説明

多気筒エンジン

【課題】ターボチャージャを備える多気筒エンジンにおいて、排気対策および出力・燃費の向上を図るべく、広い運転領域において、ポンピングロスを抑えつつ、高過給・大量EGRを実現しえるようにする。
【解決手段】排気マニホールドを排気行程のオーバラップしない気筒群毎に分割する一方、これら排気マニホールド9a,9bの集合部下流をターボチャージャ6のタービン入口15へ向けて先細形状に絞る排気エゼクタ23a,23b、排気エゼクタの有効ノズル面積を変化させる可動ベーン30a,30b、を備える。可動ベーン30a,30bは、タービン入口15の有効面積およびスクロール部16への排気流入角度を増減させる手段の可動ベーンとして兼用可能に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ターボチャージャを備える多気筒エンジンにおいて、排気対策および出力・燃費の向上を図るべく、広い運転領域において、ポンピングロスの悪化を抑えつつ、高過給・大量EGRを実現するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンの出力・燃費の向上を促進するため、排気エネルギを利用して吸気を過給するターボチャージャがよく搭載される(特許文献1〜特許文献4)。ターボチャージャを備える多気筒エンジンにおいては、過給圧が排気圧よりも高くなる運転領域があるため、EGR(Exhaust Gas Recirculation)が十分に行えない。ターボチャージャにおいて、スクロール部の最狭断面積または可変ノズルベーンの開度を小さくすると、排気圧と同時に過給圧も上昇するため、EGR率の十分な向上が得られない(特許文献1〜特許文献3)。
【特許文献1】特開平10−008978号
【特許文献2】実開昭63−009427号
【特許文献3】特開平11−311124号
【特許文献4】特開2005−016313号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献2においては、タービン上流の排気マニホールドが排気行程のオーバラップしない気筒群毎に分割されるが、ターボチャージャがシングルエントリ方式(タービン入口が1つ)の場合、排気噴き出し中の気筒側の排気マニホールドから排気(押し出し)行程の気筒側の排気マニホールドへ排気パルスが逃げやすく、タービン効率およびEGR率の向上が有効に促進しえないのである(特許文献2)。特許文献4においては、タービンハウジングの入口部にパルスコンバータが設定され、排気パルスの逆流を抑えられるようになっているが、パルスコンバータの絞りが一定のため、設定が難しく、運転状態によっては、絞り部下流の排気圧が過大となり、出力・燃費を大きく損なう可能性も考えられる。
【0004】
この発明は、このような課題を解決するため、ターボチャージャを備える多気筒エンジンにおいて、排気対策および出力・燃費の向上を促進するべく、広い運転領域において、ポンピングロスを抑えつつ、高過給・大量EGRを実現しえる手段の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の発明は、ターボチャージャを備える多気筒エンジンにおいて、排気マニホールドを排気行程のオーバラップしない気筒群毎に分割する一方、これら排気マニホールドの集合部下流をターボチャージャのタービン入口へ向けて先細形状に絞る排気エゼクタ、排気エゼクタの有効ノズル面積を変化させる可動ベーン、を備えることを特徴とする。
【0006】
第2の発明は、第1の発明に係る多気筒エンジンにおいて、可動ベーンは、ターボチャージャのタービン入口の有効面積およびスクロール部への排気流入角度を増減させる可動ベーンとして兼用されることを特徴とする。
【0007】
第3の発明は、第1の発明に係る多気筒エンジンにおいて、可動ベーンは、排気エゼクタとタービン入口部との間を接続するスペーサに組み付けられることを特徴とする。
【0008】
第4の発明は、第3の発明に係る多気筒エンジンにおいて、スペーサは、排気エゼクタの各ノズル開口に対応する複数の接続路に隔壁を介して仕切られることを特徴とする。
