装置M1によるスクリーン印刷作業が行われた後の基板3におけるペーストの印刷状態が計測され、所定項目について良否判定の検査が行われる。
【0013】
部品実装装置M3の構成を説明する。基台1C上には基板搬送機構2CがX方向に配設されており、基板搬送機構2Cは印刷検査装置M2の基板搬送機構2Bから搬入された基板3を基板位置決め部4Cに搬送する。基板搬送機構2Cの両側には、複数のテープフィーダ11が並設された部品供給部10が配設されている。テープフィーダ11は電子部品を収納したキャリアテープをピッチ送りすることにより、部品実装機構によるピックアップ位置に電子部品を供給する。部品実装機構は、実装ヘッド12をX軸テーブル13X、Y軸テーブル13Yによって移動させる構成となっている。
【0014】
部品供給部10と基板搬送機構2Cの間には部品認識カメラ14が配設されており、電子部品をピックアップした実装ヘッド12が部品認識カメラ14の上方を通過することにより、実装ヘッド12に保持された電子部品の認識が行われる。基板位置決め部4Cに位置決め保持された基板3に電子部品を搭載する際には、部品認識カメラ14による認識結果に基づいて、実装ヘッド12による部品搭載位置が補正される。
【0015】
次に図2を参照して、作業対象の基板3の構成を説明する。図2(a)に示すように、基板3はベースとなる基板キャリア30に複数の個片基板31を装着した構成となっている。基板キャリア30の表面には粘着性を有する貼着面が形成されており、樹脂基板より成る個片基板31を着脱自在に貼着保持することができるようになっている。個片基板31を基板キャリア30に装着する際には、基板キャリア30に設けられた位置決めピンなどの位置合わせ手段によって基板キャリア30に対して位置合わせした状態で、基板キャリア30の貼着面に対して押しつける。
【0016】
個片基板31は1枚の樹脂基板に複数面(ここでは3面)の要素基板32を作り込んだ構成となっている。すなわち親基板としての基板3は、子基板としての個片基板31および孫基板としての要素基板32より構成されている。要素基板32には、実装対象の電子部品(ここでは、4種類の電子部品PA,PB,PC,PD)の電極が接合される接続電極である複数のランド33が形成されている。スクリーン印刷動作においては、複数の要素基板32の各ランド33に、スクリーンマスクのパターン孔を介してペーストが一括して印刷される。
【0017】
図2(b)は、要素基板32に実装される電子部品PA,PB,PC,PDおよびこれらの電子部品に対応して形成されたランド33の配列形態を示している。すなわちQFP型の電子部品PAの実装位置には、部品各辺毎のリード位置に対応して複数の個別ランド33aが並列配置で形成されている。電子部品PB,PC,PDはそれぞれサイズの異なるチップ型部品であり、各電子部品の実装位置には端部電極位置に対応して個別ランド33b,33c、33dが対をなして形成されている。
【0018】
本実施の形態においては、これらのランド33のうち、印刷されたペーストによって接合される単一部品に対応する複数のランド33の集合を、当該部品についての印刷パターンとして定義している。すなわち、図2(b)に示すように、電子部品PAに対応する複数の個別ランド33aの集合は印刷パターン34aを構成し、同様に電子部品PB,PC,PDのそれぞれに対応する複数の個別ランド33b、33c、33dの集合は、それぞれ印刷パターン34b、34c、34dを構成する。
【0019】
次に図3を参照して、印刷検査装置M2の制御系の構成を説明する。図3において、検査制御部20はカメラ移動機構であるX軸テーブル9X、Y軸テーブル9Yを制御して、カメラ8aを検査対象の基板3の任意位置に移動させるカメラ移動制御を行うとともに、カメラ8aによる撮像動作を制御する。認識処理部21は、カメラ8aによる撮像結果を認識処理することにより、基板3における複数のランド33にそれぞれ印刷されたペーストを認識する処理を行い、認識結果を各ランド33毎に当該ランドに印刷されたペーストの平面形状における面積値を求める認識処理を行う。
【0020】
