説明

多層配線、多層配線のダミー配線配置方法、半導体装置およびその製造方法

【課題】層間絶縁膜のグローバル段差をより低減する。
【解決手段】メタル配線11、21、31と層間絶縁膜12、22、32とが積層され、各層の層間絶縁膜を形成する毎に研磨して平坦化される多層配線60を積層方向からみて複数の領域52に分割し、領域毎に、各領域の面積に対する各領域内のメタル配線の占有面積の割合を、メタル配線についてそれぞれ求め、求めた割合を、領域毎に、メタル配線について積算した積算割合をそれぞれ求め、複数の領域の積算割合を用いて、予め求めておいた積算割合の相対値と層間絶縁膜32の上面の相対位置との関係より、複数の領域間の層間絶縁膜32の上面の相対位置関係を求め、層間絶縁膜32の上面が所定の値より低い位置にある領域511では、ダミー配線13,23,33を設け、層間絶縁膜32の上面が所定の値以上の位置にある領域513ではメタル配線にダミー配線を設けない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層配線、多層配線のダミー配線配置方法、半導体装置およびその製造方法に関し、特に半導体基板上に形成された多層配線、当該多層配線のダミー配線配置方法、当該多層配線を備える半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の微細化が進むにつれて、微細加工面の平坦化がますます要求されている。複数層のメタル配線と、複数層の層間絶縁膜とが積層された多層配線を備える半導体装置を製造するには、各層の層間絶縁膜を形成する毎に、CMP (Chemica1 Mechanical Polishing)法を用いて層間絶縁膜を平坦化することが行われている。このCMP法による平坦化の際には、メタル配線の配線密度に応じて当該メタル配線を覆う層間絶縁膜に段差(いわゆるグローバル段差)が生じてしまう。このグローバル段差を低減するために、配線密度が小さいメタル配線領域にメタルのダミー配線を配置して配線密度を上げることが行われている。このようにダミー配線を配置することにより、グローバル段差を低減できるようになる。従来は、ダミー配線の配置領域は、メタル配線層毎に定めていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3479052号公報
【特許文献2】特開2005−285970号公報
【特許文献3】特開2006−128709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体装置の多層配線では、例えば、ロジック回路等のLSIを例にとると、メタル配線は2〜7層と複数層で構成される。メタル配線層が複数層の場合には、それに応じて層間絶縁膜も複数層となる。このようにメタル配線層および層間絶縁膜が複数層ある場合には、一般的に最上層のメタル配線直下の最終層間絶縁膜のCMP法による平坦化完了段階におけるグローバル段差は、各メタル配線層のメタル配線の配線密度を複数層のメタル配線について積算した値の相対差で決定される。よって、ダミー配線配置前のメタル配線の配線密度分布の粗密領域の位置がメタル配線層毎に異なる場合には、メタル配線層毎にダミー配線の配置領域を定めている従来方法では、最終層間絶縁膜の平坦化完了段階でグローバル段差の低減効果が最適となるような観点でダミー配線の配置領域を決めてはおらず、ダミー配線挿入の効果が不十分であった。
【0005】
従って、本発明の主な目的は、最上層のメタル配線直下の層間絶縁膜のグローバル段差をより低減できる多層配線、多層配線のダミー配線配置方法、半導体装置およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、複数層のメタル配線と複数層の層間絶縁膜とが1層ずつ交互に積層された多層配線であって、前記複数層の層間絶縁膜の各層の層間絶縁膜が、前記各層の層間絶縁膜を形成する毎に研磨して平坦化された層間絶縁膜である前記多層配線のダミー配線配置方法であって、
前記多層配線を前記複数層のメタル配線と前記複数層の層間絶縁膜の積層方向と交差する平面内で複数の領域に分割し、前記複数の領域の各領域毎に、前記各領域の面積に対する前記各領域内の前記メタル配線の占有面積の割合を、前記複数層のメタル配線のうち、最上層のメタル配線以外の各層のメタル配線についてそれぞれ求め、
