説明

変位センサ

【課題】安定的なフィードバック制御が可能な変位センサを提供する。
【解決手段】制御部は、複数の画素の第2の方向Yに沿った複数の走査線T毎に受光信号を読み取り、該受光信号に基づいて得られる受光波形のピークに基づく光量レベル(ピーク値又は飽和画素の個数)を走査線T毎に検出し、複数設定された光量レベルの所定の範囲毎の走査線Tの個数をカウントし、その個数が最も多い光量レベルの範囲に基づいてフィードバック制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学的手段を用いて対象物の変位や表面形状等を検出する変位センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の変位センサにおいて、帯状の光を対象物に照射、又は光を走査して照射する投光手段と、互いに直交する第1の方向及び第2の方向に行列状に配置された複数の画素を有する受光面を備え、対象物からの反射光を受光してその受光量に応じた受光信号を出力する二次元受光手段とを備えるものがある(例えば特許文献1参照)。このような変位センサでは、複数の画素の第2の方向に沿った複数の走査線毎に受光信号を読み取り、該受光信号に基づいて得られる受光波形(受光信号レベル)の受光中心位置(ピーク位置又は重心位置)を検出する処理を走査線毎に行うことで受光像を得ることができ、その受光像から対象物の変位や対象物までの距離や表面形状等を測定するようになっている。
【0003】
ところで、このような光学的手段を用いる変位センサでは、投光手段から出射される光の光量が一定であったとしても、対象物の表面状態や材質等に起因する反射率の変化により二次元受光手段での受光量が大きく変動する可能性があるため、受光信号が所定の範囲内となるようにフィードバック制御を行うものがある。フィードバック制御では、受光面の走査線毎に得られる受光波形に基づき、受光信号が所定の範囲内となるように投光する光の光量等を調整するようになっている。その調整量に関わるフィードバック係数を決定する方法の第1の方法としては、各走査線で得られる受光波形のピーク値をそれぞれ検出し、そのうちの最も高いピーク値に基づいてフィードバック係数を決定する方法が考えられる。
【0004】
また、第2の方法としては、各走査線で得られる受光波形のうち、そのピーク値が最も高いものから数えて所定番目の受光波形を選択し、その受光波形のピーク値に基づいてフィードバック係数を決定する方法が考えられる。また、第3の方法としては、各走査線で得られる受光波形のピーク値の平均値を算出し、その平均値に基づいてフィードバック係数を決定する方法が考えられる(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−96117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、例えばアルミ蒸着した対象物を測定する場合、対象物の表面は理想的にはアルミの均一面で反射率は一定であるが、実際には蒸着ムラによって反射率が特異的に高く(又は低く)なる箇所が多数発生するため、特異的に受光量が大きい走査線が出てきてしまう。このため、上記第1の方法では、特異的に受光量が大きい走査線の光量に基づいて受光信号の調整がなされてしまうため、フィードバック後の測定時に十分な受光信号のレベルを確保できない虞がある。
【0007】
また、上記第2の方法では、所定の1つの走査線の受光波形を選んでフィードバック係数を決定するため、その選んだ走査線での受光量が対象物の表面状態や材質等に起因して著しく多い又は少ない場合にその光量に応じた調整がなされてしまい、安定的なフィードバック制御が実現できない。また、対象物表面の反射率が特異的に高くなる箇所の個数の特定は極めて困難であるため、特異的に受光量が大きい走査線の個数の特定も困難である。そのため、第2の方法のように、高いものから数えて所定番目を選択しても、特異的に受光量が大きい走査線を除外できない虞がある。
【0008】
