基板洗浄方法及び基板洗浄装置
【課題】処理液体を用いて基板表面に形成された膜を除去する除去装置で、ウエハ処理が中断され、ウエハ処理能力が低下し、かつ基板処理システムの動作コストが増大するのを解決する。
【解決手段】処理室46、基板保持手段、処理液を供給するノズル60、第1速度又は該第1速度以上の速度である第2速度で回転させる回転機構、処理液体格納容器76を有し、処理液体を回収及び循環し、再度前記ノズル60から供給する処理液体循環回収機構73、処理液体を廃棄する処理液体廃棄機構、処理液体が前記基板保持手段が前記第1速度で回転するときには前記処理液体循環回収機構に、前記第2速度で回転して前記ノズル60から前記処理液体が供給されるときには前記処理液体廃棄機構に導かれるように接続を変更する制御装置を有する。前記処理液体格納容器76は、底部に廃液ライン107、壁面に前記処理液体格納容器内を洗浄するスプレーノズル109を有する。
【解決手段】処理室46、基板保持手段、処理液を供給するノズル60、第1速度又は該第1速度以上の速度である第2速度で回転させる回転機構、処理液体格納容器76を有し、処理液体を回収及び循環し、再度前記ノズル60から供給する処理液体循環回収機構73、処理液体を廃棄する処理液体廃棄機構、処理液体が前記基板保持手段が前記第1速度で回転するときには前記処理液体循環回収機構に、前記第2速度で回転して前記ノズル60から前記処理液体が供給されるときには前記処理液体廃棄機構に導かれるように接続を変更する制御装置を有する。前記処理液体格納容器76は、底部に廃液ライン107、壁面に前記処理液体格納容器内を洗浄するスプレーノズル109を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板洗浄方法に関し、特に基板から膜を除去する方法に関する。当該方法によって、前記膜の除去に用いられる処理液体中の膜の残骸物が最小限に抑制されることで、フィルタの洗浄又は交換の頻度が減少する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子の製造において半導体基板(たとえばウエハ)に様々な洗浄プロセスを施す基板処理システムは大抵の場合、他の基板を処理するための通常は高価な処理液体を回収して再利用するように備えられた処理液体回収システムを有する。処理液体回収システムは大抵の場合、他の基板を処理する前に、処理液体から膜の残骸物及び他の不純物を除去する1つ以上のフィルタを有する。
【0003】
たとえば基板上のパターニングされたレジスト膜を溶解して基板からそのレジスト膜を除去するため、そのレジスト膜が有機溶媒を含む処理液体に曝露されるとき、そのパターニングされたレジスト膜は、処理液体中で部分的に溶解できるが、膜の残骸物を生成してしまう。その残骸物は、基板から脱離して処理液体中に懸濁する。続いて処理液体及び膜の残骸物は、処理液体回収システムを流れる。その処理液体回収システム内で、膜の残骸物及び他の不純物は処理液体から除去される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6990988号明細書
【特許文献2】米国特許第6861371号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の基板処理システムにおいて通常洗浄されるウエハ枚数は多く、かつ処理液体中に懸濁する膜の残骸物の量は多いので、処理液体回収システム内での処理液体のフィルタリングに用いられる1つ以上のフィルタはすぐに詰まってしまい、その結果その1つ以上のフィルタを通る処理液体の流れが妨害される。このため、1つ以上のフィルタを頻繁に洗浄又は交換することが必要となる。従って、ウエハ処理が中断され、ウエハ処理能力が低下し、かつ基板処理システムの動作コストが増大する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の実施例によると、処理液体を用いてウエハから膜を除去する方法が供される。当該方法は、処理液体循環システムへ放出される膜の残骸物の量を減少させることによって、フィルタの洗浄又は交換の頻度を減らす。
【0007】
本発明の一の実施例によると、当該方法は、(a)前記基板処理システムの処理チャンバ内でウエハを第1処理液体に曝露する工程であって、前記ウエハは第1速度で回転し、かつ前記第1処理液体は処理チャンバから第1処理液体循環システムへ放出される、工程、(b)前記第1処理液体への前記ウエハの曝露を中断し、かつ前記ウエハを前記第1速度よりも速い第2速度で回転する、工程、(c)前記処理チャンバの放出を、前記第1処理液体循環システムから処理液体廃液管へ変更する工程、及び(d)前記ウエハを前記第1処理液体又は第2処理液体に曝露する工程であって、前記第1処理液体又は前記第2処理液体はそれぞれ前記処理チャンバから処理液体廃液管へ放出される、工程、を有し、前記膜の残骸物は、前記ウエハが前記第2速度で回転するときに除去される。
【0008】
本発明の他の実施例によると、当該方法は、(e)前記ウエハを前記第1処理液体へ曝露し、かつ前記処理液体を前記処理チャンバから前記第1処理液体循環システムへ放出する工程、を有する。
【0009】
本発明のさらに他の実施例によると、当該方法では、工程(c)は、前記ウエハが前記第2処理液体に曝露される前に行われ、及び/又は前記膜の剥離レベルの検討に基づいて決定される所定の期間行われる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】基板処理システムの上面図である。
【図2】基板処理システムの側面図である。
【図3】基板処理ユニットの上面図である。
【図4A】基板処理システム内での処理液体の循環を表す単純化された回路図である。
【図4B】基板処理システム内での第1及び第2処理液体の循環を表す単純化された回路図である。
【図5】A-Eは、本発明の実施例による、ウエハから膜を除去するのに用いられる処理工程に対応する断面図を概略的に表している。
【図6】本発明の実施例による、ウエハから膜を除去するタイミング図である。
【図7】本発明の実施例による、ウエハから膜を除去するのに用いられる処理工程の処理フローダイヤグラムである。
【図8】A-Eは、本発明の他の実施例による、ウエハから膜を除去するのに用いられる処理工程に対応する断面図を概略的に表している。
【図9】本発明の他の実施例による、ウエハから膜を除去するタイミング図である。
【図10】本発明の他の実施例による、ウエハから膜を除去するのに用いられる処理工程の処理フローダイヤグラムである。
【図11】A-Eは、本発明のさらに他の実施例による、ウエハから膜を除去するのに用いられる処理工程に対応する断面図を概略的に表している。
【図12】本発明のさらに他の実施例による、ウエハから膜を除去するタイミング図である。
【図13】本発明のさらに他の実施例による、ウエハから膜を除去するのに用いられる処理工程の処理フローダイヤグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書に組み込まれることでその一部を構成する添付の図面は本発明の実施例を図示する。以降で与えられる詳細な説明は、上述した本発明の実施例についての一般的な記載と共に、本発明の実施例を説明する役割を果たす。
【実施例】
【0012】
本発明の実施例は、以降で基板洗浄処理においてウエハから膜を除去する基板洗浄システムを用いて説明される。「基板」と「ウエハ」という語は、本明細書においては、たとえばシリコン結晶やガラス材料のような材料のスライスを指すものとして同義的に用いられるものとする。膜はたとえば、レジスト膜、ハードマスク膜、誘電膜、又はこれらの混合膜を有して良い。
【0013】
図1-4は4つの基板処理ユニットを有する基板処理システムを表している。各基板処理ユニットは1回で1枚のウエハを処理するように備えられている。しかし本発明の実施例は1枚の基板を処理する基板処理ユニットには限定されず、複数の基板(たとえば25枚以上のウエハ)を同時に処理するように備えられているバッチ基板処理システムが利用されても良い。典型的なバッチ基板処理システムは特許文献1に記載されている。一例では、バッチ基板処理システムは東京エレクトロンから販売されているTEL PR300Zであって良い。これは、ラインのバックエンド(BEOL)処理での12インチウエハからのフォトレジストの剥離に広く用いられている。
【0014】
図1は、ウエハW上で膜の除去/洗浄を行う処理ユニット2、及び該処理ユニット2に対してウエハWの搬入出を行う搬入出ユニット3を有する基板処理システム1の上面図である。図2は基板処理システム1の側面図である。
【0015】
搬入出ユニット3は入出ポート部4を有し、その入出ポート部4はウエハ格納容器(キャリアC)を載置する載置台6を有する。キャリアCは複数のウエハWを収容して良い。キャリアC内では、その複数のウエハWは、互いに垂直方向に所定の間隔をあけた状態で水平に設けられている。搬入出ユニット3は基板搬送インターフェースユニット5をさらに有し、その基板搬送インターフェースユニット5はキャリアCと処理ユニット2との間でウエハWを搬送する基板搬送システム7を有する。
【0016】
ウエハWは、各キャリアCの一の側に設けられた蓋を介して、各キャリアへ搬入される。垂直方向に所定の間隔をあけた状態でウエハWを保持する棚板(図示されていない)が、各キャリアCの内部に供される。それにより、ウエハWを保持する複数のウエハスロットが画定される。ウエハWは、それぞれのウエハスロット内で、微小回路が作成されるべき基板表面が上を向いた状態で保持される。
【0017】
図1では、3つのキャリアCが入出ポート部4の載置台6上に載置され、かつ水平面に対してY方向に並んでいる。キャリアCには、入出ポート部4と基板搬送インターフェースユニット5との間の仕切り壁8に対向する垂直カバー(図示されていない)が設けられている。開口部9は、仕切り壁8内のキャリアCが載置される位置に対応する場所に形成される。開口部9を開閉する開閉機構10は、開口部9の付近に位置するシャッター又は他の手段によって動作される。開閉機構10はまた、開口部9の開閉と同時にキャリアCの垂直カバーを開閉して良い。開口部9が開くことで、キャリアC内のウエハWと基板搬送インターフェースユニット5が結合するとき、基板搬送システム7は、基板搬送インターフェースユニット5をキャリアCに結合させて、ウエハWを搬送する。
【0018】