【0009】
第5の発明は、第1の発明または第2の発明に係る多気筒エンジンにおいて、可動ベーンの開度を運転状態に基づいて制御する手段、を備えることを特徴とする。
【0010】
第6の発明は、第1の発明に係る多気筒エンジンにおいて、排気マニホールドと吸気マニホールドとの間を接続するEGR通路、EGR通路に介装される逆止弁、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
第1の発明においては、排気エゼクタの有効ノズル断面を変化させる可動ベーンを備えるので、広い運転領域において、排気エゼクタの最適な有効ノズル断面に設定することが可能となる。例えば、低速域においては、可動ベーンの開度を小さく、高速域においては、可動ベーンの開度を大きく調整することにより、低速域においても、高速域においても、排気エゼクタの最適な有効ノズル断面に設定しえるのである。排気エゼクタの最適な有効ノズル断面により、排気の流れが加速され、動圧が上がるため、排気噴き出し中の気筒側の排気マニホールドから排気(押し出し)行程の気筒側の排気マニホールドへ排気パルスが逃げるのを抑えられる。このため、ターボチャージャがシングルエントリ方式(タービン入口が1つ)の場合においても、気筒群毎の排気パルスが弱められることなくターボチャージャのタービンへ送り込まれ、タービン効率の向上が得られるばかりでなく、タービン上流からコンプレッサ下流へ排気の一部を環流するEGR装置を備える場合、EGRガスの排気パルスも弱められることなく還流され、EGR率を高めることが可能となる。また、排気エゼクタの最適な有効ノズル断面から吹き出るブローダウン流により、静圧が下がるため、排気(押し出し)行程中の気筒側の排気マニホールドから排気が吸引され、ポンピングロスを低減させることができる。排気エゼクタの最適な有効ノズル断面は、運転状態に応じて変化するが、可変ベーンを備えるので、排気エゼクタの最適な有効ノズル断面に設定することが可能となり、広い運転領域において、ポンピングロスを最小限に抑えつつ、高過給および大量EGRを行うことが可能となり、排気対策(NOx等の低減)と出力・燃費の向上との両立を実現できるのである。
【0012】
第2の発明においては、可動ベーンにより、広い運転領域において、タービン入口の最適な有効面積およびスクロール部への最適な排気流入角度に設定することが可能となる。例えば、低速域においては、可動ベーンの開度を小さく、高速域においては、可動ベーンの開度を大きく調整することにより、タービン入口の最適な有効面積およびスクロール部への最適な排気流入角度に設定しえるのである。可動ベーンの開度が小さくなると、タービン入口の有効面積が小さくなり、スクロール部への流入角度が大きくなり、スクロール部の旋回外側(または旋回内側)を流れる排気の流速が増加する一方、可動ベーンの開度が大きくなると、タービン入口の有効面積が大きくなり、スクロール部への流入角度が小さくなり、スクロール部の旋回内側(または旋回外側)へ排気の流れが拡がり、流速が低下するようになる。可動ベーンは、排気エゼクタの可動ベーンと兼用(共用)されるので、大量EGR時(特に低速高負荷域)においても、高過給となり、吸気流量を十分に確保しえるため、燃焼状態が改善され、NOxおよびPM(パテキュレート)を同時に低減することも可能となる。可動ベーンの兼用により、部品数が抑えられ、コストの低下が図れる。ターボチャージャについても、可動ベーンにより、可変容量型となるので、多数の可動ノズルベーンを備える可変ノズル式ターボチャージャに較べると、構成が簡素であり、コスト的に有利となる。
【0013】
第3の発明においては、スペーサと共に可動ベーンを簡単かつ容易に組み付けられ、また交換も簡便に行えるようになる。
【0014】
第4の発明においては、隔壁により、排気エゼクタのノズル開口が延長される形になり、可動ベーンの開度により、排気エゼクタの有効ノズル面積を適確に変化させやすくなる。
【0015】
