説明

基板洗浄装置及び洗浄部材の交換時期判定方法

【課題】洗浄部材の摩耗・汚染の状態をモニターすることで、その交換時期を判断して、常に洗浄部材を清浄で摩耗していない状態に保つ基板洗浄装置の洗浄部材交換時期判定方法及び基板洗浄装置を提供する。
【解決手段】洗浄部材と基板の少なくとも一方を回転させた状態でこれらを当接させて洗浄部材と基板の相対運動により基板をスクラブ洗浄する際に、回転測定手段により洗浄部材の回転状態又は基板の回転状態を測定し、回転状態の変化から洗浄部材の表面状態を検知し、検知した表面状態の変化から洗浄部材の交換時期を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板やガラス基板、液晶パネル等、高度の清浄度が要求される基板に当接しスクラブ洗浄する洗浄部材を備えた基板洗浄装置に関し、特に、洗浄部材の表面状態を判断することで、洗浄部材の交換時期を判定して清浄な状態に保つ基板処理装置の洗浄部材交換時期判定方法、及び基板洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から半導体基板等の基板の表面を洗浄する方法として、基板の表面に純水を供給しながらブラシやスポンジ等からなる洗浄部材を擦り付けることによってその洗浄を行うスクラブ洗浄方法がある。ところで、この種のスクラブ洗浄は、基板に付着した汚染物質を除去する力は高いが、その一方で、洗浄部材を直接基板に接触させて洗浄を行うため、洗浄部材自体が汚染されてしまい、長期間の使用により洗浄力が低下するという問題がある。また、洗浄部材の汚染が進むと基板の洗浄力が落ちるだけでなく、洗浄部材に堆積した汚染物質が基板を逆に汚染してしまい、洗浄効果が現れなくなるという問題もあった。
【0003】
これらの問題を回避するため、従来、洗浄部材に洗浄液を供給すると共に超音波振動を与える方法(特開平5−317783号公報)、超音波振動を作用させた洗浄液中で洗浄ブラシにより基板を洗浄する方法(特開平6−5577公報)、超音波を作用させた洗浄液中で洗浄部材と当接部材を擦りあわせる方法(特開平10−109074公報)等が提案された。これらの方法は、洗浄部材の比較的表層の部分に堆積した汚染物質の除去については効果的であるが、洗浄部材の内部まで入り込んだ汚染物質を除去する場合には十分な方法ではなかった。このため、洗浄部材の内部から洗浄液を出して洗浄部材の内部汚染を低減させるという方法もあるが、この方法も洗浄液供給部からの距離によって洗浄部材内部の洗浄状態が困難であった。
【0004】
洗浄部材によって基板を逆汚染してしまう他の原因として、洗浄部材の素材の劣化が挙げられる。基板に当接させて擦り付ける動作によって、洗浄部材はその表面から徐々に摩耗が進んでいく。特に洗浄部材として多く用いられるポリビニルアルコール(PVA)等の樹脂は、多孔質に成型され、成型時に型と接している表面近傍の表層部とその内部の下層部とが形成される。外表面の部分に形成された表層部(表面薄膜層)は、気孔の径が数μm〜数十μmと小さくその数も少ない厚さ数μm〜10μm程度の硬い層である。ところが、基板洗浄の際に洗浄部材の表面を基板に擦り付けることを繰り返すと、次第に硬い表層部が摩耗していき、やがてその内部の柔らかい樹脂素材である下層部が露出して被洗浄基板と接することとなる。この柔らかい下層部に形成された気孔は、その径が10μm〜数200μmと大きく、該下層部は表層部よりも摩耗し易いため、下層部が基板に擦り付けられた際に摩耗片が多数発生し、これが基板のパーティクル汚染の原因となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
基板に擦り付ける洗浄を繰り返すことで、洗浄部材の表面は摩耗していくだけでなく、汚染物質が徐々に洗浄部材内部まで浸透していき、その蓄積量が増していく。このような洗浄部材の使用による汚染物質除去率の低下、逆汚染量の増加を抑制するためには、洗浄部材は逐次新しい清浄なものと交換する必要がある。そこで、従来は事前に実験により適切な基板の処理枚数を予測することでその交換時期を判断しているが、実際の有効処理枚数は基板の状態や洗浄条件が変わると変動するという問題がある。また基板の抜き取り検査を行うことや、基板洗浄工程の合間に汚染評価用の基板を洗浄・評価すること等で、洗浄部材の交換時期を決定することが行われており、基板の検査間隔を短くすれば洗浄部材の汚染初期に交換をすることができ、基板の清浄度も高く維持できるが、コスト高になり時間もかかるという問題がある。
【0006】
さらに、評価用の基板を流す間隔を長くするなどして検査間隔を長く開けると、洗浄部材の汚染や摩耗が発見された時点では、汚染・摩耗した洗浄部材で既に多くの基板が処理されており、洗浄済みの基板が汚染されているという事態も生じる。さらに、洗浄時に出る排液の汚染状態をモニターすることで洗浄部材の汚染を判断する方法もあるが、排液には基板自体から除去された汚染物質も含まれているため、汚染物質の排出源が基板か洗浄部材かの判別が困難であった。
