説明

安息香酸エステル化合物、組成物、これらに関する使用及び方法

式(I)の安息香酸エステル化合物(R及びR〜Rの意味は明細書に説明されている)、これらの製造方法、並びに、紫外線吸収剤の光化学的前駆体の性質に基づくサンスクリーンとしての、化粧品、医薬、パーソナルケア及び産業用製剤におけるこれらの使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線吸収剤の光化学的前駆体、特に安息香酸エステル化合物を対象とする。
【背景技術】
【0002】
太陽の目に見えない光線である紫外線A(UVA、320〜400nm)及び紫外線B(UVB、290〜320nm)への過剰暴露は皮膚に障害を引き起こし得る。この障害は即時的で長期に及ぶ可能性があり、日焼け、発疹、並びに細胞及び組織の障害から、早すぎる皺及び皮膚癌にまで渡る影響があり得る。特に命にかかわる皮膚癌の形の1つである悪性黒色腫は、肌を黒くすることが益々好まれるようになったので、ここ数十年増加している。同じ時期に渡って、科学者達は、太陽の紫外線(UV)放射から地上の生命を防護している薄いオゾン層がなくなりつつあることを警告し続けている。このためにより多くのUV放射が通り抜けられるようになり、過度に曝される危険が増している。事実、しばしば加齢と同一視されている皮膚の変化の多くは、実際には、日光を浴びすぎることによる障害の結果である。
【0003】
サンスクリーンはUV放射から皮膚を防護する何らかの物質又は材料である。サンスクリーンは、皮膚に付けることができる局所適用のローション、クリーム、軟膏(ointment)、ゲル、又はスプレー;唇、鼻及び瞼に付けることができる軟膏(salve)又はスティック;皮膚に当てて擦ることができるウェットティッシュ;目を防護するサングラス;及び、車、部屋、又はオフィスの窓に貼ることができる遮蔽フィルムの形態で入手できる。
【0004】
サンスクリーンは日焼けを防ぐのに役立ち、早すぎる皮膚の加齢及び皮膚癌のような有害な日光の影響を減らす。しかし、それらが本当にどれだけ防護しているかは、議論のある問題である。長年、専門家達はUVBだけが有害であると考えていた。しかし、最近の研究は、UVAは、その影響が現れるのにより長くかかるかもしれないが、UVBと全く同様に危険であり得ることを示唆している。特に、UVAは黒色腫を引き起こすのに、ある役割を果たし得る。ほとんどのサンスクリーン製品は、UVB光線だけを適切に防護する成分を含んでいる。「広いスペクトル」のサンスクリーンと表示された製品でさえ、UVA放射に対しては部分的に防護するにすぎないことがある。成分としてアボベンゾン(4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン)を含む製品は、UVA光線に対して最もよく防護する。
【0005】
サンスクリーンは、日光に曝される前、30分から2時間の間に付けられるべきである。一般に、それらは、水中にいるか又はひどく汗をかく時には80分間毎に、或いは、水の外にいて2時間経過する毎に、再び付けられるべきである。
【0006】
UVB(290〜320nm)は、地表に届く最も紅斑生成性(erythemogenic)の太陽放射である。それは動物研究における強力な皮膚の造癌因でもある。紫外線防止指数(Sun Protection Factor、SPF)は、UVBによる誘発される紅斑に対する防護の度合いを示す。米国食品医薬品局(FDA)はサンスクリーン製品を市販薬として規制している。サンスクリーン一般市販薬製品最終モノグラフ(The Final Over−the−Counter Drug Products Monograph on Sunscreens)(連邦政府官報(Federal Register)1999:64:27666−27963)は、これらの製品の安全、効能、及び表示の条件を確立した。SPFは、製品の2mg/cmを付けた後の防護された皮膚に1最小紅斑量(minimal erythema dose、MED)を生じるのに必要とされる紫外線放射(Ultraviolet radiation、UVR)線量を、防護されていない皮膚に1MEDを生じるのに必要とされるUVRによって割ったものと定義されている。
【0007】
全てのサンスクリーンはラベルにSPFが表示されている。SPFは、最少の発赤(redness)(紅斑)が現れる前にサンスクリーンで防護された皮膚をUV光線に曝すことができる時間の長さを、防護されていない皮膚で要する時間の長さに比較して表す。別の言い方をすると、日焼けする前に、どれだけ長く皮膚を日光に曝すことができるかを示す。例えば、サンスクリーンなしで、人が、日光を浴びて、20分以内に日焼けするとする。SPF15のサンスクリーンを付けると、その人は、日焼けする前に日光の下に300分間まで、すなわち、防護をしていない場合より15倍長く留まれると推定される。
【0008】
15を超えるSPF値を有するサンスクリーンは、色白である、高緯度に暮らしている、日中の多くを屋外で働くか又は遊ぶ、或いはひどく汗をかく人々にとって、よりよく機能し得る。水泳及び発汗は、耐水性の製品でさえ、多くのサンスクリーンの実際のSPF値を低下させるので、製品をたびたび付けると都合がよい。
【0009】
表1は広く使用されている適切なサンスクリーン化合物のいくつかを示している。
【表1】

【0010】
アボベンゾン(4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、Parsol 1789、米国特許第4387089号)は、UVA Iを含めて、UVA領域の大部分に渡る優れた防護を与える。真に広いスペクトルに渡るUV防護のためのサンスクリーン製品にとって意味のある添加かもしれないが、アボベンゾンの光安定性、及びそれが使用されている製品の別のサンスクリーン成分を分解させるその可能性に関して懸念が提起されている。
【0011】
ジオキシベンゾン(2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、米国特許第2853521号)は、ポリマー及びコーティング剤のためのUV吸収剤として主に使用されている。ジオキシベンゾンはポリエステルフィルムの安定剤として用いられている。ジオキシベンゾンはUVB及びいくらかのUVA光に対して有効である。
【0012】
オキシベンゾン(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、米国特許第2773903号、米国特許第2861104号、米国特許第2861105号及び米国特許第3073866号)は、UVA II全体に渡ってよく吸収し、広いスペクトルの吸収剤と見なすことができる。オキシベンゾンは所定の配合に使用された時にUVBからの防護を相当に向上させる。
【0013】
スリソベンゾン(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシベンゼンスルホン酸、GB1136525)は、UVB領域を超えてUVA領域まで適用範囲を広げ、広いスペクトルのサンスクリーン製剤を得る助けとなる。
【0014】
アミノ置換ヒドロキシベンゾフェノンが、化粧品組成物、及び皮膚科学に基づく組成物に用いられる光安定性UVフィルターとして開示されている(米国特許第6409995号)。
【0015】
化学的サンスクリーンは、フィルターとして働き、高エネルギーUVを吸収し反射することによって、表皮をUV放射が通り抜けることを「妨げる」。サンスクリーン分子は高エネルギーUV光子を吸収し、より高いエネルギー状態へ電子構造を移行させる。この電子エネルギーは、分子内で振動及び回転のエネルギーに変換されることによって散逸し、最終的には、熱として分子の周囲に移動する。
【0016】
FDAは、高SPF配合物を引き続き表示することに反対する立場を取り、最大のSPFは、活性成分の濃度増加による付加的なコスト及び危険のために、30を超えるべきでないと提言している。この提言は、偶発的な皮膚のアレルギー、光毒性、及び光アレルギー反応の予想される発生以外に、高SPFサンスクリーン配合物を用いることによる害についての公開された証拠がほとんどないという事実にもかかわらず、なされている。
【0017】
実際に、高SPF配合物(>30SPF)が、危険の高い人にとって、特に、日光への暴露が甚だしいと予想される場合に、最善の選択であり得るいくつかの理由がある。擦ること、発汗、及び水に浸かることにより、全てのサンスクリーンの効果は減少し、耐水性又は耐発汗性配合物とされている場合でさえ、頻繁に繰り返し製品を付ける必要がある。擦ること又は洗うことによる製品の脱離に関連しない、長時間暴露の障害作用を増大させる別の要因は、SPF効果の時間に依存する減少である。毛のないマウスモデルでの実験によって、サンスクリーンを付けた後の最初の数時間以内に起こる、測定SPF値の相当な減少が見出された。ヒトでの研究は、SPF25のサンスクリーンを1回付けることは、紅斑を防止するには、しばしば不適切であること、及び、たった1日の日光への暴露によってさえ、紅斑を完全に抑制するには、複数回付けることが必要であることを立証している。
【0018】
繰り返し付けたとしても、完全には補うことができない最後の要因は、複数日に渡るUVへの暴露の影響である。複数日に渡る日光への相当な暴露(例えば、土曜日及び日曜日の全ての終日)は、2日目の暴露でのUV障害に対する皮膚の感受性を増大させる。これは、サンスクリーンが、1日目の暴露で、等級付けされたSPFによって予想される通り、紅斑を防止するように機能するとしても、暴露2日目及びそれに続く日々では、感受性の高まりが、SPFの推定にだけ基づいては予想されなかったと思われる、紅斑の発生に導き得るということを意味する。このような事例では、SPF>30のサンスクリーンは、特に障害を受け易い人における、UV障害からの相当に良好な防護を提供し得る。
【0019】
より大きなSPFのサンスクリーン製品は、最大濃度で組み合わせて使用される複数の別個のサンスクリーン剤(相互作用することがある)を使用するようになった。
【0020】
サンスクリーンの効能を評価する基準として紅斑に現在重点が置かれているために、紅斑の防止はまた、日光からの防護の唯一の重要な目標であるという仮定に、また結局は、30SPFを超える効能のサンスクリーンに反対するFDAの立場に導かれたかもしれない。この仮定は、かなりのUV誘発障害が、それと分かるUV誘発発赤の前に起こるという実験的証拠を無視している。UV障害の目安として日焼けした細胞を用いるヒトでの研究は、皮膚における相当な準紅斑(sub−erythemal)DNA障害の存在と、その防止における高SPFサンスクリーンの価値を支持している。
【0021】
SPF試験は自然の日光により生じる紅斑に対する防護を評価するように考案されており、したがって、日光から受けるUVAの量によっては重大な紅斑は生成しないので、SPF試験はUVBに対する防護の度合いを主に示している。UVA放射に対する防護のために、FDAによって承認されている唯一の成分はアボベンゾンである。しかし、ある製品が、290〜320nmの間のUVを吸収する成分を含んでいる場合、その製品は広いスペクトルのサンスクリーン(その製品によりUVB及び短い波長のUVA放射の両方に対して防護されることを意味する)と表示できる。
【0022】
サンスクリーンに対する不都合な反応には、接触アレルギー反応、接触時の光反応(photocontact reaction)、及び皮膚の乾燥又は突っ張り(tightening)のような皮膚の問題が含まれる。他の副作用、すなわち、アクネ、灼熱感、痒み、又は皮膚の刺すような痛み、皮膚の発赤又は膨潤、発疹(染み出し、かさぶたになる水疱を伴うか又は伴わないもの)、身体の毛髪のある部分の疼痛及び毛包の膿は稀であるが、起こり得る。
【0023】
光安定性は、照射により損なわれないままでいる分子の能力を表す。全てのUVフィルターはUVR吸収分子としてわざわざ選択されているので、光安定性の悪さは、潜在的に、全てのUVフィルターに伴う問題である。この問題点は特にアボベンゾンについ提起されており、照射し同時に透過率をin situで測定する、特にin vitro系において、光分解が実証された。この分子の光安定性はまた、使用される溶媒又はビヒクルにも依存する。
【0024】
他覚赤斑のない灼熱感又は刺すような痛みに伴う自覚刺激は、サンスクリーンによる最も一般的な感じ得る苦痛の原因である。この刺激は目の部分において最も頻繁に認められる。しかし、持続的で刺激のある他覚接触皮膚炎は、より一般的な副作用である。接触アレルギーを引き起こすと報告されている実質的に全てのサンスクリーン成分は、フォトアレルゲン(photoallergen)であり得る。サンスクリーン活性成分が接触時光アレルギー反応の主な原因となったように思われる。すでに湿疹状態にある人は、皮膚バリアーの損傷に伴う鋭敏化へのかなりの傾向を有する。さらに、特定の抗生物質、避妊ピル、利尿剤、抗ヒスタミン剤、及び抗うつ剤は、日光に対する感受性を増大させ得る、広く使用されている薬剤に含まれる。
【0025】
2時間の耐水性という品質説明は、サンスクリーンが、水中において2時間後でさえ、その完全なSPFによる防護を保持するはずであることを意味する。耐水性であっても、サンスクリーンは、如何なるウォータースポーツの後でも、再び付けられなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
したがって、副作用の危険が少なく、光安定性が増し、皮膚上での持続性が向上した新しいサンスクリーン化合物を発見することが望ましい。本発明は、よりよくUVから防護する別のサンスクリーン化合物にin situで光化学的に変換されることが可能で、それ自体紫外線吸収性を有する安息香酸エステル化合物を含む組成物の有効量により、ヒト又は動物の生体を処理することを含む、ヒト又は動物の生体を紫外線放射から防護する方法を提供する。また、本発明は、よりよくUVから防護する別のサンスクリーン化合物にin situで光化学的に変換されることが可能で、それ自体紫外線吸収性を有する安息香酸エステル化合物を含む組成物の有効量により、物質を処理することを含む、紫外線放射から物質を防護する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明は、式(I)の安息香酸エステル化合物又は薬学的に許容されるこの塩の少なくとも1種の有効量を含む組成物により、ヒト又は動物の生体或いは物質を処理することを含む、ヒト又は動物の生体或いは物質を紫外線放射から防護する方法に関する。
【化1】


