周辺車両情報提供装置
【課題】地図中の他車の位置を特定するマップマッチングの演算負荷を低減することが可能な周辺車両情報提供装置を提供する。
【解決手段】周辺車両情報提供装置(12)は、マップマッチング(MM)処理後の第2自車位置(P12)とMM処理前の第1他車位置(P21)とに基づいて、第1他車位置(P21)に対する位置特定マップマッチング処理の要否を判定するマップマッチング要否判定手段(60)を備える。また、周辺車両情報提供装置(12)の他車マップマッチング処理手段(64)は、前記位置特定マップマッチング処理が必要であるとマップマッチング要否判定手段(60)が判定した第1他車位置(P21)に対して前記位置特定マップマッチング処理を行う。
【解決手段】周辺車両情報提供装置(12)は、マップマッチング(MM)処理後の第2自車位置(P12)とMM処理前の第1他車位置(P21)とに基づいて、第1他車位置(P21)に対する位置特定マップマッチング処理の要否を判定するマップマッチング要否判定手段(60)を備える。また、周辺車両情報提供装置(12)の他車マップマッチング処理手段(64)は、前記位置特定マップマッチング処理が必要であるとマップマッチング要否判定手段(60)が判定した第1他車位置(P21)に対して前記位置特定マップマッチング処理を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自車及び他車の位置に対してマップマッチングを行い、当該マップマッチング後の自車及び他車の位置を用いてユーザに周辺車両情報を提供する周辺車両情報提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両における情報化が進んでいる。その中の1つとして、周辺車両の情報提供を挙げることができる(例えば、特許文献1、2)。
【0003】
特許文献1では、ナビゲーション装置(6)によって、自車が走行する道路やその道路上において自車が存する位置(自車位置)の情報を得る(特許文献1の段落[0008])。また、レーダ装置(3)、車々間通信及び路車間通信を用いて他車の情報{他車が存する位置(他車位置)、車速、進行方向等}を取得する(同段落[0012])。そして、これらの情報を用いて、ディスプレイ(7)等の画像表示手段に自車や他車を簡易表示することにより、周辺車両の情報を提供する(特許文献1の図6)。
【0004】
特許文献2では、道路地図上における位置を特定するマップマッチングを自車(A)の位置及び複数の他車(B、C、D、E)の位置それぞれに対して行い、当該マップマッチング後の自車(A)の位置及び周囲に存在する全ての他車(B、C、D、E)の位置を用いて周辺車両の情報を提供する(特許文献2の段落[0019]、[0021]、[0026]及び図5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−340583号公報
【特許文献2】特開2007−094698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、特許文献2では、周囲の全ての他車の位置それぞれに対してマップマッチングを行うが、自車の周辺に多数の他車が存在する場合、その全ての他車の位置についてマップマッチングを行うと、演算負荷が膨大となってしまう。
【0007】
この発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、地図中の他車の位置を特定するマップマッチングの演算負荷を低減することが可能な周辺車両情報提供装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る周辺車両情報提供装置は、車両に搭載され、地図の情報を記憶する地図情報記憶手段と、前記地図中の位置を特定するための位置特定マップマッチング処理前の自車位置である第1自車位置を検出する自車位置検出手段と、前記地図の情報を用いて前記第1自車位置に対して前記位置特定マップマッチング処理を行って、前記位置特定マップマッチング処理後の自車位置である第2自車位置を特定する自車マップマッチング処理手段と、前記車両に搭載され、前記車両の外部から通知される他車位置である第1他車位置を受信する受信手段と、前記地図の情報を用いて前記第1他車位置に対して前記位置特定マップマッチング処理を行って、前記位置特定マップマッチング処理後の他車位置である第2他車位置を特定する他車マップマッチング処理手段と、前記第2自車位置及び前記第2他車位置に基づいてユーザに周辺車両情報を提供する周辺車両情報提供手段とを備えるものであって、前記第2自車位置と前記第1他車位置とに基づいて、前記第1他車位置に対する前記位置特定マップマッチング処理の要否を判定するマップマッチング要否判定手段をさらに備え、前記他車マップマッチング処理手段は、前記位置特定マップマッチング処理が必要であると前記マップマッチング要否判定手段が判定した前記第1他車位置に対して前記位置特定マップマッチング処理を行うことを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、位置特定マップマッチング処理が必要であると判断した第1他車位置に対してのみ位置特定マップマッチング処理を行う。このため、自車が受信した全ての第1他車位置に対して位置特定マップマッチング処理を行う場合と比べ、位置特定マップマッチング処理の演算負荷を低減することができる。
【0010】
前記マップマッチング要否判定手段は、前記第2自車位置及び前記第1他車位置それぞれの関連リンク又は関連リンク列を特定し、前記第2自車位置の関連リンク又は関連リンク列が、前記第1他車位置の関連リンク又は関連リンク列と一致したとき、当該第1他車位置に対する前記位置特定マップマッチング処理が必要であると判定してもよい。
【0011】
さらに、前記マップマッチング要否判定手段は、前記第2自車位置が属するリンクと、前記自車の予定進路に含まれるリンクと、前記第2自車位置が属するリンクに交差するリンクとを前記第2自車位置の関連リンクとして特定し、前記第1他車位置が属するリンクである近傍リンクを前記第1他車位置の関連リンクとして特定し、又は、前記第2自車位置が属するリンク列と、前記第2自車位置が属するリンク列に対し前記自車の進行方向において交差するリンク列とを前記第2自車位置の関連リンク列として特定し、前記第1他車位置が属するリンク列である近傍リンク列を前記第1他車位置の関連リンク列として特定してもよい。
【0012】
或いは、前記マップマッチング要否判定手段は、前記第2自車位置の関連リンクを特定し、前記第1他車位置が属するリンクである近傍リンクを、前記第2自車位置の関連リンクの中から特定し、又は、前記第2自車位置の関連リンク列を特定し、前記第1他車位置が属するリンク列である近傍リンク列を、前記第2自車位置の関連リンク列の中から特定し、前記第2自車位置の関連リンクの中に前記第1他車位置の近傍リンクが存在したとき、又は前記第2自車位置の関連リンク列の中に前記第1他車位置の近傍リンク列が存在したとき、当該第1他車位置に対する前記位置特定マップマッチング処理が必要であると判定してもよい。
【0013】
これにより、第2他車位置を特定するための処理負荷の低減又は処理速度の向上を図ることが可能となる。すなわち、全ての第1他車位置について近傍リンクを特定した上で、各近傍リンクが、第2自車位置の関連リンクと一致するかどうかを判定する場合、全ての第1他車位置について近傍リンクを特定する必要がある。これに対し、上記によれば、第1他車位置が第2自車位置の関連リンクに存在する場合にのみ、第1他車位置に位置特定マップマッチング処理を行う。従って、全ての第1他車位置について近傍リンクを特定する場合と比べて処理負荷を低減し、又は処理速度を向上することができる。
【0014】
前記マップマッチング要否判定手段は、前記第2自車位置と前記第1他車位置との距離が所定値以内であるとき、前記第1他車位置に対する前記位置特定マップマッチング処理が必要であると判定してもよい。
【0015】
前記受信手段は、前記第1他車位置と組み合わせられ、走行道路種別を示す走行道路種別情報を前記車両の外部から受信し、前記マップマッチング要否判定手段は、前記第2自車位置が自動車専用道路上にあるとき、自動車非専用道路を示す前記走行道路種別情報と組み合わせられた前記第1他車位置に対する前記位置特定マップマッチング処理が不要であると判定し、前記第2自車位置が自動車非専用道路上にあるとき、自動車専用道路を示す前記走行道路種別情報と組み合わせられた前記第1他車位置に対する前記位置特定マップマッチング処理が不要であると判定してもよい。これにより、不要な位置特定マップマッチング処理をなくし、処理負担を低減することが可能となる。
【0016】
前記マップマッチング要否判定手段は、前記第1他車位置を初めて受信した他車、及び前記位置特定マップマッチング処理の要否判定を行ってから所定時間が経過した他車を対象として前記位置特定マップマッチング処理の要否を判定してもよい。これにより、所定時間を適切に設定することで、過度の演算を回避することが可能となる。
【0017】
前記マップマッチング要否判定手段は、自車と他車の距離、前記自車と前記他車の属するパーセル範囲、又は前記自車及び前記他車の車速に基づいて前記所定時間を変化させてもよい。これにより、マップマッチングの要否判定の間隔を自車及び他車の状況に応じて設定することができ、より適切な間隔で当該判定を行うことが可能となる。
【0018】
前記マップマッチング要否判定手段は、自車の走行リンクが変わったときに各第1他車位置に対する前記位置特定マップマッチング処理の要否を判定してもよい。
【0019】
前記他車マップマッチング処理手段は、前記位置特定マップマッチング処理が必要であると判定された他車を対象として、前記第1他車位置を受信する毎、又は所定時間間隔で前記位置特定マップマッチング処理を行ってもよい。
【0020】
前記周辺車両情報提供手段は、前記位置特定マップマッチング処理が必要であると判定された車両を表示し、前記位置特定マップマッチング処理が不要であると判定された車両を表示しなくてもよい。これにより、ユーザが注意を払うべき他車のみを表示することが可能となる。
【0021】
前記周辺車両情報提供手段は、前記位置特定マップマッチング処理が必要であると判定された車両と、不要であると判定された車両を異なる態様で表示してもよい。これにより、注意を払うべき他車をユーザにわかり易く伝えることが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、位置特定マップマッチング処理が必要であると判断した第1他車位置に対してのみ位置特定マップマッチング処理を行う。このため、自車が受信した全ての第1他車位置に対して位置特定マップマッチング処理を行う場合と比べ、位置特定マップマッチング処理の演算負荷を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明の一実施形態に係る周辺情報提供装置を搭載した車両の概略全体構成図である。