【0007】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、洗浄部材の摩耗・汚染の状態をモニターすることで、その交換時期を判断して、常に洗浄部材を清浄で摩耗していない状態に保つ基板洗浄装置の洗浄部材交換時期判定方法、及び基板洗浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため本願の発明は、基板に当接してスクラブ洗浄する洗浄部材を備えた基板洗浄装置の洗浄部材交換時期判定方法を提供する。本発明の方法において、洗浄部材の交換時期は、洗浄部材の表層膜がなくなった時点であり、その時点を検出する技術は、洗浄部材の特性により異なる。本発明の方法は、洗浄部材の表面状態を検知する表面状態検知手段で洗浄部材の表面状態を検知し、該検知した表面状態から該洗浄部材の交換時期を判定する。
【0009】
洗浄部材の交換時期を判定する表面状態は、該洗浄部材表面の単位面積当たりの孔径分布・孔面積等の気孔状態であるか、又は洗浄部材の交換時期を判定する表面状態は、該洗浄部材表面の硬度である。
【0010】
本発明の洗浄部材交換時期判定方法は、洗浄部材と基板の少なくとも一方を回転させた状態でこれらを当接させて洗浄部材と基板の相対運動により該基板をスクラブ洗浄する際に、回転測定手段により洗浄部材の回転状態及び/又は基板の回転状態を測定する工程と、該回転状態の変化から洗浄部材の表面状態を検知する工程と、該検知した表面状態から該洗浄部材の交換時期を判定する工程を含む。
【0011】
本発明は、基板に当接してスクラブ洗浄する洗浄部材を備えた基板洗浄装置であって、洗浄部材の表面状態を検知する表面状態検知手段と、該表面状態検知手段で検知した洗浄部材の表面状態から該洗浄部材の交換時期を判定する交換時期判定手段とを含む。
【0012】
この基板洗浄装置において、表面状態検知手段は洗浄部材の回転状態又は基板の回転状態を測定する回転測定手段を含み、該回転測定手段は、洗浄部材と基板の少なくとも一方を回転させた状態でこれらを当接させて洗浄部材と基板の相対運動により該基板をスクラブ洗浄する際に、洗浄部材の回転状態及び/又は基板の回転状態を測定し、交換時期判定手段が、該測定した回転状態の変化から洗浄部材の表面状態を検知する。
【0013】
表面状態検知手段は、洗浄部材表面の画像を取得する画像取得手段を具備する。交換時期判定手段は、画像取得手段で取得した画像データを処理し、該洗浄部材表面の単位面積当たりの孔径分布・孔面積等の気孔状態から洗浄部材の交換時期を判定する。
【0014】
表面状態検知手段は、洗浄部材と画像取得手段との間に観察媒体を有し、画像取得手段は観察媒体を介して洗浄部材表面の画像を取得する。観察媒体は、ガラス等透明又は半透明の材料で構成された固形部材や、洗浄液等の液体、あるいは気体等である。
【0015】
表面状態検知手段は、洗浄部材表面の硬度を測定する硬度測定手段を具備し、交換時期判定手段は該硬度測定手段で測定した洗浄部材表面の硬度から洗浄部材の交換時期を判定する。硬度測定手段は、超微小硬度計又は薄膜硬度計を具備する。交換時期判定手段は、表面状態検知手段で検知した洗浄部材の表面状態が表層部を示す状態から下層部を示す状態に変化した場合に、洗浄部材の交換信号を出す。
【0016】
洗浄部材洗浄装置は、洗浄部材に押し付けて該洗浄部材を洗浄する当接部材、該当接部材を駆動制御する駆動制御手段、洗浄液を収納し少なくとも洗浄部材と当接部材の当接部分を浸漬させる洗浄槽、洗浄槽内の洗浄液中のパーティクル数及び/又は成分濃度を測定する測定手段、測定手段による測定結果を駆動制御手段にフィードバックするフィードバック機構を含む。
【0017】
本発明の基板洗浄装置は、基板に当接してスクラブ洗浄するスポンジ又は布地により作られる表面層を有する洗浄部材と、洗浄部材に押し付けて該洗浄部材を洗浄する当接部材と、該当接部材を駆動制御する駆動制御手段と、洗浄液を収納し少なくとも洗浄部材と当接部材の当接部分を浸漬させる洗浄槽とを具備する洗浄部材洗浄装置を含む。基板洗浄装置は、更に洗浄槽内の洗浄液中のパーティクル数及び/又は成分濃度を測定する測定手段、及び測定手段による測定結果を駆動制御手段にフィードバックするフィードバック機構を含む。
【0018】
本発明の基板洗浄装置は、洗浄部材の洗浄後、洗浄槽に収納した洗浄液をオーバーフローさせるオーバーフロー機構、又は洗浄槽から引き上げた洗浄部材に洗浄液を供給する洗浄液供給機構を含むことができる。測定手段で測定された洗浄液中のパーティクル数及び/又は成分濃度が規定値以上になった場合、洗浄部材の交換信号を出す。本発明の基板洗浄装置は、更に洗浄部材、当接部材、洗浄槽、観察壁のいずれか又は総てを超音波洗浄する超音波洗浄機構を含むことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の方法においては、洗浄部材の表面状態を検知する表面状態検知手段で洗浄部材の表面状態を検知し、該検知した表面状態から該洗浄部材の交換時期を判定するので、洗浄部材の交換時期を的確に判断することが可能となり、洗浄部材の摩耗や汚染に起因する基板の逆汚染を防ぐことができ、高い基板洗浄力を維持することができる。
【0020】
