説明

封止用エポキシ樹脂組成物及び電子部品装置

【課題】ノンハロゲンかつノンアンチモンで、成形性、耐リフロー性、耐湿性及び高温放置特性等の信頼性を低下させずに難燃性が良好な封止用エポキシ樹脂組成物、及びこれにより封止した素子を備えた電子部品装置を提供する。
【解決手段】エポキシ樹脂、硬化剤を含有し、エポキシ樹脂として特定の化学式で示される化合物とインデン系オリゴマーを含有する封止用エポキシ樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封止用エポキシ樹脂組成物及び電子部品装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、トランジスタ、IC等の電子部品装置の素子封止の分野では生産性、コスト等の面から樹脂封止が主流となり、エポキシ樹脂成形材料が広く用いられている。この理由としては、エポキシ樹脂が電気特性、耐湿性、耐熱性、機械特性、インサート品との接着性などの諸特性にバランスがとれているためである。これらの封止用エポキシ樹脂成形材料の難燃化は主にテトラブロモビスフェノールAのジグリシジルエーテル等のブロム化樹脂と酸化アンチモンの組合せにより行われている。
【0003】
近年、環境保護の観点からRoHS、WEEE等、臭素系化合物に関する法規制の動きがあり、封止用エポキシ樹脂成形材料についてもノンハロゲン化(ノンブロム化)及びノンアンチモン化の要求が出てきている。また、プラスチック封止ICの高温放置特性にブロム化合物が悪影響を及ぼすことが知られており、この観点からもブロム化樹脂量の低減が望まれている。
【0004】
そこで、ブロム化樹脂や酸化アンチモンを用いずに難燃化を達成する手法としては、赤リンを用いる方法(例えば特許文献1参照。)、リン酸エステル化合物を用いる方法(例えば特許文献2参照。)、ホスファゼン化合物を用いる方法(例えば特許文献3参照。)、金属水酸化物を用いる方法(例えば特許文献4参照。)、金属水酸化物と金属酸化物を併用する方法(例えば特許文献5参照。)、フェロセン等のシクロペンタジエニル金属化合物(例えば特許文献6参照。)、アセチルアセトナート銅(例えば非特許文献1参照。)等の有機金属化合物を用いる方法などのハロゲン、アンチモン以外の難燃剤を用いる方法、充填剤の割合を高くする方法(例えば特許文献7参照。)、また最近では、難燃性の高い樹脂を使用する方法(例えば特許文献8参照。)等が試みられている。
【特許文献1】特開平9−227765号公報
【特許文献2】特開平9−235449号公報
【特許文献3】特開平8−225714号公報
【特許文献4】特開平9−241483号公報
【特許文献5】特開平9−100337号公報
【特許文献6】特開平11−269349号公報
【特許文献7】特開平7−82343号公報
【特許文献8】特開平11−140277号公報
【非特許文献1】加藤寛、機能材料、11(6)、34(1991)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、封止用エポキシ樹脂成形材料に赤リンを用いた場合は耐湿性の低下の問題、リン酸エステル化合物やホスファゼン化合物を用いた場合は可塑化による成形性の低下や耐湿性の低下の問題、金属水酸化物を用いた場合は流動性や金型離型性の低下の問題、金属酸化物を用いた場合や、充填剤の割合を高くした場合は流動性の低下の問題がそれぞれある。また、アセチルアセトナート銅等の有機金属化合物を用いた場合は、硬化反応を阻害し成形性が低下する問題がある。さらにはこれまで発明された難燃性の高い樹脂を使用する方法では、電子部品装置の材料に求められる難燃性規格UL−94、V−0を十分に満足するものではなかった。
【0006】
以上のようにこれらノンハロゲン、ノンアンチモン系の難燃剤を用いる方法、充填剤の割合を高くする方法及び難燃性の高い樹脂を使用する方法では、いずれの場合もブロム化樹脂と酸化アンチモンを併用した封止用エポキシ樹脂成形材料と同等の成形性、信頼性及び難燃性を得るに至っていない。
【0007】
本発明の課題は、ノンハロゲンかつノンアンチモンで、成形性、耐リフロー性、耐湿性及び高温放置特性等の信頼性を低下させずに難燃性が良好な封止用エポキシ樹脂組成物、及びこれにより封止された素子を備えてなる電子部品装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、特定のエポキシ樹脂及びインデン系オリゴマーを含有する封止用エポキシ樹脂組成物が上記課題を達成しうることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、(1)(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤及び(C)インデン系オリゴマーを含有する封止用エポキシ樹脂組成物であって、前記(A)エポキシ樹脂が下記一般式(I)で示される化合物(a1)及び下記一般式(II)で示される化合物(a2)を含有することを特徴とする封止用エポキシ樹脂組成物に関する。
【化1】

【0010】
(一般式(I)中、R〜Rは水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜10の一価の炭化水素基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
【化2】

【0011】
(一般式(II)中、R〜R16は水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜10の一価の炭化水素基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
また、本発明は、(2)前記化合物(a1)と化合物(a2)が予め混合されていることを特徴とする前記(1)に記載の封止用エポキシ樹脂組成物に関する。
【0012】
また、本発明は、(3)前記化合物(a1)の含有量が、化合物(a1)と化合物(a2)の総質量に対して30〜90質量%である前記(1)又は(2)に記載の封止用エポキシ樹脂組成物に関する。
【0013】
また、本発明は、(4)前記化合物(a1)の含有量が、化合物(a1)と化合物(a2)の総質量に対して45〜80質量%である前記(1)又は(2)に記載の封止用エポキシ樹脂組成物に関する。
【0014】
また、本発明は、(5)前記化合物(a1)と化合物(a2)の総質量が、前記(A)エポキシ樹脂全量の50〜100質量%である前記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の封止用エポキシ樹脂組成物に関する。
【0015】
また、本発明は、(6)前記(A)エポキシ樹脂が、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、硫黄原子含有エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ビフェニレン型エポキシ樹脂及びナフトール・アラルキル型フェノール樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種のエポキシ樹脂を含有する前記(1)〜(5)のいずれか一項に記載の封止用エポキシ樹脂組成物に関する。
【0016】
また、本発明は、(7)前記(B)硬化剤が、ビフェニル型フェノール樹脂、アラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、トリフェニルメタン型フェノール樹脂及びノボラック型フェノール樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の硬化剤を含有する前記(1)〜(6)のいずれか一項に記載の封止用エポキシ樹脂組成物に関する。
【0017】
また、本発明は、(8)前記(C)インデン系オリゴマーの含有量が、(A)エポキシ樹脂100質量部に対して5〜25質量部である前記(1)〜(7)のいずれか一項に記載の封止用エポキシ樹脂組成物に関する。
【0018】
また、本発明は、(9)(D)硬化促進剤を含有する前記(1)〜(8)のいずれか一項に記載の封止用エポキシ樹脂組成物に関する。
【0019】
また、本発明は、(10)前記(D)硬化促進剤がトリフェニルホスフィンである前記(9)に記載の封止用エポキシ樹脂組成物に関する。
【0020】
また、本発明は、(11)前記(D)硬化促進剤が第三ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物である前記(9)に記載の封止用エポキシ樹脂組成物に関する。
【0021】
また、本発明は、(12)(E)無機充填剤を含有する前記(1)〜(11)のいずれか一項に記載の封止用エポキシ樹脂組成物に関する。
【0022】
また、本発明は、(13)前記(E)無機充填剤の含有量が、封止用エポキシ樹脂組成物の総質量に対して60〜95質量%である前記(12)に記載の封止用エポキシ樹脂組成物に関する。
【0023】
また、本発明は、(14)前記(E)無機充填剤の含有量が、封止用エポキシ樹脂組成物の総質量に対して70〜90質量%である前記(12)に記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
【0024】
また、本発明は、(15)(F)カップリング剤を含有する前記(1)〜(14)のいずれか一項に記載の封止用エポキシ樹脂組成物に関する。
【0025】
また、本発明は、(16)前記(F)カップリング剤が2級アミノ基を有するシランカップリング剤を含有する前記(15)に記載の封止用エポキシ樹脂組成物に関する。
【0026】
また、本発明は、(17)前記2級アミノ基を有するシランカップリング剤が下記一般式(III)で示される化合物を含有する前記(16)に記載の封止用エポキシ樹脂組成物に関する。
【化3】

【0027】
(一般式(III)中、Rは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基及び炭素数1〜2のアルコキシ基から選ばれ、Rは炭素数1〜6のアルキル基及びフェニル基から選ばれ、Rはメチル基又はエチル基を示し、nは1〜6の整数を示し、mは1〜3の整数を示す。)
また、本発明は、(18)前記(1)〜(17)いずれか一項に記載の封止用エポキシ樹脂組成物で封止された素子を備えてなる電子部品装置に関する。
【発明の効果】
【0028】
本発明によればノンハロゲンかつノンアンチモンで、成形性、耐リフロー性、耐湿性及び高温放置特性等の信頼性を低下させずに難燃性が良好な封止用エポキシ樹脂組成物、及びこれにより封止された素子を備えてなる電子部品装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明の封止用エポキシ樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤及び(C)インデン系オリゴマーを含有する封止用エポキシ樹脂組成物であって、前記(A)エポキシ樹脂が下記一般式(I)で示される化合物(a1)及び下記一般式(II)で示される化合物(a2)を含有することを特徴とする。
【化4】

【0030】
(一般式(I)中、R〜Rは水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜10の一価の炭化水素基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
【化5】

【0031】
(一般式(II)中、R〜R16は水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜10の一価の炭化水素基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
以下、本発明の封止用エポキシ樹脂組成物を構成する各成分について説明する。
【0032】
(A)エポキシ樹脂
本発明の封止用エポキシ樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂として上記一般式(I)で示される化合物(a1)及び一般式(II)で示される化合物(a2)を含有することが重要であり、それによってノンハロゲンかつノンアンチモンで、成形性、耐リフロー性、耐湿性、高温放置特性等の信頼性を低下させずに難燃性が良好となる。
【0033】
前記化合物(a1)は、上記一般式(I)で示されるビスフェノールA構造を有するエポキシ化合物であり、式(I)中のR〜Rは水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜10の一価の炭化水素基であり、例えば、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜10のアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基等の炭素数1〜10のアルケニル基;などが挙げられる。これらのなかでも、水素原子が好ましい。このようなエポキシ樹脂としては、2,2−ビス[4−(2,3‐エポキシプロポキシ)フェニル]プロパンが挙げられる。
前記化合物(a2)は、上記一般式(II)で示されるビフェニル構造を有するエポキシ化合物であり、式(I)中のR〜R16は水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜10の一価の炭化水素基であり、例えば、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜10のアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基等の炭素数1〜10のアルケニル基;などが挙げられる。これらのなかでも、水素原子が好ましい。このようなエポキシ樹脂としては、4,4´−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ビフェニルが挙げられる。
前記化合物(a1)と化合物(a2)は、あらかじめ混合されていることが好ましい。特に化合物(a1)は単独では製造困難であるため、ビスフェノールA型化合物(化合物(a1)の原料)とビフェノール型化合物(化合物(a2)の原料)をあらかじめ混合した状態でエピクロルヒドリンと反応させてエポキシ樹脂混合物として製造することが好ましい。
【0034】
前記化合物(a1)の含有量は、化合物(a1)と化合物(a2)の総質量に対して30〜90質量%であることが好ましく、45〜80質量%であることがより好ましい。前記化合物(a1)の含有量が30質量%以上であると流動性が良好となり、90質量%以下であると難燃性が良好となり、また製造時に結晶として合成し易くなる。
【0035】
前記化合物(a1)と化合物(a2)の総質量が、前記(A)エポキシ樹脂全量の50〜100質量%であることが好ましく、80〜100質量%であることがより好ましい。前記化合物(a1)と化合物(a2)の総質量が50重量%以上であると難燃性、流動性及び耐リフロー性が良好となる。
【0036】
化合物(a1)と化合物(a2)との混合物であり、化合物(a1)の含有量が70質量%、化合物(a2)の含有量が30質量%で、化合物(a1)のR〜Rが水素原子で、化合物(a2)のR〜R16が水素原子である市販品として、ジャパンエポキシレジン株式会社製商品名:YL−7399がある。
【0037】
本発明における(A)エポキシ樹脂は、前記化合物(a1)及び化合物(a2)を含有するものであるが、従来公知のエポキシ樹脂を併用することができる。併用可能なエポキシ樹脂としては、たとえば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン骨格を有するエポキシ樹脂をはじめとするフェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のフェノール類及び/又はα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド基を有する化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したノボラック型エポキシ樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、アルキル置換又は非置換のビフェノール等のジグリシジルエーテル;スチルベン型エポキシ樹脂;ハイドロキノン型エポキシ樹脂;フタル酸、ダイマー酸等の多塩基酸とエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸等のポリアミンとエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエンとフェノール類の共縮合樹脂のエポキシ化物;ナフタレン環を有するエポキシ樹脂;キシリレン骨格、ビフェニレン骨格を含有するフェノール・アラルキル樹脂、ナフトール・アラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂のエポキシ化物;トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂;テルペン変性エポキシ樹脂;オレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂;脂環族エポキシ樹脂;硫黄原子含有エポキシ樹脂;などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0038】
これらのなかでも、流動性及び耐リフロー性の観点からはビスフェノールF型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂及び硫黄原子含有エポキシ樹脂から選ばれる少なくとも1種を含有していることが好ましい。また、硬化性の観点からはノボラック型エポキシ樹脂が好ましく、低吸湿性の観点からはジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂を含有していることが好ましい。また、耐熱性及び低反り性の観点からはナフタレン型エポキシ樹脂及びトリフェニルメタン型エポキシ樹脂から選ばれる少なくとも1種を含有していることが好ましい。また、難燃性の観点からはビフェニレン型エポキシ樹脂及びナフトール・アラルキル型エポキシ樹脂から選ばれる少なくとも1種を含有していることが好ましい。
【0039】
ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、たとえば下記一般式(V)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
【化6】