式中、R〜Rは、水素、C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C−アルコキシ、C〜C−シクロアルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、C〜C−アルキルアミノ、C〜C−ジアルキルアミノ(前記ジアルキルアミノの前記2つのアルキル部分は、それらが結合している窒素原子と一緒に、C〜C−アルキル若しくはC〜C−シクロアルキルによって任意選択でN−置換されている、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン及びピペラジンから選択される複素環を形成していてもよい)、C〜C−シクロアルキルアミノ、C〜C−アルキル−C〜C−シクロアルキルアミノ及びC〜C−ジシクロアルキルアミノから独立に選択されるか、或いは、隣接する環内炭素上の2つの基は、縮合したO−(CH−O基(mは1若しくは2である)を形成しているか、又は、隣接する環内炭素上の2つの基は、縮合したCH=CH−CH=CH基を形成しており;
Rは、(i)、(ii)及び(iii)から選択される基であり;
【化2】


式中、R’は、水素、C〜C−アルキル及びC〜C−シクロアルキルから選択され;
〜R10は、水素、C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C−アルコキシ、C〜C−シクロアルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、C〜C−アルキルアミノ、C〜C−ジアルキルアミノ(前記ジアルキルアミノの前記2つのアルキル部分は、それらが結合している窒素原子と一緒に、C〜C−アルキル若しくはC〜C−シクロアルキルによって任意選択でN−置換されている、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン及びピペラジンから選択される複素環を形成していてもよい)、C〜C−シクロアルキルアミノ、C〜C−アルキル−C〜C−シクロアルキルアミノ及びC〜C−ジシクロアルキルアミノから独立に選択されるか、或いは、隣接する環内炭素上の2つの基は、縮合したO−(CH−O基(nは1若しくは2である)を形成しているか、又は、隣接する環内炭素上の2つの基は、縮合したCH=CH−CH=CH基を形成しており;
11は、水素、C〜C−アルキル及びC〜C−シクロアルキルから選択され;
12は、水素、C〜C−アルキル及びC〜C−シクロアルキルから選択され;
13及びR14は、水素、C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C−アルコキシ、C〜C−シクロアルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、C〜C−アルキルアミノ、C〜C−ジアルキルアミノ(前記ジアルキルアミノの前記2つのアルキル部分は、それらが結合している窒素原子と一緒に、C〜C−アルキル若しくはC〜C−シクロアルキルによって任意選択でN−置換されている、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン及びピペラジンから選択される複素環を形成していてもよい)、C〜C−シクロアルキルアミノ、C〜C−アルキル−C〜C−シクロアルキルアミノ及びC〜C−ジシクロアルキルアミノから独立に選択され;
或いは、基OR12及びR14は、縮合したO−(CH−O基(pは1若しくは2である)を形成しており;また
15〜R18は、水素、C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C−アルコキシ、C〜C−シクロアルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、C〜C−アルキルアミノ、C〜C−ジアルキルアミノ(前記ジアルキルアミノの前記2つのアルキル部分は、それらが結合している窒素原子と一緒に、C〜C−アルキル若しくはC〜C−シクロアルキルによって任意選択でN−置換されている、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン及びピペラジンから選択される複素環を形成していてもよい)、C〜C−シクロアルキルアミノ、C〜C−アルキル−C〜C−シクロアルキルアミノ及びC〜C−ジシクロアルキルアミノから独立に選択されるか、或いは、隣接する環内炭素上の2つの基は、縮合したO−(CH−O基(qは1若しくは2である)を形成しているか、又は、隣接する環内炭素上の2つの基は、縮合したCH=CH−CH=CH基を形成している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
式(I)に含まれるいくつかの化合物はこれまで文献に記載されていない。したがって、本発明は、式(Ia)の新しい安息香酸エステル化合物又はその薬学的に許容される塩に関する。
【化3】


式中、Rは(i)、(ii)及び(iii)から選択される基であり;
【化4】


式中、R〜Rは、水素、C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C−アルコキシ、C〜C−シクロアルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、C〜C−アルキルアミノ、C〜C−ジアルキルアミノ(前記ジアルキルアミノの前記2つのアルキル部分は、それらが結合している窒素原子と一緒に、C〜C−アルキル若しくはC〜C−シクロアルキルによって任意選択でN−置換されている、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン及びピペラジンから選択される複素環を形成していてもよい)、C〜C−シクロアルキルアミノ、C〜C−アルキル−C〜C−シクロアルキルアミノ及びC〜C−ジシクロアルキルアミノから独立に選択されるか、或いは、隣接する環内炭素上の2つの基は、縮合したO−(CH−O基(mは1若しくは2である)を形成しているか、又は、隣接する環内炭素上の2つの基は、縮合したCH=CH−CH=CH基を形成しており;
R’は、水素であり;
〜R10は、水素、C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C−アルコキシ、C〜C−シクロアルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、C〜C−アルキルアミノ、C〜C−ジアルキルアミノ(前記ジアルキルアミノの前記2つのアルキル部分は、それらが結合している窒素原子と一緒に、C〜C−アルキル若しくはC〜C−シクロアルキルによって任意選択でN−置換されている、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン及びピペラジンから選択される複素環を形成していてもよい)、C〜C−シクロアルキルアミノ、C〜C−アルキル−C〜C−シクロアルキルアミノ及びC〜C−ジシクロアルキルアミノから独立に選択されるか、或いは、隣接する環内炭素上の2つの基は、縮合したO−(CH−O基(nは1若しくは2である)を形成しているか、又は、隣接する環内炭素上の2つの基は、縮合したCH=CH−CH=CH基を形成しており;
11は、水素、C〜C−アルキル及びC〜C−シクロアルキルから選択され;
12は、水素、C〜C−アルキル及びC〜C−シクロアルキルから選択され;
13及びR14は、水素、C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C−アルコキシ、C〜C−シクロアルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、C〜C−アルキルアミノ、C〜C−ジアルキルアミノ(前記ジアルキルアミノの前記2つのアルキル部分は、それらが結合している窒素原子と一緒にC〜C−アルキル若しくはC〜C−シクロアルキルによって任意選択でN−置換されている、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン及びピペラジンから選択される複素環を形成していてもよい)、C〜C−シクロアルキルアミノ、C〜C−アルキル−C〜C−シクロアルキルアミノ及びC〜C−ジシクロアルキルアミノから独立に選択され;
或いは、基OR12及びR14は、縮合したO−(CH−O基(pは1若しくは2である)を形成しており;
15は、1−ピロリジニル、1−ピペリジニル、4−モルホリニル、及び1(4)−ピペラジニル(C〜C−アルキル若しくはC〜C−シクロアルキルによって任意選択で4(1)−置換されている)から選択され;また
16〜R18は、水素、C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C−アルコキシ、C〜C−シクロアルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、C〜C−アルキルアミノ、C〜C−ジアルキルアミノ(前記ジアルキルアミノの前記2つのアルキル部分は、それらが結合している窒素原子と一緒に、C〜C−アルキル若しくはC〜C−シクロアルキルによって任意選択でN−置換されている、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン及びピペラジンから選択される複素環を形成していてもよい)、C〜C−シクロアルキルアミノ、C〜C−アルキル−C〜C−シクロアルキルアミノ及びC〜C−ジシクロアルキルアミノから独立に選択されるか、或いは、隣接する環内炭素上の2つの基は、縮合したO−(CH−O基(qは1若しくは2である)を形成しているか、又は、隣接する環内炭素上の2つの基は、縮合したCH=CH−CH=CH基を形成している;但し、
、R、及びR〜R10がそれぞれ水素である場合、Rは水素又はメトキシであることはできず;また
〜R、R及びR10がそれぞれ水素である場合、Rはメチルであることはできない。
【0029】
より好ましくは、本発明は式(Ia)の新しい安息香酸エステル化合物又は薬学的に許容されるこれらの塩に関し、これらの化合物においては、Rが(i)である場合、Rは、C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C−アルコキシ、C〜C−シクロアルコキシから独立に選択され、Rは、水素、C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C−アルコキシ、C〜C−シクロアルコキシから独立に選択され、R、R、R〜R、R及びR10は、それぞれ水素であり;Rが(ii)である場合、R〜R、R11、R13、及びR14は、それぞれ水素であり、R12は、C〜C−アルキル及びC〜C−シクロアルキルであり;Rが(iii)である場合、R15は、1−ピロリジニル、1−ピペリジニル、4−モルホリニル及び1(4)−ピペラジニル(C〜C−アルキル若しくはC〜C−シクロアルキルによって任意選択で4(1)−置換されている)から選択され、R16〜R18はそれぞれ水素である;但し、
、R、及びR〜R10がそれぞれ水素である場合、Rは水素又はメトキシであることはできず;また
〜R、R及びR10がそれぞれ水素である場合、Rはメチルであることはできない。
【0030】
本明細書では、「薬学的に許容される塩」という用語は、臭化水素酸、塩酸、リン酸、硝酸、硫酸、酢酸、アジピン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、クエン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、グルタミン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、1,5−ナフタレンジスルホン酸、シュウ酸、ピバル酸、プロピオン酸、p−トルエンスルホン酸、コハク酸、酒石酸などのような有機及び無機の酸から生成する任意の塩、或いは、金属が、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウムなどから選択される任意の金属塩、或いは、アンモニウム塩、或いは、2−アミノ−1−ブタノール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、ベンザチン、ベンジルジメチルアミン、クロロプロカイン、コリン、ジベンジルメチルアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンジアミン、ジメチルステアラミン、メグルミン、2−メチル−2−アミノ−1−プロパノール、モノアミングリコール類、モノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、モルホリン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、N,N−ジメチル−2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、N,N−ジメチルアニリン、プロカイン、ピリジン、キノリン、t−ブチル−ジメチルアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリヒドロキシメチルアミノメタン、トリイソプロパノールアミン、トリメチルアミンなどのような有機塩基から生成する任意の塩、及び、グリシン、リシン、アルギニン、タウリン、ヒスチジン、アラニン、バリン、システインなどのようなアミノ酸との塩を包含する。
【0031】
本発明の方法において使用される好ましい化合物を下に示す。
4−メトキシ安息香酸1−フェニルビニル;
4−tert−ブチル安息香酸1−(4−メトキシフェニル)−ビニル;
4−メトキシ安息香酸1−(4−tert−ブチルフェニル)−ビニル;
4−tert−ブチル安息香酸1−フェニルビニル;
4−ベンゾイルオキシ−2−メトキシベンゼンスルホン酸;
安息香酸3−ジエチルアミノフェニル;
安息香酸3−(1−ピロリジニル)フェニル;
安息香酸3−メトキシフェニル;
4−メトキシサリチル酸フェニル;及び
サリチル酸3−メトキシフェニル。
【0032】
本発明の新しく好ましい化合物を下に示す。
4−tert−ブチル安息香酸1−(4−メトキシフェニル)−ビニル;
4−メトキシ安息香酸1−(4−tert−ブチルフェニル)−ビニル;
4−tert−ブチル安息香酸1−フェニルビニル;
4−ベンゾイルオキシ−2−メトキシベンゼンスルホン酸;及び
安息香酸3−(1−ピロリジニル)フェニル。
【0033】
Rが(i)である場合の式(I)の化合物は、文献に開示されている非常に多様な方法によって得ることができる。スキーム1a〜1eに、これらの代表的合成例のいくつかを例示する。
【化5】


