説明

合成樹脂製シートの製造装置および製造方法

【課題】多数の突起部が形成された合成樹脂製シートの突起部表面に文字等の識別情報を設ける場合に、識別情報の安定性およびリサイクル性を向上させる。
【解決手段】外周面に突起部に対応する凹部220が形成され、凹部220の底部に配置された蓋部材に設けられた吸引口から空気を吸引可能に構成された成形ロール22に、融点以上となっている第1シート11を供給し、吸引口から空気を吸引して、成形ロール22の外周面上で第1シート11に突起部を形成する。蓋部材の表面には、視認可能な識別情報が形成されており、第1シート11を吸引する際に、蓋部材221の表面に第1シート11が押し付けられ、蓋部材221に形成された識別情報が第1シート11に転写される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数の突起部が形成された合成樹脂製シートの製造装置および製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、多数の突起部が形成された合成樹脂製の凹凸シートに平坦シートを接合して気泡部を形成した気泡シートの表面に印刷を施すことによって、任意の文字や図柄等を設けることが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−177123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、気泡シートの材質としては、ポリエチレンやポリプロピレンのようなポリオレフィン系の非極性樹脂が多用されているため、印刷に用いるインクの気泡シート表面に対する定着性が極端に悪いという問題がある。このような問題に対して、コロナ処理により気泡シートの表面改質を行い、気泡シートに極性を付与することも考えられるが、インクの定着性の問題を完全には解決することができない。
【0005】
また、柔軟な素材に印刷を施す際に、インクの定着性を向上させるために、塩化ビニール等の成分を含むインクを用いる必要がある。このように、塩化ビニール系のインクを用いる場合には、ポリオレフィン系の気泡シートと塩化ビニール系のインクの分別が困難であり、リサイクル性の面でも問題がある。
【0006】
本発明は上記点に鑑み、多数の突起部が形成された合成樹脂製シートの突起部表面に文字等の識別情報を設ける場合に、識別情報の安定性およびリサイクル性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、融点以上となっている合成樹脂製の第1シート(11)を供給する第1シート供給手段(20)と、外周面に前記突起部(11a)に対応する凹部(220)が形成され、前記凹部(220)の底部に蓋部材(221)が配置され、前記蓋部材(221)に設けられた吸引口から空気を吸引することで、前記第1シート供給手段(20)から供給された前記第1シート(11)に前記突起部(11a)を形成可能な成形ロール(22)とを備え、
前記蓋部材(221)の表面には、視認可能な識別情報が形成されており、前記成形ロール(22)の凹部(220)にて前記第1シート(11)を吸引する際に、前記蓋部材(221)の表面に前記第1シート(11)が押し付けられ、前記識別情報が前記第1シート(11)に転写されることを特徴としている。
【0008】
これにより、第1シート(11)の突起部(11a)に識別情報を設けることができる。本発明の構成によれば、第1シート(11)に突起部(11a)を成形する際に溶融状態の第1シート(11)自体に識別情報が設けられる。このため、第1シート(11)の文字を印刷して設けた場合のように、定着性の問題が生じることがなく、安定的に第1シート(11)に識別情報を設けることができる。また、第1シート(11)自体に識別情報が一体的に設けられているので、廃棄する際に識別情報の部分を分別する必要がなく、リサイクル性にも優れている。
【0009】
また、請求項2に記載の発明では、前記第1シート(11)における前記突起部(11a)の開口側の面に、融点以上に加熱された前記第2シート(12)を供給する第2シート供給手段(21)と、前記第2シート(12)を前記第1シート(11)に押しつけるように外力を作用させ、前記第1シート(11)と前記第2シート(12)を接合する押圧手段(23)とを備え、前記第1シート(11)の前記突起部(11a)と前記第2シート(12)との間にガスが封入された多数の気泡部(13)が形成されることを特徴としている。
