説明

基板処理装置および基板処理方法

【課題】基板に供給される処理液の流量および基板の回転速度を増大させることなく、基板の表面の全域に処理液をむらなく行き渡らせることができる、基板処理装置および基板処理方法を提供する。
【解決手段】回転中のウエハWの上面の中央部に、ノズル8から処理液(HF、DIW)が供給される。ウエハWの上面が疎水性を示していても、ノズル8から処理液が供給されている間は、少なくともウエハWの上面における処理液の供給位置付近、つまり中央部に処理液の液膜が形成される。その一方で、対向板13がウエハWの上面の中央部に対向配置される。そして、対向板13がウエハWの中央部に対向する位置から周縁部に対向する位置へと移動され、その移動によって、ウエハWの中央部を覆っている処理液の液膜がウエハWの周縁に向けて拡張される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に対する処理液を用いた処理のための基板処理装置および基板処理方法に関する。処理の対象となる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板などが含まれる。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハや液晶表示パネル用ガラス基板などの基板の大型化に伴って、枚葉式の基板処理装置が用いられてきている。
枚葉式の基板処理装置は、たとえば、基板を水平な姿勢に保持して回転させるスピンチャックと、基板の表面に処理液を供給するためのノズルとを備えている。基板は、その表面(処理対象面)を上方に向けた状態でスピンチャックに保持される。そして、スピンチャックにより基板が回転されつつ、その基板の表面の中央部にノズルから処理液が供給される。基板の表面に供給された処理液は、基板の回転による遠心力を受けて、基板の表面上をその中央部から周縁に向けて流れる。
【0003】
半導体装置の製造工程では、枚葉式の基板処理装置を用いて、シリコンからなる半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」という。)の表面からシリコン酸化膜を除去する処理が行われることがある。この場合、処理液には、HF(フッ酸)またはBHF(Buffered Hydrogen Fluoride:バッファードフッ酸)およびDIW(deionized water)が用いられる。ウエハが回転されつつ、ウエハの表面にHFまたはBHFが供給されることにより、ウエハの表面に形成されているシリコン酸化膜が除去される。その後、ウエハの回転が持続された状態で、ウエハの表面にDIWが供給されることにより、ウエハの表面に付着しているHFまたはBHFが洗い流される。このDIWによる水洗後は、DIWがウエハの高速回転によりウエハから振り切られ、ウエハが乾燥すると、シリコン酸化膜を除去するための一連の処理が終了する。
【特許文献1】特開2008−153452号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ウエハの表面からシリコン酸化膜が除去されると、そのウエハの表面には、シリコンが露出する。このシリコンの表面は、水素終端化されており、疎水性を示す。そのため、ウエハの表面におけるシリコン酸化膜が除去された部分(シリコンが露出した部分)では、その表面に対する処理液の接触角が大きくなる。その結果、ウエハの表面に処理液で覆われない部分が生じ、その部分に雰囲気中に浮遊する水滴や固形異物が付着することによるウエハの汚染を招くおそれがある。とくに、ウエハの周縁部上では、処理液に作用する遠心力が弱いので、処理液が筋状をなして流れ、処理液で覆われない部分が生じやすい。
【0005】
ウエハの表面の全域が処理液により確実に覆われるようにするために、ウエハに供給される処理液の流量およびウエハの回転速度を増大させることが考えられるが、その方策では、1枚のウエハの処理に要するコストが増えてしまう。また、ウエハから飛散する処理液がスピンチャックの周囲に配置されている部材に高速で衝突することにより、処理液のミストが多量に発生してしまう。処理液のミストは、処理後のウエハの乾燥状態を悪化させるほか、処理後のウエハの表面に付着することによりウォータマークの発生の原因となる。
【0006】
そこで、本発明の目的は、基板に供給される処理液の流量および基板の回転速度を増大させることなく、基板の表面の全域に処理液をむらなく行き渡らせることができる、基板処理装置および基板処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、基板(W)を水平姿勢に保持し、その基板の中心を通る軸線まわりに回転させる基板回転手段(2)と、前記基板回転手段により回転される基板の上面(表面)の中央部に処理液を供給する処理液供給手段(3)と、前記基板回転手段により回転される基板の上面に対向配置される対向部材(13,41,51,61,71)と、前記処理液供給手段による処理液の供給と並行して、前記対向部材を基板の中央部に対向する位置から周縁部に対向する位置へと移動させ、その移動によって、当該基板の中央部を覆っている処理液の液膜を基板の周縁に向けて拡張させる液膜拡張手段(14,15,16)とを含む、基板処理装置(1)である。