【化6】


【化7】


【化8】


【化9】

【0034】
Rが(ii)である場合の式(I)の化合物は、これまで文献には記載されておらず、したがって、本発明はこのグループの化合物自体に関する。
【0035】
Rが(iii)である場合の式(I)の化合物は市販されている、或いは、代わりに、有機化学の知られている方法によって得ることができる。
【0036】
本発明はまた、式(Ia)の化合物の調製方法に関する。Rが(i)である場合、この方法は、式(II)のアシルハライド(式中、R〜Rは上で定義された通りであり、Xはフッ素、塩素又は臭素からなる群から選択されるハロゲン原子であり、好ましくは塩素である)を、式(III)のシリルエノール(式中、R’及びR〜R10は上で定義された通りであり、R19〜R21は、C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル及びC−(CH−(rは1〜4である)から独立に選択されるか、或いは、2つの基が、ケイ素原子と一緒に、シロラン、シリラン及びシレパンから選択される環を形成していてもよい)と反応させることを含む(スキーム2a)。
【化10】

【0037】
前記反応は、塩化第二水銀、塩化第一銅及びこれらの混合物からなる群から選択される触媒の存在下で都合よく起こる。任意選択の溶媒は、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン、1−メチル−2−ピペリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなど、及びこれらの混合物から選択できる。好ましくは、溶媒は、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンである。
【0038】
式(III)の中間体シリルエノールは、標準的な化学的方法によって調製できる。しかし、式(III)の中間体シリルエノールのいくつかは、これまでに文献に記載されておらず、本発明に含められる。新しい中間体シリルエノールの代表的なものは、4−tert−ブチルアセトフェノントリメチルシリルエノールである。
【0039】
Rが(ii)である場合、前記方法は、式(IV)の安息香酸エステル(式中、R〜R及びR12〜R14は上で定義された通りである)をクロロスルホン酸と反応させ、その後、C〜C−アルキル−OH又はC〜C−シクロアルキル−OHによる任意選択のエステル化反応によって、対応するC〜C−アルキル又はC〜C−シクロアルキルスルホン酸エステル最終化合物を得ることを含む。別法として、この方法は、最初に、式(V)のフェノールをクロロスルホン酸によりスルホン化し、その後、酸中間体(VII)(式中、R〜Rは上で定義された通りである)によりエステル化することを含む。同様に、スルホン酸中間体(VI)を、C〜C−アルキル−OH又はC〜C−シクロアルキル−OHによりエステル化することによって、これの対応するC〜C−アルキル又はC〜C−シクロアルキルスルホン酸エステルを得て、これを、(VII)によりエステル化して、対応するC〜C−アルキル又はC〜C−シクロアルキルスルホン酸エステル最終化合物を得ることができる(スキーム2b)。
【化11】

【0040】
Rが(iii)である場合、前記方法は、式(II)のアシルハライド(式中、R〜Rは上で定義された通りであり、Xはフッ素、塩素又は臭素からなる群から選択されるハロゲン原子であり、好ましくは塩素である)を、式(VIII)のフェノール:
【化12】