面積率算出部22は、認識処理部21によって求められた印刷後のペーストの面積値の正規の印刷面積,すなわちパターン孔の開口サイズに基づく印刷面積に対する比率を示す面積率(ここでは百分比)を、複数のランド33のそれぞれについて求める面積率演算処理を行う。これらの面積率は、複数のランド33のそれぞれの印刷状態を示す印刷指標データとして用いられるものである。本実施の形態においては、このようにして求められた印刷指標データとしての面積率を、以下に説明する印刷状態計測結果の表示機能によって,作業者が目視確認可能な形で表示パネル26に表示するようにしている。
【0021】
記憶部23は、検査制御部20が印刷検査装置M2を制御して印刷検査動作を実行させるために必要な各種プログラムやデータを記憶するほか、上述の印刷状態計測結果の表示のために用いられる面積率計測データ23a、表示用データ作成プログラム23b、表示フォーマットデータ23cを記憶する。面積率計測データ23aは、各ランド33に印刷されたペーストの平面形状における面積値の正規の印刷面積に対する比率を示す面積率を複数のランド33のそれぞれについて求めたものであり、面積率算出部22によって算出されて記憶部23に記憶される。
【0022】
表示用データ作成プログラム23bは、面積率計測データ23aを所定の処理アルゴリズムにしたがってデータ処理することにより、基板3に印刷されたペーストの印刷状態を視覚的に表示するための表示用データを作成する処理を行うための処理プログラムである。表示フォーマットデータ23cは、作成された表示用データを表示パネル26の表示画面に表示する際に適用される表示フォーマットを規定するデータである。
【0023】
表示用データ作成処理部24は、表示用データ作成プログラム23bを実行して、面積率計測データ23aを所定の処理アルゴリズムにしたがってデータ処理することにより、基板3に印刷されたペーストの印刷状態を視覚的に表示するための表示用データを作成する。表示処理部25は、作成された表示用データを所定の表示フォーマットにしたがって表示パネル26の表示画面に表示するための処理を行う。
【0024】
図3において符号27の破線枠で示す記憶部23、表示用データ作成処理部24、表示処理部25、表示パネル26は、基板3に形成された複数のランド33にスクリーン印刷によって印刷されたペーストの印刷状態を計測した結果を表示する印刷状態計測結果の表示装置27を構成する。そして面積率計測データ23aを記憶する記憶部23は、面積率を複数のランド33のそれぞれについて求めた面積率計測データを入手するデータ入手手段となっている。
【0025】
もちろん、記憶部23に面積率計測データ23aを記憶させることなく、認識処理部21、面積率算出部22から直接面積率計測データを入手するようにしてもよい。この場合には、認識処理部21、面積率算出部22が面積率計測データを入手するデータ入手手段となる。そして、表示処理部25および表示パネル26は、作成された表示用データを所定の表示フォーマットにしたがって表示画面に表示する表示部を構成する。
【0026】
なお図3に示す構成では、印刷状態計測結果の表示装置を印刷検査装置M2に組み込んだ例を示しているが、図3に示す印刷状態計測結果の表示装置27の機能を印刷検査装置M2と別個に設けるようにしてもよい。この場合には、面積率計測データ23aは、これら各装置を接続するLANシステムを介して,またはUSBメモリなどの単体の記憶媒体を介して印刷検査装置M2から取り込まれる。この場合には、LANシステムまたは記憶媒体が、面積率計測データを入手するデータ入手手段となる。
【0027】
次に図4を参照して、表示パネル26に表示される印刷状態計測結果表示画面40の画面構成について説明する。図4に示すように、印刷状態計測結果表示画面40には、表示内容・表示形態を特定するための対象基板選択枠41、表示区分選択枠42、部品種選択枠43に加えて、基板3における面積率の分布状態を表示するための面積率分布表示画面枠44および面積率分布表示画面枠44における面積率の大きさを参照するための面積率参照テーブル45が表示される。本実施の形態においては、面積率の大きさに対応した設定された色彩区分に応じた色彩マーク、または面積率の大きさに対応した図形サイズの図形マークによって、基板3における面積率の分布状態を表示するようにしている。
【0028】