【0040】
(一般式(V)中、R〜Rは水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜10の一価の炭化水素基であり、全てが同一でも異なっていてもよい。nは0〜3の整数を示す。)
上記一般式(V)で示されるビスフェノールF型エポキシ樹脂は、ビスフェノールF化合物にエピクロルヒドリンを公知の方法で反応させることによって得られる。一般式(V)中のR〜Rは、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜10の一価の炭化水素基であり、たとえば、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜10のアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基等の炭素数1〜10のアルケニル基;などが挙げられる。これらのなかでも水素原子又はメチル基が好ましい。このようなエポキシ樹脂としては、たとえば、4,4´‐メチレンビス(2,6‐ジメチルフェノール)のジグリシジルエーテルを主成分とするエポキシ樹脂、4,4´‐メチレンビス(2,3,6‐トリメチルフェノール)のジグリシジルエーテルを主成分とするエポキシ樹脂、4,4´‐メチレンビスフェノールのジグリシジルエーテルを主成分とするエポキシ樹脂等が挙げられ、なかでも4,4´‐メチレンビス(2,6‐ジメチルフェノール)のジグリシジルエーテルを主成分とするエポキシ樹脂が好ましい。そのようなエポキシ樹脂は、R、R、R及びRがメチル基で、R、R、R及びRが水素原子であり、n=0を主成分とする東都化成株式会社製商品名:YSLV−80XY等が市販品として入手可能である。
【0041】
上記ビスフェノールF型エポキシ樹脂の配合量は、その性能を発揮するために(A)エポキシ樹脂全量中、50質量%以下とすることが好ましい。
【0042】
スチルベン型エポキシ樹脂としては、たとえば下記一般式(VI)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
【化7】

【0043】
(一般式(VI)中、R〜Rは水素原子及び置換基を有していてもよい炭素数1〜5の一価の炭化水素基から選ばれ、全てが同一でも異なっていてもよい。nは0〜10の整数を示す。)
上記一般式(VI)で示されるスチルベン型エポキシ樹脂は、原料であるスチルベン系フェノール類とエピクロルヒドリンとを塩基性物質存在下で反応させて得ることができる。この原料であるスチルベン系フェノール類としては、たとえば3−tert−ブチル−4,4′−ジヒドロキシ−3′,5,5′−トリメチルスチルベン、3−tert−ブチル−4,4′−ジヒドロキシ−3′,5′,6−トリメチルスチルベン、4,4´−ジヒドロキシ−3,3´,5,5´−テトラメチルスチルベン、4,4´−ジヒドロキシ−3,3´−ジ−tert−ブチル−5,5´−ジメチルスチルベン、4,4´−ジヒドロキシ−3,3´−ジ−tert−ブチル−6,6´−ジメチルスチルベン等が挙げられ、なかでも3−tert−ブチル−4,4′−ジヒドロキシ−3′,5,5′−トリメチルスチルベン、及び4,4´−ジヒドロキシ−3,3´,5,5´−テトラメチルスチルベンが好ましい。これらのスチルベン型フェノール類は単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0044】
上記スチルベン型エポキシ樹脂の配合量は、その性能を発揮するためにエポキシ樹脂全量中、50質量%以下とすることが好ましい。
【0045】
硫黄原子含有エポキシ樹脂としては、たとえば下記一般式(VII)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
【化8】

【0046】
(一般式(VII)中、R〜Rは水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基及び置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基から選ばれ、全てが同一でも異なっていてもよい。nは0〜3の整数を示す。)
上記一般式(VII)で示される硫黄原子含有エポキシ樹脂のなかでも、R、R、R及びRが水素原子で、R、R、R及びRがアルキル基であるエポキシ樹脂が好ましく、R、R、R及びRが水素原子で、R及びRがtert−ブチル基で、R及びRがメチル基であるエポキシ樹脂がより好ましい。このような化合物としては、東都化成株式会社製商品名:YSLV−120TE等が市販品として入手可能である。これらのエポキシ樹脂はいずれか1種を単独で併用に用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0047】
上記硫黄原子含有エポキシ樹脂の配合量は、その性能を発揮するためにエポキシ樹脂全量中、50質量%以下とすることが好ましい。
【0048】
ノボラック型エポキシ樹脂としては、たとえば下記一般式(VIII)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
【化9】

【0049】
(一般式(VIII)中、Rは水素原子及び置換基を有していてもよい炭素数1〜10の一価の炭化水素基から選ばれ、nは0〜10の整数を示す。)
上記一般式(VIII)で示されるノボラック型エポキシ樹脂は、ノボラック型フェノール樹脂にエピクロルヒドリンを反応させることによって容易に得られる。なかでも、一般式(VIII)中のRとしては、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基等の炭素数1〜10のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシル基;などが好ましく、水素原子又はメチル基がより好ましい。nは0〜3の整数が好ましい。上記一般式(VIII)で示されるノボラック型エポキシ樹脂のなかでも、オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。このような化合物としては、日本化薬株式会社製商品名:EOCN−1020等が市販品として入手可能である。
【0050】
上記ノボラック型エポキシ樹脂の配合量は、その性能を発揮するためにエポキシ樹脂全量中、50質量%以下とすることが好ましい。
【0051】
ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂としては、たとえば下記一般式(IX)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
【化10】

【0052】
(一般式(IX)中、R及びRは水素原子及び置換基を有していてもよい炭素数1〜10の一価の炭化水素基からそれぞれ独立して選ばれ、nは0〜10の整数を示し、mは0〜6の整数を示す。)
上記式(IX)中のRとしては、たとえば、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基等のアルケニル基;ハロゲン化アルキル基、アミノ基置換アルキル基、メルカプト基置換アルキル基などの炭素数1〜5の置換又は非置換の一価の炭化水素基が挙げられ、なかでもメチル基、エチル基等のアルキル基及び水素原子が好ましく、メチル基及び水素原子がより好ましい。Rとしては、たとえば、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基等のアルケニル基;ハロゲン化アルキル基、アミノ基置換アルキル基、メルカプト基置換アルキル基などの炭素数1〜5の置換基を有していてもよい一価の炭化水素基が挙げられ、なかでも水素原子が好ましい。このような化合物としては、大日本インキ化学工業株式会社製商品名:HP−7200等が市販品として入手可能である。
【0053】
上記ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂の配合量は、その性能を発揮するためにエポキシ樹脂全量中、50質量%以下とすることが好ましい。
【0054】
ナフタレン型エポキシ樹脂としてはたとえば下記一般式(X)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
【化11】

【0055】
(一般式(X)中、R〜Rは水素原子及び置換基を有していてもよい炭素数1〜12の一価の炭化水素基から選ばれ、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。pは1又は0で、l、mはそれぞれ0〜11の整数であって、(l+m)が1〜11の整数でかつ(l+p)が1〜12の整数となるよう選ばれる。iは0〜3の整数、jは0〜2の整数、kは0〜4の整数を示す。)
上記一般式(X)で示されるナフタレン型エポキシ樹脂としては、l個の構成単位及びm個の構成単位をランダムに含むランダム共重合体、交互に含む交互共重合体、規則的に含む共重合体、ブロック状に含むブロック共重合体が挙げられ、これらのいずれか1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。R、Rが水素原子で、Rがメチル基である上記化合物としては、日本化薬株式会社製商品名:NC−7000等が市販品として入手可能である。
【0056】
上記ナフタレン型エポキシ樹脂の配合量は、その性能を発揮するためにエポキシ樹脂全量中、50質量%以下とすることが好ましい。
【0057】
トリフェニルメタン型エポキシ樹脂としては、たとえば下記一般式(XI)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
【化12】

【0058】
(一般式(XI)中、Rは水素原子及び置換基を有していてもよい炭素数1〜10の一価の炭化水素基から選ばれ、nは1〜10の整数を示す。)
上記一般式(XI)で示されるトリフェニルメタン型エポキシ樹脂としては、Rが水素原子であるジャパンエポキシレジン株式会社製商品名:E−1032等が市販品として入手可能である。
【0059】
上記トリフェニルメタン型エポキシ樹脂の配合量は、その性能を発揮するためにエポキシ樹脂全量中、50質量%以下とすることが好ましい。
【0060】
ビフェニレン型エポキシ樹脂としては、たとえば下記一般式(XII)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
【化13】

【0061】
(一般式(XII)中、R〜Rは全てが同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシル基、炭素数6〜10のアリール基及び炭素数6〜10のアラルキル基から選ばれ、nは0〜10の整数を示す。)
上記下記一般式(XII)において、R〜Rとしては、例えば、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基等の炭素数1〜10のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等の炭素数6〜10のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等の炭素数6〜10のアラルキル基などが挙げられ、これらのなかでも、水素原子又はメチル基が好ましい。ビフェニレン型エポキシ樹脂の市販品としては、日本化薬株式会社製商品名:NC−3000が入手可能である。
【0062】
上記ビフェニレン型エポキシ樹脂の配合量は、その性能を発揮するためにエポキシ樹脂全量中、50質量%以下とすることが好ましい。
【0063】
ナフトール・アラルキル型エポキシ樹脂としては、たとえば下記一般式(XIII)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
【化14】

【0064】
(一般式(XIII)中、R〜Rは水素原子及び置換基を有していてもよい炭素数1〜12の一価の炭化水素基から選ばれ、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。nは1〜10の整数を示す。)
ナフトール・アラルキル型エポキシ樹脂としては、東都化成株式会社製商品名:ESN−175等が市販品として入手可能である。
【0065】
上記ナフトール・アラルキル型エポキシ樹脂の配合量は、その性能を発揮するためにエポキシ樹脂全量中、50質量%以下とすることが好ましい。
【0066】
また、本発明では(A)エポキシ樹脂として、下記構造式(XIV)のエポキシ樹脂も使用することができる。
【化15】

