説明

圧電振動子、圧電発振器及び圧電発振器の製造方法

【課題】 薄型化に限界があり、発振回路の発熱などの影響によって圧電振動片の周波数がシフトし、所望の周波数からずれることがある。
【解決手段】圧電発振器(10)圧電振動片(114)を収容し、底面に一対の第一電極部(111)が設けられた圧電振動子(11)と、圧電振動子(11)と同一の平面に並んで配置され、回路素子が実装された回路モジュール(13)と、圧電振動子(11)と回路モジュール(13)とを電気接続するとともに、一対の第二電極部(122)が設けられたリードフレーム(12)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電振動子、圧電発振器及び圧電発振器の製造方法に関し、特に圧電振動子と回路モジュールとを同一の平面に並んで配置した圧電振動子、圧電発振器及び圧電発振器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機等の移動体通信機器の普及に伴う小型化及び低価格化の急激な進展により、これらの通信機器に使用される圧電発振器に対しても、薄型化、小型化、低価格化の要求が高まっている。
【0003】
特許文献1に示された圧電発振器が提案されている。図9(a)は、その圧電発振器の断面図である。図9(a)のように、パッケージ40の凹部内に圧電振動片41と半導体部品42とを上下に共に収納した状態で、開口部が蓋体43により気密封止される。なお、パッケージ40はセラミック等からなり、半導体部品42は発振回路を構成するコンデンサ、抵抗、及び集積回路などを含む。また、図9(b)は、図9(a)に示された圧電発振器の底面図である。
【0004】
また、特許文献2に開示された圧電発振器は、図9に示された圧電発振器をより薄型化するために、図10(a)及び(b)のように、回路基板45の上に圧電振動子46及びモジュール基板47を隣接するように搭載する。さらに、圧電発振器はそのモジュール基板47の上に回路素子48を実装した後、圧電振動子46、回路素子48及びモジュール基板47が封止材49により覆わられている。
【特許文献1】特開2004−015441号公報
【特許文献2】特開2007−036536号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された圧電発振器は、上下に水晶振動子と半導体部品とを実装するため、圧電発振器の全体の高さが大きくなって薄型化が図られない問題がある。また、圧電振動片と発振回路を構成する抵抗などの半導体部品とが同じ凹部内に収納された構造である。このため、発振回路の発熱などの影響によって圧電振動片の周波数がシフトし、所望の周波数からずれる問題もある。従って、圧電発振器の全体の薄型化を図ることや圧電振動子の動作温度を一定に維持することには限界がある。
【0006】
特許文献2に開示された圧電発振器は、前述の問題を解決するために、回路基板の上に圧電振動子と回路モジュールとを同一の平面に隣接されるように設ける。しかし、その圧電発振器の全体の高さは、少なくとも回路基板の厚さに圧電振動子又は回路モジュールの厚さを加えた高さである。このため更なる薄型化を図ることができないし、圧電振動子と回路モジュールとをワイヤーボンディングで接続するなどの追加工程が増えてしまいコストの上昇を招いている。
【0007】
本発明は前述の問題に鑑み、圧電発振器の高さがより低くなり、回路の発熱によって圧電振動子が影響されない圧電発振器及び圧電発振器の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1観点における圧電振動子は、圧電振動片と圧電振動片を収容するパッケージとを含み、側面には少なくとも四つの接続端子が形成され、底面には一対の電極部と、接続端子のうちの一対の接続端子と一対の電極部とをそれぞれ接続する引出部とが形成される。
このような構成によれば、圧電発振器の小型化、薄型化に適した圧電振動子が提供できる。
【0009】
第2観点における圧電発振器は、圧電振動片を収容し、底面に一対の第一電極部が設けられた圧電振動子と、圧電振動子と同一の平面に並んで配置され、回路素子が実装された回路モジュールと、圧電振動子と回路モジュールとを電気接続するとともに、一対の第二電極部が設けられたリードフレームとを備える。
