説明

基板処理装置および基板処理方法

【課題】基板の上面に供給されるガスにより基板を回転部材上に突設された支持部材に押圧して基板を回転部材に保持しながら回転させる基板処理装置および基板処理方法において、回転中の基板が所望の支持位置から大幅に移動してしまうのを防止する。
【解決手段】基板表面に供給される窒素ガスによって基板Wが所定の支持位置で各支持ピンFF1〜FF6,SS1〜SS6に押圧されてスピンベース13に保持される。そして、スピンベース13に基板Wが保持されながらスピンベース13とともに基板Wが回転する。複数個のガイド部材25が支持ピンFF1〜FF6,SS1〜SS6に対しスピンベース13の周縁側で回転中心A0を中心として放射状にスピンベース13に設けられている。このため、回転駆動される基板Wが支持位置から径方向にずれた場合であっても、ガイド部材25が基板端面に当接して基板Wの径方向の移動を規制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体ウエハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板等の基板に対して洗浄処理などの所定の処理を施す基板処理装置および基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の基板処理装置として、回転自在に設けられた円盤状の回転部材上に半導体ウエハ等の基板を支持し、基板を回転させながら洗浄処理などの所定の処理を施す基板処理装置がある。例えば特許文献1に記載の基板処理装置では、スピンベース(回転部材)の周縁部に少なくとも3個以上の支持部材が上方に向けて突設されている。これらの支持部材は基板の下面に当接することで基板をスピンベースから離間して支持する。また、基板の上方には遮断部材が対向して配置され、遮断部材と基板の上面との間に形成される空間にガスが供給されることで基板が支持部材に押圧されてスピンベースに保持される。そして、スピンベースが回転されると、支持部材に押圧された基板は支持部材と基板との間に発生する摩擦力で支持部材に支持されながらスピンベースとともに回転する。この装置では、このように基板をスピンベースに保持させながら回転させることで、基板の端面に接触して基板を保持する保持部材に起因して発生する不具合を防止している。
【0003】
【特許文献1】特開2006−32891号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来装置では、基板の上面に供給されるガスにより基板を回転部材上に突設された支持部材に押圧して回転部材に保持している。そして、上記のようにして基板を保持しつつ回転部材が回転することで基板を回転させている。このように従来装置では、基板上面側からのガスの押圧によって支持部材と基板との間の摩擦力を高めて基板の保持力を高めている。しかしながら、基板各部におけるこれらの応力バランスが崩れ、基板回転時に発生する遠心力により基板が回転中に径方向へと大きく移動してしまうことがある。そして、このように基板が所望の支持位置から大きくずれてしまうと、種々の問題、例えば基板搬送ロボットなどの搬送機構により基板をアンローディングすることができなくなってしまうことがある。また、基板の移動量がさらに大きくなると、基板が破損してしまう場合もある。
【0005】
この発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、基板の上面に供給されるガスにより基板を回転部材上に突設された支持部材に押圧して基板を回転部材に保持しながら回転させる基板処理装置および基板処理方法において、回転中の基板が所望の支持位置から大幅に移動してしまうのを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明にかかる基板処理装置は、基板を略水平姿勢で回転させながら基板に対して所定の処理を施す基板処理装置であって、上記目的を達成するため、鉛直軸回りに回転自在に設けられた回転部材と、回転部材を回転させる回転手段と、回転部材の周縁部に上方に向けて突設され、基板の下面に当接して該基板を略水平姿勢で、しかも水平方向において所定の支持位置で支持する複数の支持部材と、基板の上面にガスを供給することで基板を支持部材に押圧させて回転部材に保持させる押圧機構と、回転手段により回転駆動される基板が支持位置から径方向にずれた際に基板の端面に当接して基板の径方向の移動を規制するガイド機構とを備えたことを特徴としている。
【0007】
また、この発明にかかる基板処理方法は、上記目的を達成するため、回転部材の周縁部に上方に向けて突設された複数の支持部材を基板の下面に当接させることで基板を略水平姿勢で、しかも水平方向において所定の支持位置で支持しながら基板の上面にガスを供給することで基板を支持部材に押圧させて回転部材に保持させる保持工程と、回転部材に保持された基板を鉛直軸回りに回転させる回転工程とを備え、回転工程では、回転駆動される基板が支持位置から径方向にずれた際にガイド機構が基板の端面に当接して基板の径方向の移動を規制することを特徴としている。
【0008】
このように構成された発明(基板処理装置および基板処理方法)によれば、基板上面側からのガスによって基板は所定の支持位置で支持部材に押圧されて回転部材に保持される。そして、このように基板が保持されながら回転部材が回転することで基板が回転される。このとき、回転駆動される基板が支持位置から径方向にずれた場合であっても、ガイド機構が基板の端面に当接して基板の径方向の移動を規制する。したがって、回転中の基板が所望の支持位置から大幅に移動してしまうのを防止することができる。
【0009】
ここで、支持部材が3個以上設けられ、しかも各支持部材が基板の下面に当接して該基板を略水平姿勢で支持する支持部位を有する基板処理装置においては、ガイド機構は支持部材のうちの少なくとも3個以上に対応して設けられた3個以上の第1ガイドを有し、しかも各第1ガイドが支持部位に対し基板の周縁側で支持部材の先端部に取り付けられることで、基板の端面と第1ガイドとの間の距離を比較的小さく設定することができる。このため、回転駆動される基板が支持位置から径方向にずれた場合であっても、基板のずれ方向において基板に作用する力が増大する前に基板の移動を規制することができる。その結果、基板の移動を規制するために必要なガイド(第1ガイド)の物理的強度を低減し、ガイドを小さくすることができる。
【0010】
また、押圧機構が基板の上面に近接しながら対向配置された遮断部材を有し、遮断部材と基板の上面とに挟まれた空間にガスを供給することで基板を支持部材に押圧させる基板処理装置においては、鉛直軸方向における各第1ガイドの先端位置は支持部位に支持された基板の上面の高さ位置よりも低く構成するのが好ましい。この構成によれば、遮断部材と基板とが接触するのを回避しながら遮断部材と基板とを十分に近接させることできる。
【0011】
また、ガイド機構は複数の支持部材に対し回転部材の周縁側で回転部材に設けられた第2ガイドを複数個有するように構成してもよい。このように第2ガイドを支持部材と別個に設けることで、支持部材の小型化を図りながら、装置の処理性能を向上させることができる。すなわち、基板の近傍位置にガイドが存在しないことから、基板の近傍位置にガイドが存在する場合の不具合、例えば基板周囲の気流の乱れ、処理液の跳ね返り等を防止することができる。また、ガイド(第2ガイド)が支持部材と別個に設けられるので、ガイドの大きさを比較的自由に設定することができ、ガイドの物理的強度を高めることが容易となる。さらに、ガイド(第2ガイド)の取付け、交換作業を行う際に支持部材を取り外す必要がなくなる一方、支持部材の取付け、交換作業を行う際にガイドを取り外す必要がなくなる。このため、これらガイドおよび支持部材の取付け、交換作業を簡便にし、これらの作業に要する時間を大幅に削減することができる。
【0012】
また、各第2ガイドの先端部には回転部材の回転中心上方を臨むように傾斜面が形成され、傾斜面は該傾斜面上に基板の周縁部が上方より下降してきた際に基板を回転部材の回転中心側に案内しながら基板を支持部材に向けて落とし込むように構成してもよい。この構成によれば、傾斜面上に基板の周縁部が上方より下降してくると傾斜面によって基板が回転部材の回転中心側に案内されながら支持部材に向けて落とし込まれる。このため、例えば基板搬送ロボットなどの搬送機構により基板を搬送する際に基板の位置ずれが発生した場合であっても、基板を支持部材上に載置する際にそのような基板の位置ずれを第2ガイドにより補正しながら基板を支持部材に落とし込むことができる。
【0013】