(式中、R15〜R18は上で定義された通りである)
と反応させることを含む(スキーム2c)。
【化13】

【0041】
本発明はまた、紫外線吸収剤の光化学的前駆体としての、式(I)の安息香酸エステル化合物又はそれらの塩の使用に関する。
【0042】
本発明はまた、式(I)の安息香酸エステル化合物又はその塩の少なくとも1種を含む組成物に関する。
【0043】
本発明はまた、UVからの防護能力が向上したサンスクリーン化合物にin situで光化学的に変換されることが可能な式(I)の安息香酸エステル化合物又は許容されるその塩の少なくとも1種の有効量を含む化粧品組成物又は医薬組成物に関する。
【0044】
本発明はまた、UVからの防護能力が向上したサンスクリーン化合物にin situで光化学的に変換されることが可能な式(I)の安息香酸エステル化合物又は許容されるその塩の少なくとも1種の有効量を含む化粧品組成物又は医薬組成物により、ヒト又は動物の生体を紫外線放射から防護する方法に関する。
【0045】
本発明はまた、UVからの防護能力が向上したサンスクリーン化合物にin situで光化学的に変換されることが可能な式(I)の安息香酸エステル化合物又は許容されるそれらの塩の少なくとも1種の有効量を含む化粧品組成物又は医薬組成物により、ヒト又は動物の生体を紫外線放射から防護する方法に関し、ヒト又は動物の生体は人間である。
【0046】
このような組成物は、サンスクリーンの全重量に対して、典型的には、0.01から40wt%の範囲にある。より典型的には、この量は0.05wt%から25wt%の範囲内にある。式(I)の有機サンスクリーン化合物の量は、好ましくは、サンスクリーン配合物の約0.1wt%から約15wt%の範囲にある。
【0047】
これらのサンスクリーン配合物は、UVB又はUVA線のフィルターとなるさらなる有機サンスクリーン剤の1種又はそれ以上を含むことができる、或いは、それらは、二酸化チタン又は酸化亜鉛のような、金属酸化物サンスクリーン剤の1種又はそれ以上をさらに含んでいてもよい。
【0048】
これらのサンスクリーン配合物は、担体と、分散剤、保存剤、消泡剤、香料、芳香剤、オイル、ワックス、プロペラント、染料、顔料、乳化剤、界面活性剤、増粘剤、保湿剤、エクスフォリアント及びエモリエントからなる群から選択される少なくとも1種の成分とをさらに含み得る。これらのサンスクリーン配合物は、化粧品に許容される担体と、1種又はそれ以上の化粧品アジュバントとを含む化粧品組成物の形態であり得る。このサンスクリーン配合物は、UV吸収特性をもたない通常の酸化防止剤又は他の安定剤を任意選択で含むこともできる。
【0049】
上で参照され下でより詳細に記載される他の成分は、一般に、サンスクリーン配合物の約0.1wt%から約10wt%の量で用いられる。残余は化粧品に又は薬学的に許容される担体を含む。
【0050】
サンスクリーン配合物に適する分散剤には、有機又は無機のサンスクリーン剤を、水相、油相、又はエマルジョンの一部のいずれかに分散させるのに有用なもの(例えばキトサンが含まれる)が含まれる。
【0051】
乳化剤は、1種又はそれ以上の式(I)の化合物又はサンスクリーン配合物の他の成分を分散させるためにサンスクリーン配合物に用いることができる。適切な乳化剤には、例えば、ステアリン酸グリセロール、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ジメチコンコポリオールホスフェート、ヘキサデシル−D−グルコシド、オクタデシル−D−グルコシドなどのような通常の作用剤が含まれる。
【0052】
増粘剤は、サンスクリーン配合物の粘度を増すために使用され得る。適切な増粘剤には、カルボマー、アクリレート/アクリロニトリルのコポリマー、ザンサンガム及びこれらの組合せが含まれる。カルボマー増粘剤は架橋アクリルポリマーを含む。サンスクリーン配合物に含まれる増粘剤の量は、水を除く固形分ベースで、約0.001から約5重量%、好ましくは、0.01から約1重量%、最適には、約0.1から約0.5重量%の範囲にあり得る。
【0053】
皮膚又は毛髪に付けるサンスクリーン配合物のための少量の任意選択の補助的成分には、保存剤、耐水性付与剤、芳香剤、消泡剤、植物抽出物(アロエベラ、ハマメリス、キュウリなど)、乳濁剤、スキンコンディショニング剤及び着色剤が含まれ、それぞれ、これらの個々の機能を果たす効果のある量で含まれ得る。
【0054】
本発明のサンスクリーン配合物は、耐水性を向上させる成分、例えば、ポリマーの膜を形成する化合物(例えば、ジメチコンコポリオールホスフェート、ジイソステアロイルトリメチロールプロパンシロキシシリケート及びジラウロイルトリメチロールプロパンシロキシシリケート、キトサン、ジメチコン、ポリエチレン、ポリビニルピロリドン(PVP)、PVP/酢酸ビニル、PVP/エイコセンのコポリマー、アジピン酸/ジエチレングリコール/グリセリンのクロスポリマーなど)を任意選択で含んでいてもよい。耐水性作用剤は、約0.01から約10重量%のレベルで存在し得る。
【0055】
本発明のサンスクリーン配合物はまた、1種又はそれ以上のスキンコンディショニング剤を任意選択で含んでいてもよい。これらには、保湿剤、エクスフォリアント及びエモリエントが含まれる。
【0056】
保湿剤は、モイスチャリング、落屑(scaling)を減らすこと、及び堆積した落屑が皮膚から除去されるように促すことを目的とする多価アルコールである。典型的な多価アルコールには、ポリアルキレングリコール、より好ましくは、アルキレンポリオール及びそれらの誘導体が含まれる。例としては、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、2−ピロリドン−5−カルボキシレート、ヒドロキシプロピルソルビトール、ヘキシレングリコール、エトキシジグリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン、エトキシ化グリセリン、プロポキシ化グリセリン及びこれらの混合物がある。最も好ましくは、保湿剤はグリセリンである、保湿剤の量は、サンスクリーン組成物の1から30重量%のどこか、好ましくは、2から20重量%、最適には、約5から10重量%の範囲であり得る。
【0057】
本発明における使用に適するエクスフォリアントは、アルファ−ヒドロキシカルボン酸、ベータヒドロキシカルボン酸及びこれらの酸の塩から選択され得る。最も好ましいのは、グリコール酸、乳酸及びサリチル酸、並びに、これらのアルカリ塩、金属塩又はアンモニウム塩である。
【0058】
適切なエモリエントには、炭化水素、脂肪酸、脂肪アルコール及び脂肪エステルから選択され得る、毛髪又は皮膚を柔軟にするとして知られている作用剤が含まれる。ペトロラタムは、一般的な炭化水素タイプのエモリエントコンディショニング剤である。用いられ得る他の炭化水素には、安息香酸アルキル、ミネラルオイル、ポリオレフィン(例えば、ポリデセン)及びパラフィン(例えば、イソヘキサデカン)が含まれる。脂肪酸及び脂肪アルコールは、典型的には、約10から30個の炭素原子を有する。例としては、ミリスチン、イソステアリン、ヒドロキシステアリン、オレイン、リノール、リシノール、ベヘン酸及びエルカ酸及びアルコールがある。オイル状エステルのエモリエントは、次の、トリグリセリドエステル、アセトグリセリドエステル、エトキシ化グリセリド、脂肪酸のアルキルエステル、エーテルエステル、多価アルコールエステル及びワックスエステルの1種又はそれ以上から選択されるものであり得る。さらなるエモリエント又は疎水性の作用剤には、安息香酸アルキル(C12からC15)、アジピン酸ジオクチル、ステアリン酸オクチル、オクチルドデカノール、ラウリン酸ヘキシル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、シクロメチコン、ジカプリルエーテル、ジメチコン、フェニルトリメチコン、ミリスチン酸イソプロピル、(カプリル/カプリン)グリセリド、ジ(カプリル酸/カプリン酸)プロピレングリコール及びオレイン酸デシルが含まれる。
【0059】
本発明のサンスクリーン配合物は、表面処理微粒子二酸化チタン、並びに表面未処理及び表面処理微粒子酸化亜鉛を含めて、上で記載した無機サンスクリーン剤の1種又はそれ以上を任意選択で含んでいてもよい。サンスクリーン組成物中の二酸化チタンは、好ましくは、5と150nmの間、好ましくは、10から100nmの平均一次粒径を有する。サンスクリーン組成物中の酸化亜鉛は、好ましくは、5と150nmの間、好ましくは、10から100nmの平均一次粒径を有する。
【0060】
本発明のサンスクリーン組成物はまた、さらなるクロモフォア低分子量(monomeric)有機化合物の1種又はそれ以上も含み得る。これらは、UVA、UVB又は広帯域のフィルターのいずれかであり得る。適切なUVAサンスクリーンの例には、ベンゾフェノン誘導体、アントラニル酸メンチル、ブチルメトキシジベンゾイルメタン及びベンジリデン−ジオキソイミダゾリン誘導体が含まれる。適切なUVBサンスクリーンの例には、シンナメート誘導体、サリシレート誘導体、p−アミノ安息香酸誘導体、カンファー誘導体、フェニルベンゾイミダゾール誘導体及びジフェニルアクリレート誘導体が含まれる。適切な広帯域サンスクリーンの例には、ベンゾトリアゾール誘導体、及びアニソトリアゾン(anisotriazone)のようなトリアジン誘導体がある。他には、エチルヘキシルトリアゾン及びジエチルヘキシルブタミドトリアゾンが含まれる。導入され得る特に有用な有機サンスクリーン剤は、アボベンゾン、p−メトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、オキシベンゾン、オクチルジメチルp−アミノ安息香酸、ジオキシベンゾン、4−[ビス(ヒドロキシプロピル)]アミノ安息香酸エチル、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸2−エチルヘキシル、サリチル酸2−エチルヘキシル、グリセロールp−アミノベンゾエート、サリチル酸3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、アントラニル酸メチル、p−ジメチルアミノ安息香酸、p−ジメチル安息香酸2−エチルヘキシル、2−フェニルベンゾイミダゾール−5−スルホン酸、2−p−ジメチルアミノフェニル−5−スルホニオベンズオキサゾン酸(benzoxazoic acid)、スリソベンゾン、及びこれらの混合物である。導入され得る有用な市販の有機サンスクリーン剤の例には、2−フェニルベンゾイミダゾール−5−スルホン酸、2−(4−メチルベンジリデン)−カンファー、及び4−イソプロピルジベンゾイルメタンが含まれる。好ましくはないが、本発明のサンスクリーン配合物はさらなる酸化防止剤を含み得る。安定性を付与する適切な酸化防止剤の例には、p−ヒドロキシ安息香酸及びそのエステル、サリシレート、クマリン誘導体、フラボン、ヒドロキシ又はメトキシ置換ベンゾフェノン、尿酸又はタンニン酸及びその誘導体、ヒドロキノン、並びにベンゾフェノンが含まれる。
【0061】
UV吸収を提供するレベルでサンスクリーン活性を付与することに加えて、式(I)の化合物は、スキンケア製剤、ヘアケア製剤、他のパーソナルケア製剤(例えば、化粧品組成物又は医薬組成物)に、酸化防止活性をもたせるレベルで導入することができる。これらの化合物は、ヘアケア組成物、スキンケア組成物、並びに化粧品組成物及び医薬組成物のようなパーソナルケア配合物に、通常の酸化防止剤と共に、又はこれらなしで、使用できる。
【0062】
化粧品の分野において、特に、ファンデーション組成物、ティンテッド(tinted)クリーム、マスカラ、ブラッシャー及びアイシャドウ、リップスティック並びにマニキュアのようなメイクアップ組成物では、様々なタイプのこれらの製品に、時間が経っても再現され、使用される化粧媒体(例えば、水及び化粧に許容される溶媒)のほとんどに不溶である、様々な色調の色合いを付与できる顔料が求められている。さらに、これらの顔料は、化粧品の分野において通常使用される、又は出会うpHで安定でなければならない。
【0063】
化粧品又は医薬品(例えば、スキンローション、コラーゲンクリーム、サンスクリーン、フェイシャルメイクアップなど)は、消泡剤、酸化防止剤、発汗抑制剤、着色剤、染料、エモリエント、乳化剤、エクスフォリアント、保湿剤、脂質、モイスチャライザー、香料、芳香剤、顔料、保存剤、プロペラント、スキンコンディショナー、溶媒、界面活性剤、増粘剤、耐水性付与剤などの合成物質;さらには、コラーゲン、タンパク質、ミンクオイル、オリーブオイル、ココナッツオイル、カルナバワックス、蜜蝋、ラノリン、ココアバター、ザンサンガム、アロエなどのような天然の産物を含む。
【0064】
本発明はまた、式(I)の安息香酸エステル化合物又は薬学的に許容されるその塩の少なくとも1種を、サンスクリーン剤の光安定性を向上させるのに十分な量でサンスクリーン組成物に添加することを含む、サンスクリーン配合物の光安定性を向上させる方法に関する。
【0065】
本発明はまた、式(I)の安息香酸エステル化合物又は薬学的に許容されるその塩の少なくとも1種を、太陽の放射から組成物の成分を光安定化させるのに有効な量で含むパーソナルケア組成物に関する。
【0066】
本発明の化粧品組成物、医薬組成物及びパーソナルケア組成物は、クリーム、軟膏、乳剤、懸濁液、粉末、オイル、ローション、ゲル、スティック、フォーム(foam)、エマルジョン、分散液、スプレー及びエアロゾルなどの形態であり得る。より具体的な形態には、リップスティック、ファンデーション、メイクアップ、ルース又はプレスパウダー、アイブラッシュ、アイシャドウ、マスカラ、マニキュア、ネイルラッカー、及び毛髪の非永続的染色組成物などが含まれる。
【0067】
本発明はまた、UVから防護する能力が向上したサンスクリーン化合物にin situで光化学的に変換されることが可能な、式(I)の安息香酸エステル化合物又は薬学的に許容されるその塩の少なくとも1種の有効量を含む産業用組成物にも関する。
【0068】
本発明はまた、UVから防護する能力が向上したサンスクリーン化合物にin situで光化学的に変換されることが可能な、式(I)の安息香酸エステル化合物又は薬学的に許容されるその塩の少なくとも1種の有効量を含む産業用組成物によって物質を処理することを含む、紫外線放射から物質を防護する方法にも関し、前記物質は、有機化合物、オイル、脂肪、ワックス、ゼラチン、サンスクリーン、ポリマー(例えば、ポリオレフィン、ポリケトン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール誘導体、ポリ酢酸ビニル誘導体、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレア、ポリカーボネート、ポリシロキサン、ポリケチミン(polyketimine))、放射線硬化組成物、樹脂(例えば、炭化水素樹脂、フェノール/ホルムアルデヒド樹脂、ウレア/ホルムアルデヒド樹脂、メラミン/ホルムアルデヒド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、架橋性アクリル樹脂、架橋エポキシ樹脂、エポキシ/メラミン樹脂)、ワニス、セルロース、セルロース系紙配合物、写真材料、写真フィルム紙(photographic film paper)、金属製品、セラミック製品、殺生物剤、天然織物繊維、織物、染料、インク、顔料、塗料、コーティング剤、接着剤、皮革、木材、ゴム、ガラス、レンズ、複合材料、これらの混合物又はブレンドなどからなる群から選択される。
【0069】
とりわけ本発明の化合物は、例えば以下のものが含まれる多様な材料を安定化する紫外線吸収剤として特に有用である:天然に産するか又は合成の有機化合物、オイル、脂肪、ワックス、サンスクリーン、有機の染料及び殺生物剤、特に、写真材料のような用途に使用される様々な人造有機ポリマー、写真フィルム紙、プラスチック、ポリアミド及びポリエステルのような人造織物繊維、絹、綿及び羊毛のような天然織物繊維、天然又は合成のゴム、塗料及び他のコーティング剤、接着剤、樹脂、天然繊維及び積層UV遮蔽窓フィルム、セルロース及びセルロース系紙配合物のような天然ポリマー、ゴム、ゼラチン及び化学的に変性された同族誘導体、インク、ポリシロキサン、金属製品、木材製品、セラミック製品、レンズ、複合材料、これらの混合物又はブレンドなど。
【0070】
セルロース系紙配合物の用途には、新聞印刷用紙、厚紙、ポスター、包装、ラベル、便箋、本及び雑誌の紙、ボンドタイプ用紙、多目的紙及びオフィスペーパー、コンピュータ用紙、ゼログラフィー用紙、レーザー及びインクジェットプリンター用紙、オフセット印刷用紙、紙幣用紙などが含まれる。
【0071】
本発明の化合物はまた、光安定性組成物を生成するのに用いることができる。このような光安定化組成物は、トリアジン、ベンゾトリアゾール、ヒンダードアミン光安定剤、ラジカル捕捉剤、酸化防止剤などを含めて、当技術分野において知られている様々な他の成分を含み得る。
【0072】
本発明はまた、光転移により、受けたUVB放射の量を示す、化粧品組成物又は医薬組成物、パーソナルケア組成物及び産業用組成物を調製するための、式(I)の化合物の使用に関する。
【0073】
安定化できるポリマーには、ミネラルオイル、動物及び植物の脂肪、オイル及びワックス、或いは合成エステル系(例えば、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、リン酸エステル又はトリメリト酸エステル)のオイル、脂肪又はワックス、並びに合成エステルとミネラルオイルとの任意の比率の混合物を含めて、化合物の混合物であり得る、天然に産する有機物質及び合成有機物質が含まれる。
【0074】
本発明の化合物は通常、安定化される物質の重量に対して、約0.01から約30重量%、好ましくは、約0.05から約20重量%、最も好ましくは、約0.1から約10重量%の量で用いられる。
【0075】
本発明の化合物は、コーティング剤又は溶液のような光安定性組成物又は酸化組成物における成分として、或いは、サンスクリーン組成物のようなUV遮蔽組成物における成分として、このような材料に、物理的混合又はブレンドを含めて様々な通常の手順のいずれか1つで、材料への(典型的には、ポリマーへの)化学結合を任意選択で伴い、組み入れることができる。
【0076】
天然ラテックス又はカルボキシル化スチレン/ブタジエンのコポリマーのような天然又は合成のゴムは、水性エマルジョンとして配合され得る。
【0077】
有機染料には、アゾ染料(ジアゾ、トリアゾ及びポリアゾ)、アントラキノン、ベンゾジフラノン、多環芳香族カルボニル染料、インジゴ染料、ポリメチン、スチリル染料、ジ−及びトリアリールカルボニウム染料、フタロシアニン、キノフタロン、硫化染料、ニトロ及びニトロソ染料、スチルベン染料、ホルマザン染料、キナクリドン、カルバゾール、並びにペリレンテトラカルボン酸ジイミドが含まれる。
【0078】
組成物がエマルジョンの形態で使用される場合、それらは、当技術分野の現状においてよく知られている表面活性剤(surface−active agent)(例えば、陰イオン性、非イオン性、陽イオン性又は両性の表面活性剤或いはこれらの混合物)をさらに含み得る。
【0079】
これらの組成物はまた、脂肪物質、有機溶剤、シリコーン、増粘剤、柔軟剤、界面活性剤、サンスクリーン剤、抗フリーラジカル剤、消泡剤、モイスチャリング剤、芳香剤、保存剤、酸化防止剤、フィラー、金属イオン遮閉剤、トリートメント剤(例えば、非イオン性、陽イオン性、陰イオン性若しくは両性のポリマー又はこれらの混合物)、プロペラント、及び塩基性化剤又は酸性化剤、或いは他の顔料も含み得る。
【0080】
脂肪物質には、オイル若しくはワックス又はこれらの混合物、脂肪酸、脂肪アルコール、脂肪酸エステル、ワセリン、パラフィン、ラノリン、水添ラノリン或いはアセチル化ラノリンがあり得る。
【0081】
前記オイルは、動物油、植物油、ミネラルオイル又は合成オイル、特に、水添パームオイル、水添ヒマシ油、液体パラフィン、パラフィンオイル、パーセリン油及びシリコーンオイルから選択される。
【0082】
ワックスは、動物ワックス、化石ワックス(fossil wax)、植物ワックス、ミネラルワックス又は合成ワックスから選択される。蜜蝋、カルナバワックス、キャンデリアワックス、サトウキビワックス、木蝋、オゾケライト、モンタンワックス、マイクロクリスタリンワックス及びパラフィンワックスを、より具体的に挙げることができる。
【0083】
本発明の安息香酸エステル化合物のサンスクリーン活性は、高い化学収率を示す効率的な光転移に基づいている。
【0084】
Rが(i)である場合の式(I)の化合物の光転移は、スキーム3に従って、式(IX)のジベンゾイルメタン化合物を与える。
【化14】