【0008】
なお、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表す。以下、この項において同じ。
この構成によれば、基板回転手段により、基板が水平姿勢に保持された状態でその中心を通る軸線まわりに回転される。この回転中の基板の上面の中央部に、処理液供給手段により処理液が供給される。たとえ基板の上面が疎水性を示していても、処理液供給手段により処理液が供給されている間は、少なくとも基板の上面における処理液の供給位置付近、つまり中央部に処理液の液膜が形成される。その一方で、対向部材が基板の上面の中央部に対向配置される。そして、対向部材が基板の中央部に対向する位置から周縁部に対向する位置へと移動され、その移動によって、基板の中央部を覆っている処理液の液膜が基板の周縁に向けて拡張される。この液膜の拡張のために、処理液供給手段により基板に供給される処理液の流量および基板回転手段による基板の回転速度を増大させる必要はない。
【0009】
よって、供給される処理液の流量および基板の回転速度を増大させることなく、基板の表面の全域に処理液をむらなく行き渡らせることができる。
請求項2に記載のように、前記対向部材は、基板の上面と平行な下面(132)を有する板状をなす対向板(13)であり、前記液膜拡張手段は、前記対向板の前記下面が前記液膜に接触するように前記対向板を配置し、前記対向板と前記液膜との接触状態を維持しつつ、前記対向板を基板の周縁部に向けて移動させてもよい。
【0010】
対向板の下面が液膜に接触した状態で、対向板が移動されると、液膜(処理液)の表面張力により、液膜を形成している処理液が対向板につられて移動する。基板が回転されているので、対向板が基板の中央部に対向する位置から基板の周縁部に対向する位置に向けて移動されると、対向板の下面と接触している処理液が液膜の周囲に渦を描き、これにより液膜の径が増大していく。その結果、液膜を拡張させることができる。
【0011】
前記対向板が採用される場合、請求項3に記載のように、前記対向板は、その下面から基板の回転方向の上流側に向けて延設され、外側に凸湾曲する湾曲面(133)を有していることが好ましい。
対向板は、基板の回転により、基板の上面の液膜に対してその回転方向の上流側へ移動する。そのため、対向板が湾曲面を有していれば、湾曲面により、液膜を形成している処理液を対向板の下面と基板の上面との間にスムーズに入り込ませることができる。その結果、対向板と処理液との接触状態を良好に維持することができる。
【0012】
対向板と処理液との接触状態をさらに良好に維持するため、請求項4に記載のように、前記対向板は、前記液膜と接触する面が親水化処理されていることが好ましい。
また、請求項5に記載のように、前記対向部材は、多孔質材料からなる多孔質部材(61)であり、前記液膜拡張手段は、前記多孔質部材を前記液膜に接触するように配置し、前記多孔質部材と前記液膜との接触状態を維持しつつ、前記多孔質部材を基板の周縁部に対向する位置に向けて移動させてもよい。
【0013】
多孔質部材が液膜に接触した状態で、多孔質部材が移動されると、多孔質部材の吸液性および液膜(処理液)の表面張力により、液膜を形成している処理液が対向板につられて移動する。基板が回転されているので、多孔質部材が基板の中央部に対向する位置から基板の周縁部に対向する位置に向けて移動されると、多孔質部材と接触している処理液が液膜の周囲に渦を描き、これにより液膜の径が増大していく。その結果、液膜を拡張させることができる。
【0014】
また、請求項6に記載のように、前記対向部材は、スリット状の吐出口(411)を有し、当該吐出口からガスを吐出するガスノズル(41)であり、前記液膜拡張手段は、前記吐出口から吐出されるガスが前記液膜に吹き付けられるように前記ガスノズルを配置し、前記液膜の表層部分がガスにより押し潰された状態を維持しつつ、前記ガスノズルを基板の周縁部に対向する位置に向けて移動させてもよい。
【0015】
液膜の表層部分がガスノズルからのガスにより押し潰された状態、つまり表面張力により形成される液膜の表面の一部がガスノズルからのガスにより決壊された状態で、ガスノズルが移動されると、その決壊された部分から処理液が基板の周縁に向けて流れる。基板が回転されているので、ガスノズルが基板の中央部に対向する位置から基板の周縁部に対向する位置に向けて移動されると、液膜から流れ出る処理液が液膜の周囲に渦を描き、これにより液膜の径が増大していく。その結果、液膜を拡張させることができる。
【0016】
また、請求項7に記載のように、前記対向部材は、前記処理液供給手段により供給される処理液と同種の処理液を吐出する処理液ノズル(61)であり、前記液膜拡張手段は、前記処理液ノズルから吐出される処理液が前記液膜に吹き付けられるように前記処理液ノズルを配置し、前記液膜の表層部分が前記処理液ノズルからの処理液により押し潰された状態を維持しつつ、前記処理液ノズルを基板の周縁部に対向する位置に向けて移動させてもよい。
【0017】