このような構成によれば、特許文献2で必須であった回路基板が不要となり、圧電振動子と回路モジュールとが同一の平面に設けられる。なお、圧電発振器の高さは、圧電振動子の厚さと電極部の厚さとを加えた高さとなり、全体圧電発振器の薄型化が可能である。さらに、回路モジュールからの熱によって、圧電振動子の周波数がシフトし、所望の周波数からずれることを防止することができる。
【0010】
第3観点における圧電発振器において、圧電振動子の側面は、リードフレームを介して回路モジュールに接続する四つの接続端子を含み、圧電振動子の底面は、四つの接続端子のうちの一対の接続端子と一対の第一電極部とをそれぞれ接続する引出部を含む。
【0011】
第4観点における圧電発振器のリードフレームは、圧電振動子の接続端子に接続される第一リード部と、第二電極部に接続される第二リード部とを備える。
第3、及び第4観点によれば、回路基板が不要となり、圧電振動子と回路モジュールとが同一の平面に並んで配置される。
【0012】
第5観点における圧電発振器は、圧電振動子と回路モジュールとを封止材により覆う。
このような構成によれば、水分などの影響を受けることを防止できる。
【0013】
第6観点における圧電発振器において、第一リード部及び第二リード部は封止材に覆われ、一対の第一電極部と一対の第二電極部とが封止材に覆われていない。
このように封止すれば、第一電極及び第二電極が外に露出して外部電源に接続されて圧電振動子及び回路モジュールに給電することができる。
【0014】
第7観点における圧電発振器の製造方法は、一対の第一電極部を有する圧電振動子を用意する工程と、回路素子が実装された回路モジュールを用意する工程と、一対の第二電極部が形成されたリードフレームを用意する工程と、リードフレームを介して回路モジュールを圧電振動子と同一の平面に並んで配置して電気接続する工程と、一対の第一電極部及び一対の第二電極部が表面に露出するように、圧電振動子と回路モジュールとを封止材で覆う工程とを備える。
このような方法によれば、特許文献2で必須であった回路基板が不要で、薄型化が可能となる圧電発振器が製造できる。さらに、回路モジュールからの熱によって、圧電振動子の周波数がシフトし、所望の周波数からずれることが防止できる圧電発振器が製造される。
【0015】
第8観点における圧電発振器の製造方法において、圧電振動子を用意する工程は、回路モジュールに接続される四つの接続端子を側面に形成する工程と、一対の第一電極部と第一電極部に接続する一対の引出部とを底面に形成する工程とを備える。
【0016】
第9観点における圧電発振器の製造方法において、リードフレームを用意する工程は、接続端子に接続される第一リード部を形成する工程と、第二電極部に接続される第二リード部を形成する工程とを備える。
【0017】
第10観点における圧電発振器の製造方法において、第一リード部は第一母材に複数形成されており、第二電極部及び第二リード部は第二母材に複数形成されており、第一母材は封止材で覆われる前に第一電極部及び第一リード部から切り離し、第二母材は封止材で覆われた後に第二電極部から切り離す。
このように母材を用いた製造方法は、圧電振動子と回路モジュールとをワイヤーボンディングで接続するなどの追加工程が不要となり、量産化を図ることができる。従って、製造コストを低減できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、圧電振動子と回路モジュールとが同一の平面に並んで設けられているので、圧電発振器の薄型化が可能となる。また、回路モジュールからの熱によって、圧電振動子の周波数がシフトし、所望の周波数からずれることも防止できる。また、圧電振動子と回路モジュールとが封止材により覆われたので、水分などの影響を受けることも防止できる。さらに、圧電振動子と回路モジュールとをワイヤーボンディングで接続するなどの追加工程が不要なので、製造コストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(第一の実施例)
以下、第一の実施例に係る圧電振動子11、圧電発振器10及び圧電発振器10の製造方法について、図1ないし図6を参照しながら説明する。
【0020】
<圧電振動子11について>
図1は、本実施例に係る圧電振動子11の構成を示す図である。そのうち、(a)は底面図、(b)は(a)のB−B断面図、(c)は(a)のC−C断面図である。