【0067】
(一般式(XIV)中のRは、置換基を有していてもよい炭素数1〜12の炭化水素基及び置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルコキシ基から選ばれ、全てが同一でも異なっていてもよい。nは0〜4の整数を示す。またRは、置換基を有していてもよい炭素数1〜12の炭化水素基及び置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルコキシ基から選ばれ、全てが同一でも異なっていてもよい。mは0〜2の整数を示す。)
上記一般式(XIV)で示されるエポキシ樹脂としては、たとえば下記一般式(XV)〜(XXXIII)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
【化16】

【化17】

【化18】

【化19】

【化20】

【化21】

【化22】

【化23】

【化24】

【化25】

【0068】
これらのなかでも、難燃性、成形性の観点からは上記一般式(XV)で示されるエポキシ樹脂が好ましい。このようなエポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン社製商品名:YL−7172等が入手可能である。
【0069】
上記構造式(XIV)のエポキシ樹脂の配合量は、その性能を発揮するためにエポキシ樹脂全量中、50質量%以下とすることが好ましい。
【0070】
また、本発明では、(A)エポキシ樹脂として、下記一般式(XXXIV)で示される化合物を使用することもできる。
【化26】

【0071】
(一般式(XXXIV)中のRは水素原子、水酸基、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基から選ばれ、全てが同一でも異なっていてもよい。R、Rは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基から選ばれ、全てが同一でも異なっていてもよい。nは1〜20の整数を示し、mは1〜3の整数を示す。)
一般式(XXXIV)中、mは1〜2であることが難燃性、硬化性の観点から好ましい。一般式(XXXIV)で示される化合物はインドール類と架橋剤を酸触媒下で反応させた後、エピハロヒドリン化合物と反応させることにより得られる。インドール類の置換基Rとしては水素原子、メトキシ基、エトキシ基、ビニルエーテル基、イソプロポキシ基、アリルオキシ基、プロパルギルエーテル基、ブトキシ基、フェノキシ基、メチル基、エチル基、ビニル基、エチン基、n−プロピル基、イソプロピル基、アリル基、プロパルギル基、ブチル基、n−アミル基、sec−アミル基、tert−アミル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基等が挙げられる。好ましくは水素原子、炭素数1〜3のアルキル基であり、より好ましくは水素原子である。架橋剤と反応させて得られる下記一般式(a)の架橋基としてはp−キシリレン基、m−キシリレン基、1,4−ビスエチリデンフェニレン基、1,3−ビスエチリデンフェニレン基、1,4−ビスイソプロピリデンフェニレン基、1,3−イソプロピリデンフェニレン基、4,4’−ビスメチレンビフェニル基、3,4’−ビスメチレンビフェニル基、3,3’−ビスメチレンビフェニル基、4,4’−ビスエチリデンビフェニル基、3,4’−ビスエチリデンビフェニル基、3,3’−ビスエチリデンビフェニル基、4,4’−ビスイソプロピリデンビフェニル基、3,4’−ビスイソプロピリデンビフェニル基、3,3’−ビスイソプロピリデンビフェニル基が挙げられる。また架橋剤としてホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ブチルアルデヒド、アミルアルデヒド、ベンズアルデヒド、アセトン等のアルデヒド類、ケトン類を併用してもよい。nは1〜20の整数を示すが、好ましくは1〜5である。酸触媒としては塩酸、硫酸、燐酸、蟻酸、シュウ酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、塩化鉄、三フッ化ホウ素酸、イオン交換樹脂、活性白土、シリカアルミナ、ゼオライト等が挙げられる。
【化27】

【0072】
(一般式(a)中のR、Rは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基から選ばれ、全てが同一でも異なっていてもよい。mは1〜3の整数を示す。)
一般式(XXXIV)で示される化合物としては、東都化成株式会社製商品名:ENP−80等が入手可能である。一般式(XXXIV)で示される化合物の軟化点は、好ましくは40〜200℃、より好ましくは50〜160℃、さらに好ましくは60〜120℃である。前記軟化点が40℃未満の場合、硬化性が低下し、200℃を超える場合は流動性が低下する傾向にある。ここで軟化点とはJIS−K−6911の環球法に基づき測定される軟化点を示す。
【0073】
上記一般式(XXXIV)のエポキシ樹脂の配合量は、その性能を発揮するためにエポキシ樹脂全量中、50質量%以下とすることが好ましい。
【0074】
(B)硬化剤
本発明において用いられる(B)硬化剤は、封止用エポキシ樹脂組成物に一般に使用されているものであれば特に制限はないが、たとえば、フェノール、クレゾール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール、アミノフェノール等のフェノール類及び/又はα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類とホルムアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド基を有する化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック型フェノール樹脂;フェノール類及び/又はナフトール類とジメトキシパラキシレン又はビス(メトキシメチル)ビフェニルから合成されるフェノール・アラルキル樹脂、ビフェニレン型フェノール・アラルキル樹脂、ナフトール・アラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂;ビフェニル型フェノール樹脂;フェノール類及び/又はナフトール類とジシクロペンタジエンから共重合により合成される、ジシクロペンタジエン型フェノールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン型ナフトールノボラック樹脂等のジシクロペンタジエン型フェノール樹脂;トリフェニルメタン型フェノール樹脂;テルペン変性フェノール樹脂;パラキシリレン及び/又はメタキシリレン変性フェノール樹脂;メラミン変性フェノール樹脂;シクロペンタジエン変性フェノール樹脂;これら2種以上を共重合して得たフェノール樹脂;などが挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0075】
なかでも、難燃性、成形性の観点からは下記一般式(XXXV)で示されるフェノール・アラルキル樹脂が好ましい
【化28】

【0076】
(一般式(XXXV)中、Rは水素原子及び置換基を有していてもよい炭素数1〜10の一価の炭化水素基から選ばれ、nは0〜10の整数を示す。)
一般式(XXXV)中のRが水素原子で、nの平均値が0〜8であるフェノール・アラルキル樹脂がより好ましい。具体例としては、p−キシリレン型フェノール・アラルキル樹脂、m−キシリレン型フェノール・アラルキル樹脂等が挙げられる。このような化合物としては、三井化学株式会社製商品名:XLC等が市販品として入手可能である。フェノール・アラルキル型フェノール樹脂を用いる場合、その配合量は、その性能を発揮するために(B)硬化剤全量に対して30重量%以上とすることが好ましく、50重量%以上がより好ましい。
【0077】
ナフトール・アラルキル樹脂としては、たとえば下記一般式(XXXVI)で示されるフェノール樹脂等が挙げられる。
【化29】

【0078】
上記一般式(XXXVI)で示されるナフトール・アラルキル樹脂としては、たとえばR、Rが全て水素原子である化合物等が挙げられ、このような化合物としては、新日鐵化学株式会社製商品名:SN−170が市販品として入手可能である。
【0079】
ナフトール・アラルキル型フェノール樹脂を用いる場合、その配合量は、その性能を発揮するために(B)硬化剤全量に対して30重量%以上とすることが好ましく、50重量%以上がより好ましく、60質量%以上が特に好ましい。
【0080】
ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂としては、たとえば下記一般式(XXXVII)で示されるフェノール樹脂等が挙げられる。
【化30】

【0081】
(一般式(XXXVII)中、R及びRは水素原子及び置換基を有していてもよい炭素数1〜10の一価の炭化水素基からそれぞれ独立して選ばれ、nは0〜10の整数を示し、mは0〜6の整数を示す。)
上記一般式(XXXVII)において、R及びRが水素原子である化合物としては、新日本石油化学株式会社製商品名:DPP等が市販品として入手可能である。ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂を用いる場合、その配合量は、その性能を発揮するために(B)硬化剤全量に対して30重量%以上とすることが好ましく、50重量%以上がより好ましく、60質量%以上が特に好ましい。
【0082】
反り低減という観点からはトリフェニルメタン型フェノール樹脂が好ましい。トリフェニルメタン型フェノール樹脂としては、たとえば下記一般式(XXXVIII)で示されるフェノール樹脂等が挙げられる。
【化31】

【0083】
(一般式(XXXVIII)中、Rは水素原子及び置換基を有していてもよい炭素数1〜10の一価の炭化水素基から選ばれ、nは1〜10の整数を示す。)
上記一般式(XXXVIII)において、Rが水素原子である化合物としては、明和化成株式会社製商品名:MEH−7500等が市販品として入手可能である。
【0084】
トリフェニルメタン型フェノール樹脂の配合量は、(B)硬化剤全量に対して、10〜50質量%であることが好ましく、15〜30質量%がさらに好ましい。前記配合量が10質量%以上であると反り低減効果が良好となり、50質量%以下であると難燃性が良好となる。
【0085】
ノボラック型フェノール樹脂としては、たとえばフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂等が挙げられ、なかでもフェノールノボラック樹脂が好ましい。ノボラック型フェノール樹脂の配合量は、(B)硬化剤全量に対して、30重量%以上とすることが好ましく、50重量%以上がより好ましく、60質量%以上が特に好ましい。
【0086】
ビフェニレン型フェノール・アラルキル樹脂としては、たとえば下記一般式(XXXIX)で示されるフェノール樹脂等が挙げられる。
【化32】

【0087】
上記一般式(XXXIX)中のR〜Rは全てが同一でも異なっていてもよく、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基等の炭素数1〜10のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等の炭素数6〜10のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等の炭素数6〜10のアラルキル基;などから選ばれ、これらのなかでも水素原子又はメチル基が好ましい。nは0〜10の整数を示す。
【0088】
上記一般式(XXXIX)で示されるビフェニレン型フェノール・アラルキル樹脂としては、たとえばR〜Rが全て水素原子である化合物等が挙げられ、なかでも溶融粘度の観点から、nが1以上の縮合体を50重量%以上含む縮合体の混合物が好ましい。このような化合物としては、明和化成株式会社製商品名:MEH−7851が市販品として入手可能である。
【0089】
ビフェニレン型フェノール・アラルキル樹脂を用いる場合、その配合量は、その性能を発揮するために(B)硬化剤全量に対して、30重量%以上とすることが好ましく、50重量%以上がより好ましく、60質量%以上が特に好ましい。
【0090】
上記のアラルキル型フェノール樹脂、ナフトール・アラルキル樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、トリフェニルメタン型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂、ビフェニレン型フェノール・アラルキル樹脂は、いずれか1種を単独で用いても2種以上を組合わせて用いてもよい。
【0091】
併用する上記エポキシ樹脂の中では特にノボラック型フェノール樹脂が硬化性の観点から好ましく、アラルキル型フェノール樹脂が流動性、耐リフロー性の観点から好ましい。
【0092】
本発明においては、(B)硬化剤として、下記一般式(XXXX)で示される化合物を含むこともできる。
【化33】

【0093】
(一般式(XXXX)中、Rは水素原子及び置換基を有していてもよい炭素数1〜10の一価の炭化水素基から選ばれ、Rは水素原子及び置換基を有していてもよい炭素数1〜10の一価の炭化水素基から選ばれ、nは0〜10の整数を示し、mは0〜10の整数を示す。但し、nとmの両方が0であることを除く。)
一般式(XXXX)で示される化合物は、フェノール化合物と芳香族アルデヒド及びビフェニレン化合物を酸触媒の存在下で反応させることにより得られる。フェノール化合物としてはフェノール、クレゾール、エチルフェノール、ブチルフェノール等の置換フェノール類が用いられる。芳香族アルデヒドは芳香族に結合した1個のアルデヒド基を持った芳香族化合物である。芳香族アルデヒドとしてはベンズアルデヒド、メチルベンズアルデヒド、エチルベンズアルデヒド、tert−ブチルベンズアルデヒド等が挙げられる。またビフェニレン化合物としてはビフェニレングリコール、ビフェニレングリコールジメチルエーテル、ビフェニレングリコールジエチルエーテル、ビフェニレングリコールジアセトキシエステル、ビフェニレングリコールジプロピオキシエステル、ビフェニレングリコールモノメチルエーテル、ビフェニレングリコールモノアセトキシエステル等が挙げられる。特にビフェニレングリコール、ビフェニレングリコールジメチルエーテルが好ましい。また下記一般式(b)で示されるビフェニレン化合物も用いることができる。
【化34】

