導電性発泡ローラ、導電性発泡ローラの製造方法、及び画像形成装置
【課題】導電性スポンジローラを画像形成装置の転写ローラとして採用する場合、隣接する感光体ドラムと接触した状態で長期間放置した際に、接触位置においてゴムの永久歪が起こり、このような場合には良好な画像を得ることができないという問題があった。
【解決手段】芯金51及び導電性発泡ゴムである発泡ゴム層52を備えた導電性発泡ローラにおいて、160℃、60分の一次加硫と、所定の温度と時間による二次加硫をおこなうことによって、圧縮永久歪み率を1.75%以下とする。
【解決手段】芯金51及び導電性発泡ゴムである発泡ゴム層52を備えた導電性発泡ローラにおいて、160℃、60分の一次加硫と、所定の温度と時間による二次加硫をおこなうことによって、圧縮永久歪み率を1.75%以下とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置における導電性発泡ローラの構造、及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置において、感光ドラムに接触して回転する帯電ローラや転写ローラには、導電性スポンジローラが使用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平9―114186号公報(第3頁、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、導電性スポンジローラを、隣接する部材と接触した状態で長期間放置した際に、接触位置においてゴムの永久歪が起こり、このような場合には良好な画像を得ることができないという問題があった。本発明の目的は、このような問題点を解消し、永久歪みの発生しにくい半導電性発泡ローラ、その製造方法、及びこの半導電性発泡ローラを備えた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による導電性発泡ローラは、
芯金及び導電性発泡ゴムを備えた導電性発泡ローラにおいて、圧縮永久歪み率が1.75%以下であることを特徴とする。
【0006】
本発明による導電性発泡ローラの製造方法は、芯金及び導電性発泡ゴムを備えた導電性発泡ローラの製造方法において、
アクリロニトリルブタジエンゴムとエピクロルヒドリンゴムを所定の配合割合で混練する工程と、前記混練したゴム混合物を中空チューブ状に押し出し、所定の長さにカットして予備成形チューブを成形する工程と、前記予備成形チューブを略160℃で60分間程度の一次加硫を行う工程と、前記一次加硫を行った前記予備成形チューブの中空部に芯金を圧入して一次成形ローラを得る工程と、前記一次成形ローラを所定の温度と時間で二次加硫を行う工程と、前記二次加硫を行った前記一次成形ローラを所定の形状に研磨する工程とを有することを特徴とする。
【0007】
本発明による別の導電性発泡ローラの製造方法は、芯金及び導電性発泡ゴムを備えた導電性発泡ローラの製造方法において、
芯金及び導電性発泡ゴムを備えた導電性発泡ローラの製造方法において、アクリロニトリルブタジエンゴムとエピクロルヒドリンゴムを所定の配合割合で混練する工程と、前記混練したゴム混合物を中空チューブ状に押し出し、所定の長さにカットして予備成形チューブを成形する工程と、前記予備成形チューブを略160℃で60分間程度の一次加硫を行う工程と、前記一次加硫を行った前記予備成形チューブの中空部に芯金を圧入して一次成形ローラを得る工程と、前記一次成形ローラを略160℃で60分間程度の二次加硫を行う工程と、前記二次加硫を行った前記一次成形ローラを所定の形状に研磨して二次成形ローラを得る工程と、前記二次成形ローラを所定の温度と時間でアニールする工程とを有することを特徴とする。
【0008】
本発明による更に別の導電性発泡ローラは、上記製造方法によって製造された導電性発泡ローラであって、
ゴム部が、前記芯金の軸方向における、中央部から両端部近傍にかけて、外径が漸次小さくなる領域を有することを特徴とする。
【0009】
本発明による画像形成装置は、トナー像を担持する感光体ドラムと、前記感光体ドラムに直接或いは間接的に圧接して配置され、前記トナー像を記録媒体に転写するよう電圧を印加する転写ローラとを有する画像形成装置において、
前記転写ローラを、上記した何れかの導電性発泡ローラとしたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ゴム加硫物を発泡させてスポンジ状として、導電性発泡ローラに柔軟性を持たせる場合に、アクリロニトリルブタジエンゴムを多く配合し、環境負荷を軽減する理由のため塩素を含有するエピクロルヒドリンゴムの含有比率を抑えても、圧縮永久歪みに起因する横帯び発生による、印刷の品質劣化を防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
実施の形態1.
図1は、本発明に基づく画像形成装置の要部構成を示す、実施の形態1の画像形成装置の要部構成図である。
【0012】
同図において、画像形成装置1は、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、及びシアン(C)の4色を印刷可能なタンデム型のカラー電子写真プリンタとしての構成を備えている。画像形成装置1の内部には、印刷媒体としての記録用紙16の搬送経路に沿ってその上流側から順に、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、及びシアン(C)の各色の画像を形成する4つのイメージドラムユニット11〜14が着脱自在に配置されている。画像形成装置1の下部には、記録用紙16を複数枚積層した状態で入れておき、順次一枚ずつ取り出すための給紙カセット37が配設されている。
【0013】
用紙カセット37の用紙繰り出し方向端部には、用紙カセット37から1枚ずつ記録用紙16を分離して取り出すための図示しない給紙ローラが配設され、更にここから繰り出された記録用紙16の搬送路(一部点線で示す)に沿ってその上流側から順に、印刷用紙の斜行を矯正しつつ搬送するレジストローラユニット30、無端状で記録用紙16の搬送を行う搬送ベルト42、この搬送ベルト42に沿って配置された上記4つのイメージドラムユニット11〜14、内部にハロゲンランプなどの発熱体を有し記録用紙16を加熱及び加圧して記録用紙16に現像剤の定着を行う定着ユニット38、排出された記録用紙をストックする排紙トレイ39が配設されている。
【0014】
各イメージドラムユニット11〜14は、それぞれブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色のトナー像を形成するため、各々対応する静電潜像を形成するLEDヘッド23を装着している。尚、直列に並べられた4つのイメージドラムユニット11〜14は全て同じ構成であり、使用されるトナーの色、即ち、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)のみが異なる。従って、ここでは例えばブラック(K)のイメージドラムユニット11を例にとり、これらの内部構成を説明する。
【0015】
イメージドラムユニット11は、トナー像を担持する感光体ドラム21、感光体ドラム21の表面を帯電させる帯電ローラ22、帯電した感光体ドラム21の表面に静電潜像を形成するLEDヘッド23、摩擦帯電により静電潜像にトナー像を形成する現像ローラ24、感光体ドラム21の表面に残留したトナーを除去するクリーニングブレード25、及び現像剤としてのトナー(ここではブラック(K))を収容して供給するトナーカートリッジ26などを備える。
【0016】
転写部40は、記録用紙16を静電吸着して搬送する前記した搬送ベルト42、図示せぬ駆動部より回転されて搬送ベルト42を駆動するドライブローラ43、ドライブローラ43と共に備えられて搬送ベルト42を張架するテンションローラ44〜46、前記イメージドラムユニット11〜14の各感光体ドラム21に、それぞれ搬送ベルト42を介して対向して圧接するよう配置され、トナー像を記録用紙16に転写するよう電圧を印加する4つの転写ローラ41、及び搬送ベルト42に付着するトナーを除去するクリーニングブレード48などを有する。
【0017】
イメージドラムユニット11〜14と搬送ベルト42は同期して駆動され、搬送ベルト42に静電吸着された記録用紙16に各色のトナー像を順次重ね合わせて転写する。このようにして各イメージドラムユニット11〜14及び転写部40で画像を転写された記録用紙16は、トナー像を熱と圧力で記録用紙16の表面に融着させる定着ユニット38へ送り出される。
【0018】
定着ユニット38は、内部に図示しない熱源を備えたアッパローラ38aと、その表面が弾性体で覆われたロワローラ38bとからなるローラ対を備えており、トナー像が転写されて送り込まれる記録用紙16上のトナー像に熱と圧力を印加してトナー像を融解して記録用紙16に定着させる。その後記録用紙16は、図示しない排出ローラユニットにより排出トレイ39へと排出される。
【0019】
図2は、上記した画像形成装置1に備えられた本発明に基づく転写ローラ41の内部構成を示す構成図である。
【0020】
同図に示すように、転写ローラ41は、円柱状の芯金51と芯金51の周囲に同心円状に積層する発泡ゴム層52とから構成されており、電気伝導性を所望の抵抗値に調整した導電性発泡ローラである。転写ローラ41のゴム部分には、後述するようにアクリロニトリルブタジエンゴムとエピクロルヒドリンゴムとを混合したゴムを用いており、上記ゴムに後述する、加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、発泡剤、受酸剤、充填剤等を混合配合して加硫発泡成形している。