求めた前記割合を、前記複数の領域の各領域毎に、前記最上層のメタル配線以外の前記複数層のメタル配線について積算した積算割合をそれぞれ求め、
前記複数の領域の積算割合を用いて、予め求めておいた前記複数の領域のメタル配線の積算割合の相対値と前記最上層のメタル配線直下の前記層間絶縁膜の上面の前記積層方向の相対位置との関係より、前記複数の領域間の前記最上層のメタル配線直下の前記層間絶縁膜の上面の前記積層方向の相対位置関係を求め、
前記最上層のメタル配線直下の前記層間絶縁膜の上面の位置が最も高い位置にある領域に対して、前記最上層のメタル配線直下の前記層間絶縁膜の上面の位置が前記予め決められた値以上の高さの位置にある領域の前記複数層のメタル配線の層にはダミー配線を配置せず、前記最上層のメタル配線直下の前記層間絶縁膜の上面の位置が最も高い位置にある領域に対して、前記最上層のメタル配線直下の前記層間絶縁膜の上面の位置が予め決められた値より低い位置にある領域の前記複数層のメタル配線のうち、少なくとも1つの層の前記メタル配線がある層にダミー配線を配置した、多層配線のダミー配線配置方法が提供される。
【0007】
また、本発明によれば、半導体基板上に、複数層のメタル配線と複数層の層間絶縁膜とが1層ずつ交互に積層された多層配線であって、前記複数層の層間絶縁膜の各層の層間絶縁膜が、前記各層の層間絶縁膜を形成する毎に研磨して平坦化された層間絶縁膜である前記多層配線を備える半導体装置の製造方法であって、
前記多層配線を前記複数層のメタル配線と前記複数層の層間絶縁膜の積層方向と交差する平面内で複数の領域に分割し、前記複数の領域の各領域毎に、前記各領域の面積に対する前記各領域内の前記メタル配線の占有面積の割合を、前記複数層のメタル配線のうち、最上層のメタル配線以外の各層のメタル配線についてそれぞれ求め、
求めた前記割合を、前記複数の領域の各領域毎に、前記最上層のメタル配線以外の前記複数層のメタル配線について積算した積算割合をそれぞれ求め、
前記複数の領域の積算割合を用いて、予め求めておいた前記複数の領域のメタル配線の積算割合の相対値と前記最上層のメタル配線直下の前記層間絶縁膜の上面の前記積層方向の相対位置との関係より、前記複数の領域間の前記最上層のメタル配線直下の前記層間絶縁膜の上面の前記積層方向の相対位置関係を求め、
前記最上層のメタル配線直下の前記層間絶縁膜の上面の位置が最も高い位置にある領域に対して、前記最上層のメタル配線直下の前記層間絶縁膜の上面の位置が前記予め決められた値以上の高さの位置にある領域の前記複数層のメタル配線の層にはダミー配線を配置せず、前記最上層のメタル配線直下の前記層間絶縁膜の上面の位置が最も高い位置にある領域に対して、前記最上層のメタル配線直下の前記層間絶縁膜の上面の位置が予め決められた値より低い位置にある領域の前記複数層のメタル配線のうち、少なくとも1つの層の前記メタル配線がある層にダミー配線を配置するようにして前記多層配線を形成する工程を備える半導体装置の製造方法が提供される。
【0008】
また、本発明によれば、複数層のメタル配線と複数層の層間絶縁膜とが1層ずつ交互に積層された多層配線であって、前記複数層の層間絶縁膜の各層の層間絶縁膜が、前記各層の層間絶縁膜を形成する毎に研磨して平坦化された層間絶縁膜である前記多層配線であって、
前記多層配線を前記複数層のメタル配線と前記複数層の層間絶縁膜の積層方向と交差する平面内で複数の領域に分割された前記複数の領域の各領域毎に、前記各領域の面積に対する前記各領域内の前記メタル配線の占有面積の割合を、前記複数層のメタル配線のうち、最上層のメタル配線以外の各層のメタル配線についてそれぞれ求め、
求めた前記割合を、前記複数の領域の各領域毎に、前記最上層のメタル配線以外の前記複数層のメタル配線について積算した積算割合をそれぞれ求め、
前記複数の領域の積算割合を用いて、予め求めておいた前記複数の領域のメタル配線の積算割合の相対値と前記最上層のメタル配線直下の前記層間絶縁膜の上面の前記積層方向の相対位置との関係より、前記複数の領域間の前記最上層のメタル配線直下の前記層間絶縁膜の上面の前記積層方向の相対位置関係を求め、
前記最上層のメタル配線直下の前記層間絶縁膜の上面の位置が最も高い位置にある領域に対して、前記最上層のメタル配線直下の前記層間絶縁膜の上面の位置が前記予め決められた値以上の高さの位置にある領域の前記複数層のメタル配線の層にはダミー配線を配置せず、前記最上層のメタル配線直下の前記層間絶縁膜の上面の位置が最も高い位置にある領域に対して、前記最上層のメタル配線直下の前記層間絶縁膜の上面の位置が予め決められた値より低い位置にある領域の前記複数層のメタル配線のうち、少なくとも1つの層の前記メタル配線がある層にダミー配線を配置した、多層配線が提供される。