【0094】
一般式(XXXX)で示される化合物としては、エア・ウォーター株式会社製商品名:HE−610C、620C等が入手可能である。
【0095】
一般式(XXXX)で示される化合物の配合量は、(B)硬化剤全量に対して50〜90質量%が好ましく、70〜85質量%がより好ましい。前記配合量が50質量%以上であると難燃性が良好となり、90質量%以下であると反り低減効果が良好となる。
【0096】
本発明の封止用エポキシ樹脂組成物には難燃性を向上させる観点から、アセナフチレンを含有してもよい。アセナフチレンはアセナフテンを脱水素して得ることができるが、市販品を用いてもよい。また、アセナフチレンの重合物又はアセナフチレンと他の芳香族オレフィンとの重合物として用いることもできる。アセナフチレンの重合物又はアセナフチレンと他の芳香族オレフィンとの重合物を得る方法としては、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合等が挙げられる。また、重合に際しては従来公知の触媒を用いることができるが、触媒を用いずに熱だけで行うこともできる。この際、重合温度は80〜160℃が好ましく、90〜150℃がより好ましい。得られるアセナフチレンの重合物又はアセナフチレンと他の芳香族オレフィンとの重合物の軟化点は、60〜150℃が好ましく、70〜130℃がより好ましい。60℃より低いと成形時の染み出しにより成形性が低下する傾向にあり、150℃より高いと樹脂との相溶性が低下する傾向にある。
【0097】
アセナフチレンと共重合させる他の芳香族オレフィンとしては、スチレン、α−メチルスチレン、インデン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ビニルナフタレン、ビニルビフェニル又はそれらのアルキル置換体等が挙げられる。また、上記した芳香族オレフィン以外に本発明の効果に支障の無い範囲で脂肪族オレフィンを併用することもできる。脂肪族オレフィンとしては、(メタ)アクリル酸及びそれらのエステル、無水マレイン酸、無水イタコン酸、フマル酸及びそれらのエステル等が挙げられる。これら脂肪族オレフィンの使用量は重合モノマー全量に対して20重量%以下が好ましく、9重量%以下がより好ましい。
【0098】
さらに、アセナフチレンとして、(B)硬化剤の一部又は全部と予備混合されたアセナフチレンを含有することもできる。(B)硬化剤の一部又は全部と、アセナフチレン、アセナフチレンの重合物及びアセナフチレンと他の芳香族オレフィンとの重合物の1種以上とを予備混合したものを用いてもよい。予備混合の方法としては、(B)硬化剤及びアセナフチレン成分をそれぞれ微細に粉砕し固体状態のままミキサー等で混合する方法、両成分を溶解する溶媒に均一に溶解させた後溶媒を除去する方法、(B)硬化剤及び/又はアセナフチレン成分の軟化点以上の温度で両者を溶融混合する方法等で行うことができるが、均一な混合物が得られて不純物の混入が少ない溶融混合法が好ましい。溶融混合は、(B)硬化剤及び/又はアセナフチレン成分の軟化点以上の温度であれば制限はないが、100〜250℃が好ましく、120〜200℃がより好ましい。また、溶融混合は両者が均一に混合すれば混合時間に制限はないが、1〜20時間が好ましく、2〜15時間がより好ましい。
【0099】
(B)硬化剤とアセナフチレンを予備混合する場合、混合中にアセナフチレン成分が重合もしくは(B)硬化剤と反応しても構わない。本発明の封止用エポキシ樹脂組成物中には、アセナフチレン成分の分散性に起因する難燃性向上の観点から前述の予備混合物(アセナフチレン変性硬化剤)が(B)硬化剤中に90重量%以上含まれることが好ましい。アセナフチレン変性硬化剤中に含まれるアセナフチレン及び/又はアセナフチレンを含む芳香族オレフィンの重合物の量は5〜40重量%が好ましく、8〜25重量%がより好ましい。前記含有量が5重量%より少ないと難燃性が低下する傾向があり、40重量%より多いと成形性が低下する傾向がある。本発明の封止用エポキシ樹脂組成物中に含まれるアセナフチレン構造の含有率は、難燃性と成形性の観点からは0.1〜5重量%が好ましく、0.3〜3重量%がより好ましい。前記含有率が0.1重量%より少ないと難燃性に劣る傾向にあり、5重量%より多いと成形性が低下する傾向にある。
【0100】
(A)エポキシ樹脂と(B)硬化剤との当量比、すなわち、(A)エポキシ樹脂中のエポキシ基数に対する(B)硬化剤中の水酸基数の比(硬化剤中の水酸基数/エポキシ樹脂中のエポキシ基数)は、特に制限はないが、それぞれの未反応分を少なく抑えるために0.5〜2の範囲に設定されることが好ましく、0.6〜1.3がより好ましい。成形性及び耐リフロー性に優れる封止用エポキシ樹脂組成物を得るという観点では、前記当量比は0.8〜1.2の範囲に設定されることがさらに好ましい。
【0101】
(C)インデン系オリゴマー
本発明の封止用エポキシ樹脂組成物は、(C)インデン系オリゴマーを含有することが重要であり、それによって高温弾性率の低減、銅および銀に対する接着力向上することができる。
【0102】
本発明で用いられる(C)インデン系オリゴマーは、インデン類、スチレン類及びフェノール類を含有するモノマーを共重合させることにより得られるものである。インデン類としては、例えば、インデン、メチルインデン、エチルインデン、プロピルインデン、フェニルインデンなどの炭化水素基置換インデン類などが挙げられるが、これらのなかでもインデンが好ましい。スチレン類としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン、o−プロピルスチレン、m−プロピルスチレン、p−プロピルスチレン、o−n−ブチルスチレンなどの核置換アルキルスチレン;α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、α−プロピルスチレンなどのα−アルキルスチレン;などが挙げられる。これらのなかでもスチレンが好ましい。フェノール類としては、例えば、フェノール、クレゾール類等のアルキルフェノール類;キシレノール等のジアルキルフェノール類;ナフトール類;ビスフェノールA、ビスフェノールF等のビスフェノール類;あるいはフェノールノボラック、フェノールアラルキル樹脂等の多官能性フェノール化合物;などが例示される。これらのなかでもフェノールが好ましい。上記インデン類、スチレン類及びフェノール類の他にさらに他のモノマーを含んでいてもよく、例えば、ベンゾチオフェン、メチルベンゾチオフェン類;ベンゾフラン、メチルベンゾフラン類;ビニルナフタレン、ビニルビフェニル、アセナフチレン、アクリル酸、アクリル酸エステル類、メタアクリル酸、メタアクリル酸エステル類、無水マレイン酸、フマル酸、ジビニルベンゼン類、ジイソプロペニルベンゼン等の不飽和結合を有するモノマーなどが挙げられる。
【0103】
各モノマーの含有量は、適宜選択されるが、モノマー全重量当たり、インデン類を60重量%以上含有することが好ましい。インデン類が60重量%未満では高温弾性率の低減、銅および銀に対する接着力等の効果が充分に得られない傾向がある。
【0104】
インデン類、スチレン類及びフェノール類を含有するモノマーを共重合させる方法としては、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合などが例示されるが、カチオン重合が好ましい。カチオン重合は、通常、酸性触媒の存在下に行われ、酸性触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、燐酸等の無機酸;ギ酸、シュウ酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等の有機酸;塩化亜鉛、塩化アルミニウム、塩化鉄、三フッ化ホウ素等のルイス酸;ブレンステッド酸;活性白土、シリカアルミナ、ゼオライト等の固体酸;等が挙げられる。
【0105】
前記インデン系オリゴマーの数平均分子量は、好ましくは300〜1000、より好ましくは500〜800である。インデン系オリゴマーの軟化点は、好ましくは50〜160℃、より好ましくは70〜120℃である。
【0106】
インデン系オリゴマーの市販品としては、東都化成株式会社製商品名:I−100、I−120、IP−100、IP−120等が入手可能である。
【0107】
インデン系オリゴマーの含有量は、(A)エポキシ樹脂100質量部に対して、5〜25質量%が好ましく、10〜23質量%がより好ましく、15〜20質量%が特に好ましい。前記含有量が5質量%以上であると高温弾性率および吸水率の低減により耐リフロー性が向上する傾向があり、25質量%以下であると熱時硬度の低下と流動性の低下が抑制される傾向がある。
【0108】
(D)硬化促進剤
本発明の封止用エポキシ樹脂組成物には、(A)エポキシ樹脂と(B)硬化剤の反応を促進させるために必要に応じて(D)硬化促進剤を用いることができる。(D)硬化促進剤は、封止用エポキシ樹脂組成物に一般に使用されているものであれば特に制限はないが、たとえば、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、1,5−ジアザ−ビシクロ(4,3,0)ノネン、5、6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等のシクロアミジン化合物及びこれらの化合物に無水マレイン酸、1,4−ベンゾキノン、2,5−トルキノン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルベンゾキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−5−メチル−1,4−ベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン、フェニル−1,4−ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタン、フェノール樹脂等のπ結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の3級アミン類及びこれらの誘導体、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類及びこれらの誘導体、トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(4−メチルフェニル)ホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等のホスフィン化合物及びこれらのホスフィン化合物に無水マレイン酸、上記キノン化合物、ジアゾフェニルメタン、フェノール樹脂等のπ結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有するリン化合物、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾールテトラフェニルボレート、N−メチルモルホリンテトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩及びこれらの誘導体などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0109】
これらのなかでも、難燃性、硬化性の観点からは、トリフェニルホスフィンが好ましく、難燃性、硬化性、流動性及び離型性の観点からは第三ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物が好ましい。第三ホスフィン化合物としては、特に限定するものではないが、トリシクロヘキシルホスフィン、トリブチルホスフィン、ジブチルフェニルホスフィン、ブチルジフェニルホスフィン、エチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(4−メチルフェニル)ホスフィン、トリス(4−エチルフェニル)ホスフィン、トリス(4−プロピルフェニル)ホスフィン、トリス(4−ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフィン、トリス(t−ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4−ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6−ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4,6−トリメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6−ジメチル−4−エトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4−エトキシフェニル)ホスフィンなどのアルキル基、アリール基を有する第三ホスフィン化合物が好ましい。またキノン化合物としてはo−ベンゾキノン、p−ベンゾキノン、ジフェノキノン、1,4−ナフトキノン、アントラキノン等があげられ、なかでも耐湿性、保存安定性の観点からp−ベンゾキノンが好ましい。トリス(4−メチルフェニル)ホスフィンとp−ベンゾキノンとの付加物が離型性の観点からより好ましい。
【0110】
(D)硬化促進剤の配合量は、硬化促進効果が達成される量であれば特に制限されるものではないが、封止用エポキシ樹脂組成物の総重量に対して、0.005〜2重量%が好ましく、0.01〜0.5重量%がより好ましい。前記配合量が0.005重量%未満では短時間での硬化性に劣る傾向があり、2重量%を超えると硬化速度が速すぎて良好な成形品を得ることが困難になる傾向がある。
【0111】
(E)無機充填剤
本発明では必要に応じて(E)無機充填剤を配合することができる。無機充填剤は、吸湿性、線膨張係数低減、熱伝導性向上及び強度向上のために封止用エポキシ樹脂組成物に配合されるものであり、封止用エポキシ樹脂組成物に一般に使用されているものであれば特に制限されるものではない。たとえば、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、ジルコン、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、チタン酸カリウム、炭化珪素、窒化珪素、窒化アルミ、窒化ホウ素、ベリリア、ジルコニア、ジルコン、フォステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニア等の粉体、又はこれらを球形化したビーズ、ガラス繊維等が挙げられる。さらに、難燃効果のある無機充填剤としては水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、複合金属水酸化物、硼酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛などが挙げられる。ここで、硼亜鉛としては、U.S.Borax社製商品名:FB−290、FB−500、水澤化学社製商品名:FRZ−500C等が、モリブデン酸亜鉛としては、Sherwin−Williams社製商品名:KEMGARD911B、911C、1100等が各々市販品として入手可能である。
【0112】
これらの無機充填剤は単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、充填性、線膨張係数の低減の観点からは溶融シリカが、高熱伝導性の観点からはアルミナが好ましく、無機充填剤の形状は充填性及び金型摩耗性の点から球形が好ましい。
【0113】
無機充填剤の配合量は、難燃性、成形性、吸湿性、線膨張係数低減、強度向上及び耐リフロー性の観点から、封止用エポキシ樹脂組成物の総質量に対して50質量%以上が好ましく、60〜95質量%がより好ましく、70〜90質量%が特に好ましい。前記配合量が60質量%未満では難燃性及び耐リフロー性が低下する傾向があり、95質量%を超えると流動性が不足する傾向があり、また難燃性も低下する傾向にある。
【0114】
(F)カップリング剤
本発明において、(E)無機充填剤を用いる場合、本発明の封止用エポキシ樹脂組成物には、樹脂成分と(E)無機充填剤との接着性を高めるために、(F)カップリング剤をさらに配合することが好ましい。(F)カップリング剤としては、封止用エポキシ樹脂組成物に一般に使用されているものであれば特に制限はないが、たとえば、アミノシラン、エポキシシラン、メルカプトシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン等の各種シラン系化合物、チタン系化合物、アルミニウムキレート類、アルミニウム/ジルコニウム系化合物等が挙げられる。(F)カップリング剤の具体例としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N,N−ジメチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N,N−ジエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N,N−ジブチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N−メチル)アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N−エチル)アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N,N−ジメチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N,N−ジエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N,N−ジブチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N−メチル)アニリノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N−エチル)アニリノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N,N−ジメチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(N,N−ジエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(N,N−ジブチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(N−メチル)アニリノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(N−エチル)アニリノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、N−(ジメトキシメチルシリルイソプロピル)エチレンジアミン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のシラン系カップリング剤;イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート等のチタネート系カップリング剤;などが挙げられ、これらの1種を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0115】
これらのなかでも流動性、金線変形低減、難燃性の観点からは2級アミノ基を有するシラン系カップリング剤が好ましい。2級アミノ基を有するシラン系カップリング剤は分子内に2級アミノ基を有するシラン化合物であれば特に制限はないが、たとえば、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリエトキシシラン、γ−アニリノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アニリノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アニリノプロピルエチルジエトキシシラン、γ−アニリノプロピルエチルジメトキシシラン、γ−アニリノメチルトリメトキシシラン、γ−アニリノメチルトリエトキシシラン、γ−アニリノメチルメチルジメトキシシラン、γ−アニリノメチルメチルジエトキシシラン、γ−アニリノメチルエチルジエトキシシラン、γ−アニリノメチルエチルジメトキシシラン、N−(p−メトキシフェニル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(p−メトキシフェニル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(p−メトキシフェニル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(p−メトキシフェニル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(p−メトキシフェニル)−γ−アミノプロピルエチルジエトキシシラン、N−(p−メトキシフェニル)−γ−アミノプロピルエチルジメトキシシラン、γ−(N−メチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N−エチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N−ブチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N−ベンジル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N−メチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N−エチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N−ブチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N−ベンジル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N−メチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(N−エチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(N−ブチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(N−ベンジル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(β−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらのなかでも下記一般式(III)で示されるアミノシランカップリング剤が特に好ましい。
【化35】

