説明

基板接続放熱シート及びBGA型半導体装置の実装方法

【課題】 基板へのBGAの実装及び取り外し作業を容易にするとともに、BGAの放熱性を向上させる。
【解決手段】 複数の凹部1aと、複数の凹部1aの各々に埋め込まれた電極ワイヤ1cと、表面又は/及び裏面に形成された複数の溝部1bとを備える基板接続放熱シート1の複数の凹部1aに、BGA2の複数のハンダボール2aを挿入し、基板接続放熱シート1を、BGA2と基板3との間に介装、密着させ、複数の電極ワイヤ1cを介して複数のハンダボール2aと、基板3の複数の信号パッド3aとを電気的に接続する。半田付けを行う必要がなく、BGA2の基板3への実装及び取り外が容易となる。放熱シート1がBGA2及び基板3に密着する際に、溝部1bより空気が押し出され、密着面に空気が溜まることがないため、高い放熱性を実現することができ、特に宇宙機器用のBGA接続構造に好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信機器、制御機器等のデジタル機器等において、多ピンICパッケージであるBGA型半導体装置を基板に実装する際に用いられる基板接続放熱シート、及びこの基板接続放熱シートを用いたBGA型半導体装置の実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、BGA(ボール・グリッド・アレイ)半導体装置(以下、「BGA」という)は、基板に半田付けにて実装されている。例えば、図4に示すように、BGA22の本体に設けられたハンダボール22aを用い、基板23の信号パッド23aに半田付けされている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平8−172141号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の実装方法によると、BGA22のハンダボール22aによる半田付けを半田ごてを用いて行うことができないため、専用の半田付け装置が必要となるとともに、基板23に電気部品を実装した後、さらにBGA22を実装する場合には、周囲の電気部品の半田付け部が溶融しないようにするための対策が必要となり、基板23へのBGA22の実装及び取り外しを行うのが容易ではないという問題があった。
【0005】
また、特に宇宙機器においては、熱伝導による放熱が支配的であり、上記従来のBGA接続構造では、BGA22で発生した熱は、BGA22から、ハンダボール22a、基板23の信号パッド23a、基材、放熱用ベタパターン、基板取り付け部へと伝導し、最終的に、基板23を実装したケースへ放熱されるが、信号バッド22aと放熱用ベタパターンとの間の基材が大きな熱抵抗を有するため、BGA22の放熱性が悪いという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記従来の技術における問題点に鑑みてなされたものであって、基板へのBGAの実装及び取り外し作業を容易に行うことができるとともに、BGAの放熱性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、BGAと基板との間に介装される基板接続放熱シートであって、該BGAの複数のハンダボールに対応する位置に形成された複数の凹部と、該複数の凹部にBGAの複数のハンダボールが挿入され、該基板接続放熱シートが基板に装着された際に、前記複数のハンダボールと、前記基板の複数の信号パッドとを電気的に接続する複数の電極ワイヤとを備えることを特徴とする。
【0008】
そして、本発明によれば、基板接続放熱シートをBGA及び基板間に介装し、密着させることで、BGAのハンダボールと、基板の信号パッドとを電気的に接続することができるため、従来のような半田付けを行う必要がなく、BGAを基板に容易に実装したり、取り外すことができる。この際、放熱シートに形成した凹部によってBGAの位置決めを容易に行うこともでき、一般に使用されているBGAを使用することができる。
【0009】
前記基板接続放熱シートの表面又は/及び裏面に、複数の溝部を有するようにすることができる。。これによって、基板接続放熱シートがBGA及び基板に密着する際に、溝部より空気が押し出され、密着面に空気が溜まることがないため、高い放熱性を実現することができ、特に宇宙機器用のBGA接続構造に好適である。
【0010】
前記基板接続放熱シートの本体を、シリコンゴムで形成することができ、シリコンゴムは、柔軟性及び熱伝導性が高いので、BGA及び基板に密着させ易く、密着させた時に、溝部に溜まった空気が放熱シートの圧縮により押し出され、空気溜りのない密着面を容易に形成することができる。
【0011】
また、本発明は、BGAの実装方法であって、複数の凹部と、該複数の凹部の各々に埋め込まれた電極ワイヤと、表面又は/及び裏面に形成された複数の溝部とを備える基板接続放熱シートの前記複数の凹部に、BGAの複数のハンダボールを挿入し、該基板接続放熱シートを、BGAと基板との間に介装、密着させ、前記複数の電極ワイヤを介して前記複数のハンダボールと、前記基板の複数の信号パッドとを電気的に接続することを特徴とする。
【0012】
そして、本発明にかかるBGAの実装方法によれば、上述のように、半田付けが不要で、BGAを基板に容易に実装したり、取り外すことなどが可能となる。
【0013】
該基板接続放熱シートを、BGAと基板との間に介装、密着させるにあたって、前記BGAをブラケットを介して保持し、該ブラケットを、前記基板を貫通するねじを介して基板上に固定するようにすることができる。ブラケットとねじの係合及び係合の解除によって、容易に、BGAを基板に実装したり、取り外したりすることができる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明にかかる基板接続放熱シート及びBGAの実装方法によれば、基板へのBGAの実装及び取り外し作業を容易に行うことができるとともに、BGAの放熱性を向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明にかかる基板接続放熱シートの一実施の形態について、図1乃至図3を参照しながら説明する。