また、3個以上の第2ガイドが回転部材の回転中心に向けて水平移動自在に回転部材に設けられた可動ガイドとなっており、しかも複数の可動ガイドが回転部材の回転中心回りに放射状に配置された基板処理装置においては、可動ガイドを水平移動させるガイド駆動機構と、回転部材の回転が停止している間に、ガイド駆動機構を制御することによって、基板の径方向移動を規制する規制位置から回転部材の回転中心に向けて複数の可動ガイドを相互に連動させながら移動させて基板の中心を回転部材の回転中心に一致させるガイド駆動制御手段とをさらに備えるように構成してもよい。この構成によれば、支持部材上に支持された基板の中心が回転部材の回転中心から径方向にずれている場合であっても、回転部材の回転が停止している間、複数の可動ガイドが相互に連動しながら基板の径方向移動を規制する規制位置から回転部材の回転中心に向けて移動することによって、基板の中心を回転部材の回転中心に一致させることができる。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、回転駆動される基板が支持位置から径方向にずれた場合であっても、ガイド機構が基板の端面に当接して基板の径方向の移動を規制するので、回転中の基板が所望の支持位置から大幅に移動してしまうのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
<第1実施形態>
図1はこの発明にかかる基板処理装置の第1実施形態を示す図である。また、図2は図1の基板処理装置の主要な制御構成を示すブロック図である。この基板処理装置は、半導体ウエハ等の略円形基板Wの表面Wfの周縁部TRおよび該表面周縁部TRに連なる基板Wの端面EF(以下、基板の表面周縁部および基板の端面を併せて「基板端部」という)からメタル層やフォトレジスト層などの薄膜をエッチング除去する装置である。具体的には、基板端部に対して薬液による薬液処理およびリンス液によるリンス処理を施して基板端部から薄膜をエッチング除去するとともに、基板裏面Wbに薬液およびリンス液を供給して裏面Wb全体を洗浄する装置である。以下、薬液およびリンス液を総称する場合は「処理液」という。なお、この実施形態では、基板表面Wfとはデバイスパターンが形成されるパターン形成面をいう。
【0016】
この基板処理装置は、基板表面Wfを上方に向けた状態で基板Wを略水平姿勢に保持しながら回転させるスピンチャック1と、基板Wの下面(裏面Wb)の中央部に向けて処理液を供給する下面処理ノズル15と、基板Wの表面周縁部TRに処理液を供給する周縁処理ノズル3と、基板Wの表面Wfに対向配置される遮断部材5とを備えている。
【0017】
スピンチャック1は、中空の回転支柱11がモータを含むチャック回転機構12の回転軸に連結されており、チャック回転機構12の駆動により鉛直軸回りに回転中心A0を中心として回転可能となっている。この回転支柱11の上端部には、スピンベース13が一体的にネジなどの締結部品によって連結されている。したがって、装置全体を制御する制御ユニット4からの動作指令に応じてチャック回転機構12を駆動させることによりスピンベース13が鉛直軸回りに回転する。このように、この実施形態では、チャック回転機構12が本発明の「回転手段」に、スピンベース13が本発明の「回転部材」に相当している。
【0018】
中空の回転支柱11には、処理液供給管14が挿通されており、その上端に下面処理ノズル15が結合されている。処理液供給管14は薬液供給ユニット16およびリンス液供給ユニット17と接続されており、薬液またはDIW(deionized water)などのリンス液が選択的に供給される。薬液としては、薄膜(不要物)のエッチングに適した薬液、例えばフッ酸、塩酸過水(塩酸+過酸化水素水)等が用いられる。また、回転支柱11の内壁面と処理液供給管14の外壁面の隙間は、円筒状のガス供給路19を形成している。このガス供給路19はガス供給ユニット18と接続されており、基板裏面Wbとスピンベース13の対向面との間に形成される空間に窒素ガスを供給することができる。なお、この実施形態では、ガス供給ユニット18から窒素ガスを供給しているが、空気や他の不活性ガスなどを吐出するように構成してもよい。
【0019】
図3はスピンベースを上方から見た平面図である。スピンベース13の中心部には開口が設けられている。また、スピンベース13の周縁部付近には複数個(この実施形態では12個)の支持ピンF1〜F6、S1〜S6が本発明の「支持部材」として昇降自在に設けられている。これら支持ピンF1〜F6、S1〜S6は、回転中心A0を中心として放射状にスピンベース13から上方に向けて突設されている。支持ピンF1〜F6、S1〜S6の各々は基板裏面Wbと当接することによって、スピンベース13から所定距離だけ上方に離間させた状態で基板Wを略水平姿勢で、しかも水平方向において所定の支持位置PSで支持可能となっている。これらのうち、周方向に沿って1つ置きに配置された6個の支持ピンF1〜F6は第1支持ピン群を構成し、これらは連動して基板Wを支持し、または基板裏面Wbから離間してその支持を解除するように動作する。一方で、残る6個の支持ピンS1〜S6は第2支持ピン群を構成し、これらは連動して基板Wを支持し、または基板裏面Wbから離間してその支持を解除するように動作する。なお、基板Wを水平に支持するためには、各支持ピン群が有する支持ピンの個数は少なくとも3個以上であればよいが、各支持ピン群が有する支持ピンの個数を6個とすることで安定して基板Wを支持できる。
【0020】
図4および図5は、スピンチャック1に関連する構成を説明するための断面図(図9のA−A’線断面)である。図4は支持ピンが上昇した状態を示し、図5は支持ピンが下降した状態を示す。また、図6はスピンベース内に備えられた動作伝達機構の構成を説明するための平面図である。図4および図5では、支持ピンF1〜F6が連動して昇降する様子のみが図示されているが、支持ピンS1〜S6も支持ピンF1〜F6と同様に連動して昇降可能となっている。
【0021】
スピンチャック1には、支持ピンF1〜F6を連動して昇降動作させるための第1動作伝達機構FT1と、支持ピンS1〜S6を連動して昇降動作させるための第2動作伝達機構FT2とが設けられている。第1動作伝達機構FT1は、図6(a)に示すように、支持ピンF1〜F6をそれぞれ作動させるための6つの上下アーム71と、これらの上下アーム71を連動して昇降させるための第1上下リング72とを備えている。上下アーム71の各々は、回転中心A0を中心として互いに等角度(60°)間隔で放射状に径方向に伸びるようにして、第1上下リング72にネジなどの締結部品によって連結されており、各上下アーム71の先端部には、支持ピンF1〜F6が立設される。同様に、第2動作伝達機構FT2は、図6(b)に示すように、支持ピンS1〜S6をそれぞれ作動させるための6つの上下アーム73と、これらの上下アーム73を連動して昇降させるための第2上下リング74とを備えている。上下アーム73の各々は、回転中心A0を中心として互いに等角度(60°)間隔で放射状に径方向に伸びるようにして、第2上下リング74にネジなどの締結部品によって連結されており、各上下アーム73の先端部には、支持ピンS1〜S6が立設される。
【0022】
第1上下リング72および第2上下リング74は、スピンベース13の回転中心A0に対して同心に配置されたほぼ円環状の部材であり、第2上下リング74は、その中央に設けられた開口部74aを大きくすることより、開口部74aに第1上下リング72の一部を包囲しながら、第1上下リング72の上方に配置されている(図4および図5)。これらの第1および第2上下リング72,74は、スピンベース13の回転軸に沿って昇降可能となっており、第1上下リング72を昇降させることによって、支持ピンF1〜F6を一体的に昇降させることができ、第2上下リング74を昇降させることによって、支持ピンS1〜S6を一体的に昇降させることができる。
【0023】
スピンベース13は、上板131と下板132とをボルトで固定して構成されており、上板131の周縁部には、支持ピンF1〜F6および支持ピンS1〜S6を昇降自在に配設するために貫通孔131aが形成されている。また、上板131と下板132との間に第1および第2動作伝達機構FT1,FT2を収容する収容空間が形成されている。上板131および下板132の中央部には、スピンベース13を貫通する貫通孔133が形成されている。この貫通孔133を通り、さらに、スピンチャック1の回転支柱11を挿通するように、処理液供給管14が配置されている。この処理液供給管14の上端には、スピンチャック1に保持された基板Wの下面中央に対向する下面処理ノズル15が固定されている。
【0024】