【0010】
これにより、気泡部(13)を構成する突起部(11a)を形成する際に、突起部(11a)に識別情報を設けることができる。
【0011】
また、請求項3に記載の発明では、前記第1シート(11)における前記突起部(11a)の突起先端側に、融点以上に加熱された前記第2シート(12)を供給する第2シート供給手段(21)と、前記第2シート(12)を前記第1シート(11)に押しつけるように外力を作用させ、前記第1シート(11)と前記第2シート(12)を接合する押圧手段(23)とを備えることを特徴としている。
【0012】
本発明では、このような気泡部を有しない積層シートにおいても、識別情報を設けることができる。
【0013】
また、請求項4に記載の発明は、前記蓋部材(221)は、外周部に前記吸引口として機能する切り欠き(221a)が形成された円盤状であり、前記凹部(220)に対向する板面に前記識別情報が形成されていることを特徴としている。
【0014】
このように、蓋部材(221)の外周部に切り欠き部(221a)を設けることで、蓋部材(221)の中央付近の面積が大きくなり、識別情報を容易に設けることができる。
【0015】
また、請求項5に記載の発明では、前記蓋部材(221)は、前記凹部(220)に対向する板面における前記識別情報の周囲が凹凸状に構成されていることを特徴としている。
【0016】
これにより、蓋部材(221)の識別情報が第1シート(11)の突起部(11a)に転写される際に、突起部(11a)の識別情報の部分は平滑になり、蓋部材221の凹凸に対応する部分には凹凸が付される。このため、第1シート(11)の突起部(11a)では、識別情報の部分が浮き上がって見えるようになる。
【0017】
また、請求項6乃至10に記載の発明は、請求項1乃至5に記載の製造装置に係る発明を製造方法として特定したものであり、請求項1乃至3に記載の発明と同様の効果を得ることができる。
【0018】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】合成樹脂製積層シートの斜視図である。
【図2】積層シート製造装置の主要構成部を示す概念図である。
【図3】成形ロールを部分的に拡大した断面図である。
【図4】蓋部材の平面図である。
【図5】第1シートに突起部が形成される過程を示す工程図である。
【図6】蓋部材の変形例を示す平面図である。
【図7】蓋部材の変形例を示す平面図である。
【図8】積層シートの変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図1〜図5に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態を示す合成樹脂製積層シート10の斜視図である。
【0021】
図1に示すように、本実施形態の積層シート10は、多数の凹凸状突起部11aが形成された第1シート(凹凸シート)11と、平坦状の第2シート(平坦シート)12とから構成される2層構造となっている。本実施形態の第1シート11には、多数の円柱状の突起部11aがエンボス加工されており、第1シート11の突起部開口側に第2シート12が接合されている。これにより、本実施形態の積層シート10は、凹凸状の第1シート11と平坦状の第2シート12との間に空気が密閉された気泡部13が形成された気泡シートとして構成されている。
【0022】
本実施形態では、積層シート10を構成する合成樹脂として、ポリエチレンやポリプロピレンといったポリオレフィン系樹脂を用いており、柔軟性が必要とされる用途に用いる場合にはポリエチレンを用いることが望ましい。また、合成樹脂製積層シート10は、用途が包装材のような柔軟性が必要とされる場合には単位面積当り重量(目付重量)を20〜300グラム/m2とすることが望ましい。
【0023】
図1に示すように、積層シート10の気泡部13の表面に文字が設けられている。本実施形態では、気泡部13の頂部の平坦な部分において、文字が盛り上がるように(突出するように)形成されている。図1に示す例では、積層シート10の材質である「ポリエチレン」を示す「>PE<」からなる文字が気泡部13に設けられている。後述のように、第1シート11を成形ロール22にて真空吸引して突起部11aを形成する際に、突起部11aの表面に文字が設けられる。