【図2】前記周辺情報提供装置の制御部における機能等の関連を模式的に示したブロック図である。
【図3】前記制御部が自車位置及び他車位置を特定するフローチャートである。
【図4】前記自車位置を特定するフローチャートである。
【図5】前記実施形態における他車マップマッチング対象リンク管理データベースの構成例を示す図である。
【図6】前記実施形態における自車と他車の関係の一例を示す図である。
【図7】他車マップマッチング処理の要否を判定するフローチャートである。
【図8】前記実施形態における他車マップマッチング要否判定テーブルの構成例を示す図である。
【図9】他車マップマッチング要否判定フラグを設定するフローチャートである。
【図10】他車位置を特定するフローチャートである。
【図11】図9のフローチャートの変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
A.一実施形態
[1.全体構成]
図1は、この発明の一実施形態に係る周辺車両情報提供装置12(以下「情報提供装置12」ともいう。)を搭載した車両10(以下「自車10」ともいう。)の概略全体構成図を示している。
【0025】
情報提供装置12は、グローバル・ポジショニング・システム受信機14(以下「GPS受信機14」という。)と、無線通信機16と、各種センサ18と、地図情報データベース20(以下「地図情報DB20」という。)と、制御部22と、周辺車両情報提供部24(以下「情報提供部24」ともいう。)とを備える。
【0026】
GPS受信機14は、自車10の上空にある複数のGPS衛星からの信号(GPS信号)を受信する。このGPS信号は、自車10の位置を特定するのに用いられる。ここにいう自車10の位置は、地図情報DB20に記憶されている地図上の位置を特定するマップマッチング処理(以下「位置特定MM処理」という。)前のものであり、位置特定MM処理後の自車10の位置と区別するために、以下では、位置特定MM処理前の自車10の位置を「第1自車位置P11」と、位置特定MM処理後の自車10の位置を「第2自車位置P12」という。
【0027】
無線通信機16は、自車10と他車との通信(車々間通信)や自車10と路側機(光ビーコン等)との通信(路車間通信)を行う。
【0028】
各種センサ18には、車速センサ、前方レーダ、ヨーレートセンサ、横Gセンサ、前後Gセンサ、傾斜センサ等のセンサが含まれる。前記前方レーダは、自車10の前方を走行する他車との距離を測定し、他車の位置や車速を検出する。
【0029】
地図情報DB20は、地図情報を蓄積したものであり、制御部22が各種処理を実行する際に用いられる。前記地図情報は、各交差点をノードとし、各道路をリンクとしたものを含む。また、地図情報DB20には、各道路(リンク)が一般道(自動車非専用道路)であるか又は高速道路(自動車専用道路)であるかを示す走行道路種別情報が記憶されている。
【0030】
制御部22は、GPS受信機14、無線通信機16及び各種センサ18からの出力や、地図情報DB20から読み出す地図情報に基づいて、情報提供部24を介して、車両10のユーザに対して周辺車両の情報を提供する。
【0031】
情報提供部24は、制御部22からの指令に応じてユーザに対して周辺車両の情報を提供する。本実施形態における情報提供部24は、表示部30、スピーカ32、アクセルペダル反力付与機構34(以下「反力付与機構34」という。)及び自動ブレーキ機構36を備える。表示部30は、例えば、液晶ディスプレイを含み、自車10と他車を簡易的な表示で示す。当該簡易的な表示としては、例えば、特許文献1に記載されたものを基本的に用いることができる。スピーカ32は、オーディオ用スピーカを兼ねるものであり、自車10に対して他車が接近している旨を音声で通知する場合に用いられる。
【0032】
反力付与機構34は、自車10と他車との間のTTC(Time to Collision)[sec]に応じてアクセルペダル(図示せず)に付与する反力を自動的に増大させることでユーザに周辺車両への注意を喚起するものであり、前記アクセルペダルに加え、図示しない反力付与用の電子制御装置(ECU)、モータ等の構成要素を含む。
【0033】
自動ブレーキ機構36は、前記TTCに応じて自動的にブレーキをかけることで周辺車両の存在の通知等をするものであり、自動ブレーキ用のECU、油圧制御装置、ブレーキアクチュエータ等の図示しない構成要素からなる。
【0034】
[2.制御部22の構成]
図2は、制御部22の機能等の関連を模式的に示したブロック図である。図2に示すように、制御部22は、GPS測位機能50と、自車マップマッチング機能52(自車MM機能52)と、マップマッチング対象リンク管理データベース54(他車MMリンク管理DB54)と、通信機能56と、他車データテーブル58と、他車マップマッチング要否判定機能60(他車MM要否判定機能60)と、他車マップマッチング要否判定テーブル62(他車MM要否判定テーブル62)と、他車マップマッチング機能64(他車MM機能64)と、周辺情報提供機能としての運転支援機能66と、経路案内機能としてのカーナビゲーション機能68とを備える。
【0035】
図3には、上記各機能、データベース及びテーブルを用いて制御部22が自車位置(第1自車位置P11及び第2自車位置P12)並びに他車位置(第1他車位置P21及び第2他車位置P22)を特定するフローチャートが示されている。
【0036】
ステップS1において、制御部22(GPS測位機能50及び自車MM機能52)は、自車位置(第1自車位置P11及び第2自車位置P12)を特定する。図4には、図3のステップS1の詳細として自車位置を特定するフローチャートが示されている。ステップS11において、制御部22(GPS測位機能50)は、GPS受信機14が受信したGPS信号に基づいて位置特定MM処理前の自車10の位置である第1自車位置P11を特定する。
【0037】
ステップS12において、制御部22(自車MM機能52)は、第1自車位置P11に対して位置特定MM処理(自車MM処理)を行い、位置特定MM処理後の自車10の位置である第2自車位置P12を特定する。加えて、第2自車位置P12に基づいて自車10が属するリンク(自車リンクL1)を特定する。
【0038】
ステップS13において、制御部22(自車MM機能52)は、ステップS12で特定した第2自車位置P12及び自車リンクL1に基づいてMM対象リンクLmmを特定し、MM対象リンク管理DB54(以下「リンク管理DB54」ともいう。)に登録する。MM対象リンクLmmは、MM処理を行うべき第1他車位置P21を特定するためのリンクであり、第2自車位置P12に応じて設定される。また、MM対象リンクLmmは、図5に示すように、その識別情報(ID)がリンク管理DB54に登録され、自車リンクL1が変更する度に更新される。
【0039】
リンク管理DB54に登録するMM対象リンクLmmとしては、自車リンクL1と、自車10の予定進路に含まれるリンク(走行予定リンクL2)と、自車リンクL1又は走行予定リンクL2に交差するリンク(交差リンクL3)とが含まれる。なお、自車リンクL1については、自車リンクL1のうち自車10の予定進路に含まれる部分のみを登録し、既に通過した部分は除いてもよい。また、走行予定リンクL2は、カーナビゲーション機能68に基づいて設定された進路上に存在するリンクのうち所定数(例えば、1〜3個のいずれか)のリンクを走行予定リンクL2とすることができる。
【0040】
走行予定リンクL2及び交差リンクL3を特定する際、自動車非専用道路としての一般道と、自動車専用道路としての高速道路の区別を用いてもよい。すなわち、ステップS12で特定した第2自車位置P12又は自車リンクL1に基づいて、自車10が走行中の道路が一般道又は高速道路のいずれであるかを判定する。そして、自車10が走行中の道路が一般道である場合、高速道路のリンクは走行予定リンクL2及び交差リンクL3から除外する。反対に、自車10が走行中の道路が高速道路である場合、一般道のリンクは走行予定リンクL2及び交差リンクL3から除外する。
【0041】
また、第2自車位置P12から所定距離の範囲内にあるリンクのみをMM対象リンクLmmとすることもできる。
【0042】
図6には、本実施形態における自車10と他車70、72の関係の一例が示されている。図6の例においては、自車10が走行中のリンクが自車リンクL1である。また、自車リンクL1に対して直線的に繋がっている2つのリンクが走行予定リンクL2である(それぞれを区別するために参照符号L21、L22を用いる。)。さらに、自車リンクL1、走行予定リンクL21、L22に交差する4つのリンクが交差リンクL3である(それぞれを区別するために参照符号L31、L32、L33、L34を用いる。)。
【0043】
なお、本実施形態では、主として、リンクを単位として各処理を行うが、後述するように、リンク列を単位として各処理を行うこともできる。
【0044】
図3に戻り、ステップS2において、制御部22(通信機能56)は、無線通信機16を介して、他車70、72(図6)との間の車々間通信や、図示しない路側機と間の路車間通信を行い、他車70、72のデータを取得する。
【0045】
ステップS3において、制御部22(通信機能56)は、受信データが車々間通信によるもの(車々間データ)かどうかを判定する。受信データが路車間通信によるもの(路車間データ)である場合(S3:NO)、ステップS4において、制御部22(通信機能56)は、受信データに含まれる車両IDとしての他車IDが他車データテーブル58に登録済かどうかを判定する。他車IDとは、他車70、72を含む他車を特定するための識別子であり、例えば、VID(Vehicle Identification Number)やナンバープレートの番号を用いることができる。他車IDが他車データテーブル58に登録済でない場合(S4:NO)、ステップS5において、制御部22(通信機能56)は、当該他車ID及び受信データに含まれるその他の属性情報を他車データテーブル58に登録する。前記属性情報としては、例えば、車種及び車両の色が含まれる。他車IDが他車データテーブル58に登録済の場合(S4:YES)、ステップS5を介さずにステップS6に進む。
【0046】
ステップS6において、制御部22(通信機能56)は、受信データに含まれる走行情報をそのまま他車データテーブル58に登録(更新)する。前記走行情報としては、例えば、当該他車の現在位置としての他車位置(第1他車位置P21)、現在のリンク及びリンク列、走行速度並びに進行方向が含まれる。また、受信データに含まれる走行情報をそのまま登録するのは、路車間通信での受信データは、路側機の判定精度が高く、後述するような他車MM処理が不要であるためである。但し、路車間通信での受信データに対しても当該他車MM処理を行ってもよい。
【0047】
ステップS3に戻り、受信データが車々間通信によるもの(車々間データ)である場合(S3:YES)、ステップS7において、制御部22{他車MM要否判定機能60(以下「判定機能60」ともいう。)}は、他車70、72についてのMM処理(他車MM処理)の要否を判定する。
