説明

基板移送装置

【課題】基板を安定して移送することができ、基板の収納状態も感知することができる 基板移送装置を提供すること。
【解決手段】基板移送装置はハンド130a、130bがピックアップ位置から溝の位置に戻った時、ハンド130a、130bのポケット部132に配置された基板Wを把持する把持部材140を含む。この把持部材140は基板Wのエッジと面接触する湾曲部144aを有し、そして少なくとも一つのハンド130a、130bの移動方向と同一の方向に移動可能に前記ベース上に設けられるプッシャー144及びプッシャー144が基板Wのエッジを側方に押すように弾性力を加える弾性体146を含み得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基板移送装置に係り、さらに具体的には基板を安定して移送することができ、基板の収納状態も感知することができる基板移送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、基板は洗浄、沈積、蒸着、エッチングなどの工程段階を経る過程で各工程の実行位置に移送しなければならず、これを可能にするものが基板移送装置である。基板移送装置は予め決められたプログラムに従って動作して各工程の実行位置に基板を移送する自動化設備である。
【0003】
一般的に、基板移送装置は基板が配置される薄い板のハンドを有し、このハンドには基板移送時に基板離脱を防止するためのコーベルが形成されている。前記基板移送装置は基板を単純にハンド上に配置した状態で移送するので、基板を速い速度で移送すれば、ハンド上で基板が摺動する。
【0004】
結局、半導体製造設備の生産性を高めるためには、基板移送装置の基板移送速度を高めなければならないが、既存のように、ハンドに形成されたコーベルだけでは基板移送装置の速い移送速度からの慣性力によって基板がハンドの外に飛び出す(または摺動する)ことを防止することができなかった。また、既存の基板移送装置は反射型光センサを使用して基板の有/無を確認しており、反射型光センサが基板の老ノッチ(notch)位置やフラットゾーン(flat-zone)位置に従って基板を感知することができない場合も発生している。
【0005】
このような既存の基板移送装置は基板を移送する時、基板Wの摺動が発生する現象を防止することができず、基板Wの摺動によって速い速度で基板Wを移送させることができないので、生産性が低下するなどの多くの問題点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、シリンダのような駆動装置を使用せず、かつ基板をハンド上で把持することができる新しい形態の基板移送装置を提供することをその目的とする。本発明の他の課題は、基板移送スピードを最大に高めてもハンド上での基板の動きがない新しい形態の基板移送装置を提供することをその目的とする。本発明の他の目的は、基板のノッチ位置やフラットゾーン位置に依らずに基板の有/無および把持状態を確認することができ、基板が何れの方向に曲っても、これを感知することができる新しい形態の基板移送装置を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を達成するために本発明の基板移送装置はベースと、基板が配置されるポケット部と、を有し、前記ベースの上部に位置する溝の位置から基板ピックアップのためのピックアップ位置に移動する少なくとも一つのハンド、及び少なくとも一つの前記ハンドが前記ピックアップ位置から前記溝位置に戻ったとき、前記ハンドのポケット部に配置された基板を把持する把持部材を含む。
【0008】
本発明の実施形態によれば、前記把持部材は基板のエッジと面接触する湾曲部を有し、少なくとも一つの前記ハンドの移動方向と同一の方向に移動可能に前記ベース上に設けられるプッシャー、及び前記プッシャーが前記基板のエッジを側方に押すように弾性力を加える弾性体を含むことができる。
【0009】
本発明の実施形態によれば、前記把持部材は前記プッシャーに連結して設けられる点検バーと、前記点検バーの移動の有無を感知する感知センサからなる基板感知部材と、を含み得る。
【0010】
本発明の実施形態によれば、前記湾曲部は基板のフラットゾーンより広く形成される。
【0011】
本発明の実施形態によれば、前記ポケット部には少なくとも一つの前記ハンドが前記溝の位置に戻ったとき、前記把持部材のプッシャーが位置する切開部が形成され、前記切開部には前記基板の一部のエッジが位置する。
【0012】
本発明の実施形態によれば、前記基板が少なくとも一つの前記ハンドのポケット部に配置された基板の収納状態を感知する受光センサ及び発光センサを含み、前記受光センサは前記基板のエッジ内側下のベース上に配置され、前記発光センサは前記基板のエッジ外側上に配置され、前記受光センサに対して斜めに向きを変えて配置される。