図7は、スピンベース13を背面から見たときの平面図である。第1および第2上下リング72,74はそれぞれ、第1および第2上下リング72,74を昇降させるための第1および第2連動リング75、76と係合している。第1および第2連動リング75、76は、回転中心A0に対して同心に配置された円環状の部材であり、第2連動リング76は、第1連動リング75よりも外側に配置されている。第1および第2連動リング75、76はそれぞれ、スピンベース13の下板132に形成された貫通孔134,135を介して下板132に対して上下方向に伸びるように形成され、それらの上方端が第1および第2上下リング72,74と係合している。これらの第1および第2連動リング75、76は、スピンベース13の回転軸に沿って昇降可能となっており、第1連動リング75を昇降させることによって、第1上下リング72を介して支持ピンF1〜F6を昇降させることができ、第2連動リング76を昇降させることによって、第2上下リング74を介して支持ピンS1〜S6を昇降させることができる。
【0025】
次に、図8を用いて支持ピンの構成について説明する。図8は図3のB−B’線断面図である。なお、支持ピンF1〜F6、S1〜S6はいずれも同一構成を有しているため、ここでは1つの支持ピンF1の構成について説明する。図8(a)に示すように、支持ピンF1は、上下アーム71の上に立設された可動本体部材101と、可動本体部材101上に設けられ基板Wの裏面周縁部と当接して基板Wを支持可能に構成されたヘッド部材102と、可動本体部材101を取り囲むようにスピンベース13の上板131に嵌挿されたベローズ103と、ベローズ103の上方に取り付けられ、その上面にヘッド部材102を載置可能に構成されたリング部材105とを備えている。
【0026】
可動本体部材101の頂部にはヘッド部材102を装着可能なネジ孔101aが形成されており、ネジ孔101aにヘッド部材102を嵌挿させることで可動本体部材101上にヘッド部材102を立設する。ヘッド部材102は、ネジ形状の部材であり、上部のネジ頭部(ネジ山)が支持部位102aとして基板裏面Wbに当接して基板Wを支持可能に構成されるとともに、下部のネジ部が可動本体部材101のネジ孔101aと螺合可能に構成されている。ベローズ103の上端部103aは、可動本体部材101の頂部(ネジ孔101aの周縁部)を覆うようにして可動本体部材101と係合することにより、可動本体部材101を保護するとともに、貫通孔131aからスピンベース13内部に処理液が侵入するのを防止している。ベローズ103は、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)より形成され、薬液等により基板Wを処理する際に、ステンレス鋼(SUS)またはアルミニウム等から形成される可動本体部材101を保護する。また、スピンベース13の上板131とベローズ103の端部材との間には、シール部材201が配設され、スピンベース13の内部空間を外部雰囲気から遮断している。
【0027】
リング部材105は、ヘッド部材102のネジ部の径に合わせて開口した円環状の部材であり、ベローズ103の上端部103aの上に載置され、ヘッド部材102が可動本体部材101のネジ孔101aにねじ込まれることで固定される。ヘッド部材102のネジ部とリング部材105との間にはシール部材104が配置され、ヘッド部材102とリング部材105との間から可動本体部材101のネジ孔101aに処理液が侵入するのを防止している。ヘッド部材102およびリング部材105は、耐薬性を考慮して、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)で形成されるのが好ましい。一方、耐薬性を考慮する必要がない場合には、ゴム系材質で形成するようにしてもよい。
【0028】
また、リング部材105は、基板端面EFに当接可能に仕上げられている。つまり、リング部材105は、支持部位102aに対して基板Wの周縁側にガイド部位105a(本発明の「第1ガイド」に相当)を有し、ガイド部位105aによって基板Wが支持位置PSから径方向にずれた際に、基板端面EFに当接して基板Wの径方向の移動を規制することが可能となっている。そして、このようなガイド部位105aが各支持ピンF1〜F6、S1〜S6の先端部に設けられることで、支持部位102aに支持された基板Wが径方向においてどのように移動したとしても基板端面EFがガイド部位105aに当接して、基板Wの径方向外側への飛び出しを防止することが可能となっている。このように、この実施形態では、リング部材105が本発明の「ガイド機構」として機能する。
【0029】
ガイド部位105aは、支持部位102aに支持された基板Wの端面EFと対向しながら該基板端面EFから所定の間隙を隔てるようにして設けられている(図8(b))。具体的には、各支持ピンF1〜F6、S1〜S6のガイド部位105aをそれぞれ結んで描かれる仮想円VC(図3参照)の直径が基板Wの直径に対して若干大きくなるように、ガイド部位105aが設けられている。したがって、支持ピンF1〜F6、S1〜S6により基板Wを支持位置PSで支持させるために、基板Wは径方向(水平方向)において仮想円VCの内側に配置される。この実施形態では、支持位置PSで支持された基板Wの端面EFとガイド部位105aとの間の距離Lは0.5mm程度に設定される。
【0030】
また、鉛直軸方向におけるガイド部位105aの先端位置は、支持部位102aによって支持された基板Wの上面の高さ位置WTよりも低くなるように設定されている。これにより、遮断部材5が基板Wの上面(表面Wf)に対向しながら配置される場合であっても、遮断部材5とガイド部位105aとが接触するのを回避しながら遮断部材5と基板Wとを十分に近接させることができる。
【0031】
支持ピンF1の下方には、圧縮コイルばね202をその伸縮方向を鉛直方向に沿って配置するとともに収容したばねケース203がスピンベース13の下板132に設置されている。これにより、支持ピンF1は、上下アーム71を介して上方に向かって付勢されており、その結果として、図4に示すように、支持ピンF1は支持部位102aが基板Wの下面に当接する当接位置PAに位置決めされる。なお、このような支持ピンF1の高さ位置はスピンベース13内部に固定配置されたストッパー204が可動本体部材101の下端のフランジ部101bに係合することによって支持ピンF1の上限位置が規定される。一方、図5に示すように、後述するようにして支持ピンF1が下降された場合には、ばねケース203の上端面203aがストッパーの役割を果たし、上下アーム71の下方端がばねケース203の上端面203aに係合することによって支持ピンF1の下限位置が規定される。
【0032】
図4および図5に戻って説明を続ける。回転支柱11はチャック回転機構12のモータの駆動軸と一体化しており、チャック回転機構12を貫通して設けられている。チャック回転機構12を包囲するようにケーシング21が配置されており、このケーシング21は、さらに、筒状のカバー部材22によって包囲されている。カバー部材22の上端はスピンベース13の下面近傍にまで及んでおり、その上端付近の内面にはシール機構23が配置されている。このシール機構23はスピンベース13の下面に固定されたシール部材24に摺接するようになっており、これにより、シール機構23と回転支柱11との間には、外部雰囲気から遮断された機構部収容空間MSが形成されている。
【0033】
図9は支持ピンを駆動するための駆動機構の構成を説明するための平面図である。機構部収容空間MS内において、ケーシング21の上蓋部21a上には、回転支柱11を取り囲むほぼ円環状のギヤケース61が取り付けられている。ギヤケース61上には、図9の平面図に示すように、第1モータM1および第2モータM2が、回転支柱11に対して対称な位置に固定されている。ギヤケース61の内部には、図4および図5に示されているように、その内壁面の内周側および外周側にそれぞれベアリング62,63が圧入されている。ベアリング62,63は回転支柱11に対して同軸に配置されている。内側のベアリング62の回転側リングには、回転支柱11を包囲するリング状の第1ギヤ64が固定されており、外側のベアリング63の回転側リングには回転支柱11を包囲するリング状の第2ギヤ65が固定されている。したがって、ギヤケース61内において、第1ギヤ64および第2ギヤ65は回転支柱11に対して同軸的に回転可能であり、第2ギヤ65は第1ギヤ64よりも外側に位置している。第1ギヤ64は、外周側にギヤ歯を有し、第2ギヤ65は、内周側にギヤ歯を有している。
【0034】
