説明

地図情報処理装置、地図情報処理装置の制御方法、地図情報処理装置の制御プログラム、および地図情報処理装置の制御プログラムを記録した記録媒体

【課題】本願の課題の一例は、サーバ装置において新規道路情報をメンテナンスする場合に、新規道路の影響領域を設定することで、経路計算結果が影響領域の範囲内であれば経路計算に影響がある道路として選別することにより、選別された道路だけをオブジェクト単位で更新することで、更新データ量を最小にすることが可能となる地図情報処理装置等を提供することを目的とする。
【解決手段】本実施形態に記載の地図情報処理装置は、新設道路に関する更新有効範囲を設定し、ナビゲーション装置における経路探索結果の一部又は全部が更新有効範囲と重なる場合には、新設道路に関する追加地図情報をナビゲーション装置へ送出する。ナビゲーション装置は追加地図情報を記憶し、追加地図情報を加えた地図情報に基づいて、経路探索を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、ナビゲーション情報等の情報処理システムの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のカーナビゲーション装置としては、例えば、車両の走行に伴ってGPS等により現在位置を検出し、その現在位置をディスプレイ上に道路地図と共に表示することにより位置案内をし、現在地から目的地までの適切な目的地経路を設定し、その目的地経路に従って車両が走行できるように所定の経路案内を行う機能が知られている。
【0003】
そして、これらの案内機能は、HD(Hard Disc)およびDVD(Digital Versatile Disc)等の記録媒体に記憶され、又は通信回線によって供給される道路地図データが用いられて実現されている。
【0004】
しかし、道路は日々整備され、また新たな道路が設けられることもあり、HDおよびDVD等の記録媒体に記憶されている道路地図データは、それらの記録媒体をユーザが入手した時点から刻々と変化しているのが現状である。従って、一旦入手した道路地図データも最新の道路事情を反映させるために頻繁に更新を行なう必要がある。それを怠ると新規開通の近道があるにも関わらず、従来通りの遠回りの経路が案内されたり、閉鎖された道路を通る経路が案内されたりする不都合が発生する。
【0005】
そこで、道路を構成するリンク等のオブジェクトに不変のリンクIDを付け、オブジェクト単位での情報更新を可能にしている地図情報提供サービスがある。
(例えば、特許文献1に開示されている。)
【0006】
また、カーナビゲーション装置が探索した経路の距離をサーバに送信し、サーバで同じ経路計算を行なった結果と比較した結果が異なっている場合に、カーナビゲーションの道路の更新を行なう地図情報提供サービスが知られている。
(例えば、特許文献2に開示されている。)
【特許文献1】特開2004−287705号公報
【特許文献2】特開2006−065246号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1では、更新されるべき道路情報の選別については何ら記載されていない。また、上記特許文献2では、経路を構成する区分単位に情報が更新されてしまうので、区分に含まれる不要な情報も更新されてしまう。すなわち、これら従来のナビゲーション装置では、経路に沿った道路をオブジェクト単位で更新することは可能であるが、経路計算に必要な道路としてどこまで更新すればよいかは決定できなく、また、経路計算に影響のある道路の特定もできないという課題があった。また、経路計算に必要とされない余分な道路情報を記憶する記憶容量と余分な道路情報を処理する処理時間が必要となるという課題もあった。
【0008】
本発明は、上記問題点を解決するものであり、その課題の一例は、サーバ装置において新規道路情報をメンテナンスする場合に、新規道路の影響領域を設定することで、経路計算結果が影響領域の範囲内であれば経路計算に影響がある道路として選別することにより、選別された道路だけをオブジェクト単位で更新することで、更新データ量を最小にすることが可能となる地図情報処理装置、地図情報処理装置の制御方法、地図情報処理装置の制御プログラム、および地図情報処理装置の制御プログラムを記録した記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に記載の地図情報処理装置は、地図情報と追加地図情報とを記憶する記憶手段と、ナビゲーション装置における経路探索情報を受信する受信手段と、前記経路探索情報と前記追加地図情報に付属される情報との関係を判断する判断手段と、前記判断手段による判断の結果、前記経路探索情報に影響を与える前記追加地図情報を選択する選択手段と、前記ナビゲーション装置へ前記選択手段によって選択された前記追加地図情報を送信する送信手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項7に記載の地図情報処理装置の制御方法は、地図情報と追加地図情報とを記憶する記憶工程と、ナビゲーション装置における経路探索情報を受信する受信工程と、前記経路探索情報と前記追加地図情報に付属される情報との関係を判断する判断工程と、前記判断工程における判断の結果、前記経路探索情報に影響を与える前記追加地図情報を選択する選択工程と、前記ナビゲーション装置へ前記選択工程において選択された前記追加地図情報を送信する送信工程と、を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項8に記載の地図情報処理装置の制御プログラムは、地図情報処理装置に含まれるコンピュータを、地図情報と追加地図情報とを記憶する記憶手段、ナビゲーション装置における経路探索情報を受信する受信手段、前記経路探索情報と前記追加地図情報に付属される情報との関係を判断する判断手段、前記判断手段による判断の結果、前記経路探索情報に影響を与える前記追加地図情報を選択する選択手段、前記ナビゲーション装置へ前記選択手段によって選択された前記追加地図情報を送信する送信手段、として機能させることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、本願に最適な実施の形態について、図1乃至図8に基づいて説明する。図1(a)は、本実施形態に係わるナビゲーション装置および道路情報サーバ装置(地図情報処理装置、道路情報処理装置)を含む地図情報処理システムのシステム構成例である。図1(b)は、本実施形態に係わるナビゲーション装置の内部ブロック構成例である。図1(c)は、本実施形態に係わる道路情報サーバ装置の内部ブロック構成例である。