基板搬送インターフェースユニット5内の基板搬送システム7は、Y及びZ方向を並進し、かつX-Y平面内において角度シータ(θ)で回転して良い。キャリアCが載置台6上に設けられたときに、搬送アーム11は、キャリアC内において各異なる高さに位置する全ウエハスロットにアクセスすることができる。さらに搬送アーム11は処理ユニット2内に設けられた上側搬送ユニット16及び下側基板搬送ユニット17へのアクセスが可能である。そして、搬送アーム11は、入出ポート部4から処理ユニット2へ、及び処理ユニット2から入出ポート部4へ、ウエハWを搬送するように備えられている。
【0019】
処理ユニット2は、中心の基板搬送システム18、基板搬送ユニット16,17、基板処理ユニット12,13,14,15、及び加熱/冷却ユニット19を有する。加熱/冷却ユニット19は、ウエハWを加熱する3つの加熱ユニット(図示されていない)、及びウエハWを冷却する1つの冷却ユニット(図示されていない)を有する。中心の基板搬送システム18は、ウエハ搬送ユニット16,17、基板処理ユニット12,13,14,15、及び加熱/冷却ユニット19と結合する。
【0020】
処理ユニット2は電気系23を有する。その電気系23は、基板処理システム1を動作させる電源(図示されていない)、基板処理システム1の様々な構成部品と全体としての基板処理システム1の動作制御を行う機械制御ユニット24、ウエハWの処理中に基板処理ユニット12,13,14,15内で利用される所定の処理液体(たとえば膜を除去するための洗浄液又はさらなる洗浄を行うためのリンス液)を貯蔵する処理液体貯蔵ユニット25を有する。電気ユニット23は主電源(図示されていない)に接続する。処理ユニット2の上部に設けられたファンフィルタユニット(FFU)26は、処理ユニット2の各ユニット-中心の基板搬送システム18を含む-へ清浄な空気を流す。
【0021】
処理ユニット2からの取り外し、並びに、基板搬送ユニット16と17、中心の基板搬送システム18、及び加熱/冷却ユニット19のメンテナンスを容易にするため、電気ユニット23、処理液体貯蔵ユニット25、及び機械制御ユニット24は処理ユニット2の外壁に備えられている。
【0022】
基板搬送ユニット16,17は、基板搬送インターフェースユニット5に対してウエハWを搬入出し、かつ2つの基板搬送ユニット16,17内でウエハWを垂直に積層するように備えられている。たとえば、(下側)基板搬送ユニット17は入出ポート部4から処理ユニット2
へ搬送される基板を受け取るのに用いられ、かつ(上側)基板搬送ユニット16は処理ユニット2から入出ポート部4へ搬送される基板を受け取るのに用いられて良い。
【0023】
ファンフィルタユニット(FFU)26からの清浄な空気流の一部は、ウエハ搬送ユニット16と17の間の空間、及び基板搬送ユニット16の上の空間を通って基板搬送インターフェースユニット5へ流れる。よって基板搬送インターフェースユニット5からの粒子及び不純物の処理ユニットへの導入は最小限に抑制され、かつ処理ユニット2内の清浄な環境を維持することができる。
【0024】
中心の基板搬送システム18は、回転駆動モーター(図示されていない)によって回転可能である円筒形支持体30、及び該円筒形支持体30内部をZ方向に上下に移動可能な基板搬送体31を有する。その基板搬送体31は、円筒形支持体30の回転によってその円筒形支持体30内部で回転可能である。基板搬送体31は、それぞれ異なる高さに配置されていて、それぞれは独立して伸縮可能な3つの搬送アーム34,35,36を有する。
【0025】
加熱/冷却ユニット19は、ウエハWの冷却専用である1つの冷却ユニット、及びウエハWの加熱(あるいはゆっくりとした徐冷)専用である3つの加熱ユニットを有する。あるいはその代わりに、加熱/冷却ユニット19はウエハ搬送ユニット16の上側部分に設けられ、かつ図1に図示された加熱/冷却ユニット19によって占められる空間は他の目的に利用されて良い。
【0026】
図2に図示されているように、基板処理ユニット12,13,14,15は、2つの垂直レベルに備えられている。各レベルは2つの基板処理ユニットを有する。基板処理ユニット12と13及び基板処理ユニット14と15は、基板処理ユニット12と13の間の仕切り41に対して対称である。基板処理ユニット12,13,14,15は、処理ユニット2内での位置を除けば同一であって良い。以降では本発明の実施例を例示するため、基板処理システム12について説明する。
【0027】
図3は基板処理ユニット12の上面図である。基板処理ユニット12は、外部チャンバ45、及び該外部チャンバ45内部にウエハWを処理するための処理チャンバ46を有する。さらに外部チャンバ45は、処理チャンバ46内のウエハWへ処理液体を供給する処理液体供給システム47を有する。開口部50は外部チャンバ45内に形成され、外部チャンバのメカニカルシャッター51は開閉機構(図示されていない)を用いて開口部を開閉する。ウエハWが開口部50を介して基板処理ユニット12へ搬入されるとき、処理チャンバのメカニカルシャッター53によって開口部52が開くことで、搬送アーム34,35,36のうちの1つによってウエハWを処理チャンバ46へ搬入することが可能となる。処理チャンバのメカニカルシャッター53は、外部チャンバのメカニカルシャッター51と共通する開閉機構によって開かれても良い。駆動機構(図示されていない)によって開閉する処理液体供給手段のシャッター56を処理することによって、開口部55が処理チャンバ46内に形成される。
【0028】
処理液体供給手段47はウエハWの上側表面に付与される処理液体を供給する。その処理液体はたとえば、ウエハWの露出面上のレジスト膜の少なくとも一部を溶解する洗浄液、又はウエハWをさらに洗浄するリンス液を有して良い。処理液体供給手段47は、処理液体供給ノズル60、該処理液体供給ノズル60を支持するアーム61、及び該アーム61の一端を回転可能なように支持する回転手段62を有する。よって処理液体供給ノズル60は、処理チャンバ46外部の準備位置と、処理液体供給ノズル60がウエハWの上に処理液体を供給する供給位置との間で回転可能なアーム61によって支持される。さらに処理液体供給ノズル60は、処理チャンバ46内のウエハWの上を、該ウエハWの中心から端部へ移動することが可能である。
【0029】
処理チャンバ46内でウエハWを回転可能なように支持する回転可能チャック71が供される。ウエハWの端部を背面から支持する支持ピン(図示されていない)が、回転可能チャック71の上側部分上の複数の位置に供される。ウエハWの端部を保持する保持部72が供される。図3に図示された典型的実施例では、3つの保持部72が図示されている。
【0030】
図4Aは、基板処理システム内での処理液体の循環を表す単純化された回路図である。処理液体は、基板処理ユニット12内の処理チャンバ46を流れる。基板処理ユニット12は処理液体循環システム73を有する。処理液体循環システム73は、ウエハWを処理液体に曝露した後に続き、処理チャンバ46から放出される処理液体を受け、濾過し、かつ循環させるように備えられている。処理液体循環システム73は、処理チャンバ46から処理液体を放出する処理液体放出ライン74の一端と接続する。処理液体循環システム73は、処理液体供給手段47の処理液体供給ノズル60の他端と接続する。リンス液として蒸留水(DIW)を供給するリンス液供給体90が供され、そのリンス液供給体90は処理液体供給ノズル60と接続する。リンス液供給体90は、リンス液供給源92と結合する。リンスプロセス中でのDIWの流れを制御するバルブ93がリンス液供給体90に供される。
【0031】
処理液体循環ライン75及び処理液体廃液管78は、バルブ79によって処理液体放出ライン74と接続する。そのバルブ79は、処理チャンバ46から、処理液体廃液管78又は処理液体循環ライン75のいずれかへ放出される処理液体の流れを制御するように備えられている。本発明の実施例によると、基板洗浄処理の少なくとも一部の間、バルブ79は、処理液体を処理液体放出ライン74から処理液体循環ライン75へ案内し、その後所定期間、そのバルブ79は、その処理液体を液体廃液管78へ案内することで、膜の残骸物や他の不純物を含む処理液体が処理液体循環ライン75へ流れるのを最小限に抑制する。
【0032】
処理液体循環システム75はライン75aを有し、そのライン75aはバルブ79を処理液体格納容器46に結合する。処理液体格納容器76は、処理液体循環ライン75を介して処理チャンバ46から戻された処理液体を貯蔵する。処理液体格納容器76の底面105は傾いている。バイブレータ106が、底面105へ超音波振動を印加するため、底面の背面に結合する。処理液体格納容器76からの処理液体を排出する廃液ライン107が、傾いた底面105の最低地点付近に設けられている。廃液ライン107は、バルブ108を介して処理液体格納容器76の側面に接続する。この設定により、処理液体格納容器76内部を洗浄する前に、処理液体格納容器76から廃液ライン107を介して処理液体を排出することが可能となる。処理液体格納容器76の内部を洗浄するため、処理液体格納容器76の壁面に設けられているスプレーノズル109が供されている。バイブレータ106は、超音波を底面に印加することで、底面105に沈殿して残る膜の残骸物や他の不純物を取り除く。スプレーノズル109は水を噴霧して処理チャンバ格納容器76の内部を洗浄し、その後イソプロピルアルコール(IPA)蒸気を噴霧して処理チャンバ格納容器76の内部を乾燥させて良い。処理液体格納容器76へ噴霧される水は廃液ライン107を介して排出されて良い。
【0033】
ポンプ77は、処理液体循環システム73を流れる処理液体から大きな膜の残骸物を除去するため、処理液体格納容器76から第1(粗い)フィルタ80へ処理液体を流す。一旦濾過された処理液体は、ライン75dを介して、第1フィルタ80よりも細かな第2(細かい)フィルタ81へ流れる。一例では、第1フィルタ80は大きさが50μm(μm=10-6m)の孔を有し、かつ第2フィルタ81は大きさが0.1μmの孔を有して良い。第1フィルタ80は処理液体から大きな膜の残骸物を除去し、かつ第2フィルタ81は処理液体から残りの小さな膜の残骸物と他の不純物を実質的に除去する。第1フィルタ80の存在により、第2フィルタ81の交換頻度が減少する。一例では、処理液体循環システム75内に第1フィルタ80が存在することで、第2フィルタの交換頻度が約2/3に減少することが分かった。2回濾過/精製される処理液体はライン75fを介して処理液体供給ノズル60へ流れ、かつ再度そのウエハW又は次のウエハWへ付与される。図4Aに図示されていないとはいえ、処理液体循環システム73は、1つ以上の圧力制御装置、1つ以上の流れ制御装置、追加のバルブ、及び1つ以上の流れセンサを有して良い。
