説明

塗布状態評価方法及び塗布状態評価装置

【課題】 被塗装物の帯状の塗布領域に塗布材を連続的に塗布して帯状に形成された塗布膜の塗布状態を評価する場合、3次元曲面上に塗布膜が形成されている場合に、その曲面方向の変化を加味して、また、塗布材を塗布する塗布条件が変化する場合に、その塗布条件の変化を加味して、精度が良い適正な塗布状態の評価を、塗布領域をその長さ方向に複数分割した分割区間ごとに行う。
【解決手段】 塗布領域9をその長さ方向に複数分割した複数の分割区間を設定し、塗布領域9をその幅方向に複数分割して塗布領域9の長さ方向に連続して延びる複数の分割レーンを設定し、塗布領域9にスポット光20aを照射しその反射光を受光する検出ヘッド16をプライマ塗布膜5に沿って走査させ、複数の分割区間の各々について、検出ヘッド16で受光した光の受光データを複数の分割レーン別に処理し、これら受光データに基づいて塗布状態を評価する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被塗装物の帯状の塗布領域に塗布材を連続的に塗布して帯状に形成された塗布膜の少なくとも一部の塗布状態を評価する方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、被塗装物の帯状の塗布領域に塗布材を連続的に塗布して塗布膜を帯状に形成する場合がある。例えば、自動車等の車両において、車体(窓枠部)にウインドウガラスをウレタン接着材で接着するために、ウインドウガラスの周縁部の内面に形成されたセラミック層(セラミックコート)の表面に、プライマを連続的に塗布してプライマ塗布膜を帯状に形成する場合である。セラミック層は、車体とウインドウガラスとの接着部分を覆い隠すために設けられ、このセラミック層に形成されたプライマ塗布膜によって、ウレタン接着材によりウインドウガラス(プライマ塗布膜)を車体に接着する接着強度が高くなる。
【0003】
帯状の塗布膜を形成する場合、塗布材を吐出するハケ等を有する塗布装置をロボットのアーム先端部に装着して、この塗布膜形成作業を自動化した技術は周知であるが、塗布領域に塗布材を均一に過不足なく適量塗布して所定膜厚の塗布膜を形成することが要求される場合が多い。例えば、前記プライマ塗布膜について、その膜厚が薄すぎても厚すぎても、ウインドウガラスをウレタン接着材で車体に接着する接着強度が低くなり、水漏れも発生し易く、膜厚が厚すぎる場合には見栄えも悪くなる、という課題を解消するためであり、そのために、塗布状態を評価する必要性が生じる。
【0004】
ここで、特許文献1には、塗布膜に紫外線を照射し、その反射光の輝度を紫外線カメラで観察し、この紫外線カメラで得られた画像を複数エリアに分割し、各エリアごとに得られる輝度値が許容値以内であるか否か判定し、全エリアの輝度値が許容値以内である場合、全エリアの平均輝度を算出し、その平均輝度が許容値以内である場合に、塗布状態が正常であると判断する、塗装検査技術が開示されている。
【0005】
ところで、ウインドウガラスの周縁部(セラミック層)には、そのストレート部とコーナ部とに亙ってプライマを連続的に塗布してプライマ塗布膜を帯状に且つ環状に形成するが、このストレート部とコーナ部とでは、プライマを塗布する塗布装置と被塗装物との相対移動方向が変化すること等が原因で塗布条件が変化し、また、コーナ部等、塗布領域の幅方向の位置によって塗布条件が変化する場合がある。
【0006】
ウインドウガラス以外の種々の被塗装物の帯状の塗布領域に、種々の塗布材を連続的に塗布して塗布膜を帯状に形成する場合についても同様である。
【特許文献1】特開2003−47907号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来、被塗装物の帯状の塗布領域に塗布材を連続的に塗布して帯状に形成された塗布膜の塗布状態を評価する作業を作業者が目視にて行うと、特に、その塗布膜がウインドウガラスに形成されたプライマ塗布膜の場合には、ウインドウガラスは3次元曲面を持ち、また、プライマ塗布膜は黒色であることから、明らかな塗布膜のかすれ等の塗膜異常状態については見つけることができるが、微妙な塗布膜のかすれ等の塗膜異常状態については見逃す虞があり、故に、熟練作業を要する。
【0008】
特許文献1の塗装検査技術では、前述のように、紫外線カメラで得られた画像を複数エリアに分割し、各エリアごとに得られる輝度値が許容値以内であるか否か判定し、全エリアの輝度値が許容値以内である場合、全エリアの平均輝度が許容値以内である場合に、正常であると判断するので、被塗装物の帯状の塗布領域に塗布材を連続的に塗布して塗布膜を帯状に形成する場合、ウインドウガラスのような3次元曲面上に塗布膜を形成する場合には、その曲面方向の変化により紫外線カメラに入る光量(即ち、輝度値)が変化するため、その曲面方向の変化を加味して、また、前記のように塗布条件が変化する場合には、その塗布条件の変化を加味して、塗膜状態を精度良く適正に評価することが難しい。
【0009】