【0085】
このようなジベンゾイルメタン化合物は、認められているサンスクリーン化学物質系列をなし、アボベンゾンが最も代表的である。こうして、4−tert−ブチル安息香酸1−(4−メトキシフェニル)−ビニル及び4−メトキシ安息香酸1−(4−tert−ブチルフェニル)−ビニルのどちらの光転移も、公認され、広く使用されているアボベンゾンサンスクリーン化合物を生じる。
【0086】
Rが(ii)又は(iii)である場合の式(I)の化合物の光フリース転移は、スキーム4に従って、式(X)のベンゾフェノン化合物を与える。
【化15】

【0087】
このようなベンゾフェノン化合物は、認められており、広く使用されているサンスクリーン化学物質系列をなす。ジオキシベンゾン、オキシベンゾン及びスリソベンゾンはこの系列の最も代表的な化合物である。サリチル酸3−メトキシフェニル及び4−メトキシサリチル酸フェニルのいずれの光転移もジオキソベンゾンを与える。安息香酸3−メトキシフェニルの光転移はオキシベンゾンに導く。また、4−ベンゾイルオキシ−2−メトキシベンゼンスルホン酸の光転移はスリソベンゾンに導く。
【0088】
15がジアルキルアミノ基である場合の式(I)の化合物の光フリース転移は、最新のベンゾフェノンサンスクリーン系列を与え、4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾフェノン及び2−ヒドロキシ−4−(1−ピロリジニル)ベンゾフェノンは、この系列の最も代表的な化合物である。安息香酸3−ジエチルアミノフェニル及び安息香酸3−(1−ピロリジル)フェニルの光転移はそれぞれ、4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾフェノン及び2−ヒドロキシ−4−(1−ピロリジニル)ベンゾフェノンを与える。
【0089】
式(I)の化合物は、日光への暴露時間及び太陽の放射の程度に依存して進展するUV防護を示す。この進展するUV防護性はそれらのUVB、特にUVA遮蔽能力にはっきりと示されている。これらの結果として、式(I)の化合物を含む組成物は、日光浴をするより安全な方法となり、従来のサンスクリーンより均一で魅惑的な日焼けを生じる。さらに、光転移により生じる化合物は認められているサンスクリーン化学物質系列に属し、この方法の便益を保証する。
【0090】
したがって、本発明はまた、日光への暴露時間及び太陽の放射の程度に依存して進展するUV防護により特徴付けられる、化粧品組成物又は医薬組成物、パーソナルケア組成物及び産業用組成物を調製するための、式(I)の化合物の使用に関する。
【0091】
以下の非限定的実施例は本発明の範囲を例示する。
【実施例】
【0092】
調製実施例1:4−メトキシアセトフェノントリメチルシリルエノール
0.82g(5.5mmol)の4−メトキシアセトフェノンのテトラヒドロフラン(3.4mL)溶液を、in situで生成させた7mmolのリチウムジイソプロピルアミン(LDA)に加えた。この溶液を30分間撹拌した後、4.5mLの塩化トリメチルシリルを加え、混合物を窒素雰囲気下に室温で17時間撹拌した。次いで、ペンタンを加え、この混合物を濾過してリチウム塩を除去し、溶媒を減圧下で蒸発乾固した。得られた粗生成物は、78%(H−NMR)の4−メトキシアセトフェノントリメチルシリルエノールを含んでいた。
【化16】


LDAの調製:窒素雰囲気下に、0.97mLの蒸留したジイソプロピルアミンを、0℃で7mLの無水テトラヒドロフランに溶かした。次いで、4.4mLのブチルリチウム(ヘキサン中1.6M)を加え、混合物を20分間撹拌した。
【0093】
調製実施例2:4−tert−ブチルアセトフェノントリメチルシリルエノール
1.25mL(6.7mmol)の4−tert−ブチルアセトフェノンのテトラヒドロフラン(4mL)溶液を、in situで生成させたLDA(7mmol)に加えた。この溶液を30分間撹拌した後、4.5mLの塩化トリメチルシリルを加え、混合物を窒素雰囲気下に室温で16時間撹拌した。次いで、ペンタンを加え、この混合物を濾過してリチウム塩を除去し、溶媒を減圧下で蒸発乾固した。得られた粗生成物は、100%(H−NMR)の4−tert−ブチルアセトフェノントリメチルシリルエノールを含んでいた。
【化17】

【0094】
調製実施例3:4−tert−ブチル安息香酸1−フェニルビニル
4.16g(21.62mmol)のアセトフェノントリメチルシリルエノール、4.33g(22.01mmol)の4−tert−ブチルベンゾイルクロリド及び136mgの塩化第二水銀の混合物を100℃で2時間加熱した。次いで、混合物を放冷し、反応粗生成物に水を加え、ジクロロメタンで抽出した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下で除去した。2.12gの試料をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:ジクロロメタン 3:1)により精製して、1.17gの4−tert−ブチル安息香酸1−フェニルビニルを得た。収率57%。
【化18】

【0095】
調製実施例4:4−メトキシ安息香酸1−フェニルビニル
2.38g(12.37mmol)のアセトフェノントリメチルシリルエノール、2.15g(12.60mmol)の4−メトキシベンゾイルクロリド及び93mgの塩化第二水銀の混合物を100℃で2時間加熱した。次いで、混合物を室温まで放冷し、次に、反応粗生成物に水を加え、ジクロロメタンで抽出した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下で除去した。得られた粗生成物は、H―NMRにより求めると、75〜85%の4−メトキシ安息香酸1−フェニルビニルを含んでいた。
【0096】
調製実施例5:4−tert−ブチル安息香酸1−(4−メトキシフェニル)−ビニル
4−tert−ブチルベンゾイルクロリド(1.78g、9mmol)、0.47gの塩化第一銅及び4mLの1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンを、未精製の4−メトキシアセトフェノントリメチルシリルエノール(4.3mmol)に加えた。この溶液を室温で21時間撹拌した後、1mLのトリエチルアミン及び10mLのクロロホルムを加えた。次いで、溶液をフラッシュシリカカラムによるクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル 10:1)にかけた。最初に捕集した画分をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/ジクロロメタン 3:2)により精製して、0.34gの4−tert−ブチル安息香酸1−(4−メトキシフェニル)−ビニルを得た。収率25%。
【化19】


Mp:87〜89℃
【0097】
調製実施例6:4−メトキシ安息香酸1−(4−tert−ブチルフェニル)−ビニル
4−メトキシベンゾイルクロリド(2.35g、13.8mmol)、0.65gの塩化第一銅及び5.6mLの1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンを、未精製の4−tert−ブチルアセトフェノントリメチルシリルエノール(6.7mmol)に加えた。この溶液を室温で20時間撹拌した後、1.4mLのトリエチルアミン及び10mLのクロロホルムを加えた。次いで、溶液をフラッシュシリカカラムによるクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル 10:1)にかけた。最初に捕集した画分をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/ジクロロメタン 3:2、次に、ヘキサン/ジクロロメタン 4:1)により2回精製して、4−メトキシ安息香酸1−(4−tert−ブチルフェニル)−ビニルに当たる0.14gの無色のオイルを得た。収率7%。
【化20】