【0034】
図4Bは、本発明による基板処理システム-たとえばシステム1-内での第1及び第2処理液体の循環を表す単純化された回路図である。図4Bの回路図は、図4Aの回路図と似ている。しかし図4Bの回路図は、第1処理液体循環システム73と第2処理液体循環システム73’を有する。しかし各処理液体循環システムは、処理液体にウエハWが曝露された後に、処理液体放出ライン74を介して、処理チャンバ46から放出される2種類の処理液体を、各独立に受け、濾過し、かつ循環させるように備えられている。第1処理液体循環システム73と第2処理液体循環システム73’は、処理チャンバ46から処理液体を放出するように備えられている処理液体放出ライン74の一端と接続する。
【0035】
第1処理液体循環ライン75と第2処理液体循環ライン75’、及び処理液体廃液管78は、バルブ79’によって処理液体放出ライン74と接続する。そのバルブ79’は、処理チャンバ46から、処理液体廃液管78又は第1処理液体循環ライン75と第2処理液体循環ライン75’のいずれかへ放出される処理液体の流れを制御するように備えられている。本発明の実施例によると、基板洗浄処理の少なくとも一部の間、バルブ79’は、処理液体を処理液体放出ライン74から処理液体循環ライン75へ案内し、その後所定期間、そのバルブ79’は、その処理液体を液体廃液管78へ案内することで、膜の残骸物や他の不純物を含む処理液体が第1処理液体循環ライン75へ流れるのを最小限に抑制する。続いてバルブ79’は、第2処理液体を、第2処理液体循環システム73’又は処理液体廃液管78のいずれかへ案内することが可能である。
【0036】
第1処理液体循環ライン75と同一又は似たように、第2処理液体循環ライン75’はライン75a’を介して格納容器76’と結合し、その格納容器76’は第2処理液体循環ライン75’を介して処理チャンバ46から戻された第2処理液体を貯蔵する。処理液体格納容器76’の底面105’は傾いている。バイブレータ106’が、底面105’へ超音波振動を印加するため、底面の背面に結合する。処理液体格納容器76’からの処理液体を排出する廃液ライン107’が、傾いた底面105’の最低地点付近に設けられている。廃液ライン107’は、バルブ108’を介して処理液体格納容器76’の側面に接続する。この設定により、処理液体格納容器76’内部を洗浄する前に、処理液体格納容器76’から廃液ライン107’を介して処理液体を排出することが可能となる。処理液体格納容器76’の内部を洗浄するため、化学液体格納容器76’の壁面に設けられているスプレーノズル109’が供されている。バイブレータ106’は、超音波を底面に印加することで、底面105’に沈殿して残る膜の残骸物や他の不純物を取り除く。スプレーノズル109’は水を噴霧して処理チャンバ格納容器76’の内部を洗浄し、その後IPA蒸気を噴霧して処理チャンバ格納容器76’の内部を乾燥させて良い。処理液体格納容器76’へ噴霧される水とIPAは廃液ライン107’を介して排出されて良い。
【0037】
ポンプ77’は、第2処理液体循環システム73’を流れる処理液体から大きな膜の残骸物を除去するため、処理液体格納容器76’から第1(粗い)フィルタ80’へ処理液体を流す。一旦濾過された第2処理液体は、ライン75d’を介して、第1フィルタ80’よりも細かな第2(細かい)フィルタ81’へ流れる。第1フィルタ80’は処理液体から大きな膜の残骸物を除去し、かつ第2フィルタ81’は処理液体から残りの小さな膜の残骸物と他の不純物を実質的に除去する。2回濾過/精製される処理液体はライン75f’を介して処理液体供給ノズル60へ流れ、かつ再度そのウエハW又は次のウエハWへ付与される。
【0038】
図4A及び図4Bで説明したように、処理液体循環システム内の処理液体から膜の残骸物と他の不純物を除去するのに複数のフィルタが利用されて良い。しかし多数のウエハWが処理され、かつウエハの面積は大きいため、処理チャンバ46から放出される処理液体は、膜の残骸物を大量に含んでいると考えられる。この結果、少なくとも1つのフィルタはすぐに詰まり、その少なくとも1つのフィルタは頻繁に交換しなければならなくなる。この問題を解決する様々な方法が提案されてきた。1つ以上のフィルタのその場洗浄はそのような方法の1つである。1つ以上のフィルタのその場洗浄方法及びシステムは特許文献2に記載されている。フィルタのその場洗浄についての一の課題は、フィルタ洗浄中に水の処理を中断することである。その結果、ウエハの処理能力は低下し、基板処理システムの動作コストが増大する。
【0039】
本発明の実施例は、1種類以上の処理液体中での膜の残骸物と他の不純物を減らすことによって、フィルタ洗浄/交換を行う周期を延ばす方法を供する。特に基板処理中、膜の残骸物と他の不純物の大部分は処理液体の一部と共に、処理液体循環システムではなく、処理液体廃液管へ放出される。それによりフィルタの洗浄/交換頻度が減少する。
【0040】
ここで本発明の実施例を表す図4A、図5A-5E、図6、及び図7を参照する。図5A-5Eは、本発明の実施例による、ウエハから膜を除去するのに用いられる処理工程に対応する断面図を概略的に表している。図6は、本発明の実施例による、ウエハから膜を除去するタイミング図である。図7は、本発明の実施例による、ウエハから膜を除去するのに用いられる処理工程の処理フローダイヤグラムである。
【0041】
処理フロー700の工程702では、上に膜66が形成されたウエハWが、基板処理システムの処理チャンバ-たとえば図1-3に図示された基板処理システム1の処理チャンバ46-内に供される。
【0042】
工程704では、ウエハWは、期間602aだけ、処理液体供給ノズル60からの処理液体64-たとえば有機溶媒-に曝露され、ウエハWからの膜66の除去が開始される。これは図5Aにおいて概略的に図示されている。期間602aの間、ウエハWは第1速度608aで回転する。そして処理液体64が、期間604aだけ、処理チャンバ46から処理液体循環システム73へ放出される。ウエハWを処理液体64へ曝露する際、膜66は部分的に溶解し、膜の残骸物66aを生成する。これは図5Bにおいて概略的に図示されている。一例では、プラズマに曝露された(硬化した)マスク及びフォトレジストは、処理液体64中でゆっくりとエッチングされる、すなわち全てエッチングされるわけではない。期間602a及び/又は期間604aの長さはたとえば約10秒から約30秒であって良い。第1速度608aはたとえば約30回転/分(RPM)未満であって良く、たとえば約10RPMであって良い。あるいはその代わりに、ウエハWは期間602aの間に回転せず、かつ第1速度608aは0RPMである。
【0043】
工程706では、処理液体64へのウエハWの曝露が中断され、かつウエハWは第1速度608aよりも速い第2速度608bで回転することで、ウエハWから膜の残骸物を遠心力によって除去する。これは図5Cにおいて概略的に図示されている。さらに処理チャンバ46から放出される液体の流れは、処理液体循環システム73から処理液体廃液管78へ変更される。処理液体廃液管78への液体の放出は期間606の間だけ実行される。本発明の一の実施例によると、膜66が分裂し始めるときに処理液体64への曝露が中断されて良い。ただしその曝露が中断されるのは、相当量の膜の残骸物66aがウエハWから脱離して処理チャンバ46から処理液体循環システム73へ放出される前である。たとえば所定の期間は、様々な期間602aでの膜の分裂レベルの検討を含む実験によって決定されて良い。膜の分裂レベルは、処理チャンバ46からウエハWを取り出し、かつ顕微鏡-たとえば走査型電子顕微鏡(SEM)-によって膜66と膜の残骸物66aを検査することによって検討されて良い。
【0044】
さらに工程706を参照すると、第2速度608bはたとえば約100RPMから約2000RPMであって良く、約800RPMであって良い。第2速度608bは、遠心力によるウエハWからの膜の残骸物66aの除去を最適化する実験によって選ばれて良い。
【0045】
工程708では、ウエハWは期間602bでは処理液体64に曝露され、かつ処理液体64は期間606の残りの期間で処理チャンバ46から処理液体廃液管78へ放出される。本発明の実施例によると、工程708では、処理液体64に加えて、先の工程706でウエハWから脱離した相当量の膜の残骸物66aが処理液体廃液管78へ放出される。そのため、処理液体循環システム73へ放出される膜の残骸物66aの量は最小限に抑制される。この結果、処理液体格納容器79及びフィルタ80と81に蓄積される膜の残骸物66aと他の不純物の量が減少する。この結果、1つ以上のフィルタの洗浄又は交換頻度が減少し、かつウエハ処理の中断が少なくなる。
【0046】
図5D及び図6に図示されているように、ウエハWは期間602bの第1部分では第2速度608bよりも遅い第3速度608cで回転する。続いてウエハWは期間602bの第2部分では第1速度608aで回転する。これは図5Eにて概略的に図示されている。第3速度608cはたとえば約100RPMから約800RPMであって良く、約200RPMであって良い。
【0047】
図6に図示された実施例によると、期間602aと602b中に基板に曝露される処理液体は、同一の処理液体-たとえば有機溶媒-を含む。
【0048】
図6の期間604aの終了は期間602aの終了と同期しているように図示されているが、このことは本発明の実施例にとって必要なことではない。一例では、処理液体循環システム73内でより多くの処理液体64を戻すため、期間604aは期間602aの終了後に終了して良い。一般的には、本発明の他の実施例では、処理液体が処理液体循環システムへ放出される期間は、ウエハWが処理液体に曝露される期間以降に終了して良い。
【0049】
工程708にてウエハWが処理液体64に曝露された後、処理液体の残りと他の不純物がウエハW上に存在していると考えられる。従ってウエハWをさらに洗浄して乾燥させるためのさらに他の処理工程が実行されて良い。その他の処理工程とはたとえば、DIWへの曝露、アルコール(たとえばIPA)への曝露、及び/又はN2ガスへの曝露といった様々な工程である。
【0050】
ここで図4A、図8A-8E、図9、及び図10を参照して本発明の他の実施例を例示する。図8A-8Eは、本発明の実施例による、ウエハから膜を除去するのに用いられる処理工程に対応する断面図を概略的に表している。図9は、本発明の実施例による、ウエハから膜を除去するタイミング図である。図10は、本発明の実施例による、ウエハから膜を除去するのに用いられる処理工程の処理フローダイヤグラムである。