【0013】
本発明の実施形態によれば、前記ベースは内部に少なくとも一つの前記ハンドを移動させる移動部材が設けられ、前記ベースは回転されて高低が調節される。
【発明の効果】
【0014】
本発明は以下のような効果を奏する。
【0015】
第1に、本発明はシリンダのような別途の駆動装置を使用して基板エッジを把持するのではないので、駆動装置の誤作動によるエラーが全然発生しないだけでなく、安価で製作可能な利点を有する。
【0016】
第2に、本発明は基板感知のために多数の光センサを使用せず、プッシャーの移動の有無によって基板を感知するので、基板のノッチ及びフラットゾーン位置による誤作動が発生しない。
【0017】
第3に、受光センサと発光センサの位置を変更して、基板をより正確に感知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付の図を参照して本発明の望ましい実施形態を詳細に説明する。しかし、本発明は本願明細書で説明する実施形態に限定されず、他の形態を実施することもできる。むしろ、ここで紹介する実施形態は開示内容が全体を通じて完璧であるように、そして当業者に本発明の思想を十分に伝達するために提供するものである。明細書全体に亘って同一の参照番号を付した構成要素は同一の構成要素を示す。
【0019】
本の実施形態では二つのハンドを有する基板移送装置に対して説明しているが、これは一つの実施形態に過ぎず、前記基板移送装置は一つのハンドのみを具備し得る。
【0020】
図1乃至図4を参照すれば、本発明による基板移送装置100はボディー110と、このボディー110の上部に設けられるベース120、ベース120に対して前後方向に移動する第1ハンド130aと第2ハンド130b、および前記第1ハンドと第2ハンドに配置された基板Wをつかむ把持部材140を含む。例えば、前記ベース120は前記ボディー上で回転と高低の調節が可能である。
【0021】
例えば、本発明の基板移送装置100は基板の交替作業のために二つのハンドを具備する。例えば、二つのハンドのうちのいずれか一つは工程処理が完了した基板を処理部から運ぶ作業を実行し、残りの一つは工程処理されていない基板を処理部に運ぶ作業を実行する。
【0022】
前記第1ハンド130aと第2ハンド130bは互いに異なる高さで独立して前後移動することができる。本実施形態では、前記第1ハンド130aは前記第2ハンド130bの上部に位置する。前記第1、2ハンド130a、130bの各々は基板が配置されるポケット部132と、ポケット部132の一側から延在して形成され、前記ベース内部に設けられる駆動部と連結される連結アーム136と、を有する。前記ポケット部132は
【0023】
【数1】

【0024】
形態を有し、ポケット部のエッジの4ヶ所には基板離脱を防止する4個のコーベル134が形成される。前記ポケット部132の形状は
【0025】
【数2】

【0026】
形態に限定されるものではなく、多様な形態に変更可能である。
【0027】
前記基板移送装置は前記第1ハンド130aまたは第2ハンド130bが前方に移動した状態(ピックアップ位置)で基板のピックアップが行われ、前記第1ハンド130aまたは第2ハンド130bが後方に移動した状態(溝の位置)で基板移送が行われる。図2を参照すれば、前記第1ハンド130aはピックアップ位置に移動しており、第2ハンドは溝の位置に移動していることが分かる。
【0028】
図4のように、前記第1ハンド130aと第2ハンド130bの移動は前記ベース内部に設けられた二つの駆動部124等によって行われる。前記駆動部124はモータ124a、前記モータ124aの動力を前記第1ハンド(または第2ハンド)に伝達するためのベルトプーリ124b、および前記第1ハンド(または第2ハンド)の前後移動を案内するガイドレール124c等を含むことができ、図面の便宜上、これらは図4に簡略に表示した。もちろん、前記駆動部はシリンダのような他の装置を使用することもできる。
【0029】
