説明

地図表示装置、その制御方法及びその制御プログラム

【課題】車両が交通規制情報を有する区域内にあると判定された場合に、この交通規制情報を有する区域全体を地図上において識別性の高い態様で表示させることで当該区域内への駐停車を抑止可能な地図表示装置、その制御方法及び制御プログラムを提供する。
【解決手段】駐停車禁止区域判定部32は、現在位置検出部31により検出した現在位置が、駐停車禁止区域内にあるか否かを判定する。駐車判定部33は、車両が実際に駐車しているか、あるいは駐車する意思があるかを判定する。表示制御部34は、駐停車禁止区域判定部32により現在位置が駐停車禁止区域内にあると判定された場合に、当該現在位置が存在する駐停車禁止区域を他の区域と識別可能な表示態様で表示案内部7に出力し、表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の現在位置が駐停車禁止情報等の交通規制情報を有する区域内にあるかを判断し、交通規制情報を有する区域内にあると判断された場合に、その区域の表示態様を変更することで地図上において容易に識別可能な地図表示装置、その制御方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の普及と情報処理技術の発達に伴い、車両などの移動体に搭載して道案内を行う車載用情報端末としてナビゲーション装置が急速に普及している。ナビゲーション装置は、予め用意された地図データを利用し、GPSなどで測位する自車の現在位置情報を周辺地図上に表示するだけでなく、指定される目的地への経路を算出し、画面表示や合成音声などで経路を案内するものである。
【0003】
ここで、一般的な経路誘導方法を説明すると、まず、地図上の道路、地名や建造物等を数値化して得られたデータベースを地図データとしてCD−ROM、DVD−ROM、HDD等の記憶媒体に予め記憶しておき、当該地図データを利用することでユーザが目的地を設定する。そして、ジャイロスコープや車速パルスを用いた自立航法と、GPSやFM多重を用いた電波航法の少なくとも一方を利用することにより車両の現在位置情報を推定し、当該地図データベース内の道路データに従って、この推定した現在位置から設定した目的地までの誘導路を探索計算する。これにより、算出した誘導路と現在位置とをマップマッチングしながら画面上に表示することで経路誘導を実現している。
【0004】
ここで、誘導経路を計算する上で目的地を設定する際、当該目的地近傍の駐車場を検索し、目的地として誘導する機能を備えたナビゲーション装置が提案されている。この装置を使用すれば、計算された誘導路の目的地に駐車場等の駐停車ができる場所がない場合であっても、ユーザがその事を予め知っているときには、目的地近傍の駐車場を検索する機能を実行することで、その駐車場まで経路探索し誘導案内することが可能である。
【0005】
また、このような予め目的地が駐車場等の駐停車できない場所にある場合に駐車場を検索可能なナビゲーション装置の他に、車両の駐車位置が駐車禁止区域内にあると判定された場合に、その旨をユーザに対して通知するナビゲーション装置が開発されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−243455号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記のような駐車場を検索する装置では、ユーザが目的地に駐車場がないと予めわかっている場合に、目的地の設定時において当該目的地近傍の駐車場を検索し、その駐車場まで経路探索するものである。そのため、ユーザが目的地に予め駐車場がないとわかっていない場合には、一般的なナビゲーション装置と同様に、経路探索する上で設定した目的地まで誘導案内される。
【0007】
つまり、設定した目的地に到着した際に駐車場がない場合には、ユーザは、その場で最寄りの駐車場を検索する等の操作が必要となる。このような操作はある程度の手間を要するため、運転中にあっては車両走行上の安全性に欠け、また目的地に駐車した際に当該操作を行う場合でも、その駐車した場所が警察庁が定める重点取締り区域、路上駐車を特に禁止したい場所、駐車禁止区域や停車禁止区域等の交通規制情報を有する区域内にあると、走行中の車両や周囲に迷惑がかかる他、法規的にも問題となる。
【0008】
また、特許文献1に記載のナビゲーション装置では、車両の駐車位置が駐停車禁止区域内にあると判定された場合にその旨をユーザに対して通知するのみである。このことから、当該文献1に記載のナビゲーション装置では、文字データや音声データにより「駐車位置が駐停車禁止区域内です」等を通知するだけで、その駐停車禁止区域の範囲や規模に関しての情報は通知することができない。そのため、ユーザは、駐車位置からどこまで走行すれば駐停車禁止区域を抜け出すことができるのか等の情報を取得することができないでいた。
【0009】
また、駐車位置に関して駐停車禁止区域内にあるか否かの判定を行っているため、車両が走行中の場合には判定されていない。仮に、走行中の車両が駐停車禁止区域内に位置する場合に上記にような「駐車位置が駐停車禁止区域内です」等の文字データが表示されると、運転上の安全面で問題にもなり得る。そのため、視覚的に認識し易い方法で駐停車禁止区域内にあるか否かの情報をユーザに対して通知可能なナビゲーション装置の開発が望まれていた。
【0010】
本発明は、上記課題を解消するために提案されたものであって、その目的は、車両が交通規制情報を有する区域内にあると判定された場合に、この交通規制情報を有する区域全体を地図上において容易に識別可能な態様で表示させることにより、当該区域内への駐停車を抑止可能な地図表示装置、その制御方法及び制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を本発明は以下のような手段により解決する。請求項1の発明は、地図データ及び交通規制を有する区域のデータが記憶された記憶部と、当該地図データを表示する表示部と、を備えた地図表示装置において、車両の現在位置を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された現在位置が、前記地図データ上の当該位置の座標に基づいて前記交通規制を有する区域内にあるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により前記現在位置が前記交通規制を有する区域内にあると判定された場合に、当該現在位置がある交通規制を有する区域の表示態様を変更し、前記表示部を介して表示させる表示制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項6の発明は、請求項1の発明を方法の観点から把握したものであって、地図データ及び交通規制を有する区域のデータが記憶された記憶部と、当該地図データを表示する表示部と、コンピュータと、を備えた地図表示装置の制御方法において、前記コンピュータは、車両の現在位置を検出する検出ステップと、前記検出ステップにより検出された現在位置が、前記地図データ上の当該位置の座標に基づいて前記交通規制を有する区域内にあるか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップにより前記現在位置が前記交通規制を有する区域内にあると判定された場合に、当該現在位置がある交通規制を有する区域の表示態様を変更し、前記表示部を介して表示させる表示制御ステップと、を実行することを特徴とする。