本発明の目的は、被塗装物の帯状の塗布領域に塗布材を連続的に塗布して帯状に形成された塗布膜の塗布状態を評価する場合、3次元曲面上に塗布膜が形成されている場合に、その曲面方向の変化を加味して、また、塗布材を塗布する塗布条件が変化する場合に、その塗布条件の変化を加味して、精度が良い適正な塗布状態の評価を、塗布領域をその長さ方向に複数分割した分割区間ごとに行うことができる、技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の塗布状態評価方法は、被塗装物の帯状の塗布領域に塗布材を連続的に塗布して帯状に形成された塗布膜の少なくとも一部の塗布状態を評価する塗布状態評価方法において、前記塗布領域をその長さ方向に複数分割した複数の分割区間を設定すると共に、少なくとも一部の複数の分割区間における塗布領域をその幅方向に複数分割して塗布領域の長さ方向に延びる複数の分割レーンを設定し、前記塗布領域にその幅以上の幅の光を照射する光照射部とその反射光を受光する受光部とを有する検出ヘッドを、この検出ヘッドと被塗装物との相対移動を介して塗布領域の長さ方向に塗布膜に沿って走査させながら受光部で反射光を受光させ、前記少なくとも一部の複数の分割区間の各々について、検出ヘッドの受光部で受光した光の受光データを複数の分割レーン別に処理し、これら受光データに基づいて塗布状態を評価する。
【0011】
塗布領域をその長さ方向に複数分割した複数の分割区間を設定すると共に、少なくとも一部の複数の分割区間における塗布領域をその幅方向に複数分割して塗布領域の長さ方向に延びる複数の分割レーンを設定する。そして、検出ヘッドを塗布領域の長さ方向に塗布膜に沿って走査させ、その際に、塗布領域にその幅以上の幅の光を検出ヘッドの光照射部から照射させ、その反射光を検出ヘッドの受光部で受光させる。そして、少なくとも一部の複数の分割区間の各々について、検出ヘッドの受光部で受光した光の受光データを複数の分割レーン別に処理し、これら受光データに基づいて塗布状態を評価する。
【0012】
例えば、少なくとも一部の複数の分割区間の各々について、検出ヘッドの受光部で受光した光の受光データを複数の分割レーン別に処理する態様としては、塗布領域の幅方向の位置よって塗布膜が形成された面の曲面方向や塗布材を塗布する塗布条件が変化する場合を加味して、各分割レーンごとに得られる受光データに基づいて、各分割レーンの塗布状態を評価(塗布状態が異常であるか否か判定)し、また、これら受光データに基づいて塗布状態を評価する形態としては、塗布領域の長さ方向の位置よって前記曲面方向や塗布条件が変化する場合を加味して、複数の分割レーンの塗布状態を総合評価して、塗布状態が異常であるか否か判定する。
【0013】
請求項1の発明においては、前記複数の分割区間の各々について、複数の分割レーンに夫々対応する受光データのデータ値の大きさに基づいて、塗布状態が異常であるか否か判定し、異常である場合にその塗布異常状態の種類を判別する(請求項2)、前記各分割区間ごとに、前記データ値と比較する塗布状態異常判定用のしきい値を可変に設定する(請求項3)、前記各分割レーンごとに、前記データ値と比較する塗布状態異常判定用のしきい値を可変に設定する(請求項4)、前記塗布材を吐出する塗布装置と一体的に且つ後続するように検出ヘッドを走査させ、この塗布装置で塗布膜を形成しながら塗布状態を評価する(請求項5)、前記被塗装物が車両のウインドウガラスであり、前記塗布材がプライマである(請求項6)、等の構成を採用することができる。
【0014】
請求項7の塗布状態評価装置は、被塗装物の帯状の塗布領域に塗布材を連続的に塗布して帯状に形成された塗布膜の少なくとも一部の塗布状態を評価する塗布状態評価装置において、前記塗布領域にその幅以上の幅の光を照射する光照射部とその反射光を受光する受光部とを有する検出ヘッドと、前記検出ヘッドを被塗装物に対して相対的に移動させて塗布領域の長さ方向に塗布膜に沿って走査させる走査手段と、前記塗布領域をその長さ方向に複数分割した複数の分割区間を設定すると共に、少なくとも一部の複数の分割区間における塗布領域をその幅方向に複数分割して塗布領域の長さ方向に延びる複数の分割レーンを設定し、検出ヘッドの受光部で受光した光の受光データを、複数の分割レーン別に且つ少なくとも一部の複数の分割区間別に処理する受光データ処理手段と、前記少なくとも一部の複数の分割区間の各々について、受光データ処理手段で処理された受光データに基づいて塗布状態が異常であるか否か判定する塗布状態判定手段とを備えている。
【0015】
走査手段により検出ヘッドが塗布領域の長さ方向に塗布膜に沿って走査され、その際に、塗布領域にその幅以上の幅の光が検出ヘッドの光照射部から照射させ、その反射光が検出ヘッドの受光部で受光される。そして、受光データ処理手段により、塗布領域をその長さ方向に複数分割した複数の分割区間が設定され、少なくとも一部の複数の分割区間における塗布領域をその幅方向に複数分割して塗布領域の長さ方向に延びる複数の分割レーンが設定され、検出ヘッドの受光部で受光した光の受光データが、複数の分割レーン別に且つ少なくとも一部の複数の分割区間別に処理され、塗布状態判定手段により、受光データ処理手段で処理された受光データに基づいて塗布状態が異常であるか否か判定される。
【0016】