【0021】
図1(a)に示されたように、本実施例の圧電振動子11は、セラミックより構成されたパッケージ116の長辺の両隅部に一対の第一電極部111が設けられ、他方の長辺の中央付近に四つの接続端子112が等間隔に形成される。その四つの接続端子112の外側の一対の接続端子112Aが引出部113を介して一対の第一電極部111にそれぞれ連結される。なお、本実施例で接続端子112の底面は半円形であるが、側面から見ると円筒を半分に割った形状である(図2を参照)。また、接続端子112は他の四角柱を半分に割った形状でもよい。
【0022】
図1(b)に示されたように、本実施例の圧電振動子11の内部に、圧電振動片114及び導電接着剤115を含んでいる。ここで、圧電振動片114は真空又は不活性ガスの状態であるパッケージ116の中に収容される。また、圧電振動片114は導電接着剤115によりパッケージ116の内底面に固着してパッケージ116の中に収容される。さらに、圧電振動片114は水晶振動片を含み、AT振動片、SAW振動片、音叉型振動片などの様々な種類がある。
また、図1(c)に示されたように、第一電極部111は引出部113より薄くになっている。
【0023】
本実施例で、四つの接続端子112のうちの外側の一対の接続端子112Aは外部電源(図示しない)に接続される第一電極部111に電気接続される。また、図示していないが、四つの接続端子112のうちの内側の一対の接続端子112Bはパッケージ116に設けた配線パターン及び導電接着剤115によって圧電振動片114に電気接続される。つまり、圧電振動子11の四つの接続端子112のうち、外側の一対の接続端子112Aは圧電振動子11から外部へ、内側の一対の接続端子112Bは外部から圧電振動子11へ信号を伝送する。
【0024】
前述の構成によれば、圧電発振器10の小型化、薄型化に適した圧電振動子11が提供できる。
【0025】
<圧電発振器10について>
次に、圧電発振器10について、図2ないし図4を参照しながら説明する。
【0026】
図2は本実施例に係る圧電発振器10の組立分解図である。
図2に示されたように、圧電発振器10は図1に示された圧電振動子11と、リードフレーム12と、回路モジュール13とを含んでいる。ここで、リードフレーム12は、圧電振動子11の接続端子112に接続される四つの第一リード部121(圧電振動子11の接続端子112A、112Bに対応する121A、121Bを含む)と、一対の第一電極部111に対応する一対の第二電極部122と、その一対の第二電極部122に接続される一対の第二リード部123とを備える。ここで、一対の第二リード部123は一対の第二電極部122の上にそれぞれ設けられる。また、製造し易くするために、複数の第一リード部121は第一母材124により連結され、複数の第二電極部122及び第二リード部123は第二母材125により連結されている。さらに、回路モジュール13は、その内に複数の回路素子(IC、トランジスタ、抵抗、コンデンサ、サーミスタなどの少なくとも1つ)が形成されている。
【0027】
図3は本実施例に係る圧電発振器10を組み立てた後、後述する封止材14で覆う前の状態を示す斜視図である。
図3に示されたように、圧電振動子11と回路モジュール13とはリードフレーム12によって同一の平面に並んで設置される。ここで、第一リード部121A、121Bが図2に示された圧電振動子11の接続端子112A、112Bにそれぞれ接続され、圧電振動子11の上面が第一母材124に当接されるように設置する。これにより、第一リード部121が安定して接続端子112に接する。また、回路モジュール13は第一リード部121及び第二リード部123の端子より構成された平面の上に設置される。
【0028】
図4は本実施例に係る圧電発振器10の連結構成を示す図であり、そのうち、(a)は底面図、(b)は側面図である。
図4(a)に示されたように、リードフレーム12の第一リード部121と第二リード部123との六つの端子は、回路モジュール13の底面に備えられた六つの端子(長手方向に2列等間隔(2×3行列)に形成される。)にそれぞれ接続される。なお、回路モジュール13の端子は、圧電発振器10を制御する端子(図示しない)と、圧電振動片114への二つの入出力端子(図示しない)と、アース接続された端子(図示しない)と、回路素子に電源供給を行う端子(図示しない)と、圧電発振器10の出力端子(図示しない)とを含む。