【0013】
請求項10の発明は、請求項1又は請求項6の発明をコンピュータプログラムの観点から把握したものであって、地図データ及び交通規制を有する区域のデータが記憶された記憶部と、当該地図データを表示する表示部と、コンピュータと、を備えた地図表示装置の制御プログラムにおいて、前記コンピュータに、車両の現在位置を検出する検出処理と、前記検出処理により検出された現在位置が、前記地図データ上の当該位置の座標に基づいて前記交通規制を有する区域内にあるか否かを判定する判定処理と、前記判定処理により前記現在位置が前記交通規制を有する区域内にあると判定された場合に、当該現在位置がある交通規制を有する区域の表示態様を変更し、前記表示部を介して表示させる表示制御処理と、を実行させることを特徴とする。
【0014】
以上のような態様では、車両が交通規制を有する区域内に侵入した場合に、この車両が存在する交通規制を有する区域の地図上における表示態様を変更させることができるので、当該区域の地図上における識別性を高め、交通規制区域への駐停車を防止することが可能となる。これにより、走行中の車両や周囲への迷惑も軽減させることができる。また、車両の現在位置が存在する交通規制区域全体の表示態様を変更するため、当該区域の範囲を明確に通知することが可能となり、ユーザは、どの程度の走行により当該区域を通過することができるかに関して、視覚的観点から判断することができる。
【0015】
請求項2の発明は、請求項1に記載の地図表示装置において、前記判定手段により前記現在位置が前記交通規制を有する区域内にあると判定された場合に、前記車両が駐車状態、あるいは駐車しようとする状態にあるか否かを判定する駐車判定手段を備え、前記表示制御手段は、前記駐車判定手段により前記車両が駐車状態、あるいは駐車しようとする状態にあると判定された場合に、前記現在位置がある交通規制を有する区域の表示態様を変更することを特徴とする。
【0016】
請求項7の発明は、請求項2の発明を方法の観点から把握したものであって、請求項6に記載の地図表示装置の制御方法において、前記コンピュータは、前記判定ステップにより前記現在位置が前記交通規制を有する区域内にあると判定された場合に、前記車両が駐車状態、あるいは駐車しようとする状態にあるか否かを判定する駐車判定ステップを実行し、前記表示制御ステップは、前記駐車判定ステップにより前記車両が駐車状態、あるいは駐車しようとする状態にあると判定された場合に、前記現在位置がある交通規制を有する区域の表示態様を変更することを特徴とする。
【0017】
請求項11の発明は、請求項2又は7の発明をコンピュータプログラムの観点から把握したものであって、請求項10に記載の地図表示装置の制御プログラムにおいて、前記制御プログラムは前記コンピュータに、前記判定処理により前記現在位置が前記交通規制を有する区域内にあると判定された場合に、前記車両が駐車状態、あるいは駐車しようとする状態にあるか否かを判定する駐車判定処理を実行させ、前記表示制御処理は、前記駐車判定処理により前記車両が駐車状態、あるいは駐車しようとする状態にあると判定された場合に、前記現在位置がある交通規制を有する区域の表示態様を変更することを特徴とする。
【0018】
以上のような態様では、駐車判定手段を設けることにより、車両が交通規制を有する区域に駐車した状態、あるいは駐車しようとする状態を検出することができるので、交通規制を有する区域内において駐車状態にある場合には、当該区域の表示態様を変更することで注意を促し、法規に違反する駐車を防止することが可能となる。
【0019】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の地図表示装置において、前記表示制御手段は、前記現在位置がある交通規制を有する区域の表示色を変更することを特徴とする。
【0020】
請求項8の発明は、請求項3の発明を方法の観点から把握したものであって、請求項6又は7に記載の地図表示装置の制御方法において、前記表示制御ステップは、前記現在位置がある交通規制を有する区域の表示色を変更することを特徴とする。
【0021】
請求項12の発明は、請求項3又は8の発明をコンピュータプログラムの観点から把握したものであって、請求項10又は11に記載の地図表示装置の制御プログラムにおいて、前記表示制御処理は、前記現在位置がある交通規制を有する区域の表示色を変更することを特徴とする。
【0022】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の地図表示装置において、前記表示制御手段は、前記現在位置がある交通規制を有する区域を点滅表示することを特徴とする。
【0023】
請求項9の発明は、請求項4の発明を方法の観点から把握したものであって、請求項6〜8のいずれか1項に記載の地図表示装置の制御方法において、前記表示制御ステップは、前記現在位置がある交通規制を有する区域を点滅表示することを特徴とする。
【0024】
請求項13の発明は、請求項4又は9の発明をコンピュータプログラムの観点から把握したものであって、請求項10〜12のいずれか1項に記載の地図表示装置の制御プログラムにおいて、前記表示制御処理は、前記現在位置がある交通規制を有する区域を点滅表示することを特徴とする。
【0025】
以上のような態様では、車両の現在位置が交通規制を有する区域内に存在する場合に、当該区域を示す表示態様として色彩変更や点滅表示を採用することができるので、視覚的に認識し易い態様によりユーザに対して交通規制情報を通知することが可能となる。これにより、現在位置が交通規制を有する区域内にあることを適格に伝達することが可能となり、法規に違反する駐停車の抑止を迅速に促すことが可能である。
【0026】