【0009】
また、本発明によれば、半導体基板上に、複数層のメタル配線と複数層の層間絶縁膜とが1層ずつ交互に積層された多層配線であって、前記複数層の層間絶縁膜の各層の層間絶縁膜が、前記各層の層間絶縁膜を形成する毎に研磨して平坦化された層間絶縁膜である前記多層配線を備える半導体装置であって、
前記多層配線を前記複数層のメタル配線と前記複数層の層間絶縁膜の積層方向と交差する平面内で複数の領域に分割された前記複数の領域の各領域毎に、前記各領域の面積に対する前記各領域内の前記メタル配線の占有面積の割合を、前記複数層のメタル配線のうち、最上層のメタル配線以外の各層のメタル配線についてそれぞれ求め、
求めた前記割合を、前記複数の領域の各領域毎に、前記最上層のメタル配線以外の前記複数層のメタル配線について積算した積算割合をそれぞれ求め、
前記複数の領域の積算割合を用いて、予め求めておいた前記複数の領域のメタル配線の積算割合の相対値と前記最上層のメタル配線直下の前記層間絶縁膜の上面の前記積層方向の相対位置との関係より、前記複数の領域間の前記最上層のメタル配線直下の前記層間絶縁膜の上面の前記積層方向の相対位置関係を求め、
前記最上層のメタル配線直下の前記層間絶縁膜の上面の位置が最も高い位置にある領域に対して、前記最上層のメタル配線直下の前記層間絶縁膜の上面の位置が前記予め決められた値以上の高さの位置にある領域の前記複数層のメタル配線の層にはダミー配線を配置せず、前記最上層のメタル配線直下の前記層間絶縁膜の上面の位置が最も高い位置にある領域に対して、前記最上層のメタル配線直下の前記層間絶縁膜の上面の位置が予め決められた値より低い位置にある領域の前記複数層のメタル配線のうち、少なくとも1つの層の前記メタル配線がある層にダミー配線を配置した前記多層配線を備える半導体装置が提供される。
【0010】
好ましくは、前記最上層のメタル配線直下の前記層間絶縁膜の上面の位置が最も高い位置にある領域に対して、前記最上層のメタル配線直下の前記層間絶縁膜の上面の位置が前記予め決められた値以上の高さの位置にある領域においては、前記占有面積の割合が、下層の2層のメタル配線よりも上層のメタル配線の方が小さい場合には、前記下層の2層のメタル配線の層および前記上層のメタル配線の層には前記ダミー配線が設けられていない。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、最上層のメタル配線直下の層間絶縁膜のグローバル段差をより低減できる多層配線、多層配線のダミー配線配置方法、半導体装置およびその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】多層配線の層間絶縁膜の平坦化方法を説明するための概略縦断面図である。
【図2】多層配線の層間絶縁膜の平坦化方法を説明するための概略縦断面図である。
【図3】多層配線の層間絶縁膜の平坦化方法を説明するための概略縦断面図である。
【図4】本発明の好ましい実施の形態の多層配線を複数の領域に分割する方法を説明するための概略平面図である。
【図5】本発明の好ましい実施の形態の多層配線を説明するための概略平面図である。
【図6】本発明の好ましい実施の形態の多層配線を説明するための概略縦断面図である。
【図7】比較のための多層配線を説明するための概略縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0014】
まず、メタル配線の配線密度と層間絶縁膜をCMP研磨により平坦化した際に生じるグローバル段差との関係について説明する。
【0015】
図1に示すように、半導体基板50上に第1層目のメタル配線11を形成し、メタル配線11を覆って第1層目の層間絶縁膜12を形成する。層間絶縁膜12は、プラズマCVDや常圧VDにより形成する。このとき、下地のメタル配線11の配線密度が蜜な高密度領域113ではメタル配線11上の層間絶縁膜12の表面には隆起部123ができ、表面段差H6が生じる。下地のメタル配線11の配線密度が疎な低密度領域111ではメタル配線11上の層間絶縁膜12の表面に隆起部121ができ、表面段差H5が生じる。
【0016】