【0013】
図2は、実施形態に係わる道路情報サーバ装置に記憶されている地図情報に
追加地図情報が追加記憶される様子を示した図である。
【0014】
図3は、実施形態に係わる追加地図情報における新設道路の更新対象領域の一例を示す図である。
【0015】
図4は、実施形態に係わる追加地図情報における新設道路の更新対象領域の作成方法をあらわすフローチャートである。
【0016】
図5は、実施形態に係わるナビゲーション装置において、地図情報を基づいて経路探索を行なった状態を示す図である。
【0017】
図6は、実施形態に係わる道路情報サーバ装置において、地図情報と追加地図情報に基づいて、経路探索を行なった状態を示す図である。
【0018】
図7は、本実施形態に係わるナビゲーション装置および道路情報サーバ装置(道路情報処理装置)を含む地図情報処理システムにおけるシステムシーケンスを示す図である。
【0019】
図8は、本実施形態に関わる、地図情報処理システムを用いて経路探索を行なった一例を示す図である。
【0020】
最初に、図1(a)に基づいて、本実施形態に係わるナビゲーション装置1および道路情報サーバ装置2を含む地図情報処理システムのシステム構成例を説明する。
【0021】
図1(a)に示すように、ナビゲーション装置1および道路情報サーバ装置2は通信回線網3を介して、相互に情報の送受信ができるように接続されている。ナビゲーション装置1は複数の移動体に搭載されており、随時、それらの移動体に搭載されたナビゲーション装置1と道路情報サーバ装置2との間で情報の送受信が行なわれている。
【0022】
ナビゲーション装置1において経路探索が行なわれた結果が、通信回線網3を介して道路情報サーバ装置2に送信される。また、道路情報サーバ装置2は、ナビゲーション装置1において行なわれた経路探索の始点情報と終点情報に基づいて、道路情報サーバ装置2に記憶されている追加地図情報を含めて経路探索を行なう。その結果、道路情報サーバ装置2が経路探索に関連する追加地図情報をナビゲーション装置1に送付するべきであると判断した場合には、道路情報サーバ装置2は通信回線網3を介してナビゲーション装置1に、経路探索に関連する追加地図情報を送信する。
【0023】
次に、図1(b)に基づいて、本実施形態に係わるナビゲーション装置1の内部ブロック構成例について説明する。
【0024】
本実施形態に係わるナビゲーション装置1は、記憶部4、表示部5、操作部6、位置検出部7、制御部8および送受信部9を備えている。
【0025】
記憶部4には、ナビゲーション機能を発揮するための道路情報等の地図情報が記憶されている。地図情報には、必要に応じて道路情報サーバ装置2から送信される追加地図情報も含まれる。道路情報はCD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)またはHD(Hard Disc)等の記憶媒体に記憶されてユーザに供給される場合があり、記憶部4はこれらの記憶媒体も含む記憶装置である。一般的には、数年に一回程度すべての道路情報が更新された状態で、更新されたすべての道路情報が記憶されたCD、DVDまたはHD等の記憶媒体が、道路地図情報供給会社からユーザに供給される。また、道路情報が、道路情報サーバ装置2から供給される場合には、通信回線網3、送受信部9を介して記憶部4に記憶される。また、記憶部4は、制御部8の制御機能における一時記憶装置としての機能も有している。
【0026】
位置検出部7は、移動体の位置が検出される部分である。例えば位置検出部7としては、GPS(Global Positioning System)装置、方位センサー、傾斜センサー、スピードセンサー、移動時間を計測するタイマー、移動体である車両のウィンカー、アクセル操作、ブレーキ操作などの各種情報取得装置が使用される。
【0027】
表示部5には、記憶部4に記憶された道路情報および道路情報サーバ装置2から送信された追加地図情報に基づいて道路等の情報および経路探索結果が表示される。また、位置検出部7において検出された移動体位置情報に基づいて、現在位置が道路情報に重ねて表示部5に表示される。表示部5に表示される移動体の位置情報は、位置検出部7から検出された情報に対して制御部8においてあらかじめ定められた処理が行なわれた後の処理情報が表示部5に表示される。また、位置検出部7から検出された情報がそのまま使用され、表示部5に表示される場合もある。
【0028】
また、制御部8は、位置検出部7において検出された位置情報と、記憶部4に記憶された道路情報および道路情報サーバ装置2から送信された追加地図情報に基づき、道路情報に含まれる道路上に位置検出部7によって検出された移動体の位置を表示部5に表示する処理を行なう。
【0029】
さらに、制御部8は、送受信部9を介して受信した追加地図情報を、記憶部4に記憶させる処理を行なう。
【0030】
さらに、制御部8は、記憶部4に記憶された道路情報およびユーザが操作部6を介して指定した始点情報と終点情報とに基づき経路探索を行なう。経路探索結果は、送受信部9、通信回線網3を介して、道路情報サーバ装置2に送信される。また、道路情報サーバ装置2から送信される追加地図情報および記憶部4に記憶された道路情報を基づき経路探索を行なう。そして、制御部8は、追加地図情報を含めたコストが最も小さい経路探索結果を表示部5に表示させる。
【0031】