対象基板選択枠41は表示対象とする基板3を特定するための操作ボタンであり、対象基板選択枠41にはさらに「品種」41a、「ロット」41b、「検査日時」41cが設定されている。「品種」41aを操作することにより対象とする基板3の品種を特定することができ、「ロット」41bを操作することにより、当該品種の基板3を個別に特定する基板番号やロット番号を特定することができる。また「検査日時」41cを操作することにより、スクリーン印刷装置M1による印刷作業、印刷検査装置M2における検査作業が実行された日時を特定することができる。このように対象基板選択を行うことにより、記憶部23に記憶された面積率計測データ23aから、所望の表示対象に該当するデータを選択することができる。
【0029】
表示区分選択枠42は、基板3における面積率の分布を表示する際の表示形態を特定するための操作ボタンであり、表示区分選択枠42にはさらに「個別ランド」42a、「パターン」42b、「エリア」42cが設定されている。「個別ランド」42aを操作することにより、図2に示す個別ランド33a、33b、33c,33dの面積率を個々のランド毎に基板3の全体に亘って表示させることができる。「パターン」42bを操作することにより、図2に示す印刷パターン34a、34b、34c,34d毎の面積率の代表値を表示させることができる。また「エリア」42cを操作することにより、基板3の印刷対象面を所定の分割パターンによって複数の領域に分割して設定された要素エリア毎の面積率の代表値を表示させることができる。ここで代表値としては、当該印刷パターン,要素エリアを構成する複数の個別ランドの面積率の平均値が用いられる。
【0030】
「部品種」選択枠43は基板3における面積率の分布を表示する際において表示対象として選択する部品種を特定するための操作ボタンである。ここでは、図2に示す要素基板32における実装部品種に対応して、「部品種」選択枠43には4種類の電子部品PA,PB,PC,PDのそれぞれの部品種を示す「A」43a、「B」43b、「C」43c、「D」43dが設定されている。これらを個別に操作することにより、4種類の電子部品PA,PB,PC,PDの全て、あるいは特定の部品種の電子部品のみを表示対象とすることができる。
【0031】
面積率分布表示画面枠44には表示対象となる基板3における面積率の分布状況を示す画面が表示される。ここで面積率分布表示画面枠44においてはタッチパネル操作などの操作手段によって基板3のうちの特定範囲のみを拡大・縮小して表示させることや、複数の基板3を重ねて表示させることなど、各種の画面表示形態が可能となっている。
【0032】
面積率参照テーブル45は、面積率分布表示画面枠44に表示される色彩マークまたは図形マークと面積率数値との対応関係を参照するための参照テーブルであり、色彩マーク46、図形マーク47のそれぞれについて、面積率数値46aと表示色46bとの対応関係、面積率数値47aとサイズ47bとの対応関係が明示される。面積率分布表示画面枠44に表示された面積率の分布を示す画面を観察する際には、作業者が面積率参照テーブル45を参照することにより、表示内容と具体数値とを容易に関連づけることができる。なお、表示色46bとしては、数値の大小を直感的に連想させることが可能であれば、どのような色彩の組み合わせを用いてもよい。また図形マーク47におけるサイズ47bとして図示例では□マークを用いているが、○マークなどこれ以外の形状の図形を用いてもよい。
【0033】
次に、「表示区分」選択枠42において「個別ランド」42a、「パターン」42b、「エリア」42cをそれぞれ選択した場合の表示具体例について、図5、図6,図7を参照して説明する。図5は「個別ランド」42aを選択し、色彩マークによって面積率を表示させた例を示している。この場合には、図5(a)に示す全ての要素基板32について、図5(b)に示す表示形態、すなわち個別のランド33毎に当該ランドの面積率を対応させて表示させる個別ランド毎表示区分が適用される。これにより、各個別ランド33a、33b、33c、33d毎の面積率が色彩マークによって表示され、このようにして表示された色彩マークを面積率参照テーブル45の色彩マーク46に示される表示色46bと対比することにより、各個別ランドにおける面積率を知ることができる。なお、ここに示す例では、個別ランドの形状自体に表示色を付して表示するようにした例を示しているが、ランド形状に替えて□マークなどのよりシンプルな形状に表示色を付して表示するようにしてもよい。