本発明の方法においては、洗浄部材の交換時期を判定する表面状態は該洗浄部材表面の単位面積当たりの孔径分布・孔面積等の気孔状態であるので、洗浄部材の表面が気孔の多い表層部から下層部に変化した場合に、これを的確に検知することが可能となるので、洗浄部材の交換時期を判断して、基板の汚染を防ぐことができる。
【0021】
本発明の方法においては、洗浄部材の交換時期を判定する表面状態は該洗浄部材表面の硬度であるので、洗浄部材の表面が表層部から下層部に変化した場合に、測定した硬度によりこれを的確に検知することが可能となるので、洗浄部材の交換時期を判断して、基板の汚染を防ぐことができる。
【0022】
本発明の方法においては、洗浄部材と基板の少なくとも一方を回転させた状態でこれらを当接させて洗浄部材と基板の相対運動により該基板をスクラブ洗浄する際に、回転測定手段により洗浄部材の回転状態及び/又は基板の回転状態を測定し、該回転状態の変化から洗浄部材の表面状態を検知し、該検知した表面状態から該洗浄部材の交換時期を判定するので、基板のスクラブ洗浄を行っている途中で洗浄部材が磨耗したと判断される場合はすぐにスクラブ洗浄を中止して洗浄部材を交換することができる。このように洗浄部材の適切な交換時期を判断することで、基板の汚染を防ぐことができる。
【0023】
本発明の基板洗浄装置は、洗浄部材の表面状態を検知する表面状態検知手段と、該表面状態検知手段で検知した洗浄部材の表面状態から該洗浄部材の交換時期を判定する交換時期判定手段を具備するので、洗浄部材の交換時期を的確に判断することが可能となり、洗浄部材の摩耗や汚染に起因する基板の逆汚染を防ぐことができ、高い基板洗浄力を維持することができる。
【0024】
本発明の基板洗浄装置によれば、表面状態検知手段は洗浄部材の回転状態及び/又は基板の回転状態を測定する回転測定手段を具備し、該回転測定手段は、洗浄部材と基板の少なくとも一方を回転させた状態でこれらを当接させて洗浄部材と基板の相対運動により該基板をスクラブ洗浄する際に、洗浄部材の回転状態及び/又は基板の回転状態を測定し、交換時期判定手段は、該測定した回転状態の変化から洗浄部材の表面状態を検知する。
【0025】
それ故、基板のスクラブ洗浄を行っている途中で洗浄部材が磨耗したと判断される場合はすぐにスクラブ洗浄を中止して洗浄部材を交換することができる。このように洗浄部材の適切な交換時期を判断することで、基板の汚染を防ぐことができる。
【0026】
本発明の基板洗浄装置によれば、表面状態検知手段は、洗浄部材表面の画像を取得する画像取得手段を具備し、交換時期判定手段は画像取得手段で取得した画像データを処理し、該洗浄部材表面の単位面積当たりの孔径分布・孔面積等の気孔状態から洗浄部材の交換時期を判定するので、洗浄部材の表面が気孔の多い表層部から下層部に変化した場合に、これを的確に検知することが可能となるので、洗浄部材の交換時期を判断して、基板の汚染を防ぐことができる。
【0027】
本発明の基板洗浄装置において、表面状態検知手段は、洗浄部材と画像取得手段との間に観察媒体を有し、画像取得手段は観察媒体を介して洗浄部材表面の画像を取得するので、洗浄部材の表面状態を的確に検知することができ、洗浄部材の交換時期を判断して、基板の汚染を防ぐことができる。
【0028】
本発明の表面状態検知手段は、洗浄部材表面の硬度を測定する硬度測定手段を具備し、交換時期判定手段は該硬度測定手段で測定した洗浄部材表面の硬度から洗浄部材の交換時期を判定するので、洗浄部材の表面が表層部から下層部に変化した場合に、測定した硬度によりこれを的確に検知することが可能となり、洗浄部材の交換時期を判断して、基板の汚染を防ぐことができる。
【0029】
本発明の基板洗浄装置によれば、交換時期判定手段は、洗浄部材表面の単位面積当たりの孔径分布・孔面積等の気孔状態又は洗浄部材表面の硬度が表層部を示す状態から下層部を示す状態に変化した場合に、洗浄部材の交換信号を出すので、洗浄部材の表層部が消失している場合は、洗浄部材を交換することができ、洗浄部材の摩耗に起因する基板の逆汚染を防ぐことができ、基板洗浄力を維持することができる。
【0030】
本発明の基板洗浄装置は、洗浄槽内の洗浄液中のパーティクル数及び/又は成分濃度を測定する測定手段を具備し、測定手段による測定結果を駆動制御手段にフィードバックするフィードバック機構を備えたので、洗浄部材が摩耗してパーティクルを排出している場合や、洗浄部材が汚染されている場合でも、当接部材の動作を適切に制御することで、洗浄液及び洗浄部材の汚染度が低くなるようにすることができる。
【0031】
本発明の基板洗浄装置は、洗浄部材の洗浄後、洗浄槽に収納した洗浄液をオーバーフローさせるオーバーフロー機構、又は洗浄槽から引き上げた洗浄部材に洗浄液を供給する洗浄液供給機構を備えたので、洗浄中に洗浄部材から排出された汚染物質によって洗浄部材が再度汚染される恐れがなくなる。
【0032】
本発明の基板洗浄装置によれば、測定手段で測定された洗浄液中のパーティクル数及び/又は成分濃度が規定値以上になった場合は、洗浄部材の交換信号を出すので、洗浄部材が摩耗してパーティクルを排出している場合や、洗浄部材が汚染されている場合に洗浄部材の交換を行うことができ、洗浄部材による基板の汚染を防ぐことができ、高い基板洗浄力を維持することができる。
【0033】