【0029】
図4(b)に示されたように、第一電極部111及び第二電極部122は平面PLの同一面の上にあり、他の引出部113、第一リード部121及び第二リード部123は全てそのPLと接しないように設けられている。
【0030】
図2ないし図4に示されたように、圧電発振器10は圧電振動子11及び回路モジュール13がリードフレーム12を介して電気接続され、回路モジュール13の発振回路や温度補償回路によって動作する。まず、圧電振動子11の第一電極部111及びリードフレーム12の第二電極部122が外部電源(図示しない)に接続される。また、第一電極部111は引出部113と外側の一対の接続端子112A及び第一リード部121Aとにより、第二電極部122は第二リード部123により回路モジュール13に電気接続される。さらに、回路モジュール13と圧電振動子11とは内側の一対の第一リード部121B及び接続端子112Bによって、信号を伝送する。従って、圧電発振器10は回路モジュール13の発振回路または温度補償回路などによって、圧電振動片114を発振させ、温度補償を行う。
【0031】
<圧電発振器10の製造方法について>
次に、本実施例で説明した圧電発振器10の製造方法について、図面を参考しながら説明する。図5は、本実施例に係る圧電発振器10の製造工程を示すフローチャートである。以下、図5に示された順番に従って本実施例の圧電発振器10の製造方法を説明する。
【0032】
まず、圧電振動子11が用意される(ステップS11)。この工程は図5の破線S11に示されたように以下のステップを含んでいる。
【0033】
導電接着剤115により、圧電振動片114が真空又は不活性ガスの状態であるパッケージ116の内底面に固着して収容される(ステップS111)。ここで、導電接着剤115としては、銀フィラなどの導電材料を含有したシリコーン系樹脂が用いられる。圧電振動片114は、化学蒸着及びエッチングなどにより水晶片の両面にニッケル(Ni)又はクロム(Cr)の下地に金(Au)又は銀(Ag)などの金属を順次に覆って発振用電極を形成する。また、パッケージ116はセラミックなどより構成され、発振回路及び温度補償回路を構成する配線パターンを有する。
【0034】
圧電振動子11の側面の中央付近に等間隔に接続端子112を形成する(ステップS112)。ここで、接続端子112は四つであり、圧電振動子11の長辺の側面に円筒又は四角柱の形状になるように掘り切って形成される。
【0035】
圧電振動子11の底面に第一電極部111及び引出部113が形成される(ステップS113)。まず、一対の第一電極部111を接続端子112が設けられている辺に対向する他の長辺の両隅部に形成する。そして、前述の接続端子112の外側の一対の接続端子112Aと一対の第一電極部111とを繋げる引出部113が形成される。ここで、第一電極部111及び引出部113にはFe−Ni系合金が広く用いられる。
【0036】
次に、圧電振動子11と回路モジュール13とを接続するリードフレーム12が用意される(ステップS12)。図5の破線S12に示されたように、ステップS12は金型によって第一リード部121を形成し(ステップS121)、金型で第二電極部122及び第二リード部123を形成する(ステップS122)。ここで、熱膨張、電気特性、強度から考えて第一リード部121、第二電極部122及び第二リード部123には、Fe−Ni系合金が広く用いられ、図2に示された形状を形成する。さらに、複数の第一リード部121は第一母材124により、複数の第二電極部122及び第二リード部123は第二母材125により連結されて同時に製造される。
【0037】
また、IC、トランジスタ、抵抗、コンデンサ、サーミスタなどの回路素子が実装され、発振回路と温度補償回路とを含む回路モジュール13が用意される(ステップS13)。図5の破線S13に示されたように、ステップS13は半田により回路素子を固着し(ステップS131)、底面にリートフレーム12の端子が接続される接続端子を形成する(ステップS132)。また、回路素子を樹脂により覆う。
【0038】