また、例えば対象物の表面の蒸着ムラによって反射率が特異的に高くなる箇所が多数発生したとき、特異的に受光量が大きい走査線も多数現れる。この場合、上記第3の方法では、特異的に高い受光信号レベルがフィードバック制御による調整量に影響を及ぼしてしまうため、正確なフィードバック制御が困難なものとなっており、より安定的なフィードバック制御の実現の点で更なる改善の余地があった。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、安定的なフィードバック制御が可能な変位センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、帯状の光を対象物に照射、又は光を走査して照射する投光手段と、前記帯状の光の長手方向又は前記投光手段からの光の走査方向と平行な第1の方向及び前記第1の方向と直交する第2の方向に行列状に配置された複数の画素を有する受光面を備え、前記対象物からの反射光を受光してその受光量に応じた受光信号を出力する二次元受光手段と、前記複数の画素の前記第2の方向に沿った複数の走査線毎に前記受光信号を読み取り、該受光信号に基づき前記対象物の測定を行うための測定手段と、前記受光信号のレベルに基づいてフィードバック制御を行うための制御手段とを備えた変位センサであって、前記制御手段は、前記走査線毎に前記受光信号を読み取り、該受光信号に基づいて得られる受光信号レベルのピークに基づく光量レベルを前記走査線毎に検出し、予め設定された複数の光量レベル範囲のうち、前記走査線毎に検出した前記光量レベルが最も多く分布される光量レベル範囲を求め、その求まった最多分布範囲のうちの光量レベルに基づいてフィードバック制御を行うことを特徴とする。
【0011】
この発明では、制御手段は、各走査線の受光信号レベルのピークに基づく光量レベルを走査線毎に検出し、予め設定された複数の光量レベル範囲のうち、走査線毎に検出した光量レベルが最も多く分布される光量レベル範囲を求め、その求まった最多分布範囲のうちの光量レベルに基づいてフィードバック制御を行う。これにより、特異的に受光量が大きい又は小さい走査線を除外してフィードバック制御の調整量を決定することが可能となるため、安定的なフィードバック制御が可能となる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の変位センサにおいて、複数の前記光量レベル範囲毎に、該光量レベル範囲とフィードバック制御による前記受光信号の調整量に関わるフィードバック係数とが対応付けられて記憶された記憶手段を備え、前記制御手段は、検出した前記光量レベルが含まれる前記光量レベル範囲から前記フィードバック係数を前記走査線毎に確定し、該フィードバック係数毎の個数をカウントし、その個数が最も多い前記フィードバック係数に基づいてフィードバック制御を行うことを特徴とする。
【0013】
この発明では、最多分布範囲のうちの光量レベルに基づいてフィードバック制御を行うことができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の変位センサにおいて、複数の前記光量レベル範囲毎に、該光量レベル範囲とフィードバック制御による前記受光信号の調整量に関わるフィードバック係数とが対応付けられて記憶された記憶手段を備え、前記制御手段は、前記最多分布範囲に対応する前記フィードバック係数を前記記憶手段から読み出し、該フィードバック係数に基づいてフィードバック制御を行うことを特徴とする。
【0014】
この発明では、最多分布範囲のうちの光量レベルに基づいてフィードバック制御を行うことができる。
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の変位センサにおいて、前記フィードバック係数は、前記光量レベル範囲の中心である光量レベルに基づいて設定されていることを特徴とする。
【0015】
この発明では、フィードバック係数に基づいて好適なフィードバック制御を行うことができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の変位センサにおいて、前記制御手段は、前記走査線の前記受光信号レベルのピーク値が飽和値よりも低い場合には、そのピーク値を該走査線の前記光量レベルに設定し、前記走査線の前記受光信号レベルのピーク値が飽和値と等しい場合には、該走査線上の画素のうち、前記受光信号が前記飽和値と等しい画素の個数を該走査線の前記光量レベルに設定することを特徴とする。
【0016】