図2及び図5を参照すれば、前記把持部材140は前記第1ハンドまたは第2ハンドが前記ピックアップ位置から前記溝の位置に戻ったとき、前記ポケット部132に配置された基板を安定して把持する役割を果たす。前記把持部材140は固定ブロック142、プッシャー144、および圧縮スプリング146を含む。前記プッシャー144は前記第1ハンド130aまたは第2ハンド130bの移動方向と同一の方向に前後に摺動可能に前記固定ブロック142に設けられる。前記プッシャー144は基板のエッジと面接触する湾曲部144aと、前記固定ブロック142と連結される二つの連結軸144bと、を有する。前記連結軸144bには前記プッシャー144が前記基板エッジを側方に押すように弾性力を加える前記圧縮スプリング146が設けられる。前記プッシャー144は前記圧縮スプリング146の弾性反撥力によって基板のエッジを把持(grip)するようになる。前記プッシャーの湾曲部144aは基板のフラットゾーンより広い幅を有することが望ましい。一方、前記第1ハンドと第2ハンドのポケット部132にはそれぞれ前記把持部材のプッシャーが位置する切開部分133が形成される。この切開部分133には基板の一部のエッジが位置する。
【0030】
本実施形態では、前記把持部材140は第1ハンドと第2ハンドの基板を全部把持するように単一プッシャーを具備しているが、これは一例に過ぎず、図11のように、把持部材140は第1ハンド用プッシャー144´と、第2ハンド用プッシャー144´´と、をそれぞれ具備し得る。
【0031】
このように、本発明の把持部材140はシリンダのような別途の駆動装置を使用して基板のエッジを把持するのではないので、駆動装置の誤作動によるエラーが全然発生しないだけでなく、安価で製作可能な利点を有する。
【0032】
前記把持部材140は基板Wが第1ハンドまたは第2ハンドに配置されたか否かを確認する基板感知部材148をさらに含む。前記基板感知部材148はプッシャー144の後段に連結される点検バー148aと、この点検バーを感知する感知センサ148bと、を含む。図6A及び図6Bのように、前記基板が正常に第1ハンド130a(または第2ハンド)に配置された場合、第1ハンドが溝位置に移動すれば、前記プッシャー144が基板のエッジと接しながら後に押されるようになる。この際、前記点検バー148aは前記プッシャー144とともに後ろに移動し、前記感知センサ148bが前記点検バー148aのエッジを感知してオン(on)状態になる。
【0033】
ところで、図7A乃至図7Cのように基板Wがポケット部132のコーベル134上に配置されるか、一方に傾いて配置される場合には前記把持部材140のプッシャー144が後ろに押されないので、前記感知センサ148bがオフ(off)状態になる。この場合、基板がないか、あるいは把持ミス(grip miss)を起こした状態と判断してアラームを鳴らして進行を中断する。
【0034】
図8A及び図8Bのように、基板Wのノッチ及び基板のフラットゾーンが前記プッシャー144の方を向いた場合にも、プッシャー144の幅がフラットゾーン144より広くてプッシャーが後ろに押されて、前記感知センサをオンさせて基板の有無及び把持状態を確認することができる。
【0035】
このように、本発明の基板移送装置は基板感知のために多数の光センサを使用せず、プッシャーの移動の有無に従って基板を感知するので、基板のノッチ及びフラットゾーン位置による誤作動が発生しない。
【0036】
図9及び図10に示すように、本発明の基板移送装置は基板をより正確に感知するために透過型ファイバセンサ(fiber sensor)方式の受光センサ162と、発光センサ164と、を含む。図9を参照すれば、前記受光センサ162の端部162a(光を受光する面)は基板のエッジの内側に、発光センサ164の端部164a(光を発光する面)は基板のエッジの外側に配置される。図10を参照すれば、前記受光センサのエッジ部162aは基板の下側に位置し、発光センサのエッジ部164aは基板の上側に配置される。特に、図9のように、前記発光センサは前記受光センサとは異なる線上に位置する。すなわち、前記受光センサ162と発光センサ164の光伝達経路は対角線方向に曲るように形成されて基板のエッジをセンシングする。
【0037】
一方、本発明は、前記の構成からなった基板移送装置は多様に変形することができ、様々な形態を取り得る。本発明は前記の詳細な説明で言及した特別な形態に限定されるものではないことを理解しなければならず、むしろ特許請求の範囲によって定義される本発明の精神と範囲内にあるすべての変形物と均等物及び代替物を含むことを理解しなければならない。
【0038】
以上では、本発明による基板移送装置の構成及び作用を上述の説明及び図に従って説明したが、これは単なる一例を挙げて説明したものに過ぎず、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で多様な変形及び変更が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の望ましい実施形態による基板移送装置の概略的な斜視図である。
【図2】本発明の望ましい実施形態による基板移送装置の概略的な平面図である。