【0034】
図6は「パターン」42bを選択し、図形マークによって面積率を表示させた例を示している。この場合には、図6(a)に示す全ての要素基板32について、図6(b)に示す表示形態で各印刷パターン、すなわち接合される単一部品に対応する複数のランドの集合によって定義される印刷パターン毎に、当該印刷パターンに属する複数の面積率の代表値を求めて表示させるパターン別表示区分が適用される。これにより、各部品に対応する個別ランドの集合で定義される印刷パターン34a、34b、34c、34dのそれぞれについて、面積率の代表値(平均値)を示す□形状の図形マークARa、ARb、ARc、ARdが、各印刷パターンの位置に表示される。このようにして表示された図形マークを面積率参照テーブル45の図形マーク47に示されるサイズ47bと対比することにより、各印刷パターンにおける面積率の代表値の概略値を知ることができる。このように面積率を図形マークの大きさで表示する方式において、面積率の基準となる100%に相当する大きさの標準図形マークSを併せて表示させることにより、サイズ47bと対比することなく概略値を推測することができる。
【0035】
図7は「エリア」42cを選択し、図形マークによって面積率を表示させた例を示している。すなわち基板3の印刷対象面を複数の領域に分割して設定された要素エリア毎に、当該要素エリアに属する複数の面積率の代表値を求めて表示させるエリア別表示区分が適用される。ここでは、図7(a)に示すように、要素基板32を1つの要素エリアとして領域分割した例を示しており、基板3は要素エリア[A11]〜[Aij]〜[A33]に分割されている。もちろん領域分割の態様は任意であり、面積率分布を解析する際に必要とされる精度に応じて分割メッシュを適宜設定することができる。
【0036】
この場合には、図7(b)に示すように、要素エリア[A11]〜[Aij]〜[A33]のそれぞれに属するランド33の面積率の代表値(平均値)を示す図形マークARijが、それぞれの要素エリア毎に表示される。この場合にも、面積率の基準となる100%に相当する大きさの標準図形マークSを併せて表示させることにより、サイズ47bと対比することなく概略値を推測することができる。
【0037】
なお、印刷状態計測結果表示画面40の画面構成については、図4に示す構成例以外にも各種のバリエーションを適宜設定可能である。例えば図4では、面積率参照テーブル45を面積率分布表示画面枠44と別個に設けているが、面積率分布表示画面枠44内に、表示形態に応じて色彩マーク46,または図形マーク47のいずれか必要な方のみを呼び出し可能に表示させるようにしてもよい。
【0038】
また上記実施の形態において、図5に示す個別ランド毎表示区分では色彩マークによって、図6に示すパターン別表示区分および図7に示すエリア別表示区分では形状マークによって、それぞれ面積率または面積率の代表値を表示する例を示しているが、印刷状態計測結果表示画面40に色彩マーク/図形マークの切替ボタンを設け、色彩マーク、図形マークを表示の便宜に応じて適宜使い分けるようにしてもよい。
【0039】
図5、図6,図7に示す表示形態は、面積率計測データ23aを表示用データ作成プログラム23bに規定される処理アルゴリズムにしたがってデータ処理することにより表示用データを作成することにより実現される。すなわちここで規定される処理アルゴリズムは、個別のランド33毎に当該ランド33の面積率を対応させて表示させる個別ランド毎表示区分、接合される単一部品に対応する複数のランド33の集合によって定義される印刷パターン34毎に、当該印刷パターンに属する複数の面積率の代表値を求めて表示させるパターン別表示区分、基板3の印刷対象面を複数の領域に分割して設定された要素エリア[Aij]毎に、当該要素エリア[Aij]に属する複数の面積率の代表値を求めて表示させるエリア別表示区分のいずれかの表示区分に対応した形態の表示用データを作成するように設定されている。
【0040】
そしてこのようにして作成された表示用データを表示パネル26の表示画面に表示される際に適用される表示フォーマットは、基板3における個別ランド、印刷パターン、要素エリアのそれぞれの位置に対応させた配置で、面積率または面積率の代表値を当該面積率または代表値の大きさに対応して設定された色彩区分に応じた色彩マークまたは当該面積値または代表値の大きさに対応した図形サイズの図形マークによって表示パネル26の表示画面に表示させるように設定されている。