この発明では、走査線の受光信号レベルのピーク値が飽和値(二次元受光手段の受光面で受光可能な受光量の限界値に応じた値)よりも低い場合には、そのピーク値を該走査線の光量レベルに設定する。一方、走査線の受光信号レベルのピーク値が飽和値と等しい場合には、該走査線上の画素のうち、受光信号が飽和値と等しい画素(飽和画素)の個数を該走査線の光量レベルに設定する。走査線の受光信号レベルのピーク値が飽和値と等しい場合、飽和画素の個数からその走査線上の画素に実際に入射する光の光量がおよそ推測可能であるため、この飽和画素の個数は実際の入射光の光量のピークに応じた値といえる。これにより、実際に入射光の光量が受光面で受光可能な受光量の限界を超えた場合でも、飽和画素を光量レベルに設定することで、安定的なフィードバック制御が可能となる。
【発明の効果】
【0017】
従って、上記記載の発明によれば、安定的なフィードバック制御が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態における変位センサの電気的構成を示すブロック図である。
【図2】変位センサの一部を示す概略構成図である。
【図3】変位センサの一部を示す斜視図である。
【図4】二次元CCDを示す模式図。
【図5】(a)は、非飽和波形を示す波形図であり、(b)は、飽和波形を示す波形図である。
【図6】(a)(b)フィードバック制御の処理を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。なお、図1は本実施形態の変位センサ10の電気的構成を示すブロック図であり、図2は変位センサ10の一部を示す概略構成図であり、図3は変位センサ10の一部を示す斜視図である。
【0020】
図2に示すように、変位センサ10は、レーザ光源11及び二次元CCD14を備えている。この変位センサ10は、レーザ光源11から出射された光を挿通板12のスリット12Aを通過させて線状(進行方向と直交する方向に延びる帯状)にし、その線状の光を対象物Wの表面に照射させ、その対象物Wからの反射光を二次元CCD14の撮像面14A上にて受光する。このとき、撮像面14A上に形成される受光像(受光中心位置)は、変位センサ10と対象物の表面(被照射面)までの距離に応じて変化するため、対象物Wの表面の形状に応じて変化する。例えば対象物Wの表面が平坦である場合には、撮像面14A上に形成される受光像は上記スリット12Aの開口形状と同じ形状(例えば直線状)になる。一方、対象物Wの表面が凹凸状である場合には、撮像面14A上に形成される受光像は対象物Wの表面に応じた凹凸形状となる。このため、撮像面14A上に形成される受光像(受光中心位置)に基づいて対象物Wの表面形状等を測定することができる。
【0021】
次に、変位センサ10の電気的構成を図1にしたがって説明する。
図1に示すように、変位センサ10は、レーザ光源11と、挿通板12と、レーザ駆動回路13と、二次元CCD14と、CCD駆動回路15と、当該変位センサ10全体を制御する制御部16と、データ処理部17と、メモリ18とを備える。
【0022】
レーザ光源11は、制御部16によって駆動制御されるレーザ駆動回路13から供給される駆動電流に基づいて、レーザ光を対象物Wに投光(照射)する。この対象物Wからの反射光は、二次元CCD14の撮像面14A上に入射される。なお、撮像面14Aは、図4に示すように、互いに直交する2方向(図中、第1の方向X及び第2の方向Y)に行列状に配置された複数の画素によって構成されており、第1の方向XにはN個の画素が並んでいる。また、レーザ光源11からの線状の光を水平面に反射させた場合、撮像面14A上に形成される線状の受光像は、その長手方向及び厚み方向が撮像面14Aの第1の方向X及び第2の方向Yにそれぞれ沿って受光されるように構成されている。そして、二次元CCD14は、撮像面14Aの各画素に入射(受光)された光を、その受光量に応じたレベルの電気信号(受光信号)に変換してCCD駆動回路15に出力する。
【0023】
このCCD駆動回路15は、撮像面14A上に形成される線状の受光像の厚み方向(第2の方向Y)に沿った走査線T(図4参照)毎に上記受光信号を順次読み取り、その受光信号を制御部16に出力する。これにより、制御部16は、図5(a)(b)に示すような一次元の受光量分布に相当する受光信号レベル(受光波形)を走査線T毎に得る。なお、図5(a)は、受光波形のピーク値が飽和値(二次元CCD14で受光可能な受光量の限界値に応じた値)よりも低い場合の波形(非飽和波形)を示しており、図5(b)は、受光波形のピーク値が前記飽和値と等しい場合の波形(飽和波形)を示している。
【0024】