【0051】
処理フロー1000の工程1002では、上に膜66が形成されたウエハWが、基板処理システムの処理チャンバ-たとえば図1-3に図示された基板処理システム1の処理チャンバ46-内に供される。
【0052】
工程1004では、ウエハWは、期間902aだけ、処理液体供給ノズル60からの第1処理液体64a-たとえば有機溶媒-に曝露され、ウエハWからの膜66の除去が開始される。これは図8Aにおいて概略的に図示されている。期間902aの間、ウエハWは第1速度908aで回転する。そして第1処理液体64aが、期間904aだけ、処理チャンバ46から処理液体循環システム73へ放出される。ウエハWを第1処理液体64aへ曝露する際、膜66は部分的に溶解し、膜の残骸物66aを生成する。これは図8Bにおいて概略的に図示されている。期間902a及び/又は期間904aの長さはたとえば約10秒から約30秒であって良い。第1速度908aはたとえば約30RPM未満であって良く、たとえば約10RPMであって良い。あるいはその代わりに、ウエハWは期間902aの間に回転せず、かつ第1速度908aは0RPMである。
【0053】
工程1006では、第1処理液体64aへのウエハWの曝露が中断され、かつウエハWは第1速度908aよりも速い第2速度908bで回転することで、ウエハWから膜の残骸物を遠心力によって除去する。これは図8Cにおいて概略的に図示されている。さらに処理チャンバ46から放出される液体の流れは、処理液体循環システム73から処理液体廃液管78へ変更される。処理液体廃液管78への液体の放出は期間906の間だけ実行される。本発明の一の実施例によると、膜66が分裂し始めるときに第1処理液体64aへの曝露が中断されて良い。ただしその曝露が中断されるのは、相当量の膜の残骸物66aがウエハWから脱離して処理チャンバ46から処理液体循環システム73へ放出される前である。
【0054】
さらに工程1006を参照すると、第2速度908bはたとえば約100RPMから約2000RPMであって良く、約800RPMであって良い。第2速度908bは、遠心力によるウエハWからの膜の残骸物66aの除去を最適化する実験によって選ばれて良い。
【0055】
工程1008では、ウエハWは期間905では第2処理液体64bに曝露され、かつ第2処理液体64bは期間906の残りの期間で処理チャンバ46から処理液体廃液管78へ放出される。第2処理液体64bはたとえばリンス用液体-たとえばDIW、アルコール、若しくは第1処理液体64aとは異なる種類や濃度の有機溶媒-であって良い。本発明の実施例によると、工程1008では、第2処理液体64bに加えて、先の工程1006でウエハWから脱離した相当量の膜の残骸物66aが処理液体廃液管78へ放出される。そのため、処理液体循環システム73へ放出される膜の残骸物66aの量は最小限に抑制される。この結果、処理液体格納容器79及びフィルタ80と81に蓄積される膜の残骸物66aと他の不純物の量が減少する。図8D及び図9に図示されているように、ウエハWは期間905では第2速度908bよりも遅い第3速度908cで回転する。第3速度908cはたとえば約100RPMから約800RPMであって良く、約200RPMであって良い。
【0056】
工程1010では、ウエハWは期間902bで再度第1処理液体64aに曝露され、かつ期間904bで第1処理液体64aは処理チャンバ46から処理液体循環システム73へ放出される。これは図8Eにおいて概略的に図示されている。ウエハWは再度第1速度908aで回転する。第1速度908aはたとえば30RPM未満又は0RPMであって良い。
【0057】
工程1010にてウエハWが第1処理液体64aに曝露された後、処理液体の残りと他の不純物がウエハW上に存在していると考えられる。従ってウエハWをさらに洗浄して乾燥させるためのさらに他の処理工程が実行されて良い。その他の処理工程とはたとえば、DIWへの曝露、アルコール(たとえばIPA)への曝露、及び/又はN2ガスへの曝露といった様々な工程である。
【0058】
ここで図4B、図11A-11E、図12、及び図13を参照して本発明のさらに他の実施例を例示する。図11A-11Eは、本発明の実施例による、ウエハから膜を除去するのに用いられる処理工程に対応する断面図を概略的に表している。図12は、本発明の実施例による、ウエハから膜を除去するタイミング図である。図13は、本発明の実施例による、ウエハから膜を除去するのに用いられる処理工程の処理フローダイヤグラムである。
【0059】
処理フロー1300の工程1302では、上に膜66が形成されたウエハWが、基板処理システムの処理チャンバ-たとえば図1-3に図示された基板処理システム1の処理チャンバ46-内に供される。
【0060】
工程1304では、ウエハWは、期間1202aだけ、処理液体供給ノズル60からの第1処理液体64a-たとえば有機溶媒-に曝露され、ウエハWからの膜66の除去が開始される。これは図11Aにおいて概略的に図示されている。期間1204の間、ウエハWは第1速度1208aで回転し、そして第1処理液体64aが処理チャンバ46から処理液体循環システム73へ放出される。ウエハWを第1処理液体64aへ曝露する際、膜66は部分的に溶解し、膜の残骸物66aを生成する。これは図11Bにおいて概略的に図示されている。期間1202及び/又は期間1204の長さはたとえば約10秒から約30秒であって良い。第1速度1208aはたとえば約30RPM未満であって良く、たとえば約10RPMであって良い。あるいはその代わりに、ウエハWは期間1202の間に回転せず、かつ第1速度1208aは0RPMである。
【0061】
工程1306では、第1処理液体64aへのウエハWの曝露が中断され、かつウエハWは第1速度1208aよりも速い第2速度1208bで回転することで、ウエハWから膜の残骸物を遠心力によって除去する。これは図11Cにおいて概略的に図示されている。さらに処理チャンバ46から放出される液体の流れは、処理液体循環システム73から処理液体廃液管78へ変更される。処理液体廃液管78への液体の放出は期間1206の間だけ実行される。本発明の一の実施例によると、膜66が分裂し始めるときに第1処理液体64aへの曝露が中断されて良い。ただしその曝露が中断されるのは、相当量の膜の残骸物66aがウエハWから脱離して処理チャンバ46から処理液体循環システム73へ放出される前である。
【0062】
さらに工程1306を参照すると、第2速度1208bはたとえば約100RPMから約2000RPMであって良く、約800RPMであって良い。第2速度1208bは、遠心力によるウエハWからの膜の残骸物66aの除去を最適化する実験によって選ばれて良い。
【0063】
工程1308では、ウエハWは期間1205では第2処理液体64bに曝露され、かつ第2処理液体64bは期間1205の残りの期間で処理チャンバ46から処理液体廃液管78へ放出される。工程1008と同様に、第2処理液体64bはたとえばリンス用液体-たとえばDIW、アルコール、若しくは第1処理液体64aとは異なる種類や濃度の有機溶媒-であって良い。本発明の実施例によると、工程1308では、第2処理液体64bに加えて、先の工程1306でウエハWから脱離した相当量の膜の残骸物66aが処理液体廃液管78へ放出される。そのため、処理液体循環システム73,73’へ放出される膜の残骸物66aの量は最小限に抑制される。この結果、処理液体格納容器79,79’及びフィルタ80,80’と81,81’に蓄積される膜の残骸物66aと他の不純物の量が減少する。図11D及び図12に図示されているように、ウエハWは期間1205では第2速度1208bよりも遅い第3速度1208cで回転する。第3速度1208cはたとえば約100RPMから約800RPMであって良く、約200RPMであって良い。
【0064】
工程1310では、ウエハWは期間1205の第2部分で第2処理液体64bに曝露され続けるが、期間1207で第2処理液体64bは処理チャンバ46から第2処理液体循環システム73’へ放出される。期間1207の間、ウエハWは再度第1速度1208aで回転する。第1速度1208aはたとえば30RPM未満又は0RPMであって良い。
【0065】
工程1310にてウエハWが第1処理液体64aに曝露された後、処理液体の残りと他の不純物がウエハW上に存在していると考えられる。従ってウエハWをさらに洗浄して乾燥させるためのさらに他の処理工程が実行されて良い。その他の処理工程とはたとえば、DIWへの曝露、アルコール(たとえばIPA)への曝露、及び/又はN2ガスへの曝露といった様々な工程である。
【0066】
たとえ本発明が1つ以上の実施例によって説明されたとしても、そしてその実施例がかなり詳細に記載されているとしても、これらは如何なる意味においても、「特許請求の範囲」の技術的範囲を係る詳細に限定するものと解されてはならない。当業者は、他の利点及び修正型をすぐに思いつく。従って広い態様における本発明は具体的詳細に限定されない。従って多くの係る修正型は、本発明の技術思想及び/又は技術的範囲から逸脱することなく様々な修正型が可能である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板洗浄方法に関し、特に基板から膜を除去する方法に関する。当該方法によって、前記膜の除去に用いられる処理液体中の膜の残骸物が最小限に抑制されることで、フィルタの洗浄又は交換の頻度が減少する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子の製造において半導体基板(たとえばウエハ)に様々な洗浄プロセスを施す基板処理システムは大抵の場合、他の基板を処理するための通常は高価な処理液体を回収して再利用するように備えられた処理液体回収システムを有する。処理液体回収システムは大抵の場合、他の基板を処理する前に、処理液体から膜の残骸物及び他の不純物を除去する1つ以上のフィルタを有する。
【0003】
たとえば基板上のパターニングされたレジスト膜を溶解して基板からそのレジスト膜を除去するため、そのレジスト膜が有機溶媒を含む処理液体に曝露されるとき、そのパターニングされたレジスト膜は、処理液体中で部分的に溶解できるが、膜の残骸物を生成してしまう。その残骸物は、基板から脱離して処理液体中に懸濁する。続いて処理液体及び膜の残骸物は、処理液体回収システムを流れる。その処理液体回収システム内で、膜の残骸物及び他の不純物は処理液体から除去される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6990988号明細書