【0021】
転写ローラ41は、被接触物に対して接触幅を大きく得るためにアスカーC製品硬度が45°以下である必要があり、このためゴム部分(発泡ゴム層52)を発泡させることにより必要な柔軟を得ている。一方、転写のための適度な押圧力を得るため、アスカーC製品硬度が25%以上である必要がある。更に、転写ローラ41のゴム部分(発泡ゴム層52)は、適度な電気抵抗を有していることを必要とする。
【0022】
その抵抗は、105Ω・cmより小さい場合には体積抵抗率の大きい転写材に対して転写性が不十分となり、1012Ω・cmより大きい場合には電源への負担が大きくなって適正な転写電流を発生させることが困難になる。従って、転写ローラ41のゴム部分(発泡ゴム層52)の最適な抵抗領域は105〜1012Ω・cmの範囲であり、以後この適正領域を中抵抗領域と呼ぶ。尚、本実施の形態の転写ローラ41のように、そのゴム部分にエピクロルヒドリンゴムを用いると、ヒドロニウムイオンが電気伝導性を有するので、安定的に中抵抗領域の電気抵抗値を得ることが可能である。
【0023】
加硫発泡成形時に混合配合される加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、発泡剤、受酸剤、充填剤として用いられる材料を以下に列記する。
【0024】
・加硫剤
ニトリルゴムの加硫剤である硫黄系加硫剤として、粉末硫黄、有機含硫黄化合物、過酸化物硫黄等がある。有複合硫黄化合物としては、テトラメチルチウラムジスルフィド、N,N−ジチオビスモルホリン等を用いることができる。過酸化物硫黄としてはベンゾイルペルオキシド等を用いることができる。またエピクロルヒドリンゴムの加硫剤であるトリアジン系化合物として、2,4,6−トリメルカプト−S−トリアジン、2−置換−4,6−ジメルカプト−S−トリアジン(置換基はアルキル基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基等)等を用いることができる。
・加硫促進剤
チオウレア系加硫促進剤、トリアジン誘導体等がある。チオウレア類としては、テトラメチルチオウレア、トリメチルチオウレア、エテレンチオウレア、及び(Cn H2n+1 NH)2C=S(n=1〜10の整数)等を用いることができる。
・加硫促進助剤
酸化亜鉛、酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸亜鉛、ステアリン酸等を用いることができる。
・発泡剤
有機系発泡剤であるアゾジカルボンアミド(ADCA)、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH))を1種、または両方を用いることができる。化学発泡剤としては、N,N−ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)等を用いることができる。
・受酸剤
酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化すず、ハイドロタルサイト類化合物等を用いることができる。
・充填剤
シリカ、カーボンブラック、タルク、炭酸カルシウム、二塩基性亜リン酸塩(DLP)、塩基性炭酸マグネシウム、アルミナ等の粉体を用いることができる。
【0025】
次に、例えば前記した転写ローラ41や帯電ローラ22として用いられる導電性発泡ローラを、種々の条件の下に実験試料として製作し、製作した導電性発泡ローラの電気抵抗値、抵抗周ムラ、製品硬度を測定した。以下、その製作方法及び測定結果について説明する。尚、後述する各表では、各実験試料につい行った実験を実験例1〜32として区別して示す。
【0026】
表1は、後述する実験例1〜32に用いた原材料と、その配合割合(配合A、配合B、配合C)を示す表である。つまり実験例1〜32は、原材料を配合A、配合B、配合Cの何れかの割合で配合して形成されている。表2は、使用されるポリマー(NBR(アクリロニトリルブタジエンゴム)とエピクロルヒドリンゴム)の詳細を示す。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
(実験例1〜10)
表3に示す、導電性発泡ローラの実験例1〜10に用いた原材料及び配合割合は、表1に示す配合Bである。配合Bからなるゴム混合物を、密閉式混練機(DS10−40MWA−S(株)森山製作所製)により100℃で10分間混練した。上記混練機からリボン取りしたゴム混合物を、40℃に温度調節された単軸押出機に投入して中空チューブ状に押し出した。この時、得られるチューブの寸法を、外径16mm、内径5mm、長さ30mとする。このゴムチューブを適切な長さにカットして予備成形チューブを成形し、この予備成形チューブを加圧式水蒸気式加硫缶に投入して160℃で60分間の一次加硫を行った。この際、化学発泡剤がガス化して発泡すると共に、ゴム成分の架橋も進行した。上記の如く円筒形状の加硫発泡体チューブの中空部に、ホットメルト接着剤を塗布した金属製シャフトからなる芯金(外径6mm)を圧入挿入して、一次成形ローラを得た。
【0030】
【表3】
【0031】
ここでは、以上のようにして得られる一次成形ローラを10試料用意し、それぞれを熱風オーブンに入れ、表3に示す10例の温度と時間で二次加硫を行って、芯金と導電性発泡ゴムとが接着され一体化した後に、ゴム両端を切落としてゴム長を214mmとし、ゴム表面を研磨してゴム厚さ4mmで外径を14mmとして実験例1〜10の導電性発泡ローラを得た。
【0032】
得られた実験例1〜10の導電性発泡ローラについて、電気抵抗値、抵抗周ムラ、製品硬度を測定した結果を表3に示し、同じく歪み量、歪み率の測定結果、及びべた画像評価を表4に示す。
【0033】
【表4】
【0034】
表3の各パラメータ、そして表4の圧縮永久歪み率の試験方法、及び画像評価の方法について以下に説明する。
【0035】
・電気抵抗値
図3は、実験試料としての導電性発泡ローラの電気抵抗測定方法を説明するための説明図である。同図に示すように、金属で形成された回転ドラム101に導電性発泡ローラ(試料)102を当接して連れ回り回転させ、20℃(温度)、50%(湿度)環境下で両ローラ間に1000Vの直流電圧を印加し、そのとき流れる電流を測定し、その平均値から導電性発泡ローラの電気抵抗値を算出する。
【0036】
・抵抗周むら
導電性発泡ローラの一周内の電気抵抗値の最大値と最小値との比である。
・製品硬度
導電性発泡ローラの側面にアスカーC硬度計を荷重1000gfで押当てて読み取った値である。
【0037】
・圧縮永久歪み試験
図4は、実験試料としての導電性発泡ローラの圧縮永久歪み測定方法を説明するための説明図である。同図に示すように、転写ローラに相当する導電性発泡ローラ101を、感光体ドラムに相当する外径30mmの筒型形状部103に対して、押し込み力47gf/cmで圧接して、温度70℃、湿度90%環境下に7日開放置する試験である。
尚、 押し込み力=全荷重÷接触長 であり、A4サイズの場合、接触長に相当するゴム長は214mmで、全荷重は1000gfとする。また、圧接する場合には、例えばバネ等で導電性発泡ローラ101の中心軸を押圧して行う。
・歪み量、永久歪み率
圧縮永久歪み試験を実施して、荷重負荷を解除してから7日経過時点でのゴム部分の長手方向(芯金の軸方向)中央部及び両端から内側10mmの3箇所の圧接位置について残留している歪み量(表に示す値はそれらの平均値)を測定し、その平均値をゴムの厚さで割った値(%表示)を圧縮永久歪み率とした。
【0038】
・画像評価の方法について
例えば図1の画像形成装置1(タンデム型のカラー電子写真プリンタ)を使用し、その転写ローラ41として、圧縮永久歪み率を測定した各導電性発泡ローラ102を装着して100%画像パターンを印刷して画像品質評価する。転写ローラ41として使用する導電性発泡ローラ102と感光体ドラム21との間は一定加重になるように設定して、両者の押し当て全荷重は1000gfとした。圧縮永久歪み試験において、転写ローラの接触部分の永久歪み率が所定値以上の場合に、感光体ドラム21への接触状態が正常部分と異なってしまう。そのためトナーの転写性が電気的にも機械的にも適正でなくなって画像上の横帯が発生する。画像評価は、この横帯の有無により良否を判定する。表では、良の場合を○で、不良の場合×で示している。
【0039】
表3に示す各実験例の導電性発泡ローラについて、圧縮永久歪み試験による永久歪み率測定の結果を表4に示す。同表に示すように、実験例1〜9では、永久歪み率が何れも1.75%以下であり画像は良好であった。実験例10では、永久歪み率が2.09%となって所定値を超え、100%画像の中に転写ローラ周期の横帯が発生した。
【0040】
従って、実験例1〜9の実施例で示すように、ここでは少なくとも永久歪み率が1.75%以下となる温度と時間で二次加硫を行うことによって、圧縮永久歪み起因する画像上の横帯を防ぐことができる。尚、ここでの実験例10は参考例として掲げるものである。
【0041】
一般に、アクリロニトリルブタジエンゴムを多く配合して発泡させたゴム加硫物は、圧縮永久歪みが悪くなるという問題があったが、以上のように、本実施の形態の導電性発泡ローラの製造方法によれば、ゴム加硫物を発泡させてスポンジ状として柔軟性を持たせる場合に、アクリロニトリルブタジエンゴムを多く配合し、環境負荷を軽減する理由のため塩素を含有するエピクロルヒドリンゴムの含有比率を抑えても、圧縮永久歪み率を所定値以下として、圧縮永久歪みに起因する横帯び発生による、印刷の品質劣化を防止することができる。
【0042】
実施の形態2.