例えば、受光データ処理手段では、少なくとも一部の複数の分割区間の各々について、塗布領域の幅方向の位置よって塗布膜が形成された面の曲面方向や塗布材を塗布する塗布条件が変化する場合を加味して、各分割レーンごとに得られる受光データに基づいて、各分割レーンの塗布状態が評価(塗布状態が異常であるか否か判定)され、塗布状態判定手段では、少なくとも一部の複数の分割区間の各々について、塗布領域の長さ方向の位置によって前記曲面方向や、異なる分割区間によって塗布条件が変化する場合を加味して、複数の分割レーンの塗布状態が総合評価されて、塗布状態が異常であるか否か判定される。
【0017】
請求項7の発明においては、前記検出ヘッドは、前記塗布材を吐出する塗布装置を装備したロボットのアーム先端部に装着される(請求項8)、前記検出ヘッドの光照射部は、塗布領域の幅方向に細長いスリット光を照射する(請求項9)、前記検出ヘッドの光照射部は、塗布領域の幅方向に並ぶ複数のスポット光を照射する(請求項10)、等の構成を採用することができる。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の塗布状態評価方法によれば、被塗装物の帯状の塗布領域に塗布材を連続的に塗布して帯状に形成された塗布膜の少なくとも一部の塗布状態を評価する場合、塗布領域をその長さ方向に複数分割した複数の分割区間を設定すると共に、少なくとも一部の複数の分割区間における塗布領域をその幅方向に複数分割して塗布領域の長さ方向に延びる複数の分割レーンを設定し、塗布領域にその幅以上の幅の光を照射する光照射部とその反射光を受光する受光部とを有する検出ヘッドを、この検出ヘッドと被塗装物との相対移動を介して塗布領域の長さ方向に塗布膜に沿って走査させながら受光部で反射光を受光させ、少なくとも一部の複数の分割区間の各々について、検出ヘッドの受光部で受光した光の受光データを複数の分割レーン別に処理し、これら受光データに基づいて塗布状態を評価するので、塗布領域の長さ方向の位置によって塗布膜が形成された面の曲面方向や塗布材を塗布する塗布条件が変化する場合、更に、塗布領域の幅方向の位置によって前記曲面方向や塗布条件が変化する場合でも、これらの変化を加味した精度が良い適正な塗布状態の評価を各分割区間ごとに行うことができ、依って、例えば、ウインドウガラスに形成された帯状の塗布膜の評価を精度良く行うことができる。
【0019】
請求項2の塗布状態評価方法によれば、複数の分割区間の各々について、複数の分割レーンに夫々対応する受光データのデータ値の大きさに基づいて、塗布状態が異常であるか否か判定し、異常である場合にその塗布異常状態の種類を判別するので、精度が良い適正な塗布状態の評価を容易に行い、異常である場合の塗布異常状態の種類を判別することで、その塗布異常状態を報知することができる。
【0020】
請求項3の塗布状態評価方法によれば、各分割区間ごとに、前記データ値と比較する塗布状態異常判定用のしきい値を可変に設定するので、塗布領域の長さによって前記曲面方向や、異なる分割区間によって塗布条件が変化する場合を加味して、精度が良い適正な塗布状態の評価を確実に行うことができる。
【0021】
請求項4の塗布状態評価方法によれば、各分割レーンごとに、前記データ値と比較する塗布状態異常判定用のしきい値を可変に設定するので、各分割区間ごとに、塗布領域の幅方向の位置によって前記曲面方向や塗布条件が変化する場合を加味して、精度が良い適正な塗布状態の評価を確実に行うことができる。
【0022】
請求項5の塗布状態評価方法によれば、塗布材を吐出する塗布装置と一体的に且つ後続するように検出ヘッドを走査させ、この塗布装置で塗布膜を形成しながら塗布状態を評価するので、この塗布状態の評価を迅速に行うことができる。
【0023】
請求項6の塗布状態評価方法によれば、被塗装物が車両のウインドウガラスであり、塗布材がプライマであるので、ウインドウガラスの周縁部の内面に車体とウインドウガラスとの接着部分を覆い隠すように形成された、セラミック層の表面にプライマを連続的に塗布してプライマ塗布膜を帯状に形成し、このプライマ塗布膜の塗布状態を精度良く評価することができ、このプライマ塗布膜によって、ウインドウガラス(プライマ塗布膜)をウレタン接着材で車体に接着する接着強度を高くする機能を確実に達成し得るようになる。
【0024】
請求項7の塗布状態評価装置によれば、塗布領域にその幅以上の幅の光を照射する光照射部とその反射光を受光する受光部とを有する検出ヘッド、検出ヘッドを被塗装物に対して相対的に移動させて塗布領域の長さ方向に塗布膜に沿って走査させる走査手段、塗布領域をその長さ方向に複数分割した複数の分割区間を設定すると共に、少なくとも一部の複数の分割区間における塗布領域をその幅方向に複数分割して塗布領域の長さ方向に延びる複数の分割レーンを設定し、検出ヘッドの受光部で受光した光の受光データを、複数の分割レーン別に且つ少なくとも一部の複数の分割区間別に処理する受光データ処理手段、少なくとも一部の複数の分割区間の各々について、受光データ処理手段で処理された受光データに基づいて塗布状態が異常であるか否か判定する塗布状態判定手段とを備えたので、請求項1と同様の効果を奏する。