【0024】
図2は、本実施形態の積層シート10を製造する積層シート製造装置の主要構成部の一例を示している。図2に示すように、2つの合成樹脂製シート供給部20、21が設けられている。これらのシート供給部20、21はそれぞれ、押出機(図示せず)に連結したフラットダイから構成されている。そして、第1のシート供給部20から溶融状態の第1シート11が供給され、第2のシート供給部21からは溶融状態の第2シート12が供給される。また、積層シート製造装置には、成形ロール22と、加圧ロール23と、剥離ロール24とが設けられている。成形ロール22の外周面には、第1シート11に凹凸パターンを形成するための多数の凹部が設けられており、これらの凹部は同一の構成を備えている。
【0025】
図3は、成形ロール22を部分的に拡大した断面図である。図3では、上方が成形ロール22の外周面側になる。図3に示すように、成形ロール22の外周面には、凹部220が形成されている。凹部220は、積層シート10の気泡部13に対応した形状となっており、円柱状のくぼみとして構成されている。凹部220は、第1シート11に形成される突起部11aの配置パターンに対応して多数配置されている。凹部220の底部は、蓋部材221が設けられている。蓋部材221は、成形ロール22とは別部材として構成されている。本実施形態では、蓋部材221は嵌合により凹部220に取り付けられており、凹部220から取り外して交換することができる。蓋部材221は、嵌合によって凹部220に固定することができ、あるいは蓋部材221自体をネジとして構成することで、ネジ止めによって凹部220に固定することができる。蓋部材221の下方は、図示しない真空ポンプに連通する吸引通路222が設けられている。
【0026】
図4は、蓋部材221の平面図である。蓋部材221は円盤状であり、凹部220と吸引通路222とを連通させるために、外周部に切り欠き部221aが設けられている。切り欠き部221aは、蓋部材221の外周と同心の円により形成された断続的な環状に構成されている。図4に示す例では、4つの切り欠き部221aが設けられている。このため、蓋部材221は、外周縁部に4つの突起部が形成され、これらの突起部により凹部220の底部に支持される。そして、切り欠き部221aを介して凹部220と吸引通路222とが連通するため、切り欠き部221aが凹部220の吸引口として機能する。
【0027】
本実施形態の蓋部材221の表面には、文字が形成されている。この文字は、蓋部材221の表面に対して凹んだ状態となっており、蓋部材221の表面に刻印された状態となっている。蓋部材221の表面に設けられた文字は、積層シート10の成形の際に、第1シート11の突起部11aに転写するためのものである。このため、文字のパターンは、積層シート10の表面に設けられる文字を左右反転したものであり、図4に示す例では「>PE<」が左右反転した文字となっている。成形ロール22の凹部220で第1シート11を真空吸引する際に、第1シート11の突起部11aは、蓋部材221の中央付近に強く押し付けられるので、蓋部材221の中央付近に文字を設けることが望ましい。なお、蓋部材221の表面に設けられた文字が本発明の識別情報の一具体例を示している。
【0028】
次に、図2の製造装置を用いた積層シート10の製造方法について説明する。第1のシート供給部20より供給された高温で可塑化状態の第1シート11は、成形ロール22上で真空に吸引されることにより、気泡部13を構成する凹凸パターンが形成される。
【0029】
ここで、図5を用いて、第1シート11の突起部11aの形成について説明する。図5は、第1シート11に突起部11aが形成される過程を示す工程図である。
【0030】
まず、成形ロール22に供給された突起部11a形成前の第1シート11は、凹部220にて真空吸引される(図5(a))。これにより、第1シート11における凹部220に対応する部位が、凹部220に引き込まれ、突起部11aとして形成される(図5(b))。第1シート11が更に真空吸引されることで、第1シート11の突起部11aの先端部分が蓋部材221に押し付けられる(図5(c))。これにより、第1シート11の突起部11aには、蓋部材221に刻印された文字が反転して転写され、所望の文字が形成される。