【0116】
(一般式(III)中、Rは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基及び炭素数1〜2のアルコキシ基から選ばれ、Rは炭素数1〜6のアルキル基及びフェニル基から選ばれ、Rはメチル基又はエチル基を示し、nは1〜6の整数を示し、mは1〜3の整数を示す。)
一般式(III)中のRの具体例としては、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;メトキシ基又はエトキシ基等の炭素数1〜2のアルコキシル基;などが挙げられ、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;フェニル基;などが挙げられる。
【0117】
カップリング剤の配合量は、封止用エポキシ樹脂組成物の総質量に対して0.037〜4.75質量%であることが好ましく、0.05〜5質量%であることがより好ましく、0.1〜2.5質量%であることがさらに好ましい。前記配合量が0.037質量%未満ではフレームとの接着性が低下する傾向があり、4.75質量%を超えるとパッケージの成形性が低下する傾向がある。
【0118】
(各種添加剤)
本発明の封止用エポキシ樹脂組成物には、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)インデン系オリゴマー、(D)硬化促進剤、(E)無機充填剤、(F)カップリング剤に加えて、以下に例示する難燃剤、陰イオン交換体、離型剤、着色剤、応力緩和剤といった各種添加剤を追加してもよい。
【0119】
(難燃剤)
本発明の封止用エポキシ樹脂組成物には、さらに難燃性を向上する目的で従来公知の難燃剤、特に信頼性の観点からはノンハロゲン、ノンアンチモンの難燃剤を必要に応じて配合することができる。難燃剤としては、たとえば、赤リン、酸化亜鉛等の無機化合物とフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂で被覆された赤リン及びリン酸エステル、ホスフィンオキサイド等のリン化合物、メラミン、メラミン誘導体、メラミン変性フェノール樹脂、トリアジン環を有する化合物、シアヌル酸誘導体、イソシアヌル酸誘導体等の窒素含有化合物、シクロホスファゼン等のリン及び窒素含有化合物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、複合金属水酸化物、酸化亜鉛、錫酸亜鉛、硼酸亜鉛、酸化鉄、酸化モリブデン、モリブデン酸亜鉛、ジシクロペンタジエニル鉄等の金属元素を含む化合物などが挙げられ、これらの1種を単独で用いても2種以上を組合わせて用いてもよい。
【0120】
なかでも流動性の観点からは、リン酸エステル、ホスフィンオキサイド及びシクロホスファゼンが好ましい。リン酸エステルはリン酸とアルコール化合物又はフェノール化合物のエステル化合物であれば特に制限はないが、例えばトリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、トリス(2,6ジメチルフェニル)ホスフェート及び芳香族縮合リン酸エステル等が挙げられる。なかでも耐加水分解性の観点からは、下記一般式(XXXXI)で示される芳香族縮合リン酸エステルが好ましい。
【化36】

【0121】
上記式(XXXXI)のリン酸エステルを例示すると、下記構造式(XXXXII)〜(XXXXVI)で示されるリン酸エステル等が挙げられる。
【化37】

【0122】
これらリン酸エステルの添加量は、封止用エポキシ樹脂組成物の総重量から(E)無機充填剤を除く他の全配合成分に対して、燐原子の量で0.2〜3.0重量%の範囲内であることが好ましい。前記添加量が0.2重量%より少ない場合は難燃効果が低くなる傾向があり、3.0重量%を超えた場合は成形性、耐湿性の低下や、成形時にこれらのリン酸エステルがしみ出し、外観を阻害する場合がある。
【0123】
ホスフィンオキサイドを難燃剤として用いる場合、ホスフィンオキサイドとしては下記一般式(XXXXVII)で示される化合物が好ましい。
【化38】

【0124】
(ここで、R、R及びRは置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、アラルキル基及び水素原子から選ばれ、すべて同一でも異なってもよい。ただしすべてが水素原子である場合を除く。)
上記一般式(XXXXVII)で示されるリン化合物の中でも、耐加水分解性の観点からはR〜Rが置換基を有していてもよいアリール基であることが好ましく、特に好ましくはフェニル基である。
【0125】
ホスフィンオキサイドの配合量は封止用エポキシ樹脂組成物の総質量に対してリン原子の量が0.01〜0.2質量%であることが好ましく、0.02〜0.1質量%であることがより好ましく、0.03〜0.08質量%であることが特に好ましい。前記配合量が0.01質量%未満であると難燃性が低下する傾向があり、0.2質量%を超えると成形性、耐湿性が低下する傾向がある。
【0126】
シクロホスファゼンとしては主鎖骨格中に次式(XXXXVIII)及び/又は次式(XXXXIX)を繰り返し単位として含む環状ホスファゼン化合物、あるいはホスファゼン環中の燐原子に対する置換位置が異なる次式(XXXXX)及び/又は次式(XXXXXI)を繰り返し単位として含む化合物等が挙げられる。
【化39】

【0127】
ここで、式(XXXXVIII)及び式(XXXXX)中のmは1〜10の整数で、R〜Rは置換基を有しても良い炭素数1〜12のアルキル基、アリール基及び水酸基から選ばれ、全て同一でも異なっていても良い。Aは炭素数1〜4のアルキレン基又はアリレン基を示す。式(XXXXIX)及び式(XXXXXI)中のnは1〜10の整数で、R〜Rは置換基を有しても良い炭素数1〜12のアルキル基又はアリール基から選ばれ、全て同一でも異なっていても良く、Aは炭素数1〜4のアルキレン基又はアリレン基を示す。また、式中m個のR、R、R、Rはm個全てが同一でも異なっていても良く、n個のR、R、R、Rはn個全てが同一でも異なっていても良い。
【0128】
上記式(XXXXVIII)〜式(XXXXXI)において、R〜Rで示される置換基を有しても良い炭素数1〜12のアルキル基又はアリール基としては特に制限はないが、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等のアリール基;o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、o−クメニル基、m−クメニル基、p−クメニル基、メシチル基等のアルキル基置換アリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアリール基置換アルキル基;などが挙げられ、さらにこれらに置換する置換基としては、アルキル基、アルコキシル基、アリール基、水酸基、アミノ基、エポキシ基、ビニル基、ヒドロキシアルキル基、アルキルアミノ基等が挙げられ、封止用エポキシ樹脂組成物の耐熱性、耐湿性の観点からはアリール基が好ましく、フェニル基もしくはヒドロキシフェニル基がより好ましい。
【0129】
また、上記式(XXXXVIII)〜式(XXXXXI)中のAで示される炭素数1〜4のアルキレン基又はアリレン基としては特に制限はないが、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、フェニレン基、トリレン基、キシリレン基、ナフチレン基等が挙げられ、封止用エポキシ樹脂組成物の耐熱性、耐湿性の観点からはアリレン基が好ましく、中でもフェニレン基がより好ましい。
【0130】
環状ホスファゼン化合物は、上記式(XXXXVIII)〜式(XXXXXI)のいずれかの重合物、上記式(XXXXVIII)と上記式(XXXXIX)との共重合物、又は上記式(XXXXX)と上記式(XXXXXI)との共重合物であるが、共重合物の場合、ランダム共重合物でも、ブロック共重合物でも、交互共重合物のいずれでも良い。その共重合モル比m/nは特に限定するものではないが、エポキシ樹脂硬化物の耐熱性や強度向上の観点から1/0〜1/4が好ましく、1/0〜1/1.5がより好ましい。また、重合度m+nは1〜20であり、好ましくは2〜8、より好ましくは3〜6である。
【0131】
環状ホスファゼン化合物として好ましいものを例示すると、次式(XXXXXII)の重合物、次式(XXXXXIII)の共重合物等が挙げられる。
【化40】