その後、導電性接着剤又は半田などにより圧電振動子11をリードフレーム12に固着する(ステップS14)。この時、圧電振動子11の接続端子112をリードフレーム12の第一リード部121に接続し、圧電振動子11の上面に第一母材124が当接されることで、圧電振動子11をリードフレーム12に固着する。
【0039】
また、回路モジュール13を圧電振動子11と同一の平面に並んで配置するようにリードフレーム12に固着する(ステップS15)。ここで、図4に示されたように、回路モジュール13の六つの端子とリードフレーム12の端子とを合わせるように回路モジュール13をリードフレーム12に固着する。
【0040】
次に、第一リード部121から第一母材124を切り離す(ステップS16)。リードフレーム12によって圧電振動子11と回路モジュール13とを固着した後、複数の第一リード部121から図2及び図3に一点鎖線で示された第一母材124を切り離す。
【0041】
また、一対の第一電極部111及び一対の第二電極部122が表面に露出するように、圧電振動子11、リードフレーム12及び回路モジュール13を封止材14で覆う(ステップS17)。図4(b)示されたように、第一電極部111及びの第二電極部122は引出部113、第一リード部121及び第二リード部123より低く設けているので、それらを表面に露出するように封止することができる。図6(a)及び(b)は、封止材14で封止した後の状態を示す。図6(a)は封止材14としてエポキシ系樹脂などの熱硬化性樹脂が用いられて圧電振動子11と回路モジュール13とを覆った状態を示す斜視図である。図6(b)は一対の第一電極部111及び一対の第二電極部122が表面に露出された状態を示す底面図である。
【0042】
最後、第二電極部122に連結されている第二母材125を複数の圧電発振器10から切り離す(ステップS18)工程である。前述の過程を経て複数の圧電発振器10が第二母材125に連結されている状態となる。その複数の圧電発振器10から第二母材125を切り離すことで本実施例に係る圧電発振器10の製造が終わることになる。ステップS18で第二母材125が切り離されるまで、複数の圧電発振器10が繋がっているため、一度に多くの圧電発振器10を扱うことができる。
【0043】
本実施例の製造方法によって形成された圧電発振器10は、圧電振動子11と回路モジュール13とがリードフレーム12により同一の平面に並んで設けられているので、圧電発振器10の薄型化が可能になる。そして、回路モジュール13からの熱によって、圧電振動子11の周波数がシフトし、所望の周波数からずれることが防止できる。また、圧電振動子11と回路モジュール13とを封止材14により覆うので、水分などの影響を受けることも防止できる。さらに、第一母材124及び第二母材125によって同時に複数の圧電発振器10が製造できるので、製造コストを低減することができる。
【0044】
(第二の実施形態)
以下、第二の実施例に係る圧電振動子21、圧電発振器20及び圧電発振器20の製造方法について、図面を参照しながら説明する。ここで、同じ部材には同じ記号を付いて説明する。
【0045】
<圧電振動子21について>
図7は、本実施例に係る圧電発振器20の組立分解図である。図7に示されたように、本実施例の圧電振動子21は、真空又は不活性ガスの状態であるパッケージ216の中に圧電振動片114を収容されている。また、セラミックより構成されたパッケージ216の長辺の側面の中央付近に二つの接続端子212が等間隔に形成される。なお、本実施例で接続端子212は側面から見ると円筒を半分に割った形状である。接続端子212は他の四角柱を半分に割った形状でもよい。
【0046】
本実施例で、二つの接続端子212はパッケージ216に設けた配線パターン(図示しない)及び圧電振動片114をパッケージ216の中に固着した導電接着剤(図示しない)によって圧電振動片114に電気接続されている。
【0047】
前述の構成によれば、圧電発振器20の小型化、薄型化に適した圧電振動子21が提供できる。
【0048】
<圧電発振器20について>