第1モータM1の駆動軸に固定されたピニオン66は、第1ギヤ64と第2ギヤ65との間に入り込み、内側に配置された第1ギヤ64に噛合している。同様に、図9に示されているとおり、第2モータM2の駆動軸に固定されたピニオン67は、第1ギヤ64と第2ギヤ65との間に位置し、外側に配置された第2ギヤ65に噛合している。ギヤケース61上にはさらに、モータM1,M2を回避した位置に、一対の第1ボールねじ機構81が回転支柱11を挟んで対向する位置(すなわち、回転支柱11の側方)に配置されている。さらに、ギヤケース61上には、モータM1,M2および第1ボールねじ機構81を回避した位置に、他の一対の第2ボールねじ機構82が、回転支柱11を挟んで対向するように位置(すなわち、回転支柱11の側方)に配置されている。
【0035】
第1ボールねじ機構81は、図4および図5に示されているように、回転支柱11と平行に配置されたねじ軸83と、このねじ軸83に螺合するボールナット84とを備えている。ねじ軸83は、ギヤケース61の上蓋部に軸受け部85を介して取り付けられており、その下端は、ギヤケース61の内部に及んでいる。このねじ軸83の下端には、ギヤ86が固定されており、このギヤ86は第1ギヤ64と第2ギヤ65との間に入り込み、内側に配置された第1ギヤ64に噛合している。
【0036】
一方、ボールナット84には第1非回転側可動部材88が取り付けられている。この第1非回転側可動部材88は、回転支柱11を取り囲む環状の部材であって、その内周面には、回転支柱11を取り囲むように設けられた第1ベアリング77の非回転側リング77fが固定されている。第1ベアリング77の回転側リング77rは非回転側リング77fよりも回転支柱11に対して内方側に配置されている。この回転側リング77rは、回転支柱11を取り囲む環状の第1回転側可動部材89の外周面側に固定されている。第1回転側可動部材89は、回転支柱11の外周面に突出して設けられた案内レール90に係合している。この案内レール90は、回転支柱11に平行な方向に沿って形成されており、これにより、第1回転側可動部材89は、回転支柱11に沿う方向に案内されて移動可能な状態で、回転支柱11に結合されている。
【0037】
第1モータM1を駆動してピニオン66を回転させると、この回転は第1ギヤ64に伝達される。これによって、第1ギヤ64に噛合しているギヤ86が回転して、第1ボールねじ機構81のねじ軸83が回転する。これによって、ボールナット84およびこれに結合された第1非回転側可動部材88が回転支柱11に沿って昇降することになる。回転支柱11とともに回転することになる第1回転側可動部材89は、第1ベアリング77を介して第1非回転側可動部材88に結合されているから、この第1非回転側可動部材88の昇降により、回転支柱11の回転中であっても、案内レール90に沿って昇降されることになる。
【0038】
第1ボールねじ機構81によって昇降されるリング状の第1非回転側可動部材88の外方には、別のリング状の第2非回転側可動部材91が配置されている。第2ボールねじ機構82は、上記第1ボールねじ機構81と同様な構成を有しているが、そのねじ軸の下端に設けられたギヤは、ギヤケース61内の第1ギヤ64と第2ギヤ65との間において、第2ギヤ65に内側から噛合している。したがって、同じく第2ギヤ65に噛合しているピニオン67を第2モータM2によって駆動すれば、第2ボールねじ機構82のボールナット(図示せず)が昇降することになる。このボールナットが、第2非回転側可動部材91に結合されている。
【0039】
第2非回転側可動部材91の外周面には、回転支柱11を取り囲むように設けられた第2ベアリング78の非回転側リング78fが固定されている。この第2ベアリング78の回転側リング78rは、回転支柱11を取り囲むリング状の第2回転側可動部材92の内周面に固定されている。第2回転側可動部材92の上面には、回転伝達ピン93が回転支柱11に沿う鉛直方向に2本、回転支柱11を挟んで回転支柱11を中心として略対称な位置に挿入されている(図7)。回転伝達ピン93は、スピンベース13の上板131および下板132を貫通するようにしてスピンベース13に固定されており、その下端が第2回転側可動部材92を昇降自在にしながら第2回転側可動部材92と係合している。そして、第2ボールねじ機構82のボールナットとともに第2非回転側可動部材91が昇降するとき、第2ベアリング78を介して結合された第2回転側可動部材92も同時に昇降する。第2回転側可動部材92は昇降可能な状態で回転伝達ピン93を介してスピンベース13に結合されているからスピンベース13とともに(すなわち回転支柱11とともに)回転されるが、この回転中であっても、第2ボールねじ機構82からの駆動力を得て、昇降が可能である。
【0040】
第1回転側可動部材89には、その上方側に鉛直方向に伸びて第1連動リング75と係合する上下駆動ピン891が4本設けられている。具体的には、第1連動リング75には、図7に示すように、上下駆動ピン891の各々に対応して上下駆動ピン891に係合可能な切欠部751が形成されており、各切欠部751に上下駆動ピン891が挿入されている。そして、図5に示すように、第1回転側可動部材89が下降されることで、上下駆動ピン891の肩部891aが第1連動リング75に係合して、つまり4本の上下駆動ピン891が第1連動リング75を下方に引き下げるようにして、第1連動リング75を降下させる。これにより、上下アーム71の下方に配置された圧縮コイルばね202の付勢力に抗して、第1連動リング75に係合する第1上下リング72および第1上下リング72に連結された上下アーム71を一体的に降下させて上下アーム71の各々に立設された支持ピンF1〜F6を降下させることができる。
【0041】
さらに、支持ピンS1〜S6の降下動作についても、支持ピンF1〜F6の降下動作とほぼ同様である。すなわち、第2連動リング76には、第2回転側可動部材92が有する上下駆動ピン(図示せず)の各々に対応して上下駆動ピンに係合可能な挿入孔761が形成されており、各挿入孔761に上下駆動ピンが挿入される。そして、第2回転側可動部材92が下降することで、上下駆動ピンが第2連動リング76に係合して、第2連動リング76を降下させる。これにより、上下アーム73の下方に配置された圧縮コイルばね202の付勢力に抗して、第2連動リング76に係合する第2上下リング74および第2上下リング74に連結された上下アーム73を一体的に降下させて上下アーム73の各々に立設された支持ピンS1〜S6を降下させることができる。
【0042】
したがって、制御ユニット4の動作指令に応じて第1および第2モータM1、M2を回転駆動させることで、支持ピンF1〜F6からなる第1支持ピン群と、支持ピンS1〜S6からなる第2支持ピン群とを同時に、または独立して昇降させることが可能となっている。これにより、次に示す3種類の態様で基板Wを支持することができる。すなわち、第1および第2モータM1、M2を駆動させない状態では、支持ピンF1〜F6、S1〜S6の全ての支持ピンが当接位置PAに位置して基板Wを第1支持ピン群と第2支持ピン群とで支持することができる。また、第1モータM1を駆動させることで支持ピンF1〜F6を降下させて該支持ピンF1〜F6を基板Wの下面から離間させ、支持ピンS1〜S6のみにより基板Wを支持することができる。その一方で、第2モータM2を駆動させることで支持ピンS1〜S6を降下させて該支持ピンS1〜S6を基板Wの下面から離間させ、支持ピンF1〜F6のみにより基板Wを支持することができる。
【0043】
図1に戻って説明を続ける。スピンチャック1の上方には、スピンベース13に対向して円盤状の遮断部材5が水平に配設されている。この遮断部材5は、スピンチャック1の回転支柱11と同軸上に配置された回転支軸51の下端部に一体回転可能に取り付けられている。この回転支軸51には、遮断部材回転機構52が連結されており、制御ユニット4からの動作指令に応じて遮断部材回転機構52のモータを駆動させることにより遮断部材5を鉛直軸回りに回転させる。制御ユニット4は、遮断部材回転機構52のモータをチャック回転機構12のモータと同期するように制御することで、スピンチャック1と同じ回転方向および同じ回転速度で遮断部材5を回転駆動させることができる。
【0044】
また、遮断部材5は、遮断部材昇降機構53と接続され、遮断部材昇降機構53の昇降駆動用アクチェータ(例えばエアシリンダーなど)を作動させることで、遮断部材5をスピンベース13に近接して対向させたり、逆に離間させることが可能となっている。具体的には、制御ユニット4は遮断部材昇降機構53を作動させることで、基板処理装置に対して基板Wを搬入出する際には、スピンチャック1の上方の離間位置に遮断部材5を上昇させる。その一方で、基板Wをスピンベース13から所定距離だけ上方に離間した基板処理位置(当接位置PAに位置決めされた支持ピンにより支持された基板Wの高さ位置)で該基板に対して洗浄処理を施す際には、スピンチャック1に保持された基板Wの表面Wfのごく近傍に設定された所定の対向位置(図1に示す位置)まで遮断部材5を下降させる。これにより、遮断部材5の下面(対向面501)と基板表面Wfとが近接した状態で離間して対向配置される。