第5の発明においては、可動ベーンを運転状態に応じた最適な開度に制御することができる。例えば、運転状態を代表するエンジン回転数およびエンジン負荷に基づいて制御することにより、低速高負荷域においても、ポンピングロスを最小限に抑えつつ、高過給および大量EGRを行うことが可能となる。
【0016】
第6の発明においては、逆止弁により、EGRガスの逆流が阻止され、排気エゼクタの作用により、逆止弁前後の差圧が拡大するため、EGR率を有効に高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1において、2は多気筒エンジン1(6気筒ディーゼルエンジン)の吸気通路であり、吸気マニホールド3a,3bと吸気管4とから構成される。吸気マニホールド3a、3bは、吸気行程が実質的にオーバラップしない気筒群毎(#1,2,3と#4,5,6)に分割される。吸気管4は、インタクーラ5の下流側が分岐され、各マニホールド3a,3bの集合部に接続される。6aはターボチャージャ6のコンプレッサであり、7はエアクリーナである。
【0018】
8はエンジン1の排気通路であり、排気マニホールド9a,9bと排気管10とから構成される。排気マニホールド9a,9bは、排気行程が実質的にオーバラップしない気筒群(#1,2,3と#4,5,6)毎に分割され、これらマニホールド9a,9bの集合部下流にターボチャージャ6のタービン6bを介して排気管10が接続される。ターボチャージャ6のコンプレッサ6aは、タービン6bの回転により駆動され、各気筒への吸気を過給する。ターボチャージャ6としては、タービン入口が1つ(シングルエントリ方式)のものが用いられる。7はマフラである。
【0019】
図2〜図3において、排気マニホールド9a,9bは、集合部下流が1つのフランジに結集され、タービン入口15へ向けて先細形状に絞るノズル部23a,23b(排気エゼクタ)に形成される。18はタービンハウジングであり、タービン入口15のフランジと排気マニホールド9a,9bのフランジとの間にスペーサ25が介装される。排気エゼクタ23a,23bの有効ノズル面積を可変とするため、スペーサ25の内部おいて、流路26が隔壁29により仕切られ、排気エゼクタ23a,23bの各ノズル開口をタービン入口15へストレートに延長するように形成され、各流路26a,26b(接続路)を開閉する可動ベーン30a,30bが備えられる。可動ベーン30a,30bは、タービン入口15の有効面積およびタービンホイール17を囲むスクロール部16への排気流入角度を増減する手段の可動ベーンとして兼用可能に配置される。31は可動ベーン30a,30bを揺動可能に支持する回転軸であり、スペーサ25の外部において、アクチュエータ34(例えば、電磁ソレノイド)の伸縮可能なロッド34aに回転軸31のレバー32が連結され、ロッド34aが伸縮すると、可動ベーン30a,30bが回転軸31と一体に揺動(開閉)するようになっている。
【0020】
ロッド34aが初期(縮み)位置の場合、可動ベーン30a,30bは、全開状態に保持される。ロッド34aが伸びると、可動ベーン30a,30bの開度が小さくなり、ロッド34aが縮むと、可動ベーン30a,30bの開度が大きくなる。タービンハウジング18の内部においては、可動ベーン30a,30bの開度が小さくなると、タービン入口15の有効面積が小さくなり、スクロール部16への流入角度が大きくなり、スクロール部16の旋回外側を排気が流れ、流速も増加する一方、可動ベーン30a,30bの開度が大きくなると、タービン入口15の有効面積が大きくなり、スクロール部16への流入角度が小さくなり、スクロール部16の旋回内側へ排気の流れが拡がり、流速も低下する(図4,図3、参照)。タービンハウジング18の上流においては、可動ベーン30a,30bの開度が小さくなると、排気エゼクタ23a,23bの有効ノズル面積が小さくなり、タービン入口15への排気の流れを加速させる一方、可動ベーン30a,30bの開度が大きくなると、排気エゼクタ23a,23bの有効ノズル面積が大きくなり、タービン入口15への排気の流速を低下させるのである。
【0021】