【0048】
図7には、ステップS7の詳細として、他車MM処理の要否を判定するフローチャートが示されている。ステップS21において、制御部22(判定機能60)は、受信データに含まれる他車IDが他車データテーブル58に登録済であるかどうかを判定する。当該他車IDが登録済でない場合(S21:NO)、ステップS22において、制御部22(判定機能60)は、通信機能56を介して取得した他車データを他車データテーブル58及び他車MM要否判定テーブル62に格納する。ここでの他車データには、例えば、上述したような属性情報(他車ID、車種及び車両の色)及び走行情報が含まれる。前記走行情報としては、当該他車の現在位置としての他車位置(第1他車位置P21)、現在のリンク及びリンク列、走行速度並びに進行方向が含まれる。また、図8に示すように、他車MM要否判定テーブル62は、車両ID、リンクID(後述する近傍リンクLnearの識別情報)、他車MM要否判定フラグFLG及びタイムスタンプを他車毎に格納する。タイムスタンプは、後述するタイマTMRの設定に利用する。
【0049】
ステップS23において、制御部22(判定機能60)は、他車MM要否判定フラグFLGを設定する。他車MM要否判定フラグFLGは、今回の処理において他車位置P21に対して他車MM処理を行う必要があるかどうかを設定するフラグである。
【0050】
図9には、ステップS23の詳細として、他車MM要否判定フラグFLGを設定するフローチャートが示されている。ステップS31において、制御部22(判定機能60)は、第1他車位置P21から近傍リンクLnearを特定する。近傍リンクLnearとは、第1他車位置P21が属する可能性が最も高いと判断されるリンクである。近傍リンクLnearは、例えば、地図情報DB20に記憶されている地図において、第1他車位置P21からの距離が最短であるリンクが選択される。
【0051】
ステップS32において、制御部22(判定機能60)は、ステップS31で特定した近傍リンクLnearが、図4のステップS13で特定したMM対象リンクLmmのいずれかと一致するかどうかを判定する。両者が一致する場合(S32:YES)、ステップS33において、制御部22(判定機能60)は、他車MM要否判定フラグFLGをONにし、当該結果を他車MM要否判定テーブル62に登録する。両者が一致しない場合(S32:NO)、ステップS34において、制御部22(判定機能60)は、他車MM要否判定フラグFLGをOFFにし、当該結果を他車MM要否判定テーブル62に登録する。
【0052】
図7に戻り、ステップS24において、制御部22(判定機能60)は、タイマTMRを設定する。当該タイマTMRは、他車MM要否判定を行う間隔(時間)を規定するものであり、時間の経過に応じて値が減少する。本実施形態において、タイマTMRは、自車10と他車70、72との距離D1、D2、自車10と他車70、72の属するパーセル範囲Pa1、Pa21、Pa22及び自車10及び他車70、72の車速V1、V21、V22に応じて可変である。すなわち、距離D1、D2が長いとき、タイマTMRを大きくし、距離D1、D2が短いとき、タイマTMRを小さくする。パーセル範囲Pa1、Pa21又はパーセル範囲Pa1、Pa22が同じであれば、タイマTMRを小さくし、パーセル範囲Pa1、Pa21のずれ又はパーセル範囲Pa1、Pa22のずれが大きいほどタイマTMRを大きくする。車速V1、V21、V22が高くなるほど、タイマTMRを小さくし、車速V1、V21、V22が低くなるほど、タイマTMRを大きくする。以上より、他車70のタイマTMRと他車72のタイマTMRを距離D1、D2等に応じて個別に設定することができる。
【0053】
ステップS21に戻り、他車IDが他車データテーブル58に登録済である場合(S21:YES)、ステップS25において、制御部22(判定機能60)は、タイマTMRの値が0以下であるかどうかを判定する。タイマTMRの値が0以下でない場合(S25:NO)、図3のフローチャートに戻る。タイマTMRの値が0以下である場合(S25:YES)、ステップS26において、制御部22(判定機能60)は、ステップS23と同様の方法で他車MM要否判定フラグFLGを設定する。図6の例であれば、他車70は、自車10の予定進路に含まれる走行予定リンクL21に交差する交差リンクL34を走行中であるため、他車MM要否判定フラグFLGをONにする。一方、他車72は、自車リンクL1、走行予定リンクL21、L22及び交差リンクL31〜L34のいずれをも走行していないため、他車MM要否判定フラグFLGをOFFにする。
【0054】
ステップS27において、制御部22(判定機能60)は、ステップS24と同様の方法でタイマTMRを再設定する。
【0055】
図3に戻り、ステップS8において、制御部22(他車MM機能64)は、他車70、72の位置を特定する。図10には、ステップS8の詳細として、他車位置を特定するフローチャートが示されている。
【0056】
ステップS41において、制御部22(他車MM機能64)は、図3のステップS7で特定した他車MM要否判定フラグFLGがONであるかどうかを他車70、72毎に判定する。同判定フラグFLGがONである場合(S41:YES)、ステップS42において、制御部22(他車MM機能64)は、図3のステップS2で受信した第1他車位置P21に対するMM処理(他車MM処理)を実行し、他車MM処理後の他車位置である第2他車位置P22を特定する。判定フラグFLGがOFFである場合(S41:NO)、今回の図3の処理を終える。
【0057】
図3の処理が終わると、制御部22(運転支援機能66)は、図3の処理により得られた第2自車位置P12及び第2他車位置P22を用いて、表示部30に自車10と他車70を簡易表示する。一方、他車72は、他車MM処理を要しないと判定したため、表示部30に表示しない。
【0058】
また、制御部22(運転支援機能66)は、自車10と他車70が所定の条件{例えば、第2自車位置P12及び第2他車位置P22に基づくTTC(Time to Collision)が所定値以下となる。}を満たすまで接近したとき、スピーカ32を介して他車70の注意を喚起する音声出力を行う。さらに、制御部22(運転支援機能66)は、自車10と他車70が所定の条件{例えば、前記TTCが別の所定値以下となる。}を満たすまで接近したとき、アクセルペダル反力付与機構34を介して図示しないアクセルペダルの反力を増大させて他車70の注意を喚起する。さらにまた、制御部22(運転支援機能66)は、自車10と他車70が所定の条件{例えば、前記TTCがさらに別の所定値以下となる。}を満たすまで接近したとき、自動ブレーキ機構36を作動させて他車70の注意を喚起する。
【0059】
また、制御部22(カーナビゲーション機能68)は、第2自車位置P12に基づいて経路案内を行う。
【0060】
[3.本実施形態の効果]
以上説明したように、本実施形態によれば、他車MM処理が必要であると判断した第1他車位置P21に対してのみ他車MM処理を行う(S41:YES→S42)。このため、自車10が受信した全ての第1他車位置P21に対して他車MM処理を行う場合と比べ、他車MM処理の演算負荷を低減することができる。
【0061】
本実施形態では、自車10が走行中の道路が一般道である場合、高速道路のリンクは走行予定リンクL2及び交差リンクL3から除外する。反対に、自車10が走行中の道路が高速道路である場合、一般道のリンクは走行予定リンクL2及び交差リンクL3から除外する。換言すると、制御部22(他車MM要否判定機能60)は、第2自車位置P12が一般道上にあるとき、高速道路を示す種別情報と組み合わせられた第1他車位置P21に対する他車MM処理が不要であると判定し、第2自車位置P12が高速道路上にあるとき、一般道を示す種別情報と組み合わせられた第1他車位置P21に対する他車MM処理が不要であると判定する。これにより、不要な演算を省略し、演算負荷を低減することができる。
【0062】
他車MM要否判定機能60は、自車10と他車70、72の距離D1、D2、自車10と他車70、72の属するパーセル範囲Pa1、Pa21、Pa22、並びに自車10及び他車70、72の車速V1、V21、V22に基づいてタイマTMRを変化させる。これにより、他車MM処理の要否判定の間隔を自車10及び他車70、72の状況に応じて設定することができ、より適切な間隔で当該判定を行うことが可能となる。
【0063】
上記実施形態において、表示部30は、他車MM処理が必要であると判定された他車70を表示し、他車MM処理が不要であると判定された他車72を表示しない。これにより、注意を払うべき他車70のみを表示することが可能となり、ユーザが認識を要する情報を選択して提供することができる。
【0064】
B.変形例
なお、この発明は、上記実施形態に限らず、この明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。例えば、以下の構成を採用することができる。
【0065】
上記実施形態では、MM処理前の第1自車位置P11をGPS測位に基づいて判定したが、これに限られない。例えば、路側機との間の路車間通信に基づいて第1自車位置P11を判定してもよい。この場合、自車MM処理は省略してもよい。
【0066】
上記実施形態では、車両10に配置した地図情報DB20から地図情報を得たが、これに限られず、例えば、外部サーバから地図情報を取得してもよい。
【0067】
上記実施形態では、自車リンクL1、MM対象リンクLmm等、リンク単位の処理を行ったが、これに限られない。例えば、リンク列で処理を行ってもよい。ここにいうリンク列とは、複数のリンクを組み合わせたものである。リンク列の構成としては、例えば、複数の交差点を真っ直ぐに(右左折せずに)進んだ場合の複数のリンクの組合せや、街道を構成するリンクの組合せを用いることができる。或いは、特許第4268663号公報に記載のように接続リンクを用いてリンク列を決定することも可能である(例えば、同公報の段落[0030]参照)。
【0068】
リンク列による処理を行う場合、例えば、第2自車位置P12の属する自己リンク列と、当該自己リンク列に交差する交差リンク列とをMM対象リンク列とする。また、第1他車位置P21が属する近傍リンク列を特定し、当該近傍リンク列が、MM対象リンク列のいずれかと一致するかどうかを判定する。そして、その判定結果を用いて、第1他車位置P21に対する他車MM処理の要否判定を行うことができる。
【0069】
上記実施形態では、MM対象リンクLmmとして、自車リンクL1と、自車10の予定進路に含まれる走行予定リンクL2と、自車リンクL1又は走行予定リンクL2に交差する交差リンクL3とを挙げたが、MM対象リンクLmmの設定は任意に行うことができる。例えば、交差リンクL31〜L34のうち交差リンクL33、L34を除いてもよい。
【0070】
図9では、他車MM要否判定フラグFLGの設定(図7のS23)として、近傍リンクLnearを特定した後(S31)、近傍リンクLnearがMM対象リンクLmmのいずれかと一致するかどうかを判定することで行ったが、これに限られない。図11には、図9のフローチャートの変形例が示されている。