【0045】
遮断部材5の中心の開口および回転支軸51の中空部は、ガス供給路54を形成している。このガス供給路54はガス供給ユニット18と接続されており、基板Wの上面(表面Wf)と遮断部材5の対向面501とに挟まれた間隙空間SPに窒素ガスを供給することができる。
【0046】
図10は遮断部材の底面図である。遮断部材5は、その下面(底面)が基板Wの上面(表面Wf)と略平行に対向する対向面501となっており、その平面サイズは基板Wの直径と同等以上の大きさに形成されている。このため遮断部材5が対向位置に配置されると基板Wの表面全体を覆って基板表面Wf上の雰囲気を外部雰囲気から遮断することが可能となっている。また、遮断部材5の周縁部には遮断部材5を上下方向(鉛直軸方向)に貫通する、略円筒状の内部空間を有するノズル挿入孔502が形成されており、周縁処理ノズル3が挿入可能となっている。このノズル挿入孔502はスピンチャック1に保持される基板Wの表面周縁部TRに対向する位置に形成されているため、周縁処理ノズル3をノズル挿入孔502に挿入させることで周縁処理ノズル3を表面周縁部TRに対向して配置させることができる。
【0047】
また、対向面501には複数のガス噴出口503が開口している。複数のガス噴出口503はスピンチャック1に保持される基板Wの表面中央部の非処理領域NTRに対向する位置に、回転中心A0を中心とする円周に沿って等角度間隔に形成されている。これらのガス噴出口503は、遮断部材5の内部のガス流通空間505に連通しており、ガス流通空間505に窒素ガスが供給されると、ガス噴出口503を介して窒素ガスが間隙空間SPに供給される。そして、この間隙空間SPに窒素ガスが供給されることで間隙空間SPの内部圧力を高めて基板Wをその下面に当接する支持ピン(支持ピンF1〜F6および/または支持ピンS1〜S6)に押圧させることができる。これによって、支持ピンに押圧された基板Wは、チャック回転機構12がスピンベース13を回転させることで基板Wの下面と支持ピンとの間に発生する摩擦力によって支持ピンに支持されながらスピンベース13とともに回転する。なお、供給された窒素ガスは間隙空間SPを基板Wの中心付近から径方向外側へと流れていく。このように、この実施形態では、遮断部材5およびガス供給ユニット18が本発明の「押圧機構」として機能する。
【0048】
図1に戻って説明を続ける。周縁処理ノズル3は水平方向に延びるノズルアーム31の一方端に取り付けられている。また、ノズルアーム31の他方端はノズル移動機構33に接続されている。ノズル移動機構33は周縁処理ノズル3を水平方向に所定の回動軸回りに揺動させるとともに、周縁処理ノズル3を昇降させることができる。このため、制御ユニット4からの動作指令に応じてノズル移動機構33が駆動されることで、周縁処理ノズル3を遮断部材5のノズル挿入孔502に挿入して表面周縁部TRに薬液またはDIWを供給可能な供給位置P1(図1の実線で示す位置)と、基板Wから離れた待機位置P2(図1の破線で示す位置)とに移動させることができる。
【0049】
周縁処理ノズル3は薬液供給ユニット16およびリンス液供給ユニット17と接続されており、制御ユニット4からの動作指令に応じて薬液供給ユニット16またはリンス液供給ユニット17から薬液またはリンス液が周縁処理ノズル3に選択的に供給される。このため、周縁処理ノズル3から回転駆動される基板Wの表面周縁部TRに薬液が供給されると、該薬液は基板Wの径方向外側に向かって流れ、表面周縁部TRに連なる基板端面EFを伝って基板外に排出される。これにより、基板端面EFおよび該端面EFから内側に向かって一定の幅の表面領域(表面周縁部TR)、つまり基板端部がエッチングされ、基板端部に形成された薄膜が基板Wから除去される。また、周縁処理ノズル3から回転駆動される基板Wの表面周縁部TRにリンス液が供給されると、該リンス液は基板Wの径方向外側に向かって流れ、表面周縁部TRに連なる基板端面EFを伝って基板外に排出される。したがって、基板端部に残留する薬液成分を洗い流し、基板Wから除去することができる。
【0050】
また、遮断部材5のノズル挿入孔502の内壁には、ガス導入口504が開口されており、ガス導入口504からノズル挿入孔502の内部空間に窒素ガスを供給することが可能となっている。ガス導入口504は遮断部材5の内部に形成されたガス流通空間505を介してガス供給ユニット18に連通している。したがって、制御ユニット4からの動作指令に応じてガス供給ユニット18から窒素ガスが圧送されると、ノズル挿入孔502の内部空間に窒素ガスが供給され、周縁処理ノズル3が待機位置P2に移動された状態、すなわち、周縁処理ノズル3がノズル挿入孔502に未挿入の状態では、ノズル挿入孔502の上下双方の開口から窒素ガスが噴出される。このため、ノズル挿入孔502にノズルが未挿入の状態でも、ノズル挿入孔502の内壁に処理液が付着するのが防止される。
【0051】
次に、上記のように構成された基板処理装置の動作について図11を参照しつつ説明する。図11は図1の基板処理装置の動作を示すフローチャートである。この装置では、未処理の基板Wが装置内に搬入されると、制御ユニット4が装置各部を制御して基板Wに対してベベルエッチング処理、裏面洗浄処理および乾燥処理を実行する。ここで、例えば基板表面Wfには薄膜が形成されることがある。そこで、この実施形態では、基板表面Wfを上方に向けた状態で基板搬送ロボットなどの搬送機構により基板Wが装置内に搬入される(ステップS1)。なお、遮断部材5は離間位置にあり、基板Wとの干渉を防止している。
【0052】
未処理の基板Wが所定の支持位置PSで支持ピンF1〜F6,S1〜S6に載置されると、制御ユニット4は離間位置に位置する遮断部材5のガス噴出口503から窒素ガスを吐出させるとともに、ガス供給路54から窒素ガスを吐出させる(ステップS2)。次に、遮断部材5を回転させて、ノズル挿入孔502が所定位置となるように遮断部材5を回転方向に関して位置調整する(ステップS3)。具体的には、周縁処理ノズル3が供給位置P1に移動された際に、ノズル挿入孔502に挿入されるように遮断部材5を回転させる。その後、遮断部材5が対向位置まで降下され基板表面Wfに近接配置される(ステップS4)。ここで、鉛直軸方向における各支持ピンのガイド部位105aの先端位置は、基板Wの上面の高さ位置WTよりも低い位置にあるので、遮断部材5と基板Wとを十分に近接させることができる。これによって、間隙空間SPの内部圧力が高められ、基板Wはその下面(裏面Wb)に当接する支持ピンF1〜F6,S1〜S6に押圧されてスピンベース13に保持される。また、基板表面Wfは遮断部材5の下面501に覆われて、基板周囲の外部雰囲気から確実に遮断される。なお、上記のように基板Wはすべての支持ピンF1〜F6,S1〜S6で支持してもよいし、支持ピンF1〜F6からなる第1支持ピン群のみにより支持してもよく、あるいは支持ピンS1〜S6からなる第2支持ピン群のみにより支持してもよい。
【0053】
次に、制御ユニット4は遮断部材5を停止させた状態で基板Wを回転させる(ステップS5)。このとき、支持ピンF1〜F6,S1〜S6に押圧された基板Wは支持ピンF1〜F6,S1〜S6と基板裏面Wbとの間に発生する摩擦力でスピンベース13に保持されながらスピンベース13とともに回転する。また、基板Wはガイド部位105aによって径方向の移動が規制された状態となっている。このため、基板Wが支持位置PSから径方向にずれた場合であっても基板端面EFがガイド部位105aに当接して、基板Wの径方向外側への飛び出しが防止される。
【0054】
続いて、周縁処理ノズル3が待機位置P2から供給位置P1に位置決めされ(ステップS6)、ベベルエッチング処理(エッチング処理+リンス処理)が実行される(ステップS7)。具体的には、周縁処理ノズル3が水平方向に沿って遮断部材5のノズル挿入孔502の上方位置に移動された後、降下されノズル挿入孔502に挿入される。そして、薬液供給ユニット16から薬液が周縁処理ノズル3に圧送されて、回転する基板Wの表面周縁部TRに向けて周縁処理ノズル3から薬液が吐出される。その結果、表面周縁部TRに供給された薬液が基板Wの径方向外側に向かって流れ、基板端面EFを伝って基板外に排出される。これにより、基板端部がエッチングされ、基板端部から不要物が全周にわたって除去される。表面周縁部TRに対するエッチング処理が終了すると、薬液に代えてリンス液が周縁処理ノズル3に圧送され、表面周縁部TRにリンス液が供給される。これにより、基板端部に付着している薬液がリンス液によって洗い流される。こうして、ベベルエッチング処理が終了すると、制御ユニット4は周縁処理ノズル3へのリンス液の圧送を停止して、周縁処理ノズル3を待機位置P2に位置決めする(ステップS8)。