図1において、35はターボチャージャ6のタービン6b上流からターボチャージャ6のコンプレッサ6a下流へ排気の一部を環流させるEGR装置であり、排気マニホールド9a,9bと吸気マニホールド3a,3b(吸気管4の分岐路40a,40b)との間を同一の気筒群同士の関係に接続するEGR通路36a,36bが備えられる。EGR通路36a,36bにおいて、EGRガスを冷却するEGRクーラ37,EGR流量を調整するEGRバルブ38,EGRガスの逆流を規制する逆止弁39(リードバルブ)が介装される。逆止弁39は、EGR通路36a,36bの下流側に配置される。逆止弁39上流にEGRバルブ38、その上流にEGRクーラ37、が配置される。EGR通路36a,36bの接続が同一の気筒群同士のため、同一の気筒群に属する各気筒間において、排気行程と吸気行程がオーバラップするので、EGR率の向上を促進することができる。
【0022】
図8は、EGR率とノズル開口面積との関係、図9は、ポンピングロスとノズル開口面積との関係、を表すものであり、最適なノズル開度面積(EGR率の十分に高められる範囲において、ポンピングロスを最小限に抑えられるノズル開口面積)については、運転状態に応じて異なり、低速域側が小さく、高速域側が大きくなる。この場合、可動ベーン30a,30bを備えるので、例えば、低速域においては、可動ベーン30a,30bの開度を小さく、高速域においては、可動ベーン30a,30bの開度を大きく調整することにより、低速域においても、高速域においても、排気エゼクタ23a,23bの有効ノズル面積を最適に設定しえるのである。
【0023】
排気エゼクタ23a,23bの最適な有効ノズル面積により、排気の流れが加速され、動圧が上がるため、排気噴き出し中の気筒側の排気マニホールド9aまたは9bから排気パルスが排気(押し出し)行程の気筒側の排気マニホールド9bまたは9aへ逃げるのを抑えられる。このため、気筒群間の排気パルスが弱められることなくターボチャージャ6のタービン6bへ送り込まれ、タービン効率の向上が得られるばかりでなく、EGR通路36a,36bの逆止弁39へ排気パルスが弱められることなく伝えられ、逆止弁39を有効に作動させるため、EGR率を高めることができる。排気マニホールド圧は、排気噴き出し中の排気パルスの山P1が高くなり、EGR率の向上が十分に得られる(図13,図14、参照)。また、排気エゼクタ23a,23bの最適な有効ノズル面積により、ブローダウン流のエゼクタ作用を生じるため、排気(押し出し)行程中の山P2が低めになり、ポンピングロスが小さくなる(図13,図15、参照)。
【0024】
排気エゼクタ23a,23bの有効ノズル面積が最適値よりも大きい場合、ブローダウン流の動圧が小さく、排気噴き出し中の気筒側の排気マニホールド9aまたは9bから排気パルスが排気(押し出し)行程の気筒側の排気マニホールド9bまたは9aへ逃げるのを十分に抑えらきれず、かつ、ブローダウン流のエゼクタ作用も十分に得られない。そのため、排気マニホールド圧は、排気噴き出し中の排気パルスの山P1が低めになり、EGR率の向上が十分に得られない(図10,図11、参照)。また、排気(押し出し)行程中の山P2が高めになり、ポンピングロスが大きくなる(図10,図12、参照)。排気エゼクタ23a,23bの有効ノズル面積が最適値よりも小さい場合、排気マニホールド圧は、排気噴き出し中の排気パルスの山P1および排気(押し出し)行程中の山P2を含む全体が高くなり、EGR率の向上は十分に得られるものの、ポンピングロスが過大となってしまう(図16〜図18、参照)。
【0025】
図1において、50はEGR通路36a,36bのEGRバルブ38および排気エゼクタ23a,23bの可動ベーン30a,30bを制御するコントロールユニットであり、制御に必要な運転状態の検出手段として、エンジン回転数をフライホイール回転から検出するエンジン回転センサ51と、エンジン負荷をアクセル開度(ペダル操作量)から検出するエンジン負荷センサ52と、が備えられる。図5は、コントロールユニット50の制御内容を説明するフローチャートチャートであり、S1およびS2においては、エンジン回転数Nの検出値およびエンジン負荷L(アクセル開度)の検出値を読み込む。S3においては、エンジン回転数Nの検出値とエンジン負荷Lの検出値とから図7に基づいてEGRバルブの開度を制御する。S4においては、エンジン回転数Nの検出値とエンジン負荷Lの検出値とから図6に基づいて可動ベーンの開度を制御するのである。図6および図7は、可動ベーンおよびEGRバルブの制御特性を表すものであり、マップデータとしてコントロールユニット50のメモリに格納される。