さらに、制御部8は、記憶部4、表示部5、操作部6、位置検出部7、および送受信部9を統合的に制御する動作を行なう。
【0032】
送受信部9は、道路情報および追加地図情報を道路情報サーバ装置2から受信する。
【0033】
また、制御部5が経路探索した経路探索結果情報を、通信回線網3を経由して、道路情報サーバ装置2に対して送信する。そして、道路情報サーバ装置2は、通信回線網3を介して受信した、ナビゲーション装置2が経路探索した経路情報に基づいて更新有効範囲との照合を行なう。その結果、道路情報サーバ装置2は、ナビゲーション装置1の記憶部4に記憶されていない追加地図情報が経路探索に必要であると判断した場合(経路情報の全部又は一部が更新有効範囲と重なる場合)には、追加地図情報が道路情報サーバ装置2から、通信回線網3を介してナビゲーション装置2の送受信部9へ送信される。
【0034】
操作部6には、ユーザが経路探索を行なう場合の始点情報と終点情報が入力される。また、ユーザがナビゲーション装置1の各種機能を発揮させるために操作するスイッチなどが設けられている。
【0035】
次に、図1(c)に基づいて、本実施形態に係わる道路情報サーバ装置2の内部ブロックについて説明する。
【0036】
道路情報サーバ装置2は、記憶部10、送受信部11、操作部12、および制御部13を備えている。
【0037】
記憶部10には、各種の道路情報および図4の手順で作成された更新有効範囲リストと当該追加地図情報が記憶されている。追加地図情報には新設道路情報が含まれる。また、新設道路情報が既設の道路情報に追加された場合には、新設道路情報と既設道路情報との新たなノード情報も記憶部10に記憶される。
【0038】
これらの追加地図情報は、ナビゲーション装置1が搭載されている移動体において経路探索が行なわれ、その経路探索結果情報を道路情報サーバ装置2が受信した場合において必要に応じて各種移動体に送信される。また、操作部12を介して、道路情報および追加地図情報が入力され、記憶部10に記憶される。
【0039】
送受信部11は、ナビゲーション装置1において経路探索された経路探索結果情報の受信、および記憶部10に記憶された追加地図情報を必要に応じて移動体に送信する。
【0040】
操作部12には、道路地図情報供給会社が道路情報サーバ装置2の各種機能を発揮するために操作するスイッチなどが備えられている。また、道路情報サーバ装置2には操作部12を介して新設道路に関する情報および既設道路に関する新たな情報である追加地図情報が入力される。入力された追加地図情報は、記憶部10に記憶される。
【0041】
制御部13は、記憶部10、送受信部11、および操作部12を図7の18〜20の要領で制御する。また、移動体から送信された経路情報に基づいて、記憶部10に記憶されている追加地図情報が経路探索に必要か否かを判断する。移動体で行なわれた経路探索に、移動体に搭載されているナビゲーション装置1の記憶部4に記憶されていない追加地図情報が必要であると、道路情報サーバ装置2の制御部13が判断した場合には道路情報サーバ装置2の記憶部10に記憶されている追加地図情報を、送受信部11、通信回線網3を介してナビゲーション装置1に送信する機能を備えている。
【0042】
次に、図2について説明する。
【0043】
図2は、道路情報サーバ装置2の記憶部10に記憶されている道路情報に追加地図情報としての新設道路SD1が追加記憶される様子を示した図である。
【0044】
図2において従来の地図情報として、道路L1、道路L2、道路L3、道路L4、道路L5、道路L6、道路ノードA1、道路ノードA2、道路ノードA3、道路ノードA4、道路ノードA5、道路ノードA6、道路ノードA7、道路ノードA8、および道路ノードA8が記憶部10に記憶されている。
【0045】
新設道路SD1は、道路L1の道路ノードA1と道路ノードA4との間に接続している。この接続点を道路ノードB1として記憶部10に記憶する。また、新設道路SD1は、道路L6の道路ノードA9と道路ノードA8との間に接続している。この接続点を道路ノードB2として記憶部10に記憶する。
【0046】
すなわち、道路ノードA1と道路ノードA4との間のリンクが、道路ノードA1と道路ノードB1とのリンクと道路ノードB1と道路ノードA4とのリンクとに分割される。また道路ノードA8と道路ノードA9との間のリンクが、道路ノードA8と道路ノードB2とのリンクと道路ノードB2と道路ノードA9とのリンクとに分割される。分割されたリンク情報も記憶部10に記憶される。また、新設道路SD1には、道路ノードB1と道路ノードB2とが関連付けられる。
【0047】
追加地図情報として、新設道路SD1と、新設道路SD1に関連付けされた道路ノードB1と道路ノードB2とが記憶部10に記憶される。
【0048】
次に、図3について説明する。
【0049】
図3は、図2において道路情報サーバ装置2の記憶部10に記憶された追加地図情報における新設道路SD1の関連領域R1(更新有効範囲)の範囲を示した図である。
【0050】
図3において新設道路SD1の関連領域R1は斜線で図示されている部分である。関連領域R1は任意に設定することが可能である。ここでは、関連領域の設定方法
の一例を示す。
【0051】
一例としての関連領域R1は、新設道路SD1の道路ノードB1を中心に半径B1Rで示される半円領域と、図3において新設道路SD1の上側と下側に平行な線分と道路ノードB2を中心に半径B2Rで示される半円領域とから構成されている。
【0052】
新設道路SD1における道路ノードB1と道路ノードB2間の移動体の移動コストを新設道路移動コストNCとする。また道路ノードB1と道路ノードB2間において新設道路SD1を使用しないで移動体が移動した場合の移動コストを従来移動コストNNとする。道路ノードB1と道路ノードB2間において新設道路SD1を使用しないで移動体が移動する場合の移動系路の一例としては、道路ノードB1から、道路ノードA4、道路ノードA7、および道路ノードA8を介して、道路ノードB1に至る経路がある。
【0053】
関連領域R1は、従来移動コストNNから新設道路移動コストNCを差し引いた量に比例する量とすることができる。