(実験例11〜17)
表5に示す、導電性発泡ローラの実験例11〜17に用いた原材料及び配合割合は、表1に示す配合Aである。配合Aからなるゴム混合物を、密閉式混練機(DS10−40MWA−S(株)森山製作所製)により100℃で10分間混練した。上記混練機からリボン取りしたゴム混合物を、40℃に温度調節された単軸押出機に投入して中空チューブ状に押し出した。この時、得られるチューブの寸法を、外径16mm、内径5mm、長さ30mとする。このゴムチューブを適切な長さにカットして予備成形チューブを成形し、この予備成形チューブを加圧式水蒸気式加硫缶に投入して160℃で60分間の一次加硫を行った。この際、化学発泡剤がガス化して発泡すると共に、ゴム成分の架橋も進行した。上記の如く円筒形状の加硫発泡体チューブの中空部に、ホットメルト接着剤を塗布した金属製シャフトからなる芯金(外径6mm)を圧入挿入して、一次成形ローラを得た。
【0043】
【表5】
【0044】
次に、一次成形ローラを熱風オーブンに入れ、160℃で60分間の二次加硫を行って、芯金と導電性発泡ゴムとが接着され一体化した後に、ゴム両端を切落としてゴム長を214mmとし、ゴム表面を研磨してゴム厚さ4mmで外径を14mmとして二次成形ローラを得た。ここでは、以上のようにして得られる二次成形ローラを7試料用意し、それぞれを熱風オーブンに入れ、表5に示す7例の温度と時間でアニール処理して、実験例11〜17の導電性発泡ローラを得た。
【0045】
得られた実験例11〜17の導電性発泡ローラについて、電気抵抗値、抵抗周ムラ、製品硬度を測定した結果を表5に示し、同じく歪み量、歪み率の測定結果、及びべた画像評価の結果を図6に示す。尚、表5の各パラメータ、そして表6の圧縮永久歪み率の試験方法、及び画像評価の方法については、前記した実施の形態1で説明した通りなので、ここでの説明は省略する。
【0046】
【表6】
【0047】
表6に示すように、実験例12〜16では永久歪み率が1.63%以下で画像は良好であった。実験例11及び実験例17では、永久歪み率が1.98%及び1.9%となり、100%画像の中に転写ローラ周期の横帯が発生した。
【0048】
従って、実験例12〜16の実施例で示すように、ここでは少なくとも永久歪み率が1.63%以下となる温度と時間でアニール処理を行うことによって、圧縮永久歪み起因する画像上の横帯を防ぐことができる。尚、ここでの実験例11,17は参考例として掲げるものである。
【0049】
(実験例18〜23)
表7に示す、導電性発泡ローラの実験例18〜23に用いた原材料及び配合割合は、表1に示す配合Bである。ここでは、実験例11〜17と同じ製造方法で、即ち配合Bからなるゴム混合物を、100℃で10分間混練して中空チューブ状に押出して予備成形チューブを成形した後、160℃で60分間の一次加硫、及び160℃で60分間の二次加硫を行って二次成形ローラを6試料用意し、それぞれを熱風オーブンに入れ、表7に示す6例の温度と時間でアニール処理して、実験例18〜23の導電性発泡ローラを得た。
【0050】
【表7】
【0051】
得られた実験例18〜23の導電性発泡ローラについて、電気抵抗値、抵抗周ムラ、製品硬度を測定した結果を表7に示し、同じく歪み量、歪み率の測定結果、及びべた画像評価の結果を図8に示す。
【0052】
【表8】
【0053】
表8に示すように、実験例19〜22では永久歪み率が1.58%以下で画像は良好であった。実験例18及び実験例23では、永久歪み率が1.92%及び1.88%となり、100%画像の中に転写ローラ周期の横帯が発生した。
【0054】
従って、実験例19〜22の実施例で示すように、ここでは少なくとも永久歪み率が1.58%以下となる温度と時間でアニール処理を行うことによって、圧縮永久歪み起因する画像上の横帯を防ぐことができる。尚、ここでの実験例18,23は参考例として掲げるものである。
【0055】
(実験例24〜29)
表9に示す、導電性発泡ローラの実験例24〜29に用いた原材料及び配合割合は、表1に示す配合Cである。ここでは、実験例11〜17と同じ製造方法で、即ち配合Cからなるゴム混合物を、100℃で10分間混練して中空チューブ状に押出して予備成形チューブを成形した後、160℃で60分間の一次加硫、及び160℃で60分間の二次加硫を行って二次成形ローラを6試料用意し、それぞれを熱風オーブンに入れ、表9に示す6例の温度と時間でアニール処理して、実験例24〜29の導電性発泡ローラを得た。
【0056】
【表9】
【0057】
得られた実験例24〜29の導電性発泡ローラについて、電気抵抗値、抵抗周ムラ、製品硬度を測定した結果を表9に示し、同じく歪み量、歪み率の測定結果、及びべた画像評価の結果を図10に示す。
【0058】
【表10】
【0059】
表10に示すように、実験例25〜28では永久歪み率が1.55%以下で画像は良好であった。実験例24及び実験例29では、永久歪み率が1.90%及び1.88%となり、100%画像の中に転写ローラ周期の横帯が発生した。
【0060】
従って、実験例25〜28の実施例で示すように、ここでは少なくとも永久歪み率が1.55%以下となる温度と時間でアニール処理を行うことによって、圧縮永久歪み起因する画像上の横帯を防ぐことができる。尚、ここでの実験例24,29は参考例として掲げるものである。
【0061】
以上のように、本実施の形態の導電性発泡ローラの製造方法によれば、実施の形態1の場合と同様に、ゴム加硫物を発泡させてスポンジ状として柔軟性を持たせる場合に、アクリロニトリルブタジエンゴムを多く配合し、環境負荷を軽減する理由のため塩素を含有するエピクロルヒドリンゴムの含有比率を抑えても、圧縮永久歪み率を所定値以下として、圧縮永久歪み起因する横帯び発生による、印刷の品質劣化を防止することができる。
更に、多くの実験例で永久歪み率を1.63%以下とすることができたように、実施の形態1の場合よりも、更に永久歪み率を引き下げることが容易となり、品質の向上及び生産性の向上に寄与できる。
【0062】
実施の形態3.
(実験例30)
実験例30では、前記した実施の形態1の実験例5の実験試料である導電性発泡ローラに対して、研磨による外径が僅かに異なる導電性発泡ローラを得る。即ち、実施の形態1で示した導電性発泡ローラの実験例1〜10と同様の方法で、一次成形ローラを得て熱風オーブンに入れ、表3に示す実験例5の場合と同様に、温度130℃にて3時間の二次加硫を行った。そして、芯金と導電性発泡ゴムとが接着され一体化した後に、ゴム両端を切落としてゴム長を214mmとしてゴム表面を研磨し、ここではゴム厚さが4mm〜4.1mmで、ゴム端部の外径を14mm、ゴム中央部の外径を14.1mmとして、外径差100μmとなる略太鼓形状を狙った。
【0063】
図5は、本実施の形態の導電性発泡ローラの理想的な外周面の形状を示す正面図である。同図に示すように、理想的な導電性発泡ローラは、そのゴム部111(図中110は芯金)の断面外形線が4次曲線に沿って形成されて、外周面が太鼓状に形成されている。図6は、図5の理想形状に近似させるため、中央部付近を円柱形状とし、その両側を円錐台形状とした近似形状の例を示す実験例30の導電性発泡ローラの簡易図である。
【0064】
図7は、図6の近似形状の構成を説明するための説明図である。同図(a)に示すように、理想形状(その半径の変化を点線で示す)のゴム部分と同じ体積であるように円錐台を選択し、半径7.05mmを超える部分をカットして同図(b)の形状を得るものである。図15は、図7(b)の形状を目標にして研磨して得た実験例30の導電性発泡ローラの外径を測定した測定結果を示すグラフである。このように外径差90μmの導電性発泡ローラを得た。
【0065】
表11は、この実験例30における圧縮永久歪み試験の測定結果と画像評価結果を示す。尚、表11の圧縮永久歪み率の試験方法、及び画像評価の方法については、前記した実施の形態1で説明した通りなので、ここでの説明は省略する。同表に示すように、ここでは永久歪み率が1.32%となり、画像は良好であった。
【0066】
【表11】
【0067】
図15に示すグラフでは、ゴム端部から10mm未満の領域の形状が理想的ではないが問題ではない。なぜならゴム端部から10mm未満の領域については、ゴムの非圧縮性によりゴムが外側に逃げてしまうため、狙いの外径に研磨できないのが実情であって、また使用時にも被接触物に対してゴム端部は同様に外側へ逃げるため、ゴム端部から10mm未満の領域の形状を重要に捉えなくても問題ない。
【0068】
以上のように、本実施の形態の実施例(実験例30)による導電性発泡ローラによれば、実験例5(表3,4)の導電性発泡ローラの永久歪み率1.54%に対して、ゴム部形状を略太鼓上に形成することにより永久歪み率1.32%が得られたように、永久歪み率の低減に寄与することができる。
【0069】
実施の形態4.
表12に示す、導電性発泡ローラの実験例31、32に用いた原材料及び配合割合は、表1に示す配合Bである。配合Bからなるゴム混合物を、密閉式混練機(DS10−40MWA−S(株)森山製作所製)により100℃で10分間混練した。上記混練機からリボン取りしたゴム混合物を、40℃に温度調節された単軸押出機に投入して中空チューブ状に押し出した。この時、得られるチューブの寸法を、外径20mm、内径7mm、長さ30mとする。このゴムチューブを適切な長さにカットして予備成形チューブを成形し、この予備成形チューブを加圧式水蒸気式加硫缶に投入して160℃で60分間の一次加硫をおこなった。この際、化学発泡剤がガス化して発泡すると共に、ゴム成分の架橋も進行した。上記の如く円筒形状の加硫発泡体チューブの中空部に、ホットメルト接着剤を塗布した金属製シャフトからなる芯金(外径8mm)を圧入挿入して、一次成形ローラを得た。
【0070】
【表12】
【0071】
一次成形ローラを熱風オーブンに入れ、温度130℃にて3時間(実験例5に相当)の二次加硫を行って、芯金と導電性発泡ゴムとが接着され一体化した後に、ゴム両端を切落としてゴム長をA3サイズ対応の301mmにしてゴム表面を研磨し、ここでは実験例31、32の何れも、ゴム端部の外径を16mm、ゴム中央部の外径を16.2mmとして、外径差200μmとなる略太鼓形状を狙った。
【0072】
(実験例31)
図8は、本実施の形態の導電性発泡ローラの理想的な外周面の形状を示す正面図である。同図に示すように、理想的な導電性発泡ローラは、そのゴム部111(図中110は芯金)の断面外形線が4次曲線に沿って形成されて、外周面が太鼓状に形成されている。図9は、図8の理想形状に近似させるため、中央部付近を円柱形状とし、その両側を円錐台形状とした近似形状の例を示す実験例31の導電性発泡ローラの簡易図である。
【0073】
図10は、図9の近似形状の構成を説明するための説明図である。前記した実験例30の場合と同様に、先ず理想形状(その半径の変化を点線で示す)のゴム部分と同じ体積であるように円錐台を選択し、半径8.10mmを超える部分をカットして同図の形状を得るものである。図16は、図10の形状を目標にして研磨して得た実験例31の導電性発泡ローラの外径を測定した測定結果を示すグラフである。このように外径差186μmの導電性発泡ローラを得た。