本発明の基板洗浄装置は、洗浄部材、当接部材、洗浄槽、観察壁のいずれか又は総てを超音波洗浄する超音波洗浄機構を備えることができるので、これらを清浄な状態に維持することで、洗浄部材の清浄度を維持することができる。以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
〔発明を実施するための最良の形態〕
【実施例1】
【0034】
図1に、本発明の一実施形態にかかる基板洗浄装置の構成例を示す。同図に示す基板洗浄装置1は、半導体基板等の基板Wを把持し回転させ、洗浄部材2で基板Wの両面の洗浄を行うものである。該基板洗浄装置1は、基板Wの周縁部を支持し回転させる複数のスピンドル5、シャフト3(3a,3b)の周囲全周を覆って取り付けられた略円柱形状に形成された発砲ポリウレタン、PVA等で構成されたロールスポンジからなる洗浄部材2(2a,2b)、該洗浄部材2を矢印Hに示すように上下動させ、かつ矢印F1,F2に示すようにシャフト3の周囲をシャフト3の軸心周りに回転させる駆動装置6、該駆動装置6を制御することで洗浄部材2の動作を制御する制御装置7、基板Wの上面に超純水等の洗浄液を供給する洗浄液供給ノズル4を具備して構成される。
【0035】
また、スピンドル5にはモータ等の駆動装置8が接続され、スピンドル5の総てが同一の回転数で回転し、基板Wを所定の回転数で回転させる。なお、スピンドル5の少なくとも1つが自転し他は従動回転するように構成してもよい。
【0036】
洗浄部材2はその材質がスポンジ状のものに限定されず、例えば表面に研磨布を取り付けたもの等でもよい。さらに本実施例では、洗浄部材2として洗浄面が円筒形状であるロールスポンジを用いたものを示したが、洗浄部材2を、円筒部分の表面に該円筒と同軸方向に延伸する同質の小径円柱状の突起部を複数設けた構成のものとすることもできる。洗浄に際してこの突起部を基板Wに押しつけることによりさらに基板Wの洗浄効果を高めることが可能となる。
【0037】
上記構成の基板洗浄装置1において、洗浄部材2が駆動装置6により基板Wの上下方向に退避している状態で、スピンドル5に基板Wをチャックして保持して基板Wを図1の矢印X方向に回転させる。そして、洗浄部材2を所定の回転数で回転させながら下降又は上昇させて基板Wの上下面に所定の押圧力又は押しつけ量で当接させることにより、これを基板Wの両面に擦り付けて該両面を洗浄する。
【0038】
また、洗浄の際には洗浄液供給ノズル4から基板Wの上面に洗浄液(超純水及びイオン水、希フッ酸、過酸化水素水などの薬液)を噴射すると共に、基板Wの下方に設置した図示しない洗浄液供給ノズルから基板Wの下面にも洗浄液を噴射する。
【0039】
基板洗浄装置1には、洗浄部材2が基板Wを洗浄する位置から退避した退避位置で、該洗浄部材2に付着した基板Wのパーティクル等の汚染物質を洗浄する洗浄部材洗浄装置が設けられている。図2に洗浄部材洗浄装置の構成例を示す。この洗浄部材洗浄装置10は、純水等の洗浄液11を収容する洗浄槽12と、洗浄液11の内部に浸漬させた所定の回
転数で同図の矢印Fで示す方向に回転する洗浄部材2に当接して該洗浄部材2の外周面を押圧洗浄する石英板等の当接部材(洗浄治具)14と、該当接部材14を並進運動させる駆動装置21を具備して構成される。
【0040】
当接部材14の全長(図2で紙面手前側から奥側までの長さ)は、洗浄部材2の全外周面を洗浄可能なように洗浄部材2の全長と略等しい長さになっている。この洗浄部材洗浄装置10は、図1に示す基板Wを洗浄する前、または洗浄した後に基板Wから退避させた洗浄部材2を、洗浄液11に浸して当接部材14で洗浄することにより、洗浄部材2に付着したパーティクル等の汚染物質を除去する。なお、22は、洗浄槽12、当接部材14、洗浄部材2等、洗浄部材洗浄装置10の各部に超音波を発振する超音波発信器であり、23は洗浄槽12へ洗浄液11を供給する洗浄液供給管である。
【0041】
洗浄槽12には、該洗浄槽12内に収容された洗浄液11に含まれるパーティクルの数を測定するパーティクルカウンタ13a、及び/又は洗浄液11の性状を測定する液性状センサ13bからなる測定手段13が設置されている。測定手段13で検出された測定値は、制御装置19に入力されるように構成されている。
【0042】
洗浄槽12の底部には、ガラス等の透明又は半透明の材料で形成された平板状の観察壁15が設置され、その下部には、該観察壁15を介して洗浄槽12内の洗浄部材2の表面の画像を取得するように取り付けられたCCDカメラ16a及び/又は顕微鏡16bである画像取得装置16が設けられている。画像取得装置16で取得された画像は、画像処理装置17で処理されて画像情報となり、制御装置19へ出力される。制御装置19には表示手段20が接続されている。
【0043】
洗浄部材洗浄装置10で洗浄部材2を洗浄する際に、洗浄槽12内の洗浄液11の性状を測定手段13でモニターする。ここでは、洗浄液11に含まれるパーティクル数を測定したり、洗浄液11の成分濃度を測定したりすることで、洗浄液11の汚染度をモニターする。このモニター結果を駆動装置21にフィードバックすることで、洗浄部材2の汚染度が低くなるように当接部材14の動作を制御する。即ち、洗浄液11の汚染度が高いと判断された場合は、制御装置19は、洗浄部材2が汚染されていると判断し、駆動装置21へ所定の制御信号を送信して当接部材14の動きを制御することで、洗浄部材2の洗浄条件を変更する。