液膜の表層部分が処理液ノズルからの処理液により押し潰された状態、つまり表面張力により形成される液膜の表面の一部が処理液ノズルからの処理液により決壊された状態で、処理液ノズルが移動されると、その決壊された部分から処理液が基板の周縁に向けて流れる。基板が回転されているので、処理液ノズルが基板の中央部に対向する位置から基板の周縁部に対向する位置に向けて移動されると、液膜から流れ出る処理液が液膜の周囲に渦を描き、これにより液膜の径が増大していく。その結果、液膜を拡張させることができる。
【0018】
請求項8に記載の発明は、基板(W)を水平姿勢でその基板の中心を通る軸線まわりに回転させる基板回転工程と、回転中の基板の上面の中央部に処理液を供給する処理液供給工程と、前記処理液供給工程と並行して、対向部材(13,41,51,61,71)を基板の上面に対向配置し、前記対向部材を基板の中央部に対向する位置から周縁部に対向する位置へと移動させ、その移動によって、当該基板の中央部を覆っている処理液の液膜を基板の周縁に向けて拡張させる液膜拡張工程とを含む、基板処理方法である。
【0019】
この方法は、請求項1に記載の基板処理装置において実施することができ、この方法の実施により、請求項1に関連して述べた効果と同様な効果を奏することができる。
請求項9に記載の発明は、前記対向部材は、基板の上面と平行な下面(132)を有する板状をなす対向板(13)であり、前記液膜拡張工程では、前記対向板の前記下面が前記液膜に接触するように前記対向板が配置され、前記対向板と前記液膜との接触状態が維持されつつ、前記対向板が基板の周縁部に対向する位置に向けて移動される、請求項8に記載の基板処理方法である。
【0020】
この方法は、請求項2に記載の基板処理装置において実施することができ、この方法の実施により、請求項2に関連して述べた効果と同様な効果を奏することができる。
請求項10に記載の発明は、前記対向部材は、多孔質材料からなる多孔質部材(61)であり、前記液膜拡張工程では、前記多孔質部材が前記液膜に接触するように配置され、前記多孔質部材と前記液膜との接触状態が維持されつつ、前記多孔質部材が基板の周縁部に対向する位置に向けて移動される、請求項8に記載の基板処理方法である。
【0021】
この方法は、請求項5に記載の基板処理装置において実施することができ、この方法の実施により、請求項5に関連して述べた効果と同様な効果を奏することができる。
請求項11に記載の発明は、前記対向部材は、スリット状の吐出口(411)を有し、当該吐出口からガスを吐出するガスノズル(41)であり、前記液膜拡張工程では、前記吐出口から吐出されるガスが前記液膜に吹き付けられるように前記ガスノズルが配置され、前記液膜の表層部分がガスにより押し潰された状態が維持されつつ、前記ガスノズルが基板の周縁部に対向する位置に向けて移動される、請求項8に記載の基板処理方法である。
【0022】
この方法は、請求項6に記載の基板処理装置において実施することができ、この方法の実施により、請求項6に関連して述べた効果と同様な効果を奏することができる。
請求項12に記載の発明は、前記対向部材は、前記液膜を形成する処理液と同種の処理液を吐出する処理液ノズル(71)であり、前記液膜拡張手段は、前記処理液ノズルから吐出される処理液が前記液膜に吹き付けられるように前記処理液ノズルを配置し、前記液膜の表層部分が前記処理液ノズルからの処理液により押し潰された状態が維持されつつ、前記処理液ノズルを基板の周縁部に対向する位置に向けて移動させる、請求項8に記載の基板処理方法である。
【0023】
この方法は、請求項7に記載の基板処理装置において実施することができ、この方法の実施により、請求項7に関連して述べた効果と同様な効果を奏することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る基板処理装置の構成を図解的に示す断面図である。
基板処理装置1は、基板の一例としてのウエハWをほぼ水平な姿勢に保持して回転させるためのウエハ回転機構2と、ウエハ回転機構2に保持されたウエハWの上面(表面)に処理液を供給するための処理液供給機構3とを備えている。
【0025】
ウエハ回転機構2としては、たとえば、挟持式のものが採用されている。具体的には、ウエハ回転機構2は、モータ4と、このモータ4の駆動軸と一体化されたスピン軸5と、スピン軸5の上端にほぼ水平に取り付けられた円板状のスピンベース6と、スピンベース6の周縁部の複数箇所にほぼ等角度間隔で設けられた複数個の挟持部材7とを備えている。
【0026】
複数個の挟持部材7により、ウエハWをほぼ水平な姿勢で挟持することができる。この状態で、モータ4が駆動されると、その駆動力によって、そのスピンベース6とともに、ウエハWがほぼ水平な姿勢を保った状態でスピン軸5の中心軸線まわりに回転される。
処理液供給機構3は、ノズル8と、ノズル8に接続された供給管9と、供給管9の途中部に介装されたバルブ10とを備えている。
【0027】
ノズル8は、アーム11の先端部に取り付けられている。アーム11は、ウエハ回転機構2の上方で水平に延びている。アーム11には、モータなどを含むノズル移動機構12が結合されている。ノズル移動機構12により、アーム11をウエハ回転機構2の側方に設定された軸線を中心に水平面内で揺動させることができる。アーム11の揺動に伴って、ノズル8は、ウエハ回転機構2の上方で水平移動する。
【0028】
供給管9には、図示しない処理液供給源から処理液が供給される。バルブ10が開かれると、供給管9に供給される処理液が供給管9からノズル8に供給され、ノズル8から下方に向けて処理液が吐出される。