この制御部16は、CCD駆動回路15からの受光信号に基づいて、走査線T毎に受光中心位置を検出して対象物Wの表面形状を測定する。詳述すると、上記二次元CCD14の撮像面14Aにおける反射光の受光中心位置は変位センサ10から対象物Wの表面までの距離に応じて変化し、これに伴って上記受光中心位置に対応する受光波形の重心位置も変化する。そこで、制御部16は、走査線T毎に読み取られた受光信号に基づいて、図5に示すような受光波形における重心位置を算出し、その算出した重心位置を該当走査線Tの受光中心位置として検出する。そして、制御部16は、このような各走査線T上における受光中心位置を検出する処理を走査線Tについてそれぞれ行う。これにより、線状の受光像を得ることができ、光が照射された部位の表面形状や高低差等を測定することができる。
【0025】
なお、データ処理部17は、有線又は無線により当該変位センサ10に接続される外部機器との間でデータの双方向通信が可能になっている。
本実施形態の制御部16は、前述した対象物Wの測定に加えて、受光信号のレベルを所定の範囲内とすべくフィードバック制御を行うようになっている。以下に、フィードバック制御の処理を図5(a)(b)及び図6にしたがって説明する。
【0026】
制御部16は、二次元CCD14から走査線T毎に出力される受光信号をCCD駆動回路15に読み取らせ、これにより、図5(a)(b)に示すような受光波形(受光信号レベル分布)が走査線T毎に得られる。
【0027】
次に、制御部16は、走査線Tの受光波形のピークに基づき、フィードバック係数を決定するための光量レベル(ピーク値、又は後述する飽和画素の個数)を検出する。なお、フィードバック係数は、フィードバック後のレーザ光源11の投光量を決定するための係数である。
【0028】
詳述すると、制御部16は、走査線Tの受光波形のピーク値を検出し、そのピーク値が飽和値よりも低い場合(図5(a)参照)には、そのピーク値を光量レベルとする。この場合、制御部16は、メモリ18に予め記憶された第1係数決定テーブルを参照して該当走査線Tの光量レベル(ピーク値)から該当走査線Tのフィードバック係数を確定する。詳しくは、制御部16は、走査線Tの光量レベル(ピーク値)が複数設定された所定の範囲(光量レベル範囲)のいずれに含まれているかを割り出し、その範囲に対応するフィードバック係数Kn〜Km(図6(a)参照)を前記第1係数決定テーブルを参照して確定する。即ち、メモリ18には、第1係数決定テーブルにおいて、予め設定された複数の光量レベル範囲毎に、該光量レベル範囲とフィードバック係数とが対応付けられて記憶されている。また、フィードバック係数は、光量レベル範囲の中心である光量レベルに基づいて設定されている。このように、走査線Tの受光波形が非飽和波形の場合には、その走査線Tにおけるフィードバック係数が受光波形のピーク値に基づきフィードバック係数Kn〜Kmのいずれかに確定されるようになっている。
【0029】
一方、受光波形のピーク値が飽和値と等しい場合(図5(b)参照)には、該当走査線T上の画素のうち、受光信号が飽和値と等しい画素(飽和画素)の個数を光量レベルとする。なお、飽和画素の個数からその走査線T上の画素に実際に入射する光の光量がおよそ推測可能であるため、この飽和画素の個数は実際の入射光の光量のピークに応じた値といえる。この場合、制御部16は、予め設定されている第2係数決定テーブルを参照して該当走査線Tの光量レベル(飽和画素の個数)から該当走査線Tのフィードバック係数Li〜Lj(図6(b)参照)を確定する。即ち、メモリ18には、第2係数決定テーブルにおいて、飽和画素と個数とフィードバック係数とが対応付けられて記憶されている。このように、走査線Tの受光波形が飽和波形の場合には、その走査線Tにおけるフィードバック係数が受光波形の飽和画素の個数からフィードバック係数Li〜Ljのいずれかに確定されるようになっている。
【0030】
このように各走査線Tのフィードバック係数Kn〜Km,Li〜Ljを確定した後、制御部16はフィードバック係数Kn〜Km,Li〜Ljのそれぞれの個数n〜m,i〜jを算出する。そして、その個数が最も多いフィードバック係数Kn〜Km,Li〜Ljを選択し、そのフィードバック係数に基づいてフィードバック後のレーザ光源11の投光量を決定する。これにより、個数が最も多いフィードバック係数に対応する光量レベル範囲(最多分布範囲)のうちの光量レベルに基づきフィードバック制御が行われるようになっている。以上のフィードバック制御は、所定タイミング毎に繰り返し行われ、受光信号が所定の範囲内に収まるように制御されるようになっている。