【特許文献2】米国特許第6861371号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の基板処理システムにおいて通常洗浄されるウエハ枚数は多く、かつ処理液体中に懸濁する膜の残骸物の量は多いので、処理液体回収システム内での処理液体のフィルタリングに用いられる1つ以上のフィルタはすぐに詰まってしまい、その結果その1つ以上のフィルタを通る処理液体の流れが妨害される。このため、1つ以上のフィルタを頻繁に洗浄又は交換することが必要となる。従って、ウエハ処理が中断され、ウエハ処理能力が低下し、かつ基板処理システムの動作コストが増大する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の実施例によると、処理液体を用いてウエハから膜を除去する方法が供される。当該方法は、処理液体循環システムへ放出される膜の残骸物の量を減少させることによって、フィルタの洗浄又は交換の頻度を減らす。
【0007】
本発明の一の実施例によると、当該方法は、(a)前記基板処理システムの処理チャンバ内でウエハを第1処理液体に曝露する工程であって、前記ウエハは第1速度で回転し、かつ前記第1処理液体は処理チャンバから第1処理液体循環システムへ放出される、工程、(b)前記第1処理液体への前記ウエハの曝露を中断し、かつ前記ウエハを前記第1速度よりも速い第2速度で回転する、工程、(c)前記処理チャンバの放出を、前記第1処理液体循環システムから処理液体廃液管へ変更する工程、及び(d)前記ウエハを前記第1処理液体又は第2処理液体に曝露する工程であって、前記第1処理液体又は前記第2処理液体はそれぞれ前記処理チャンバから処理液体廃液管へ放出される、工程、を有し、前記膜の残骸物は、前記ウエハが前記第2速度で回転するときに除去される。
【0008】
本発明の他の実施例によると、当該方法は、(e)前記ウエハを前記第1処理液体へ曝露し、かつ前記処理液体を前記処理チャンバから前記第1処理液体循環システムへ放出する工程、を有する。
【0009】
本発明のさらに他の実施例によると、当該方法では、工程(c)は、前記ウエハが前記第2処理液体に曝露される前に行われ、及び/又は前記膜の剥離レベルの検討に基づいて決定される所定の期間行われる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】基板処理システムの上面図である。
【図2】基板処理システムの側面図である。
【図3】基板処理ユニットの上面図である。
【図4A】基板処理システム内での処理液体の循環を表す単純化された回路図である。
【図4B】基板処理システム内での第1及び第2処理液体の循環を表す単純化された回路図である。
【図5】A-Eは、本発明の実施例による、ウエハから膜を除去するのに用いられる処理工程に対応する断面図を概略的に表している。
【図6】本発明の実施例による、ウエハから膜を除去するタイミング図である。
【図7】本発明の実施例による、ウエハから膜を除去するのに用いられる処理工程の処理フローダイヤグラムである。
【図8】A-Eは、本発明の他の実施例による、ウエハから膜を除去するのに用いられる処理工程に対応する断面図を概略的に表している。
【図9】本発明の他の実施例による、ウエハから膜を除去するタイミング図である。
【図10】本発明の他の実施例による、ウエハから膜を除去するのに用いられる処理工程の処理フローダイヤグラムである。
【図11】A-Eは、本発明のさらに他の実施例による、ウエハから膜を除去するのに用いられる処理工程に対応する断面図を概略的に表している。
【図12】本発明のさらに他の実施例による、ウエハから膜を除去するタイミング図である。
【図13】本発明のさらに他の実施例による、ウエハから膜を除去するのに用いられる処理工程の処理フローダイヤグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書に組み込まれることでその一部を構成する添付の図面は本発明の実施例を図示する。以降で与えられる詳細な説明は、上述した本発明の実施例についての一般的な記載と共に、本発明の実施例を説明する役割を果たす。
【実施例】
【0012】
本発明の実施例は、以降で基板洗浄処理においてウエハから膜を除去する基板洗浄システムを用いて説明される。「基板」と「ウエハ」という語は、本明細書においては、たとえばシリコン結晶やガラス材料のような材料のスライスを指すものとして同義的に用いられるものとする。膜はたとえば、レジスト膜、ハードマスク膜、誘電膜、又はこれらの混合膜を有して良い。
【0013】
図1-4は4つの基板処理ユニットを有する基板処理システムを表している。各基板処理ユニットは1回で1枚のウエハを処理するように備えられている。しかし本発明の実施例は1枚の基板を処理する基板処理ユニットには限定されず、複数の基板(たとえば25枚以上のウエハ)を同時に処理するように備えられているバッチ基板処理システムが利用されても良い。典型的なバッチ基板処理システムは特許文献1に記載されている。一例では、バッチ基板処理システムは東京エレクトロンから販売されているTEL PR300Zであって良い。これは、ラインのバックエンド(BEOL)処理での12インチウエハからのフォトレジストの剥離に広く用いられている。
【0014】
図1は、ウエハW上で膜の除去/洗浄を行う処理ユニット2、及び該処理ユニット2に対してウエハWの搬入出を行う搬入出ユニット3を有する基板処理システム1の上面図である。図2は基板処理システム1の側面図である。
【0015】
搬入出ユニット3は入出ポート部4を有し、その入出ポート部4はウエハ格納容器(キャリアC)を載置する載置台6を有する。キャリアCは複数のウエハWを収容して良い。キャリアC内では、その複数のウエハWは、互いに垂直方向に所定の間隔をあけた状態で水平に設けられている。搬入出ユニット3は基板搬送インターフェースユニット5をさらに有し、その基板搬送インターフェースユニット5はキャリアCと処理ユニット2との間でウエハWを搬送する基板搬送システム7を有する。
【0016】
ウエハWは、各キャリアCの一の側に設けられた蓋を介して、各キャリアへ搬入される。垂直方向に所定の間隔をあけた状態でウエハWを保持する棚板(図示されていない)が、各キャリアCの内部に供される。それにより、ウエハWを保持する複数のウエハスロットが画定される。ウエハWは、それぞれのウエハスロット内で、微小回路が作成されるべき基板表面が上を向いた状態で保持される。
【0017】
図1では、3つのキャリアCが入出ポート部4の載置台6上に載置され、かつ水平面に対してY方向に並んでいる。キャリアCには、入出ポート部4と基板搬送インターフェースユニット5との間の仕切り壁8に対向する垂直カバー(図示されていない)が設けられている。開口部9は、仕切り壁8内のキャリアCが載置される位置に対応する場所に形成される。開口部9を開閉する開閉機構10は、開口部9の付近に位置するシャッター又は他の手段によって動作される。開閉機構10はまた、開口部9の開閉と同時にキャリアCの垂直カバーを開閉して良い。開口部9が開くことで、キャリアC内のウエハWと基板搬送インターフェースユニット5が結合するとき、基板搬送システム7は、基板搬送インターフェースユニット5をキャリアCに結合させて、ウエハWを搬送する。
【0018】
基板搬送インターフェースユニット5内の基板搬送システム7は、Y及びZ方向を並進し、かつX-Y平面内において角度シータ(θ)で回転して良い。キャリアCが載置台6上に設けられたときに、搬送アーム11は、キャリアC内において各異なる高さに位置する全ウエハスロットにアクセスすることができる。さらに搬送アーム11は処理ユニット2内に設けられた上側搬送ユニット16及び下側基板搬送ユニット17へのアクセスが可能である。そして、搬送アーム11は、入出ポート部4から処理ユニット2へ、及び処理ユニット2から入出ポート部4へ、ウエハWを搬送するように備えられている。
【0019】
処理ユニット2は、中心の基板搬送システム18、基板搬送ユニット16,17、基板処理ユニット12,13,14,15、及び加熱/冷却ユニット19を有する。加熱/冷却ユニット19は、ウエハWを加熱する3つの加熱ユニット(図示されていない)、及びウエハWを冷却する1つの冷却ユニット(図示されていない)を有する。中心の基板搬送システム18は、ウエハ搬送ユニット16,17、基板処理ユニット12,13,14,15、及び加熱/冷却ユニット19と結合する。
【0020】
処理ユニット2は電気系23を有する。その電気系23は、基板処理システム1を動作させる電源(図示されていない)、基板処理システム1の様々な構成部品と全体としての基板処理システム1の動作制御を行う機械制御ユニット24、ウエハWの処理中に基板処理ユニット12,13,14,15内で利用される所定の処理液体(たとえば膜を除去するための洗浄液又はさらなる洗浄を行うためのリンス液)を貯蔵する処理液体貯蔵ユニット25を有する。電気ユニット23は主電源(図示されていない)に接続する。処理ユニット2の上部に設けられたファンフィルタユニット(FFU)26は、処理ユニット2の各ユニット-中心の基板搬送システム18を含む-へ清浄な空気を流す。
【0021】
処理ユニット2からの取り外し、並びに、基板搬送ユニット16と17、中心の基板搬送システム18、及び加熱/冷却ユニット19のメンテナンスを容易にするため、電気ユニット23、処理液体貯蔵ユニット25、及び機械制御ユニット24は処理ユニット2の外壁に備えられている。
【0022】
基板搬送ユニット16,17は、基板搬送インターフェースユニット5に対してウエハWを搬入出し、かつ2つの基板搬送ユニット16,17内でウエハWを垂直に積層するように備えられている。たとえば、(下側)基板搬送ユニット17は入出ポート部4から処理ユニット2
へ搬送される基板を受け取るのに用いられ、かつ(上側)基板搬送ユニット16は処理ユニット2から入出ポート部4へ搬送される基板を受け取るのに用いられて良い。
【0023】
ファンフィルタユニット(FFU)26からの清浄な空気流の一部は、ウエハ搬送ユニット16と17の間の空間、及び基板搬送ユニット16の上の空間を通って基板搬送インターフェースユニット5へ流れる。よって基板搬送インターフェースユニット5からの粒子及び不純物の処理ユニットへの導入は最小限に抑制され、かつ処理ユニット2内の清浄な環境を維持することができる。