【0016】
本発明にかかる基板接続放熱シート(以下、「放熱シート」という)1は、シリコンゴム等の柔軟性の高い高熱伝導性材料からなり、図2に示すように、複数の凹部1aと、両面に形成された空気逃げの溝部1bと、図3に示すように、複数の凹部1aの各々に埋め込められた電極ワイヤ1cとを備え、図1に示すように、放熱シート1は、BGA2と基板3との間に挟み込まれる。
【0017】
放熱シート1の複数の凹部1aは、BGA2の複数のハンダボール2aに対応する位置に形成され、複数の凹部1aにBGA2の複数のハンダボール2aが挿入された際に、BGA2を位置決めする役割を果たす。
【0018】
また、凹部1aに埋め込められた電極ワイヤ1cは、BGA2と放熱シート1とを密着させた際に、ハンダボール2aと電気的に接続される。
【0019】
放熱シート1の両面に形成された溝部1bは、空気溜りが発生することを防止するために設けられ、放熱シート1とBGA2とを密着させた時に、溝部1bに溜まった空気は、放熱シート1が圧縮されることによって押し出され、空気溜りのない密着面を形成することができる。
【0020】
次に、上記放熱シート1を用いてBGA2を基板3に実装する方法について、図3を中心に参照しながら説明する。
【0021】
まず、放熱シート1を基板3の信号パッド3aの位置に合わせて基板3に取り付ける。次に、ハンダボール2aの位置を放熱シート1の凹部1aの位置に合わせてBGA2を放熱シート1に取り付ける。最後に、ブラケット4によってBGA2を保持し、ブラケット4を基板3を貫通するねじを介して基板3上に固定し、BGA2、放熱シート1及び基板3の放熱用ベタパターン3b間を密着させ、BGA2の基板3への実装が完了する(図1)。
【0022】
このように、BGA2と、放熱シート1と、基板3とをブラケットによって密着させることにより、BGA2と基板3との電気的接続を行うとともに、BGA2の熱を効率よく基板3の放熱用ベタパターン3bへ放熱させることができる。従って、半田付けを実施せずに、容易にBGA2と基板3間の電気的接続を行い、着脱も容易となり、かつ放熱シート1の柔軟性により、放熱シート1は、BGA2本体及び基板3の放熱用ベタパターン3bに密着し、さらに、放熱シート1の高熱伝導性によりBGA2の熱を効率よく基板3の放熱用ベタパターン3bへ放熱することができる。
【0023】
また、放熱シート1の両面には、密着時の空気溜り防止のため空気逃げの溝部1bが形成されているため、密着時に溝部1bに溜まった空気は、放熱シート1の圧縮により溝部1bから押し出され、空気溜りのない密着面を形成することができる。
【0024】
尚、上記実施の形態においては、空気逃げのための溝部1bの断面形状をコの字型としたが、U字状又はV字状の断面形状とすることもできる。あるいは、溝部1bを形成した際に形成される突起部をドーム型の形状等様々な形状とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明にかかる放熱シートを用いてBGAを基板に実装した状態を示す断面図である。
【図2】図1の放熱シートの斜視図である。
【図3】図1の放熱シートの実装要領を説明するための断面図である。
【図4】従来のBGA接続構造の一例を示す側面図である。
【符号の説明】
【0026】
1 放熱シート
1a 凹部
1b 溝部
1c 電極ワイヤ
2 BGA
2a ハンダボール
3 基板
3a 信号パッド
3b 放熱用ベタパターン
4 ブラケット
5 ねじ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
BGA型半導体装置と基板との間に介装される基板接続放熱シートであって、
該BGA型半導体装置の複数のハンダボールに対応する位置に形成された複数の凹部と、
該複数の凹部にBGA型半導体装置の複数のハンダボールが挿入され、該基板接続放熱シートが基板に装着された際に、前記複数のハンダボールと、前記基板の複数の信号パッドとを電気的に接続する複数の電極ワイヤとを備えることを特徴とする基板接続放熱シート。
【請求項2】
さらに、該基板接続放熱シートの表面又は/及び裏面に、複数の溝部を有することを特徴とする請求項1に記載の基板接続放熱シート。
【請求項3】
前記基板接続放熱シートの本体は、シリコンゴムからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の基板接続放熱シート。
【請求項4】
複数の凹部と、該複数の凹部の各々に埋め込まれた電極ワイヤと、表面又は/及び裏面に形成された複数の溝部とを備える基板接続放熱シートの前記複数の凹部に、BGA型半導体装置の複数のハンダボールを挿入し、
該基板接続放熱シートを、BGA型半導体装置と基板との間に介装、密着させ、前記複数の電極ワイヤを介して前記複数のハンダボールと、前記基板の複数の信号パッドとを電気的に接続することを特徴とするBGA型半導体装置の実装方法。
【請求項5】
該基板接続放熱シートを、BGA型半導体装置と基板との間に介装、密着させるにあたって、
前記BGA型半導体装置をブラケットを介して保持し、該ブラケットを、前記基板を貫通するねじを介して基板上に固定することを特徴とする請求項4に記載のBGA型半導体装置の実装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−186115(P2006−186115A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−378407(P2004−378407)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(303013763)NECエンジニアリング株式会社 (651)
【Fターム(参考)】