また、ウエハ回転機構2の上方には、対向部材の一例としての対向板13が設けられている。対向板13は、ウエハ回転機構2の上方で水平に延びるアーム14の先端部に取り付けられている。アーム14には、モータなどを含む対向部材移動機構15が結合されている。対向部材移動機構15により、アーム14をウエハ回転機構2の側方に設定された軸線を中心に水平面内で揺動させることができる。アーム14は、アーム11との干渉を避けるため、その揺動軌跡がアーム11の揺動軌跡と鉛直方向および水平方向において重ならない位置に配置されている。アーム14の揺動に伴って、対向板13がウエハ回転機構2の上方で水平移動する。また、対向部材移動機構15により、アーム14を昇降させることができる。アーム14の昇降に伴って、対向板13が昇降する。
【0029】
ウエハWに対する処理時には、対向板13は、ウエハWの上面に対向する位置に配置される。
また、基板処理装置1は、マイクロコンピュータで構成される制御部16を備えている。制御部16は、予め定められたプログラムに従って、モータ4、ノズル移動機構12および対向部材移動機構15の駆動を制御し、また、バルブ10の開閉を制御する。
【0030】
図2は、対向板の構成を図解的に示す斜視図である。
対向板13は、石英、塩ビ、またはPTFE(Polytetrafluoroethylene)等からなる。対向板13は、略長方形板状をなし、平面視長方形状の上面131および下面132を有している。下面132は、上面131と比較して、長手方向と直交する幅方向の寸法が小さく形成されている。下面132の幅方向の一端縁は、上面131の幅方向の一端縁と鉛直方向において重なっている。一方、下面132の幅方向の他端縁は、上面131の幅方向の他端縁と幅方向にずれている。そして、その下面132の他端縁と上面131の他端縁との間には、外側に凸湾曲する湾曲面133が形成されている。
【0031】
そして、対向板13の全表面には、処理液の接触角を下げるための親水化処理が施されている。この親水化処理としては、研磨またはエッチングによる表面凹凸加工(粗面加工)を例示することができる。
図3A〜3Cは、基板処理装置における処理時の様子を示す図解的な側面図である。
基板処理装置1は、たとえば、ウエハWの表面からシリコン酸化膜を除去する処理に用いられる。この場合、処理液として、HFおよびDIWが用いられる。HFに代えて、BHFが用いられてもよい。以下、HFおよびDIWを用いてシリコン酸化膜を除去する処理が行われる場合を例にとって、基板処理装置1の各部の動作について説明する。
【0032】
ウエハWは、そのシリコン酸化膜が形成された表面を上方に向けて、ウエハ回転機構2に保持される。ウエハ回転機構2にウエハWが保持されると、モータ4が駆動されて、ウエハWの回転が開始される。その一方で、ノズル移動機構12により、ノズル8がウエハ回転機構2に保持されたウエハWの中央部に対向する位置に移動される。
ノズル8の移動が完了すると、バルブ10が開かれて、処理液として供給管9に供給されるHFがノズル8から所定回転速度(たとえば、300rpm)で回転中のウエハWの上面(表面)の中央部に供給される。ウエハWの上面に供給されたHFは、その供給位置である中央部を少なくとも覆う液膜を形成する。
【0033】
図3Aに示すように、HFの液膜は、表面張力およびウエハWの回転による遠心力の作用により、その中央側よりも周縁部が盛り上がった形状となる。
なお、図3A〜3Cでは、図面の理解を容易にするために、液膜にハッチングを付している。
HFの供給開始にタイミングを合わせて、対向部材移動機構15により、対向板13がウエハWの上面に形成されている液膜と対向する位置に移動される。この移動が完了した状態で、対向板13の長手方向がウエハWの回転半径方向に沿い、湾曲面133(図2参照)がウエハWの回転方向の上流側を向いている。その後、対向部材移動機構15により、対向板13がウエハWの上面に近づけられ(下降され)、対向板13の下面132がウエハWの上面の中央部に形成されている液膜に接触(接液)される。すると、図3Bに示すように、液膜を形成しているHFがその表面張力により対向板13の下面132とウエハWの上面との間に入り込む。このとき、対向板13の湾曲面133がウエハWの回転方向の上流側を向いているので、HFが対向板13の下面132とウエハWの上面との間にスムーズに入り込む。また、対向板13の下面132および湾曲面133に親水化処理が施されていることによっても、HFは、湾曲面133に案内されて、HFが対向板13の下面132とウエハWの上面との間にスムーズに入り込む。
【0034】
その後、ウエハWの上面へのHFの供給が継続されたまま、対向部材移動機構15により、対向板13がウエハWの周縁部と対向する位置に向けて水平移動される。対向板13が移動されると、液膜(HF)の表面張力により、液膜を形成しているHFが対向板13につられて移動する。ウエハWが回転されているので、対向板13がウエハWの中央部に対向する位置からウエハWの周縁部に対向する位置に向けて移動されると、対向板13の下面132と接触しているHFが液膜の周囲に渦を描き、これにより液膜の径が増大していく。対向板13の移動速度は、対向板13の下面132からHFが離れないような速度、たとえば、5cm/secに設定される。対向板13が湾曲面133を有し、また、その湾曲面133および下面132に親水化処理が施されているので、対向板13の移動時においても、対向板13の下面132とHFとの接触状態が良好に維持される。