請求項5の発明は、請求項2〜4のいずれか1項に記載の地図表示装置において、前記表示制御手段は、前記判定手段により前記現在位置が前記交通規制を有する区域内にあると判定された場合に、当該現在位置がある交通規制を有する区域の色彩を変更し、前記駐車判定手段により前記車両が駐車状態、あるいは駐車しようとする状態にあると判定された場合に、前記現在位置がある交通規制を有する区域を点滅させることを特徴とする。
【0027】
以上のような態様では、車両の現在位置が交通規制を有する区域内にある場合に、その区域の地図上における色彩をまず変更し、さらに、当該区域内で自車が駐車状態あるいは駐車しようとする状態にある場合に、その区域を点滅表示させることができるので、例えば駐停車禁止区域等の交通規制を有する区域への駐車に対して、二重に表示態様を変更することでユーザへの警告度合いを高めることが可能となる。これにより、法規に違反する駐停車の防止を視覚的見地から一層強化することができる。
【発明の効果】
【0028】
以上のように、本発明によれば、車両の現在位置が駐停車禁止区域等の交通規制情報を有する区域内にある場合であっても、この交通規制情報を有する区域を識別性の高い表示態様で地図上に表示することによりユーザに対して容易に認識させることが可能な地図表示装置、その制御方法及び制御プログラムを提供することができる。そのため、法規的に駐停車が禁止された区域内における駐停車を防止することができ、走行中の車両や周囲への迷惑も軽減させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
次に、本発明を実施するための最良の実施形態について、図1〜10を参照して説明する。
【0030】
[1.本実施形態]
[1.1.構成]
本実施形態では、車両の現在位置が交通規制情報を有する区域(以下では、駐停車禁止区域を例に説明する)内にあるか否かを判断し、現在位置が駐停車禁止区域内にある場合にその区域の表示態様を変更する地図表示装置(以下「本装置」と呼ぶ)を説明するもので、その制御方法、制御プログラムとしても把握可能であり、当該本装置の構成を図1に示す。なお、経路案内機能を有する地図表示装置も本装置は包含する概念である。
【0031】
1は、交通情報としてVICS(Vehicle Information and Communication System)情報を取得する為のFM多重受信及び処理部、2は、VICS情報を取得する為のビーコン受信及び処理部である。
【0032】
3は、システム全体の制御を司るメインCPU(中央演算装置)及びその周辺回路であり、本装置各部の制御を含む情報処理を行う制御部である。4は、メインプログラムをロードする為のダイナミックRAM(DRAM)、5は、メイン電源オフの間も設定などメモリ内容を保持するためのバッテリーバックアップ付スタティックRAM(SRAM)、6は、起動時等に制御部3よりアクセスされるROMである。ここで、メインメモリMはDRAM4とSRAM5とROM6とから構成されている。
【0033】
7は、地図などの情報を描画、表示、及び音声出力する表示案内部で、液晶表示パネルなどの表示画面と、音声データを出力するスピーカを持つ。なお、表示案内部7では、表示部とスピーカを一体に構成しているが、別個独立に配設することも可能である。8は、表示案内部7用に設けられたビデオRAM(VRAM)である。
【0034】
9は、情報や操作の入力を受け付ける入力部で、タッチキーなどからの入力を検出する制御装置であるが、入力部の構成や種類は自由で、表示案内部7周囲の操作スイッチ類であるハードキーのほか、リモコンユニット、表示パネルと一体のタッチセンサなどを単独、又は自由に組み合わせて用いることが可能である。
【0035】
10は、I/O制御回路やドライバなどを使って表示案内部7や入力部9と制御部3を結ぶユーザインターフェース部である。11は、TV(各種のテレビジョン放送)を受信する為のTV受信及び処理部である。
【0036】
12は、車速パルスや駐車等の動作や状態を検出する車両情報取得部である。具体的には、車両から得られる車速パルスから車速を検出する車速センサ12a、車両に搭載されたハンドブレーキ、フットブレーキ等のパーキングブレーキに接続されるパーキングブレーキスイッチからの信号により当該パーキングブレーキのON・OFFを検知するパーキングブレーキセンサ12b、車両のエンジン電源のON・OFFを検知するエンジンセンサ12c、車両に搭載されたオートマチックトランスミッションのシフト状態を検知するミッションセンサ12d、車両に搭載されるハザード電源のON・OFFを検知するハザードセンサ12e、シートベルトの装着・非装着を検知するシートベルトセンサ12fにより構成されている。
【0037】
13は、記憶装置であり、HDD、DVD−ROM、CD−ROMなどのドライブを用いて、各種データベースを記憶しておく記憶部である。なお、この記憶部13、地図データベース(典型的には、経路探索用データベースや地図表示用データベース)はもちろんのこと、その他の検索データや地図関連データなども記録されている。
【0038】
この地図データベースは、上記の通り、経路探索用と地図表示用の2つからなり、経路探索用データベースは、経路探索に必要なデータ(ノード、リンク)で構成される。経路探索用データベースのリンクは、地図表示用の道路リンクと、地図IDとして共通のIDを持ち、相互に関連付けられている。一方、地図表示用データベースは、表示用として、詳細な道路形状情報(形状点列)、エリア形状情報等を含んでいる。
【0039】
また、この記憶部13には、駐停車禁止区域データベースが地図データベースとは別に作成されている。この駐停車禁止区域データベースには、N個の駐停車禁止区域情報が、図2のようなフォーマットで構成されている。
【0040】
図2の通り、各座標P0〜Pnを左回りに順に結んだベクトルからなる範囲(P1−P0、P2−P1、・・・Pn−P0)を駐停車禁止区域1とし、各座標P´0〜P´nを左回りに順に結んだベクトルからなる範囲(P´1−P´0、P´2−P´1、・・・P´n−P´0)を駐停車禁止区域2としている。
【0041】
なお、後述するが、車両の現在位置が駐停車禁止区域内にあるか否かを判定する場合、各座標を左回りに結んだ区域が凸多角形である必要があり、駐停車禁止区域が凹多角形である場合には、図3のように複数個の凸多角形に予め分解して格納しておく。ここで、凹多角形を凸多角形に分解する実際の工程は手動でも可能とする。
【0042】
また、凸多角形に分解された各区域は、もとは同じ駐停車禁止区域(図3の凹多角形)であるため、図2のように、分解された凸多角形毎にその前後の区域と同一区域であることを示す「前の区域と同一フラグ」、「次の区域と同一フラグ」が設定されている。すなわち、この「前の区域と同一フラグ」、「次の区域と同一フラグ」は、同じ駐停車禁止区域であった凹多角形を分解した際に、同一区域を分割したものであることを記憶しておくフラグである。