【0041】
次に図8を参照して、基板に形成された複数のランドにスクリーン印刷によって印刷されたペーストの印刷状態を計測した結果を表示する印刷状態計測結果の表示方法の処理フローを説明する。まず印刷検査装置M2によって基板3を対象とする印刷検査において取得された計測データから面積率計測データを入手する(ST1)。すなわち基板3の複数のランド33のそれぞれの印刷状態を示す印刷指標データとして用いられ当該ランド33に印刷されたペーストの平面形状における面積値の正規の印刷面積に対する比率を示す面積率を、複数のランド33のそれぞれについて求めた面積率計測データを入手する(データ入手工程)。
【0042】
次いで表示用データを作成する(ST2)。すなわち、面積率計測データを所定の処理アルゴリズムにしたがってデータ処理することにより、基板3に印刷されたペーストの印刷状態を視覚的に表示するための表示用データを作成する(データ処理工程)。このデータ処理工程においては、前述のように、個別ランド毎表示区分、パターン別表示区分、エリア別表示区分のいずれかの表示区分に対応した形態の表示用データが作成される。
【0043】
次いで、作成された表示用データを所定の表示フォーマットにしたがって表示画面に表示する(表示工程)。この表示工程に際しては、まず図4に示す印刷状態計測結果表示画面40において「対象基板」選択枠41を操作することにより、表示の対象となる基板を選択する(ST3)。これにより、対象となる基板の品種、基板番号やロット番号、検査日時などが特定される。次に「部品種」選択枠43を操作することにより表示対象となる部品種を選択する(ST4)。これにより、計測結果の表示が必要とされる部品種が特定される。
【0044】
次に表示区分の選択を行う(ST5)。すなわち、「表示区分」選択枠42を操作することにより、個別ランド毎表示区分、パターン別表示区分、エリア別表示区分のいずれかの表示区分を選択する。これにより、印刷状態計測結果表示画面40における印刷状態の表示が実行される(ST6)。すなわち、対象となる基板3における面積率の分布状態を示す画面が、選択された表示区分にしたがって面積率分布表示画面枠44に表示される。
【0045】
すなわち上述の表示工程においては、基板3における個別ランド、印刷パターン、要素エリアのそれぞれの位置に対応させた配置で、面積率または代表値を当該面積率または代表値の大きさに対応して設定された色彩区分に応じた色彩マークまたは当該面積率または代表値の大きさに対応した図形サイズの図形マークによって表示パネル26の表示画面に表示させるようにしている。
【0046】
上記説明したように、本実施の形態に示す印刷状態計測結果の表示は、複数のランドのそれぞれの印刷状態を示す印刷指標データとして用いられ、当該ランドに印刷されたペーストの平面形状における面積値の正規の印刷面積に対する比率を示す面積率を複数のランドのそれぞれについて求めた面積率計測データを所定の処理アルゴリズムにしたがってデータ処理して、基板に印刷されたペーストの印刷状態を視覚的に表示するための表示用データを作成し、作成された表示用データを所定の表示フォーマットにしたがって表示画面に表示するようにしたものである。これにより、基板における面積率のばらつき傾向を視覚的に把握することができ、印刷検査によって取得した印刷状態計測情報を印刷品質向上のために有効活用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の印刷状態計測結果の表示装置および表示方法は、印刷検査によって取得した印刷状態計測情報を印刷品質向上のために有効活用することができるという効果を有し、スクリーン印刷によって基板に印刷されたペーストの印刷状態を検査する印刷検査の分野において有用である。
【符号の説明】
【0048】
1 電子部品実装ライン
3 基板
27 印刷状態計測結果の表示装置
32 要素基板
33 ランド
33a、33b、33c、33d 個別ランド
34、34a、34b、34c、34d 印刷パターン
44 面積率分布表示画面枠
PA、PB、PC、PD 電子部品
M1 スクリーン印刷装置
M2 印刷検査装置