【0044】
図3は、洗浄部材2の表層部25及びその下部(内部)の下層部26を示す部分拡大模
式図である。スポンジ材等で構成された洗浄部材2は、同図(a)に示すように、表面部
分に比較的硬質で小さい気孔28が形成された表層部25を備え、その内部に、比較的軟
質で大きい気孔28が形成された下層部26を備えて構成されている。従って、洗浄部材
2の表層部25が残存している場合は、同図(a)に示すように、表面の気孔28の数は
少なく、その径も小さい。
【0045】
しかし、洗浄部材2が基板Wに擦り付けられることで、同図(b)に示すように次第に表層部25が削られて無くなり、同図(c)に示すように下層部26が露出すると、表面の気孔28の数が多くなりその径も大きくなるため、単位面積当たりの気孔径分布及び気孔面積が大きくなる。
【0046】
一般的に基板洗浄に用いられるPVA製の洗浄部材の実験データ例では、表層膜における気孔径は、数μm〜数十μmであり、その下層部における気孔径は、10μm〜200μmである。また、表層膜の単位面積における気孔面積が12〜17%であるに対し、下層部の単位面積における気孔面積は70%程度である。そこで、図4に示すように、洗浄中に洗浄部材2を観察壁15に当接させ、画像取得装置16を用いて洗浄部材2の表面画像を取り込み、該画像を画像処理装置17で処理することにより、表面の状態に関する情報を制御装置19へ入力する。これにより、洗浄部材2の単位表面積当たりの気孔径の分布及び気孔面積等が測定される。この測定結果に基づいて、制御装置19は、洗浄部材2の表層部25の有無を判断する。即ち、画像取得装置16で取得された画像を処理したデータから、洗浄部材2の表面の気孔の数が少なくその径分布も小さいことが検出された場合は、表層部25が残存していると判断する。一方、画像取得装置16で取得した画像を処理したデータから、洗浄部材2の表面の気孔の数が多くその径分布も大きいことが検出された場合は、表層部25が消失していると判断する。
【0047】
制御装置19は、表層部25が消失していると判断したら、表示手段20に洗浄部材2の交換信号を出力し、該表示手段20はその旨の表示をする。また、表層部25が残存していると判断したが、測定手段13によって洗浄槽12内の洗浄液11の汚染度が高いと判断された場合は、洗浄部材2が汚染されていると判断し、表示手段20に交換信号を出力するか、又は、駆動装置21へ所定の信号を送り洗浄部材2の洗浄条件を変更する。洗浄部材2が上記の小径円柱状の突起部を設けたものである場合は、洗浄部材2の該突起部分の表面状態を検出してその交換時期を判定する。
【0048】
洗浄部材洗浄装置10は、洗浄槽12や当接部材14、観察壁15などが汚染された場合には、超音波発振器22から超音波を発振することで洗浄槽12、洗浄部材2、当接部材14及び観察壁15等のいずれか又はこれら総てを超音波洗浄することができる。また、洗浄部材2の洗浄工程が終了したら、洗浄槽12内の洗浄液11をオーバーフローさせる。これにより、洗浄槽12は、洗浄液供給管23から供給された清浄な洗浄液11で満たされることになるので、洗浄中に洗浄部材2から排出された汚染物質によって洗浄部材2が再度汚染される恐れがない。
【0049】
上記では、観察壁15を介して該観察壁15に当接する洗浄部材2の表面の画像を取得するように構成したが、観察壁15を設けずに、画像取得装置16で洗浄槽12内の洗浄液11を介して洗浄部材2の表面の画像を取得するように構成することもできる。あるいは、洗浄液11から空気中に引き上げた洗浄部材2の表面の画像を撮影することができるように洗浄槽12の外部に画像取得装置16を設置することもできる。つまり、画像取得装置16と洗浄部材2の間に固体、液体あるいは気体の観察媒体を介在させた状態で、該画像取得装置16で洗浄部材2の表面の画像を取得することができる。
【実施例2】
【0050】
図4は、本発明の他の実施形態(実施例2)にかかる基板処理装置が備える洗浄部材洗浄装置10-2の構成例を示す図である。本実施例において、基板洗浄装置1の構成は図1と共通であるためその説明は省略すると共に、図2に示す洗浄部材洗浄装置10と共通する部分には同一の符号を付してその詳細な説明も省略する。以下の他の実施例においても同様とする。洗浄部材洗浄装置10-2は、洗浄部材洗浄装置10が備える当接部材14に代えて、駆動装置21で洗浄部材2を上下運動させるように構成している。これにより、洗浄部材2を洗浄槽12の底部に設置した観察壁15に反復衝突させて洗浄する。このとき、観察壁15を介して画像取得装置16で観察壁15に当接した洗浄部材2の表面状態をモニターし、該表面の単位面積あたりの孔径分布・孔面積から、制御装置19は表層部25の有無を判断し、表層部25が消失していると判断した際はその旨の信号を表示手段20に出力する。
【0051】