【0074】
表12に、この実験例31における圧縮永久歪み試験の測定結果と画像評価結果を示す。このように、ここでは永久歪み率が1.80%となり、100%画像の中に転写ローラ周期の横帯が発生した。以上のように、ここでの実験例31は、参考例として掲げたものである。
【0075】
(実験例32)
図11は、図8の理想形状に近似させた実験例32の導電性発泡ローラの簡易図である。同図に示すように、ここでの導電性発泡ローラのゴム部111は、芯金110の軸方向における中央部を中心に左右対称に形成され、中央部付近を円柱形状とし、例えば一方の側において、端部に向かって2種類の円錐台2、円錐台21を段差が生じないように連ねて近似している。同図中の円錐台1と2との境界位置は、ゴム端部から内側に10mmの位置から、ゴム端部から内側にゴム全長の28%までの場所が良い。以下にその理由を説明する。
【0076】
図12は、円柱部分が無くて円錐台1と2のみで表す場合を説明するための説明図である。理想と考える4次曲線に対して、最適化した円錐台を選択するために、体積差が極小になるような境界位置を求める。これは、S−S1およびS−S2の和が極小になることと等価であるので、
△((S−S1)十(S−S2))=MIN(極小値)
である。上記変分方程式を満足する境界位置は、ゴム端部から内側に85mmの場所であり、図13は、境界位置をこの85mmの位置に設定した状態を示す説明図である。この時の境界位置は、ゴム部全長(301mm)の約28%に相当する。更に円柱部分がある場合は、上記境界位置が端部側ヘシフトするため、上記境界位置はゴム端部から内側にゴム全長の28%までの場所に設定されることが望ましい。図14はこの時の状態、即ち実験例32の近似形状を示している。
【0077】
図17は、図14に示す形状を目標として研磨して得た実験例32の導電性発泡ローラの外径を測定した測定結果を示すグラフである。このようにして外径差180μmの導電性発泡ローラを得た。尚、ゴム端部から10mm未満の領域の形状が理想的ではないが、実験例30で説明した理由と同様の理由により問題ない。
【0078】
表12に、この実験例32における圧縮永久歪み試験の測定結果と画像評価結果を示す。このように、ここでは永久歪み率が1.55%となり、画像は良好であった。
【0079】
図18は、感光体ドラム21(図1)或いは感光体ドラム21に相当する筒型形状部103(図4)に対する、図9に外形を示す実験例31の導電性発泡ローラのニップ量を示すグラフであり、図19は、同じく感光体ドラム21或いは筒型形状部103に対する、図11に外形を示す実験例32の導電性発泡ローラのニップ量を示すグラフである。
【0080】
図18のグラフに示すように、実験例31(参考例)の導電性発泡ローラでは、端部付近への荷重が強く、中間部分は少し弱まり、中央部で再度強くなっており、A3サイズで全長が長くなったため実験例30と同様なテーパー形状は十分な効果を上げていない。一方図19のグラフに示すように、実験例32(実施例)の導電性発泡ローラでは、実験例31において荷重が端部に集中していた傾向を改善しているので、永久歪みを小さくすることができた。尚、実験例32では現実の量産製造用研磨装置の都合によって二種類の円錐台のみで理想と考える4次曲線を近似しているけれども、多くの円錐台で近似することが望ましい。その理由は上記の如く4次曲線に対する体積差をさらに小さくすることが可能になるからである。
【0081】
以上のように本実施の形態の導電性発泡ローラによれば、そのゴム部を複数の円錐台を段差無く連続して配置した構成にして理想形状に近似させることによって永久歪み率の低減を実現している。このため、A3対応のようにサイズが大きくて、永久歪み率の低減が難しくなる転写ローラに用いて好適な導電性発泡ローラを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明に基づく画像形成装置の要部構成を示す、実施の形態1の画像形成装置の要部構成図である。
【図2】画像形成装置に備えられた本発明に基づく転写ローラの内部構成を示す構成図である。
【図3】実験試料としての導電性発泡ローラの電気抵抗測定方法を説明するための説明図である。
【図4】実験試料としての導電性発泡ローラの圧縮永久歪み測定方法を説明するための説明図である。
【図5】実施の形態3の導電性発泡ローラの理想的な外周面の形状を示す正面図である。
【図6】図5の理想形状に近似させるため、中央部付近を円柱形状とし、その両側を円錐台形状とした近似形状の例を示す実験例30の導電性発泡ローラの簡易図である。
【図7】図6の近似形状の構成を説明するための説明図であり、同図(a)は理想形状のゴム部分と同じ体積であるように円錐台を選択した段階を示し、同図(b)は半径7.05mmを超える部分をカットした段階の形状を示す。
【図8】実施の形態4の導電性発泡ローラの理想的な外周面の形状を示す正面図である。
【図9】図8の理想形状に近似させた実験例31の導電性発泡ローラの簡易図である。
【図10】図9の近似形状の構成を説明するための説明図である。
【図11】図8の理想形状に近似させた実験例32の導電性発泡ローラの簡易図である。
【図12】円柱部分が無くて2種類の円錐台のみで表す場合を説明するための説明図である。
【図13】円錐台の境界位置を最も好ましい位置に設定した状態を示す説明図である。
【図14】図11の近似形状の構成を説明するための説明図である。
【図15】図7(b)の形状を目標にして研磨して得た実験例30の導電性発泡ローラの外径を測定した測定結果を示すグラフである。
【図16】図10の形状を目標にして研磨して得た実験例31の導電性発泡ローラの外径を測定した測定結果を示すグラフである。
【図17】図14に示す形状を目標として研磨して得た実験例32の導電性発泡ローラの外径を測定した測定結果を示すグラフである。
【図18】感光体ドラムに対する、図9に外形を示す実験例31の導電性発泡ローラのニップ量を示すグラフである。
【図19】感光体ドラムに対する、図11に外形を示す実験例32の導電性発泡ローラのニップ量を示すグラフである。
【符号の説明】
【0083】
1 画像形成装置、
11〜14 イメージドラムユニット、
16 記録用紙、
21 感光体ドラム、
22 帯電ローラ、
23 LEDヘッド、
24 現像ローラ、
25,48 クリーニングブレード、
26 トナーカートリッジ、
30 レジストローラユニット、
37 給紙カセット、
38 定着ユニット、
39 排紙トレイ、
40 転写部、
41 転写ローラ、
42 搬送ベルト、
43 ドライブローラ、
44〜46 テンションローラ、
51 芯金、
52 発泡ゴム層、
101 回転ドラム、
102 導電性発泡ローラ、
103 筒型形状部、
110 芯金、
111 ゴム部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置における導電性発泡ローラの構造、及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置において、感光ドラムに接触して回転する帯電ローラや転写ローラには、導電性スポンジローラが使用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平9―114186号公報(第3頁、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、導電性スポンジローラを、隣接する部材と接触した状態で長期間放置した際に、接触位置においてゴムの永久歪が起こり、このような場合には良好な画像を得ることができないという問題があった。本発明の目的は、このような問題点を解消し、永久歪みの発生しにくい半導電性発泡ローラ、その製造方法、及びこの半導電性発泡ローラを備えた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による導電性発泡ローラは、
芯金及び導電性発泡ゴムを備えた導電性発泡ローラにおいて、圧縮永久歪み率が1.75%以下であることを特徴とする。
【0006】
本発明による導電性発泡ローラの製造方法は、芯金及び導電性発泡ゴムを備えた導電性発泡ローラの製造方法において、
アクリロニトリルブタジエンゴムとエピクロルヒドリンゴムを所定の配合割合で混練する工程と、前記混練したゴム混合物を中空チューブ状に押し出し、所定の長さにカットして予備成形チューブを成形する工程と、前記予備成形チューブを略160℃で60分間程度の一次加硫を行う工程と、前記一次加硫を行った前記予備成形チューブの中空部に芯金を圧入して一次成形ローラを得る工程と、前記一次成形ローラを所定の温度と時間で二次加硫を行う工程と、前記二次加硫を行った前記一次成形ローラを所定の形状に研磨する工程とを有することを特徴とする。
【0007】
本発明による別の導電性発泡ローラの製造方法は、芯金及び導電性発泡ゴムを備えた導電性発泡ローラの製造方法において、
芯金及び導電性発泡ゴムを備えた導電性発泡ローラの製造方法において、アクリロニトリルブタジエンゴムとエピクロルヒドリンゴムを所定の配合割合で混練する工程と、前記混練したゴム混合物を中空チューブ状に押し出し、所定の長さにカットして予備成形チューブを成形する工程と、前記予備成形チューブを略160℃で60分間程度の一次加硫を行う工程と、前記一次加硫を行った前記予備成形チューブの中空部に芯金を圧入して一次成形ローラを得る工程と、前記一次成形ローラを略160℃で60分間程度の二次加硫を行う工程と、前記二次加硫を行った前記一次成形ローラを所定の形状に研磨して二次成形ローラを得る工程と、前記二次成形ローラを所定の温度と時間でアニールする工程とを有することを特徴とする。
【0008】
本発明による更に別の導電性発泡ローラは、上記製造方法によって製造された導電性発泡ローラであって、
ゴム部が、前記芯金の軸方向における、中央部から両端部近傍にかけて、外径が漸次小さくなる領域を有することを特徴とする。
【0009】
本発明による画像形成装置は、トナー像を担持する感光体ドラムと、前記感光体ドラムに直接或いは間接的に圧接して配置され、前記トナー像を記録媒体に転写するよう電圧を印加する転写ローラとを有する画像形成装置において、
前記転写ローラを、上記した何れかの導電性発泡ローラとしたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ゴム加硫物を発泡させてスポンジ状として、導電性発泡ローラに柔軟性を持たせる場合に、アクリロニトリルブタジエンゴムを多く配合し、環境負荷を軽減する理由のため塩素を含有するエピクロルヒドリンゴムの含有比率を抑えても、圧縮永久歪みに起因する横帯び発生による、印刷の品質劣化を防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
実施の形態1.