【0035】
そして、図3Cに示すように、対向板13がウエハWの周縁部と対向する位置まで移動されると、対向板13の下面が液膜に接した状態のまま、その周縁部と対向する位置で対向板13が停止される。これにより、ウエハWの上面の全域がHFの液膜に覆われた状態が維持され、HFのエッチング作用により、ウエハWの上面からシリコン酸化膜が良好に除去される。
【0036】
HFの供給開始から所定時間(たとえば、30秒間)が経過すると、バルブ10が閉じられて、そのHFの供給が停止される。そして、対向部材移動機構15により、対向板13がウエハWの上方から外れた位置に一旦移動される。
その後、バルブ10が開かれて、処理液として供給管9に供給されるDIWがノズル8から回転中のウエハWの上面(表面)の中央部に供給される。ウエハWの上面に供給されたDIWは、その供給位置である中央部を少なくとも覆う液膜を形成する。
【0037】
なお、基板処理装置1に2つの処理液供給機構3が設けられて、一方の処理液供給機構3がHF供給用として使用され、他方の処理液供給機構3がDIW供給用として使用されてもよい。
図3Aに示すように、DIWの液膜は、表面張力およびウエハWの回転による遠心力の作用により、その中央側よりも周縁部が盛り上がった形状となる。シリコン酸化膜が除去されたことにより、ウエハWの表面には、水素終端化されたシリコンが露出する。このシリコンが露出したウエハWの表面は、疎水性を示す。そのため、DIWの液膜の周縁部での盛り上がりはとくに大きく、ウエハWの表面に対する液膜(DIW)の接触角は70°以上となる。
【0038】
その後、HFの供給時と同様に、対向部材移動機構15により、対向板13がウエハWの上面に形成されている液膜と対向する位置に移動され、図3Bに示すように、対向板13の下面132がウエハWの上面の中央部に形成されている液膜に接触(接液)される。そして、ウエハWの上面へのHFの供給が継続されたまま、対向部材移動機構15により、対向板13がウエハWの周縁部と対向する位置に向けて水平移動される。対向板13が移動されると、液膜(DIW)の表面張力により、液膜を形成しているDIWが対向板13につられて移動する。ウエハWが回転されているので、対向板13がウエハWの中央部に対向する位置からウエハWの周縁部に対向する位置に向けて移動されると、対向板13の下面132と接触しているDIWが液膜の周囲に渦を描き、これにより液膜の径が増大していく。対向板13の移動速度は、対向板13の下面132からDIWが離れないような速度、たとえば、5cm/secに設定される。対向板13が湾曲面133を有し、また、その湾曲面133および下面132に親水化処理が施されているので、対向板13の移動時においても、対向板13の下面132とDIWとの接触状態が良好に維持される。
【0039】
図3Cに示すように、対向板13がウエハWの周縁部と対向する位置まで移動されると、対向板13の下面が液膜に接した状態のまま、その周縁部と対向する位置で対向板13が停止される。これにより、ウエハWの上面の全域がDIWの液膜に覆われた状態が維持される。そして、ウエハWの上面へのDIWの供給が続けられることにより、液膜が保たれた状態で、DIWがウエハWに付着していたHFとともにウエハWの周縁から流下する。その結果、液膜中でHFとDIWとの置換が生じ、ウエハWの上面からHFが除去される。
【0040】
DIWの供給開始から所定時間(たとえば、30秒間)が経過すると、バルブ10が閉じられて、そのDIWの供給が停止される。その後、ノズル移動機構12および対向部材移動機構15により、それぞれノズル8および対向板13がウエハWの上方から外れた位置に移動される。そして、ウエハWが高速回転されることにより、ウエハWに付着しているDIWが振り切られ、ウエハが乾燥すると、シリコン酸化膜を除去するための一連の処理が終了する。
【0041】
以上のように、回転中のウエハWの上面の中央部に、ノズル8から処理液(HF、DIW)が供給される。ウエハWの上面が疎水性を示していても、ノズル8から処理液が供給されている間は、少なくともウエハWの上面における処理液の供給位置付近、つまり中央部に処理液の液膜が形成される。その一方で、対向板13がウエハWの上面の中央部に対向配置される。そして、対向板13がウエハWの中央部に対向する位置から周縁部に対向する位置へと移動され、その移動によって、ウエハWの中央部を覆っている処理液の液膜がウエハWの周縁に向けて拡張される。この液膜の拡張のために、ノズル8からウエハWに供給される処理液の流量およびウエハWの回転速度を増大させる必要はない。
【0042】
よって、供給される処理液の流量およびウエハWの回転速度を増大させることなく、ウエハWの表面の全域に処理液をむらなく行き渡らせることができる。
図4は、対向部材の他の例としてのガスノズルの構成を図解的に示す斜視図である。