【0031】
このようなフィードバック制御によれば、特異的に受光量が大きい又は小さい走査線Tを除外してフィードバック制御の調整量を決定することが可能となっており、その結果、安定的なフィードバック制御が可能となっている。
【0032】
次に、本実施形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)制御部16は、複数の画素の第2の方向Yに沿った複数の走査線T毎に受光信号を読み取り、該受光信号に基づいて得られる受光波形のピークに基づく光量レベル(ピーク値又は飽和画素の個数)を走査線T毎に検出する。予め設定された複数の光量レベル範囲のうち、走査線T毎に検出した光量レベルが最も多く分布される光量レベル範囲を求め、その求まった最多分布範囲のうちの光量レベルに基づいてフィードバック制御を行う。これにより、特異的に受光量が大きい又は小さい走査線Tを除外してフィードバック制御の調整量を決定することが可能となるため、安定的なフィードバック制御が可能となる。
【0033】
(2)複数の光量レベル範囲毎に、該光量レベル範囲とフィードバック制御による受光信号の調整量に関わるフィードバック係数Kn〜Km,Li〜Ljとが対応付けられて記憶されたメモリ18を備える。制御部16は、各走査線Tの光量レベル(ピーク値又は飽和画素の個数)が含まれる光量レベル範囲からフィードバック係数Kn〜Km,Li〜Ljを走査線T毎に確定し、該フィードバック係数Kn〜Km,Li〜Ljの個数をそれぞれカウントする。そして、その個数が最も多いフィードバック係数Kn〜Km,Li〜Ljに基づいてフィードバック制御を行うことを特徴とする。これにより、最多分布範囲のうちの光量レベルに基づいてフィードバック制御を行うことができる。
【0034】
(3)フィードバック係数Kn〜Km,Li〜Ljは、光量レベル範囲の中心である光量レベルに基づいて設定されているため、フィードバック係数に基づいて好適なフィードバック制御を行うことができる。
【0035】
(4)制御部16は、走査線Tの受光波形のピーク値が飽和値(二次元CCD14の撮像面14Aで受光可能な受光量の限界値に応じた値)よりも低い場合には、そのピーク値を該走査線Tの光量レベルに設定する。一方、走査線Tの受光波形のピーク値が飽和値と等しい場合には、該走査線T上の画素のうち、受光信号が飽和値と等しい画素(飽和画素)の個数を該走査線Tの光量レベルに設定する。飽和波形の場合、飽和画素の個数からその走査線T上の画素に実際に入射する光の光量がおよそ推測可能であるため、この飽和画素の個数は実際の撮像面14Aへの入射光の光量のピークに応じた値といえる。これにより、実際に入射光の光量が撮像面14Aで受光可能な受光量の限界を超えた場合でも、飽和画素を光量レベルに設定することで、安定的なフィードバック制御が可能となる。
【0036】
なお、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、制御部16は、各走査線Tのフィードバック係数Kn〜Km,Li〜Ljを確定した後、フィードバック係数Kn〜Km,Li〜Ljのそれぞれの個数n〜m,i〜jを算出したが、特にこれに限定されるものではない。例えば、複数設定された光量レベルの所定の範囲毎の走査線Tの個数を算出した後、その個数が最も多い光量レベルの範囲に基づいてフィードバック係数を決定してもよい。
【0037】
・上記実施形態では、フィードバック係数Kn〜Km,Li〜Ljは、光量レベル範囲の中心である光量レベルに基づいて設定されたが、これ以外に例えば、光量レベル範囲内に分布される光量レベルのうちの最大又は最小の光量レベルに基づいて設定してもよく、また、光量レベル範囲内に分布される光量レベルの平均値としてもよい。
【0038】
・上記実施形態では、フィードバック制御にて投光量を調整したが、これ以外に例えば、受光信号を増幅する手段を設け、その増幅量を調整してもよい。
・上記実施形態では、投光手段(レーザ光源11及び挿通板12)により帯状の光が投光されたが、光を走査して照射するように構成してもよい。
【0039】
・上記実施形態では、レーザ光源11を用いたが、他の光源を用いてもよい。