【0025】
請求項8の塗布状態評価装置によれば、検出ヘッドを、塗布材を吐出する塗布装置を装備したロボットのアーム先端部に装着したので、塗布装置と一体的に且つ後続するように検出ヘッドを走査させ、この塗布装置で塗布膜を形成しながら塗布状態を評価できるようになり、この塗布状態の評価を迅速に行うことができる。
【0026】
請求項9の塗布状態評価装置によれば、検出ヘッドの光照射部は、塗布領域の幅方向に細長いスリット光を照射するので、被塗装物と検出ヘッドとの距離の変化の影響が少なく、受光データを光の輝度のデータとして、塗布状態を前記のように精度良く評価することができる。
【0027】
請求項10の塗布状態評価装置によれば、検出ヘッドの光照射部は、塗布領域の幅方向に並ぶ複数のスポット光を照射するので、被塗装物と検出ヘッドとの距離の変化の影響が少なく、受光データを光の大きさのデータとして、塗布状態を前記のように精度良く評価することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明の塗布状態評価技術は、被塗装物の帯状の塗布領域に塗布材を連続的に塗布して帯状に形成された塗布膜の塗布状態を評価する場合、塗布領域をその長さ方向に複数分割した複数の分割区間を設定し、塗布領域をその幅方向に複数分割して塗布領域の長さ方向に延びる複数の分割レーンを設定し、塗布領域にその幅以上の幅の光を照射する光照射部とその反射光を受光する受光部とを有する検出ヘッドを、この検出ヘッドと被塗装物との相対移動を介して塗布領域の長さ方向に塗布膜に沿って走査させながら受光部で反射光を受光させ、複数の分割区間の各々について、検出ヘッドの受光部で受光した光の受光データを複数の分割レーン別に処理し、これら受光データに基づいて塗布状態を評価する。
【実施例】
【0029】
図1〜図4に示すように、自動車等の車両1において、車体2の窓枠部2aにウインドウガラス3を取り付けるために、ウインドウガラス3の周縁部の内面に環状のセラミック層4(セラミックコート4)が形成され、このセラミック層4の表面に帯状且つ環状のプライマ塗布膜5が形成され、このプライマ塗布膜5の表面に塗布されたウレタン接着材6により、ウインドウガラス4が車体2(窓枠部2a)に接着される。
【0030】
セラミック層4は、車体2とウインドウガラス3との接着部分を覆い隠すために設けられ、このセラミック層4に形成されたプライマ塗布膜5によって、ウインドウガラス3(プライマ塗布膜5)をウレタン接着材6で車体2に接着する接着強度が高くなる。尚、7はウレタン接着材6を留めるダム材、8はシール用のモール材である。
【0031】
図3〜図6に示すように、塗布状態評価装置10は、被塗装物であるウインドウガラス3のセラミック層4の帯状の且つ環状の塗布領域9に塗布材であるプライマ5aを連続的に塗布して帯状に且つ環状に形成されたプライマ塗布膜5の塗布状態を評価するものであり、検出ヘッド11、データ処理装置12、表示装置13、制御盤14、ロボット15を備えている。
【0032】
ロボット15のアーム15aの先端部に、塗布装置16が装備されると共に、検出ヘッド11が装着されている。塗布装置16は、アーム15aに固定されたノズル17と、ノズル17の先端部から突出する多数の毛からなるハケ18と、ノズル17にプライマ5aを供給するプライマ供給機19とを有し、このノズル17からハケ18を通じて液状のプライマ5aが吐出される。所定の作業位置に保持されたウインドウガラス3に対して、ロボット15により、ハケ18の先端部分をセラミック層4の表面に当接させた状態で、塗布領域9に沿って塗布装置16を1周させることで、塗布領域9にプライマ5aが連続的に塗布されてプライマ塗布膜5が形成される。
【0033】
このロボット15により、塗布装置16でプライマ塗布膜5を形成しながら、検出ヘッド11が、塗布装置16と一体的に且つ塗布装置16に後続するように、ウインドウガラス3に対して相対的に移動して、塗布領域9の長さ方向にプライマ塗布膜5に沿って走査される。尚、ロボット15が走査手段に相当する。
【0034】
検出ヘッド11は、塗布領域9にその幅方向に細長く且つその幅以上の幅のレーザー光からなるスリット光20aを照射する光照射部であるレーザー投光器20と、そのスリット光20aの反射光を受光する受光部である多数のCCD素子21aを有するCCDセンサ21とを有する。例えば、レーザー投光器20とCCDセンサ21は、塗布装置16のノズル17が鉛直下向き姿勢のときに、ノズル17と略同じ高さ位置で水平方向に直線上に並ぶように配設されて、ブラケット22と取付部材23とボルト24等を介してノズル17の側部に固定されている。
【0035】
レーザー投光器20は、塗布領域9のうち塗布装置16のハケ18の移動方向の後側近傍部分にスリット光20aを照射し、CCDセンサ21は、塗布領域9のうちスリット光20aが照射された部分を含む範囲を撮像し、そのために、レーザー投光器20及びCCDセンサ21がノズル17に対して傾斜姿勢になっている。
【0036】