【0098】
調製実施例7:4−ベンゾイルオキシ−2−メトキシベンゼンスルホン酸
0.47mL(7.01mmol)のクロロスルホン酸のジクロロメタン(7mL)溶液を、1.6g(7.01mmol)の安息香酸3−メトキシフェニルのジクロロメタン(12mL)溶液に、0℃で滴下して加えた。添加が終了したら、混合物を室温で18時間放置して反応させた。生成した析出物を濾過して、300mgの4−ベンゾイルオキシ−2−メトキシベンゼンスルホン酸を得た。収率15%。
【化21】

【0099】
調製実施例8:安息香酸3−ジエチルアミノフェニル
1.53g(9.3mmol)の3−ジエチルアミノフェノール、1.35mL(11.8mmol)のベンゾイルクロリド及び1mLのピリジン(50mLのトルエン中)の混合物を、3時間還流した。次いで、この混合物を放冷し、溶媒を減圧下で留去した。得られた粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル 7:1)により精製して、安息香酸3−ジエチルアミノフェニルを主に含む赤色のオイルの画分(235mg)を得た。
【0100】
調製実施例9:安息香酸3−メトキシフェニル
オキシ塩化リン(3.16mL)を、2.95g(24.16mmol)の安息香酸及び3g(24.16mmol)の3−メトキシフェノールの混合物に加え、得られた混合物をアルゴン雰囲気下に125℃で45分間加熱した。この混合物を室温まで冷却し、反応粗生成物に水を加え、ジエチルエーテルで抽出した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下で除去して、5.0gの暗赤色のオイルを得た。得られたこの粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル 10:1)により精製して、2.10gの安息香酸3−メトキシフェニルを得た。収率38%。
【0101】
調製実施例10:4−メトキシサリチル酸フェニル
オキシ塩化リン(2mL)を、2.00g(11.89mmol)の4−メトキシサリチル酸及び2.13g(22.65mmol)のフェノールの混合物に加え、得られた混合物をアルゴン雰囲気下に115℃で15分間加熱した。この混合物を室温まで冷却し、反応粗生成物に水を加え、ジクロロメタンで抽出した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下で除去して、4.5gの暗赤色のオイルを得た。得られたこの粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル 8.5:1)により精製して、1.97gの4−メトキシサリチル酸フェニルを得た。収率65%。
【0102】
調製実施例11:サリチル酸3−メトキシフェニル
オキシ塩化リン(2mL)を、2.00g(14.48mmol)のサリチル酸及び3.3mL(28.96mmol)の3−メトキシフェノールの混合物に加え、得られた混合物をアルゴン雰囲気下に115℃で15分間加熱した。この混合物を室温まで冷却し、反応粗生成物に水を加え、ジクロロメタンで抽出した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下で除去して、4.0gの黒色のオイルを得た。得られたこの粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル 9:1)により精製して、2.36gのサリチル酸3−メトキシフェニルを得た。収率85%。
【0103】
調製実施例12:安息香酸3−(1−ピロリジニル)フェニル
1.52g(9.3mmol)の3−(1−ピロリジニル)フェノール、1.35mL(11.8mmol)のベンゾイルクロリド及び1mLのピリジン(50mLのトルエン中)の混合物を3時間還流した。次いで、この混合物を放冷し、溶媒を減圧下で留去した。得られた粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル 7:1)により精製し、安息香酸3−(1−ピロリジニル)フェニルを主に含む赤色のオイル画分(233mg)を得た。
【0104】
光転移実施例1:4−メトキシ安息香酸1−フェニルビニルの光転移
5mgの4−メトキシ安息香酸1−フェニルビニルのメタノール(10mL)溶液をUVBランプ(60W・m−2)により、35℃で20分間照射した。粗生成物の反応スペクトルは、ジベンゾイルメタンのフラグメントのために、UVA域に新しい吸収バンドを示した。ベンゾイル−4−メトキシベンゾイル−メタンへの変換を、最初から観察し、5分で完全に変換された。光転移による変化の様子を図1に示す。
【0105】
光転移実施例2:4−tert−ブチル安息香酸1−(4−メトキシフェニル)−ビニルの光転移
0.231mgの4−tert−ブチル安息香酸1−(4−メトキシフェニル)−ビニルを50mLのメタノール中に含む溶液の4mLの試料をUVBランプ(60W・m−2)により、35℃で10分間照射した。アボベンゾンへの変換は5分で完了した。光転移による変化の様子を図2に示す。
【0106】
光転移実施例3:4−メトキシ安息香酸1−(4−tert−ブチルフェニル)−ビニルの光転移
0.400mgの4−メトキシ安息香酸1−(4−tert−ブチルフェニル)−ビニルを50mLのメタノール中に含む溶液の4mLの試料をUVBランプ(60W・m−2)により、35℃で10分間照射した。アボベンゾンへの変換は5分で完了した。光転移による変化の様子を図3に示す。
【0107】
光転移実施例4:4−ベンゾイルオキシ−2−メトキシベンゼンスルホン酸の光転移
5mgの4−ベンゾイルオキシ−2−メトキシベンゼンスルホン酸を10mLのメタノール中に含む溶液をUVBランプ(60W・m−2)により、35℃で20分間照射した。この時、吸収スペクトルを1分毎に記録した。スリソベンゾンへの変換は10分で完了した。光転移による変化の様子を図4に示す。
【0108】
光転移実施例5:安息香酸3−ジエチルアミノフェニルの光転移
0.395mgの安息香酸3−ジエチルアミノフェニルを50mLのメタノール中に含む溶液の4mLの試料をUVBランプ(60W・m−2)により、35℃で20分間照射した。4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾフェノンへの光変換は10分で完了した。光転移による変化の様子を図5に示す。
【0109】
光転移実施例6:安息香酸3−メトキシフェニルの光転移
10mLのポリジメチルシロキサン(粘度 10000cSt)中5mgの安息香酸3−メトキシフェニルの試料を、UVBランプ(60W・m−2)により、35℃で15時間20分照射した。オキシベンゾンへの光変換は40分で完了した。光転移による変化の様子を図6に示す。
【0110】
光転移実施例7:4−tert−ブチル安息香酸1−フェニルビニルの光転移
5mgの4−tert−ブチル安息香酸1−フェニルビニルのtert−ブタノール(10mL)溶液を、UVBランプ(60W・m−2)により、35℃で5時間照射した。薄層クロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル 2:1)により、いくつかの異なる化合物を検出し、これらの化合物の1つは、H−NMRによりベンゾイル−4−tert−ブチルベンゾイルメタン(メトキシを欠くアボベンゾン(desmethoxyavobenzone))であると同定した。
【0111】
組成物実施例1:サンスクリーン組成物1
【表2】

【0112】
手順
相Bの成分を合わせた。この混合物を撹拌し、70〜75℃に加熱した。相Aの成分を合わせた。この混合物を撹拌しながら70〜75℃に加熱した。撹拌しながら相Bを相Aに加えた。保存剤を加えた。この混合物を撹拌し、室温まで冷ました。
【0113】
組成物実施例2:オイル/水のサンスクリーンスプレーローション
【表3】

【0114】
手順
A−1成分を合わせた。この混合物を撹拌し、全ての固体が溶けるまで60℃に加熱した。A−2をA−1に撹拌して分散させた。B−1成分を合わせた。この混合物を撹拌し、60℃まで加熱した。B−2をB−1に撹拌して分散させた。激しく撹拌しながらAをBに加えた。この混合物を穏やかに均質化し、40℃まで冷ました。CをA/Bに加えた。この混合物を、一様になるまで穏やかに均質化した。混合物を別のミキサーにより撹拌して、パッケージングの前に混合物を25℃にした。取分けは、高剪断ポンプスプレー装置によって簡便に行われる。
【0115】
組成物実施例3:サンスクリーンクリーム
【表4】

【0116】
手順
相Aの成分をインペラーで撹拌しながら主容器に入れた。この混合物を75〜80℃に加熱した。相Bの成分を合わせた。この懸濁液を85℃に加熱し、混合した。相Bをゆっくりとバッチに加え、85℃で15分間混合した。混合物を熱源から取り外し、パドルによる混合に切り替え、室温まで冷ました。
【0117】
組成物実施例4:水/オイルの広いスペクトルのサンスクリーンローション
【表5】

【0118】
組成物実施例5:アボベンゾンを含むUVA/UVBサンプロテクションクリーム
【表6】

【0119】
手順
相A−1の成分を合わせた。メチルパラベンが溶けるまで、この混合物を撹拌しながら50℃に加熱した。A−2をA−1に篩を用いて投入した。得られた混合物Aを65℃に加熱した。相Bの成分を合わせた。固体が溶けるまで、この混合物を撹拌しながら65〜70℃に加熱した。BをAに加えた。この混合物を均質化し、Cを55〜60℃で加えた。均質化を続け、混合物を40〜45℃に冷ました。相Dを加えた。一様になるまでこの混合物をプロペラミキサーにより撹拌した。トリエタノールアミンによりpHを6.5〜7.0に調節した。
【0120】
組成物実施例6:オイル/水のサンスクリーンローション
【表7】

【0121】
手順
相Bを、Carbopolを水に分散させることによって調製した。この分散液を70〜75℃に加熱した。相Aの成分を合わせた。この混合物を撹拌し、70〜75℃に加熱した。撹拌しながら相Bを相Aに加えた。相Cを加えた。この混合物を、45〜40℃に冷めるまで均質化した。相Dを加えた。この混合物を撹拌し、室温まで冷ました。
【0122】
組成物実施例7:アボベンゾンを含むオイル/水のサンスクリーンローション
【表8】

【0123】
手順
相Bを、Carbopolを水に分散させることによって調製した。この分散液を70〜75℃に加熱した。相Aの成分を合わせた。この混合物を撹拌し、70〜75℃に加熱した。撹拌しながら相Bを相Aに加えた。相Cを加えた。45〜40℃に冷めるまで、この混合物を均質化した。相Dを加えた。この混合物を撹拌し、室温まで冷ました。
【0124】
組成物実施例8:サンケアリップスティック
【表9】

【0125】
組成物実施例9:サンスクリーンゲル
【表10】

【0126】
組成物実施例10:サンスクリーンクリーム
【表11】

【0127】
組成物実施例11:耐水性サンスクリーンクリーム
【表12】

【0128】
組成物実施例12:サンスクリーン乳液
【表13】

【0129】
組成物実施例13:サンスクリーンメイクアップパウダー
【表14】

【0130】
組成物実施例14:サンスクリーンマニキュア
【表15】

【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】4−メトキシ安息香酸1−フェニルビニルの光転移による変化の様子を示す図である。
【図2】4−tert−ブチル安息香酸1−(4−メトキシフェニル)−ビニルの光転移による変化の様子を示す図である。
【図3】4−メトキシ安息香酸1−(4−tert−ブチルフェニル)−ビニルの光転移による変化の様子を示す図である。
【図4】4−ベンゾイルオキシ−2−メトキシベンゼンスルホン酸の光転移による変化の様子を示す図である。
【図5】安息香酸3−ジエチルアミノフェニルの光転移による変化の様子を示す図である。
【図6】安息香酸3−メトキシフェニルの光転移による変化の様子を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト又は動物の生体或いは物質を紫外線放射から防護するために、式(I)の安息香酸エステル化合物
【化1】