【0071】
ステップS51において、制御部22(判定機能60)は、MM対象リンクLmmの順番を示す数nの初期値として「1」を設定する。ステップS52において、制御部22(判定機能60)は、MM対象リンク管理DB54に登録されている第n番目のMM対象リンクLmmを読み出す。
【0072】
ステップS53において、制御部22(判定機能60)は、第1他車位置P21が第n番目のMM対象リンクLmmに属するかどうかを判定する。当該判定は、位置特定MM処理を行わずに、例えば、第1他車位置P21と第n番目のMM対象リンクLmmの距離が所定値以内であるかどうかに基づいて行うことができる。第1他車位置P21が第n番目のMM対象リンクLmmに属さない場合(S53:NO)、ステップS54において、制御部22(判定機能60)は、数nが、MM対象リンクLの総数N(数nが取り得る最大値)と等しいかどうかを判定する。数nが総数Nと等しくない場合(S54:NO)、ステップS55において、制御部22(判定機能60)は、数nの値を1増加させ、ステップS52に戻る。数nが総数Nと等しい場合(S54:YES)、ステップS56において、制御部22(判定機能60)は、他車MM要否判定フラグFLGをOFFに設定する。
【0073】
ステップS53に戻り、第1他車位置P21が第n番目のMM対象リンクLmmに属する場合(S53:YES)、ステップS57において、制御部22(判定機能60)は、他車MM要否判定フラグFLGをONに設定する。
【0074】
上記の変形例によれば、第2他車位置P22を特定するための処理負荷の低減又は処理速度の向上を図ることが可能となる。すなわち、全ての第1他車位置P21について近傍リンクLnearを特定した上で、各近傍リンクLnearが、MM対象リンクLmmと一致するかどうかを判定する場合、全ての第1他車位置P21について近傍リンクLnearの特定を行う必要がある。これに対し、上記処理によれば、第1他車位置P21がMM対象リンクLmmに属する場合にのみ、第1他車位置P21に他車MM処理を行う。従って、全ての第1他車位置P21について近傍リンクLnearを特定する場合と比べて処理負荷を低減し、又は処理速度を向上することができる。
【0075】
上記実施形態では、制御部22(他車MM要否判定機能60)は、自車10の走行リンク(自車リンクL1)が変わったときに各第1他車位置P21に対する他車MM処理の要否を判定する。これにより、他車MM処理の要否を自車10の走行位置に応じて判定することができる。
【0076】
上記実施形態では、制御部22(判定機能60)は、自車10と他車70、72の距離D1、D2、自車10と他車70、72の属するパーセル範囲Pa1、Pa21、Pa22、並びに自車10及び他車70、72の車速V1、V21、V22に基づいてタイマTMRを変化させたが、いずれか1つ又は2つのみを用いることもできる。或いは、その他の因子(例えば、TTC)に応じてタイマTMRを変化させてもよい。或いは、タイマTMRを固定することも可能である。
【0077】
上記実施形態では、表示部30は、他車MM処理が必要であると判定された他車70を表示し、他車MM処理が不要であると判定された他車72を表示しなかったが、これに限られない。例えば、表示部30は、他車MM処理が必要であると判定された他車70と、他車MM処理が不要であると判定された他車72を異なる態様(例えば、他車70を大きくし、他車72を小さくする、又は両者の表示色を異ならせる。)で表示してもよい。これにより、注意を払うべき他車70をユーザにわかり易く伝えることが可能となる。
【符号の説明】
【0078】
10…車両(自車) 12…周辺車両情報提供装置
16…無線通信機(受信手段) 20…地図情報DB(地図情報記憶手段)
22…制御部 24…周辺車両情報提供部
30…表示部 50…GPS測位機能(自車位置検出手段)
52…自車MM機能(自車マップマッチング処理手段)
60…他車MM要否判定機能(マップマッチング要否判定手段)
64…他車MM機能(他車マップマッチング処理手段)
70、72…他車 D1、D2…自車と他車の距離
L1…自車リンク L2、L21、L22…進路予定リンク
L3、L31、L32、L33、L34…交差リンク
Lnear…近傍リンク Pa1…自車の属するパーセル範囲
Pa21、Pa22…他車の属するパーセル範囲
P11…第1自車位置 P12…第2自車位置
P21…第1他車位置 P22…第2他車位置
TMR…タイマ V1…自車の車速
V21、V22…他車の車速
【技術分野】
【0001】
この発明は、自車及び他車の位置に対してマップマッチングを行い、当該マップマッチング後の自車及び他車の位置を用いてユーザに周辺車両情報を提供する周辺車両情報提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両における情報化が進んでいる。その中の1つとして、周辺車両の情報提供を挙げることができる(例えば、特許文献1、2)。
【0003】
特許文献1では、ナビゲーション装置(6)によって、自車が走行する道路やその道路上において自車が存する位置(自車位置)の情報を得る(特許文献1の段落[0008])。また、レーダ装置(3)、車々間通信及び路車間通信を用いて他車の情報{他車が存する位置(他車位置)、車速、進行方向等}を取得する(同段落[0012])。そして、これらの情報を用いて、ディスプレイ(7)等の画像表示手段に自車や他車を簡易表示することにより、周辺車両の情報を提供する(特許文献1の図6)。
【0004】
特許文献2では、道路地図上における位置を特定するマップマッチングを自車(A)の位置及び複数の他車(B、C、D、E)の位置それぞれに対して行い、当該マップマッチング後の自車(A)の位置及び周囲に存在する全ての他車(B、C、D、E)の位置を用いて周辺車両の情報を提供する(特許文献2の段落[0019]、[0021]、[0026]及び図5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−340583号公報
【特許文献2】特開2007−094698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、特許文献2では、周囲の全ての他車の位置それぞれに対してマップマッチングを行うが、自車の周辺に多数の他車が存在する場合、その全ての他車の位置についてマップマッチングを行うと、演算負荷が膨大となってしまう。
【0007】
この発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、地図中の他車の位置を特定するマップマッチングの演算負荷を低減することが可能な周辺車両情報提供装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る周辺車両情報提供装置は、車両に搭載され、地図の情報を記憶する地図情報記憶手段と、前記地図中の位置を特定するための位置特定マップマッチング処理前の自車位置である第1自車位置を検出する自車位置検出手段と、前記地図の情報を用いて前記第1自車位置に対して前記位置特定マップマッチング処理を行って、前記位置特定マップマッチング処理後の自車位置である第2自車位置を特定する自車マップマッチング処理手段と、前記車両に搭載され、前記車両の外部から通知される他車位置である第1他車位置を受信する受信手段と、前記地図の情報を用いて前記第1他車位置に対して前記位置特定マップマッチング処理を行って、前記位置特定マップマッチング処理後の他車位置である第2他車位置を特定する他車マップマッチング処理手段と、前記第2自車位置及び前記第2他車位置に基づいてユーザに周辺車両情報を提供する周辺車両情報提供手段とを備えるものであって、前記第2自車位置と前記第1他車位置とに基づいて、前記第1他車位置に対する前記位置特定マップマッチング処理の要否を判定するマップマッチング要否判定手段をさらに備え、前記他車マップマッチング処理手段は、前記位置特定マップマッチング処理が必要であると前記マップマッチング要否判定手段が判定した前記第1他車位置に対して前記位置特定マップマッチング処理を行うことを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、位置特定マップマッチング処理が必要であると判断した第1他車位置に対してのみ位置特定マップマッチング処理を行う。このため、自車が受信した全ての第1他車位置に対して位置特定マップマッチング処理を行う場合と比べ、位置特定マップマッチング処理の演算負荷を低減することができる。
【0010】
前記マップマッチング要否判定手段は、前記第2自車位置及び前記第1他車位置それぞれの関連リンク又は関連リンク列を特定し、前記第2自車位置の関連リンク又は関連リンク列が、前記第1他車位置の関連リンク又は関連リンク列と一致したとき、当該第1他車位置に対する前記位置特定マップマッチング処理が必要であると判定してもよい。
【0011】
さらに、前記マップマッチング要否判定手段は、前記第2自車位置が属するリンクと、前記自車の予定進路に含まれるリンクと、前記第2自車位置が属するリンクに交差するリンクとを前記第2自車位置の関連リンクとして特定し、前記第1他車位置が属するリンクである近傍リンクを前記第1他車位置の関連リンクとして特定し、又は、前記第2自車位置が属するリンク列と、前記第2自車位置が属するリンク列に対し前記自車の進行方向において交差するリンク列とを前記第2自車位置の関連リンク列として特定し、前記第1他車位置が属するリンク列である近傍リンク列を前記第1他車位置の関連リンク列として特定してもよい。
【0012】
或いは、前記マップマッチング要否判定手段は、前記第2自車位置の関連リンクを特定し、前記第1他車位置が属するリンクである近傍リンクを、前記第2自車位置の関連リンクの中から特定し、又は、前記第2自車位置の関連リンク列を特定し、前記第1他車位置が属するリンク列である近傍リンク列を、前記第2自車位置の関連リンク列の中から特定し、前記第2自車位置の関連リンクの中に前記第1他車位置の近傍リンクが存在したとき、又は前記第2自車位置の関連リンク列の中に前記第1他車位置の近傍リンク列が存在したとき、当該第1他車位置に対する前記位置特定マップマッチング処理が必要であると判定してもよい。
【0013】
これにより、第2他車位置を特定するための処理負荷の低減又は処理速度の向上を図ることが可能となる。すなわち、全ての第1他車位置について近傍リンクを特定した上で、各近傍リンクが、第2自車位置の関連リンクと一致するかどうかを判定する場合、全ての第1他車位置について近傍リンクを特定する必要がある。これに対し、上記によれば、第1他車位置が第2自車位置の関連リンクに存在する場合にのみ、第1他車位置に位置特定マップマッチング処理を行う。従って、全ての第1他車位置について近傍リンクを特定する場合と比べて処理負荷を低減し、又は処理速度を向上することができる。
【0014】