【0026】
このような構成にすると、シングルエントリ方式のターボチャージャ6においても、排気エゼクタ23a,23bの最適な有効ノズル面積により、排気パルスの逆流が抑えられ、排気パルスが弱められることなくタービン6bへ伝えられ、タービン効率の向上が得られる。また、排気パルスの逆流が抑えられるので、EGR通路36a,36bの逆止弁39へ排気パルスが弱められることなく伝えられ、逆止弁39を有効に作動させるため、高いEGR率が得られるのである。また、ブローダウン流のエゼクタ作用により、排気(押し出し)行程中の気筒側の排気マニホール圧9bまたは9aが低下するため、ポンピングロスの改善も得られる(図13〜図15、参照)。
【0027】
この実施形態においては、可動ベーン30a,30bにより、低回転域においても、排気エゼクタ23a,23bの有効ノズル面積を最適に設定しえるため、ポンピングロスを小さく抑えつつ、高過給および大量EGRを行うことが可能となり、広い運転領域において、排気対策(NOx等の低減)と出力・燃費の向上との両立を実現できる。また、タービン入口15の有効面積およびスクロール部16への排気流入角度についても、可動ベーン30a,30bにより、運転状態に応じて最適な状態に制御され、大量EGR時(特に低速高負荷域)においても、吸気流量を十分に確保しえるため、燃焼状態が改善され、NOxおよびPM(パテキュレート)を同時に低減することも可能となる。
【0028】
可動ベーン30a,30bの兼用により、部品数が抑えられ、コストの低下が図れる。ターボチャージャ6についても、可動ベーン30a,30bにより、可変容量型となるので、多数の可動ノズルベーンを備える可変ノズル式ターボチャージャに較べると、構成が簡素であり、コスト的に有利となる。EGR通路36a,36bにおいては、EGRクーラ37の下流側にEGRバルブ38および逆止弁39(リードバルブ)を配置するので、これらバルブの耐久性も良好に確保される。
【0029】
図19,図20は、別の実施形態を表すものであり、スペーサ25Aは、隔壁29Aの下流側端面がベーン最小開度を規制する係止部24に形成され、隔壁29Aを挟む両側の通路を開閉する可動ベーン30が配置される。可動ベーン30は、流路26a,26b毎に別々のものでなく、両側の流路26a,36に掛かる1枚物に構成される。これにより、スペーサ25Aにおいて、可動ベーン30を簡単かつ容易に組み付けられ、コストの低下が図れるようになる。31は可動ベーン30の回転軸であり、スペーサ25Aの外部において、アクチュエータ44(例えば、ステッピングモータ)の回転軸44aに連結され、アクチュエータ44が駆動すると、可動ベーン30が回転軸31と一体に揺動(開閉)するようになっている。図20,図21において、図2〜図4と同一の部位に同一の符号を付け、重複説明は省略する。
【0030】
可動ベーン30a,30b(図2〜図4、参照)および可動ベーン30(図19,図20)の回転軸31については、図示の配置に限定されるものでなく、タービン入口の中心を挟む反対側(対称位置)に設定することも考えられる。その場合、タービンハウジングの内部においては、可動ベーン30,30a,30bの開度が小さくなると、タービン入口15の有効面積が小さくなり、スクロール部16への流入角度が大きくなり、スクロール部の旋回内側を流れる排気の流速が増加する一方、可動ベーンの開度が大きくなると、タービン入口の有効面積が大きくなり、スクロール部への流入角度が小さくなり、スクロール部の旋回外側へ排気の流れが拡がり、流速が低下するようになる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】この発明の実施形態を係る全体的な概略構成図である。