データ処理装置12はCPUとROMとRAMを有するコンピュータを備え、このデータ処理装置12が、次に説明する、塗布領域検知処理、塗布領域分割設定処理、受光処理、塗布状態判定処理、塗布状態表示処理を実行し、その為のプログラムがROMに格納されている。尚、このプログラの少なくとも一部とデータ処理装置12が、受光データ処理手段と塗布状態判定手段に相当する。
【0037】
塗布領域検知処理では、検出ヘッド11が塗布領域9に沿って走査される際に、CCDセンサ21により撮像された画像の画像データに基づいて画像処理が行われ、プライマ塗布膜5が形成された部分が塗布領域9として検知される。
【0038】
塗布領域分割設定処理では、図7に示すように、塗布領域9をその長さ方向に複数分割した複数の分割区間25が設定される。この場合、塗布領域検知処理で検知された塗布領域9のうちスリット光20aが一定時間照射される領域が1区間に設定され、例えば、前記一定時間を1秒間とし、スリット光20aが塗布領域9を16秒間で1周する場合、塗布領域9がその長さ方向に第1〜第16区間に分割設定される。
【0039】
また、塗布領域分割設定処理では、図7に示すように、塗布領域9をその幅方向に複数分割し且つ塗布領域9の長さ方向に複数の分割区間25に亙って連続して延びる複数の分割レーン26が設定される。この場合、塗布領域検知処理で検知された塗布領域9が幅方向に一定間隔おきに分割され、例えば、前記一定間隔を2mmとし、塗布領域9の幅が6mmの場合に、塗布領域9がその幅方向に第1〜第3レーンに分割設定される。
【0040】
受光データ処理では、検出ヘッド11のCCDセンサ21で受光したスリット光20aの反射光の受光データが、複数の分割レーン26別に且つ複数の分割区間25別に処理される。この場合、検出ヘッド11が塗布領域9に沿って走査される際、図8に示すように、塗布領域分割設定処理で設定された複数の分割レーン26(第1〜第3レーン)に、夫々、その分割レーン26からの反射光を受光した1又は複数(例えば、約7個)のCCD素子21aが対応付けられ、各分割レーン26において、受光データのデータ値である輝度(受光量)が所定時間(例えば、0.1秒)おきに得られる。
【0041】
そして、図9に示すように、塗布領域分割設定処理で設定された複数の分割区間25に夫々対応付けて、複数の分割レーン26において夫々所定時間おきに得られた輝度が順次記憶される。各分割レーン26の所定時間おきの輝度については、図10に示すように、各分割レーン26に対応する複数(例えば、約7個)のCCD素子21aからの輝度が所定時間におきに得られるが、これら同時間に得られた複数の輝度の平均値又は分散値として算出される。
【0042】
そして、図9に示すデータにより、図11、図12に示すように、横軸を時間(分割区間25)とし縦軸を輝度とする、複数の分割レーン26(第1〜第3)の全分割区間25に亙っての輝度曲線が得られる。尚、図11は塗布状態が正常の場合の輝度曲線を示し、図12は塗布状態に異常箇所を含む輝度曲線を示している。
【0043】
ここで、図13に示すように、ウインドウガラス3に形成されたセラミック層4の表面は粗く、例えば、セラミック層4の層厚が40μm程度であり、プライマ塗布膜5の膜厚が実線で示す60μm程度の場合、塗布状態が正常である。しかし、プライマ塗布膜5の膜厚が薄すぎる場合(例えば、一点鎖線で示す略0の場合)、また、プライマ塗布膜5の膜厚が厚すぎる場合(例えば、二点鎖線で100μm程度の場合)、プライマ塗布膜5の内部が正常に硬化しない虞が高くなり、何れも、塗布状態が異常となり、ウインドウガラス3をウレタン接着材6で車体2に接着する接着強度が低下する。
【0044】
そして、図14に示すように、プライマ塗布膜5の膜厚が実線で示す60μm程度で、塗布状態が正常である場合の輝度を基準とした場合、プライマ塗布膜5の膜厚が60μm程度よりも薄い場合(例えば、略0の場合)の輝度は小さくなる。これは、セラミック層4の粗い表面で乱反射が起きることが原因であると推測できる。また、プライマ塗布膜5の膜厚が60μm程度よりも厚い場合(例えば、100μm程度の場合)の輝度は大きくなる。これは、プライマ塗布膜5の部分的に穏やか膨らむ表面で集光性が高くなることが原因であると推測できる。このことは実験からも検証済みである。
【0045】
塗布状態判定処理では、複数の分割区間25の各々について、受光データ処理で処理された受光データに基づいて塗布状態が異常であるか否か判定される。この場合、複数の分割区間25の各々について、複数の分割レーン26に夫々対応する受光データのデータ値である輝度の大きさに基づいて、塗布状態が異常であるか否か判定され、異常である場合にその塗布異常状態の種類が判別される。
【0046】
そのために、データ処理装置12に対して、各分割区間25ごとに、前記輝度と比較する塗布状態異常判定用の上限しきい値及び下限しきい値(図11、図12参照)が可変に設定され、且つ、各分割レーン26ごとに、前記輝度と比較する塗布状態異常判定用の上限しきい値及び下限しきい値(図14参照)が可変に設定される。
【0047】