同時に洗浄槽12内の洗浄液11に含まれるパーティクル数及び/又は洗浄液11の成分濃度を測定手段13でモニターし、そのモニター結果を駆動装置21にフィードバックすることで、洗浄部材2の汚染度が低くなるように洗浄部材2の運動を制御する。洗浄部材2の洗浄工程が終了したら、洗浄槽12から洗浄部材2を空中(気体中)へ引き上げ、洗浄液供給管30から洗浄液31を噴射してこれを洗浄部材2へ吹き付ける。これにより、洗浄槽12内の洗浄液11に洗浄部材2から排出された汚染物質が含まれている場合でも、洗浄部材2に付着した汚染物質を洗い落とすことができるので、洗浄中に洗浄部材2から排出された汚染物質によって洗浄部材2が再度汚染される恐れがない。
【実施例3】
【0052】
図5は、本発明の他の実施形態(実施例3)にかかる基板処理装置が備える洗浄部材洗浄装置10-3の構成例を示す図である。洗浄部材洗浄装置10-3は、洗浄部材2の表面の硬度を測定する硬度測定手段32、及び硬度情報処理装置33を備えている。この硬度測定手段32としては、超微小硬度計又は薄膜硬度計等を用いる。
【0053】
図5に示すように、洗浄槽12において、該洗浄槽12内の洗浄液11の性状を測定手段13でモニターしながら、回転する洗浄部材2を並進運動する当接部材14で押圧洗浄する。その際、洗浄部材2の表面2cに硬度測定手段32を接触させて硬度の測定を行い、測定した硬度データを硬度情報処理装置33を介して制御装置19に出力する。制御装置19は、測定した該表面2cの硬度から表層部25の有無を判断し、表層部25が消失していると判断した時は、表示手段20にその旨の信号を出力する。図3(a)で示したように、表層部25は比較的硬質なので、洗浄部材2を基板Wに擦り付けて洗浄を行う際には、その初期段階では洗浄部材2の表層部25から若干の摩耗片27が発生するだけである。そして、洗浄部材2の摩耗が進み気孔28が多く柔らかい下層部26が露出すると、図3(c)に示すように摩耗片27の発生量が多くなるため、下層部26が露出し始めた段階、望ましくは図3(b)に示すようにわずかに表層部25が残存している状態を硬度測定手段32で検知して、この時点で洗浄部材2の交換信号を出力する。このように、洗浄部材2の摩耗度を測定してその交換時期を決定することで、洗浄部材2から摩耗片27が排出されて基板Wを逆汚染することを防止できる。
【0054】
一方、表層部25が残存していると判断したが、測定手段13によって洗浄槽12内の洗浄液11の汚染度が高いと判断された場合は、洗浄部材2が汚染されていると判断し、表示手段20に交換信号を出力するか、又は、駆動装置21へ所定の信号を送り当接部材14による洗浄部材2の洗浄条件を変更する。これにより、洗浄部材2が摩耗して摩耗片27を排出している場合や、洗浄部材2が汚染されている場合に、当接部材14の動作を適切に制御することで、洗浄液11及び洗浄部材2の汚染度が低くなるようにすることができる。
【実施例4】
【0055】
図6は、本発明の他の実施形態(実施例4)にかかる基板洗浄装置の構成例を示す図である。この基板洗浄装置1-2は、洗浄部材2の表面状態を検知する表面状態検知手段として、基板洗浄時の洗浄部材2の回転数や基板Wへの押圧力等の変化を駆動手段6に設けた洗浄部材2の回転駆動モータ等の出力値(電流値)やトルクの変化として測定する回転測定機構35、スピンドル5の回転数の変化を該スピンドル5を回転駆動するモータ等の出力値(電流値)やトルクの変化として測定する回転測定機構36を具備し、洗浄部材の交換時期を判定する交換時期判定手段として、回転測定機構35、36から出力された測定値を処理する情報処理装置37を具備している。
【0056】
洗浄部材2の表面の気孔径分布、気孔面積等の気孔状態や表面硬度等の性状の変化は、基板Wに洗浄部材2を当接させて洗浄する際の洗浄部材2の表面と基板Wとの摩擦力の変化として現れる。そしてこの摩擦力の変化は、一定のトルク又は出力で洗浄部材2や基板Wが回転している場合(定トルク出力制御)、一定の押圧力又は押しつけ量で基板Wに当接している洗浄部材2や基板W(又はスピンドル5)の回転数の変化として検出され、あるいは各々予め制御手段7や図示しない設定手段等により設定された所定の一定回転数(例えば100rpm)で回転している場合(定回転数制御)は、駆動装置6や駆動装置8のモータ出力値(電流値)やトルク等の変化として検出される。そこで、洗浄部材2を駆動する駆動装置6の出力値又は回転数を測定する回転測定機構35、基板W(又はスピンドル5)を駆動する駆動装置8の出力値又は回転数を測定する回転測定機構36のいずれか一方、又は両方を設けることにより、これら回転測定機構35、36による測定値を用いて洗浄部材2の摩耗度を判定することが可能となる。
【0057】
上記構成の基板洗浄装置1-2では、上述の定回転数制御を行う場合、スピンドル5で基板Wを保持して基板Wを所定の回転数で回転させる。そして、洗浄部材2を所定の回転数で回転させながら下降又は上昇させて基板Wの上下面に所定の押圧力又は押しつけ量で当接させることにより、洗浄部材2を基板Wの両面に擦り付けて該両面を洗浄する。その際に、洗浄部材2を駆動する駆動装置6やスピンドル5を駆動する駆動装置8のモータ電圧を一定値に制御することで、洗浄部材2と基板Wの回転数が各々一定の回転数となるように制御する。その状態で、回転測定機構35、36でモータの電流値あるいは消費電力、トルク等を測定する。回転測定機構35、36で測定したこれら測定値を情報処理装置37で処理することにより、該測定値の変化を観察して洗浄部材2の摩耗度や経時変化を判定し、洗浄部材2の交換時期を判断する。また、洗浄部材2の脱落等の異常状態を検知することもできる。このように、基板Wの洗浄中にモータ電流値あるいは消費電力やトルク等を測定して、該測定値が、洗浄部材2が既定値以上に磨耗したと判断される基準値や洗浄部材2の脱落等の異常が発生したと判断される基準値を超える前に、洗浄部材2の交換を決定することができる。