次に、図2に示すように、層間絶縁膜12の表面をCMP処理にて研磨することで、層間絶縁膜12の隆起部121および隆起部123をなくして表面段差H5、H6をなくす。このように、CMP処理によって、メタル配線11上の表面段差H5、H6をなくすことにより、低密度領域111、高密度領域113の各領域内では、層間絶縁膜12の表面をそれぞれ平坦にすることができる。
【0017】
しかしながら、CMP処理後の層間絶縁膜12の膜厚は下地のメタル配線11の配線密度に強く依存する。配線密度が大きくなるほどCMP処理後の膜厚は厚くなる。これは、下地のメタル配線11の配線密度により層間絶縁膜12の表面の形状が変化し、下地のメタル配線11の配線密度が疎な低密度領域111ではメタル配線11上の層間絶縁膜12の表面にできる隆起部121は下地のメタル配線11の配線密度が蜜な高密度領域113の隆起部123よりも急峻な形状となり、隆起部121、123が急峻なほど、CMP研磨パッドからの圧力集中が起きやすくなり、その分研磨レートが大きくなるからである。
【0018】
従って、CMP法による研磨が完了した後は、メタル配線11上の層間絶縁膜12の隆起部121、隆起部123は消滅して、表面段差H5、H6はなくなっているものの、メタル配線11の配線密度に依存して研磨レートが変動するため、メタル配線11上の層間絶縁膜12の膜厚が、下地のメタル配線11の配線密度が疎な低密度領域111と、下地のメタル配線11の配線密度が蜜な高密度領域113とでは異なり、低密度領域111と、高密度領域113との間でグローバル段差H4が生じてしまう。
【0019】
グローバル段差を低減する手段として、図3に示すように、低密度領域111において、メタル配線11と同じ層内にダミー配線13を挿入する方法がある。下地のメタル配線11の配線密度が疎な低密度領域111において、ダミー配線13を追加することにより、配線密度を高めることができ、その結果、低密度領域111と、高密度領域113との間で生じるグローバル段差H1を小さくすることができるようになる。
【0020】
次に、本発明の好ましい実施の形態を、1枚の半導体基板、例えば1枚の半導体ウエハ、から複数のチップに形成された半導体装置を製造する場合を例にとって説明する。
【0021】
図4に示すように、複数のチップ51を1枚の半導体基板50、例えば1枚の半導体ウエハから製造する。各チップ51では、MOSFETやバイポーラトランジスタ等の素子(図示せず)が半導体基板に形成されている。図6に示すように、半導体基板50上に多層配線60が形成されている。多層配線60は、第1層目のメタル配線11と、第1層目のダミー配線13と、メタル配線11とダミー配線13とを覆って形成された第1層目の層間絶縁膜12と、第1層目の層間絶縁膜12上に形成された第2層目のメタル配線21および第2層目のダミー配線23と、メタル配線21とダミー配線23とを覆って形成された第2層目の層間絶縁膜22と、第2層目の層間絶縁膜22上に形成された第3層目のメタル配線31および第3層目のダミー配線33と、メタル配線31とダミー配線33とを覆って形成された第3層目の層間絶縁膜32と、第3層目の層間絶縁膜32上に形成された最上層のメタル配線41と、メタル配線41を覆って形成された絶縁膜42とを備えている。層間絶縁膜12、22、32は、各層の層間絶縁膜12、22、32を形成する毎にCMP法により研磨して平坦化している。
【0022】
次に、ダミー配線31、32、33の配置方法について説明する。
【0023】
再び、図4を参照すると、チップ51全域を複数の領域52に網目状に分割する。各領域52は、例えば、100μm×100μmの正方形である。
【0024】
領域52毎に、領域52の面積に対する領域52内のメタル配線11、21、31の占有面積の割合を、メタル配線11、21、31についてそれぞれ求める。なお、最上層のメタル配線41については求めない。
【0025】
次に、メタル配線11、21、31についてそれぞれ求めた占有面積の割合を、領域52毎に、メタル配線11、21、31について積算した積算割合をそれぞれ求める。
【0026】
次に、予め求めておいた領域52のメタル配線の積算割合の相対値と最上層のメタル配線41直下の層間絶縁膜32の上面の相対位置との関係より、各領域52の層間絶縁膜32の上面の相対位置関係を求める。
【0027】