【図2】排気エゼクタの構成を説明する断面図である。
【図3】同じく図2のX−X断面図である。
【図4】排気エゼクタの構成を説明する断面図である。
【図5】コントロールユニットの制御内容を説明するフローチャートである。
【図6】コントロールユニットの制御内容を説明する特性図である。
【図7】コントロールユニットの制御内容を説明する特性図である。
【図8】運転域とノズル開口面積とEGR率との関係を例示する特性図である。
【図9】運転域とノズル開口面積とポンプ損失との関係を例示する特性図である。
【図10】吸排気脈動のシミュレーション結果を例示する特性図である。
【図11】EGR流量のシミュレーション結果を例示する特性図である。
【図12】筒内圧のシミュレーション結果を例示する特性図である。
【図13】吸排気脈動のシミュレーション結果を例示する特性図である。
【図14】EGR流量のシミュレーション結果を例示する特性図である。
【図15】筒内圧のシミュレーション結果を例示する特性図である。
【図16】吸排気脈動のシミュレーション結果を例示する特性図である。
【図17】EGR流量のシミュレーション結果を例示する特性図である。
【図18】筒内圧のシミュレーション結果を例示する特性図である。
【図19】排気エゼクタの構成を説明する断面図である。
【図20】同じく図19のY−Y矢視図である。
【符号の説明】
【0032】
1 多気筒エンジン(6気筒ディーゼルエンジン)
2 吸気通路
3a,3b 吸気マニホールド
5 インタクーラ
6 ターボチャージャ(可変ノズル式ターボチャージャ)
6a コンプレッサ
6b タービン
8 排気通路
9a,9b 排気マニホールド
15 ターボ入口
16 スクロール部
17 タービンホイール
18 タービンハウジング
23a,23b 排気エゼクタ
25,25A スペーサ
26a,26b 接続路(流路)
29,29A 隔壁
30,30a.30b 可動ベーン
34,44 可動ベーンのアクチュエータ
35 EGR装置
36a,36b EGR通路
37 EGRクーラ
38 EGRバルブ
39 逆止弁(リードバルブ)
50 コントロールユニット
51 エンジン回転センサ
52 エンジン負荷センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターボチャージャを備える多気筒エンジンにおいて、排気マニホールドを排気行程のオーバラップしない気筒群毎に分割する一方、これら排気マニホールドの集合部下流をターボチャージャのタービン入口へ向けて先細形状に絞る排気エゼクタ、排気エゼクタの有効ノズル面積を変化させる可動ベーン、を備えることを特徴とする多気筒エンジン。
【請求項2】
可動ベーンは、ターボチャージャのタービン入口の有効面積およびスクロール部への排気流入角度を増減させる可動ベーンとして兼用されることを特徴とする請求項1に記載の多気筒エンジン。
【請求項3】
可動ベーンは、排気エゼクタとタービン入口との間を接続するスペーサに組み付けられることを特徴とする請求項1に記載の多気筒エンジン。
【請求項4】
スペーサは、排気エゼクタの各ノズル開口に対応する複数の接続路に隔壁を介して仕切られることを特徴とする請求項3に記載の多気筒エンジン。
【請求項5】
可動ベーンの開度を運転状態に基づいて制御する手段、を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の多気筒エンジン。
【請求項6】
排気マニホールドと吸気マニホールドとの間を接続するEGR通路、EGR通路に介装される逆止弁、を備えることを特徴とする請求項1に記載の多気筒エンジン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2007−231906(P2007−231906A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−57732(P2006−57732)
【出願日】平成18年3月3日(2006.3.3)
【出願人】(000003908)日産ディーゼル工業株式会社 (1,028)
【Fターム(参考)】