【0043】
なお、駐停車禁止区域データベースを地図データベースと別に格納しているのは、地図データベースと駐停車禁止区域データベースのそれぞれの更新が同時ではないため、仮に地図データベースが古く、駐停車禁止区域データベースのみが更新された場合であっても、最新の駐停車禁止区域データベースに書き換えることが望ましいからである。
【0044】
14は、測位技術(例えば、GPS、ジャイロスコープ、地磁気センサなど)により、現在位置、方位など自車の挙動に関する航法情報を得る測位部である。ここで、現在位置情報は、測位部14であるGPSを用いて取得した電波航法情報とジャイロスコープを通じて取得した自立航法情報により決定する。なお、電波航法情報としてFM多重受信及び処理部1から受信した情報を採用し、また自立航法情報として車両情報取得部12を通じて検出した車速度をもとに算出した情報を採用することも可能である。
【0045】
また、制御部3は、後述する機能・作用に対応する次のような処理手段(図1に示す31、32…)を有する。31は、車両の現在位置情報を測位部14や車両情報取得部12の車速センサ12aから逐次計算し検出する現在位置検出部である。
【0046】
32は、現在位置検出部31により検出した現在位置が、駐停車禁止区域内にあるか否かを判定する駐停車禁止区域判定部である。つまり、この駐停車禁止区域判定部32は、現在位置検出部31により車両の現在位置情報を検出すると、記憶部13から駐停車禁止区域データベースをメモリ上に読み出し、読み出された駐停車禁止区域内に、この現在位置が存在するかを判定する。
【0047】
現在位置が駐停車禁止区域内に属するかの具体的な判定処理は、図4のように、座標P0〜Pnを左回りに繋いだ駐停車禁止区域内に現在位置の座標が含まれるかにより判断される。実際には、現在位置の座標を(x,y)、駐停車禁止区域を構成する各座標をP0(x0,y0)、P1(x1,y1),P2(x2,y2)・・・Pn(xn,yn)とすると、例えば、P1−P0間と現在位置との関係を考えれば、P1とP0を結ぶベクトルと、現在位置とP0を結ぶベクトルとに基づいて、行列式を利用した下記の[数1]が成立することが現在位置が駐停車禁止区域内に属することの条件となる。
【0048】
[数1]
Det=(x1−x0)×(y−y0)−(x−x0)×(y1−y0)
Det≧0
【0049】
なお、上記では、P1−P0間のみでしか現在位置との関係を判定していないので、[数1]の計算をP2−P1、P3−P2、・・・P0−Pn間でも行い、すべての区間においてDet≧0である場合に現在位置が駐停車禁止区域内にあると判断される。Det>0である場合には、現在位置が駐停車禁止区域内に位置し、Det=0である場合には、駐停車禁止区域を構成する輪郭上に位置し、Det<0である場合には、駐停車禁止区域の範囲外となる。
【0050】
33は、車両が実際に駐車しているか、あるいは駐車する意思があるかを判定する駐車判定部であり、下記のような手段により車両が実際に駐車状態にあるか、あるいは駐車しようとする状態であるかを判断する。なお、下記の手段による判定は、車両の駐車状態又は駐車の意思を対象としているが、条件を調整することにより車両の停車状態又は停車の意思を対象とすることも可能であり、その場合は、当該駐車判定部は、車両が停車しているか、あるいは停車しようとしているかを判定する。
【0051】
車速度判定手段33aは、車両情報取得部12の車速センサ12aを通じて、車速が0km/hである状態を所定時間以上検出した場合に、車両が駐車(以下、停車を含むものとする)していると判定する。パーキングブレーキ判定手段33bは、車両情報取得部12のパーキングブレーキセンサ12bを通じて、パーキングブレーキスイッチのON状態を検出した場合に、車両が駐車していると判定する。
【0052】
エンジン判定手段33cは、車両情報取得部12のエンジンセンサ12cを通じて、車両のエンジン電源のOFF状態を検出した場合に、車両が駐車していると判定する。ミッション判定手段33dは、車両情報取得部12のミッションセンサ12dを通じて、車両に搭載されたオートマチックトランスミッションがパーキングレンジにシフトされた状態を検出した場合に、車両が駐車状態にあると判定する。
【0053】
また、このミッション判定手段33dは、ミッションセンサ12dを通じて、オートマチックトランスミッションの1,2,3速レンジやドライブレンジへのシフト(前進のためのシフト)と、リバースレンジへのシフト(後進のためのシフト)が繰り返しされていることを検出した場合に、車両を駐車する意思があるものと判定する。この他にも、駐車する意思を判定するものとしてハザード判定手段33eを備え、当該ハザード判定手段33eは、車両情報取得部12のハザードセンサ12eを通じて、車両に搭載されるハザード電源のON状態を検出した場合に、車両を駐車する意思があると判定する。
【0054】
また、シートベルト装着判定手段33fも備え、当該シートベルト装着判定手段33fは、車両情報取得部12のシートベルトセンサ12fを通じて、シートベルトの非装着状態を検出した場合に、車両を駐車する意思があるものと判定する。
【0055】
なお、駐車判定部33は、上記判定手段33a〜33fのいずれかにより車両の駐車、あるいは駐車する意思を判定した場合に、実際に車両が駐車状態にある、あるいは駐車しようとする状態にあるものと判定する。一方、当該駐車判定部33は、上記判定手段33a〜33fのうち、所定の判定手段が、車両の駐車、あるいは駐車する意思を判定した場合に、実際に車両が駐車状態にある、あるいは駐車しようとする状態にあると判定する実施形態も包含する。
【0056】
例えば、車速度判定手段33a、パーキングブレーキ判定手段33bとエンジン判定手段33cの3つの判定手段により、車両が駐車状態にあると判定された場合に、車両が実際に駐車していると判断する場合や、各判定手段33a〜33fすべてにおいて駐車状態にある、あるいは駐車する意思があると判定された場合のみ、車両が実際に駐車していると判断することも可能である。
【0057】
34は、駐停車禁止区域判定部32により車両の現在位置が駐停車禁止区域内にあると判定された場合に、当該現在位置が存在する駐停車禁止区域を地図上において識別性の高い表示態様に変更し、表示案内部7に出力する表示制御部である。
【0058】
この表示制御部34は、色彩調整部34aと点滅調整部34bを備え、色彩調整部34aは、駐停車禁止区域判定部32により車両の現在位置が駐停車禁止区域内にあると判定された場合に、当該現在位置が存在する駐停車禁止区域を地図上において容易に識別可能とするよう色彩を変更する(例えば、図5)。また、点滅調整部34bは、駐車判定部33により駐停車禁止区域内における車両の駐車が判定された場合に、その車両が存在する駐停車禁止区域を地図データ上で点滅させるよう制御する。