次に、層間絶縁膜32の上面の位置が最も高い位置にある領域52に対して、層間絶縁膜32の上面の位置が予め決められた値より低い位置にある領域52を求める。次に、このようにして求められた領域52について、メタル配線11、21、31のうち、1以上のメタル配線にダミー配線を設ける。ダミー配線を設けることによって、層間絶縁膜32の上面の位置が最も高い位置にある領域52に対して、層間絶縁膜32の上面の位置が予め決められた値以上の位置にあるように、メタル配線11、21、31のうち、どのメタル配線にダミー配線を設けるか、幾つのメタル配線にダミー配線を設けるか、ダミー配線の配線密度をどうするか等について決定する。この場合には、ダミー配線の配置が半導体装置の特性に与える影響を考慮して、これらの事項を決定する。
【0028】
一方では、層間絶縁膜32の上面の位置が最も高い位置にある領域に対して、層間絶縁膜32の上面の位置が予め決められた値以上の高さの位置にある領域の複数層のメタル配線11、21、31の層にはダミー配線を設けない。
【0029】
図5に、上記のようにして求められた、ダミー配線配置前のチップ51内の領域52の配線密度の分布を示している。
【0030】
図5(A)に示すように、第1層目のメタル配線11は、配線密度が低い低密度領域111と、配線密度が中程度の中密度領域112と、配線密度が高い高密度領域113とを有している。
【0031】
図5(B)に示すように、第2層目のメタル配線21は、配線密度が低い低密度領域211と、配線密度が中程度の中密度領域212と、配線密度が高い高密度領域213とを有している。
【0032】
図5(C)に示すように、第3層目のメタル配線31は、配線密度が低い低密度領域311と、配線密度が中程度の中密度領域312と、配線密度が低い低密度領域313とを有している。
【0033】
第1層目の低密度領域111上には第2層目の低密度領域211が存在し、第2層目の低密度領域211上には第3層目の低密度領域311が存在しており、低密度領域111、低密度領域211および低密度領域311の配線密度の総和密度も低く、これらの領域111、211、311が存在するのは、総和密度が低い総和密度低領域511である。
【0034】
第1層目の中密度領域112上には第2層目の中密度領域212が存在し、第2層目の中密度領域212上には第3層目の中密度領域312が存在しており、中密度領域112、中密度領域212および中密度領域312の配線密度の総和密度は中程度であり、これらの領域112、212、312が存在するのは、総和密度が中程度の総和密度中領域512である。
【0035】
第1層目の高密度領域113上には第2層目の高密度領域213が存在し、第2層目の高密度領域213上には第3層目の低密度領域313が存在しており、高密度領域113、高密度領域213および低密度領域313の配線密度の総和密度は大きく、これらの領域113、213、313が存在するのは、総和密度が高い総和密度高領域513である。
【0036】
予め求めておいた領域52のメタル配線の積算割合の相対値と最上層のメタル配線41直下の層間絶縁膜32の上面の相対位置との関係より、各領域52の層間絶縁膜32の上面の相対位置関係を求めた。
【0037】
本実施の形態では、層間絶縁膜32の上面の位置が最も高い位置にあるのは、総和密度高領域513であり、次に高い位置にあるのは、総和密度中領域512であり、一番低い位置にあるのは、総和密度中領域511であった。
【0038】
このようにして求められた層間絶縁膜32の上面の位置を比較すると、総和密度低領域511では、層間絶縁膜32の上面の位置が予め決められた値より低い位置(グローバル段差の許容度から判断される位置よりも低い位置)にあった。総和密度中領域512では、層間絶縁膜32の上面の位置が予め決められた値より高い位置(グローバル段差の許容度から判断される位置よりも高い位置)にあった。
【0039】
そこで、本実施の形態では、総和密度低領域511のみにダミー配線を設け、総和密度中領域512、総和密度高領域513にはダミー配線を設けないこととした。
【0040】
次に、ダミー配線の配置が半導体装置の特性に与える影響を考慮して、総和密度低領域511のどのメタル配線層にダミー配線を設けるか、幾つのメタル配線層にダミー配線を設けるか、ダミー配線の配線密度をどうするか等について決定した。本実施の形態では、第1層目の低密度領域111、第2層目の低密度領域211、第3層目の低密度領域311の全てに、ダミー配線を設けた。
【0041】