【0055】
続いて、スピンベース13の回転数とほぼ同一の回転数で同一方向に遮断部材5を回転させる(ステップS9)。その後、下面処理ノズル15から回転する基板Wの裏面Wbに処理液が供給され、基板裏面Wbに対して裏面洗浄処理が実行される(ステップS10)。具体的には、下面処理ノズル15から基板裏面Wbの中央部に向けて処理液として薬液とリンス液とが順次供給されることにより、裏面全体と裏面Wbに連なる基板端面EFが洗浄される。ここで、洗浄処理中に支持ピンF1〜F6,S1〜S6を基板裏面Wbから少なくとも1回以上、離間させることで支持ピンF1〜F6,S1〜S6と基板裏面Wbの当接部分にも処理液を回り込ませて当該部分を洗浄できる。例えば、洗浄処理途中に、支持ピンF1〜F6からなる第1支持ピン群と支持ピンS1〜S6からなる第2支持ピン群との両方の支持ピン群により基板Wを支持した状態から第1支持ピン群のみにより基板Wを支持した状態に切り換え、基板Wと第2支持ピン群との間の当接部分に処理液を回り込ませる。その後、両方の支持ピン群により基板Wを支持した状態に移行させた後に、第2支持ピン群のみにより基板Wを支持した状態に切り換え、基板Wと第1支持ピン群との間の当接部分に処理液を回り込ませる。これにより、基板Wと支持ピンF1〜F6,S1〜S6との間の当接部分のすべてに処理液を回り込ませて裏面全体の洗浄処理を行うことができる。
【0056】
裏面洗浄処理が完了すると、基板Wおよび遮断部材5を高速回転させる。これにより、基板Wの乾燥が実行される(ステップS11)。このとき、回転速度の増大により基板Wに作用する遠心力が増大するため、基板Wが径方向に移動する可能性がさらに高まる。しかしながら、ガイド部位105aが基板Wの径方向への移動を確実に規制することにより、基板Wの破損などを未然に防止することができる。また、基板Wの乾燥の際、基板表面Wfへの窒素ガス供給と併せてガス供給路19からも窒素ガスを供給して基板Wの表裏面に窒素ガスを供給することで、基板Wの乾燥処理が促進される。
【0057】
基板Wの乾燥処理が終了すると、遮断部材5の回転を停止させるとともに基板Wの回転を停止させる(ステップS12)。そして、遮断部材5が上昇された後(ステップS13)、ガス供給路54およびガス噴出口503からの窒素ガスの供給を停止する(ステップS14)。これにより、基板Wの支持ピンF1〜F6,S1〜S6への押圧保持が解除される。その後、処理済の基板Wが装置から搬出される(ステップS15)。
【0058】
以上のように、この実施形態によれば、回転駆動される基板Wが所定の支持位置PSから径方向にずれた場合であっても、ガイド部位105aが基板端面EFに当接して基板Wの径方向の移動を規制する。したがって、回転中の基板Wが所望の支持位置から大幅に移動してしまうのを防止することができる。
【0059】
また、この実施形態によれば、ガイド部位105aが支持部位102aに対し基板の周縁側で支持ピンF1〜F6,S1〜S6の先端部に取り付けているので、基板端面EFとガイド部位105aとの間の距離を比較的小さく設定することが可能となっている。このため、回転駆動される基板Wが支持位置PSから径方向にずれた場合であっても、基板Wのずれ方向において基板Wに作用する力が増大する前に基板Wの移動を規制することができる。その結果、基板Wの移動を規制するために必要なガイド(ガイド部位105a)の物理的強度を低減し、ガイドを小さくすることができる。
【0060】
<第2実施形態>
図12はこの発明の第2実施形態にかかる基板処理装置に装備されたスピンベースを上方から見た平面図である。また、図13は図12のC−C’線断面図である。この第2実施形態にかかる基板処理装置が第1実施形態と大きく相違する点は、基板Wの径方向の移動を規制するためのガイドが支持ピンと別個に設けられている点である。なお、その他の構成および動作は基本的に第1実施形態と同様であるため、ここでは相違点を中心に説明する。
【0061】
この実施形態では、第1支持ピン群を構成する支持ピンFF1〜FF6および第2支持ピン群を構成するSS1〜SS6の各々の先端部には基板Wの径方向の移動を規制するためのガイド部位が設けられていない。すなわち、ベローズ103とヘッド部材102との間に介装されるリング部材106は、支持部位102aにより支持された基板Wの端面EFと対向する部位を有していない。
【0062】
その一方で、基板Wの径方向の移動を規制するために、本発明の「第2ガイド」として複数個(この実施形態では3個)のガイド部材25が支持ピンFF1〜FF6,SS1〜SS6に対しスピンベース13の周縁側でスピンベース13に設けられている。図12に示すように、3個のガイド部材25は回転中心A0を中心として放射状に等角度間隔でスピンベース13から上方に向けて突設されている。ガイド部材25は鉛直軸方向に延びる円柱状に形成されており、下部のネジ部がスピンベース13(上板131)の上面周縁部に形成されたネジ孔131bと螺合可能に構成されている。したがって、ガイド部材25をスピンベース13にねじ込むことでガイド部材25をスピンベース13に固定することができる。スピンベース13に固定されたガイド部材25の先端位置は、当接位置PAに位置決めされた支持ピンFF1〜FF6,SS1〜SS6の支持部位102aの先端位置よりも鉛直軸方向において高くなるように設定されている。この構成により、基板Wが支持位置PSから径方向にずれた際に、ガイド部材25が基板端面EFに当接して基板Wの径方向の移動を規制することが可能となっている。このように、この実施形態では、ガイド部材25が本発明の「ガイド機構」として機能する。
【0063】
この実施形態によれば、ガイド部材25を支持ピンFF1〜FF6,SS1〜SS6と別個に設けているので、支持ピンの小型化を図りながら装置の処理性能を向上させることができる。具体的には、基板Wの近傍位置にガイドが存在しないことから、基板Wの近傍位置にガイドが存在する場合の不具合、例えば基板周囲の気流の乱れ、処理液の跳ね返り等を防止することができる。
【0064】
また、この実施形態によれば、第1実施形態のようにガイド部位105aを有する部材(リング部材105)を、支持部位102aを有するヘッド部材102を用いて固定した場合における、次のような課題を解決することができる。すなわち、リング部材105をヘッド部材102を用いて固定した場合には、ガイド部位105aの鉛直軸方向および径方向における位置を調整したり、リング部材105の交換を行う際に、ヘッド部材102を取り外す必要がある。このため、支持部位102aの鉛直軸方向における高さ位置や遮断部材5の鉛直軸方向における下限位置などまでも調整する必要があり、これらの調整に多くの時間を要するといった課題があった(課題(i))。
【0065】
また、ガイド部位105aが支持ピンの先端部に設けられると、支持部位102aとガイド部位105aとの間の距離が非常に近くなってしまう。このため、基板搬送ロボットなどの搬送機構により基板Wを搬送する際に基板Wの位置ずれが発生すると、ガイド部位105a上に基板Wが載置されてしまうことがあり、この場合には基板Wが破損するおそれがある。そこで、支持部位102aとガイド部位105aとを支持ピンの先端部に設けた場合には、基板Wの搬送精度を高めるために搬送速度を遅くする必要があり、装置のスループットを低下させる要因のひとつとなっていた(課題(ii))。そこで、支持位置PSで支持された基板Wの端面EFとガイド部位105aとの間の距離L(図8(b))が大きくなるように、ガイド部位105aを支持部位102aから離間させながら支持ピンの先端部に設けることも考えられる。しかしながら、この場合には、回転駆動される基板Wが支持位置PSから径方向にずれた場合に、基板Wのずれ方向において基板Wに作用する力が増大してしまい、ガイド部位105aが倒れてしまう等の新たな問題が発生してしまう。
【0066】
