説明

基板処理装置

【課題】メンテナンスを行う場合であっても、処理効率の低下を抑制することができる基板処理装置を提供すること。
【解決手段】薬液供給源14には、第1循環配管CP1、第2循環配管CP2、第3循環配管CP3および第4循環配管CP4の両端が接続されている。第1循環配管CP1における第1処理部P1の流通方向の上流側の部分には、第1薬液バルブ21が介装されている。第1循環配管CP1における第1薬液バルブ21と第1処理部P1と間の部分には、第1純水配管22の先端が分岐接続されている。第1循環配管CP1における第1処理部P1の流通方向の下流側の部分には、第1廃液配管24が分岐接続されている。第1循環配管CP1における第1廃液配管24の廃液分岐部分DW1には、第1の3方弁25が介装されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の処理部で、基板に対して処理液による処理を行う基板処理装置に関する。処理対象となる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用ガラス基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板等の基板が含まれる。
【背景技術】
【0002】
半導体装置や液晶表示装置の製造工程では、半導体ウエハや液晶表示パネル用ガラス基板などの基板に対して処理液を用いた処理が行われる。このような処理のために、基板を1枚ずつ処理する枚葉式の基板処理装置が用いられることがある。
図6は、従来の基板処理装置100の模式的な断面図である。
基板処理装置100は、基板に対して処理液による処理を行うための複数個の処理室101と、これらの処理室101に処理液を供給するための処理液キャビネット102とを備えている。
【0003】
処理液キャビネット102には、処理液を貯留するタンク103が設けられている。タンク103には、循環配管104が接続されている。循環配管104は、処理液キャビネット102から複数の処理室101に向けて延び、各処理室101の隔壁の近接位置を経由して、処理液キャビネット102へと戻っている。循環配管104の途中部には、タンク103側から順に、ポンプ105、フィルタ106および第1循環バルブ107が介装されている。
【0004】
循環配管104における第1循環バルブ107の処理液流通方向の下流側の部分には、複数の分配管108が分岐して接続されている。各分配管108の先端は、各処理室101に接続されている。各分配管108の途中部には、分配管108を開閉するための分配バルブ109が介装されている。また、分配管108の途中部(たとえば分配管108における分配バルブ109の流通方向の上流側の部分)には、分配管108を流通する処理液の流量を計るための流量計(図示しない)が介装されている。装置の運転中は、ポンプ105が常に駆動されている。そのため、循環配管104を処理液が循環している。
【0005】
処理室101に収容された基板に処理液を供給するときは、その処理室101に対応する分配バルブ109が開かれる。これにより、循環配管104を流通する処理液が、循環配管104における分配管108の分岐接続部分(以下、「分配分岐部分」という。)DSから分配管108に導入され、分配管108を通して処理室101に供給される。
循環配管104における第1循環バルブ107と複数の分配分岐部分DSとの間の部分には、純水供給源からの純水を循環配管104に供給するための純水配管110が分岐接続されている。純水配管110の途中部には、純水配管110を開閉するための純水バルブ111が介装されている。
【0006】
循環配管104における複数の分配分岐部分DSの処理液流通方向の下流側の部分には、廃液配管112が分岐接続されている。廃液配管112の途中部には、当該廃液配管112を開閉するための廃液バルブ113が介装されている。また、循環配管104における廃液配管112の分岐接続部分の下流側には、循環配管104を開閉するための第2循環バルブ114が介装されている。
【0007】
ところで、分配管108に介装された配管機器(分配バルブ109や流量計など)に故障が生じることがある。この場合、その配管機器の修理・交換などのメンテナンスを行うために、分配管108および循環配管104から処理液を除去する必要がある。
このため、配管機器のメンテナンスの際には、第1循環バルブ107および第2循環バルブ114が閉じられるとともに、廃液バルブ113および純水バルブ111が開かれる。これにより、循環配管104内への処理液供給が停止されて、循環配管104内に純水配管110からの純水が供給され、純水により、循環配管104における第1循環バルブ107と廃液バルブ113との間の部分から処理液が除去される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−135472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、循環配管104に全ての処理室101に対応する分配管108が接続されているので、1つの処理室101に対応する分配管108の配管機器にのみメンテナンスを行う場合であっても、全ての処理室101に対して処理液の供給を停止しなければならず、装置の処理効率が悪くなる。
そして、メンテナンスの終了後は、循環配管104の純水を全て処理液に置換する必要があり、装置の再起動の際に長時間を要していた。
【0010】
そこで、この発明の目的は、メンテナンスを行う場合であっても、処理効率の低下を抑制することができる基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、処理液供給源(14)と、基板に対して処理液による処理を行うための複数の処理部(P1,P2,P3,P4)と、各処理部に対応して設けられ、基端(20A,30A,40A,50A)が前記処理液供給源に接続され、前記処理液供給源からの処理液を各処理部に供給するための処理液配管(CP1,CP2,CP3,CP4)と、各処理液配管の途中部に介装されて、当該処理液配管を開閉するための処理液バルブ(21,31,41,51)とを含む、基板処理装置である。