再び、図6を参照すると、図6には、本実施の形態の半導体装置100の総和密度低領域511と、総和密度高領域513の概略縦断面が示されている。
【0042】
総和密度低領域511については、第1層目の低密度領域111にはダミー配線13、第2層目の低密度領域211にはダミー配線23、第3層目の低密度領域311にはダミー配線33がそれぞれ設けられている。
【0043】
総和密度高領域513については、第1層目の高密度領域113、第2層目の高密度領域213にはダミー配線を設けないのは当然のことであるが、第3層目の低密度領域313にもダミー配線を設けていない。
【0044】
上記のようにして、ダミー配線を配置したので、第1層目の層間絶縁膜12では、グローバル段差H1が生じ、第2層目の層間絶縁膜22では、グローバル段差H1の約2倍程度のグローバル段差H2が生じたが、第3層目の層間絶縁膜32では、グローバル段差H3は殆ど生じなかった。
【0045】
図7は、ダミー配線を設けるにつき、メタル配線11、21、31のそれぞれの層における配線密度のみを考慮した場合の半導体装置200の概略縦断面を示している。
【0046】
この場合には、第1層目の低密度領域111、第2層目の低密度領域211、第3層目の低密度領域311は全て配線密度が低い領域なので、第1層目の低密度領域111にはダミー配線13、第2層目の低密度領域211にはダミー配線23、第3層目の低密度領域311にはダミー配線331がそれぞれ設けられている。
【0047】
また、第1層目の高密度領域113、第2層目の低密度領域213は配線密度が高い領域なので、ダミー配線は設けていないが、第3層目の低密度領域313は配線密度が低い領域なので、第3層目の低密度領域313にはダミー配線332が設けられている。
【0048】
上記のようにして、ダミー配線を配置したので、第1層目の層間絶縁膜12では、グローバル段差H1が生じ、第2層目の層間絶縁膜22では、グローバル段差H1の約2倍程度のグローバル段差H2が生じ、第3層目の層間絶縁膜32では、ダミー配線332を設けた結果、グローバル段差H2と同程度のグローバル段差H3が生じてしまった。
【0049】
上記本実施の形態では、ダミー配線の寸法に限定は特にないが、例えば、ダミー配線の13、23、33の寸法が2μm×2μmであり、ダミー配線間の間隔を2μmとすることができる。
【0050】
また、上記実施の形態ではチップ51を100μm×100μmの領域52に分割しているが、この値に限定するものではない。
【符号の説明】
【0051】
11 第1層目のメタル配線
12 第1層目の層間絶縁膜
13 第1層目のダミー配線
21 第2層目のメタル配線
22 第2層目の層間絶縁膜
23 第2層目のダミー配線
31 第3層目のメタル配線
32 第3層目の層間絶縁膜
33、331、332 第3層目のダミー配線
41 第4層目のメタル配線
42 絶縁膜
50 半導体基板
51 チップ
52 領域
60 多層配線
100、200 半導体装置
111 第1層目の低密度領域
112 第1層目の中密度領域
113 第1層目の高密度領域
121、123 隆起部
211 第2層目の低密度領域
212 第2層目の中密度領域
213 第2層目の高密度領域
311 第3層目の低密度領域
312 第3層目の中密度領域
313 第3層目の低密度領域
511 総和密度低領域
512 総和密度中領域
513 総和密度高領域
H1、H2、H3 H4 グローバル段差
H5、H6 表面段差

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数層のメタル配線と複数層の層間絶縁膜とが1層ずつ交互に積層された多層配線であって、前記複数層の層間絶縁膜の各層の層間絶縁膜が、前記各層の層間絶縁膜を形成する毎に研磨して平坦化された層間絶縁膜である前記多層配線のダミー配線配置方法であって、
前記多層配線を前記複数層のメタル配線と前記複数層の層間絶縁膜の積層方向と交差する平面内で複数の領域に分割し、前記複数の領域の各領域毎に、前記各領域の面積に対する前記各領域内の前記メタル配線の占有面積の割合を、前記複数層のメタル配線のうち、最上層のメタル配線以外の各層のメタル配線についてそれぞれ求め、
求めた前記割合を、前記複数の領域の各領域毎に、前記最上層のメタル配線以外の前記複数層のメタル配線について積算した積算割合をそれぞれ求め、