【0054】
例えば、移動コストとして時間を考えた場合に、新設道路を移動体が予め定められた速度(一定速度ではなく速度は変化してもよい。)で移動した場合の新設道路移動コストNCに対応する時間が1時間で、従来道路を移動体が予め定められた速度(一定速度ではなく速度は変化してもよい。)で移動した場合の従来移動コストNNが3時間となった場合には、差し引き2時間に対応する量が関連領域R1の広さに対応する。差し引きの2時間を予め定められた速度で割り算した距離を半径B1Rおよび半径B2Rとすることができる。また、差し引きの2時間を予め定められた速度で割算した値に対して、予め定められた値を加減乗除等の演算をして調整を行なった値を関連領域R1とすることもできる。
【0055】
また、関連領域R1(更新有効範囲)の決定はA/(新設道路移動コスト)NCとすることもできる。Aは定数である。新設道路移動コストNCが大きいほど移動時間が長くなるので、更新有効範囲は狭くなる。しかし、新設道路移動コストNCが小さいほど移動時間が短くなるので、更新有効範囲は大きく(広く)なる。新設道路によって移動体がスムーズに移動できるほど更新有効範囲は大きくなる。
【0056】
さらに、新設道路が高速道路である場合には、新設高速道路の入口と出口ポイントのみを中心に更新有効範囲を設定することにしてもよい。例えば、一定半径の円が最も簡単な一例となる。また、新規高速道路の入口と出口ポイントに接続する従来道路のリンクコストに逆比例する形で、更新有効範囲の大きさを演算することもできる。
【0057】
さらに、新設道路(リンクコストNC)に接続する道路(リンクコストNI)に沿って、更新有効範囲を演算する。例えば、A/(NC*NI)またはA/(NC+NI)などのように新設道路とそれに接続する道路のリンクコストの双方に逆比例する形式で値を求めると、求められた値が新設道路に接続する道路の更新有効範囲となる。
【0058】
さらに、新設道路の道路種別(例えば、道路幅、車線数、制限速度、高速道路であるか否か、有料道路であるか否か、国道であるか否か)に基づいて更新有効範囲の大きさを決定する、または新設道路の道路種別に基づいて予め定められた係数を掛けることによって有効更新範囲の大きさに変化をつけることができる。さらに、新設道路の道路種別に基づいて予め定められた係数は、その道路の渋滞状況など、時間と共に変化する動的な状況に対応して変化する値に設定されることが可能である。さらに、それらの時間とともに変化する状況に対応して、サーバ側で係数の再計算をする事が可能であり、サーバ側の再計算の結果に基づいてサーバが係数を再設定することが可能である。
【0059】
さらに、更新有効範囲を2次元的に設定せずに、従来道路に沿って更新有効範囲を設定することもできる。
【0060】
新設道路に接続される従来道路を移動コストに従って、予め選別・リスト化しておいて、選別リストの道路とユーザの経路とが一致するか否かを判断することもできる。
【0061】
次に図4を用いて、新設道路が設定される場合における新設道路毎の更新有効範囲を演算するフローチャートの一例について説明する。この演算は、道路情報サーバ装置2の制御部13で行なわれ、道路情報サーバ装置2の記憶部10に記憶される場合がある。また、予め道路情報サーバ装置2の外部で図4の手順で演算された更新有効範囲データが、道路情報サーバ装置2の操作部12が操作されることによって、道路情報サーバ装置2の記憶部10に記憶される場合もある。
【0062】
ステップS1において、道路情報サーバ装置2に新設道路情報を操作部12等の入力部を介して入力し、記憶部10に記憶する。次にステップS2に進む。
【0063】
ステップS2において、道路情報サーバ装置2の制御部13は新設道路カウンタIを0に初期化する。次にステップS3に進む。
【0064】
ステップS3において、制御部13は記憶部10に記憶されている新設道路N(I)の情報を抽出し新設道路Nとする。次にステップS4に進む。
【0065】
ステップS4において、制御部13は、新設道路が追加地図情報として記憶される前の地図データを記憶部10から抽出する。制御部13は、抽出された地図データにBefore Mapという名称をつける。次にステップS5に進む。
【0066】
ステップS5において、制御部13は、新設道路Nの一端を出発地点Before Nsとし、反対の一端を目標地点Before Ngとする。次にステップS6に進む。
【0067】
ステップS6において、制御部13は、更新前の地図データを用いて出発地点Before Nsから目標地点Before Ngまでの経路探索を行ない、更新前の地図データにおける出発地点Before Nsから目標地点Before Ngまでの移動コストNNCの演算を行なう。次にステップS7に進む。
【0068】
ステップS7において、制御部13は、新設道路が追加地図情報として記憶されている更新後の地図情報を記憶部10から抽出する。制御部13は、抽出された地図データにNew Mapという名称をつける。次にステップS8に進む。
【0069】
ステップS8において、制御部13は、新設道路Nの一端を出発地点Nsとし、出発地点Nsと反対の一端を目標地点Ngとする。次にステップS9に進む。
【0070】
ステップS9において、制御部13は、抽出された地図データであるNew Mapを用いて出発地点Nsから目標地点Ngまでの経路探索を行ない、出発地点Nsから目標地点Ngまでの移動コストNCの演算を行なう。次にステップS10に進む。
【0071】
ステップS10において、新設道路を含まない移動コストNNCから新設道路を含む移動コストNCを減算し、減算結果をNNXとする。次にステップS11に進む。
【0072】
ステップS11において、新設道路の各ノードNNを中心にNXを加算演算し、更新有効範囲を設定する。例えば、新設道路のノード1をN1とすると、N1からNXの距離が更新有効範囲となる。次にステップS12に進む。
【0073】