前記マップマッチング要否判定手段は、前記第2自車位置と前記第1他車位置との距離が所定値以内であるとき、前記第1他車位置に対する前記位置特定マップマッチング処理が必要であると判定してもよい。
【0015】
前記受信手段は、前記第1他車位置と組み合わせられ、走行道路種別を示す走行道路種別情報を前記車両の外部から受信し、前記マップマッチング要否判定手段は、前記第2自車位置が自動車専用道路上にあるとき、自動車非専用道路を示す前記走行道路種別情報と組み合わせられた前記第1他車位置に対する前記位置特定マップマッチング処理が不要であると判定し、前記第2自車位置が自動車非専用道路上にあるとき、自動車専用道路を示す前記走行道路種別情報と組み合わせられた前記第1他車位置に対する前記位置特定マップマッチング処理が不要であると判定してもよい。これにより、不要な位置特定マップマッチング処理をなくし、処理負担を低減することが可能となる。
【0016】
前記マップマッチング要否判定手段は、前記第1他車位置を初めて受信した他車、及び前記位置特定マップマッチング処理の要否判定を行ってから所定時間が経過した他車を対象として前記位置特定マップマッチング処理の要否を判定してもよい。これにより、所定時間を適切に設定することで、過度の演算を回避することが可能となる。
【0017】
前記マップマッチング要否判定手段は、自車と他車の距離、前記自車と前記他車の属するパーセル範囲、又は前記自車及び前記他車の車速に基づいて前記所定時間を変化させてもよい。これにより、マップマッチングの要否判定の間隔を自車及び他車の状況に応じて設定することができ、より適切な間隔で当該判定を行うことが可能となる。
【0018】
前記マップマッチング要否判定手段は、自車の走行リンクが変わったときに各第1他車位置に対する前記位置特定マップマッチング処理の要否を判定してもよい。
【0019】
前記他車マップマッチング処理手段は、前記位置特定マップマッチング処理が必要であると判定された他車を対象として、前記第1他車位置を受信する毎、又は所定時間間隔で前記位置特定マップマッチング処理を行ってもよい。
【0020】
前記周辺車両情報提供手段は、前記位置特定マップマッチング処理が必要であると判定された車両を表示し、前記位置特定マップマッチング処理が不要であると判定された車両を表示しなくてもよい。これにより、ユーザが注意を払うべき他車のみを表示することが可能となる。
【0021】
前記周辺車両情報提供手段は、前記位置特定マップマッチング処理が必要であると判定された車両と、不要であると判定された車両を異なる態様で表示してもよい。これにより、注意を払うべき他車をユーザにわかり易く伝えることが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、位置特定マップマッチング処理が必要であると判断した第1他車位置に対してのみ位置特定マップマッチング処理を行う。このため、自車が受信した全ての第1他車位置に対して位置特定マップマッチング処理を行う場合と比べ、位置特定マップマッチング処理の演算負荷を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明の一実施形態に係る周辺情報提供装置を搭載した車両の概略全体構成図である。
【図2】前記周辺情報提供装置の制御部における機能等の関連を模式的に示したブロック図である。
【図3】前記制御部が自車位置及び他車位置を特定するフローチャートである。
【図4】前記自車位置を特定するフローチャートである。
【図5】前記実施形態における他車マップマッチング対象リンク管理データベースの構成例を示す図である。
【図6】前記実施形態における自車と他車の関係の一例を示す図である。
【図7】他車マップマッチング処理の要否を判定するフローチャートである。
【図8】前記実施形態における他車マップマッチング要否判定テーブルの構成例を示す図である。
【図9】他車マップマッチング要否判定フラグを設定するフローチャートである。
【図10】他車位置を特定するフローチャートである。
【図11】図9のフローチャートの変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
A.一実施形態
[1.全体構成]
図1は、この発明の一実施形態に係る周辺車両情報提供装置12(以下「情報提供装置12」ともいう。)を搭載した車両10(以下「自車10」ともいう。)の概略全体構成図を示している。
【0025】
情報提供装置12は、グローバル・ポジショニング・システム受信機14(以下「GPS受信機14」という。)と、無線通信機16と、各種センサ18と、地図情報データベース20(以下「地図情報DB20」という。)と、制御部22と、周辺車両情報提供部24(以下「情報提供部24」ともいう。)とを備える。
【0026】
GPS受信機14は、自車10の上空にある複数のGPS衛星からの信号(GPS信号)を受信する。このGPS信号は、自車10の位置を特定するのに用いられる。ここにいう自車10の位置は、地図情報DB20に記憶されている地図上の位置を特定するマップマッチング処理(以下「位置特定MM処理」という。)前のものであり、位置特定MM処理後の自車10の位置と区別するために、以下では、位置特定MM処理前の自車10の位置を「第1自車位置P11」と、位置特定MM処理後の自車10の位置を「第2自車位置P12」という。
【0027】
無線通信機16は、自車10と他車との通信(車々間通信)や自車10と路側機(光ビーコン等)との通信(路車間通信)を行う。
【0028】
各種センサ18には、車速センサ、前方レーダ、ヨーレートセンサ、横Gセンサ、前後Gセンサ、傾斜センサ等のセンサが含まれる。前記前方レーダは、自車10の前方を走行する他車との距離を測定し、他車の位置や車速を検出する。
【0029】
地図情報DB20は、地図情報を蓄積したものであり、制御部22が各種処理を実行する際に用いられる。前記地図情報は、各交差点をノードとし、各道路をリンクとしたものを含む。また、地図情報DB20には、各道路(リンク)が一般道(自動車非専用道路)であるか又は高速道路(自動車専用道路)であるかを示す走行道路種別情報が記憶されている。
【0030】
制御部22は、GPS受信機14、無線通信機16及び各種センサ18からの出力や、地図情報DB20から読み出す地図情報に基づいて、情報提供部24を介して、車両10のユーザに対して周辺車両の情報を提供する。
【0031】
情報提供部24は、制御部22からの指令に応じてユーザに対して周辺車両の情報を提供する。本実施形態における情報提供部24は、表示部30、スピーカ32、アクセルペダル反力付与機構34(以下「反力付与機構34」という。)及び自動ブレーキ機構36を備える。表示部30は、例えば、液晶ディスプレイを含み、自車10と他車を簡易的な表示で示す。当該簡易的な表示としては、例えば、特許文献1に記載されたものを基本的に用いることができる。スピーカ32は、オーディオ用スピーカを兼ねるものであり、自車10に対して他車が接近している旨を音声で通知する場合に用いられる。
【0032】
反力付与機構34は、自車10と他車との間のTTC(Time to Collision)[sec]に応じてアクセルペダル(図示せず)に付与する反力を自動的に増大させることでユーザに周辺車両への注意を喚起するものであり、前記アクセルペダルに加え、図示しない反力付与用の電子制御装置(ECU)、モータ等の構成要素を含む。
【0033】
自動ブレーキ機構36は、前記TTCに応じて自動的にブレーキをかけることで周辺車両の存在の通知等をするものであり、自動ブレーキ用のECU、油圧制御装置、ブレーキアクチュエータ等の図示しない構成要素からなる。
【0034】
[2.制御部22の構成]
図2は、制御部22の機能等の関連を模式的に示したブロック図である。図2に示すように、制御部22は、GPS測位機能50と、自車マップマッチング機能52(自車MM機能52)と、マップマッチング対象リンク管理データベース54(他車MMリンク管理DB54)と、通信機能56と、他車データテーブル58と、他車マップマッチング要否判定機能60(他車MM要否判定機能60)と、他車マップマッチング要否判定テーブル62(他車MM要否判定テーブル62)と、他車マップマッチング機能64(他車MM機能64)と、周辺情報提供機能としての運転支援機能66と、経路案内機能としてのカーナビゲーション機能68とを備える。
【0035】
図3には、上記各機能、データベース及びテーブルを用いて制御部22が自車位置(第1自車位置P11及び第2自車位置P12)並びに他車位置(第1他車位置P21及び第2他車位置P22)を特定するフローチャートが示されている。
【0036】
ステップS1において、制御部22(GPS測位機能50及び自車MM機能52)は、自車位置(第1自車位置P11及び第2自車位置P12)を特定する。図4には、図3のステップS1の詳細として自車位置を特定するフローチャートが示されている。ステップS11において、制御部22(GPS測位機能50)は、GPS受信機14が受信したGPS信号に基づいて位置特定MM処理前の自車10の位置である第1自車位置P11を特定する。
【0037】
ステップS12において、制御部22(自車MM機能52)は、第1自車位置P11に対して位置特定MM処理(自車MM処理)を行い、位置特定MM処理後の自車10の位置である第2自車位置P12を特定する。加えて、第2自車位置P12に基づいて自車10が属するリンク(自車リンクL1)を特定する。
【0038】
ステップS13において、制御部22(自車MM機能52)は、ステップS12で特定した第2自車位置P12及び自車リンクL1に基づいてMM対象リンクLmmを特定し、MM対象リンク管理DB54(以下「リンク管理DB54」ともいう。)に登録する。MM対象リンクLmmは、MM処理を行うべき第1他車位置P21を特定するためのリンクであり、第2自車位置P12に応じて設定される。また、MM対象リンクLmmは、図5に示すように、その識別情報(ID)がリンク管理DB54に登録され、自車リンクL1が変更する度に更新される。
【0039】
リンク管理DB54に登録するMM対象リンクLmmとしては、自車リンクL1と、自車10の予定進路に含まれるリンク(走行予定リンクL2)と、自車リンクL1又は走行予定リンクL2に交差するリンク(交差リンクL3)とが含まれる。なお、自車リンクL1については、自車リンクL1のうち自車10の予定進路に含まれる部分のみを登録し、既に通過した部分は除いてもよい。また、走行予定リンクL2は、カーナビゲーション機能68に基づいて設定された進路上に存在するリンクのうち所定数(例えば、1〜3個のいずれか)のリンクを走行予定リンクL2とすることができる。
【0040】
走行予定リンクL2及び交差リンクL3を特定する際、自動車非専用道路としての一般道と、自動車専用道路としての高速道路の区別を用いてもよい。すなわち、ステップS12で特定した第2自車位置P12又は自車リンクL1に基づいて、自車10が走行中の道路が一般道又は高速道路のいずれであるかを判定する。そして、自車10が走行中の道路が一般道である場合、高速道路のリンクは走行予定リンクL2及び交差リンクL3から除外する。反対に、自車10が走行中の道路が高速道路である場合、一般道のリンクは走行予定リンクL2及び交差リンクL3から除外する。