M3 部品実装装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に形成された複数のランドにスクリーン印刷によって印刷されたペーストの印刷状態を計測した結果を表示する印刷状態計測結果の表示装置であって、
前記複数のランドのそれぞれの印刷状態を示す印刷指標データとして用いられ当該ランドに印刷されたペーストの平面形状における面積値の正規の印刷面積に対する比率を示す面積率を前記複数のランドのそれぞれについて求めた面積率計測データを入手するデータ入手手段と、
前記面積率計測データを所定の処理アルゴリズムにしたがってデータ処理することにより、前記基板に印刷されたペーストの印刷状態を視覚的に表示するための表示用データを作成する表示用データ作成処理部と、
前記作成された表示用データを所定の表示フォーマットにしたがって表示画面に表示する表示部とを備えたことを特徴とする印刷状態計測結果の表示装置。
【請求項2】
前記処理アルゴリズムは、個別の前記ランド毎に当該ランドの前記面積率を対応させて表示させる個別ランド毎表示区分に対応した形態の前記表示用データを作成することを特徴とする請求項1記載の印刷状態計測結果の表示装置。
【請求項3】
前記処理アルゴリズムは、印刷されたペーストによって接合される単一部品に対応する複数のランドの集合によって構成される印刷パターン毎に前記面積率を分類するパターン別分類に基づいて複数の前記面積率を分類して、それぞれの印刷パターン毎に求められた当該印刷パターンに属する複数の面積率の代表値をそれぞれの印刷パターン毎に表示させるパターン別表示区分に対応した形態の前記表示用データを作成することを特徴とする請求項1記載の印刷状態計測結果の表示装置。
【請求項4】
前記処理アルゴリズムは、前記基板の印刷対象面を複数の領域に分割して設定された要素エリア毎に前記面積率を分類するエリア別分類に基づいて複数の前記面積率を分類して、それぞれの要素エリア毎に求められた当該要素エリアに属する複数の面積率の代表値をそれぞれの要素エリア毎に表示させるエリア別表示区分に対応した形態の前記表示用データを作成することを特徴とする請求項1記載の印刷状態計測結果の表示装置。
【請求項5】
前記所定の表示フォーマットは、前記基板における前記個別ランドのそれぞれの位置に対応させた配置で、前記面積率を当該面積率の大きさに対応して設定された色彩区分に応じた色彩マークによって前記表示画面に表示させるように設定されていることを特徴とする請求項2に記載の印刷状態計測結果の表示装置。
【請求項6】
前記所定の表示フォーマットは、前記基板における前記印刷パターンのそれぞれの位置に対応させた配置で、前記代表値を当該代表値の大きさに対応して設定された色彩区分に応じた色彩マークによって前記表示画面に表示させるように設定されていることを特徴とする請求項3に記載の印刷状態計測結果の表示装置。
【請求項7】
前記所定の表示フォーマットは、前記基板における前記要素エリアのそれぞれの位置に対応させた配置で、前記代表値を当該代表値の大きさに対応して設定された色彩区分に応じた色彩マークによって前記表示画面に表示させるように設定されていることを特徴とする請求項4に記載の印刷状態計測結果の表示装置。
【請求項8】
前記所定の表示フォーマットは、前記基板における前記個別ランドのそれぞれの位置に対応させた配置で、前記面積率を当該面積率の大きさに対応した図形サイズの図形マークによって前記表示画面に表示させるように設定されていることを特徴とする請求項2に記載の印刷状態計測結果の表示装置。
【請求項9】
前記所定の表示フォーマットは、前記基板における前記印刷パターンのそれぞれの位置に対応させた配置で、前記代表値を当該代表値の大きさに対応した図形サイズの図形マークによって前記表示画面に表示させるように設定されていることを特徴とする請求項3に記載の印刷状態計測結果の表示装置。
【請求項10】
前記所定の表示フォーマットは、前記基板における前記要素エリアのそれぞれの位置に対応させた配置で、前記代表値を当該代表値の大きさに対応した図径サイズの図形マークによって前記表示画面に表示させるように設定されていることを特徴とする請求項4に記載の印刷状態計測結果の表示装置。
【請求項11】
基板に形成された複数のランドにスクリーン印刷によって印刷されたペーストの印刷状態を計測した結果を表示する印刷状態計測結果の表示方法であって、