図7に示されたように、圧電発振器20は本実施例で説明した圧電振動子21と、リードフレーム22と、回路モジュール13とを含んでいる。ここで、リードフレーム22は、一対の第一電極部211と、外側の二つリード部221Aが一対の第一電極部211に接続される四つの第一リード部221と、一対の第一電極部211に対応する一対の第二電極部122と、その一対の第二電極部122に接続される一対の第二リード部123とを備える。また、第一電極部211及び第二電極部122は同一の平面に位置し、第一リード部221及び第二リード部123は第一電極部211及び第二電極部122の上にそれぞれ設けている。また、製造し易くするために、複数の第一電極部211及び第一リード部221は第一母材224により連結され、複数の第二電極部122は第二母材125により連結されている。さらに、図示しなかったが、圧電振動子21及び回路モジュール13は、図3のようにリードフレーム22によって同一の平面に並んで配置される。
【0049】
なお、本実施例の圧電発振器20の連結構成は図4に示された構成と同じなので、ここで説明を省略する。第一の実施例のように、第一電極部211及び第二電極部122は同一の平面の上にあり、第一リード部221及び第二リード部123はその平面の上に設けられている。
【0050】
本実施例の圧電発振器20は、圧電振動子21及び回路モジュール13がリードフレーム22を介して電気接続され、回路モジュール13の発振回路や温度補償回路によって動作する。まず、リードフレーム22の第一電極部211及び第二電極部222が外部電源(図示しない)に接続される。ここで、一対の第一電極部211は外側の一対の第一リード部221Aにより、一対の第二電極部122は一対の第二リード部123により回路モジュール13に電気接続される。また、回路モジュール13と圧電振動子21とはリードフレーム22の内側の一対の第一リード部221B及び圧電振動子21に設けた一対の接続端子212によって信号を伝送する。従って、圧電発振器20は回路モジュール13の発振回路または温度補償回路などによって、圧電振動片114を発振させ、温度補償を行う。
【0051】
<圧電発振器20の製造方法について>
図8は、本実施例に係る圧電発振器20の製造工程を示すフローチャートである。以下、図8に示された順番に従って本実施例の圧電発振器20の製造方法を説明する。
【0052】
まず、圧電振動子21が用意される(ステップS21)。図8の破線S21に示されたように以下のステップを含んでいる。
【0053】
導電接着剤(図示しない)により、圧電振動片114が真空又は不活性ガスの状態であるパッケージ216の内底面に固着して収容される(ステップS211)。ここで、パッケージ216は、セラミックなどより構成され、発振回路及び温度補償回路を構成する配線パターンを有する。
【0054】
圧電振動子21の側面の中央付近に一対の接続端子212が形成される(ステップS212)。ここで、接続端子212は圧電振動子21の長辺の側面に円筒の形状又は四角柱になるように掘り切って形成される。
【0055】
次に、圧電振動子21と回路モジュール13とを接続するリードフレーム22が用意される(ステップS22)。図8の破線S22に示されたように、ステップS22は金型によって第一電極部211及び第一リード部221を形成し(ステップS221)、金型によって第二電極部122及び第二リード部123を形成する(ステップS222)。ここで、熱膨張、電気特性、強度から考えて、第一電極部211及び第一リード部221は、Fe−Ni系合金が広く用いられ、図7に示されたような形状を形成する。さらに、複数の第一電極部211及び第一リード部221は第一母材224により、複数の第二電極部122及び第二リード部123は第二母材125により連結されて同時に製造される。
【0056】
また、IC、トランジスタ、抵抗、コンデンサ、サーミスタなどの回路素子が実装され、発振回路と温度補償回路とを含む回路モジュール13が用意される(ステップS23)。図8の破線S23に示されたように、ステップS23は半田により回路素子を固着し(ステップS231)、底面にリートフレーム22の端子が接続される接続端子を形成する(ステップS232)。また、回路素子を樹脂により覆う。
【0057】
その後、導電性接着剤又は半田などにより圧電振動子21がリードフレーム22に固着される(ステップS24)。この時、圧電振動子21を外側の一対の第一リード部221Aの上に搭載し、圧電振動子21の接続端子212を内側の一対の第一リード部221Bに当接することで、圧電振動子21をリードフレーム22に固着する。
【0058】