【0059】
なお、この表示制御部34は、上記のような表示態様に限定するものではなく、駐停車禁止判定部32により現在位置が駐停車禁止区域内にあると判定された場合に、「現在位置は駐停車禁止区域内に存在します」等の文字データを表示案内部7に出力する態様も包含する。
【0060】
35は、表示制御部34による表示だけでなく、駐停車禁止判定部32により現在位置が駐停車禁止区域内にあると判定された場合に、「現在位置は駐停車禁止区域内に存在します」等の音声データを表示案内部7に出力し、音声案内する音声制御部である。
【0061】
[1.2.作用]
次に、上記構成に基づく本実施形態の作用を図6〜9のフローチャートを参照して以下に説明する。図6では、検出した車両の現在位置が駐停車禁止区域内にあるかの判定に基づき、駐停車禁止区域内にあった場合に当該現在位置が存在する駐停車禁止区域の色彩を地図上において変更する全体フローを示している。
【0062】
図7〜9では、検出した車両の現在位置が駐停車禁止区域内にあるかの具体的な判定フロー、及び凸多角形に予め分解した所定の区域に現在位置が存在する場合において、凹多角形である駐停車禁止区域の認定フローを示している。また、図10では、車両が駐停車禁止区域内に駐車(停車を含む)されていると判定される場合に、その駐停車禁止区域の地図上における色彩を変更するだけでなく、点滅表示するよう制御する全体フローを示している。
【0063】
[1.2.1.色彩変更フロー(図6)]
まず、図6を参照して、車両の現在位置が駐停車禁止区域内にあるか否かの判定に基づき、その駐停車禁止区域の表示態様を変更する(色彩を変更する)処理手順を以下に説明する。
【0064】
図6の通り、車両情報取得部12や測位部14、そしてFM多重受信及び処理部1から取得した情報をもとに、現在位置検出部31を通じて車両の現在位置情報を検出する(STEP601)。そして、現在位置検出部31が車両の現在位置情報を検出すると、駐停車禁止区域判定部32は、記憶部13から駐停車禁止区域データベースをメモリ上に読み出し、読み出された駐停車禁止区域内に、この検出した現在位置が存在するかを判定する(STEP602)。
【0065】
駐停車禁止区域判定部32により、検出した現在位置が駐停車禁止区域内にあると判定された場合には(STEP602のYES)、当該現在位置が存在する駐停車禁止区域(ここでは、区域番号Aとする)と同一フラグを有する駐停車禁止区域が存在するか否かが判定される(STEP603、604)。具体的には、現在位置が存在する駐停車禁止区域Aと同じ駐停車禁止区域(分割される前の凹多角形の区域)であることを示す同一フラグを有する駐停車禁止区域が検索される。
【0066】
まず、区域番号Aから順に前の区域番号(A−1、A−2、・・・)の区域をたどり、区域番号Aの区域と同一フラグを有するかを判定することで、区域番号Aの区域と同じ駐停車禁止区域であることを示す区域のうち、最小の区域番号を取得する(STEP603)。また、区域番号Aから順に次の区域番号(A+1、A+2、・・・)の区域をたどり、区域番号Aの区域と同一のフラグを有するかを判定することで、区域番号Aの区域と同じ駐停車禁止区域であることを示す区域のうち、最大の区域番号を取得する(STEP604)。
【0067】
すなわち、上述したような、凸多角形の複数の区域に分解される前の凹多角形の駐停車禁止区域を、現在位置が存在する駐停車禁止区域(区域番号A)と同一のフラグを有する区域の最小の区域番号と最大の区域番号を取得することで検出している。
【0068】
そして、STEP603、604により、車両の現在位置が存在する区域番号Aの区域と同一のフラグを有する区域の最小の区域番号と最大の区域番号を取得し分解前の凹多角形の駐停車禁止区域を検出すると、表示制御部34は、この検出した駐停車禁止区域の色彩を変更し、地図上において容易に識別可能な態様で表示させる(STEP605)。なお、STEP602において、駐停車禁止区域判定部32により現在位置が駐停車禁止区域内に存在しないと判定された場合には(STEP602のNO)、表示制御部34を介した色彩変更処理は行われず、通常状態のままとなる。
【0069】
[1.2.2.駐停車禁止区域判定フロー(図7)]
次に、図7を参照して、車両の現在位置が駐停車禁止区域内にあるか否かを判断する駐停車禁止区域判定部32の具体的な判定処理を以下に説明する。つまり、上述した図6のフローチャート上のSTEP602における判定処理を詳述する。
【0070】
駐停車禁止区域判定部32は、まず、現在位置検出部31により車両の現在位置情報が検出されると、記憶部13から駐停車禁止区域データベースをメモリ上に読み出す(STEP701)。そして、N個の駐停車禁止区域から、上述した図4のように、検出した現在位置の座標を有する駐停車禁止区域が存在するか否かが判断される(STEP702〜705)。
【0071】
具体的には、読み出した駐停車禁止区域をN個取得し、任意の駐停車禁止区域番号Iの初期化状態(I=0)にする(STEP702)。そして、初期化状態(I=0)から区域番号N(I=N)まで順に、任意のI番目の区域に対して現在位置が存在するか否かが判定される(STEP704)。
【0072】
現在位置がI番目の駐停車禁止区域内にあると判定された場合には(STEP704のYES)、図6におけるSTEP602のYESとして、その区域(現在位置が存在する区域を区域番号Aとする)と同一のフラグを有する最小の区域番号が検索される(STEP603)。
【0073】
一方、現在位置がI番目の駐停車禁止区域内にないと判定された場合には(STEP704のNO)、駐停車禁止区域番号がN個になるまで判定処理が繰り返され、現在位置が各駐停車禁止内にあるか否かが判定される(STEP703〜705)。つまり、任意の区域番号Iが区域総数のN個より小さいか否かが随時判断され(STEP703)、N個よりも小さい場合に現在位置が駐停車禁止区域内にあるかを判定している(STEP704)。
【0074】
そして、任意の区域番号Iが区域総数のN個を上回る場合、すなわち、N個の駐停車禁止区域すべてにおいて現在位置が存在しないと判定された場合には(STEP703のNO)、図6におけるSTEP602のNOとして、本フローによる処理は終了する。
【0075】
[1.2.3.最小の区域番号取得フロー(図8)]
次に、図8を参照して、車両の現在位置が存在する駐停車禁止区域(区域番号A)と同一のフラグを有する区域の有無を検出し、区域番号Aの区域と同じ駐停車禁止区域であることを示す区域のうち最小の区域番号を取得する処理を以下に説明する。つまり、上述した図6のフローチャート上のSTEP603における判定処理を詳述する。