【0031】
続いて、第2のシート供給部21より供給された高温の第2シート12は、加圧ロール23によって、多数の突起部11aが形成された第1シート11に押しつけられ、その後、剥離ロール24で剥離される。これにより、第1シート11と第2シート12とが融着して接合し、気泡部13に気体が封入された積層シート10が成形される。
【0032】
以上の工程により、積層シート10の気泡部13に文字を設けることができる。本実施形態の構成によれば、積層シート10を成形する際に溶融状態の第1シート11自体に文字が設けられる。このため、積層シート10の文字を印刷して設けた場合のように、定着性の問題が生じることがなく、安定的に積層シート10に文字を設けることができる。
【0033】
また、本実施形態の構成によれば、積層シート10の第1シート11自体に文字が一体的に設けられているので、廃棄する際に文字の部分を分別する必要がなく、リサイクル性にも優れている。さらに、積層シート10の材質を示す文字が設けられている場合には、廃棄する際に分別を容易に行うことができる。
【0034】
また、本実施形態の構成によれば、成形ロール22の凹部220に配置された蓋部材221を異なるパターンの文字が刻印された蓋部材221に交換することで、積層シート10に設ける文字を容易に変更することができる。
【0035】
また、本実施形態の蓋部材221は、周縁に吸引口として機能する切り欠き部221aを設けているので、成形ロール22の表面に供給された第1シート11を凹部220で吸引する際に、凹部220内に存在する空気は周縁から吸引される。このため、第1シート11の突起部11aでは、中央付近が固化するより、周縁に向かう引き伸しが早めに進んで、突起部11a全体を比較的均一に吸引することができ、突起部11aの肉厚をできるだけ均一にすることができる。
【0036】
また、本実施形態の蓋部材221のように、外周部に吸引口として機能する切り欠き部221aを設けることで、蓋部材221の中央付近の面積が大きくなり、積層シート10の気泡部13に転写するための文字(識別情報)を容易に設けることができる。
【0037】
また、本実施形態の構成によれば、印刷(識別情報)では文字を設けることが困難な第1シート11の突起部11aの先端側に文字(識別情報)を設けることができる。
【0038】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
【0039】
例えば、上記実施形態では、積層シート10の気泡部13に設ける識別情報として、特定の文字「>PE<」として説明したが、これに限らず、識別情報は何らかの意味を生じさせるものであればよく、任意の文字、数字、記号、図柄等を用いることができる。
【0040】
また、上記実施形態では、積層シート10のすべての気泡部13に同じパターンの文字(識別情報)を設けるように構成したが、成形ロール22の各凹部220の蓋部材221で異なるパターンを形成しておくことで、それぞれの気泡部13に異なる文字等を設けるように構成してもよい。例えば、一列に並んだ4つの気泡部13に「>」、「P」、「E」、「<」の文字をそれぞれ設けるようにしてもよい。
【0041】
また、上記実施形態では、積層シート10のすべての気泡部13に文字(識別情報)を設けるように構成したが、これに限らず、積層シート10の一部の気泡部13のみに識別情報を設けるように構成してもよい。
【0042】
また、上記実施形態では、外周に4つの切り欠き221aを設けた蓋部材221を用いたが、蓋部材221は吸引口となる切り欠き部221aが設けられていればよく、蓋部材221を異なる形状としてもよい。例えば、図6(a)に示すように、蓋部材221の周囲に多数の切り欠き部221aを設けてもよく、あるいは図6(b)に示すように、蓋部材221の周囲に半円状の切り欠き部221aを設けてもよい。
【0043】
また、上記実施形態では、蓋部材221に凹んだ状態(刻印した状態)の文字(識別情報)を形成したが、これに限らず、蓋部材221に設ける識別情報は、第1シート11が接触した際に転写可能であればよい。例えば蓋部材221の表面から盛り上がった状態の識別情報を形成してもよく、この場合には、積層シート10に設けられる文字等が凹んだ状態となる。あるいは、蓋部材221に識別情報を貫通孔として形成してもよい。