塗布状態判定処理について具体的に説明すると、受光データ処理で得られた図9に示すデータに基づいて、各分割区間25における各分割レーン26の所定時間おきに得られた複数の輝度の平均値である平均輝度(又は、分散値である分散輝度)が算出され、その平均輝度(又は分散輝度)が、対応する分割区間25及び分割レーン26の上限しきい値と下限しきい値との間の範囲内であるか否か判定され、範囲内である場合、その分割区間25の分割レーン26がOK判定され、範囲外である場合、その分割区間25の分割レーン26がNG判定される。
【0048】
各分割区間25において、全分割レーン26について、前記のOK判定又はNG判定がなされ、これらの判定結果に基づいて、各分割区間25全体の塗布状態の異常判定が行われる。例えば、全分割レーン26のOK判定の数又その割合が、各分割区間25ごとに可変に設定された判定許容値以内の場合には、塗布状態が正常であると判定され、判定許容値以外の場合には、塗布状態が異常であると判定される。
【0049】
例えば、図15〜図20は、1つの分割区間25における、横軸をレーン番号とし縦軸を輝度とした輝度曲線を示しているが、図15、図18では、全分割レーン26がNG判定であるため、この分割区間25がNG判定され、図16、図20では、OK判定の分割レーン26が存在するが、OK判定数よりもNG判定数が多いため、この分割区間25がNG判定され、図17、図19では、NG判定の分割レーン26が存在するが、OK判定数がNG判定数よりも多いため、この分割区間25がOK判定される。
【0050】
ところで、図15はプライマ塗布膜5が全く存在しない状態、図16はプライマ5aの吐出量が少ないことが原因でプライマ塗布膜5の両端レーン分的がかすれた状態、図17はプライマ塗布膜5の一端レーン部分がかすれた状態、図18はプライマ5aの吐出量が多いことが原因でプライマ塗布膜5の膜厚が全体的に厚すぎる状態、図19はプライマ塗布膜5の一端レーン部分の膜厚が厚すぎる状態、図20はハケ18の摩耗が原因でプライマ塗布膜5の両端レーン部分の膜厚が厚すぎる状態、の輝度曲線を夫々示している。
【0051】
そのうち、図15、図16、図18、図20では、前記のようにNG判定されるが、これらの輝度曲線に類似する複数のNG輝度曲線が予め記憶されており、各分割区間25において、塗布異常が異常であると判定された場合に、その輝度曲線とNG輝度曲線とが対比されて、その塗布異常状態の種類(図15:プライマ塗膜無し、図16:プライマ塗膜の大きなかすれ、図18:、プライマ塗膜全体の膜厚過大、図20:ハケ摩耗によるプライマ塗膜の膜厚過大)が判別される。
【0052】
尚、塗布状態判定処理では、全分割区間25の判定結果に基づいて、プライマ塗布膜5の全体の塗布状態の異常判定を行うこともできる。尚、塗布装置16でプライマ塗布膜5を形成しながら、こうした塗布状態の評価が行われる。
【0053】
塗布状態表示処理では、受光データ処理、塗布状態判定処理の結果が、必要に応じて表示装置13のディスプレイ13aに表示される。この表示態様としては種々考えられ、適当な表示態様を適用可能である。例えば、受光データ処理の結果として、各分割区間25における各分割レーン26の判定結果が表示され、この場合、図7のような塗布領域分割設定図が表示させて、この塗布領域分割設定図にNG判定の分割レーンゾーンが識別可能に表示される。
【0054】
また、例えば、塗布状態判定処理の結果として、各分割区間25の判定結果が表示され、この場合、図7のような塗布領域分割設定図が表示されて、この塗布領域分割設定図にNG判定の分割区間ゾーンが識別可能に表示され、更に、NG判定の分割区間25の塗布異常状態、更に、その原因(例えば、ハケ摩耗)が表示される。
【0055】
以上説明した塗布状態評価装置10、及び、この塗布状態評価装置10を用いた塗布状態評価方法によれば、ウインドウガラス3の帯状の塗布領域9にプライマ5aを連続的に塗布して帯状に形成されたプライマ塗布膜5の塗布状態を評価する場合、塗布領域9をその長さ方向に複数分割した複数の分割区間25を設定すると共に、塗布領域9をその幅方向に複数分割して塗布領域5の長さ方向に複数の分割区間25に亙って連続して延びる複数の分割レーン26を設定し、塗布領域9にその幅以上の幅のスリット光20aを照射するレーザー投光器20とその反射光を受光するCCDセンサ21とを有する検出ヘッド11を、塗布領域9の長さ方向にプライマ塗布膜5に沿って走査させながらCCDセンサ21で反射光を受光させる。
【0056】
そして、複数の分割区間25の各々について、検出ヘッド11のCCDセンサ21で受光した反射光の受光データを複数の分割レーン26別に処理し、これら受光データに基づいて塗布状態を評価するので、塗布領域9の長さ向の位置によってプライマ塗布膜5が形成された面の曲面方向やプライマ5aを塗布する塗布条件が変化する場合、更に、塗布領域9の幅方向の位置によって前記曲面方向や塗布条件が変化する場合でも、これらの変化を加味した精度が良い適正な塗布状態の評価を各分割区間25ごとに行うことができる。
【0057】
複数の分割区間25の各々について、複数の分割レーン26に夫々対応する受光データの輝度の大きさに基づいて、塗布状態が異常であるか否か判定し、異常である場合にその塗布異常状態の種類を判別するので、精度が良い適正な塗布状態の評価を容易に行い、異常である場合の塗布異常状態の種類を判別することで、その塗布異常状態の種類を表示装置13で報知することができる。