【0132】
(ここで、式(XXXXXII)中のnは、0〜9の整数で、R〜Rはそれぞれ独立に水素又は水酸基を示す。)
【化41】

【0133】
ここで、上記式(XXXXXIII)中のm、nは、0〜9の整数で、R〜Rはそれぞれ独立に水素または水酸基から選ばれる。また、上記式(XXXXXIII)で示される環状ホスファゼン化合物は、次に示すm個の繰り返し単位(c)とn個の繰り返し単位(d)を交互に含むもの、ブロック状に含むもの、ランダムに含むもののいずれであってもかまわないが、ランダムに含むものが好ましい。
【化42】

【0134】
これらのなかでも、上記式(XXXXXII)でnが3〜6の重合体を主成分とするものや、上記式(XXXXXIII)でR〜Rが全て水素又は1つが水酸基であり、m/nが1/2〜1/3で、m+nが3〜6の共重合体を主成分とするものが好ましい。また、市販のホスファゼン化合物としては、大塚化学株式会社製商品名:SPE−100が入手可能である。
【0135】
複合金属水酸化物を難燃剤として用いる場合、複合金属水酸化物は下記組成式(XXXXXIV)で示される化合物が好ましい。
【0136】
p(M)・q(M)・r(M)・mHO (XXXXXIV)
(式(XXXXXIV)中、M、M及びMは互いに異なる金属元素を示し、a、b、c、d、e、f、p、q及びmは正の数、rは0又は正の数を示す。)
なかでも、上記組成式(XXXXXIV)中のrが0である化合物、すなわち、下記組成式(XXXXXV)で示される化合物がさらに好ましい。
【0137】
p(M)・q(M)・lHO (XXXXXV)
(式(XXXXXV)中、M及びMは互いに異なる金属元素を示し、a、b、c、d、p、q及びlは正の数を示す。)
上記組成式(XXXXXIV)及び(XXXXXV)中のM、M及びMは互いに異なる金属元素であれば特に制限はないが、難燃性の観点からは、MとMが同一とならないようにMが第3周期の金属元素、IIA族のアルカリ土類金属元素、IVB族、IIB族、VIII族、IB族、IIIA族及びIVA族に属する金属元素から選ばれ、MがIIIB〜IIB族の遷移金属元素から選ばれることが好ましく、Mがマグネシウム、カルシウム、アルミニウム、スズ、チタン、鉄、コバルト、ニッケル、銅及び亜鉛から選ばれ、Mが鉄、コバルト、ニッケル、銅及び亜鉛から選ばれることがより好ましい。流動性の観点からは、Mがマグネシウム、Mが亜鉛又はニッケルであることが好ましく、MがマグネシウムでMが亜鉛であることがより好ましい。
【0138】
上記組成式(XXXXXIV)中のp、q、rのモル比は本発明の効果が得られれば特に制限はないが、r=0で、p及びqのモル比p/qが99/1〜50/50であることが好ましい。すなわち、上記組成式(XXXXXV)中のp及びqのモル比p/qが99/1〜50/50であることが好ましい。
【0139】
市販品としては、例えば、上記組成式(XXXXXV)のMがマグネシウム、Mが亜鉛で、pが7、qが3、lが10で、a、b、c及びdが1である水酸化マグネシウム・水酸化亜鉛固溶体複合金属水酸化物(タテホ化学工業株式会社製商品名:エコーマグZ−10)を使用できる。なお、金属元素とは半金属元素といわれるものも含めるものとし、非金属元素を除く全ての元素をさす。
【0140】
なお、金属元素の分類は、典型元素をA亜族、遷移元素をB亜族とする長周期型の周期率表(出典:共立出版株式会社発行「化学大辞典4」1987年2月15日縮刷版第30刷)に基づいて行った。
【0141】
複合金属水酸化物の形状は特に制限はないが、流動性、充填性の観点からは、平板状より、適度の厚みを有する多面体形状が好ましい。複合金属水酸化物は、金属水酸化物と比較して多面体状の結晶が得られやすい。
【0142】
複合金属水酸化物の配合量は特に制限はないが、封止用エポキシ樹脂組成物の総質量に対して0.5〜20質量%であることが好ましく、0.7〜15質量%であることがより好ましく、1.4〜12質量%であることがさらに好ましい。前記配合量が0.5質量%未満では難燃性が不十分となる傾向があり、20質量%を超えると流動性及び耐リフロー性が低下する傾向がある。
【0143】
トリアジン環を有する化合物としては、フェノール性水酸基を有する化合物とトリアジン誘導体とアルデヒド基を有する化合物を共縮重合させたものが、難燃性、銅フレームとの接着性の観点から好ましい。フェノール性水酸基を有する化合物としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、エチルフェノール、ブチルフェノール、ノニルフェノール、オクチルフェノール等のアルキルフェノール類、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等の多価フェノール類、フェニルフェノール、アミノフェノール、又はα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類あるいはこれらのフェノール性水酸基を有する化合物とホルムアルデヒド等のアルデヒド基を有する化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られる樹脂等がある。これらのなかでも、成形性の観点からはフェノール、クレゾール、あるいはこれらとホルムアルデヒドとの共縮重合物が好ましい。また、トリアジン誘導体としては分子中にトリアジン核を有するものであれば特に限定はなく、メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン等のグアナミン誘導体、シアヌル酸、メチルシアヌレート等のシアヌル酸誘導体が挙げられ、1種類のみまたは2種類以上の併用も可能である。これらのなかでも、成形性、信頼性の観点からはメラミン、ベンゾグアナミン等のグアナミン誘導体が好ましい。また、アルデヒド基を有する化合物としては、例えば、ホルマリン、パラホルムアルデヒド等が挙げられる。
【0144】
フェノール性水酸基を有する化合物に対するアルデヒド基を有する化合物の配合量は、モル比(アルデヒド基を有する化合物(モル)/フェノール性水酸基を有する化合物(モル))で0.05〜0.9であることが好ましく、0.1〜0.8であることがより好ましい。前記配合量が0.05未満ではフェノール性水酸基に対するアルデヒド基を有する化合物の反応が起こりにくく、未反応フェノールが残りやすく、生産性が悪くなる傾向があり、0.9を超えると合成中ゲル化しやすくなる傾向がある。
【0145】
フェノール性水酸基を有する化合物に対するトリアジン誘導体の配合量は1〜30重量%とすることが好ましく、さらには5〜20重量%とすることがより好ましい。前記配合量が1重量%未満では難燃性に乏しくなる傾向があり、30重量%を超えると軟化点が高くなり、組成物作製時の混練性が低下する傾向がある。トリアジン誘導体に対するアルデヒド基を有する化合物の配合量(モル比)は特に制限はない。
【0146】
フェノール性水酸基を有する化合物とトリアジン誘導体とアルデヒド基を有する化合物との共縮重合物の合成時の反応温度は特に制限はないが、60〜120℃で行うことが好ましい。また反応のpHは3〜9であることが好ましく、4〜8であることがさらに好ましい。前記pHが3未満では合成中に樹脂がゲル化し易くなる傾向があり、9より高いとフェノール樹脂とトリアジン誘導体とアルデヒド基を有する化合物との共縮重合が起こりにくくなり、製造した樹脂の窒素含有量が低くなる傾向がある。
【0147】
必要に応じてフェノール性水酸基を有する化合物にアルデヒド基を有する化合物、トリアジン誘導体を反応させた後、常圧または減圧下での加熱蒸留等で、未反応のフェノール化合物及びアルデヒド基を有する化合物等を除去することができる。この時未反応フェノール化合物の残存量が3%以下であることが好ましい。前記残存量が3%を超える場合は成形性が低下しがちである。
【0148】
また得られた共縮重合物の軟化点は40〜150℃であることが好ましい。前記軟化点が40℃未満であるとブロッキングしやすくなる傾向があり、150℃を超える場合は組成物の混練性が低下する傾向がある。このフェノール性水酸基を有する化合物とトリアジン誘導体とアルデヒド基を有する化合物との共縮重合物を例示するならば、下記構造式(XXXXXVI)〜(XXXXXXI)のものが挙げられる(n、mは正の整数)。
【化43】

【0149】
フェノール性水酸基を有する化合物とトリアジン誘導体とアルデヒド基を有する化合物との共縮重合物の数平均分子量は500〜1000であることが好ましく、550〜800であることがさらに好ましい。前記数平均分子量が500未満であると成形性、耐リフロークラック性が低下する傾向があり、1000を超える場合は流動性が低下し易くなる傾向がある。またフェノール性水酸基を有する化合物とトリアジン誘導体とアルデヒド基を有する化合物との共縮重合物の重量平均分子量は1500〜10000であることが好ましく、1700〜7000であることがさらに好ましい。前記重量平均分子量が1500未満であると耐リフロークラック性が低下する傾向があり、10000を超える場合は流動性が低下し易くなる傾向がある。さらに、このフェノール性水酸基を有する化合物とトリアジン誘導体とアルデヒド基を有する化合物との共縮重合物の分子量分布Mw/Mnは2.0〜10.0であることが好ましく、3.0〜6.0であることがさらに好ましい。前記分子量分布が2.0未満であると耐リフロークラック性が低下する傾向があり、10.0を超える場合は流動性が低下し易くなる傾向がある。
【0150】
上記共縮重合物の中でもフェノール樹脂とトリアジン誘導体とアルデヒド基を有する化合物との共重縮合物であることが、耐リフロー性の観点からより好ましい。ここで用いられるフェノール樹脂としては、封止用エポキシ樹脂組成物で一般に使用されているものであれば特に限定はなく、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、エチルフェノール、ブチルフェノール、ノニルフェノール、オクチルフェノール等のアルキルフェノール類、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等の多価フェノール類、α−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類又はフェニルフェノール、アミノフェノール等のフェノール誘導体とホルムアルデヒド等のアルデヒド基を有する化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られる樹脂等がある。これらのなかでも、成形性の観点からはフェノールとホルムアルデヒドとの重縮合物であるフェノール・ノボラック樹脂が好ましい。
【0151】
フェノール樹脂は上記に列挙したようなものであれば、特にその合成方法は限定するものではないが、下記に示す方法により合成したものを用いた場合、その分子量、分子量分布を本発明で記載する好ましい範囲のものとして合成可能であるという点で、好適である。すなわち、フェノール樹脂を合成する際、フェノール誘導体とアルデヒド基を有する化合物の使用割合は、フェノール誘導体1モルに対してアルデヒド基を有する化合物が0.01〜2.0モルとすることが好ましく、0.05〜1.0モルとすることがより好ましい。前記使用割合が0.01モル未満では、反応が不十分となり、分子量が上がらず、成形性、耐熱性、耐水性、難燃性、強度等が低下する傾向があり、2.0モルを超えると、分子量が大きくなりすぎて、混練性が低下する傾向がある。
【0152】
この反応温度は、80〜220℃とすることが好ましく、100〜180℃とすることがより好ましい。前記反応温度が80℃未満では、反応性が不充分となり、分子量が小さく、成形性が低下する傾向があり、220℃を越えるとフェノール樹脂を合成する際に、生産設備的に不利となる傾向がある。反応時間は、1〜30時間程度とすることが好ましい。
【0153】
また、必要に応じてトリメチルアミン、トリエチルアミン等のアミン系触媒、p−トルエンスルホン酸、蓚酸等の酸触媒、水酸化ナトリウム、アンモニア等のアルカリ触媒などを、フェノール誘導体1モルに対して、0.00001〜0.01モル程度使用してもよい。また、反応系のpHは、1〜10程度とすることが好ましい。
【0154】
このようにして、フェノール誘導体及びアルデヒド基を有する化合物を反応させた後、必要に応じて、未反応のフェノール誘導体、アルデヒド基を有する化合物、水等を加熱減圧下に除去することができるが、その条件は、一般的に、温度が80〜220℃、望ましくは100〜180℃、圧力が100mmHg以下、望ましくは60mmHg以下、時間が0.5〜10時間とすることが好ましい。
【0155】
フェノール樹脂に、トリアジン誘導体及びアルデヒド基を有する化合物を添加し、反応させる際のトリアジン誘導体及びアルデヒド基を有する化合物の使用割合は、フェノール誘導体とアルデヒド基を有する化合物との重縮合物(フェノール樹脂)(未反応のフェノール誘導体、アルデヒド基を有する化合物、水等を加熱減圧下に除去したもの、あるいは前記除去を行っていないもの(この場合は、未反応フェノールも重縮合物の重量に含むこととする))100g対して、トリアジン誘導体を3〜50gとすることが好ましく、4〜30gとすることがより好ましい。また、アルデヒド基を有する化合物は、重縮合物(フェノール樹脂)100g対して、5〜100gとすることが好ましく、6〜50gとすることがより好ましい。トリアジン誘導体及びアルデヒド基を有する化合物の使用割合を上記のような範囲とすることで、最終的に得られる重縮合物の分子量分布、窒素含有量を所望の範囲に容易に調整することができる。
【0156】
反応温度は、50〜250℃とすることが好ましく、80〜170℃とすることがより好ましい。前記反応温度が50℃未満では、反応が不充分となり、分子量が上がらず、成形性、耐熱性、耐水性、難燃性、強度等が低下する傾向があり、250℃を越えると合成する際に、生産設備的に不利となる傾向がある。反応時間は、1〜30時間程度とすることが好ましい。
【0157】
また、必要に応じてトリメチルアミン、トリエチルアミン等のアミン系触媒、蓚酸等の酸触媒を、フェノール誘導体1モルに対して、0.00001〜0.01モル程度使用してもよい。
【0158】
また、反応系のpHは、1〜10程度とすることが好ましい。フェノール誘導体とアルデヒド基を有する化合物との重縮合物(フェノール樹脂)と、トリアジン誘導体及びアルデヒド基を有する化合物との反応の後、未反応のフェノール誘導体、アルデヒド基を有する化合物、水等を加熱減圧下に除去することができるが、その条件は、温度が80〜180℃、圧力が100mmHg以下、望ましくは60mmHg以下、時間が0.5〜10時間とすることが好ましい。合成に用いるトリアジン誘導体としては分子中にトリアジン核を有する化合物であれば特に限定はなく、メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン等のグアナミン誘導体、シアヌル酸、メチルシアヌレート等のシアヌル酸誘導体等が挙げられ、1種類のみまたは2種類以上の併用も可能である。中でも、成形性、信頼性の観点からはメラミン、ベンゾグアナミン等のグアナミン誘導体が好ましい。また、アルデヒド基を有する化合物としては、例えば、ホルムアルデヒド、ホルマリン、パラホルムアルデヒド等が挙げられる。
【0159】
また本発明では反り低減の観点からケイ素含有重合物を含有してもよい。ケイ素含有重合物としては下記の一般式(e)及び(f)で表される結合を有し、末端がR、水酸基及びアルコキシ基から選ばれた官能基であり、エポキシ当量が500〜4000であれば特に制限はないが、このような重合物として例えば分岐状ポリシロキサンなどが挙げられる。
【化44】