【0044】
また、上記実施形態の蓋部材221の構成に加えて、蓋部材221の第1シート11の突起部11aが接触する面において、識別情報が設けられた部分以外の部分を凹凸状に形成してもよい。例えば、図7(a)に示すように、蓋部材221の表面を梨地処理したり、図7(b)に示すように、蓋部材221の表面に格子模様を設けること等によって、蓋部材221の表面に凹凸を設けることができる。これにより、蓋部材221の識別情報が第1シート11の突起部11aに転写される際に、突起部11aの識別情報の部分は平滑になり、その周囲(蓋部材221の凹凸に対応する部分)は凹凸が付される。このため、第1シート11の突起部11aでは、識別情報の部分が浮き上がって見えるようになる。
【0045】
また、上記実施形態では、柔軟性を有する積層シート10を用いた例について説明したが、本発明は曲げ剛性を有する積層シートにも適用可能である。このような曲げ合成を有する積層シートは肉厚に構成され、単位面積当り重量(目付重量)が300〜3000グラム/m2程度となっている。
【0046】
また、上記実施形態では、第1シート11の突起部11aの開口側に第2シート12を接合することで気泡部13が設けられた積層シート10を用いた例について説明したが、本発明は気泡部13を備えない積層シート10にも適用可能である。具体的には、図8(a)、図8(b)に示すように、積層シート10を第1シート11の突起部先端側に第2シート12を接合する構成とすることができる。このような気泡部13を有しない積層シート10は、上述の肉厚で曲げ剛性を有する積層シートとして構成することが望ましい。図7に示す例では、第1シート11の突起部11aによって、積層シート11の表面(図7の下面)に多数の凹部が形成される。この場合、積層シート10の凹部の底面に識別情報が設けられることとなる。
【0047】
また、上記実施形態では、第1シート11の突起部11aの開口側に第2シート12を接合した積層シート10を用いた例について説明したが、これに限らず、本発明は多数の突起部11aが形成された第1シート11のみに対しても適用可能である。このような1枚の第1シート11のみで用いる場合には、上述の肉厚で曲げ剛性を有するシートとして構成することが望ましい。
【0048】
また、上記実施形態では、成形ロール22の凹部220を円柱形状とし、第1シート11の突起部11aを円柱形状として構成したが、これに限らず、成形ロール22の凹部220および第1シート11の突起部11aを円柱形状以外の形状としてもよい。例えば、成形ロール22の凹部220および第1シート11の突起部11aを、楕円、多角形、ハート型等の円以外の異形の柱形状として構成することができる。
【0049】
また、上記実施形態では、成形ロール22の凹部220に1つの蓋部材221を設けた例について説明したが、これに限らず、成形ロール22の凹部220に複数個の蓋部材221を設けてもよい。
【符号の説明】
【0050】
10…積層シート、11…第1シート、12…第2シート、13…気泡部、22…成形ロール、220…凹部、221…蓋部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
融点以上となっている合成樹脂製の第1シート(11)を供給する第1シート供給手段(20)と、
外周面に前記突起部(11a)に対応する凹部(220)が形成され、前記凹部(220)の底部に蓋部材(221)が配置され、前記蓋部材(221)に設けられた吸引口から空気を吸引することで、前記第1シート供給手段(20)から供給された前記第1シート(11)に前記突起部(11a)を形成可能な成形ロール(22)とを備え、
前記蓋部材(221)の表面には、視認可能な識別情報が形成されており、前記成形ロール(22)の凹部(220)にて前記第1シート(11)を吸引する際に、前記蓋部材(221)の表面に前記第1シート(11)が押し付けられ、前記識別情報が前記第1シート(11)に転写されることを特徴とする合成樹脂製シートの製造装置。
【請求項2】
前記第1シート(11)における前記突起部(11a)の開口側の面に、融点以上に加熱された前記第2シート(12)を供給する第2シート供給手段(21)と、
前記第2シート(12)を前記第1シート(11)に押しつけるように外力を作用させ、前記第1シート(11)と前記第2シート(12)を接合する押圧手段(23)とを備え、