【0012】
なお、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表す。以下、この項において同じ。
この構成によれば、各処理部と処理液供給源とが、個別の処理液配管を介して接続されている。そして、各処理液配管の途中部に介装された処理液バルブにより、各処理部に対応する処理液配管を個別に開閉することができる。これにより、所望の処理部のみを処理液の供給停止の対象とすることができる。
【0013】
したがって、処理部に修理・交換などのメンテナンスを行う場合、そのメンテナンスの対象となる処理部のみに対する処理液供給を停止し、他の処理部には、処理液供給を継続することができる。このため、メンテナンスの対象となる処理部以外の処理部で、処理液を用いた処理を基板に施すことができ、これにより、装置の処理効率の低下を抑制することができる。
【0014】
請求項2記載の発明は、各処理液配管における前記処理液バルブよりも処理液流通方向の下流側の部分から処理液を抜き取る処理液抜取手段(22,24,25,32,34,35,42,44,45,52,54,55)をさらに含む、請求項1に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、各処理液配管において、処理液バルブよりも処理液流通方向の下流側の部分から処理液を抜き取ることができる。このため、所望の処理部に対応する処理液配管を処理液バルブによって閉じるとともに、当該処理液配管における処理液バルブよりも処理液流通方向の下流側の部分から処理液を抜き取ることにより、処理液配管中に処理液がない状態で処理部のメンテナンスを行うことができる。
【0015】
請求項3記載の発明は、前記処理液抜取手段は、前記処理液配管における前記処理液バルブと前記処理部との間の部分に接続され、前記処理液配管に純水を供給する純水配管(22,32,42,52)を備えている、請求項2に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、純水配管から処理液配管に純水が供給される。この純水によって、処理液配管から処理液を押し出すことができる。
【0016】
請求項4記載の発明は、各処理液配管は、両端(20A,20B,30A,30B,40A,40B,50A,50B)が前記処理液供給源に接続され、途中部が前記処理部を経由する循環配管(CP1,CP2,CP3,CP4)であり、前記処理液抜取手段は、前記処理液配管における前記処理部よりも処理液流通方向の下流側の部分に分岐接続された廃液配管(24,34,44,54)と、各処理液配管における前記廃液配管の分岐接続部分に介装された3方弁(25,35,45,55)とを備えている、請求項2または3に記載の基板処理装置である。
【0017】
この構成によれば、処理液配管における処理部よりも処理液流通方向の下流側の部分に廃液配管が分岐接続されている。各処理液配管における廃液配管の分岐接続部分(以下、この項において「廃液分岐部分」という。)には、3方弁が介装されている。この3方弁によって、循環配管における廃液分岐部分よりも処理液流通方向の上流側の部分(以下、この項において単に「上流側部分」という。)が、循環配管における廃液分岐部分よりも下流側の部分(以下、この項において単に「下流側部分」という。)と連通する状態と、上流側部分が廃液配管と連通する状態とに切り替えることができる。上流側部分が下流側部分と連通するときには、循環配管を処理液が循環し、処理液は廃液配管に供給されない。一方、上流側部分が廃液配管と連通するときには、上流側部分を流通する処理液は廃液配管に導入され、当該廃液配管を通して廃棄される。これにより、上流側部分を廃液配管と連通させることにより、処理液配管から処理液を抜き取ることができる。
【0018】
請求項5記載の発明は、処理液供給源(14)と、基板(W)に対して処理液による処理を行うための複数の処理部(P1,P2,P3,P4)と、各処理部に対応して設けられ、両端(20A,20B,30A,30B,40A,40B,50A,50B)が前記処理液供給源に接続され、途中部が前記処理部を経由する循環配管(CP1,CP2,CP3,CP4)と、各循環配管における前記処理部よりも処理液流通方向の上流側の部分に介装されて、当該循環配管を開閉するための処理液バルブ(21,31,41,51)と、各循環配管における前記処理液バルブと前記処理部との間の部分に接続され、前記処理液配管に純水を供給する純水配管(22,32,42,52)と、各純水配管に介装されて、当該純水配管を開閉するための純水バルブ(23,33,43,53)と、各循環配管における前記処理部よりも処理液流通方向の下流側の部分に分岐接続された廃液配管(24,34,44,54)と、各循環配管における前記廃液配管の分岐接続部分に介装された3方弁(25,35,45,55)と、処理液の供給停止の対象となる前記処理部を指定するために操作される操作部(61,62,63,64)と、前記操作部の操作により指定された前記処理部に対応する前記循環配管上の前記処理液バルブを閉じ、当該循環配管に接続された前記純水配管上の前記純水バルブを開き、当該循環配管と前記廃液配管とが連通するように前記3方弁を切り替えるバルブ制御手段(60)とを含む、基板処理装置である。
【0019】
この構成によれば、操作部の操作により、処理液の供給停止の対象となる処理部が指定される。そして、指定された処理部(以下、この項において単に「指定処理部」という。)に対応する処理液バルブが閉じられて、指定処理部に対応する処理液配管の処理液バルブの流通方向の下流側の部分への処理液供給が停止される。