【0076】
まず、車両の現在位置が存在する駐停車禁止区域の区域番号Aを区域番号Iと置き(STEP801)、区域番号Iが0より大きいかが判断される(STEP802)。区域番号Iが0より大きい場合には(STEP802のYES)、この区域番号Iの区域について「前の区域と同一フラグ」を有するかが判断される(STEP803)。すなわち、I番目の区域と1つの前の番号の区域が、同じ駐停車禁止区域を示す同一のフラグを有するかが判断される。
【0077】
区域番号Iの区域に「前の区域と同一フラグ」が設定されている場合には(STEP803のYES)、I番目よりも1つ前の駐停車禁止区域(I=I−1番目)について、STEP802〜803までの処理が繰り返される(STEP804)。
【0078】
STEP803において、区域番号Iの区域は「前の区域と同一フラグ」を有しないと判断された場合には(STEP803のNO)、その区域番号Iを駐停車禁止区域を示す最小の区域番号として取得する(STEP805)。また、STEP802において、区域番号Iが0より大きくないと判断された場合には(STEP802のNO)、最小の区域番号として区域番号I=0を取得する(STEP806)。
【0079】
現在位置が存在する区域番号Aの駐停車禁止区域と同一フラグを有する駐停車禁止区域から最小の区域番号を取得すると(STEP805、806)、図8の最小区域番号取得処理は終了し、当該区域番号Aの区域と同一のフラグを有する駐停車禁止区域において、最大の区域番号の取得処理が行われる(STEP604)。
【0080】
[1.2.4.最大の区域番号取得フロー(図9)]
次に、図9を参照して、車両の現在位置が存在する駐停車禁止区域(区域番号A)と同一のフラグを有する区域の有無を検出し、区域番号Aの区域と同じ駐停車禁止区域であることを示す区域のうち最大の区域番号を取得する処理を以下に説明する。つまり、上述した図6のフローチャート上のSTEP604における判定処理を詳述する。
【0081】
まず、現在位置が存在する駐停車禁止区域の区域番号Aを区域番号Iと置き(STEP901)、区域番号Iが駐停車禁止区域の総数であるN個より小さいかが判断される(STEP902)。区域番号IがN個より小さい場合には(STEP902のYES)、この区域番号Iの区域について「次の区域と同一フラグ」を有するかが判断される(STEP903)。すなわち、I番目の区域と1つ次の番号の区域が、同じ駐停車禁止区域を示す同一のフラグを有するかが判断される。
【0082】
区域番号Iの区域に「次の区域と同一フラグ」が設定されている場合には(STEP903のYES)、I番目よりも1つ次の駐停車禁止区域(I=I+1番目)について、STEP902〜903までの処理が繰り返される(STEP904)。
【0083】
STEP903において、区域番号Iの区域は「次の区域と同一フラグ」を有しないと判断された場合には(STEP903のNO)、その区域番号Iを駐停車禁止区域を示す最大の区域番号として取得する(STEP905)。また、STEP902において、区域番号IがNより小さくないと判断された場合には(STEP902のNO)、最大の区域番号として区域番号I=Nを取得する(STEP906)。
【0084】
STEP905、906により、最大の区域番号を取得すると、図9の最大区域番号取得処理は終了し、図8のフローで取得した最小の区域番号とこの最大の区域番号とから構成される駐停車禁止区域の色彩を変更し、表示案内部7に出力することで地図上において識別性の高い態様で表示させる(STEP605)。
【0085】
[1.2.5.点滅表示フロー(図10)]
次に、図10を参照して、車両の現在位置が駐停車禁止区域内にあるか否かの判定に基づき、その駐停車禁止区域の表示態様を変更する(点滅表示させる)処理手順を以下に説明する。なお、図6のフローチャートのSTEP601〜604までは同じ処理がなされるので詳細な説明は省略する。
【0086】
図10の通り、図6のフローチャートと同様に、現在位置検出部31を通じて車両の現在位置情報を検出し(STEP1001)、駐停車禁止区域判定部32は、記憶部13から駐停車禁止区域データベースをメモリ上に読み出し、読み出された駐停車禁止区域内に、この検出した現在位置が存在するかを判定する(STEP1002)。検出した現在位置が駐停車禁止区域内にあると判定された場合には(STEP1002のYES)、当該現在位置が存在する駐停車禁止区域(ここでは、区域番号Aとする)と同一フラグを有する駐停車禁止区域の最小・最大の区域番号が検出される(STEP1003、1004)。
【0087】
一方、STEP1002において、駐停車禁止区域判定部32により現在位置が駐停車禁止区域内に存在しないと判定された場合には(STEP1002のNO)、表示制御部34を介した点滅表示処理は行われず、通常状態のままとなる。
【0088】
STEP1003、1004により、現在位置が存在する区域番号Aの区域と同一のフラグを有する区域の最小の区域番号と最大の区域番号を取得し分解前の凹多角形の駐停車禁止区域が検出されると、駐車判定部34は、ユーザの車両が駐車されているか、あるいは駐車する意思があるかを判定手段33a〜33fの判定結果に基づき判定する(STEP1005)。具体的に本フローでは、一例として、判定手段33a〜33fのいずれかで、車両の駐車、あるいは駐車の意思の存在を認識した場合に、車両が駐車状態にある、あるいは駐車しようとする状態にあると判定する。
【0089】
例えば、車速度判定手段33aでは、車両情報取得部12の車速センサ12aを通じて、車速が0km/hである状態を所定時間以上検出した場合に、車両が駐車していると判定する。また、パーキングブレーキ判定手段33bでは、車両情報取得部12のパーキングブレーキセンサ12bを通じて、パーキングブレーキスイッチのON状態を検出した場合に、車両が駐車していると判定する。
【0090】
エンジン判定手段33cでは、車両情報取得部12のエンジンセンサ12cを通じて、車両のエンジン電源がOFF状態を検出した場合に、車両が駐車していると判定する。ミッション判定手段33dでは、車両情報取得部12のミッションセンサ12dを通じて、車両に搭載されたオートマチックトランスミッションがパーキングレンジにシフトされた状態を検出した場合に、車両が駐車していると判定する。
【0091】
また、駐車の意思を判定する際は、ミッション判定手段33dでは、ミッションセンサ12dを通じて、オートマチックトランスミッションの1,2,3速レンジやドライブレンジへのシフトと、リバースレンジへのシフトが繰り返し行われていることを検出した場合に、車両を駐車する意思があると判定する。ハザード判定手段33eでは、車両情報取得部12のハザードセンサ12eを通じて、車両に搭載されるハザード電源のON状態を検出した場合に、車両を駐車する意思があると判定する。シートベルト装着判定手段33fでは、車両情報取得部12のシートベルトセンサ12fを通じて、シートベルトの非装着状態を検出した場合に、車両を駐車する意思があると判定する。