【0160】
(一般式(e)及び(f)中、Rは炭素数1〜12の置換基を有していてもよい1価の炭化水素基から選ばれ、ケイ素含有重合物中の全Rはすべてが同一でも異なっていてもよい。Xはエポキシ基を含む1価の有機基を示す。)
上記一般式(e)及び(f)中のRとしてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;等が挙げられ、これらのなかでもメチル基又はフェニル基が好ましい。
【0161】
また、上記一般式(f)中のXとしては2,3−エポキシプロピル基、3,4−エポキシブチル基、4,5−エポキシペンチル基、2−グリシドキシエチル基、3−グリシドキシプロピル基、4−グリシドキシブチル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル基等が挙げられ、これらのなかでも3−グリシドキシプロピル基が好ましい。
【0162】
また、ケイ素含有重合物の末端は重合物の保存安定性の点から前述のR、水酸基及びアルコキシ基のいずれかである必要がある。この場合のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロプキシ基、ブトキシ基が挙げられる。さらに、ケイ素含有重合物のエポキシ当量は、500〜4000の範囲であることが好ましく、1000〜2500であることがより好ましい。前記エポキシ当量が500より小さいと封止用エポキシ樹脂組成物の流動性が低下する傾向にあり、4000より大きいと硬化物表面に染み出しやすく、成形不良を起こし易い傾向にある。ケイ素含有重合物はさらに下記一般式(g)で表される結合を有することが、得られる封止用エポキシ樹脂組成物の流動性と低反り性の両立の観点から好ましい。
【化45】

【0163】
(一般式(g)中、Rは置換基を有していてもよい炭素数1〜12の1価または2価の炭化水素基から選ばれ、ケイ素含有重合物中の全Rはすべてが同一でも異なっていてもよい。)
上記一般式(e)中のRとしてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;等が挙げられ、これらのなかでもメチル基またはフェニル基が好ましい。
【0164】
このようなケイ素含有重合物の軟化点は40℃〜120℃に設定されることが好ましく、50℃〜100℃に設定されることがより好ましい。前記軟化点が40℃より低いと得られる封止用エポキシ樹脂組成物の硬化物の機械強度が低下する傾向にあり、120℃より高いと封止用エポキシ樹脂組成物中へのケイ素含有重合物の分散性が低下する傾向にある。ケイ素含有重合物の軟化点を調整する方法としては、ケイ素含有重合物の分子量、構成結合単位(例えば一般式(e)〜(g)で表される結合の含有比率等)、ケイ素原子に結合する有機基の種類を設定することで可能であるが、特に封止用エポキシ樹脂組成物へのケイ素含有重合物の分散性及び得られる封止用エポキシ樹脂組成物の流動性の観点からケイ素含有重合物中のアリール基の含有量を設定して軟化点を調整することが好ましい。この場合のアリール基とは、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基等が挙げられ、フェニル基がより好ましい。ケイ素含有重合物中のケイ素原子に結合した一価の有機基中のフェニル基の含有量を、好ましくは60モル%〜99モル%、より好ましくは70モル%〜85モル%に設定することで所望の軟化点を有するケイ素含有重合物を得ることができる。
【0165】
ケイ素含有重合物の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し標準ポリスチレン検量線を用いて換算した値で、好ましくは1000〜30000、より好ましくは2000〜20000、さらに好ましくは3000〜10000である。また。ケイ素含有重合物は、ランダム共重合体であることが好ましい。
【0166】
このようなケイ素含有重合物は以下に示す製造方法により得ることができるが、市販品としては東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製商品名AY42−119が入手可能である。
【0167】
ケイ素含有重合物の製造方法は、特に制限なく公知の方法で製造することができる。例えば、加水分解縮合反応により上記一般式(e)〜(g)で表される結合単位を形成し得るオルガノクロロシラン、オルガノアルコキシシラン、シロキサン、あるいはそれらの部分加水分解縮合物を原料及び反応生成物を溶解可能な有機溶剤と原料のすべての加水分解性基を加水分解可能な量の水との混合溶液中に混合し、加水分解縮合反応させて得ることができる。この際、封止用エポキシ樹脂組成物中に不純物として含有される塩素量を低減させるためにオルガノアルコキシシラン及び/またはシロキサンを原料とすることが好ましい。この場合、反応を促進する触媒として、酸、塩基、有機金属化合物を添加することが好ましい。
【0168】
ケイ素含有重合物の原料となるオルガノアルコキシシラン及び/またはシロキサンとしては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、フェニルビニルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、フェニルビニルジエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピル(メチル)ジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピル(メチル)ジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピル(フェニル)ジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピル(フェニル)ジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル(メチル)ジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル(メチル)ジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル(フェニル)ジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル(フェニル)ジエトキシシラン、およびこれらの加水分解縮合物等が挙げられる。
【0169】
ケイ素含有重合物の含有量は封止用エポキシ樹脂組成物の総質量に対して、0.2重量%〜1.5重量%であることが好ましく、0.3重量%〜1.3重量%であることがさらに好ましい。前記含有量が0.2重量%より少ないとケイ素含有重合物の添加効果が見られ難くなり、1.5重量%より多いと得られる封止用エポキシ樹脂組成物の熱時硬度が低下する傾向にある。
【0170】
また、本発明では必要に応じて下記組成式(XXXXXXII)で表される化合物及び/又は下記組成式(XXXXXXIII)で表される化合物をIC等の半導体素子の耐湿性及び高温放置特性を向上させる観点から含有することができる。
【0171】
Mg1−xAl(OH)(COx/2・mHO (XXXXXXII)
(式(XXXXXXII)中、0<X≦0.5、mは正の数を示す。)
BiO(OH)(NO (XXXXXXIII)
(式(XXXXXXIII)中、0.9≦x≦1.1、0.6≦y≦0.8、0.2≦z≦0.4である。)
なお、上記式(XXXXXXII)の化合物は、市販品として協和化学工業株式会社製商品名:DHT−4Aが入手可能である。また、上記式(XXXXXXIII)の化合物は、市販品として東亜合成株式会社製商品名:IXE500が入手可能である。また必要に応じてその他の陰イオン交換体を添加することもできる。陰イオン交換体としては特に制限はなく、従来公知のものを用いることができるが、たとえば、マグネシウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、アンチモン等から選ばれる元素の含水酸化物等が挙げられ、これらを単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0172】
離型剤としては、特に制限はなく従来公知のものを用いることができる。例えば、カルナバワックス、モンタン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス、酸化ポリエチレン、非酸化ポリエチレン等のポリオレフィン系ワックス等が挙げられ、これらの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0173】
着色剤としては、カーボンブラック、有機染料、有機顔料、酸化チタン、鉛丹、ベンガラ等の公知の着色剤を用いることができる。
【0174】
応力緩和剤としては、シリコーンオイル、シリコーンゴム粉末等の応力緩和剤などを用いることができる。
【0175】
(封止用エポキシ樹脂組成物の調製)
本発明の封止用エポキシ樹脂組成物は、難燃性の観点から(A)エポキシ樹脂と(B)硬化剤を予め溶融混合して用いることが好ましい。溶融混合する方法は特に制限は無いが、両者あるいは一方が溶融する温度以上に加熱して、攪拌し、均一になるまで混合する。この際、ゲル化しないよう、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)、FT−IR等を使用して反応性を確認し、最適な条件を設定することが好ましい。通常80〜120℃、好ましくは90〜120℃で10〜60分、より好ましくは20〜40分攪拌溶融混合することが好ましい。
【0176】
本発明の封止用エポキシ樹脂組成物は、各種原材料を均一に分散混合できるのであれば、いかなる手法を用いても調製できる。一般的な手法として、所定の配合量の原材料をミキサー等によって十分混合した後、ミキシングロール、押出機、らいかい機、プラネタリミキサ等によって混合又は溶融混練した後、冷却し、必要に応じて脱泡、粉砕する方法等を挙げることができる。また、必要に応じて成形条件に合うような寸法及び重量でタブレット化してもよい。
【0177】
(電子部品装置)
本発明の電子部品装置は、本発明の封止用エポキシ樹脂組成物で封止された素子を備えてなるものである。電子部品装置としては、例えば、リードフレーム、配線済みのテープキャリア、配線板、ガラス、シリコンウエハ等の支持部材や実装基板に、半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子、コンデンサ、抵抗体、コイル等の受動素子等の素子を搭載し、必要な部分を本発明の封止用エポキシ樹脂組成物で封止した、電子部品装置等が挙げられる。
【0178】
ここで、実装基板としては特に制限するものではなく、たとえば、有機基板、有機フィルム、セラミック基板、ガラス基板等のインターポーザ基板、液晶用ガラス基板、MCM(Multi Chip Module)用基板、ハイブリットIC用基板等が挙げられる。
【0179】
このような素子を備えた電子部品装置としては、たとえば半導体装置が挙げられ、具体的には、リードフレーム(アイランド、タブ)上に半導体チップ等の素子を固定し、ボンディングパッド等の素子の端子部とリード部をワイヤボンディングやバンプで接続した後、本発明の封止用エポキシ樹脂組成物を用いてトランスファ成形などにより封止してなる、DIP(Dual Inline Package)、PLCC(Plastic Leaded Chip Carrier)、QFP(Quad Flat Package)、SOP(Small Outline Package)、SOJ(Small Outline J−lead package)、TSOP(Thin Small Outline Package)、TQFP(Thin Quad Flat Package)等の樹脂封止型IC、テープキャリアにリードボンディングした半導体チップを、本発明の封止用エポキシ樹脂組成物で封止したTCP(Tape Carrier Package)、配線板やガラス上に形成した配線に、ワイヤボンディング、フリップチップボンディング、はんだ等で接続した半導体チップを、本発明の封止用エポキシ樹脂組成物で封止したCOB(Chip On Board)、COG(Chip On Glass)等のベアチップ実装した半導体装置、配線板やガラス上に形成した配線に、ワイヤボンディング、フリップチップボンディング、はんだ等で接続した半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子及び/又はコンデンサ、抵抗体、コイル等の受動素子を、本発明の封止用エポキシ樹脂組成物で封止したハイブリッドIC、MCM(Multi Chip Module)マザーボード接続用の端子を形成したインターポーザ基板に半導体チップを搭載し、バンプまたはワイヤボンディングにより半導体チップとインターポーザ基板に形成された配線を接続した後、本発明の封止用エポキシ樹脂組成物で半導体チップ搭載側を封止したBGA(Ball Grid Array)、CSP(Chip Size Package)、MCP(Multi Chip Package)などが挙げられる。また、これらの半導体装置は、実装基板上に素子が2個以上重なった形で搭載されたスタックド(積層)型パッケージであっても、2個以上の素子を一度に封止用エポキシ樹脂組成物で封止した一括モールド型パッケージであってもよい。
【0180】
本発明の封止用エポキシ樹脂組成物を封止材として用いて、半導体装置等の電子部品装置を封止する方法としては、低圧トランスファ成形法が最も一般的であるが、インジェクション成形法、圧縮成形法等も挙げられる。ディスペンス方式、注型方式、印刷方式等を用いてもよい。
【実施例】
【0181】
次に実施例により本発明を説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0182】
[封止用エポキシ樹脂組成物の作製]
(実施例1〜5、比較例1〜8)
以下の成分をそれぞれ表1〜表2に示す質量部で配合し、混練温度80℃、混練時間10分の条件でロール混練を行うことによって、実施例1〜5、比較例1〜8の封止用エポキシ樹脂組成物を作製した。なお、(E)無機充填剤の含有量は、封止用エポキシ樹脂組成物の総重量に対して87重量%である。
【0183】
(A)エポキシ樹脂
エポキシ樹脂1:エポキシ当量261の下記一般式(XXXXXXIV)で示される化合物(a1)70質量%とエポキシ当量261の下記一般式(XXXXXXVI)で示される化合物(a2)30質量%との混合物であるエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製商品名:YL−7399)
【化46】