また、指定処理部に対応する純水バルブが開かれるとともに、指定処理部に対応する3方弁が上流側部分と廃液配管とが連通するように切り替えられる。これにより、指定処理部に対応する純水配管からの純水が処理液配管における純水配管の分岐接続部分(以下、この項において「純水分岐部分」という。)から処理液配管に供給される。そして、純水は、処理液配管を流通した後、処理液配管における廃液分岐部分から廃液配管に導入されて、廃液される。したがって、処理液配管における純水分岐部分と廃液分岐部分との間の部分の処理液が、純水によって押し出され、当該部分から抜き取られる。これにより、簡単な操作により、指定処理部から処理液を除去することができる。
【0020】
請求項6記載の発明は、各処理部は、処理対象の基板(W)を1枚ずつ収容可能な処理室(5A〜5L)を複数備え、各処理室に対応して設けられ、基端(77A)が処理液配管に分岐接続され、先端(77B)が前記処理室に接続され、前記処理液配管を流通する処理液を前記処理室に分配するための分配管(77)をさらに含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
【0021】
この構成によれば、各処理液配管を流通する処理液は、分配管を通して複数の処理室に分配される。したがって、各処理室に対応して、処理液配管を設ける場合と比較して、配管の構成を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の一実施形態に係る基板処理装置の構成を図解的に示す斜視図である。
【図2】図1に示す基板処理装置の構成を図解的に示す平面図である。
【図3】図1に示す基板処理装置の配管構造図である。
【図4】図1に示す処理室の内部構成を図解的に示す断面図である。
【図5】処理室への処理液供給停止動作を示すフローチャートである。
【図6】従来の基板処理装置を図解的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る基板処理装置の図解的な斜視図であり、図2は、その平面図である。この基板処理装置は、半導体ウエハなどのウエハ(基板)W(図4参照)に薬液(処理液)を供給して一枚ずつ処理する枚葉式の装置である。
図1に示す基板処理装置は、フレーム1内に、所定の水平方向に延びる搬送室2が形成された基板処理部3と、この基板処理部3に対して平面視で搬送室2の長手方向の一方側に結合されたインデクサ部4とを備えている。
【0024】
基板処理部3では、搬送室2の長手方向と直交する方向の一方側に、第1処理部P1および第3処理部P3が搬送室2に沿ってインデクサ部4側から順に並べて配置されている。また、搬送室2を挟んで第1および第3処理部P1,P3とそれぞれ対向する位置に、第2処理部P2および第4処理部P4が配置されている。第4処理部P4の第2処理部P2と反対側に、薬液キャビネット6が配置されている。
【0025】
各処理部P1〜P3は、3段に積み重ねられた3つの処理室5A〜5C,5D〜5F,5G〜5I,5J〜Lを備えている。すなわち、基板処理部3は、12つの処理室5A〜5Lを備えている。
第1処理部P1では、下方から順に、3つの処理室5A、処理室5Bおよび処理室5Cが積み重ねられている。また、第1処理部P1は、3つの分配管77(後述する。図4参照)を備えている。分配管77は、各処理室5A〜5Cに対応して設けられている。
【0026】
第2処理部P2では、下方から順に、処理室5D、処理室5Eおよび処理室5Fが積み重ねられている。また、第2処理部P2は、3つの分配管77を備えている(後述する。図4参照)。分配管77は、各処理室5D〜5Fに対応して設けられている。
第3処理部P3では、下方から順に、処理室5G、処理室5Hおよび処理室5Iが積み重ねられている。また、第3処理部P3は、3つの分配管77を備えている(後述する。図4参照)。分配管77は、各処理室5G〜5Iに対応して設けられている。
【0027】
第4処理部P4では、下方から順に、処理室5J、処理室5Kおよび処理室5Lが積み重ねられている。また、第4処理部P4は、3つの分配管77を備えている(後述する。図4参照)。分配管77は、各処理室5J〜5Lに対応して設けられている。
搬送室2は、図2に示すように基板搬送ロボット7(図2参照)が配置されている。基板搬送ロボット7は、各処理室5A〜5Lに対してハンドをアクセスさせて、この処理室5A〜5LにウエハW(図4参照)を搬出入させることができる。
【0028】
インデクサ部4には、図2に示すようにインデクサロボット8が配置されている。インデクサ部4の基板処理部3と反対側には、複数枚のウエハWを多段に積層して収容するカセット(図示しない)が複数並べて配置されるカセット載置部(図示しない)が設けられている。インデクサロボット8は、カセット載置部に配置されたカセットにハンドをアクセスさせて、カセットからウエハWを取り出したり、カセットにウエハWを収納したりすることができる。また、インデクサロボット8は、基板搬送ロボット7との間でウエハWの受け渡しを行うことができる。
【0029】
図3は、図1に示す基板処理装置の配管構造図である。
薬液キャビネット6は隔壁で区画されており、その内部には、処理室5A〜5Lに供給すべき薬液を溜めておくための薬液タンク10が収容されている。薬液タンク10に貯留される薬液として、SC1(アンモニア過酸化水素水混合液)、SC2(塩酸過酸化水素水混合液)、SPM(sulfuric acid/hydrogen peroxide mixture:硫酸過酸化水素水混合液)、フッ酸、バファードフッ酸(Buffered HF:フッ酸とフッ化アンモニウムとの混合液)などを例示することができる。薬液タンク10には、薬液が循環する集合循環配管11の先端および基端が接続されている。
【0030】
集合循環配管11の途中部には、薬液タンク10側から順に、薬液タンク10に溜められている薬液を汲み出すためのポンプ12と、集合循環配管11中を流通する薬液中に含まれている比較的小さな異物を捕捉して除去するためのフィルタ13とが介装されている。