【0041】
また、第2自車位置P12から所定距離の範囲内にあるリンクのみをMM対象リンクLmmとすることもできる。
【0042】
図6には、本実施形態における自車10と他車70、72の関係の一例が示されている。図6の例においては、自車10が走行中のリンクが自車リンクL1である。また、自車リンクL1に対して直線的に繋がっている2つのリンクが走行予定リンクL2である(それぞれを区別するために参照符号L21、L22を用いる。)。さらに、自車リンクL1、走行予定リンクL21、L22に交差する4つのリンクが交差リンクL3である(それぞれを区別するために参照符号L31、L32、L33、L34を用いる。)。
【0043】
なお、本実施形態では、主として、リンクを単位として各処理を行うが、後述するように、リンク列を単位として各処理を行うこともできる。
【0044】
図3に戻り、ステップS2において、制御部22(通信機能56)は、無線通信機16を介して、他車70、72(図6)との間の車々間通信や、図示しない路側機と間の路車間通信を行い、他車70、72のデータを取得する。
【0045】
ステップS3において、制御部22(通信機能56)は、受信データが車々間通信によるもの(車々間データ)かどうかを判定する。受信データが路車間通信によるもの(路車間データ)である場合(S3:NO)、ステップS4において、制御部22(通信機能56)は、受信データに含まれる車両IDとしての他車IDが他車データテーブル58に登録済かどうかを判定する。他車IDとは、他車70、72を含む他車を特定するための識別子であり、例えば、VID(Vehicle Identification Number)やナンバープレートの番号を用いることができる。他車IDが他車データテーブル58に登録済でない場合(S4:NO)、ステップS5において、制御部22(通信機能56)は、当該他車ID及び受信データに含まれるその他の属性情報を他車データテーブル58に登録する。前記属性情報としては、例えば、車種及び車両の色が含まれる。他車IDが他車データテーブル58に登録済の場合(S4:YES)、ステップS5を介さずにステップS6に進む。
【0046】
ステップS6において、制御部22(通信機能56)は、受信データに含まれる走行情報をそのまま他車データテーブル58に登録(更新)する。前記走行情報としては、例えば、当該他車の現在位置としての他車位置(第1他車位置P21)、現在のリンク及びリンク列、走行速度並びに進行方向が含まれる。また、受信データに含まれる走行情報をそのまま登録するのは、路車間通信での受信データは、路側機の判定精度が高く、後述するような他車MM処理が不要であるためである。但し、路車間通信での受信データに対しても当該他車MM処理を行ってもよい。
【0047】
ステップS3に戻り、受信データが車々間通信によるもの(車々間データ)である場合(S3:YES)、ステップS7において、制御部22{他車MM要否判定機能60(以下「判定機能60」ともいう。)}は、他車70、72についてのMM処理(他車MM処理)の要否を判定する。
【0048】
図7には、ステップS7の詳細として、他車MM処理の要否を判定するフローチャートが示されている。ステップS21において、制御部22(判定機能60)は、受信データに含まれる他車IDが他車データテーブル58に登録済であるかどうかを判定する。当該他車IDが登録済でない場合(S21:NO)、ステップS22において、制御部22(判定機能60)は、通信機能56を介して取得した他車データを他車データテーブル58及び他車MM要否判定テーブル62に格納する。ここでの他車データには、例えば、上述したような属性情報(他車ID、車種及び車両の色)及び走行情報が含まれる。前記走行情報としては、当該他車の現在位置としての他車位置(第1他車位置P21)、現在のリンク及びリンク列、走行速度並びに進行方向が含まれる。また、図8に示すように、他車MM要否判定テーブル62は、車両ID、リンクID(後述する近傍リンクLnearの識別情報)、他車MM要否判定フラグFLG及びタイムスタンプを他車毎に格納する。タイムスタンプは、後述するタイマTMRの設定に利用する。
【0049】
ステップS23において、制御部22(判定機能60)は、他車MM要否判定フラグFLGを設定する。他車MM要否判定フラグFLGは、今回の処理において他車位置P21に対して他車MM処理を行う必要があるかどうかを設定するフラグである。
【0050】
図9には、ステップS23の詳細として、他車MM要否判定フラグFLGを設定するフローチャートが示されている。ステップS31において、制御部22(判定機能60)は、第1他車位置P21から近傍リンクLnearを特定する。近傍リンクLnearとは、第1他車位置P21が属する可能性が最も高いと判断されるリンクである。近傍リンクLnearは、例えば、地図情報DB20に記憶されている地図において、第1他車位置P21からの距離が最短であるリンクが選択される。
【0051】
ステップS32において、制御部22(判定機能60)は、ステップS31で特定した近傍リンクLnearが、図4のステップS13で特定したMM対象リンクLmmのいずれかと一致するかどうかを判定する。両者が一致する場合(S32:YES)、ステップS33において、制御部22(判定機能60)は、他車MM要否判定フラグFLGをONにし、当該結果を他車MM要否判定テーブル62に登録する。両者が一致しない場合(S32:NO)、ステップS34において、制御部22(判定機能60)は、他車MM要否判定フラグFLGをOFFにし、当該結果を他車MM要否判定テーブル62に登録する。
【0052】
図7に戻り、ステップS24において、制御部22(判定機能60)は、タイマTMRを設定する。当該タイマTMRは、他車MM要否判定を行う間隔(時間)を規定するものであり、時間の経過に応じて値が減少する。本実施形態において、タイマTMRは、自車10と他車70、72との距離D1、D2、自車10と他車70、72の属するパーセル範囲Pa1、Pa21、Pa22及び自車10及び他車70、72の車速V1、V21、V22に応じて可変である。すなわち、距離D1、D2が長いとき、タイマTMRを大きくし、距離D1、D2が短いとき、タイマTMRを小さくする。パーセル範囲Pa1、Pa21又はパーセル範囲Pa1、Pa22が同じであれば、タイマTMRを小さくし、パーセル範囲Pa1、Pa21のずれ又はパーセル範囲Pa1、Pa22のずれが大きいほどタイマTMRを大きくする。車速V1、V21、V22が高くなるほど、タイマTMRを小さくし、車速V1、V21、V22が低くなるほど、タイマTMRを大きくする。以上より、他車70のタイマTMRと他車72のタイマTMRを距離D1、D2等に応じて個別に設定することができる。
【0053】
ステップS21に戻り、他車IDが他車データテーブル58に登録済である場合(S21:YES)、ステップS25において、制御部22(判定機能60)は、タイマTMRの値が0以下であるかどうかを判定する。タイマTMRの値が0以下でない場合(S25:NO)、図3のフローチャートに戻る。タイマTMRの値が0以下である場合(S25:YES)、ステップS26において、制御部22(判定機能60)は、ステップS23と同様の方法で他車MM要否判定フラグFLGを設定する。図6の例であれば、他車70は、自車10の予定進路に含まれる走行予定リンクL21に交差する交差リンクL34を走行中であるため、他車MM要否判定フラグFLGをONにする。一方、他車72は、自車リンクL1、走行予定リンクL21、L22及び交差リンクL31〜L34のいずれをも走行していないため、他車MM要否判定フラグFLGをOFFにする。
【0054】
ステップS27において、制御部22(判定機能60)は、ステップS24と同様の方法でタイマTMRを再設定する。
【0055】
図3に戻り、ステップS8において、制御部22(他車MM機能64)は、他車70、72の位置を特定する。図10には、ステップS8の詳細として、他車位置を特定するフローチャートが示されている。
【0056】
ステップS41において、制御部22(他車MM機能64)は、図3のステップS7で特定した他車MM要否判定フラグFLGがONであるかどうかを他車70、72毎に判定する。同判定フラグFLGがONである場合(S41:YES)、ステップS42において、制御部22(他車MM機能64)は、図3のステップS2で受信した第1他車位置P21に対するMM処理(他車MM処理)を実行し、他車MM処理後の他車位置である第2他車位置P22を特定する。判定フラグFLGがOFFである場合(S41:NO)、今回の図3の処理を終える。
【0057】
図3の処理が終わると、制御部22(運転支援機能66)は、図3の処理により得られた第2自車位置P12及び第2他車位置P22を用いて、表示部30に自車10と他車70を簡易表示する。一方、他車72は、他車MM処理を要しないと判定したため、表示部30に表示しない。
【0058】
また、制御部22(運転支援機能66)は、自車10と他車70が所定の条件{例えば、第2自車位置P12及び第2他車位置P22に基づくTTC(Time to Collision)が所定値以下となる。}を満たすまで接近したとき、スピーカ32を介して他車70の注意を喚起する音声出力を行う。さらに、制御部22(運転支援機能66)は、自車10と他車70が所定の条件{例えば、前記TTCが別の所定値以下となる。}を満たすまで接近したとき、アクセルペダル反力付与機構34を介して図示しないアクセルペダルの反力を増大させて他車70の注意を喚起する。さらにまた、制御部22(運転支援機能66)は、自車10と他車70が所定の条件{例えば、前記TTCがさらに別の所定値以下となる。}を満たすまで接近したとき、自動ブレーキ機構36を作動させて他車70の注意を喚起する。
【0059】
また、制御部22(カーナビゲーション機能68)は、第2自車位置P12に基づいて経路案内を行う。
【0060】
[3.本実施形態の効果]
以上説明したように、本実施形態によれば、他車MM処理が必要であると判断した第1他車位置P21に対してのみ他車MM処理を行う(S41:YES→S42)。このため、自車10が受信した全ての第1他車位置P21に対して他車MM処理を行う場合と比べ、他車MM処理の演算負荷を低減することができる。
【0061】
本実施形態では、自車10が走行中の道路が一般道である場合、高速道路のリンクは走行予定リンクL2及び交差リンクL3から除外する。反対に、自車10が走行中の道路が高速道路である場合、一般道のリンクは走行予定リンクL2及び交差リンクL3から除外する。換言すると、制御部22(他車MM要否判定機能60)は、第2自車位置P12が一般道上にあるとき、高速道路を示す種別情報と組み合わせられた第1他車位置P21に対する他車MM処理が不要であると判定し、第2自車位置P12が高速道路上にあるとき、一般道を示す種別情報と組み合わせられた第1他車位置P21に対する他車MM処理が不要であると判定する。これにより、不要な演算を省略し、演算負荷を低減することができる。