【0024】
中心の基板搬送システム18は、回転駆動モーター(図示されていない)によって回転可能である円筒形支持体30、及び該円筒形支持体30内部をZ方向に上下に移動可能な基板搬送体31を有する。その基板搬送体31は、円筒形支持体30の回転によってその円筒形支持体30内部で回転可能である。基板搬送体31は、それぞれ異なる高さに配置されていて、それぞれは独立して伸縮可能な3つの搬送アーム34,35,36を有する。
【0025】
加熱/冷却ユニット19は、ウエハWの冷却専用である1つの冷却ユニット、及びウエハWの加熱(あるいはゆっくりとした徐冷)専用である3つの加熱ユニットを有する。あるいはその代わりに、加熱/冷却ユニット19はウエハ搬送ユニット16の上側部分に設けられ、かつ図1に図示された加熱/冷却ユニット19によって占められる空間は他の目的に利用されて良い。
【0026】
図2に図示されているように、基板処理ユニット12,13,14,15は、2つの垂直レベルに備えられている。各レベルは2つの基板処理ユニットを有する。基板処理ユニット12と13及び基板処理ユニット14と15は、基板処理ユニット12と13の間の仕切り41に対して対称である。基板処理ユニット12,13,14,15は、処理ユニット2内での位置を除けば同一であって良い。以降では本発明の実施例を例示するため、基板処理システム12について説明する。
【0027】
図3は基板処理ユニット12の上面図である。基板処理ユニット12は、外部チャンバ45、及び該外部チャンバ45内部にウエハWを処理するための処理チャンバ46を有する。さらに外部チャンバ45は、処理チャンバ46内のウエハWへ処理液体を供給する処理液体供給システム47を有する。開口部50は外部チャンバ45内に形成され、外部チャンバのメカニカルシャッター51は開閉機構(図示されていない)を用いて開口部を開閉する。ウエハWが開口部50を介して基板処理ユニット12へ搬入されるとき、処理チャンバのメカニカルシャッター53によって開口部52が開くことで、搬送アーム34,35,36のうちの1つによってウエハWを処理チャンバ46へ搬入することが可能となる。処理チャンバのメカニカルシャッター53は、外部チャンバのメカニカルシャッター51と共通する開閉機構によって開かれても良い。駆動機構(図示されていない)によって開閉する処理液体供給手段のシャッター56を処理することによって、開口部55が処理チャンバ46内に形成される。
【0028】
処理液体供給手段47はウエハWの上側表面に付与される処理液体を供給する。その処理液体はたとえば、ウエハWの露出面上のレジスト膜の少なくとも一部を溶解する洗浄液、又はウエハWをさらに洗浄するリンス液を有して良い。処理液体供給手段47は、処理液体供給ノズル60、該処理液体供給ノズル60を支持するアーム61、及び該アーム61の一端を回転可能なように支持する回転手段62を有する。よって処理液体供給ノズル60は、処理チャンバ46外部の準備位置と、処理液体供給ノズル60がウエハWの上に処理液体を供給する供給位置との間で回転可能なアーム61によって支持される。さらに処理液体供給ノズル60は、処理チャンバ46内のウエハWの上を、該ウエハWの中心から端部へ移動することが可能である。
【0029】
処理チャンバ46内でウエハWを回転可能なように支持する回転可能チャック71が供される。ウエハWの端部を背面から支持する支持ピン(図示されていない)が、回転可能チャック71の上側部分上の複数の位置に供される。ウエハWの端部を保持する保持部72が供される。図3に図示された典型的実施例では、3つの保持部72が図示されている。
【0030】
図4Aは、基板処理システム内での処理液体の循環を表す単純化された回路図である。処理液体は、基板処理ユニット12内の処理チャンバ46を流れる。基板処理ユニット12は処理液体循環システム73を有する。処理液体循環システム73は、ウエハWを処理液体に曝露した後に続き、処理チャンバ46から放出される処理液体を受け、濾過し、かつ循環させるように備えられている。処理液体循環システム73は、処理チャンバ46から処理液体を放出する処理液体放出ライン74の一端と接続する。処理液体循環システム73は、処理液体供給手段47の処理液体供給ノズル60の他端と接続する。リンス液として蒸留水(DIW)を供給するリンス液供給体90が供され、そのリンス液供給体90は処理液体供給ノズル60と接続する。リンス液供給体90は、リンス液供給源92と結合する。リンスプロセス中でのDIWの流れを制御するバルブ93がリンス液供給体90に供される。
【0031】
処理液体循環ライン75及び処理液体廃液管78は、バルブ79によって処理液体放出ライン74と接続する。そのバルブ79は、処理チャンバ46から、処理液体廃液管78又は処理液体循環ライン75のいずれかへ放出される処理液体の流れを制御するように備えられている。本発明の実施例によると、基板洗浄処理の少なくとも一部の間、バルブ79は、処理液体を処理液体放出ライン74から処理液体循環ライン75へ案内し、その後所定期間、そのバルブ79は、その処理液体を液体廃液管78へ案内することで、膜の残骸物や他の不純物を含む処理液体が処理液体循環ライン75へ流れるのを最小限に抑制する。
【0032】
処理液体循環システム75はライン75aを有し、そのライン75aはバルブ79を処理液体格納容器46に結合する。処理液体格納容器76は、処理液体循環ライン75を介して処理チャンバ46から戻された処理液体を貯蔵する。処理液体格納容器76の底面105は傾いている。バイブレータ106が、底面105へ超音波振動を印加するため、底面の背面に結合する。処理液体格納容器76からの処理液体を排出する廃液ライン107が、傾いた底面105の最低地点付近に設けられている。廃液ライン107は、バルブ108を介して処理液体格納容器76の側面に接続する。この設定により、処理液体格納容器76内部を洗浄する前に、処理液体格納容器76から廃液ライン107を介して処理液体を排出することが可能となる。処理液体格納容器76の内部を洗浄するため、処理液体格納容器76の壁面に設けられているスプレーノズル109が供されている。バイブレータ106は、超音波を底面に印加することで、底面105に沈殿して残る膜の残骸物や他の不純物を取り除く。スプレーノズル109は水を噴霧して処理チャンバ格納容器76の内部を洗浄し、その後イソプロピルアルコール(IPA)蒸気を噴霧して処理チャンバ格納容器76の内部を乾燥させて良い。処理液体格納容器76へ噴霧される水は廃液ライン107を介して排出されて良い。
【0033】
ポンプ77は、処理液体循環システム73を流れる処理液体から大きな膜の残骸物を除去するため、処理液体格納容器76から第1(粗い)フィルタ80へ処理液体を流す。一旦濾過された処理液体は、ライン75dを介して、第1フィルタ80よりも細かな第2(細かい)フィルタ81へ流れる。一例では、第1フィルタ80は大きさが50μm(μm=10-6m)の孔を有し、かつ第2フィルタ81は大きさが0.1μmの孔を有して良い。第1フィルタ80は処理液体から大きな膜の残骸物を除去し、かつ第2フィルタ81は処理液体から残りの小さな膜の残骸物と他の不純物を実質的に除去する。第1フィルタ80の存在により、第2フィルタ81の交換頻度が減少する。一例では、処理液体循環システム75内に第1フィルタ80が存在することで、第2フィルタの交換頻度が約2/3に減少することが分かった。2回濾過/精製される処理液体はライン75fを介して処理液体供給ノズル60へ流れ、かつ再度そのウエハW又は次のウエハWへ付与される。図4Aに図示されていないとはいえ、処理液体循環システム73は、1つ以上の圧力制御装置、1つ以上の流れ制御装置、追加のバルブ、及び1つ以上の流れセンサを有して良い。
【0034】
図4Bは、本発明による基板処理システム-たとえばシステム1-内での第1及び第2処理液体の循環を表す単純化された回路図である。図4Bの回路図は、図4Aの回路図と似ている。しかし図4Bの回路図は、第1処理液体循環システム73と第2処理液体循環システム73’を有する。しかし各処理液体循環システムは、処理液体にウエハWが曝露された後に、処理液体放出ライン74を介して、処理チャンバ46から放出される2種類の処理液体を、各独立に受け、濾過し、かつ循環させるように備えられている。第1処理液体循環システム73と第2処理液体循環システム73’は、処理チャンバ46から処理液体を放出するように備えられている処理液体放出ライン74の一端と接続する。
【0035】
第1処理液体循環ライン75と第2処理液体循環ライン75’、及び処理液体廃液管78は、バルブ79’によって処理液体放出ライン74と接続する。そのバルブ79’は、処理チャンバ46から、処理液体廃液管78又は第1処理液体循環ライン75と第2処理液体循環ライン75’のいずれかへ放出される処理液体の流れを制御するように備えられている。本発明の実施例によると、基板洗浄処理の少なくとも一部の間、バルブ79’は、処理液体を処理液体放出ライン74から処理液体循環ライン75へ案内し、その後所定期間、そのバルブ79’は、その処理液体を液体廃液管78へ案内することで、膜の残骸物や他の不純物を含む処理液体が第1処理液体循環ライン75へ流れるのを最小限に抑制する。続いてバルブ79’は、第2処理液体を、第2処理液体循環システム73’又は処理液体廃液管78のいずれかへ案内することが可能である。
【0036】
第1処理液体循環ライン75と同一又は似たように、第2処理液体循環ライン75’はライン75a’を介して格納容器76’と結合し、その格納容器76’は第2処理液体循環ライン75’を介して処理チャンバ46から戻された第2処理液体を貯蔵する。処理液体格納容器76’の底面105’は傾いている。バイブレータ106’が、底面105’へ超音波振動を印加するため、底面の背面に結合する。処理液体格納容器76’からの処理液体を排出する廃液ライン107’が、傾いた底面105’の最低地点付近に設けられている。廃液ライン107’は、バルブ108’を介して処理液体格納容器76’の側面に接続する。この設定により、処理液体格納容器76’内部を洗浄する前に、処理液体格納容器76’から廃液ライン107’を介して処理液体を排出することが可能となる。処理液体格納容器76’の内部を洗浄するため、化学液体格納容器76’の壁面に設けられているスプレーノズル109’が供されている。バイブレータ106’は、超音波を底面に印加することで、底面105’に沈殿して残る膜の残骸物や他の不純物を取り除く。スプレーノズル109’は水を噴霧して処理チャンバ格納容器76’の内部を洗浄し、その後IPA蒸気を噴霧して処理チャンバ格納容器76’の内部を乾燥させて良い。処理液体格納容器76’へ噴霧される水とIPAは廃液ライン107’を介して排出されて良い。