図1は、本発明に基づく画像形成装置の要部構成を示す、実施の形態1の画像形成装置の要部構成図である。
【0012】
同図において、画像形成装置1は、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、及びシアン(C)の4色を印刷可能なタンデム型のカラー電子写真プリンタとしての構成を備えている。画像形成装置1の内部には、印刷媒体としての記録用紙16の搬送経路に沿ってその上流側から順に、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、及びシアン(C)の各色の画像を形成する4つのイメージドラムユニット11〜14が着脱自在に配置されている。画像形成装置1の下部には、記録用紙16を複数枚積層した状態で入れておき、順次一枚ずつ取り出すための給紙カセット37が配設されている。
【0013】
用紙カセット37の用紙繰り出し方向端部には、用紙カセット37から1枚ずつ記録用紙16を分離して取り出すための図示しない給紙ローラが配設され、更にここから繰り出された記録用紙16の搬送路(一部点線で示す)に沿ってその上流側から順に、印刷用紙の斜行を矯正しつつ搬送するレジストローラユニット30、無端状で記録用紙16の搬送を行う搬送ベルト42、この搬送ベルト42に沿って配置された上記4つのイメージドラムユニット11〜14、内部にハロゲンランプなどの発熱体を有し記録用紙16を加熱及び加圧して記録用紙16に現像剤の定着を行う定着ユニット38、排出された記録用紙をストックする排紙トレイ39が配設されている。
【0014】
各イメージドラムユニット11〜14は、それぞれブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色のトナー像を形成するため、各々対応する静電潜像を形成するLEDヘッド23を装着している。尚、直列に並べられた4つのイメージドラムユニット11〜14は全て同じ構成であり、使用されるトナーの色、即ち、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)のみが異なる。従って、ここでは例えばブラック(K)のイメージドラムユニット11を例にとり、これらの内部構成を説明する。
【0015】
イメージドラムユニット11は、トナー像を担持する感光体ドラム21、感光体ドラム21の表面を帯電させる帯電ローラ22、帯電した感光体ドラム21の表面に静電潜像を形成するLEDヘッド23、摩擦帯電により静電潜像にトナー像を形成する現像ローラ24、感光体ドラム21の表面に残留したトナーを除去するクリーニングブレード25、及び現像剤としてのトナー(ここではブラック(K))を収容して供給するトナーカートリッジ26などを備える。
【0016】
転写部40は、記録用紙16を静電吸着して搬送する前記した搬送ベルト42、図示せぬ駆動部より回転されて搬送ベルト42を駆動するドライブローラ43、ドライブローラ43と共に備えられて搬送ベルト42を張架するテンションローラ44〜46、前記イメージドラムユニット11〜14の各感光体ドラム21に、それぞれ搬送ベルト42を介して対向して圧接するよう配置され、トナー像を記録用紙16に転写するよう電圧を印加する4つの転写ローラ41、及び搬送ベルト42に付着するトナーを除去するクリーニングブレード48などを有する。
【0017】
イメージドラムユニット11〜14と搬送ベルト42は同期して駆動され、搬送ベルト42に静電吸着された記録用紙16に各色のトナー像を順次重ね合わせて転写する。このようにして各イメージドラムユニット11〜14及び転写部40で画像を転写された記録用紙16は、トナー像を熱と圧力で記録用紙16の表面に融着させる定着ユニット38へ送り出される。
【0018】
定着ユニット38は、内部に図示しない熱源を備えたアッパローラ38aと、その表面が弾性体で覆われたロワローラ38bとからなるローラ対を備えており、トナー像が転写されて送り込まれる記録用紙16上のトナー像に熱と圧力を印加してトナー像を融解して記録用紙16に定着させる。その後記録用紙16は、図示しない排出ローラユニットにより排出トレイ39へと排出される。
【0019】
図2は、上記した画像形成装置1に備えられた本発明に基づく転写ローラ41の内部構成を示す構成図である。
【0020】
同図に示すように、転写ローラ41は、円柱状の芯金51と芯金51の周囲に同心円状に積層する発泡ゴム層52とから構成されており、電気伝導性を所望の抵抗値に調整した導電性発泡ローラである。転写ローラ41のゴム部分には、後述するようにアクリロニトリルブタジエンゴムとエピクロルヒドリンゴムとを混合したゴムを用いており、上記ゴムに後述する、加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、発泡剤、受酸剤、充填剤等を混合配合して加硫発泡成形している。
【0021】
転写ローラ41は、被接触物に対して接触幅を大きく得るためにアスカーC製品硬度が45°以下である必要があり、このためゴム部分(発泡ゴム層52)を発泡させることにより必要な柔軟を得ている。一方、転写のための適度な押圧力を得るため、アスカーC製品硬度が25%以上である必要がある。更に、転写ローラ41のゴム部分(発泡ゴム層52)は、適度な電気抵抗を有していることを必要とする。
【0022】
その抵抗は、105Ω・cmより小さい場合には体積抵抗率の大きい転写材に対して転写性が不十分となり、1012Ω・cmより大きい場合には電源への負担が大きくなって適正な転写電流を発生させることが困難になる。従って、転写ローラ41のゴム部分(発泡ゴム層52)の最適な抵抗領域は105〜1012Ω・cmの範囲であり、以後この適正領域を中抵抗領域と呼ぶ。尚、本実施の形態の転写ローラ41のように、そのゴム部分にエピクロルヒドリンゴムを用いると、ヒドロニウムイオンが電気伝導性を有するので、安定的に中抵抗領域の電気抵抗値を得ることが可能である。
【0023】
加硫発泡成形時に混合配合される加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、発泡剤、受酸剤、充填剤として用いられる材料を以下に列記する。
【0024】
・加硫剤
ニトリルゴムの加硫剤である硫黄系加硫剤として、粉末硫黄、有機含硫黄化合物、過酸化物硫黄等がある。有複合硫黄化合物としては、テトラメチルチウラムジスルフィド、N,N−ジチオビスモルホリン等を用いることができる。過酸化物硫黄としてはベンゾイルペルオキシド等を用いることができる。またエピクロルヒドリンゴムの加硫剤であるトリアジン系化合物として、2,4,6−トリメルカプト−S−トリアジン、2−置換−4,6−ジメルカプト−S−トリアジン(置換基はアルキル基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基等)等を用いることができる。
・加硫促進剤
チオウレア系加硫促進剤、トリアジン誘導体等がある。チオウレア類としては、テトラメチルチオウレア、トリメチルチオウレア、エテレンチオウレア、及び(Cn H2n+1 NH)2C=S(n=1〜10の整数)等を用いることができる。
・加硫促進助剤
酸化亜鉛、酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸亜鉛、ステアリン酸等を用いることができる。
・発泡剤
有機系発泡剤であるアゾジカルボンアミド(ADCA)、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH))を1種、または両方を用いることができる。化学発泡剤としては、N,N−ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)等を用いることができる。
・受酸剤
酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化すず、ハイドロタルサイト類化合物等を用いることができる。
・充填剤
シリカ、カーボンブラック、タルク、炭酸カルシウム、二塩基性亜リン酸塩(DLP)、塩基性炭酸マグネシウム、アルミナ等の粉体を用いることができる。
【0025】
次に、例えば前記した転写ローラ41や帯電ローラ22として用いられる導電性発泡ローラを、種々の条件の下に実験試料として製作し、製作した導電性発泡ローラの電気抵抗値、抵抗周ムラ、製品硬度を測定した。以下、その製作方法及び測定結果について説明する。尚、後述する各表では、各実験試料につい行った実験を実験例1〜32として区別して示す。
【0026】
表1は、後述する実験例1〜32に用いた原材料と、その配合割合(配合A、配合B、配合C)を示す表である。つまり実験例1〜32は、原材料を配合A、配合B、配合Cの何れかの割合で配合して形成されている。表2は、使用されるポリマー(NBR(アクリロニトリルブタジエンゴム)とエピクロルヒドリンゴム)の詳細を示す。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
(実験例1〜10)
表3に示す、導電性発泡ローラの実験例1〜10に用いた原材料及び配合割合は、表1に示す配合Bである。配合Bからなるゴム混合物を、密閉式混練機(DS10−40MWA−S(株)森山製作所製)により100℃で10分間混練した。上記混練機からリボン取りしたゴム混合物を、40℃に温度調節された単軸押出機に投入して中空チューブ状に押し出した。この時、得られるチューブの寸法を、外径16mm、内径5mm、長さ30mとする。このゴムチューブを適切な長さにカットして予備成形チューブを成形し、この予備成形チューブを加圧式水蒸気式加硫缶に投入して160℃で60分間の一次加硫を行った。この際、化学発泡剤がガス化して発泡すると共に、ゴム成分の架橋も進行した。上記の如く円筒形状の加硫発泡体チューブの中空部に、ホットメルト接着剤を塗布した金属製シャフトからなる芯金(外径6mm)を圧入挿入して、一次成形ローラを得た。
【0030】
【表3】
【0031】
ここでは、以上のようにして得られる一次成形ローラを10試料用意し、それぞれを熱風オーブンに入れ、表3に示す10例の温度と時間で二次加硫を行って、芯金と導電性発泡ゴムとが接着され一体化した後に、ゴム両端を切落としてゴム長を214mmとし、ゴム表面を研磨してゴム厚さ4mmで外径を14mmとして実験例1〜10の導電性発泡ローラを得た。
【0032】
得られた実験例1〜10の導電性発泡ローラについて、電気抵抗値、抵抗周ムラ、製品硬度を測定した結果を表3に示し、同じく歪み量、歪み率の測定結果、及びべた画像評価を表4に示す。
【0033】
【表4】
【0034】
表3の各パラメータ、そして表4の圧縮永久歪み率の試験方法、及び画像評価の方法について以下に説明する。
【0035】
・電気抵抗値
図3は、実験試料としての導電性発泡ローラの電気抵抗測定方法を説明するための説明図である。同図に示すように、金属で形成された回転ドラム101に導電性発泡ローラ(試料)102を当接して連れ回り回転させ、20℃(温度)、50%(湿度)環境下で両ローラ間に1000Vの直流電圧を印加し、そのとき流れる電流を測定し、その平均値から導電性発泡ローラの電気抵抗値を算出する。
【0036】
・抵抗周むら
導電性発泡ローラの一周内の電気抵抗値の最大値と最小値との比である。
・製品硬度
導電性発泡ローラの側面にアスカーC硬度計を荷重1000gfで押当てて読み取った値である。
【0037】
・圧縮永久歪み試験
図4は、実験試料としての導電性発泡ローラの圧縮永久歪み測定方法を説明するための説明図である。同図に示すように、転写ローラに相当する導電性発泡ローラ101を、感光体ドラムに相当する外径30mmの筒型形状部103に対して、押し込み力47gf/cmで圧接して、温度70℃、湿度90%環境下に7日開放置する試験である。
尚、 押し込み力=全荷重÷接触長 であり、A4サイズの場合、接触長に相当するゴム長は214mmで、全荷重は1000gfとする。また、圧接する場合には、例えばバネ等で導電性発泡ローラ101の中心軸を押圧して行う。
・歪み量、永久歪み率
圧縮永久歪み試験を実施して、荷重負荷を解除してから7日経過時点でのゴム部分の長手方向(芯金の軸方向)中央部及び両端から内側10mmの3箇所の圧接位置について残留している歪み量(表に示す値はそれらの平均値)を測定し、その平均値をゴムの厚さで割った値(%表示)を圧縮永久歪み率とした。
【0038】
・画像評価の方法について
例えば図1の画像形成装置1(タンデム型のカラー電子写真プリンタ)を使用し、その転写ローラ41として、圧縮永久歪み率を測定した各導電性発泡ローラ102を装着して100%画像パターンを印刷して画像品質評価する。転写ローラ41として使用する導電性発泡ローラ102と感光体ドラム21との間は一定加重になるように設定して、両者の押し当て全荷重は1000gfとした。圧縮永久歪み試験において、転写ローラの接触部分の永久歪み率が所定値以上の場合に、感光体ドラム21への接触状態が正常部分と異なってしまう。そのためトナーの転写性が電気的にも機械的にも適正でなくなって画像上の横帯が発生する。画像評価は、この横帯の有無により良否を判定する。表では、良の場合を○で、不良の場合×で示している。
【0039】
表3に示す各実験例の導電性発泡ローラについて、圧縮永久歪み試験による永久歪み率測定の結果を表4に示す。同表に示すように、実験例1〜9では、永久歪み率が何れも1.75%以下であり画像は良好であった。実験例10では、永久歪み率が2.09%となって所定値を超え、100%画像の中に転写ローラ周期の横帯が発生した。
【0040】
従って、実験例1〜9の実施例で示すように、ここでは少なくとも永久歪み率が1.75%以下となる温度と時間で二次加硫を行うことによって、圧縮永久歪み起因する画像上の横帯を防ぐことができる。尚、ここでの実験例10は参考例として掲げるものである。
【0041】
一般に、アクリロニトリルブタジエンゴムを多く配合して発泡させたゴム加硫物は、圧縮永久歪みが悪くなるという問題があったが、以上のように、本実施の形態の導電性発泡ローラの製造方法によれば、ゴム加硫物を発泡させてスポンジ状として柔軟性を持たせる場合に、アクリロニトリルブタジエンゴムを多く配合し、環境負荷を軽減する理由のため塩素を含有するエピクロルヒドリンゴムの含有比率を抑えても、圧縮永久歪み率を所定値以下として、圧縮永久歪みに起因する横帯び発生による、印刷の品質劣化を防止することができる。
【0042】
実施の形態2.