【0058】
各分割区間25ごとに、前記輝度と比較する塗布状態異常判定用のしきい値を可変に設定するので、塗布領域9の長さ方向の位置によって前記曲面方向や、異なる分割区間25によって塗布条件が変化する場合を加味して、また、各分割レーン26ごとに、前記輝度と比較する塗布状態異常判定用のしきい値を可変に設定するので、各分割区間25ごとに、塗布領域9の幅方向の位置によって前記曲面方向や塗布条件が変化する場合を加味して、精度が良い適正な塗布状態の評価を確実に行うことができる。
【0059】
検出ヘッド11を、プライマ5aを吐出する塗布装置16を装備したロボット15のアーム15aの先端部に装着し、塗布装置16と一体的に且つ後続するように検出ヘッド11を走査させ、この塗布装置16でプライマ塗布膜5を形成しながら塗布状態を評価するので、この塗布状態の評価を迅速に行うことができる。検出ヘッド11のレーザー投光器20は、塗布領域9の幅方向に細長いスリット光20aを照射するので、曲面形状のウインドウガラス3と検出ヘッド11との距離の変化の影響が少なく、受光データを光の輝度のデータとして、塗布状態を前記のように精度良く評価することができる。
【0060】
そして、車体2とウインドウガラス3との接着部分を覆い隠すように、ウインドウガラス3の周縁部の内面に形成されたセラミック層4の表面に、プライマ5aを連続的に塗布してプライマ塗布膜5を帯状に形成し、このプライマ塗布膜5の塗布状態を精度良く評価でき、このプライマ塗布膜5によって、ウインドウガラス3(プライマ塗布膜5)をウレタン接着材6で車体2に接着する接着強度を高くする機能を確実に達成し得るようになる。
【0061】
次に、前記実施例の変更形態について説明する。
1]受光データ処理において、各分割区間25の各分割レーン26の輝度を求める場合、ある分割レーン26の所定時間おきに得られた輝度を、「Y1、Y2、Y3・・・」とし、これら「Y1、Y2、Y3・・・」を、「Y1a[=(Y1+・・・YN)/N−Y1]、Y2a[=(Y2+・・・Y(N+1))/N−Y2]、Y3a[=(Y3+・・・Y(N+2))/N−Y3]・・・」に変換し、これら「Y1a、Y2a、Y3a・・・」に基づいて算出してもよい。
【0062】
2]塗布領域9をその長さ方向に複数分割した複数の分割区間25を設定すると共に、一部の複数の分割区間25における塗布領域9をその幅方向に複数分割して塗布領域9の長さ方向に延びる複数の分割レーン26を設定し、一部の複数の分割区間25(例えば、図7に示す第3区間、第6区間、第11区間、第14区間)の各々についてのみ、検出ヘッド11のレーザー投光器20で受光した光の受光データを複数の分割レーン26別に処理し、これら受光データに基づいて塗布状態を評価するようにしてもよい。前記第3区間、第6区間、第11区間、第14区間はコーナ部であり、このコーナ部では塗布異常状態になり易いが、他の区間の塗布状態の評価を省略し、このコーナ部における塗布状態の評価を重点的に行うことができる。
【0063】
3]検出ヘッド11のレーザー投光器20が、塗布領域9の幅方向に並ぶ複数のスポット光20bを照射するようにしてもよい。この場合、受光データ処理では、検出ヘッド11のCCDセンサ21で受光した複数のスポット光20bの反射光の受光データが、複数の分割レーン26別に且つ複数の分割区間25別に処理される。この場合、受光データのデータ値であるスポット部の大きさが得られ、この大きさに基づいて各レーン26の塗布状態が判定される。
【0064】
4]分割区間25の設定については、前記実施例のような時間ではなく、距離で以て区切るようにしてもよい。
5]その他、前記開示事項以外の種々の変更を付加して実施可能であり、被塗装物としてはウインドウガラス3に限らず、塗布材(塗布膜)としてはプライマ5a(プライマ塗布膜5)に限らず、種々の被塗装物の帯状の塗布領域に種々の塗布材を連続的に塗布して帯状に形成された種々の塗布膜の塗布状態を評価する場合に、本発明を適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】ウインドウガラスと車体の接着前の状態を示す縦断面図である。
【図2】ウインドウガラスと車体の接着構造を示す縦断面図である。
【図3】ウインドウガラスと塗布状態評価装置と塗布装置の斜視図である。
【図4】ウインドウガラスの要部と検出ヘッドと塗布装置の斜視図である。
【図5】ウインドウガラスの要部と検出ヘッドと塗布装置の側面図である。
【図6】塗布状態評価装置のブロック図である。
【図7】塗布領域の分割設定を示す図である。
【図8】CCD素子と複数の分割レーンとの対応を示す図である。
【図9】分割区間別レーン別の輝度を示す図表である。
【図10】分割区間別素子別の輝度を示す図表である。
【図11】分割レーン別の輝度曲線である。
【図12】分割レーン別の輝度曲線である。
【図13】プライマ塗布膜の膜厚を示す図である。
【図14】所定の分割区間での輝度曲線である。