ガスノズル41は、対向板13に代えて、アーム14の先端部に取り付けられる。ガスノズル41は、略直方体形状をなし、その下端面にスリット状の吐出口411を有している。吐出口411は、たとえば、0.2mm×60mmの寸法で形成されている。ガスノズル41の内部には、吐出口411と連通するガス流路(図示せず)が形成されている。このガス流路には、図示しないガス供給管を通してガスが供給される。ガス流路に供給されるガスは、吐出口411から下方に向けて吐出される。ガスとしては、たとえば、窒素ガスなどの不活性ガスが採用される。
【0043】
ガスノズル41は、対向部材移動機構15(図1参照)により、回転中のウエハWの上面に形成されている液膜(ウエハWの中央部)と対向する位置に移動される。この移動が完了した状態で、吐出口411の長手方向がウエハWの回転半径方向に沿っている。その後、吐出口411からガスが吐出される。すると、その吐出口411から吐出されるガスにより、液膜の表層部分の一部が押し潰される。言い換えれば、液膜の表面の一部が吐出口411から吐出されるガスにより決壊される。そして、その状態で、対向部材移動機構15により、ガスノズル41がウエハWの周縁部と対向する位置に向けて水平移動される。ガスノズル41が移動されると、その決壊された部分から処理液がウエハWの周縁に向けて流れる。ウエハWが回転されているので、ガスノズル41がウエハWの中央部に対向する位置からウエハWの周縁部に対向する位置に向けて移動されると、液膜から流れ出る処理液が液膜の周囲に渦を描き、これにより液膜の径が増大していく。その結果、液膜を拡張させることができる。
【0044】
よって、ガスノズル41が採用される構成によっても、対向板13が採用された構成と同様に、供給される処理液の流量およびウエハWの回転速度を増大させることなく、ウエハWの表面の全域に処理液をむらなく行き渡らせることができる。
図5は、対向部材の他の例としてのツイスト部材が採用された構成を図解的に示す平面図である。
【0045】
ツイスト部材51は、略円柱状をなしている。アーム14の先端部には、水平方向に延びる軸511が保持されており、ツイスト部材51は、その軸511に回転自在に支持されている。ツイスト部材51の周面には、螺旋状の溝512が形成されている。また、ツイスト部材51は、塩ビまたはPTFE(Polytetrafluoroethylene)からなり、その周面には、親水化処理が施されている。
【0046】
ツイスト部材51は、対向部材移動機構15(図1参照)により、回転中のウエハWの上面に形成されている液膜(ウエハWの中央部)と対向する位置に移動される。この移動が完了した状態で、ツイスト部材51の長手方向(回転軸線方向)がウエハWの回転半径方向に沿っている。その後、対向部材移動機構15により、ツイスト部材51がウエハWの上面に近づけられ(下降され)、ツイスト部材51の周面がウエハWの上面の中央部に形成されている液膜に接触(接液)される。このとき、ウエハWが回転しているので、液膜を形成している処理液は、ツイスト部材51の溝512に入り込む。そして、溝512に処理液が入り込むことにより、ツイスト部材51が軸511を中心に回転し、このツイスト部材51の回転により、ツイスト部材51とウエハWの上面との間に処理液が引き込まれる。
【0047】
その後、ウエハWの上面への処理液の供給が継続されたまま、対向部材移動機構15により、ツイスト部材51が、その回転軸線方向に沿って、ウエハWの周縁部と対向する位置に向けて水平移動される。ツイスト部材51が移動されると、液膜の表面張力により、液膜を形成している処理液がツイスト部材51につられて移動する。ウエハWが回転されているので、ツイスト部材51がウエハWの中央部に対向する位置からウエハWの周縁部に対向する位置に向けて移動されると、ツイスト部材51と接触している処理液が液膜の周囲に渦を描き、これにより液膜の径が増大していく。その結果、液膜を拡張させることができる。なお、ツイスト部材51が回転し、また、ツイスト部材51の周面に親水化処理が施されているので、ツイスト部材51の移動時においても、ツイスト部材51の周面と処理液との接触状態が良好に維持される。
【0048】
よって、ツイスト部材51が採用される構成によっても、対向板13が採用された構成と同様に、供給される処理液の流量およびウエハWの回転速度を増大させることなく、ウエハWの表面の全域に処理液をむらなく行き渡らせることができる。
図6は、対向部材の他の例としてのディスク部材が採用された構成を図解的に示す平面図である。
【0049】
ディスク部材61は、PVA(polyvinyl alcohol)、PE(Polyethylene)、ウレタン、あるいはシリコン等の材質でできたスポンジなどの多孔質材料からなり、ディスク状(扁平な略円柱状)をなしている。アーム14の先端部には、鉛直方向に沿って垂下する軸611が回転自在に保持されており、ディスク部材61は、その軸611に取り付けられている。軸611には、図示しない回転駆動源からの回転駆動力が入力されるようになっている。
【0050】
ディスク部材61は、対向部材移動機構15(図1参照)により、回転中のウエハWの上面に形成されている液膜(ウエハWの中央部)と対向する位置に移動される。その後、対向部材移動機構15により、ディスク部材61がウエハWの上面に近づけられ(下降され)、ディスク部材61の下面がウエハWの上面の中央部に形成されている液膜に接触(接液)される。また、軸611に入力される回転駆動力により、ディスク部材61は、ウエハWの回転方向と同方向に回転される。