(実験例11〜17)
表5に示す、導電性発泡ローラの実験例11〜17に用いた原材料及び配合割合は、表1に示す配合Aである。配合Aからなるゴム混合物を、密閉式混練機(DS10−40MWA−S(株)森山製作所製)により100℃で10分間混練した。上記混練機からリボン取りしたゴム混合物を、40℃に温度調節された単軸押出機に投入して中空チューブ状に押し出した。この時、得られるチューブの寸法を、外径16mm、内径5mm、長さ30mとする。このゴムチューブを適切な長さにカットして予備成形チューブを成形し、この予備成形チューブを加圧式水蒸気式加硫缶に投入して160℃で60分間の一次加硫を行った。この際、化学発泡剤がガス化して発泡すると共に、ゴム成分の架橋も進行した。上記の如く円筒形状の加硫発泡体チューブの中空部に、ホットメルト接着剤を塗布した金属製シャフトからなる芯金(外径6mm)を圧入挿入して、一次成形ローラを得た。
【0043】
【表5】
【0044】
次に、一次成形ローラを熱風オーブンに入れ、160℃で60分間の二次加硫を行って、芯金と導電性発泡ゴムとが接着され一体化した後に、ゴム両端を切落としてゴム長を214mmとし、ゴム表面を研磨してゴム厚さ4mmで外径を14mmとして二次成形ローラを得た。ここでは、以上のようにして得られる二次成形ローラを7試料用意し、それぞれを熱風オーブンに入れ、表5に示す7例の温度と時間でアニール処理して、実験例11〜17の導電性発泡ローラを得た。
【0045】
得られた実験例11〜17の導電性発泡ローラについて、電気抵抗値、抵抗周ムラ、製品硬度を測定した結果を表5に示し、同じく歪み量、歪み率の測定結果、及びべた画像評価の結果を図6に示す。尚、表5の各パラメータ、そして表6の圧縮永久歪み率の試験方法、及び画像評価の方法については、前記した実施の形態1で説明した通りなので、ここでの説明は省略する。
【0046】
【表6】
【0047】
表6に示すように、実験例12〜16では永久歪み率が1.63%以下で画像は良好であった。実験例11及び実験例17では、永久歪み率が1.98%及び1.9%となり、100%画像の中に転写ローラ周期の横帯が発生した。
【0048】
従って、実験例12〜16の実施例で示すように、ここでは少なくとも永久歪み率が1.63%以下となる温度と時間でアニール処理を行うことによって、圧縮永久歪み起因する画像上の横帯を防ぐことができる。尚、ここでの実験例11,17は参考例として掲げるものである。
【0049】
(実験例18〜23)
表7に示す、導電性発泡ローラの実験例18〜23に用いた原材料及び配合割合は、表1に示す配合Bである。ここでは、実験例11〜17と同じ製造方法で、即ち配合Bからなるゴム混合物を、100℃で10分間混練して中空チューブ状に押出して予備成形チューブを成形した後、160℃で60分間の一次加硫、及び160℃で60分間の二次加硫を行って二次成形ローラを6試料用意し、それぞれを熱風オーブンに入れ、表7に示す6例の温度と時間でアニール処理して、実験例18〜23の導電性発泡ローラを得た。
【0050】
【表7】
【0051】
得られた実験例18〜23の導電性発泡ローラについて、電気抵抗値、抵抗周ムラ、製品硬度を測定した結果を表7に示し、同じく歪み量、歪み率の測定結果、及びべた画像評価の結果を図8に示す。
【0052】
【表8】
【0053】
表8に示すように、実験例19〜22では永久歪み率が1.58%以下で画像は良好であった。実験例18及び実験例23では、永久歪み率が1.92%及び1.88%となり、100%画像の中に転写ローラ周期の横帯が発生した。
【0054】
従って、実験例19〜22の実施例で示すように、ここでは少なくとも永久歪み率が1.58%以下となる温度と時間でアニール処理を行うことによって、圧縮永久歪み起因する画像上の横帯を防ぐことができる。尚、ここでの実験例18,23は参考例として掲げるものである。
【0055】
(実験例24〜29)
表9に示す、導電性発泡ローラの実験例24〜29に用いた原材料及び配合割合は、表1に示す配合Cである。ここでは、実験例11〜17と同じ製造方法で、即ち配合Cからなるゴム混合物を、100℃で10分間混練して中空チューブ状に押出して予備成形チューブを成形した後、160℃で60分間の一次加硫、及び160℃で60分間の二次加硫を行って二次成形ローラを6試料用意し、それぞれを熱風オーブンに入れ、表9に示す6例の温度と時間でアニール処理して、実験例24〜29の導電性発泡ローラを得た。
【0056】
【表9】
【0057】
得られた実験例24〜29の導電性発泡ローラについて、電気抵抗値、抵抗周ムラ、製品硬度を測定した結果を表9に示し、同じく歪み量、歪み率の測定結果、及びべた画像評価の結果を図10に示す。
【0058】
【表10】
【0059】
表10に示すように、実験例25〜28では永久歪み率が1.55%以下で画像は良好であった。実験例24及び実験例29では、永久歪み率が1.90%及び1.88%となり、100%画像の中に転写ローラ周期の横帯が発生した。
【0060】
従って、実験例25〜28の実施例で示すように、ここでは少なくとも永久歪み率が1.55%以下となる温度と時間でアニール処理を行うことによって、圧縮永久歪み起因する画像上の横帯を防ぐことができる。尚、ここでの実験例24,29は参考例として掲げるものである。
【0061】
以上のように、本実施の形態の導電性発泡ローラの製造方法によれば、実施の形態1の場合と同様に、ゴム加硫物を発泡させてスポンジ状として柔軟性を持たせる場合に、アクリロニトリルブタジエンゴムを多く配合し、環境負荷を軽減する理由のため塩素を含有するエピクロルヒドリンゴムの含有比率を抑えても、圧縮永久歪み率を所定値以下として、圧縮永久歪み起因する横帯び発生による、印刷の品質劣化を防止することができる。
更に、多くの実験例で永久歪み率を1.63%以下とすることができたように、実施の形態1の場合よりも、更に永久歪み率を引き下げることが容易となり、品質の向上及び生産性の向上に寄与できる。
【0062】
実施の形態3.
(実験例30)
実験例30では、前記した実施の形態1の実験例5の実験試料である導電性発泡ローラに対して、研磨による外径が僅かに異なる導電性発泡ローラを得る。即ち、実施の形態1で示した導電性発泡ローラの実験例1〜10と同様の方法で、一次成形ローラを得て熱風オーブンに入れ、表3に示す実験例5の場合と同様に、温度130℃にて3時間の二次加硫を行った。そして、芯金と導電性発泡ゴムとが接着され一体化した後に、ゴム両端を切落としてゴム長を214mmとしてゴム表面を研磨し、ここではゴム厚さが4mm〜4.1mmで、ゴム端部の外径を14mm、ゴム中央部の外径を14.1mmとして、外径差100μmとなる略太鼓形状を狙った。
【0063】
図5は、本実施の形態の導電性発泡ローラの理想的な外周面の形状を示す正面図である。同図に示すように、理想的な導電性発泡ローラは、そのゴム部111(図中110は芯金)の断面外形線が4次曲線に沿って形成されて、外周面が太鼓状に形成されている。図6は、図5の理想形状に近似させるため、中央部付近を円柱形状とし、その両側を円錐台形状とした近似形状の例を示す実験例30の導電性発泡ローラの簡易図である。
【0064】
図7は、図6の近似形状の構成を説明するための説明図である。同図(a)に示すように、理想形状(その半径の変化を点線で示す)のゴム部分と同じ体積であるように円錐台を選択し、半径7.05mmを超える部分をカットして同図(b)の形状を得るものである。図15は、図7(b)の形状を目標にして研磨して得た実験例30の導電性発泡ローラの外径を測定した測定結果を示すグラフである。このように外径差90μmの導電性発泡ローラを得た。
【0065】
表11は、この実験例30における圧縮永久歪み試験の測定結果と画像評価結果を示す。尚、表11の圧縮永久歪み率の試験方法、及び画像評価の方法については、前記した実施の形態1で説明した通りなので、ここでの説明は省略する。同表に示すように、ここでは永久歪み率が1.32%となり、画像は良好であった。
【0066】
【表11】
【0067】
図15に示すグラフでは、ゴム端部から10mm未満の領域の形状が理想的ではないが問題ではない。なぜならゴム端部から10mm未満の領域については、ゴムの非圧縮性によりゴムが外側に逃げてしまうため、狙いの外径に研磨できないのが実情であって、また使用時にも被接触物に対してゴム端部は同様に外側へ逃げるため、ゴム端部から10mm未満の領域の形状を重要に捉えなくても問題ない。
【0068】
以上のように、本実施の形態の実施例(実験例30)による導電性発泡ローラによれば、実験例5(表3,4)の導電性発泡ローラの永久歪み率1.54%に対して、ゴム部形状を略太鼓上に形成することにより永久歪み率1.32%が得られたように、永久歪み率の低減に寄与することができる。
【0069】
実施の形態4.