【0037】
ポンプ77’は、第2処理液体循環システム73’を流れる処理液体から大きな膜の残骸物を除去するため、処理液体格納容器76’から第1(粗い)フィルタ80’へ処理液体を流す。一旦濾過された第2処理液体は、ライン75d’を介して、第1フィルタ80’よりも細かな第2(細かい)フィルタ81’へ流れる。第1フィルタ80’は処理液体から大きな膜の残骸物を除去し、かつ第2フィルタ81’は処理液体から残りの小さな膜の残骸物と他の不純物を実質的に除去する。2回濾過/精製される処理液体はライン75f’を介して処理液体供給ノズル60へ流れ、かつ再度そのウエハW又は次のウエハWへ付与される。
【0038】
図4A及び図4Bで説明したように、処理液体循環システム内の処理液体から膜の残骸物と他の不純物を除去するのに複数のフィルタが利用されて良い。しかし多数のウエハWが処理され、かつウエハの面積は大きいため、処理チャンバ46から放出される処理液体は、膜の残骸物を大量に含んでいると考えられる。この結果、少なくとも1つのフィルタはすぐに詰まり、その少なくとも1つのフィルタは頻繁に交換しなければならなくなる。この問題を解決する様々な方法が提案されてきた。1つ以上のフィルタのその場洗浄はそのような方法の1つである。1つ以上のフィルタのその場洗浄方法及びシステムは特許文献2に記載されている。フィルタのその場洗浄についての一の課題は、フィルタ洗浄中に水の処理を中断することである。その結果、ウエハの処理能力は低下し、基板処理システムの動作コストが増大する。
【0039】
本発明の実施例は、1種類以上の処理液体中での膜の残骸物と他の不純物を減らすことによって、フィルタ洗浄/交換を行う周期を延ばす方法を供する。特に基板処理中、膜の残骸物と他の不純物の大部分は処理液体の一部と共に、処理液体循環システムではなく、処理液体廃液管へ放出される。それによりフィルタの洗浄/交換頻度が減少する。
【0040】
ここで本発明の実施例を表す図4A、図5A-5E、図6、及び図7を参照する。図5A-5Eは、本発明の実施例による、ウエハから膜を除去するのに用いられる処理工程に対応する断面図を概略的に表している。図6は、本発明の実施例による、ウエハから膜を除去するタイミング図である。図7は、本発明の実施例による、ウエハから膜を除去するのに用いられる処理工程の処理フローダイヤグラムである。
【0041】
処理フロー700の工程702では、上に膜66が形成されたウエハWが、基板処理システムの処理チャンバ-たとえば図1-3に図示された基板処理システム1の処理チャンバ46-内に供される。
【0042】
工程704では、ウエハWは、期間602aだけ、処理液体供給ノズル60からの処理液体64-たとえば有機溶媒-に曝露され、ウエハWからの膜66の除去が開始される。これは図5Aにおいて概略的に図示されている。期間602aの間、ウエハWは第1速度608aで回転する。そして処理液体64が、期間604aだけ、処理チャンバ46から処理液体循環システム73へ放出される。ウエハWを処理液体64へ曝露する際、膜66は部分的に溶解し、膜の残骸物66aを生成する。これは図5Bにおいて概略的に図示されている。一例では、プラズマに曝露された(硬化した)マスク及びフォトレジストは、処理液体64中でゆっくりとエッチングされる、すなわち全てエッチングされるわけではない。期間602a及び/又は期間604aの長さはたとえば約10秒から約30秒であって良い。第1速度608aはたとえば約30回転/分(RPM)未満であって良く、たとえば約10RPMであって良い。あるいはその代わりに、ウエハWは期間602aの間に回転せず、かつ第1速度608aは0RPMである。
【0043】
工程706では、処理液体64へのウエハWの曝露が中断され、かつウエハWは第1速度608aよりも速い第2速度608bで回転することで、ウエハWから膜の残骸物を遠心力によって除去する。これは図5Cにおいて概略的に図示されている。さらに処理チャンバ46から放出される液体の流れは、処理液体循環システム73から処理液体廃液管78へ変更される。処理液体廃液管78への液体の放出は期間606の間だけ実行される。本発明の一の実施例によると、膜66が分裂し始めるときに処理液体64への曝露が中断されて良い。ただしその曝露が中断されるのは、相当量の膜の残骸物66aがウエハWから脱離して処理チャンバ46から処理液体循環システム73へ放出される前である。たとえば所定の期間は、様々な期間602aでの膜の分裂レベルの検討を含む実験によって決定されて良い。膜の分裂レベルは、処理チャンバ46からウエハWを取り出し、かつ顕微鏡-たとえば走査型電子顕微鏡(SEM)-によって膜66と膜の残骸物66aを検査することによって検討されて良い。
【0044】
さらに工程706を参照すると、第2速度608bはたとえば約100RPMから約2000RPMであって良く、約800RPMであって良い。第2速度608bは、遠心力によるウエハWからの膜の残骸物66aの除去を最適化する実験によって選ばれて良い。
【0045】
工程708では、ウエハWは期間602bでは処理液体64に曝露され、かつ処理液体64は期間606の残りの期間で処理チャンバ46から処理液体廃液管78へ放出される。本発明の実施例によると、工程708では、処理液体64に加えて、先の工程706でウエハWから脱離した相当量の膜の残骸物66aが処理液体廃液管78へ放出される。そのため、処理液体循環システム73へ放出される膜の残骸物66aの量は最小限に抑制される。この結果、処理液体格納容器79及びフィルタ80と81に蓄積される膜の残骸物66aと他の不純物の量が減少する。この結果、1つ以上のフィルタの洗浄又は交換頻度が減少し、かつウエハ処理の中断が少なくなる。
【0046】
図5D及び図6に図示されているように、ウエハWは期間602bの第1部分では第2速度608bよりも遅い第3速度608cで回転する。続いてウエハWは期間602bの第2部分では第1速度608aで回転する。これは図5Eにて概略的に図示されている。第3速度608cはたとえば約100RPMから約800RPMであって良く、約200RPMであって良い。
【0047】
図6に図示された実施例によると、期間602aと602b中に基板に曝露される処理液体は、同一の処理液体-たとえば有機溶媒-を含む。
【0048】
図6の期間604aの終了は期間602aの終了と同期しているように図示されているが、このことは本発明の実施例にとって必要なことではない。一例では、処理液体循環システム73内でより多くの処理液体64を戻すため、期間604aは期間602aの終了後に終了して良い。一般的には、本発明の他の実施例では、処理液体が処理液体循環システムへ放出される期間は、ウエハWが処理液体に曝露される期間以降に終了して良い。
【0049】
工程708にてウエハWが処理液体64に曝露された後、処理液体の残りと他の不純物がウエハW上に存在していると考えられる。従ってウエハWをさらに洗浄して乾燥させるためのさらに他の処理工程が実行されて良い。その他の処理工程とはたとえば、DIWへの曝露、アルコール(たとえばIPA)への曝露、及び/又はN2ガスへの曝露といった様々な工程である。
【0050】
ここで図4A、図8A-8E、図9、及び図10を参照して本発明の他の実施例を例示する。図8A-8Eは、本発明の実施例による、ウエハから膜を除去するのに用いられる処理工程に対応する断面図を概略的に表している。図9は、本発明の実施例による、ウエハから膜を除去するタイミング図である。図10は、本発明の実施例による、ウエハから膜を除去するのに用いられる処理工程の処理フローダイヤグラムである。
【0051】
処理フロー1000の工程1002では、上に膜66が形成されたウエハWが、基板処理システムの処理チャンバ-たとえば図1-3に図示された基板処理システム1の処理チャンバ46-内に供される。
【0052】
工程1004では、ウエハWは、期間902aだけ、処理液体供給ノズル60からの第1処理液体64a-たとえば有機溶媒-に曝露され、ウエハWからの膜66の除去が開始される。これは図8Aにおいて概略的に図示されている。期間902aの間、ウエハWは第1速度908aで回転する。そして第1処理液体64aが、期間904aだけ、処理チャンバ46から処理液体循環システム73へ放出される。ウエハWを第1処理液体64aへ曝露する際、膜66は部分的に溶解し、膜の残骸物66aを生成する。これは図8Bにおいて概略的に図示されている。期間902a及び/又は期間904aの長さはたとえば約10秒から約30秒であって良い。第1速度908aはたとえば約30RPM未満であって良く、たとえば約10RPMであって良い。あるいはその代わりに、ウエハWは期間902aの間に回転せず、かつ第1速度908aは0RPMである。
【0053】
工程1006では、第1処理液体64aへのウエハWの曝露が中断され、かつウエハWは第1速度908aよりも速い第2速度908bで回転することで、ウエハWから膜の残骸物を遠心力によって除去する。これは図8Cにおいて概略的に図示されている。さらに処理チャンバ46から放出される液体の流れは、処理液体循環システム73から処理液体廃液管78へ変更される。処理液体廃液管78への液体の放出は期間906の間だけ実行される。本発明の一の実施例によると、膜66が分裂し始めるときに第1処理液体64aへの曝露が中断されて良い。ただしその曝露が中断されるのは、相当量の膜の残骸物66aがウエハWから脱離して処理チャンバ46から処理液体循環システム73へ放出される前である。
【0054】
さらに工程1006を参照すると、第2速度908bはたとえば約100RPMから約2000RPMであって良く、約800RPMであって良い。第2速度908bは、遠心力によるウエハWからの膜の残骸物66aの除去を最適化する実験によって選ばれて良い。
【0055】
工程1008では、ウエハWは期間905では第2処理液体64bに曝露され、かつ第2処理液体64bは期間906の残りの期間で処理チャンバ46から処理液体廃液管78へ放出される。第2処理液体64bはたとえばリンス用液体-たとえばDIW、アルコール、若しくは第1処理液体64aとは異なる種類や濃度の有機溶媒-であって良い。本発明の実施例によると、工程1008では、第2処理液体64bに加えて、先の工程1006でウエハWから脱離した相当量の膜の残骸物66aが処理液体廃液管78へ放出される。そのため、処理液体循環システム73へ放出される膜の残骸物66aの量は最小限に抑制される。この結果、処理液体格納容器79及びフィルタ80と81に蓄積される膜の残骸物66aと他の不純物の量が減少する。図8D及び図9に図示されているように、ウエハWは期間905では第2速度908bよりも遅い第3速度908cで回転する。第3速度908cはたとえば約100RPMから約800RPMであって良く、約200RPMであって良い。