【図3】本発明の望ましい実施形態による基板移送装置の概略的な側面図である。
【図4】ベースに設けられた駆動部を示す図である。
【図5】ベースに設けられた把持部材を示す図である。
【図6A】第1ハンドがピックアップ位置に移動した状態を示す図である。
【図6B】第1ハンドが溝の位置に移動した状態を示す図である。
【図7A】基板が間違って配置された状態を示す図である。
【図7B】基板が間違って配置された状態を示す図である。
【図7C】基板が間違って配置された状態を示す図である。
【図8A】基板Wのノッチ及び基板のフラットゾーンがプッシャー側を向いた場合を示す図である。
【図8B】基板Wのノッチ及び基板のフラットゾーンがプッシャー側を向いた場合を示す図である。
【図9】本発明で基板感知のための受光センサと発光センサが設けられた基板移送装置を示す図である。
【図10】本発明で基板感知のための受光センサと発光センサが設けられた基板移送装置を示す図である。
【図11】二つのプッシャーを有する把持部材を示す図である。
【符号の説明】
【0040】
100 基板移送装置
110 ボディー
120 ベース
124 駆動部
124a モータ
124b ベルとプーリ
124c ガイドレール
130a 第1ハンド
130b 第2ハンド
132 ポケット部
133 切開部分
134 コーベル
136 連結アーム
140 把持部材
142 固定ブロック
144 プッシャー
144a 湾曲部
144b 連結軸
144´ 第1ハンド用プッシャー
144´´ 第2ハンド用プッシャー
146 圧縮スプリング
148 基板感知部材
148a 点検バー
148b 感知センサ
162 受光センサ
162a エッジ部
164 発光センサ
164a エッジ部
W 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板移送装置において、
ベースと、
基板が配置されるポケット部を有し、前記ベース上に形成した溝の位置から基板をピックアップするためのピックアップ位置に移動する少なくとも一つのハンドと、
少なくとも一つの前記ハンドが前記ピックアップ位置から前記溝の位置に戻ったとき、前記ハンドのポケット部に配置された基板を把持する少なくとも一つの把持部材と、を含むことを特徴とする基板移送装置。
【請求項2】
前記把持部材は、
基板のエッジと面接触する湾曲部を有し、少なくとも一つの前記ハンドの移動方向と同一の方向に移動可能に前記ベース上に設けたプッシャーと、
前記プッシャーが前記基板エッジを側方に押すように弾性力を加える弾性体と、を含み、
前記プッシャーは前記溝の位置に戻る少なくとも一つの前記ハンドに配置された基板のエッジを自動的に把持することを特徴とする、請求項1に記載の基板移送装置。
【請求項3】
前記把持部材は、
前記プッシャーに連結して設けられる点検バーと、
前記点検バーの移動の有無を感知する感知センサからなる基板感知部材と、を含むことを特徴とする、請求項2に記載の基板移送装置。
【請求項4】
前記湾曲部は基板のフラットゾーンより広いことを特徴とする、請求項2に記載の基板移送装置。
【請求項5】
前記ポケット部には、少なくとも一つの前記ハンドが前記溝の位置に戻ったとき、前記把持部材のプッシャーが位置する切開部が形成され、
前記切開部には前記基板の一部のエッジが位置することを特徴とする、請求項2に記載の基板移送装置。
【請求項6】
前記基板が少なくとも一つの前記ハンドのポケット部に配置された基板の収納状態を感知する受光センサ及び発光センサを含み、
前記受光センサは前記基板のエッジ内側下のベース上に配置され、
前記発光センサは前記基板のエッジ外側上に配置され、前記受光センサに対して斜めに向きを変えて配置されることを特徴とする、請求項1に記載の基板移送装置。
【請求項7】
前記ベースの内部には少なくとも一つの前記ハンドを移動させる駆動部が設けられ、
前記ベースは回転及び高さが調節されることを特徴とする、請求項1に記載の基板移送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図8A】
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【図8B】
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【公開番号】特開2006−54455(P2006−54455A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−223253(P2005−223253)
【出願日】平成17年8月1日(2005.8.1)
【出願人】(598123150)セメス株式会社 (76)
【Fターム(参考)】