集合循環配管11には、第1処理部P1に薬液を供給するための第1循環配管CP1、第2処理部P2に薬液を供給するための第2循環配管CP2、第3処理部P3に薬液を供給するための第3循環配管CP3、および第4処理部P4に薬液を供給するための第4循環配管CP4が接続されている。この実施形態では、薬液タンク10および集合循環配管11が薬液キャビネット6に収容されており、これら薬液タンク10および集合循環配管11によって、複数の循環配管CP1,CP2,CP3,CP4に対して薬液を供給する薬液供給源14(処理液供給源)が構成されている。
【0031】
第1循環配管CP1の基端20Aおよび先端20Bは、集合循環配管11におけるフィルタ13の薬液流通方向(以下、「流通方向」という。)の下流側の部分に接続されている。第1循環配管CP1は、薬液キャビネット6から第1処理部P1に向けて延び、第1処理部P1を経由して、薬液キャビネット6へと戻っている。具体的には、第1循環配管CP1は、3段に積み重ねられる処理室5A〜5Cの隔壁の近接位置をそれぞれ経由している。第1循環配管CP1には、第1循環配管CP1を流通する薬液を処理室5A〜5Cに分配するための3つの分配管77(図4参照)が接続されている。この分配管77は各処理室5A〜5Cに対応して設けられている。
【0032】
第1循環配管CP1における第1処理部P1の流通方向の上流側の部分には、第1循環配管CP1を開閉するための第1薬液バルブ(処理液バルブ)21が介装されている。第1循環配管CP1における第1薬液バルブ21と第1処理部P1と間の部分には、第1循環配管CP1に純水を供給するための第1純水配管22の先端が分岐接続されている。第1純水配管22の基端は、純水供給源に接続された集合純水配管16に分岐接続されている。第1純水配管22の途中部には、第1純水配管22を開閉するための第1純水バルブ23が接続されている。第1純水バルブ23が開かれることにより、第1循環配管CP1における第1純水配管22の純水分岐部分DD1から、第1循環配管CP1に純水が供給される。
【0033】
第1循環配管CP1における第1処理部P1の流通方向の下流側の部分には、第1循環配管CP1から薬液および純水を廃液するための第1廃液配管24が分岐接続されている。第1循環配管CP1における第1廃液配管24の廃液分岐部分DW1には、第1の3方弁25が介装されている。第1の3方弁25は、第1循環配管CP1における第1廃液配管24の廃液分岐部分DW1よりも流通方向の上流側の部分(以下、「第1上流側部分」という。)26が廃液分岐部分DW1よりも流通方向の下流側の部分(以下、「第1下流側部分」という。)27と連通する状態と、第1上流側部分26が第1廃液配管24と連通する状態とに切り替えるためのものである。第1上流側部分26が第1下流側部分27と連通するときには、第1循環配管CP1を薬液が循環し、薬液は第1廃液配管24に供給されない。一方、第1上流側部分26が第1廃液配管24と連通するときには、薬液および/または純水は第1廃液配管24に供給され、第1廃液配管24を通して廃棄される。
【0034】
第2循環配管CP2の基端30Aおよび先端30Bは、集合循環配管11におけるフィルタ13の流通方向の下流側の部分に接続されている。第2循環配管CP2は、集合循環配管11から第2処理部P2に向けて延び、第2処理部P2を経由して、集合循環配管11へと戻っている。具体的には、第2循環配管CP2は、3段に積み重ねられる処理室5D〜5Fの隔壁の近接位置をそれぞれ経由している。第2循環配管CP2には、第2循環配管CP2を流通する薬液を処理室5D〜5Fに分配するための3つの分配管77(図4参照)が接続されている。この分配管77は各処理室5D〜5Fに対応して設けられている。
【0035】
第2循環配管CP2における第2処理部P2の流通方向の上流側の部分には、第2循環配管CP2を開閉するための第2薬液バルブ(処理液バルブ)31が介装されている。第2循環配管CP2における第2薬液バルブ31と第2処理部P2と間の部分には、第2循環配管CP2に純水を供給するための第2純水配管32の先端が分岐接続されている。第2純水配管32の基端は、純水供給源に接続された集合純水配管16に分岐接続されている。第2純水配管32の途中部には、第2純水配管32を開閉するための第2純水バルブ33が接続されている。第2純水バルブ33が開かれることにより、第2循環配管CP2における第2純水配管32の純水分岐部分DD2から、第2循環配管CP2に純水が供給される。
【0036】
第2循環配管CP2における第2処理部P2の流通方向の下流側の部分には、第2循環配管CP2から薬液および純水を廃液するための第2廃液配管34が分岐接続されている。第2循環配管CP2における第2廃液配管34の廃液分岐部分DW2には、第2の3方弁35が介装されている。第2の3方弁35は、第2循環配管CP2における第2廃液配管34の廃液分岐部分DW2よりも流通方向の上流側の部分(以下、「第2上流側部分」という。)36が廃液分岐部分DW2よりも流通方向の下流側の部分(以下、「第2下流側部分」という。)37と連通する状態と、第2上流側部分36が第2廃液配管34と連通する状態とに切り替えるためのものである。第2上流側部分36が第2下流側部分37と連通するときには、第2循環配管CP2を薬液が循環し、薬液は第2廃液配管34に供給されない。一方、第2上流側部分36が第2廃液配管34と連通するときには、薬液および/または純水は第2廃液配管34に供給され、第2廃液配管34を通して廃棄される。
【0037】
第3循環配管CP3の基端40Aおよび先端40Bは、集合循環配管11におけるフィルタ13の流通方向の下流側の部分に接続されている。第3循環配管CP3は、集合循環配管11から第3処理部P3に向けて延び、第3処理部P3を経由して、集合循環配管11へと戻っている。具体的には、第3循環配管CP3は、3段に積み重ねられる処理室5G〜5Iの隔壁の近接位置をそれぞれ経由している。第3循環配管CP3には、第3循環配管CP3を流通する薬液を処理室5G〜5Iに分配するための3つの分配管77(図4参照)が接続されている。この分配管77は各処理室5G〜5Iに対応して設けられている。