【0092】
STEP1005で駐車判定部33により、実際に車両が駐車状態にある、あるいは駐車しようとする状態にあると判定されると(STEP1005のYES)、本処理の特徴として表示制御部34の点滅調整部34bが、この検出した駐停車禁止区域を地図データ上において点滅表示するよう制御し、表示案内部7に出力することで点滅表示を実現する(STEP1006)。
【0093】
なお、表示制御部34では、図6の処理と同様に、色彩調整部34aにより当該駐停車禁止区域の色彩を変更した上で点滅表示させることも可能である(図11)。具体的には、図11の通り、STEP1105までは図6のフローチャートと同じ処理がなされ、STEP1103、1104により、車両の現在位置が存在する区域番号Aの区域と同一のフラグを有する区域の最小の区域番号と最大の区域番号を取得し分解前の凹多角形の駐停車禁止区域を検出すると、表示制御部34は、この検出した駐停車禁止区域の色彩を変更し、地図上において容易に識別可能な態様で表示させる(STEP1105)。
【0094】
その上で、駐車判定部34は、ユーザの車両が駐車されているか、あるいは駐車する意思があるかを判定手段33a〜33fの判定結果に基づき判定する(STEP1106)。駐車判定部33により、実際に車両が駐車状態にある、あるいは駐車しようとする状態にあると判定されると(STEP1106のYES)、本処理の特徴として表示制御部34の点滅調整部34bが、この検出した駐停車禁止区域を地図データ上において点滅表示するよう制御し、表示案内部7に出力することで点滅表示を実現する(STEP1107)。
【0095】
[2.他の実施形態]
なお、本発明は、上記のような車両の現在位置が存在する駐停車禁止区域の表示態様を変更する実施形態に加えて、当該現在位置近傍の駐車場を自動検索する駐車場検索部を備えた実施形態を包含する。具体的には、駐車場検索部は、駐停車禁止区域内を走行中、あるいは駐停車中の現在位置に対して最寄の駐車場や当該現在位置を基準として所定範囲内にある駐車場をすべて検索する機能を有している。
【0096】
また、本発明は、現在位置検出部31で検知した自車の現在位置情報と駐車場検索部により検索された現在位置近傍の駐車場の位置情報に基づいて、現在位置からこの駐車場までの経路候補を計算する経路計算部を備える実施形態も包含する。この経路計算部は、上記駐車判定部33により車両が駐車状態にある、あるいは車両を駐車する意思があると判定された場合に、検知した現在位置から駐車場検索部により検索された駐車場までの経路候補を自動的に計算する。
【0097】
さらに、上記実施形態では、表示制御部34の色彩調整部34a及び点滅表示部34bにより現在位置が存在する駐停車禁止区域の表示態様を変更しているが、本発明は、これに限定するものではなく、記憶部13に記憶された駐停車禁止区域すべての表示態様を地図上で識別容易なよう変更する実施形態も包含する。また、その上で現在位置が存在する駐停車禁止区域を他の駐停車禁止禁止区域と比較して見分けがつくように表示態様を変更する実施態様も表示制御部34は有している。
【0098】
例えば、表示制御部34の色彩調整部34aは、表示案内部7を介して表示される駐停車禁止区域全てに対して、地図上において識別性を有する色彩(例えば、赤色)に変更し、さらに、現在位置が存在する駐停車禁止区域を色彩が変更された全ての駐停車禁止区域と異なる色彩(例えば、黄色)に変更する。また、点滅調整部34bでは、点滅表示させる点滅ピッチを自由に調整することが可能であり、記憶部13から読み出す全ての駐停車禁止区域に対して点滅ピッチを一定にし、現在位置が存在する駐停車禁止区域に対しては、全ての駐停車禁止区域に対して設定された点滅ピッチと比較して速い又は遅い点滅ピッチとするよう制御する。
【0099】
また、表示制御部34は、色彩調整部34aや点滅調整部34bにより、駐停車禁止区域の地図表示おける色彩又は点滅ピッチの観点から表示態様を変更する上記実施形態に限定するものではなく、当該駐停車禁止区域に所定のマークを付す等の実施形態も包含する。この所定のマークは、駐停車禁止区域を地図上において識別可能であればどんな形状を有するものであってもよい。
【0100】
なお、上記実施形態では、交通規制情報を有する区域として駐停車禁止区域を例に説明しているが、本発明は、この駐停車禁止区域に限定するものではなく、現在位置が駐車場禁止区域又は停車禁止区域、あるいはその他の規制情報を有する区域内にあるか否かを判断する実施形態も包含する。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の実施形態の構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施形態における記憶部に記憶された駐停車禁止区域データベース例を示す図
【図3】本発明の実施形態における記憶部13に記憶された駐停車禁止区域が凹多角形であった場合の凸多角形への分解例を示す図
【図4】本発明の実施形態における駐停車禁止区域判定部の判定例を示す図
【図5】本発明の実施形態における表示制御部により表示態様が変更された駐停車禁止区域の表示例を示す図
【図6】本発明の実施形態の全体作用を示すフローチャート(色彩表示)
【図7】本発明の実施形態に係る駐停車禁止区域判定処理を示すフローチャート(1)
【図8】本発明の実施形態に係る駐停車禁止区域判定処理を示すフローチャート(2)
【図9】本発明の実施形態に係る駐停車禁止区域判定処理を示すフローチャート(3)
【図10】本発明の実施形態の全体作用を示すフローチャート(点滅表示)
【図11】本発明の実施形態の全体作用を示すフローチャート(色彩及び点滅表示)
【符号の説明】
【0102】
1…FM多重受信及び処理部
2…ビーコン受信及び処理部
3…制御部(メインCPU及びその周辺回路)
4…ダイナミックRAM(DRAM)
5…スタティックRAM(SRAM)
6…ROM
7…表示案内部
8…ビデオRAM(VRAM)
9…入力部(タッチキー制御装置)
10…ユーザインターフェース部
11…TV受信及び処理部
12…車両情報取得部
12a…車速センサ
12b…パーキングブレーキセンサ
12c…エンジンセンサ
12d…ミッションセンサ
12e…ハザードセンサ
12f…シートベルトセンサ
13…記憶部
14…測位部
31…現在位置検出部
32…駐停車禁止区域判定部
33……駐車判定部
33a…車速度判定手段