【0051】
その後、ウエハWの上面への処理液の供給が継続されたまま、対向部材移動機構15により、ディスク部材61が、その回転軸線方向に沿って、ウエハWの周縁部と対向する位置に向けて水平移動される。ディスク部材61が移動されると、多孔質材料の吸水性および液膜の表面張力により、液膜を形成している処理液がディスク部材61につられて移動する。ウエハWが回転されているので、ディスク部材61がウエハWの中央部に対向する位置からウエハWの周縁部に対向する位置に向けて移動されると、ディスク部材61と接触している処理液が液膜の周囲に渦を描き、これにより液膜の径が増大していく。その結果、液膜を拡張させることができる。なお、ディスク部材61の周面に親水化処理が施されているので、ディスク部材61の移動時においても、ディスク部材61の周面と処理液との接触状態が良好に維持される。
【0052】
よって、ディスク部材61が採用される構成によっても、対向板13が採用された構成と同様に、供給される処理液の流量およびウエハWの回転速度を増大させることなく、ウエハWの表面の全域に処理液をむらなく行き渡らせることができる。
図7は、対向部材の他の例としての処理液ノズルが採用された基板処理装置の構成を図解的に示す断面図である。
【0053】
処理液ノズル71は、対向板13に代えて、アーム14の先端部に取り付けられる。処理液ノズル71には、ノズル8から吐出される処理液と同種の処理液が供給される供給管711が接続されている。供給管711には、制御部16により開閉が制御されるバルブ712が介装されている。
処理液ノズル71は、対向部材移動機構15により、回転中のウエハWの上面に形成されている液膜(ウエハWの中央部)と対向する位置に移動される。その後、バルブ712が開かれて、処理液ノズル71から処理液が吐出される。すると、その処理液ノズル71から吐出される処理液により、液膜の表層部分の一部が押し潰される。言い換えれば、液膜の表面の一部が吐出口411から吐出される処理液により決壊される。そして、その状態で、対向部材移動機構15により、処理液ノズル71がウエハWの周縁部と対向する位置に向けて水平移動される。処理液ノズル71が移動されると、その決壊された部分から処理液がウエハWの周縁に向けて流れる。ウエハWが回転されているので、処理液ノズル71がウエハWの中央部に対向する位置からウエハWの周縁部に対向する位置に向けて移動されると、液膜から流れ出る処理液が液膜の周囲に渦を描き、これにより液膜の径が増大していく。その結果、液膜を拡張させることができる。
【0054】
よって、処理液ノズル71が採用される構成によっても、対向板13が採用された構成と同様に、供給される処理液の流量およびウエハWの回転速度を増大させることなく、ウエハWの表面の全域に処理液をむらなく行き渡らせることができる。
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、本発明は、さらに他の形態で実施することも可能である。
【0055】
たとえば、本発明に係る基板処理装置は、基板の表面からシリコン酸化膜を除去する処理に限らず、処理液を用いる処理に広く使用することができる。ただし、本発明の効果は、基板の表面が疎水性を示す場合にとくに顕著に発揮される。表面が疎水性を示す基板に対する処理としては、シリコン酸化膜を除去する処理以外に、(酸化性処理液を用いずに)レジストを除去する処理を例示することができる。
【0056】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る基板処理装置の構成を図解的に示す断面図である。
【図2】図2は、図1に示す対向板の斜視図である。
【図3A】図3Aは、基板処理装置における処理時の様子(対向板が基板に対向配置されていないときの様子)を示す図解的な側面図である。
【図3B】図3Bは、基板処理装置における処理時の様子(対向板が液膜に接触しているときの様子)を示す図解的な側面図である。
【図3C】図3Cは、基板処理装置における処理時の様子(液膜が拡張されるときの様子)を示す図解的な側面図である。
【図4】図4は、対向部材の他の例としてのガスノズルの構成を図解的に示す斜視図である。
【図5】図5は、対向部材の他の例としてのツイスト部材が採用された構成を図解的に示す平面図である。
【図6】図6は、対向部材の他の例としてのディスク部材(多孔質部材)が採用された構成を図解的に示す平面図である。
【図7】図7は、対向部材の他の例としての処理液ノズルが採用された基板処理装置の構成を図解的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0058】
1 基板処理装置
2 ウエハ回転機構
3 処理液供給機構
13 対向板
14 アーム
15 対向部材移動機構
16 制御部
41 ガスノズル
51 ツイスト部材
61 ディスク部材
71 処理液ノズル
132 下面
133 湾曲面
411 吐出口
W ウエハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を水平姿勢に保持し、その基板の中心を通る軸線まわりに回転させる基板回転手段と、