【0038】
第3循環配管CP3における第3処理部P3の流通方向の上流側の部分には、第3循環配管CP3を開閉するための第3薬液バルブ(処理液バルブ)41が介装されている。第3循環配管CP3における第3薬液バルブ41と第3処理部P3と間の部分には、第3循環配管CP3に純水を供給するための第3純水配管42の先端が分岐接続されている。第3純水配管42の基端は、純水供給源に接続された集合純水配管16に分岐接続されている。第3純水配管42の途中部には、第3純水配管42を開閉するための第3純水バルブ43が接続されている。第3純水バルブ43が開かれることにより、第3循環配管CP3における第3純水配管42の純水分岐部分DD3から、第3循環配管CP3に純水が供給される。
【0039】
第3循環配管CP3における第3処理部P3の流通方向の下流側の部分には、第3循環配管CP3から薬液および純水を廃液するための第3廃液配管44が分岐接続されている。第3循環配管CP3における第3廃液配管44の廃液分岐部分DW3には、第3の3方弁45が介装されている。第3の3方弁45は、第3循環配管CP3における第3廃液配管44の廃液分岐部分DW3よりも流通方向の上流側の部分(以下、「第3上流側部分」という。)46が廃液分岐部分DW3よりも流通方向の下流側の部分(以下、「第3下流側部分」という。)47と連通する状態と、第3上流側部分46が第3廃液配管44と連通する状態とに切り替えるためのものである。第3上流側部分46が第3下流側部分47と連通するときには、第3循環配管CP3を薬液が循環し、薬液は第3廃液配管44に供給されない。一方、第3上流側部分46が第3廃液配管44と連通するときには、薬液および/または純水は第3廃液配管44に供給され、第3廃液配管44を通して廃棄される。
【0040】
第4循環配管CP4の基端50Aおよび先端50Bは、集合循環配管11におけるフィルタ13の流通方向の下流側の部分に接続されている。第4循環配管CP4は、集合循環配管11から第4処理部P4に向けて延び、第4処理部P4を経由して、集合循環配管11へと戻っている。具体的には、第4循環配管CP4は、3段に積み重ねられる処理室5J〜5Lの隔壁の近接位置をそれぞれ経由している。第4循環配管CP4には、第4循環配管CP4を流通する薬液を処理室5J〜5Lに分配するための3つの分配管77(図4参照)が接続されている。この分配管77は各処理室5J〜5Lに対応して設けられている。
【0041】
第4循環配管CP4における第4処理部P4の流通方向の上流側の部分には、第4循環配管CP4を開閉するための第4薬液バルブ(処理液バルブ)51が介装されている。第4循環配管CP4における第4薬液バルブ51と第4処理部P4と間の部分には、第4循環配管CP4に純水を供給するための第4純水配管52の先端が分岐接続されている。第4純水配管52の基端は、純水供給源に接続された集合純水配管16に分岐接続されている。第4純水配管52の途中部には、第4純水配管52を開閉するための第4純水バルブ53が接続されている。第4純水バルブ53が開かれることにより、第4循環配管CP4における第4純水配管52の純水分岐部分DD4から、第4循環配管CP4に純水が供給される。
【0042】
第4循環配管CP4における第4処理部P4の流通方向の下流側の部分には、第4循環配管CP4から薬液および純水を廃液するための第4廃液配管54が分岐接続されている。第4循環配管CP4における第4廃液配管54の廃液分岐部分DW4には、第4の3方弁55が介装されている。第4の3方弁55は、第4循環配管CP4における第4廃液配管54の廃液分岐部分DW4よりも流通方向の上流側の部分(以下、「第4上流側部分」という。)56が廃液分岐部分DW4よりも流通方向の下流側の部分(以下、「第4下流側部分」という。)57と連通する状態と、第4上流側部分56が第4廃液配管54と連通する状態とに切り替えるためのものである。第4上流側部分56が第4下流側部分57と連通するときには、第4循環配管CP4を薬液が循環し、薬液は第4廃液配管54に供給されない。一方、第4上流側部分56が第4廃液配管54と連通するときには、薬液および/または純水は第4廃液配管54に供給され、第4廃液配管54を通して廃棄される。
【0043】
装置運転中は、ポンプ12が常に駆動されている。また、第1〜第4薬液バルブ21,31,41,51が開かれているとともに第1〜第4の3方弁25,35,45,55は、第1〜第4上流側部分26,36,46,56と第1〜第4下流側部分27,37,47,57とが連通する状態に設定されている。さらに、第1〜第4純水バルブ23,33,43,53が常に閉状態にされている。このため、第1循環配管CP1、第2循環配管CP2、第3循環配管CP3および第4循環配管CP4をそれぞれ薬液が循環している。第1〜第4循環配管CP1,CP2,CP3,CP4に薬液を循環させておくことによって、分配バルブ78(後述する。図4参照)の開成後速やかに、薬液を各処理室5A〜5Lに供給することができる。
【0044】
図1の基板処理装置は、たとえば、マイクロコンピュータで構成される制御部60を備えている。制御部60には、第1薬液バルブ21、第1純水バルブ23、第1の3方弁25、第2薬液バルブ31、第2純水バルブ33、第2の3方弁35、第3薬液バルブ41、第3純水バルブ43、第3の3方弁45、第4薬液バルブ51、第4純水バルブ53および第4の3方弁55が制御対象として接続されている。
【0045】
また、制御部60には、基板処理装置の外側面に配置された操作パネル65が接続されている。操作パネル65は、第1処理部P1への薬液供給を停止するために操作される第1供給停止スイッチ61、第2処理部P2への薬液供給を停止するために操作される第2供給停止スイッチ62、第3処理部P3への薬液供給を停止するために操作される第3供給停止スイッチ63および第4処理部P4への薬液供給を停止するために操作される第4供給停止スイッチ64を備えている。各供給停止スイッチ61,62,63,64が押操作されると、薬液供給を停止する停止信号が制御部60に入力されるようになっている。