[式中、R〜Rは、水素、C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C−アルコキシ、C〜C−シクロアルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、C〜C−アルキルアミノ、C〜C−ジアルキルアミノ(前記ジアルキルアミノの前記2つのアルキル部分は、それらが結合している窒素原子と一緒に、C〜C−アルキル若しくはC〜C−シクロアルキルによって任意選択でN−置換されている、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン及びピペラジンから選択される複素環を形成していてもよい)、C〜C−シクロアルキルアミノ、C〜C−アルキル−C〜C−シクロアルキルアミノ及びC〜C−ジシクロアルキルアミノから独立に選択されるか、或いは、隣接する環内炭素上の2つの基は、縮合したO−(CH−O基(mは1若しくは2である)を形成しているか、又は、隣接する環内炭素上の2つの基は、縮合したCH=CH−CH=CH基を形成しており;
Rは、(i)、(ii)及び(iii)から選択される基であり;
【化2】


式中、R’は、水素、C〜C−アルキル及びC〜C−シクロアルキルから選択され;
〜R10は、水素、C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C−アルコキシ、C〜C−シクロアルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、C〜C−アルキルアミノ、C〜C−ジアルキルアミノ(前記ジアルキルアミノの前記2つのアルキル部分は、それらが結合している窒素原子と一緒に、C〜C−アルキル若しくはC〜C−シクロアルキルによって任意選択でN−置換されている、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン及びピペラジンから選択される複素環を形成していてもよい)、C〜C−シクロアルキルアミノ、C〜C−アルキル−C〜C−シクロアルキルアミノ及びC〜C−ジシクロアルキルアミノから独立に選択されるか、或いは、隣接する環内炭素上の2つの基は、縮合したO−(CH−O基(nは1若しくは2である)を形成しているか、又は、隣接する環内炭素上の2つの基は、縮合したCH=CH−CH=CH基を形成しており;
11は、水素、C〜C−アルキル及びC〜C−シクロアルキルから選択され;
12は、水素、C〜C−アルキル及びC〜C−シクロアルキルから選択され;
13及びR14は、水素、C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C−アルコキシ、C〜C−シクロアルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、C〜C−アルキルアミノ、C〜C−ジアルキルアミノ(前記ジアルキルアミノの前記2つのアルキル部分は、それらが結合している窒素原子と一緒に、C〜C−アルキル若しくはC〜C−シクロアルキルによって任意選択でN−置換されている、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン及びピペラジンから選択される複素環を形成していてもよい)、C〜C−シクロアルキルアミノ、C〜C−アルキル−C〜C−シクロアルキルアミノ及びC〜C−ジシクロアルキルアミノから独立に選択され;
或いは、基OR12及びR14は、縮合したO−(CH−O基(pは1若しくは2である)を形成しており;また
15〜R18は、水素、C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C−アルコキシ、C〜C−シクロアルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、C〜C−アルキルアミノ、C〜C−ジアルキルアミノ(前記ジアルキルアミノの前記2つのアルキル部分は、それらが結合している窒素原子と一緒に、C〜C−アルキル若しくはC〜C−シクロアルキルによって任意選択でN−置換されている、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン及びピペラジンから選択される複素環を形成していてもよい)、C〜C−シクロアルキルアミノ、C〜C−アルキル−C〜C−シクロアルキルアミノ及びC〜C−ジシクロアルキルアミノから独立に選択されるか、或いは、隣接する環内炭素上の2つの基は、縮合したO−(CH−O基(qは1若しくは2である)を形成しているか、又は、隣接する環内炭素上の2つの基は、縮合したCH=CH−CH=CH基を形成している]
又は薬学的に許容されるこれらの塩の少なくとも1種の有効量を含む、化粧品組成物又は医薬組成物、パーソナルケア組成物又は産業用組成物を調製するための、式(I)の安息香酸エステル化合物又は薬学的に許容されるこれらの塩の使用。
【請求項2】
前記安息香酸エステル化合物において、Rが(i)である場合に、Rがメトキシ及びtert−ブチルから独立に選択され、Rが水素、メトキシ及びtert−ブチルから独立に選択され、R’、R、R、R、R、R、R、R及びR10がそれぞれ水素であり;Rが(ii)である場合に、R、R、R、R、R、R11、R13、及びR14がそれぞれ水素であり、R12がメチルであり;Rが(iii)である場合に、Rが水素及びヒドロキシから独立に選択され、Rが水素及びメトキシから独立に選択され、R15が水素、ジエチルアミノ、1−ピロリジニル及びメトキシから独立に選択され、R、R、R、R16、R17及びR18がそれぞれ水素である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記安息香酸エステル化合物が、
4−メトキシ安息香酸1−フェニルビニル;
4−tert−ブチル安息香酸1−(4−メトキシフェニル)−ビニル;
4−メトキシ安息香酸1−(4−tert−ブチルフェニル)−ビニル;
4−tert−ブチル安息香酸1−フェニルビニル;
4−ベンゾイルオキシ−2−メトキシベンゼンスルホン酸;
安息香酸3−ジエチルアミノフェニル;
安息香酸3−(1−ピロリジニル)フェニル;
安息香酸3−メトキシフェニル;
4−メトキシサリチル酸フェニル;及び
サリチル酸3−メトキシフェニル
からなる群から選択される、請求項2に記載の使用。
【請求項4】
紫外線吸収剤の光化学的前駆体としての、請求項1に定義される安息香酸エステル化合物の使用。
【請求項5】
ヒト又は動物の生体が人間である、請求項1に記載の使用。
【請求項6】
ヒト又は動物の生体或いは物質を紫外線放射から防護するために、請求項1に定義される安息香酸エステル化合物の少なくとも1種を含む、化粧品組成物又は医薬組成物、パーソナルケア組成物又は産業用組成物。
【請求項7】
UVからの防護能力が向上したサンスクリーン化合物にインシチュ(in situ)で光化学的に変換されることが可能な安息香酸エステル化合物の少なくとも1種の有効量を含む、請求項6に記載の化粧品組成物又は医薬組成物。
【請求項8】
クリーム、軟膏、乳剤、懸濁液、粉末、オイル、ローション、ゲル、スティック、フォーム、エマルジョン、分散液、スプレー、エアロゾル、リップスティック、ファンデーション、メイクアップ、ルース又はプレスパウダー、アイブラッシュ、アイシャドウ、マスカラ、マニキュア、ネイルラッカー、及び毛髪の非永続的染色組成物から選択される、請求項7に記載の化粧品組成物又は医薬組成物。
【請求項9】
前記安息香酸エステル化合物の前記有効量が、サンスクリーンの全重量に対して、0.01から40wt%の範囲である、請求項8に記載の化粧品組成物又は医薬組成物。
【請求項10】
前記安息香酸エステル化合物の前記有効量が、サンスクリーンの全重量に対して、0.05から25wt%の範囲である、請求項9に記載の化粧品組成物又は医薬組成物。
【請求項11】
前記安息香酸エステル化合物の前記有効量が、サンスクリーン配合物の0.1wt%から約15wt%の範囲である、請求項10に記載の化粧品組成物又は医薬組成物。
【請求項12】
日光への暴露時間及び太陽の放射の程度に依存して進展するUV防護によって特徴付けられる化粧品組成物又は医薬組成物を調製するための、請求項1に記載の安息香酸エステル化合物の使用。
【請求項13】
クリーム、軟膏、乳剤、懸濁液、粉末、オイル、ローション、ゲル、スティック、フォーム、エマルジョン、分散液、スプレー、エアロゾル、リップスティック、ファンデーション、メイクアップ、ルース又はプレスパウダー、アイブラッシュ、アイシャドウ、マスカラ、マニキュア、ネイルラッカー、及び毛髪の非永続的染色組成物から選択される、請求項12に定義される化粧品組成物又は医薬組成物。
【請求項14】
前記安息香酸エステル化合物の前記有効量が、サンスクリーンの全重量に対して、0.01から40wt%の範囲である、請求項13に記載の化粧品組成物又は医薬組成物。
【請求項15】
前記安息香酸エステル化合物の前記有効量が、サンスクリーンの全重量に対して、0.05から25wt%の範囲である、請求項14に記載の化粧品組成物又は医薬組成物。
【請求項16】
前記安息香酸エステル化合物の前記有効量が、サンスクリーン配合物の0.1wt%から約15wt%の範囲である、請求項15に記載の化粧品組成物又は医薬組成物。
【請求項17】
前記安息香酸エステル化合物が組成物の成分を太陽の放射から光安定化する、請求項6に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項18】
クリーム、軟膏、乳剤、懸濁液、粉末、オイル、ローション、ゲル、スティック、フォーム、エマルジョン、分散液、スプレー、エアロゾル、リップスティック、ファンデーション、メイクアップ、ルース又はプレスパウダー、アイブラッシュ、アイシャドウ、マスカラ、マニキュア、ネイルラッカー、及び毛髪の非永続的染色組成物から選択される、請求項17に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項19】
日光への暴露時間及び太陽の放射の程度に依存して進展するUV防護によって特徴付けられるパーソナルケア組成物を調製するための、請求項1に記載の安息香酸エステル化合物の使用。
【請求項20】
クリーム、軟膏、乳剤、懸濁液、粉末、オイル、ローション、ゲル、スティック、フォーム、エマルジョン、分散液、スプレー、エアロゾル、リップスティック、ファンデーション、メイクアップ、ルース又はプレスパウダー、アイブラッシュ、アイシャドウ、マスカラ、マニキュア、ネイルラッカー、及び毛髪の非永続的染色組成物から選択される、請求項19に定義されるパーソナルケア組成物。
【請求項21】
前記物質が、有機化合物、オイル、脂肪、ワックス、ゼラチン、サンスクリーン、ポリマー、放射線硬化組成物、樹脂、ワニス、セルロース、セルロース系紙配合物、写真材料、写真フィルム紙、金属製品、セラミック製品、殺生物剤、天然織物繊維、織物、染料、インク、顔料、塗料、コーティング剤、接着剤、皮革、木材、ゴム、ガラス、レンズ、複合材料、これらの混合物又はブレンドからなる群から選択される、請求項1に定義される産業用組成物の使用。
【請求項22】
UVからの防護能力が向上したサンスクリーン化合物にインシチュ(in situ)で光化学的に変換されることが可能な安息香酸エステル化合物の少なくとも1種の有効量を含む、請求項21に定義される産業用組成物。
【請求項23】
前記安息香酸エステル化合物の前記有効量が、安定化される前記物質の重量に対して、0.01から30重量%の範囲である、請求項22に記載の産業用組成物。
【請求項24】
前記安息香酸エステル化合物の前記有効量が、安定化される前記物質の重量に対して、0.05から20重量%の範囲である、請求項23に記載の産業用組成物。
【請求項25】
前記安息香酸エステル化合物の前記有効量が、安定化される前記物質の重量に対して、0.1から10重量%の範囲である、請求項24に記載の産業用組成物。
【請求項26】
前記ポリマーが、ポリオレフィン、ポリケトン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール誘導体、ポリ酢酸ビニル誘導体、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレア、ポリカーボネート、ポリシロキサン、ポリケチミン、複合材料、これらの混合物又はブレンドから選択される、請求項21に定義されるか、又は請求項22から25までに記載の産業用組成物。
【請求項27】
前記樹脂が、炭化水素樹脂、フェノール/ホルムアルデヒド樹脂、ウレア/ホルムアルデヒド樹脂、メラミン/ホルムアルデヒド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、架橋性アクリル樹脂、架橋エポキシ樹脂、エポキシ/メラミン樹脂、複合材料、これらの混合物又はブレンドから選択される、請求項21に定義されるか、又は請求項22から25までに記載の産業用組成物。
【請求項28】
前記天然織物繊維が、絹、綿及び羊毛、複合材料、これらの混合物又はブレンドから選択される、請求項21に定義されるか、又は請求項24から25までに記載の産業用組成物。
【請求項29】
日光への暴露時間及び太陽の放射の程度に依存して進展するUV防護によって特徴付けられる産業用組成物を調製するための、請求項1に記載の安息香酸エステル化合物の使用。
【請求項30】
有機化合物、オイル、脂肪、ワックス、ゼラチン、サンスクリーン、ポリマー、放射線硬化組成物、樹脂、ワニス、セルロース、セルロース系紙配合物、写真材料、写真フィルム紙、金属製品、セラミック製品、殺生物剤、天然織物繊維、織物、染料、インク、顔料、塗料、コーティング剤、接着剤、皮革、木材、ゴム、ガラス、レンズ、複合材料、これらの混合物又はブレンドからなる群から選択される物質を含む、請求項29に定義される産業用組成物。
【請求項31】
前記安息香酸エステル化合物の前記有効量が、安定化される前記物質の重量に対して、0.01から30重量%の範囲である、請求項30に記載の産業用組成物。
【請求項32】
前記安息香酸エステル化合物の前記有効量が、安定化される前記物質の重量に対して、0.05から20重量%の範囲である、請求項31に記載の産業用組成物。
【請求項33】
前記安息香酸エステル化合物の前記有効量が、安定化される前記物質の重量に対して、0.1から10重量%の範囲である、請求項32に記載の産業用組成物。
【請求項34】
前記ポリマーが、ポリオレフィン、ポリケトン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール誘導体、ポリ酢酸ビニル誘導体、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレア、ポリカーボネート、ポリシロキサン、ポリケチミン、複合材料、これらの混合物又はブレンドから選択される、請求項30から33までに記載の産業用組成物。
【請求項35】
前記樹脂が、炭化水素樹脂、フェノール/ホルムアルデヒド樹脂、ウレア/ホルムアルデヒド樹脂、メラミン/ホルムアルデヒド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、架橋性アクリル樹脂、架橋エポキシ樹脂、エポキシ/メラミン樹脂、複合材料、これらの混合物又はブレンドから選択される、請求項30から33までに記載の産業用組成物。
【請求項36】
前記天然織物繊維が、絹、綿及び羊毛、複合材料、これらの混合物又はブレンドなどから選択される、請求項30から33までに記載の産業用組成物。
【請求項37】
光転移により、受けたUVB放射の量を示す、化粧品組成物又は医薬組成物、パーソナルケア組成物又は産業用組成物を調製するための、請求項1に記載の安息香酸エステル化合物の使用。
【請求項38】
式(Ia)の安息香酸エステル化合物又はその薬学的に許容される塩
【化3】