表12に示す、導電性発泡ローラの実験例31、32に用いた原材料及び配合割合は、表1に示す配合Bである。配合Bからなるゴム混合物を、密閉式混練機(DS10−40MWA−S(株)森山製作所製)により100℃で10分間混練した。上記混練機からリボン取りしたゴム混合物を、40℃に温度調節された単軸押出機に投入して中空チューブ状に押し出した。この時、得られるチューブの寸法を、外径20mm、内径7mm、長さ30mとする。このゴムチューブを適切な長さにカットして予備成形チューブを成形し、この予備成形チューブを加圧式水蒸気式加硫缶に投入して160℃で60分間の一次加硫をおこなった。この際、化学発泡剤がガス化して発泡すると共に、ゴム成分の架橋も進行した。上記の如く円筒形状の加硫発泡体チューブの中空部に、ホットメルト接着剤を塗布した金属製シャフトからなる芯金(外径8mm)を圧入挿入して、一次成形ローラを得た。
【0070】
【表12】
【0071】
一次成形ローラを熱風オーブンに入れ、温度130℃にて3時間(実験例5に相当)の二次加硫を行って、芯金と導電性発泡ゴムとが接着され一体化した後に、ゴム両端を切落としてゴム長をA3サイズ対応の301mmにしてゴム表面を研磨し、ここでは実験例31、32の何れも、ゴム端部の外径を16mm、ゴム中央部の外径を16.2mmとして、外径差200μmとなる略太鼓形状を狙った。
【0072】
(実験例31)
図8は、本実施の形態の導電性発泡ローラの理想的な外周面の形状を示す正面図である。同図に示すように、理想的な導電性発泡ローラは、そのゴム部111(図中110は芯金)の断面外形線が4次曲線に沿って形成されて、外周面が太鼓状に形成されている。図9は、図8の理想形状に近似させるため、中央部付近を円柱形状とし、その両側を円錐台形状とした近似形状の例を示す実験例31の導電性発泡ローラの簡易図である。
【0073】
図10は、図9の近似形状の構成を説明するための説明図である。前記した実験例30の場合と同様に、先ず理想形状(その半径の変化を点線で示す)のゴム部分と同じ体積であるように円錐台を選択し、半径8.10mmを超える部分をカットして同図の形状を得るものである。図16は、図10の形状を目標にして研磨して得た実験例31の導電性発泡ローラの外径を測定した測定結果を示すグラフである。このように外径差186μmの導電性発泡ローラを得た。
【0074】
表12に、この実験例31における圧縮永久歪み試験の測定結果と画像評価結果を示す。このように、ここでは永久歪み率が1.80%となり、100%画像の中に転写ローラ周期の横帯が発生した。以上のように、ここでの実験例31は、参考例として掲げたものである。
【0075】
(実験例32)
図11は、図8の理想形状に近似させた実験例32の導電性発泡ローラの簡易図である。同図に示すように、ここでの導電性発泡ローラのゴム部111は、芯金110の軸方向における中央部を中心に左右対称に形成され、中央部付近を円柱形状とし、例えば一方の側において、端部に向かって2種類の円錐台2、円錐台21を段差が生じないように連ねて近似している。同図中の円錐台1と2との境界位置は、ゴム端部から内側に10mmの位置から、ゴム端部から内側にゴム全長の28%までの場所が良い。以下にその理由を説明する。
【0076】
図12は、円柱部分が無くて円錐台1と2のみで表す場合を説明するための説明図である。理想と考える4次曲線に対して、最適化した円錐台を選択するために、体積差が極小になるような境界位置を求める。これは、S−S1およびS−S2の和が極小になることと等価であるので、
△((S−S1)十(S−S2))=MIN(極小値)
である。上記変分方程式を満足する境界位置は、ゴム端部から内側に85mmの場所であり、図13は、境界位置をこの85mmの位置に設定した状態を示す説明図である。この時の境界位置は、ゴム部全長(301mm)の約28%に相当する。更に円柱部分がある場合は、上記境界位置が端部側ヘシフトするため、上記境界位置はゴム端部から内側にゴム全長の28%までの場所に設定されることが望ましい。図14はこの時の状態、即ち実験例32の近似形状を示している。
【0077】
図17は、図14に示す形状を目標として研磨して得た実験例32の導電性発泡ローラの外径を測定した測定結果を示すグラフである。このようにして外径差180μmの導電性発泡ローラを得た。尚、ゴム端部から10mm未満の領域の形状が理想的ではないが、実験例30で説明した理由と同様の理由により問題ない。
【0078】
表12に、この実験例32における圧縮永久歪み試験の測定結果と画像評価結果を示す。このように、ここでは永久歪み率が1.55%となり、画像は良好であった。
【0079】
図18は、感光体ドラム21(図1)或いは感光体ドラム21に相当する筒型形状部103(図4)に対する、図9に外形を示す実験例31の導電性発泡ローラのニップ量を示すグラフであり、図19は、同じく感光体ドラム21或いは筒型形状部103に対する、図11に外形を示す実験例32の導電性発泡ローラのニップ量を示すグラフである。
【0080】
図18のグラフに示すように、実験例31(参考例)の導電性発泡ローラでは、端部付近への荷重が強く、中間部分は少し弱まり、中央部で再度強くなっており、A3サイズで全長が長くなったため実験例30と同様なテーパー形状は十分な効果を上げていない。一方図19のグラフに示すように、実験例32(実施例)の導電性発泡ローラでは、実験例31において荷重が端部に集中していた傾向を改善しているので、永久歪みを小さくすることができた。尚、実験例32では現実の量産製造用研磨装置の都合によって二種類の円錐台のみで理想と考える4次曲線を近似しているけれども、多くの円錐台で近似することが望ましい。その理由は上記の如く4次曲線に対する体積差をさらに小さくすることが可能になるからである。
【0081】
以上のように本実施の形態の導電性発泡ローラによれば、そのゴム部を複数の円錐台を段差無く連続して配置した構成にして理想形状に近似させることによって永久歪み率の低減を実現している。このため、A3対応のようにサイズが大きくて、永久歪み率の低減が難しくなる転写ローラに用いて好適な導電性発泡ローラを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明に基づく画像形成装置の要部構成を示す、実施の形態1の画像形成装置の要部構成図である。
【図2】画像形成装置に備えられた本発明に基づく転写ローラの内部構成を示す構成図である。
【図3】実験試料としての導電性発泡ローラの電気抵抗測定方法を説明するための説明図である。
【図4】実験試料としての導電性発泡ローラの圧縮永久歪み測定方法を説明するための説明図である。
【図5】実施の形態3の導電性発泡ローラの理想的な外周面の形状を示す正面図である。
【図6】図5の理想形状に近似させるため、中央部付近を円柱形状とし、その両側を円錐台形状とした近似形状の例を示す実験例30の導電性発泡ローラの簡易図である。
【図7】図6の近似形状の構成を説明するための説明図であり、同図(a)は理想形状のゴム部分と同じ体積であるように円錐台を選択した段階を示し、同図(b)は半径7.05mmを超える部分をカットした段階の形状を示す。
【図8】実施の形態4の導電性発泡ローラの理想的な外周面の形状を示す正面図である。
【図9】図8の理想形状に近似させた実験例31の導電性発泡ローラの簡易図である。
【図10】図9の近似形状の構成を説明するための説明図である。
【図11】図8の理想形状に近似させた実験例32の導電性発泡ローラの簡易図である。
【図12】円柱部分が無くて2種類の円錐台のみで表す場合を説明するための説明図である。
【図13】円錐台の境界位置を最も好ましい位置に設定した状態を示す説明図である。
【図14】図11の近似形状の構成を説明するための説明図である。
【図15】図7(b)の形状を目標にして研磨して得た実験例30の導電性発泡ローラの外径を測定した測定結果を示すグラフである。
【図16】図10の形状を目標にして研磨して得た実験例31の導電性発泡ローラの外径を測定した測定結果を示すグラフである。
【図17】図14に示す形状を目標として研磨して得た実験例32の導電性発泡ローラの外径を測定した測定結果を示すグラフである。
【図18】感光体ドラムに対する、図9に外形を示す実験例31の導電性発泡ローラのニップ量を示すグラフである。
【図19】感光体ドラムに対する、図11に外形を示す実験例32の導電性発泡ローラのニップ量を示すグラフである。
【符号の説明】
【0083】
1 画像形成装置、
11〜14 イメージドラムユニット、
16 記録用紙、
21 感光体ドラム、
22 帯電ローラ、
23 LEDヘッド、
24 現像ローラ、
25,48 クリーニングブレード、
26 トナーカートリッジ、
30 レジストローラユニット、
37 給紙カセット、
38 定着ユニット、
39 排紙トレイ、
40 転写部、
41 転写ローラ、
42 搬送ベルト、
43 ドライブローラ、
44〜46 テンションローラ、
51 芯金、
52 発泡ゴム層、
101 回転ドラム、
102 導電性発泡ローラ、
103 筒型形状部、
110 芯金、
111 ゴム部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯金及び導電性発泡ゴムを備えた導電性発泡ローラにおいて、
圧縮永久歪み率が1.75%以下であることを特徴とする導電性発泡ローラ。
【請求項2】
更に圧縮永久歪み率が1.63%以下であることを特徴とする請求項1記載の導電性発泡ローラ。
【請求項3】
前記導電性発泡ゴムは、アクリロニトリルブタジエンゴムとエピクロルヒドリンゴムの混合ゴムであることを特徴とする請求項1又は2記載の導電性発泡ローラ。
【請求項4】
芯金及び導電性発泡ゴムを備えた導電性発泡ローラの製造方法において、
アクリロニトリルブタジエンゴムとエピクロルヒドリンゴムを所定の配合割合で混練する工程と、
前記混練したゴム混合物を中空チューブ状に押し出し、所定の長さにカットして予備成形チューブを成形する工程と、
前記予備成形チューブを略160℃で60分間程度の一次加硫を行う工程と、