【0046】
図4は、処理室5A〜5Lの内部構成を図解的に示す断面図である。複数の処理室5A〜5Lは共通の構成を有している。処理室5A〜5Lの内部構成を、第1処理部P1の処理室5Aを例にとって説明する。
処理室5A内には、ウエハWをほぼ水平に保持して回転させるためのスピンチャック70と、スピンチャック70に保持されたウエハWの表面の中央部に、薬液を供給するための薬液ノズル71と、スピンチャック70に保持されたウエハWの表面の中央部にリンス液としての純水(脱イオン化された水)を供給するための純水ノズル72と、スピンチャック70の周囲を取り囲み、ウエハWから流下または飛散する薬液や純水を受け取るための容器状のカップ73とが収容されている。
【0047】
スピンチャック70は、モータ74と、このモータ74の回転駆動力によって鉛直軸線まわりに回転される円盤状のスピンベース75と、スピンベース75の周縁部の複数箇所にほぼ等間隔で設けられ、ウエハWをほぼ水平な姿勢で挟持するための複数個の挟持部材76とを備えている。これにより、スピンチャック70は、複数個の挟持部材76によってウエハWを挟持した状態で、モータ74の回転駆動力によってスピンベース75を回転させることにより、そのウエハWを、ほぼ水平な姿勢を保った状態で、スピンベース75とともに鉛直軸線まわりに回転させることができる。
【0048】
なお、スピンチャック70としては、このような構成のものに限らず、たとえば、ウエハWの裏面(非デバイス形成面)を真空吸着することにより、ウエハWを水平な姿勢で保持し、さらにその状態で鉛直な軸線まわりに回転することにより、その保持したウエハWを回転させることができる真空吸着式のバキュームチャックが採用されてもよい。
薬液ノズル71は、スピンチャック70の上方で、吐出口をウエハWの回転中心付近に向けて配置されている。薬液ノズル71には、分配管77の先端77Bが接続されている。分配管77の基端77Aは、処理室5Aの隔壁の近接位置を経由している第1循環配管CP1に分岐接続されている。分配管77の途中部には、この分配管77を開閉するための分配バルブ78が介装されている。また、分配管77の途中部(たとえば分配管77における分配バルブ78の流通方向の上流側の部分)には、分配管77を流通する薬液の流量を計るための流量計(図示しない)が介装されている。分配バルブ78が開かれると、第1循環配管CP1を流通する薬液が、第1循環配管CP1における分配管77の分岐接続部分DSから分配管77を通って、薬液ノズル71に供給される。そして、薬液ノズル71の吐出口から薬液が吐出される。
【0049】
純水ノズル72は、スピンチャック70の上方で、吐出口をウエハWの回転中心付近に向けて配置されている。この純水ノズル72には、純水供給源からの純水を供給するための第5純水配管79が接続されている。第5純水配管79の途中部には、第5純水配管79を開閉するための第5純水バルブ80が介装されている。
なお、薬液ノズル71は、スピンチャック70に対して固定的に配置されている必要はなく、たとえば、スピンチャック70の上方において水平面内で揺動可能なアームに取り付けられて、このアームの揺動によりウエハWの表面における薬液の着液位置がスキャンされる、いわゆるスキャンノズルの形態が採用されてもよい。また、純水ノズル72についても、スピンチャック70に対して固定的に配置されている必要はなく、いわゆるスキャンノズルの形態が採用されてもよい。
【0050】
次に、処理室5Aで実行される処理例について説明する。
ウエハWの処理に際し、搬送ロボット(図示しない)によって、未処理のウエハWが基板処理装置に搬入され、その表面を上方に向けた状態で、スピンチャック70に保持される。ウエハWがスピンチャック70に保持された後、モータ74が駆動されて、スピンチャック70(スピンベース75)が所定の液処理回転速度で回転される。
【0051】
また、分配バルブ78が開かれて、薬液ノズル71からウエハWの表面の中央部に薬液が供給される。ウエハWの表面に供給された薬液は、ウエハWの回転による遠心力を受けて、ウエハWの表面を周縁に向けて流れ、ウエハWの表面全域に行き渡り、ウエハWの表面に存在するパーティクルなどの汚染物質が除去される(薬液処理)。ウエハWの周縁から側方に向けて飛散する薬液は、カップ73によって受け止められる。
【0052】
薬液処理の開始から所定時間が経過すると、分配バルブ78が閉じられて、薬液供給が停止される。その後、第5純水バルブ80が開かれて、純水ノズル72からウエハWの表面の中央部に向けて純水が吐出される。ウエハWの表面に供給された純水は、ウエハWの回転による遠心力を受けて、ウエハWの表面を中央部から周縁に向けて流れ、ウエハWの表面に付着している薬液が純水によって洗い流される(リンス処理)。ウエハWの周縁から側方に向けて飛散する純水は、カップ73によって受け止められる。
【0053】
リンス処理の開始から所定時間が経過すると、第5純水バルブ80が閉じられて、純水の供給が停止される。その後、モータ74が駆動されて、ウエハWの回転速度が所定の高回転速度(たとえば、2500rpm)に上げられて、ウエハWに付着している純水を振り切って乾燥されるスピンドライ処理が行われる。このスピンドライ処理によって、ウエハWに付着している純水が除去される。スピンドライ処理が所定時間にわたって行われると、スピンチャック70の回転が停止され、その後、基板搬送ロボットによって処理済のウエハWが処理室5A外に搬出される。
【0054】