33b…パーキングブレーキ判定手段
33c…エンジン判定手段
33d…ミッション判定手段
33e…ハザード判定手段
33f…シートベルト装着判定手段
34…表示制御部
35…音声制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図データ及び交通規制を有する区域のデータが記憶された記憶部と、当該地図データを表示する表示部と、を備えた地図表示装置において、
車両の現在位置を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された現在位置が、前記地図データ上の当該位置の座標に基づいて前記交通規制を有する区域内にあるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記現在位置が前記交通規制を有する区域内にあると判定された場合に、当該現在位置がある交通規制を有する区域の表示態様を変更し、前記表示部を介して表示させる表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする地図表示装置。
【請求項2】
前記判定手段により前記現在位置が前記交通規制を有する区域内にあると判定された場合に、前記車両が駐車状態、あるいは駐車しようとする状態にあるか否かを判定する駐車判定手段を備え、
前記表示制御手段は、前記駐車判定手段により前記車両が駐車状態、あるいは駐車しようとする状態にあると判定された場合に、前記現在位置がある交通規制を有する区域の表示態様を変更することを特徴とする請求項1に記載の地図表示装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記現在位置がある交通規制を有する区域の表示色を変更することを特徴とする請求項1又は2に記載の地図表示装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記現在位置がある交通規制を有する区域を点滅表示することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の地図表示装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、
前記判定手段により前記現在位置が前記交通規制を有する区域内にあると判定された場合に、当該現在位置がある交通規制を有する区域の色彩を変更し、
前記駐車判定手段により前記車両が駐車状態、あるいは駐車しようとする状態にあると判定された場合に、前記現在位置がある交通規制を有する区域を点滅させることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の地図表示装置。
【請求項6】
地図データ及び交通規制を有する区域のデータが記憶された記憶部と、当該地図データを表示する表示部と、コンピュータと、を備えた地図表示装置の制御方法において、
前記コンピュータは、
車両の現在位置を検出する検出ステップと、
前記検出ステップにより検出された現在位置が、前記地図データ上の当該位置の座標に基づいて前記交通規制を有する区域内にあるか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにより前記現在位置が前記交通規制を有する区域内にあると判定された場合に、当該現在位置がある交通規制を有する区域の表示態様を変更し、前記表示部を介して表示させる表示制御ステップと、
を実行することを特徴とする地図表示装置の制御方法。
【請求項7】
前記コンピュータは、前記判定ステップにより前記現在位置が前記交通規制を有する区域内にあると判定された場合に、前記車両が駐車状態、あるいは駐車しようとする状態にあるか否かを判定する駐車判定ステップを実行し、
前記表示制御ステップは、前記駐車判定ステップにより前記車両が駐車状態、あるいは駐車しようとする状態にあると判定された場合に、前記現在位置がある交通規制を有する区域の表示態様を変更することを特徴とする請求項6に記載の地図表示装置の制御方法。
【請求項8】
前記表示制御ステップは、前記現在位置がある交通規制を有する区域の表示色を変更することを特徴とする請求項6又は7に記載の地図表示装置の制御方法。
【請求項9】
前記表示制御ステップは、前記現在位置がある交通規制を有する区域を点滅表示することを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の地図表示装置の制御方法。
【請求項10】
地図データ及び交通規制を有する区域のデータが記憶された記憶部と、当該地図データを表示する表示部と、コンピュータと、を備えた地図表示装置の制御プログラムにおいて、
前記コンピュータに、
車両の現在位置を検出する検出処理と、
前記検出処理により検出された現在位置が、前記地図データ上の当該位置の座標に基づいて前記交通規制を有する区域内にあるか否かを判定する判定処理と、
前記判定処理により前記現在位置が前記交通規制を有する区域内にあると判定された場合に、当該現在位置がある交通規制を有する区域の表示態様を変更し、前記表示部を介して表示させる表示制御処理と、
を実行させることを特徴とする地図表示装置の制御プログラム。
【請求項11】
前記制御プログラムは前記コンピュータに、前記判定処理により前記現在位置が前記交通規制を有する区域内にあると判定された場合に、前記車両が駐車状態、あるいは駐車しようとする状態にあるか否かを判定する駐車判定処理を実行させ、
前記表示制御処理は、前記駐車判定処理により前記車両が駐車状態、あるいは駐車しようとする状態にあると判定された場合に、前記現在位置がある交通規制を有する区域の表示態様を変更することを特徴とする請求項10に記載の地図表示装置の制御プログラム。
【請求項12】
前記表示制御処理は、前記現在位置がある交通規制を有する区域の表示色を変更することを特徴とする請求項10又は11に記載の地図表示装置の制御プログラム。
【請求項13】
前記表示制御処理は、前記現在位置がある交通規制を有する区域を点滅表示することを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載の地図表示装置の制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−121938(P2009−121938A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−296057(P2007−296057)
【出願日】平成19年11月14日(2007.11.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】