【図15】所定の分割区間でプライマが無い状態の輝度曲線である。
【図16】所定の分割区間でプライマが大きくかすれた状態の輝度曲線である。
【図17】所定の分割区間でプライマが少しかすれた状態の輝度曲線である。
【図18】所定の分割区間でプライマ膜厚が全体的に過大状態の輝度曲線である。
【図19】所定の分割区間でプライマ膜厚が部分的に過大状態の輝度曲線である。
【図20】所定の分割区間でプライマ膜厚の両側が過大状態の輝度曲線である。
【図21】変更形態のスポット光照射状態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0066】
3 ウインドウガラス
5 プライマ塗布膜
5a プライマ
10 塗布状態評価装置
11 検出ヘッド
12 データ処理装置
15 ロボット
15a アーム
20 レーザー投光器
21 CCDセンサ
25 分割区間
26 分割レーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被塗装物の帯状の塗布領域に塗布材を連続的に塗布して帯状に形成された塗布膜の少なくとも一部の塗布状態を評価する塗布状態評価方法において、
前記塗布領域をその長さ方向に複数分割した複数の分割区間を設定すると共に、少なくとも一部の複数の分割区間における塗布領域をその幅方向に複数分割して塗布領域の長さ方向に延びる複数の分割レーンを設定し、
前記塗布領域にその幅以上の幅の光を照射する光照射部とその反射光を受光する受光部とを有する検出ヘッドを、この検出ヘッドと被塗装物との相対移動を介して塗布領域の長さ方向に塗布膜に沿って走査させながら受光部で反射光を受光させ、
前記少なくとも一部の複数の分割区間の各々について、検出ヘッドの受光部で受光した光の受光データを複数の分割レーン別に処理し、これら受光データに基づいて塗布状態を評価することを特徴とする塗布状態評価方法。
【請求項2】
前記複数の分割区間の各々について、複数の分割レーンに夫々対応する受光データのデータ値の大きさに基づいて、塗布状態が異常であるか否か判定し、異常である場合にその塗布異常状態の種類を判別することを特徴とする請求項1に記載の塗布状態評価方法。
【請求項3】
前記各分割区間ごとに、前記データ値と比較する塗布状態異常判定用のしきい値を可変に設定することを特徴とする請求項2に記載の塗布状態評価方法。
【請求項4】
前記各分割レーンごとに、前記データ値と比較する塗布状態異常判定用のしきい値を可変に設定することを特徴とする請求項3に記載の塗布状態評価方法。
【請求項5】
前記塗布材を吐出する塗布装置と一体的に且つ後続するように検出ヘッドを走査させ、この塗布装置で塗布膜を形成しながら塗布状態を評価することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の塗布状態評価方法。
【請求項6】
前記被塗装物が車両のウインドウガラスであり、前記塗布材がプライマであることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の塗布状態評価方法。
【請求項7】
被塗装物の帯状の塗布領域に塗布材を連続的に塗布して帯状に形成された塗布膜の少なくとも一部の塗布状態を評価する塗布状態評価装置において、
前記塗布領域にその幅以上の幅の光を照射する光照射部とその反射光を受光する受光部とを有する検出ヘッドと、
前記検出ヘッドを被塗装物に対して相対的に移動させて塗布領域の長さ方向に塗布膜に沿って走査させる走査手段と、
前記塗布領域をその長さ方向に複数分割した複数の分割区間を設定すると共に、少なくとも一部の複数の分割区間における塗布領域をその幅方向に複数分割して塗布領域の長さ方向に延びる複数の分割レーンを設定し、検出ヘッドの受光部で受光した光の受光データを、複数の分割レーン別に且つ少なくとも一部の複数の分割区間別に処理する受光データ処理手段と、
前記少なくとも一部の複数の分割区間の各々について、受光データ処理手段で処理された受光データに基づいて塗布状態が異常であるか否か判定する塗布状態判定手段と、
を備えたことを特徴とする塗布状態評価装置。
【請求項8】
前記検出ヘッドは、前記塗布材を吐出する塗布装置を装備したロボットのアーム先端部に装着されたことを特徴とする請求項7に記載の塗布状態評価装置。
【請求項9】
前記検出ヘッドの光照射部は、塗布領域の幅方向に細長いスリット光を照射することを特徴とする請求項7又は8に記載の塗布状態評価装置。
【請求項10】
前記検出ヘッドの光照射部は、塗布領域の幅方向に並ぶ複数のスポット光を照射することを特徴とする請求項7又は8に記載の塗布状態評価装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2007−263599(P2007−263599A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−85742(P2006−85742)
【出願日】平成18年3月27日(2006.3.27)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】