前記複数のランドのそれぞれの印刷状態を示す印刷指標データとして用いられ当該ランドに印刷されたペーストの平面形状における面積値の正規の印刷面積に対する比率を示す面積率を前記複数のランドのそれぞれについて求めた面積率計測データを入手するデータ入手工程と、
前記面積率計測データを所定の処理アルゴリズムにしたがってデータ処理することにより、前記基板に印刷されたペーストの印刷状態を視覚的に表示するための表示用データを作成するデータ処理工程と、
前記作成された表示用データを所定の表示フォーマットにしたがって表示画面に表示する表示工程とを含むことを特徴とする印刷状態計測結果の表示方法。
【請求項12】
前記データ処理工程において、個別の前記ランド毎に当該ランドの前記面積率を対応させて表示させる個別ランド毎表示区分に対応した形態の前記表示用データを作成することを特徴とする請求項11記載の印刷状態計測結果の表示方法。
【請求項13】
前記データ処理工程において、印刷されたペーストによって接合される単一部品に対応する複数のランドの集合によって構成される印刷パターン毎に前記面積率を分類するパターン別分類に基づいて複数の前記面積率を分類して、それぞれの印刷パターン毎に求められた当該印刷パターンに属する複数の面積率の代表値をそれぞれの印刷パターン毎に表示させるパターン別表示区分に対応した形態の前記表示用データを作成することを特徴とする請求項11記載の印刷状態計測結果の表示方法。
【請求項14】
前記データ処理工程において、前記基板の印刷対象面を複数の領域に分割して設定された要素エリア毎に前記面積率を分類するエリア別分類に基づいて複数の前記面積率を分類して、それぞれの要素エリア毎に求められた当該要素エリアに属する複数の面積率の代表値をそれぞれの要素エリア毎に表示させるエリア別表示区分に対応した形態の前記表示用データを作成することを特徴とする請求項11記載の印刷状態計測結果の表示方法。
【請求項15】
前記表示工程において、前記基板における前記個別ランドのそれぞれの位置に対応させた配置で、前記面積率を当該面積率の大きさに対応して設定された色彩区分に応じた色彩マークによって前記表示画面に表示させることを特徴とする請求項12に記載の印刷状態計測結果の表示方法。
【請求項16】
前記表示工程において、前記基板における前記印刷パターンのそれぞれの位置に対応させた配置で、前記代表値を当該代表値の大きさに対応して設定された色彩区分に応じた色彩マークによって前記表示画面に表示させることを特徴とする請求項13に記載の印刷状態計測結果の表示方法。
【請求項17】
前記表示工程において、前記基板における前記要素エリアのそれぞれの位置に対応させた配置で、前記代表値を当該代表値の大きさに対応して設定された色彩区分に応じた色彩マークによって前記表示画面に表示させることを特徴とする請求項14に記載の印刷状態計測結果の表示方法。
【請求項18】
前記表示工程において、前記基板における前記個別ランドのそれぞれの位置に対応させた配置で、前記面積率を当該面積率の大きさに対応した図形サイズの図形マークによって前記表示画面に表示させるように設定されていることを特徴とする請求項12に記載の印刷状態計測結果の表示方法。
【請求項19】
前記表示工程において、前記基板における前記印刷パターンのそれぞれの位置に対応させた配置で、前記代表値を当該代表値の大きさに対応した図形サイズの図形マークによって前記表示画面に表示させることを特徴とする請求項13に記載の印刷状態計測結果の表示方法。
【請求項20】
前記表示工程において、前記基板における前記要素エリアのそれぞれの位置に対応させた配置で、前記代表値を当該代表値の大きさに対応した図径サイズの図形マークによって前記表示画面に表示させるように設定されていることを特徴とする請求項14に記載の印刷状態計測結果の表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−2862(P2013−2862A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131951(P2011−131951)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】