ステップS12において、制御部13はステップS10において演算された演算結果NNXを記憶部10に記憶された有効範囲判定リストに追加する。制御部13はステップS13においてインクリメントされるIごとに有効範囲判定リストNNXList(I)に演算結果NNXを記録し、記憶部10に記憶する。次にステップS13に進む。
【0074】
ステップS13において、新設道路カウンタを1つインクリメントする。次にステップS14に進む。
【0075】
ステップS14において、新設道路の全てについて更新有効範囲が設定されたか否かが判断される。新設道路の全てについて更新有効範囲が設定された場合(ステップS14:YES)の場合には処理を終了する。新設道路の全てについて更新有効範囲が設定されていない場合(ステップS14:NO)には、ステップS3に進む。
【0076】
以上の動作フローに基づいて、道路情報サーバ装置2において、新設道路の全てについて更新有効範囲が設定される。
【0077】
次に、図5を用いて、ナビゲーション装置1において、制御部8が地図情報に新設道路が追加地図情報として記憶部4に記憶されていない状態における記憶部4の地図情報を用いて、図2における領域において経路探索を行なった結果を図示する。
【0078】
出発地点Sは、道路L6上の地点で、到着地点Gは道路L9上の地点である。経路探索の結果である経路は経路K1で示されている。経路K1は道路L6上の出発地点Sから道路ノードA1、道路ノードA4、道路ノードA7、道路ノードA8および道路ノードA9を介して到着地点Gへ至る経路である。
【0079】
ナビゲーション装置1は、図5において経路探索された経路K1が最も移動コストが小さいか否かを確認するために、経路K1に関する経路探索情報を送受信部9を介して、道路情報サーバ装置2へ送信する。
【0080】
経路K1に関する経路探索情報を送受信部9を介して受信した道路情報サーバ装置2は、経路1に新設道路を考慮した関連領域R1と重なる部分があるか否かを判断する。経路1に新設道路を考慮した関連領域R1と重なる部分がある場合には、道路情報サーバ装置2は、記憶部10に記憶されている関連領域R1の新設道路情報を送受信部9を介してナビゲーション装置1に送信する。経路1に新設道路を考慮した関連領域R1と重なる部分がない場合には、道路情報サーバ装置2は、更新情報無しという結果情報を送受信部9を介してナビゲーション装置1に送信する。
【0081】
ナビゲーション装置1における制御部8が、追加地図情報を加えて、経路を探索する手順を図6に示す。
【0082】
図6は、新規道路SD1の関連領域R1である有効更新範囲に、図5においてナビゲーション装置1が選択した探索経路K1が含まれていることを示した図である。
【0083】
図6において、探索経路K1の一部に該当する道路ノードB1から道路ノードA4に至る経路が関連領域R1と重なっているので、制御部8は、移動体によって設定された出発地点Sから到着地点Gまでに至る経路における経路探索において関連領域R1に関わる新設道路SD1を利用して経路探索を実行する。探索経路K1の一部が関連領域R1と重なっていない場合には、道路情報サーバ装置2から追加地図情報がナビゲーション装置1には送信されないので、制御部8は、関連領域R1に関わる新設道路SD1を移動体によって設定された出発地点Sから到着地点Gまでに至る経路において使用できるか否かを判断しない。この場合には、道路情報サーバ装置2は、更新データがないことをナビゲーション装置1に送信している。従って、制御部8は、経路探索において新設道路SD1を使用できるか否かは初めから検討しない。その結果、ナビゲーション装置1の制御部8は、経路K1をナビゲーション装置1の表示部5へ表示する。
【0084】
本実施形態の場合には、探索経路K1の一部に該当する道路ノードB2から道路ノードA8に至る経路も関連領域R1と重なっているので、制御部8は、移動体によって設定された出発地点Sから到着地点Gまでに至る経路において、関連領域R1に関わる新設道路SD1を利用して経路探索を実行する。
【0085】
制御部8は、道路ノードA7が、道路ノードB1から道路ノードA4の延長線上にあるとともに、道路ノードB2から道路ノードA8の延長線上にもあることを認識する。従って、制御部8は、道路ノードB1から、道路ノードA7を介して、道路ノードB2に至る経路が従来道路によって経路探索された経路探索結果K1の一部分であることを認識する。
【0086】
そこで、制御部8は、道路ノードB1から、道路ノードA4、道路ノードA7、道路ノードA8を介して、道路ノードB2に、従来道路を利用して移動体が移動した場合の移動コストを計算しながら経路探索をする。また、制御部8は、移動体が道路ノードB1から道路ノードB2に新設道路SD1を利用して移動する場合の移動コストを演算しながら経路探索をする。制御部8が経路探索をする場合の経路はこれらに限られるわけではなく、追加地図情報が加えられた地図情報に基づいて、移動体が移動できる経路の全てについて移動コストを計算しつつ最適な経路を求めるための経路探索を行なう。
【0087】
その結果、本実施形態においては、新設道路SD1を利用して道路ノードB1から道路ノードB2へ至る経路を使用すると移動コストが最も小さい(移動距離が短い等)ので、ナビゲーション装置1において、追加地図情報が道路情報サーバ装置2から送信される前に求められた道路L6上の出発地点Sから道路ノードA1、道路ノードA4、道路ノードA7、道路ノードA8および道路ノードA9を介して到着地点Gへ至る経路K1よりも、新設道路を使用した道路L6上の出発地点Sから道路ノードA1、道路ノードB1、道路ノードB2、および道路ノードA9を介して到着地点Gへ至る経路K2を選択するべきことをナビゲーション装置1の制御部8は判断する。
【0088】
その結果、ナビゲーション装置1の制御部8は、経路K2をナビゲーション装置1の表示部5へ表示する。従って、ナビゲーション装置1の表示部5には、経路K1は一度も表示されない。このようにして、常に新設道路を考慮した最適な経路が、ナビゲーション装置1のユーザに提供されることになる。
【0089】
次に図7について説明する。