また、回路モジュール13を圧電振動子21と同一の平面に並んで配置するようにリードフレーム22に固着する(ステップS25)。ここで、図4のように、回路モジュール13の六つの端子とリードフレーム22の端子とを合わせるように回路モジュール13をリードフレーム22に固着する。
【0059】
また、第一電極部211及び第一リード部221から第一母材224を切り離す(ステップS26)。リードフレーム22によって圧電振動子21と回路モジュール13とを固着した後、複数の第一電極部211及び第一リード部221から図7に一点鎖線で示された第一母材224を切り離す。
【0060】
また、一対の第一電極部211及び一対の第二電極部122が表面に露出するように、圧電振動子21、リードフレーム22及び回路モジュール13を封止材(図示しない)で覆う(ステップS27)。第一電極部211及び第二電極部122は第一リード部221A、221B及び第二リード部123より低い平面に設けているので、それらを表面に露出するように封止することができる。図6(a)及び(b)は封止材14により封止した後の状態を示す。
【0061】
最後、第二電極部122に連結されている第二母材125を圧電発振器20から切り離す(ステップS28)。前述の過程を経て複数の圧電発振器20が第二母材125に連結されている状態となる。その複数の圧電発振器20から第二母材125を切り離すことで本実施例に係る圧電発振器20の製造が終わることになる。
【0062】
本実施例の製造方法によって形成された圧電発振器20は、圧電振動子21と回路モジュール13とがリードフレーム22により同一の平面に並んで設けられているので、圧電発振器20の薄型化が可能になる。そして、回路モジュール13からの熱によって、圧電振動子21の周波数がシフトし、所望の周波数からずれることが防止できる。また、圧電振動子21と回路モジュール13とを封止材により覆うので、水分などの影響を受けることも防止できる。さらに、第一母材224及び第二母材125によって同時に複数の圧電発振器20が製造できるので、製造コストを低減することができる。
【0063】
また、第一の実施例に比べると、圧電振動子11の底面に第一電極部111及び引出部113を設ける代わりに、第一電極部211が第一リード部221と一緒に製造される。さらに、四つの接続端子112の代わりに、二つの接続端子212のみ形成されて圧電振動子21の製造工程がより簡単になる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上、薄型化を達成すると共に、発振周波数の安定化、電力の低消費化、組立性の向上、及び低コスト化という各種要求を同時に満足することができる薄型の圧電発振器が得られる。
【0065】
また、本発明の最適な実施例について詳細に説明したが、当業者に明らかなように、本発明はその技術的範囲内において実施例に様々な変更・変形を加えて実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】第一の実施例に係る圧電振動子の構成を示す図である。そのうち、(a)は底面図、(b)は(a)のB−B断面図、(c)は(a)のC−C断面図である。
【図2】第一の実施例に係る圧電発振器の組立分解図である。
【図3】第一の実施例に係る圧電発振器を組立した後の斜視図である。
【図4】第一の実施例に係る圧電発振器の連結構成を示す図である。そのうち、(a)は底面図、(b)は側面図である。
【図5】第一の実施例に係る圧電発振器の製造工程を示すフローチャートである。
【図6】本発明に係る圧電振動子と回路モジュールとを封止材により覆った状態を示す図である。そのうち、(a)は斜視図、(b)は底面図である。
【図7】第二の実施例に係る圧電発振器の組立分解図である。
【図8】第二の実施例に係る圧電発振器の製造工程を示すフローチャートである。
【図9】従来の圧電振動子と半導体部品とが上下に形成された圧電発振器の構成を示す図である。そのうち、(a)は一例の断面図、(b)は(a)の底面図である。
【図10】従来の圧電振動子と回路モジュールとが回路基板の上に隣接するように形成された圧電発振器の構成を示す図である。そのうち、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【符号の説明】
【0067】
10、20 …… 圧電発振器
11、21 …… 圧電振動子
12、22 …… リードフレーム
13 …… 回路モジュール