【化47】

【0184】
エポキシ樹脂2:エポキシ当量192、融点110℃のビフェニル型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製商品名社製商品名:YX−4000)
(B)硬化剤
硬化剤1:水酸基当量199のビフェニレン型フェノール樹脂(明和化成株式会社製商品名:MEH−7800)
硬化剤2:水酸基当量120のメラミン変性フェノール樹脂(日立化成工業成株式会社製商品名:HPM−J3)
硬化剤3:下記一般式(II)で示される化合物(大内新興化学工業株式会社製商品名:ノクタイザSS)
【化48】

【0185】
硬化剤4:水酸基当量183のナフトール・アラルキル樹脂とジスルフィド樹脂の混合物(東都化成株式会社製商品名:SN170L−SA5)
硬化剤5:水酸基当量186のフェノール樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製商品名:YLH1302)
(C)インデン系オリゴマー
インデン系オリゴマー:軟化点96〜104℃のインデン系オリゴマー(東都化成株式会社製商品名:I−100)
(D)硬化促進剤
硬化促進剤1:トリフェニルホスフィン
(E)無機充填剤
無機充填剤1:溶融シリカ(平均粒径14.5μm、比表面積2.8m/g、球状)
(F)カップリング剤
カップリング剤1:メチルトリメトキシシラン(日本ユニカー株式会社製商品名:A−187)
カップリング剤2:メチルトリメトキシシシラン(日本ユニカー株式会社製商品名:A−163)
カップリング剤3:γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(日本ユニカー株式会社製商品名:AZ−6129)
カップリング剤4:ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン(日本ユニカー株式会社製商品名:A−1289)
カップリング剤5:(東レ・ダウコーニング・シリコーン製商品名:CF4046)
カップリング剤6:(東レ・ダウコーニング・シリコーン製商品名:CF4054)
カップリング剤7:(日立化成コーテッドサンド株式会社製商品名:HCO−300)
(添加剤剤)
添加剤:アクリル系コアシェルポリマー(ローム&ハース製商品名:EXL−2314)
(着色剤)
カーボンブラック(三菱化学株式会社製商品名:MA−600)

[封止用エポキシ樹脂組成物の特性評価]
実施例1〜5及び比較例1〜8で作製した封止用エポキシ樹脂組成物の特性を、以下に示す各試験によって評価した。評価結果を表1〜2に示す。
【0186】
なお、封止用エポキシ樹脂組成物の成形は、トランスファ成形機を用い、金型温度180℃、成形圧力6.9MPa、硬化時間90秒の条件で行なった。
【0187】
(1)スパイラルフロー
封止用エポキシ樹脂組成物を上記成形条件で、EMMI−1−66に準じたスパイラルフロー測定用金型を用いて成形し、流動距離(cm)を求めた。
【0188】
(2)熱時硬度
封止用エポキシ樹脂組成物を上記成形条件で、直径50mm×厚さ3mmの円板に成形し、成形後直ちにショアD型硬度計を用いて測定した。
【0189】
(3)難燃性
封止用エポキシ樹脂組成物を厚さ1/16インチの試験片を成形する金型を用いて、上記成形条件で成形して、さらに180℃で5時間後硬化を行い、UL−94試験法に従って難燃性を評価した。
【0190】
(4)高温弾性率
封止用エポキシ樹脂組成物を上記成形条件で、寸法70mm×10mm×3mmに成形し試験片として用いた。A&G社製テンシロンを用い、JIS−K−6911に準拠した3点支持型曲げ試験を260℃にて行い、弾性率を求めた。
【0191】
(5)吸水率
封止用エポキシ樹脂組成物を上記成形条件で、直径50mm×厚さ3mmの円板に成形し、120℃、1atm、20hrの条件で吸湿させ、吸湿前後の吸水率を求めた。
【0192】
(6)耐リフロー性
8mm×10mm×0.4mmのシリコンチップを搭載した外形寸法20mm×14mm×2mmの80ピンフラットパッケージ(QFP)(リードフレーム材質:銅合金、リード先端銀メッキ処理品)を、封止用エポキシ樹脂組成物を用いて上記(3)の条件で成形、後硬化して作製し、85℃、65%RH、168hrの条件で加湿させた後、235℃で10秒又は245℃で10秒の条件でリフロー処理を行い、クラックの有無を観察し、試験パッケージ数(5個)に対するクラック発生パッケージ数で評価した。
【表1】

【表2】

【0193】
本発明の(A)エポキシ樹脂、(H)インデン系オリゴマー両者を含有しない比較例のうち、高温弾性率が高いものは、235℃における耐リフロー性は低弾性率のものに比べ、劣っている。また、耐リフロー性に優れる比較例6は難燃性においてV−1で、V−0を達成できていない。しかしながら、本発明の(A)エポキシ樹脂、(H)インデン系オリゴマー両者を含有する実施例1〜5において、特に実施例4は高温弾性率および吸水率が最も低く、235℃における耐リフロー性に優れ、かつV−0を達成できている。また、実施例5において、熱時硬度が低下しているため、成形性の観点からも、実施例4がもっとも望ましい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤及び(C)インデン系オリゴマーを含有する封止用エポキシ樹脂組成物であって、前記(A)エポキシ樹脂が下記一般式(I)で示される化合物(a1)及び下記一般式(II)で示される化合物(a2)を含有することを特徴とする封止用エポキシ樹脂組成物。
【化1】

(一般式(I)中、R〜Rは水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜10の一価の炭化水素基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
【化2】

(一般式(II)中、R〜R16は水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜10の一価の炭化水素基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
【請求項2】
前記化合物(a1)と化合物(a2)が予め混合されていることを特徴とする請求項1に記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
【請求項3】
前記化合物(a1)の含有量が、化合物(a1)と化合物(a2)の総質量に対して30〜90質量%である請求項1又は2に記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
【請求項4】
前記化合物(a1)の含有量が、化合物(a1)と化合物(a2)の総質量に対して45〜80質量%である請求項1又は2に記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
【請求項5】
前記化合物(a1)と化合物(a2)の総質量が、前記(A)エポキシ樹脂全量の50〜100質量%である請求項1〜4のいずれか一項に記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
【請求項6】
前記(A)エポキシ樹脂が、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、硫黄原子含有エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ビフェニレン型エポキシ樹脂及びナフトール・アラルキル型フェノール樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種のエポキシ樹脂を含有する請求項1〜5のいずれか一項に記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
【請求項7】
前記(B)硬化剤が、ビフェニル型フェノール樹脂、アラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、トリフェニルメタン型フェノール樹脂及びノボラック型フェノール樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の硬化剤を含有する請求項1〜6のいずれか一項に記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
【請求項8】
前記(C)インデン系オリゴマーの含有量が、(A)エポキシ樹脂100質量部に対して5〜25質量部である請求項1〜7のいずれか一項に記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
【請求項9】
(D)硬化促進剤を含有する請求項1〜8のいずれか一項に記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
【請求項10】
前記(D)硬化促進剤がトリフェニルホスフィンである請求項9に記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
【請求項11】
前記(D)硬化促進剤が第三ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物である請求項9に記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
【請求項12】
(E)無機充填剤を含有する請求項1〜11のいずれか一項に記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
【請求項13】
前記(E)無機充填剤の含有量が、封止用エポキシ樹脂組成物の総質量に対して60〜95質量%である請求項12に記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
【請求項14】
前記(E)無機充填剤の含有量が、封止用エポキシ樹脂組成物の総質量に対して70〜90質量%である請求項12に記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
【請求項15】
(F)カップリング剤を含有する請求項1〜14のいずれか一項に記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
【請求項16】
前記(F)カップリング剤が2級アミノ基を有するシランカップリング剤を含有する請求項15に記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
【請求項17】
前記2級アミノ基を有するシランカップリング剤が下記一般式(III)で示される化合物を含有する請求項16に記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
【化3】

(一般式(III)中、Rは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基及び炭素数1〜2のアルコキシ基から選ばれ、Rは炭素数1〜6のアルキル基及びフェニル基から選ばれ、Rはメチル基又はエチル基を示し、nは1〜6の整数を示し、mは1〜3の整数を示す。)
【請求項18】
請求項1〜17いずれか一項に記載の封止用エポキシ樹脂組成物で封止された素子を備えてなる電子部品装置。

【公開番号】特開2009−102622(P2009−102622A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−243739(P2008−243739)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】