前記一次加硫を行った前記予備成形チューブの中空部に芯金を圧入して一次成形ローラを得る工程と、
前記一次成形ローラを所定の温度と時間で二次加硫を行う工程と、
前記二次加硫を行った前記一次成形ローラを所定の形状に研磨する工程と
を有することを特徴とする導電性発泡ローラの製造方法。
【請求項5】
前記アクリロニトリルブタジエンゴムと前記エピクロルヒドリンゴムの配合割合が70:30であることを特徴とする請求項4記載の導電性発泡ローラの製造方法。
【請求項6】
前記二次加硫を、110℃〜140℃の温度範囲、且つ1時間〜5時間の時間範囲で行うことを特徴とする請求項4又は5記載の導電性発泡ローラの製造方法。
【請求項7】
芯金及び導電性発泡ゴムを備えた導電性発泡ローラの製造方法において、
アクリロニトリルブタジエンゴムとエピクロルヒドリンゴムを所定の配合割合で混練する工程と、
前記混練したゴム混合物を中空チューブ状に押し出し、所定の長さにカットして予備成形チューブを成形する工程と、
前記予備成形チューブを略160℃で60分間程度の一次加硫を行う工程と、
前記一次加硫を行った前記予備成形チューブの中空部に芯金を圧入して一次成形ローラを得る工程と、
前記一次成形ローラを略160℃で60分間程度の二次加硫を行う工程と、
前記二次加硫を行った前記一次成形ローラを所定の形状に研磨して二次成形ローラを得る工程と、
前記二次成形ローラを所定の温度と時間でアニールする工程と
を有することを特徴とする導電性発泡ローラの製造方法。
【請求項8】
前記アクリロニトリルブタジエンゴムと前記エピクロルヒドリンゴムの配合割合が55:45であることを特徴とする請求項7記載の導電性発泡ローラの製造方法。
【請求項9】
前記アニールを、70℃〜140℃の温度範囲、且つ1.32時間〜168時間の時間範囲で行うことを特徴とする請求項8記載の導電性発泡ローラの製造方法。
【請求項10】
前記アクリロニトリルブタジエンゴムと前記エピクロルヒドリンゴムの配合割合が70:30であることを特徴とする請求項7記載の導電性発泡ローラの製造方法。
【請求項11】
前記アニールを、70℃〜130℃の温度範囲、且つ1.32時間〜168時間の時間範囲で行うことを特徴とする請求項10記載の導電性発泡ローラの製造方法。
【請求項12】
前記アクリロニトリルブタジエンゴムと前記エピクロルヒドリンゴムの配合割合が85:15であることを特徴とする請求項7記載の導電性発泡ローラの製造方法。
【請求項13】
前記アニールを、70℃〜130℃の温度範囲、且つ2.63時間〜168時間の時間範囲で行うことを特徴とする請求項12記載の導電性発泡ローラの製造方法。
【請求項14】
請求項4乃至13の何れかの導電性発泡ローラの製造方法で製造された導電性発泡ローラであって、
ゴム部が、前記芯金の軸方向における、中央部から両端部近傍にかけて、外径が漸次小さくなる領域を有することを特徴とする導電性発泡ローラ。
【請求項15】
前記ゴム部は、前記中央部を中心に左右対称に形成され、一方の側において、形状の異なる複数の円錐台状部が配置された構成を有することを特徴とする請求項14記載の導電性発泡ローラ。
【請求項16】
形状の異なる円錐台状部が2種類であり、前記2種類の円錐台状部の境が、前記ゴム部の端部から該ゴム部全長の28%以内の位置となるように形成されたことを特徴とする請求項15記載の導電性発泡ローラ。
【請求項17】
トナー像を担持する感光体ドラムと、
前記感光体ドラムに直接或いは間接的に圧接して配置され、前記トナー像を記録媒体に転写するよう電圧を印加する転写ローラと
を有する画像形成装置において、
前記転写ローラを、請求項1乃至3、及び請求項14乃至16の何れかの導電性発泡ローラとしたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項18】
トナー像を担持する感光体ドラムと、
前記感光体ドラムに直接或いは間接的に圧接して配置され、前記トナー像を記録媒体に転写するよう電圧を印加する転写ローラと
を有する画像形成装置において、
前記転写ローラを、請求項4乃至13の何れかの導電性発泡ローラの製造方法で製造された導電性発泡ローラとしたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
芯金及び導電性発泡ゴムを備えた導電性発泡ローラにおいて、
圧縮永久歪み率が1.75%以下であることを特徴とする導電性発泡ローラ。
【請求項2】
更に圧縮永久歪み率が1.63%以下であることを特徴とする請求項1記載の導電性発泡ローラ。
【請求項3】
前記導電性発泡ゴムは、アクリロニトリルブタジエンゴムとエピクロルヒドリンゴムの混合ゴムであることを特徴とする請求項1又は2記載の導電性発泡ローラ。
【請求項4】
芯金及び導電性発泡ゴムを備えた導電性発泡ローラの製造方法において、
アクリロニトリルブタジエンゴムとエピクロルヒドリンゴムを所定の配合割合で混練する工程と、
前記混練したゴム混合物を中空チューブ状に押し出し、所定の長さにカットして予備成形チューブを成形する工程と、
前記予備成形チューブを略160℃で60分間程度の一次加硫を行う工程と、
前記一次加硫を行った前記予備成形チューブの中空部に芯金を圧入して一次成形ローラを得る工程と、
前記一次成形ローラを所定の温度と時間で二次加硫を行う工程と、
前記二次加硫を行った前記一次成形ローラを所定の形状に研磨する工程と
を有することを特徴とする導電性発泡ローラの製造方法。
【請求項5】
前記アクリロニトリルブタジエンゴムと前記エピクロルヒドリンゴムの配合割合が70:30であることを特徴とする請求項4記載の導電性発泡ローラの製造方法。
【請求項6】
前記二次加硫を、110℃〜140℃の温度範囲、且つ1時間〜5時間の時間範囲で行うことを特徴とする請求項4又は5記載の導電性発泡ローラの製造方法。
【請求項7】
芯金及び導電性発泡ゴムを備えた導電性発泡ローラの製造方法において、
アクリロニトリルブタジエンゴムとエピクロルヒドリンゴムを所定の配合割合で混練する工程と、
前記混練したゴム混合物を中空チューブ状に押し出し、所定の長さにカットして予備成形チューブを成形する工程と、
前記予備成形チューブを略160℃で60分間程度の一次加硫を行う工程と、
前記一次加硫を行った前記予備成形チューブの中空部に芯金を圧入して一次成形ローラを得る工程と、
前記一次成形ローラを略160℃で60分間程度の二次加硫を行う工程と、
前記二次加硫を行った前記一次成形ローラを所定の形状に研磨して二次成形ローラを得る工程と、
前記二次成形ローラを所定の温度と時間でアニールする工程と
を有することを特徴とする導電性発泡ローラの製造方法。
【請求項8】
前記アクリロニトリルブタジエンゴムと前記エピクロルヒドリンゴムの配合割合が55:45であることを特徴とする請求項7記載の導電性発泡ローラの製造方法。
【請求項9】
前記アニールを、70℃〜140℃の温度範囲、且つ1.32時間〜168時間の時間範囲で行うことを特徴とする請求項8記載の導電性発泡ローラの製造方法。
【請求項10】
前記アクリロニトリルブタジエンゴムと前記エピクロルヒドリンゴムの配合割合が70:30であることを特徴とする請求項7記載の導電性発泡ローラの製造方法。
【請求項11】
前記アニールを、70℃〜130℃の温度範囲、且つ1.32時間〜168時間の時間範囲で行うことを特徴とする請求項10記載の導電性発泡ローラの製造方法。
【請求項12】
前記アクリロニトリルブタジエンゴムと前記エピクロルヒドリンゴムの配合割合が85:15であることを特徴とする請求項7記載の導電性発泡ローラの製造方法。
【請求項13】
前記アニールを、70℃〜130℃の温度範囲、且つ2.63時間〜168時間の時間範囲で行うことを特徴とする請求項12記載の導電性発泡ローラの製造方法。
【請求項14】
請求項4乃至13の何れかの導電性発泡ローラの製造方法で製造された導電性発泡ローラであって、
ゴム部が、前記芯金の軸方向における、中央部から両端部近傍にかけて、外径が漸次小さくなる領域を有することを特徴とする導電性発泡ローラ。
【請求項15】
前記ゴム部は、前記中央部を中心に左右対称に形成され、一方の側において、形状の異なる複数の円錐台状部が配置された構成を有することを特徴とする請求項14記載の導電性発泡ローラ。
【請求項16】
形状の異なる円錐台状部が2種類であり、前記2種類の円錐台状部の境が、前記ゴム部の端部から該ゴム部全長の28%以内の位置となるように形成されたことを特徴とする請求項15記載の導電性発泡ローラ。
【請求項17】
トナー像を担持する感光体ドラムと、
前記感光体ドラムに直接或いは間接的に圧接して配置され、前記トナー像を記録媒体に転写するよう電圧を印加する転写ローラと
を有する画像形成装置において、
前記転写ローラを、請求項1乃至3、及び請求項14乃至16の何れかの導電性発泡ローラとしたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項18】
トナー像を担持する感光体ドラムと、
前記感光体ドラムに直接或いは間接的に圧接して配置され、前記トナー像を記録媒体に転写するよう電圧を印加する転写ローラと
を有する画像形成装置において、
前記転写ローラを、請求項4乃至13の何れかの導電性発泡ローラの製造方法で製造された導電性発泡ローラとしたことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
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【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2008−58621(P2008−58621A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−235642(P2006−235642)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】
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