【0090】
図7は、図2乃至図6において説明した各部分の動作をシステムシーケンスとして表した図である。
【0091】
図7における横軸の上段左側からエンドユーザの動作14、ナビゲーション装置1における経路探索15、ナビゲーション装置1における地図情報16、道路情報サーバ装置2における地図情報の更新17、道路情報サーバ装置2における地図情報の更新18、道路情報サーバ装置2における更新有効範囲の処理19、および道路情報サーバ装置2における追加地図情報20を示している。
【0092】
図7のステップS20において、エンドユーザがナビゲーション装置1に対して、最短距離となる経路探索指示を行なう。
【0093】
ステップS21において、ナビゲーション装置1の制御部8は経路探索に必要な地図情報をナビゲーション装置1の記憶部4に要求する。
【0094】
ステップS22において、ナビゲーション装置1の制御部8は、ナビゲーション装置1の記憶部4から経路探索に必要な地図情報を抽出する。
【0095】
ステップS23において、ナビゲーション装置1の制御部8は、経路探索のために経路演算を行い、経路を算出する。
【0096】
ステップS24において、ステップS23において算出された経路をカーナビゲーション装置1における経路候補とする。
【0097】
ステップS25において、カーナビゲーション装置1は、道路情報サーバ装置2に対して、ステップS23において算出された経路とともに、最新の新設道路等の地図情報を問い合わせる。
【0098】
ステップ26において、道路情報サーバ装置2の制御部13は、新設道路に伴う更新有効範囲リストを道路情報サーバ装置2の記憶部10に要求する。
【0099】
ステップS27において、道路情報サーバ装置2の記憶部10から、新設道路に伴う更新有効範囲リストが道路情報サーバ装置2の制御部13に送られる。
【0100】
ステップS28において、道路情報サーバ装置2の制御部13は、ステップ23において経路探索された経路の全部または一部が新設道路に伴う更新有効範囲リストと重なるか否かを判断する。
【0101】
ステップS29において、経路探索データと更新有効範囲リストとで重なる部分がある場合には、道路情報サーバ装置2の制御部13は、更新有効範囲リストに対応する新設道路に関わる追加地図情報を、道路情報サーバ装置2の記憶部10に要求する。経路探索データと更新有効範囲リストとで重なる部分がない場合には、道路情報サーバ装置2の制御部13は、更新データがないことを送信して終了する。
【0102】
ステップS30において、更新有効範囲リストに対応する新設道路に関わる追加地図情報が、道路情報サーバ装置2の記憶部10から道路情報サーバ装置2の制御部13に送られる。
【0103】
ステップS31において、更新有効範囲リストに対応する新設道路に関わる追加地図情報が道路情報サーバ装置2からナビゲーション装置1に送られる。
【0104】
ステップS32において、更新有効範囲リストに対応する新設道路に関わる追加地図情報がナビゲーション装置1の記憶部4に更新記憶される。
【0105】
ステップS33において、ナビゲーション装置1は、更新された追加地図情報を含む地図情報に基づいて経路探索を開始する。
【0106】
ステップS34において、ナビゲーション装置1の制御部8は、ナビゲーション装置1の記憶部4に対して経路探索の計算に用いられる追加地図情報を含む地図情報を要求する。
【0107】
ステップS35において、ナビゲーション装置1の記憶部4から、経路探索の計算に用いられる追加地図情報を含む地図情報がナビゲーション装置1の制御部8に送られる。
【0108】
ステップS36において、ナビゲーション装置1の制御部8は、更新された追加地図情報を含む地図情報に基づいて経路探索をする。
【0109】
ステップS37において、ステップS36において行なわれた経路探索結果に基づいて、最短経路をナビゲーション装置1の表示部5に表示してエンドユーザに知らせる。
【0110】
次に図8について説明する。
【0111】
図8は、東京湾に設けられたアクアラインを新設道路情報として、本願の発明を適用した一実施例を示す図である。
【0112】
図8(a)は、アクアラインを新設道路情報として登録する前のナビゲーション装置1における経路探索結果を示している。出発点Sは川崎市で到着点Gは木更津市である。図8(a)における経路K3は、東京都内を通過し、千葉県の市川市、千葉市、市原市を経由して到着点Gである木更津市に到着する経路が示されている。この経路K3は東京湾に沿って移動体が移動するので、かなり遠回りになるため出発点Sである川崎市から到着点Gである木更津市に到達するまでにかなり多くの時間を要していた。
【0113】
一方図8(b)は、アクアライン(IC1からIC2に至る道路)を新設道路情報としての追加地図情報として従来の地図情報に追加して経路探索した結果と、アクアラインの関連領域R2である有効更新範囲を示した図である。
【0114】
IC1からIC2に移動体が移動する場合にアクアラインを使用しない場合(図8(a))と、アクアラインを使用する場合(図8(b))とでは、移動時間が大きく異なるので、アクアラインを使用して経路探索をすることが有効だと考えられる範囲はかなり広い範囲となる。従って、図8(b)に示される関連領域R2はアクアライン(IC1からIC2に至る道路)に沿ってかなり広範囲に設定されている様子が分かる。また、本実施形態に関わる出発点Sである川崎市から到着点Gである木更津市に至る経路探索の結果であるK3の一部が関連領域R2と重なっていることが示されている。
【0115】
K3の一部が関連領域R2と重なっている結果、新設道路であるアクアラインを道路情報サーバ装置2から追加地図情報として、ナビゲーション装置1の記憶部4に更新登録して、ナビゲーション装置1において出発点Sである川崎市から到着点Gである木更津市に至る経路探索を、再度実行する。その結果、経路K4が移動コストが最も小さい経路としてナビゲーション装置1の表示部5に表示された結果が図8(b)に表示されている図である。
【0116】