【0056】
工程1010では、ウエハWは期間902bで再度第1処理液体64aに曝露され、かつ期間904bで第1処理液体64aは処理チャンバ46から処理液体循環システム73へ放出される。これは図8Eにおいて概略的に図示されている。ウエハWは再度第1速度908aで回転する。第1速度908aはたとえば30RPM未満又は0RPMであって良い。
【0057】
工程1010にてウエハWが第1処理液体64aに曝露された後、処理液体の残りと他の不純物がウエハW上に存在していると考えられる。従ってウエハWをさらに洗浄して乾燥させるためのさらに他の処理工程が実行されて良い。その他の処理工程とはたとえば、DIWへの曝露、アルコール(たとえばIPA)への曝露、及び/又はN2ガスへの曝露といった様々な工程である。
【0058】
ここで図4B、図11A-11E、図12、及び図13を参照して本発明のさらに他の実施例を例示する。図11A-11Eは、本発明の実施例による、ウエハから膜を除去するのに用いられる処理工程に対応する断面図を概略的に表している。図12は、本発明の実施例による、ウエハから膜を除去するタイミング図である。図13は、本発明の実施例による、ウエハから膜を除去するのに用いられる処理工程の処理フローダイヤグラムである。
【0059】
処理フロー1300の工程1302では、上に膜66が形成されたウエハWが、基板処理システムの処理チャンバ-たとえば図1-3に図示された基板処理システム1の処理チャンバ46-内に供される。
【0060】
工程1304では、ウエハWは、期間1202aだけ、処理液体供給ノズル60からの第1処理液体64a-たとえば有機溶媒-に曝露され、ウエハWからの膜66の除去が開始される。これは図11Aにおいて概略的に図示されている。期間1204の間、ウエハWは第1速度1208aで回転し、そして第1処理液体64aが処理チャンバ46から処理液体循環システム73へ放出される。ウエハWを第1処理液体64aへ曝露する際、膜66は部分的に溶解し、膜の残骸物66aを生成する。これは図11Bにおいて概略的に図示されている。期間1202及び/又は期間1204の長さはたとえば約10秒から約30秒であって良い。第1速度1208aはたとえば約30RPM未満であって良く、たとえば約10RPMであって良い。あるいはその代わりに、ウエハWは期間1202の間に回転せず、かつ第1速度1208aは0RPMである。
【0061】
工程1306では、第1処理液体64aへのウエハWの曝露が中断され、かつウエハWは第1速度1208aよりも速い第2速度1208bで回転することで、ウエハWから膜の残骸物を遠心力によって除去する。これは図11Cにおいて概略的に図示されている。さらに処理チャンバ46から放出される液体の流れは、処理液体循環システム73から処理液体廃液管78へ変更される。処理液体廃液管78への液体の放出は期間1206の間だけ実行される。本発明の一の実施例によると、膜66が分裂し始めるときに第1処理液体64aへの曝露が中断されて良い。ただしその曝露が中断されるのは、相当量の膜の残骸物66aがウエハWから脱離して処理チャンバ46から処理液体循環システム73へ放出される前である。
【0062】
さらに工程1306を参照すると、第2速度1208bはたとえば約100RPMから約2000RPMであって良く、約800RPMであって良い。第2速度1208bは、遠心力によるウエハWからの膜の残骸物66aの除去を最適化する実験によって選ばれて良い。
【0063】
工程1308では、ウエハWは期間1205では第2処理液体64bに曝露され、かつ第2処理液体64bは期間1205の残りの期間で処理チャンバ46から処理液体廃液管78へ放出される。工程1008と同様に、第2処理液体64bはたとえばリンス用液体-たとえばDIW、アルコール、若しくは第1処理液体64aとは異なる種類や濃度の有機溶媒-であって良い。本発明の実施例によると、工程1308では、第2処理液体64bに加えて、先の工程1306でウエハWから脱離した相当量の膜の残骸物66aが処理液体廃液管78へ放出される。そのため、処理液体循環システム73,73’へ放出される膜の残骸物66aの量は最小限に抑制される。この結果、処理液体格納容器79,79’及びフィルタ80,80’と81,81’に蓄積される膜の残骸物66aと他の不純物の量が減少する。図11D及び図12に図示されているように、ウエハWは期間1205では第2速度1208bよりも遅い第3速度1208cで回転する。第3速度1208cはたとえば約100RPMから約800RPMであって良く、約200RPMであって良い。
【0064】
工程1310では、ウエハWは期間1205の第2部分で第2処理液体64bに曝露され続けるが、期間1207で第2処理液体64bは処理チャンバ46から第2処理液体循環システム73’へ放出される。期間1207の間、ウエハWは再度第1速度1208aで回転する。第1速度1208aはたとえば30RPM未満又は0RPMであって良い。
【0065】
工程1310にてウエハWが第1処理液体64aに曝露された後、処理液体の残りと他の不純物がウエハW上に存在していると考えられる。従ってウエハWをさらに洗浄して乾燥させるためのさらに他の処理工程が実行されて良い。その他の処理工程とはたとえば、DIWへの曝露、アルコール(たとえばIPA)への曝露、及び/又はN2ガスへの曝露といった様々な工程である。
【0066】
たとえ本発明が1つ以上の実施例によって説明されたとしても、そしてその実施例がかなり詳細に記載されているとしても、これらは如何なる意味においても、「特許請求の範囲」の技術的範囲を係る詳細に限定するものと解されてはならない。当業者は、他の利点及び修正型をすぐに思いつく。従って広い態様における本発明は具体的詳細に限定されない。従って多くの係る修正型は、本発明の技術思想及び/又は技術的範囲から逸脱することなく様々な修正型が可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理液体を用いて基板表面に形成された膜を除去する除去装置であって:
処理室;
前記基板表面を上方に向けた姿勢で保持する基板保持手段;
前記基板表面に対向する位置に配置された処理液を供給するノズル;
前記基板保持手段を少なくとも第1速度又は該第1速度以上の速度である第2速度で回転させる回転機構;
処理液体格納容器を有し、前記処理室への接続が可能で、前記ノズルから供給される処理液体を回収及び循環させることで、再度前記ノズルから供給することを可能にする処理液体循環回収機構;
前記処理室への接続が可能で、前記ノズルから供給される処理液体を廃棄する処理液体廃棄機構;並びに
前記基板保持手段が前記第1速度で回転するときには前記処理液体循環回収機構に処理液体が導かれ、前記基板保持手段が前記第2速度で回転していて前記ノズルから前記処理液体が供給されているときには前記処理液体廃棄機構に処理液体が導かれるように、前記処理室への接続を変更する制御装置;
を有する除去装置であって、
前記処理液体格納容器は、該処理液体格納容器の底部に廃液ライン、前記処理液体格納容器の壁面に前記処理液体格納容器内を洗浄するためのスプレーノズルを有することを特徴とする、
除去装置。
【請求項1】
処理液体を用いて基板表面に形成された膜を除去する除去装置であって:
処理室;
前記基板表面を上方に向けた姿勢で保持する基板保持手段;
前記基板表面に対向する位置に配置された処理液を供給するノズル;
前記基板保持手段を少なくとも第1速度又は該第1速度以上の速度である第2速度で回転させる回転機構;
処理液体格納容器を有し、前記処理室への接続が可能で、前記ノズルから供給される処理液体を回収及び循環させることで、再度前記ノズルから供給することを可能にする処理液体循環回収機構;
前記処理室への接続が可能で、前記ノズルから供給される処理液体を廃棄する処理液体廃棄機構;並びに
前記基板保持手段が前記第1速度で回転するときには前記処理液体循環回収機構に処理液体が導かれ、前記基板保持手段が前記第2速度で回転していて前記ノズルから前記処理液体が供給されているときには前記処理液体廃棄機構に処理液体が導かれるように、前記処理室への接続を変更する制御装置;
を有する除去装置であって、
前記処理液体格納容器は、該処理液体格納容器の底部に廃液ライン、前記処理液体格納容器の壁面に前記処理液体格納容器内を洗浄するためのスプレーノズルを有することを特徴とする、
除去装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図11E】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図11E】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−89856(P2012−89856A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256240(P2011−256240)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【分割の表示】特願2009−527487(P2009−527487)の分割
【原出願日】平成19年8月24日(2007.8.24)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【出願人】(505390680)ト−キョ−・エレクトロン・アメリカ・インコーポレーテッド (64)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【分割の表示】特願2009−527487(P2009−527487)の分割
【原出願日】平成19年8月24日(2007.8.24)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【出願人】(505390680)ト−キョ−・エレクトロン・アメリカ・インコーポレーテッド (64)
【Fターム(参考)】
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