14 …… 封止材
111、211 …… 第一電極部
112、112A、112B、212 …… 接続端子
113 …… 引出部
114 …… 圧電振動片
115 …… 導電接着剤
116、216 …… パッケージ
121、121A、121B、221、221A、221B …… 第一リード部
122 …… 第二電極部
123 …… 第二リード部
124、224 …… 第一母材
125 …… 第二母材
40 …… パッケージ
41 …… 圧電振動片
42 …… 半導体部品
43 …… 蓋体
44 …… 電極
45 …… 回路基板
46 …… 圧電振動子
47 …… モジュール基板
48 …… 回路素子
49 …… 封止材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電振動片と前記圧電振動片を収容するパッケージとを含む圧電振動子であって、
側面には、少なくとも四つの接続端子が形成され、
底面には、一対の電極部と、前記接続端子のうちの一対の接続端子と前記一対の電極部とをそれぞれ接続する引出部とが形成されることを特徴とする圧電振動子。
【請求項2】
圧電振動片を収容し、底面に一対の第一電極部が設けられた圧電振動子と、
前記圧電振動子と同一の平面に並んで配置され、回路素子が実装された回路モジュールと、
前記圧電振動子と前記回路モジュールとを電気接続するとともに、一対の第二電極部が設けられたリードフレームと、
を備えることを特徴とする圧電発振器。
【請求項3】
前記圧電振動子の側面は、前記リードフレームを介して前記回路モジュールに接続される四つの接続端子を含み、
前記圧電振動子の底面は、前記四つの接続端子のうちの一対の接続端子と前記一対の第一電極部とをそれぞれ接続する引出部を含むことを特徴とする請求項2に記載の圧電発振器。
【請求項4】
前記リードフレームは、前記圧電振動子の接続端子に接続される第一リード部と、前記第二電極部に接続される第二リード部とを備えることを特徴とする請求項3に記載の圧電発振器。
【請求項5】
前記圧電振動子と前記回路モジュールとを封止材により覆うことを特徴とする請求項4に記載の圧電発振器。
【請求項6】
前記第一リード部及び第二リード部は前記封止材に覆われ、前記一対の第一電極部と前記一対の第二電極部とが前記封止材に覆われていないことを特徴とする請求項5に記載の圧電発振器。
【請求項7】
一対の第一電極部を有する圧電振動子を用意する工程と、
回路素子が実装された回路モジュールを用意する工程と、
一対の第二電極部が形成されたリードフレームを用意する工程と、
前記リードフレームを介して前記回路モジュールを前記圧電振動子と同一の平面に並んで配置して電気接続する工程と、
前記一対の第一電極部及び前記一対の第二電極部が表面に露出するように、前記圧電振動子と前記回路モジュールとを封止材で覆う工程と、
を備えることを特徴とする圧電発振器の製造方法。
【請求項8】
前記圧電振動子を用意する工程は、
前記回路モジュールに接続される四つの接続端子を側面に形成する工程と、
前記一対の第一電極部と前記第一電極部に接続する一対の引出部とを底面に形成する工程と、
を備えることを特徴とする請求項7に記載の圧電発振器の製造方法。
【請求項9】
前記リードフレームを用意する工程は、
前記接続端子に接続される第一リード部を形成する工程と、
前記第二電極部に接続される第二リード部を形成する工程と、
を備えることを特徴とする請求項7に記載の圧電発振器の製造方法。
【請求項10】
前記第一リード部は第一母材に複数形成されており、前記第二電極部及び第二リード部は第二母材に複数形成されており、
前記第一母材は、前記封止材で覆われる前に第一電極部及び前記第一リード部から切り離し、
前記第二母材は、前記封止材で覆われた後に前記第二電極部から切り離すことを特徴とする請求項9に記載の圧電発振器の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−98340(P2010−98340A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−264730(P2008−264730)
【出願日】平成20年10月14日(2008.10.14)
【出願人】(000232483)日本電波工業株式会社 (1,148)
【Fターム(参考)】