(変形例)
以上の実施形態においては、追加地図情報として新設道路が設けられる場合について述べてきた。しかし、実際には従来道路が閉鎖される場合など、従来道路の一部が地図情報から削除される場合もある。以下に、従来道路の一部が削除される場合(この場合の地図情報を、削除地図情報または追加地図情報(追加地図情報には、新設道路に係わる情報と削除道路に係わる情報とが含まれる。)と称する。)について各構成要素の動作について説明する。
【0117】
道路情報サーバ装置2の記憶部10に従来道路の一部が削除された情報が操作部12を介して入力される。
【0118】
道路情報サーバ装置2の制御部13は、削除された道路について更新有効範囲(関連領域)を設定する。更新有効範囲は、新設道路が設けられた場合の更新有効範囲と同様の手法によって求められる他、任意に設定することができる。
【0119】
道路情報サーバ装置2の制御部13は、ナビゲーション装置1から送信される経路情報の一部または全部が、削除された道路に係わる更新有効範囲と重なるか否かを判定する。
【0120】
ナビゲーション装置1から送信される経路情報の一部または全部が、削除された道路に係わる更新有効範囲と重なると道路情報サーバ装置2の制御部13が判断した場合には、制御部13は従来道路の一部が削除されている情報を送受信部11を介して、ナビゲーション装置1に対して送信する。
【0121】
ナビゲーション装置1は、送受信部9を介して従来道路の一部が削除されている情報を受信する。そして、ナビゲーション装置1の制御部8は、記憶部4に記憶されている地図情報を、受信した従来道路の一部が削除されている情報を基に更新する。更新された地図情報には、削除されるべき従来道路の一部の情報が削除されている。制御部8は更新された地図情報を記憶部4に記憶する。
【0122】
ナビゲーション装置1の制御部8は、更新された地図情報に基づいて、従来道路の一部が削除されている情報を受信する前に経路探索をした出発地点と目標地点について、再び経路探索をする。
【0123】
ナビゲーション装置1の制御部8は、通常、最も移動コストが小さくなるような経路を探索するように、経路探索をする。
【0124】
ナビゲーション装置1の制御部8は、再経路探索結果である経路情報を表示部5に表示する。
【0125】
従って、ナビゲーション装置1の表示部5には、経路K1は一度も表示されない。このようにして、常に削除された道路情報を考慮した最適な経路が、ナビゲーション装置1のユーザに提供されることになる。
【0126】
なお、図2乃至図7における動作手順および変形例に係わる動作手順を、ハードディスク等の記録媒体に予め記録しておき、或いはインターネット等のネットワークを介して予め記録しておき、これを汎用のマイクロコンピュータ等により読み出して実行することにより、当該汎用のマイクロコンピュータ等を実施形態に係わるCPUとして機能させることも可能である。
【0127】
以上述べてきたように本実施形態によれば、サーバに新規道路をメンテナンスする場合に、新設道路の影響エリアを設定することで、経路計算結果が影響エリアの範囲内であれば経路計算に影響がある道路として選別することができる。また、選別された道路だけをオブジェクト単位で更新することで、更新データ量も最小にすることができる。
【0128】
また、クライアント(ユーザおよびエンドユーザ等)が用いているナビゲーション装置において経路探索計算を行なった場合に、その結果を直ちに、表示部に表示するなどしてクライアントに知覚させずに、サーバ装置に経路探索計算結果を送信する。サーバ装置において、道路の更新情報が必要か否かの判定処理を行なった後に、道路の更新情報が必要であると判断された場合に、クライアントのナビゲーション装置に更新情報を送信する。更新情報を受け取ったナビゲーション装置は、更新情報に含まれる道路情報に基づいて、経路計算を再度実施して経路探索結果を表示部に表示し、または音声で案内する等してクライアントに知覚させることができる。
【0129】
従って、常に最新の地図データに基づいて、経路計算結果をクライアントは知ることができる。また、経路計算に影響度の大きい道路が更新されるので、次回以降の経路探索計算にも有効となる可能性が高くなるという効果を有する。
【0130】
また、本願によれば、更新結果を発揮する最小リンク・オブジェクトの更新だけで済むので、通信コストや通信トラフィックの不必要な増加を抑止することが可能となった。また、通信が不通になってしまった場合であっても、クライアントのナビゲーション装置において経路探索が可能であり、クライアントのナビゲーション装置においてトランザクションを残しておけば通信が可能になり次第、サーバ装置との間で再更新することも可能となる。
【0131】
また、新設道路を含まない地図情報に基づいて経路探索を行なった場合において、経路探索結果情報に新設道路の道路ノードが含まれない場合においても、新設道路の有効更新範囲が経路探索結果情報の経路の一部と重なれば、新設道路を含む追加地図情報が、道路情報サーバ装置2からナビゲーション装置1に送信されるという効果を有する。すなわち、基幹道路に接続されていない新設道路が更新されにくくなる状態がなくなるので、より効率的な新設道路を含む追加地図情報の更新を行なうことができるようになった。
【0132】
また、地図データの更新において、経路探索結果に影響を与える最小限の範囲について、ナビゲーション装置に対して更新地図データを追加することができる。また、更新すべき道路情報の選別や経路計算を効率的に処理することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】(a)は、本実施形態に係わるナビゲーション装置および道路情報サーバ装置(道路情報処理装置)を含む地図情報処理システムのシステム構成例である。(b)は、本実施形態に係わるナビゲーション装置の内部ブロック構成例である。(c)は、本実施形態に係わる道路情報サーバ装置の内部ブロック構成例である。
【図2】は、実施形態に係わる道路情報サーバ装置に記憶されている地図情報に追加地図情報が追加記憶される様子を示した図である。