前記第1シート(11)の前記突起部(11a)と前記第2シート(12)との間にガスが封入された多数の気泡部(13)が形成されることを特徴とする請求項1に記載の合成樹脂製シートの製造装置。
【請求項3】
前記第1シート(11)における前記突起部(11a)の突起先端側に、融点以上に加熱された前記第2シート(12)を供給する第2シート供給手段(21)と、
前記第2シート(12)を前記第1シート(11)に押しつけるように外力を作用させ、前記第1シート(11)と前記第2シート(12)を接合する押圧手段(23)とを備えることを特徴とする請求項1に記載の合成樹脂製シートの製造装置。
【請求項4】
前記蓋部材(221)は、外周部に前記吸引口として機能する切り欠き(221a)が形成された円盤状であり、前記凹部(220)に対向する板面に前記識別情報が形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の合成樹脂製シートの製造装置。
【請求項5】
前記蓋部材(221)は、前記凹部(220)に対向する板面における前記識別情報の周囲が凹凸状に構成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の合成樹脂製シートの製造装置。
【請求項6】
外周面に前記突起部(11a)に対応する凹部(220)が形成され、前記凹部(220)の底部に配置された蓋部材(221)に設けられた吸引口から空気を吸引可能に構成された成形ロール(22)に、融点以上となっている前記第1シート(11)を供給する第1シート供給工程と、
前記吸引口から前記成形ロール(22)の内部に向かって空気を吸引して、前記成形ロール(22)の外周面上で前記第1シート(11)に前記突起部(11a)を形成する突起部形成工程とを備え、
前記蓋部材(221)の表面には、視認可能な識別情報が形成されており、前記突起部形成工程では、前記第1シート(11)を吸引する際に、前記蓋部材(221)の表面に前記第1シート(11)が押し付けられ、前記蓋部材(221)に形成された前記識別情報が前記第1シート(11)に転写されることを特徴とする合成樹脂製シートの製造方法。
【請求項7】
前記第1シート(11)における前記突起部(11a)の開口側の面に、融点以上に加熱された前記第2シート(12)を供給する第2シート供給工程と、
第1加圧手段(23)により前記第2シート(12)を前記第1シート(11)に押しつけるように外力を作用させ、前記第1シート(11)と前記第2シート(12)を接合する接合工程とを備え、
前記第1シート(11)の前記突起部(11a)と前記第2シート(12)との間にガスが封入された多数の気泡部(13)が形成されることを特徴とする請求項6に記載の合成樹脂製シートの製造方法。
【請求項8】
前記第1シート(11)における前記突起部(11a)の突起部先端側に、融点以上に加熱された前記第2シート(12)を供給する第2シート供給工程と、
前記第2シート(12)を前記第1シート(11)に押しつけるように外力を作用させ、前記第1シート(11)と前記第2シート(12)を接合する接合工程とを備えることを特徴とする請求項6に記載の合成樹脂製シートの製造装置。
【請求項9】
前記蓋部材(221)は、外周部に前記吸引口として機能する切り欠き(221a)が形成された円盤状であり、前記凹部(220)に対向する板面に前記識別情報が形成されていることを特徴とする請求項6ないし8のいずれか1つに記載の合成樹脂製シートの製造方法。
【請求項10】
前記蓋部材(221)は、前記凹部(220)に対向する板面における前記識別情報の周囲が凹凸状に構成されていることを特徴とする請求項6ないし9のいずれか1つに記載の合成樹脂製シートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−20359(P2011−20359A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−167584(P2009−167584)
【出願日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(000199979)川上産業株式会社 (203)
【Fターム(参考)】