ところで、分配管77に介装された配管機器(分配バルブ78や流量計など)に故障が生じると、その配管機器に修理・交換などのメンテナンスを行うために、分配管77や、循環配管CP1,CP2,CP3,CP4における分配管77の分岐接続部分DSの周囲の部分から薬液を除去する必要がある。この基板処理装置では、操作パネル(図示しない)に配置された第1〜第4供給停止スイッチ61,62,63,64のいずれかが押操作されると、押操作された供給停止スイッチ61,62,63,64に対応する処理部P1,P2,P3,P4への薬液供給が停止される。
【0055】
図5は、処理部P1,P2,P3,P4への薬液供給の停止処理の流れを示すフローチャートである。
作業者は、薬液供給を停止させるべき処理部P1,P2,P3,P4に対応する供給停止スイッチ61,62,63,64を押操作する。供給停止スイッチP1,P2,P3,P4のいずれかが押操作されると(ステップS1)、薬液供給を停止させるべき処理部P1,P2,P3,P4が指定される。そして、指定された処理部(以下、この項において単に「指定処理部」という。)に対応する薬液バルブ21,31,41,51が閉じられて(ステップS2)、指定処理部に対応する循環配管CP1,CP2,CP3,CP4の薬液バルブ21,31,41,51の流通方向の下流側の部分への薬液供給が停止される。
【0056】
また、指定処理部に対応する純水バルブ23,33,43,53が開かれるとともに(ステップS3)、指定処理部に対応する3方弁25,35,45,55が上流側部分26,36,46,56と廃液配管24,34,44,54とが連通するように切り替えられる(ステップS4)。これにより、指定処理部に対応する純水配管22,32,42,52からの純水が、純水分岐部分DD1〜DD4から循環配管CP1,CP2,CP3,CP4に供給される。そして、純水は、循環配管CP1,CP2,CP3,CP4を流通した後、廃液分岐部分DW1〜DW4から廃液配管24,34,44,54に導入されて、廃液される。したがって、循環配管CP1,CP2,CP3,CP4における純水分岐部分DD1〜DD4と廃液分岐部分DW1〜DW4との間の部分の薬液が、純水によって押し出され、当該部分から抜き取られる。
【0057】
これにより、簡単な操作により、指定処理部(分配管77や、循環配管CP1,CP2,CP3,CP4における分配管77の分岐接続部分DSの周囲の部分)から薬液を除去することができる。
そして、所定の薬液抜取り時間が経過すると、指定処理部に対応する純水バルブ23,33,43,53が閉じられるとともに(ステップS6)、指定処理部に対応する3方弁25,35,45,55が、上流側部分26,36,46,56と下流側部分27,37,47,57とが連通するように切り替えられ(ステップS7)、この薬液供給停止処理は終了する。その後、薬液が除去された指定処理部に対して、修理・交換などのメンテナンスを行うことができる。
【0058】
第1処理部P1が指定処理部である場合を例にとって説明すると、作業者によって第1供給停止スイッチ61が押操作されると、第1薬液バルブ21が閉じられて、第1循環配管CP1の第1薬液バルブ21の流通方向の下流側の部分への薬液供給が停止される。また、第1純水バルブ23が開かれるとともに、第1の3方弁25が第1上流側部分26と第1廃液配管24とが連通するように切り替えられる。これにより、第1純水配管22からの純水が、第1純水分岐部分DD1から第1循環配管CP1に供給される。そして、純水は、第1循環配管CP1を流通した後、第1廃液分岐部分DW1から第1廃液配管24に導入されて、廃液される。したがって、第1循環配管CP1における第1純水分岐部分DD1と第1廃液分岐部分DW1との間の部分の薬液が、純水によって押し出され、当該部分から抜き取られる。
【0059】
そして、所定の薬液抜取り時間が経過すると、第1純水バルブ23が閉じられるとともに(ステップS6)、第1の3方弁25が、第1上流側部分26と第1下流側部分27とが連通するように切り替えられる(ステップS7)。
以上により、この実施形態によれば、各処理部P1,P2,P3,P4と薬液供給源14とが、個別の循環配管CP1,CP2,CP3,CP4を介して接続されている。そして、各循環配管CP1,CP2,CP3,CP4の途中部に介装された薬液バルブ21,31,41,51により、各処理部P1,P2,P3,P4に対応する循環配管CP1,CP2,CP3,CP4を個別に開閉することができる。これにより、所望の処理部P1,P2,P3,P4のみを薬液の供給停止の対象とすることができる。
【0060】
また、各循環配管CP1,CP2,CP3,CP4において、薬液バルブ21,31,41,51よりも流通方向の下流側の部分から薬液を抜き取ることができる。このため、所望の処理部P1,P2,P3,P4に対応する循環配管CP1,CP2,CP3,CP4において、薬液バルブ21,31,41,51が閉じられるとともに、薬液バルブ21,31,41,51よりも流通方向の下流側の部分から薬液が抜き取られることにより、循環配管CP1,CP2,CP3,CP4に薬液がない状態で処理部P1,P2,P3,P4のメンテナンスを行うことができる。
【0061】
したがって、指定処理部(第1処理部P1)に修理・交換などのメンテナンスを行う場合、その第1処理部P1のみに対する薬液供給を停止した状態で、他の処理部P2,P3,P4には、薬液供給を継続することができる。このため、指定処理部(第1処理部P1)以外の処理部P2,P3,P4では、薬液を用いた処理をウエハWに施すことができ、これにより、装置の処理効率の低下を抑制することができる。
【0062】
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は、他の形態で実施することもできる。
前述の実施形態では、各循環配管CP1,CP2,CP3,CP4に供給される純水により、循環配管CP1,CP2,CP3,CP4内の薬液を抜き取る構成について説明したが、これに代えて、各循環配管CP1,CP2,CP3,CP4に窒素ガスなどの不活性ガスを供給することにより、循環配管CP1,CP2,CP3,CP4内の薬液を抜き取る構成であってもよい。