【図3】は、実施形態に係わる追加地図情報における新設道路の更新対象領域の一例を示す図である。
【図4】は、実施形態に係わる追加地図情報における新設道路の更新対象領域の作成方法をあらわすフローチャートである。
【図5】は、実施形態に係わるナビゲーション装置において、地図情報を基づいて経路探索を行なった状態を示す図である。
【図6】は、実施形態に係わる道路情報サーバ装置において、地図情報と追加地図情報に基づいて、経路探索を行なった状態を示す図である。
【図7】は、本実施形態に係わるナビゲーション装置および道路情報サーバ装置(道路情報処理装置)を含む地図情報処理システムにおけるシステムシーケンスを示す図である。
【図8】は、本実施形態に関わる、地図情報処理システムを用いて経路探索を行なった一例を示す図である。
【符号の説明】
【0134】
1…ナビゲーション装置
2…道路情報サーバ装置
3…通信回線網
4、10…記憶部、記憶部
5…表示部
6、12…操作部
7…位置検出部
8、13…制御部
9、11…送受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図情報と追加地図情報とを記憶する記憶手段と、
ナビゲーション装置における経路探索情報を受信する受信手段と、
前記経路探索情報と前記追加地図情報に付属される情報との関係を判断する判断手段と、
前記判断手段による判断の結果、前記経路探索情報に影響を与える前記追加地図情報を選択する選択手段と、
前記ナビゲーション装置へ前記選択手段によって選択された前記追加地図情報を送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする地図情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の地図情報処理装置において、
前記地図情報処理装置は、
前記追加地図情報における新たな道路情報に関連する関連領域情報を前記地図情報に設定する設定手段を更に備え、
前記判断手段は、前記経路探索情報における経路情報と前記関連領域情報とに重複する部分があるか否かを判断し、前記選択手段は前記重複する部分を有する前記新たな道路情報に対応する前記追加地図情報を選択することを特徴とする地図情報処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の地図情報処理装置において、
前記地図情報処理装置は、
前記新たな道路情報における予め定められた位置間を移動体が移動する場合の移動コストを演算する移動コスト演算手段を更に備え、
前記関連領域情報は、前記移動コスト演算手段によって算出された移動コストに関連して設定されることを特徴とする地図情報処理装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の地図情報処理装置において、
前記地図情報処理装置は、
前記新たな道路情報における予め定められた位置間を前記地図情報に基づいて移動体が移動する場合の移動コストと、前記新たな道路情報における前記予め定められた位置間を移動体が前記追加地図情報に基づいて移動する場合の移動コストとを比較演算する比較演算手段を更に備え、
前記関連領域情報は、前記比較演算手段によって算出された移動コストに関連して設定されることを特徴とする地図情報処理装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の地図情報処理装置と、
経路探索を実行する経路探索手段と、
前記追加地図情報および前記経路探索手段による経路探索情報を送受信する送受信手段と、
前記送受信手段によって受信された前記追加地図情報を記憶する追加地図情報記憶手段と、
を備える前記ナビゲーション装置と、
を有することを特徴とする地図情報処理システム。
【請求項6】
請求項5に記載の地図情報処理システムにおいて、
前記ナビゲーション装置は、
前記経路探索手段によって検索された経路探索情報を表示する表示手段を備え、
前記表示手段は、前記送受信手段によって受信された前記追加地図情報を含む前記地図情報に基づいて、前記経路探索手段によって検索された経路探索情報を表示することを特徴とする地図情報処理システム。
【請求項7】
地図情報と追加地図情報とを記憶する記憶工程と、
ナビゲーション装置における経路探索情報を受信する受信工程と、
前記経路探索情報と前記追加地図情報に付属される情報との関係を判断する判断工程と、
前記判断工程における判断の結果、前記経路探索情報に影響を与える前記追加地図情報を選択する選択工程と、
前記ナビゲーション装置へ前記選択工程において選択された前記追加地図情報を送信する送信工程と、
を備えることを特徴とする地図情報処理装置の制御方法。
【請求項8】
地図情報処理装置に含まれるコンピュータを
地図情報と追加地図情報とを記憶する記憶手段、
ナビゲーション装置における経路探索情報を受信する受信手段、
前記経路探索情報と前記追加地図情報に付属される情報との関係を判断する判断手段、
前記判断手段による判断の結果、前記経路探索情報に影響を与える前記追加地図情報を選択する選択手段、
前記ナビゲーション装置へ前記選択手段によって選択された前記追加地図情報を送信する送信手段、
として機能させることを特徴とする地図情報処理装置の制御プログラム。
【請求項9】
請求項8に記載の地図情報処理装置の制御プログラムがコンピュータに読み取り可能に記録されていることを特徴とする記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−32644(P2008−32644A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−208769(P2006−208769)
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【出願人】(595105515)インクリメント・ピー株式会社 (197)
【Fターム(参考)】