【0058】
さらにこの基板洗浄装置1-2では、洗浄部材2を洗浄する場合においても、洗浄部材2を駆動する駆動装置6のモータ電圧を一定値に制御することで、洗浄部材2の回転数が一定になるように制御した状態で、洗浄部材2を基板Wを洗浄する洗浄位置から退避させて図2乃至図4のいずれかに示す洗浄槽14に浸漬させ、該洗浄槽12内で当接部材14を一定の押圧力又は押しつけ量で当接させて洗浄する。あるいは、洗浄部材2を上下動させて洗浄部材2を洗浄槽12の底部に設置した観察壁15に反復衝突させて洗浄する。この洗浄部材2の洗浄中に、駆動装置6のモータ電流値あるいは消費電力、トルク等の変化を回転測定機構35で測定し、該測定値に基づいて洗浄部材2と当接部材14、あるいは洗浄部材2と観察壁15との摩擦力の変化を測定し、これにより洗浄部材2の摩耗度を判定してその交換時期を決定することもできる。
【実施例5】
【0059】
図7は、本発明の他の実施形態(実施例5)にかかる基板洗浄装置の構成例を示す図である。同図に示す基板洗浄装置1-3は、図1に示す基板洗浄装置1、又は図6に示す基板洗浄装置1-2のいずれかで洗浄部材2として用いたロールスポンジに代えて、洗浄部材2にペンシル型スポンジを用いたものである。この洗浄部材(以下、「ペンシル型スポンジ」という)2は、発砲ポリウレタン、PVA等で円柱形状や台形状等に形成され、その下面に設けた洗浄面2cが、該洗浄面2aと直交する軸(回転軸42)周りに水平面内で回転しながら基板Wに当接するものである。基板洗浄装置1-3のその他の部分の構成は、基板洗浄装置1又は1-2のいずれかと共通するものとし、ここではその説明は省略する。
【0060】
ペンシル型スポンジ2は、洗浄部材保持機構40によって保持されている。洗浄部材保持機構40は、水平方向に張り出した揺動アーム41を有し、揺動アーム41の先端に鉛直下向きに回転軸42が設けられ、回転軸42の先端に保持具43によって保持されたペンシル型スポンジ2が装着されている。回転軸42は図示しない回転機構により矢印D方向に回転し、ペンシル型スポンジ2を同方向に回転させるようになっている。また、揺動アーム41の後端部には揺動軸44及び駆動装置45が設けられ、これらによって揺動アーム41を矢印E方向に揺動させると共に矢印J方向に昇降させるようになっている。
【0061】
上記構成の基板洗浄装置1-3において、スピンドル5で支持され図7の矢印X方向に回転している基板Wの上面に、洗浄液供給ノズル4から純水等の洗浄液を供給すると共に、ペンシル型スポンジ2を所定の一定回転数で回転させながら下降させて、その洗浄面2cを基板Wの上面の位置A(洗浄開始位置)に所定の押圧力又は押しつけ量で当接させる。その状態から揺動アーム41をペンシル型スポンジ2が基板Wの回転中心位置である位置Oを通過するように矢印E方向に揺動させることで、基板Wの上面にペンシル型スポンジ2を擦り付けてスクラブ洗浄を行う。該スクラブ洗浄が終了すると、揺動アーム41を上昇させて旋回させ、ペンシル型スポンジ2を洗浄外周位置である位置Bを経由させて退避位置である位置Cまで移動させる。
【0062】
図8は、図7の基板洗浄装置1-3における退避位置Cでペンシル型スポンジ2を洗浄
する洗浄部材洗浄装置の構成例を示す図である。同図に示す洗浄部材洗浄装置10-4は
、ペンシル型スポンジ2を洗浄槽12に溜めた洗浄液11内に浸漬させて、観察壁15に
反復衝突させることで洗浄を行うもので、その構成及び動作は図4に示す洗浄部材洗浄装
置1-2と共通するため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0063】
図9は、洗浄槽内で洗浄部材を洗浄する際の洗浄液中パーティクル数の時間変化を表すグラフである。図9において、縦軸は、液の単位体積中の0.1μm以上のパーティクル数、横軸は、部材洗浄時間(a.u.)である。a.u.は、arbitary unit(任意単位)の略である。実線は表層膜が存在する場合であり、鎖線は表層膜が存在しない場合である。洗浄部材の洗浄方法及び時間によりパーティクル数の値は異なるが、図9の右方部分に見られるように、表層膜が存在しない場合のパーティクル数の値は、表層膜が存在する場合の値の2〜3倍となる。
【0064】
図10は、洗浄部材と基板を相対運動させ基板をスクラブ洗浄する際の洗浄部材の硬度を、表層膜の有り及びなしについて測定した結果を示す図である。図10に示す通り、洗浄部材の硬度(任意単位)は加重の大きさにより変化するが、表層膜有りの場合は25〜30であるに対し、表層膜なしの場合は13〜15であり、表層膜がなくなると硬度は約半分に低下すると言うことができる。
【0065】