さらに、回転駆動する基板Wの径方向への移動(支持位置PSからの位置ずれ)を検出することが必要な場合があるが、基板端面EFとガイドとの間の距離Lが小さいと、支持位置PSからの位置ずれを検出することが困難となってしまう。具体的には、例えば図14に示すように基板Wの周縁に配置されたセンサ41を用いて基板Wの端面位置を検出することによって基板Wの位置ずれを検出することができる。センサ41はスピンベース13上に支持された基板Wの端面位置を検知することでセンサ41から基板端面EFまでの距離を検出する。センサ41とスピンベース13の回転中心A0との間の相対距離は一定であるので、基板Wの中心W0が回転中心A0から偏心している場合には、センサ41から基板端面EFまでの距離が基板Wの回転に伴って変動する。このため、基板Wを回転させながらセンサ41が基板端面EFまでの距離を検出することで、基板Wの偏心量(スピンベース13の回転中心A0と基板Wの中心W0との間の距離)を測定することができる。したがって、基板Wの偏心量を測定することで、基板Wが支持位置PSからずれたか否か、およびそのずれ量を検出することができる。しかしながら、基板端面EFとガイドとの間の距離Lが小さいと、センサ41により検出した検出結果が、基板Wの位置ずれによるものかあるいはセンサの測定精度に起因する誤差によるものか判別が困難となってしまう(課題(iii))。
【0067】
これに対して、この実施形態によれば、ガイド部材25を支持ピンと別個に設けているので、次のような有利な作用効果が得られる。すなわち、上記課題(i)に対しては、ガイド部材25をスピンベース13に取付け、交換作業を行う際に支持部位102aを有するヘッド部材102を取り外す必要がなくなる一方、ヘッド部材102の取付け、交換作業を行う際にガイド部材25を取り外す必要がなくなる。つまり、ガイド部材25をスピンベース13に取付け、交換作業を行う際にはヘッド部材102(支持部位102a)の鉛直軸方向における先端位置については全く調整を行う必要がなく、ヘッド部材102の取付け、交換作業を行う際にはガイド部材25にかかわりなくヘッド部材102のみについて位置調整すればよい。このため、これらガイド部材25およびヘッド部材102の取付け、交換作業を簡便にし、これらの作業に要する時間を大幅に削減することができる。
【0068】
また、上記課題(ii)に対しては、ガイド部材25が支持ピンFF1〜FF6,SS1〜SS6と別個に設けられ、支持部位102aから離間して配置されることで、基板搬送ロボットなどの搬送機構により基板Wを搬送して支持ピンFF1〜FF6,SS1〜SS6(支持部位102a)上に載置させる際に基板Wが誤ってガイド部材25上に載置されるのを確実に回避することができる。これにより、基板Wの搬送時における位置ずれの許容量を大きくすることができ、基板Wの搬送速度を速くすることができる。このため、装置のスループットを向上させることができる。また、ガイド部材25を支持ピンFF1〜FF6,SS1〜SS6と別個に設けることで、ガイドの大きさを比較的自由に設定することができ、例えばガイド部材の径を大きくするなどしてガイドの物理的強度を高めることが容易となる。したがって、基板Wの径方向の移動を規制するだけの十分な物理的強度を有するようにガイド部材25を形成することで、ガイドの倒れ等の不具合を防止することができる。
【0069】
さらに、上記課題(iii)に対しては、支持ピンFF1〜FF6,SS1〜SS6に支持された基板Wの端面EFからガイド部材25を離間した位置に配置しているので、基板Wの端面EFとガイド部材25との間の距離Lを比較的大きくすることができる。このため、回転駆動する基板Wが支持位置PSから位置ずれを起こした際に、センサ41による位置ずれの検出が容易である。すなわち、基板端面EFとガイドとの間の距離Lを比較的大きくすることができるので、センサ41により検出した検出結果が、基板Wの位置ずれによるものかあるいはセンサ41の測定精度に起因する誤差によるものかの判別が容易となるため、基板Wの位置ずれを検出し易い。
【0070】
<第3実施形態>
図15はこの発明の第3実施形態にかかる基板処理装置に装備されたスピンチャックの要部断面図である。この第3実施形態にかかる基板処理装置が第2実施形態と大きく相違する点は、ガイド部材の形状およびスピンベース13に対する固定の態様が異なっている点である。なお、その他の構成および動作は基本的に第2実施形態と同様であるため、ここでは相違点を中心に説明する。
【0071】
この実施形態では、ガイド部材26(本発明の「第2ガイド」に相当)はその断面形状がL字状に形成されており、鉛直軸方向に延びる立ち上がり部261と立ち上がり部261からスピンベース13の周縁側に向けて水平方向に延びるベース部262とを有している。立ち上がり部261は回転中心A0を臨む面が基板端面EFと当接可能に仕上げられ、基板Wの径方向への移動を規制することが可能となっている。また、ベース部262の下面がスピンベース13(上板131)の上面周縁部と当接可能に仕上げられている。ベース部262には鉛直軸方向に貫通する貫通孔262aが形成される一方、スピンベース13の上面周縁部にネジ孔131cが形成されている。そして、貫通孔262aを通してネジ27をネジ孔131cと螺合させることでガイド部材26をスピンベース13に固定することが可能となっている。
【0072】
この実施形態によれば、ガイド部材26を支持ピンと別個に設けているので、第2実施形態と同様な作用効果が得られる。また、ガイド部材26をネジ27を用いてネジ止めすることでスピンベース13に固定しているので、ガイド部材の取付け時の作業性を向上させることができる。さらに、ベース部262に設けた貫通孔262aを径方向に延びる長孔形状にすることで、ガイド部材26を径方向に自在に動かすことが可能となり、ガイド部材から基板端面EFまでの距離の位置調整を容易に行うことができる。
【0073】
<第4実施形態>
図16はこの発明の第4実施形態にかかる基板処理装置に装備されたスピンチャックの要部断面図である。この第4実施形態にかかる基板処理装置が第3実施形態と大きく相違する点は、ガイド部材の形状が異なっている点である。なお、その他の構成および動作は基本的に第3実施形態と同様であるため、ここでは相違点を中心に説明する。
【0074】
この実施形態では、第3実施形態と同様に立ち上がり部261の回転中心A0を臨む面が基板端面EFと当接可能に仕上げられ、基板Wの径方向への移動を規制することが可能となっている。また、立ち上がり部261の先端部には回転中心A0の上方を臨むように傾斜面261aが形成されている。そして、傾斜面261a上に基板Wの周縁部が上方より下降してくると傾斜面261aによって基板Wがスピンベース13の回転中心A0側に案内されながら支持ピンFF1〜FF6,SS1〜SS6に向けて落とし込まれる。このため、基板搬送ロボットなどの搬送機構により基板Wを搬送する際に基板Wの位置ずれが発生した場合であっても、基板Wを支持ピンFF1〜FF6,SS1〜SS6上に載置する際にそのような基板Wの位置ずれをガイド部材26により補正しながら基板Wを支持ピンFF1〜FF6,SS1〜SS6に落とし込むことができる。
【0075】
<第5実施形態>
図17はこの発明の第5実施形態にかかる基板処理装置に装備されたスピンチャックの要部断面図である。この第5実施形態にかかる基板処理装置が第3実施形態と大きく相違する点は、ガイド部材がスピンベース13に対して可動自在に構成されている点である。なお、その他の構成および動作は基本的に第3実施形態と同様であるため、ここでは相違点を中心に説明する。
【0076】
この実施形態では、スピンベース13の回転中心A0回りに放射状に配置された3個のガイド部材26Aが本発明の「可動ガイド」として回転中心A0に向けて水平移動自在にスピンベース13に設けられている。具体的には、各ガイド部材26Aに対応してスピンベース13(上板131)の上面周縁部には径方向(水平方向)に伸びるガイド溝131dが形成されており、ガイド溝131dに沿ってガイド部材26Aがそれぞれ水平移動自在に設けられている。ガイド部材26Aにはガイド駆動機構28が連結されており、制御ユニット4からの動作指令に応じてガイド駆動機構28が作動することで各ガイド部材26Aを相互に連動させながら径方向に進退するように構成されている。制御ユニット4はスピンベース13の回転が停止している間にガイド駆動機構28を制御することによって、基板Wの径方向移動を規制する規制位置(図17の実線位置)からスピンベース13の回転中心A0に向けて各ガイド部材26Aを相互に連動させながら移動させて基板Wの中心をスピンベース13の回転中心A0に一致させることができる。このように、この実施形態では、制御ユニット4が本発明の「ガイド駆動制御手段」として機能する。
【0077】
以上のように、この実施形態によれば、支持ピンFF1〜FF6,SS1〜SS6上に支持された基板Wの中心がスピンベース13の回転中心A0から径方向にずれている場合であっても、スピンベース13の回転が停止している間、各ガイド部材26Aが相互に連動しながら基板Wの径方向移動を規制する規制位置からスピンベース13の回転中心A0に向けて移動することによって、基板Wの中心をスピンベース13の回転中心A0に一致させることができる。
【0078】
<その他>