前記複数の領域の積算割合を用いて、予め求めておいた前記複数の領域のメタル配線の積算割合の相対値と前記最上層のメタル配線直下の前記層間絶縁膜の上面の前記積層方向の相対位置との関係より、前記複数の領域間の前記最上層のメタル配線直下の前記層間絶縁膜の上面の前記積層方向の相対位置関係を求め、
前記最上層のメタル配線直下の前記層間絶縁膜の上面の位置が最も高い位置にある領域に対して、前記最上層のメタル配線直下の前記層間絶縁膜の上面の位置が前記予め決められた値以上の高さの位置にある領域の前記複数層のメタル配線の層にはダミー配線を配置せず、前記最上層のメタル配線直下の前記層間絶縁膜の上面の位置が最も高い位置にある領域に対して、前記最上層のメタル配線直下の前記層間絶縁膜の上面の位置が予め決められた値より低い位置にある領域の前記複数層のメタル配線のうち、少なくとも1つの層の前記メタル配線がある層にダミー配線を配置した、多層配線のダミー配線配置方法。
【請求項2】
前記最上層のメタル配線直下の前記層間絶縁膜の上面の位置が最も高い位置にある領域に対して、前記最上層のメタル配線直下の前記層間絶縁膜の上面の位置が前記予め決められた値以上の高さの位置にある領域においては、前記占有面積の割合が、下層の2層のメタル配線よりも上層のメタル配線の方が小さい場合に、前記下層の2層のメタル配線の層および前記上層のメタル配線の層に前記ダミー配線を配置しない、請求項1記載のダミー配線配置方法。
【請求項3】
半導体基板上に、複数層のメタル配線と複数層の層間絶縁膜とが1層ずつ交互に積層された多層配線であって、前記複数層の層間絶縁膜の各層の層間絶縁膜が、前記各層の層間絶縁膜を形成する毎に研磨して平坦化された層間絶縁膜である前記多層配線を備える半導体装置の製造方法であって、
前記多層配線を前記複数層のメタル配線と前記複数層の層間絶縁膜の積層方向と交差する平面内で複数の領域に分割し、前記複数の領域の各領域毎に、前記各領域の面積に対する前記各領域内の前記メタル配線の占有面積の割合を、前記複数層のメタル配線のうち、最上層のメタル配線以外の各層のメタル配線についてそれぞれ求め、
求めた前記割合を、前記複数の領域の各領域毎に、前記最上層のメタル配線以外の前記複数層のメタル配線について積算した積算割合をそれぞれ求め、
前記複数の領域の積算割合を用いて、予め求めておいた前記複数の領域のメタル配線の積算割合の相対値と前記最上層のメタル配線直下の前記層間絶縁膜の上面の前記積層方向の相対位置との関係より、前記複数の領域間の前記最上層のメタル配線直下の前記層間絶縁膜の上面の前記積層方向の相対位置関係を求め、
前記最上層のメタル配線直下の前記層間絶縁膜の上面の位置が最も高い位置にある領域に対して、前記最上層のメタル配線直下の前記層間絶縁膜の上面の位置が前記予め決められた値以上の高さの位置にある領域の前記複数層のメタル配線の層にはダミー配線を配置せず、前記最上層のメタル配線直下の前記層間絶縁膜の上面の位置が最も高い位置にある領域に対して、前記最上層のメタル配線直下の前記層間絶縁膜の上面の位置が予め決められた値より低い位置にある領域の前記複数層のメタル配線のうち、少なくとも1つの層の前記メタル配線がある層にダミー配線を配置するようにして前記多層配線を形成する工程を備える半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記最上層のメタル配線直下の前記層間絶縁膜の上面の位置が最も高い位置にある領域に対して、前記最上層のメタル配線直下の前記層間絶縁膜の上面の位置が前記予め決められた値以上の高さの位置にある領域においては、前記占有面積の割合が、下層の2層のメタル配線よりも上層のメタル配線の方が小さい場合に、前記下層の2層のメタル配線の層および前記上層のメタル配線の層に前記ダミー配線を配置しない、請求項3記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
複数層のメタル配線と複数層の層間絶縁膜とが1層ずつ交互に積層された多層配線であって、前記複数層の層間絶縁膜の各層の層間絶縁膜が、前記各層の層間絶縁膜を形成する毎に研磨して平坦化された層間絶縁膜である前記多層配線であって、
前記多層配線を前記複数層のメタル配線と前記複数層の層間絶縁膜の積層方向と交差する平面内で複数の領域に分割された前記複数の領域の各領域毎に、前記各領域の面積に対する前記各領域内の前記メタル配線の占有面積の割合を、前記複数層のメタル配線のうち、最上層のメタル配線以外の各層のメタル配線についてそれぞれ求め、