[式中、Rは(i)、(ii)及び(iii)から選択される基であり;
【化4】


式中、R〜Rは、水素、C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C−アルコキシ、C〜C−シクロアルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、C〜C−アルキルアミノ、C〜C−ジアルキルアミノ(前記ジアルキルアミノの前記2つのアルキル部分は、それらが結合している窒素原子と一緒に、C〜C−アルキル若しくはC〜C−シクロアルキルによって任意選択でN−置換されている、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン及びピペラジンから選択される複素環を形成していてもよい)、C〜C−シクロアルキルアミノ、C〜C−アルキル−C〜C−シクロアルキルアミノ及びC〜C−ジシクロアルキルアミノから独立に選択されるか、或いは、隣接する環内炭素上の2つの基は、縮合したO−(CH−O基(mは1若しくは2である)を形成しているか、又は、隣接する環内炭素上の2つの基は、縮合したCH=CH−CH=CH基を形成しており;
R’は、水素であり;
〜R10は、水素、C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C−アルコキシ、C〜C−シクロアルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、C〜C−アルキルアミノ、C〜C−ジアルキルアミノ(前記ジアルキルアミノの前記2つのアルキル部分は、それらが結合している窒素原子と一緒に、C〜C−アルキル若しくはC〜C−シクロアルキルによって任意選択でN−置換されている、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン及びピペラジンから選択される複素環を形成していてもよい)、C〜C−シクロアルキルアミノ、C〜C−アルキル−C〜C−シクロアルキルアミノ及びC〜C−ジシクロアルキルアミノから独立に選択されるか、或いは、隣接する環内炭素上の2つの基は、縮合したO−(CH−O基(nは1若しくは2である)を形成しているか、又は、隣接する環内炭素上の2つの基は、縮合したCH=CH−CH=CH基を形成しており;
11は、水素、C〜C−アルキル及びC〜C−シクロアルキルから選択され;
12は、水素、C〜C−アルキル及びC〜C−シクロアルキルから選択され;
13及びR14は、水素、C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C−アルコキシ、C〜C−シクロアルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、C〜C−アルキルアミノ、C〜C−ジアルキルアミノ(前記ジアルキルアミノの前記2つのアルキル部分は、それらが結合している窒素原子と一緒に、C〜C−アルキル若しくはC〜C−シクロアルキルによって任意選択でN−置換されている、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン及びピペラジンから選択される複素環を形成していてもよい)、C〜C−シクロアルキルアミノ、C〜C−アルキル−C〜C−シクロアルキルアミノ及びC〜C−ジシクロアルキルアミノから独立に選択され;
或いは、基OR12及びR14は、縮合したO−(CH−O基(pは1若しくは2である)を形成しており;
15は、1−ピロリジニル、1−ピペリジニル、4−モルホリニル、及び1(4)−ピペラジニル(C〜C−アルキル若しくはC〜C−シクロアルキルによって任意選択で4(1)−置換されている)から選択され;また
16〜R18は、水素、C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C−アルコキシ、C〜C−シクロアルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、C〜C−アルキルアミノ、C〜C−ジアルキルアミノ(前記ジアルキルアミノの前記2つのアルキル部分は、それらが結合している窒素原子と一緒に、C〜C−アルキル若しくはC〜C−シクロアルキルによって任意選択でN−置換されている、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン及びピペラジンから選択される複素環を形成していてもよい)、C〜C−シクロアルキルアミノ、C〜C−アルキル−C〜C−シクロアルキルアミノ及びC〜C−ジシクロアルキルアミノから独立に選択されるか、或いは、隣接する環内炭素上の2つの基は、縮合したO−(CH−O基(qは1若しくは2である)を形成しているか、又は、隣接する環内炭素上の2つの基は、縮合したCH=CH−CH=CH基を形成している;
但し、
、R、及びR〜R10がそれぞれ水素である場合、Rは水素又はメトキシであることはできず;また
〜R、R及びR10がそれぞれ水素である場合、Rはメチルであることはできない]。
【請求項39】
前記化合物において、Rが(i)である場合に、Rが、C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C−アルコキシ、C〜C−シクロアルコキシから独立に選択され、Rが、水素、C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C−アルコキシ、C〜C−シクロアルコキシから独立に選択され、R、R、R〜R、R及びR10がそれぞれ水素であり;Rが(ii)である場合に、R〜R、R11、R13及びR14がそれぞれ水素であり、R12が、C〜C−アルキル及びC〜C−シクロアルキルであり;Rが(iii)である場合に、R15が、1−ピロリジニル、1−ピペリジニル、4−モルホリニル及び1(4)−ピペラジニル(C〜C−アルキル若しくはC〜C−シクロアルキルによって任意選択で4(1)−置換されている)から選択され、R16〜R18がそれぞれ水素である;
但し、
、R、及びR〜R10がそれぞれ水素である場合、Rは水素又はメトキシであることはできず;また
〜R、R及びR10がそれぞれ水素である場合、Rはメチルであることはできない、請求項38に記載の安息香酸エステル化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項40】
4−tert−ブチル安息香酸1−(4−メトキシフェニル)−ビニル;
4−メトキシ安息香酸1−(4−tert−ブチルフェニル)−ビニル;
4−tert−ブチル安息香酸1−フェニルビニル;
4−ベンゾイルオキシ−2−メトキシベンゼンスルホン酸;及び
安息香酸3−(1−ピロリジニル)フェニル
からなる群から選択される、請求項39に記載の安息香酸エステル化合物。
【請求項41】
式(II)のアシルハライド
【化5】


[式中、R〜Rは上で定義された通りであり、Xはフッ素、塩素及び臭素からなる群から選択されるハロゲン原子である]
を、式(III)のシリルエノール
【化6】


[式中、R’及びR〜R10は上で定義された通りであり、R19〜R21は、C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル及びC−(CH−(rは1〜4である)から独立に選択されるか、或いは、2つの基は、ケイ素原子と一緒に、シロラン、シリラン及びシレパンから選択される環を形成していてもよい]
と、塩化第二水銀、塩化第一銅及びこれらの混合物からなる群から選択される触媒の存在下で反応させることによる、Rが(i)である場合の、請求項38に定義される安息香酸エステル化合物の調製方法。
【請求項42】
Xが塩素であり、R19〜R21がそれぞれメチルである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
式(IV)の安息香酸エステル
【化7】


[式中、R〜R及びR12〜R14は上で定義された通りである]
を、クロロスルホン酸と反応させ、その後、C〜C−アルキル−OH又はC〜C−シクロアルキル−OHとの任意選択のエステル化反応による、Rが(ii)である場合の、請求項38に定義される安息香酸エステル化合物の調製方法。
【請求項44】
中間体(VI)
【化8】


[式中、R11は水素であり、R12〜R14は上で定義された通りである]
を、酸中間体(VII)
【化9】


[式中、R〜Rは上で定義された通りである]
によりエステル化することによる、Rが(ii)であり、R11が水素である場合の、請求項38に定義される安息香酸エステル化合物の調製方法。
【請求項45】
中間体(VI)
【化10】


[式中、R11は、C〜C−アルキル又はC〜C−シクロアルキルであり、R12〜R14は上で定義された通りである]
を、(VII)によりエステル化することによる、Rが(ii)である場合の、請求項38及び44に定義される安息香酸エステル化合物の調製方法。
【請求項46】
式(II)のアシルハライド
【化11】


[式中、R〜Rは上で定義された通りであり、Xはフッ素、塩素及び臭素からなる群から選択されるハロゲン原子である]
を、式(VIII)のフェノール
【化12】


[式中、R15〜R18は上で定義された通りである]
と反応させることによる、Rが(iii)である場合の、請求項38に定義される安息香酸エステル化合物の調製方法。
【請求項47】
Xが塩素である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
4−tert−ブチルアセトフェノントリメチルシリルエノールである、請求項41に定義される式(III)のシリルエノール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−533188(P2008−533188A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−502392(P2008−502392)
【出願日】平成18年3月20日(2006.3.20)
【国際出願番号】PCT/EP2006/060886
【国際公開番号】WO2006/100225
【国際公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(501108452)フエルレル インターナショナル,ソシエダッド アノニマ (39)
【Fターム(参考)】