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば上記第1実施形態では、各支持ピンF1〜F6、S1〜S6にガイド部位105aを設けているが、ガイド部位105aは各支持ピンF1〜F6、S1〜S6に設ける必要はなく、基板裏面Wbに当接して支持する支持ピンのうち少なくとも3個以上に対応して設けてあればよい。例えば支持ピンF1〜F6からなる第1支持ピン群により基板Wを支持する場合には、6個の支持ピンF1〜F6のうち放射状に配置された少なくとも3個にガイド部位105aが設けられていればよい。また、支持ピンS1〜S6からなる第2支持ピン群により基板Wを支持する場合には、6個の支持ピンS1〜S6のうち放射状に配置された少なくとも3個にガイド部位105aが設けられていればよい。
【0079】
また、上記第2ないし第4実施形態では、3個のガイド部材25,26が回転中心A0を中心として放射状にスピンベース13に設けられているが、ガイド部材25,26の個数および配置については任意である。例えば4個以上のガイド部材をスピンベース13に設けてもよい。また、2個のガイドをスピンベース13に設けて基板Wの径方向への移動を規制するようにしてもよい。この場合には、例えば図18に示すように、ガイド部材25と、基板端面に沿うように平面視で円弧状に形成されたガイド壁29(本発明の「第2ガイド」に相当)とを回転中心A0を挟んでスピンベース13に設ければよい。
【0080】
また、上記第5実施形態では、すべて(3個)のガイド部材26Aが回転中心A0に向けて水平移動自在にスピンベース13に設けられた可動ガイドとなっているが、これに限定されない。例えば4個以上のガイド部材をスピンベース13に設けるとともに、それらのガイド部材のうち放射状に配置された少なくとも3個のガイド部材を可動ガイドとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0081】
この発明は、半導体ウエハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板などを略水平姿勢で回転させながら該基板に対して所定の処理を施す基板処理装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】この発明にかかる基板処理装置の第1実施形態を示す図である。
【図2】図1の基板処理装置の主要な制御構成を示すブロック図である。
【図3】スピンベースを上方から見た平面図である。
【図4】スピンチャックに関連する構成を説明するための断面図であって、支持ピンが上昇した状態を示す図である。
【図5】スピンチャックに関連する構成を説明するための断面図であって、支持ピンが下降した状態を示す図である。
【図6】スピンベース内に備えられた動作伝達機構の構成を説明するための平面図である。
【図7】スピンベースを背面から見たときの平面図である。
【図8】図3のB−B’線断面図である。
【図9】支持ピンを駆動するための駆動機構の構成を説明するための平面図である。
【図10】遮断部材の底面図である。
【図11】図1の基板処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図12】この発明の第2実施形態にかかる基板処理装置に装備されたスピンベースを上方から見た平面図である。
【図13】図12のC−C’線断面図である。
【図14】基板の位置ずれを検出するための構成を示す模式図である。
【図15】この発明の第3実施形態にかかる基板処理装置に装備されたスピンチャックの要部断面図である。
【図16】この発明の第4実施形態にかかる基板処理装置に装備されたスピンチャックの要部断面図である。
【図17】この発明の第5実施形態にかかる基板処理装置に装備されたスピンチャックの要部断面図である。
【図18】この発明の変形形態にかかる基板処理装置に装備されたスピンベースを上方から見た平面図である。
【符号の説明】
【0083】
4…制御ユニット(ガイド駆動制御手段)
5…遮断部材(押圧機構)
12…チャック回転機構(回転手段)
13…スピンベース(回転部材)
18…ガス供給ユニット(押圧機構)
25,26…ガイド部材(第2ガイド)
26A…ガイド部材(第2ガイド、可動ガイド)
28…ガイド駆動機構
29…ガイド壁(第2ガイド)
102a…支持部位
105…リング部材(ガイド機構)
105a…ガイド部位(第1ガイド)
261a…傾斜面
F1〜F6,S1〜S6…支持ピン(支持部材)
FF1〜FF6,SS1〜SS6…支持ピン(支持部材)
SP…間隙空間(遮断部材と基板の上面とに挟まれた空間)
WT…(支持部位に支持された)基板の上面の高さ位置
W…基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を略水平姿勢で回転させながら前記基板に対して所定の処理を施す基板処理装置において、
鉛直軸回りに回転自在に設けられた回転部材と、
前記回転部材を回転させる回転手段と、
前記回転部材の周縁部に上方に向けて突設され、前記基板の下面に当接して該基板を略水平姿勢で、しかも水平方向において所定の支持位置で支持する複数の支持部材と、
前記基板の上面にガスを供給することで前記基板を前記支持部材に押圧させて前記回転部材に保持させる押圧機構と、
前記回転手段により回転駆動される前記基板が前記支持位置から径方向にずれた際に前記基板の端面に当接して前記基板の径方向の移動を規制するガイド機構と
を備えたことを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記支持部材が3個以上設けられ、しかも各支持部材が前記基板の下面に当接して該基板を略水平姿勢で支持する支持部位を有する請求項1記載の基板処理装置であって、
前記ガイド機構は前記支持部材のうちの少なくとも3個以上に対応して設けられた3個以上の第1ガイドを有し、しかも各第1ガイドが前記支持部位に対し前記基板の周縁側で前記支持部材の先端部に取り付けられる基板処理装置。
【請求項3】
前記押圧機構が前記基板の上面に近接しながら対向配置された遮断部材を有し、前記遮断部材と前記基板の上面とに挟まれた空間にガスを供給することで前記基板を前記支持部材に押圧させる請求項2記載の基板処理装置であって、
前記鉛直軸方向における各第1ガイドの先端位置は前記支持部位に支持された前記基板の上面の高さ位置よりも低い基板処理装置。
【請求項4】
前記ガイド機構は前記複数の支持部材に対し前記回転部材の周縁側で前記回転部材に設けられた第2ガイドを複数個有している請求項1記載の基板処理装置。
【請求項5】
各第2ガイドの先端部には前記回転部材の回転中心上方を臨むように傾斜面が形成され、前記傾斜面は該傾斜面上に前記基板の周縁部が上方より下降してきた際に前記基板を前記回転部材の回転中心側に案内しながら前記基板を前記支持部材に向けて落とし込む請求項4記載の基板処理装置。
【請求項6】
3個以上の前記第2ガイドが前記回転部材の回転中心に向けて水平移動自在に前記回転部材に設けられた可動ガイドとなっており、しかも前記複数の可動ガイドが前記回転部材の回転中心回りに放射状に配置された請求項4記載の基板処理装置であって、
前記可動ガイドを水平移動させるガイド駆動機構と、
前記回転部材の回転が停止している間に、前記ガイド駆動機構を制御することによって、前記基板の径方向移動を規制する規制位置から前記回転部材の回転中心に向けて前記複数の可動ガイドを相互に連動させながら移動させて前記基板の中心を前記回転部材の回転中心に一致させるガイド駆動制御手段と
をさらに備えた基板処理装置。
【請求項7】
回転部材の周縁部に上方に向けて突設された複数の支持部材を前記基板の下面に当接させることで前記基板を略水平姿勢で、しかも水平方向において所定の支持位置で支持しながら前記基板の上面にガスを供給することで前記基板を前記支持部材に押圧させて前記回転部材に保持させる保持工程と、
前記回転部材に保持された前記基板を鉛直軸回りに回転させる回転工程と
を備え、
前記回転工程では、回転駆動される前記基板が前記支持位置から径方向にずれた際にガイド機構が前記基板の端面に当接して前記基板の径方向の移動を規制することを特徴とする基板処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−177454(P2008−177454A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−11042(P2007−11042)
【出願日】平成19年1月22日(2007.1.22)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】