【0062】
他車MM要否判定機能60は、自車10と他車70、72の距離D1、D2、自車10と他車70、72の属するパーセル範囲Pa1、Pa21、Pa22、並びに自車10及び他車70、72の車速V1、V21、V22に基づいてタイマTMRを変化させる。これにより、他車MM処理の要否判定の間隔を自車10及び他車70、72の状況に応じて設定することができ、より適切な間隔で当該判定を行うことが可能となる。
【0063】
上記実施形態において、表示部30は、他車MM処理が必要であると判定された他車70を表示し、他車MM処理が不要であると判定された他車72を表示しない。これにより、注意を払うべき他車70のみを表示することが可能となり、ユーザが認識を要する情報を選択して提供することができる。
【0064】
B.変形例
なお、この発明は、上記実施形態に限らず、この明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。例えば、以下の構成を採用することができる。
【0065】
上記実施形態では、MM処理前の第1自車位置P11をGPS測位に基づいて判定したが、これに限られない。例えば、路側機との間の路車間通信に基づいて第1自車位置P11を判定してもよい。この場合、自車MM処理は省略してもよい。
【0066】
上記実施形態では、車両10に配置した地図情報DB20から地図情報を得たが、これに限られず、例えば、外部サーバから地図情報を取得してもよい。
【0067】
上記実施形態では、自車リンクL1、MM対象リンクLmm等、リンク単位の処理を行ったが、これに限られない。例えば、リンク列で処理を行ってもよい。ここにいうリンク列とは、複数のリンクを組み合わせたものである。リンク列の構成としては、例えば、複数の交差点を真っ直ぐに(右左折せずに)進んだ場合の複数のリンクの組合せや、街道を構成するリンクの組合せを用いることができる。或いは、特許第4268663号公報に記載のように接続リンクを用いてリンク列を決定することも可能である(例えば、同公報の段落[0030]参照)。
【0068】
リンク列による処理を行う場合、例えば、第2自車位置P12の属する自己リンク列と、当該自己リンク列に交差する交差リンク列とをMM対象リンク列とする。また、第1他車位置P21が属する近傍リンク列を特定し、当該近傍リンク列が、MM対象リンク列のいずれかと一致するかどうかを判定する。そして、その判定結果を用いて、第1他車位置P21に対する他車MM処理の要否判定を行うことができる。
【0069】
上記実施形態では、MM対象リンクLmmとして、自車リンクL1と、自車10の予定進路に含まれる走行予定リンクL2と、自車リンクL1又は走行予定リンクL2に交差する交差リンクL3とを挙げたが、MM対象リンクLmmの設定は任意に行うことができる。例えば、交差リンクL31〜L34のうち交差リンクL33、L34を除いてもよい。
【0070】
図9では、他車MM要否判定フラグFLGの設定(図7のS23)として、近傍リンクLnearを特定した後(S31)、近傍リンクLnearがMM対象リンクLmmのいずれかと一致するかどうかを判定することで行ったが、これに限られない。図11には、図9のフローチャートの変形例が示されている。
【0071】
ステップS51において、制御部22(判定機能60)は、MM対象リンクLmmの順番を示す数nの初期値として「1」を設定する。ステップS52において、制御部22(判定機能60)は、MM対象リンク管理DB54に登録されている第n番目のMM対象リンクLmmを読み出す。
【0072】
ステップS53において、制御部22(判定機能60)は、第1他車位置P21が第n番目のMM対象リンクLmmに属するかどうかを判定する。当該判定は、位置特定MM処理を行わずに、例えば、第1他車位置P21と第n番目のMM対象リンクLmmの距離が所定値以内であるかどうかに基づいて行うことができる。第1他車位置P21が第n番目のMM対象リンクLmmに属さない場合(S53:NO)、ステップS54において、制御部22(判定機能60)は、数nが、MM対象リンクLの総数N(数nが取り得る最大値)と等しいかどうかを判定する。数nが総数Nと等しくない場合(S54:NO)、ステップS55において、制御部22(判定機能60)は、数nの値を1増加させ、ステップS52に戻る。数nが総数Nと等しい場合(S54:YES)、ステップS56において、制御部22(判定機能60)は、他車MM要否判定フラグFLGをOFFに設定する。
【0073】
ステップS53に戻り、第1他車位置P21が第n番目のMM対象リンクLmmに属する場合(S53:YES)、ステップS57において、制御部22(判定機能60)は、他車MM要否判定フラグFLGをONに設定する。
【0074】
上記の変形例によれば、第2他車位置P22を特定するための処理負荷の低減又は処理速度の向上を図ることが可能となる。すなわち、全ての第1他車位置P21について近傍リンクLnearを特定した上で、各近傍リンクLnearが、MM対象リンクLmmと一致するかどうかを判定する場合、全ての第1他車位置P21について近傍リンクLnearの特定を行う必要がある。これに対し、上記処理によれば、第1他車位置P21がMM対象リンクLmmに属する場合にのみ、第1他車位置P21に他車MM処理を行う。従って、全ての第1他車位置P21について近傍リンクLnearを特定する場合と比べて処理負荷を低減し、又は処理速度を向上することができる。
【0075】
上記実施形態では、制御部22(他車MM要否判定機能60)は、自車10の走行リンク(自車リンクL1)が変わったときに各第1他車位置P21に対する他車MM処理の要否を判定する。これにより、他車MM処理の要否を自車10の走行位置に応じて判定することができる。
【0076】
上記実施形態では、制御部22(判定機能60)は、自車10と他車70、72の距離D1、D2、自車10と他車70、72の属するパーセル範囲Pa1、Pa21、Pa22、並びに自車10及び他車70、72の車速V1、V21、V22に基づいてタイマTMRを変化させたが、いずれか1つ又は2つのみを用いることもできる。或いは、その他の因子(例えば、TTC)に応じてタイマTMRを変化させてもよい。或いは、タイマTMRを固定することも可能である。
【0077】
上記実施形態では、表示部30は、他車MM処理が必要であると判定された他車70を表示し、他車MM処理が不要であると判定された他車72を表示しなかったが、これに限られない。例えば、表示部30は、他車MM処理が必要であると判定された他車70と、他車MM処理が不要であると判定された他車72を異なる態様(例えば、他車70を大きくし、他車72を小さくする、又は両者の表示色を異ならせる。)で表示してもよい。これにより、注意を払うべき他車70をユーザにわかり易く伝えることが可能となる。
【符号の説明】
【0078】
10…車両(自車) 12…周辺車両情報提供装置
16…無線通信機(受信手段) 20…地図情報DB(地図情報記憶手段)
22…制御部 24…周辺車両情報提供部
30…表示部 50…GPS測位機能(自車位置検出手段)
52…自車MM機能(自車マップマッチング処理手段)
60…他車MM要否判定機能(マップマッチング要否判定手段)
64…他車MM機能(他車マップマッチング処理手段)
70、72…他車 D1、D2…自車と他車の距離
L1…自車リンク L2、L21、L22…進路予定リンク
L3、L31、L32、L33、L34…交差リンク
Lnear…近傍リンク Pa1…自車の属するパーセル範囲
Pa21、Pa22…他車の属するパーセル範囲
P11…第1自車位置 P12…第2自車位置
P21…第1他車位置 P22…第2他車位置
TMR…タイマ V1…自車の車速
V21、V22…他車の車速
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、地図の情報を記憶する地図情報記憶手段と、
前記地図中の位置を特定するための位置特定マップマッチング処理前の自車位置である第1自車位置を検出する自車位置検出手段と、
前記地図の情報を用いて前記第1自車位置に対して前記位置特定マップマッチング処理を行って、前記位置特定マップマッチング処理後の自車位置である第2自車位置を特定する自車マップマッチング処理手段と、
前記車両に搭載され、前記車両の外部から通知される他車位置である第1他車位置を受信する受信手段と、
前記地図の情報を用いて前記第1他車位置に対して前記位置特定マップマッチング処理を行って、前記位置特定マップマッチング処理後の他車位置である第2他車位置を特定する他車マップマッチング処理手段と、
前記第2自車位置及び前記第2他車位置に基づいてユーザに周辺車両情報を提供する周辺車両情報提供手段と
を備える周辺車両情報提供装置であって、
前記第2自車位置と前記第1他車位置とに基づいて、前記第1他車位置に対する前記位置特定マップマッチング処理の要否を判定するマップマッチング要否判定手段をさらに備え、
前記他車マップマッチング処理手段は、前記位置特定マップマッチング処理が必要であると前記マップマッチング要否判定手段が判定した前記第1他車位置に対して前記位置特定マップマッチング処理を行う
ことを特徴とする周辺車両情報提供装置。
【請求項2】
請求項1に記載の周辺車両情報提供装置において、
前記マップマッチング要否判定手段は、
前記第2自車位置及び前記第1他車位置それぞれの関連リンク又は関連リンク列を特定し、
前記第2自車位置の関連リンク又は関連リンク列が、前記第1他車位置の関連リンク又は関連リンク列と一致したとき、当該第1他車位置に対する前記位置特定マップマッチング処理が必要であると判定する
ことを特徴とする周辺車両情報提供装置。
【請求項3】
請求項2に記載の周辺車両情報提供装置において、
前記マップマッチング要否判定手段は、
前記第2自車位置が属するリンクと、前記自車の予定進路に含まれるリンクと、前記第2自車位置が属するリンクに交差するリンクとを前記第2自車位置の関連リンクとして特定し、前記第1他車位置が属するリンクである近傍リンクを前記第1他車位置の関連リンクとして特定し、又は、
前記第2自車位置が属するリンク列と、前記第2自車位置が属するリンク列に対し前記自車の進行方向において交差するリンク列とを前記第2自車位置の関連リンク列として特定し、前記第1他車位置が属するリンク列である近傍リンク列を前記第1他車位置の関連リンク列として特定する
ことを特徴とする周辺車両情報提供装置。
【請求項4】
請求項1に記載の周辺車両情報提供装置において、
前記マップマッチング要否判定手段は、
前記第2自車位置の関連リンクを特定し、前記第1他車位置が属するリンクである近傍リンクを、前記第2自車位置の関連リンクの中から特定し、又は、前記第2自車位置の関連リンク列を特定し、前記第1他車位置が属するリンク列である近傍リンク列を、前記第2自車位置の関連リンク列の中から特定し、
前記第2自車位置の関連リンクの中に前記第1他車位置の近傍リンクが存在したとき、又は前記第2自車位置の関連リンク列の中に前記第1他車位置の近傍リンク列が存在したとき、当該第1他車位置に対する前記位置特定マップマッチング処理が必要であると判定する