以上に本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載のない何れの形状や材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば、上記実施例に示した基板処理装置1,1-2,1-3や、洗浄部材洗浄装置10,10-2,10-3,10-4の構成はそれぞれ任意に組み合わせることができるものである。
【0066】
また、当接部材14は石英で形成されたものに限らず、例えば表面にブラシ、ダイヤモンドペレットの粒子を付着したものや研磨布等を用いても良い。その形状も、当接面が平板状のものや、当接面が洗浄部材2の外周面の形状に合わせて湾曲した形状などいずれの形状でも良い。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施例1にかかる基板洗浄装置の構成例を示す図である。
【図2】本発明の実施例1にかかる基板洗浄装置が備える洗浄部材洗浄装置の構成例を示す図である。
【図3】洗浄部材の表層部及び下層部を示す部分拡大模式図である。
【図4】本発明の実施例2にかかる基板洗浄装置が備える洗浄部材洗浄装置の構成例を示す図である。
【図5】本発明の実施例3にかかる基板洗浄装置が備える洗浄部材洗浄装置の構成例を示す図である。
【図6】本発明の実施例4にかかる基板洗浄装置の構成例を示す図である。
【図7】本発明の実施例5にかかる基板洗浄装置の構成例を示す図である。
【図8】本発明の実施例5にかかる基板洗浄装置が備える洗浄部材洗浄装置の構成例を示す図である。
【図9】図9は、洗浄槽内で洗浄部材を洗浄する際の洗浄液中パーティクル数の時間変化を表すグラフである。
【図10】図10は、洗浄部材と基板を相対運動させ基板をスクラブ洗浄する際の洗浄部材の硬度を、表層膜の有り及びなしの場合について測定した結果を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に当接してスクラブ洗浄する洗浄部材を備えた基板洗浄装置の洗浄部材交換時期判定方法であって、
前記洗浄部材と前記基板の少なくとも一方を回転させた状態でこれらを当接させて該洗浄部材と該基板の相対運動により該基板をスクラブ洗浄する際に、回転測定手段により前記洗浄部材の回転状態及び/又は前記基板の回転状態を測定し、該回転状態の変化から洗浄部材の表面状態を検知し、該検知した表面状態の変化から該洗浄部材の交換時期を判定する方法。
【請求項2】
基板に当接してスクラブ洗浄する洗浄部材と、該洗浄部材を回転させる駆動手段とを備えた基板洗浄装置において、
前記洗浄部材の基板洗浄作業中又は洗浄部材洗浄中の表面状態を検知する表面状態検知手段と、該表面状態検知手段で検知した前記洗浄部材の表面状態の変化から該洗浄部材の交換時期を判定する交換時期判定手段を具備し、
前記表面状態検知手段は、前記洗浄部材の回転状態及び/又は前記基板の回転状態を測定する回転測定手段を具備し、該回転測定手段は、前記洗浄部材と前記基板の少なくとも一方を回転させた状態でこれらを当接させて該洗浄部材と該基板の相対運動により該基板をスクラブ洗浄する際に、前記洗浄部材の回転状態及び/又は前記基板の回転状態を測定し、前記交換時期判定手段は、該測定した回転状態の変化から洗浄部材の表面状態を検知する基板洗浄装置。
【請求項3】
基板洗浄装置であって、
基板に当接してスクラブ洗浄する洗浄部材、前記洗浄部材に押し付けて該洗浄部材を洗浄する当接部材、該当接部材を駆動制御する駆動制御手段、及び洗浄液を収納し少なくとも前記洗浄部材と前記当接部材の当接部分を浸漬させる洗浄槽を具備する洗浄部材洗浄装置、
前記洗浄槽内の洗浄液中のパーティクル数及び/又は成分濃度を測定する測定手段、
前記測定手段による測定結果を前記駆動制御手段にフィードバックするフィードバック
機構、を含む基板洗浄装置。
【請求項4】
請求項3に記載の基板洗浄装置において、前記洗浄部材の洗浄後、前記洗浄槽に収納した洗浄液をオーバーフローさせるオーバーフロー機構、又は前記洗浄槽から引き上げた洗浄部材に洗浄液を供給する洗浄液供給機構を含む基板洗浄装置。
【請求項5】
請求項3に記載の基板洗浄装置において、前記測定手段で測定された洗浄液中のパーティクル数及び/又は成分濃度が規定値以上になった場合は、前記洗浄部材の交換信号を出す基板洗浄装置。
【請求項6】
請求項3に記載の基板洗浄装置であって、前記洗浄部材、前記当接部材、前記洗浄槽、前記観察壁のいずれか又は総てを超音波洗浄する超音波洗浄機構を含む基板洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−74191(P2010−74191A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−297161(P2009−297161)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【分割の表示】特願2007−505302(P2007−505302)の分割
【原出願日】平成17年9月13日(2005.9.13)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】