・上記実施形態では、撮像素子として二次元CCD14を用いたが、受光波形が得られる素子であれば二次元CMOS等の他の撮像素子に変更してもよい。
【0040】
・上記実施形態では、撮像面14A上に形成される受光像(受光中心位置)に基づいて対象物Wの表面形状を測定したが、これ以外に例えば、対象物Wの変位や、対象物Wまでの距離を測定してもよい。
【符号の説明】
【0041】
10…変位センサ、11…投光手段を構成するレーザ光源、12…投光手段を構成する挿通板、14…二次元受光手段としての二次元CCD、14A…受光面としての撮像面、15…測定手段及び制御手段を構成するCCD駆動回路、16…測定手段及び制御手段を構成する制御部、18…記憶手段としてのメモリ、T…走査線、W…対象物、X…第1の方向、Y…第2の方向、Kn〜Km,Li〜Lj…フィードバック係数。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の光を対象物に照射、又は光を走査して照射する投光手段と、
前記帯状の光の長手方向又は前記投光手段からの光の走査方向と平行な第1の方向及び前記第1の方向と直交する第2の方向に行列状に配置された複数の画素を有する受光面を備え、前記対象物からの反射光を受光してその受光量に応じた受光信号を出力する二次元受光手段と、
前記複数の画素の前記第2の方向に沿った複数の走査線毎に前記受光信号を読み取り、
該受光信号に基づき前記対象物の測定を行うための測定手段と、
前記受光信号のレベルに基づいてフィードバック制御を行うための制御手段とを備えた変位センサであって、
前記制御手段は、前記走査線毎に前記受光信号を読み取り、該受光信号に基づいて得られる受光信号レベルのピークに基づく光量レベルを前記走査線毎に検出し、予め設定された複数の光量レベル範囲のうち、前記走査線毎に検出した前記光量レベルが最も多く分布される光量レベル範囲を求め、その求まった最多分布範囲のうちの光量レベルに基づいてフィードバック制御を行うことを特徴とする変位センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の変位センサにおいて、
複数の前記光量レベル範囲毎に、該光量レベル範囲とフィードバック制御による前記受光信号の調整量に関わるフィードバック係数とが対応付けられて記憶された記憶手段を備え、
前記制御手段は、検出した前記光量レベルが含まれる前記光量レベル範囲から前記フィードバック係数を前記走査線毎に確定し、該フィードバック係数毎の個数をカウントし、その個数が最も多い前記フィードバック係数に基づいてフィードバック制御を行うことを特徴とする変位センサ。
【請求項3】
請求項1に記載の変位センサにおいて、
複数の前記光量レベル範囲毎に、該光量レベル範囲とフィードバック制御による前記受光信号の調整量に関わるフィードバック係数とが対応付けられて記憶された記憶手段を備え、
前記制御手段は、前記最多分布範囲に対応する前記フィードバック係数を前記記憶手段から読み出し、該フィードバック係数に基づいてフィードバック制御を行うことを特徴とする変位センサ。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の変位センサにおいて、
前記フィードバック係数は、前記光量レベル範囲の中心である光量レベルに基づいて設定されていることを特徴とする変位センサ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の変位センサにおいて、
前記制御手段は、
前記走査線の前記受光信号レベルのピーク値が飽和値よりも低い場合には、そのピーク値を該走査線の前記光量レベルに設定し、
前記走査線の前記受光信号レベルのピーク値が飽和値と等しい場合には、該走査線上の画素のうち、前記受光信号が前記飽和値と等しい画素の個数を該走査線の前記光量レベルに設定することを特徴とする変位センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−215037(P2011−215037A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−84485(P2010−84485)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000106221)パナソニック電工SUNX株式会社 (578)
【Fターム(参考)】