前記基板回転手段により回転される基板の上面の中央部に処理液を供給する処理液供給手段と、
前記基板回転手段により回転される基板の上面に対向配置される対向部材と、
前記処理液供給手段による処理液の供給と並行して、前記対向部材を基板の中央部に対向する位置から周縁部に対向する位置へと移動させ、その移動によって、当該基板の中央部を覆っている処理液の液膜を基板の周縁に向けて拡張させる液膜拡張手段とを含む、基板処理装置。
【請求項2】
前記対向部材は、基板の上面と平行な下面を有する板状をなす対向板であり、
前記液膜拡張手段は、前記対向板の前記下面が前記液膜に接触するように前記対向板を配置し、前記対向板と前記液膜との接触状態を維持しつつ、前記対向板を基板の周縁部に対向する位置に向けて移動させる、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記対向板は、その下面から基板の回転方向の上流側に向けて延設され、外側に凸湾曲する湾曲面を有している、請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記対向板は、前記液膜と接触する面が親水化処理されている、請求項2または3に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記対向部材は、多孔質材料からなる多孔質部材であり、
前記液膜拡張手段は、前記多孔質部材を前記液膜に接触するように配置し、前記多孔質部材と前記液膜との接触状態を維持しつつ、前記多孔質部材を基板の周縁部に対向する位置に向けて移動させる、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記対向部材は、スリット状の吐出口を有し、当該吐出口からガスを吐出するガスノズルであり、
前記液膜拡張手段は、前記吐出口から吐出されるガスが前記液膜に吹き付けられるように前記ガスノズルを配置し、前記液膜の表層部分がガスにより押し潰された状態を維持しつつ、前記ガスノズルを基板の周縁部に対向する位置に向けて移動させる、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記対向部材は、前記処理液供給手段により供給される処理液と同種の処理液を吐出する処理液ノズルであり、
前記液膜拡張手段は、前記処理液ノズルから吐出される処理液が前記液膜に吹き付けられるように前記処理液ノズルを配置し、前記液膜の表層部分が前記処理液ノズルからの処理液により押し潰された状態を維持しつつ、前記処理液ノズルを基板の周縁部に対向する位置に向けて移動させる、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項8】
基板を水平姿勢でその基板の中心を通る軸線まわりに回転させる基板回転工程と、
回転中の基板の上面の中央部に処理液を供給する処理液供給工程と、
前記処理液供給工程と並行して、対向部材を基板の上面に対向配置し、前記対向部材を基板の中央部に対向する位置から周縁部に対向する位置へと移動させ、その移動によって、当該基板の中央部を覆っている処理液の液膜を基板の周縁に向けて拡張させる液膜拡張工程とを含む、基板処理方法。
【請求項9】
前記対向部材は、基板の上面と平行な下面を有する板状をなす対向板であり、
前記液膜拡張工程では、前記対向板の前記下面が前記液膜に接触するように前記対向板が配置され、前記対向板と前記液膜との接触状態が維持されつつ、前記対向板が基板の周縁部に対向する位置に向けて移動される、請求項8に記載の基板処理方法。
【請求項10】
前記対向部材は、多孔質材料からなる多孔質部材であり、
前記液膜拡張工程では、前記多孔質部材が前記液膜に接触するように配置され、前記多孔質部材と前記液膜との接触状態が維持されつつ、前記多孔質部材が基板の周縁部に対向する位置に向けて移動される、請求項8に記載の基板処理方法。
【請求項11】
前記対向部材は、スリット状の吐出口を有し、当該吐出口からガスを吐出するガスノズルであり、
前記液膜拡張工程では、前記吐出口から吐出されるガスが前記液膜に吹き付けられるように前記ガスノズルが配置され、前記液膜の表層部分がガスにより押し潰された状態が維持されつつ、前記ガスノズルが基板の周縁部に対向する位置に向けて移動される、請求項8に記載の基板処理方法。
【請求項12】
前記対向部材は、前記液膜を形成する処理液と同種の処理液を吐出する処理液ノズルであり、
前記液膜拡張手段は、前記処理液ノズルから吐出される処理液が前記液膜に吹き付けられるように前記処理液ノズルを配置し、前記液膜の表層部分が前記処理液ノズルからの処理液により押し潰された状態が維持されつつ、前記処理液ノズルを基板の周縁部に対向する位置に向けて移動させる、請求項8に記載の基板処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−56420(P2010−56420A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−221863(P2008−221863)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】