【0063】
また、第1〜第4循環配管CP1,CP2,CP3,CP4の途中部に、循環配管中を流通するCP1,CP2,CP3,CP4を加熱して、予め定める所定温度に温度調節する温度調節ユニットが介装されていてもよい。
さらに、各処理部P1,P2,P3,P4に含まれる複数の処理室5A〜5Lが3段に積み重ねられる構成に限られず、2段に積み重ねられる構成であってもよいし、4段以上に積み重ねられる構成であってもよい。
【0064】
また、各処理部P1,P2,P3,P4に含まれる複数の処理室5A〜5C,5D〜5F,5G〜5H,5I〜5Jは、積み重ねられる構成(いわゆる積層構造)には限られない。装置が、複数の処理室が水平方向に沿って配列された、いわゆる平積みタイプのものである場合は、隣接する複数の処理室によって各処理部が構成されていてもよい。
さらに、各処理部P1,P2,P3,P4は1つの処理室しか含まない構成、すなわち、複数の循環配管CP1,CP2,CP3,CP4が各処理室に対応して設けられ、薬液供給源14からの薬液を、1つの各処理室毎に供給または停止できる構成であってもよい。
【0065】
また、全ての処理室5A〜5Lに薬液供給源14からの薬液が供給されずに、一部の処理室のみに薬液供給源14からの薬液が供給される構成であってもよい。
さらにまた、処理室5A〜5Lに薬液を供給する配管は、循環配管でなく、各処理室5A〜5Lから薬液供給源14への戻り路が設けられていない構成であってもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0066】
14 薬液供給源(処理液供給源)
20A,30A,40A,50A 基端
20B,30B,40B,50B 先端
21 第1薬液バルブ(処理液バルブ)
22 第1純水配管
23 第1純水バルブ
24 第1廃液配管
25 第1の3方弁
31 第2薬液バルブ(処理液バルブ)
32 第2純水配管
33 第2純水バルブ
34 第2廃液配管
35 第2の3方弁
41 第3薬液バルブ(処理液バルブ)
42 第3純水配管
43 第3純水バルブ
44 第3廃液配管
45 第3の3方弁
51 第4薬液バルブ(処理液バルブ)
52 第4純水配管
53 第4純水バルブ
54 第4廃液配管
55 第4の3方弁
60 制御部(バルブ制御手段)
61 第1供給停止スイッチ(操作部)
62 第2供給停止スイッチ(操作部)
63 第3供給停止スイッチ(操作部)
64 第4供給停止スイッチ(操作部)
CP1 第1循環配管
CP2 第2循環配管
CP3 第3循環配管
CP4 第4循環配管
P1 第1処理部
P2 第2処理部
P3 第3処理部
P4 第4処理部
W ウエハ(基板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理液供給源と、
基板に対して処理液による処理を行うための複数の処理部と、
各処理部に対応して設けられ、基端が前記処理液供給源に接続され、前記処理液供給源からの処理液を各処理部に供給するための処理液配管と、
各処理液配管の途中部に介装されて、当該処理液配管を開閉するための処理液バルブとを含む、基板処理装置。
【請求項2】
各処理液配管における前記処理液バルブよりも処理液流通方向の下流側の部分から処理液を抜き取る処理液抜取手段をさらに含む、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記処理液抜取手段は、前記処理液配管における前記処理液バルブと前記処理部との間の部分に接続され、前記処理液配管に純水を供給する純水配管を備えている、請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
各処理液配管は、両端が前記処理液供給源に接続され、途中部が前記処理部を経由する循環配管であり、
前記処理液抜取手段は、
各処理液配管における前記処理部よりも処理液流通方向の下流側の部分に分岐接続された廃液配管と、
各処理液配管における前記廃液配管の分岐接続部分に介装された3方弁とを備えている、請求項2または3に記載の基板処理装置。
【請求項5】
処理液供給源と、
基板に対して処理液による処理を行うための複数の処理部と、
各処理部に対応して設けられ、両端が前記処理液供給源に接続され、途中部が前記処理部を経由する循環配管と、
各循環配管における前記処理部よりも処理液流通方向の上流側の部分に介装されて、当該循環配管を開閉するための処理液バルブと、
各循環配管における前記処理液バルブと前記処理部との間の部分に接続され、前記処理液配管に純水を供給する純水配管と、
各純水配管に介装されて、当該純水配管を開閉するための純水バルブと、
各循環配管における前記処理部よりも処理液流通方向の下流側の部分に分岐接続された廃液配管と、
各循環配管における前記廃液配管の分岐接続部分に介装された3方弁と、
処理液の供給停止の対象となる前記処理部を指定するために操作される操作部と、
前記操作部の操作により指定された前記処理部に対応する前記循環配管上の前記処理液バルブを閉じ、当該循環配管に接続された前記純水配管上の前記純水バルブを開き、当該循環配管と前記廃液配管とが連通するように前記3方弁を切り替えるバルブ制御手段とを含む、基板処理装置。
【請求項6】
各処理部は、処理対象の基板を1枚ずつ収容可能な処理室を複数備え、
各処理室に対応して設けられ、基端が処理液配管に分岐接続され、先端が前記処理室に接続され、前記処理液配管を流通する処理液を前記処理室に分配するための分配管をさらに含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−212488(P2010−212488A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−58029(P2009−58029)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】