ことを特徴とする周辺車両情報提供装置。
【請求項5】
請求項1に記載の周辺車両情報提供装置において、
前記マップマッチング要否判定手段は、前記第2自車位置と前記第1他車位置との距離が所定値以内であるとき、前記第1他車位置に対する前記位置特定マップマッチング処理が必要であると判定する
ことを特徴とする周辺車両情報提供装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の周辺車両情報提供装置において、
前記受信手段は、前記第1他車位置と組み合わせられ、走行道路種別を示す走行道路種別情報を前記車両の外部から受信し、
前記マップマッチング要否判定手段は、
前記第2自車位置が自動車専用道路上にあるとき、自動車非専用道路を示す前記走行道路種別情報と組み合わせられた前記第1他車位置に対する前記位置特定マップマッチング処理が不要であると判定し、
前記第2自車位置が自動車非専用道路上にあるとき、自動車専用道路を示す前記走行道路種別情報と組み合わせられた前記第1他車位置に対する前記位置特定マップマッチング処理が不要であると判定する
ことを特徴とする周辺車両情報提供装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の周辺車両情報提供装置において、
前記マップマッチング要否判定手段は、前記第1他車位置を初めて受信した他車、及び前記位置特定マップマッチング処理の要否判定を行ってから所定時間が経過した他車を対象として前記位置特定マップマッチング処理の要否を判定する
ことを特徴とする周辺車両情報提供装置。
【請求項8】
請求項7に記載の周辺車両情報提供装置において、
前記マップマッチング要否判定手段は、自車と他車の距離、前記自車と前記他車の属するパーセル範囲、又は前記自車及び前記他車の車速に基づいて前記所定時間を変化させる
ことを特徴とする周辺車両情報提供装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の周辺車両情報提供装置において、
前記マップマッチング要否判定手段は、自車の走行リンクが変わったときに各第1他車位置に対する前記位置特定マップマッチング処理の要否を判定する
ことを特徴とする周辺車両情報提供装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の周辺車両情報提供装置において、
前記他車マップマッチング処理手段は、前記位置特定マップマッチング処理が必要であると判定された他車を対象として、前記第1他車位置を受信する毎、又は所定時間間隔で前記位置特定マップマッチング処理を行う
ことを特徴とする周辺車両情報提供装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の周辺車両情報提供装置において、
前記周辺車両情報提供手段は、前記位置特定マップマッチング処理が必要であると判定された車両を表示し、前記位置特定マップマッチング処理が不要であると判定された車両を表示しない
ことを特徴とする周辺車両情報提供装置。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の周辺車両情報提供装置において、
前記周辺車両情報提供手段は、前記位置特定マップマッチング処理が必要であると判定された車両と、不要であると判定された車両を異なる態様で表示する
ことを特徴とする周辺車両情報提供装置。
【請求項1】
車両に搭載され、地図の情報を記憶する地図情報記憶手段と、
前記地図中の位置を特定するための位置特定マップマッチング処理前の自車位置である第1自車位置を検出する自車位置検出手段と、
前記地図の情報を用いて前記第1自車位置に対して前記位置特定マップマッチング処理を行って、前記位置特定マップマッチング処理後の自車位置である第2自車位置を特定する自車マップマッチング処理手段と、
前記車両に搭載され、前記車両の外部から通知される他車位置である第1他車位置を受信する受信手段と、
前記地図の情報を用いて前記第1他車位置に対して前記位置特定マップマッチング処理を行って、前記位置特定マップマッチング処理後の他車位置である第2他車位置を特定する他車マップマッチング処理手段と、
前記第2自車位置及び前記第2他車位置に基づいてユーザに周辺車両情報を提供する周辺車両情報提供手段と
を備える周辺車両情報提供装置であって、
前記第2自車位置と前記第1他車位置とに基づいて、前記第1他車位置に対する前記位置特定マップマッチング処理の要否を判定するマップマッチング要否判定手段をさらに備え、
前記他車マップマッチング処理手段は、前記位置特定マップマッチング処理が必要であると前記マップマッチング要否判定手段が判定した前記第1他車位置に対して前記位置特定マップマッチング処理を行う
ことを特徴とする周辺車両情報提供装置。
【請求項2】
請求項1に記載の周辺車両情報提供装置において、
前記マップマッチング要否判定手段は、
前記第2自車位置及び前記第1他車位置それぞれの関連リンク又は関連リンク列を特定し、
前記第2自車位置の関連リンク又は関連リンク列が、前記第1他車位置の関連リンク又は関連リンク列と一致したとき、当該第1他車位置に対する前記位置特定マップマッチング処理が必要であると判定する
ことを特徴とする周辺車両情報提供装置。
【請求項3】
請求項2に記載の周辺車両情報提供装置において、
前記マップマッチング要否判定手段は、
前記第2自車位置が属するリンクと、前記自車の予定進路に含まれるリンクと、前記第2自車位置が属するリンクに交差するリンクとを前記第2自車位置の関連リンクとして特定し、前記第1他車位置が属するリンクである近傍リンクを前記第1他車位置の関連リンクとして特定し、又は、
前記第2自車位置が属するリンク列と、前記第2自車位置が属するリンク列に対し前記自車の進行方向において交差するリンク列とを前記第2自車位置の関連リンク列として特定し、前記第1他車位置が属するリンク列である近傍リンク列を前記第1他車位置の関連リンク列として特定する
ことを特徴とする周辺車両情報提供装置。
【請求項4】
請求項1に記載の周辺車両情報提供装置において、
前記マップマッチング要否判定手段は、
前記第2自車位置の関連リンクを特定し、前記第1他車位置が属するリンクである近傍リンクを、前記第2自車位置の関連リンクの中から特定し、又は、前記第2自車位置の関連リンク列を特定し、前記第1他車位置が属するリンク列である近傍リンク列を、前記第2自車位置の関連リンク列の中から特定し、
前記第2自車位置の関連リンクの中に前記第1他車位置の近傍リンクが存在したとき、又は前記第2自車位置の関連リンク列の中に前記第1他車位置の近傍リンク列が存在したとき、当該第1他車位置に対する前記位置特定マップマッチング処理が必要であると判定する
ことを特徴とする周辺車両情報提供装置。
【請求項5】
請求項1に記載の周辺車両情報提供装置において、
前記マップマッチング要否判定手段は、前記第2自車位置と前記第1他車位置との距離が所定値以内であるとき、前記第1他車位置に対する前記位置特定マップマッチング処理が必要であると判定する
ことを特徴とする周辺車両情報提供装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の周辺車両情報提供装置において、
前記受信手段は、前記第1他車位置と組み合わせられ、走行道路種別を示す走行道路種別情報を前記車両の外部から受信し、
前記マップマッチング要否判定手段は、
前記第2自車位置が自動車専用道路上にあるとき、自動車非専用道路を示す前記走行道路種別情報と組み合わせられた前記第1他車位置に対する前記位置特定マップマッチング処理が不要であると判定し、
前記第2自車位置が自動車非専用道路上にあるとき、自動車専用道路を示す前記走行道路種別情報と組み合わせられた前記第1他車位置に対する前記位置特定マップマッチング処理が不要であると判定する
ことを特徴とする周辺車両情報提供装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の周辺車両情報提供装置において、
前記マップマッチング要否判定手段は、前記第1他車位置を初めて受信した他車、及び前記位置特定マップマッチング処理の要否判定を行ってから所定時間が経過した他車を対象として前記位置特定マップマッチング処理の要否を判定する
ことを特徴とする周辺車両情報提供装置。
【請求項8】
請求項7に記載の周辺車両情報提供装置において、
前記マップマッチング要否判定手段は、自車と他車の距離、前記自車と前記他車の属するパーセル範囲、又は前記自車及び前記他車の車速に基づいて前記所定時間を変化させる
ことを特徴とする周辺車両情報提供装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の周辺車両情報提供装置において、
前記マップマッチング要否判定手段は、自車の走行リンクが変わったときに各第1他車位置に対する前記位置特定マップマッチング処理の要否を判定する
ことを特徴とする周辺車両情報提供装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の周辺車両情報提供装置において、
前記他車マップマッチング処理手段は、前記位置特定マップマッチング処理が必要であると判定された他車を対象として、前記第1他車位置を受信する毎、又は所定時間間隔で前記位置特定マップマッチング処理を行う
ことを特徴とする周辺車両情報提供装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の周辺車両情報提供装置において、
前記周辺車両情報提供手段は、前記位置特定マップマッチング処理が必要であると判定された車両を表示し、前記位置特定マップマッチング処理が不要であると判定された車両を表示しない
ことを特徴とする周辺車両情報提供装置。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の周辺車両情報提供装置において、
前記周辺車両情報提供手段は、前記位置特定マップマッチング処理が必要であると判定された車両と、不要であると判定された車両を異なる態様で表示する
ことを特徴とする周辺車両情報提供装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−53051(P2011−53051A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−201523(P2009−201523)
【出願日】平成21年9月1日(2009.9.1)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月1日(2009.9.1)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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