求めた前記割合を、前記複数の領域の各領域毎に、前記最上層のメタル配線以外の前記複数層のメタル配線について積算した積算割合をそれぞれ求め、
前記複数の領域の積算割合を用いて、予め求めておいた前記複数の領域のメタル配線の積算割合の相対値と前記最上層のメタル配線直下の前記層間絶縁膜の上面の前記積層方向の相対位置との関係より、前記複数の領域間の前記最上層のメタル配線直下の前記層間絶縁膜の上面の前記積層方向の相対位置関係を求め、
前記最上層のメタル配線直下の前記層間絶縁膜の上面の位置が最も高い位置にある領域に対して、前記最上層のメタル配線直下の前記層間絶縁膜の上面の位置が前記予め決められた値以上の高さの位置にある領域の前記複数層のメタル配線の層にはダミー配線を配置せず、前記最上層のメタル配線直下の前記層間絶縁膜の上面の位置が最も高い位置にある領域に対して、前記最上層のメタル配線直下の前記層間絶縁膜の上面の位置が予め決められた値より低い位置にある領域の前記複数層のメタル配線のうち、少なくとも1つの層の前記メタル配線がある層にダミー配線を配置した、多層配線。
【請求項6】
前記最上層のメタル配線直下の前記層間絶縁膜の上面の位置が最も高い位置にある領域に対して、前記最上層のメタル配線直下の前記層間絶縁膜の上面の位置が前記予め決められた値以上の高さの位置にある領域においては、前記占有面積の割合が、下層の2層のメタル配線よりも上層のメタル配線の方が小さい場合には、前記下層の2層のメタル配線の層および前記上層のメタル配線の層には前記ダミー配線が配置されていない、請求項5記載の多層配線。
【請求項7】
半導体基板上に、複数層のメタル配線と複数層の層間絶縁膜とが1層ずつ交互に積層された多層配線であって、前記複数層の層間絶縁膜の各層の層間絶縁膜が、前記各層の層間絶縁膜を形成する毎に研磨して平坦化された層間絶縁膜である前記多層配線を備える半導体装置であって、
前記多層配線を前記複数層のメタル配線と前記複数層の層間絶縁膜の積層方向と交差する平面内で複数の領域に分割された前記複数の領域の各領域毎に、前記各領域の面積に対する前記各領域内の前記メタル配線の占有面積の割合を、前記複数層のメタル配線のうち、最上層のメタル配線以外の各層のメタル配線についてそれぞれ求め、
求めた前記割合を、前記複数の領域の各領域毎に、前記最上層のメタル配線以外の前記複数層のメタル配線について積算した積算割合をそれぞれ求め、
前記複数の領域の積算割合を用いて、予め求めておいた前記複数の領域のメタル配線の積算割合の相対値と前記最上層のメタル配線直下の前記層間絶縁膜の上面の前記積層方向の相対位置との関係より、前記複数の領域間の前記最上層のメタル配線直下の前記層間絶縁膜の上面の前記積層方向の相対位置関係を求め、
前記最上層のメタル配線直下の前記層間絶縁膜の上面の位置が最も高い位置にある領域に対して、前記最上層のメタル配線直下の前記層間絶縁膜の上面の位置が前記予め決められた値以上の高さの位置にある領域の前記複数層のメタル配線の層にはダミー配線を配置せず、前記最上層のメタル配線直下の前記層間絶縁膜の上面の位置が最も高い位置にある領域に対して、前記最上層のメタル配線直下の前記層間絶縁膜の上面の位置が予め決められた値より低い位置にある領域の前記複数層のメタル配線のうち、少なくとも1つの層の前記メタル配線がある層にダミー配線を配置した前記多層配線を備える半導体装置。
【請求項8】
前記最上層のメタル配線直下の前記層間絶縁膜の上面の位置が最も高い位置にある領域に対して、前記最上層のメタル配線直下の前記層間絶縁膜の上面の位置が前記予め決められた値以上の高さの位置にある領域においては、前記占有面積の割合が、下層の2層のメタル配線よりも上層のメタル配線の方が小さい場合には、前記下層の2層のメタル配線の層および前記上層のメタル配線の層には前記ダミー配線が配置されていない、請求項7記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−3602(P2011−3602A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−143522(P2009−143522)
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【出願人】(308033711)OKIセミコンダクタ株式会社 (898)
【Fターム(参考)】